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特許7492529冷媒を輸送、移送、保管及び使用するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】冷媒を輸送、移送、保管及び使用するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   F25B 45/00 20060101AFI20240522BHJP
   B01D 17/00 20060101ALI20240522BHJP
   B01D 19/00 20060101ALI20240522BHJP
   B01D 29/01 20060101ALI20240522BHJP
   B65D 90/48 20060101ALN20240522BHJP
   F17C 13/00 20060101ALN20240522BHJP
【FI】
F25B45/00 C
F25B45/00 A
B01D17/00 503D
B01D19/00 F
B01D29/04 530A
B65D90/48 Z
F17C13/00 301Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021552960
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 US2020021425
(87)【国際公開番号】W WO2020185574
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】62/815,528
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/952,788
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マリー イー.コーバン
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ウェストダイク
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー エフ.スタシオ
(72)【発明者】
【氏名】カール ロバート クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ジャン サン-ブランクス
(72)【発明者】
【氏名】ション ペン
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06591629(US,B1)
【文献】国際公開第2004/063645(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0103077(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を複数の冷媒システムに送達するための方法であって、前記方法が、
前記冷媒を前記複数の冷媒システムへと送達するために配列及び配置される、分配システムを提供すること、
前記分配システムを用いて前記冷媒を前記複数の冷媒システムへと移送すること、及び
前記複数の冷媒システムにて使用するための前記冷媒の適合性に基づき、冷媒を、前記複数の冷媒システム又は回収システムのいずれかへと方向付けることを含む、方法。
【請求項2】
前記分配システム内の1つ又は複数のセンサを用い、前記冷媒の少なくとも1つの分配パラメータを測定することを更に含み、前記方向付けることが、少なくとも1つの閾値パラメータと前記少なくとも1つの分配パラメータとの比較に応じるものであり、前記少なくとも1つの分配パラメータが、冷媒温度、冷媒の水分濃度、冷媒非吸収性ガス濃度、冷媒酸性度及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの閾値パラメータが、100℃の冷媒温度、AHRI 700(2016)に従って10重量ppmである冷媒の水分濃度、AHRI 700(2016)に従って、25℃にて1.5体積パーセントの冷媒非吸収性ガス濃度、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記分配システムが、分配容器、移送ライン、少なくとも1つのポンプ、分配ライン及び分配ラインの支線を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記分配システム内の1つ又は複数のセンサを用い、前記冷媒の少なくとも1つの分配パラメータを測定することを更に含み、前記センサが、前記冷媒を前記複数の冷媒システムに送達する前に、前記少なくとも1つの分配パラメータを前記分配ラインの支線にて測定するために配列及び配置される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記回収システムが、回収容器、脱水モジュール、不活性ガスのパージモジュール、非吸収性ガス還元ユニット、ろ過モジュールのうち1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記選択的に方向付けることが、前記1つ又は複数のセンサを用いて測定された前記少なくとも1つの分配パラメータが前記少なくとも1つの閾値パラメータを超える時に、冷媒を前記回収システムに方向付けることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記選択的に方向付けることが、(i)前記1つ又は複数のセンサを用いて測定された温度が100℃の冷媒温度の閾値パラメータを超える時に、冷媒を前記回収システムに方向付けること、又は(ii)前記1つ又は複数のセンサを用いて測定された冷媒の水分濃度が、AHRI 700(2016)に従って10重量ppmである冷媒の水分濃度の閾値パラメータを超える時に、冷媒を前記回収システムに方向付けること、或いは(iii)前記1つ又は複数のセンサを用いて測定された非吸収性ガス濃度がAHRI 700(2016)に従って25℃にて1.5体積パーセントの冷媒非吸収性ガス濃度の閾値パラメータを超える時に、冷媒を前記回収システムに方向付けることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記選択的に方向付けることが、前記1つ又は複数のセンサを用いて測定された非吸収性ガス濃度がAHRI 700(2016)に従って25℃にて1.5体積パーセントの冷媒非吸収性ガス濃度の閾値パラメータを超える時に、冷媒を前記回収システムに方向付けることを含み、前記非吸収性ガスが酸素である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記選択的に方向付けることが、以下の閾値パラメータのうち1つ又は複数を超える時、すなわち、
前記1つ又は複数のセンサを用いて測定された温度が100℃の冷媒温度を超える、
前記1つ又は複数のセンサを用いて測定された冷媒の水分濃度がAHRI 700(2016)に従って10重量ppmである冷媒の水分濃度を超える、及び
前記1つ又は複数のセンサを用いて測定された非吸収性ガス濃度が、AHRI 700(2016)に従って25℃にて1.5体積パーセントである冷媒非吸収性ガス濃度を超える時に、冷媒を前記回収システムに方向付けることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
冷媒を複数の冷媒システムに送達するためのシステムであって、前記システムが、
冷媒を分配容器から前記複数の冷媒システムへと移送するために配列及び配置される、前記分配容器、移送ライン、少なくとも1つのポンプ、分配ライン及び分配ラインの支線を備える、分配システム、
前記分配システム内の少なくとも1つの分配パラメータを測定するために配列及び配置される1つ又は複数のセンサを備える、モニタリングシステム、及び
前記少なくとも1つの分配パラメータと少なくとも1つの閾値パラメータとの比較に応じて、前記複数の冷媒システムにて使用するための前記冷媒の適合性に基づき、冷媒を選択的に受け取るように配列及び配置された回収システム、を備える、システム。
【請求項12】
前記1つ又は複数のセンサが、冷媒温度、冷媒の水分濃度、冷媒非吸収性ガス濃度、冷媒酸性度及びそれらの組合せからなる群から選択される分配パラメータを測定するように配列及び配置される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記回収システムが、1つ又は複数の以下の閾値パラメータを超える時、すなわち、
前記1つ又は複数のセンサを用いて測定された温度が100℃の冷媒温度を超える、
前記1つ又は複数のセンサを用いて測定された冷媒の水分濃度がAHRI 700(2016)に従って10重量ppmである冷媒の水分濃度を超える、及び
前記1つ又は複数のセンサを用いて測定された非吸収性ガス濃度が、AHRI 700(2016)に従って25℃にて1.5体積パーセントである冷媒非吸収性ガス濃度を超える時に、冷媒を前記回収システムに方向付けることを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記回収システムが、回収容器、脱水モジュール、不活性ガスのパージモジュール、非吸収性ガス還元ユニット、及びろ過モジュールのうち1つ又は複数を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記センサが、前記冷媒を前記複数の冷媒システムに送達する前に、前記少なくとも1つの分配パラメータを測定するために配列される、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2019年3月8日に出願された米国特許出願第62/815528号、及び2019年12月23日に出願された米国特許出願第62/952788号の利益を主張する。米国特許出願第62/815528号及び同第62/952788号の開示はしたがって、参照により本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、冷媒のブレンド、輸送、移送、及び保管及び使用に関する。特に、本明細書に記載の方法は、組み合わせられたこれらの手法のいずれか又は全ての間に、望ましくない反応生成物が形成されるのを防止する。
【背景技術】
【0003】
オレフィン化合物は、二重結合によって結合された炭素原子の1つ又は複数の対を含む不飽和炭化水素である。不飽和二重結合は、様々な反応種によって攻撃を受ける反応性部分を提供する。
【0004】
多くの市販の冷媒は、ハロゲン化オレフィン化合物を含む。ヒドロクロロオレフィン(HFO)及びヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)は、それらの低い地球温暖化係数(GWP)により、現代の冷媒として有用であることが分かっている。移送、輸送、保管及び使用の間、オレフィン系冷媒は、二重結合を反応させ、冷媒の製品としての性能及び効果を低減させる不要の副生成物を形成する、有害物質又は非常に望ましくない条件に直面し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願第62/815528号
【文献】米国特許出願第62/952788号
【文献】米国特許出願第62/815528号
【文献】米国特許出願第62/952788号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、望ましくない可能性がある反応生成物の形成を防止するような、オレフィン系冷媒を輸送、移送、保管、及び使用するシステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、冷媒を冷媒システムに送達するための方法。本方法は、冷媒を冷媒システムに送達するために配列及び配置される分配システムを提供すること、並びに分配システムにより冷媒を冷媒システムに移送することを含む。本方法は、分配システム内の1つ又は複数のセンサにより、冷媒の少なくとも1つの分配パラメータを測定すること、少なくとも1つの閾値パラメータと少なくとも1つの分配パラメータとの比較に応じて、冷媒システムにて使用するための冷媒の適合性に基づき、冷媒を冷媒システム又は回収システムのいずれかへと選択的に方向付けること、を追加的に含む。
【0008】
別の実施形態において、冷媒を冷媒システムに送達するためのシステム。本システムは、冷媒を分配容器から冷媒システムへと移送するために配列及び配置される、分配容器、移送ライン、少なくとも1つのポンプ、分配ライン及び分配ラインの支線を備える、分配システムを含む。
【0009】
使用される移送ライン及びホースは、好ましくは非ポリマー材料で構成される。移送ライン及びホースは、編組ステンレス鋼で理想的には作製されるべきである。加えて、移送ライン連結装置は、ドライバルク連結器などの、製品の劣化及び/又は排出を制限する種類のものにすることができる。
【0010】
本システムは、分配システム内の少なくとも1つの分配パラメータを測定するために配列及び配置される1つ又は複数のセンサを備えるモニタリングシステム、及び少なくとも1つの閾値パラメータと少なくとも1つの分配パラメータの比較に応じて、冷媒システムにて使用するための冷媒の適合性に基づき、冷媒を選択的に受け取るように配列及び配置された回収システムを追加的に含む。
【0011】
本発明の一実施形態は冷媒を冷媒システムに送達するための方法に関し、この方法は、
冷媒を冷媒システムに送達するために配列及び配置される、分配システムを提供すること、
冷媒システムに冷媒を分配システムで移送すること、
分配システム内の1つ又は複数のセンサを用い、冷媒の少なくとも1つの分配パラメータを測定すること、
少なくとも1つの閾値パラメータと少なくとも1つの分配パラメータとの比較に応じて、冷媒システムにて使用するための冷媒の適合性に基づき、冷媒を冷媒システム又は回収システムのいずれかに選択的に方向付けることを含む。
【0012】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、少なくとも1つの分配パラメータは、冷媒温度、冷媒の水分濃度、冷媒非吸収性ガス濃度、冷媒の非揮発性残留物、冷媒酸性度及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0013】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、少なくとも1つの閾値パラメータは、100℃の冷媒温度、AHRI 700(2016)に従って10重量ppmの冷媒の水分濃度、25℃、AHRI 700(2016)に従って約0.9~約1.5、いくつかの場合において、約0.9~約1.1、及び通常は約0.5~約0.9体積パーセントの冷媒非吸収性ガス濃度、20重量ppmより小さい不揮発性残留物、冷媒酸性度並びにそれらの組合せからなる群から選択される。
【0014】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、分配システムは、分配容器、移送ライン、少なくとも1つのポンプ、分配ライン及び分配ラインの支線を更に含む。
【0015】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、分配ラインは、冷媒を冷媒システムに送達するために、冷媒システムに選択的に適合する。
【0016】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、センサは、冷媒を冷媒システムに送達する前に、分配ラインの支線にて少なくとも1つの分配パラメータを測定するように配列及び配置される。
【0017】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、回収システムは回収容器を含む。
【0018】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、回収システムは、回収容器、脱水モジュール、不活性ガスのパージモジュール、非吸収性ガス還元ユニット、及びろ過モジュールのうち1つ又は複数を含む。
【0019】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、選択的に方向付けることは、1つ又は複数のセンサを用いて測定された少なくとも1つの分配パラメータが、少なくとも1つの閾値パラメータを超える時に、冷媒を回収システムに方向付けることを含む。
【0020】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、選択的に方向付けることは、1つ又は複数のセンサを用いて測定された温度が、100℃の冷媒温度の閾値パラメータを超える時に、冷媒を回収システムに方向付けることを含む。
【0021】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、選択的に方向付けることは、1つ又は複数のセンサを用いて測定された冷媒の水分濃度が、AHRI 700(2016)に従って、10重量ppmの冷媒の水分濃度の閾値パラメータを超える時に、冷媒を回収システムに方向付けることを含む。
【0022】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、選択的に方向付けることは、1つ又は複数のセンサを用いて測定された非吸収性ガス濃度が、AHRI 700(2016)に従って、25℃で0.9~1.1体積パーセントの冷媒非吸収性ガス濃度の閾値パラメータを超える時に、冷媒を回収システムに方向付けることを含む。
【0023】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、非吸収性ガスは酸素である。
【0024】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、選択的に方向付けることは、以下の閾値パラメータのうち1つ又は複数を超える時、すなわち、
1つ又は複数のセンサを用いて測定された温度が100°Cの冷媒温度を超える、
1つ又は複数のセンサを用いて測定された冷媒の水分濃度がAHRI 700(2016)に従って10重量ppmである冷媒の水分濃度を超える、及び
1つ又は複数のセンサを用いて測定された非吸収性ガス濃度が、AHRI 700(2016)に従って25℃にて0.9~1.1体積パーセントである冷媒非吸収性ガス濃度を超える時に、冷媒を回収システムに方向付けることを含む。
【0025】
本発明の一実施形態は冷媒を冷媒システムに送達するためのシステムに関し、このシステムは、
冷媒を分配容器から冷媒システムへと移送するために配列及び配置される、分配容器、移送ライン、少なくとも1つのポンプ、分配ライン及び分配ラインの支線を備える、分配システム、
分配システム内の少なくとも1つの分配パラメータを測定するために配列及び配置される1つ又は複数のセンサを備える、モニタリングシステム、及び
少なくとも1つの分配パラメータと少なくとも1つの閾値パラメータとの比較に応じて、冷媒システムにて使用するための冷媒の適合性に基づき、冷媒を選択的に受け取るように配列及び配置された回収システム、を備える。
【0026】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、1つ又は複数のセンサは、冷媒温度、冷媒の水分濃度、冷媒非吸収性ガス濃度、冷媒酸性度及びそれらの組合せからなる群から選択される分配パラメータを測定するために配列及び配置される。
【0027】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、回収システムは、以下の閾値パラメータのうち1つ又は複数を超える時、すなわち、
1つ又は複数のセンサを用いて測定された温度が100°Cの冷媒温度を超える、
1つ又は複数のセンサを用いて測定された冷媒の水分濃度がAHRI 700(2016)に従って10重量ppmである冷媒の水分濃度を超える、及び
1つ又は複数のセンサを用いて測定された非吸収性ガス濃度が、AHRI 700(2016)に従って25℃にて1.5体積パーセントである冷媒非吸収性ガス濃度を超える時に、回収システムは冷媒を受容する。
【0028】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、回収システムは、1つ又は複数のセンサを用いて測定された冷媒温度が100℃の閾値パラメータを超える時に、冷媒を受容する。
【0029】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、回収システムは、1つ又は複数のセンサを用いて測定された冷媒の水分濃度が、AHRI 700(2016)に従って10重量ppmの閾値パラメータを超える時に、冷媒を受容する。
【0030】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、回収システムは、1つ又は複数のセンサを用いて測定された非吸収性ガス濃度が、閾値パラメータであるAHRI 700(2016)に従って25℃で、1.5体積パーセントのガス濃度を超える時に、冷媒を受容する。
【0031】
本発明の別の実施形態は上記の実施形態の任意の組合せに関し、回収システムは回収容器を含む。
【0032】
本発明の別の実施形態は上記の任意の組合せに関し、回収システムは、回収容器、脱水モジュール、不活性ガスのパージモジュール、非吸収性ガス還元ユニット、及びろ過モジュールのうち1つ又は複数を含む。
【0033】
本発明の別の実施形態は上記の任意の組合せに関し、回収システムは、回収容器、脱水モジュール、不活性ガスのパージモジュール、非吸収性ガス還元ユニット、及びろ過モジュールのうち1つ又は複数を含む。
【0034】
本発明の別の実施形態は上記の任意の組合せに関し、分配ラインは冷媒システムに適合して冷媒を冷媒システムに送達するように構成されている。
【0035】
本発明の別の実施形態は上記の任意の組合せに関し、センサは、冷媒を冷媒システムに送達する前に少なくとも1つの分配パラメータを測定するように配列される。
【0036】
本発明の様々な様態及び実施形態は、単独で、又は互いに組み合わせて使用されることができる。本発明の他の特徴及び利点は、例として本発明の原理を例示する添付図面と併せてなされる、以下のより詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本開示の一実施形態による、冷媒分配システムの透視図である。
図2】一実施形態による、縦型トンタンクの正面図である。
図3】一実施形態による、縦型トンタンクの側面図である。
図4A】一実施形態による、縦型トンタンクの内部配管の拡大正面図である。
図4B】一実施形態による、縦型トンタンクの内部配管の拡大側面図である。
図5】一実施形態による、縦型トンタンクの配管連結器を示す。
図6】一実施形態による、縦型トンタンクの底部の図である。
図7】一実施形態による、縦型トンタンクのバルブ構成の拡大上面図である。
図8】一実施形態による、縦型トンタンクのバルブ構成の拡大側面図である。
図9】一実施形態による、底部保護カラーを有する縦型トンタンクの図である。
図10】一実施形態による、縦型トンタンクの底部保護カラーの一部としてのドアを示す。
【0038】
可能な限り、同一の参照番号は、同じ部品を表すために図面全体にわたって使用される。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、適切ではない取り扱い、保管及び冷媒の移送によって引き起こされる、冷媒(及び冷媒のブレンド)の分解、混入並びに望ましくない反応によって引き起こされる問題を解決することができる。
【0040】
望ましくない反応生成物の形成を防止する、オレフィン系冷媒の輸送及び移送の方法及びシステムが提供される。
【0041】
本開示の実施形態は、例えば、本明細書に開示された特徴のうち、1つ又は複数を含まない概念と比較して、
図1では、冷媒分配システム100が記載される。図1の例において、冷媒組成物115を含有する送達容器110は、分配センサ125を含むモニタリングシステム120によってサンプリングされる。モニタリングシステム120は、分配センサ125から、冷媒組成物115の少なくとも1つの分配パラメータを受信する。少なくとも1つの分配パラメータは、温度、水分濃度、非吸収性ガス(NAG)濃度、酸性度、及びそれらの組合せを含んでもよい。NAGは、大気ガス(通常は、78%の窒素、21%の酸素、及び約1%のアルゴンから構成される)を含み、これは、冷媒の液相中の空気の溶解度が比較的低い場合に冷媒の気相中に蓄積される。当該冷媒内に含有されるNAG(液体冷媒内に溶解される)の総量を減少させることが望ましくてもよい一方、好ましくは、窒素部分よりもNAGの酸素含有部分を減少させることが通常はより望ましい。ある特定の状況下では、酸素含有部分は、不要のポリマー材料を分解又は形成する、冷媒の傾向性を増加させてもよい。
【0042】
一実施形態において、安定剤又はポリマー阻害物質は、分配システム100へと導入されることができる。安定剤又はポリマー阻害物質は、不要のポリマー材料を減少(又はその形成を除外)させることができる。安定剤又はポリマー阻害物質は、酸化剤濃度が閾値を超えるのを検知するのに応じて導入されることができる。任意の好適なポリマー阻害剤又は安定剤が使用されることができる一方、好適な阻害剤又は安定剤の例は、国際公開第2019213004(A1)号にて開示される。これらの開示は、参照により本明細書に援用される。
【0043】
モニタリングシステム120は、少なくとも1つの分配パラメータが、少なくとも1つの所定の分配閾値を下回るかどうかを測定する。少なくとも1つの分配パラメータが、少なくとも1つの所定の分配閾値を下回る場合には、冷媒組成物115は分配に好適である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの分配パラメータは、温度、水分濃度、非吸収性ガス(NAG)の濃度、酸性度、酸化剤、粒子、及びそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの所定の分配閾値は、100℃以下の温度、AHRI 700(2016)に従って10重量ppmの水分レベル、AHRI 700(2016)に従って25℃での1.5体積パーセント未満のNAG濃度、及びそれらの組合せを含む。図1は送達容器110上のセンサ125を示すが、他の実施形態においては送達容器110上のセンサ125は省略されてもよい。他の実施形態において、少なくとも1つの所定の分配閾値は、120℃以下の温度、AHRI 700(2016)に従って10重量ppmの水分レベル、AHRI 700(2016)に従って25℃での0.9体積パーセント未満のNAG濃度、及びそれらの組合せを含む。図1は送達容器110上のセンサ125を示すが、他の実施形態においては送達容器110上のセンサ125は省略されてもよい。
【0044】
一実施形態において、モニタリングシステムは、分配パラメータの存在を検知するインライン装置を使用する。インライン装置は、分配システム内の任意の好適な1つ又は複数の位置に位置付けることができる。例えば、酸化剤の存在を検知するインラインのGC/MS機器。
【0045】
別の実施形態において、1つの所定の分配閾値は、100℃以下の温度、AHRI 700(2016)に従って10重量ppmの水分レベル、AHRI 700(2016)に従って25℃での0.9体積パーセント未満のNAG濃度を含む。図1は送達容器110上のセンサ125を示すが、他の実施形態においては送達容器110上のセンサ125は省略されてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、冷媒組成物115は、ヒドロフルオロオレフィン又はヒドロクロロフルオロオレフィン、又はヒドロフルオロイディオオレフィン(hydrofluoroidio olefin)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、冷媒組成物115は、総冷媒組成物115に基づき、少なくとも0.5重量パーセント、99.5重量パーセントまで(99.5重量パーセントを含む)の量で、ヒドロフルオロオレフィン又はヒドロクロロフルオロオレフィンを含む。いくつかの実施形態において、ヒドロフルオロオレフィンは、
以下、すなわち、
1,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン(CHF=CFCF)、
1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン(CF=CHCF)、
1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン(CF=CFCHF)、
1,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(CHF=CFCHF)、
2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(CH=CFCF)、
1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペンCHF=CHCF)、
1,1,2,3-テトラフルオロ-1-プロペン(CF=CFCHF)、
1,1,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(CF=CHCHF)、
1,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(CHF=CFCHF)、
3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(CH=CHCF)、
2,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(CHFCF=CH)、
1,1,2-トリフルオロ-1-プロペン(CHCF=CF)、
1,2,3-トリフルオロ-1-プロペン(CHFCF=CF)、
1,1,3-トリフルオロ-1-プロペン(CHFCH=CF)、
1,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(CHFCH=CHF)、
1,1,1,2,3,4,4,4-オクタフルオロ-2-ブテン(CFCF=CFCF)、
1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン(CFCFCF=CF)、
1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CFCF=CHCF)、
1,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン(CHF=CFCFCF)、
1,1,1,2,3,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(CHFCF=CFCF)、
1,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン((CFC=CHF)、1,1,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン(CF=CHCFCF)、
1,1,2,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン(CF=CFCHFCF)、
1,1,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン(CF=CFCFCHF)、
2,3,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン(CFCFCF=CH)、
1,3,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン(CHF=CHCFCF)、
1,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン(CHF=CFCHFCF)、
1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン(CHF=CFCFCHF)、
1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(CHFCF=CFCHF)、
1,1,1,2,3,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(CHFCF=CFCF)、
1,1,1,2,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(CHFCH=CFCF)、
1,1,1,3,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(CFCH=CFCHF)、
1,1,2,3,3,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン(CF=CFCFCHF)、
1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン(CF=CFCHFCHF)、
3,3,3-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン(CH=C(CF)、
1,1,1,2,4-ペンタフルオロ-2-ブテン(CHFCH=CFCF)、
1,1,1,3,4-ペンタフルオロ-2-ブテン(CFCH=CFCHF)、
3,3,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン(CFCFCH=CH)、
1,1,1,4,4-ペンタフルオロ-2-ブテン(CHFCH=CHCF)、
1,1,1,2,3-ペンタフルオロ-2-ブテン(CHCF=CFCF)、
2,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン(CH=CFCFCHF)、
1,1,2,4,4-ペンタフルオロ-2-ブテン(CHFCF=CHCHF)、
1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-1-ブテン(CHCFCF=CF)、
1,1,2,3,4-ペンタフルオロ-2-ブテン(CHFCF=CFCHF)、
1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-メチル-1-プロペン(CF=C(CF)(CH))、
2-(ジフルオロメチル)-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(CH=C(CHF)(CF))、2,3,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン(CH=CFCHFCF)、
1,2,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン(CHF=CFCHCF)、
1,3,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン(CHF=CHCHFCF)、
1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン(CHF=CHCFCHF)、
1,2,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン(CHF=CFCHFCHF)、
3,3,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン(CH=CHCFCHF)、
1,1-ジフルオロ-2-(ジフルオロメチル)-1-プロペン(CF=C(CHF)(CH))、
1,3,3,3-テトラフルオロ-2-メチル-1-プロペン(CHF=C(CF)(CH))、
3,3-ジフルオロ-2-(ジフルオロメチル)-1-プロペン(CH=C(CHF)、
1,1,1,2-テトラフルオロ-2-ブテン(CFCF=CHCH)、
1,1,1,3-テトラフルオロ-2-ブテン(CHCF=CHCF)、
1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロ-2-ペンテン(CFCF=CFCFCF)、
1,1,2,3,3,4,4,5,5,5-デカフルオロ-1-ペンテン(CF=CFCFCFCF)、
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン((CFC=CHCF)、
1,1,1,2,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン(CFCF=CHCFCF)、
1,1,1,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン(CFCH=CFCFCF)、
1,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-1-ペンテン(CHF=CFCFCFCF)、
1,1,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-1-ペンテン(CF=CHCFCFCF)、
1,1,2,3,3,4,4,5,5-ノナフルオロ-1-ペンテン(CF=CFCFCFCHF)、
1,1,2,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン(CHFCF=CFCFCF)、
1,1,1,2,3,4,4,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン(CFCF=CFCFCHF)、
1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン(CFCF=CFCHFCF)、
1,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CHF=CFCF(CF)、
1,1,2,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CF=CFCH(CF)、
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン(CFCH=C(CF)、
1,1,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CF=CHCF(CF)、
2,3,3,4,4,5,5,5-オクタフルオロ-1-ペンテン(CH=CFCFCFCF)、
1,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンテン(CHF=CFCFCFCHF)、
3,3,4,4,4-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CH=C(CF)CFCF)、
1,1,4,4,4-ペンタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CF=CHCH(CF)、
1,3,4,4,4-ペンタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CHF=CHCF(CF)、
1,1,4,4,4-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CF=C(CF)CHCF)、
3,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン((CFCFCH=CH)、
3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-1-ペンテン(CFCFCFCH=CH)、
2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロ-1-ペンテン(CH=CFCFCFCHF)、
1,1,3,3,5,5,5-ヘプタフルオロ-1-ブテン(CF=CHCFCHCF)、
1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-3-メチル-2-ブテン(CFCF=C(CF)(CH))、
2,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CH=CFCH(CF)、
1,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CHF=CHCH(CF)、
1,1,1,4-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン(CHFCH=C(CF)、
1,1,1,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン(CHCF=C(CF)、
1,1,1-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン((CFC=CHCH)、
3,4,4,5,5,5-ヘキサフルオロ-2-ペンテン(CFCFCF=CHCH)、
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-ブテン(CFC(CH)=CHCF)、
3,3,4,5,5,5-ヘキサフルオロ-1-ペンテン(CH=CHCFCHFCF)、
4,4,4-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CH=C(CF)CHCF)、
1,1,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6-ドデカフルオロ-1-ヘキセン(CF(CFCF=CF)、
1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,6-ドデカフルオロ-3-ヘキセン(CFCFCF=CFCFCF)、
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2,3-ビス(トリフルオロメチル)-2-ブテン((CFC=C(CF)、
1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン((CFCFCF=CFCF)、
1,1,1,4,4,5,5,5-オクタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン((CFC=CHC)、
1,1,1,3,4,5,5,5-オクタフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン((CFCFCF=CHCF)、
3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロ-1-ヘキセン(CFCFCFCFCH=CH)、
4,4,4-トリフルオロ-3,3-ビス(トリフルオロメチル)-1-ブテン(CH=CHC(CF)、
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-メチル-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン((CFC=C(CH)(CF))、
2,3,3,5,5,5-ヘキサフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-1-ペンテン(CH=CFCFCH(CF)、
1,1,1,2,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-3-メチル-2-ペンテン(CFCF=C(CH)CFCF)、
1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン(CFCH=CHCH(CF)、
3,4,4,5,5,6,6,6-オクタフルオロ-2-ヘキセン(CFCFCFCF=CHCH)、
3,3,4,4,5,5,6,6-オクタフルオロ1-ヘキセン(CH=CHCFCFCFCHF)、
1,1,1,4,4-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン((CFC=CHCFCH)、
4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ペンテン(CH=C(CF)CH)、
3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-2-メチル-1-ペンテン(CFCFCFC(CH)=CH)、
4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-2-ヘキセン(CFCFCFCH=CHCH)、
4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-1-ヘキセン(CH=CHCHCF)、
1,1,1,2,2,3,4-ヘプタフルオロ-3-ヘキセン(CFCFCF=CFC)、
4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-1-ペンテン(CH=CHCHCF(CF)、
1,1,1,2,5,5,5-ヘプタフルオロ-4-メチル-2-ペンテン(CFCF=CHCH(CF)(CH))、
1,1,1,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン((CFC=CFC)、
1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7-テトラデカフルオロ-2-ヘプテン(CFCF=CFCFCF)、
1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,7,7,7-テトラデカフルオロ-3-ヘプテン(CFCFCF=CFCF)、
1,1,1,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-2-ヘプテン(CFCH=CFCFCF)、
1,1,1,2,4,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-2-ヘプテン(CFCF=CHCFCF)、
1,1,1,2,2,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-3-ヘプテン(CFCFCH=CFCF)、
1,1,1,2,2,3,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-3-ヘプテン(CFCFCF=CHCF)、
ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル(CF=CFOCFCF)、並びに
トリフルオロメチルトリフルオロビニルエーテル(CF=CFOCF)からなる群から選択されるフルオロオレフィンである、少なくとも1つを含む。
【0047】
送達容器110は、第1の位置から第2の位置へと輸送されてもよい。送達容器110は、任意の好適な輸送モードにより輸送されてもよい。
【0048】
冷媒組成物115の少なくとも一部分は、第2の位置にて、任意で輸送ポンプ112を含む分配ライン111を介して送達容器110から分配容器130へ移送される。冷媒組成物115は、分配容器130への移送中、及び/又は移送後に、モニタリングシステム120によりサンプリングされてもよい。モニタリングシステム120は、分配容器130内の冷媒組成物115をサンプリングするように構成された分配センサ125を含んでもよい。モニタリングシステム120は、分配センサ125からの、冷媒組成物115の少なくとも1つの分配パラメータを受信する。少なくとも1つの分配パラメータは、温度、水分濃度、非吸収性ガス(NAG)濃度、酸性度、及びそれらの組合せを含んでもよい。モニタリングシステム120は、少なくとも1つの分配パラメータが少なくとも1つの所定の分配閾値を下回るかどうかを測定する。少なくとも1つの分配パラメータが、少なくとも1つの所定の分配閾値を下回る場合には、冷媒組成物115は更なる分配に好適である。図1は分配容器130上のセンサ125を示すが、他の実施形態においては分配容器130上のセンサ125は省略されてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの分配パラメータは、温度、水分濃度、非吸収性ガス(NAG)の濃度、酸性度、及びそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの分配パラメータは少なくとも1つの分配パラメータを含んでもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの分配パラメータ及び少なくとも1つの分配パラメータは同じである。
【0050】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの所定の分配閾値は、わずか100℃の温度、AHRI 700(2016)に従って10重量ppmの水分レベル、AHRI 700(2016)に従って25℃での1.1体積パーセント未満のNAG濃度、及びそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの所定の分配閾値は、少なくとも1つの所定の閾値を含んでもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの所定の閾値及び少なくとも1つの所定の分配閾値は同じである。
【0051】
分配システム100は、冷媒組成物115の少なくとも一部分を、エンドユーザに移送してもよい。分配ライン111は、分配バルブ151を介して分配容器130に接続される。分配バルブ151の操作は、ユーザの入力、1つ又は複数のセンサからのデータ、他のデータ及びそれらの組合せに基づき、モニタリングシステム120によって調節されてもよい。分配バルブ151は、冷媒組成物115の流れを調節するために使用されてもよい。分配ライン内の圧力は、1つ又は複数の分配ポンプ152により調節されてもよい。1つ又は複数の分配センサ125は、分配ライン111内の冷媒組成物115をサンプリングするように構成されている。モニタリングシステム120は、1つ又は複数の分配センサ125から冷媒組成物115の少なくとも1つの分配パラメータを受信する。少なくとも1つの分配パラメータは、温度、水分濃度、非吸収性ガス(NAG)濃度、酸性度、及びそれらの組合せを含んでもよい。モニタリングシステム120は、少なくとも1つの分配パラメータが、少なくとも1つの所定の閾値を下回るかどうかを測定する。少なくとも1つの分配パラメータが、少なくとも1つの所定の閾値を下回る場合には、冷媒組成物115はエンドユーザへの送達に好適である。図1は分配ライン111上のセンサ125を示すが、他の実施形態においては分配ライン111上のセンサ125は省略されてもよい。
【0052】
ラックシステム160は、冷媒組成物115を、1つ又は複数のエンドユーザの冷媒システム175に送達するために使用されてもよい。ラックシステム160により、冷媒組成物115を、複数のエンドユーザの冷媒システム175に同時に送達することが可能となる。1つ又は複数の分配センサ125は、分配ライン111内の冷媒組成物115をサンプリングするように構成されている。モニタリングシステム120は、1つ又は複数の分配センサ125から冷媒組成物115の少なくとも1つの分配パラメータを受信する。少なくとも1つの分配パラメータは、温度、水分濃度、非吸収性ガス(NAG)濃度、酸性度、及びそれらの組合せを含んでもよい。モニタリングシステム120は、少なくとも1つの分配パラメータが少なくとも1つの所定の分配閾値を下回るかどうかを測定する。少なくとも1つの分配パラメータが、少なくとも1つの所定のラックライン閾値を下回る場合には、冷媒組成物115はエンドユーザへと提供される。
【0053】
分配ライン111は、複数の分配ラインの支線170を含んでもよい。各分配ラインの支線170は、冷媒組成物115をエンドユーザに独立して送達するように構成されていてもよい。分配ラインの支線170は、分配ラインの支線バルブ171を更に含んでもよいが、これは分配ラインの支線170において冷媒組成物115の流れを調節することができる。分配ラインの支線はまた、分配ラインの支線170内の冷媒組成物115をサンプリングするように構成された1つ又は複数の分配ラインのセンサ125を含んでもよい。モニタリングシステム120は、1つ又は複数の分配ラインセンサ125から冷媒組成物115の少なくとも1つの分配ラインパラメータを受信する。少なくとも1つの分配ラインパラメータは、温度、水分濃度、非吸収性ガス(NAG)濃度、酸性度、及びそれらの組合せを含んでもよい。モニタリングシステム120は、少なくとも1つの分配ラインパラメータが、少なくとも1つの所定の分配ライン閾値を下回るかどうかを測定する。少なくとも1つの分配ラインパラメータが少なくとも1つの分配ライン所定の閾値を下回る場合、冷媒組成物115はラック移送バルブ173を介してエンドユーザに提供される。分配ラインの支線170は、冷媒組成物115の逆流及び外部材料が導入する可能性を防止するため、逆流防止装置174を追加的に含んでもよい。
【0054】
いくつかの実施形態において、ラック移送バルブ173は、エンドユーザのシステムである冷媒システム175と取り外し可能に流体連通するように構成されたノズル部分を含んでもよい。
【0055】
モニタリングシステム120が、少なくとも1つの分配ラインパラメータが少なくとも1つの所定の分配ライン閾値を上回ると測定する場合には、冷媒組成物115の1つ又は複数の特性が変化している可能性があり、所望の仕様に合致しない再利用不可能な冷媒組成物が発生する。モニタリングシステム120が決定する場合には、少なくとも1つの分配ラインパラメータは、冷媒組成物115のラックラインの支線中では少なくとも1つの所定の分配ライン閾値を上回る。モニタリングシステム120は、エンドユーザである冷媒システム175への冷媒組成物115の分散を調節してもよい。いくつかの実施形態において、モニタリングシステム120は、冷媒組成物115の分散を中止するために1つ又は複数のバルブ151、171、173を閉鎖してもよい。
【0056】
分配ラインの支線170は、再利用不可能な冷媒組成物をエンドユーザのシステムである冷媒システム175に移送するのを防止するために、エンドユーザシステムである冷媒システム175から取り外されてもよい。次いで、分配ラインの支線170は、回収システム180に取り外し可能に接続されてもよい。次いで、分配ラインの支線170は、再利用不可能な冷媒組成物をパージしてもよい。次いで、改善されていない冷媒組成物及びパージ物質は、回収され、かつ再利用されてもよい。改善されていない冷媒組成物の回収は、再利用不可能な冷媒組成物を環境へと放出することを加えて防止する。
【0057】
回収システム180は、分配ラインの支線170に選択的に接続又は取り外し可能に接続されるように構成された回収ライン181を含み、これにより再利用不可能な冷媒組成物を、1つ又は複数の回収容器182に移送することが可能となる。
【0058】
1つ又は複数の回収容器182は、1つ又は複数の処理モジュールを有する処理ユニット190により処理されるまで、再利用不可能な冷媒組成物を保管してもよい。処理モジュールは、再利用不可能な冷媒組成物の特性を所望の仕様の範囲内に戻すために、再利用不可能な冷媒組成物の組成を変更してもよい。
【0059】
回収システム180は、1つ又は複数の回収システムのセンサ183を追加的に含んでよく、これは1つ又は複数の回収容器182において、及び/又は1つ又は複数の処理モジュールによる処理の後に再利用不可能な冷媒組成物の特性をサンプリングしてもよい。モニタリングシステム120は、1つ又は複数の回収センサ183から1つ又は複数の回収パラメータを受信してもよい。いくつかの実施形態において、回収パラメータは、温度、水分濃度、非濃縮物質の濃度(例えば、酸素濃度)、不溶性微粒子の濃度、色、及び/又は酸性度(例えば、総酸価)を含んでもよい。次いで、モニタリングシステム120は、再利用不可能な冷媒組成物を、受信されたパラメータに基づいて処理ユニット190の1つ又は複数の処理モジュールに方向付けてもよい。
【0060】
一実施形態において、処理ユニット190は、脱水モジュール191を含む。脱水モジュール191は、再利用不可能な冷媒組成物から水を除去するために使用されてもよい。例えば、脱水モジュール191は、モレキュラーシーブなどの乾燥剤と、再利用不可能な冷媒組成物とを接触させてもよい。脱水により、再利用不可能な冷媒組成物では、1つ又は複数の不純物の濃度が1つ又は複数の所定の閾値未満へと減少されることになってもよい。いくつかの実施形態において、水分濃度は変更されてもよく、AHRI 700(2016)に従って20重量ppm未満の水分レベルを生じる。一実施形態において、水分濃度は変更されてもよく、AHRI 700(2016)に従って10重量ppm未満の水分レベルを生じる。
【0061】
一実施形態において、処理ユニット190は、不活性ガスのパージモジュール192を含む。不活性ガスのパージモジュール192は、窒素、アルゴン、又はキセノンなどの不活性ガスと再利用不可能な冷媒組成物とを接触させ、再利用不可能な冷媒組成物中の溶解された反応性ガスと置換させてもよい。一実施形態において、不活性ガスは乾燥窒素を含んでもよい。不活性ガスのパージにより、再利用不可能な冷媒組成物では、1つ又は複数の成分の濃度は1つ又は複数の所定の閾値未満に変更されてもよい。一実施形態において、非濃縮物質の濃度は変更されてよく、AHRI 700(2016)に従って25℃にて1.5体積パーセント未満の濃度が生じる。
【0062】
一実施形態において、処理ユニット190はNAG還元ユニット193を含む。NAG還元ユニット133は、未だ還元されていない冷媒組成物と、金属粉末などの還元剤とを接触させてもよい。この還元剤は、再利用不可能な冷媒組成物の酸素又は他の酸化可能な成分と反応してもよい。一実施形態において、還元剤は鉄粉末を含んでもよい。NAG還元ユニット193による処理により、再利用不可能な冷媒組成物では、再利用不可能な冷媒組成物の1つ又は複数の成分の濃度を1つ又は複数の所定の閾値未満へと減少させてもよい。一実施形態において、非濃縮物質の濃度は変更されてよく、それによりAHRI 700(2016)に従って、25℃で1.5体積パーセント未満であるNAG(及び他の酸化剤)の濃度が生じる。
【0063】
別の実施形態において、濃縮器は、冷媒を濃縮させ、かつ冷媒の損失が最小の状態で、NAGの通過が可能となるのに事足りるように十分冷却されている冷却剤と併せて使用される。圧縮機は、圧力を増加させ、かつより高温での冷媒の濃縮を増強させるために、濃縮器と併せて使用することができる。
【0064】
別の実施形態において、NAGのために精選された膜が使用される(in employed)。特に膜は、NAGが膜を通過するのに十分なやり方で位置付けられ、NAGは次いで冷媒が通過しないうちに除去され、その結果、NAGを冷媒と分離する。
【0065】
一実施形態において、処理ユニット190はろ過モジュール194を含む。ろ過モジュール194は、再利用不可能な冷媒組成物115から1つ又は複数の不溶性微粒子を分離してもよい。例えば、ろ過モジュール194は、ろ過により、複数の不溶性粒子を再利用不可能な冷媒組成物から分離してもよい。いくつかの実施形態において、再利用不可能な冷媒組成物115は、少なくとも0.01マイクロメートルのスクリーン、少なくとも0.03マイクロメートルのスクリーン、少なくとも0.05マイクロメートルのスクリーン、少なくとも0.08マイクロメートルのスクリーン、少なくとも0.1マイクロメートルのスクリーン、又は少なくとも0.15マイクロメートルのスクリーンを通してろ過される。一実施形態において、再利用不可能な冷媒組成物は、0.1マイクロメートルのスクリーンを通してろ過される。ろ過により、再利用不可能な冷媒組成物では、1つ又は複数の成分の濃度は1つ又は複数の所定の閾値未満に変更されてもよい。比較的大きい不要の物質を除去する別の方法は、物理的ふるいを使用することを含む。より大きな網目状のふるいは、50ミクロン下~10ミクロンほどの金属、微粒子物質及び残留物(例えば、フルオロポリマー粒子)を除去するために使用されることができる。一実施形態において、1つ又は複数の成分の濃度は変更されてもよく、それにより0.5重量パーセント未満の油濃度が生じる。一実施形態において、1つ又は複数の成分の濃度は変更されてもよく、それにより色素の濃度を低減させることができる。一実施形態において、再利用不可能な冷媒組成物の色は、3未満、好ましくは2未満、及び最も好ましくは1と等しい値のByk-Gardner色値へと変更される。本発明の別の実施形態は、冷媒が、各ふるい又はフィルタにて異なる微粒子及び混入物を除去するふるいの全てを通って流れるように、直列配置の範囲内で複数のふるいを使用している。
【0066】
不要の混入タイプの物質、特にポリマータイプの残留物(可塑剤、安定剤及び他の物質)を除去するための別の方法は、不要のポリマータイプの物質が液体ヒール内に残留する場合に蒸気移動及び冷媒回収を使用することを含む。この方法では、ポリマー又は他のより高い分子量の物質が冷媒(又は冷媒ブレンド)中に未だ可溶な濃度であることから、物理的スクリーニングは効果的ではない。蒸気移動は、不要のより重いポリマー材料を元々のシリンダ中に残しながら、あるシリンダから別のシリンダへと気体形態で冷媒を運ぶ。蒸気移動及び冷媒回収は、VTT(以下に記載)と組み合わせて使用されることができる。ヒートブランケット又は外部のシリンダ加熱は、蒸気移動における一助となるようにシリンダへと適用されることもできる。
【0067】
乾燥器はまた、水分レベルを低下させるために使用され、上述の方法のいずれかと組み合わせて使用されることができる。
【0068】
縦型トンタンク(VTT)
一実施形態において、本発明の手法は、本発明に従い、分配、混合、輸送、移送、保管、回収、及び冷媒の使用方法を可能とする容器を使用する。本明細書に記載の例示的な実施形態において、容器は500L~1000L、又はより具体的には750L~950L、又はより具体的には850L~950Lの、本発明の手法に従い、可燃性組成物を保持、移送又はこれを運ぶように設計された縦型シリンダである。縦型の配向であるため、これは当該冷媒を処理しやすくするのに適している。可燃性冷媒用に設計された任意の縦型シリンダは、非可燃性冷媒にとって好都合に使用されることもできることに留意されたい。縦型トンタンクは特定の設計パラメータを有し、このパラメータにより、以下に記述される組合せにおいて、上述の他の手法と併せてこのタンクは比類なく役立つものとなる。1つ又は複数の縦型トンタンクは、送達容器110、分配容器130、及び/又は回収容器182を含む、様々な役割にて冷却分配システム100において使用されてもよい。
【0069】
配向
縦型トンタンク(VTT)シリンダは、圧力容器が垂直方向に配向されるように設計され、これはシリンダが使用、輸送、及び保管中に直立状態(垂直)であることを意味する。特定の配向は、設置面積(m2)が制限され得る時には、考えられる分配位置でのより小さい物理的な設置面積に適している(lends towards)。加えて、縦型の配向デザインは、縦型トンタンクの実際の輸送に好ましく適している。縦型トンタンクは、水平型トンタンクにはよく見られることである重力損失又は通常時と異なる位置のいずれかが生じることなく、フォークリフト上へと好都合に積載することができる。縦型トンタンクの基部のデザインは、製品の輸送を向上させるように設計されてもいる。縦型トンタンクの底部は、フォークリフトの歯用の開口部を有する一体型の歯止めを有する。したがって記載のVTTは、離れた回収処理位置へと可燃性冷媒を物理的に移動させるために、安全かつ好都合に使用されることができる。
【0070】
本発明の手法において使用される冷媒に応じて、圧力、可燃性及び体積は、適切な設計コードに準ずる。米国では例えば、縦型トンタンクはASME設計構造及び圧力評価に従うが、一方欧州では、縦型トンタンクはADRに準じ、日本では縦型トンタンクはHPGLに準じる。
【0071】
ディップチューブの配向
改善されたVTTの別の実施形態は、ディップチューブの位置及び配向である。ディップチューブがシリンダのデザインに基づく一方、次の部分にて記載されるような上方フランジ及び下方フランジに合致する、フランジを有するディップチューブの位置及びディップチューブの配向の組合せは、比類のない製品輸送冷媒を提供する。図2及び図3は、ディップチューブを有する縦型トンタンク(VTT)の一実施形態の正面図及び側面図である。ディップチューブ62及び65は、タンク上部及びタンク底部における1/2インチ及び1インチの接続部を伴って示される。上部フランジ60及び底部フランジ61へのディップチューブ62及び65のアタッチメントも描写される。注目すべき項目はディップチューブの配向を表す#62及び#65、及び上部フランジ及び底部フランジとどのように適合するかである。
【0072】
底部フランジ及び上部フランジ
再設計されたVTTの実用性の別の実施形態は、本発明の手法において一助ともなるフランジの追加及びその位置である。本手法の冷媒はVTTから別のVTT又は個別の保管容器へと輸送されることができる一方、当該VTTに何の残留物が残っているかを参照するためにVTTへと到達することができることが望ましい。したがって、VTTは(上部フランジ60)及び(底部フランジ61)として印が付けられている2つのフランジを含むように設計されている。底部フランジ及び上部フランジは、VTTタンクを開け、ボロスコープなど、スコーピング過程と共に目視検査又は簡易検査を行う一助となる。フランジはまた、不純物から収集されることができる任意の破片を容易に除去する一助となる。フランジは図2及び図3に示される。
【0073】
フランジからバルブへの配管
再設計されたVTTの実用性の別の実施形態は、フランジからバルブまでの配管/接続部の位置及びデザインである。図から明らかとすることができるように、底部フランジは、フランジに由来するより大きいドレーンパイプ及びより小さいドレーンパイプの両方を有する。図4は、ドレーンパイプの位置及び配向を図示する。より小さな配管の詳細は、1/2’パイプ64に接続する要素83、84、85(より小さいフランジ)に記載されており、次いでこの配管は接続部に導出する。より大きな配管の詳細は、1’パイプ63に接続する要素87、88及び89に記載される。
【0074】
図5及び図6は、(VTT)の底部部分の拡大上面図及び拡大側面図である。これらの図は、要素をより詳細に示し、かつどのようにこれらの要素が主要底部フランジへと構成されているかを示す。
【0075】
【表1】
【0076】
ガスケット
別の設計要素は、追加の混入物がガスケットから入り込まないことを保証する、図示されているようなPTFE製ガスケットの追加である。PTFE製ガスケットは、HFOタイプの製品に危害がないことが明らかとなっており、したがってこのデザインと組み合わせて使用される必要がある。
【0077】
バルブ
別の比類のない設計要素は、冷媒を移送する間に放出され得る冷媒の量を制限する、ドライバルク連結器(DBC)の追加である。ドライバルク連結器は、ロック解除機構が係合するまで製品の移送を停止する特定のロック機構を有する。ロック解除機構が係合された後、製品は移送される。この機構は可燃性製品の放出を1グラム未満まで低減し、このVTTデザインではこれは非常に望ましい。この手法へのDBCの組合せは、製品の移送を容易にする一助となり、安全性を増加させ、冷媒及び/又は混入物の何らかの意図しない曝露を制限する。これらは図中においては要素122、124及び125である。金属配管からDBCまでのアダプタは、要素123である。DBCのブランドは、Denver Gardner TODO、Econostoバルブ、及びDixonバルブとして周知である。
【0078】
底部カラー
具体的に設計されたVTTは、VTTに関連する底部バルブを保護するために所定の位置でラッチする底部カラーを有する。カラーは、潜在的に下部のバルブ及び/又はフランジに衝撃を与えることからフォークリフトの歯を保持し、したがって製品を保護する。加えて、底部カラーは偽造防止検知において一助となるように連結されたジッパーであることができる。認定済みのジッパーによる任意の制動は、製品が何かにより潜在的に干渉されていることを示すことができる。
【0079】
カラーがどのようにしてバルブ上部に適合するかを示す図7を参照されたい。図8は、タンクが外側に接続されていない時にバルブを更に保護してもよい保護ドアを示す。
【0080】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を例示するために提供されるものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0081】
実施例1-過度の水分による冷媒の加水分解
移送、取り扱い及び保管の実施が不十分である時には、過度の量の水分が冷媒に到達することができる。50重量%の冷媒/50重量%の水サンプルを密閉管内に配置し、次いで密閉管をオーブン内に配置した場合に、実例を実施した。起こり得る冷媒の分解を加速させるために、密閉管を200℃で2週間、防爆オーブン内に配置した。2週間の最後に、密閉管をオーブンから取り出した。明らかな色の変化及び凝集体について、密閉管内の液体冷媒を目視で観察した。液体は、いかなる浮遊している凝集体も視覚的な変色も有さなかった。ただし、いったん液体冷媒を密閉管から取り除くと、密閉管の底に少量の白色残留物が存在した。形成された物質が非常に少量であったことから、重量パーセントの残留物による、実際の形成量を測定することは困難であった。ただし、別のパラメータである酸価を、冷媒分解の代用として使用した。HFO-1234yf/水混合物の酸価は、HFC-134a/水混合物の酸価の約2倍であった(例えば、酸価は、約1.5~約5、いくつかの場合において約2~約4.5、通常は約2~約4.3mgのKOHの範囲であることができる)。したがって、長時間にわたり過度に高い温度にてヒドロフルオロオレフィンと接触するようになる水分量を制限することが、酸価によって表されるように、最も確かで望ましい。
【0082】
【表2】
【0083】
実施例2-過度のNAG(酸素)による冷媒の分解
別の実例においては、不十分な取り扱い及び又は保管の影響を理解するために、手を加えていない冷媒に過度の量の空気を加えた。
【0084】
移送、不十分な移送、取り扱い及び保管の実施が使用される時には、過度の量のNAGが冷媒に到達することができる。99重量%の冷媒/1重量%のNAGサンプルを密閉管内に配置し、次いで密閉管をオーブン内に配置した場合に、実例を実施した。起こり得る冷媒の分解を加速させるために、密閉管を複数の温度(175℃、200℃、及び225℃)で2週間、防爆オーブン内に配置した。2週間の終わりに、密閉管をオーブンから取り出した。明らかな色の変化及び凝集体について、密閉管内の液体冷媒を目視で観察した。液体は、いかなる浮遊している凝集体も視覚的な変色も有さなかった。ただし、いったん液体冷媒を密閉管から取り除くと、密閉管の底に少量の白色残留物が存在した。
【0085】
データは以下の表に提示される。
【0086】
【表3】
【0087】
したがって、長時間にわたり過度に高い温度にてヒドロフルオロオレフィンと接触するようになるNAG(特に酸素)の量を制限することは、形成された残留物量及び遊離フッ素イオンの量によって示されるように望ましい。
【0088】
本発明を1つ以上の実施形態を参照して説明してきたが、当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができ、その要素の代わりに同等物を使用することができることが理解されるであろう。加えて、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために企図される最良の形態として開示されている特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲内に含まれる全ての実施形態を含むことが意図される。加えて、詳細な説明で特定された全ての数値は、正確な及び近似的な値が両方とも明示的に特定されているかのように解釈されるものとする。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10