(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】ロール製品包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 75/08 20060101AFI20240522BHJP
B65D 75/62 20060101ALI20240522BHJP
B65D 85/672 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
B65D75/08
B65D75/62 B
B65D85/672
(21)【出願番号】P 2021030296
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光
(72)【発明者】
【氏名】大篭 幸治
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-019571(JP,A)
【文献】特開2016-050026(JP,A)
【文献】特開2013-082468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/08
B65D 75/62
B65D 85/672
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペーパータオルをロール状に巻き取ったロール製品1ロールを樹脂フィルムでキャラメル包装したロール製品包装体であって、
前記ロール製品包装体の天面及び底面に所定のパターンで設けられたヒートシール部と、
前記天面と前記ロール製品包装体の側面の前記ロール製品の幅方向と前記底面とに連続して形成された開封用のミシン目部と、を有し、
前記ミシン目部の引張破断強度が3N/50mm以上53N/50mmであり、
前記ヒートシール部の幅が1mm以上15mm以下である、ロール製品包装体。
【請求項2】
前記ミシン目部は、ミシン目切込部とミシン目非切込部とが交互に配列されたものであり、式:〔前記ミシン目非切込部の合計長さ/(前記ミシン目切込部の合計長さ+前記ミシン目非切込部の合計長さ)×100〕で表される比率Aが25%以上75%以下である、請求項1に記載のロール製品包装体。
【請求項3】
前記ミシン目切込部1個の長さが1mm以上10mm以下、前記ミシン目非切込部1個の長さが1mm以上10mm以下である、請求項2に記載の
ロール製品包装体。
【請求項4】
前記樹脂フィルムの引裂き強度が0.2N以上3.0N以下である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のロール製品包装体。
【請求項5】
前記樹脂フィルムの厚さが20μm以上50μm以下である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のロール製品包装体。
【請求項6】
前記天面及び前記底面において、ほぼ平行に延びる複数のヒートシール部を有し、一のヒートシール部とそれに隣り合う他のヒートシール部との間に位置する非ヒートシール部の幅が1mm以上16mm以下である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のロール製品包装体。
【請求項7】
天面及び底面において、式:〔{(前記ヒートシール部の幅)/(前記ヒートシール部の幅+前記非ヒートシール部の幅)}×100〕で表される比率Bが15%以上75%以下である、請求項6に記載のロール製品包装体。
【請求項8】
前記ペーパータオルの坪量が40g/m
2以上150g/m
2以下である、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のロール製品包装体。
【請求項9】
前記ロール製品のロール密度が0.05g/cm
3以上0.16g/cm
3以下である、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のロール製品包装体。
【請求項10】
前記ペーパータオルの紙厚が200μm以上1300μm以下である、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のロール製品包装体。
【請求項11】
前記ロール製品の巻径が90mmφ以上160mmφ以下である、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のロール製品包装体。
【請求項12】
前記ロール製品包装体中における、式:〔(前記ロール製品の周長/前記
ロール製品包装体の内周長)×100〕で表される、前記ロール製品の周長と前記
ロール製品包装体の内周長との比率Cが70%以上100%以下である、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の
ロール製品包装体。
【請求項13】
前記ロール製品包装体中における、式:〔(前記ロール製品の周長×前記ロール製品のロール密度/前記
ロール製品包装体の内周長)×100〕で表わされる比率Dが5以上16以下である、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の
ロール製品包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール製品包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
紙タオルや不織布製タオル等のペーパータオルをロール状に巻き取ったロール製品を、樹脂フィルムからなる包装袋に収納したロール製品包装体が上市されている。ロール製品包装体に用いる包装袋は樹脂フィルムからなり、包装袋の開封を容易にするために包装袋にミシン目が形成されることが一般的である。開封用ミシン目を形成した包装袋及び包装袋に包装されたロール製品について種々の提案がなされている。
【0003】
特許文献1には、筒状に成形したフィルムの上部及び下部を内側に折り込んで偏平にした状態で上部を幅方向に融着し、その融着部分に沿って立設され、中央に指掛け孔が形成された把手部と、その融着部分から下方に延びる袋本体部とを有する包装袋内に、互いに隣接する二本のロール製品が胴面で接しかつ上下端面が面一となるように並べられた四本のロール製品群が内包されたロール製品包装体において、把手部の上縁と下縁との間から袋本体部に至る開封用ミシン目線が形成され、その開封用ミシン目線の袋本体部における総長さがロール製品の直径と内径との和以上の長さであるロール製品包装体が開示されている。特許文献1によれば、内包されたロール製品を取出しやすい開口を容易に形成でき、しかも、複数個の内の一部を包装体内から取り出した後にも残るロール製品を衛生的に保管できると記載されている。
【0004】
特許文献2には、複数個のロール製品を収容する袋本体部を備える包装袋において、袋本体部は、一方向に直線状に引き裂かれる性質を有するとともに、ガスバリア性を有する樹脂フィルムからなり、一方向に延在する直線状の切れ目を有するノッチが形成された包装袋が開示されている(請求項1、
図1)。特許文献2によれば、ロール製品の保管を適正に行うことができるとともに、より開封し易い包装袋が得られると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-054717号公報
【文献】特開2017-178431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数のロール製品が収納されたロール製品包装体では、1つのロール製品と他のロール製品との間に谷部が生じ、樹脂フィルムが張られた状態になるため、ロール製品の幅方向にミシン目を設けることで開封がし易い。一方で、1つのロール製品を包装したロール製品包装体では谷部が生じないため、開封し難く、容易にロール製品を取り出すことができない場合があるという課題がある。特許文献1、2に記載のロール製品包装体は、複数のロール製品を収容するものであることから、前述の課題を解決することはできない。
【0007】
そこで、開封性を向上させるために、ミシン目の引張破断強度を低くしすぎると、輸送時の衝撃等により、意図しないタイミングで開封してしまうという課題がある。樹脂フィルムの厚さについても、薄くしすぎるとミシン目の誤開封につながり、厚くしすぎると開封性が劣るという別の課題がある。また、中のロール製品について、巻きが柔らかすぎると、開封の際に樹脂フィルムに力が伝わりづらくなるため、ミシン目を開裂しづらく、逆に、巻きが固すぎると、樹脂フィルムが張った状態になり、ミシン目の誤開封の恐れがあるというさらに別の課題がある。
【0008】
また、ロール製品1ロールを包装したロール製品包装体では、包装形態はキャラメル包装が好ましいが、キャラメル包装形態は、キャラメル包装を固定するために、ヒートシール接着部(以下「ヒートシール部」ともいう)のパターンが天面及び底面に存在する。そして、ミシン目とヒートシール部とを交差させたとき、ヒートシール部のパターンとミシン目との成す角度が大きすぎると、ミシン目の開裂がヒートシール部で止まり、ロール製品を包装袋から取出しづらい。一方で、ヒートシール部のパターンとミシン目との成す角度が小さすぎるとヒートシール時にミシン目が意図せず開裂し、穴あき等の不良が起きる可能性がある。
【0009】
さらに、包装の美粧性を確保するために、ヒートシール部のパターンを大きくすると、ミシン目とヒートシール部とがより接しやすくなり、ロール製品包装体からロール製品を取り出すときに、ミシン目の開裂が途中で止まり、取り出しにくくなる。逆に取り出し易さを確保するために、ヒートシール部を減らしすぎると、輸送時の誤開封等の包装不良が起きたり、外観の美粧性が劣ったりする。
【0010】
以上のように、従来の開封用ミシン目を設けたロール製品包装体は、開封のし易さ、誤開封のしにくさ、包装袋内のロール製品の取り出し易さに難がある。
【0011】
本発明の目的は、キャラメル包装され、開封し易く、中のロール製品を容易に取り出すことができ、加工時や輸送時、落下時等の意図しない状況での誤開封を防ぐことができるロール製品包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するための鋭意研究を重ねた結果、ヒートシール部の幅と、開封用のミシン目の引張破断強度とをそれぞれ所定の範囲にすることにより、所望のロール製品包装体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記のロール製品包装体に係る。
【0013】
(1)ペーパータオルをロール状に巻き取ったロール製品1ロールを樹脂フィルムでキャラメル包装したロール製品包装体であって、
前記ロール製品包装体の天面及び底面に所定のパターンで設けられたヒートシール部と、
前記天面から前記底面にかけて前記ロール製品の幅方向に設けられた開封用のミシン目部と、を有し、
前記ミシン目部の引張破断強度が3N/50mm以上53N/50mmであり、
前記ヒートシール部の幅が1mm以上15mm以下である、ロール製品包装体。
(2)前記ミシン目部は、ミシン目切込部とミシン目非切込部とが交互に配列されたものであり、式:〔前記ミシン目非切込部の合計長さ/(前記ミシン目切込部の合計長さ+前記ミシン目非切込部の合計長さ)×100〕で表される比率Aが25%以上75%以下である、上記(1)のロール製品包装体。
(3)前記ミシン目切込部1個の長さが1mm以上10mm以下、前記ミシン目非切込部1個の長さが1mm以上10mm以下である、上記(2)の1ロールフィルムを包装体。
(4)前記樹脂フィルムの引裂き強度が0.2N以上3.0N以下である、上記(1)乃至(3)のいずれかのロール製品包装体。
(5)前記樹脂フィルムの厚さが20μm以上50μm以下である、上記(1)乃至(4)のいずれかのロール製品包装体。
(6)前記天面及び前記底面において、ほぼ平行に延びる複数のヒートシール部を有し、一のヒートシール部とそれに隣り合う他のヒートシール部との間に位置する非ヒートシール部の幅が1mm以上16mm以下である、上記(1)乃至(5)のいずれかのロール製品包装体。
(7)天面及び底面において、式:〔(前記ヒートシール部の幅)/(前記ヒートシール部の幅+前記非ヒートシール部の幅)×100〕で表される比率Bが15%以上75%以下である、上記(6)のロール製品包装体。
(8)前記ペーパータオルの坪量が40g/m2以上150g/m2以下である、上記(1)乃至(7)のいずれかのロール製品包装体。
(9)前記ロール製品のロール密度が0.05g/cm3以上0.16g/cm3以下である、上記(1)乃至(8)のいずれかのロール製品包装体。
(10)前記ペーパータオルの紙厚が200μm以上1300μm以下である、上記(1)乃至(9)のいずれかのロール製品包装体。
(11)前記ロール製品の巻径が90mmφ以上160mmφ以下である、上記(1)乃至(10)のいずれかのロール製品包装体。
(12)前記ロール製品包装体中における、式:〔(前記ロール製品の周長/前記フィルム包装体の内周長)×100〕で表される、前記ロール製品の周長と前記フィルム包装体の内周長との比率Cが70%以上100%以下である、上記(1)乃至(11)のいずれかのフィルム包装体。
(13)前記ロール製品包装体中における、式:〔(前記ロール製品の周長×前記ロール製品のロール密度/前記フィルム包装体の内周長)×100〕で表わされる比率Dが5以上16以下である、上記(1)乃至(12)のいずれかのフィルム包装体。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、キャラメル包装され、開封し易く、中のロール製品を容易に取り出すことができ、加工時や輸送時、落下時等の意図しない状況での誤開封を防ぐことができるロール製品包装体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るロール製品包装体の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す実施形態に係るロール製品包装体の天面(又は底面)の構成を拡大して示す模式平面図である。
【
図3】
図1に示す実施形態に係る1ロール製品包装体の長手方向に直交する方向の模式断面図である。
【
図4】別の実施形態に係るロール製品包装体の天面(又は底面)の構成を示す模式平面図である。(a)~(d)は、それぞれ別形態の天面(又は底面)を示す。
【
図5】比較例に係るロール製品包装体の天面(又は底面)の構成を示す模式平面図である。
【
図6】ロール製品の1実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0017】
<ロール製品包装体>
図1乃至
図4は、本実施形態のロール製品包装体(以下単に「1ロール包装体」ともいう)1又はその変形例を示す。
図6はロール製品10の一実施形態を示す。
本実施形態の1ロール包装体1は、
図1に示すように、樹脂フィルム(以下単に「フィルム」ともいう)からなる包装袋2に、長尺のペーパータオル14をロール状に巻き取った1プライのロール製品10を1ロール(1個)収容したものである。本実施形態では、ロール製品10の軸方向と、包装袋2を構成する樹脂フィルムのMD方向とが一致するように、ロール製品10が包装袋に収容されている。本実施形態の1ロール包装体1は、天面11及び底面12に形成され、所定のパターンを有するヒートシール接着部(以下単に「ヒートシール部」ともいう)20と、天面11から側面13を経て底面12にかけてロール製品10の幅方向に設けられたミシン目部30と、を有し、後述する各構成を規定することにより、ミシン目部30を開封し易くし、中のロール製品10を容易に取り出すことができるとともに、加工時や輸送時、落下時等の意図しない状況でのミシン目部30の開裂(誤開封)を防止することができる。
各構成の詳細は次のとおりである。
【0018】
1ロール包装体1は、ペーパータオル14をロール状に巻き取った1ロール(1個)のロール製品10を、ロール製品10幅方向両端面がそれぞれ包装袋2の天面11及び底面12と対面するように、樹脂フィルムでキャラメル包装したロール製品包装体である。1ロール包装体10は、天面11及び底面12にキャラメル包装面を有し、さらに前述のように
ヒートシール部20とミシン目部30とを有する。
【0019】
(ヒートシール部)
本実施形態のヒートシール部20は、
図1乃至
図2に示すように、樹脂フィルムからなる包装袋2の天面11及び底面12において、複数の帯状のヒートシール部20が、ほぼ平行に一方向に延びるパターンで形成されている。
図2に示すように、1本のヒートシール部20の幅aは、1mm以上15mm以下、好ましくは2mm以上12mm以下、より好ましくは3mm以上8mm以下である。幅aが1mm未満では、キャラメル包装の接着強度が不十分になり、加工時や輸送時、落下時等の意図しない状況でのフィルムの誤開封が起こりやすくなる傾向がある。幅aが15mmを超えると、ミシン目部30を本実施形態に規定のように構成しても、ミシン目部30を開封しにくくなり、ロール製品が取り出しにくくなる傾向がある。
【0020】
好ましい実施形態では、天面11及び底面12に形成されたほぼ平行に延びる複数のヒートシール部20において、
図2に示すように、一のヒートシール部20とそれに隣り合う他のヒートシール部20との間に位置する非ヒートシール部21の幅bが1mm以上16mm以下、より好ましくは2mm以上13mm以下、さらに好ましくは3mm以上9mm以下である。幅bが1mm未満では、相対的にヒートシール部20の幅aが大きくなりすぎ、ミシン目部30を本実施形態に規定のように構成しても、ミシン目部30を開封しにくくなり、ロール製品が取り出しにくくなる傾向がある。幅bが16mmを超えると、相対的にヒートシール部20の幅aが小さくなりすぎ、キャラメル包装の接着強度が不十分になり、加工時や輸送時、落下時等の意図しない状況でのフィルムの誤開封が起こりやすくなる傾向がある。
【0021】
好ましい実施形態では、ヒートシール部20の幅と、非ヒートシール部21の幅とが、次の関係を有している。式:〔{(ヒートシール部20の幅)/(ヒートシール部20の幅+非ヒートシール部21の幅)}×100〕で表される比率B(%)は、例えば、15以上75以下の範囲、28以上71以下の範囲、又は35以上62以下の範囲である。ヒートシール部20の幅、及び非ヒートシール部21の幅を、比率Bの前述の範囲になるように調整することで、フィルムの誤開封を防止し、ミシン目部30の易開封性を高めることができ、また、1ロール包装体1の外観の美麗性を向上させることができる。
【0022】
ヒートシール部20のパターンは本実施形態に限定されず、例えば、
図4に示すように、複数のやや幅狭の帯状のヒートシール部20aがほぼ平行に一方向に延び、隣り合うヒートシール部20a間にヒートシール部20aよりもやや幅広の非ヒートシール部21aが形成されたパターン(
図4(a))、複数のやや幅狭の帯状のヒートシール部20bがほぼ平行に一方向に延び、隣り合うヒートシール部20b間にヒートシール部20bよりもかなり幅広(4倍~5倍程度の幅広)の非ヒートシール部21bが形成されたパターン(
図4(b))、複数のやや幅狭の帯状のヒートシール部20cがほぼ平行に一方向に延び、隣り合うヒートシール部20c間にヒートシール部20cよりもかなり幅狭の非ヒートシール部21cが形成されたパターン(
図4(c))、複数のやや幅狭の破線状のヒートシール部20dがほぼ平行に一方向に延び、隣り合うヒートシール部20d間にヒートシール部20dよりも幅広(2倍~3倍程度の幅広)の非ヒートシール部21dが形成されたパターン(
図4(d))等が挙げられ、さらに、平行に延びた一群の複数のヒートシール部20と平行に延びた他群の複数のヒートシール部20とが垂直に交差した格子状のパターン、幅寸法の異なる2種のヒートシール部20が交互にかつ平行に延びるパターン等が挙げられる。なお、
図5に示すように、天面(又は底面)1Aの全面をヒートシール部40にすると、ミシン目部30を開封するときに、ミシン目部30が天面(又は底面)1Aと側面との境界領域等で開裂が止まり、中のロール製品10の易取り出し性が低下する。
【0023】
(ミシン目部)
本実施形態のミシン目部30は、包装袋2を構成する樹脂フィルムを厚み方向に貫通するミシン目切込部と、該樹脂フィルムがそのまま残るミシン目非切込部とが交互に直線状に配列されたものである。ミシン目切込部1個の長さは、例えば、1mm以上10mm以下の範囲、2mm以上9mm以下の範囲、又は3mm以上8mm以下の範囲である。また、非ミシン目切込部1個の長さは、例えば、1mm以上10mm以下の範囲、2mm以上9mm以下の範囲、又は3mm以上8mm以下の範囲である。ミシン目切込部及び非ミシン目切込部の各1個の長さを前述の範囲から選択することで、例えば、後述するミシン目部30の引張破断強度を所定の範囲に調整しやすくなる。ミシン目部30におけるミシン目切込部とミシン目非切込部との配列は、曲線状でもよいが、好ましくは直線状である。
【0024】
ミシン目部30の引張破断強度は、3N/50mm以上53N/50mm以下の範囲、好ましくは8N/50mm以上41.5N/50mm以下の範囲、より好ましくは15.5N/50mm以上28N/50mm以下の範囲である。ミシン目部30の引張破断強度を前述の範囲とすることで、1ロール包装体1からロール製品10を取り出すときに、大きな力を必要とすることなく、ロール製品10を取り出しやすい大きさの開口が形成されるように開封できるとともに、ミシン目部30の不要なときの不意の開裂を防止することができる。ミシン目部30の引張破断強度が3N/50mm未満では、ミシン目部30が不要なときに不意に開裂しやすくなる傾向があり、53N/50mmを超えると、ヒートシール部20の幅aを前述の所定の範囲に設定しても、円滑な開封ができなかったり、開口がロール製品10の取り出しやすい大きさにならなかったりする傾向がある。なお、ミシン目部30の引張破断強度は、例えば、樹脂フィルムの材質や厚さ、ミシン目切込部及びミシン目非切込部の各1個当たりの長さ等を選択することにより調整できる。
【0025】
ミシン目部30の引張破断強度は、例えば、テンシロン万能試験機 STB-1225S(株式会社エー・アンド・デイ社製)を用いて、JIS P 8113に準拠した方法により測定することができる。試験片の幅方向(テンシロン万能試験機の引張方向と直交する方向)寸法は50mm、つかみ具間距離は100mm、引張速度は300mm/min、測定温度は23℃、相対湿度50%、引張方向はフィルムのTD方向(ミシン目が引張方向に対して垂直となる方向)とする。引張破断強度の測定は6回行い、平均値を表1~3に示す。
【0026】
好ましい実施形態では、式:〔{ミシン目非切込部の長さ/(ミシン目切込部の長さ+ミシン目非切込部の長さ)}×100〕で表される比率A(%)が25%以上75%以下の範囲、33%以上67%以下の範囲、又は40%以上60%以下の範囲である。比率Aを前述の範囲とすることで、例えば、ミシン目部30を開封するときの切り離しやすさと、ミシン目部30の不要な開裂防止性とを高水準で両立できる。ここで、ミシン目切込部の長さとはミシン目部30の全長におけるミシン目切込部の合計長さを意味し、ミシン目非切込部の長さとはミシン目部30の全長におけるミシン目非切込部の合計長さを意味する。
【0027】
別の実施形態のミシン目部30は、包装袋の天面11及び底面12には形成されず、包装袋2の側面の所定領域に形成される。
【0028】
本実施形態では、ミシン目部30の大部分が、ロール製品10の側面13に設けられていることにより、段ボール箱へ梱包して運搬する際に、段ボール箱の内面又は1ロール包装体1とミシン目部30との接触面積が小さくなることから、この点でも、意図しないミシン目部30の開封を防止することができる。また、本実施形態の1ロール包装体1は、MD方向よりも樹脂フィルムの強度が低いTD方向がロール製品10の軸周長方向になるように包装されている。そのため、意図せずにミシン目が誤開封する恐れがある。しかし、本実施形態のようにミシン目の引張破断強度及びミシン目部30とヒートシール部20のパターンと幅を規定することで、ミシン目の開封のし易さとロール製品の取出し易さとが良好となる。
【0029】
<ロール製品>
図6は、本実施形態に係るロール製品10の外観を模式的に示す斜視図である。本実施形態のロール製品10は、ペーパータオル14をロール状に巻取った1プライのロールであるが、これに限定されず、2プライ以上のペーパータオル14をロール状に巻き取るように構成してもよい。ロール製品10には、中心部に円筒形の紙芯、円筒状空間等のコア15を有するものであり、外径(巻径)がDR、コア15の外径がDIである。また、ペーパータオル14の2つの表面のうち、ロール製品10の外方を臨む表面をペーパータオル14の表面14a、ロール製品10のコア15を臨む表面をペーパータオル14の裏面14bともいう。以下は、ロール製品10としての代表的な特性である。これらの特性を所定の範囲に調整することで、本実施形態の、開封し易さと、不要なときのミシン目部30の不意の開裂防止という効果が一層良好なものとなる。
【0030】
(巻長)
ロール製品10の巻長は、例えば、7m以上23m以下の範囲、10m以上20m以下の範囲、又は13m以上18m以下の範囲である。ロール製品10の巻長が7m未満では、ロール製品10の巻径が小さくなり、開封の際にミシン目部30に力を入れづらくなるため、ミシン目部30が開けにくくなる傾向がある。ロール製品10の巻長が23mを超えると巻径が大きくなり手に持ちづらく、ミシン目部30を開封しづらくなる傾向がある。本実施形態によれば、ロール製品10の巻長を前述の範囲に調整することで、ロール製品10のミシン目部30を開封し易くすることができる。
【0031】
(巻径)
ロール製品10の巻径(巻直径DR)は、例えば、90mm以上160mm以下の範囲、100mm以上140mm以下の範囲、又は110mm以上130mm以下の範囲である。ロール製品10の巻径が90mm未満であると、開封の際にミシン目部30に力を入れづらくなるため、ミシン目部30を開封しにくくなる傾向がある。一方、巻径が160mmを超えると、手に持ちづらく、ミシン目部30を開封しづらくなる傾向がある。本実施形態によれば、ロール製品10の巻径を前述の範囲に調整することで、ロール製品10のミシン目部30を開封し易くすることができる。
【0032】
(周長)
ロール製品10の周長は、未使用のロール製品10の円周方向の長さであり、例えば、310mm以上530mm以下の範囲、330mm以上470mm以下の範囲、又は350mm以上420mm以下の範囲である。本実施形態によれば、ロール製品10のミシン目部30の開封しやすさ、ミシン目部30の不要な場合の破断防止等を両立できる。周長が310mm未満では、開封の際にミシン目部30に力を入れづらくなるため、ミシン目部30を開封しにくくなる傾向があり、530mmを超えると、ミシン目部30が開封しにくくなったり、ミシン目部30の不要な破断が生じたりする傾向がある。
【0033】
(ロール密度)
ロール製品10のロール密度は、例えば、0.05g/cm3以上0.16g/cm3以下の範囲、0.07g/cm3以上0.14g/cm3以下の範囲、又は0.09g/cm3以上0.12g/cm3以下の範囲である。ロール製品10のロール密度は次の方法により求めることができる。まず、ロール密度は、式:ロール質量/[{ロールの外径(巻直径DR)部分の断面積}-(コア外径DI部分の断面積)]×ロール幅(275mmを基準にして換算)から求められる。例えば、ロール幅275mmあたりのロール質量が327g、巻直径DR122mm、コア外径DIが39mmの場合、ロール密度=327g÷[{3.14×(122mm÷2÷10)2-3.14×(39mm÷2÷10)2}×(275mm÷10)]=0.11g/cm3となる。なお、ロール製品10にコア15が無い場合は、中心孔の直径をコア外径DIとする。また、ロール質量はコアの質量を除く。
【0034】
ロール密度が0.05g/cm3未満であると、巻径が大きくなりミシン目部30を開封しづらくなる傾向がある。また、内巻の巻付け力が弱くなり過ぎて、ロールの内巻側が軸方向に飛び出して不良品が生じる場合もある。一方、ロール密度が0.16g/cm3を超えると、ロール製品10が変形しづらく、フィルムが張った状態になり、落下時等でのフィルムの誤開封につながる傾向がある。本実施形態によれば、ロール製品10のロール密度(ロール密度)を前述の範囲に調整することで、ミシン目部30を開封し易くすることができ、また誤開封を防止することができる。
【0035】
(コア外径)
ロール製品10の中心にあって、ペーパータオル14を巻き付けるための断面視ほぼ円形のコア15であり、ロール製品10としては、紙管を挿入したもの、中空部分のもの等がある。コア外径は、前述のコア部分(紙管、中空部分など)の外径である。コア外径は、例えば、30mm以上60mm以下の範囲、34mm以上55mm以下の範囲、又は37mm以上50mm以下の範囲である。本実施形態によれば、1つのロール製品1に、その使用期間中に変質をきたさない量のペーパータオル14を巻き付けることができる。また、ロール製品10の巻径が必要以上に大きくならないので、ミシン目部30の開封し易さが保持される。
なお、ロール製品10のロール幅は例えば180mm以上350mm以下の範囲、210mm以上325mm以下の範囲、又は240mm以上300mm以下の範囲である。
【0036】
好ましい実施形態では、
図3に示すように、1ロール包装体1において、ロール製品10の周長xと1ロール包装体1の内周長yとの比率Cは、例えば、70%以上100%以下の範囲、80%以上100%以下の範囲、又は90%以上100%以下の範囲である。ここで、比率C(%)=(ロール製品10の周長x/1ロール包装体1の内周長y)×100、である。比率Cを前述の範囲とすることで、ロール包装体1のミシン目部30の開封し易さが保持されるとともに、ミシン目部30が意図せず開裂することを防止できる。なお、1ロール包装体1の包装袋2の内周長yは、例えば、310mm以上530mm以下の範囲、330mm以上470mm以下の範囲、又は350mm以上420mm以下の範囲である。
【0037】
別の好ましい実施形態では、1ロール包装体1において、比率Dは、例えば、5%以上16%以下の範囲、7%以上14%以下の範囲、又は9%以上12%以下の範囲である。ここで、比率D(%)=〔(ロール製品10の周長×ロール製品10のロール密度)/1ロール包装体1の内周長〕×100、である。比率Dを前述の範囲とすることで、例えば、ロール包装体1のミシン目部30の開封し易さが保持されるとともに、ミシン目部30が意図せず開裂することを防止できる。
【0038】
<ペーパータオル>
(材質)
本実施形態で使用するペーパータオル14は、合成繊維及びパルプ繊維を含有することが好ましい。合成繊維としては、例えば、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の合成樹脂からなる合成繊維が挙げられる。これらの中でも、ミシン目部30の開封性が良好である本実施形態の1ロール包装体1を得る観点から、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等が好ましく、ポリプロピレン繊維がより好ましい。ペーパータオル14は、合成繊維を含む不織布でもよい。不織布としては特に制限されないが、スパンボンド不織布等が好ましい。また、パルプ繊維としては、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)の含有率は、例えば、50質量%以上100質量%以下の範囲、70質量%以上100質量%以下の範囲、又は90質量%以上100質量%以下の範囲であり、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)の含有率が、例えば、50質量%以下の範囲、30質量%以下の範囲、又は10質量%以下の範囲である。NBKPとしては、例えば、ラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、ロッジポールパイン、スプルース及びダグラスファーからなる繊維が好ましい。なお、NBKPの代わりにNUKP、LBKPの代わりにLUKPを用いることもできる。このとき、ペーパータオル14における合成繊維の含有割合は、例えば、5%以上45%以下の範囲、9%以上38%以下の範囲、又は12%以上28%以下の範囲である。また、ペーパータオル14におけるパルプ繊維の含有割合は、例えば、55%以上95%以下の範囲、62%以上91%以下の範囲、又は72%以上88%以下の範囲である。
【0039】
このような合成繊維とパルプ繊維とを含有するペーパータオル14とした場合、巻径やロール密度が適切な範囲となり、ミシン目部30の開封し易さが保持されるとともに、ミシン目部30が意図せず開裂することを防止できる。
【0040】
(シート長さ)
ペーパータオル14のロール製品10の幅方向(CD方向)のシート長さは、例えば、180mm以上350mm以下の範囲、210mm以上325mm以下の範囲、又は240mm以上300mm以下の範囲である。ペーパータオル14のCD方向の長さを前述の範囲とすることで、ロール製品10を取出し易くすることができる。また、ペーパータオル14のCD方向に直交するMD方向(ピッチ)の長さは、例えば、160mm以上330mm以下の範囲、180mm以上305mm以下の範囲、又は200mm以上280mm以下の範囲である。ペーパータオル14のMD方向の長さを前述の範囲とすることで、巻径が適切な範囲となり、ミシン目部30の開封のし易さが良好となる。
【0041】
(坪量)
ペーパータオル14の1プライあたりの坪量は、例えば、40g/m2以上150g/m2以下の範囲、48g/m2以上100g/m2以下の範囲、又は55g/m2以上80g/m2以下の範囲である。本実施形態によれば、ペーパータオル14の1プライあたりの坪量を前述の範囲に調整することで、巻径が適切な範囲となり、ミシン目部30が開封し易くなり、意図しないミシン目部30の開封を防止することができる。ペーパータオル14の1プライあたりの坪量が40g/m2未満であると、巻径が小さくなり、開封の際にミシン目部30に力を入れづらくなるため、ミシン目部30を開封しにくくなる傾向がある。一方、坪量が150g/m2を超えると、ロール質量が大きくなり、落下時や加工時等において、ミシン目部30にかかる負荷が大きくなるため、意図しないミシン目部30の開封が起こり易くなる。
次に、ペーパータオル14の主な特性について説明する。
【0042】
(紙厚)
ペーパータオル14の1プライあたりの紙厚は、例えば、200μm以上1300μm以下の範囲、300μm以上1100μm以下の範囲、又は400μm以上900μm以下の範囲である。本実施形態によれば、ペーパータオル14の使い勝手を向上させ、使用中に不必要に破れたりせず、ロール製品10の交換頻度を低くして、意図しないミシン目部30の開封を防止することができる。ペーパータオル14の10プライあたりの紙厚が200μm未満であると、巻径が小さくなり、開封の際にミシン目部30に力を入れづらくなるため、ミシン目部30を開封しにくくなる傾向がある。また、紙厚が1300μmを超えると、巻径が大きくなり、ロール製品が持ちにくくなるため、ミシン目部30の開封性が劣る傾向がある。
【0043】
ペーパータオル14の1プライあたりの坪量及び1プライ当たりの紙厚を前述の範囲に調整する方法としては、原紙ウェブのカレンダー条件(カレンダー処理後の紙厚及び比容積、カレンダー処理前後の紙厚差)及びエンボス条件を規定する方法が挙げられる。
【0044】
ペーパータオル14の1プライあたりの比容積は、例えば、5cm3/g以上15cm3/g以下の範囲、6cm3/g以上13cm3/g以下の範囲、又は7cm3/g以上11cm3/g以下の範囲である。比容積は、ペーパータオル14の厚さをペーパータオル14の坪量で除することにより求められる。本実施形態によれば、ペーパータオル14の比容積を前述の範囲に調整することで、ミシン目部30の開封のし易さと、誤開封のしにくさとを一層高水準で両立させることができる。ペーパータオル14の比容積が5cm3/g未満では、ミシン目部30の開封し易さが劣る傾向があり、15cm3/gを超えると、誤開封が起こり易くなる傾向がある。
【0045】
(エンボスパターン)
本実施形態のペーパータオル14は、エンボス加工が施されていてもよい。エンボス加工では、マッチドスチール(スチールマッチ)による熱エンボス処理をロールワインダにて実施することが好ましい。なお、エンボス単体の形状は特に制限されず、例えば、円形、楕円形、長方形、正方形、花柄、多角形、文字、線、ロゴ等が挙げられる。これらの中でも、本実施形態のような所定の巻径で、ミシン目が開封し易い1ロール包装体1を得るには、六角形状が好ましい。エンボスパターンの深さは、例えば、0.05mm以上2mm以下の範囲、0.2mm以上1.5mm以下の範囲、又は0.3mm以上1.0mm以下の範囲である。エンボスパターンの深さは、例えば、特開2017-131545号公報に記載の方法により測定することができる。
【0046】
(ペーパータオル及びロール状ペーパータオルの製造方法)
ペーパータオル14及びロール製品10の製造方法としては、ペーパータオル14が合成繊維及びパルプ繊維を含むキッチンタオルである場合は、例えば(1)所定のスパンボンド不織布にパルプ繊維を積層して水流交絡、(2)エンボス処理、(3)ロール巻取り加工の順で製造することができる。
このとき、製造方法の(1)水流交絡において、合成繊維にパルプ繊維を水流交絡することで、合成繊維及びパルプ繊維を含む不織布を得る。水流交絡の方法に関しては、例えば、特開2018-193634号公報に記載された方法で行うことが好ましい。
【0047】
<包装袋>
ロール製品10は、本実施形態では、樹脂フィルムからなる包装袋2により、ロール製品10の表面形状に追従するように包装されており、包装形態は、キャラメル包装である。キャラメル包装は公知であり、ロール製品10の一方向に沿って延びる樹脂フィルムを、この方向と交差する方向にロール製品10を巻き込み、又はあらかじめ筒状に形成された樹脂フィルムの軸方向の一端からロール製品10を入れる。そして、ロール製品10の両端側からはみ出た樹脂フィルムのうち、対向する2つのフラップ状の辺を互いに折り畳み、次に別の対向する2つのフラップ状の辺を同様に互いに折り畳み、これら折り畳み部分を熱融着等で封止する。熱融着で封止された領域は
図1のヒートシール部20で示す部分である。
【0048】
包装袋2を構成する樹脂フィルムは、単層で形成されてもよく複層で形成されてもよい。樹脂フィルムの材質は、リサイクルに適した熱可塑性樹脂であることが好ましい。具体的には、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレン等)、ポリエステル(PET等)、ポリアミド(ナイロン等)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの中でも、本実施形態の効果を十分に発揮させる観点から、ポリエチレンフィルムが好ましい。
【0049】
樹脂フィルムの厚みは、例えば、20μm以上50μm以下の範囲、25μm以上45μm以下の範囲、又は30μm以上40μm以下の範囲である。樹脂フィルムの厚みが20μm未満であると、包装加工における熱融着時にフィルムの誤開封が起こりやすくなり、50μmを超えるとミシン目部30を開封しづらくなる傾向がある。本実施形態によれば、包装袋を構成する樹脂フィルムの厚みを前述の範囲に調整することで、包装加工における熱融着時にフィルムの誤開封が起こりにくく、また、ミシン目部30を開封し易くすることができる。樹脂フィルムの厚みは、JIS K 7130に準拠して測定できる。
【0050】
樹脂フィルムの引張破断強度は、例えば、5N/10mm以上20.5N/10mm以下の範囲、9N/10mm以上19.5N/10mm以下の範囲、又は12N/10mm以上18N/10mm以下の範囲である。樹脂フィルムの引張破断強度を前述の範囲とすることで、誤開封の危険性が一層低下する傾向がある。樹脂フィルムの引張破断強度は、JIS K 7127に準拠して測定できる。
【0051】
樹脂フィルムの引裂き強度は、例えば、0.2N以上3.0N以下の範囲、0.3N以上2.0N以下の範囲、又は0.4N以上1.0N以下の範囲である。樹脂フィルムの引裂き強度を前述の範囲とすることで、ミシン目部30の開封のし易さと、誤開封のしにくさとを両立させることができる。フィルム引裂き強度は、JIS K 7128-2に準拠して測定できる。また、本実施形態における引裂き強度は、フィルムのMD方向(包装時にロール製品の幅方向に平行となる方向)に引裂いた場合の強度を言う。
【0052】
以上、本発明を、実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の発明の範囲には限定されないことは言うまでもなく、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【実施例】
【0053】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をさらに具体的に説明する。
【0054】
(実施例1~25及び比較例1~7)
(1)ポリプロピレンのスパンボンド不織布にパルプ繊維を積層して水流交絡、(2)エンボス処理、(3)ロール巻取り加工の工程を経て、表1乃至表3に示すペーパータオル及びロール製品を作製した。このとき、(1)水流交絡において、特開2018-193634号公報に記載された方法に従って、合成繊維にパルプ繊維を水流交絡することで、合成繊維及びパルプ繊維を含む不織布を得た。また、(2)エンボス処理において、エンボス加工では、マッチドスチール(スチールマッチ)による熱エンボス処理をロールワインダにて実施した。また、エンボス単体の形状は六角形状であった。次に、キャラメル包装機(型式:CASMATIC CMW525、FABIO PERINI社製)を用い、あらかじめミシン目が施されたポリエチレンからなる包装フィルム袋により、ロール製品の表面形状に追従しかつ天面から側面を経由して底面に至るミシン目部が形成されるように、1個のロール製品をキャラメル包装し、さらに、その天面及底面には複数の帯状のヒートシール部15本がほぼ平行にかつほぼ等間隔に並列されたパターンでヒートシール部を形成し、1ロール包装体を作製した。得られた1ロール包装体では、ロール製品の軸方向が、包装袋を構成するフィルムのMD方向と一致していた。
【0055】
上記のように作製した実施例及び比較例について、以下の測定を行った。なお、各測定は、JIS P 8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行った。
【0056】
坪量:JIS P8124に基づいて測定し、シート1枚あたりに換算した。
【0057】
紙厚:シックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。測定条件は、測定荷重3.7kPa、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取る。また、測定を10回繰り返して測定結果を平均した。なお、測定は3枚のペーパータオルを重ねて測定し、値を1/3にして、紙厚の値とした。
【0058】
巻長:幅方向に延びるミシン目が長手方向に所定の間隔を空けて設けられているペーパータオルについては、1つのミシン目とそれに隣り合うミシン目との間のシートについて、10シート分の長さを実測した。その後、ロールのシート数を実測し、巻長は10シート分の長さとシート数から比例計算で求めた。例えば、10シート分の長さが1.515m、シート数が330シートの場合、1.515m×(330/10)=50mとなる。なお、ペーパータオルにミシン目がない場合は、実測することにより巻長を求めた。
【0059】
ロールの巻直径DR、コア外径DI:ムラテックKDS株式会社製ダイヤメータールールを用いて、10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
【0060】
ロール密度については、上記の方法により10個のロールを測定し、測定結果を平均した。ミシン目の引張破断強度は、10個の1ロール包装体について測定し、測定値の平均値を求めた。
【0061】
実施例および比較例の1ロール包装体について、以下の項目の評価を行った。各項目について、◎、○、△を合格とした。
<ミシン目の開封のしやすさ>
各1ロール包装体を側面のミシン目を中心に両手で持ち、親指で左右に開裂する動作をモニター20人が行い、その結果を基に、以下の基準で評価した。
◎:「よい」と感じた人が18人以上20人以下のとき
○:「よい」と感じた人が14人以上17人以下のとき
△:「よい」と感じた人が10人以上13人以下のとき
×:「よい」と感じた人が6人以上9人以下のとき
××:「よい」と感じた人がいないか、1人以上5人以下のとき
【0062】
<誤開封のしにくさ>
1ロール包装体を軸方向に垂直に立て、段ボールに12個並べて梱包し、上下、左右50cm間を1往復/秒でそれぞれ1分間振動させた。これを10回行い(合計120本で評価する)、その後、ミシン目部の誤開封について評価した。段ボールの内寸は、長辺方向:ロール製品の巻径×4、短辺方向:ロール製品の巻径×3とした。包装体の全本数に対する誤開封が発生した包装体の本数の割合(百分率、%)=(誤開封が発生した包装体の本数/包装体の全本数)×100を求め、以下の基準で評価した。
◎:1%以下
〇:2%以上5%以下
△:6%以上9%以下
×:10%以上15%以下
××:15%以上
【0063】
<ロール製品の取り出し易さ>
ミシン目を開封して形成された開口から、ロール製品が開口の一部に引っかかったりすることなく、ロール製品を取り出し得るかをモニター20人の評価を基に、以下の基準で評価した。
◎:「よい」と感じた人が18人以上20人以下のとき
○:「よい」と感じた人が14人以上17人以下のとき
△:「よい」と感じた人が10人以上13人以下のとき
×:「よい」と感じた人が6人以上9人以下のとき
××:「よい」と感じた人がいないか、1人以上5人以下のとき
【0064】
<包装の美粧性>
モニター20人が1ロール包装体の外観を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:「よい」と感じた人が18人以上20人以下のとき
○:「よい」と感じた人が14人以上17人以下のとき
△:「よい」と感じた人が10人以上13人以下のとき
×:「よい」と感じた人が6人以上9人以下のとき
××:「よい」と感じた人がいないか、1人以上5人以下のとき
結果を表1から表3に示す。
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
表1~表3から、1ロール包装体の天面及び底面において、ヒートシール部の幅を所定の範囲とし、かつミシン目部の引張破断強度を所定の範囲とすることで、ミシン目の開封のし易さ、誤開封のしにくさ及びロール製品の取り出し易さという3つの特性を高水準で併せ持つ1ロール包装体が得られることが分かる。
【符号の説明】
【0069】
1 ロール製品包装体(1ロール包装体)
2 包装袋
10 ロール製品
11 天面
12 底面
13 側面
14 ペーパータオル
15 コア
20、20a、20b、20c、20d ヒートシール部
21、21a、21b、21c、21d 非ヒートシール部
30 ミシン目部