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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240522BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240522BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20240522BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20240522BHJP
   H01L 29/49 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/78 652P
H01L29/06 301V
H01L29/06 301F
H01L29/78 652M
H01L29/78 652H
H01L29/44 Y
H01L29/44 S
H01L29/58 G
H01L29/78 653C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020183591
(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公開番号】P2022073544
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】雁木 比呂
(72)【発明者】
【氏名】田口 安則
(72)【発明者】
【氏名】井口 智明
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇介
(72)【発明者】
【氏名】根本 宏樹
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-072482(JP,A)
【文献】特表2015-529017(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0012118(US,A1)
【文献】特開2019-054071(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0334000(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/06
H01L 29/41
H01L 29/423
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
第2電極であって、前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、前記第1導電形の第3半導体領域と、を含み、前記第1半導体領域は、第1部分領域と第2部分領域と、を含み、前記第2半導体領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3半導体領域との間にあり、前記第1半導体領域は前記第1電極と電気的に接続され、前記第3半導体領域は前記第2電極と電気的に接続された、前記半導体部材と、
第3電極であって、前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第3電極への方向は前記第1方向に沿う、前記第3電極と、
前記第2部分領域と前記第3電極との間に設けられた第1導電部材であって、前記第1導電部材は、前記第2電極と電気的に接続された、または、前記第1導電部材は、前記第2電極と電気的に接続されることが可能であり、前記第1導電部材から前記第1部分領域への方向は、前記第2方向に沿い、前記第1導電部材は、第1端部と第1他端部とを含み、前記第1端部は、前記第1他端部と前記第3電極との間にあり、前記第1導電部材は、第1部分と第2部分と第3部分とを含み、前記第2部分は、前記第3部分と前記第3電極との間にあり、前記第1部分は、前記第2部分と前記第3電極との間にあり、前記第1部分は、前記第1端部を含み、前記第2部分は、前記第1部分及び前記第3部分と接し、前記第1部分の前記第2方向に沿う第1幅は、前記第3部分の前記第2方向に沿う第3幅よりも広く、前記第2部分の前記第2方向に沿う第2幅は、前記第1幅と前記第3幅との間であり、前記第1部分は、前記第1方向に沿う第1長さを有し、前記第2部分は、前記第1方向に沿う第2長さを有し、第1比の第2比に対する比は、2.5以上であり、前記第1比は、前記第1部分と前記第1部分領域との間の前記第2方向に沿う第1距離に対する前記第1長さの比であり、前記第2比は、前記第2部分と前記第1部分領域との間の前記第2方向に沿う第2距離に対する前記第2長さの比である、前記第1導電部材と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記第3電極と前記半導体部材との間、前記第1導電部材と前記半導体部材との間、及び、前記第1導電部材と前記第3電極との間にある、前記第1絶縁部材と、
を備え
前記第1部分領域は、第1位置と、第2位置とを含み、
前記第1端部から前記第1位置への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第1他端部から前記第2位置への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第1位置における前記第1導電形の第1不純物濃度は、前記第2位置における前記第1導電形の第2不純物濃度の0.8倍以上1.2倍以下であり、
前記第1不純物濃度は、4.2×10 16 /cm 以上5.6×10 16 /cm 以下である、半導体装置。
【請求項2】
前記第1比の前記第2比に対する前記比は、8以下である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1幅は、前記第3電極の前記第2方向に沿う幅よりも狭い、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1長さは、前記第1導電部材の前記第1方向に沿う長さの0.1倍以上0.3倍以下である、請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
第1電極と、
第2電極であって、前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、前記第1導電形の第3半導体領域と、を含み、前記第1半導体領域は、第1部分領域と第2部分領域と、を含み、前記第2半導体領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3半導体領域との間にあり、前記第1半導体領域は前記第1電極と電気的に接続され、前記第3半導体領域は前記第2電極と電気的に接続された、前記半導体部材と、
第3電極であって、前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第3電極への方向は前記第1方向に沿う、前記第3電極と、
前記第2部分領域と前記第3電極との間に設けられた第1導電部材であって、前記第1導電部材は、前記第2電極と電気的に接続された、または、前記第1導電部材は、前記第2電極と電気的に接続されることが可能であり、前記第1導電部材から前記第1部分領域への方向は、前記第2方向に沿い、前記第1導電部材は、第1端部と第1他端部とを含み、前記第1端部は、前記第1他端部と前記第3電極との間にあり、前記第1導電部材は、第1部分と第2部分と第3部分とを含み、前記第2部分は、前記第3部分と前記第3電極との間にあり、前記第1部分は、前記第2部分と前記第3電極との間にあり、前記第1部分は、前記第1端部を含み、前記第2部分は、前記第1部分及び前記第3部分と接し、前記第1部分の前記第2方向に沿う第1幅は、前記第3部分の前記第2方向に沿う第3幅よりも広く、前記第2部分の前記第2方向に沿う第2幅は、前記第1幅と前記第3幅との間であり、前記第1部分は、前記第1方向に沿う第1長さを有し、前記第2部分は、前記第1方向に沿う第2長さを有し、第1比の第2比に対する比は、2.5以上であり、前記第1比は、前記第1部分と前記第1部分領域との間の前記第2方向に沿う第1距離に対する前記第1長さの比であり、前記第2比は、前記第2部分と前記第1部分領域との間の前記第2方向に沿う第2距離に対する前記第2長さの比である、前記第1導電部材と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記第3電極と前記半導体部材との間、前記第1導電部材と前記半導体部材との間、及び、前記第1導電部材と前記第3電極との間にある、前記第1絶縁部材と、
を備え
前記第1長さは、前記第1導電部材の前記第1方向に沿う長さの0.1倍以上0.3倍以下である、半導体装置。
【請求項6】
前記第2長さは、前記第1導電部材の前記第1方向に沿う前記長さの0.1倍以上0.2倍以下である、請求項4または5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1距離は、前記第2距離よりも短く、
前記第1長さは、前記第2長さよりも長い、請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項8】
第1電極と、
第2電極であって、前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、前記第1導電形の第3半導体領域と、を含み、前記第1半導体領域は、第1部分領域と第2部分領域と、を含み、前記第2半導体領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3半導体領域との間にあり、前記第1半導体領域は前記第1電極と電気的に接続され、前記第3半導体領域は前記第2電極と電気的に接続された、前記半導体部材と、
第3電極であって、前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第3電極への方向は前記第1方向に沿う、前記第3電極と、
前記第2部分領域と前記第3電極との間に設けられた第1導電部材であって、前記第1導電部材は、前記第2電極と電気的に接続された、または、前記第1導電部材は、前記第2電極と電気的に接続されることが可能であり、前記第1導電部材から前記第1部分領域への方向は、前記第2方向に沿い、前記第1導電部材は、第1端部と第1他端部とを含み、前記第1端部は、前記第1他端部と前記第3電極との間にあり、前記第1導電部材は、第1部分と第2部分と第3部分とを含み、前記第2部分は、前記第3部分と前記第3電極との間にあり、前記第1部分は、前記第2部分と前記第3電極との間にあり、前記第1部分は、前記第1端部を含み、前記第2部分は、前記第1部分及び前記第3部分と接し、前記第1部分の前記第2方向に沿う第1幅は、前記第3部分の前記第2方向に沿う第3幅よりも広く、前記第2部分の前記第2方向に沿う第2幅は、前記第1幅と前記第3幅との間であり、前記第1部分は、前記第1方向に沿う第1長さを有し、前記第2部分は、前記第1方向に沿う第2長さを有し、第1比の第2比に対する比は、2.5以上であり、前記第1比は、前記第1部分と前記第1部分領域との間の前記第2方向に沿う第1距離に対する前記第1長さの比であり、前記第2比は、前記第2部分と前記第1部分領域との間の前記第2方向に沿う第2距離に対する前記第2長さの比である、前記第1導電部材と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記第3電極と前記半導体部材との間、前記第1導電部材と前記半導体部材との間、及び、前記第1導電部材と前記第3電極との間にある、前記第1絶縁部材と、
を備え
前記第1距離は、前記第2距離よりも短く、
前記第1長さは、前記第2長さよりも長い、半導体装置。
【請求項9】
前記第1距離は、前記第3電極と前記第2半導体領域との間の前記第2方向に沿う距離の1.1倍以上3.2倍以下である、請求項1~8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
第1電極と、
第2電極であって、前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、前記第1導電形の第3半導体領域と、を含み、前記第1半導体領域は、第1部分領域と第2部分領域と、を含み、前記第2半導体領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3半導体領域との間にあり、前記第1半導体領域は前記第1電極と電気的に接続され、前記第3半導体領域は前記第2電極と電気的に接続された、前記半導体部材と、
第3電極であって、前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第3電極への方向は前記第1方向に沿う、前記第3電極と、
前記第2部分領域と前記第3電極との間に設けられた第1導電部材であって、前記第1導電部材は、前記第2電極と電気的に接続された、または、前記第1導電部材は、前記第2電極と電気的に接続されることが可能であり、前記第1導電部材から前記第1部分領域への方向は、前記第2方向に沿い、前記第1導電部材は、第1端部と第1他端部とを含み、前記第1端部は、前記第1他端部と前記第3電極との間にあり、前記第1導電部材は、第1部分と第2部分と第3部分とを含み、前記第2部分は、前記第3部分と前記第3電極との間にあり、前記第1部分は、前記第2部分と前記第3電極との間にあり、前記第1部分は、前記第1端部を含み、前記第2部分は、前記第1部分及び前記第3部分と接し、前記第1部分の前記第2方向に沿う第1幅は、前記第3部分の前記第2方向に沿う第3幅よりも広く、前記第2部分の前記第2方向に沿う第2幅は、前記第1幅と前記第3幅との間であり、前記第1部分は、前記第1方向に沿う第1長さを有し、前記第2部分は、前記第1方向に沿う第2長さを有し、第1比の第2比に対する比は、2.5以上であり、前記第1比は、前記第1部分と前記第1部分領域との間の前記第2方向に沿う第1距離に対する前記第1長さの比であり、前記第2比は、前記第2部分と前記第1部分領域との間の前記第2方向に沿う第2距離に対する前記第2長さの比である、前記第1導電部材と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記第3電極と前記半導体部材との間、前記第1導電部材と前記半導体部材との間、及び、前記第1導電部材と前記第3電極との間にある、前記第1絶縁部材と、
を備え、
前記第1端部と前記第3電極との間の前記第1方向に沿う距離の、前記第1距離に対する比は、2以上である、半導体装置。
【請求項11】
第1電極と、
第2電極であって、前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、前記第1導電形の第3半導体領域と、を含み、前記第1半導体領域は、第1部分領域と第2部分領域と、を含み、前記第2半導体領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3半導体領域との間にあり、前記第1半導体領域は前記第1電極と電気的に接続され、前記第3半導体領域は前記第2電極と電気的に接続された、前記半導体部材と、
第3電極であって、前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第3電極への方向は前記第1方向に沿う、前記第3電極と、
前記第2部分領域と前記第3電極との間に設けられた第1導電部材であって、前記第1導電部材は、前記第2電極と電気的に接続された、または、前記第1導電部材は、前記第2電極と電気的に接続されることが可能であり、前記第1導電部材から前記第1部分領域への方向は、前記第2方向に沿い、前記第1導電部材は、第1端部と第1他端部とを含み、前記第1端部は、前記第1他端部と前記第3電極との間にあり、前記第1導電部材は、第1部分と第2部分と第3部分とを含み、前記第2部分は、前記第3部分と前記第3電極との間にあり、前記第1部分は、前記第2部分と前記第3電極との間にあり、前記第1部分は、前記第1端部を含み、前記第2部分は、前記第1部分及び前記第3部分と接し、前記第1部分の前記第2方向に沿う第1幅は、前記第3部分の前記第2方向に沿う第3幅よりも広く、前記第2部分の前記第2方向に沿う第2幅は、前記第1幅と前記第3幅との間であり、前記第1部分は、前記第1方向に沿う第1長さを有し、前記第2部分は、前記第1方向に沿う第2長さを有し、第1比の第2比に対する比は、2.5以上であり、前記第1比は、前記第1部分と前記第1部分領域との間の前記第2方向に沿う第1距離に対する前記第1長さの比であり、前記第2比は、前記第2部分と前記第1部分領域との間の前記第2方向に沿う第2距離に対する前記第2長さの比である、前記第1導電部材と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記第3電極と前記半導体部材との間、前記第1導電部材と前記半導体部材との間、及び、前記第1導電部材と前記第3電極との間にある、前記第1絶縁部材と、
を備え、
前記第1部分領域は、第1位置と、第2位置とを含み、
前記第1端部から前記第1位置への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第1他端部から前記第2位置への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第1端部と前記第3電極との間の前記第1方向に沿う距離は、前記第1位置と前記第2半導体領域との間の前記第1方向に沿う距離よりも短い、半導体装置。
【請求項12】
第1電極と、
第2電極であって、前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、前記第1導電形の第3半導体領域と、を含み、前記第1半導体領域は、第1部分領域と第2部分領域と、を含み、前記第2半導体領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3半導体領域との間にあり、前記第1半導体領域は前記第1電極と電気的に接続され、前記第3半導体領域は前記第2電極と電気的に接続された、前記半導体部材と、
第3電極であって、前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第3電極への方向は前記第1方向に沿う、前記第3電極と、
前記第2部分領域と前記第3電極との間に設けられた第1導電部材であって、前記第1導電部材は、前記第2電極と電気的に接続された、または、前記第1導電部材は、前記第2電極と電気的に接続されることが可能であり、前記第1導電部材から前記第1部分領域への方向は、前記第2方向に沿い、前記第1導電部材は、第1端部と第1他端部とを含み、前記第1端部は、前記第1他端部と前記第3電極との間にあり、前記第1導電部材は、第1部分と第2部分と第3部分とを含み、前記第2部分は、前記第3部分と前記第3電極との間にあり、前記第1部分は、前記第2部分と前記第3電極との間にあり、前記第1部分は、前記第1端部を含み、前記第2部分は、前記第1部分及び前記第3部分と接し、前記第1部分の前記第2方向に沿う第1幅は、前記第3部分の前記第2方向に沿う第3幅よりも広く、前記第2部分の前記第2方向に沿う第2幅は、前記第1幅と前記第3幅との間であり、前記第1部分は、前記第1方向に沿う第1長さを有し、前記第2部分は、前記第1方向に沿う第2長さを有し、第1比の第2比に対する比は、2.5以上であり、前記第1比は、前記第1部分と前記第1部分領域との間の前記第2方向に沿う第1距離に対する前記第1長さの比であり、前記第2比は、前記第2部分と前記第1部分領域との間の前記第2方向に沿う第2距離に対する前記第2長さの比である、前記第1導電部材と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記第3電極と前記半導体部材との間、前記第1導電部材と前記半導体部材との間、及び、前記第1導電部材と前記第3電極との間にある、前記第1絶縁部材と、
を備え、
前記第1距離は、前記第1端部と前記第2半導体領域との間の前記第1方向に沿う距離の0.1倍以上0.5倍以下である、半導体装置。
【請求項13】
前記第3電極は、第2端部と第2他端部とを含み、
前記第2他端部は、前記第1方向において前記第1導電部材と前記第2端部との間にあり、
前記第1電極と前記第2他端部との間の前記第1方向に沿う距離は、前記第1電極と前記第2半導体領域との間の前記第1方向に沿う距離よりも短く、
前記第1電極と前記第2端部との間の前記第1方向に沿う距離は、前記第1電極と前記第3半導体領域との間の前記第1方向に沿う距離よりも長い、請求項1~12のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1長さは、前記第2長さの1.1倍以上.4倍以下である、請求項1~13のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項15】
第1電極と、
第2電極であって、前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、前記第1導電形の第3半導体領域と、を含み、前記第1半導体領域は、第1部分領域と第2部分領域と、を含み、前記第2半導体領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3半導体領域との間にあり、前記第1半導体領域は前記第1電極と電気的に接続され、前記第3半導体領域は前記第2電極と電気的に接続された、前記半導体部材と、
第3電極であって、前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第3電極への方向は前記第1方向に沿う、前記第3電極と、
前記第2部分領域と前記第3電極との間に設けられた第1導電部材であって、前記第1導電部材は、前記第2電極と電気的に接続された、または、前記第1導電部材は、前記第2電極と電気的に接続されることが可能であり、前記第1導電部材から前記第1部分領域への方向は、前記第2方向に沿い、前記第1導電部材は、第1端部と第1他端部とを含み、前記第1端部は、前記第1他端部と前記第3電極との間にあり、前記第1導電部材は、第1部分と第2部分と第3部分とを含み、前記第2部分は、前記第3部分と前記第3電極との間にあり、前記第1部分は、前記第2部分と前記第3電極との間にあり、前記第1部分は、前記第1端部を含み、前記第2部分は、前記第1部分及び前記第3部分と接し、前記第1部分の前記第2方向に沿う第1幅は、前記第3部分の前記第2方向に沿う第3幅よりも広く、前記第2部分の前記第2方向に沿う第2幅は、前記第1幅と前記第3幅との間であり、前記第1部分は、前記第1方向に沿う第1長さを有し、前記第2部分は、前記第1方向に沿う第2長さを有し、第1比の第2比に対する比は、2.5以上であり、前記第1比は、前記第1部分と前記第1部分領域との間の前記第2方向に沿う第1距離に対する前記第1長さの比であり、前記第2比は、前記第2部分と前記第1部分領域との間の前記第2方向に沿う第2距離に対する前記第2長さの比である、前記第1導電部材と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記第3電極と前記半導体部材との間、前記第1導電部材と前記半導体部材との間、及び、前記第1導電部材と前記第3電極との間にある、前記第1絶縁部材と、
を備え、
前記第1距離は、前記第2距離の0.4倍以上0.6倍以下である、半導体装置。
【請求項16】
前記第3部分は、前記第1方向に沿う第3長さを有し、
前記第2比の第3比に対する比は、0.2以上であり、
前記第3比は、前記第3部分と前記第1部分領域との間の前記第2方向に沿う第3距離に対する前記第3長さの比である、請求項1~15のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第2比の前記第3比に対する前記比は、前記第1比の前記第2比に対する前記比の0.25倍以上3倍以下である、請求項16に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第3半導体領域における前記第1導電形のキャリア濃度は、前記第1半導体領域における前記第1導電形のキャリア濃度よりも高い、請求項1~17のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項19】
前記半導体部材は、前記第1導電形の第4半導体領域をさらに含み、
前記第4半導体領域は、前記第1電極と前記第1半導体領域との間に設けられ、
前記第4半導体領域における前記第1導電形のキャリア濃度は、前記第1半導体領域における前記第1導電形の前記キャリア濃度よりも高い、請求項18記載の半導体装置。
【請求項20】
前記第1導電部材は、第4部分をさらに含み、
前記第4部分は、前記第1方向において前記第1電極と前記第3部分との間にあり、
前記第4部分の前記第2方向に沿う第4幅は、前記第3幅よりも狭い、請求項1~19のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トランジスタなどの半導体装置において、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-054071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性を向上可能な半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、第1電極、第2電極、第3電極、半導体部材、第1導電部材及び第1絶縁部材を含む。前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う。前記半導体部材は、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、前記第1導電形の第3半導体領域と、を含む。前記第1半導体領域は、第1部分領域と第2部分領域と、を含む。前記第2半導体領域は、前記第1方向において前記第1部分領域と前記第3半導体領域との間にある。前記第1半導体領域は前記第1電極と電気的に接続される。前記第3半導体領域は前記第2電極と電気的に接続される。前記第3電極の一部から前記第2半導体領域への第2方向は、前記第1方向と交差する。前記第2部分領域から前記第3電極への方向は前記第1方向に沿う。前記第1導電部材は、前記第2部分領域と前記第3電極との間に設けられる。前記第1導電部材は、前記第2電極と電気的に接続される。または、前記第1導電部材は、前記第2電極と電気的に接続されることが可能である。前記第1導電部材から前記第1部分領域への方向は、前記第2方向に沿う。前記第1導電部材は、第1端部と第1他端部とを含む。前記第1端部は、前記第1他端部と前記第3電極との間にある。前記第1導電部材は、第1部分と第2部分と第3部分とを含む。前記第2部分は、前記第3部分と前記第3電極との間にある。前記第1部分は、前記第2部分と前記第3電極との間にある。前記第1部分は、前記第1端部を含む。前記第2部分は、前記第1部分及び第3部分と接する。前記第1部分の前記第2方向に沿う第1幅は、前記第3部分の前記第2方向に沿う第3幅よりも広い。前記第2部分の前記第2方向に沿う第2幅は、前記第1幅と前記第3幅との間である。前記第1部分は、前記第1方向に沿う第1長さを有する。前記第2部分は、前記第1方向に沿う第2長さを有する。第1比の第2比に対する比は、2.5以上である。前記第1比は、前記第1部分と前記第1部分領域との間の前記第2方向に沿う第1距離に対する前記第1長さの比である。前記第2比は、前記第2部分と前記第1部分領域との間の前記第2方向に沿う第2距離に対する前記第2長さの比である。前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記第3電極と前記半導体部材との間、前記第1導電部材と前記半導体部材との間、及び、前記第1導電部材と前記第3電極との間にある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、半導体装置の特性を例示するグラフである。
図3図3(a)及び図3(b)は、半導体装置の特性を例示するグラフである。
図4図4(a)及び図4(b)は、半導体装置の特性を例示するグラフである。
図5図5(a)及び図5(b)は、半導体装置の特性を例示するグラフである。
図6図6は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図1に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、第1電極51、第2電極52、第3電極53、半導体部材10、第1導電部材61、及び、第1絶縁部材41を含む。
【0009】
第1電極51から第2電極52への方向は、第1方向に沿う。第1方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0010】
半導体部材10は、第1導電形の第1半導体領域11と、第2導電形の第2半導体領域12と、第1導電形の第3半導体領域13と、を含む。例えば、第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。実施形態において、第1導電形がp形で第2導電形がn形でも良い。以下では、第1導電形がn形で、第2導電形がp形とする。
【0011】
第1半導体領域11は、第1部分領域11aと第2部分領域11bと、を含む。第2半導体領域12は、第1方向(Z軸方向)において、第1部分領域11aと第3半導体領域13との間にある。第1半導体領域11は第1電極51と電気的に接続される。第3半導体領域13は、第2電極52と電気的に接続される。例えば、第2半導体領域12は、第2電極52と電気的に接続される。
【0012】
第3電極53の一部から第2半導体領域12への第2方向は、第1方向(Z軸方向)と交差する。第2方向は、例えば、X軸方向である。第2部分領域11bから第3電極53への方向は、第1方向(Z軸方向)に沿う。
【0013】
第1導電部材61は、第2部分領域11bと第3電極53との間に設けられる。第1導電部材61は、第2電極52と電気的に接続される。または、第1導電部材61は、第2電極52と電気的に接続されることが可能である。
【0014】
1つの例において、第1導電部材61は、接続部材61C、接続部材52L及び接続部材52Cを介して第2電極52と電気的に接続される。例えば、半導体装置110は、第1導電部材61と電気的に接続された端子61T、及び、第2電極52と電気的に接続された端子52Tを含んでも良い。端子61T及び端子52Tが、接続部材52Lにより電気的に接続されても良い。半導体装置110は、接続部材52Lを含んでも良い。接続部材52Lは、半導体装置110とは別に設けられても良い。
【0015】
第1導電部材61から第1部分領域11aへの方向は、第2方向(例えばX軸方向)に沿う。第1導電部材61は、第1端部e1と第1他端部f1とを含む。第1端部e1及び第1他端部f1は、第1方向(Z軸方向)の端部である。第1端部e1は、第1他端部f1と第3電極53との間にある。第1端部e1は、第3電極53の側の端部である。第1他端部f1は、第2部分領域11bの側の端部である。
【0016】
第1導電部材61は、第1部分61aと第2部分61bと第3部分61cとを含む。第2部分61bは、第3部分61cと第3電極53との間にある。第1部分61aは、第2部分61bと第3電極53との間にある。第1部分61aは、上記の第1端部e1を含む。第1部分61aは、第3電極53の側の部分である。第2部分61bは、第1部分61a及び第3部分61cと接する。
【0017】
第1部分61aの第2方向(例えばX軸方向)に沿う第1幅w1は、第3部分61cの第2方向に沿う第3幅w3よりも広い。第2部分61bの第2方向に沿う第2幅w2は、第1幅w1と第3幅w3との間である。第1部分61aは、第1方向(Z軸方向)に沿う第1長さL1を有する。第2部分61bは、第1方向に沿う第2長さL2を有する。第3部分61cは、第1方向に沿う第3長さL3を有する。
【0018】
第1部分61aと第1部分領域11aとの間の第2方向(X軸方向)に沿う距離を第1距離d1とする。第2部分61bと第1部分領域11aとの間の第2方向に沿う距離を第2距離d2とする。第3部分61cと第1部分領域11aとの間の第2方向に沿う距離を第3距離d3とする。例えば、第2距離d2は、第1距離d1よりも長い。第3距離d3は、第2距離d2よりも長い。
【0019】
実施形態において、第1比の第2比に対する比は、2.5以上である。第1比は、第1距離d1に対する第1長さL1の比(すなわち、L1/d1)である。第2比は、第2距離d2に対する第2長さL2の比(すなわち、L2/d2)である。
【0020】
第1絶縁部材41の少なくとも一部は、第3電極53と半導体部材10との間、第1導電部材61と半導体部材10との間、及び、第1導電部材61と第3電極53との間にある。第1絶縁部材41は、第3電極53、第1導電部材61、及び、半導体部材10を互いに電気的に絶縁する。例えば、第1絶縁部材41の一部41gは、第3電極53と第2半導体領域12との間にある。例えば、第1絶縁部材41の別の一部41hは、第1導電部材61と第3電極53との間にある。
【0021】
第1電極51と第2電極52との間に流れる電流は、第3電極53の電位により制御できる。第3電極53の電位は、例えば、第2電極52の電位を基準とした電位である。第1電極51は、例えば、ドレイン電極である。第2電極52は、例えば、ソース電極である。第3電極53は、ゲート電極である。半導体装置110は、例えば、トランジスタである。
【0022】
第1導電部材61は、例えば、フィールドプレートとして機能する。第1導電部材61が設けられることで、電界の集中が抑制できる。これにより、例えば、高い耐圧が得易くなる。
【0023】
実施形態において、第3半導体領域13における第1導電形のキャリア濃度は、第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度よりも高い。例えば、第3半導体領域13における第1導電形の不純物濃度は、第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度よりも高い。第1半導体領域11は、例えば、n領域またはn領域である。第3半導体領域13は、例えば、n領域である。
【0024】
図1に示すように、半導体部材10は、第1導電形の第4半導体領域14をさらに含んでも良い。第4半導体領域14は、第1電極51と第1半導体領域11との間に設けられる。第4半導体領域14における第1導電形のキャリア濃度は、第1半導体領域11における第1導電形のキャリア濃度よりも高い。例えば、第4半導体領域14における第1導電形の不純物濃度は、第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度よりも高い。第4半導体領域14は、例えば、n領域である。第4半導体領域14は、半導体基板でも良い。
【0025】
図1に示すように、この例では、半導体装置110は、第2絶縁部材42をさらに含む。第2絶縁部材42は、第3電極53と第2電極52との間に設けられる。第2絶縁部材42は、第3電極53と第2電極52とを互いに電気的に絶縁する。
【0026】
上記のように、実施形態においては、第1比の第2比に対する比は、2.5以上である。これにより、例えば、高い耐圧と、低いオン抵抗と、が得られることが分かった。
【0027】
以下、半導体装置の特性のシミュレーション結果の例について説明する。シミュレーションのモデルにおいて、第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度は均一とされる。第1半導体領域11における第1導電形(例えばn形)の不純物濃度が均一であることで、製造が容易であり、実用的である。
【0028】
図2(a)、図2(b)、図3(a)、図3(b)、図4(a)及び図4(b)は、半導体装置の特性を例示するグラフである。
図2(a)及び図2(b)においては、第1半導体領域11におけるn形の不純物濃度C1は、5.0×1016/cmである。図3(a)及び図3(b)においては、不純物濃度C1は、4.5×1016/cmである。図4(a)及び図4(b)においては、不純物濃度C1は、4.0×1016/cmである。図2(a)、図2(b)、図3(a)、図3(b)、図4(a)及び図4(b)において、横軸は、第1比の第2比に対する比RR1である。比RR1は、(L1/d1)/(L2/d2)である。図2(a)、図3(a)及び図4(a)の縦軸は、耐圧Vbである。図2(b)、図3(b)及び図4(b)の縦軸は、オン抵抗RonAである。
【0029】
図2(a)に示すように、比RR1が高いと、高い耐圧Vbが得られる。図2(b)に示すように、比RR1が高いと、オン抵抗RonAが上昇する。例えば、耐圧Vbに関する基準値S1として110Vを採用した場合、比RR1が2.5以上のときに、基準値S1以上の耐圧Vbが得られる。例えば、オン抵抗RonAに関する基準値S2として30.5mΩmmを採用した場合、比RR1と関係なく、基準値S2以下のオン抵抗RonAが得られる。第1半導体領域11におけるn形の不純物濃度C1が5.0×1016/cmの場合、例えば、比RR1は、2.5以上であることが好ましい。
【0030】
図3(a)及び図3(b)に示す例においても、比RR1が高いと、高い耐圧Vbが得られる。比RR1が高いと、オン抵抗RonAが上昇する。比RR1が2.0以上のときに、基準値S1以上の耐圧Vbが得られる。比RR1と関係なく、基準値S2以下のオン抵抗RonAが得られる。第1半導体領域11におけるn形の不純物濃度C1が4.5×1016/cmの場合、例えば、比RR1は、2.0以上であることが好ましい。
【0031】
図4(a)に示すように、不純物濃度C1が4.0×1016/cmの場合、比RR1に実質的に依存せずに高い耐圧Vbが得られる。耐圧Vbの基準値S1として110Vを採用した場合、比RR1が約2.0以上のときに、基準値S1以上の耐圧Vbが得られる。
【0032】
図4(b)に示すように、比RR1が高いと、オン抵抗RonAが上昇する。オン抵抗RonAに関する基準値S2として30.5mΩmmを採用した場合、比RR1と関係なく、基準値S2以下のオン抵抗RonAが得られる。
【0033】
実施形態において、比RR1を2.5以上であることで、高い耐圧Vbと、低いオン抵抗RonAが得られる。実施形態によれば、特性を向上可能な半導体装置が提供できる。
【0034】
例えば、不純物濃度C1が4.2×1016/cm以上の場合、不純物濃度C1が4.5×1016/cm以上のときと同様の傾向の特性が得られる。従って、実施形態において、不純物濃度C1が4.2×1016/cm以上であることが好ましい。これにより、高い耐圧Vbと、低いオン抵抗RonAと、がより安定して得られる。
【0035】
実施形態において、不純物濃度C1が5.6×1016/cmを超えると、例えば、耐圧が低下し易くなる。実施形態において、不純物濃度C1は、5.6×1016/cm以下であることが好ましい。これにより、耐圧の低下が抑制できる。
【0036】
第1比は、「L1/d1」である。第1比は、第1部分61aで生じる静電容量に対応する値である。第2比は、「L2/d2」である。第2比は、第2部分61bで生じる静電容量に対応する値である。従って、比RR1は、第1部分61aと第2部分61bとにおける静電容量の比に対応する。
【0037】
第1導電部材61において、第1部分61aが第1半導体領域11に最も近い。第1半導体領域11は、第1半導体領域11に最も近い第1部分61aの下端と対向する領域を含む。比RR1を制御することで、「下端と対向する領域」における電界を制御できる。比RR1が高いと、「下端に対向する領域」の電界が、比RR1が低いときと比べて強くなる。これにより、第1半導体領域11の電界分布がより均一になる。高い耐圧が得られる。
【0038】
第1部分61aの「下端に対向する領域」において電界が強まる効果は、導電部材の角部に電界が集中しやすいことにより生じる。電界は、角部を形成する第1部分61a及び第2部分61bの静電容量比RR1に大きく依存する。電界は、例えば、角部から離れた第3部分61cの静電容量には大きく依存しない。このため、実用的に、比RR1を適切に制御することで、低いオン抵抗RonAを維持しつつ、高い耐圧Vbが得られる。
【0039】
既に説明したように、第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度C1を変化させると、生産性が低下する。実施形態において、第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度C1は、実質的に均一で良い。
【0040】
例えば、図1に示すように、第1部分領域11aは、第1位置p1と、第2位置p2と、を含む。第1導電部材61の第1端部e1から第1位置p1への方向は、第2方向(例えばx軸方向)に沿う。第1他端部f1から第2位置p2への方向は、第2方向に沿う。例えば、第1電極51を基準にした、第1位置p1の高さは、第1電極51を基準にした第1導電部材61の上端の高さに対応する。例えば、第1電極51を基準にした、第2位置p2の高さは、第1電極51を基準にした第1導電部材61の下端の高さに対応する。第1位置p1における第1導電形の第1不純物濃度は、第2位置p2における第1導電形の第2不純物濃度と実質的に同じでよい。例えば、第1不純物濃度は、第2不純物濃度の0.8倍以上1.2倍以下である。不純物の濃度が実質的に均一であることで、高い生産性で半導体装置が得られる。このような条件において、不純物濃度C1は4.2×1016/cm以上であることが好ましい。比RR1が2.5以上であることで、高い耐圧と、低いオン抵抗と、が得られる。
【0041】
実施形態において、比RR1は、8以下であることが好ましい。比RR1が過度に高いと、例えば、耐圧が低下し易くなる。比RR1が8以下であることで、耐圧の低下が抑制できる。
【0042】
図1に示すように、第3電極53の第2方向(例えばX軸方向)に沿う幅を幅w53とする。第1導電部材61の第1部分61aの第1幅w1は、第3電極53の第2方向に沿う幅w53よりも狭い。
【0043】
図1に示すように、第3電極53と第2半導体領域12との間の第2方向(例えばX軸方向)に沿う距離を距離d53とする。距離d53は、第3電極53と第2半導体領域12との間における第1絶縁部材41の厚さに対応する。第1距離d1は、距離d53の1.1倍以上3.2倍以下であることが好ましい。第1距離d1が距離d53の1.1倍以上であることで、例えば、耐圧が向上し易くなる。第1距離d1が距離d53の3.2倍以下であることで、例えば、耐圧が向上し易くなる。距離d53は、例えば、25nm以上100nm以下である。距離d53は、例えば、ゲート絶縁膜の厚さに対応する。
【0044】
1つの例において、第1距離d1は、第2距離d2よりも短い。第1長さL1は、第2長さL2よりも長い。
【0045】
1つの例において、第1長さL1は、第2長さL2の1.1倍以上2.4倍以下である。1つの例において、第1距離d1は、第2距離d2の0.4倍以上0.6倍以下である。
【0046】
図1に示すように、第1導電部材61の第1方向(Z軸方向)に沿う長さを長さL61とする。第1長さL1は、長さL61の0.1倍以上0.3倍以下であることが好ましい。第1長さL1が長さL61の0.1倍以上であることで、例えば、耐圧が向上し易くなる。第1長さL1が長さL61の0.3倍以下であることで、例えば、耐圧が向上し易くなる。例えば、第2長さL2は、長さL61の0.1倍以上0.2倍以下である。
【0047】
図1に示すように、第3電極53は、第2端部e2と第2他端部f2とを含む。第2他端部f2は、第1方向(Z軸方向)において第1導電部材61と第2端部e2との間にある。第1電極51と第2他端部f2との間の第1方向に沿う距離は、第1電極51と第2半導体領域12との間の第1方向に沿う距離よりも短い。すなわち、第1電極51を基準にして、第2他端部f2の高さは、第2半導体領域12の下端の高さよりも低い。第1電極51と第2端部e2との間の第1方向に沿う距離は、第1電極51と第3半導体領域13との間の第1方向に沿う距離よりも長い。すなわち、第1電極51を基準にして、第2他端部f2の高さは、第3半導体領域13の下端に高さよりも高い。適正なスイッチング動作が得られる。
【0048】
図1に示すように、第1端部e1と第3電極53との間の第1方向(Z軸方向)に沿う距離を距離df1とする。第1位置p1と第2半導体領域12との間の第1方向(Z軸方向)に沿う距離を距離df2とする。距離df2は、第1端部e1と第2半導体領域12との間の第1方向に沿う距離に対応する。距離df1は、距離df2よりも短い。これにより、適正なスイッチング動作が得られる。距離df1は、距離df2の0.6倍以上0.95倍以下であることが好ましい。距離df1は、距離df2の0.6倍以上であることで、例えば、耐圧が向上し易くなる。距離df1は、距離df2の0.95倍以下であることで、例えば、オン抵抗RonAが低下し易くなる。
【0049】
例えば、第1距離d1は、第1端部e1と第2半導体領域12との間の第1方向に沿う距離(すなわち、距離df2)の0.1倍以上0.5倍以下であることが好ましい。
【0050】
距離df1(第1端部e1と第3電極53との間の第1方向に沿う距離)は、第1距離d1よりも長いことが好ましい。例えば、距離df1は、第1距離d1の2倍以上であることが好ましい。以下、距離df1と第1距離d1との間の関係の例について説明する。
【0051】
図5(a)及び図5(b)は、半導体装置の特性を例示するグラフである。
図5(a)及び図5(b)において、横軸は、距離df1の第1距離d1に対する比RF1である。比RF1は、df1/d1である。図5(a)の縦軸は、耐圧Vbである。図5(b)の縦軸は、オン抵抗RonAである。これらの図には、比RR1は、1.17の場合と、2.5の場合と、が示されている。
【0052】
図5(b)に示すように、比RR1がいずれの場合も、比RF1が低いと、低いオン抵抗RonAが得られる。同じRF1において、比RR1が2.5の場合のオン抵抗RonAは、比RR1が1.17の場合のオン抵抗RonAと比べてかなり低い。
【0053】
図5(a)に示すように、比RR1がいずれの場合も、比RF1が過度に低いと、耐圧Vbが低い。
【0054】
比RR1が1.17の場合は、比RF1が2未満において、低いオン抵抗RonAと、高い耐圧Vbが得られる。
【0055】
比RR1は2.5の場合は、比RF1が2以上でも、かなり低いオン抵抗RonAと、高い耐圧Vbが得られる。従って、比RR1は2.5の場合は、比RF1は2以上でも良い。比RR1は2.5の場合は、オン抵抗RonAがかなり低いため、比RF1は5程度でも良い。
【0056】
実施形態において、距離df1(第1端部e1と第3電極53との間の第1方向に沿う距離)の第1距離d1に対する比RF1は、2以上であることが好ましい。これにより、高い耐圧Vbと、低いオン抵抗RonAと、が得られる。比RF1は、5以下であることが好ましい。高い耐圧Vbと、低いオン抵抗RonAと、が得られる。上記のように、この条件は、比RR1が2.5以上であるときの特別な条件である。
【0057】
図1に示すように、第3部分61cは、第1方向(Z軸方向)に沿う第3長さLを有する。第3部分61cと第1部分領域11aとの間の第2方向(X軸方向)に沿う距離を第3距離d3とする。第3距離d3に対する第3長さL3の比を第3比とする。第3比は、L3/d3である。既に説明した第2比は、L2/d2である。実施形態において、第2比の第3比に対する比は、0.2以上1.2以下で良い。上記の比RR1が2.5以上のときに、第2比の第3比に対する比に大きく依存せずに、高い耐圧Vbと、低いオン抵抗RonAと、が得られる。
【0058】
例えば、第2比の第3比に対する比は、第1比の第2比に対する比RR1の0.25倍以上3倍以下でも良い。既に説明したように、第1半導体領域11は、第1半導体領域11に最も近い第1部分領域61aの「下端と対向する領域」を含む。「下端に対向する領域」において電界が強まる効果は、角部を形成する第1部分61a及び第2部分61bの静電容量比RR1に大きく依存する。例えば、第2比の第3比に対する比に大きく依存せずに、高い耐圧Vbと低いオン抵抗RonAとが得られる。
【0059】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6に示すように、実施形態に係る半導体装置111においては、第1導電部材61は、第1~第3部分61a~61cに加えて、さらに別の部分を含む。半導体装置111におけるこれ以外の構成は、半導体装置110における構成と同様で良い。
【0060】
例えば、半導体装置111において、半導体部材10は、第4~第7部分61d~61gを含む。第4部分61dは、第1方向(Z軸方向)において、第1電極51と第3部分61cとの間にある。第5部分61eは、第1方向において、第1電極51と第4部分61dの間にある。第6部分61fは、第1方向において、第1電極51と第5部分61eとの間にある。第7部分61gは、第1方向において、第1電極51と第6部分61fとの間にある。
【0061】
第4部分61dの第2方向(軸方向)に沿う第4幅w4は、第3幅w3よりも狭い。 第5部分61eの第2方向に沿う第5幅w5は、第4幅w4よりも狭い。第6部分61fの第2方向に沿う第6幅w6は、第5幅w5よりも狭い。第7部分61gの第2方向に沿う第7幅w7は、第6幅w6よりも狭い。
【0062】
半導体装置110においても、比RR1は、例えば、2.5以上である。高い耐圧Vbと、低いオン抵抗RonAと、が得られる。
【0063】
上記の実施形態において、第2半導体領域12における第2導電形のキャリア濃度は、1.0×1017/cm以上1.0×1018/cm以下であることが好ましい。第3半導体領域13における第1導電形のキャリア濃度は1.0×1018/cm以上1.0×1020/cm以下であることが好ましい。第4半導体領域14における第1導電形のキャリア濃度は、1.0×1018/cm以上1.0×1020/cm以下であることが好ましい。半導体領域における不純物の濃度は、その半導体領域におけるキャリア濃度と、実質的に同じで良い。
【0064】
半導体部材は、例えば、シリコンを含む。半導体部材は、例えば、化合物半導体などを含んでも良い。第1電極51は、例えば、アルミニウム、チタン、ニッケル、及び、金よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2電極52は、例えば、アルミニウム、チタン、ニッケル、及び、金よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3電極53、及び、第1導電部材61は、例えば、導電性のシリコン、または、ポリシリコンを含む。第1絶縁部材41及び第2絶縁部材42は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、及び、酸窒化シリコンよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0065】
実施形態において、半導体領域の形状などに関する情報は、例えば、電子顕微鏡観察などにより得られる。半導体領域における不純物濃度に関する情報は、例えば、EDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)、または、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)などにより得られる。半導体領域におけるキャリア濃度に関する情報は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)などにより得られる。
【0066】
実施形態によれば、特性を向上可能な半導体装置を提供できる。
【0067】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる、半導体部材、半導体領域、導電部材、電極及び絶縁部材などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0068】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0069】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0070】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
10…半導体部材、 11~14…第1~第4半導体領域、 11a、11b…第1、第2部分領域、 41、42…第1、第2絶縁部材、 41g、41h…一部、 51~53…第1~第3電極、 52C、52L…接続部材、 52T…端子、 61…第1導電部材、 61C…接続部材、 61T…端子、 61a~61g…第1~第7部分、 110、111…半導体装置、 C1…不純物濃度、 L1~L3…第1~第3長さ、 L61…長さ、 RF1、RR1…比、 RonA…オン抵抗、 S1、S2…基準値、 Vb…耐圧、 d1~d3…第1~第3距離、 d53…距離、 df1、df2…距離、 e1、e2…第1、第2端部、 f1、f2…第1、第2他端部、 p1、p2…第1、第2位置、 w1~w7…第1~第7幅、 w53…幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6