IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-表示装置、電子装置および移動体 図1
  • 特許-表示装置、電子装置および移動体 図2
  • 特許-表示装置、電子装置および移動体 図3
  • 特許-表示装置、電子装置および移動体 図4
  • 特許-表示装置、電子装置および移動体 図5
  • 特許-表示装置、電子装置および移動体 図6
  • 特許-表示装置、電子装置および移動体 図7
  • 特許-表示装置、電子装置および移動体 図8
  • 特許-表示装置、電子装置および移動体 図9
  • 特許-表示装置、電子装置および移動体 図10
  • 特許-表示装置、電子装置および移動体 図11
  • 特許-表示装置、電子装置および移動体 図12
  • 特許-表示装置、電子装置および移動体 図13
  • 特許-表示装置、電子装置および移動体 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】表示装置、電子装置および移動体
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20240522BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240522BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20240522BHJP
   H10K 59/12 20230101ALI20240522BHJP
   H10K 59/129 20230101ALI20240522BHJP
   H10K 59/95 20230101ALI20240522BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 621A
G09G3/20 622D
G09G3/20 641E
G09G3/20 680V
G09G3/20 691G
H04N5/66 B
H10K59/12
H10K59/129
H10K59/95
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020172134
(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公開番号】P2022063740
(43)【公開日】2022-04-22
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松山 和憲
(72)【発明者】
【氏名】識名 紀之
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-110115(JP,A)
【文献】特開2010-271365(JP,A)
【文献】国際公開第2015/087598(WO,A1)
【文献】特表2003-532145(JP,A)
【文献】特開2000-275606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/12-3/14
G09G 3/20-3/3291
H10K 50/10
H10K 59/12
H10K 59/129
H10K 59/95
H04N 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのサブフレームで各フレームが構成される画像を表示するように構成された表示装置であって、
供給される各サブフレームデータの各行の画素データに基づいて少なくとも2行の画素を駆動するように、画素アレイの複数の画素を駆動する駆動部を備え、
前記駆動部は、供給されている現在のサブフレームデータにおける行と一致しない行の画素を第1条件で発光させ、該現在のサブフレームデータにおける行と一致する行の画素を第2条件で発光させるように、前記複数の画素を駆動し、
前記第2条件は、同一画素値に従って画素を発光させた場合における発光量が前記第1条件よりも大きい条件である、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1条件は、画素を発光させる発光期間が第1発光期間であり、前記第2条件は、画素を発光させる発光期間が前記第1発光期間よりも長い第2発光期間である、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数の画素の各々は、発光期間を制御するトランジスタを含み、
前記駆動部は、供給されている現在のサブフレームデータにおける行と一致しない行の画素を前記第1発光期間に従って発光させ、該現在のサブフレームにおける行と一致する行の画素を前記第2発光期間に従って発光させるように、前記複数の画素の各々の前記トランジスタを制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記駆動部は、1つの選択部が1つの行に割り当てられるように配置された複数の選択部を含み、各選択部は、第1発光期間を定める第1制御信号と、前記第1発光期間より長い第2発光期間を定める第2制御信号を含む複数の制御信号のうち供給されている現在のサブフレームデータに対応する制御信号を選択して出力し、
各行の画素の前記トランジスタは、前記複数の選択部のうち対応する選択部の出力によって制御される、
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2条件は、発光強度が前記第1条件より強い条件である、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数の画素の各々は、メモリを含み、前記メモリに書き込まれた信号に応じて発光するように構成され、
前記駆動部は、前記第1条件および前記第2条件を満たすように、供給されている現在のサブフレームデータに基づいて前記複数の画素の各々の前記メモリに書き込む画素信号を制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記駆動部は、供給されているサブフレームデータのうちの第1サブフレームデータにおける行と一致する行の画素に画素信号を供給する第1データ線と、該供給されているサブフレームデータのうちの第2サブフレームデータにおける行と一致する行の画素に画素信号を供給する第2データ線とを含み、
前記駆動部は、前記第1条件および前記第2条件を満たすように、供給されている現在のサブフレームデータに基づいて、前記第1データ線および前記第2データ線に供給する画素信号を制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記少なくとも2つのサブフレームは、偶数サブフレームおよび奇数サブフレームを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
供給されている現在のサブフレームデータが前記少なくとも2つのサブフレームのいずれのサブフレームデータであるかを判定する判定部を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
被写体を撮像する撮像部と、
前記撮像部からのデータに基づいて画像を表示するように構成された請求項1乃至9のいずれか1項に記載の表示装置と、
を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項11】
被写体を撮像する撮像部と、
前記撮像部からのデータに基づいて画像を表示するように構成された請求項1乃至9のいずれか1項に記載の表示装置と、
を備えることを特徴とする移動体。
【請求項12】
少なくとも2つのサブフレームで1フレームが構成された画像データを用いて、第一行を含む複数の行を同じデータに基づくデータで駆動する表示装置であって、
前記1フレームは、前記第一行及び前記複数の行のうちの他の行を前記第一行の駆動データに基づくデータで駆動する第一サブフレームと、前記第一行及び前記複数の行のうちの他の行を前記他の行の駆動データに基づくデータで駆動する第二サブフレームと、を有し、
前記第一行に含まれる少なくとも1つの画素は、前記第一サブフレームにおける発光量が、前記第二サブフレームにおける発光量よりも大きいこと、
を特徴とする表示装置。
【請求項13】
前記少なくとも2つのサブフレームは、偶数サブフレームおよび奇数サブフレームを含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記駆動データにより、前記第一サブフレームまたは前記第二サブフレームであることをと判定する判定手段をさらに有する請求項12または13に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、電子装置および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
入力データ量の削減とフレーム表示に要する時間の短縮のために、各行の画素データで2以上の行の画素を駆動するマルチライン駆動方式で画素を駆動する表示装置がある。マルチライン駆動方式では、各行の画素データを供給する2以上の行をサブフレーム毎に変更することによってオリジナル画像と補間画像とを分散させ、視認性が改善される。人間の視覚はディスプレイの駆動周期より鈍感であるため、人間は、オリジナル画像と補間画像とを積分平均した画像を知覚する。
【0003】
特許文献1では、連続する2つのサブフレーム間の平均輝度値がオリジナルの輝度値と等しくなるよう補正を行うことによって画質を改善する手法が提案されている。しかしながら、特許文献1の方法では、前フレームの輝度を1フレーム期間にわたって保持するメモリが必要であり、そのために回路規模が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2003-532145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、単純な構成によって表示画像の品質を改善するために有利な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの側面は、少なくとも2つのサブフレームで各フレームが構成される画像を表示するように構成された表示装置に係り、前記表示装置は、供給される各サブフレームデータの各行の画素データに基づいて少なくとも2行の画素を駆動するように、画素アレイの複数の画素を駆動する駆動部を備え、前記駆動部は、供給されている現在のサブフレームデータにおける行と一致しない行の画素を第1条件で発光させ、該現在のサブフレームデータにおける行と一致する行の画素を第2条件で発光させるように、前記複数の画素を駆動し、前記第2条件は、同一画素値に従って画素を発光させた場合における発光量が前記第1条件よりも大きい条件である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、単純な構成によって表示画像の品質を改善するために有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】比較例の表示装置の構成を示す図。
図2】比較例の表示装置の動作を示す図。
図3】表示装置に供給される画像データを模式的に示す図。
図4】第1実施形態の表示装置の構成を示す図。
図5】第1実施形態の表示装置の動作を示す図。
図6】比較例および第1実施形態の発光量を例示する図。
図7】比較例および第1実施形態の動作を比較する図。
図8】第2実施形態の表示装置の構成を示す図。
図9】第2実施形態の表示装置の動作を示す図。
図10】実施形態の表示装置の適用例を示す図。
図11】実施形態の表示装置の適用例を示す図。
図12】実施形態の表示装置の適用例を示す図。
図13】実施形態の表示装置の適用例を示す図。
図14】実施形態の表示装置の適用例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について、添付の図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に関る本発明を限定するものではなく、また、本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0010】
図1には、比較例の表示装置DD1の構成が示されている。表示装置DD1は、少なくとも2つのサブフレームで各フレームが構成される画像を表示する機能を有する。表示装置DD1は、画素アレイ10と、垂直走査制御部11と、判定部12と、発光期間制御部13と、水平走査制御部14とを備えうる。表示装置DD1は、少なくとも2行の画素を同時に駆動するマルチライン駆動方式で画素アレイ10を駆動しうる。ここでは、簡単化のために、2行の画素を同時に駆動する例を説明する。
【0011】
画素アレイ10は、複数の行および複数の列を構成するように配置された複数の画素を有し、図1には、N-1行、N行、N+1行にそれぞれ配置された画素10、10、10が代表的に示されている。複数の画素を区別することなく説明する場合には、画素10と記載する。このような表記方法は、他の構成要素についても同様である。各画素10は、トランジスタTr1、Tr2、Tr3、容量C、発光素子EL(例えば、有機EL素子)を含みうる。
【0012】
トランジスタTr1のゲートは、垂直走査制御部11によって駆動される垂直走査線VSL(・・・VSLN-1、VSL、VSLN+1)に接続されている。垂直走査線VSLは、水平走査制御部14によって駆動されるデータDL(DL、DL・・・・)を通して容量Cに画素信号を書き込む際に活性化される。トランジスタTr2は、容量Cに書き込まれた画素信号に応じた電流を発光素子ELに供給する。トランジスタTr3のゲートは、発光期間制御部13によって駆動される発光期間信号線EP(・・・EPN-1、EP、EPN+1)に接続され、発光素子ELの発光期間を制御する。
【0013】
表示装置DD1に供給される各フレームの画像データIDは、偶数サブフレームのデータである偶数サブフレームデータと、奇数サブフレームのデータである奇数サブフレームデータとを含みうる。偶数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、N-1、N行の画素10、10が同時に駆動されるように、N-1、N行の画素10、10のトランジスタTr1が制御される。奇数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、N、N+1行の画素10、10が同時に駆動されるように、N、N+1行の画素10、10のトランジスタTr1が制御される。これを実現するために、垂直走査制御部11は、複数の選択部11(11、11、11)を有する。
【0014】
複数の選択部11は、1つの選択部11xが1つの行に割り当てられるように配置されうる。判定部12には、各フレームの画像データIDが供給される。判定部12は、各フレームについて、供給されている現在のサブフレームデータが該フレームを構成する2つのサブフレームのいずれのサブフレームデータであるかを判定し、判定の結果を示す選択信号RAS、RSBを出力しうる。供給されている現在のサブフレームデータは、偶数サブフレームデータまたは奇数サブフレームデータでありうる。選択信号RSA、RSBは、相補的あるいは排他的な信号であり、選択信号RSBは、選択信号RSAを反転させた信号でありうる。判定部12は、偶数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、選択信号RSBをアクティブレベルに駆動し、選択信号RSAをインアクティブレベルに駆動しうる。また、判定部12は、奇数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、選択信号RSAをアクティブレベルに駆動し、選択信号RSBをインアクティブレベルに駆動しうる。判定部12は、各フレームが少なくとも2つのサブフレームで構成される場合、現在のサブフレームデータが該フレームを構成する該少なくとも2つのサブフレームのいずれのサブフレームデータであるかを判定するように構成されうる。
【0015】
垂直走査制御部11の各選択部11は、第1、第2入力信号のうち選択信号によって指定される入力信号と同一論理レベルを有する信号を出力するマルチプレクサで構成されうる。選択信号RSAが入力される選択部11は、選択信号RSAがアクティブレベルであるときは第1入力信号と同一論理レベルを有する信号を出力し、選択信号RSAがインアクティブレベルであるときは第2入力信号と同一論理レベルを有する信号を出力しうる。選択信号RSBが入力される選択部11は、選択信号RSBがアクティブレベルであるときは第1入力信号と同一論理レベルを有する信号を出力し、選択信号RSBがインアクティブレベルであるときは第2入力信号と同一論理レベルを有する信号を出力しうる。各選択部11は、その出力により、対応する行の垂直走査線VSLを駆動する。例えば、N行に割り当てられた選択部11は、偶数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、行選択信号Rと同一論理レベルの信号を垂直走査信号線VSLに出力する。
【0016】
水平走査制御部14は、各画素10の発光輝度を制御するための容量Cに画素信号を書き込む(即ち、充電または放電)ために各列のデータ線DLに画素信号を出力する。ここで、偶数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、N-1行、N行の画素10、10の容量Cには、該偶数サブフレームデータのうちN行の画素データに応じた画素信号Pが書き込まれる。即ち、N行の画素10の容量Cには、N行の画素データに応じた画素信号Pが書き込まれ、N-1行の画素10の容量Cにも、その隣接画素であるN行の画素の10の画素データに応じた画素信号Pが書き込まれる。奇数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、N、N+1行の画素102、103の容量Cには、該奇数サブフレームデータのうちN+1行の画素データに応じた画素信号PN+1が書き込まれる。即ち、N行の画素10の容量Cには、その隣接画素であるN+1の画素10の画素データに応じた画素信号PN+1が書き込まれ、N+1行の画素10の容量Cにも、N+1の画素103の画素データに応じた画素信号PN+1が書き込まれる。
【0017】
このようなマルチライン駆動によれば、2つのサブフレーム期間において、N行の画素10の発光は、P/2+PN+1/2に相当する発光として人間によって知覚されることになる。ここで、画像データIDが静止画(同一画像の繰り返し)であり、N-1、N、N+1行の画素の輝度レベルが20、20、80であったとする。この場合、N行の画素10の発光は、20、20、80の積分平均、即ち、輝度50として知覚されるため、本来の画素データである20に対して乖離が生じ、画質劣化が生じうる。
【0018】
以下、図4を参照しながら第1実施形態の表示装置DD2について説明する。なお、第1実施形態の表示装置DD2の構成および動作として言及しない事項は、上記の比較例の表示装置DD1の構成および動作に従いうる。第1実施形態の表示装置DD2は、少なくとも2つのサブフレームで各フレームが構成される画像を表示する機能を有しうる。表示装置DD2は、画素アレイ10と、画素アレイ10を駆動する駆動部DRVと、判定部12とを備えうる。駆動部DRVは、垂直走査制御部11と、発光期間制御部23と、水平走査制御部14とを含みうる。表示装置DD2は、少なくとも2行の画素を同時に駆動するマルチライン駆動方式で画素アレイ10を駆動しうる。ここでは、簡単化のために、2行の画素を同時に駆動する例を説明する。
【0019】
図3には、表示装置DD2(および表示装置DD1)に供給される画像データIDが模式的に示されている。図3では、簡単化のために、画像データIDの1つのフレームのN-3行、N-2行、N-1行、N行、N+1行、N+2行が示されている。1つのフレームの画像データIDは、2つのサブフレームデータ、具体的には偶数サブフレームデータおよび奇数サブフレームデータで構成されうる。偶数サブフレームデータは、・・・N-2行、N行、N+2行・・・の行の画素データで構成され、奇数サブフレームデータは、・・・N-3、N-1、N+1行・・・行の画素データで構成されうる。
【0020】
判定部12は、画像データIDまたはそれに付随する信号に基づいて、各フレームについて、供給されている現在のサブフレームデータがフレームを構成する少なくとも2つのサブフレーム(ここでは、偶数サブフレーム、奇数サブフレームである。)のいずれのサブフレームデータであるかを判定しうる。この判定は、例えば、画像データIDがインターレース信号として供給される場合、垂直同期信号の走査開始が0.5Hシフトする特徴を利用して行うことができる。また、画像データIDの伝送開始時に偶数サブフレームデータおよび奇数サブフレームデータのどちらから伝送を開始するかを規定しておき、これに基づいて判定を行うこともできる。また、例えばMIPI等の規格に従って伝送を行う場合、例えば偶数サブフレームデータをイベントモード、奇数サブフレームデータをパルスモードで転送するよう規定し、これに基づいて判定を行うこともできる。また、画像データに付随して、判定情報をサイドバンド信号として伝送し、これに基づいて判定を行うこともできる。また、他の方法に従って判定を行ってもよい。判定部12は、このような判定に基づいて選択信号RSA、RSBを発生しうる。
【0021】
判定部12は、偶数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、選択信号RSBをアクティブレベルに駆動し、選択信号RSAをインアクティブレベルに駆動しうる。また、判定部12は、奇数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、選択信号RSAをアクティブレベルに駆動し、選択信号RSBをインアクティブレベルに駆動しうる。奇数サブフレームにおいては、選択信号RSAがアクティブベルに駆動され、偶数サブフレームにおいては、選択信号RSBがアクティブレベルに駆動されるので、選択信号RSA、RSBは、交互にアクティブレベルに駆動される。
【0022】
垂直走査制御部11は、画素アレイ10の垂直走査(行の選択)を制御するための行選択信号Rを生成する。行選択信号Rは、例えば、シフトレジスタによって構成されうる。行選択信号Rは、R、R・・・RN-1、R、RN+1・・・の順に所定期間にわたってアクティブレベルに駆動されうる。マルチライン駆動では、垂直走査制御部11は、偶数サブフレームデータの画素データを画素10に書き込む時は、N-1、N行の画素10、10が同時に駆動されるように垂直走査信号を生成しうる。また、垂直走査制御部11は、奇数サブフレームデータの画素データを画素10xに書き込む時は、N、N+1行の画素10、10が同時に駆動されるように垂直走査信号を生成しうる。
【0023】
偶数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、N-1行の選択回路11は、選択信号RSAに従ってN行の行選択信号Rと同一論理レベルを有する信号をN-1行の垂直走査信号線VSLN-1に出力しうる。また、偶数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、N行の選択部11は、選択信号RSBに従ってN行の行選択信号Rと同一論理レベルを有する信号をN行の垂直走査信号線VSLに出力しうる。
【0024】
奇数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、N行の選択部11は、選択信号RSBに従ってN+1行の行選択信号RN+1と同一論理レベルを有する信号をN行の垂直走査信号線VSLN-出力しうる。また、奇数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、N+1行の選択回路11は、選択信号RSAに従ってN+1行の行選択信号RN+1と同一論理レベルを有する信号をN+1行の垂直走査信号線VSLN+1に出力しうる。
【0025】
駆動部DRVは、各サブフレームデータの各行の画素データに基づいて少なくとも2行の画素10を駆動するように構成されうる。駆動部DVRは、供給されている現在のサブフレームデータにおける行と一致しない行の画素を第1条件で発光させ、該現在のサブフレームデータにおける行と一致する行の画素を第2条件で発光させるように、複数の画素10を駆動しうる。第2条件は、同一画素値に従って画素を発光させた場合における発光量が第1条件よりも大きい条件でありうる。第1実施形態では、第1条件は、画素を発光させる発光期間が第1発光期間であり、第2条件は、画素を発光させる発光期間が第1発光期間よりも長い第2発光期間である。
【0026】
発光期間制御部23は、供給されている現在のサブフレームデータにおける行と一致しない行の画素10を第1発光期間に従って発光させるように、複数の画素10の各々のトランジスタTr3を制御しうる。また、発光期間制御部23は、供給されている現在のサブフレームデータにおける行と一致する行の画素を第2発光期間に従って発光させるように、複数の画素10xの各々のトランジスタTr3を制御しうる。
【0027】
発光期間制御部23は、期間信号発生部25を含みうる。制御信号発生部25は、第1発光期間T1を規定する第1期間制御信号EPAxと、第1発光期間T1よりも長い第2発光期間T2を規定する第2期間制御信号EPBxを発生しうる。発光期間制御部23は、複数の選択部23(23、23、23)を含みうる。複数の選択部23は、1つの選択部23が1つの行に割り当てられるように配置されうる。各選択部23は、第1発光期間T1を定める第1期間制御信号EPBxと、第1発光期間T1より長い第2発光期間T2を定める第2期間制御信号EPAx(を含む複数の制御信号)のうち現在のサブフレームデータに対応する期間制御信号を選択して出力しうる。各行の画素10のトランジスタTr3は、複数の選択部23xのうち対応する選択部の出力によって制御されうる。
【0028】
一例において、第1発光期間T1は、最適化された比較例における発光期間より短い発光期間であり、第2発光期間T2は、該比較例における該発光期間より長い発光期間である。第1発光期間T1と第2発光期間T2との平均は、該比較例における該発光期間と一致しうる。例えば、消費電力を抑制するため、比較例における発光期間が設計上の最長期間の70%に設定される場合、例えば、第1発光期間T1は該最長期間の40%、第2発光期間はT2該最小期間の100%でありうる。また、比較例における発光期間が設計上の最長期間の90%である場合、例えば、第1発光期間T1は該最長期間の80%、第2発光期間T2は該最小期間の100%でありうる。
【0029】
第1期間制御信号EPAxおよび第2期間制御信号EPBxは、画素10の発光素子ELを連続的に発光させるように生成されてもよいし、画素10の発光素子ELを断続的に発光させるように生成されてもよい。
【0030】
図5には、第1実施形態の表示装置DD2による偶数サブフレームおよび奇数サブフレームにおける画素10の駆動が例示されている。図2には、比較例の表示装置DD1による偶数サブフレームおよび奇数サブフレームにおける画素10xの駆動が例示されている。Tr1/G、Tr2/G、Tr3/Gは、トランジスタTr1、Tr2、Tr3のゲートに供給される信号である。
【0031】
偶数サブフレームでは、発光期間が相対的に短い第1発光期間T1を規定する第1期間制御信号EPAに従ってN-1、N+1行の画素10、10の発光素子ELの発光期間が制御されうる。また、偶数サブフレームでは、発光期間が相対的に長い第2発光期間T2を規定する第2期間制御信号EPBに従ってN行の画素10の発光素子ELの発光期間が制御されうる。一方、奇数サブフレームでは、発光期間が相対的に短い第1発光期間T1を規定する第1期間制御信号EPAに従ってN行の画素10の発光素子ELの発光期間が制御されうる。また、奇数サブフレームでは、発光期間が相対的に長い第2発光期間T2を規定する第2期間制御信号EPBxに従ってN-1、N+1行の画素10、10の発光素子ELの発光期間が制御されうる。
【0032】
水平走査制御部14は、画像データIDに基づいて、選択された行の各列の画素10の容量Cに書き込む画素信号(電圧信号)を生成し、各列のデータ線DLに出力しうる。垂直走査制御部11による画素アレイ10の走査と水平走査制御部14によるデータ線DLに対する画素信号の出力とは同期して制御されうる。マルチライン駆動では、各列において、垂直方向に隣接する2つ画素10に対して同一の画素信号が書き込まれうる。
【0033】
各画素10は、垂直走査制御部11からの垂直走査信号、発光期間制御部23からの期間制御信号、水平走査制御部14からの画素信号に基づいて発光素子ELの発光を制御しうる。発光素子ELの発光の輝度は、容量Cに書き込まれた画素信号(電圧信号)によって規定されうる。また、発光素子ELの発光期間は、期間制御信号EPAx、EPBxによって制御されうる。
【0034】
偶数サブフレームでは、N-1、N行の画素10、10の容量Cに対してN行の画素10のための画素信号がデータ線DLを介して書き込まれうる。その後、N-1行の画素10の発光素子ELは、第1制御信号EPAN-1によって規定される第1発光期間T1にわたって発光期間が制御されうる。N行の画素10の発光素子ELは、第2制御信号EPBによって規定される第2発光期間T2にわたって発光期間が制御されうる。図6に例示されるように、N-1行の画素10の発光素子ELの発光量は、第1制御信号EPAN-1によって規定される第1発光期間T1にわたって発光するN-1行の画素10の発光素子ELの発光量より大きい。
【0035】
奇数サブフレームでは、N、N+1行の画素10、10の容量Cに対してN+1行の画素10のための画素信号がデータ線DLを介して書き込まれうる。その後、N行の画素10の発光素子ELは、第1制御信号EPAによって規定される第1発光期間T1にわたって発光期間が制御されうる。また、N+1行の画素10の発光素子ELは、第2制御信号EPBN+1によって規定される第2発光期間T2にわたって発光期間が制御されうる。N+1行の画素10の発光素子ELは、第1制御信号EPAN+1によって規定される第2発光期間T2にわたって発光期間が制御されうる。図6に例示されるように、N+1行の画素10の発光素子ELの発光量は、第1制御信号EPAによって規定される第1発光期間T1にわたって発光するN行の画素10の発光素子ELの発光量より大きい。
【0036】
図7では、比較例のマルチライン駆動と第1実施形態のマルチライン駆動とが比較されている。この例では、第1発光期間T1が比較例の発光期間の0.75倍に設定され、第2発光期間T2が比較例の発光期間の1.25倍に設定されている。左側のカラムが比較例を示す、右側のカラムが実施形態を示している。
【0037】
図7(A)は、画像データID(オリジナル画像)であり、比較例と実施形態との間に差はない。図7(B)は、偶数サブフレームの表示結果、図7(C)は、奇数サブフレームの表示結果を示す。図7(D)は、図7(B)、図7(C)の積分平均画像、即ち視認結果を示す。図7(E)は、図7(A)と図7(D)の差分の絶対値を示したものである。図7(E)の差分絶対値の平均値は、比較例では21.3、第1実施形態では15.9であり、第1実施形態は比較例より視覚的画質が改善されている。
【0038】
また、第1発光期間T1が比較例の発光期間の0.5倍に設定され、第2発光期間T2が比較例の発光期間の1.5倍に設定された場合、第1実施形態の差分絶対値の平均値は10.6となり、より効果を発揮する。しかしながら、比較例の発光期間に対する第1実施形態の第1発光期間T1、第2発光期間T2の比率の差を大きくする場合、1フレーム期間における発光輝度の変動量が大きくなり、フリッカーとして視認される可能性がある。そこで、上限を1.5倍程度とした制御が好適であるが、これに限るものではない。
【0039】
第1実施形態では、供給されている現在のサブフレームデータのみを用いて表示画像の品質を改善することができるので、フレームメモリ等を使用する手法と比較して単純な構成で表示画像の品質を改善することができる。
【0040】
ここまでの説明では、説明の簡単化のため上述の構造を有する画素について発光期間を制御する例が挙げられている。これ以外にも、発光期間を制御するための信号を三角波を基に生成する手法等が考えられる。この場合、発光期間を制御する信号を生成する際、パルス変換時の閾値を行毎に可変として制御する方法や、三角波の傾きを行毎に可変として制御する手法を用いて、発光期間を制御することが可能である。
【0041】
発光素子ELは、有機EL素子であってもよいし、他の素子であってもよい。また、発光素子ELは、液晶素子で置き換えられてもよい。この場合、例えば、バックライトの点灯期間を行毎に第1実施形態の期間制御信号に基づいて制御することにより、輝度を調整する方式等が考えられる。また、発光期間に応じて液晶駆動時に画素容量に保持されている電荷をクリアする書き込みを実施し、発光期間を期間制御信号に応じて行毎に可変とすることで、同等の効果を得ることができる。
【0042】
また、ここまでは、主に2行の画素を1行の画素データを用いて駆動し、偶数、奇数サブフレームデータを判定部で判定する構成を説明した。しかし、より多くの行の画素を同時駆動する構成や、2種以上の属性を持つ入力データを用いる構成にも、本実施形態を拡張することにより対応することができる。
【0043】
以下、図8を参照しながら第2実施形態の表示装置DD3について説明する。なお、第2実施形態の表示装置DD3の構成および動作として言及しない事項は、第1実施形態の表示装置DD2の構成および動作に従いうる。表示装置DD3は、少なくとも2つのサブフレームで各フレームが構成される画像を表示する機能を有しうる。表示装置DD3は、画素アレイ80と、画素アレイ80を駆動する駆動部DRV’と、判定部12とを備えうる。駆動部DRV’は、垂直走査制御部11と、水平走査制御部84とを含みうる。表示装置DD3は、少なくとも2行の画素を同時に駆動するマルチライン駆動方式で画素アレイ80を駆動しうる。ここでは、簡単化のために、2行の画素を同時に駆動する例を説明する。
【0044】
画素アレイ80は、複数の行および複数の列を構成するように配置された複数の画素を有し、図8には、N-1行、N行、N+1行にそれぞれ配置された画素80、80、80が代表的に示されている。複数の画素を区別することなく説明する場合には、画素80と記載する。このような表記方法は、他の構成要素についても同様である。各画素80は、トランジスタTr1、Tr2、容量C、発光素子EL(例えば、有機EL素子)を含みうる。第2実施形態の表示装置DD3における画素80は、第1実施形態の表示装置DD2における画素10からトランジスタTr3を取り去った構造を有しうるが、画素80もトランジスタTr3を有してもよい。その場合、表示装置DD3は、比較例の表示装置DD1における発光期間制御部13を備えうる。
【0045】
トランジスタTr1のゲート(Tr1/G)は、垂直走査制御部11によって駆動される垂直走査線VSL(・・・VSLN-1、VSL、VSLN+1)に接続されている。垂直走査線VSLxは、水平走査制御部84によって駆動されるデータDLA、DLB(DLA、DLB、DLA、DLB・・・・)を通して容量Cに画素信号を書き込む際に活性化される。トランジスタTr2は、容量Cに書き込まれた画素信号に応じた電流を発光素子ELに供給しうる。
【0046】
駆動部DRV’は、各サブフレームデータの各行の画素データに基づいて少なくとも2行の画素80xを駆動するように構成されうる。駆動部DVR’は、供給されている現在のサブフレームデータにおける行と一致しない行の画素を第1条件で発光させ、該現在のサブフレームデータにおける行と一致する行の画素を第2条件で発光させるように、複数の画素80xを駆動しうる。第2条件は、発光強度(輝度)が第1条件より強い条件でありうる。
【0047】
駆動部DRV’の一部を構成する水平走査制御部84は、少なくとも2つのサブフレームデータのうちの第1サブフレームデータにおける行と一致しない行の画素に画素信号を供給する第1データ線DLAを含みうる。また、水平走査制御部84は、少なくとも2つのサブフレームデータのうちの第2サブフレームデータにおける行と一致する行の画素に画素信号を供給する第2データ線DLBを含みうる。より具体的には、水平走査制御部84は、偶数サブフレームデータおよび奇数サブフレームデータのうち奇数サブフレームデータにおけるN行と一致しないN-1行の画素801、80に画素信号を供給する第1データ線DLAを含みうる。また、水平走査制御部84は、偶数サブフレームデータおよび奇数サブフレームデータのうち偶数サブフレームデータにおけるN行と一致するN行の画素80に画素信号を供給する第2データ線DLBを含みうる。各列において、第1データ線DLAに接続される画素80と、第2データ線DLBxに接続される画素80とは交互に配置されうる。
【0048】
偶数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、N-1、N行の画素80、80が同時に駆動されるように、N-1、N行の画素80、80のトランジスタTr1が制御されうる。奇数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、N、N+1行の画素80、80が同時に駆動されるように、N、N+1行の画素80、80のトランジスタTr1が制御されうる。これを実現するために、垂直走査制御部11は、複数の選択部11(11、11、11)を有する。
【0049】
偶数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、水平走査制御部84は、画像データIDのうちN行の画素データに基づいて、第1データ線DLA、第2データ線DLBにそれぞれ供給する画素信号を生成する。このとき、水平走査制御部84は、第1条件および第2条件を満たすように、第1データ線DLA、第2データ線DLBにそれぞれ供給する画素信号を生成する。具体的には、偶数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、水平走査制御部84は、第2データ線DLBに供給する画素信号の値を第1データ線DLAに供給する画素信号の値より大きくしうる。更に具体的には、水平走査制御部84は、N行の画素データがdであれば、第1データ線DLAxには、d-α(αは正の数値)に対応する画素信号を供給し、第2データ線DLBxには、d+β(βは正の数値)に対応する画素信号を供給しうる。ここで、βの値はαの値と等しくてもよいし、αの値と異なってもよい。第1データ線DLAに供給された画素信号は、N-1行の画素80のトランジスタTr1を通してN-1行の画素80の容量Cに書き込まれる。第2データ線DLBに供給された画素信号は、N行の画素80のトランジスタTr1を通してN行の画素80の容量Cに書き込まれる。これにより、偶数サブフレームでは、N行の画素データに従って駆動されるN行の画素80の発光強度は、N行の画素データに従って駆動されるN-1行の画素80の発光強度より大きくなる。
【0050】
奇数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、水平走査制御部84は、画像データIDのうちN+1行の画素データに基づいて、第1データ線DLA、第2データ線DLBにそれぞれ供給する画素信号を生成する。このとき、水平走査制御部84は、第1条件および第2条件を満たすように、第1データ線DLAx、第2データ線DLBxにそれぞれ供給する画素信号を生成する。具体的には、奇数サブフレームデータの画素データの書き込み時は、水平走査制御部84は、第1データ線DLAに供給する画素信号の値を第2データ線DLBに供給する画素信号の値より大きくしうる。更に具体的には、水平走査制御部84は、N+1行の画素データがdであれば、第1データ線DLAには、d+β(βは正の数値)に対応する画素信号を供給し、第2データ線DLBには、d-α(αは正の数値)に対応する画素信号を供給しうる。ここで、βの値はαの値と等しくてもよいし、αの値と異なってもよい。第1データ線DLAに供給された画素信号は、N+1行の画素80のトランジスタTr1を通してN+1行の画素80の容量Cに書き込まれる。第2データ線DLBに供給された画素信号は、N行の画素80のトランジスタTr1を通してN行の画素80の容量Cに書き込まれる。これにより、奇数サブフレームでは、N+1行の画素データに従って駆動されるN+1行の画素80の発光強度は、N+1行の画素データに従って駆動されるN行の画素80の発光強度より大きくなる。
【0051】
画像データIDの各行(かつ各列)の画素データに基づいて第1データ線DLA、第2データ線DLBにそれぞれ供給する画素信号を決定する処理は、該データを補正することによって画素信号を得る補正処理としても理解されうる。この補正処理は、画像データIDの各行の画素データに対して線形または非線形の補正を施す処理でありうる。
【0052】
ここで、画像データID(オリジナル画像)のN行の画素が低輝度領域の画素である場合、偶数フィールドにおいて当該画素の画素値を大きくするように補正を行って画素信号を生成すると、不自然な表示画像が生成されうる。したがって、低輝度領域の画素については、オリジナル画像における輝度と同等以下に抑えるように画素信号を生成することが好ましい。例えば、図9に示される閾値Th以下の画素値(輝度値)を有するデータに対しては、上記の補正を実施しない値をデータ線に出力してもよい。また、上記の補正は、輝度段差ができないように、つまり、輝度が徐々に変化するようになされうる。
【0053】
第1および第2実施形態によれば、供給されている現在のサブフレームデータにおける行と一致しない行の画素を第1条件で発光させ、該現在のサブフレームデータにおける行と一致する行の画素を第1条件よりも発光量が大きい第2条件で発光させる。これにより、マルチライン駆動における表示画像の品質を改善することができる。また、第2実施形態では、任意の補正処理を採用することができ、これによる表示画像の品質の更なる改善を期待することができる。
【0054】
また、第1および第2実施形態の表示装置は、少なくとも2つのサブフレームで1フレームが構成された画像データを用いて、第一行を含む複数の行を同じデータに基づくデータで駆動する表示装置として理解されうる。この表示装置において、前記1フレームは、第一サブフレームと、第二サブフレームとを有する。第一サブフレームは、前記第一行及び前記複数の行のうちの他の行を前記第一行の駆動データに基づくデータで駆動される。第二サブフレームは、前記第一行及び前記複数の行のうちの他の行を前記他の行の駆動データに基づくデータで駆動される。また、この表示装置において、前記第一行に含まれる少なくとも1つの画素は、前記第一サブフレームにおける発光量が前記第二サブフレームにおける発光量よりも大きい。
【0055】
図10は、上記の第1、第2表示装置DD2、DD3の適用例を示す模式図である。表示装置1000は、上部カバー1001と、下部カバー1009と、の間に、タッチパネル1003、表示装置DD2またはDD3に代表される表示装置で構成された表示パネル1005、フレーム1006、回路基板1007、バッテリー1008、を有してよい。タッチパネル1003および表示パネル1005は、フレキシブルプリント回路FPC1002、1004が接続されている。回路基板1007には、トランジスタがプリントされている。バッテリー1008は、表示装置1000が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、別の位置に設けてもよい。
【0056】
本実施形態に係る表示装置は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光する撮像素子とを有する撮像装置の表示部に用いられてよい。撮像装置は、撮像部が有する複数の撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してよい。また、撮像素子が取得した情報を用いて情報を取得し、表示部は、それとは別の情報を表示するものであってもよい。撮像装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってよい。
【0057】
図11(a)は、一実施形態に係る撮像装置の一例を表す模式図である。撮像装置1100は、ビューファインダ1101、背面ディスプレイ1102、操作部1103、筐体1104を有してよい。ビューファインダ1101は、表示装置DD2またはDD3に代表される表示装置で構成された表示部を含みうる。その場合、表示装置は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示等を表示してよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性等であってよい。
【0058】
撮像に好適なタイミングはわずかな時間なので、少しでも早く情報を表示した方がよい。したがって、上記実施形態の表示装置を用いるのが好ましい。発光素子は、応答速度が速い有機発光素子で構成されうる。
【0059】
撮像装置1100は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、筐体1104内に収容されている撮像素子に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。実施形態の表示装置は、赤色、緑色、青色を有するカラーフィルタを有してよい。カラーフィルタは、当該赤色、緑色、青色がデルタ配列で配置されてよい。実施形態の表示装置は、携帯端末の表示部に用いられてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォン等の携帯電話、タブレット、ヘッドマウントディスプレイ等が挙げられる。
【0060】
図11(b)は、一実施形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。電子機器1200は、表示装置DD2またはDD3に代表される表示装置で構成された表示部1201と、操作部1202と、筐体1203を有する。筐体1203には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部、を有してよい。操作部1202は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する電子機器は通信機器ということもできる。
【0061】
図12は、一実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。図12(a)は、テレビモニタやPCモニタ等の表示装置である。表示装置1300は、額縁1301を有し表示部1302を有する。表示部1302は、表示装置DD2またはDD3に代表される表示装置で構成されうる。表示装置1300は、額縁1301と、表示部1302を支える土台1303を有している。土台1303は、図12(a)の形態に限られない。額縁1301の下辺が土台を兼ねてもよい。また、額縁1301および表示部1302は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。
【0062】
図12(b)は、一実施形態に係る表示装置の他の例を表す模式図である。図12(b)の表示装置1310は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1310は、第一表示部1311、第二表示部1312、筐体1313、屈曲点1314を有する。第一表示部1311と第二表示部1312とは、表示装置DD2またはDD3に代表される表示装置が適用されうる。第一表示部1311と第二表示部1312とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、屈曲点で分けることができる。第一表示部1311、第二表示部1312は、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第一および第二表示部とで一つの画像を表示してもよい。
【0063】
図13(a)は、一実施形態に係る照明装置の一例を表す模式図である。照明装置1400は、筐体1401と、光源1402と、回路基板1403と、光学フィルム1404と、光拡散部1405と、を有してよい。光源1402には、発光デバイス100が適用されうる。光学フィルタは光源の演色性を向上させるフィルタであってよい。光拡散部は、ライトアップ等、光源の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。光学フィルタ、光拡散部は、照明の光出射側に設けられてよい。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。
【0064】
照明装置は、例えば室内を照明する装置である。照明装置は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。それらを調光する調光回路を有してよい。照明装置は本発明の有機発光素子とそれに接続される電源回路を有してよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。照明装置はカラーフィルタを有してもよい。また、本実施形態に係る照明装置は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコン等が挙げられる。
【0065】
図13(b)は、一実施形態に係る移動体の一例である自動車の模式図である。当該自動車は灯具の一例であるテールランプを有する。自動車1500は、テールランプ1501を有し、ブレーキ操作等を行った際に、テールランプを点灯する形態であってよい。テールランプ1501には、表示装置DD2またはDD3に代表される表示装置で構成された表示パネルが適用されうる。テールランプは、発光素子を保護する保護部材を有してよい。保護部材はある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネート等で構成されることが好ましい。ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体等を混ぜてよい。
【0066】
自動車1500は、車体1503、それに取り付けられている窓1502を有してよい。窓は、自動車の前後を確認するための窓でなければ、透明なディスプレイであってもよい。当該透明なディスプレイには、発光デバイス100が適用されうる。この場合、有機発光素子が有する電極等の構成材料は透明な部材で構成される。本実施形態に係る移動体は、船舶、航空機、ドローン等であってよい。移動体は、機体と当該機体に設けられた灯具を有してよい。灯具は、機体の位置を知らせるための発光をしてよい。灯具には、表示装置DD2またはDD3に代表される表示装置で構成された表示パネルが適用されうる。
【0067】
図14を参照して、上述の各実施形態の表示装置の適用例について説明する。表示装置は、例えばスマートグラス、HMD、スマートコンタクトのようなウェアラブルデバイスとして装着可能なシステムに適用できる。
【0068】
図14(A)は、1つの適用例に係る眼鏡1600(スマートグラス)を説明する。眼鏡1600のレンズ1601の表面側に、CMOSセンサやSPADのような撮像装置1602が設けられている。また、レンズ1601の裏面側には、発光デバイス100が適用された表示装置が設けられている。
【0069】
眼鏡1600は、制御装置1603をさらに備える。制御装置1603は、撮像装置1602と各実施形態に係る表示装置に電力を供給する電源として機能する。また、制御装置1603は、撮像装置1602と表示装置の動作を制御する。レンズ1601には、撮像装置1602に光を集光するための光学系が形成されている。
【0070】
図14(B)は、1つの適用例に係る眼鏡1610(スマートグラス)を説明する。眼鏡1610は、制御装置1612を有しており、制御装置1612に、撮像装置1602に相当する撮像装置と、表示装置が搭載される。レンズ1611には、制御装置1612内の撮像装置と、表示装置からの発光を投影するための光学系が形成されており、レンズ1611には画像が投影される。制御装置1612は、撮像装置および表示装置に電力を供給する電源として機能するとともに、撮像装置および表示装置の動作を制御する。制御装置は、装着者の視線を検知する視線検知部を有してもよい。視線の検知は赤外線を用いてよい。赤外発光部は、表示画像を注視しているユーザーの眼球に対して、赤外光を発する。発せられた赤外光の眼球からの反射光を、受光素子を有する撮像部が検出することで眼球の撮像画像が得られる。平面視における赤外発光部から表示部への光を低減する低減手段を有することで、画像品位の低下を低減する。
【0071】
赤外光の撮像により得られた眼球の撮像画像から表示画像に対するユーザーの視線を検出する。眼球の撮像画像を用いた視線検出には任意の公知の手法が適用できる。一例として、角膜での照射光の反射によるプルキニエ像に基づく視線検出方法を用いることができる。
【0072】
より具体的には、瞳孔角膜反射法に基づく視線検出処理が行われる。瞳孔角膜反射法を用いて、眼球の撮像画像に含まれる瞳孔の像とプルキニエ像とに基づいて、眼球の向き(回転角度)を表す視線ベクトルが算出されることにより、ユーザーの視線が検出される。
【0073】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、受光素子を有する撮像装置を有し、撮像装置からのユーザーの視線情報に基づいて表示装置の表示画像を制御してよい。
【0074】
具体的には、表示装置は、視線情報に基づいて、ユーザーが注視する第一の視界領域と、第一の視界領域以外の第二の視界領域とを決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。表示装置の表示領域において、第一の視界領域の表示解像度を第二の視界領域の表示解像度よりも高く制御してよい。つまり、第二の視界領域の解像度を第一の視界領域よりも低くしてよい。
【0075】
また、表示領域は、第一の表示領域、第一の表示領域とは異なる第二の表示領域とを有し、視線情報に基づいて、第一の表示領域および第二の表示領域から優先度が高い領域を決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。優先度の高い領域の解像度を、優先度が高い領域以外の領域の解像度よりも高く制御してよい。つまり優先度が相対的に低い領域の解像度を低くしてよい。
【0076】
なお、第一の視界領域や優先度が高い領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIプログラムは、表示装置が有しても、撮像装置が有しても、外部装置が有してもよい。外部装置が有する場合は、通信を介して、表示装置に伝えられる。
【0077】
視認検知に基づいて表示制御する場合、外部を撮像する撮像装置を更に有するスマートグラスに好ましく適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
【0078】
以上説明した通り、本実施形態に係る有機発光素子を用いた装置を用いることにより、良好な画質で、長時間表示にも安定な表示が可能になる。
【0079】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
DD2、DD3:表示装置、DRV、DRV’:駆動部、10、80:画素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14