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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】GLP-1受容体アンタゴニスト
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/46 20060101AFI20240522BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20240522BHJP
   A61P 3/08 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
C07K14/46 ZNA
A61K38/17
A61P3/08
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021520179
(86)(22)【出願日】2019-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 GB2019052915
(87)【国際公開番号】W WO2020074927
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】1816639.7
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514120896
【氏名又は名称】ヘプタレス セラピューティクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Heptares Therapeutics Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジャイルズ・アルバート
(72)【発明者】
【氏名】コングリーヴ,マイルズ・スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】スカリー,コナー
【審査官】三谷 直也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/027738(WO,A1)
【文献】特表2008-526899(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102532301(CN,A)
【文献】特表2016-532705(JP,A)
【文献】MEURER, Janet A. et al.,Metabolism,1999年,Vol. 48, No. 6,pp. 716-724
【文献】MONTROSE-RAFIZADEH, Chahrzad et al.,The Journal of Biological Chemistry,1997年,Vol. 272, No. 34,pp. 21201-21206
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
Google/Google Scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の配列を含む化合物:
【化1】
(式中、
は、H、NHRまたはCHであり;Rは、(CH アリールであり;nは1~6であり;
AAは、-Leu-または-Nle-であり;
AAは、-NHCR3a3bCO-であり;R3aは、水素もしくはC1~3アルキル基であるか、またはR3bと結合して、NおよびOから選択される1個もしくは複数のヘテロ原子を含有していてもよい3~6員環を形成し;R3bは、C1~6アルキル、CH -シクロプロピル、(CHアリール、(CHOHもしくは(CHORであるか、またはR3aと結合して、NおよびOから選択される1個もしくは複数のヘテロ原子を含有していてもよい3~6員環を形成し;Rは、C1~6アルキルであり、nは1~6であり;
LysRは、N置換されていてもよい置換リジン残基であり;
Xは、配列-Gln-AA-Glu-AA-Glu-AA-Val-AA-Leu-Phe-AA-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-AA-であり、
AAは、-Met-または-Nle-であり;AAが-Met-である場合、LysRはN置換リジン残基であり、R が、Hである場合、AA は、-Nle-である
AAは、-Glu-または-Gln-であり;
AAは、-Ser-または-Ala-であり;
AAは、-Arg-または-DArg-であり;
AAは、基-NHCHRCO-であり;Rは、C1~6アルキル基であり;
AAは、-Gly-、-Ser-、-DAla-または-βAla-であり;
Yは、存在しないか、または配列-AA-AA10-AA11-AA12-AA13-AA14-AA15-AA16-AA17-AA18-AA19-であり、
AAは、-Gly-または-Ser-であり;
AA10は、-Pro-または-Ser-であり;
AA11は、-Ser-、-DSer-または-Lys-であり;
AA12は、-Ser-、-DSer-、-Lys-または-Phe-であり;
AA13は、存在しないか、または-Ser-、-DSer-、-Gly-、-Glu-もしくは-Lys-であり;
AA14は、存在しないか、または-Ser-、-DSer-、-Ala-、-Lys-もしくは-Tyr-であり;
AA15は、存在しないか、または-Ser-、-DSer-、-Pro-、-Glu-もしくは-Lys-であり;
AA16は、存在しないか、または-Ser-、-DSer-、-Pro-、-Lys-もしくは-LysR-であり;
AA17は、存在しないか、または-Pro-もしくは-Glu-であり;
AA18は、存在しないか、または-Ser-もしくは-Tyr-であり;
AA19は、存在しないか、または-Glu-であり;
XまたはYのC末端はカルボキシル基もしくはカルボキサミド基であるか、または任意の天然もしくは非天然アミノ酸配列または任意の他の部分または1つもしくは複数の官能基に隣接している)
またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン
【請求項2】
が、H、NHBnおよびCH Bnから選択される、請求項1に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン
【請求項3】
がNHBnである、請求項2に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン
【請求項4】
式(1a)の化合物:
【化2】
またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン(式中、AA、AA、LysR、XおよびYは、請求項1で定義されている通りである)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式(1c)の化合物:
【化3】
またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン(式中、AA、AA、LysR、XおよびYは、請求項1で定義されている通りである)である請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
AAが-Leu-である、請求項1からのいずれか一項に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン
【請求項7】
AAが-Nle-である、請求項1からのいずれか一項に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン
【請求項8】
3aが、水素またはメチルであり、R3bが、メチル、エチル、イソブチル、n-ブチル、CHOH、CHCHOH、CHOCH、CH-シクロプロピル、Bn、CHBnまたはCHCHBnから選択される、請求項1からのいずれか一項に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン
【請求項9】
3aおよびR3bが、シクロブチルまたはオキセタニル環を形成する、請求項1からのいずれか一項に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン
【請求項10】
AAが、
【化4】
から選択される、請求項1からのいずれか一項に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン
【請求項11】
AAが、
【化5】
から選択される、請求項10に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン
【請求項12】
AAが、
【化6】
である、請求項10に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン
【請求項13】
基LysRが、非置換リジン残基である、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン
【請求項14】
LysRがN置換リジン残基であり、N置換基が、-CO(CHCH;-CO(CHCOH;-CO(CHCHCH;-COO(CHCH;-COO(CHCOHおよび-COO(CHCHCHから選択され;qが1~22である、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン
【請求項15】
LysRがN置換リジン残基であり、N置換基が、基-L-Gであり;
Lが、
【化7】
からなる群から選択され;
Gが、
【化8】
からなる群から選択され;
mが1~23であり;
pが1~3であり;
rが1~20であり;
sが0~3であり;
tが0~4であり;
wが0~4である、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン
【請求項16】
基LysRが、
【化9】
である、請求項14に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン
【請求項17】
基LysRが、
【化10】
から選択される、請求項15に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン
【請求項18】
XのC末端がカルボキサミド基である、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン
【請求項19】
実施例1~85のいずれか1つから選択される化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン:
【化11】
Xは、配列-Gln-AA -Glu-AA -Glu-AA -Val-AA -Leu-Phe-AA -Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-AA -であり、
Yは、存在しないか、または配列-AA -AA 10 -AA 11 -AA 12 -AA 13 -AA 14 -AA 15 -AA 16 -AA 17 -AA 18 -AA 19 -である。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【請求項20】
実施例24:
【化12】
実施例34:
【化13】
実施例38:
【化14】
実施例44:
【化15】
実施例53:
【化16】
実施例63:
【化17】
実施例85:
【化18】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン
【請求項21】
GLP-1受容体アンタゴニスト活性を有する、請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン
【請求項22】
請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオン、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項23】
請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはその塩もしくは双性イオンを含む、原因不明症候性高インスリン血症状態および/または関連する低血糖状態の処置に使用するための組成物。
【請求項24】
状態が、ロイシン感受性と関連する高インスリン症に起因する低血糖、非悪性インスリノーマ、手術不可能膵島細胞腺腫もしくは癌腫、または膵臓外悪性腫瘍と関連する高インスリン症に起因する低血糖、多嚢胞性卵巣症候群、T2DMにおけるスルホニル尿素誘発毒性、プラダー・ウィリー症候群、副腎不全およびアディソン病、ベックウィズ・ウィーデマン症候群、ソトス症候群、コステロ症候群、チモシー症候群、歌舞伎症候群、先天性糖鎖合成異常症、後期ダンピング症候群、糖尿病の母親の反応性低血糖乳児、13トリソミー、中枢性肺胞低換気症候群、妖精症(インスリン抵抗性症候群)、モザイク型ターナー症候群、アッシャー症候群、非インスリノーマ膵臓低血糖、虚偽性低血糖、インスリン受容体遺伝子変異、インスリン自己免疫症候群、非膵島細胞腫瘍低血糖(NICTH)ならびにアルコールおよび他の中毒性物質からの離脱における高インスリン血症および低血糖などのある範囲の状態における原因不明症候性高インスリン血症および/または関連する低血糖から選択される、請求項23に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あるクラスの新規なペプチド化合物、それらの塩、それらを含む医薬組成物、およびヒトの身体の治療におけるその使用に関する。特に、本発明は、グルカゴン様ペプチド(GLP)受容体のアンタゴニストであるあるクラスの化合物を対象とする。より詳細には、本発明は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体のアンタゴニストである化合物を対象とする。本発明はまた、これらの化合物および組成物の製造およびGLP受容体が関与するそのような疾患の予防または処置における使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
消化管ホルモン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、消化管のL細胞から食後(食事の後)に放出され、膵臓b細胞に対する直接かつ強力なグルコース依存性インスリン分泌刺激効果を発揮する。
【0003】
GLP-1は、腸におけるプログルカゴンの翻訳後プロセシングによって合成される。腸内L細胞においてのみ発現されるプロホルモン変換酵素1/3によるプログルカゴンの切断により、インクレチンペプチドGLP-1およびGLP-2が放出される。分泌されたGLP-1は、遍在酵素であるジペプチジルペプチドIVによって急速に分解され、その結果GLP-1の半減期は極度に短く約2分である。
【0004】
GLP-1は、特異的受容体であるグルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP-1R)を介して作用し、これは、クラスBのGタンパク質カップリング受容体ファミリーに属する。GLP-1受容体は、膵島、脳、心臓、腎臓および胃腸管に広く分布する。GLP-1のそのコグネート受容体への結合は、刺激性Gタンパク質Gasを介した活性化を引き起こして、アデニル酸シクラーゼを活性化し、細胞内cAMPレベルの形成、膜脱分極、細胞内カルシウム濃度の上昇および膵臓b細胞に位置するインスリン含有顆粒のエキソサイトーシスの強化をもたらす。GLP-1が媒介するcAMP濃度の持続した上昇はまた、膵臓b細胞増殖を刺激し、膵管上皮の前駆細胞からの新しいベータ細胞の分化を強化する。
【0005】
GLP-1はまた、血糖値の制御に重要な他のホルモンの分泌に直接影響する。膵臓a細胞はGLP-1の持続性抑制制御下にあり、これは、ソマトスタチンのパラクリン作用を通してグルカゴン分泌を強く抑制する。GLP-1活性を介したグルカゴンの阻害の結果、グルコースの肝臓生成が減少し、食後の血糖変動の制御に対する全体的なGLP-1の効果に寄与する。
【0006】
まとめると、GLP-1は、膵臓のグルコース刺激インスリン分泌の増加による際立った抗糖尿病作用を有し、その結果末梢組織へのグルコース取込みが増加することが実証されている。GLP-1はまた、胃内容排出および十二指腸運動の抑制、飽満感および食物取込みの減少、ならびに体重減少において重要な役割を果たす。
【0007】
上記のGLP-1の重大な効果は、GLP-1の血漿濃度の悪化に関連する臨床徴候、GLP-1シグナル伝達の増加および/またはGLP-1Rレベルの増加が、高インスリン血症(過剰なグルコース依存性インスリン分泌)につながり、低血糖および胃腸機能障害のエビデンスがもたらされるという仮説につながる。したがって、高インスリン血症および低血糖などの状態は、GLP-1Rの活性を遮断/拮抗させることによって処置され得る。
【0008】
特異的GLP-1受容体アンタゴニストであるエキセンジン(9-39)アミド[Ex(9-39)]は、トカゲHeloderma suspectumの毒液から最初に単離され、GLP-1とある程度の配列相同性を共有する。Ex(9-39)は、in vitroおよびin vivoにおいてGLP-1媒介インスリン分泌を遮断し、ヒトおよびげっ歯類モデルにおいてGLP-1の内因性および外因性投与に応答する耐糖能を損なうGLP-1受容体の選択的競合的ペプチドアンタゴニストである。Ex(9-39)はまた、GLP-1レベルを増加させることなくインスリン分泌を阻害し、これは、Ex(9-39)が、GLP-1受容体の逆アゴニストであることを示唆している。これらのデータは、GLP-1受容体の存在のみが、膵臓β細胞のグルコースコンピテント状態を維持するのに重要であることを示唆している。
【0009】
膵島β細胞に対するGLP-1の影響は際立っている。GLP-1はインスリン放出、プロインスリンの発現、インスリン生合成およびmRNA安定性を促進する。GLP-1はまた、膵島δ細胞からのソマトスタチン分泌を引き起こし、膵島α細胞からのグルカゴン分泌を抑制する。グルカゴンの効果は、インスリンの効果と反対であり、肝臓への直接作用を介して血流中のグルコース濃度を上昇させ、グリコーゲン分解およびグルコース新生を増加させる。これは、GLP-1系を遮断することが、インスリン分泌に対する直接効果を有するだけでなく、グルカゴン分泌を抑制し、肝臓によるグルコース生成の増加も推進することを示唆している。
【0010】
健康な状態下で、GLP-1のインスリン分泌作用は、通常、非常にグルコース依存性であり、そのため、過剰なGLP-1分泌または感受性が低血糖につながることはない。しかしながら、非グルコース依存性インスリン分泌促進物質(例えば、KATPチャネルで作用するスルホニル尿素)の存在下でGLP-1の投与を使用する、またはさらには正常な対象に超生理学レベルのGLP-1を直接注入する臨床研究は、低血糖のリスク増加と関連する。
【0011】
糖尿病と関連しない低血糖は、希少な臨床的障害である。これは通常、静脈血糖値が55mg/ml未満である場合に診断され、Whippleの3徴候の存在によって支持される。本出願の主題であるGLP-1Rアンタゴニストは、高インスリン血症および/または低血糖および/または胃腸機能障害のエビデンスをもたらすGLP-1の血漿濃度の悪化、GLP-1シグナル伝達の増加および/またはGLP-1Rレベルの増加と関連するある範囲の状態を処置する可能性を有する。これらの状態は、低血糖の対症療法を含み、細胞増殖および分化に対するGLP-1の効果に基づき、疾患進行の経過に影響する可能性を含む。
【0012】
20年を超える間にわたって、高インスリン血症低血糖(HH)の処置のための規制上の承認を得た新しい医薬はなく、重大な欠点がすべての現在の処置に関連している。この結果、多くの局面で医療上の要求が満たされておらずその範囲は稀な疾患徴候をはじめとして新生児ユニットへの期限付き入院(term admission)のおよそ10%から胃バイパス手術を受けている成人の0.2~1%における短期間の要求までを含む。この機序を特に標的とすることの有効性は、近年、2つの異なる臨床集団において、GLP-1受容体アンタゴニストであるペプチドEx9-39を使用して臨床的に確認されている。 先天性高インスリン症(CHI)は、UKにおいておよそ40,000人の生産児当たり1人で生じる新生児および小児の重度の持続性HHの最頻の原因となっている。CHIにおけるGLP-1Rアンタゴニストの潜在的な利点は、高インスリン症のげっ歯類モデルにおいて実証された。これらの発見により、Ex9-39は、KATPチャネルの不活性化変異によるCHIのヒト成人対象における試験に拡大された。GLP-1受容体アンタゴニスト処置の導入は、多くのCHI患者を不可逆的な膵切除術の実施という苦難から開放すると予測される。これには、GLP-1過分泌が不適切なインスリン放出の遠因であるということが判明しつつある、CHIの患者が含まれる。GLP-1アンタゴニスト処置は、持続応答プロファイルを有し、すべての患者において有効であると予測され、用量設定または他の薬理学的処置の導入から生じる薬物相互作用の調整の必要なしに、成人において継続できる。
【0013】
肥満外科手術後の低血糖(PBHS)。胃バイパス手術は、病的な肥満2型糖尿病の処置における使用が増加しており、GLP-1分泌のレベルの際立った上昇が実証されている。比較的少ないが臨床的に重要な数の患者において、この処置は、発作、精神状態の変化、意識喪失、認知機能不全、身体的障害および死亡を引き起こすほど十分低いグルコース濃度(20~40mg/dL)を伴って手術後に現れ得る顕著な食後高インスリン血症低血糖状態につながることがある。重度の症状を示す患者のための有効処置は存在しない。本発明は、肥満後高インスリン血症に罹患することから患者を大きく保護し得る治療介入機会を提供する。最近、Salehiおよび共同研究者らは、胃バイパス患者におけるこの重度の食後低血糖が、この機序におけるGLP-1およびその受容体の基本的な役割と一致してGLP-1アンタゴニストであるEx(9-39)の注入によって正常になり得ることを報告している。
【0014】
低血糖の対症療法への満たされていない医療上の必要性は、CHIおよびPBSHまで拡がる。高インスリンにより誘発された低血糖は、膵臓β細胞からのインスリン分泌の調節不全および結果として生じる低血糖によって主に特徴付けられるいくつかの異種障害を包含し、これはGLP1-Rアンタゴニストにより効果的に処置され得る。これらには、小児(例えば、新生児低血糖、胃ろう挿入に続発する低血糖、未特定病因の食後低血糖)および成人(例えば、インスリノーマ、胃バイパス手術により誘発された低血糖)における低血糖の徴候が含まれるが、これらに限定されない。
【0015】
一過性の原因不明低血糖は、新生児科で遭遇する最も一般的且つ重要な健康管理問題のうちの1つである。UKにおいて、本発明者らの処置センターにおける内部監査は、新生児ユニットへの出生日の新生児の入院のおよそ10%が原因不明の低血糖にのみ起因すること示唆している。2012年の800,000人の生産児数を考慮すると、これは、1年で約8,000件の新症例の発生率を示唆している。同じ図式は極端な体重の乳児における新生児低血糖のUSAでの研究からも誘導できる。本発明に記載されているものなどの安全な有効処置は、この患者集団において潜在的な治療利益をもたらすと考えられる。
【0016】
高インスリン血症および/または低血糖は、非常に急速な胃内容排出およびインスリンの放出の悪化を示す「ダンピング症候群」患者の一部で観察され(例えば、胃バイパス手術および胃/食道手術などの外科手術手技の合併症として)、現在の仮説は、急速な食後グルコースフラックス、GLP-1分泌および高インスリン血症間の関連を示唆している。
【0017】
腫瘍により誘発された低血糖(TH)は、膵島b細胞腫瘍(インスリノーマ)による正所性インスリン分泌または非膵島細胞腫瘍による異所性腫瘍インスリン分泌(例としては、気管支カルチノイドおよび消化管間質腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない)の結果として生じ得る希少な臨床状態である。インスリノーマは、約0.4/100,000名-年の発生率の希少な腫瘍であり、通常、小さな散発性膵臓内良性腫瘍である。
【0018】
最後に、アンタゴニストEx(9-39)を使用した臨床データは、上昇したGLP-1レベルおよびインスリンレベルの結果を阻止する能力を一貫して実証した。本発明の他の実施形態は、ロイシン感受性と関連する高インスリン症に起因する低血糖、非悪性インスリノーマ、手術不可能膵島細胞腺腫もしくは癌腫、または膵臓外悪性腫瘍と関連する高インスリン症に起因する低血糖、多嚢胞性卵巣症候群、T2DMにおけるスルホニル尿素誘発毒性、プラダー・ウィリー症候群、副腎不全およびアディソン病、ベックウィズ・ウィーデマン症候群、ソトス症候群、コステロ症候群、チモシー症候群、歌舞伎症候群、先天性糖鎖合成異常症、後期ダンピング症候群、糖尿病の母親の反応性低血糖乳児、13トリソミー、中枢性肺胞低換気症候群(Central hypoventilation syndrome)、妖精症(インスリン抵抗性症候群)、モザイク型ターナー症候群、アッシャー症候群、非インスリノーマ膵臓低血糖、虚偽性低血糖(Factitious hypoglycaemia)、インスリン受容体遺伝子変異、インスリン自己免疫症候群、非膵島細胞腫瘍低血糖(NICTH)ならびにアルコールおよび他の中毒性物質からの離脱における高インスリン血症および低血糖などのある範囲の状態における原因不明症候性高インスリン血症および/または関連する低血糖の処置を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、GLP-1受容体にアンタゴニスト活性を有する新規化合物、これらを含む医薬組成物、および疾患の処置のための医薬の製造のための化合物の使用に関する。
【0020】
したがって、一実施形態では、本発明は、式(1)の化合物:
式(1)の配列を含む化合物:
【0021】
【化1】
(式中、
は、H、NHRまたはCHであり;Rは、H、C1~6アルキル、(CHアリールおよび(CHヘテロアリールから選択され;nは1~6であり;
AAは、-Leu-または-Nle-であり;
AAは、-NHCR3a3bCO-であり;R3aは、水素もしくはC1~3アルキル基であるか、またはR3bと結合して、NおよびOから選択される1個もしくは複数のヘテロ原子を含有していてもよい3~6員環を形成し;R3bは、C1~6アルキル、(CHアリール、(CHOHもしくは(CHORであるか、またはR3aと結合して、NおよびOから選択される1個もしくは複数のヘテロ原子を含有していてもよい3~6員環を形成し;Rは、C1~6アルキルであり、nは1~6であり;
LysRは、N置換されていてもよい置換リジン残基であり;
Xは、配列-Gln-AA-Glu-AA-Glu-AA-Val-AA-Leu-Phe-AA-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-AA-であり;
AAは、-Met-または-Nle-であり;AAが-Met-である場合、LysRはN置換リジン残基であり;
AAは、-Glu-または-Gln-であり;
AAは、-Ser-または-Ala-であり;
AAは、-Arg-または-DArg-であり;
AAは、基-NHCHRCO-であり;Rは、C1~6アルキル基であり;
AAは、-Gly-、-Ser-、-DAla-または-βAla-であり;
Yは、存在しないか、または配列-AA-AA10-AA11-AA12-AA13-AA14-AA15-AA16-AA17-AA18-AA19-であり、
AAは、-Gly-または-Ser-であり;
AA10は、-Pro-または-Ser-であり;
AA11は、-Ser-、-DSer-または-Lys-であり;
AA12は、-Ser-、-DSer-、-Lys-または-Phe-であり;
AA13は、存在しないか、または-Ser-、-DSer-、-Gly-、-Glu-もしくは-Lys-であり;
AA14は、存在しないか、または-Ser-、-DSer-、-Ala-、-Lys-もしくは-Tyr-であり;
AA15は、存在しないか、または-Ser-、-DSer-、-Pro-、-Glu-もしくは-Lys-であり;
AA16は、存在しないか、または-Ser-、-DSer-、-Pro-、-Lys-もしくは-LysR-であり;
AA17は、存在しないか、または-Pro-もしくは-Glu-であり;
AA18は、存在しないか、または-Ser-もしくは-Tyr-であり;
AA19は、存在しないか、または-Glu-であり;
XまたはYのC末端はカルボキシル基もしくはカルボキサミド基であるか、または任意の天然もしくは非天然アミノ酸配列または任意の他の部分または1つもしくは複数の官能基に隣接している)
またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはそのプロドラッグ、塩もしくは双性イオンを提供する。
【0022】
特定の化合物はまた、式(1a)の化合物:
【0023】
【化2】
またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはそのプロドラッグ、塩もしくは双性イオン(式中、AA、AA、LysR、XおよびYは、上で定義されている通りである)も含む。
【0024】
特定の化合物はまた、式(1b)の化合物:
【0025】
【化3】
またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはそのプロドラッグ、塩もしくは双性イオン(式中、AA、AA、LysR、XおよびYは、上で定義されている通りである)も含む。
【0026】
特定の化合物はまた、式(1c)の化合物:
【0027】
【化4】
またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはそのプロドラッグ、塩もしくは双性イオン(式中、AA、AA、LysR、XおよびYは、上で定義されている通りである)も含む。
【0028】
特定の化合物はまた、式(1d)の化合物:
【0029】
【化5】
またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはそのプロドラッグ、塩もしくは双性イオン(式中、AA、AA、LysR、XおよびYは、上で定義されている通りである)も含む。
【0030】
本明細書の化合物は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体のアンタゴニストとして使用され得る。化合物は、医薬の製造において使用され得る。化合物または医薬は、ロイシン感受性と関連する高インスリン症に起因する低血糖、非悪性インスリノーマ、手術不可能膵島細胞腺腫もしくは癌腫、または膵臓外悪性腫瘍と関連する高インスリン症に起因する低血糖、多嚢胞性卵巣症候群、T2DMにおけるスルホニル尿素誘発毒性、プラダー・ウィリー症候群、副腎不全およびアディソン病、ベックウィズ・ウィーデマン症候群、ソトス症候群、コステロ症候群、チモシー症候群、歌舞伎症候群、先天性糖鎖合成異常症、後期ダンピング症候群、糖尿病の母親の反応性低血糖乳児、13トリソミー、中枢性肺胞低換気症候群、妖精症(インスリン抵抗性症候群)、モザイク型ターナー症候群、アッシャー症候群、非インスリノーマ膵臓低血糖、虚偽性低血糖、インスリン受容体遺伝子変異、インスリン自己免疫症候群、非膵島細胞腫瘍低血糖(NICTH)ならびにアルコールおよび他の中毒性物質からの離脱における高インスリン血症および低血糖などのある範囲の状態における原因不明症候性高インスリン血症および/または関連する低血糖を含む、GLP-1受容体と関連する障害を処置、予防、改善、制御またはそのリスクを低減するために使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施例24、31、34、38、44、68および85についての結果を示す図である。グルコース投与後0~120分の期間にわたるグルコースAUC。Williamsの試験によるエキセンジン-4と比較した実施例化合物の効果。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
図2】実施例24、31、34、38、44、68および85についての結果を示す図である。グルコース投与10分後の血漿インスリン(ng/ml)。Williamsの試験によるエキセンジン-4と比較した実施例化合物の効果。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、新規化合物に関する。本発明はまた、GLP-1受容体のアンタゴニストとしての新規化合物の使用に関する。本発明は、GLP-1受容体アンタゴニストとして使用するためまたはGLP-1受容体と関連する障害の処置のための医薬の製造における新規化合物の使用にさらに関する。本発明は、他のGLP受容体サブタイプに比べ、GLP-1受容体の選択的アンタゴニストである化合物、組成物および医薬にさらに関する。
【0033】
本発明は、ロイシン感受性と関連する高インスリン症に起因する低血糖、非悪性インスリノーマ、手術不可能膵島細胞腺腫もしくは癌腫、または膵臓外悪性腫瘍と関連する高インスリン症に起因する低血糖、多嚢胞性卵巣症候群、T2DMにおけるスルホニル尿素誘発毒性、プラダー・ウィリー症候群、副腎不全およびアディソン病、ベックウィズ・ウィーデマン症候群、ソトス症候群、コステロ症候群、チモシー症候群、歌舞伎症候群、先天性糖鎖合成異常症、後期ダンピング症候群、糖尿病の母親の反応性低血糖乳児、13トリソミー、中枢性肺胞低換気症候群、妖精症(インスリン抵抗性症候群)、モザイク型ターナー症候群、アッシャー症候群、非インスリノーマ膵臓低血糖、虚偽性低血糖、インスリン受容体遺伝子変異、インスリン自己免疫症候群、非膵島細胞腫瘍低血糖(NICTH)ならびにアルコールおよび他の中毒性物質からの離脱における高インスリン血症および低血糖などの原因不明症候性高インスリン血症状態および/または関連する低血糖状態の処置に有用な化合物、組成物および医薬にさらに関する。
【0034】
したがって、一実施形態では、本発明は、式(1)の配列を含む化合物:
【0035】
【化6】
(式中、
は、H、NHRまたはCHであり;Rは、H、C1~6アルキル、(CHアリールおよび(CHヘテロアリールから選択され;nは1~6であり;
AAは、-Leu-または-Nle-であり;
AAは、-NHCR3a3bCO-であり;R3aは、水素もしくはC1~3アルキル基であるか、またはR3bと結合して、NおよびOから選択される1個もしくは複数のヘテロ原子を含有していてもよい3~6員環を形成し;R3bは、C1~6アルキル、(CHアリール、(CHOHもしくは(CHORであるか、またはR3aと結合して、NおよびOから選択される1個もしくは複数のヘテロ原子を含有していてもよい3~6員環を形成し;Rは、C1~6アルキルであり、nは1~6であり;
LysRは、N置換されていてもよい置換リジン残基であり;
Xは、配列-Gln-AA-Glu-AA-Glu-AA-Val-AA-Leu-Phe-AA-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-AA-であり;
AAは、-Met-または-Nle-であり;AAが-Met-である場合、LysRはN置換リジン残基であり;
AAは、-Glu-または-Gln-であり;
AAは、-Ser-または-Ala-であり;
AAは、-Arg-または-DArg-であり;
AAは、基-NHCHRCO-であり;Rは、C1~6アルキル基であり;
AAは、-Gly-、-Ser-、-DAla-または-βAla-であり;
Yは、存在しないか、または配列-AA-AA10-AA11-AA12-AA13-AA14-AA15-AA16-AA17-AA18-AA19-であり、
AAは、-Gly-または-Ser-であり;
AA10は、-Pro-または-Ser-であり;
AA11は、-Ser-、-DSer-または-Lys-であり;
AA12は、-Ser-、-DSer-、-Lys-または-Phe-であり;
AA13は、存在しないか、または-Ser-、-DSer-、-Gly-、-Glu-もしくは-Lys-であり;
AA14は、存在しないか、または-Ser-、-DSer-、-Ala-、-Lys-もしくは-Tyr-であり;
AA15は、存在しないか、または-Ser-、-DSer-、-Pro-、-Glu-もしくは-Lys-であり;
AA16は、存在しないか、または-Ser-、-DSer-、-Pro-、-Lys-もしくは-LysR-であり;
AA17は、存在しないか、または-Pro-もしくは-Glu-であり;
AA18は、存在しないか、または-Ser-もしくは-Tyr-であり;
AA19は、存在しないか、または-Glu-であり;
XまたはYのC末端は、カルボキシル基もしくはカルボキサミド基であるか、または任意の天然もしくは非天然アミノ酸配列または任意の他の部分または1つもしくは複数の官能基に隣接している)
またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはそのプロドラッグ、塩もしくは双性イオンを提供する。
【0036】
は、H、NH、NHBnまたはCHBnであってもよい。Rは、Hであってもよい。Rは、水素であってもよい。Rは、NHであってもよい。Rは、NHBnであってもよい。Rは、CHBnであってもよい。Rは、NH-ベンジルであってもよい。Rは、CH-ベンジルであってもよい。
【0037】
は、Hであってもよい。Rは、水素であってもよい。Rは、Bnであってもよい。Rは、ベンジルであってもよい。
【0038】
AAは、-Leu-であってもよい。AAは、-Nle-であってもよい。
【0039】
AAは、-NHCR3a3bCO-であってもよく;R3aは、水素またはメチルであり、R3bは、メチル、エチル、イソブチル、n-ブチル、CHOH、CHCHOH、CHOCH、CH-シクロプロピル、Bn、CHBnまたはCHCHBnから選択される。
【0040】
3aは、水素またはメチルであってもよい。R3aは、水素であってもよい。R3aは、メチルであってもよい。
【0041】
3bは、メチル、エチル、イソブチル、n-ブチル、CHOH、CHCHOH、CHOCH、CH-シクロプロピル、Bn、CHBnまたはCHCHBnから選択されてもよい。
【0042】
3aおよびR3bは、結合して環を形成することができる。R3aおよびR3bは、結合して、シクロブチルまたはオキセタニル環を形成することができる。
【0043】
AAは、
【0044】
【化7】
から選択されてもよい。
【0045】
AAは、
【0046】
【化8】
から選択されてもよい。
【0047】
LysRは、非置換リジン残基であってもよい。
【0048】
LysRは、N置換リジン残基であってもよく、N置換基は、-CO(CHCH;-CO(CHCOH;-CO(CHCHCH;-COO(CHCH;-COO(CHCOHおよび-COO(CHCHCHから選択され;qは1~22である。
【0049】
LysRは、N置換リジン残基であってもよく、N置換基は-COO(CHCHCHであり;qは1~22である。
【0050】
LysRは、N置換リジン残基であってもよく、N置換基は-COO(CHCHCHであり;qは1である。
【0051】
LysRは、N置換リジン残基であってもよく、N置換基は-COOCHCHCHである。
【0052】
LysRは、
【0053】
【化9】
であってもよい。
【0054】
LysRは、N置換リジン残基であってもよく、N置換基は基-L-Gであり;
Lは、
【0055】
【化10】
からなる群から選択され;
Gは、
【0056】
【化11】
からなる群から選択され;
mは1~23であり;
pは1~3であり;
rは1~20であり;
sは0~3であり;
tは0~4であり;
wは0~4である。
【0057】
LysRは、
【0058】
【化12】
であってもよい。
【0059】
LysRは、
【0060】
【化13】
であってもよい。
【0061】
AAは、-Met-であってもよい。AAは、-Nle-であってもよい。AAが-Met-である場合、LysRは、N置換リジン残基である。
【0062】
AAは、-Glu-であってもよい。AAは、-Gln-であってもよい。
【0063】
AAは、-Ser-であってもよい。AAは、-Ala-であってもよい。
【0064】
AAは、-Arg-であってもよい。AAは、-DArg-であってもよい。
【0065】
AAは、基-NHCHRCO-であってもよく;Rは、イソプロピル、sec-ブチルおよびネオペンチルから選択される。Rは、イソプロピルであってもよい。Rは、sec-ブチルであってもよい。Rは、ネオペンチルであってもよい。
【0066】
AAは、-Ile-であってもよい。AAは、-Val-であってもよい。AAは、tert-ブチルアラニン残基であってもよい。
【0067】
AAは、-Gly-であってもよい。AAは、-Ser-であってもよい。AAは、-DAla-であってもよい。AAは、-βAla-であってもよい。
【0068】
Yは、存在しなくても、またはしていてもよい。Yは、存在しなくてもよい。Yは、存在していてもよい。
【0069】
AAは、-Gly-であってもよい。AAは、-Ser-であってもよい。
【0070】
AA10は、-Pro-であってもよい。AA10は、-Ser-であってもよい。
【0071】
AA11は、-Ser-であってもよい。AA11は、-DSer-であってもよい。AA11は、-Lys-であってもよい。
【0072】
AA12は、-Ser-であってもよい。AA12は、-DSer-であってもよい。AA12は、-Lys-であってもよい。AA12は、-Phe-であってもよい。
【0073】
AA13は、存在しなくてもよい。AA13は、-Ser-であってもよい。AA13は、-DSer-であってもよい。AA13は、-Gly-であってもよい。AA13は、-Glu-であってもよい。AA13は、-Lys-であってもよい。
【0074】
AA14は、存在しなくてもよい。AA14は、-Ser-であってもよい。AA14は、-DSer-であってもよい。AA14は、-Ala-であってもよい。AA14は、-Lys-であってもよい。AA14は、-Tyr-であってもよい。
【0075】
AA15は、存在しなくてもよい。AA15は、-Ser-であってもよい。AA15は、-DSer-であってもよい。AA15は、-Pro-であってもよい。AA15は、-Glu-であってもよい。AA15は、-Lys-であってもよい。
【0076】
AA16は、存在しなくてもよい。AA16は、-Ser-であってもよい。AA16は、-DSer-であってもよい。AA16は、-Pro-であってもよい。AA16は、-Lys-であってもよい。AA16は、-LysR-であってもよい。
【0077】
AA17は、存在しなくてもよい。AA17は、-Pro-であってもよい。AA17は、-Glu-であってもよい。
【0078】
AA18は、存在しなくてもよい。AA18は、-Ser-であってもよい。AA18は、-Tyr-であってもよい。
【0079】
AA19は、存在しなくてもよい。AA19は、-Glu-であってもよい。
【0080】
Yが存在しない場合、XのC末端は、カルボキサミド基であってもよい。Yが存在しない場合、XのC末端は、カルボキシル基であってもよい。Yが存在しない場合、XのC末端は、任意の天然もしくは非天然アミノ酸配列、または任意の他の部分または1つもしくは複数の官能基に隣接していてもよい。
【0081】
YのC末端は、カルボキサミド基であってもよい。YのC末端は、カルボキシル基であってもよい。YのC末端は、任意の天然もしくは非天然アミノ酸配列、または任意の他の部分または1つもしくは複数の官能基に隣接していてもよい。
【0082】
化合物は、RがNHBnであり、AAが-Leu-であり、AAが-D-ホモPhe-であり、LysRが-Lys-であり、AAが-Nle-であり、AAが-Glu-であり、AAが-Ala-であり、AAが-Arg-であり、AAが-Ile-であり、AAが-DAla-であり、Yが存在しない場合、XのC末端がカルボキサミド基である化合物であってもよい。
【0083】
化合物は、RがNHBnであり、AAが-Leu-であり、AAが-DAla-であり、LysRが-Lys-であり、AAが-Nle-であり、AAが-Glu-であり、AAが-Ala-であり、AAが-DArg-であり、AAが-Ile-であり、AAが-DAla-であり、Yが存在しない場合、XのC末端がカルボキサミド基である化合物であってもよい。
【0084】
化合物は、RがHであり、AAが-Leu-であり、AAが-D-シクロプロピルAla-であり、LysRが-Lys-であり、AAが-Nle-であり、AAが-Glu-であり、AAが-Ala-であり、AAが-DArg-であり、AAが-Ile-であり、AAが-DAla-であり、Yが存在しない場合、XのC末端がカルボキサミド基である化合物であってもよい。
【0085】
化合物は、RがNHBnであり、AAが-Leu-であり、AAが-Aib-であり、LysRが-Lys-であり、AAが-Nle-であり、AAが-Glu-であり、AAが-Ala-であり、AAが-DArg-であり、AAが-Ile-であり、AAが-DAla-であり、Yが存在しない場合、XのC末端がカルボキサミド基である化合物であってもよい。
【0086】
化合物は、RがNHBnであり、AAが-Nle-であり、AAが-Aib-であり、LysRが-Lys-であり、AAが-Nle-であり、AAが-Glu-であり、AAが-Ala-であり、AAが-DArg-であり、AAが-Ile-であり、AAが-DAla-であり、Yが存在しない場合、XのC末端がカルボキサミド基である化合物であってもよい。
【0087】
化合物は、RがNHBnであり、AAが-Leu-であり、AAが-D-ホモPhe-であり、LysRが-Lys-であり、AAが-Nle-であり、AAが-Glu-であり、AAが-Ala-であり、AAが-Arg-であり、AAが-Ile-であり、AAが-DAla-であり、AAが-Gly-であり、AA10が-Pro-であり、AA11が-Ser-であり、AA12が-Ser-であり、AA13が-Ser-であり、AA14が-Ser-であり、AA15が-Ser-であり、AA16が-Ser-であり、AA17、AA18およびAA19が存在しない場合、YのC末端がカルボキサミド基である化合物であってもよい。
【0088】
化合物は、RがNHBnであり、AAが-Nle-であり、AAが-Aib-であり、LysRが-Lys-であり、AAが-Nle-であり、AAが-Glu-であり、AAが-Ala-であり、AAが-DArg-であり、AAが-Ile-であり、AAが-DAla-であり、AAが-Gly-であり、AA10が-Pro-であり、AA11が-DSer-であり、AA12が-DSer-であり、AA13が-DSer-であり、AA14が-DSer-であり、AA15が-DSer-であり、AA16が-DSer-であり、AA17、AA18およびAA19が存在しない場合、YのC末端がカルボキサミド基である化合物であってもよい。
【0089】
化合物は、式(1a)の化合物:
【0090】
【化14】
またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはそのプロドラッグ、塩もしくは双性イオン(式中、AA、AA、LysR、XおよびYは、上で定義されている通りである)であってもよい。
【0091】
化合物は、式(1b)の化合物:
【0092】
【化15】
またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはそのプロドラッグ、塩もしくは双性イオン(式中、AA、AA、LysR、XおよびYは、上で定義されている通りである)であってもよい。
【0093】
化合物は、式(1c)の化合物:
【0094】
【化16】
またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはそのプロドラッグ、塩もしくは双性イオン(式中、AA、AA、LysR、XおよびYは、上で定義されている通りである)であってもよい。
【0095】
化合物は、式(1d)の化合物:
【0096】
【化17】
またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはそのプロドラッグ、塩もしくは双性イオン(式中、AA、AA、LysR、XおよびYは、上で定義されている通りである)であってもよい。
【0097】
化合物は、
実施例24:
【0098】
【化18】

実施例34:
【0099】
【化19】

実施例38:
【0100】
【化20】

実施例44:
【0101】
【化21】

実施例53:
【0102】
【化22】

実施例63:
【0103】
【化23】

実施例85:
【0104】
【化24】
からなる群のうちのいずれか1種から選択される化合物、またはその互変異性のもしくは立体化学的な異性体、またはそのプロドラッグ、塩もしくは双性イオンであってもよい。
【0105】
化合物は、表1に示される実施例1~85のうちのいずれか1種から選択されてもよい。
【0106】
【表1-1】
【0107】
【表1-2】
【0108】
【表1-3】
【0109】
【表1-4】
【0110】
【表1-5】
標準アミノ酸記号が、表1において適宜使用される。標準記号が利用できない場合、以下の表現が使用される。
【0111】
【化25】
allocLys:
【0112】
【化26】
LYS-γGlu-2xOEG C18二酸:
【0113】
【化27】
LYS-β-ALA-C12:
【0114】
【化28】
化合物の具体例には、GLP-1受容体アンタゴニスト活性を有する化合物が含まれる。
【0115】
本発明の化合物は、本発明の化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物において使用され得る。
【0116】
本発明の化合物は、医薬において使用され得る。
【0117】
本発明の化合物は、GLP-1受容体と関連する障害の処置に使用され得る。
【0118】
本発明の化合物は、ロイシン感受性と関連する高インスリン症に起因する低血糖、非悪性インスリノーマ、手術不可能膵島細胞腺腫もしくは癌腫、または膵臓外悪性腫瘍と関連する高インスリン症に起因する低血糖、多嚢胞性卵巣症候群、T2DMにおけるスルホニル尿素誘発毒性、プラダー・ウィリー症候群、副腎不全およびアディソン病、ベックウィズ・ウィーデマン症候群、ソトス症候群、コステロ症候群、チモシー症候群、歌舞伎症候群、先天性糖鎖合成異常症、後期ダンピング症候群、糖尿病の母親の反応性低血糖乳児、13トリソミー、中枢性肺胞低換気症候群、妖精症(インスリン抵抗性症候群)、モザイク型ターナー症候群、アッシャー症候群、非インスリノーマ膵臓低血糖、虚偽性低血糖、インスリン受容体遺伝子変異、インスリン自己免疫症候群、非膵島細胞腫瘍低血糖(NICTH)ならびにアルコールおよび他の中毒性物質からの離脱における高インスリン血症および低血糖などの原因不明症候性高インスリン血症状態および/または関連する低血糖状態の処置に使用され得る。
定義
本出願では、特に示さない限り、以下の定義が適用される。
【0119】
用語「アルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」は、特に示さない限り、それらの慣用的な意味(例えば、IUPAC Gold Bookに定義されている通り)で使用される。
【0120】
式(1)の化合物を含む本明細書に記載されている化合物のうちの任意のものの使用に関する、用語「処置」は、問題としている疾患または障害に罹患している対象、またはこれらに罹患するリスクのある対象、またはこれらに罹患するリスクが可能性としてある対象に、化合物が投与される介入の形態を記載するために使用される。したがって、用語「処置」は、予防的(防止的)処置および疾患または障害の測定可能なまたは検出可能な症状が示されている処置の両方を包含する。
【0121】
用語「治療有効量」とは、本明細書で使用する(例えば、障害、疾患または状態の処置の方法に関する)場合、所望の治療効果を生じるのに有効な化合物の量を指す。例えば、状態が疼痛である場合、治療有効量とは、所望のレベルの疼痛緩和を実現するのに十分な量のことである。所望のレベルの疼痛緩和は、例えば、疼痛の完全な消滅、または疼痛の重症度の軽減とすることができる。
【0122】
記載されている化合物のうちの任意のものがキラル中心を有する範囲で、本発明は、ラセミ体の形態であれ、または分割された鏡像異性体の形態であれ、そのような化合物のすべての光学異性体に拡大される。本明細書に記載されている本発明は、どのようにでも調製された本開示の化合物の任意のもののすべての結晶形、溶媒和物および水和物に関する。本明細書に開示されている化合物のうちの任意のものが、カルボキシレートまたはアミノ基などの酸性または塩基性中心を有する範囲で、前記化合物のすべての塩形態が本明細書に含まれる。医薬使用の場合、塩は、薬学的に許容される塩であるとみなされるべきである。
【0123】
言及され得る塩または薬学的に許容される塩には、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。そのような塩は、従来の方法によって、例えば、場合により溶媒中、または塩が不溶性である媒体中で遊離酸または遊離塩基形態の化合物を1種または複数の当量の適切な酸または塩基と反応させ、続いて、標準技術を使用して(例えば、真空で、凍結乾燥によって、またはろ過によって)、前記溶媒または前記媒体を除去することによって、形成され得る。塩はまた、例えば、好適なイオン交換樹脂を使用して、塩の形態の化合物の対イオンを別の対イオンと交換することによって調製され得る。
【0124】
薬学的に許容される塩の例には、鉱酸および有機酸から誘導された酸付加塩、ならびにナトリウム、マグネシウム、カリウムおよびカルシウムなどの金属から誘導された塩が含まれる。
【0125】
酸付加塩の例には、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸)、アスコルビン酸(例えば、L-アスコルビン酸)、L-アスパラギン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)樟脳酸、カンファー-スルホン酸、(+)-(1S)-カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸(例えば、D-グルコン酸)、グルクロン酸(例えばD-グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L-グルタミン酸)、α-オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩化水素酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、乳酸(例えば、(+)-L-乳酸および(±)-DL-乳酸)、ラクトビオ酸、マレイン酸、リンゴ酸(例えば、(-)-L-リンゴ酸)、マロン酸、(±)-DL-マンデル酸、メタリン酸、メタンスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L-ピログルタミン酸、サリチル酸、4-アミノ-サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸(例えば、(+)-L-酒石酸)、チオシアン酸、ウンデシレン酸および吉草酸から形成される酸付加塩が含まれる。
【0126】
化合物の任意の溶媒和物およびそれらの塩もまた包含される。好ましい溶媒和物は、非毒性の薬学的に許容される溶媒の分子の、本発明の化合物の固体状態構造(例えば、結晶構造)への組込みによって形成される溶媒和物である(以下において、溶媒和する溶媒と称される)。このような溶媒の例には、水、アルコール(エタノール、イソプロパノールおよびブタノールなど)およびジメチルスルホキシドが含まれる。溶媒和物は、本発明の化合物を、溶媒和する溶媒を含有する溶媒または溶媒の混合物と共に再結晶することによって調製することができる。溶媒和物が、所与のいずれかの例で形成されているか否かは、化合物の結晶を、熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)およびX線結晶学などの周知な標準技法を使用する分析に施すことによって決定され得る。
【0127】
溶媒和物は、化学量論量の溶媒和物とすることができるか、または非化学量論量の溶媒和物とすることができる。特定の溶媒和物は水和物であり得、水和物の例には、半水和物、一水和物および二水和物が含まれる。溶媒和物、および溶媒和物を作製し特徴付けるために使用される方法の一層詳細な考察に関しては、SSCI,Inc of West Lafayette、IN、米国により出版された、Brynら、Solid-State Chemistry of Drugs、第2版、1999年、ISBN 0-967-06710-3を参照されたい。
【0128】
本発明の文脈における用語「医薬組成物」は、活性剤を含み、1種または複数の薬学的に許容される担体を追加的に含む組成物を意味する。組成物は、投与方式および剤形の性質に応じて、例えば、希釈剤、アジュバント、賦形剤、ビヒクル、保存剤、充填剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、抗菌剤、抗真菌剤、滑沢剤および分散剤から選択される成分をさらに含有し得る。組成物は、例えば、懸濁液、スプレー剤、吸入剤、錠剤、ロゼンジ剤、乳剤、溶液剤、カシェ剤、顆粒剤、カプセル剤および坐剤ならびにリポソーム調剤を含む注射用液体調剤を含む、錠剤、ドラジェ剤、散剤、エリキシル剤、シロップ剤、液体調剤の形態であり得る。
【0129】
本発明の化合物は、1種または複数の同位体置換を含有してもよく、特定の元素を言う場合、その元素のすべての同位体をその範囲内に含む。例えば、水素を言う場合、その範囲内に、H、H(D)およびH(T)を含む。同様に、炭素および酸素を言う場合、それぞれ、その範囲内に、12C、13Cおよび14C、ならびに16Oおよび18Oを含む。同様に、特定の官能基を言う場合はやはり、文脈が特に示さない限り、その範囲内に、同位体変形体を含む。例えば、エチル基などのアルキル基、またはメトキシ基などのアルコキシ基を言う場合、基中の1個または複数の水素原子が、例えば、5個の水素原子がすべて、重水素同位体形態にあるエチル基(パージュウテロエチル基)、または3個の水素原子がすべて、重水素同位体形態にあるメトキシ基(トリジュウテロメトキシ基)のように、重水素またはトリチウム同位体の形態にある変形体もまた包含する。同位体は、放射活性であってもよく、または非放射活性であってもよい。
【0130】
治療投薬量は、患者の要求、処置されている状態の重症度および用いられている化合物に応じて様々であり得る。特定の状況についての適切な投薬量の決定は、当分野の技術の範囲内である。一般に、処置は、化合物の最適用量未満であるより少ない投薬量で開始される。その後、投薬量は、その状況下で最適効果に達するまで少量ずつ増加される。便利なように、総1日投薬量は、分割され、所望の場合、1日の間に少しずつ投与されてもよい。
【0131】
化合物の有効用量の大きさは、当然のことながら、処置される状態の重症度の性質ならびに特定の化合物およびその投与経路により様々である。適切な投薬量の選択は、過度な労力の必要のない、当業者の能力の範囲内である。一般に、1日用量範囲は、ヒトおよび非ヒト動物の体重1kg当たり約10μg~約30mg、好ましくはヒトおよび非ヒト動物の体重1kg当たり約50μg~約30mg、例えば、ヒトおよび非ヒト動物の体重1kg当たり約50μg~約10mg、例えば、ヒトおよび非ヒト動物の体重1kg当たり約100μg~約30mg、例えば、ヒトおよび非ヒト動物の体重1kg当たり約100μg~約10mg、最も好ましくは、ヒトおよび非ヒト動物の体重1kg当たり約100μg~約1mgであり得る。
医薬製剤
活性化合物は、単独で投与することが可能であるが、医薬組成物(例えば、製剤)として供給されることが好ましい。
【0132】
したがって、本発明の別の実施形態では、上で定義されている式(1)のうちの少なくとも1つの化合物と少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を一緒に含む医薬組成物が提供される。
【0133】
組成物は、注射に好適な組成物であり得る。注射は、静脈内(IV)または皮下であり得る。組成物は、滅菌緩衝溶液、注射用滅菌緩衝剤に懸濁もしくは溶解できる固体として供給され得る。
【0134】
薬学的に許容される賦形剤は、例えば、担体(例えば、固体、液体または半固体担体)、アジュバント、希釈剤(例えば、充填剤または増量剤などの固体希釈剤;ならびに溶媒および共溶媒などの液体希釈剤)、造粒剤、結合剤、流動助剤、コーティング剤、放出制御剤(例えば放出抑制もしくは遅延ポリマーまたはワックス)、結合剤、崩壊剤、緩衝化剤、滑沢剤、保存剤、抗真菌剤および抗菌剤、抗酸化剤、緩衝化剤、張度調節剤、増粘剤、香味剤、甘味剤、顔料、可塑剤、味覚マスキング剤、安定剤、または医薬組成物に慣用的に使用される任意の他の賦形剤から選択され得る。
【0135】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容される」は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに、対象(例えば、ヒト対象)の組織と接触して使用するのに好適な、妥当な医療的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に対応する化合物、物質、組成物および/または剤形を意味する。各賦形剤はまた、製剤の他の成分と適合可能であるという意味において、「許容される」ものでなければならない。
【0136】
式(1)の化合物を含有する医薬組成物は、公知技術に従い製剤化することができ、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PA、米国を参照されたい。
【0137】
好適な製剤は、通常、0~20%(w/w)の緩衝剤、0~50%(w/w)の共溶媒および/または0~99%(w/w)の注射用水(WFI)(用量に依存し、凍結乾燥の場合)を含有する。筋肉内デポ剤用の製剤は、0~99%(w/w)の油も含有してもよい。
【0138】
式(1)の化合物は、一般に、単位剤形中で供給され、したがって、所望のレベルの生物活性を実現するのに十分な化合物を通常、含有する。例えば、製剤は、1ナノグラム~2グラムの活性成分、例えば1ナノグラム~2ミリグラムの活性成分を含有することができる。これらの範囲内における、化合物の特定のサブ範囲は、0.1ミリグラム~2グラムの活性成分(さらに典型的には、10ミリグラム~1グラム、例えば50ミリグラム~500ミリグラム)、または1マイクログラム~20ミリグラム(例えば1マイクログラム~10ミリグラム、例えば0.1ミリグラム~2ミリグラムの活性成分)である。
【0139】
活性化合物は、所望の治療効果(有効量)を実現するのに十分な量で、それを必要とする患者(例えば、ヒトまたは動物患者)に投与される。投与される化合物の正確な量は、標準手順に従い、監督医師によって決定され得る。
【実施例
【0140】
本発明は、これより、以下に限定されないが、以下の実施例に記載されている特定の実施形態を参照することによって例示される。
【0141】
実施例1~85
上の表1に示されている実施例1~85の化合物を調製した。それらのLCMS特性、ならびにそれらを調製するために使用した方法を表2に記載する。実施例のそれぞれに関する出発原料は、特に示さない限り、市販されている。
一般手順
調製経路が含まれていない場合、関連する中間体は市販されている。市販試薬は、さらに精製することなく利用した。室温(rt)は、約20~27℃を指す。
分析方法
化合物のLCMS分析を、エレクトロスプレー条件下で実施した。
分析方法A
MSイオンはエレクトロスプレー条件下で以下のLCMS法を使用して決定し、HPLC保持時間(R)は以下のHPLC法を使用して決定し、示さない限りHPLCによる純度>95%である。
LCMS:Agilent 1200 HPLC&6410B Triple Quad、カラム:Xbridge C18 3.5um 2.1×30mm。グラジエント[時間(分)/溶媒B(%)]:0.0/10、0.9/80、1.5/90、8.5/5、1.51/10。(溶媒A=1000mLの水中の1mLのTFA;溶媒B=1000mLのMeCN中の1mLのTFA);注入量5μL(変動し得る);UV検出220nm 254nm 210nm;カラム温度25℃;1.0mL/分。
HPLC:Agilent Technologies 1200、カラム:Gemini-NX C18 5um 110A 150×4.6mm。グラジエント[時間(分)/溶媒B(%)]:0.0/30、20/60、20.1/90、23/90。(溶媒A=1000mLの水中の1mLのTFA;溶媒B=1000mLのMeCN中の1mLのTFA);注入量5μL(変動し得る);UV検出220nm 254nm;カラム温度25℃;1.0mL/分
分析方法B1
機器:Thermo Scientific Orbitrap Fusion;カラム:Phenomenex Kinetex Biphenyl 100Å、2.6μm、2.1×50mm;グラジエント[時間(分)/溶媒A中のB(%)]:0.00/10、0.30/10、0.40/60、1.10/90、1.70/90、1.75/10、1.99/10、2.00/10;溶媒:溶媒A=水中の0.1%ギ酸、溶媒B=アセトニトリル中の0.1%ギ酸;注入量5μL;カラム温度25℃;流速0.8mL/分。
分析方法B2
機器:Thermo Scientific Orbitrap Fusion;カラム:Phenomenex Luna Omega C18 100Å、1.6μm、2.1×50mm;グラジエント[時間(分)/溶媒A中のB(%)]:0.00/10、0.30/10、0.40/60、1.10/90、1.70/90、1.75/10、1.99/10、2.00/10;溶媒:溶媒A=水中の0.1%ギ酸、溶媒B=アセトニトリル中の0.1%ギ酸;注入量5μL;カラム温度25℃;流速0.8mL/分。
中間体および化合物の合成
以下の例は、本発明の好ましい態様を例示するために提供され、本発明の範囲を限定することを意図されない。すべてのFmocアミノ酸は、市販されている。
実施例1~85の合成
標準Fmoc固相ペプチド合成(SPPS)を使用して、直鎖状ペプチドを合成し、次いでこれを、樹脂から切断し、精製した。
【0142】
ペプチド合成の一般方法:ペプチドを標準Fmoc化学を使用して合成した。
方法a - 実施例24の合成により例示
1)RinkアミドMBHA樹脂(sub:0.35mmol/g、1.0mmol、2.86g)を含有する容器にDCMを添加し、2時間膨張させる。
2)排水し、次いで、DMFで洗浄する(5回、各洗浄間に排水)。
3)DMF中の20%ピペリジンの溶液を添加し、Nを通気しながら30分間撹拌した。
4)排水し、DMFで洗浄する(5回、各洗浄間に排水)。
5)Fmocアミノ酸溶液(DMF中の3.0当量)を添加し、30秒間混合し、次いで、活性化緩衝液(DMF中のHBTU(2.85当量)およびDIEA(6当量))を添加し、Nを通気しながら1時間撹拌する。
6)カップリング反応を、ニンヒドリン試験によってモニタリングした。
7)必要な場合、カップリングが不十分である場合、ステップ4~6を同じアミノ酸カップリングについて繰り返す。
8)ステップ2~6を次のアミノ酸カップリングのために繰り返す。
ペプチド切断および精製:
1)側鎖保護ペプチドを含有するフラスコに切断緩衝液(92.5%TFA/2.5%EDT/2.5%TIS/2.5%HO)を室温で添加し、3時間撹拌する。
2)ペプチドを、冷tert-ブチルメチルエーテルで沈殿させ、遠心分離する(3000rpmで3分間)。
3)反応混合物をろ過し、ろ液を収集した。
4)残渣をtert-ブチルメチルエーテルで洗浄した(2回)。
5)粗製ペプチドを、真空下で2時間乾燥した。
6)粗製ペプチドを分取HPLCによって精製した。分取HPLC条件:機器:Gilson 281。溶媒:A - HO中の0.1%TFA、B - アセトニトリル、カラム:Luna C18(200×25分;10μm)およびGemini C18(150×30mm;5μm)、直列。グラジエント[時間(分)/溶媒B(%)]:0.0/25、60.0/55、60.1/90、70/90、70.1/10、20mL/分、UV検出(波長=215/254nm)による。残渣を分取HPLCによって再精製した。分取HPLC条件:機器:Gilson 281。溶媒:A - HO中の0.5%AcOH、B - アセトニトリル、カラム:Luna C18(200×25分;10μm)およびGemini C18(150×30mm;5μm)、直列。グラジエント[時間(分)/溶媒B(%)]:0.0/20、60.0/50、60.1/90、70/90、70.1/10、20mL/分、UV検出(波長=215/254nmによる)。次いで、凍結乾燥して実施例24を得た(377.6mg、14.0%収率)。
方法b - 擬似プロリン法、実施例63の合成により例示
1)RinkアミドMBHA樹脂(sub:0.69mmol/g、20mmol、29.0g)を含有する容器にDCMを添加し、2時間膨張させる。
2)排水し、次いで、DMFで洗浄する(5回、各洗浄間に排水)。
3)DMF中の20%ピペリジンの溶液を添加し、Nを通気しながら30分間撹拌した。
4)排水し、DMFで洗浄する(5回、各洗浄間に排水)。
5)Fmocアミノ酸溶液(DMF中の3.0当量)を添加し、30秒間混合し、次いで、活性化緩衝液(DMF中のHBTU(2.85当量)およびDIEA(6当量))を添加し、Nを通気しながら1時間撹拌する。
6)カップリング反応を、ニンヒドリン試験によってモニタリングした。
7)必要な場合、カップリングが不十分である場合、ステップ2~5を同じアミノ酸カップリングについて繰り返す。
8)ステップ2~5を次のアミノ酸カップリングのために繰り返す。
注記:以下の表のアミノ酸について、異なる当量およびカップリング剤を使用した。
【表A】
【0143】
ペプチド切断および精製:
1)側鎖保護ペプチドを含有するフラスコに切断緩衝液(92.5%TFA/2.5%EDT/2.5%TIS/2.5%HO)を室温で添加し、3時間撹拌する。
2)反応混合物をろ過し、ろ液を収集した。
3)ペプチドを、冷イソプロピルエーテルで沈殿させ、遠心分離する(3000rpmで3分間)。
4)残渣をイソプロピルエーテルで洗浄した(2回)。
5)粗製ペプチドを、真空で2時間乾燥した。
6)粗製ペプチドを分取HPLC(A:0.01M NH4HCO3、B:MeCN)によって精製した。分取HPLC条件:Agilent SD-1。溶媒:A - H2O中の0.01M NH4HCO3、B - アセトニトリル、カラム:Luna 80×250mm、C18×10μm、110A。グラジエント[時間(分)/溶媒B(%)]:0.0/30、60.0/60、60.1/90、70/90、70.1/10。次いで、分取HPLC(A:H2O中の0.075%TFA、B:MeCN)によって再精製、分取HPLC条件:機器:Agilent SD-1。溶媒:A - H2O中の0.075%TFA、B - アセトニトリル、カラム:Luna 80×250mm、C18×10μm、110A。グラジエント[時間(分)/溶媒B(%)]:0.0/30、60.0/60、60.1/90、70/90、70.1/10。次いで、分取HPLC(A:H2O中の0.5%酢酸、B:MeCN)を使用して、実施例63を得た(11.3g、16.7%収率)。
方法c - 実施例85の合成により例示
1)RinkアミドMBHA樹脂(sub:0.69mmol/g、20mmol、29.0g)を含有する容器にDCMを添加し、2時間膨張させる。
2)排水し、次いで、DMFで洗浄する(5回、各洗浄間に排水)。
3)DMF中の20%ピペリジンの溶液を添加し、Nを通気しながら30分間撹拌した。
4)排水し、DMFで洗浄する(5回、各洗浄間に排水)。
5)Fmocアミノ酸溶液(DMF中の3.0当量)を添加し、30秒間混合し、次いで、活性化緩衝液(DMF中のHBTU(2.85当量)およびDIEA(6当量))を添加し、Nを通気しながら1時間撹拌する。
6)カップリング反応を、ニンヒドリン試験によってモニタリングした。
7)必要な場合、カップリングが不十分である場合、ステップ2~5を同じアミノ酸カップリングについて繰り返す。
8)ステップ2~5を次のアミノ酸カップリングのために繰り返す。
注記:以下の表のアミノ酸について、異なる保護基、当量および/またはカップリング剤を使用した。
【表B】
【0144】
ペプチド切断および精製:
1)側鎖保護ペプチドを含有するフラスコに切断緩衝剤(92.5%TFA/2.5%EDT/2.5%TIS/2.5%HO)を室温で添加し、3時間撹拌する。
2)反応混合物をろ過し、ろ液を収集した。
3)ペプチドを、冷イソプロピルエーテルで沈殿させ、遠心分離する(3000rpmで3分間)。
4)残渣をイソプロピルエーテルで洗浄した(2回)。
5)粗製ペプチドを、真空で2時間乾燥した。
6)粗製ペプチドを分取HPLC(A:0.01M NH4HCO3、B:MeCN)によって精製した。分取HPLC条件:Agilent SD-1。溶媒:A - H2O中の0.01M NH4HCO3、B - アセトニトリル、カラム:Luna 80×250mm、C18×10μm、110A。グラジエント[時間(分)/溶媒B(%)]:0.0/30、60.0/60、60.1/90、70/90、70.1/10。次いで、分取HPLC(A:H2O中の0.075%TFA、B:MeCN)によって再精製、分取HPLC条件:機器:Agilent SD-1。溶媒:A - H2O中の0.075%TFA、B - アセトニトリル、カラム:Luna 80×250mm、C18×10μm、110A。グラジエント[時間(分)/溶媒B(%)]:0.0/30、60.0/60、60.1/90、70/90、70.1/10。次いで、分取HPLC(A:H2O中の0.5%酢酸、B:MeCN)を使用して、実施例85を得た(15.6g、9.45%収率)。
【0145】
【表2-1】
【0146】
【表2-2】
【0147】
【表2-3】
生物活性
以下の例は、本発明の好ましい態様を例示するために提供され、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0148】
実施例A.GLP-1ペプチドのin vitroにおける薬理学特性決定 - ヒトGLP1受容体の機能的拮抗、cAMP蓄積アッセイ
アゴニストリガンド(GLP-1(7-36)アミドペプチド、Tocris)によるGLP-1Rの刺激時のcAMP生成のアンタゴニスト阻害を、HiRange cAMPキット(Cisbio)を使用して評価した。方法は、キットに提示される2ステッププロトコールに従った。簡潔に述べると、1%v/v GLP-1R Bacmamで24時間感染させたHEK細胞を、細胞解離溶液(Gibco)を使用して回収し、遠心分離し、アッセイ緩衝液(0.5mM IBMX(Tocris)を添加したHBSS(Lonza))に再懸濁した。試験化合物のDMSOストックを、アッセイ緩衝液に系列希釈し、96ウェルハーフエリア白色プレート(Costar)に添加した。アッセイの最終DMSO濃度は0.3%であった。ウェル当たり20K細胞をプレートに添加し、続いて、30分間インキュベーションした(加湿空気(5%CO2)、37℃)。次いで、EC80濃度当量のGLP-1(7-36)ペプチドの添加によって、細胞をさらに30分間刺激した(加湿空気(5%CO2)、37℃)。cAMPの細胞内蓄積を、キットに提供される溶解緩衝液へのHTRF検出試薬の添加によって停止させた。RTで1時間のインキュベーション後、プレートをPherastar FS(BMG Labtech,Inc.)で読み取った。データを4パラメーター濃度応答曲線に適合させるためにDotmatics Studiesソフトウェアを使用した。IC50の計算値は、Cheng-Prusoff等式の適合を使用してアゴニスト濃度について較正して機能的pKb値を生成した:
【0149】
【数1】
【表C】
【0150】
実施例B.in vitroにおけるGLP-1ペプチドの薬理学特性決定 - マウスGLP1受容体の機能的拮抗、cAMP蓄積アッセイ:
アゴニストリガンドによるGLP-1Rの刺激時のcAMP生成のアンタゴニスト阻害を、HitHunter cAMPアッセイ(DiscoverX)を使用して評価した。方法は、キットに提示されるアンタゴニスト手順ステップに従った。簡潔に述べると、マウスGLP-1Rを安定に発現するCHO-K1細胞を融解し、ウェル当たり10K細胞でCP05試薬中、20μlの総体積で白色壁384ウェルプレートに播種し、Cytomat中37℃で終夜インキュベートした。アッセイ当日、培地を15μlのHBSS/10mM HEPESと交換した。試験化合物のDMSOストックを、DMSOに系列希釈し、次いで、HBSS/10mM HEPESにさらに希釈し、5μlの各濃度をプレートに添加し、続いて、37℃で30分間インキュベートした。アッセイの最終DMSO濃度は1%であった。EC80濃度当量のエキセジン-4の添加によって、細胞を37℃でさらに30分間刺激した。cAMPの細胞内蓄積を、キットに提供される溶解緩衝液へのHitHunter検出試薬の添加によって停止させた。暗所、RTで1時間のインキュベーション後、プレートをEnvision (Perkin Elmer)で読み取った。データを4パラメーター濃度応答曲線に適合させるためにDotmatics Studiesソフトウェアを使用した。IC50の計算値は、Cheng-Prusoff等式の適合を使用してアゴニスト濃度について較正して機能的pKb値を生成した:
【0151】
【数2】
【表D】
【0152】
実施例C:マウス腹腔内耐糖能試験(ipGTT)
この研究の目的は、痩せた雄性C57BL/6Jマウスにおける耐糖能のエキセンジン-4により誘発される(GLP-1受容体アゴニスト)改善の遮断/低減/拮抗に対するリードGLP1アンタゴニストペプチドの静脈内投与の効果を評価することである。グルコースは、腹腔内経路によって投与した。
材料および方法
痩せた雄性C57BL/6J JAXマウスを、到着時および研究全体を通して、ポリプロピレンケージ中、正常相12時間の明暗サイクル(07:00点灯)で単独飼育した。相対湿度は、通常、55±15%であり、長期の40%RH未満または70%RH超は回避する。動物は、特に述べない限り、研究期間中、標準維持食および水道水を自由に摂らせた。
実験手順
動物を、およそ2週間、動物ユニットおよび食餌に馴化させ、動物を投薬プロトコールに慣れさせるために、研究前5日間は1日1回取り扱った。動物を体重に基づき、群が確実に可能な限り平均体重に近くなるようにバランスして無作為化した。
【0153】
ipGTTの前日、すべての動物を確実に絶食させた(引き続き自由に水を摂らせた)。実験当日、動物を分離室に移動させた。ベースライン血液サンプルを、処置1の前にすべての動物から採取した(グルコース20分前)。5分後、マウスに処置1を静脈内経路によって投薬した(グルコース15分前)。処置2(エキセンジン-4またはビヒクル)を、グルコース負荷の10分前に投与した(全群)。処置2の投薬10分後、動物にD-グルコースのグルコース負荷を腹腔内経路によって投与した(2.0g/kg、5ml/kgの体積、400mg/mlの濃度)。血液サンプルを、グルコース投与3分前、ならびにグルコース投与後10、30、60、90および120分の時点で採取した。続いて、血漿サンプルを、グルコースおよびインスリンについて10分の時点で1連でアッセイし、データをロバスト回帰によって分析し、AUC0~120分(総AUCおよびベースラインからのAUCについて)を台形法によってグルコースデータについて計算し、同じ方法論によって分析した。
図1
図2