(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】アルキルエーテルアミン泡制御化合物および食材の加工方法
(51)【国際特許分類】
B01D 19/04 20060101AFI20240522BHJP
C11D 3/30 20060101ALI20240522BHJP
A23L 29/00 20160101ALI20240522BHJP
A23L 19/12 20160101ALN20240522BHJP
【FI】
B01D19/04 B
C11D3/30
A23L29/00
A23L19/12 Z
(21)【出願番号】P 2021512403
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(86)【国際出願番号】 US2019051424
(87)【国際公開番号】W WO2020068481
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-07
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シュエ
(72)【発明者】
【氏名】キング、ステファン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ドネート、フィリップ エー.
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-080476(JP,A)
【文献】特開2012-005402(JP,A)
【文献】特表2018-510960(JP,A)
【文献】特開2003-080006(JP,A)
【文献】特表平08-507718(JP,A)
【文献】米国特許第03666681(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 19/00-19/04
C11D 1/00-19/00
A23L 5/00-5/30;29/00-29/10
A23L 19/00-19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材の加工中に泡を制御するための方法であって、
食材と、3~34の範囲の炭素原子数、1~6の範囲のエーテル酸素数、およびアミン部分を有する化合物とを含む組成物を形成することと、
前記組成物を加工することと、を含み、
前記化合物が下記式Iの化合物であり、
式Iの化合物を含まないこと以外は同じである比較組成物と比較して、加工中に泡を制御する、方法。
【化1】
式I中、R
1は、1~10個の炭素原子を有する一価の炭素含有基であり、R
2は水素、メチル、またはエチルであり、R
3は水素、メチル、またはエチルであり、xは0~5である。
【請求項2】
前記化合物が4~10個の炭素原子を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アミン部分が一級アミン部分である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記R
1は、1~6個の炭素原子を有する一価の炭素含有基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が、xが0~5の平均値を有するような複数の式Iの化合物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
R
2がメチルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
R
3がメチルである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
xが0、1、または2である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物が、
(a)2-メトキシエチルアミン、2-エトキシエチルアミン、2-プロポキシエチルアミン、2-ブトキシエチルアミン、2-ペンチルオキシエチルアミン、2-ヘキシルオキシエチルアミン、2-セプチルオキシエチルアミン、および2-オクチルオキシエチルアミン、
(b)1-メトキシプロパン-2-アミン、1-エトキシプロパン-2-アミン、1-プロポキシプロパン-2-アミン、1-ブトキシプロパン-2-アミン、1-ペンチルオキシプロパン-2-アミン、1-ヘキシルオキシプロパン-2-アミン、1-セプチルオキシプロパン-2-アミン、および1-オクチルオキシプロパン-2-アミン、
(c)2-(2-メトキシエトキシ)-1-アミノエタン、2-(2-エトキシエトキシ)-1-アミノエタン、2-(2-プロポキシエトキシ)-1-アミノエタン、2-(2-ブトキシエトキシ)-1-アミノエタン、2-(2-ペンチルオキシエトキシ)-1-アミノエタン、および2-(2-ヘキシルオキシエトキシ)-1-アミノエタン、
(d)1-(1-メトキシエトキシ)-プロパン-2-アミン、1-(1-エトキシエトキシ)-プロパン-2-アミン、1-(1-プロポキシエトキシ)-プロパン-2-アミン、1-(1-ブトキシエトキシ)-プロパン-2-アミン、1-(1-ペンチルオキシエトキシ)-プロパン-2-アミン、および1-(1-ヘキシルオキシエトキシ)-プロパン-2-アミン、
(e)1-((1-メトキシプロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-((1-エトキシプロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-((1-プロポキシプロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-((1-ブトキシプロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-((1-ペンチルオキシプロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、および1-((1-ヘキシルオキシプロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、
(f)2-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルアミン、2-[2-(2-エトキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルアミン、2-[2-(2-プロポキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルアミン、2-[2-(2-ブトキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルアミン、2-[2-(2-ペンチルオキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルアミン、2-[2-(2-ヘキシルオキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルアミン、ならびに
(g)1-(((1-メトキシ(プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-(((1-エトキシ(プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-(((1-プロポキシ(プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-(((1-ブトキシ(プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-(((1-ペンチルオキシ(プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、および1-(((1-ヘキシルオキシ(プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミンの群のうちのいずれかから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が、
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
および
【化7】
からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が、0.01~5%(重量)の範囲の量で前記組成物中に存在する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が、0.1~1%(重量)の範囲の量で前記組成物中に存在する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が少なくとも20%(重量)の量の水を含み、前記水が食材に由来するものではない、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が30~95%(重量)の範囲の量の水を含み、前記水が食材に由来するものではない、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が、前記食材および化合物とは異なる10%(重量)未満の固形分を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
加工後に前記組成物から水および化合物を除去することを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記食材が野菜、果物、または植物である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記食材が、エンドウ豆、トウモロコシ、ジャガイモ、豆、米、小麦、キャッサバ、豆、サツマイモ、ヤムイモ、ソルガム、およびプランテンからなる群から選択される植物である、またはそれに由来する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記食材が少なくとも0.01%(重量)の量のデンプンを含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記食材が、ビート、ヒヨコマメ、大豆、アルファルファもやし、白インゲンマメ(navy bean)、白インゲンマメ(haricot bean)、およびインゲンマメからなる群から選択される植物に由来する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記食材がサポニンを含み、サポニンが少なくとも1ppmの量で前記組成物中に存在する、請求項17または20に記載の方法。
【請求項22】
加工が前記食材の洗浄を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
加工が、切断、みじん切り、すりおろし、スライス、皮むき、千切り、ミンチ、角切り、拡散、および細断からなる群から選択される動作のうちの1つ以上を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
加工が、混合、ピューレ化、叩き、液化、すりつぶし、泡立て、破砕、搾汁、および粉砕からなる群から選択される動作のうちの1つ以上を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
加工が結晶化または精製を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
加工が発酵を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物
が、食材、化合物、および水からなる、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
洗浄、切断、みじん切り、すりおろし、スライス、皮むき、千切り、ミンチ、角切り、細断、混合、ピューレ化、叩き、液化、すりつぶし、泡立て、破砕、搾汁、粉砕、発酵からなる群から選択される
加工のうちの1つ以上に供される野菜、果物、食用植物、または穀物である食材と、
3~34の範囲の炭素原子数、1~6の範囲のエーテル酸素数、およびアミン部分を有する化合物であって、下記式Iの化合物:
【化8】
(式I中、R
1は、1~10個の炭素原子を有する一価の炭素含有基であり、R
2は水素、メチル、またはエチルであり、R
3は水素、メチル、またはエチルであり、xは0~5である)と、
少なくとも20%(重量)の量の水であって、前記食材に由来するものではない、水と、を含む食品製品前駆組成物
であって、
式Iの化合物を含まないこと以外は同じである比較組成物と比較して、加工中に泡を制御する、食品製品前駆組成物。
【請求項29】
請求項1に記載の方法であって、
前記食材を、食材加工機において、前記化合物の存在下で、洗浄、切断、みじん切り、すりおろし、スライス、皮むき、千切り、ミンチ、角切り、細断、混合、ピューレ化、叩き、液化、すりつぶし、泡立て、破砕、搾汁、粉砕、および発酵からなる群から選択される動作の1つ以上をして、加工食材を調製することと、
前記加工食材を容器に保持することと、
分離機構において前記加工食材から前記化合物を分離することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年9月28日に出願されたシリアル番号62/738,393を有する共有仮出願の利益を主張し、その仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
食材を製造するためのプロセスは、時折、望ましくない泡の発生を引き起こす。機械的に泡を管理する方法の有効性は、限られている。代わりに、泡制御剤が製造プロセスに添加され、泡の発生が低減される。食品および医薬品用途では、従来の泡制御剤には、エチレンオキシドベース、プロピレンオキシドベース、およびシリコーンベースの薬剤が含まれている。しかしながら、食品産業において使用に適した改良された泡制御剤について依然として強い需要がある。
【0003】
泡制御剤には、泡の形成を防止する泡抑制剤(抗泡剤)、および泡が形成された後に泡を減少させる消泡剤が含まれる。
【0004】
望ましくない泡の形成は、野菜、果物、または植物の食材の加工中の様々な加工段階で発生し得る。例えば、甜菜の工業的加工中(砂糖、シロップ、ジュースの形成に通じるような)、洗浄、切断、拡散、炭化および蒸発のステップ中に、加工装置内で泡の形成が発生し得る。同様に、ジャガイモの工業的加工中、洗浄、清浄、研磨、および切断中に加工装置内で泡の形成が発生し得る。さらなる泡の制御が望ましい食材を使用する他のプロセスには、栄養補助食品および医薬品の製造のための発酵を含む工業的発酵プロセスが含まれる。
【0005】
泡制御剤は、望ましくは、食材の工業的発酵において使用される微生物への悪影響を含む泡を制御するために使用される工業プロセスにおいて悪影響を及ぼさない。泡制御剤は、場合によっては食材加工手順の最終製品に存在する可能性があるため、それらが生理学的に安全であることが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の態様は、アルキルエーテルアミンを使用して食材加工中に泡を制御する方法、アルキルエーテルアミン泡制御化合物を含む食品製品前駆組成物、およびアルキルエーテルアミンを使用し、および泡形成を制御するために構成された食材を加工するためのシステムを対象とする。
【0007】
一態様においては、本発明は、食材加工中に泡を制御するための方法を提供し、この方法は、(a)食材と、3~34の範囲の炭素原子数、1~6の範囲のエーテル酸素数、およびアミン部分を有する化合物とを含む組成物を形成するステップ、および(b)その組成物を加工するステップを含む。
【0008】
組成物の化合物は、式Iの化合物であり得、
【化1】
式中、R
1は、1~10個の炭素原子を有する一価の炭素含有基であり、R
2は水素、メチル、またはエチルであり、R
3は水素、メチル、またはエチルであり、xは0~5である。
【0009】
別の態様では、本発明は、食材と、(a)3~34の範囲の炭素原子数、1~6の範囲のエーテル酸素数、およびアミン部分を有する化合物または(b)本明細書に記載の式Iの化合物とを含む食品前駆組成物を提供する。
【0010】
別の態様では、本発明は、本開示のいずれかの方法に従って食材を加工するためのシステムを提供し、そのシステムは、(a)食材を、洗浄、切断、みじん切り、すりおろし、スライス、皮むき、千切り、ミンチ、角切り、細断、混合、ピューレ化、叩き、液化、すりつぶし、泡立て、破砕、搾汁、粉砕および発酵の1つ以上をして加工食材にすることができる食材加工機と、(b)加工食材、水、および本開示の泡制御化合物を含む水性組成物を保持するように構成された容器と、(c)加工食材から泡制御化合物を分離することができる分離機構とを含む。
【0011】
本開示のアルキルエーテルアミン泡制御化合物を使用する方法、組成物、およびシステムは、ジャガイモなどの多くの量のデンプンを含むもの、またはビートなどの多くの量のサポニンを含むものなど、様々なタイプの植物、果物、または野菜の加工に使用され得る。そうでなければ、これらの食材からのデンプンおよびサポニンの放出は、泡の形成を引き起こし得、これは、本開示のアルキルエーテルアミンを使用して制御される。
【0012】
本開示のアルキルエーテルアミンは、他の従来の泡制御剤に勝る特定の利点を提供する。それらは概してシリコーンベースおよびEO/POコポリマーと比較して分子量が低いため、容易に泡層に輸送して泡を破壊し得る。さらに、本開示のアルキルエーテルアミン泡制御化合物は、水への非常に良好な溶解性を有するため、食品加工システムから除去し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】は甜菜の工業的加工のステップを示す概略図である。
【
図2】ジャガイモの工業的加工のステップを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、泡を制御するための方法、組成物およびシステムを説明する。本明細書に記載の方法、組成物およびシステムは、特に食品加工用途に関する。食品加工中、製造プロセスにおける様々な時点で泡が発生し得る。泡は、加工中に空気混入(例えば、機械的攪拌、混合、洗浄、抽出、攪拌、散布などにより発生する)が起こる場合、タンパク質、脂肪酸、でんぷんなどの多糖類、サポニン、および糖などの界面活性物質の存在により引き起こされる。泡は、多くの異なる方法で食品加工プロセスを害し、プロセスの流れを大きく混乱させる。本明細書に記載される方法は、本明細書に記載される方法が使用されない同様の食品プロセスと比較して、食品加工用途において発生する泡の量を制限するのに有効である。理論に制限されるものではないが、本開示の方法は、(1)食品プロセスにおいて発生する泡の量を制限し(抗泡剤としても既知である)、(2)発生した泡を最小限にする、または排除する(消泡剤としても知られる)という両方の特徴を有することが期待される。食品組成物および泡制御剤は、当該技術分野で既知であるように、例えば混合することにより混ぜ合わされる。
【0015】
本開示の泡制御化合物は、食品加工操作の単一の時点で使用され得、または手順中の複数の時点で使用され得る。例えば、いくつかの野菜、果物、または植物の工業的加工は、洗浄、皮むき、サイズ減少(例えば、切断、細断、混合など)、拡散、抽出、および発酵などの加工ステップを含み得る。本開示のアルキルエーテルアミン泡制御化合物は、これらの特定の加工ステップのいずれか1つ以上において使用され得、および各タイプの加工イベントに適した組成物に必要に応じて配合され得る。
【0016】
本開示の泡制御化合物は、アルキルエーテルアミン化学を含む。アルキルエーテルアミンである泡制御化合物は、炭素原子、水素、エーテル酸素、およびアミン基を含み得る。実施形態において、アルキルエーテルアミンは、炭素原子、水素、エーテル酸素、およびアミン基からなり得る。例示的なアルキルエーテルアミンは、3~34の範囲の炭素原子数、1~6の範囲のエーテル酸素数、およびアミン部分を有し得る。より具体的な実施形態では、アルキルエーテルアミンは、4~10の範囲の炭素原子数、1~3の範囲のエーテル酸素数、およびアミン部分を有する。
【0017】
好ましくは、アミン部分は一級アミン部分である。
【0018】
アルキルエーテルアミンである泡制御化合物はまた、式Iを参照して説明され得る。実施形態において、泡制御化合物は、式Iの化合物であり、
【化2】
式中R
1は、1~10個の炭素原子を有する一価の炭素含有基であり、R
2は水素、メチル、またはエチルであり、R
3は水素、メチル、またはエチルであり、xは0~5である。xが2以上である場合、R
2は同じであっても異なっていてもよい(すなわち、化合物は、水素、メチル、およびエチルの2つ以上の組み合わせを含み得る)。
【0019】
例示的なR1基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、1-、2-、および3-メチルブチル、1,1-、1,2-、または2,2-ジメチルプロピル、1-エチル-プロピル、1-、2-、3-、または4-メチルペンチル、1,1-、1,2-、1,3-、2,2-、2,3-、または3,3-ジメチルブチル、1-または2-エチルブチル、1-エチル-1-メチルプロピル、および1,1,2-または1,2,2-トリメチルプロピル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、およびプロピルシクロヘキシルなどの直鎖、分岐、および環状アルキル基を含む。
【0020】
より具体的には、泡制御化合物は、以下のうちの1つ以上によって定義される:R2はメチルであり、R3はメチルであり、および/またはxは0、1、または2である。
【0021】
いくつかの実施形態において、アルキルエーテルアミン泡制御化合物は、以下の群のいずれかから選択される化合物である:
(a)2-メトキシエチルアミン、2-エトキシエチルアミン、2-プロポキシエチルアミン、2-ブトキシエチルアミン、2-ペンチルオキシエチルアミン、2-ヘキシルオキシエチルアミン、2-セプチルオキシエチルアミン、および2-オクチルオキシエチルアミン、
(b)1-メトキシプロパン-2-アミン、1-エトキシプロパン-2-アミン、1-プロポキシプロパン-2-アミン、1-ブトキシプロパン-2-アミン、1-ペンチルオキシプロパン-2-アミン、1-ヘキシルオキシプロパン-2-アミン、1-セプチルオキシプロパン-2-アミン、および1-オクチルオキシプロパン-2-アミン、
(c)2-(2-メトキシエトキシ)-1-アミノエタン、2-(2-エトキシエトキシ)-1-アミノエタン、2-(2-プロポキシエトキシ)-1-アミノエタン、2-(2-ブトキシエトキシ)-1-アミノエタン、2-(2-ペンチルオキシエトキシ)-1-アミノエタン、および2-(2-ヘキシルオキシエトキシ)-1-アミノエタン、
(d)1-(1-メトキシエトキシ)-プロパン-2-アミン、1-(1-エトキシエトキシ)-プロパン-2-アミン、1-(1-プロポキシエトキシ)-プロパン-2-アミン、1-(1-ブトキシエトキシ)-プロパン-2-アミン、1-(1-ペンチルオキシエトキシ)-プロパン-2-アミン、および1-(1-ヘキシルオキシエトキシ)-プロパン-2-アミン、
(e)1-((1-メトキシプロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-((1-エトキシプロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-((1-プロポキシプロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-((1-ブトキシプロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-((1-ペンチルオキシプロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、および1-((1-ヘキシルオキシプロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、
(f)2-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルアミン、2-[2-(2-エトキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルアミン、2-[2-(2-プロポキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルアミン、2-[2-(2-ブトキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルアミン、2-[2-(2-ペンチルオキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルアミン、2-[2-(2-ヘキシルオキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルアミン、ならびに
(g)1-(((1-メトキシ(プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-(((1-エトキシ(プロパン-2-イル))オキシ)-プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-(((1-プロポキシ(プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-(((1-ブトキシ(プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-(((1-ペンチルオキシ(プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、および1-(((1-ヘキシルオキシ(プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン。
【0022】
実施形態では、泡制御化合物は、
【化3】
、
【化4】
、
【化5】
、
【化6】
、
【化7】
、
および
【化8】
からなる群から選択される化合物である。
【0023】
本開示のアルキルエーテルアミンは、約90℃~約280℃の範囲の沸点(bps)を有するものを含むことができる。
【0024】
アルキルエーテルアミンの調製は当該技術分野で既知であり、および様々なアルキルエーテルアミンも市販されている。合成の1つのモードは、米国特許第9,574,126号に記載されているように、NiCoCuReB触媒を使用したアンモニアでのグリコールエーテルの還元的アミノ化を含む。グリコールエーテル出発物質は、プロピレングリコールn-ブチルエーテル(DOWANOL(商標)PnBグリコールエーテル)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DOWANOL DPMグリコールエーテル)、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル(DOWANOL DPnPグリコールエーテル)、プロピレングリコールn-プロピルエーテル(DOWANOL PnPグリコールエーテル)、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル(DOWANOL DPnBグリコールエーテル)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(Hexyl CELLOSOLVE(商標)溶媒)、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル(propyl CELLOSOLVE溶媒)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル(Propyl CELLOSOLVE溶媒)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(Hexyl CARBITOL(商標)溶媒、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(Butyl CARBITOL溶媒)およびトリエチレングリコールモノブチルエーテルなど、DOWANOL(商標)、CELLOSOLVE(商標)、およびCARBITOL(商標)の商品名で入手できるものなどDowから入手され得る。
【0025】
いくつかのアルキルエーテルアミン(例えば、1-メトキシプロパン-2-アミン、Sigma-Aldrich)は市販されている。
【0026】
アルキルエーテルアミン本開示の泡制御化合物は、食材または食材製品に由来する製品を含む組成物に添加されるように構成された形態であり得る。例えば、アルキルエーテルアミン泡制御化合物は、食材またはそれから誘導される製品を含む水性組成物に添加される液体組成物の形態であり得る。アルキルエーテルアミン自体は、室温で液体の形態であり得る(23℃)、したがって、「ストック」組成物は、アルキルエーテルアミンは希釈されていない形態(100%重量)であり得る。ストック組成物はまた、アルキルエーテルアミンが約30%(重量)~約99%(重量)の範囲の量で存在するなど、1つ以上の適合性溶媒のアルキルエーテルアミン溶液で調製され得る。アルキルエーテルアミンのストックまたは濃縮組成物のある量が食材を含む組成物に添加され、作動量でのアルキルエーテルアミン泡制御化合物を提供し得る。
【0027】
または、アルキルエーテルアミン泡制御化合物は、食材またはそれから誘導される製品を含む水性組成物に添加することができる粉末または顆粒形態などの固体組成物の形態であり得る。
【0028】
ストックまたは濃縮液体組成物は、溶媒、界面活性剤、乳化剤、またはそれらの組み合わせをさらに含み得る。アルキルエーテルアミンは、任意に、そのような液体組成物に共溶媒和され得る。任意の界面活性剤または乳化剤は、組成物の0.1~30重量%の範囲の量であり得る。
【0029】
例示的な任意の界面活性剤または乳化剤は、アニオン性、カチオン性および非イオン性化合物である。好適なアニオン性界面活性剤または乳化剤の例は、アルカリ金属、アンモニウム、およびアミン石鹸であり、そのような石鹸の脂肪酸部分は、好ましくは少なくとも16個の炭素原子を含有する。石鹸はまた、「in situ」形成することもでき、言い換えれば、脂肪酸を油相に添加し、およびアルカリ性物質を水相に添加し得る。
【0030】
好適なアニオン性界面活性剤または乳化剤の他の例は、アルキル-アリールスルホン酸のアルカリ金属塩、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、硫酸化またはスルホン化油、例えば硫酸化ヒマシ油、スルホン化獣脂、および短鎖石油スルホン酸のアルカリ塩である。
【0031】
好適なカチオン性界面活性剤または乳化剤は、オレイルアミドアセテート、セチルアミンアセテート、ジドデシルアミンラクテート、アミノエチル-アミノエチルステアラミドの酢酸塩、ジラウロイルトリエチレンテトラミンジアセテート、1-アミノエチル-2-ヘプタデセニルイミダゾリンアセテートなどの長鎖第一級、第二級、または第三級アミンの塩;ならびにセチルピリジニウムブロミド、ヘキサデシルエチルモルホリニウムクロリド、およびジエチルジドデシルアンモニウムクロリドなどの第四級塩である。
【0032】
好適な非イオン性界面活性剤または乳化剤の例は、オレイルアルコールと10個のエチレンオキシド単位との反応生成物などの高級脂肪アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物、イソオクチルフェノールと12個のエチレンオキシド単位との反応生成物などのアルキルフェノールとエチレンオキシドとの縮合生成物、5個以上のエチレンオキシド単位と高級脂肪酸アミドとの縮合生成物、テトラエチレングリコールモノパルミテート、ヘキサエチレングリコールモノラウレート、ノナエチレングリコールモノステアレート、ノナエチレングリコールジオレエート、トリデカエチレングリコールモノアラキデート、トリコサエチレングリコールモノベヘネート、トリコサエチレングリコールジベヘネートなどの長鎖脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、ソルビタントリステアレートなどの多価アルコール部分高級脂肪酸エステル、10分子のエチレンオキシドと反応したグリコールモノパルミテート、12分子のエチレンオキシドと反応したペンタエリスリトールモノオレエート、10~15分子のエチレンオキシドと反応したソルビタンモノステアレート、10~15分子のエチレンオキシドと反応したマンニタンモノパルミテートのなどの多価アルコール部分高級脂肪酸エステルのエチレンオキシド縮合生成物、およびそれらの内部無水物(マンニタンと呼ばれているマンニトール無水物、およびソルビタンと呼ばれているソルビトール無水物)、メトキシポリエチレングリコール550モノステアレート(550はポリグリコールエーテルの平均分子量を意味する)などの一方のヒドロキシル基が高級脂肪酸でエステル化され、他方のヒドロキシル基が低分子アルコールでエーテル化されている長鎖ポリグリコールである。これらの界面活性剤の2つ以上の組み合わせが使用され得、例えば、カチオン性は非イオン性と、またはアニオン性は非イオン性とブレンドされ得る。
【0033】
アルキルエーテルアミン泡制御化合物組成物は、任意選択で、1つ以上の添加剤を含み得る。添加剤の例には、エチレンオキシド/プロピレンオキシド、ブチレンオキシド/プロピレンオキシド、エチレンオキシド/ブチレンオキシド、のブロックまたはランダムコポリマー、またはワックスまたはシリコーンベースの材料を含む。
【0034】
アルキルエーテルアミン発泡制御化合物組成物は、任意で、アルキルエーテルアミン発泡制御化合物を含む方法、組成物、またはシステムと組み合わせて使用される1つ以上の第2の発泡制御化合物を含み得る。本開示のアルキルエーテルアミン泡制御化合物とは異なる任意の第2の泡制御化合物は、アルコール、少なくとも1つのアルキルポリグルコシド(APG)のアルコキシル化によって生成される1つ以上の薬剤、譲受人の同時係属中の2018年3月16日にXue Chenの名前で出願された弁護士整理番号81861-US-PSPを有する米国仮特許出願第62/644,015号、2018年3月16日にMichaelL.Tulchinskyの名前で出願された弁護士整理番号81862-US-PSPを有する米国特許出願第62/644,024号、2018年3月16日にClark H. Cummingsの名前で出願された弁護士整理番号81863-US-PSPを有する米国特許出願第62/644,031号および2018年3月16日にStephen W. Kingの名前で出願された弁護士整理番号81864-US-PSPを有する米国特許出願第62/644,038号の1つ以上に記載される泡制御剤、参照により本明細書に組み込まれるこれらの出願の開示を含む。
【0035】
本開示のアルキルエーテルアミン泡制御化合物とは異なる他の任意の第2の泡制御化合物には、「CYCLIC KETAL COMPOUNDS HAVING LONG SIDE CHAINS USEFUL AS FOAM CONTROL AGENTS IN THE MANUFACTURE OF FOOD AND BEVERAGE PRODUCTS」と題する米国仮特許出願(82301-US-PSP;DOW0096/P1;Tulchinsky,M.,et al.)に記載されるケタール泡制御剤、および「HYDROXYETHYL CELLULOSE DERIVATIVE FOAM CONTROL AGENTS AND METHODS OF PROCESSING FOODSTUFFS」と題する米国仮特許出願(82300-US-PSP;DOW0098/P1;Chen,X.,et al.)に記載されているセルロース誘導体泡制御剤が含まれ、本出願と同時に提出された両方の出願およびそれらの開示は、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0036】
これらの任意の第2の泡制御剤は、食品加工操作の1つ以上の時点で本開示のアルキルエーテルアミン泡制御剤と同じ組成物中で使用され得、または複数のステップの食品加工操作において、で1つ以上の異なる時点で使用され得る。すなわち、例えば、異なる第2の泡制御剤を上流の加工ステップ(例えば、野菜の洗浄など)で使用され得、一方、アルキルエーテルアミン泡制御化合物は、下流の加工ステップ(例えば、野菜パルプからの砂糖の拡散)で使用される。
【0037】
実践様式では、アルキルエーテルアミン発泡体制御化合物(AEAFCC)を水に添加して水性組成物を形成し、水性組成物は、1つ以上の食材加工ステップにおいて食材とともに使用され、食材および使用される加工条件の結果として発生する可能性のある任意の泡を制御する。アルキルエーテルアミン泡制御化合物は、本明細書に記載されるように、0.01~5%(重量)または0.1~1%(重量)の範囲などの任意の濃度で使用され得、加工中の泡形成を制御することができる。実施されている特定のタイプの食材加工に応じて、1つ以上の他の試薬が、アルキルエーテルアミンとともに水性組成物中に存在し得る。
【0038】
本開示の態様は、泡制御化合物を含まない組成物、または比較化合物を使用する組成物と比較して、加工ステップにおいて組成物中の泡を制御するアルキルエーテルアミン食品制御化合物の能力に関して任意に説明され得る。例示的な試験プロセスでは、食材(甜菜イなど)は、アルキルエーテルアミン泡制御化合物を含む水性組成物中で(混合などによって)加工され、および生成された泡の量は、泡の高さまたは泡の量(質量)を測定することなどによって測定される。次に、これを、同じ加工条件下で生成された泡と比較するが、泡制御化合物を使用しないか、比較化合物を使用する。アルキルエーテルアミン泡制御化合物の使用は、泡制御化合物を含まない組成物と比較して、泡形成の量を、約10%~約95%、または約20%~約95%の範囲など、少なくとも約10%まで、または少なくとも約20%まで減らし得る。
【0039】
本明細書で使用される場合、「食材」とは、食用または飲用の材料、または食用または飲用材料に加工し得る材料を指す。食材は、概して、アルキルエーテルアミン泡制御化合物を含む組成物と組み合わせて使用される任意の材料を指して使用される。
【0040】
「中間食材」または「前駆食材」は、アルキルエーテルアミン泡制御化合物を含む組成物を使用して第1のステップで加工されるが、第2のステップでさらなる加工に供される食材を指し得、第2のステップは、食用または飲用の食品製品、またはその前駆体のいずれかを生成する別の加工ステップである。中間または前駆食材の例は、泡制御化合物の存在下で皮がむかれた皮をむいたジャガイモであり、皮をむいたジャガイモは、フライドポテト部分またはポテトフレークなどの食用部分にジャガイモを切断またはすりおろすことを含む第2の加工ステップで使用され、およびこれらのさらに加工された部分は「食品製品」と見なすことができる。「材料食材」は、中間または前駆食材でもあり得、アルキルエーテルアミン発泡体制御化合物を含む組成物から加工され、その後、食品または飲料製品などの食材製品において使用される食材を指す。材料食材の例は、本開示の方法を使用して得られた甜菜などからの砂糖であり得る。ただし、直接消費用に包装などされた砂糖は、それ自体が食品製品にもなり得る。本開示の方法を使用して得られた砂糖およびデンプン食材は、発酵飲料、バイオ燃料、および医薬品などの発酵製品を提供するなどの発酵方法でも使用され得、本明細書では「食材誘導体」と呼ばれ得、食用または飲用の食品製品であり得、そうでない場合もある。
【0041】
食材には、これらに限定されないが、食用植物、野菜、果物、および穀物、ならびにこれらの食品が本開示の方法を使用して加工に供されたときに形成される食用植物、野菜、果物、および穀物の誘導体が含まれる。
【0042】
一般的に加工される食材には、でんぷんを含む植物、野菜、果物などがある。本開示の方法は、0.01%(重量)超、0.1%(重量)超、または1.0%(重量)超のデンプン含有量を有するものを含む植物、野菜、および果物を加工するために使用され得る。
【0043】
本開示の方法に従って加工することができるいくつかの食材には、0.01重量%~30重量%の範囲の量のデンプン、0.01重量%~80重量%の範囲の量の非デンプン炭水化物、0.01重量%~20重量%の範囲の量のタンパク質で、および20重量%~95重量%の範囲の量の水を含む。
【0044】
より高いデンプン含有量の植物、野菜、および果物は、約5%~約25%(重量)、または約10%~約25%(重量)の範囲など、2.5%(重量)超、約5%(重量)以上、約7.5%(重量)以上、または約10%(重量)以上のデンプン含有量を有し得る。本開示のアルキルエーテルアミン食品制御化合物の使用は、デンプンを水性加工組成物に放出し、さもなければ望ましくない泡形成を引き起こし得るこれらの植物、野菜、および果物の加工中に泡を制御するのに有用であり得る。
【0045】
様々な植物、野菜、および果物は、高い開始含有量を有し、アルキルエーテルアミン泡制御化合物とともに本開示の方法で使用され得る。例えば、いくつかの実践様式では、デンプン含有食材は、エンドウ豆、トウモロコシ、ジャガイモ、豆、米、小麦、キャッサバ、豆、サツマイモヤムイモ、ソルガム、プランテンからなる群から選択される野菜または植物である、またはそれに由来する。
【0046】
高含有量のでんぷん食材はまた、食品を構成する他の成分の観点から定義し得る。例えば、本開示の方法はまた、5重量%~25重量%の範囲の量のデンプン、0.01重量%~10重量%の範囲の量の非デンプン炭水化物、0.01重量%~10重量%の範囲の量のタンパク質、および50%~95重量%の範囲の量の水、または10重量%~20重量%の範囲の量のデンプン、0.1重量%~5%重量の範囲の量の非デンプン炭水化物、0.1重量%~5%重量の範囲の量のタンパク質、および70%~90重量の範囲の量の水、を含む植物、野菜、または果物を使用することができる。
【0047】
一般的に加工に供されるいくつか食材は、サポニンを有する植物、野菜、果物を含む。サポニンは、親油性トリテルペン部分に結合した1つ以上の親水性グリコシド部分を構造的に有する両親媒性グリコシドとして化学的に定義される。本開示のアルキルエーテルアミン食品制御化合物の使用は、サポニンを水性加工組成物に放出し、さもなければ望ましくない泡形成を引き起こし得るこれらの植物、野菜、および果物の加工中に泡を制御するのに有用であり得る。本開示の方法は、1ppm超のサポニン含有量を有するものを含む植物、野菜、および果物を加工するために使用され得る。高サポニン含有量の植物、野菜、および果物は、約0.005%(重量)~約0.2%(重量)の範囲、または約0.01%(重量)~約0.2%(重量)の範囲など0.001%(重量)(10ppm)超、約0.005%(重量)(50ppm)以上、または約0.01%(重量)(100ppm)以上のサポニン含有量を有するものを含む。サポニンは甜菜中にビートの0.01%~0.2%のレベルで見られると報告されている。(例えば、Hallanoro,H.,et al.(1990)Saponin,a cause of foaming problems in beet sugar production and use.Proc.Conf.Sugar Proc.Res.,pp.174-203、Earl J.Roberts,Margaret A.Clarke* and Mary An Godshall,SUGARBEET SAPONINS AND ACID BEVERAGE FLOC、Sugar Processing Research Institute,Inc.,1100 Robert E.Lee Blvd.,New Orleans、LA、USA 70124参照)
【0048】
様々な植物、野菜、および果物中のサポニン含有量が研究されており、およびAEAFCCそのような食品物は、アルキルエーテルアミン泡制御化合物とともに本開示の方法において使用され得る。例えば、いくつかの実践様式では、サポニン含有食材は、エンドウ豆、トウモロコシ、ジャガイモ、豆、米、小麦、キャッサバ、豆、サツマイモ、ヤムイモ、ソルガム、プランテンからなる群から選択される野菜または植物であるか、またはそれに由来する。
【0049】
サポニン含有食材はまた、食品を構成する他の成分の観点から定義し得る。例えば、本開示の方法はまた、1ppm~5%(重量)の範囲の量のサポニン、0.01%~30%(重量)の範囲の量のデンプン、0.01%~80%(重量)の範囲の量の非デンプン炭水化物、0.01%~20%(重量)の範囲の量のタンパク質、および20%~95%(重量)の範囲の量の水を含む植物、野菜、または果物を使用することができる。
【0050】
「食材加工」とは、食材を処理する物理的または化学的作用を指す。場合によっては、食材加工は、清浄または洗浄手順、または拡散手順であるか、またはそれらを含む。例えば、清浄または洗浄手順を使用する食材加工は、アルキルエーテルアミン発泡体制御化合物と、全体または実質的に全体の形で植物、野菜、または果物などの食材とを含む水性組成物などの組成物を使用し得る。清浄または洗浄手順は、アルキルエーテルアミン泡制御化合物および植物、野菜、植物または果物の全部または一部を有する水性組成物を保持することができる、おけ、タンク、ビン、または容器などの清浄または洗浄装置を利用し得る。その清浄または洗浄装置は、攪拌機、ミキサー、またはその中の植物、野菜、または果物の移動を引き起こし、それによって食材および水性組成物の移動による清浄を引き起こす同様の装置などの1つ以上の任意の特徴をさらに含み得る。清浄または洗浄装置は、植物、野菜、または果物からの汚れ、ワックス、残留物、微生物、または他の望ましくない物質などの破片の除去を容易にするためのブラシまたは噴霧器をさらに含み得る。清浄または洗浄装置は、ストレーナ、ふるい、フィルタ、格子、ザルなどの特徴をさらに含み得、それはアルキルエーテルアミン泡制御化合物を含む水性組成物からの洗浄または清浄された食材の分離を容易にする。例えば、米国特許第2,838,083号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)の
図9を参照され、これは、スプレー分散剤、ジャガイモの皮を取り除くためのディスク50の研磨面を有し、およびジャガイモ部分用のバスケットまたはストレーナ185を有する野菜(例えばジャガイモ用)皮むき器およびクリーナーを説明している。
【0051】
清浄または洗浄手順の間、アルキルエーテルアミンは、植物、野菜、または果物から水性洗浄組成物への成分(例えば、デンプン、サポニン)の放出から生じる可能性のある泡の形成を防止および/または低減し得る。水性洗浄または清浄組成物は、水性洗浄組成物において、0.01~5%(重量)の範囲、または0.1~1%(重量)の範囲などの所望の濃度でアルキルエーテルアミンを含み得る。水性洗浄または清浄組成物は、界面活性剤、抗菌剤、酸、酸化剤、緩衝液などのような1つ以上の他の試薬を任意選択で含むことができる。水性洗浄または清浄組成物洗浄または清浄される食材に対して所望の量で使用され得る。例えば、水性洗浄または清浄組成物は、望ましくは、食材とアルキルエーテルアミン泡制御化合物を含む水性液体部分とを含む組成物の少なくとも約20%である。通常、清浄または洗浄プロセスでは、25~90%(重量)の範囲の量の水性液体部分と、10~75%(重量)の範囲の量の食材部分とを使用する。洗浄は、食材が適切に清浄され、食材の所望の特性(例えば、官能性の)が維持されることを確実にするために、所望の温度で所望の期間実施され得る。概して、清浄または洗浄手順の間、食材は小さな部分に加工されない。
【0052】
実践様式では、洗浄または清浄手順に続いて、食材は、アルキルエーテルアミン消泡剤化合物を使用する1つ以上の他の食品加工手順(例えば、「下流の手順」)に供され得る。そのような下流の手順は、これらに限定されないが、サイズ部分の加工、拡散/抽出、混合/均質化、蒸発、および/または発酵を含む。
【0053】
場合によっては、食材加工は、食材のサイズ(サイズ加工)をより大きい(例えば、元の)サイズから複数のより小さいサイズに物理的に減少させる手順であるか、またはそれを含む。場合によっては、加工によって形成される複数のより小さなサイズは、前加工された食材(例えば、ジャガイモ全体または甜菜)のサイズを参照して説明され得る。例えば、食材は、加工前に、元の未加工のサイズを有し、加工は、食材の元のサイズを、元のサイズの1%以上、10%以上または50%以上のサイズの食材部分に減少させる機械的作用を含む。あるいは、そのような加工は、例えば、加工食材部分が1グラム以上または5グラム以上のサイズを有する場合、加工食材の重量を参照して説明され得る。
【0054】
そのようなサイズ化された加工食材部分を生成するために使用され得る加工技術の例は、切断、みじん切り、すりおろし、スライス、皮むき、千切り、ミンチ、角切り、拡散、および細断を含む。形成される食材の部分の例は、植物、野菜、および果物のぶつ切り、スライス、チップ、フレーク、断片、およびさいの目であり得る。これらのタイプの食材のより小さな部分は、消費用の食品製品に製造し得、または拡散/抽出、混合/均質化、蒸発、および/または発酵などのさらなる下流の手順に使用され得る。加工されたサイズの食材部分は、任意で、食材部分の形状および/またはサイズを参照して説明され得る。
【0055】
食材のサイズ加工は、食材のサイズをより大きいサイズから複数のより小さいサイズに物理的に減少させる1つ以上の特徴を有する装置を利用し得る。例えば、その装置は、植物、野菜、または果物は切断してより小さな部分を生成し得るブレード、スライサー、チッパー、細断器、およびおろし器などの1つ以上の鋭利な物品を含み得る。切断機能は、アルキルエーテルアミン泡制御化合物を含む水性組成物を保持するための、おけ、タンク、ビン、または容器の1つ以上と組み合わせて使用され得、それは切断するための植物、野菜、または果物を提供し得、または、切断された植物、野菜または果物を保持し得またはその両方をし得る。
【0056】
サイズ加工中、アルキルエーテルアミンは、植物、野菜、または果物からサイズ加工と組み合わせて使用される水性組成物への成分(例えば、デンプン、サポニン)の放出から生じる可能性のある泡の形成を防止および/または低減し得る。サイズ加工用の水性組成物は、0.01~5%(重量)の範囲、または0.1~1%(重量)の範囲などの所望の濃度のアルキルエーテルアミンを含み得る。水性組成物の使用は、サイズが減少した食材の酸化を有益に低減または防止し得、および、サイズ加工中に放出される食材ベースの成分を除去もし得る。サイズ加工は、食材が適切に清浄され、食材の所望の特性(例えば、官能性)が維持されることを確実にするために、所望の温度で所望の期間実行され得る。概して、洗浄または洗浄手順の間、食材は小さな部分に加工されない。
【0057】
実践様式では、サイズ減少手順に続いて、食材は、アルキルエーテルアミン消泡剤化合物を使用する1つ以上の他の下流の手順に供され得る。そのような下流の手順は、これらに限定されないが、拡散/抽出、混合/均質化、蒸発、および/または発酵が含む。
【0058】
場合によっては、サイズ加工の結果として食材の元のサイズの1%未満、0.1%未満、0.01%未満、または0.001%未満など、非常に小さいサイズの食材部分を得る。非常に小さな部分を生成することができる例示的な加工技術は、混合、ピューレ化、叩き、液化、すりつぶし、泡立て、破砕、搾汁、および粉砕を含む。そのような技術は、0.1グラム未満、10mg未満、1mg未満、または100μg未満などの非常に小さい食品粒子サイズをもたらし得る。そのような技術はまた、1mm未満、0.1mm未満、または10μm未満などの非常に小さい食品粒子サイズをもたらし得る。
【0059】
食材のサイズ加工は、本明細書に記載されるように、食材のサイズをより大きいサイズから複数の非常に小さいサイズに物理的に減少させる1つ以上の特徴を有する装置を利用し得る。例えば、装置は、非常に小さな食品粒子を生成するために、ブレンダーブレードなどの1つ以上の鋭利な物品を含み得る。これらの加工機能は、アルキルエーテルアミン泡制御化合物を含む水性組成物を保持するための、おけ、タンク、ビン、または容器の1つ以上と組み合わせて使用され得、それは切断される植物、野菜、または果物を提供しえまたは、混合、均質化などされた植物、野菜または果物を保持し得、またはその両方をし得る。これらの非常に小さな食品製品粒子へのサイズ加工中に、アルキルエーテルアミンは、加工ステップから生じる可能性のある泡の形成を防止および/または低減し得、本明細書に記載のアルキルエーテルアミン濃度を水性組成物において使用され得る。加工後、ろ過、デカンテーション、遠心分離などの分離技術を使用して、食材固形物は水性部分から分離され得る。
【0060】
実践様式では、そのようなサイズ減少に続いて、食材粒子は、アルキルエーテルアミン泡制御化合物を使用する1つ以上の他の下流の手順に供され得る。そのような下流の手順は、これらに限定されないが、拡散/抽出、混合/均質化、蒸発、および/または発酵を含む。
【0061】
場合によっては、食材加工は、食材からの1つ以上の成分を、アルキルエーテルアミン泡制御化合物も含む水性組成物に拡散させる手順である、またはそれを含む。拡散の手順は、砂糖など植物から所望の成分を抽出し得、これは、後続の加工段階で精製され得る。清浄または洗浄装置と同様に、ディフューザー装置は、アルキルエーテルアミン泡制御化合物と植物、野菜、または果物の一部とを有する水性組成物を保持するための、おけ、タンク、ビン、または容器およびその中の植物、野菜、または果物の部分の移動を引き起こす攪拌機、ミキサーまたは同様の装置も含み得、それによって、食材の移動および植物、野菜、または果物、成分の水性組成物への拡散による清浄を引き起こす。拡散のプロセスは、本明細書に記載される任意の1つ以上のサイズの加工手順などの上流の手順によってすでに加工された食材を利用し得る。つまり、拡散は、切断によって作成されたぶつ切りまたはスライスなどの大きいサイズから、混合によって作成されたような非常に小さい粒子まで範囲の加工食品物を使用し得る。元のサイズの食材(例えば、ジャガイモ全体またはビート全体)よりも小さい拡散プロセスにおける食材部分の使用は、食品物から泡制御化合物を含む水性組成物への所望の成分の拡散を改善し得る。アルキルエーテルアミン泡制御化合物を使用は、泡制御化合物なしで拡散中に形成される泡の生成を制御し得る。拡散プロセスが完了した後、水性組成物は、組成物に溶解しない食材の部分から分離され得る。
【0062】
場合によっては、食材加工は、食材(加工食材、または砂糖もしくはデンプンなどの加工食材に由来する製品など)および泡制御化合物を含む組成物から水を蒸発させる手順である、またはそれを含む。蒸発のプロセスは、本明細書に記載の任意の1つ以上のサイズ加工手順および/または拡散手順などの上流の手順によってすでに加工された食材を利用し得る。例えば、組成物は、本開示による拡散プロセスで得られる糖またはタンパク質などの、加工食材または食材に由来する成分を含み得る。蒸発は、水性組成物からの水の除去を容易にするために、熱または低圧などの1つ以上の物理的処理を使用し得る。蒸発装置は、食品製品およびアルキルエーテルアミン発泡体制御化合物を有する水性組成物を保持することができる容器、および組成物から水の蒸発を引き起こすように操作される吸引機およびヒーターなどの特徴を含み得る。アルキルエーテルアミン泡制御化合物の使用は、泡制御化合物なしで蒸発中に形成される泡の生成を制御し得る。
【0063】
蒸発は、糖の結晶化など、組成物から1つ以上の所望の生成物を選択的に固化するために実施され得る。本開示の様々なアルキルエーテルアミンは、約90℃~約280℃の範囲の沸点(bps)を有し、それゆえにアルキルエーテルアミンを溶液に溶解したまま、蒸発を行って糖を結晶化し得る。蒸発が完了した後、泡制御化合物は所望の製品から分離され得る。
【0064】
場合によっては、食材加工は、アルキルエーテルアミン泡制御剤も含む水性組成物中の食材から1つ以上の成分を発酵させる手順である、またはそれを含む。発酵手順は、糖および/またはデンプンなど食材からエタノール、医薬品、または工業用化学物質などのバイオ製品に1つ以上の化合物を発酵させる細菌または酵母などの微生物を含み得る。発酵のプロセスは、本明細書に記載の任意の1つ以上のサイズ加工手順、拡散、および/または蒸発手順などの上流の手順によってすでに加工された中間または前駆食材を利用し得る。発酵装置は、当該技術分野で一般に既知であるように、発酵媒体の混合を引き起こすインペラーまたは攪拌機、ヒーター、ガス供給導管などの特徴を含み得る。アルキルエーテルアミン泡制御化合物の使用は、泡制御化合物なしで発酵条件間に形成される泡の生成を制御し得る。
【0065】
発酵後、所望のバイオ製品は発酵培地から分離され得る。分離は、蒸留、濾過、沈殿、遠心分離などの1つ以上のプロセスを含み得る。分離はまた、所望のバイオ製品からの泡制御化合物の分離を生じ得る。
【0066】
一態様では、食材の加工は、そうでなければ食品物または食品製品を高熱に供する調理プロセス(すなわち、焼く、あぶる、揚げる、直火焼きなど)ではない。
【0067】
他の態様では、食材およびアルキルエーテルアミンを含む組成物は、生地、小麦粉、または乳製品の形態ではない。
【0068】
食材の加工方法におけるアルキルエーテルアミン泡制御化合物(AEAFCC)の有用性を説明するために、甜菜の工業的加工100における段階を概略的に示す
図1を参照する。段階102では、未加工のビート全体が、AEAFCCを含む水性組成物を含むことができる洗浄タンクで洗浄することによって加工される。洗浄後、洗浄されたビートは、スライス装置などの段階104のサイズ加工装置に送られ、AEAFCCを含む水性組成物と組み合わせてサイズが減少される。場合によっては、サイズを減少した後、加工されたビートは工業的加工を終了し得、食品製品として使用し得る。他のサイズ減少ステップが含まれ得るが、
図1には含まれていない。サイズ減少後、洗浄されたビートは、段階106で拡散タンクに送られ、そこで、糖などのビートの1つ以上の成分が、AEAFCCを含む水性組成物に拡散される。植物組織に由来する繊維を含むビートパルプなどの残りのビート材料は、段階107に示されるように、糖含有組成物から分離され得、パルプは、動物飼料として使用され得る。次に、糖含有組成物は、段階108において1つ以上の精製工程に供され得る。精製副産物の生成は、段階109で農業目的に使用され得る。精製糖組成物は、段階110で蒸発に供され、およびAEAFCCを使用して、この段階で泡を制御し得る。蒸発された糖は、段階112で結晶化および/または遠心分離に供され、段階114で乾燥機に送られ得る。シロップおよび/または糖はまた、希釈段階116などの前加工を含み得、次いで、微生物およびAEAFCCを含む発酵培地を使用して発酵中の泡を制御する段階118での発酵を含み得る発酵経路に送達され得る。発酵培地は、発酵中の泡を制御するために段階120におけるAEAFCCへの蒸留などのプロセスによって分離することができる1つ以上のバイオ製品を含むことができ、次いで、蒸留製品は、ステップ121および122で脱水または精留などのステップに供される。
【0069】
食材の加工方法におけるアルキルエーテルアミン泡制御化合物(AEAFCC)の有用性を説明する別の例として、ジャガイモの工業的加工200における段階を概略的に示す
図2を参照する。段階202では、未加工のジャガイモ全体が、AEAFCCを含む水性組成物を含むことができる洗浄タンクで洗浄することによって加工される。ジャガイモもこの段階で選別され得る。洗浄および選別後、ジャガイモは、段階204の皮むきおよび/または研磨装置に送られ、これは、AEAFCCを含む水性組成物と組み合わせて実施され得る。次に、皮むきおよび/または研磨後、段階206において、ジャガイモを切断装置などのサイズ減少装置に送達され、AEAFCCを含む水性組成物と組み合わせてサイズ減少が実施され得る。次に、洗浄、皮むき、および切断されたジャガイモ部分は、冷却(段階208および212)、紡糸/乾燥(段階210)、およびパッキング(段階214)などの他の様々な加工工程に供されて、包装された製品216を提供する。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
食材の加工中に泡を制御するための方法であって、
食材と、3~34の範囲の炭素原子数、1~6の範囲のエーテル酸素数、およびアミン部分を有する化合物とを含む組成物を形成することと、
前記組成物を加工することと、を含む、方法。
項2.
前記泡制御化合物が4~10個の炭素原子を有する、項1に記載の方法。
項3.
前記アミン部分が一級アミン部分である、項1または項2に記載の方法。
項4.
前記化合物が式Iの化合物であり、
【化1】
式中、R
1は、1~10個の炭素原子を有する一価の炭素含有基であり、R
2は水素、メチル、またはエチルであり、R
3は水素、メチル、またはエチルであり、xは0~5である、項1に記載の方法。
項5.
前記組成物が、xが0~5の平均値を有するような複数の式Iの化合物を含む、項4に記載の方法。
項6.
R
2がメチルである、項4または5に記載の方法。
項7.
R
3がメチルである、項4~6のいずれか一項に記載の方法。
項8.
xが0、1、または2である、項4~7のいずれか一項に記載の方法。
項9.
前記化合物が、
(a)2-メトキシエチルアミン、2-エトキシエチルアミン、2-プロポキシエチルアミン、2-ブトキシエチルアミン、2-ペンチルオキシエチルアミン、2-ヘキシルオキシエチルアミン、2-セプチルオキシエチルアミン、および2-オクチルオキシエチルアミン、
(b)1-メトキシプロパン-2-アミン、1-エトキシプロパン-2-アミン、1-プロポキシプロパン-2-アミン、1-ブトキシプロパン-2-アミン、1-ペンチルオキシプロパン-2-アミン、1-ヘキシルオキシプロパン-2-アミン、1-セプチルオキシプロパン-2-アミン、および1-オクチルオキシプロパン-2-アミン、
(c)2-(2-メトキシエトキシ)-1-アミノエタン、2-(2-エトキシエトキシ)-1-アミノエタン、2-(2-プロポキシエトキシ)-1-アミノエタン、2-(2-ブトキシエトキシ)-1-アミノエタン、2-(2-ペンチルオキシエトキシ)-1-アミノエタン、および2-(2-ヘキシルオキシエトキシ)-1-アミノエタン、
(d)1-(1-メトキシエトキシ)-プロパン-2-アミン、1-(1-エトキシエトキシ)-プロパン-2-アミン、1-(1-プロポキシエトキシ)-プロパン-2-アミン、1-(1-ブトキシエトキシ)-プロパン-2-アミン、1-(1-ペンチルオキシエトキシ)-プロパン-2-アミン、および1-(1-ヘキシルオキシエトキシ)-プロパン-2-アミン、
(e)1-((1-メトキシプロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-((1-エトキシプロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-((1 -プロポキシプロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-((1-ブトキシプロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-((1-ペンチルオキシプロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、および1-((1-ヘキシルオキシプロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、
(f)2-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルアミン、2-[2-(2-エトキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルアミン、2-[2-(2-プロポキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルアミン、2-[2-(2-ブトキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルアミン、2-[2-(2-ペンチルオキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルアミン、2-[2-(2-ヘキシルオキシ-エトキシ)-エトキシ]-エチルアミン、ならびに
(g)1-(((1-メトキシ(プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-(((1-エトキシ(プロパン-2-イル))オキシ)-プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-(((1-プロポキシ(プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-(((1-ブトキシ(プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、1-(((1-ペンチルオキシ(プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミン、および1-(((1-ヘキシルオキシ(プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-イル)オキシ)-プロパン-2-アミンの群のうちのいずれかから選択される、項4に記載の方法。
項10.
前記化合物が、
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
および
【化7】
からなる群から選択される、項9に記載の方法。
項11.
前記化合物が、0.01~5%(重量)の範囲の量で前記組成物中に存在する、項1~10のいずれか一項に記載の方法。
項12.
前記化合物が、0.1~1%(重量)の範囲の量で前記組成物中に存在する、項11に記載の方法。
項13.
前記組成物が少なくとも20%(重量)の量の水を含み、前記水が食材に由来するものではない、項1~12のいずれか一項に記載の方法。
項14.
前記組成物が30~95%(重量)の範囲の量の水を含み、前記水が食材に由来するものではない、項13に記載の方法。
項15.
前記組成物が、前記食材および化合物とは異なる10%(重量)未満、または5%(重量)未満の固形分を有する、項1~14のいずれか一項に記載の方法。
項16.
加工後に前記組成物から水および化合物を除去することを含む、項1~15のいずれか一項に記載の方法。
項17.
前記食材が野菜、果物、または植物である、項1~16のいずれか一項に記載の方法。
項18.
前記食材が、エンドウ豆、トウモロコシ、ジャガイモ、豆、米、小麦、キャッサバ、豆、サツマイモ、ヤムイモ、ソルガム、およびプランテンからなる群から選択される植物である、またはそれに由来する、項17に記載の方法。
項19.
前記食材が少なくとも0.01%(重量)の量のデンプンを含む、項17または18に記載の方法。
項20.
前記食材が、0.01%~30%(重量)の範囲の量のデンプン、0.01%~80%(重量)の範囲の量の非デンプン炭水化物、0.01%~20%(重量)の範囲の量のタンパク質、および20%~95%(重量)の範囲の量の水を含む、項17~19のいずれか一項に記載の方法。
項21.
前記食材が、ビート、ヒヨコマメ、大豆、アルファルファもやし、白インゲンマメ(navy bean)、白インゲンマメ(haricot bean)、およびインゲンマメからなる群から選択される植物に由来する、項17に記載の方法。
項22.
前記食材がサポニンを含み、サポニンが少なくとも1ppmの量で組成物中に存在する、項17または21に記載の方法。
項23.
前記食材が、1ppm~5重量%の範囲の量のサポニン、0.01%~30%(重量)の範囲の量のデンプン、0.01%~80%(重量)の範囲の量の非デンプン炭水化物、0.01%~20%(重量)の範囲の量のタンパク質、および20%~95%(重量)の範囲の量の水を含む、項22に記載の方法。
項24.
加工が前記食材の洗浄を含む、項1~23のいずれか一項に記載の方法。
項25.
加工が、以下の切断、みじん切り、すりおろし、スライス、皮むき、千切り、ミンチ、角切り、拡散、および細断からなる群から選択される動作のうちの1つ以上を含む、項1~24のいずれか一項に記載の方法。
項26.
加工が、混合、ピューレ化、叩き、液化、すりつぶし、泡立て、破砕、搾汁、および粉砕のうちの1つ以上を含む、項1~23のいずれか一項に記載の方法。
項27.
加工が結晶化または精製を含む、項1~23に記載の方法。
項28.
加工が発酵を含む、項1~23に記載の方法。
項29.
前記組成物が本質的に食材、化合物、および水からなる、項1~28のいずれか一項に記載の方法。
項30.
食材と、
3~34の範囲の炭素原子数、1~6の範囲のエーテル酸素数、およびアミン部分を有する化合物、または式Iの化合物:
【化8】
(式中、R
1は、1~10個の炭素原子を有する一価の炭素含有基であり、R
2は水素、メチル、またはエチルであり、R
3は水素、メチル、またはエチルであり、xは0~5である)と、を含む食品製品前駆組成物。
項31.
項1に記載の方法に従って食材を加工するためのシステムであって、
(a)食材を洗浄、切断、みじん切り、すりおろし、スライス、皮むき、千切り、ミンチ、角切り、細断、混合、ピューレ化、叩き、液化、すりつぶし、泡立て、破砕、搾汁、粉砕、および発酵の1つ以上をして加工食材にすることができる食材加工機。
(b)前記加工食材を保持するように構成された容器、および泡制御化合物と、
(c)前記加工食材からの泡制御化合物を可能にする分離機構と、を含む、システム。
【0070】
実施例1~6
アルキルエーテルアミンを使用した泡制御性能
6つのアルキルエーテルアミンは、米国特許第9,574,126号に記載された手順に従って、所望のアルキルエーテルアミンに対応するグリコールエーテルを使用して、調製された。アンモニアを除去した後の粗反応混合物を蒸留により精製した。それらのIUPACと短縮名、CAS番号(利用可能な場合)および化学構造を表1に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【0071】
泡制御性能評価
ジャガイモを水で洗浄し、皮を剥き、スライスした。780gのスライスされたジャガイモおよび520gの脱イオン(DI)水をキッチンミキサーに添加し、1分間混合した。ジャガイモのスラリーが生成され、濾紙で濾過し、その液体を、泡制御剤を評価するのに使用した。この液体をジャガイモ液と呼ぶ。
【0072】
同様に、甜菜を水で洗浄し、皮を剥き、スライスした。780gのスライスした甜菜および520gの脱イオン水をキッチンミキサーに添加し、1分間混合した。甜菜のスラリーが生成され、濾紙で濾過し、その液体を、泡制御剤を評価するのに使用した。この液体を甜菜液と呼ぶ。実施例1~6(表1)0.5gを99.5gの液(ジャガイモまたは甜菜)に加えて、評価用の材料100gを得た。
【0073】
比較例として、アルキルエーテルアミンを含まない100gの液を使用した。
【0074】
泡制御化合物としてのアルキルエーテルアミンの性能を評価するために、散布チューブ試験を利用した。材料の「消泡効率」は、泡の高さに対する影響を測定することによって評価した。100gの上記の各液体試料を、直径5cmの1000mlのガラスシリンダーに別個に添加した。焼結ガラスフリットを取り付けた垂直ガス散布チューブを、シリンダー底部に配置し、シリンダー底部から空気を泡立てさせた。空気の流れは、設定を1にしたAmetek Lo-Flo 0-10フロートメーターによって制御された。泡の高さは、空気の流れを適用した後、最初の10分間記録された。最初の10分以内に泡の高さが1000mlに達した場合、実験を中止した。
【0075】
表2と表3は、時間の関数として、アルキルエーテルアミンがある場合とない場合の、それぞれ甜菜液とジャガイモ液の泡の高さである。表に示されているように、ジャガイモ液と甜菜液の両方について、液中のアルキルエーテルアミンの存在(実施例1~6)は、比較例よりもはるかによく泡を制御した。
【0076】
表2に示すように、すべてのアルキルエーテルアミンは、甜菜液の6分後の泡の高さが、1分後の無添加(比較例)と比較して低かった。最も注目に値するのは、比較例の0.5分と比較して10分後の泡の高さが低いアルキルエーテルアミンの実施例1、5、および6である。
【表2】
【0077】
表3に示すように、2つのアルキルエーテルアミンは、1分後の添加剤なし(比較例)と比較して、ジャガイモ液の8分後の泡の高さが低かった。最も注目に値するのは、アルキルエーテルアミンの実施例1であり、比較例の1分と比較して10分後の泡の高さが低かった。
【表3】