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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】ジブクレーン装置
(51)【国際特許分類】
   E01D 21/00 20060101AFI20240522BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20240522BHJP
   E04G 3/24 20060101ALI20240522BHJP
   B66C 23/02 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
E01D21/00 A
E01D22/00 A
E04G3/24 302H
B66C23/02 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021032486
(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公開番号】P2022133675
(43)【公開日】2022-09-14
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 清志
(72)【発明者】
【氏名】市澤 泰之
(72)【発明者】
【氏名】中島 真
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特許第6786070(JP,B2)
【文献】特開平10-176420(JP,A)
【文献】特開2002-235437(JP,A)
【文献】特開昭63-315492(JP,A)
【文献】特開2016-199997(JP,A)
【文献】実開昭48-096660(JP,U)
【文献】特開昭61-122369(JP,A)
【文献】特開昭62-023468(JP,A)
【文献】特開平08-245174(JP,A)
【文献】特開平08-099795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 21/00
E01D 22/00
E04G 3/24
B66C 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁の主桁に取り付けられるジブクレーン装置であって、
鉛直方向に延びる支柱と、
前記支柱に水平面内において回動可能に取り付けられるアーム部と、
前記アーム部に取り付けられ、前記アーム部の長手方向に移動可能な揚重機と、
前記主桁の長手方向に向かって延び、前記主桁の下面に着脱可能に取り付けられる水平部材と、前記水平部材の一端部から垂下して延び、その側面に前記支柱が着脱可能に取り付けられる垂下部材と、前記水平部材と前記垂下部材とを斜めに繋ぐ斜め部材とがそれぞれ固定されてなる第1の保持部とを備えることを特徴とするジブクレーン装置。
【請求項2】
前記主桁の長手方向と直交する方向に向かって延び、前記主桁の下面に着脱可能に取り付けられる水平部材と、前記水平部材の一端部から垂下して延び、その側面に前記支柱が着脱可能に取り付けられる垂下部材と、前記水平部材と前記垂下部材とを斜めに繋ぐ斜め部材とがそれぞれ固定されてなる第2の保持部を備え、
前記第1の保持部と前記第2の保持部とが、前記支柱を介して一体に形成されることを特徴とする請求項1に記載のジブクレーン装置。
【請求項3】
前記主桁は、下端にフランジ部を有し、前記第1の保持部又は前記第2の保持部の前記水平部材は前記フランジ部に支持されることを特徴とする請求項2に記載のジブクレーン装置。
【請求項4】
前記主桁の前記フランジ部と前記第1の保持部又は前記第2の保持部の前記水平部材とは挟み込み部材を介して着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項3に記載のジブクレーン装置。
【請求項5】
前記主桁の前記フランジ部と前記挟み込み部材との間に回動自在なローラが介設され、前記第1の保持部又は第2の保持部を前記主桁の長手方向に移動可能とすることを特徴とする請求項4に記載のジブクレーン装置。
【請求項6】
前記アーム部は、複数のアーム部材が着脱可能に連結されてなることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のジブクレーン装置。
【請求項7】
各前記アーム部材は、前記揚重機が移動可能に支持され、前記アーム部の長手方向に延びるレール部と、前記レール部の上側に位置し、前記アーム部の長手方向に延びる上側部とを有し、各前記アーム部材は前記上側部においてボルト結合されることを特徴とする請求項6に記載のジブクレーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジブクレーン装置、特に橋桁に恒久足場を設置する際に使用される恒久足場パネルを搬送するに適したジブクレーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、橋桁の点検や補修などの作業を行う際に、仮設足場を設置し、作業完了後に撤去していた。しかし、近年、老朽化などのために橋桁を高頻度で点検や補修などの作業を行う必要があり、仮設足場ではなく、恒久足場を設置することが多くなってきている。恒久足場は、橋桁の下方に作業空間を形成するために多数の恒久足場パネルが配置されてなる。
【0003】
特許文献1には、橋梁の鋼桁(主桁)の側面に設置され揺動自在なジブクレーンを用いて、縦送りされてきた恒久足場パネルを吊り下げ、その向きを90度程度回転させることが開示されている。
【0004】
なお、特許文献2には、地下工事の構造物や山止めの壁面に軌道を設け、この軌道に沿って横行する自走式ジブクレーン及び自走式トランスポータを設けることが開示されている。ジブクレーンでトランスポータにおける資材の積み降ろしを行い、トランスポータで資材の搬送を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6786070号公報
【文献】特開平10-176420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術においては、橋梁の鋼桁の側面にジブクレーンの揺動軸(アームの旋回軸)が設置されている。そのため、設置された側と反対側には恒久足場パネルを搬送することができず、設置された側と反対側に恒久足場パネルを搬送するにはジブクレーンを一旦撤去して、設置し直す必要があるので、搬送効率に劣るという問題があった。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、恒久足場パネルの搬送効率の向上を図ることが可能なジブクレーン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のジブクレーン装置は、橋梁の主桁に取り付けられるジブクレーン装置であって、鉛直方向に延びる支柱と、前記支柱に水平面内において回動可能に取り付けられるアーム部と、前記アーム部に取り付けられ、前記アーム部の長手方向に移動可能な揚重機と、前記主桁の長手方向に向かって延び、前記主桁の下面に着脱可能に取り付けられる水平部材と、前記水平部材の一端部から垂下して延び、その側面に前記支柱が着脱可能に取り付けられる垂下部材と、前記水平部材と前記垂下部材とを斜めに繋ぐ斜め部材とがそれぞれ固定されてなる第1の保持部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明のジブクレーン装置によれば、アーム部は第1の保持部の垂下部材が取り付けられる側とは反対側の面において支柱に取り付けられる。これにより、アーム部は、支柱及び第1の保持部と干渉することなく、約180度の回動角度の範囲において回動可能である。そのため、揚重機によって恒久足場パネルの搬送可能な範囲が上記特許文献1に開示された技術と比較して広い。これにより、恒久足場パネルの搬送効率の向上を図ることが可能となる。
【0010】
なお、水平部材は、厳密に水平方向に延びる部材に限定されず、略水平方向又は主桁の下面と平行あるいは略平行方向に延びる部材であればよい。また、垂下部材は、厳密に鉛直方向に延びる部材に限定されず、略鉛直方向又は主桁の下面と直交あるいは略直交方向に延びる部材であればよい。
【0011】
本発明のジブクレーン装置において、前記主桁の長手方向と直交する方向に向かって延び、前記主桁の下面に着脱可能に取り付けられる水平部材と、前記水平部材の一端部から垂下して延び、その側面に前記支柱が着脱可能に取り付けられる垂下部材と、前記水平部材と前記垂下部材とを斜めに繋ぐ斜め部材とがそれぞれ固定されてなる第2の保持部を備え、前記第1の保持部と前記第2の保持部とが、前記支柱を介して一体に形成されることが好ましい。
【0012】
この場合、第1の保持部に加えて、第2の保持部により、恒久足場パネルを搬送する揚重機を移動可能に支持するアーム部が回転可能に取り付けらえる支柱を支持するので、アーム部をさらに安定的に支持することが可能となる。特に、第2の支持部の水平部材は第1の支持部の水平部材とは直交するように主桁の下面に取り付けられるので、アーム部の回転力を受ける支柱を安定的に支持することができる。
【0013】
また、本発明のジブクレーン装置において、前記主桁は、下端にフランジ部を有し、前記第1の保持部又は前記第2の保持部の前記水平部材は前記フランジ部に支持されることが好ましい。
【0014】
この場合、両フランジ部を当接した状態でこれらフランジ部同士を連結すればよいので、両フランジ部同士を着脱可能に取り付ける構成の簡易化を図ることが可能となる。
【0015】
また、本発明のジブクレーン装置において、前記主桁の前記フランジ部と前記第1の保持部又は前記第2の保持部の前記水平部材とは挟み込み部材を介して着脱可能に取り付けられることが好ましい。
【0016】
この場合、主桁のフランジ部及び第1の保持部又は第2の保持部の水平部材に加工などを行うことなく、これらを着脱可能に取り付けることができるので、強度低下などが生じることの抑制を図ることが可能となる。
【0017】
また、本発明のジブクレーン装置において、前記主桁の前記フランジ部と前記挟み込み部材との間に回動自在なローラが介設され、前記第1の保持部又は前記第2の保持部を前記主桁の長手方向に移動可能とすることが好ましい。
【0018】
この場合、第1の保持部又は第2の保持部の水平部材を主桁の下面から取り外した状態で、ジブクレーン装置を主桁に対して主桁の長手方向に移動することが容易となる。これにより、揚重機によって恒久足場パネルの搬送可能な範囲を主桁の長手方向に移動させることの容易化を図ることが可能となる。
【0019】
また、本発明のジブクレーン装置において、前記アーム部は、複数のアーム部材が着脱可能に連結されてなることが好ましい。
【0020】
この場合、アーム部が干渉することにより恒久足場パネルの搬送可能な範囲が制限されることを抑制することが可能となる。さらに、複数のアーム部材に分割して運搬することが可能になるので、ジブクレーン装置の運搬の容易化を図ることが可能となる。
【0021】
また、本発明のジブクレーン装置において、各前記アーム部材は、前記揚重機が移動可能に支持され、前記アーム部の長手方向に延びるレール部と、前記レール部の上側に位置し、前記アーム部の長手方向に延びる上側部とを有し、各前記アーム部材は前記上側部においてボルト結合されることが好ましい。
【0022】
この場合、アーム部の長手方向に略全体に亘ってレール部を揚重機が移動可能であるとともに、複数のアーム部材を簡易に結合することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係るジブクレーン装置を橋梁の主桁の下面に取り付けた状態を示す模式側面図。
図2】ジブクレーン装置を橋梁の主桁の下面に取り付けた状態を示す模式上面図。
図3】締め付け部材による取り付け状態を示す模式部分拡大側面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係るジブクレーン装置100について図1から図3を参照して説明する。ジブクレーン装置100は、作業者が操作して、橋梁10に恒久足場を構築する際に使用される恒久足場パネル11を設置箇所近傍まで搬送する際に使用される。ただし、ジブクレーン装置100は、恒久足場の側面部を構築する際に使用される恒久側面パネルなどを搬送するために使用してもよい。なお、図1から図3は本実施形態を模式的に説明するための図であり、寸法はデフォルメされている。
【0025】
恒久足場は、高架道路や高架鉄道などの橋梁10の床版12の下方に作業員が作業可能な所定の作業空間が形成されるように設置される。作業者は、この作業空間に入って橋桁10の点検や補修などの作業を行う。恒久足場は、作業時に資材や工具などが下方の道路などに落下しないように、複数枚の恒久足場パネル11が床版12の下面の略全面を覆うように設けられる。
【0026】
ここでは、橋梁10が箱桁橋(ボックスガーダ橋、プレートガーダ橋)であって、主桁13が4枚の鋼板を溶接するなどによって箱形の断面に組み立ててなる箱桁である場合について説明する。ただし、橋梁10の主桁13の構成はこれにより限定されない。例えば、橋梁10は、3枚の鋼板を溶接するなどによってI字形の断面に形成された主桁を有するI桁橋や、圧延H形鋼(非溶接構造)を用いた主桁を有するHビーム桁橋などであってもよい。
【0027】
恒久足場パネル11は、図示しないが、橋桁10の主桁13から垂下するように配設したH形鋼などからなる架設部材に固定部材を介して固定される。架設部材によって複数本の縦梁が橋軸方向に沿って平行に主桁13に支持されており、これら縦梁の下端に橋軸方向と直交する方向に平行に複数本の横梁が取り付けられている。固定部材はこれら縦梁と横梁とから構成される。
【0028】
恒久足場パネル11は、所定の大きさを有する略矩形板状であり、詳細は図示しないが、枠部材及びこの枠部材に取り付けられ、多数の透孔を有する板部材がアルミニウムやアルミニウム合金などの金属製からなり、必要に応じてグラスウールからなる吸音材などが枠部材の内部に収容されてなるものである。
【0029】
ジブクレーン装置100は、橋梁10の主桁13の下面13a、具体的には主桁13の下フランジの下面13aに取り付けられる。ここでは、橋梁10が箱桁橋であるので、主桁13の下フランジは、主桁13を構成する鋼板のうち下側に位置する鋼板である。なお、橋梁がI桁橋である場合、主桁の下フランジは、I型鋼の下方に位置するフランジ部となる。また、橋梁がHビーム桁橋である場合、主桁の下フランジはH型鋼の下方に位置するフランジ部となる。
【0030】
ジブクレーン装置100は、支柱110、第1の保持部120、第2の保持部130、アーム部(ジブ部)140、揚重機150などから構成されている。
【0031】
ジブクレーン装置100は、主桁13の長手方向(橋軸方向)に延びる搬送用レール(不図示)上を移動する台車(不図示)により搬送されてきた恒久足場パネル11を、作業員が、揚重機150を用いて吊り上げ、その後、アーム部140を回動させると共に揚重機150をアーム部140に沿って移動させて、適宜の箇所に搬送した後に、吊り上げを解除するものである。
【0032】
支柱110は、鉄鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金などの金属からなり、水平断面外形が略正方形状の角柱からなるものであり、鉛直方向に延びている。支柱110は、主桁13とは直接的には固定されない。
【0033】
第1及び第2の保持部120,130は、それぞれ、主桁13の下面に着脱可能に取り付けられる。第1及び第2の保持部120,130は、それぞれ、水平方向に延びて主桁13の下面13aに着脱可能に取り付けられる水平部材121,131と、水平部材121,131の支柱110側の一端部より垂下された垂下部材122,132(垂下部材122は不図示)と、水平部材121,131と垂下部材122,132とを補強のために斜め方向に連結する斜め部材123,133(斜め部材123は不図示)からなり、合わせて大略直角三角形状となっている。
【0034】
第1の保持部120の水平部材121は、主桁13の長手方向(橋軸方向)に延び、この主桁13の下面13aに着脱可能に取り付けられる。一方、第2の保持部130の水平部材131は、主桁13の長手方向と直交する方向(橋幅方向)に延び、主桁13の下面13aに着脱可能に取り付けられる。このように第1及び第2の水平部材121,131はその延在する方向が直交している。そして、第2の水平部材131は、支柱110に対して、恒久足場パネル11が既に設置されている側、もしくは、恒久足場パネル11が搬送されてくる側に位置している、
【0035】
第1及び第2の保持部120,130を構成する水平部材121,131、垂下部材122,132及び斜め部材123,133はそれぞれ鉄鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金などの金属からなる断面L字材の部材などからなり、その当接部分がボルト・ナットによる締結や溶接などによって固定されている。
【0036】
なお、第1の保持部120のみによって、支柱110、アーム部140、揚重機150及び恒久足場パネル11を支持することができる場合、第2の保持部130を省略してもよい。また、第2の保持部130は、第1の保持部120と同じ大きさでなくもよく、第1の保持部120よりも小さい、又は、その構成部材131~133が第1の保持部120の各構成部材121~123を形成する部材の断面よりも小さな断面を有するものであってもよい。
【0037】
そして、第1の保持部120の垂下部材122が支柱10の主桁13の長手方向側において支柱110の側面と当接して着脱可能に取り付けられている。一方、第2の保持部130の垂下部材132が支柱110の主桁13の長手方向と直交する方向側において支柱110の側面と当接して着脱可能に取り付けられている。これにより、支柱110が、主桁13の下面に第1及び第2の保持部120,130を介して着脱可能に固定される。なお、支柱110と垂下部材122,132はボルト・ナットによる締結などの固定手段によって固定されている。
【0038】
主桁13は、その下端である下面13aにフランジ部13bを有し、このフランジ部13bを介して水平部材121,131が着脱可能に取り付けられている。
【0039】
第1及び第2の保持部120,130の主桁13に対する取り付け箇所は変更可能である。第1及び第2の保持部120,130は、主桁13の長手方向に延びるフランジ部13bに取り付けられるので、取り付け箇所を変更することより主桁13の長手方向に移動させることが可能である。
【0040】
例えば、図3を参照して、主桁13の下面13aのフランジ部13bと第1及び第2の保持部120,130の水平部材121,131とは、これらを上下から挟み込み、全体として略C字状、略コの字状などの挟み込み部材(クランプ)124,134を介して着脱自在に連結されている。詳細には、水平部材121,131のフランジ部121a(水平部材131のフランジ部は不図示)と主桁13のフランジ部13bとが挟み込み部材124,134によって連結される。
【0041】
挟み込み部材124,134と主桁13のフランジ部13bとの間にローラ(不図示)が回動自在に介在されていることが好ましい。これにより、ジブクレーン装置100を主桁13の長手方向に移動させることが容易となる。ただし、このようなローラは存在しなくともよい。例えば、図示しないが、挟み込み部材で両フランジ部13b,121aを挟み込んだ状態で摺動させることにより、ジブクレーン装置100を作業者が容易に移動させることが可能であるからである。
【0042】
挟み込み部材124の一例を、図3を参照して説明する。なお、挟み込み部材134も挟さみ込み124と同様に構成であってもよい。
【0043】
挟み込み部材124は、上板材124a、下板材124b、上板材124aの一端部と下板材124bの一端部とを結ぶ鉛直材124cとが互いに固定されていて、上板材124aの他端部の下面にローラ(不図示)が回動自在に支持されている。例えば、円筒ころ(ローラ)が本体(軌道台)の内部を循環可能に構成され、平面上を無限直線運動可能なリニアローラベアリングを内蔵するベアリング装置125を用いてもよい。ベアリング装置125を用いる場合、保持器(セパレータ)と本体のつばにより円筒ころは保持され、本体を挟み込み部材124の上板材124aに取り付ければよい。
【0044】
さらに、鉛直材124cの上板材124aと下板材124bとの鉛直方向の中間部には中板材124dの一端部が鉛直材124cに固定されている。この中板材124dは、リニアローラベアリングが主桁13のフランジ部13bの上面に当接するときに、水平部材121のフランジ部121aの下面と接するような位置に、上板材124a及び下板材124bと平行に配置されている。
【0045】
また、中板材124dと主桁13のフランジ部13bとの間には隙間を設けている。これは、主桁13の長手方向の連結箇所において、その連結のためのリベットやボルトの頭部がフランジ部13bより下方に突出しており、挟み込み部材124,134を主桁13の長手方向に移動させる際にこの突出物との干渉を避けるためである、移動が完了した際には、この隙間に木材などからなるスペーサ部材128を介設させることによって、挟み込み部材124,134を主桁13に固定することが好ましい。
【0046】
また、下板材124bには貫通孔が形成されており、この貫通孔にボルト126が挿通されている。このボルト126の先端部が水平部材121のフランジ部121aの下面に当接するように押し付け、ナット127で固定されて取り付けられることにより、水平部材121ひいてはジブクレーン装置100が主桁13に固定される。
【0047】
このナット127は、下板材124bの下面に溶接などにより固定しておいてもよく、また、ナット127を設けることなく、下板材124bの貫通孔内をねじ切りしておいてもよい。これらの場合、ボルト126を回転させることにより、ボルト126の先端が水平部材121のフランジ部121aの下面に押し付けられることになる。
【0048】
さらに、挟み込み部材124,134として市販のブルマンクランプやシャコ万力などの仮設用挟締金具を用いてもよい。この場合、主桁13の下面のフランジ部13bと水平部材121,131とが当接した状態が保持されるように仮設用挟締金具を用いて固定すればよい。
【0049】
アーム部140は、水平方向に直線状に細長い延びる部材であり、支柱110に着脱可能に取り付けられ、支柱110に対して水平面内において回動可能となっている。ここでは、支柱110の第1の保持部120の垂下部材122が取り付けられた側とは反対側の側面に取り付けられている。このような位置にアーム部140が取り付けられているので、アーム部140の回動可能な角度は180度を超える。取り付け構成は、例えば、ベアリングなどを備えた取り付け部が支柱110又はアーム部140の何れか一方に設けられ、他方に取り付け部に回動自在に取り付けられる軸が設けられてなるものである。
【0050】
アーム部140は、長手方向に分割可能なように、複数のアーム部材141,142が着脱可能に連結してなっている。ここでは、アーム部140は、第1のアーム部材141と第2アーム部材142とからなっている。
【0051】
ここでは、第1及び第2のアーム部材141,142は、鉄鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金などの金属からなる異なるI字材などが固定されたものからなっている。
【0052】
第1のアーム部材141は、詳細は図示しないが、2つの異なるI字材が上下にそれぞれのフランジ部が当接した状態で溶接などによって固定されたものからなっている。そして、上側のI字状材の先端側及び基端側に垂直板が溶接などによって固定されている。
【0053】
第2のアーム部材142も、2つの異なるI字状材が上下にそれぞれのフランジ部が当接した状態で溶接などによって固定されたものからなっている。そして、上側のI字状材の基端側に垂直板が溶接などによって固定されている。 なお、第2のアーム部材142は、ここでは、その上側のI字状材が、ジブクレーン装置100が下面に取り付ける主桁13とは異なる主桁13との干渉を防止するために短くなっている。
【0054】
そして、例えば、第1のアーム部材141の先端側の垂直板と第2のアーム部材142の基端側の垂直板とにそれぞれ形成された貫通孔をボルトが挿通し、このボルトが貫通孔を挿通した状態がナットをボルトに螺合することによって維持されている。なお、第1及び第2のアーム部材141,142における、上側のI字状材のウエブ部は、連結部の強度確保と片持ち支持されるアーム部140の撓み防止のために、下側のI字状材のウエブ部より高く形成しておくことが望ましい。
【0055】
なお、第1及び第2のアーム部材141,142の下側のI字状材の下方のフランジ部は、垂直板などが介在することなく、連続するように形成されている。これにより、第1及び第2のアーム部材141,142のフランジ部に亘って、揚重機150が移動可能となっている。
【0056】
揚重機150は、手動式のチェーンブロックや電動式のホイストなどの市販の揚重機である。揚重機150は、フックなどの吊り具を介して吊荷である恒久足場パネル11を吊り上げ又は巻き上げることが可能である。揚重機150は、1個であっても複数個であってもよい。
【0057】
揚重機150は、第1及び第2のアーム部材141,142の下側のI字状材の下フランジ部に沿って移動可能であり、これにより、アーム部140の長手方向に下フランジ部をレール部とみなして、アーム部140の略全長に亘って移動することができる。揚重機150は、アーム部140に対して取り外し可能に設けられている。
【0058】
以上説明したジブクレーン装置100を用いれば、図2に実線で示すアーム部材140の位置において、主桁13の長手方向に延びる上記搬送用レール上を移動する上記台車により搬送されてきた恒久足場パネル11を作業者が揚重機150を用いて吊り上げる。そして、アーム部150を回動させると共に揚重機150をアーム部150の長手方向に移動させて、例えば、図2に二点鎖線で示す位置に恒久足場パネル11を搬送させる。これにより、搬送足場パネル11の搬送方向及び支柱110に対する吊り下げ位置を容易に変更することが可能になる。
【0059】
以上のように、ジブクレーン装置100によれば、アーム部140は第1の保持部120の垂下部材122が取り付けられる側とは反対側の面において支柱110に取り付けられる。これにより、アーム部140は、支柱110並びに第1及び第2の保持部120,130と干渉することなく、約180度の回動角度の範囲において回動可能である。そのため、揚重機150によって恒久足場パネル11の搬送可能な範囲が上記特許文献1に開示された技術と比較して広い。これにより、恒久足場パネル11の搬送効率の向上を図ることが可能となる。
【0060】
また、支柱110、第1の保持部120、第2の保持部130、第1のアーム部材141、第2のアーム部材142及び揚重機150はそれぞれ分離することが可能である。そのため、それぞれが小型化して重量が軽くなるので、ジブクレーン装置100の取り付け箇所までの運搬の容易化が図られている。
【0061】
なお、本発明は、上述したジブクレーン装置100に限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。例えば、ジブクレーン装置100において、各部110~150の具体的な構成は説明したものに限定されない。
【0062】
さらに、水平部材121,132は、厳密に水平方向に延びる部材に限定されず、略水平方向又は主桁13の下面13aと平行あるいは略平行方向に延びる部材であればよい。また、垂下部材122,132は、厳密に鉛直方向に延びる部材に限定されず、略鉛直方向又は主桁13の下面13aと直交あるいは略直交方向に延びる部材であればよい。
【符号の説明】
【0063】
10…橋梁、 11…恒久足場パネル、 12…床版、 13…主桁、 13a…下面、 13b…フランジ部、 100…ジブクレーン装置、 110…支柱、 120…第1の保持部、 121,131…水平部材、 121a…フランジ部、 122,132…垂下部材、 123,133…斜め部材、 130…第2の保持部、 124,134…挟み込み部材、 124a…上板材、 124b…下板材、 124c…鉛直材、 124d…中板材、 125…ベアリング装置、 126…ボルト、 127…ナット、 128…スペーサ部材、 140…アーム部、 141…第1のアーム部材、 142…第2のアーム部材、 150…揚重機。
図1
図2
図3