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特許7492525ユーティリィティチャネルおよび積層物エンクロージャーを有する折り畳み可能建築構造体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】ユーティリィティチャネルおよび積層物エンクロージャーを有する折り畳み可能建築構造体
(51)【国際特許分類】
   E04C 2/292 20060101AFI20240522BHJP
   E04B 1/344 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
E04C2/292
E04B1/344 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021547830
(86)(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 US2020017524
(87)【国際公開番号】W WO2020167671
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】62/805,710
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/960,991
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523408488
【氏名又は名称】ボクサブル インク
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】パオロ チラマニ
(72)【発明者】
【氏名】ガリアノ チラマニ
(72)【発明者】
【氏名】カイル デンマン
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-025139(JP,A)
【文献】特開2000-291236(JP,A)
【文献】特開2002-061100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 2/292
E04B 1/344
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築構造体の概ね平面のエンクロージャー部材であって、前記エンクロージャー部材は長さ、幅および厚さを有しており、
第1の面及びその反対側の第2の面を備えた第1の構造層を有し、前記第1の構造層は、酸化マグネシウムの概ね長方形をなす第1の構造パネルを有し、前記第1の構造パネルは、酸化マグネシウムの概ね長方形をなす第2の構造パネルと並んで配置されて前記第1の構造パネルと前記第2の構造パネルとの間に第1の構造パネル継ぎ目が画定されるものであり、かつ、酸化マグネシウムの第1の結合ストリップを有し、前記第1の結合ストリップは、前記第1の構造パネル継ぎ目上に配置されて前記第1の構造パネルおよび前記第2の構造パネルとともに重ね継手を形成するように固定され、前記第1および第2の構造パネルを共に結合するものであり、
繊維織物マットを含んだ第1の強化層を有し、前記第1の強化層は、前記第1の構造層の前記反対側の第2の面に結合されており、
第1の面及びその反対側の第2の面を備えた発泡層を有し、
前記発泡層は、概ね長方形をなす第1の発泡パネルと概ね長方形をなす第2の発泡パネルとを備え、前記第1及び第2の発泡パネルは横並びの関係で配置されてその間に発泡パネル継ぎ目を画定するものであり、
前記第1および第2の構造パネルは、前記第1の構造パネルの継ぎ目が前記発泡パネルの継ぎ目から前記厚さ概ね垂直な方向に、選択された距離でオフセットされるように、前記第1および第2の発泡パネルに対して配置され、
前記第1の強化層は、前記発泡層の前記第1の面に結合されており、
酸化マグネシウムの概ね長方形をなす第3の構造パネルを備えた第2の構造層を有し、前記第3の構造パネルは、酸化マグネシウムの概ね長方形をなす第4の構造パネルと並んで配置されて前記第3の構造パネルと前記第4の構造パネルとの間に第2の構造パネル継ぎ目が画定されるものであり、かつ、酸化マグネシウムの第2の結合ストリップを有し、前記第2の結合ストリップは、前記第2の構造パネル継ぎ目上に配置されて前記第3の構造パネルおよび前記第4の構造パネルとともに重ね継手を形成するように固定され、前記第3および第4の構造パネルを共に結合するものであり、
前記第3および第4の構造パネルは、前記第2の構造パネルの継ぎ目が前記発泡パネルの継ぎ目から前記厚さに概ね垂直な方向に、選択された距離でオフセットされるように、前記第1および第2の発泡パネルに対して配置され、かつ、
前記第2の構造層は、前記発泡層の前記反対側の第2の面に結合されている、エンクロージャー部材。
【請求項2】
前記第1の強化層の繊維織物マットは、第1の繊維層マットセグメントおよび第2の繊維層マットセグメントを含み、前記第1の結合ストリップは、前記第1の繊維層マットセグメントと前記第2の繊維層マットセグメントとの間に配置される、
請求項1に記載のエンクロージャー部材。
【請求項3】
さらに繊維織物マットを含む第2の強化層を有し、前記第2の強化層は前記発泡層と前記第2の構造層との間に配置されており、かつ、前記発泡層と前記第2の構造層とに結合されている、
請求項1に記載のエンクロージャー部材。
【請求項4】
前記第2の強化層の繊維織物マットは、第3の繊維層マットセグメントおよび第4の繊維層マットセグメントを含み、前記第2の結合ストリップは、前記第3の繊維層マットセグメントと前記第4の繊維層マットセグメントとの間に配置される、
請求項3に記載のエンクロージャー部材。
【請求項5】
建築構造体の概ね平面のエンクロージャー部材であって、前記エンクロージャー部材は長さ、幅および厚さを有しており、
第1の面及びその反対側の第2の面を備えた第1の構造層を有し、前記第1の構造層は、酸化マグネシウムの概ね長方形をなす第1の構造パネルを有し、前記第1の構造パネルは、酸化マグネシウムの概ね長方形をなす第2の構造パネルと並んで配置されて前記第1の構造パネルと前記第2の構造パネルとの間に第1の構造パネル継ぎ目が画定されるものであり、かつ、酸化マグネシウムの第1の結合ストリップを有し、前記第1の結合ストリップは、前記第1の構造パネル継ぎ目上に配置されて前記第1の構造パネルおよび前記第2の構造パネルとともに重ね継手を形成するように固定され、前記第1および第2の構造パネルを共に結合するものであり、
繊維織物マットを含んだ第1の強化層を有し、前記第1の強化層は、前記第1の構造層の前記反対側の第2の面に結合されており、
第1の面及びその反対側の第2の面を備えた発泡層を有し、前記発泡層は、概ね長方形をなす第1の発泡パネルと概ね長方形をなす第2の発泡パネルとを備え、前記第1及び第2の発泡パネルは横並びの関係で配置されてその間に発泡パネル継ぎ目を画定するものであり、
前記第1および第2の構造パネルは、前記第1の構造パネルの継ぎ目が前記発泡パネルの継ぎ目から前記厚さに概ね垂直な方向に、選択された距離でオフセットされるように、前記第1および第2の発泡パネルに対して配置され、
前記第1の強化層は、前記発泡層の前記第1の面に結合されており、
第1の面及びその反対側の第2の面を備えた板金層を有し、前記板金層は、概ね長方形をなす第1の金属シートを有し、前記第1の金属シートは、概ね長方形をなす第2の金属シートと並んで配置されて前記第1の金属シートと前記第2の金属シートとの間に板金継ぎ目が画定されるものであり、
前記第1および第2の金属シートは、前記板金継ぎ目が前記発泡パネルの継ぎ目から前記厚さに概ね垂直な方向に、選択された距離でオフセットされるように、前記第1および第2の発泡パネルに対して配置され、かつ、
前記板金層の前記第1の面は、前記発泡層の前記反対側の第2の面に結合されている、
エンクロージャー部材。
【請求項6】
互いに隣接して配置された無機材料の複数の保護パネルを含む保護層をさらに有し、
前記保護層は、発泡パネルの前記発泡層と前記板金層との間に配置され、前記発泡層と前記板金層とに結合されている、
請求項5に記載のエンクロージャー部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2019年2月14日に出願された米国仮特許出願第62/805,710号及び2020年1月14日に出願された米国仮特許出願第62/960,991号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、折り畳みが可能で輸送が容易である、住居、及び居住用の占有、商業用の占有及び/又は材料保管のための他の建築物といった構造体と、このような構造体の部材とに関する。
【背景技術】
【0003】
住宅群の分野において、家を建築するための伝統的な技法は、「現場組み立て式(スティックビルト:stick-built)」建設と呼ばれ、これは、建築者が、木製ボード、合板パネル、及び鋼ラリーカラム(steel Lally column)等の原材料を大部分使用して、意図したロケーションに住宅を建設するものである。材料は、地面の事前に準備された部分、例えば、現場打ちコンクリートスラブ、又は現場打ちコンクリート若しくはシンダーブロック基礎にわたって一つ一つ組み立てられる。
【0004】
住居及び商業空間等を創造するために使用される従来の建設技法から離れようとする試みが数多く行われてきた。現場組み立て式建設に対する代替案のうちの1つは、ごく一般的にモジュール式ハウジングと呼ばれる。構造体が現場で建築される現場組み立て式建設とは異なり、モジュール式住宅は工場内で建設され、その後、多くの場合にトラクタートレーラーを用いて現場へ出荷される。モジュール式ハウジングの欠点は、見込み購買者が構造体レイアウトを相対的に限られた程度までしかカスタマイズすることができないことである。すなわち、ある特定の機能部、例えばクローゼットを追加すること又は部屋から取り去ることができる一方で、住宅の全体形状及びレイアウトを顧客の好みに合わせて変更又は適合することができない。
【0005】
加えて、モジュール式ハウジングは、道路輸送に関して通常許容される法定制限のサイズを超えることが多い。例えば、米国では、道路輸送に関する最大許容寸法は、一般的に、幅102インチ(259.1cm)、高さ13.5フィート(4.11m)及び長さ65フィート~75フィート(19.81m~22.86m)である。したがって、多くの場合、モジュール式住宅を工場から現場に輸送するには特大積込許可証(oversize load permits)が必要となり、これにより、輸送に着手することができる時間及び利用することができるルートに対して制限が課される場合がある。特大道路規制は、伴走車及びトレーラー車の使用も要求する場合がある。これらの要件及び制限の全てにより、モジュール式ハウジングのコストが必然的に増加する。
【0006】
現場組み立て式建設(スティックビルト建設)の他の形態は、一般にモバイルハウスまたはトレーラーハウスと呼ばれるものである。モジュラー住宅のようなモバイルハウスやトレーラーハウスは、工場で建設されて目的の場所に輸送される。それらは、受け取り場所で結合される2つまたは3つの別個の部品あるいは部分として構成でき、この場合、米国では2倍幅または3倍幅と呼ばれる。モバイルハウスやトレーラーハウスは、モジュラー住宅よりも、居住前の現場での仕上げが少なくてすむことがよくある。一方、そのようなハウスは、一般的にほとんどの場合はあるいは平屋であり、その間取りは輸送要件によって本質的に決定される傾向があり、多くの場合、購入者が実質的にカスタマイズすることはできない。モジュラーハウスと同様に、モバイルハウスやトレーラーハウスは上記の付随する欠点を伴う特大の道路規制を超えることがよくある。
【0007】
現場組み立て式建設へのさらに別の形態でのアプローチは、工場で製造されて構造体へと組み立ておよび仕上げのために建築現場に輸送されるパネル(家全体または部屋全体ではない)を利用することである。特に、このようなパネルは、構造用断熱パネル、または略してSIPと呼ばれる。SIPパネルは、通常、方向性ストランドボードなどの構造ボードが両側に面しているフォームコアパネルである。建設にSIPを使用することは、フレーミングとは対照的に、家の仕上げが一般に建設の最も高価な部分であることから、現場組み立て式建設で建てられた建設に比べて利点が限られると見なされることが多い。また、たとえば壁を形成するために複数のSIPが使用される場合、2つの隣接するSIP間の交差部は、壁の厚さにわたる継ぎ目あるいはシームがあり、構造の剛性に影響を与える可能性がある。さらに、窓やドアを配置するために開口部をカットインするか、SIPを使用して現場に配置する場合、建設者は各開口部の上部にまぐさ石(リンテル)またはヘッダーを挿入して、各窓やドアの上からかかる垂直荷重を、荷重を支持する側部に分散させる必要がある。これもまたSIPの使用コストを増加させる。
【0008】
また、トレーラーハウスと寸法が類似している仮設事務所またはサイトトレーラーもある。仮設事務所は、通常、鋼で覆われ、かつ、保管場所、オフィス、会議エリアを含む単なる保護された場所である。それらは永住や居住には適していない。
【0009】
住居及び商業空間の建設における大幅な進歩が、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載されている。1つの形態において、これらの特許文献は、ともに折り畳まれてコンパクトな出荷モジュールになり、その後、意図したロケーションに輸送され、開展されて構造体がもたらされる壁部材、床部材及び天井部材を工場内で製造することに関し、ここで、部材の折り畳み及び開展は、ヒンジの使用によって容易にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第8,474,194号
【文献】米国特許第8,733,029号
【文献】米国特許出願公開第2019/0100908号
【発明の概要】
【0011】
本発明は、工場で製造され、建設現場に配送されてその現場で住宅、オフィス、小売スペースやと倉庫での使用などの、人間または物質の占有に適した構造に組み立てられ得る壁部材、床部材および天井部材のセットを提供する。ここで説明する部材は、工場から建設現場に簡単に出荷できる。さらに、壁部材は、出荷時の状態ですべての設計された垂直荷重をサポートするように構成されており、工場で製造されているにもかかわらず、オープンエンドのさまざまなスタイルのドアや窓を使用して現場でカスタマイズ可能である。さらに、本明細書に開示される、本発明に従って作製された完成した構造体は、多数の構成で組み立てることができる。 したがって、これらの発明は、個別にカスタマイズされた構造の利点と、工場製造の効率および経済性との両方をユーザーに与えるという利点を有する。
【0012】
本発明の一形態は、建物構造のためのエンクロージャー部材に関し、エンクロージャー部材は厚さを有し、紙を含む内部被覆層を含み、内部被覆層に結合された第1の構造層を有し、第1構造層は、酸化マグネシウムのほぼ長方形をなす第1の構造パネルを有し、前記第1の構造パネルは、酸化マグネシウムの概ね長方形をなす第2の構造パネルと並んで配置されて前記第1の構造パネルと前記第2構造パネルとの間に第1の構造パネル継ぎ目が画定されるものであり、かつ、第1構造層は、酸化マグネシウムの第1の結合ストリップを有し、前記第1の結合ストリップは、前記第1の構造パネル継ぎ目上に配置されて前記第1の構造パネルおよび前記第2の構造パネルとともに重ね継手を形成するように固定され、前記第1および第2の構造パネルを共に結合するものである。エンクロージャー部材、繊維織物マットを含んだ第1の強化層を含み、第1の強化層は第1の構造層に接着され、第1面とその反対側の第2面とを備えた発泡層を有し、この発泡層は、概ね長方形をなす第1の発泡パネルと概ね長方形をなす第2の発泡パネルとを備え、前記第1及び第2の発泡パネルは横並びの関係で配置されてその間に発泡パネル継ぎ目を画定するものであり、前記第1および第2の構造パネルは、前記第1の構造パネルの継ぎ目が前記発泡パネルの継ぎ目から前記厚さに概ね垂直な方向に、選択された距離でオフセットされるように、前記第1および第2の発泡パネルに対して配置され、かつ、前記第1の強化層は、前記発泡層の前記第1の面に結合されている。
【0013】
上述のエンクロージャー部材は、更に、酸化マグネシウムの概ね長方形をなす第3の構造パネルを備えた第2の構造層を有し、前記第3の構造パネルは、酸化マグネシウムの概ね長方形をなす第4の構造パネルと並んで配置されて前記第3の構造パネルと前記第4の構造パネルとの間に第2の構造パネル継ぎ目が画定されるものであり、かつ、第2の構造層は、酸化マグネシウムの第2の結合ストリップを有し、前記第2の結合ストリップは、前記第2の構造パネル継ぎ目上に配置されて前記第3の構造パネルおよび前記第4の構造パネルとともに重ね継手を形成するように固定され、前記第3および第4の構造パネルを共に結合するものであり、前記第3および第4の構造パネルは、前記第2の構造パネルの継ぎ目が前記発泡パネルの継ぎ目から前記厚さに概ね垂直な方向に、選択された距離でオフセットされるように、前記第1および第2の発泡パネルに対して配置され、かつ、第2の構造層は、発泡層の第2の反対側の面に接着される。
【0014】
本発明の他の形態は、折り畳み可能な建築構造体であって、固定空間部分を有し、前記固定空間部分は、その内部部分を画定する厚みを有する第1の床部分と、その内部部分を画定する厚みを有する第1の天井部分と、その内部部分を画定する厚みを有する第1の壁部分とを有する。前記第2天井部分は、前記固定空間部分に近位の折り畳み位置と展開位置との間で移動可能であり、その内部部分を画定する厚みを有する第3の天井部分を有し、前記第3天井部分は、前記固定空間部分に近位の折り畳み位置と展開位置との間で移動可能であり、前記第2および第3の天井部分は、それらの各折り畳み位置から各展開位置に移動して、それらの展開位置で前記第1の天井部分と共に前記建築構造体の天井部材を形成可能である。前記第1、第2、および第3の天井部分は、それぞれ、前記第1、第2、および第3の天井部分の前記内部部分内にユーティリティサービスシステムの複数のセクションを画定し、これらのセクションは、前記第2および第3の天井部分がそれらの展開位置にあるときに、前記天井部材の前記内部部分に閉ループユーティリティサービスシステムを画定するように構成されており、前記ユーティリティチャネルは、前記天井部材の前記周辺の近位に配置され、ユーティリティラインを含むように適合されている。
【0015】
本発明のこれらの形態及び他の形態は、本明細書に添付の図面、並びに以下に記述される好ましい実施形態及び特許請求の範囲の記載において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本発明に従って準備された完成した構造体の斜視図である。
図1B】本発明に従って準備された完成した構造体の斜視図である。
図2A】本発明に従って準備された完成した構造体の概略上面図である。
図2B】本発明に従って準備された完成した構造体の概略上面図である。
図3A図1Aに示す完成した構造体が形成される元の出荷モジュールの端面図である。
図3B図1Bに示す完成した構造体が形成される元の出荷モジュールの端面図である。
図4A】本発明のエンクロージャー部材において使用される積層多層構造の1つの実施形態の分解断面図である。
図4B】本発明のエンクロージャー部材において使用される積層多層構造の1つの実施形態の分解断面図である。
図4C】本発明のエンクロージャー部材において使用される積層多層構造の1つの実施形態の分解断面図である。
図4D】本発明のエンクロージャー部材において使用される積層多層構造の1つの実施形態の分解断面図である。
図5A】本発明に係る壁部材の切り欠き斜視内観図である。
図5B】本発明に係る壁部材の切り欠き斜視外観図である。
図5C】本発明に係る壁チェイスの配置を表す、壁部材の切り欠き斜視外観図である。
図6A】本発明に係る第1のタイプの構造体の天井部材、壁部材及び床部材の形態をより詳細に示す、本発明に係る完成した構造体の部分切り欠き斜視図である。
図6B】本発明に係る第1のタイプの構造体の天井部材、壁部材及び床部材の形態をより詳細に示す、本発明に係る完成した構造体の部分切り欠き斜視図である。
図6C】本発明に係るユーティリティサービスシステムのビルトアップユーティリティチャネルをより詳細に示す、本発明に係る完成した構造体の部分切り欠き斜視図である。
図6D】本発明に係るユーティリティサービスシステムのビルトアップユーティリティチャネルをより詳細に示す、本発明に係る完成した構造体の部分切り欠き斜視図である。
図6E】本発明に係る天井部材の下側平面図であり、本発明のユーティリティサービスシステムのビルトアップユーティリティチャネルの実施形態を含むものである。
図7A】本発明に係る第2のタイプの構造体の天井部材、壁部材及び床部材の形態をより詳細に示す、本発明に係る完成した構造体の部分切り欠き図である。
図7B】本発明に係る第2のタイプの構造体の天井部材、壁部材及び床部材の形態をより詳細に示す、本発明に係る完成した構造体の部分切り欠き図である。
図7C】本発明のユーティリティサービスシステムの現場(イン-シツ:in-situ)におけるユーティリティチャネルを用いた天井部材の構造をより詳細に示し、かつ、壁部材と天井部材との接合を表す、本発明に係る完成した構造体の部分切り欠き図である。
図7D】本発明の天井チェイスとユーティリティサービスシステムの現場ユーティリティチャネル形態とを含む、本発明の天井部材の切り欠き図である。
図7E】チャネルアクセスプレートを表す、本発明のユーティリティサービスシステムの現場チャネル形態の切り欠き図である。
図7F】本発明の床チェイスを表す床部材の切り欠き図である。
図8】本発明に係る2つの床部分を接合するヒンジ構造部の一実施形態の概略側面図である。
図9】本発明に係る2つの屋根部分を接合するヒンジ構造部の一実施形態の概略側面図である。
図10】本発明により製造された3部屋構造のレイアウトの説明図である。
図11】本発明により製造された2階建て構造の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1Aは、本明細書に開示される本発明に係る第1のタイプの完成した構造体150(本明細書においてタイプ1構造体151と呼ばれることもある)を示し、図1Bは、本明細書に開示される本発明に係る第2のタイプの完成した構造体150(本明細書においてタイプ2構造体152と呼ばれることもある)を示している。タイプ1構造体151はタイプ2構造体152よりも小さいが、本明細書に記載の本発明は、タイプ1構造体151、タイプ2構造体152、及び異なる寸法の他の構造体の製造及び展開にも等しく適用可能である。したがって、本明細書において「構造体150」を参照する場合、タイプ1構造体151及びタイプ2構造体152を区別なく包括的に表すものと理解するべきである。同様に、本開示において異なる実施形態間で同じ参照符号で識別される構成要素を参照する場合、そのような構成要素がそのような異なる実施形態間で同じであることを示す。
【0018】
図1A及び図1Bに示す構造体150は、3つのタイプの概ね平面及び長方形のエンクロージャー部材155から作製された長方形形状を有し、3つのタイプのエンクロージャー部材155は、壁部材200、床部材300、及び天井部材400からなる。構造体150は、1つの床部材300、1つの天井部材400及び4つの壁部材200を有する。図1A及び図1Bに示すように、完成した構造体150の周辺は、第1の長手方向縁部106、第1の横方向縁部108、第2の長手方向縁部116、及び第2の横方向縁部110によって画定される。
【0019】
エンクロージャー部材155(壁部材200、床部材300及び天井部材400)は、本明細書に記載するように製造及び寸法決定することができ、図3A及び図3Bに端部を前にして示すように、出荷モジュール100を形成するようにともに位置決めすることができ、図3Aは、タイプ1構造体151の出荷モジュール100を示し、図3Bは、タイプ2構造体152の出荷モジュール100を示す。エンクロージャー部材155は、出荷モジュール100が米国連邦高速道路寸法制限に収まるように寸法決定される。結果として、出荷モジュール100は、アクセスを制限される高速道路を通ってより容易に輸送することができ、適切なトレーラー機器を用いて、特大積込許可証を必要とせず輸送することができる。したがって、完成した構造体150の基礎部材は、本明細書に記載するように、工場内で製造し、出荷モジュール100を形成するようにともに位置決めすることができ、モジュール100は、この構造体のための所望の敷地に輸送することができ、ここで、モジュール100は、容易に組み立て及びカスタマイズすることができる。
【0020】
エンクロージャー部材の積層設計
積層多層設計は、本発明のエンクロージャー部材155を製造するために使用することができる。図4A図4Dは、例示的なエンクロージャー部材155の当該多層設計の4つの実施形態を分解断面図で示している。
【0021】
第1実施形態及び第2実施形態
内部被覆層(282)
図4A及び図4Bにそれぞれ示す積層多層設計の第1実施形態及び第2実施形態において、構造体150の内部に向かって向くエンクロージャー部材155の表面には、必要に応じて、内部被覆層282が設けられる。内部被覆層282は、乾式壁(例えばSheetrock(商標)の商標名で市場に売られている)の外面として使用される重量と同等の重量の、比較的厚い紙から製造されることが好ましい。内部被覆層282は、連続ロール紙(ペーパーロールは、必要に応じて、エンクロージャー部材155の幅に近似した幅を有する)から巻き出され、エンクロージャー部材155の継ぎ目のない、シームレスな内部仕上げがもたらされることが好ましい。
これは、スティックビルト、SIP、鋼構造のいずれであっても、乾式壁のシートを最初に構造要素に固定する必要があって、その後に、隣接するシート間の継ぎ目あるいはシームに、スパックリングコンパウンドなどのモルタルを塗布してからサンディングを行うことでスムーズに移行する必要があるという、従来の構造技術と比較して有利である。内部仕上げのこれらの高価で労働力を必要とするステップは、本開示の教示に従って、内部被覆層282を製造するために紙の連続ロールを使用することによって回避することができる。
同様に、仕上げに乾式壁などを使用する必要はない。
【0022】
第1の構造層(210)
第1の構造層210が、図4Aに示す第1実施形態及び図4Bに示す第2実施形態において設けられる。使用する場合、内部被覆層282は、適切な結合剤あるいは接着剤、好ましくはポリウレタンベースの建設接着剤を用いてこの第1の構造層210に接着あるいは結合される。図示する実施形態における第1の構造層210は、酸化マグネシウム(MgO)等の比較的高強度の無機組成を原則的に含む、複数の長方形の構造建築パネル211を含む。適切な構造建築パネル211は、幅およそ4フィート(1.22m)×長さおよそ8フィート(2.44m)のMgOボードとすることができる。図4Aの多層設計の第1実施形態の特定の実施形態において、酸化マグネシウムボードを使用するそれらの構造建築パネル211の厚さは、およそ0.5インチ(1.27cm)とすることができ、代替案として、およそ0.25インチ(0.64cm)の厚さを採用することができる。
【0023】
第1の構造層210を形成するためには、意図したエンクロージャー部材155の全面積を概ね覆うように、複数の概ね長方形の構造建築パネル211が互いに隣接して配置される。例えば、図5Aに示す壁部材200aについて、構造建築パネル211は、壁部材200aの全面積を概ね覆うように、チェッカーボード関係において互いに水平及び垂直に隣接して配置される。別の例示的な配置としては、壁部材200の全面積を概ね覆うように、十分な長さの複数の構造建築パネル211を横並びに垂直に位置決めすることができる。
【0024】
それぞれ図4A及び図4Bに示す第1実施形態及び第2実施形態における第1の構造層210は、適宜水平及び/又は垂直の双方に配置される、例えば酸化マグネシウムボードから作製される複数の結合ストリップ212を更に備える。特に、結合ストリップ212は、隣接するパネル211間の直線状の接合部にわたって位置決めされ、その後、例えば適切な接着剤、好ましくはポリウレタンベースの建設接着剤を使用して、それらの接合部の境界を画すそれらのパネルの領域に固着され、隣接する建築パネル211間に重ね継手(あるいはラップジョイント)が形成され、これにより、第1の構造層210のパネル211がともに接着され、単一ユニットが形成される。酸化マグネシウムボードの結合ストリップ212は、例えば幅およそ6インチ(15.2cm)及び厚さ0.25インチ(0.635cm)又は0.5インチ(1.27cm)とすることができる。
【0025】
第1の強化層(213-1)
それぞれ図4A及び図4Bに示す第1実施形態及び第2実施形態に示すように、次に、ガラス繊維織物等の繊維織物から作製される第1の強化層213-1が設けられる。図4Aに示す第1実施形態では、第1の強化層213-1は、連続マットロール(マットロールは、必要に応じて、エンクロージャー部材155の幅に近似した幅を有する)から巻き出され、継ぎ目のない内部層がもたらされることが好ましい。図4Bに示す第2実施形態では、第1の強化層213-1は、結合ストリップ212間に位置決めされる、図4Bに示すセグメント213-1a及び231-1bによって例示されるように、複数の別個の繊維層セグメントを含む。
【0026】
発泡パネル(214)
再度図4A及び図4Bを参照すると、次に、第1実施形態及び第2実施形態において、集合的に第1の面及びその反対側の第2の面を形成する、複数の概ね平面の長方形発泡パネル214が設けられる。発泡パネル214は、例えば、発泡ポリスチレン(EPS)又はポリウレタンフォームから作製される。複数のこれらの発泡パネル214は、意図したエンクロージャー部材155の全面積を概ね覆うように、互いに隣接して配置される。例えば、図5Bに示す壁部材200aについて、発泡パネル214は、壁部材200aの全面積を概ね覆うように、チェッカーボード関係において互いに水平及び垂直に隣接して配置される。別の例示的な配置としては、壁部材200の全面積を概ね覆うように、十分な長さの複数の発泡パネル214を横並びに垂直に位置決めすることができる。
【0027】
隣接する発泡パネル214間の継ぎ目は、エンクロージャー部材155の厚さを横切る方向に対して、第1の構造層210の構造建築パネル211間の継ぎ目と重ならないか(オーバーレイしない)又は一致しないことが好ましい。むしろ、隣接する発泡パネル214間の継ぎ目は、第1の構造層210の隣接する構造建築パネル211間の継ぎ目から所定距離でオフセットされることが好ましい。例えば、横並びに垂直に位置決めされた発泡パネル214及び横並びに垂直に位置決めされた構造建築パネル211について、隣接する発泡パネル間の継ぎ目は、構造建築パネル211の中央線(中央の分界線)において、又は、設計、製造及び他の検討事項が許す限りの構造建築パネル211の中央線付近に位置決めすることができる。これに対応して、チェッカーボード関係において配置された発泡パネル214及びチェッカーボード関係において配置された構造建築パネル211について、4つの発泡パネル214が交わる各角部は、構造建築パネル211の中心において、又は、設計、製造及び他の検討事項が許す限りの構造建築パネル211の中心付近に位置決めすることができる。
【0028】
第1の強化層213-1は、第1の構造層210と発泡パネル214の第1の面との双方の間に挟まれ、適切な接着剤、好ましくはポリウレタンベースの建設接着剤を使用して、この双方に固着されることが好ましい。第1の強化層213-1の繊維織物が比較的粗い織り目を有する場合、層210、213-1及び214をともに接着して、接着された積層構造物にするために必要となるのは、製造中の1回の接着剤塗布のみである。
【0029】
発泡パネル214は、断熱性を与え、かつ、屋根及び上層階から壁を通じて生じ得る、エンクロージャー部材155にかかる圧縮負荷に対する耐性をも与える。第1の強化層213-1は、エンクロージャー部材155に強度を与え、かつ壁に侵入するリスクを生み出す、天候の影響によりぶつかってくる移動体に対するバーストバリアとしても機能する。隣接する発泡パネル214は、必要に応じて、当接するパネル間に適切な接着剤、好ましくはポリウレタンベースの建設接着剤を塗布して互いに固着することができる。
【0030】
第2の強化層(213-2)
図4Aに示す積層多層設計の第1実施形態においては、繊維織物の強化層である第1の強化層213-1が、発泡パネル214の1つの面にのみ存在する。図4Bに示す積層多層設計の第2実施形態においては、ガラス繊維織物等の繊維織物から作製される第2の強化層213-2が、発泡パネル214の反対側の第2の面に存在する。第2の強化層213-2は、図4Aに示す第1の強化層213-1のように連続的なものとすることもでき、又は、更に後述するように、結合ストリップ217間に位置決めされる、図4Bに示すセグメント213-2a及び231-2bによって例示されるように、複数の別個の繊維層セグメントを含むこともできる。
【0031】
第2の構造層(215)
図4Aに示す積層多層設計の第1実施形態では、第2の構造層215が設けられ、第2の構造層215は、発泡パネル214の反対側の第2の面(第1の構造層210から見て遠位にある面)上に位置決めされる。図4Bに示す積層多層設計の第2実施形態でも、同様に第2の構造層215が設けられるが、この第2実施形態では、第2の強化層213-2は、発泡パネル214の反対側の第2の面と第2の構造層215との間に挟まれる。第2の構造層215は、酸化マグネシウム等の比較的高強度の無機組成をそれぞれ原則的に含む、複数の長方形の構造建築パネル216を含む。適切な建築パネル216は、幅およそ4フィート(1.22m)×長さおよそ8フィート(2.44m)の酸化マグネシウムボードとすることができる。第2の構造層215の例示的な実施形態において、酸化マグネシウムボードを使用するそれらの構造建築パネル216の厚さは、およそ0.5インチ(1.27cm)とすることができ、他の形態では、およそ0.25インチ(0.64cm)の厚さを採用することができる。
【0032】
第2の構造層215を形成するためには、意図したエンクロージャー部材155の全面積を概ね覆うように、複数の長方形の構造建築パネル216が互いに隣接して配置される。例えば、図5Bに示す壁部材200aについて、構造建築パネル216は、壁部材200aの全面積を概ね覆うように、チェッカーボード関係において互いに水平及び垂直に隣接して配置される。別の例示的な配置として、壁部材200の全面積を概ね覆うように、十分な長さの複数の構造建築パネル216を横並びに垂直に位置決めすることもできる。
【0033】
第1の構造層210の場合と同様に、隣接する発泡パネル214間の継ぎ目は、エンクロージャー部材155の厚さを横切る方向において、第2の構造層215の構造建築パネル216間の継ぎ目と重ならないか又は一致しないことが好ましい。むしろ、隣接する発泡パネル214間の継ぎ目は、第2の構造層215の隣接する構造建築パネル216間の継ぎ目から所定距離でオフセットされることが好ましい。例えば、横並びに垂直に位置決めされた発泡パネル214及び横並びに垂直に位置決めされた構造建築パネル216について、隣接する発泡パネル214間の継ぎ目は、構造建築パネル216の中央線において、又は、設計、製造及び他の検討事項が許す限りの構造建築パネル216の中央線付近に位置決めすることができる。これに対応して、チェッカーボード関係において配置された発泡パネル214及びチェッカーボード関係において配置された構造建築パネル216について、4つの発泡パネル214が交わる各角部は、構造建築パネル216の中心において、又は、設計、製造及び他の検討事項が許す限りの構造建築パネル216の中心付近に位置決めすることができる。他方では、第1の構造層210の構造建築パネル211間の継ぎ目は、エンクロージャー部材155の厚さを横切る方向において、第2の構造層215の構造建築パネル216の継ぎ目と一致してもよく、どちらでも構わない。
【0034】
それぞれ図4A及び図4Bに示す第1実施形態及び第2実施形態における第2の構造層215は、建築パネル216と発泡パネル214との間に位置決めされる、例えば酸化マグネシウムボードから作製される複数の結合ストリップ217を更に備える。結合ストリップ217は、隣接するパネル216間の直線状の接合部にわたって位置決めされ、その後、例えば適切な接着剤、好ましくはポリウレタンベースの建設接着剤を使用して、それらの接合部の境界を画すそれらのパネルの領域に固着され、隣接する建築パネル216間に重ね継手が形成され、これにより、第1の構造層210のパネル211がともに接着され、単一ユニットが形成される。酸化マグネシウムボードの結合ストリップ217は、例えば幅およそ6インチ(15.2cm)及び厚さ0.25インチ(0.635cm)又は0.5インチ(1.27cm)とすることができる。
【0035】
第1の強化層213-1及び/又は第2の強化層213-2が連続ロールから形成される場合、発泡パネル214には、結合ストリップの近位の領域内に生じ得るような、層213-1/結合ストリップ212及び/又は層213-2/結合ストリップ217の組み合わせの局所的な厚さ変動に対応するために適切な凹部(図示せず)を設けることができる。第1の強化層213-1及び/又は第2の強化層213-2が別個のセグメントから形成される場合、発泡パネル214には、結合ストリップ212及び/又は217を受けるために適切な凹部(図示せず)を設けることができる。
【0036】
図4Aに示す第1実施形態では、第2の構造層215は、例えば適切な接着剤、好ましくはポリウレタンベースの建設接着剤を使用して、発泡パネル214に固着される。図4Bに示す第2実施形態では、第2の強化層213-2は、例えば適切な接着剤、好ましくはポリウレタンベースの建設接着剤を使用して、第2の構造層215と発泡パネル214との双方に固着されることが好ましい。第2の強化層213-2の繊維織物が比較的粗い織り目を有する場合、層214、213-2及び215をともに接着して、接着された積層構造物にするために、製造中に必要とされるのは1つの接着剤塗布のみである。
【0037】
図5Bに示す壁部材200の実施形態において、第2の構造層215の構造建築パネル216の外面には、美観上の理由から、特に、隣接するパネル216間の継ぎ目の存在をより良好に隠すために、溝218が設けられる。なお、パネル216の外面は、連続ロールから巻き出された追加の保護材料によって覆ってもよい。
【0038】
図4Aに示される積層多層設計の第1実施形態は、第1の構造層210と第1の強化層213-1の組み合わせに対しては引張荷重(屈曲または曲げを誘発する荷重から生じる可能性がある)がかかるが、第2の構造層215に対しては実質的な程度には引張荷重がかからない場合に特に適している。図4Bに示される積層体多層設計の第2実施形態は、第1の構造層210と第1の強化層213-1の両方の組み合わせに対して引張荷重がかかり、かつ、第2の構造層215および第2の強化層213-2の組み合わせにも引張荷重がかかる場合に特に適している。強化層213-1及び/又は強化層213-2は、該当する領域における引張荷重がない場合は省略することができる。さらに、内部被覆層282が第1の構造層210に接着された状態で図示されているが、内部被覆層282は、第2の構造層215に等しく容易に接着することができ、ここで、当該構造層は、構造体の居住部分である内部を向く。内部被覆層282も、望ましくない場合は省略することができる。
【0039】
第3実施形態
図4Cには、積層多層設計の第3実施形態が示されている。図4Bに示す第2実施形態と比較して、図4Cの第3実施形態は、第2の構造層215の代わりに板金層205を有するが、その他の点では図4Bに示す第2実施形態と同一の設計である。例えば鋼又はアルミニウムとすることができる板金層205は、意図したエンクロージャー部材155の全面積を概ね覆うように互いに隣接して位置決めされるとともに、リベット留め又は溶接等によって互いに接合された、複数の概ね平面の長方形金属シート206から作製される。接合の後、板金層205の接合された金属シート206は、適切な接着剤塗布によって、発泡パネル214の反対側の第2の面(構造層210から見て遠位にある発泡パネル214の面)に固着される。
【0040】
隣接する発泡パネル214間の継ぎ目は、エンクロージャー部材155の厚さを横切る方向において、板金層205の接合された金属シート206における継ぎ目と重ならないか又は一致しないことが好ましい。むしろ、隣接する発泡パネル214間の継ぎ目は、板金層205の接合された金属シート206における継ぎ目から所定距離でオフセットされることが好ましい。例えば、横並びに垂直に位置決めされた発泡パネル214及び横並びに垂直に位置決めされた接合された金属シート206について、隣接する発泡パネル間の継ぎ目は、接合された金属シート206の中央線(中央の分界線)に位置決めされるか、又は、接合された金属シート206の中央線に対して、設計、製造及び他の検討事項が許す限り近い位置に位置決めすることができる。
【0041】
この第3実施形態において、板金層205の金属シート206は、必要に応じて保護及び/又は装飾表面処理を施して、鋼から作製することができ、それぞれ、例えばおよそ26ゲージ~20ゲージの範囲の厚さ(0.0179インチ(0.454mm)~0.0478インチ(1.214mm))を有する。板金層205の使用により、例えば、構造建築パネル216、特に酸化マグネシウムボードを含む第2の構造層215と比較して引張強度が高まる。それと同時に、図4Cに示す積層多層設計は、構造建築パネル211、特に酸化マグネシウムボードを含む第1の構造層210の領域において相当な圧縮強度を発揮する。
第4実施形態
【0042】
図4Dには、積層多層設計の第4実施形態が示されている。図4Cに示す第3実施形態と比較して、図4Dの第4実施形態は、発泡パネル214と板金層205との間に介在する保護層293を有するが、その他の点では図4Cに示す第3実施形態と同一の設計である。保護層293は、意図したエンクロージャー部材155の全面積を概ね覆うように互いに隣接して配置された複数の概ね長方形の保護パネル294を含む。保護層293の保護パネル294は、原則的に、酸化マグネシウム(MgO)又は硫酸カルシウム二水和物(乾式壁としても既知であり、例えばSheetrock(商標)の商標名で市場に売られている)等、耐火性の無機組成を含むことができる。保護層293のための適切な保護パネル294は、幅およそ4フィート(1.22m)×長さおよそ8フィート(2.44m)の酸化マグネシウムボードとすることができる。
【0043】
保護層293の保護建築パネル294は、保護層293と発泡パネル214の反対側の第2の面との間、及び保護層293と板金層205との間に適切な接着剤塗布量が塗布された状態で、発泡パネル214及び板金層205の双方に接着される。酸化マグネシウムボードを使用する保護層293の保護建築パネル294の適切な厚さは、0.125インチ(3.18mm)とすることができる。図4Dに示す積層多層構造の第4実施形態における保護層293の主な機能は、耐火性を付与することである。
【0044】
エンクロージャー部材の外縁部補強材
各エンクロージャー部材(あるいはエンクロージャーコンポーネント)155の周辺を画定する外縁部には、所望に応じて、縁部補強材を設けることができる。外縁部補強材は、これなしではエンクロージャー部材155の外縁部において晒されることになる発泡パネル材料を保護することができる。外縁部補強材は、後述するような他の機能も果たすことができる。外縁部補強材は、積層ストランド材木ボード、木製ボード、C字チャネル押出アルミニウム又は鋼等のうちの1つ以上から製造することができ、一般的に、ねじ又は釘締結具等の締結具、及び/又は接着剤を用いてエンクロージャー部材155の外縁部に固定される。
【0045】
エンクロージャー部材の区分化
ある特定の事例におけるエンクロージャー部材155は、コンパクトな出荷モジュール100の形成を容易にするために、エンクロージャー部材部分に区分化あるいはパーティション化(partitioning)される。エンクロージャー部材155がエンクロージャー部材部分に区分化されるそれらの事例では、エンクロージャー部材の周辺を画定する外縁部における任意の外縁部補強材は、必要に応じて、それらの部分の二者間又はそれ以上の間に分割される。
【0046】
エンクロージャー部材の内縁部補強材
エンクロージャー部材部分に区分化されたエンクロージャー部材155は、内縁部を有することになる。エンクロージャー部材部分の各隣接するペア(隣接する対)ごごとに、2つの隣接する内縁部が存在することになる。このような内縁部には、内縁部補強材を設けることができる。外縁部補強材と同様、そのような内縁部補強材は、これなしではエンクロージャー部材155の内縁部において晒されることになる発泡パネル材料を保護することができる。内縁部補強材は、後述するような他の機能も果たすことができる。内縁部補強材は、積層ストランド材木ボード、木製ボード、C字チャネル押出アルミニウム又は鋼等のうちの1つ以上から製造することができ、一般的に、ねじ又は釘締結具等の締結具、及び/又は接着剤を用いてエンクロージャー部材155の内縁部に固定される。
【0047】
完成した構造体150、壁部材200、床部材300、及び天井部材400の更なる設計詳細は、以下のセクションに記載する。
【0048】
壁部材(200)
通常、完成した構造体150は、4つの壁部材200を利用し、各壁部材200は、構造体150の壁全体に対応する。壁部材200は、概ね長方形の周辺を有する。壁部材200の高さ及び長さは、上述した輸送に該当する寸法制限を条件として、設計上の好みに従って変更することができる。本開示において、2つの対向する側面が他の2つの側面よりも長くして構造体150が作られる(タイプ1構造体151の場合と同様)場合、第1の長手方向縁部106及び第2の長手方向縁部116に沿って位置決めされた2つの壁部材200は、長い壁部材と呼ばれることがあり、それぞれ200aと称され、第1の横方向縁部108及び第2の横方向縁部110に沿って位置決めされた2つの壁部材200は、短い壁部材と呼ばれることがあり、それぞれ200bと称される。全ての側面がほぼ等しい長さで構造体150が作られる(タイプ2構造体152の場合と同様)場合、4つの壁部材200は、それぞれ200sと称されることがある。壁部材200の基本的な構造及び設計は、タイプ1構造体151及びタイプ2構造体152の双方について同じであり、構造体150全般に適用可能である。
【0049】
図1A及び図2Aに示すタイプ1構造体151の特定の実施形態において、長い壁部材200aは、長さおよそ39フィート(11.89m)であり、短い壁部材200bは、長さおよそ19.5フィート(5.94m)である。したがって、第1の長手方向縁部106及び第2の長手方向縁部116に沿って位置決めされた長い壁部材200aは、第1の横方向縁部108及び第2の横方向縁部110に沿って位置決めされた短い壁部材200bの長さのおよそ2倍である。長い壁部材200a及び短い壁部材200bは、高さおよそ9.5フィート(2.9m)及び厚さおよそ6インチ(15.24cm)である。
【0050】
上記に示したように、図1B及び図2Bに示すタイプ2構造体152は、長さの等しい(それぞれ200sと称される)壁部材200、200sを有する。すなわち、タイプ2構造体152は、概略的には正方形形状を有する。したがって、タイプ2構造体152の場合、第1の長手方向縁部106及び第2の長手方向縁部116、並びに第1の横方向縁部108及び第2の横方向縁部110は、全て長さが等しい。図1B及び図2Bに示すタイプ2構造体152の特定の実施形態において、壁部材200、200sは、長さおよそ19フィート(5.79m)、高さおよそ9.45フィート(2.88m)及び厚さおよそ6インチ(15.24cm)とすることができる。
【0051】
上記に示したように、本発明の壁部材200は、図4A図4Dを参照して上述した積層多層設計のうちの1つを利用することが好ましい。例えば、図5A及び図5Bに示す長い壁部材200aは、図4Bを参照して上述した積層多層設計の第2実施形態を利用することができる。上記で参照した図1B及び図2Bに示すタイプ2構造体152の壁部材200sの特定の実施形態は、第2の多層設計(図4B)を利用することができ、ここで、第1の構造層210の構造建築パネル211について及び第2の構造層215の構造建築パネル216についても厚さ0.25インチ(0.635cm)のMgOボードであり、結合ストリップ212、217は厚さ0.25インチ(0.635cm)のMgOボードで幅6インチ(15.24cm)である。発泡パネル214は、厚さ5.5インチ(13.97cm)とすることができ、これにより、壁部材200は厚さおよそ6インチ(15.24cm)になる。
【0052】
各壁部材200の周辺には、一般的に外縁部補強材が設けられる。図5Aに示す長い壁部材200aによって例示されるように、壁部材200の外縁部補強材は、水平底縁部に沿った床板220、水平上縁部に沿った天井板240、及びそれぞれ壁部材200の各垂直縁部275において締結される2つの端部片270である。壁部材200の場合、外縁部補強材は、発泡パネル材料の外縁部を保護することに加えて、当接する壁部材200、天井部材400及び床部材300の同様の領域を締結するための領域を提供する。
【0053】
床板220、天井板240、及び端部片270によって提供される壁部材200の外縁部補強材は、積層ストランド材木ボード、木製ボード、C字チャネル押出アルミニウム又は鋼等のうちの1つ以上から製造することができる。他の形態では、 壁部材200について上述したタイプの外縁補強に加えて、またはその代わりに、本願と発明者及び出願日が同じである「Enclosure Component Perimeter Structures」という発明の名称の米国非仮特許出願第16 / 786,202号に開示されたタイプの適切なエンクロージャー部材周辺構造部を使用することができる。 本願と発明者及び出願日が同じである「Enclosure Component Perimeter Structures」という発明の名称の当該米国非仮特許出願第16/786,202号の内容、具体的には、例えば段落110~段落124に記載され図10図12に関連するエンクロージャー部材周辺構造部を含んで引用することにより完全に記載されているものとして本明細書の一部をなす。特に、それらのエンクロージャー部材周辺部構造部は、さらに水の進入および環境暴露を阻止するためのシール機能を実行できる。
【0054】
壁の区分化
タイプ1構造体(151)の区分化された壁部分
図2Aを参照すると、タイプ1構造体151の2つの短い壁部材200bはそれぞれ、第1の壁部分200b-1及び第2の壁部分200b-2を含む。壁部分200b-1及び200b-2のそれぞれは、概ね長方形の平面構造である。壁部分200b-1のそれぞれの垂直内縁部191-1は、壁部分200b-2のそれぞれの垂直内縁部191-2の近位にある。内縁部補強材は、垂直縁部191-1及び191-2のうちの任意の1つ以上に設けることができ、これらの例としては、積層ストランド材木ボード、木製ボード、C字チャネル押出アルミニウム又は鋼が挙げられる。
【0055】
再度図2Aを参照すると、2つの第1の壁部分200b-1は、床部分300a上で互いに反対に、完成した構造体150の第1の横方向縁部108及び第2の横方向縁部110の近位に固定位置に位置する。各第1の壁部分200b-1は、ヒンジ構造部を用いて第2の壁部分200b-2に接合される。これらのヒンジ構造部により、第2の壁部分200b-2は、折り畳み位置と開展位置との間の垂直軸191の周りに枢動することが可能になる。図2Aは、開展位置にある第2の部分200b-2(200b-2uと称される)と、内向きに折り畳まれた位置にある第2の部分200b-2(200b-2fと称される)との双方を示している。第2の部分200b-2が折り畳み位置にあるとき、第2の部分200b-2は、コンパクトな出荷モジュールの形成を容易にする。第2の部分200b-2が開展位置にあるとき、第2の部分200b-2は、第1の部分200b-1とともに、図2Aに示すタイプ1構造体151の短い壁部材200bを形成する。
【0056】
タイプ2構造体(152)の区分化された壁部分
図2Bを参照すると、タイプ2構造体152は2つの対向する壁部材200sを有する。対向する壁部材200sのうちの一方は、第1の壁部分200s-1、第2の壁部分200s-2及び第3の壁部分200s-3を含み、対向する壁部材200sのうちの他方は、第4の壁部分200s-4及び第5の壁部分200s-5を含む。壁部分200s-1、200s-2、200s-3、200s-4及び200s-5のそれぞれは、概ね長方形の平面構造を有する。図2Bに示すように、壁部分200s-1の垂直内縁部192-1は、壁部分200s-2のそれぞれの垂直内縁部192-2の近位にあり、壁部分200s-2の垂直内縁部193-2は、壁部分200s-3のそれぞれの垂直壁内縁部193-3の近位にある。同様に図2Bに示すように、壁部分200s-4の垂直内縁部194-4は、壁部分200s-5のそれぞれの垂直内縁部194-5の近位にある。内縁部補強材は、垂直縁部192-1、192-2、193-3、194-4、及び194-5のうちの任意の1つ以上に設けることができ、これらの例としては、積層ストランド材木ボード、木製ボード、C字チャネル押出アルミニウム又は鋼が挙げられる。
【0057】
再度図2Bを参照すると、第1の壁部分200s-1は、第1の横方向縁部108の近位に床部分300a上の適所に固定され、第4の壁部分200s-4は、第1の壁部分200s-1の反対側かつ第2の横方向縁部110の近位に床部分300a上の適所に固定される。第1の壁部分200s-1は、壁部分200s-2が折り畳み位置と開展位置との間の垂直軸192の周りに枢動することを可能にするヒンジ構造部を用いて第2の壁部分200s-2に接合される。さらに、第2の壁部分200s-2は、第3の壁部分200s-3が折り畳み位置と開展位置との間の垂直軸193の周りに枢動することを可能にするヒンジ構造部を用いて第3の壁部分200s-3に接合される。反対側の壁について、第4の壁部分200s-4は、第5の壁部分200s-5が折り畳み位置と開展位置との間の垂直軸194の周りに枢動することを可能にするヒンジ構造部を用いて第5の壁部分200s-5に接合される。特に、第5の壁部分200s-5は、第2の壁部分200s-2又は第3の壁部分200s-3よりも長い。
【0058】
図2Bは、開展位置にある第2の壁部分200s-2(200s-2uと称される)及び第3の壁部分200s-3(200s-3uと称される)の双方を示し、開展位置にある第5の壁部分200s-5(200s-5uと称される)を示している。また、図2Bは、内向きに折り畳まれた位置にある第2の壁部分200s-2(200s-2fと称される)及び第3の壁部分200s-3(200s-3fと称される)の双方を示し、内向きに折り畳まれた位置にある第5の壁部分200s-5(200s-5fと称される)を示している。第2の部分200s-2、第3の壁部分200s-3及び第5の壁部分200s-5が内向きに折り畳まれた位置にあるとき、これらの部分は、コンパクトな出荷モジュールの形成を容易にする。第2の壁部分200s-2及び第3の壁部分200s-3が開展位置にあるとき、これらの部分は、第1の部分200s-1とともに、第1の横方向縁部108の近位の壁部材200sを形成する。第5の壁部分200s-5が開展位置にあるとき、第5の壁部分200s-5は、第4の部分200s-4とともに、第2の横方向縁部110の近位の壁部材200sを形成する。
【0059】
上述したヒンジ構造部(各第1の壁部分200b-1をその第2の壁部分200b-2に固定し、第1の壁部分200s-1を第2の壁部分200s-2に固定し、第2の壁部分200s-2を第3の壁部分200s-3に固定し、及び、第4の壁部分200s-4を第5の壁部分200s-5に固定する)は、表面実装型又は嵌め込み型とすることができ、一時的又は永久的なものとすることができる。内縁部補強材を設けることにより、上述したように、ヒンジ構造部を固定するための領域を提供することができる。
他の形態では、適切なヒンジ構造部は、本願と同じ発明者で同日に出願された「Foldable Building Structures with Utility Channels and Laminate Enclosures」という発明の名称の米国非仮特許出願第16/786,202号に記載されている。本願と発明者及び出願日が同じである「Enclosure Component Perimeter Structures」という発明の名称の当該米国非仮特許出願第16/786,202号の内容、具体的には、例えば段落147~段落157に記載され図15に示されるヒンジ構造部を含んで引用することにより完全に記載されているものとして本明細書の一部をなす。これらのヒンジ構造部は、上記のように、内縁部補強材に加えて、またはその代わりに利用することができ、また、水の侵入および環境曝露を阻止するためのシーリング機能を実行することができる。適切なヒンジ構造部は、例えば、金属、プラスチック、皮革、鉄系材料又は非鉄系材料から製造することができる。ヒンジ構造部、例えば図15に示すさねはぎヒンジ式(実矧ぎ式:tongue-and-groove hinged)構造部242を備える後述するエンクロージャー部材の周辺構造部は、壁部分をともに固定することにも適している。このようなエンクロージャー部材の周辺構造部を、上述した内縁部補強材に加えて又はこれの代わりに採用することができる。
【0060】
タイプ1構造体(151)の区分化されない壁部材
それぞれ2つの部分に区分化されるタイプ1構造体151の2つの短い壁部材200bと比較して、図2Aに示す2つの長い壁部材200aは、複数の壁部分を含まず、むしろ、それぞれが一体構造である。しかしながら、これらの長い壁部材200aのうちの一方は、第1の長手方向縁部106の近位の床部分300b上に位置して本開示において(長い)壁部材200a-Pと称されることがあり、床部分300bに枢動可能に固定され、壁部材200a-Pが折り畳み位置から開展位置まで図3Aに示す水平軸105の周りに枢動することが可能になる。長い壁部材200a-Pを枢動可能に固定することにより、コンパクトな出荷モジュール100の形成も容易になる。本開示において200a-Rと称されることもある残りの長い壁部材200aは、図2Aに示すように、第2の長手方向縁部116の近位にあるとともに、第2の長手方向縁部116の近位の2つの第1の壁部分200b-1の垂直縁部に当接する床部分300a上に強固に固定される。
【0061】
タイプ2構造体(152)の区分化されない壁部材
それぞれ2つの部分に区分化されるタイプ2構造体152の2つの壁部材200sと比較して、図2Bに示す残りの2つの壁部材200sは、複数の壁部分を含まず、むしろ、それぞれが一体構造である。しかしながら、本開示において200s-Pと称されることがあるとともに、第1の長手方向縁部106の近位の床部分300b上に位置する、これらの壁部材200sのうちの一方は、床部分300bに枢動可能に固定され、壁部材200s-Pが折り畳み位置から開展位置まで図3Bに示す水平軸105の周りに枢動することが可能になる。壁部材200s-Pを枢動可能に固定することにより、コンパクトな出荷モジュール100の形成も容易になる。本開示において200s-Rと称されることもある残りの壁部材200sは、図2Bに示すように、第2の長手方向縁部116の近位にあるとともに、第2の長手方向縁部116の近位の第1の壁部分200s-1及び第4の壁部分200s-4の垂直縁部に当接する床部分300上に強固に固定される。
【0062】
壁部分200a-Pを床部分300bに固定し、壁部分200s-Pを床部分300bに固定する上述したヒンジ構造部は、表面実装型又は嵌め込み型とすることができ、一時的又は永久的なものとすることができる。外縁部補強材を設けることにより、上述したように、ヒンジ構造部を固定するための領域を提供することができる。適切なヒンジ構造部は、例えば、金属、プラスチック、皮革、鉄系材料又は非鉄系材料から製造することができる。他の形態では、適切なヒンジ構造部は、本願と同じ発明者で同日に出願された「Foldable Building Structures with Utility Channels and Laminate Enclosures」という発明の名称の米国非仮特許出願第16/786,202号に記載されている(壁部材200a-P/200s-Pのいずれかが開展位置にある場合に、床部材300bと壁部材200a-P/200s-Pとの間が90度の接合であるとして、用いられるヒンジ構造部は適宜変更される)。本願と発明者及び出願日が同じである「Enclosure Component Perimeter Structures」という発明の名称の当該米国非仮特許出願第16/786,202号の内容、具体的には、例えば段落125~段落157に記載され図13A~図15に示されるヒンジ構造部を含んで引用することにより完全に記載されているものとして本明細書の一部をなす。これらのヒンジ構造部は、上記のように、外縁部補強材に加えて、またはその代わりに利用することができ、また、水の侵入および環境曝露を阻止するためのシーリング機能を実行することができる。
【0063】
壁チェイス
壁部材200が図4A図4Cに関して説明した多積層設計のうちの1つを利用する場合、発泡パネル214には、端部片270間の距離全体にわたる一定間隔において離隔した、一連の細長い、略平行でほぼ垂直に方向付けられる円筒形通路を設けることができ、それぞれ、床板220と天井板240との間の距離に広がる。これらの垂直通路は、壁チェイス219と称され、図6Aにおいてはタイプ1構造体151の壁部材200a、200bに見ることができ、図5C及び図7Aにおいてはタイプ2構造体152の壁部材200sに見ることができる。壁チェイス219は、ユーティリティ配管(例えば、電力、照明制御、加熱、換気、及び空調(HVAC)、HVAC制御、セキュリティシステム等のためのものであり、これには、煙センサー又は熱センサーに通電しこれらと通信することが含まれる)を壁部材200内に設置することを容易にする。図5Cに示される実施形態では、壁チェイス219は、例えばおよそ29インチ(73.7cm)の一定間隔において離隔されている。
【0064】
必要に応じて、図5Cに示すように、床板220の上方に位置してかつ壁チェイス219と交差する水平通路を設けることができる。この水平通路の目的は、接続壁チェイス207と称される、壁部材200にわたる配線を容易にすることである。接続壁チェイス207は、例えば、床板220の約16インチ(40.64cm)上方に配置することができる。1つの水平な接続壁チェイス207のみが示されているが、そのような壁スイッチの設置および接続を容易にするために、例えば壁スイッチに適した高さで、そのような壁チェイス207を1つまたは複数追加して壁部材200に設けることができる。必要に応じて、複数の壁部分を横切る接続壁チェイス207のセグメントは、そのような部分が展開されるときに互いに通信するように整列される。
【0065】
壁チェイス207および219を規定する発泡パネル214の垂直および水平通路は、好ましくは、発泡パネル214を壁部材200の積層多層構造に組み立てる前に形成される。これらの通路は、例えば、選択された発泡パネル214の上方に配置されてその長さに沿って発泡パネル214の表面に平行に方向付けられホットワイヤを使用することによって形成することができる。次に、ホットワイヤは、パネルの表面の下方の発泡パネル214内に移動される。適切な深さに達すると、ホットワイヤの軸は円形の経路へと方向付けられ、その結果、線の長さ方向は、発泡パネル214のフォーム内で円筒形をたどり、その結果、バルクフォームから切断された発泡体プラグが形成される。フォームプラグを取り外すと、壁チェイス219または接続壁チェイス207を規定する所望の通路が得られる。各チェイス207、219は、好ましくは、ユーティリティラインの設置を可能にするに十分な直径を備えており、たとえば、直径が約1~2インチ(2.54~5.08cm)である。
【0066】
天井板240は、図5A、5Bおよび5Cに示される、複数の離間した円筒形貫通穴209を備え、これらは壁チェイス219と整列して、天井板240の上方領域と壁チェイス219とを連通可能とする。 同様に、床板220は、図5Cに示される、複数の離間した円筒形貫通穴291を備え、これらは壁チェイス219と整列して、床板220の下方領域と壁チェイス219との間の連通を可能とする。壁部材200に対して、本願と同じ発明者で同日に出願された「Foldable Building Structures with Utility Channels and Laminate Enclosures」という発明の名称の米国非仮特許出願第16/786,202号に記載されているタイプのエンクロージャー部材周辺構造部が、その上方に接合されて設けられているか、あるいは、床板220および天井板240の一方または両方の代わりに設けられている場合、それらの構造部は、壁チェイス219との連通を許容するために、貫通穴209および291と同じ位置に適合した孔部を提供できる。
【0067】
壁チェイス219は、後述するように、天井部材400内に配置されたユーティリティサービスシステム460と連通する。
【0068】
壁カスタマイズのオプション
図1A及び図2Aは、複数の開口部、特に、ドアフレーム及びドアアセンブリを収納するドア開口部202と、窓フレーム及び窓アセンブリを収納する窓開口部204とを有する壁部材200を示している。本発明の特徴は、壁部材200の多積層構造は、ドア、窓等のタイプ、サイズ及びロケーションに関する高度なカスタマイズに適しており、一方、開口部202、204の数は、設計上の好みに従って変更することができることにある。
【0069】
例えば、いったん構造部の意図した位置に組立てられた後は、建築者は、購入者のデザイン選択に従って、壁部材200内のドア及び窓の開口部202、204を(図1Aに示されるように)切り出すことができる。したがって、通常の使用および一時的なイベント(嵐や地震活動など)により発生し得るような垂直及び剪断負荷に直面しても壁コンポーネント200の構造的完全性を保証するのに十分な壁ラミネートを保持する、という制限だけはあるものの、任意の数、サイズ、および形状の窓およびドアアセンブリを事実上どこにでも配置できる。壁コンポーネント200のモノコックラミネート多層構造は、その長さ全体にわたって荷重を支持し、したがって、現場で荷重分散まぐさまたはヘッダーを追加する必要もなく設計の自由度を大幅に与える。
【0070】
開口部が適切なサイズおよび形状に切り出された後、窓アセンブリおよびドアアセンブリを挿入して接着剤または他の適切な手段によって壁部材200に固定することができる。多種多様な窓およびドアアセンブリが市販されており、本発明での使用に適している。非限定的な例として、ドアアセンブリは、ドアを取り付けてそれを動作可能にするためのすべての部材あるいは構成要素、例えば2つの側枠(side jamb)、頭枠および敷居を、側面のわき柱の1つに蝶番で止められたドアとともに有する。同様に、非限定的な例として、窓アセンブリは、敷居、側枠、頭枠、窓枠およびガラス、サッシプーリーなど、窓を取り付けてそれを動作可能にするためのすべての部材あるいは構成要素を含むことができる。
【0071】
天井部材(400)
通常、完成した構造体150は、1つの天井部材400を利用する。したがって、天井部材400は、一般的に、完成した構造体150の天井全体である。天井部材400は、概ね長方形の周辺を有する。他の図面の中でも、図6A図7Bが、本発明に係る天井部材400を示している。天井部材400の周辺は、第1の長手方向天井縁部406、第1の横方向天井縁部408、第2の長手方向天井縁部416、及び第2の横方向天井縁部410によって画定される。特に、天井部材400の(a)第1の長手方向天井縁部406、(b)第1の横方向天井縁部408、(c)第2の長手方向天井縁部416、及び(d)第2の横方向天井縁部410は、一般的に、完成した構造体150の(w)第1の長手方向縁部106、(x)第1の横方向縁部108、(y)第2の長手方向縁部116、及び(z)第2の横方向縁部110にそれぞれ一致する(すなわち上に重なる)。図6A及び図6Bは、タイプ1構造体151の天井部材400を示し、図7A及び図7Bは、タイプ2構造体152の天井部材400を示している。天井部材400の基本的な構造及び設計は、タイプ1構造体151及びタイプ2構造体152の双方について同じであり、構造体150全般に適用可能であり、本開示に従って製造された構造体150の天井部材400に一般的に適用可能である。
【0072】
天井部材400の長さ及び幅は、設計上の好みに従って変更することができる。図1A及び図2Aに示すタイプ1構造体151の特定の実施形態において、天井部材400(第1の長手方向縁部106及び第2の長手方向縁部116に沿った寸法)は、長さ(第1の長手方向天井縁部406及び第2の長手方向天井縁部416に沿った寸法)およそ39フィート(11.89m)、幅(第1の横方向天井縁部408及び第2の横方向天井縁部410に沿った寸法)およそ19.5フィート(5.94m)である。図1B及び図2Bに示すタイプ2構造体152の特定の実施形態において、天井部材400は、およそ19平方フィート(5.79m)である。
【0073】
後述するように、天井部材400は、図4A図4Dに関して上述した多積層設計のうちの1つを利用することが好ましい。
【0074】
天井部材400の周辺には、一般的に、外縁部補強材が設けられる。図6Bにおけるタイプ1構造体151について示す天井部材400の実施形態及び図7Aにおけるタイプ2構造体152について示す天井部材400の実施形態のための外縁部補強材として、第1の肩ビーム435が、天井部材400の第1の長手方向天井縁部406に位置決めされ、第2の肩ビーム435(図7Bにおいて縁部が前に見える)が、天井部材400の第2の横方向天井縁部408に位置決めされ、第3の肩ビーム435(図7Bにおいて縁部が前に見える)が、天井部材400の第1の外側の横方向天井縁部410に位置決めされ、第4の肩ビーム435が、天井部材400の第2の長手方向天井縁部416に位置決めされる(図6B参照)。床部材400の場合、発泡パネル材料の外縁部を保護することに加えて、肩ビーム435によって提供される外縁部補強材は、垂直荷重に抵抗し、このような荷重を、天井部材400を支持する下に重なる壁部材200を通して下部の床に伝達し、その後、完成した構造体150の基礎に伝達することを支援する。そのような外縁部補強材は、当接するエンクロージャー部材155(下に重なる部材、及び上に重なる任意の部材)の同様の領域を締結するための領域を提供することもできる。
【0075】
天井部材400の肩ビーム435によって提供される外縁部補強材は、積層ストランド材木ボード、木製ボード、C字チャネル押出アルミニウム又は鋼等のうちの1つ以上から製造することができる。他の形態では、天井部材400について上述したタイプの外縁補強に加えて、またはその代わりに、本願と発明者及び出願日が同じである「Enclosure Component Perimeter Structures」という発明の名称の米国非仮特許出願第16/786,202号に開示されたタイプの適切なエンクロージャー部材周辺構造部を使用することができる。本願と発明者及び出願日が同じである「Enclosure Component Perimeter Structures」という発明の名称の当該米国非仮特許出願第16/786,202号の内容、具体的には、例えば段落110~段落124に記載され図10図12に関連するエンクロージャー部材周辺構造部を含んで引用することにより完全に記載されているものとして本明細書の一部をなす。特に、それらのエンクロージャー部材周辺部構造部は、さらに水の進入および環境暴露を阻止するためのシール機能を実行できる。
【0076】
天井の区分化
タイプ1構造体151及びタイプ2構造体152はそれぞれ、天井部分400a、400b及び400cを含む。天井部分400a、400b及び400cのそれぞれは、略長方形の平面構造であり、図6A及び図6Bによって例示されるように、天井部分400aは天井部分400bに隣接し、天井部分400bは天井部分400cに隣接する。
【0077】
天井部分400c
天井部分400cは、概略的に、全ての天井部分400a、400b及び400cの構造を例示している。図6Cに示す天井部分400cのセグメントを参照すると、天井部分400cは、積層多層設計の第1実施形態(図4Aに示す)又は第2実施形態(図4Bに示す)に係る積層多層設計を利用する。これに関して、天井部分400cは、天井底面404と称される構造建築パネル211の第1の構造層210と、天井上面402と称される構造建築パネル216の第2の構造層215とを含む。天井面402と404との間には、天井発泡パネル414と称される発泡パネル214が存在する。天井部分400cの内縁部412cは、図6B及び図7Aに示すように、天井部分400bの第1の内縁部412bに当接する。内縁部補強材については、補強ボード437が内縁部412cに隣接して位置決めされる。
【0078】
天井部分400a
天井部分400aは、例えば図6B図6D及び図7Aに示されている。天井部分400aは、天井部分400cの設計及び構造の鏡像である。天井部分400aの内縁部412aは、図6B及び図7Aに示すように、天井部分400bの第2の内縁部412bに当接する。内縁部補強材については、補強ボード437が内縁部412aに隣接して位置決めされる。
【0079】
天井部分400b
図6B及び図7Aに示す天井部分400bは、天井部分400a及び400cと設計及び構造が全般的に同じである。天井部分400bの第1の内縁部412bは、天井部分400cの内縁部412cに当接し、天井部分400bの第2の内縁部412bは、天井部分400aの内縁部412aに当接する。内縁部補強材については、補強ボード437が天井部分400bの第1の内縁部412bに隣接して位置決めされ、補強ボード437が天井部分400bの第2の内縁部412bに隣接して位置決めされる。
【0080】
天井部材400及びその構成要素は、概して、天井部材400が受け得る特定の荷重に対応するように厚さ及びその他の点に関して寸法決定される。例えば図7A及び図7Bに示すタイプ2構造体152の天井部材400の特定の実施形態は、第2の多層設計実施形態(図4B参照)を利用することができ、ここで、第1の構造層210/天井底面404の構造建築パネル211について及び第2の構造層215/天井上面402の構造建築パネル216についても厚さ0.25インチ(0.635cm)のMgOボードであり、結合ストリップは厚さ0.25インチ(0.635cm)のMgOボードで幅6インチ(15.24cm)である。発泡パネル214/天井発泡パネル414は、厚さ7.9インチ(20.07cm)とすることができ、これにより、屋根部材400が厚さおよそ8.4インチ(21.34cm)になる。1つ以上の肩ビーム435に対する垂直荷重の伝達を支援するための構造体150の特定の設計に適切なように、ジョイスト420(ジョイスト420の一部が図6Dにおいて示されている)等の追加の構造部材を利用することができる。
【0081】
図6Bに示すタイプ1構造体151を参照すると、天井部分400aは、短い壁部材200bの第1の部分200b-1及び長い壁部材200a-Rに対して適所に固定され、ヒンジ構造部を用いて長手方向内縁部412aに沿って天井部分400bの当接する長手方向内縁部412bに接合される。そのようなヒンジ構造部は、天井部分400bが天井部分400aに対して平坦に置かれる折り畳み位置と、図6Bに示す完全に開展した位置との間に、天井部材400の上部の近位に位置する、水平軸405aの周りに弧の180度まで天井部分400bが枢動することを可能にするように適合される。
【0082】
さらに、天井部分400bは、ヒンジ構造部を用いて、天井部分400cの長手方向内縁部412cに当接する天井部分400bの長手方向内縁部412bにおいて天井部分400cに接合される。そのようなヒンジ構造部は、天井部分400cが天井部分400bに対して平坦に置かれる折り畳み位置(天井部分400bが天井部分400aに対して平坦に置かれるとき)と、図6Bに示す完全に開展した位置との間に、天井部材400の底部の近位に位置する、水平軸の周りに弧の180度まで天井部分400cが枢動することを可能にするように適合される。
【0083】
同様に、図7Aに示すタイプ2構造体152を参照すると、天井部分400aは、第1の壁部分200s-1、第4の壁部分200s-4及び壁部材200s-Rに対して適所に固定される。タイプ2構造体152の天井部分400a、400b及び400cは、タイプ1構造体151に関連して上述したものと同じように、ヒンジ構造部を用いて接合される。
【0084】
天井部分400a、400b及び400cを接合するヒンジ構造部は、表面実装型又は嵌め込み型とすることができ、一時的又は永久的なものとすることができる。適切なヒンジ構造部は、例えば、金属、プラスチック、皮革、鉄系材料又は非鉄系材料から製造することができる。天井部分400a、400b及び400cの補強ボード437によって提供される内縁部補強材は、発泡パネル材料の縁部を保護することに加えて、ヒンジ構造部を実装するための構造を提供することができる。補強ボード437は、積層ストランド材木ボード、木製ボード、C字チャネル押出アルミニウム又は鋼等のうちの1つ以上から製造することができる。
【0085】
適切なヒンジ構造部及びその関連する部材は図9に示されており、図9は、天井部分400b及び400cを接合する例示的なヒンジ構造部を示している。特に、複数のダブルヒンジ413が、水平軸405bに沿って並んで配置される。ダブルヒンジは、隣接する天井部分間の介在物のクリンプ(interference crimping)を引き起こすことなく、弧の180度まで枢動する能力を保持しながら、ヒンジが表面の下に嵌め込まれるようにすることが好ましい。これらのダブルヒンジは、2つの単一のヒンジを、そのそれぞれのリーフのうちの1つにそれぞれ沿って、当接関係においてともに位置決めし、両ヒンジを溶接して1つのダブルヒンジ413を作ることによって製造することができる。
【0086】
図9に示すように、ダブルヒンジ413のフリーリーフのそれぞれは、それぞれ補強ボード437に固定される。各補強ボード437は、図9に示すように、C字チャネルトラック308(冷間成形鋼から製造される)のウェブの外部に接して位置決めされ、C字チャネルトラック308のそれぞれは、屋根部分400b及び400cのそれぞれの当接する縁部に固定される。同じヒンジ構造部は、天井部分400a及び400bをともに固定するために利用することができるが、天井部分400b及400cが図3A及び図3Bに示すような蛇腹パターンに折り畳まれることを可能にするために、180度回転して水平軸405aに沿って並んで配置されるように変位することができる。
【0087】
図9に示されるヒンジ構造部に対する更なる他の形態として、適切なヒンジ構造部は、本願と同じ発明者で同日に出願された「Foldable Building Structures with Utility Channels and Laminate Enclosures」という発明の名称の米国非仮特許出願第16/786,202号に記載されている。本願と発明者及び出願日が同じである「Enclosure Component Perimeter Structures」という発明の名称の当該米国非仮特許出願第16/786,202号の内容、具体的には、例えば段落125~段落157に記載され図13A図15に示され、かつ、より詳細には、ヒンジ構造部段落136~段落146に記述され図14A~14Fに示されるヒンジ構造部を含んで引用することにより完全に記載されているものとして本明細書の一部をなす。これらのヒンジ構造部は、天井部分400a、400b及び400cの補強ボード437により提供される内縁部補強材に加えて、またはその代わりに用いることができ、また、水の侵入および環境曝露を阻止するためのシーリング機能を実行することができる。
【0088】
天井チェイス
各天井部分400a、400b及び400cには、天井チェイスを設けてもよい。以下に記述するように、天井チェイス219は、ユーティリティサービスシステム460および壁チェイス219と連通する。
【0089】
図7Dは、天井チェイス構成の特定の実施形態を明らかにするために断面化されたタイプ2構造体152の天井400の平面図である。タイプ2の構造体152について示されているが、天井チェイス219はまた、タイプ1の構造体151、または本開示に従って製造された任意の他の構造体150で利用することができる。
【0090】
図7Dに示されるように、第1の複数の細長い円筒形通路、天井チェイス440が提供され、第1および第2の横方向天井縁部408、410との間の全距離にわたって一定の間隔で離間され、かつ、第1の方向にほぼ平行に配置される。第1の方向は、第1および第2の横方向天井縁部408および410にほぼ平行で、かつ、互いにほぼ平行である。そのような天井チェイス440のそれぞれは、それぞれ第1および第2の長手方向天井縁部406および416に近接して配置された肩ビーム435間の距離にわたるものとなっている。また、第2の複数の天井チェイス440が提供され、これらは、第1および第2の長手方向天井縁部406および416の間の全距離にわたって一定の間隔で離間され、かつ、第2の方向に配置され、第2の方向は、第1の方向にほぼ垂直で、第1および第2の長手方向天井縁部406及び416にほぼ平行でかつ互いにほぼ平行である。そのような天井チェイス440のそれぞれは、それぞれ第1および第2の横方向天井縁部408および410に近接して配置された肩ビーム435間の距離にわたるものである。したがって、第1および第2の複数の離間した天井チェイスは、天井チェイスグリッドを形成する。天井チェイス440を提供することで、ユーティリティライン(電力、照明制御、HVAC、HVAC制御、煙または熱センサーへの通電および通信を含むセキュリティシステムなど)を壁コンポーネント200から遠位にある天井部材400上の場所へとルーティングすることが容易となる。図示されるように、天井部分400a、400bおよび400cの天井チェイスセグメントは、天井部分400bおよび400cが展開されて完全な天井部材400を形成するときに連通するように整列される。
【0091】
各天井チェイス219は、好ましくは、ユーティリティラインの設置を可能とするに十分な直径を備えており、たとえば、直径が約1~2インチ(2.54~5.08cm)である。天井チェイス219は、壁チェイス207および219を形成するために概して上記と同じ方法で、パネルの表面の下方の発泡パネル内に適切に配置および移動される円形ホットワイヤを使用することによって天井発泡パネル414に形成され得る。
【0092】
天井チェイス219は、後述するように、天井部材400内に配置されたユーティリティサービスシステム460と連通する。
【0093】
ユーティリティサービスシステム(460)
図6A図7Eに示されるように、天井部材400内にユーティリティサービスシステム460の2つの実施形態が提供される。
【0094】
ユーティリティサービスシステム460の目的は、その内部をユーティリティ配管が便利に通し接続できる、完成した構造体150内の嵌め込み型通路あるいは凹部通路を提供することである。一般的には、ユーティリティサービスシステム460は、好ましくは閉ループ形状に、天井部材400の周辺全体の周囲に配置された1つ以上の通路を有し、つまり、天井部材400の第1及び第2長手方向天井縁部406および416にほぼ隣接しているかまたは近位にあり、かつ、第1及び第2横方向天井縁部408および410にほぼ隣接しているかまたは近位にある。したがって、ユーティリティサービスシステム460を形成する構造部は、それらの天井部分に含まれた肩ビーム435に対してほぼ近位にある個々の天井部分400a、400b、および400cに設けられる。
【0095】
ユーティリティサービスシステム460は、ユーティリティ配管(例えば、電力、照明制御、加熱、換気、及び空調(HVAC)、HVAC制御、セキュリティシステム等のためのものであり、これには、煙センサー又は熱センサーに通電しこれらと通信することが含まれる)を収容するように適合されている。図示されるように、天井部分400a、400bおよび400cのユーティリティサービスシステム460は、天井部分が展開されて完全な天井部材400を形成するときに互いに連通するように整列される。ジョイスト420(前述のように、ジョイスト420の一部は図6Dに表示されている)および/または内縁補強材(補強ボード437など)のような天井部分400a、400b、および400cの構造部材のいずれかに使用されている場合、ユーティリティサービスシステム460にわたる部分に通路穴422(図6Dに示される)を設けることができ、これは、これらジョイストおよび/または補強ボード437を介しておよびユーティリティサービスシステム460のほぼ全周にわたってユーティリティラインの自由なルーティングを容易にするために設けられる。
【0096】
ここに記述されたユーティリティサービスシステム460用2つの実施形態は、ビルトアップユーティリティチャネル461およびインーシツ(現場)ユーティリィティチャネル471である。構築されたユーティリティチャネル461はタイプ1構造体151で示され、インーシツユーティリティチャネル471はタイプ2構造体152で示されているが、これらのユーティリティサービスシステム460のいずれかは、他のタイプの構造でも利用することができ、あるいは、本開示に従って製造された他の構造において使用することができる。
【0097】
ビルトアップユーティリティチャネル(461)
図6A図6Eに示されるように、ビルトアップユーティリティチャネル461は、天井部材400の下側に形成されて外縁、内縁、および上部を有する3面空洞である。
上述したように、ビルトアップユーティリティチャネル461は、好ましくは、天井部材400の周囲のほぼ全体に位置する閉ループを形成する。
【0098】
特に図6Cを参照すると、ビルトアップユーティリティチャネル461の外縁は肩ビーム435によって画定され、チャネル461の内縁はチャネル閉鎖ボード467によって画定され、ユーティリティチャネル461の上部はチャネル上面462によって画定される。チャネル閉鎖ボード467は、例えば積層ストランド材木ボード、木製ボード、C字チャネル押し出しアルミニウムまたは鋼などのうちの1つ以上から製造することができ、チャネル上面462は、例えば、厚さ約0.5インチ(1.27cm)の酸化マグネシウムボードから製造することができる。ビルトアップされたユーティリティチャネル461の幅は、建設およびサービス要員が合理的にアクセス可能となるのに十分なものであることが好ましい。
【0099】
天井部分400a、400bおよび400cの各肩ビーム435の内面に沿って一定の間隔で離間して、水平チャネルコネクタ438と呼ばれる複数の開口の第1のセットが提供される。水平チャネルコネクタ438は、肩ビーム435を完全に通過するか、あるいは、これに代えて、かつ、好ましくは、肩ビーム435内で終端し(図6Cに示されるように)、肩ビーム435に空洞を作成することができる。図6Cに示されるように、各肩ビーム435の底面に沿って間隔を空けて間隔を置いて、垂直チャネルコネクタ439と呼ばれる複数の開口の第2のセットがさらに提供される。各垂直チャネルコネクタ439は、それぞれの水平チャネルコネクタ438に開口し、それらと連通して、その底面の下方からその内面の外へと肩ビーム435を通る通路を提供する。
【0100】
垂直チャネルコネクタ439は、ユーティリティチャネル461内から壁部材200の壁チェイス219内へとユーティリティラインを通すあるいはルーティングするための通路を提供するように、肩ビーム435を支持する壁部材200内の貫通穴209と整列するように配置され、かつ、所望により、以下に説明する床部材300の床チェイス319内へと更に入る。水平チャネルコネクタ438、垂直チャネルコネクタ439、貫通穴209、および壁チェイス219はすべて、等間隔、例えば、約29インチ(73.7cm)間隔で離間させることができる。
【0101】
ビルトアップユーティリティチャネル461は、図6Eに示される、好ましくはビルトアップユーティリティチャネル461の全体をカバーする、複数の直列に隣接する取り外し可能なチャネルカバープレート464を有しても良い。チャネルカバープレート464は、その中に含まれるユーティリティラインを隠し、必要に応じて、図6Eに示される複数の光源466などの内部空間を強化するための照明アクセントを有してもよい。
【0102】
イン-シツユーティリティチャネル(471)
図7A図7Eに示されるように、ユーティリティサービスシステム460はまた、その場で天井発泡パネル414に形成され得る。例えば、図7Aを参照すると、複数の天井発泡パネル414aを含む天井部材400が断面において示されている。図示されるように、発泡パネル414aに2つのイン-シツユーティリティチャネル471が提供され、それぞれ断面が実質的に円形であり、2つの閉ループでかつほぼ平行な円筒形通路を画定し、これらは、天井部材400の周囲のほぼ全体に位置し、天井部材400の肩ビーム435に近接している。
【0103】
ユーティリティチャネル471は、それぞれ、接続及び垂直壁チェイス207および219に関する上述の記載とほぼ同様に、パネルの表面の下方の発砲パネル414a内に適切に配置および移動される円形ホットワイヤを使用することによって形成され得る。各ユーティリティチャネル471は、ユーティリティラインの設置を可能にするのに十分な直径を有するべきであり、たとえば、直径は約4インチ(10.16cm)である。
【0104】
図7Cによって例示されるように、各天井チェイス440は、2つの対向する肩ビーム435の間の天井部材400の全体または実質的にすべてを通過する。各天井チェイス440は、2点(天井部材400のこれら肩ビーム435に近位の各サイドに1つ)で2つのユーティリティチャネル471のそれぞれと連通し、それにより、各天井チェイス440とユーティリティチャネル471との間のユーティリティルーティングアクセスを提供する。天井部材400の周辺の近位において、各天井チェイス440は、垂直方向を向いた円筒形通路、天井チェイスコネクタ472と交差及び連通し、次に、壁部材200の天井板240の貫通穴209を通じてそれぞれの壁チェイス219と連通する。図7Cに示されるように、各天井チェイスコネクタ472は隣接するものの、肩ビーム435の材料の外側に(発泡パネル414内に)形成され、また、必要に応じて、または所望により、例えば図6Cおよび6Dに示される水平および垂直チャネルコネクタ438、439の手法により肩ビーム435の材料内に配置可能である。したがって、上述の配置により、各ユーティリティチャネル471に、壁チェイス219へのユーティリティルーティングアクセスが提供される。
【0105】
図7C図7Eに示されるように、ユーティリティチャネル471へのサービスアクセスのために、各天井チェイス440とユーティリティチャネル471との交差部に近位の複数のチャネルアクセス開口部473が提供される。チャネルアクセス開口部473の寸法は、建設およびサービス要員が合理的にアクセス可能となるのに十分なものであることが好ましく、例えば、各チャネルアクセス開口部473は、幅約14.5インチ(36.8cm)で長さ8.0インチ(20.3cm)の矩形構成を有することもできる。各チャネルアクセス開口部473は、図7Eに示されるように、取り外し可能なチャネルアクセスプレート474によって覆われ得る。
【0106】
ユーティリティサービスシステムの使用
ユーティリティサービスシステム460に設置することができるユーティリティラインの例として、図6Eは、ビルトアップユーティリティチャネル461に設置された2線式電気ループ208を概略形式で示し、かつ、図6Aは、完成した構造体150の壁部材200内の壁チェイス219a、219b、219cおよび219d予め選択された4つを示す。壁チェイス219a~dと連絡するために1つまたは複数の切り欠き276が形成され、ジャンクションボックスが必要に応じて切り欠き276に配置され、チェイスが配線されループ208に接続される。コンセント、スイッチ、照明等のための開口部は、内部被覆層282、第1の構造層210、第1の繊維織物層213-1、および発泡パネル214に切り込まれて貫通し、壁チェイス219にカットアウト部276を形成することができる。同様の方法で、カットアウト用の開口部のように、天井チェイス219と連通するために天井部材400に形成することができる。この配置により、壁部材200および天井部材400を横切って多くのポイントに電気サービスへのアクセスを提供する。配線および接続操作は、好ましくは、構造体150の配送および展開の後に実行されるが、他の説明された操作は、好適となるように、配送の前または後に実行され得る。
【0107】
床部材(300)
通常、完成した構造体150は、1つの床部材300を利用する。したがって、床部材300は、一般的に、完成した構造体150の床全体である。床部材300は、概ね長方形の周辺を有する。図6A及び図6B並びに図7A及び図7Bが、本発明に係る床部材300を示している。床部材300の周辺は、第1の長手方向床縁部117、第1の横方向床縁部120、第2の長手方向床縁部119、及び第2の横方向床縁部118によって画定される。特に、(a)第1の長手方向床縁部117、(b)第1の横方向床縁部120、(c)第2の長手方向床縁部119、及び(d)第2の横方向床縁部118は、一般的に、完成した構造体150の(w)第1の長手方向縁部106、(x)第1の横方向縁部108、(y)第2の長手方向縁部116、及び(z)第2の横方向縁部110にそれぞれ一致する(すなわち下に重なる)。図6A及び図6Bは、タイプ1構造体151の床部材300を示し、図7A及び図7Bは、タイプ2構造体152の床部材300を示している。床部材300の基本的な構造は、タイプ1構造体151及びタイプ2構造体152の双方について同じであり、本開示に従って製造された構造体150の床部材300に一般的に適用可能である。
【0108】
床部材300の長さ及び幅は、設計上の好みに従って変更することができる。壁部材200a、200bが垂直に方向付けられた図1A及び図2Aに示すタイプ1構造体151の特定の実施形態において、床部材400の長さ及び幅は、当該タイプ1構造体151の天井部材400の長さ及び幅と同程度である。同様に、壁部材200sが垂直に方向付けられた図1B及び図2Bに示すタイプ2構造体152の特定の実施形態において、床部材400の長さ及び幅は、当該タイプ2構造体152の天井部材400の長さ及び幅と同程度である。
【0109】
後述するように、床部材300は、図4A図4Dに関して上述した多積層設計のうちの1つを利用することが好ましい。
【0110】
各床部材300の周辺には、一般的に、外縁部補強材が設けられる。図7A及び図7Bに示す床部材300の実施形態のための外縁部補強材として、第1の基礎ビーム320(図7Aにおいて縁部が前に見える)が、床部材300の第1の長手方向床縁部117に位置決めされ、第2の基礎ビーム320(図7Bにおいて縁部が前に見える)が、床部材300の第2の横方向床縁部118に位置決めされ、第3の基礎ビーム320(図7Bにおいて縁部が前に見える)が、床部材300の第1の横方向床縁部120に位置決めされ、第4の基礎ビーム320が、床部材300の第2の長手方向床縁部119に位置決めされる(図7Aにおいて縁部が前に見える)。床部材300の場合、基礎ビーム320によって提供される縁部補強材は、発泡パネル材料の縁部を保護することに加えて、垂直荷重に抵抗し、このような荷重を、その下の任意の天井部材400に伝達し、その後、下に重なる壁部材200に及び/又は完成した構造体150の基礎に伝達することを支援する。
【0111】
床部材300の基礎ビーム420によって提供される外縁部補強材は、積層ストランド材木ボード、木製ボード、C字チャネル押出アルミニウム又は鋼等のうちの1つ以上から製造することができる。他の形態では、床部材300について上述したタイプの外縁補強に加えて、またはその代わりに、本願と発明者及び出願日が同じである「Enclosure Component Perimeter Structures」という発明の名称の米国非仮特許出願第16/786,202号に開示されたタイプの適切なエンクロージャー部材周辺構造部を使用することができる。本願と発明者及び出願日が同じである「Enclosure Component Perimeter Structures」という発明の名称の当該米国非仮特許出願第16/786,202号の内容、具体的には、例えば段落110~段落124に記載され図10図12に関連するエンクロージャー部材周辺構造部を含んで引用することにより完全に記載されているものとして本明細書の一部をなす。特に、それらのエンクロージャー部材周辺部構造部は、さらに水の進入および環境暴露を阻止するためのシール機能を実行できる。
【0112】
床の区分化
タイプ1構造体151及びタイプ2構造体152における床部材300は、床部分300a及び床部分300bを含む。床部分300a及び300bのそれぞれは、概ね長方形の平面構造であり、図6A図6B及び図7Aによって例示されるように、床部分300aは床部分300bに隣接する。
【0113】
床部分300a。図6A図6B及び図7Aに示す床部分300aは、床部分300a及び300bの構造を全般的に例示しており、図示のように、一般的に、積層多層設計の第1実施形態(図4Aに示す)又は第2実施形態(図4Bに示す)に係る積層多層設計を利用する。これに関して、床部分300aは、床底面304と称される構造建築パネル211の第1の構造層210と、床上面302と称される構造建築パネル216の第2の構造層215とを含む。床上面302と床底面304との間には、床発泡パネル314と称される発泡パネル214が存在する。床部分300aの内縁部301aは、図7Aに示すように、床部分300bの内縁部301bに当接する。内縁部補強材としては、補強ボード307が内縁部301aに隣接して位置決めされる。
【0114】
床部分300b
床部分300bは図6A図6B及び図7Aに示されている。床部分300bは、床部分300aと設計及び構造が全般的に同じである。床部分300bの内縁部301bは、図7Aに示すように、床部分300aの内縁部301aに当接する。内縁部補強材としては、補強ボード307が内縁部301bに隣接して位置決めされる。
【0115】
床部材300及びその構成要素は、一般的に、床部材300が受け得る特定の荷重に対応するように厚さ及びその他の点に関して寸法決定される。例えば図7A及び図7Bに示すタイプ2構造体152の床部材300の特定の実施形態は、第2の多層設計実施形態(図4B参照)を利用することができ、ここで、第1の構造層210/床底面304の構造建築パネル211について厚さ0.25インチ(0.635cm)のMgOボードであり、第2の構造層215/床上面302の構造建築パネル216について厚さ0.5インチ(1.27cm)のMgOボードである。これに対応して、この特定の実施形態において、厚さ0.25インチ(0.635cm)のMgOボードで幅6インチ(15.24cm)の結合ストリップは、第1の構造層210/床底面304の構造建築パネル211をともに接合するために使用され、厚さ0.5インチ(1.27cm)のMgOボードで幅6インチ(15.24cm)の結合ストリップは、第2の構造層215/床上面302の構造建築パネル216をともに接合するために使用される。発泡パネル214/床発泡パネル314は、厚さ11.25インチ(28.575cm)とすることができ、これにより、床部材300が厚さおよそ12インチ(30.48cm)になる。
【0116】
床部材300を含む床部分300bは、折り畳むことでコンパクトな出荷モジュールの形成を容易にすることができる。タイプ1構造体151及びタイプ2構造体152はそれぞれ、そのような床部分を備える。
【0117】
図6Bに示すタイプ1構造体151を参照すると、床部分300aは、短い壁部材200bの第1の壁部分200b-1及び長い壁部材200a-Rに対して適所に固定され、床部分300bが図3Aに示すようにほぼ垂直に方向付けられる折り畳み位置と、図6A及び図6Bに示す完全に開展した位置との間に、床上面302の近位に位置する、水平軸305の周りに弧のおよそ90度まで床部分300bが枢動することを可能にするために、ヒンジ構造部を用いて床部分300bに接合される。
【0118】
同様に、図7Aに示すタイプ2構造体152を参照すると、床部分300aは、第1の壁部分200s-1、第4の壁部分200s-4及び壁部材200s-Rに対して適所に固定される。床部分300aは、タイプ1構造体151に関連して上述したものと同じように、ヒンジ構造部を用いて床部分300bに接合される。
【0119】
床部分300a及び300bを接合するヒンジ構造部は、表面実装型又は嵌め込み型とすることができ、一時的又は永久的なものとすることができる。適切なヒンジ構造部は、例えば、金属、プラスチック、皮革、鉄系材料又は非鉄系材料から製造することができる。適切なヒンジ構造部及びその関連する部材の一例が図8に示されている。特に、図8において縁部が前に示されているように、例えば、幅およそ3インチ(7.62cm)×長さおよそ6インチ(15.24cm)の複数の鋼ヒンジ306が、水平軸305に沿って並んで配置される。このようなヒンジは、米国ジョージア州ダグラスビル所在のMcMaster-Carrから市販されている。床部分300a及び300bを接合するヒンジ構造部はダブルヒンジである必要はない。なぜなら、このヒンジ構造部は、弧のおよそ90度しか枢動する必要がなく、したがって、介在物のクリンプの可能性が、天井部材400の天井部分に関するものよりも少ないからである。
【0120】
図8に示すように、ヒンジ306の対向するリーフはそれぞれ、内縁部301a及び301bのそれぞれに設けられる、内縁部補強材である補強ボード307に固定される。図8における補強ボード307は、積層ストランド材木から作製される。各補強ボード307は、C字チャネルトラック308(冷間成形鋼から製造される)のウェブの外部に接して位置決めされ、C字チャネルトラック308のそれぞれは、図8に示すように、床部分300a及び300bのそれぞれの当接する縁部に固定される。
【0121】
他の形態では、床部分300aと300bとを接合するための適切なヒンジ構造部は、本願と同じ発明者で同日に出願された「Foldable Building Structures with Utility Channels and Laminate Enclosures」という発明の名称の米国非仮特許出願第16/786,202号に記載されている。本願と発明者及び出願日が同じである「Enclosure Component Perimeter Structures」という発明の名称の当該米国非仮特許出願第16/786,202号の内容、具体的には、例えば段落125~段落157に記載され図13A図15に示され、かつ、より詳細には、段落125~段落135に記述され図13A~13Fに示されるヒンジ構造部を含んで引用することにより完全に記載されているものとして本明細書の一部をなす。これらのヒンジ構造部は、上記のように、内縁部補強材に加えて、またはその代わりに利用することができ、また、水の侵入および環境曝露を阻止するためのシーリング機能を実行することができる。
【0122】
ベースボード及び周辺ボード
床部材300又はその部分の外縁部、例えば、完成した構造体150の第1の長手方向縁部106に沿って位置する床部分300bの外縁部には、ベースボード310を設けることができる。例えば図3Aに示すタイプ1構造体151において、ベースボード310は、床部分300bの外縁部に固定された状態で、縁部が前に示されている。ベースボード310が床部材300の周辺の周りに延在する箇所を周辺ボード312と呼ぶ。例えば図1B及び図3Bに示すタイプ2構造体152は、周辺ボード312を利用する。ベースボード310(周辺ボード312を含む)の垂直寸法(高さ)は、床部材300の厚さよりも大きいことが好ましい。
【0123】
床チェイス
必要に応じて、床部材300における床発泡パネル314には、床チェイス319を設けることができる。
【0124】
図7Fは、例示的な床チェイス配置を示す分割された床部材300を提供する。図7Fにタイプ2の床部材300について示されているが、床チェイス319はまた、タイプ1の床部材300、または本開示に従って製造された任意の他の構造体150の床部材300で利用することができる。
【0125】
図7Fに示されるように、第1の複数の細長い円筒形通路、床チェイス319が提供され、第1および第2の横方向床縁部120、118との間の全距離にわたって一定の間隔で離間され、かつ、第1の方向にほぼ平行に配置される、第1の方向は、第1および第2の横方向床縁部120および118にほぼ平行で、かつ、互いにほぼ平行である。そのような床チェイス319のそれぞれは、それぞれ第1および第2の長手方向床縁部117および119に近接して配置された基礎ビーム320間の距離にわたるものとなっている。また、第2の複数の床チェイス319が提供され、これらは、第1および第2の長手方向床縁部117および119の間の全距離にわたって一定の間隔で離間され、かつ、第2の方向に配置され、第2の方向は、第1の方向にほぼ垂直で、第1および第2の長手方向床縁部117及び119にほぼ平行でかつ互いにほぼ平行である。そのような床チェイス319のそれぞれは、それぞれ第1および第2の横方向床縁部120および118に近接して配置された基礎ビーム320間の距離にわたるものである。したがって、第1および第2の複数の離間した床チェイス319は、床チェイスグリッドを形成する。床チェイス319を提供することで、ユーティリティライン(電力、照明制御、HVAC、HVAC制御、煙または熱センサーへの通電および通信を含むセキュリティシステムなど)を壁コンポーネント200から遠位にある床部材300上の場所へとルーティングすることが容易となる。床部材300の2つの床部分内の床チェイスセグメントは、床部分300aと300bが完全に配置されて完成した床部材300を形成するときに連通するために整列されている。
【0126】
各床チェイス319は、好ましくは、ユーティリティラインの設置を可能とするに十分な直径を備えており、たとえば、直径が約1~2インチ(2.54~5.08cm)である。1つまたは複数の床チェイス319を灰色または黒色の水の排出に使用することを意図する場合、それらの床チェイスは、好ましくは、適切に傾斜して、排出される灰色または黒色の水を収容するのに適切な直径、例えば約4インチ(10.16cm)より大きく、たとえば約6インチ(15.24cm)である。床チェイス319は、壁チェイスに関して概して上記と同じ方法で、パネルの表面の下方の発砲パネル内に適切に配置および移動される円形ホットワイヤを使用することによって床発泡パネル314に形成され得る。
【0127】
好ましくは、床チェイス319は、壁部材200内の壁チェイス219と整列及び連通されるように配置される。したがって、例えば、壁チェイス219が約29インチ(73.7cm)間隔で離間している場合、床チェイスもまた、約29インチ(73.7cm)間隔で離間していることが好ましい。図7A図7Bに示される方法で、各床チェイス319は、垂直に向けられた通路、床チェイスコネクタ372と交差及び連通し、次に、これは、壁部材200の床板220の貫通穴291を介してそれぞれの壁チェイス219と連通する。したがって、この配置は、床チェイス319のそれぞれに、それぞれの壁チェイス219へのユーティリティラインへの、そしてその後のユーティリティサービスシステム460(図示される特定の実施形態では、インーシツチャネル471)および天井チェイス440へのルーティングアクセスを提供する。壁チェイス219に関して上述したのと同様の方法で、切り込み用の開口部を床部材300に形成して、床チェイス319と連通することができ、それによって、例えば、多数のロケーションで床部材200にわたっての電気サービスへのアクセスを提供する。
【0128】
エンクロージャー部材の関係及び輸送のための組み立て
輸送を容易にし、設計の柔軟性を最大限にするため、エンクロージャー部材155間に特定の寸法関係が存在することが好ましい。
【0129】
図2Aは、図1Aに示すタイプ1構造体151の概略上面図を示しており、エンクロージャー部材155間の好ましい寸法関係の説明を明確にするため、幾何学的な直交格子を有する。寸法決定に使用される基本的な長さは、図2Aにおいて「E」として示されており、図2Aにおいて重ねられた直交格子は、長さ24E及び幅12Eであり、部材の相対的な寸法を示している。
【0130】
より具体的には、図2Aにおいて、2つの長い壁部材200aは、長さおよそ24Eであり、2つの短い壁部材200bは、長さおよそ12Eである。天井部分400a、400b及び400cのそれぞれは、長さ24E及び幅4Eである。タイプ1構造体151の2つの床部分300a及び300bは、図2A及び図3Aに示されている。床部材300a及び300bのそれぞれは、長さ24Eであり、一方、床部材300aは幅およそ4Eであり、床部材300bは幅およそ8Eである。
【0131】
図3Aにおいて縁部を前にして示されているタイプ1構造体151の出荷モジュール100は、一般的に、天井部材400a、床部材300a、長い壁部材200a-R、及び短い壁部材200bの2つの第1の壁部分200b-1によって画定される固定空間部分102を有する。図2Aに示すように、短い壁部材200bの残りの2つの部分である第2の壁部分200b-2は、内向きに折り畳まれ、固定空間部分102に接して位置決めされる(そのように折り畳まれ、位置決めされるとき、図2Aにおいて壁部分200b-2fとして識別される)。タイプ1構造体151の3つの天井部分400a、400b及び400cは、図1Aにおいて展開された状態で示されている。タイプ1構造体151の出荷モジュール100を示す図3Aは、部分的に固定空間部分102を画定する天井部材400aの上に積み重ねられた天井部材400b及び400cを示している。図2A及び図3Aに示す長い壁部材200a-Pは、水平軸105のロケーションにおいて床部分300bに枢動可能に固定され、第2の壁部分200b-2の外側に接して垂直に位置決めされる。また、床部分300bは、固定空間部分102の近位に垂直に位置決めされ、ここで、長い壁部材200a-Pは、床部分300bと第2の壁部分200b-2との間で床部分300bから宙吊りになっている(すなわち、吊るされている)。
【0132】
上記に開示した寸法関係に従ってタイプ1構造体151のエンクロージャー部材155をサイズ決定することにより、図面から分かるように、コンパクトな出荷モジュール100がもたらされる。したがって、出荷モジュール100は、およそ19.5インチ(49.5cm)の「E」寸法(図2A参照)を使用して本明細書において開示した関係に従って寸法決定されるとともに、その部材が図3Aに示すように積み重ね及び位置決めされる場合、およそ39フィート(11.89メートル)の全長、およそ8.5フィート(2.59メートル)の全幅、及びおよそ12.7フィート(3.87メートル)の全高を有する。これらの全体的な寸法は、典型的な出荷コンテナとほぼ同じであるか又はそれよりも小さい。
【0133】
同様に、図2Bは、図1Bに示すタイプ2の完成した構造体152の概略上面図を示しており、エンクロージャー部材155間の好ましい寸法関係の説明を明確にするため、幾何学的な直交格子を有する。寸法決定に使用される基本的な長さは、図2Bにおいて「E」として示されており、図2Bにおいて重ねられた直交格子は、長さおよそ8E及び8Eである。
【0134】
より具体的には、図2Bにおいて、4つの壁部材200sは、長さおよそ8Eであり、天井部分400a、400b及び400cのそれぞれは、長さおよそ8E及び幅2.67Eである。完成した構造体152の2つの床部分300a及び300bは、図2B及び図3Bに示されている。床部分300a及び300bのそれぞれは、長さ8Hであり、一方、床部分300aは幅およそ3Eであり、床部分300bは幅およそ5Eである。
【0135】
図3Bにおいて縁部を前にして示されているタイプ2構造体152の出荷モジュール100も、一般的に、天井部材400a、床部材300a、壁部材200s-R、壁部分200s-1及び壁部分200s-4によって画定される固定空間部分102を有する。図2Bに示すように、第2の壁部材200s-2は、内向きに折り畳まれ、固定空間部分102に概ね接して位置決めされるのに対し、第3の壁部分200s-3は、外向きに折り畳まれ、第2の壁部分200s-2に概ね接して位置決めされる(壁部分200s-2及び200s-3は、そのように折り畳まれ、位置決めされるとき、図2Bにおいて壁部分200s-2f及び200s-3fとしてそれぞれ識別される)。これにより、その要素として、固定空間部分102、第2の壁部分200s-2及び第3の壁部分200s-3を有する蛇腹の折り目が形成される。第5の壁部分200s-5は、内向きに折り畳まれ、固定空間部分102に概ね接して位置決めされる(そのように折り畳まれ、位置決めされるとき、図2Bにおいて壁部分200s-5fとして識別される)。3つの天井部分400a、400b及び400cは、図1Bにおいて展開された状態で示されている。タイプ2構造体152の出荷モジュール100を示す図3Bは、部分的に固定空間部分102を画定する天井部材400aの上に積み重ねられた天井部材400b及び400cを示している。図2B及び図3Bに示す壁部材200s-Pは、軸105のロケーションにおいて床部分300bに枢動可能に固定され、壁部分200s-3及び200s-5の外側に接して垂直に位置決めされる。また、床部分300bは、固定空間部分102の近位に垂直に位置決めされ、ここで、長い壁部材200s-Pは、床部分300bと壁部分200s-3及び200s-5との間で床部分300bから宙吊りになっている。
【0136】
上記に開示した寸法関係に従ってタイプ2構造体152のエンクロージャー部材155をサイズ決定することにより、図面から分かるように、コンパクトな出荷モジュール100がもたらされる。したがって、図3Bに示す出荷モジュール100は、およそ29インチ(73.7cm)の「E」寸法(図2B参照)を使用して本明細書において開示した関係に従って寸法決定されるとともに、その部材が図3Bに示すように積み重ね及び位置決めされる場合、およそ19フィート(5.79m)の全長、およそ8.5フィート(2.59メートル)の全幅、及びおよそ12.7フィート(3.87メートル)の全高を有する。これらの全体的な寸法は、典型的な出荷コンテナよりも小さい。
【0137】
参照される幾何学的な直交格子は、床チェイス319、壁チェイス219及び天井チェイス440を配置するための有益な基準点も提供する。そのようなチェイスが、例えば、使用される格子間隔と一致する特定の「E」間隔において配置される場合、チェイスは、構造体完成中に容易に配置される。
【0138】
固定空間部分102は、上述したような壁部分、天井部分及び床部分のうちの他全てをともに位置決めする(折り畳む)前に比較的完成した状態であることが好ましい。すなわち、固定空間部分102は、構造体150が必要とする全ての機械的機能及び他の機能、例えば、キッチン、浴室、洗濯室、HVACクローゼット、暖炉、衣装クローゼット、保管エリア、廊下等と製造中に適合されることが好ましい。(図3Aに示す)仮設部材103は、タイプ1構造体151の出荷中の支持をもたらし、配送後は除去される(タイプ2構造体152の出荷には同等の仮設部材が利用されない)。好ましくは固定空間部分102が所望の状態まで完成した後、上述したように、残りの部材が折り畳まれ、固定空間部分102に接して位置決めされる。そのように折り畳まれ、位置決めされた部材により、建築者は、事実上、出荷モジュール100の位置決めされた部材を単に「開展」(展開)するだけで完成した構造体150を建設することが可能になる。
【0139】
図5Aの長い壁部材200aによって例示されるように、壁部材200、床部材300及び天井部材400のそれぞれ、及び/又はそれらの部分は、製造中及び出荷モジュール100の形成前に、保護フィルム177で外装することができる。これに代えて、あるいは、これに加えて、出荷モジュール100全体を保護フィルムで外装することができる。したがって、これらの保護フィルムは、出荷中の出荷モジュール100並びに部材200、300及び400を保護するための手段を構成する。このような保護フィルムは、モジュール及びその部材に保護を与えることに加えて、部材の輸送中に生じ得る曲げ応力及びねじり応力に対する部材の抵抗を増加させるという追加の利益を有する。これらの保護フィルムは、壁部材200に剛性を与えて、輸送中のそのロバスト性及び建設現場における構造体の建造を改善するための更なる手段を構成する。このような保護フィルムは、出荷モジュール100が建設現場に着いた後まで適所を維持し、その後、エンクロージャー部材の展開及び完成を容易にするために必要に応じて除去されることが好ましい。
【0140】
出荷モジュールの輸送
出荷モジュールは、適切な輸送手段によって建築現場に出荷される。1つのそのような輸送手段は、2018年9月27日に出願された米国特許出願公開第2019/0100127号、及び国際公開第2019/070485号において開示されており、これらの内容、具体的には段落0020~段落0035及び図1A図2Dに示される内容は、引用することにより完全に記載されているものとして本明細書の一部をなす。他の輸送手段として、出荷モジュール100は、従来のトラックトレーラー又はローベッドトレーラー(ローボーイトレーラーとも呼ばれる)を用いて建築現場に出荷することができる。
【0141】
構造体の展開及び完成
建築現場において、出荷モジュール100は、その所望のロケーション、例えば、準備された基礎、例えば、現場打ちコンクリートスラブ、現場打ちコンクリート又はシンダーブロック基礎、床板受け梁又はコンクリート柱若しくはカラムにわたって位置決めされる。これは、クレーンを使用して、出荷モジュール100をその輸送手段から持ち上げ所望のロケーションに移動させることによって、又は、輸送手段を所望のロケーションにわたって位置決めし、出荷モジュール100を持ち上げ、その後、輸送手段を所望のロケーションから移動させ、その後、出荷モジュール100を所望のロケーションにおいて静置状態まで下げることによって達成することができる。所望のロケーションへの出荷モジュール100の位置決めを容易にするための特に適切な機器及び技法は、本願と発明者及び出願日が同じである「Equipment and Methods for Erecting a Transportable Foldable Building Structure」という発明の名称の米国非仮特許出願第16/786,315号において開示されている。本願と発明者及び出願日が同じである「Equipment and Methods for Erecting a Transportable Foldable Building Structure」という発明の名称の当該米国非仮特許出願第16/786,315号の内容は、具体的には、例えば段落126~段落128に記載の及び図11A及び図11Bに関連する記載の機器及び技法を含め、引用することにより完全に記載されているかのように本明細書の一部をなす。
【0142】
出荷モジュール100を建築現場において位置決めした後、壁部分200、床部分300及び天井部分400の適切な部分が、上述した順序に従って「開展」(すなわち、展開)され、完成した構造体150がもたらされる。
【0143】
タイプ1構造体151の場合、開展(エンクロージャー部材及び部材部分の展開)は以下の順序で行われる。(1)床部分300bが、開展位置まで図3Aに示す水平軸305の周りに枢動可能に回転され、(2)壁部材200a-Pが、開展位置まで図3Aに示す水平軸305の周りに枢動可能に回転され、(3)短い壁部材200bの壁部分200b-2が、開展位置まで図2Aに示す垂直軸191の周りに枢動可能に回転され、(4)天井部分400b及び400cが、それらの開展位置までそれぞれ水平軸405a及び405bの周りに枢動可能に回転される。
【0144】
タイプ2構造体152の場合、開展は以下の順序で行われる。(1)床部分300bが、開展位置まで図3Bに示す水平軸305の周りに枢動可能に回転され、(2)壁部材200s-Pが、開展位置まで図3Bに示す(周辺ボード312の背後)水平軸105の周りに枢動可能に回転され、(3)壁部分200s-2、200s-3及び200s-5が、開展位置までそれぞれ垂直軸192、193及び194の周りに枢動可能に回転され、(4)天井部分400b及び400cが、開展位置までそれぞれ水平軸405a及び405bの周りに枢動可能に回転される。移動式クレーンを使用することで、ある特定のエンクロージャー部材155、具体的には天井部分400b及び400c、床部分300b、並びに床部分300bに枢動可能に固定された壁部材200(タイプ1構造体151の場合は200a-P、タイプ2構造体152の場合は200s-P)の開展を支援することができる。他の形態では、エンクロージャー部材155の開展を容易にするための特に適切な機器及び技法は、本願と発明者及び出願日が同じである「Equipment and Methods for Erecting a Transportable Foldable Building Structure」という発明の名称の米国非仮特許出願第16/786,315号において開示されている。本願と発明者及び出願日が同じである「Equipment and Methods for Erecting a Transportable Foldable Building Structure」という発明の名称の当該米国非仮特許出願第16/786,315号の内容は、具体的には、例えば段落132~段落145に記載の及び図12A図14Bに記載の機器及び技法を含め、引用することにより完全に記載されているかのように本明細書の一部をなす。
【0145】
特に、適切なロケーションにあるベースボード310は、壁部材又は壁部分の、その意図した展開位置における開展を阻む「阻止部」として機能する。したがって、例えば、タイプ1構造体151を示す図3Aにおけるベースボード310は、長い壁200a-Pがその所望の垂直位置において完全に展開されるとき、この図に示す長い壁200a-Pの開展を阻む。同様に、タイプ2構造体152を示す図3Bにおける周辺ボード312は、壁200s-Pに対して、並びに壁部分200s-2、200s-3及び200s-5に対しても同様の機能を果たす。さらに、ベースボード310は、開展された壁部材をその開展位置において固定するための構造を提供する。したがって、例えば、ベースボード310には、図6Aにおいて、長い壁200aを適所に固定するために締結具を挿入することができる複数の離隔した開口部311が設けられる。
【0146】
展開後、エンクロージャー部材155は、ともに固定され、図1A及び図1Bに示すように、完成した構造体150が形成される。任意の仮設ヒンジ機構が利用されている場合、これらの仮設ヒンジ機構は、所望の場合に除去することができ、エンクロージャー部材155をともに固定することができる。本願と発明者及び出願日が同じである「Enclosure Component Perimeter Structures」という発明の名称の当該米国非仮特許出願第16/786,202号に開示されたエンクロージャー部材周辺構造部のうちのある部分、具体的には、例えば段落121~段落157に記載され図12図15に示された部分が用いられた場合、ここに記載されたように、好ましくは、このような構造に関してある種の仕上げ操作が実行される。本願と発明者及び出願日が同じである「Enclosure Component Perimeter Structures」という発明の名称の当該米国非仮特許出願第16/786,202号の内容、具体的には、例えばその段落179~段落182に記載され図13C、13F、14C、14E、15及び17に記載されたエンクロージャー部材周辺構造部に関して実行される仕上げ動作を含んで引用することにより完全に記載されているものとして本明細書の一部をなす。
【0147】
エンクロージャー部材155の展開および固定後、壁部材200(接続および垂直壁チェイス207および219)、床部材300(床チェイス319)および天井部材400(天井チェイス440)に配置された1つまたは複数の予め選択されたチェイスは、上述のように、電気ループ208などの、ユーティリティチャネル460内の適切なユーティリティラインに配線および接続することができる。また、これによりループ208は電気ユーティリティのサービスドロップに接続することができ、したがって、完成した構造体150の電気サービスにエネルギーを与える。
【0148】
エンクロージャー部材155の展開及び固定前、その最中又はその後、所望に応じて、1つ以上のドア及び窓のための開口部202、204が、壁部材200における所望のロケーションにおいて切り抜かれ、適切なドア及び窓アセンブリが開口部202、204において位置決め及び締結される。これに関連して、構造体150を完成させるために、送水管及び下水道に対して自治体により管理される連結部(municipal hook-ups)が追加される。
【0149】
ビル構成のオプション
上述したように、任意の数の構造体150をともに所望の場所あるいはサイトに配置することができ、多くの異なる構造の構成を得ることができる。そのような多階層構造に対する内部階段は、天井部材400に適切なアクセス開口を挿入するとともに、製造中において固定空間部分102に提供することができ、または組み立て後に追加することができる。同様に、傾斜屋根および他の建築上の追加物は、出荷モジュール100とは別に配送されるか、または現場で製造され、完成した構造体150の天井部材400上に配置され得る。
【0150】
例えば、2つ以上の完成した構造体150は、一方の構造体の壁部材200が他方の構造体の壁部材200に隣接して配置されるように建てることができる。次に、建築者は、購入者の設計上の選択に従って、これらの並置された領域に開口部をカットして、2つの構造を接続できる。一例として、図10は、3つの完成した構造体150a、150b、および150cの平面図を示して、それぞれはタイプ2構造体152であり、並んで配置されて、3つの部屋を備えた1つの住宅ユニットを生み出す。エンクロージャー部材155の積層多層設計は、この特定の例では、各壁部材200に窓開口204を配置することを可能にし、それによって各部屋の4つの側面すべてに窓を提供するような、配置における柔軟性を提供する。
【0151】
完成した構造体150はまた、一方の構造体を他方の上面に積み重ねて、多層構造体を作成することができる。図11は、2つのタイプ2構造体152を使用して、完成構造体150dの上に配置されて2階建て構造を生成する完成構造体150eを示している。エンクロージャーコンポーネント155の積層多層設計は、多種多様なカスタマイズオプションを可能にする。したがって、図10に示されるように、第1のレベルのドア開口部202に加えてガレージ開口部203、ならびに外部階段201を介してアクセスされる第2のレベルのドア開口部202(図示されていない)が提供される。ファーリングストリップあるいは下地ストリップ418は、第1および第2の長手方向天井縁部406および416に沿って、第2の横方向および第1の横方向天井縁部408および410に沿って、そして必要に応じてそれらの縁部の周囲内で選択された間隔で離間して、天井上面402に提供され得る。図6Cに示されるそのような下地ストリップ418は、多層構造のレベル間に空気バリアを提供する。必要に応じて、離れた場所に固定された鉄筋プレートを使用して、上にある床部材300を下にある天井部材400に結合するなどによって、積み重ねられた完成構造体150を互いに固定するための手段を利用することができる。
【0152】
4つ以上の完成構造体150が2×2アレイに積み重ねられる場合、それらのベースボード310(図6Aに示される)は、適切な場所で利用される場合、互いに隣接し、それにより、積み重ねられた完成構造体150の間にスペースを提供する。例えば、ベースボード310は、(床部材300に平行な寸法で)厚さが約2インチ(5.08cm)としてもよい。そのような厚さは、幅が約4インチ(10.16cm)の隣接する完成構造体150の間にスペースを提供し、配管スタック(液体廃水排出に使用される垂直メイン)または電気メインなどの床と床の間にユーティリティラインを通すために利用できる。そのようなユーティリティラインは、適切な位置で肩ビーム435に開口を形成することによって、必要に応じてアクセスすることができる。
【0153】
上述の詳細な説明は、例示のみを目的としており、本発明を限定するものとみなされるべきではない。本発明は、添付の特許請求の範囲において規定されるものである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8
図9
図10
図11