(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6471 20110101AFI20240522BHJP
H01R 13/6461 20110101ALI20240522BHJP
H01R 13/6473 20110101ALI20240522BHJP
【FI】
H01R13/6471
H01R13/6461
H01R13/6473
(21)【出願番号】P 2020209172
(22)【出願日】2020-12-17
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000105338
【氏名又は名称】ケル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】猪狩 優貴
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-95278(JP,A)
【文献】特開2012-174597(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0254619(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0214351(US,A1)
【文献】特開2018-186056(JP,A)
【文献】特開2020-170661(JP,A)
【文献】特開2012-195284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6471
H01R 13/6461
H01R 13/6473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジングに所定の配列方向に沿って配列される複数のコンタクトとを備え、
前記複数のコンタクトは、互いに隣り合って配列されてそれぞれ1種類の差動信号を伝送するコンタクトの対を複数含み、
前記コンタクトは、前記コンタクトの基端側に形成された基端部と、前記基端部よりも前記コンタクトの先端側に形成されて相手側のコネクタに設けられたコンタクトと接続されるコンタクト接続部とを有し、
前記複数の前記コンタクトの対のそれぞれにおいて、前記コンタクト接続部同士の隣接間隔が前記基端部同士の隣接間隔よりも小さ
く、
前記ハウジングは、前記所定の配列方向に沿って配列されて前記複数の前記コンタクトを保持する複数の保持部を有し、
前記コンタクト接続部は、前記基端部に繋がって延びる板状に形成され、前記コンタクトを保持する前記保持部に圧入される被保持部を有し、
前記被保持部は、前記被保持部の板厚方向に突出して形成された突起部を有し、
前記被保持部が前記保持部に圧入される際に前記突起部が前記保持部に圧接することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記コンタクトにおける前記被保持部を除いた部分に対して離間した逃げ部を有することを特徴とする請求項
1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記コンタクト接続部は、前記被保持部の先端部に繋がって延びる板状に形成され、前記相手側のコネクタに設けられたコンタクトと接触する接触部を有し、
前記接触部の板厚は、前記被保持部の板厚よりも薄いことを特徴とする請求項
1または
2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記コンタクト接続部は、前記接触部の先端部に湾曲して形成され、前記相手側のコネクタに設けられたコンタクトが前記接触部と接触する際に円滑に当接する湾曲部を有することを特徴とする請求項
3に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差動伝送方式による信号伝送に用いられるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一対の信号線の各々に互いに逆位相となる信号(以下「差動信号」と称する)を伝送させる差動伝送方式による信号伝送が、多くの分野において利用されるようになっている。1種類の対(ペア)となる差動信号は互いに逆の信号電圧を有するため、受信側で信号電圧の差を取ることで2倍の電圧振幅を得ることができる。また、対となる差動信号の各々に同じノイズが生じた場合、受信側で信号電圧の差を取ることでノイズが除去される。このように、差動伝送方式による信号伝送は、ノイズに強く、伝送速度の高速化に適している。差動伝送方式による信号伝送に用いられるコネクタには、例えば、回路基板等に固定されるハウジングと、ハウジングに所定の配列方向に沿って配列される複数のコンタクトとを備え、複数のコンタクトのうち、互いに隣り合うコンタクトの対(ペア)によって差動信号を伝送するように構成されたものがある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構成のコネクタにおいて、コンタクト同士の隣接間隔を小さくすると、対となる差動信号の電気的結合によりコネクタの伝送特性(挿入損失やクロストーク等)が向上し得る。しかしながら、コンタクト同士の隣接間隔を小さくすると、各コンタクトを回路基板等と電気的に接続する作業が困難になる。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、互いに隣り合うコンタクトの対によって差動信号を伝送するように構成されたコネクタの伝送特性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的達成のため、本発明に係るコネクタは、ハウジングと、前記ハウジングに所定の配列方向に沿って配列される複数のコンタクトとを備え、前記複数のコンタクトは、互いに隣り合って配列されてそれぞれ1種類の差動信号を伝送するコンタクトの対を複数含み、前記コンタクトは、前記コンタクトの基端側に形成された基端部(例えば、実施形態における各レセプタクル側接合部31A,31Bや、各プラグ側接合部71A,71B)と、前記基端部よりも前記コンタクトの先端側に形成されて相手側のコネクタに設けられたコンタクトと接続されるコンタクト接続部とを有し、前記複数の前記コンタクトの対のそれぞれにおいて、前記コンタクト接続部同士の隣接間隔が前記基端部同士の隣接間隔よりも小さくなり、前記ハウジングは、前記所定の配列方向に沿って配列されて前記複数の前記コンタクトを保持する複数の保持部を有し、前記コンタクト接続部は、前記基端部に繋がって延びる板状に形成され、前記コンタクトを保持する前記保持部に圧入される被保持部を有し、前記被保持部は、前記被保持部の板厚方向に突出して形成された突起部を有し、前記被保持部が前記保持部に圧入される際に前記突起部が前記保持部に圧接する。
【0008】
上述のコネクタにおいて、前記ハウジングは、前記コンタクトにおける前記被保持部を除いた部分に対して離間した逃げ部(例えば、実施形態における底部側逃げ部21C、第1レセプタクル側逃げ溝部27A、および第2レセプタクル側逃げ溝部27Bや、基部側逃げ部61C、第1プラグ側逃げ溝部67A、および第2プラグ側逃げ溝部67B)を有することが好ましい。
【0009】
上述のコネクタにおいて、前記コンタクト接続部は、前記被保持部の先端部に繋がって延びる板状に形成され、前記相手側のコネクタに設けられたコンタクトと接触する接触部(例えば、実施形態における各板状接触部76A,76B)を有し、前記接触部の板厚は、前記被保持部の板厚よりも薄いことが好ましい。
【0010】
上述のコネクタにおいて、前記コンタクト接続部は、前記接触部の先端部に湾曲して形成され、前記相手側のコネクタに設けられたコンタクトが前記接触部と接触する際に円滑に当接する湾曲部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のコンタクトの対のそれぞれにおいて、コンタクト接続部同士の隣接間隔が基端部同士の隣接間隔よりも小さくなる。これにより、コンタクトの対における基端部同士の隣接間隔を回路基板等との電気的な接続に必要な間隔にしても、コンタクト接続部同士の隣接間隔をより小さくすることができる。そのため、コンタクトの対におけるコンタクト接続部同士の隣接間隔を従来よりも小さくすることができ、対となる差動信号の電気的結合によりコネクタの伝送特性を向上させることが可能になる。また、或るコンタクトの対におけるコンタクト接続部と、当該コンタクトの対に隣接する他のコンタクトの対におけるコンタクト接続部との隣接間隔が大きくなるため、コンタクトの対同士の空気間隔を広げることができ、コネクタにおけるクロストークを低減させることが可能である。
【0012】
また、コンタクトにおける被保持部は、被保持部の板厚方向に突出して形成された突起部を有するので、コンタクトの幅が突起部の部分で大きくならず、これにより、コンタクトの幅が部分的に大きくなることによるインピーダンスの不整合を低減させることができ、コネクタの伝送特性を向上させることが可能になる。
【0013】
また、ハウジングは、コンタクトにおける被保持部を除いた部分に対して離間した逃げ部を有することが好ましい。これにより、コンタクトにおける被保持部を除いた部分は、ハウジングに接触せずに、空気に触れるようになっている。このように、コンタクトをできるだけ空気に触れさせて、差動信号の伝送路の実効誘電率を低下させることで、誘電損失を最小限に抑えることができ、コネクタの伝送特性を向上させることが可能になる。
【0014】
また、コンタクトにおける接触部の板厚は、被保持部の板厚よりも薄いことが好ましい。これにより、相手側のコネクタに設けられたコンタクトが接触部と接触する部分において、差動信号の伝送路の断面積が増加してインピーダンスが局所的に低下するのを抑えることができる。このように、インピーダンスが局所的に低下するのを抑えることで、インピーダンスの不整合を低減させることができ、コネクタの伝送特性を向上させることが可能になる。
【0015】
また、コンタクトにおける接触部の先端部に、相手側のコネクタに設けられたコンタクトが接触部と接触する際に円滑に当接する湾曲部が形成されることが好ましい。これにより、相手側のコネクタとの嵌合を円滑に行うことができ、また、相手側のコネクタとの嵌合の際にコンタクトが座屈するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】レセプタクルコネクタとプラグコネクタとが分離した状態のコネクタ装置を示す正面図である。
【
図2】レセプタクルコネクタとプラグコネクタとが嵌合した状態のコネクタ装置を示す正面図である。
【
図3】レセプタクルコネクタとプラグコネクタとが分離した状態のコネクタ装置の断面を示す斜視図である。
【
図4】レセプタクルコネクタとプラグコネクタとが分離した状態のコネクタ装置を示す側断面図である。
【
図5】レセプタクルコネクタとプラグコネクタとが接近した状態のコネクタ装置を示す側断面図である。
【
図6】レセプタクルコネクタとプラグコネクタとが嵌合する途中の状態のコネクタ装置を示す側断面図である。
【
図7】レセプタクルコネクタとプラグコネクタとが嵌合した状態のコネクタ装置を示す側断面図である。
【
図8】レセプタクルコネクタを上方から見た斜視図である。
【
図9】レセプタクルコネクタを上方から見た平面図である。
【
図10】レセプタクルコネクタを下方から見た平面図である。
【
図12】プラグコネクタを下方から見た斜視図である。
【
図13】プラグコネクタを下方から見た平面図である。
【
図14】プラグコネクタを上方から見た平面図である。
【
図16】レセプタクルコンタクトとプラグコンタクトとが接触した状態を上方から見た斜視図である。
【
図17】レセプタクルコンタクトとプラグコンタクトとが接触した状態を示す正面図である。
【
図18】レセプタクルコンタクトとプラグコンタクトとが接触した状態を示す側面図である。
【
図21】レセプタクルコンタクトおよびレセプタクルコンタクトキャリアを示す正面図である。
【
図24】プラグコンタクトおよびプラグコンタクトキャリアを示す正面図である。
【
図25】(A)は挿入損失を示すグラフであり、(B)はクロストークを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本実施形態に係るコネクタを備えたコネクタ装置1を
図1~
図7に示しており、これらの図を参照してコネクタ装置1の全体構成について説明する。なお、断面図においては、理解を容易にするため、一部の構成要素のハッチングを省略している場合がある。
【0018】
コネクタ装置1は、第1回路基板2に設けられたレセプタクルコネクタ10と、第2回路基板3に設けられたプラグコネクタ50とから構成される。両コネクタ10,50を第1回路基板2(または第2回路基板3)の表面に対して垂直な方向に嵌合させることにより、第1回路基板2と第2回路基板3とを電気的に接続することができる。なお、以下の
説明では、便宜上、前後、左右および上下の方向を
図1および
図3に示す状態を基準に定義しており、
図1および
図3に示す矢印の方向として、各コネクタ10,50の嵌合方向を上下方向、各コネクタ10,50の端子配列方向(すなわち、各コネクタ10,50を構成するコンタクトの所定の配列方向)を左右方向、これら上下方向および左右方向に直交する方向を前後方向と称して説明する。また、
図3~
図7において、各コネクタ10,50を構成するコンタクトの図示を一部省略している。
【0019】
次に、レセプタクルコネクタ10およびプラグコネクタ50について、
図8~
図24を追加参照して説明する。レセプタクルコネクタ10は、
図1および
図8~
図11に示すように、第1回路基板2に固定されるレセプタクルハウジング20と、レセプタクルハウジング20に左右方向に沿って配列保持される複数のレセプタクルコンタクト(第1レセプタクルコンタクト30Aおよび第2レセプタクルコンタクト30B)と、レセプタクルハウジング20を第1回路基板2に対して固定するレセプタクル固定金具40とを備えて構成される。なお、複数のレセプタクルコンタクトは、互いに隣り合って配列される複数の第1レセプタクルコンタクト30Aと第2レセプタクルコンタクト30Bの対(ペア)からなる。第1レセプタクルコンタクト30Aと第2レセプタクルコンタクト30Bの対は、第1レセプタクルコンタクト30Aと第2レセプタクルコンタクト30Bとで互いに逆位相となる1種類の差動信号を伝送する。
【0020】
レセプタクルハウジング20は、樹脂等の電気絶縁性材料を用いて一体成型される。レセプタクルハウジング20は、
図8~
図11に示すように、第1回路基板2の表面上に配設される左右方向に横長の底部21と、底部21の前後縁部から立設する前後の長辺側壁部22と、底部21の左右縁部から立設する左右の短辺側壁部23とを有し、全体として略矩形箱状に形成される。また、レセプタクルハウジング20には、底部21と、前後の長辺側壁部22と、左右の短辺側壁部23により包囲されて上方に向けて開放される嵌合凹部24が形成される。嵌合凹部24の左右端部には、プラグハウジング60の係合突起69と係合可能な突起係合部29が形成される。
【0021】
図3、
図4、
図10および
図11に示すように、底部21の前後には、第1レセプタクルコンタクト30Aが挿通される第1レセプタクル側挿通穴部25Aと、第2レセプタクルコンタクト30Bが挿通される第2レセプタクル側挿通穴部25Bとが左右方向に交互に並んで形成される。第1レセプタクル側挿通穴部25Aは、底部21を貫通して上下方向に延びる矩形穴状に形成される。第1レセプタクル側挿通穴部25Aの左右の内壁部に、第1レセプタクル側保持部26Aが形成される。第1レセプタクル側保持部26Aは、上下方向に延びる浅い溝状に形成され、第1レセプタクル側挿通穴部25Aに挿通された第1レセプタクルコンタクト30Aを保持する。第1レセプタクル側保持部26Aには、第1レセプタクルコンタクト30Aの第1レセプタクル側被保持部33Aが圧入される。なお、第1レセプタクル側挿通穴部25Aの前後の内壁部は、第1レセプタクルコンタクト30Aに対して前後方向に離間して形成される。そのため、第1レセプタクルコンタクト30Aにおける第1レセプタクル側被保持部33Aの中央部は、第1レセプタクル側挿通穴部25Aの内部で空気に触れるようになっている。
【0022】
第2レセプタクル側挿通穴部25Bは、底部21を貫通して上下方向に延びる矩形穴状に形成される。なお、第2レセプタクル側挿通穴部25Bは、隣り合う第1レセプタクル側挿通穴部25Aと左右対称に形成される。第2レセプタクル側挿通穴部25Bの左右の内壁部に、第2レセプタクル側保持部26Bが形成される。第2レセプタクル側保持部26Bは、第1レセプタクル側保持部26Aと同様に形成され、第2レセプタクル側挿通穴部25Bに挿通された第2レセプタクルコンタクト30Bを保持する。第2レセプタクル側保持部26Bには、第2レセプタクルコンタクト30Bの第2レセプタクル側被保持部33Bが圧入される。なお、第2レセプタクル側挿通穴部25Bの前後の内壁部は、第2
レセプタクルコンタクト30Bに対して前後方向に離間して形成される。そのため、第2レセプタクルコンタクト30Bにおける第2レセプタクル側被保持部33Bの中央部は、第2レセプタクル側挿通穴部25Bの内部で空気に触れるようになっている。
【0023】
また、第1レセプタクル側挿通穴部25Aおよび第2レセプタクル側挿通穴部25Bの下端部に繋がる底部21の下面部には、底部側逃げ部21Cが形成される。底部側逃げ部21Cは、底部21の下端部よりも上方に凹んで形成され、第1レセプタクルコンタクト30Aの第1レセプタクル側接合部31Aおよび第2レセプタクルコンタクト30Bの第2レセプタクル側接合部31Bに対して離間するようになっている。
【0024】
図8~
図10に示すように、底部21の左右端部には、固定金具保持部28が形成される。固定金具保持部28は、レセプタクル固定金具40のハウジング側固定部41と嵌合可能な蟻溝状に形成される。固定金具保持部28は、ハウジング側固定部41と嵌合した状態で、レセプタクル固定金具40を固定保持する。
【0025】
図3、
図4、
図9および
図11に示すように、前後の長辺側壁部22には、第1レセプタクルコンタクト30Aと対向する第1レセプタクル側逃げ溝部27Aと、第2レセプタクルコンタクト30Bと対向する第2レセプタクル側逃げ溝部27Bとが左右方向に交互に並んで形成される。第1レセプタクル側逃げ溝部27Aは、第1レセプタクルコンタクト30Aの幅に合わせて上下方向に延びる溝状に形成され、第1レセプタクルコンタクト30Aの第1屈曲部36Aおよび第1先端接触部37Aに対して離間するようになっている。第2レセプタクル側逃げ溝部27Bは、第1レセプタクル側逃げ溝部27Aと同様に形成され、第2レセプタクルコンタクト30Bの第2屈曲部36Bおよび第2先端接触部37Bに対して離間するようになっている。
【0026】
第1レセプタクルコンタクト30Aと第2レセプタクルコンタクト30Bは、
図16~
図20に示すように、金属等の導電性材料の薄平板を用いて、プレス加工(打ち抜き加工及び曲げ加工)により、互いに左右対称の図示する所定形状に形成される。前述したように、互いに隣り合う第1レセプタクルコンタクト30Aと第2レセプタクルコンタクト30Bは、差動信号を伝送するレセプタクルコンタクトの対(ペア)となる。第1レセプタクルコンタクト30Aと第2レセプタクルコンタクト30Bの対は、レセプタクルハウジング20の前側および後側に、左右方向に15対ずつ並んで配列保持される。
【0027】
第1レセプタクルコンタクト30Aは、第1レセプタクルコンタクト30Aの基端側(下側)に形成された第1レセプタクル側接合部31Aと、第1レセプタクル側接合部31Aよりも先端側(上側)に形成されて第1プラグコンタクト70A(
図16~
図18を参照)と接続される第1レセプタクルコンタクト接続部32Aとを有して構成される。また、第1レセプタクルコンタクト接続部32Aは、第1レセプタクル側接合部31Aの先端側に繋がって形成された第1レセプタクル側被保持部33Aと、第1レセプタクル側被保持部33Aの先端部に繋がって形成された第1屈曲部36Aと、第1屈曲部36Aの先端部に繋がって形成された第1先端接触部37Aとを有して構成される。
【0028】
図11および
図20に示すように、第1レセプタクル側接合部31Aは、第1レセプタクル側被保持部33Aの基端部(下端部)から前後方向へ略直角に屈曲する板状に形成される。第1レセプタクル側接合部31Aは、レセプタクルハウジング20の底部21より下方に露出して、第1回路基板2上に形成された配線パターン(図示せず)に半田付け等により接合される(
図1および
図2を参照)。
【0029】
図11および
図20に示すように、第1レセプタクル側被保持部33Aは、上下方向に延びる板状に形成され、レセプタクルハウジング20の第1レセプタクル側保持部26A
に圧入される。レセプタクルハウジング20の第1レセプタクル側保持部26Aは、当該第1レセプタクル側保持部26Aに圧入された第1レセプタクル側被保持部33Aを受容した状態で、第1レセプタクルコンタクト30Aを保持する。第1レセプタクル側被保持部33Aの左右上側に、第1レセプタクル側突起部34Aが形成される。第1レセプタクル側突起部34Aは、第1レセプタクル側被保持部33Aの板厚方向に突出する爪状に形成される。第1レセプタクル側被保持部33Aがレセプタクルハウジング20の第1レセプタクル側保持部26Aに圧入される際に、第1レセプタクル側突起部34Aは、当該第1レセプタクル側保持部26Aに圧接して引っ掛かるようになっている。第1レセプタクル側被保持部33Aの左右下側に、第1レセプタクル側突出部35Aが形成される。第1レセプタクル側突出部35Aは、第1レセプタクル側突起部34Aと同じ第1レセプタクル側被保持部33Aの板厚方向に突出するボス状に形成される。第1レセプタクル側突出部35Aは、レセプタクルハウジング20の第1レセプタクル側保持部26Aに接するようになっている。
【0030】
図11および
図20に示すように、第1屈曲部36Aは、第1レセプタクル側被保持部33Aの先端部(上端部)から前後方向へ斜めに屈曲して延びる板状に形成される。第1屈曲部36Aは、レセプタクルハウジング20の底部21より上方の嵌合凹部24内に突出する。第1先端接触部37Aは、第1屈曲部36Aの先端部(上端部)に円弧状に湾曲して形成され、第1プラグコンタクト70Aと接触するようになっている。なお、第1レセプタクル側被保持部33Aの板厚方向の(すなわち、前後方向の)第1レセプタクル側被保持部33Aと第1先端接触部37Aとの間の距離は、第1プラグコンタクト70Aの先端側が第1屈曲部36Aの近傍に位置する程度に小さくなっている。
【0031】
第2レセプタクルコンタクト30Bは、第1レセプタクルコンタクト30Aと同様に、第2レセプタクル側接合部31Bと、第2レセプタクル側接合部31Bよりも先端側(上側)に形成されて第2プラグコンタクト70B(
図16~
図18を参照)と接続される第2レセプタクルコンタクト接続部32Bとを有して構成される。また、第2レセプタクルコンタクト接続部32Bは、第1レセプタクルコンタクト接続部32Aと同様に、第2レセプタクル側被保持部33Bと、第2屈曲部36Bと、第2先端接触部37Bとを有して構成される。第2レセプタクル側接合部31Bは、第1レセプタクル側接合部31Aと同様に形成され、第1回路基板2上に形成された配線パターン(図示せず)に半田付け等により接合される(
図1および
図2を参照)。
【0032】
第2レセプタクル側被保持部33Bは、第1レセプタクル側被保持部33Aと同様に形成され、レセプタクルハウジング20の第2レセプタクル側保持部26Bに圧入される。レセプタクルハウジング20の第2レセプタクル側保持部26Bは、当該第2レセプタクル側保持部26Bに圧入された第2レセプタクル側被保持部33Bを受容した状態で、第2レセプタクルコンタクト30Bを保持する。第2レセプタクル側被保持部33Bには、第1レセプタクル側被保持部33Aと同様に、第2レセプタクル側突起部34Bおよび第2レセプタクル側突出部35Bが形成される。第2レセプタクル側突起部34Bは、第1レセプタクル側突起部34Aと同様に形成される。第2レセプタクル側被保持部33Bがレセプタクルハウジング20の第2レセプタクル側保持部26Bに圧入される際に、第2レセプタクル側突起部34Bは、当該第2レセプタクル側保持部26Bに圧接して引っ掛かるようになっている。第2レセプタクル側突出部35Bは、第1レセプタクル側突出部35Aと同様に形成され、レセプタクルハウジング20の第2レセプタクル側保持部26Bに接するようになっている。
【0033】
第2屈曲部36Bは、第1屈曲部36Aと同様に形成され、レセプタクルハウジング20の底部21より上方の嵌合凹部24内に突出する。第2先端接触部37Bは、第1先端接触部37Aと同様に形成され、第2プラグコンタクト70Bと接触するようになってい
る。なお、第2レセプタクル側被保持部33Bの板厚方向の(すなわち、前後方向の)第2レセプタクル側被保持部33Bと第2先端接触部37Bとの間の距離は、第2プラグコンタクト70Bの先端側が第2屈曲部36Bの近傍に位置する程度に小さくなっている。
【0034】
図17および
図19に示すように、第1レセプタクルコンタクト30Aの第1レセプタクルコンタクト接続部32Aは、第1レセプタクル側接合部31Aに対して第2レセプタクルコンタクト30Bに近づく方へ左右方向にオフセットして形成される。第2レセプタクルコンタクト30Bの第2レセプタクルコンタクト接続部32Bは、第2レセプタクル側接合部31Bに対して第1レセプタクルコンタクト30Aに近づく方へ左右方向にオフセットして形成される。そのため、複数の第1レセプタクルコンタクト30Aと第2レセプタクルコンタクト30Bの対のそれぞれにおいて、第1レセプタクルコンタクト接続部32Aと第2レセプタクルコンタクト接続部32Bとの隣接間隔(第1レセプタクルコンタクト30Aと第2レセプタクルコンタクト30Bの配列方向に沿った間隔)は、第1レセプタクル側接合部31Aと第2レセプタクル側接合部31Bとの隣接間隔よりも小さくなる。なお、第1レセプタクル側接合部31Aと第2レセプタクル側接合部31Bとの隣接間隔は、第1回路基板2上に形成された配線パターン(図示せず)に応じて一定の間隔に設定される。
【0035】
また、
図21に示すように、第1レセプタクルコンタクト30Aおよび第2レセプタクルコンタクト30Bは、これらと一体的に形成された薄平板状のレセプタクルコンタクトキャリア39を用いて、レセプタクルハウジング20に取り付けられるようになっている。ここで、第1レセプタクルコンタクト30Aおよび第2レセプタクルコンタクト30Bをレセプタクルハウジング20に取り付ける方法について簡単に述べる。
【0036】
まず、レセプタクルコンタクトキャリア39の上縁部に沿って左右方向に並ぶ第1レセプタクルコンタクト30Aおよび第2レセプタクルコンタクト30Bを、下方からレセプタクルハウジング20の第1レセプタクル側挿通穴部25Aおよび第2レセプタクル側挿通穴部25Bに挿通させる。このとき、第1レセプタクルコンタクト30Aの第1レセプタクル側被保持部33Aがレセプタクルハウジング20の第1レセプタクル側保持部26Aに圧入され、第1レセプタクルコンタクト30Aがレセプタクルハウジング20の第1レセプタクル側保持部26Aに保持される。またこのとき、第2レセプタクルコンタクト30Bの第2レセプタクル側被保持部33Bがレセプタクルハウジング20の第2レセプタクル側保持部26Bに圧入され、第2レセプタクルコンタクト30Bがレセプタクルハウジング20の第2レセプタクル側保持部26Bに保持される。そして、第1レセプタクルコンタクト30Aおよび第2レセプタクルコンタクト30Bからレセプタクルコンタクトキャリア39を折り取る。このようにして、複数の第1レセプタクルコンタクト30Aと第2レセプタクルコンタクト30Bの対が、前後対称に1列ずつレセプタクルハウジング20に取り付けられる。
【0037】
レセプタクル固定金具40は、
図8~
図10に示すように、金属板材等の薄平板を用いて、プレス加工(打ち抜き加工及び曲げ加工)により、L字形の板状に形成される。レセプタクル固定金具40は、上下方向に延びるハウジング側固定部41と、ハウジング側固定部41の下端部(基端部)から左右方向に屈曲して延びる基板側固定部42とを有して構成される。ハウジング側固定部41は、レセプタクルハウジング20の固定金具保持部28と嵌合し、この状態でレセプタクル固定金具40がレセプタクルハウジング20の固定金具保持部28に固定保持される。基板側固定部42は、切り欠きを有する板状に形成され、半田付け等の固定手段により第1回路基板2に固定される。これにより、レセプタクルハウジング20がレセプタクル固定金具40を介して第1回路基板2に固定される(
図1を参照)。なお、基板側固定部42の幅は、ハウジング側固定部41の幅(レセプタクルハウジング20の固定金具保持部28の内幅)よりも小さくなっている。
【0038】
また、レセプタクル固定金具40は、ハウジング側固定部41の上端部に繋がって形成された薄平板状のレセプタクル固定金具キャリア(図示せず)を用いて、レセプタクルハウジング20に取り付けられるようになっている。ここで、レセプタクル固定金具40をレセプタクルハウジング20に取り付ける方法について簡単に述べる。
【0039】
まず、レセプタクル固定金具キャリア(図示せず)の下縁部に繋がったハウジング側固定部41を、上方からレセプタクルハウジング20の固定金具保持部28に挿通させる。このとき、ハウジング側固定部41がレセプタクルハウジング20の固定金具保持部28と嵌合し、レセプタクル固定金具40がレセプタクルハウジング20の固定金具保持部28に固定保持される。そして、レセプタクル固定金具40からレセプタクル固定金具キャリアを折り取る。このようにして、レセプタクル固定金具40がレセプタクルハウジング20の左右に取り付けられる。
【0040】
プラグコネクタ50は、
図1および
図12~
図15に示すように、第2回路基板3に固定されるプラグハウジング60と、プラグハウジング60に左右方向に沿って配列保持される複数のプラグコンタクト(第1プラグコンタクト70Aおよび第2プラグコンタクト70B)と、プラグハウジング60を第2回路基板3に固定するプラグ固定金具80とを備えて構成される。なお、複数のプラグコンタクトは、互いに隣り合って配列される複数の第1プラグコンタクト70Aと第2プラグコンタクト70Bの対(ペア)からなる。第1プラグコンタクト70Aと第2プラグコンタクト70Bの対は、第1プラグコンタクト70Aと第2プラグコンタクト70Bとで互いに逆位相となる1種類の差動信号を伝送する。
【0041】
プラグハウジング60は、樹脂等の電気絶縁性材料を用いて一体成型される。プラグハウジング60は、
図12~
図15に示すように、第2回路基板3の表面上に配設される左右方向に横長の基部61と、基部61の下側から上下方向に延びてレセプタクルハウジング20の嵌合凹部24に嵌合する嵌合凸部64とを備えて構成される。
【0042】
図3、
図4、
図14および
図15に示すように、基部61の前後には、第1プラグコンタクト70Aが挿通される第1プラグ側挿通穴部65Aと、第2プラグコンタクト70Bが挿通される第2プラグ側挿通穴部65Bとが左右方向に交互に並んで形成される。第1プラグ側挿通穴部65Aは、基部61を貫通して上下方向に延びる矩形穴状に形成される。第1プラグ側挿通穴部65Aの左右の内壁部に、第1プラグコンタクト70Aを保持する第1プラグ側保持部66Aが形成される。第1プラグ側保持部66Aは、上下方向に延びる浅い溝状に形成され、第1プラグ側挿通穴部65Aに挿通された第1プラグコンタクト70Aを保持する。第1プラグ側保持部66Aには、第1プラグコンタクト70Aの第1プラグ側被保持部73Aが圧入される。なお、第1プラグ側挿通穴部65Aの前後の内壁部は、第1プラグコンタクト70Aに対して前後方向に離間して形成される。そのため、第1プラグコンタクト70Aにおける第1プラグ側被保持部73Aの中央部は、第1プラグ側挿通穴部65Aの内部で空気に触れるようになっている。
【0043】
第2プラグ側挿通穴部65Bは、基部61を貫通して上下方向に延びる矩形穴状に形成される。なお、第2プラグ側挿通穴部65Bは、隣り合う第1プラグ側挿通穴部65Aと左右対称に形成される。第2プラグ側挿通穴部65Bの左右の内壁部に、第2プラグコンタクト70Bを保持する第2プラグ側保持部66Bが形成される。第2プラグ側保持部66Bは、第1プラグ側保持部66Aと同様に形成され、第2プラグ側挿通穴部65Bに挿通された第2プラグコンタクト70Bを保持する。第2プラグ側保持部66Bには、第2プラグコンタクト70Bの第2プラグ側被保持部73Bが圧入される。なお、第2プラグ側挿通穴部65Bの前後の内壁部は、第2プラグコンタクト70Bに対して前後方向に離間して形成される。そのため、第2プラグコンタクト70Bにおける第2プラグ側被保持部73Bの中央部は、第2プラグ側挿通穴部65Bの内部で空気に触れるようになっている。
【0044】
また、第1プラグ側挿通穴部65Aおよび第2プラグ側挿通穴部65Bの上端部に繋がる基部61の上面部には、基部側逃げ部61Cが形成される。基部側逃げ部61Cは、基部61の上端部よりも下方に凹んで形成され、第1プラグコンタクト70Aの第1プラグ側接合部71Aおよび第2プラグコンタクト70Bの第2プラグ側接合部71Bに対して離間するようになっている。
【0045】
図12~
図14に示すように、基部61の左右端部には、固定金具保持部68が形成される。固定金具保持部68は、プラグ固定金具80のハウジング側固定部81と嵌合可能な蟻溝状に形成される。固定金具保持部68は、このハウジング側固定部81と嵌合した状態で、プラグ固定金具80を固定保持する。
【0046】
図3、
図4、
図13および
図15に示すように、嵌合凸部64の前後側部には、第1プラグコンタクト70Aと対向する第1プラグ側逃げ溝部67Aと、第2プラグコンタクト70Bと対向する第2プラグ側逃げ溝部67Bとが左右方向に交互に並んで形成される。第1プラグ側逃げ溝部67Aは、第1プラグコンタクト70Aの幅に合わせて上下方向に延びる溝状に形成され、第1プラグコンタクト70Aの第1板状接触部76Aおよび第1湾曲部77Aに対して離間するようになっている。第2プラグ側逃げ溝部67Bは、第1レセプタクル側逃げ溝部27Aと同様に形成され、第2プラグコンタクト70Bの第2板状接触部76Bおよび第2湾曲部77Bに対して離間するようになっている。また、
図12に示すように、嵌合凸部64の左右端部には、レセプタクルハウジング20の嵌合凹部24と嵌合する際に嵌合凹部24の突起係合部29と係合する係合突起69が形成される。
【0047】
第1プラグコンタクト70Aと第2プラグコンタクト70Bは、
図22および
図23に示すように、金属等の導電性材料の薄平板を用いて、プレス加工(打ち抜き加工及び曲げ加工)により、互いに左右対称の図示する所定形状に形成される。前述したように、互いに隣り合う第1プラグコンタクト70Aと第2プラグコンタクト70Bは、差動信号を伝送するプラグコンタクトの対(ペア)となる。第1プラグコンタクト70Aと第2プラグコンタクト70Bの対は、プラグハウジング60の前側および後側に、左右方向に15対ずつ並んで配列保持される。
【0048】
第1プラグコンタクト70Aは、第1プラグコンタクト70Aの基端側(上側)に形成された第1プラグ側接合部71Aと、第1プラグ側接合部71Aよりも先端側(下側)に形成されて第1レセプタクルコンタクト30A(
図16~
図18を参照)と接続される第1プラグコンタクト接続部72Aとを有して構成される。また、第1プラグコンタクト接続部72Aは、第1プラグ側接合部71Aの先端側に繋がって形成された第1プラグ側被保持部73Aと、第1プラグ側被保持部73Aの先端部に繋がって形成された第1板状接触部76Aと、第1板状接触部76Aの先端部に繋がって形成された第1湾曲部77Aとを有して構成される。
【0049】
図15および
図23に示すように、第1プラグ側接合部71Aは、第1プラグ側被保持部73Aの基端部(上端部)から前後方向へ略直角に屈曲する板状に形成される。第1プラグ側接合部71Aは、プラグハウジング60の基部61より上方に露出して、第2回路基板3上に形成された配線パターン(図示せず)に半田付け等により接合される(
図1および
図2を参照)。
【0050】
図15および
図23に示すように、第1プラグ側被保持部73Aは、上下方向に延びる板状に形成され、プラグハウジング60の第1プラグ側保持部66Aに圧入される。プラグハウジング60の第1プラグ側保持部66Aは、当該第1プラグ側保持部66Aに圧入された第1プラグ側被保持部73Aを受容した状態で、第1プラグコンタクト70Aを保持する。第1プラグ側被保持部73Aの左右下側に、第1プラグ側突起部74Aが形成される。第1プラグ側突起部74Aは、第1プラグ側被保持部73Aの板厚方向に突出する爪状に形成される。第1プラグ側被保持部73Aがプラグハウジング60の第1プラグ側保持部66Aに圧入される際に、第1プラグ側突起部74Aは、当該第1プラグ側保持部66Aに圧接して引っ掛かるようになっている。第1プラグ側被保持部73Aの左右上側に、第1プラグ側突出部75Aが形成される。第1プラグ側突出部75Aは、第1プラグ側突起部74Aと同じ第1プラグ側被保持部73Aの板厚方向に突出するボス状に形成される。第1プラグ側突出部75Aは、プラグハウジング60の第1プラグ側保持部66Aに接するようになっている。
【0051】
図15および
図23に示すように、第1板状接触部76Aは、第1プラグ側被保持部73Aの先端部(下端部)から下方に延びる板状に形成される。第1板状接触部76Aは、プラグハウジング60の基部61より下方に突出して嵌合凸部64の近傍に位置する。レセプタクルハウジング20の嵌合凹部24とプラグハウジング60の嵌合凸部64とが嵌合すると、第1レセプタクルコンタクト30Aの第1先端接触部37Aが第1板状接触部76Aと接触するようになっている。また、第1板状接触部76Aの板厚は、第1プラグ側被保持部73Aの板厚よりも薄くなっている。
【0052】
第1湾曲部77Aは、第1板状接触部76Aの先端部(下端部)に円弧状に湾曲して形成される。第1レセプタクルコンタクト30Aの第1先端接触部37Aが第1板状接触部76Aと接触する際に、第1湾曲部77Aに対して、第1レセプタクルコンタクト30Aの第1先端接触部37Aが円滑に当接するようになっている。
【0053】
第2プラグコンタクト70Bは、第1プラグコンタクト70Aと同様に、第2プラグ側接合部71Bと、第2プラグ側接合部71Bよりも先端側(下側)に形成されて第2レセプタクルコンタクト30B(
図16~
図18を参照)と接続される第2プラグコンタクト接続部72Bとを有して構成される。また、第2プラグコンタクト接続部72Bは、第1プラグコンタクト接続部72Aと同様に、第2プラグ側被保持部73Bと、第2板状接触部76Bと、第2湾曲部77Bとを有して構成される。第2プラグ側接合部71Bは、第1プラグ側接合部71Aと同様に形成され、第2回路基板3上に形成された配線パターン(図示せず)に半田付け等により接合される(
図1および
図2を参照)。
【0054】
第2プラグ側被保持部73Bは、第1プラグ側被保持部73Aと同様に形成され、プラグハウジング60の第2プラグ側保持部66Bに圧入される。プラグハウジング60の第2プラグ側保持部66Bは、当該第2プラグ側保持部66Bに圧入された第2プラグ側被保持部73Bを受容した状態で、第2プラグコンタクト70Bを保持する。第2プラグ側被保持部73Bには、第1プラグ側被保持部73Aと同様に、第2プラグ側突起部74Bおよび第2プラグ側突出部75Bが形成される。第2プラグ側突起部74Bは、第1プラグ側突起部74Aと同様に形成される。第2プラグ側被保持部73Bがプラグハウジング60の第2プラグ側保持部66Bに圧入される際に、第2プラグ側突起部74Bは、当該第2プラグ側保持部66Bに圧接して引っ掛かるようになっている。第2プラグ側突出部75Bは、第1プラグ側突出部75Aと同様に形成され、プラグハウジング60の第2プラグ側保持部66Bに接するようになっている。
【0055】
第2板状接触部76Bは、第1板状接触部76Aと同様に形成され、プラグハウジング60の基部61より下方に突出して嵌合凸部64の近傍に位置する。レセプタクルハウジ
ング20の嵌合凹部24とプラグハウジング60の嵌合凸部64とが嵌合すると、第2レセプタクルコンタクト30Bの第2先端接触部37Bが第2板状接触部76Bと接触するようになっている。また、第2板状接触部76Bの板厚は、第2プラグ側被保持部73Bの板厚よりも薄くなっている。
【0056】
第2湾曲部77Bは、第1湾曲部77Aと同様に形成される。第2レセプタクルコンタクト30Bの第2先端接触部37Bが第2板状接触部76Bと接触する際に、第2湾曲部77Bに対して、第2レセプタクルコンタクト30Bの第2先端接触部37Bが円滑に当接するようになっている。
【0057】
図17および
図22に示すように、第1プラグコンタクト70Aの第1プラグコンタクト接続部72Aは、第1プラグ側接合部71Aに対して第2プラグコンタクト70Bに近づく方へ左右方向にオフセットして形成される。第2プラグコンタクト70Bの第2プラグコンタクト接続部72Bは、第2プラグ側接合部71Bに対して第1プラグコンタクト70Aに近づく方へ左右方向にオフセットして形成される。そのため、複数の第1プラグコンタクト70Aと第2プラグコンタクト70Bの対のそれぞれにおいて、第1プラグコンタクト接続部72Aと第2プラグコンタクト接続部72Bとの隣接間隔(第1プラグコンタクト70Aと第2プラグコンタクト70Bの配列方向に沿った間隔)は、第1プラグ側接合部71Aと第2プラグ側接合部71Bとの隣接間隔よりも小さくなる。なお、第1プラグ側接合部71Aと第2プラグ側接合部71Bとの隣接間隔は、第2回路基板3上に形成された配線パターン(図示せず)に応じて一定の間隔に設定される。
【0058】
また、
図24に示すように、第1プラグコンタクト70Aおよび第2プラグコンタクト70Bは、これらと一体的に形成された薄平板状のプラグコンタクトキャリア79を用いて、プラグハウジング60に取り付けられるようになっている。ここで、第1プラグコンタクト70Aおよび第2プラグコンタクト70Bをプラグハウジング60に取り付ける方法について簡単に述べる。
【0059】
まず、プラグコンタクトキャリア79の下縁部に沿って左右方向に並ぶ第1プラグコンタクト70Aおよび第2プラグコンタクト70Bを、上方からプラグハウジング60の第1プラグ側挿通穴部65Aおよび第2プラグ側挿通穴部65Bに挿通させる。このとき、第1プラグコンタクト70Aの第1プラグ側被保持部73Aがプラグハウジング60の第1プラグ側保持部66Aに圧入され、第1プラグコンタクト70Aがプラグハウジング60の第1プラグ側保持部66Aに保持される。またこのとき、第2プラグコンタクト70Bの第2プラグ側被保持部73Bがプラグハウジング60の第2プラグ側保持部66Bに圧入され、第2プラグコンタクト70Bがプラグハウジング60の第2プラグ側保持部66Bに保持される。そして、第1プラグコンタクト70Aおよび第2プラグコンタクト70Bからプラグコンタクトキャリア79を折り取る。このようにして、複数の第1プラグコンタクト70Aと第2プラグコンタクト70Bの対が、前後対称に1列ずつプラグハウジング60に取り付けられる。
【0060】
プラグ固定金具80は、
図12~
図14に示すように、金属板材等の薄平板を用いて、プレス加工(打ち抜き加工及び曲げ加工)により、L字形の板状に形成される。プラグ固定金具80は、上下方向に延びるハウジング側固定部81と、ハウジング側固定部81の上端部(基端部)から左右方向に屈曲して延びる基板側固定部82とを有して構成される。ハウジング側固定部81は、プラグハウジング60の固定金具保持部68と嵌合し、この状態でプラグ固定金具80がプラグハウジング60の固定金具保持部68に固定保持される。基板側固定部82は、切り欠きを有する板状に形成され、半田付け等の固定手段により第2回路基板3に固定される。これにより、プラグハウジング60がプラグ固定金具80を介して第2回路基板3に固定される(
図1を参照)。なお、基板側固定部82の幅
は、ハウジング側固定部81の幅(プラグハウジング60の固定金具保持部68の内幅)よりも小さくなっている。
【0061】
また、プラグ固定金具80は、ハウジング側固定部81の下端部に繋がって形成された薄平板状のプラグ固定金具キャリア(図示せず)を用いて、プラグハウジング60に取り付けられるようになっている。ここで、プラグ固定金具80をプラグハウジング60に取り付ける方法について簡単に述べる。
【0062】
まず、プラグ固定金具キャリア(図示せず)の上縁部に繋がったハウジング側固定部81を、下方からプラグハウジング60の固定金具保持部68に挿通させる。このとき、ハウジング側固定部81がプラグハウジング60の固定金具保持部68と嵌合し、プラグ固定金具80がプラグハウジング60の固定金具保持部68に固定保持される。そして、プラグ固定金具80からプラグ固定金具キャリアを折り取る。このようにして、プラグ固定金具80がプラグハウジング60の左右に取り付けられる。
【0063】
以上のように構成されるコネクタ装置1において、レセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ50とが嵌合する過程について、
図5~
図7を参照して説明する。互いに対向した配置されたレセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ50とが接近すると、
図5に示すように、レセプタクルコンタクト30Aの第1先端接触部37Aは、第1プラグコンタクト70Aの第1湾曲部77Aに当接する。同様に、第2レセプタクルコンタクト30Bの第2先端接触部37Bは、第2プラグコンタクト70Bの第2湾曲部77Bに当接する。
【0064】
さらに、レセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ50とが接近すると、
図6に示すように、レセプタクルコンタクト30Aの第1先端接触部37Aは、第1プラグコンタクト70Aの第1湾曲部77Aと第1板状接触部76Aとに、この順で押圧され、レセプタクルコンタクト30Aの第1屈曲部36Aが曲げられるように弾性変形する。同様に、第2レセプタクルコンタクト30Bの第2先端接触部37Bは、第2プラグコンタクト70Bの第2湾曲部77Bと第2板状接触部76Bとに、この順で押圧され、第2レセプタクルコンタクト30Bの第2屈曲部36Bが曲げられるように弾性変形する。なおこのとき、レセプタクルコンタクト30Aの第1先端接触部37Aは、第1プラグコンタクト70Aの第1湾曲部77Aに対して滑らかに当接する。同様に、第2レセプタクルコンタクト30Bの第2先端接触部37Bは、第2プラグコンタクト70Bの第2湾曲部77Bに対して滑らかに当接する。
【0065】
さらに、レセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ50とが接近すると、
図7に示すように、レセプタクルハウジング20の嵌合凹部24とプラグハウジング60の嵌合凸部64とが嵌合する。そして、レセプタクルコンタクト30Aの第1屈曲部36Aが弾性変形した状態で、レセプタクルコンタクト30Aの第1先端接触部37Aが第1プラグコンタクト70Aの第1板状接触部76Aと接触する。同様に、第2レセプタクルコンタクト30Bの第2屈曲部36Bが弾性変形した状態で、第2レセプタクルコンタクト30Bの第2先端接触部37Bが第2プラグコンタクト70Bの第2板状接触部76Bと接触する。このようにして、レセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ50とが嵌合接続される。
【0066】
次に、本実施形態に係る各コネクタ10,50の特徴構成および効果について述べる。第1の特徴構成として、本実施形態に係るレセプタクルコネクタ10では、複数の第1レセプタクルコンタクト30Aと第2レセプタクルコンタクト30Bの対のそれぞれにおいて、第1レセプタクルコンタクト接続部32Aと第2レセプタクルコンタクト接続部32Bとの隣接間隔は、第1レセプタクル側接合部31Aと第2レセプタクル側接合部31B
との隣接間隔よりも小さくなる。これにより、第1レセプタクル側接合部31Aと第2レセプタクル側接合部31Bとの隣接間隔を第1回路基板2との電気的な接続に必要な間隔にしても、第1レセプタクルコンタクト接続部32Aと第2レセプタクルコンタクト接続部32Bとの隣接間隔をより小さくすることができる。
【0067】
また、本実施形態に係るプラグコネクタ50では、複数の第1プラグコンタクト70Aと第2プラグコンタクト70Bの対のそれぞれにおいて、第1プラグコンタクト接続部72Aと第2プラグコンタクト接続部72Bとの隣接間隔は、第1プラグ側接合部71Aと第2プラグ側接合部71Bとの隣接間隔よりも小さくなる。これにより、第1プラグ側接合部71Aと第2プラグ側接合部71Bとの隣接間隔を第2回路基板3との電気的な接続に必要な間隔にしても、第1プラグコンタクト接続部72Aと第2プラグコンタクト接続部72Bとの隣接間隔をより小さくすることができる。このように、第1レセプタクルコンタクト30Aと第2レセプタクルコンタクト30Bの対における、第1レセプタクルコンタクト接続部32Aと第2レセプタクルコンタクト接続部32Bとの隣接間隔を従来よりも小さくすることができる。また、第1プラグコンタクト70Aと第2プラグコンタクト70Bの対における、第1プラグコンタクト接続部72Aと第2プラグコンタクト接続部72Bとの隣接間隔を従来よりも小さくすることができる。そのため、対となる差動信号の電気的結合によりレセプタクルコネクタ10およびプラグコネクタ50(すなわち、コネクタ装置1)の伝送特性を向上させることが可能になる。
【0068】
ここで、本実施形態に係るコネクタ装置1(レセプタクルコネクタ10およびプラグコネクタ50)の伝送特性を
図25に示す。
図25(A)は、本実施形態に係るコネクタ装置1の挿入損失(インサーション・ロス)を示すグラフである。
図25(A)において、曲線LA1は、本実施形態に係るコネクタ装置1の挿入損失を示す。曲線LA2は、第1の比較例として、レセプタクルコンタクト接続部同士の隣接間隔がレセプタクル側接合部同士の隣接間隔と等しく、プラグコンタクト接続部同士の隣接間隔がプラグ側接合部同士の隣接間隔と等しい従来型の場合の挿入損失を示す。曲線LA3は、第2の比較例として、レセプタクルコンタクト接続部同士の隣接間隔がレセプタクル側接合部同士の隣接間隔よりも大きく、プラグコンタクト接続部同士の隣接間隔がプラグ側接合部同士の隣接間隔よりも大きい場合の挿入損失を示す。
図25(A)に示すグラフより、例えば、差動信号の信号周波数が10~15[GHz]の帯域において、第1の比較例の場合の挿入損失および第2の比較例の場合の挿入損失と比較して、本実施形態に係るコネクタ装置1の挿入損失が低減され、伝送特性が向上していることが分かる。
【0069】
図25(B)は、本実施形態に係るコネクタ装置1のクロストーク(または、漏話もしくは誘導ノイズ)を示すグラフである。
図25(B)において、曲線LB1は、本実施形態に係るコネクタ装置1のクロストークを示す。曲線LB2は、第3の比較例として、レセプタクルコンタクト接続部同士の隣接間隔がレセプタクル側接合部同士の隣接間隔と等しく、プラグコンタクト接続部同士の隣接間隔がプラグ側接合部同士の隣接間隔と等しい従来型の場合のクロストークを示す。曲線LB3は、第4の比較例として、レセプタクルコンタクト接続部同士の隣接間隔がレセプタクル側接合部同士の隣接間隔よりも大きく、プラグコンタクト接続部同士の隣接間隔がプラグ側接合部同士の隣接間隔よりも大きい場合のクロストークを示す。
図25(B)に示すグラフより、例えば、差動信号の信号周波数が10~15[GHz]の帯域において、第3の比較例の場合のクロストークおよび第4の比較例の場合のクロストークと比較して、本実施形態に係るコネクタ装置1のクロストークが低減され、伝送特性が向上していることが分かる。
【0070】
なお、本実施形態に係るレセプタクルコネクタ10では、或る第1レセプタクルコンタクト30Aと第2レセプタクルコンタクト30Bの対における第1レセプタクルコンタクト接続部32Aと、当該第1レセプタクルコンタクト接続部32Aに隣接する他の第1レ
セプタクルコンタクト30Aと第2レセプタクルコンタクト30Bの対における第2レセプタクルコンタクト接続部32Bとの隣接間隔が大きくなる。また、或る第1レセプタクルコンタクト30Aと第2レセプタクルコンタクト30Bの対における第2レセプタクルコンタクト接続部32Bと、当該第2レセプタクルコンタクト接続部32Bに隣接する他の第1レセプタクルコンタクト30Aと第2レセプタクルコンタクト30Bの対における第1レセプタクルコンタクト接続部32Aとの隣接間隔が大きくなる。
【0071】
また、本実施形態に係るプラグコネクタ50では、或る第1プラグコンタクト70Aと第2プラグコンタクト70Bの対における第1プラグコンタクト接続部72Aと、当該第1プラグコンタクト接続部72Aに隣接する他の第1プラグコンタクト70Aと第2プラグコンタクト70Bの対における第2プラグコンタクト接続部72Bとの隣接間隔が大きくなる。また、或る第1プラグコンタクト70Aと第2プラグコンタクト70Bの対における第2プラグコンタクト接続部72Bと、当該第2プラグコンタクト接続部72Bに隣接する他の第1プラグコンタクト70Aと第2プラグコンタクト70Bの対における第1プラグコンタクト接続部72Aとの隣接間隔が大きくなる。これにより、第1レセプタクルコンタクト30Aと第2レセプタクルコンタクト30Bの対同士の空気間隔および、第1プラグコンタクト70Aと第2プラグコンタクト70Bの対同士の空気間隔を広げることができるため、レセプタクルコネクタ10およびプラグコネクタ50(コネクタ装置1)におけるクロストークを低減させることが可能である。
【0072】
第2の特徴構成として、本実施形態に係るレセプタクルコネクタ10では、第1レセプタクルコンタクト30Aの第1レセプタクル側被保持部33Aに、第1レセプタクル側被保持部33Aの板厚方向に突出する第1レセプタクル側突起部34Aが形成される。また、第2レセプタクルコンタクト30Bの第2レセプタクル側被保持部33Bに、第2レセプタクル側被保持部33Bの板厚方向に突出する第2レセプタクル側突起部34Bが形成される。これにより、各レセプタクルコンタクト30A,30Bの幅が各レセプタクル側突起部34A,34Bの部分で大きくならないため、コンタクトの幅が部分的に大きくなることによるインピーダンスの不整合を低減させることができる。
【0073】
また、本実施形態に係るプラグコネクタ50では、第1プラグコンタクト70Aの第1プラグ側被保持部73Aに、第1プラグ側被保持部73Aの板厚方向に突出する第1プラグ側突起部74Aが形成される。また、第2プラグコンタクト70Bの第2プラグ側被保持部73Bに、第2プラグ側被保持部73Bの板厚方向に突出する第2プラグ側突起部74Bが形成される。これにより、各プラグコンタクト70A,70Bの幅が各プラグ側突起部74A,74Bの部分で大きくならないため、コンタクトの幅が部分的に大きくなることによるインピーダンスの不整合を低減させることができる。このように、コンタクトの幅が部分的に大きくなることによるインピーダンスの不整合を低減させることができるため、レセプタクルコネクタ10およびプラグコネクタ50(コネクタ装置1)の伝送特性を向上させることが可能になる。
【0074】
第3の特徴構成として、本実施形態に係るレセプタクルコネクタ10では、レセプタクルハウジング20は、各レセプタクルコンタクト30A,30Bにおけるレセプタクル側接合部31A,31B、屈曲部36A,36B、および先端接触部37A,37B(すなわち、各レセプタクルコンタクト30A,30Bにおけるレセプタクル側被保持部33A,33Bを除いた部分)に対して離間して形成された、底部側逃げ部21C、第1レセプタクル側逃げ溝部27A、および第2レセプタクル側逃げ溝部27Bを有している。これにより、各レセプタクルコンタクト30A,30Bにおけるレセプタクル側被保持部33A,33Bを除いた部分は、レセプタクルハウジング20に接触せずに、空気に触れるようになっている。なお、レセプタクルハウジング20における各レセプタクル側挿通穴部25A,25Bの前後の内壁部は、各レセプタクルコンタクト30A,30Bに対して前
後方向に離間して形成される。これにより、各レセプタクルコンタクト30A,30Bにおけるレセプタクル側被保持部33A,33Bの中央部は、レセプタクルハウジング20における各レセプタクル側挿通穴部25A,25Bの内部で空気に触れるようになっている。
【0075】
また、本実施形態に係るプラグコネクタ50では、プラグハウジング60は、各プラグコンタクト70A,70Bにおけるプラグ側接合部71A,71B、板状接触部76A,76B、および湾曲部77A,77B(すなわち、各プラグコンタクト70A,70Bにおけるプラグ側被保持部73A,73Bを除いた部分)に対して離間して形成された、基部側逃げ部61C、第1プラグ側逃げ溝部67A、および第2プラグ側逃げ溝部67Bを有している。これにより、各プラグコンタクト70A,70Bにおけるプラグ側被保持部73A,73Bを除いた部分は、プラグハウジング60に接触せずに、空気に触れるようになっている。なお、プラグハウジング60における各プラグ側挿通穴部65A,65Bの前後の内壁部は、各プラグコンタクト70A,70Bに対して前後方向に離間して形成される。これにより、各プラグコンタクト70A,70Bにおけるプラグ側被保持部73A,73Bの中央部は、プラグハウジング60における各プラグ側挿通穴部65A,65Bの内部で空気に触れるようになっている。このように、各レセプタクルコンタクト30A,30Bおよび各プラグコンタクト70A,70Bをできるだけ空気に触れさせて、差動信号の伝送路の実効誘電率を低下させることで、誘電損失を最小限に抑えることができ、レセプタクルコネクタ10およびプラグコネクタ50(コネクタ装置1)の伝送特性を向上させることが可能になる。
【0076】
第4の特徴構成として、本実施形態に係るプラグコネクタ50では、第1プラグコンタクト70Aにおける第1板状接触部76Aの板厚は、第1プラグ側被保持部73Aの板厚よりも薄くなっている。これにより、第1レセプタクルコンタクト30Aの第1先端接触部37Aが第1プラグコンタクト70Aの第1板状接触部76Aと接触する部分において、差動信号の伝送路の断面積が増加してインピーダンスが局所的に低下するのを抑えることができる。また、第2プラグコンタクト70Bにおける第2板状接触部76Bの板厚は、第2プラグ側被保持部73Bの板厚よりも薄くなっている。これにより、第2レセプタクルコンタクト30Bの第2先端接触部37Bが第2プラグコンタクト70Bの第2板状接触部76Bと接触する部分において、差動信号の伝送路の断面積が増加してインピーダンスが局所的に低下するのを抑えることができる。このように、インピーダンスが局所的に低下するのを抑えることで、インピーダンスの不整合を低減させることができ、レセプタクルコネクタ10およびプラグコネクタ50(コネクタ装置1)の伝送特性を向上させることが可能になる。
【0077】
第5の特徴構成として、本実施形態に係るプラグコネクタ50では、第1プラグコンタクト70Aにおける第1板状接触部76Aの先端部に、第1レセプタクルコンタクト30Aの第1先端接触部37Aが第1プラグコンタクト70Aの第1板状接触部76Aと接触する際に円滑に当接する第1湾曲部77Aが形成される。また、第2プラグコンタクト70Bにおける第2板状接触部76Bの先端部に、第2レセプタクルコンタクト30Bの第2先端接触部37Bが第2プラグコンタクト70Bの第2板状接触部76Bと接触する際に円滑に当接する第2湾曲部77Bが形成される。これにより、レセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ50との嵌合を円滑に行うことができ、また、レセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ50との嵌合の際に各プラグコンタクト70A,70Bが座屈するのを防止することができる。
【0078】
第6の特徴構成として、本実施形態に係るレセプタクルコネクタ10では、第1レセプタクルコンタクト30Aにおける第1レセプタクル側被保持部33Aの板厚方向の(すなわち、前後方向の)第1レセプタクル側被保持部33Aと第1先端接触部37Aとの間の距離は、第1プラグコンタクト70A(第1板状接触部76A)の先端側が第1屈曲部36Aの近傍に位置する程度に小さくなっている。また、第2レセプタクルコンタクト30Bにおける第2レセプタクル側被保持部33Bの板厚方向の(すなわち、前後方向の)第2レセプタクル側被保持部33Bと第2先端接触部37Bとの間の距離は、第2プラグコンタクト70B(第2板状接触部76B)の先端側が第2屈曲部36Bの近傍に位置する程度に小さくなっている。これにより、各プラグコンタクト70A,70Bにおける板状接触部76A,76Bの先端側の部分と、各レセプタクルコンタクト30A,30Bにおける屈曲部36A,36Bとの間の隙間が小さくなる。そのため、各プラグコンタクト70A,70Bにおける板状接触部76A,76Bの先端側の部分で、差動信号の不必要な反射が生じるのを抑えることができる。また、各レセプタクルコンタクト30A,30Bにおける屈曲部36A,36Bの長さが短くなるため、電気長を短くすることができ、レセプタクルコネクタ10およびプラグコネクタ50(コネクタ装置1)の伝送特性を向上させることが可能になる。
【0079】
上述の実施形態において、第1レセプタクルコンタクト30Aと第2レセプタクルコンタクト30Bの対は、レセプタクルハウジング20の前側および後側に、左右方向に15対ずつ並んで配列保持され、第1プラグコンタクト70Aと第2プラグコンタクト70Bの対は、プラグハウジング60の前側および後側に、左右方向に15対ずつ並んで配列保持されているが、これに限られるものではない。第1レセプタクルコンタクト30Aと第2レセプタクルコンタクト30Bの対の数量と、第1プラグコンタクト70Aと第2プラグコンタクト70Bの対の数量は、仕様に応じて任意の数量に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 コネクタ装置
10 レセプタクルコネクタ
20 レセプタクルハウジング
21 底部(21C 底部側逃げ部)
25A,25B 第1,第2レセプタクル側挿通穴部
26A,26B 第1,第2レセプタクル側保持部
27A,27B 第1,第2レセプタクル側逃げ溝部
30A,30B 第1,第2レセプタクルコンタクト
31A,31B 第1,第2レセプタクル側接合部
32A,32B 第1,第2レセプタクルコンタクト接続部
33A,33B 第1,第2レセプタクル側被保持部
34A,34B 第1,第2レセプタクル側突起部
36A,36B 第1,第2屈曲部
37A,37B 第1,第2先端接触部
50 プラグコネクタ
60 プラグハウジング
61 基部(61C 基部側逃げ部)
65A,65B 第1,第2プラグ側挿通穴部
66A,66B 第1,第2プラグ側保持部
67A,67B 第1,第2プラグ側逃げ溝部
70A,70B 第1,第2プラグコンタクト
71A,71B 第1,第2プラグ側接合部
72A,72B 第1,第2プラグコンタクト接続部
73A,73B 第1,第2プラグ側被保持部
74A,74B 第1,第2プラグ側突起部
76A,76B 第1,第2板状接触部
77A,77B 第1,第2湾曲部