(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】波形の先端を備える血液透析カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20240522BHJP
A61M 25/14 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
A61M25/00 534
A61M25/00 540
A61M25/14 512
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021145176
(22)【出願日】2021-09-07
(62)【分割の表示】P 2018503525の分割
【原出願日】2016-07-20
【審査請求日】2021-09-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-03
(32)【優先日】2015-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518019776
【氏名又は名称】プリスティーン アクセス テクノロジーズ エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】PRISTINE ACCESS TECHNOLOGIES LTD
【住所又は居所原語表記】c/o Access Medical Ventures, 21 Ha’barzel Street 6971029 Tel-Aviv (IL)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】タル, マイケル ガブリエル
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】井上 哲男
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-513803(JP,A)
【文献】国際公開第2014/197614(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0324964(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第1792637(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液透析カテーテルであって、
長手方向軸に沿って延在する細長い本体、第1の遠位端領域であって、前記細長い本体及び前記第1の遠位端領域の両方に沿って連続して延在する第1のルーメンに開口する第1の先端で終端する、第1の遠位端領域、及び第2の遠位端領域であって、前記細長い本体及び前記第2の遠位端領域の両方に沿って連続して延在する第2のルーメンに開口する第2の先端で終端する、第2の遠位端領域を含み;
前記第1の先端が、第1の先端管状壁から延在し、第1の先端開口部を取り囲む、第1の先端縁部を含み、前記第2の先端が、第2の先端管状壁から延在し、第2の先端開口部を取り囲む、第2の先端縁部を含み;
前記第1の先端管状壁が、第1の外側溝及び第1の内側溝を含む、前記第1の先端縁部をまとまって形成する少なくとも2つの溝を含み、前記第2の先端管状壁が、第2の外側溝及び第2の内側溝を含む、前記第2の先端縁部をまとまって形成する少なくとも2つの溝を含み、
前記第1の内側溝が、前記第1の遠位端領域の第1の内側側部に沿って延在し、前記第2の内側溝が、前記第2の遠位端領域の第2の内側側部に沿って延在し、
前記第1の遠位端領域及び前記第2の遠位端領域が前記長手方向軸から分岐するとき前記第1の内側側部が、前記第2の内側側部に少なくとも部分的に接触し、
前記第1の内側溝が、前記第1の外側溝に対向するか、又は/及び前記第2の内側溝が、前記第2の外側溝に対向し、
前記第1の外側溝及び第1の内側溝が前記第1の先端管状壁の波形の先端の壁上に構成され、前記第1の先端管状壁の波形の先端の端部に開口し、
前記第2の外側溝及び第2の内側溝が前記第2の先端管状壁の波形の先端の壁上に構成され、前記第2の先端管状壁の波形の先端の端部に開口し、
前記第1の及び第2の先端のそれぞれが、先端延在部、前記先端延在部に沿って延在する内側壁表面、及び中空外側表面を含み、前記内側壁表面及び前記中空外側表面は、前記第1の外側溝、第1の内側溝、第2の外側溝及び第2の内側溝を含む交互の溝及び隆起部を有する波形の形態をまとまって形成し、それによって、前記中空外側表面が完全に覆われており、前記内側壁表面が少なくとも部分的に覆われていない場合、前記血液透析カテーテルが、そこを通る活発な横方向の流体通過を促し、前記中空外側表面が少なくとも部分的に覆われておらず、前記内側壁表面が完全に覆われている場合、前記血液透析カテーテルが、そこを通る活発な正面の流体通過を促す、
血液透析カテーテル。
【請求項2】
前記第1の内側溝が、前記第1の外側溝の長さに等しい長さを有する、又は/及び前記第2の内側溝が、前記第2の外側溝の長さに等しい長さを有する、請求項1に記載の血液透析カテーテル。
【請求項3】
前記第1の内側溝が、前記第1の外側溝の長さより大きい長さを有する、又は/及び前記第2の内側溝が、前記第2の外側溝の長さより大きい長さを有する、請求項1又は請求項2に記載の血液透析カテーテル。
【請求項4】
前記第1の内側溝が、前記第1の外側溝の長さより小さい長さを有する、又は/及び前記第2の内側溝が、前記第2の外側溝の長さより小さい長さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の血液透析カテーテル。
【請求項5】
前記第1の及び第2の先端管状壁の前記少なくとも2つの溝のそれぞれが、少なくとも2mmの、任意選択的に、特に、2mm~3mmの範囲の、長さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の血液透析カテーテル。
【請求項6】
前記第1の及び第2の先端管状壁の前記少なくとも2つの溝のそれぞれが、少なくとも1mmの、任意選択的に、特に、1mm~1.5mmの範囲の、幅を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の血液透析カテーテル。
【請求項7】
前記第1の及び第2の遠位端領域のうち少なくとも1つが、弾性であり、前記第1の遠位端領域が第1の分岐角度を介して前記長手方向軸から分岐するとき、又は/及び前記第2の遠位端領域が第2の分岐角度を介して前記長手方向軸から分岐するときに、非応力形態を有するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の血液透析カテーテル。
【請求項8】
前記第1の分岐角度が、前記長手方向軸に対して、前記第2の分岐角度と等しく且つ方向的に反対であり、これにより、前記第1の及び第2の遠位端領域によって画定され、それらの間に広がる、全体の分岐角度を、共に形成する、請求項7に記載の血液透析カテーテル。
【請求項9】
前記全体の分岐角度が、5°~50°、任意選択的に、特に、20°~30°の範囲である、請求項8に記載の血液透析カテーテル。
【請求項10】
前記第1の及び第2の遠位端領域が前記長手方向軸と整列すると、前記第1の内側溝が、前記第2の内側溝と共に収束するか、又は交差する、請求項7~9のいずれか一項に記載の血液透析カテーテル。
【請求項11】
前記第1の及び第2の遠位端領域のうち少なくとも1つが前記非応力形態にあるとき、前記第1の内側溝が、前記第2の内側溝から完全に分離される、請求項7~10のいずれか一項に記載の血液透析カテーテル。
【請求項12】
前記第1の及び第2の遠位端領域、並びに前記第1の及び第2の内側溝が、前記長手方向軸に対して回転対称である、請求項1~11のいずれか一項に記載の血液透析カテーテル。
【請求項13】
前記第1の及び第2の遠位端領域が、接合部に隣接する分割面に沿って、任意選択的に、前記接合部に隣接し且つ前記長手方向軸に対して垂直の正中面に沿って、互いに分離される、請求項1~12のいずれか一項に記載の血液透析カテーテル。
【請求項14】
前記第1の及び第2の遠位端領域が、前記分割面に対して平行である、請求項13に記載の血液透析カテーテル。
【請求項15】
前記第1の先端管状壁が、第1の平坦な表面を有し、前記第2の先端管状壁が、前記第1の平坦な表面に面する第2の平坦な表面を有する、請求項13又は14に記載の血液透析カテーテル。
【請求項16】
前記第1の平坦な表面及び前記第2の平坦な表面のうち少なくとも1つが、前記分割面に対して平行である、請求項
15に記載の血液透析カテーテル。
【請求項17】
前記第1の内側溝及び前記第1の外側溝のうち少なくとも1つが、前記第1の遠位端部分の長軸に対して平行に延在する真っすぐなスリットの形態であり、前記第2の内側溝及び前記第2の外側溝のうち少なくとも1つが、前記第2の遠位端部分の長軸に対して平行に延在する真っすぐなスリットの形態である、請求項1~16のいずれか一項に記載の血液透析カテーテル。
【請求項18】
前記接合部に対して、前記第1の先端が、前記第2の先端の延在長さに等しい延在長さを有する、請求項13~17のいずれか一項に記載の血液透析カテーテル。
【請求項19】
前記第1の及び第2の先端が、とがっていない形態を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の血液透析カテーテル。
【請求項20】
前記血液透析カテーテルが、前記長手方向軸に対する前記第1の遠位端領域と前記第2の遠位端領域との整列を促す、取外し可能な整列手段を含み、前記整列手段が除去されると、前記第1の遠位端領域及び前記第2の遠位端領域が、弾性応力を受けて、はさみのような動きにしたがって、前記分割面に沿って、互いにスライドし、それにより前記第1の及び第2の遠位端領域が、非応力形態に復帰する、請求項1~19のいずれか一項に記載の血液透析カテーテル。
【請求項21】
前記第1の及び第2のルーメンを通る同時且つ逆方向の流れを促すために、前記第1のルーメン及び前記第2のルーメンが互いに独立している、請求項1~20のいずれか一項に記載の血液透析カテーテル。
【請求項22】
前記第1のルーメンが、その中心に沿って延在する第1の先端長手方向軸を有し、前記第2のルーメンが、その中心に沿って延在する第2の先端長手方向軸を有し、
前記カテーテルが非応力形態にあるとき、前記ルーメンの前記第1の及び第2の先端長手方向軸が、前記カテーテルの近位部分に沿って平行であり、前記カテーテルの遠位部分に沿って分岐する、
請求項1~21のいずれか一項に記載の血液透析カテーテル。
【請求項23】
前記第1の及び第2の先端長手方向軸が分割面を画定し、前記分割面が、前記カテーテルの前記近位部分における前記第1の先端長手方向軸及び第2の先端長手方向軸の両方を含む横断面である、請求項22に記載の血液透析カテーテル。
【請求項24】
前記第1の内側溝及び前記第1の外側溝が、前記第1の先端長手方向軸に対して、180度円周方向に、互いに離れて位置する、又は/及び前記第2の内側溝及び前記第2の外側溝が、前記第2の先端長手方向軸に対して、180度円周方向に、互いに離れて位置する、請求項22又は23に記載の血液透析カテーテル。
【請求項25】
前記第1の内側溝及び前記第1の外側溝のうち一方は、他方よりも、前記長手方向軸により近くに位置する、又は/及び前記第2の内側溝及び前記第2の外側溝のうち一方は、他方よりも、前記長手方向軸により近くに位置する、請求項22又は23に記載の血液透析カテーテル。
【請求項26】
前記第1の及び第2の先端のそれぞれが、前記細長い本体から分岐し、5mm~35mmの範囲の、任意選択的に、特に、10mm~15mmの範囲の突出長さを有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の血液透析カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願>
本出願は、2015年7月20日に出願された、「波形の遠位端を備える血液透析カテーテル」という題の、米国仮出願第62/194,325号の35 USC 119(e)に基づく優先権の利益を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
<本発明の分野>
本発明は、そのいくつかの実施形態において、医療用カテーテル装置に関するものであり、より具体的には、しかし排他的にではなく、二重の又は分割した先端を有する透析カテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
<本発明の背景>
二重の又は分割した先端の透析カテーテルは、現在主に、被験体と血液透析器との間で血液を交換する慢性使用のために利用されている。例示的な血液透析手順の間に、複数ルーメンカテーテルが被験体の体内に挿入され、血液がカテーテルの動脈ルーメンを通して抜き取られる。この血液は血液透析器に供給され、血液透析器は、血液を透析又は洗浄して、廃棄物及び過剰の水を除去する。透析された血液は、カテーテルの静脈ルーメンを通して被験体に戻される。上述のように、血液が動脈ルーメン及び静脈ルーメンの両方において反対方向に流れるように、カテーテル内の流れを時々逆にする必要があり得る。
【0004】
流れ閉塞は、透析を受けている血液系内の比較的小さい空間において生じる高い流量及び高い血液再循環圧力に起因して、血液透析を介して被験体を処置する際の主要な心配の種であり、且つ起こり得る問題である。流れ閉塞は主として、周囲の組織にカテーテル開口部が覆われる又は沈められるときの、即座の位置閉塞に起因する、又は/及びアーチファクトの存在に対する長期間の身体反応に起因する、動脈ルーメンの封鎖に起因して起こる。長期閉塞の一般的な原因は、フィブリンシース形成、及び血栓形成である。カテーテルの位置閉塞に伴い、例えば、カテーテルの先端は、被験体の内側で、ある程度の移動の自由度を有し、このことによって閉塞が引き起こされる可能性がある。なぜなら、カテーテルの先端又は側孔が血管又は心臓壁に対して吸い付けられ得るためである。
【0005】
PCT国際出願公開第WO 2014/197614 A2号(この出願人/譲受人は本発明のものと同じである)は、連結されたルーメンを備える近位部分、及び分岐ルーメンを備える遠位部分を含む、二重の(分割した)先端の透析カテーテルについて教示している。このルーメンは、分割接合部で分離し、はさみのように分岐して、分割接合部に隣接する亀裂又は隙間を低減又は排除し、これにより凝血塊形成を低減することができる。このような二重の又は分割した先端の透析カテーテルは、流れを反対方向に向けるように構成された前方開口部を有してよい。
【0006】
本発明の分野及び技術における追加の例示的な教示が、US 5,800,414;US 5,947,953;US 7,108,674;US 7,182,746;US 7,776,005;US 8,066,660;及びUS 8,092,415に開示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
血液透析カテーテルの分野及び技術において広範な教示があるにもかかわらず、そして、例えば上述したような教示に関連する様々な顕著な限界及び起こり得る問題に鑑みて、現在、血液透析処置システムに関連する血液透析ルーメン及び血液再循環開口部の封鎖を防止するのに、又は少なくとも弱めるのに、有効な、改良された又は/及び新規の血液透析カテーテルを、開発及び実行する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
<本発明の概要>
本発明は、そのいくつかの実施形態において、医療用カテーテル装置に関し、より具体的には、しかし排他的にではなく、二重の又は分割した先端を有する透析カテーテルに関する。本発明の例示的な実施形態において、本明細書に開示される透析カテーテルは、波形の先端を有する二重の(分割した)先端の血液透析カテーテルに対応する。
【0009】
例示的な実施形態において、血液透析カテーテルが、長手方向軸に沿って延在する細長い本体、第1の及び第2の遠位端領域であって、細長い本体並びにそれぞれの第1の及び第2の遠位端領域の両方に沿って連続して延在する第1の及び第2のルーメンに開口する第1の及び第2の先端で終端する、第1の及び第2の遠位端領域を含む。各先端は、先端管状壁から延在し先端開口部を取り囲む、先端縁部を含む。各先端管状壁は、波形の構成の一部であり、先端縁部をまとまって形成する、外側溝及び内側溝を含む、少なくとも2つの溝を有する。溝は、同じ又は異なる長さ、幅、又は/及び空間的構成を有してよい。遠位端領域は、弾性であり、細長い本体の長手方向軸から分岐角度を介して分岐するときに非応力形態を有するように構成されてよい。遠位端領域は、長手方向軸に対して回転対称であってよい。遠位端領域は、接合部に隣接する分割面に沿って、任意選択的に、接合部に隣接し且つ長手方向軸に対して垂直の正中面に沿って、互いに分離されてよい。遠位端領域は、分割面に対して平行であってよい。
【0010】
例示的な実施形態において、血液透析カテーテルが非応力形態にあるとき、先端開口部が、互いに反対方向に且つ長手方向軸から離れて配向される。例示的な実施形態において、各先端が、先端延在部、先端延在部に沿って延在する内側壁表面、及び中空外側表面を含み、それにより内側壁表面及び中空外側表面が、先端延在部の遠位端に沿って交互の溝及び隆起部を有する波形の形態をまとまって形成する。中空外側表面が完全に覆われており、内側壁表面が少なくとも部分的に覆われていない場合、血液透析カテーテルが、そこを通る活発な横方向の流体通過を促す。中空外側表面が少なくとも部分的に覆われておらず、内側壁表面が完全に覆われている場合、血液透析カテーテルが、そこを通る活発な正面の流体通過を促す。
【0011】
本発明の例示的な実施形態において、波形の先端を備える血液透析カテーテルは、血液透析処置システムの利用に関連する血液透析ルーメン及び血液再循環開口部の封鎖を防止するか、又は少なくとも弱めるのに有効な、特定の構造的特徴を含む。このような有効性は、既知の血液透析カテーテル及びそれらの使用と比較して非常に有利であり、既知の血液透析カテーテル及びそれらの使用に関連する問題を解決することができる。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、血液透析カテーテルが提供され、これは、長手方向軸に沿って延在する細長い本体、第1の遠位端領域であって、細長い本体及び第1の遠位端領域の両方に沿って連続して延在する第1のルーメンに開口する第1の先端で終端する、第1の遠位端領域、及び第2の遠位端領域であって、細長い本体及び第2の遠位端領域の両方に沿って連続して延在する第2のルーメンに開口する第2の先端で終端する、第2の遠位端領域を含み;第1の先端が、第1の先端管状壁から延在し、第1の先端開口部を取り囲む、第1の先端縁部を含み、第2の先端が、第2の先端管状壁から延在し、第2の先端開口部を取り囲む、第2の先端縁部を含み;第1の先端管状壁が、第1の外側溝及び第1の内側溝を含む、第1の先端縁部をまとまって形成する少なくとも2つの溝を含み、第2の先端管状壁が、第2の外側溝及び第2の内側溝を含む、第2の先端縁部をまとまって形成する少なくとも2つの溝を含む。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の内側溝が、第1の遠位端領域の第1の内側側部に沿って延在し、第2の内側溝が、第2の遠位端領域の第2の内側側部に沿って延在し、第1の内側側部が、第2の内側側部に少なくとも部分的に接触する。本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の内側溝が、第1の外側溝に対向する、又は/及び第2の内側溝が、第2の外側溝に対向する。本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の内側溝が、第1の外側溝の長さに等しい長さを有する、又は/及び第2の内側溝が、第2の外側溝の長さに等しい長さを有する。本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の内側溝が、第1の外側溝の長さより大きい長さを有する、又は/及び第2の内側溝が、第2の外側溝の長さより大きい長さを有する。本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の内側溝が、第1の外側溝の長さより小さい長さを有する、又は/及び第2の内側溝が、第2の外側溝の長さより小さい長さを有する。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の及び第2の先端管状壁の少なくとも2つの溝のそれぞれが、少なくとも2mmの、任意選択的に、特に、2mm~3mmの範囲の、長さを有する。本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の及び第2の先端管状壁の少なくとも2つの溝のそれぞれが、少なくとも1mmの、任意選択的に、特に、1mm~1.5mmの範囲の、幅を有する。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の及び第2の遠位端領域のうち少なくとも1つが、弾性であり、第1の遠位端領域が第1の分岐角度を介して長手方向軸から分岐するとき、又は/及び第2の遠位端領域が第2の分岐角度を介して長手方向軸から分岐するときに、非応力形態を有するように構成される。本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の分岐角度が、長手方向軸に対して、第2の分岐角度と等しく且つ方向的に反対であり、これにより、第1の及び第2の遠位端領域によって画定され、それらの間に広がる、全体の分岐角度を、共に形成する。本発明のいくつかの実施形態によれば、全体の分岐角度が、5°~50°、任意選択的に、特に、20°~30°の範囲である。本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の及び第2の遠位端領域が長手方向軸と整列すると、第1の内側溝が、第2の内側溝と共に収束するか、又は交差する。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の及び第2の遠位端領域のうち少なくとも1つが非応力形態にあるとき、第1の内側溝が、第2の内側溝から完全に分離される。本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の及び第2の遠位端領域、並びに第1の及び第2の内側溝が、長手方向軸に対して回転対称である。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の及び第2の遠位端領域が、接合部に隣接する分割面に沿って、任意選択的に、接合部に隣接し且つ長手方向軸に対して垂直の正中面に沿って、互いに分離される。本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の及び第2の遠位端領域が、分割面に対して平行である。本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の先端管状壁が、第1の平坦な表面を有し、第2の先端管状壁が、第1の平坦な表面に面する第2の平坦な表面を有する。本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の平坦な表面及び第2の平坦な表面のうち少なくとも1つが、分割面に対して平行である。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の内側溝及び第1の外側溝のうち少なくとも1つが、第1の遠位端部分の長軸に対して平行に延在する真っすぐなスリットの形態であり、第2の内側溝及び第2の外側溝のうち少なくとも1つが、第2の遠位端部分の長軸に対して平行に延在する真っすぐなスリットの形態である。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態によれば、接合部に対して、第1の先端が、第2の先端の延在長さに等しい延在長さを有する。本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の及び第2の先端が、とがっていない形態を有する。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によれば、血液透析カテーテルが、長手方向軸に対する第1の遠位端領域と第2の遠位端領域との整列を促す、取外し可能な整列手段を含み、整列手段が除去されると、第1の遠位端領域及び第2の遠位端領域が、弾性応力を受けて、はさみのような動きにしたがって、分割面に沿って、互いにスライドし、それにより第1の及び第2の遠位端領域が、非応力形態に復帰する。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の及び第2のルーメンを通る同時且つ逆方向の流れを促すために、第1のルーメン及び第2のルーメンが互いに独立している。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1のルーメンが、その中心に沿って延在する第1の先端長手方向軸を有し、第2のルーメンが、その中心に沿って延在する第2の先端長手方向軸を有し、カテーテルが非応力形態にあるとき、ルーメンの第1の及び第2の先端長手方向軸が、カテーテルの近位部分に沿って平行であり、カテーテルの遠位部分に沿って分岐する。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の及び第2の先端長手方向軸が分割面を画定し、分割面が、カテーテルの近位部分における第1の先端長手方向軸及び第2の先端長手方向軸の両方を含む横断面である。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の内側溝及び第1の外側溝が、第1の先端長手方向軸に対して、180度円周方向に、互いに離れて位置する、又は/及び第2の内側溝及び第2の外側溝が、第2の先端長手方向軸に対して、180度円周方向に、互いに離れて位置する。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の内側溝及び第1の外側溝のうち一方は、他方よりも、長手方向軸により近くに位置する、又は/及び第2の内側溝及び第2の外側溝のうち一方は、他方よりも、長手方向軸により近くに位置する。本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の及び第2の先端のそれぞれが、細長い本体から分岐し、5mm~35mmの範囲の、任意選択的に、特に、10mm~15mmの範囲の突出長さを有する。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、血液透析カテーテルが提供され、これは、長手方向軸に沿って延在する細長い本体、第1の先端で終端する第1の遠位端領域、及び第2の先端で終端する第2の遠位端領域を含み、第1の及び第2の遠位端領域が、接合部に隣接する分割面に沿って互いに分離されており;第1の遠位端領域が、第1の先端に設けられた第1の先端開口部に開口する第1のルーメンを囲み、第2の遠位端領域が、第2の先端に設けられた第2の先端開口部に開口する第2のルーメンを囲み;血液透析カテーテルが非応力形態にあるとき、第1の及び第2の先端開口部が、互いに反対方向に且つ長手方向軸から離れて配向され;第1の及び第2の先端のそれぞれが、先端延在部、先端延在部に沿って延在する内側壁表面、及び中空外側表面を含み、内側壁表面及び中空外側表面が、先端延在部の遠位端に沿って交互の溝及び隆起部を有する波形の形態をまとまって形成し;中空外側表面が完全に覆われており、内側壁表面が少なくとも部分的に覆われていない場合、血液透析カテーテルが、そこを通る活発な横方向の流体通過を促し;中空外側表面が少なくとも部分的に覆われておらず、内側壁表面が完全に覆われている場合、血液透析カテーテルが、そこを通る活発な正面の流体通過を促す。
【0027】
本明細書で使用される全ての技術的又は/及び科学的単語、用語、又は/及びフレーズは、本明細書中で具体的に定義又は記載されていない限り、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ又は類似の意味を有する。本明細書に記載される方法、材料、及び例は、例示的なものに過ぎず、必ずしも限定的であるとは意図されない。本明細書に記載されるものと等価又は類似の方法又は/及び材料を、本発明の実施形態を実施又は/及び試験する際に使用することができるが、例示的な方法又は/及び材料を以下に説明する。矛盾する場合、定義を含む本特許明細書が制御する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面及び画像を参照してここで説明する。ここで、特に図面及び画像を詳細に参照すると、示される詳細は例としてのものであり、本発明のいくつかの実施形態の例示的な説明の目的のためのものであることが強調される。これに関して、本説明は、添付の図面と併せて、本発明のいくつかの実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【0029】
【
図1】1A-1Cは、本発明のいくつかの実施形態に係る、波形の先端を有する例示的な血液透析カテーテルとしての例示的な二重の先端の血液透析カテーテルを、概略的に示す。
【0030】
【
図2】
図2A-2Eは、本発明のいくつかの実施形態に係る、波形の先端を備える例示的な血液透析カテーテルの遠位部分の概略側面図である。
【0031】
【
図3】
図3A-3Cは、本発明のいくつかの実施形態に係る、波形の先端を備える例示的な血液透析カテーテルを概略的に示す。
【0032】
【
図4】
図4A-4Cは、本発明のいくつかの実施形態に係る、展開前(
図4A、4B)及び展開後(
図4C)の
図3A-3Cの例示的な血液透析カテーテルを、概略的に示す。
【0033】
【
図5】
図5A-5Dは、本発明のいくつかの実施形態に係る、血液透析カテーテルの例示的なバリエーションを、異なる構成の波形の先端及びその特徴を強調して、概略的に示す。
【0034】
【
図6】
図6は、本発明のいくつかの実施形態に係る、
図5Cの例示的な血液透析カテーテルの例示的なプロトタイプの実行を含む、実際の実験状況の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<本発明の特定の実施形態の説明>
本発明は、そのいくつかの実施形態において、医療用カテーテル装置に関し、及びより具体的には、しかし排他的にではなく、二重の又は分割した先端を有する透析カテーテルに関する。本発明の例示的な実施形態において、本明細書に開示される透析カテーテルは、波形の先端を有する二重の(分割した)先端の血液透析カテーテルに対応する。
【0036】
例示的な実施形態において、血液透析カテーテルが、長手方向軸に沿って延在する細長い本体、第1の及び第2の遠位端領域であって、細長い本体並びにそれぞれの第1の及び第2の遠位端領域の両方に沿って連続して延在する第1の及び第2のルーメンに開口する第1の及び第2の先端で終端する、第1の及び第2の遠位端領域を含む。各先端は、先端管状壁から延在し先端開口部を取り囲む、先端縁部を含む。各先端管状壁は、波形の構成の一部であり、先端縁部をまとまって形成する、外側溝及び内側溝を含む、少なくとも2つの溝を有する。溝は、同じ又は異なる長さ、幅、又は/及び空間的構成を有してよい。遠位端領域は、弾性であり、細長い本体の長手方向軸から分岐角度を介して分岐するときに非応力形態を有するように構成されてよい。遠位端領域は、長手方向軸に対して回転対称であってよい。遠位端領域は、接合部に隣接する分割面に沿って、任意選択的に、接合部に隣接し且つ長手方向軸に対して垂直の正中面に沿って、互いに分離されてよい。遠位端領域は、分割面に対して平行であってよい。
【0037】
例示的な実施形態において、血液透析カテーテルが非応力形態にあるとき、先端開口部が、互いに反対方向に且つ長手方向軸から離れて配向される。例示的な実施形態において、各先端が、先端延在部、先端延在部に沿って延在する内側壁表面、及び中空外側表面を含み、それにより内側壁表面及び中空外側表面が、先端延在部の遠位端に沿って交互の溝及び隆起部を有する波形の形態をまとまって形成する。中空外側表面が完全に覆われており、内側壁表面が少なくとも部分的に覆われていない場合、血液透析カテーテルが、そこを通る活発な横方向の流体通過を促す。中空外側表面が少なくとも部分的に覆われておらず、内側壁表面が完全に覆われている場合、血液透析カテーテルが、そこを通る活発な正面の流体通過を促す。
【0038】
本発明の例示的な実施形態において、波形の先端を備える血液透析カテーテルは、血液透析処置システムの利用に関連する血液透析ルーメン及び血液再循環開口部の封鎖を防止するか、又は少なくとも弱めるのに有効な、特定の構造的特徴を含む。このような有効性は、既知の血液透析カテーテル及びそれらの使用と比較して非常に有利であり、既知の血液透析カテーテル及びそれらの使用に関連する問題を解決することができる。
【0039】
本明細書で使用される用語「波形の」は、限定するものではないが、任意選択的に互いに平行の、交互の溝及び隆起部を有する形状を指す。本明細書に開示される発明のいくつかの特定の例示的な実施形態において、溝及び隆起部は、例示的なカテーテルの波形の先端の壁上に構成され、波形の先端の端部(例えば、縁部)に開口する。いくつかの特定の例示的な実施形態において、溝及び隆起部は、波形の先端の長手方向軸に対して平行である。隆起部又は/及び溝は、異なるサイズ又は形状を有してよい。溝は、形状又は/及びサイズが類似していても異なっていてもよく、また隆起部は、形状又は/及びサイズが類似していても異なっていてもよい。交互の溝及び隆起部は、形状又は/及びサイズが類似していても異なっていてもよい。
【0040】
本明細書で使用される用語「隆起部」は、限定するものではないが、本発明の例示的なカテーテルの波形の先端の縁部の、任意の比較的隆起した表面又は境界を指す。いくつかのこのような実施形態において、隆起部は、先端縁部の周りの2つの連続する溝の間の波形の縁部の任意の表面又は境界にも関連し得る。
【0041】
本明細書で使用される用語「溝」は、限定するものではないが、本発明の例示的なカテーテルの波形の先端の縁部の、任意の比較的浅い表面又は境界を指す。いくつかのこのような実施形態において、溝は、先端縁部の周りの2つの連続する隆起部の間の波形の縁部の任意の表面又は境界にも関連し得る。カテーテル先端を取り囲む壁の任意の開口部は、カテーテル先端の縁部にも開口しており、本明細書に開示される発明の範囲内の溝として考えることもできる。
【0042】
本明細書で使用される用語「スリット」は、限定するものではないが、比較的狭くて長い溝を有する溝を指し、任意選択的に、及び具体的には、真っすぐな又は/及び平行の側部境界を有する溝を指す。
【0043】
本発明の実施形態をよりよく理解するために、以下のその例示的な説明において、図面を参照する。以下の説明及び添付の図面を通して、同じ参照番号は、同じコンポーネント、要素、又は特徴を指す。本発明は、その適用において、方法ステップ又は手順の任意の特定の連続的順序に、又は以下の例示的な説明に記載されるデバイス、装置、又は/及びシステムコンポーネントの構成又は/及び配置の特定の詳細に、必ずしも限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であるか、又は様々な方法で実施又は実行されることが可能である。
【0044】
ここで図面を参照すると、
図1A-1Cは、波形の先端を有する例示的な血液透析カテーテルとしての、例示的な二重の先端の血液透析カテーテル100を概略的に示す。以下に記載されるのは、本明細書に開示される波形の先端を有する血液透析カテーテルの遠位部分の様々な例示的な実施形態及び幾何学的構成の説明である。カテーテル100は、押して、引いて、又は引き伸ばして、幅広い構成にすることができるように、可撓性材料で作られる。カテーテル100は、細長い本体110を含み、細長い本体110は、第1のルーメン112、及び第1のルーメン112から隔絶される第2のルーメン113を囲む。第1のルーメン112は第1のルーメン軸114を画定し、第2のルーメン113は第2のルーメン軸115を画定し、それぞれが、各対応するルーメン内で中央に位置し、その長さに沿って延在する。
【0045】
カテーテル100は、細長い本体110の中央に位置する長手方向軸116によって、さらに画定される。用語「中央に位置する」は当業者には明らかであるはずだが、疑義のないように説明すると、これは、各ルーメンについて、ルーメンを形成する壁の内側表面によって画定されるルーメンの広がりに垂直な断面形状の重心にあること(
図1Bに示されるように)を意味する。カテーテル全体について、これは、細長い本体110の外側表面によって画定されるルーメンの広がりに垂直な断面形状の重心にあること(
図1Bに示されるように)を意味する。任意選択的に、及び概略的に図示されているように、細長い本体110は、長手方向軸116に沿って、(任意選択的に、分割点又は分割線の形態の)接合部117まで、整列され、且つ分割されていない又はまとめられた、ルーメン112及び113の両方を保持する。接合部117で、細長い本体110は、第1の遠位端領域118及び第2の遠位端領域119に分割する。第1の遠位端領域118は、第1のルーメン112に開口した第1の先端120に終端し、第1のルーメン112は、(分割されていない長さに沿った)細長い本体110及び第1の遠位端領域118の両方に沿って連続して延在する。そして第2の遠位端領域119は、第2のルーメン113に開口した第2の先端121に終端し、第2のルーメン113は、細長い本体110及び第2の遠位端領域119の両方に沿って連続して延在する。
【0046】
第1の及び第2の遠位端領域118及び119は、それらの壁が、デカルト座標系における、単一の分割面、例えば(及び示されるように)正中面(これは、任意選択的に、長手方向軸116を含む又は/及び長手方向軸116から延在する)に対して、互いから長手方向に分割されるように、接合部117で、一体型の細長い本体110から分割される。任意選択的に及び代替的に、両方の壁が、長手方向軸135に対して分割され、正中面に対しては分割されない。任意選択的に、第1の遠位端領域118及び第2の遠位端領域119は、それらが長手方向軸116に対して回転対称を形成するように、接合部117から、実質的に同じように遠位に延在する。異なる長さの遠位端領域を有する非対称分割した先端の透析カテーテルとは異なり、例えば、カテーテル100のような対称血液透析カテーテルは、上流に位置するルーメンと下流に位置するルーメンとの間で起こり得る透析された血液の望ましくない再循環の程度を弱めると考えられる。
【0047】
図1Bは、単一のダブルルーメンカテーテル部分として形成されるカテーテル本体110のまとめられた部分の断面を概略的に示す。ここで、ルーメン112及び113は隣接しており、単一の分離壁を共有している。それにもかかわらず、これは、多くの代替的例示的構成のうちの1つとして考えられるべきであり、他の可能な構成は、異なる複数ルーメンの形状、又は2以上のシングルルーメンカテーテル間の接触の面、線又は/及び点に沿った、任意の連結又は付加(例えば、溶接、接着又は他の方法による)を含んでよい。
図1Bによって図示されているような
図1の実施形態は、「ダブル-D」タイプカテーテルとして知られている。分割した又は二重の先端のダブル-Dタイプカテーテルアセンブリは、2つのほぼ半円形のルーメンによって特徴付けられ、2つのほぼ半円形のルーメンは、中央に位置する実質的に直線状の壁によって画定される、隣接する平坦な側部を備える。まとめられた部分におけるカテーテルアセンブリの外周は、典型的には、断面がほぼ円形である。
図1に示されるように、分割した又は二重の先端に形成されると、2つのルーメンは、共有された中央に位置する実質的に直線状の壁を通り、且つそれに沿って、(例えば、切断によって)分離される。それ故に、分割線(正中面)の方向は、カテーテル100の接合部部分における中央壁の広がりの方向と同じである。
【0048】
ダブル-Dタイプカテーテルについて、2つのルーメンの分離の角度は、2つのルーメンの内側平坦面によって画定される面の交差によって、それらの接合部に形成される二面角であり得る。接合部116で又はそれに隣接して、凝血塊を捕捉する可能性又は塞栓を形成する可能性を減少させるために、カテーテル100は、最小限の二面角を有する。カテーテル100の遠位端を示す
図1Cは、例示的な実施形態を示し、ここで、第1の及び第2の遠位端領域118及び119の内側壁が、分割面(正中面)と平行に保たれている、又は/及び(単一のデカルト系において、正中面に対して直角である)横断面に沿って隙間を形成していないために、二面角がゼロであるか、又は取るに足りないほど小さい。
【0049】
細長い本体110は、第1の近位ハブ又はポート123を含む近位端領域122と、第2の近位ハブ又はポート125を含む第2の近位端領域124とを有し、第1のルーメン112が第1の近位ポート123で開口し、第2のルーメン113が第2の近位ポート125で開口する。
【0050】
カテーテル100は、血液透析器に連結するように構成される(連結は、ポート123及び125を介して促すことができる)。ここで、一方のルーメンは酸素化血液を心臓血管系に送達するために使用することができ、他方のルーメンはそこから血液を引き抜くために使用することができるが、時折、血液循環をこれらの2つのルーメンの間で逆にしてよい。それぞれ第1の及び第2のルーメン112及び113を通る、同時且つ逆方向の流れを促すために、第1のルーメン112及び第2のルーメン113は、独立しており、互いからシールされている。
【0051】
第1の遠位端領域118及び第2の遠位端領域119は、受け入れ側の血管管腔の境界に(任意選択的に、並列して)適合するために、実質的に曲げやすくてよい。任意選択的に及び代替的に、第1の遠位端領域118及び第2の遠位端領域119は、実質的に弾性又は剛性であり、そのため第1の先端120及び第2の先端121が、展開時に所定の距離又は/及び相対的位置に設けられる。いくつかの実施形態において、第1の遠位端領域118及び第2の遠位端領域119は、全体のサイズ及び形状又は/及び開口部サイズ、形状又は/及び分布によって、互いに、長手方向軸116に対して、回転対称に形成される。任意選択的に及び加えて、第1の遠位端領域118及び第2の遠位端領域119は、横断面に関して同様に距離をおいて配置され、又は/及び任意選択的に、正中面に関して同様に距離をおいて配置される。
【0052】
カテーテル100は、局所的な血液の分散及び回収のための遠位開口部を含み、この遠位開口部は、長手方向軸116の周りの回転対称を維持しながら、遠位端領域118及び119に又は/及び第1の及び第2の先端120及び121に分布している。いくつかの実施形態において、及び示されるように、隣接する開口部間の、透析された血液の起こり得る望ましくない再循環を最小限にするために、第1の遠位端領域118及び第2の遠位端領域119は、回転対称であるが非対称であり(すなわち、鏡写しでない)、この例におけるように、任意選択的に、正中面に関して反転している。第1の先端120で第1のルーメン112に開口した第1の前方開口部126は、そこを通る流れを第1のルーメン軸114の方向に向けるような形状である。同様に、第2の前方開口部127は、そこを通る流れを、第2のルーメン軸115の方向(これは、第1の前方開口部126を介する流れと交差せず、任意選択的に、それに対して平行であるが、それとは方向が反対である)に向けるような形状である。
【0053】
前方開口部のいずれかが詰まった場合に起こり得る流れ閉塞を回避するために、前方開口部の遠位に位置し、前方開口部を取り囲む先端の縁部をまとまって形成する、(任意選択的にスリットの形態の)横方向の溝が設けられる。示されるように、第1の及び第2の先端120及び121のそれぞれは、内側溝128及び外側溝129を含む、多数の溝又はスリットを含み得る。
【0054】
図2A-2Eは、波形の先端を備える例示的な血液透析カテーテル210(これは、カテーテル100の例示的なバリエーションである)の遠位部分の概略側面図である。カテーテルが整列手段を使用して整列することを強制されるものであるなどの別段の定めがない限り、本明細書に記載される幾何学的構成は、遠位部分が「弛緩」又は「非応力」状態にあるときに、その固有の構成及び材料の特質及び特性に起因して、本明細書に開示される血液透析カテーテルが自然にとる構成である。血液透析カテーテル210は、長手方向軸212に沿って延在する細長い本体211、第1の先端214で終端する第1の遠位端領域213、及び第2の先端216で終端する第2の遠位端領域215を含む。第1の及び第2の遠位端領域213及び215は、接合部218に隣接して互いに分離されている。第1の遠位端領域213は、第1の先端214に設けられた第1の先端開口部220に開口する、第1のルーメン219を囲み、第2の遠位端領域215は、第2の先端216に設けられた第2の先端開口部222に開口する、第2のルーメン221を囲む。第1の及び第2のルーメン219及び221をそれぞれ通る、血液循環を行うために必要とされる、同時且つ逆方向の流れを促すために、第1のルーメン219及び第2のルーメン221は、独立しており、互いからシールされている。
【0055】
血液透析カテーテル210は、完全に展開された(弛緩又は非応力)形態で示されており、ここで、先端開口部220及び222は、互いに反対方向に且つ長手方向軸212から離れて、しっかりと配向されている。
図1E(これは、第1の先端214の正面図である)に示されるように、第1の及び第2の先端214及び216はそれぞれ、先端長さ223、先端長さ223に沿って延在する内側壁表面224、及び中空外側表面225を含む。内側壁表面224及び中空外側表面225は、先端長さ223の遠位端に沿って交互の溝227及び隆起部228を有する波形の形態226をまとまって形成する。
【0056】
例示的な実施形態において、例えば、
図2Cにおいて示されるように、中空外側表面225が完全に覆われており、内側壁表面224が少なくとも部分的に覆われていない場合、血液透析カテーテル210は、そこを通る活発な横方向の流体通過を促す。
図2Cにおいて、このような例示的な活発な横方向の流体の流れは、「流入」及び「流出」と表示された矢印によって示されている。例示的な実施形態において、例えば、
図2Dにおいて示されるように、中空外側表面225が少なくとも部分的に覆われておらず、内側壁表面224が完全に覆われている場合、血液透析カテーテル210は、そこを通る活発な正面の流体通過を促す。
図2Dにおいて、このような例示的な活発な正面の流体の流れは、「流入」及び「流出」と表示された矢印によって示されている。血液透析カテーテル210は、溝及び隆起部以外の第1の端領域213及び第2の端領域215のいずれかでの横方向の開口を排除する。
【0057】
血液透析カテーテル210は、その完全に展開された(弛緩又は非応力)形態で、溝227及び隆起部228を含む、長手方向軸212に対して互いに回転対称の、第1の遠位端領域213及び第2の遠位端領域215を有し、溝227及び隆起部228は、この回転対称にしたがって分布及び形成されている。
【0058】
ここで、
図3A-3C及び4A-4Cを参照する。
図3A-3Cは、上記に定義された、波形の遠位端を備える例示的な血液透析カテーテル300を、その遠位端のみで概略的に示している。
図4A-4Cは、展開前(
図4A、4B)及び展開後(
図4C)の血液透析カテーテル300の遠位端を強調する。カテーテル300は、カテーテル100又は/及びカテーテル200のパーツ及び要素と構造又は/及び機能が類似している、カテーテル100の別の例示的なバリエーションであると考えることができる。
【0059】
血液透析カテーテル300は、長手方向軸302に沿って延在する細長い本体301(その前部セグメントのみで示されている)、第1の先端304で終端する第1の遠位端領域303、及び第2の先端306で終端する第2の遠位端領域305を含む。第1の遠位端領域303及び第2の遠位端領域305は、接合部308に隣接する分割面307に沿って、互いに分離されている。第1の遠位端領域303は、第1の先端304に設けられた第1の先端開口部310に開口する、第1のルーメン309を囲み、第2の遠位端領域305は、第2の先端306に設けられた第2の先端開口部312に開口する、第2のルーメン311を囲む。第1の及び第2のルーメン309及び311をそれぞれ通る、血液循環を行うために必要とされる、同時且つ逆方向の流れを促すために、第1のルーメン309及び第2のルーメン311は、独立しており、互いからシールされている。
【0060】
血液透析カテーテル300は、完全に展開された(弛緩又は非応力)形態で示されており、ここで、先端開口部310及び312は、互いに反対方向に且つ長手方向軸302から離れて、配向されている。第1の先端304及び第2の先端306はそれぞれ、先端長さ313、先端長さ313に沿って延在する内側壁表面314、及び先端縁部315を含む。内側壁表面314及び先端縁部315は、先端長さ313の遠位端に沿って交互の溝317及び隆起部318を有する波形の形態をまとまって形成する。この状態は、先端縁部315が完全に覆われており、内側壁表面311が少なくとも部分的に覆われていない(
図2Cにおいて既に示されているような)場合、活発な横方向の流体通過を促し、先端縁部315が少なくとも部分的に覆われておらず、内側壁表面314が完全に覆われている(
図2Dにおいて既に示されているような)場合、活発な正面の流体通過を促す。血液透析カテーテル300は、第1の端領域303及び第2の端領域305のいずれかでの横方向の開口を排除する。
【0061】
血液透析カテーテル300は、その完全に展開された(弛緩又は非応力)形態で、溝307及び隆起部308を含む、長手方向軸302に対して互いに回転対称の、第1の遠位端領域303及び第2の遠位端領域305を有し、溝307及び隆起部308は、この回転対称にしたがって分布及び形成されている。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態によれば、細長い本体301は、第1の端領域303及び第2の端領域305が制限境界内で互いに近づくように強制される拘束された形態から、第1の端領域303及び第2の端領域305が拘束されなくなる完全に展開された形態に、弾性的に形成可能である。
図4Aに示されるように、血液透析カテーテル300に、取外し可能な整列手段321を設けてよく、取外し可能な整列手段321は、長手方向軸302に対する第1の遠位端領域303と第2の遠位端領域305との整列を促す。整列手段321が除去されると、
図4B及び4Cに示されるように、第1の遠位端領域303及び第2の遠位端領域305は、はさみのような動きなどで、分割面307に沿って、完全に展開された形態(
図4C)まで、互いに自発的にスライドする。
【0063】
いくつかの実施形態において、第1のルーメン309が、それに沿って延在する第1の先端長手方向軸322を有し、第2のルーメン311が、それに沿って延在する第2の先端長手方向軸324を有する。任意選択的に、カテーテル300が完全に展開された形態にある(例えば、非応力形態又は手段321などの整列手段で拘束されているときよりも低い応力形態にある)とき、第1の及び第2の先端長手方向軸322及び324は、カテーテルの近位部分に沿って平行であり、カテーテルの遠位部分にわたって分岐する。第1の及び第2の先端長手方向軸322及び324は分割面327を画定し、分割面327は、任意選択的に、カテーテルの近位部分における第1の先端長手方向軸及び第2の先端長手方向軸の両方を含む、正中面又は横断面である。
【0064】
第1の及び第2の先端304及び306のそれぞれは、細長い本体から分岐し、5mm~35mmの範囲の突出長さ319を有し、細長い本体301から長手方向軸302に対して分岐する。いくつかの実施形態において、血液透析カテーテル300は、完全に展開された形態にあるとき、4mm~6mmの範囲から7mm~30mmの範囲に変化可能な最大外径を有する。
【0065】
いくつかの実施形態において、細長い本体301は、長さが、10cm~50cm、任意選択的に、約16cm~約45cmであり、被験体の体内での最大長さが、約300cm以下、任意選択的に、約40cm以下、任意選択的に、約36cmになるように指定されている。任意選択的に、ルーメン309及び311は、直径が2~10mm、任意選択的に、約4mm~約6mmである。いくつかの実施形態において、開口部310及び312は、ルーメン309及び311とサイズが実質的に類似しているが、開口部のサイズは、より小さくてもより大きくてもよい。いくつかの実施形態において、先端長さ313、溝317の幅、溝317の長さ、隆起部318の幅、及び隆起部318の長さのうちいずれかは、1~8mm、任意選択的に、2mm~5mmの範囲にある。先端長さ313、溝317の幅、溝317の長さ、隆起部318の幅、及び隆起部318の長さは、同じサイズであっても異なるサイズであっても、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。カテーテル300は、選択された弾性及び剛性の特質を有する医療用又は/及び移植グレードの材料から作製してよく、ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン(The Lubrizol Corporation, Wickliffe, Ohio USAのCarbothane(商標)TPUなど)を含む、ポリウレタン、及びシリコーンなどの、ポリマーの材料から形成してよい。
【0066】
第1の遠位端領域303は、第1のルーメン309に開口する第1の先端304で終端する。第1のルーメン309は、細長い本体301及び第1の遠位端領域303の両方に沿って連続して延在する。第2の遠位端領域305は、第2のルーメン311に開口する第2の先端306で終端する。第2のルーメン311は、細長い本体301及び第2の遠位端領域305の両方に沿って連続して延在する。第1の先端304は、第1の先端縁部315aを含み、第1の先端縁部315aは、第1の先端管状壁325から延在し、第1の先端開口部310を取り囲む。第2の先端306は、第2の先端縁部315bを含み、第2の先端縁部315bは、第2の先端管状壁326から延在し、第2の先端開口部312を取り囲む。第1の先端管状壁325は、第1の外側溝327及び第1の内側溝328を含む、第1の先端縁部315aをまとまって形成する少なくとも2つの溝317を含む。同様に、第2の先端管状壁326は、第2の外側溝329及び第2の内側溝330を含む、第2の先端縁部315bをまとまって形成する少なくとも2つの溝317を含む。
【0067】
第1の内側溝328は、第1の遠位端領域303の第1の内側側部331に沿って延在し、第2の内側溝330は、第2の遠位端領域305の第2の内側側部332に沿って延在する。そのため、第1の内側側部331は、少なくとも部分的に、第2の内側側部332と接触している。示されるように、第1の内側溝328は、第1の外側溝327に対向し、又は/及び第2の内側溝330は、第2の外側溝329に対向する。いくつかの実施形態において、第1の及び第2の先端管状壁325及び326の各溝317は、少なくとも2mmの、任意選択的に、特に2mm~3mmの範囲の、長さ313を有する。いくつかの実施形態において、第1の及び第2の先端管状壁325及び326の各溝317は、少なくとも1mmの、任意選択的に、特に1mm~1.5mmの範囲の、幅を有する。溝317は、長さ又は/及び幅が同一であってよく、又はそれらは違っていてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、第1の及び第2の遠位端領域303及び305のうち少なくとも1つが、弾性であり、第1の遠位端領域303が第1の分岐角度333を介して長手方向軸302から分岐するとき、又は/及び第2の遠位端領域305が第2の分岐角度334を介して長手方向軸から分岐するときに、非応力形態を有するように構成される(例えば、
図4Cに示されるように)。第1の分岐角度333は、長手方向軸302に対して、第2の分岐角度334と等しく且つ方向的に反対であり、これにより、第1の及び第2の遠位端領域303及び305によって画定され、それらの間に広がる、全体の分岐角度335を、共に形成する。全体の分岐角度335は、任意選択的に、5°~50°、任意選択的に、特に、20°~30°の範囲である。第1の及び第2の遠位端領域303及び305が長手方向軸302と整列すると(例えば、
図4A及び4Bに示されるように)、第1の内側溝328は、第2の内側溝330と共に収束するか、又は交差する。いくつかの実施形態において、第1の又は/及び第2の遠位端領域303及び305が非応力形態にあるとき、第1の内側溝328は、第2の内側溝330から完全に分離される。
【0069】
第1の及び第2の遠位端領域303及び305並びに(例示的な第1の及び第2の内側)溝317は、長手方向軸302に対して回転対称であり、第1の先端304は、接合部308に対して、第2の先端306と同じ長さで延在する。第1の及び第2の遠位端領域303及び305は、分割面307(これは、任意選択的に、正中面である)に沿って互いに分離されている。第1の及び第2の遠位端領域303及び305は、分割面307に対して実質的に平行である。第1の先端管状壁325は、第1の平坦な表面(例えば、第1の内側側部331)を有し、第2の先端管状壁326は、第1の平坦な表面に面する第2の平坦な表面(例えば、第2の内側側部332)を有する。第1の平坦な表面又は/及び第2の平坦な表面は、分割面307に対して平行である。
【0070】
第1の内側溝328及び第1の外側溝327のうち少なくとも1つは、第1の遠位端部分303の第1の先端長手方向軸322に対して平行に延在する真っすぐなスリットの形態であり、第2の内側溝330及び第2の外側溝329のうち少なくとも1つは、第2の遠位端部分305の第2の先端長手方向軸324に対して平行に延在する真っすぐなスリットの形態である。例示的な実施形態において、第1の及び第2の先端304及び306が、とがっていない形態を有する。
【0071】
図5A-5Dは、波形の先端を備える血液透析カテーテル、例えば、血液透析カテーテル300の例示的なバリエーションを概略的に示す。これらの全てのバリエーションにおいて、遠位端部分303及び305は、長手方向軸302の周りで回転対称であり、その対応する先端までの長さが同じである。
図5Aは、カテーテル300の第1の例示的なバリエーション300aを示し、ここで、第1の内側溝328は、第1の外側溝327と長さが同一であり、又は/及び第2の内側溝330は、第2の外側溝329と長さが同一である。示されるように、全ての溝317は、長さ3mm及び幅1.3mmである。第1の及び第2の遠位端部分303及び305の全体の長さは、12mmである。内側溝及び外側溝の両方は、各対応する遠位端部分の対称線に沿って延在する。全体の分岐角度335は24°である。示されるように、第1の内側溝328及び第1の外側溝327は、第1の先端長手方向軸322に対して、180度円周方向に、互いに離れて位置する。同様に、第2の内側溝330及び第2の外側溝329は、第2の先端長手方向軸324に対して、180度円周方向に、互いに離れて位置する。
【0072】
図5Bは、カテーテル300の第2の例示的なバリエーション300bを示し、ここで、第1の内側溝328及び第1の外側溝327のうち一方は、他方よりも、第1の先端長手方向軸322により近くに位置する。同様に、第2の内側溝330及び第2の外側溝329のうち一方は、他方よりも、第2の先端長手方向軸324により近くに位置する。いくつかのこのような実施形態において、第1の内側溝328及び第1の外側溝327は、第1の遠位端部分303の対称線の両側に位置する。同様に、第2の内側溝330及び第2の外側溝329は、第2の遠位端部分305の対称線の両側に位置する。カテーテル300の例示的なバリエーション300bの寸法は、カテーテル300の例示的なバリエーション300aの寸法と同じである。
【0073】
図5Cは、カテーテル300の第3の例示的なバリエーション300cを示し、ここで、第1の内側溝328の長さは、第1の外側溝327の長さより大きく、第2の内側溝330の長さは、第2の外側溝329の長さより大きい。例えば、第1の及び第2の内側溝328及び330は、長さが、3mm~6mm、任意選択的に、約5mmであり、第1の及び第2の外側溝327及び329は、長さが、1mm~3mm、任意選択的に、約3mmである。第1の及び第2の遠位端部分303及び305の全体の長さは、約11mmである。内側溝及び外側溝の両方は、各対応する遠位端部分の対称線に沿って延在する。全体の分岐角度335は、約22.5°である。
【0074】
図5Dは、カテーテル300の第4の例示的なバリエーション300dを示し、ここで、第1の内側溝328の長さは、第1の外側溝327の長さより小さく、第2の内側溝330の長さは、第2の外側溝329の長さより小さい。例えば、第1の及び第2の内側溝328及び330は、長さが、1mm~3mm、任意選択的に、約3mmであり、第1の及び第2の外側溝327及び329は、長さが、3mm~6mm、任意選択的に、約5mmである。残りの寸法は、例示的なバリエーション300cのものと同じである。
【0075】
3つのバリエーション全てにおいて、細長い本体301は直径が4.95mmであり、壁厚が0.64mmであり、内側壁幅が0.86mmであり、第1の及び第2の遠位端部分303及び305に分割すると、これは次いで半分に分離される。
【0076】
図6は、
図5Cに示される例示的な血液透析カテーテル300cの例示的なプロトタイプの実行を含む、実際の実験状況の写真である。ウシの心臓(例示的な身体の器官として)を、37℃に予熱された、水で満たされた容器に入れた。直視下でカテーテル300cの遠位端の位置決めを可能にするために、心臓の右心房を切断した。カテーテルの第1のルーメンを、約600ml/分の速度でルーメン開口部を介して水を引き抜くようにセットされた第1のポンプに、動作可能に連結した。一方で、第2のルーメンを、水で満たされた容器に水を戻すための第2のポンプに、動作可能に連結した。心臓及びカテーテル遠位端を水中に沈め、ポンプをオンにしながら、カテーテルの先端を、異なる角度及び位置で、右心房の組織壁に対して押し付けた。すべての場合において、各カテーテル遠位端部分(及びルーメン)の少なくとも1つの溝は、両方のルーメンを介する、両方の方向の、有効な水の送達を促すのに十分に、開口していた(閉塞していなかった)。これらの実験結果は、身体の器官(例えば、心臓)内に配置するために構成される血液透析カテーテルにおいて、本明細書に開示される波形の(スリット)先端構造を使用する利点のうち、少なくとも1つの利点の証拠を提供する。実際に使用している間、血液透析カテーテルは、カテーテルルーメンのうち少なくとも1つにおいて位置閉塞を防止するのに非常に有効であった。
【0077】
本明細書で使用される、単数形の文法的形態で記載された以下の用語:「a」、「an」、及び「the」のそれぞれは、「少なくとも1つの」、又は「1又は複数の」を意味する。本明細書におけるフレーズ「1又は複数の」の使用は、「a」、「an」、又は「the」のこの意図される意味を変更しない。したがって、本明細書で使用される用語「a」、「an」、及び「the」はまた、特に具体的に定義又は記載されない限り、又は文脈上他に明確に指示されない限り、複数の記載される実体又は物体を指し、包含し得る。例えば、本明細書で使用されるフレーズ:「a ユニット」、「a デバイス」、「an アセンブリ」、「a メカニズム」、「a コンポーネント」、「an 要素」、及び「a ステップ又は手順」はまた、複数のユニット、複数のデバイス、複数のアセンブリ、複数のメカニズム、複数のコンポーネント、複数の要素、及び、複数のステップ又は手順を、それぞれ指し、包含し得る。
【0078】
本明細書で使用される以下の用語:「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(includes)」、及び「含む(including)」、並びにそれらの言語学的/文法的異形、派生語、又は/及び活用形のそれぞれは、「含むが、これらに限定されない(including, but not limited to)」を意味し、記載される1又は複数のコンポーネント、特徴、特性、パラメーター、整数、又はステップを特定するものとして解釈されるべきものであり、1又は複数の追加のコンポーネント、特徴、特性、パラメーター、整数、ステップ、又はそれらの群の追加を排除するものではない。これらの用語のそれぞれは、フレーズ「~から本質的に成る(consisting essentially of)」と意味が等価であるとみなされる。
【0079】
本明細書で使用される用語「方法」は、所与のタスクを達成するためのステップ、手順、やり方、手段、又は/及び技術を指し、所与のタスクとしては、開示される発明の関連する分野の実務者に知られているか、又は当該実務者によって既知のステップ、手順、やり方、手段、又は/及び技術から容易に開発される、ステップ、手順、やり方、手段、又は/及び技術が含まれるが、これらに限定されない。
【0080】
本開示を通して、パラメーター、特徴、特性、物体、又は寸法の数値は、数値範囲形式で記載又は説明され得る。本明細書で使用されるこのような数値範囲形式は、本発明のいくつかの例示的な実施形態の実装を示し、本発明の例示的な実施形態の範囲を確固として限定するものではない。したがって、記載されている又は説明されている数値範囲はまた、記載されている又は説明されている数値範囲内の全ての可能な部分範囲及び個々の数値(ここで、数値は、全数、整数、又は分数として表され得る)を指し、包含する。例えば、記載されている又は説明されている数値範囲「1~6」はまた、「1~6」の記載されている又は説明されている数値範囲内の、全ての可能な部分範囲、例えば、「1~3」、「1~4」、「1~5」、「2~4」、「2~6」、「3~6」など、及び個々の数値、例えば、「1」、「1.3」、「2」、「2.8」、「3」、「3.5」、「4」、「4.6」、「5」、「5.2」、及び「6」を指し、包含する。これは、記載されている又は説明されている数値範囲の数値の幅、程度、又はサイズに関わらず適用される。
【0081】
さらに、数値範囲を記載する又は説明するための、フレーズ「約『第1の数値』と約『第2の数値』との間の範囲の」は、フレーズ「約『第1の数値』~約『第2の数値』の範囲の」と等価であり同じ意味であるとみなされ、したがって、これらの2つの等価な意味のフレーズは、交換可能に使用され得る。例えば、室温の数値範囲を記載する又は説明するための、フレーズ「室温は、約20℃と約25℃との間の範囲の温度を指す」は、フレーズ「室温は、約20℃~約25℃の範囲の温度を指す」と等価であり同じ意味であるとみなされる。
【0082】
本明細書で使用される用語「約」は、記載されている数値の±10%を指す。
【0083】
本発明のある特定の態様、特性、及び特徴(これらは、明確性のために、複数の別個の実施形態の文脈又は形式において例示的に説明され提示されている)はまた、単一の実施形態の文脈又は形式において、任意の適切な組み合わせ又は部分的組み合わせで、例示的に説明され提示され得る、ということが完全に理解されるべきである。反対に、本発明の様々な態様、特性、及び特徴(これらは、単一の実施形態の文脈又は形式において、組み合わせ又は部分的組み合わせで、例示的に説明され提示されている)はまた、複数の別個の実施形態の文脈又は形式において例示的に説明され提示され得る。
【0084】
本発明は、特定の例示的な実施形態及びそれらの例によって、例示的に説明され提示されてきたが、それらの多くの代替、改変、又は/及び変形が当業者に明らかであろうことは明白である。したがって、全てのこのような代替、改変、又は/及び変形は、幅広い範囲の添付の特許請求の範囲の精神の範囲内にあり、それによって包含されることが意図される。
【0085】
本開示において引用又は参照された全ての刊行物、特許、又は/及び特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許、又は/及び特許出願が、具体的且つ個別に記載されて参照により本明細書に組み込まれたのと同じ程度に、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。加えて、この明細書における任意の参照の引用又は同定は、このような参照が本発明の先行技術を表す又は本発明の先行技術に対応することを容認するものとして、解釈又は理解されるべきではない。セクション見出しが使用される場合、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。