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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】継手との接続用の流体路
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/127 20060101AFI20240522BHJP
   B60K 11/02 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
F16L37/127
B60K11/02
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022077391
(22)【出願日】2022-05-10
(65)【公開番号】P2022176130
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】21173854.7
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518073158
【氏名又は名称】テーイー オートモーティブ(フルダブリュック) ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ジェンセン
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ フィードラー
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-030995(JP,U)
【文献】特開2006-300127(JP,A)
【文献】特開2006-017157(JP,A)
【文献】特開2000-249276(JP,A)
【文献】特開2011-226546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/127
B60K 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の組立体(2)との接続用又は他の流体路との接続用の流体路(1)であって、
前記流体路は、管(3)と、少なくとも1つのコネクタ(4)とを備え、
前記コネクタ(4)は、前記組立体(2)の又は他の流体路の相補形の継手(5)内に挿入されるように設計されており、
前記コネクタ(4)は、本体(6)を有し、
前記本体(6)は、前記継手(5)に配された第1端部と、前記第1端部から離れる側に面する第2端部とを有し、
前記第1端部と第2端部とは、流体流路(7)により互いに接続されており、
前記流体流路(7)は、軸Aを有し且つ軸方向及び径方向を規定しており、
前記第2端部は、前記本体(6)の接続部分(8)の構成部分であり、
前記接続部分(8)は、前記管(3)と接続されており、
前記コネクタ(4)は、前記継手(5)にロックするためのロック要素(9)を有し、
前記ロック要素(9)は、回転軸Dの周りで回転可能に、前記本体(6)に装着されており、
前記コネクタ(4)又は前記ロック要素(9)又はその両方は、前記ロック要素(9)を前記回転軸Dの周りで回転させることにより前記コネクタ(4)のロックが達成されるような態様で設計されており、
前記ロック要素(9)は、少なくとも1つのロック輪郭部(16)を有し、
前記回転軸Dは前記軸Aに対して垂直であり、
前記ロック要素(9)は、一緒に回転するように構成された第1アーム(25)と第1脚(26)を有し、
前記第1アーム(25)は、前記回転軸Dから前記継手(5)に向かって突出し、前記ロック輪郭部(16)を規定し、
前記第1脚(26)は、前記回転軸Dから前記管(3)に向かって突出し、
前記コネクタ(4)は、前記第1アーム(25)の前記ロック輪郭部(16)が前記継手(5)に係合し、かつ、前記第1脚(26)が前記管(3)に当接して前記管(3)を前記本体(6)に掛止するロック構成を有し、
継手(5)とロックするロック工程中において、軸方向において前記コネクタ(4)に作用する力を、前記ロック要素(9)を回転させることにより、前記継手(5)の方向に作用させることができるような態様で、前記ロック要素(9)が設計されている
ことを特徴とする流体路。
【請求項2】
請求項1に記載の流体路(1)であって、
前記ロック輪郭部(16)は、前記継手(5)の強固なロック部(14)用の、移動可能なロック経路を規定する、
流体路。
【請求項3】
請求項1に記載の流体路(1)であって、
前記ロック輪郭部(16)は、前記ロック要素(9)をロックする際に必要な力が初めは増大しその後減少するような態様に設計されており、
これにより、ロック工程は、前記ロック要素(9)での掛止を含む、
流体路。
【請求項4】
請求項1に記載の流体路(1)であって、
前記コネクタ(4)又は前記ロック要素(9)又はその両方は、前記コネクタ(4)が、前記ロック工程における回転中に、軸方向において前記継手(5)の方へ少なくとも1mmだけ引っ張られるような態様に設計されている、
流体路。
【請求項5】
請求項1に記載の流体路(1)であって、
前記ロック輪郭部(16)は、少なくとも1つのロック点(15)を有し、
前記ロック要素(9)は、前記ロック点(15)においてロック部(14)が見えるようになっているか又は完全に見えるようになっているように設計されている
流体路。
【請求項6】
請求項1に記載の流体路(1)であって、
前記コネクタ(4)又は前記ロック要素(9)又はその両方は、前記ロック工程が完了していることを表示する表示要素(13)を有し、
前記表示要素(13)は、前記ロック輪郭部(16)の止め又は表示記号(30)又はその両方を有する、
流体路。
【請求項7】
請求項1に記載の流体路(1)であって、
前記ロック要素(9)は、前記ロック工程を行うための作動部分(10)を有する、
流体路。
【請求項8】
請求項1に記載の流体路(1)であって、
前記コネクタ(4)又は本体(6)は、止め(12)を有する、
流体路。
【請求項9】
請求項1に記載の流体路(1)であって、
前記コネクタ(4)は、シール(11)を有する、
流体路。
【請求項10】
請求項1に記載の流体路(1)であって、
前記ロック要素(9)の軸方向長さは、前記本体(6)の軸方向長さの少なくとも50%又は60%に相当する、
流体路。
【請求項11】
請求項1に記載の流体路(1)であって、
前記継手(5)内に挿入可能な、前記本体(6)の部分については、その軸方向広がりが、前記本体の軸方向長さ全体の少なくとも20%又は30%又は40%に相当する、
流体路。
【請求項12】
請求項1に記載の流体路(1)であって、
前記コネクタ(4)を上から見た場合における前記ロック要素(9)の前記回転軸Dは、前記軸Aに対して傾斜して延在している、
流体路。
【請求項13】
継手(5)と、請求項1に記載の流体路(1)とを有する流体接続部であって、
前記流体路(1)の前記コネクタ(4)は、前記継手(5)内に挿入されている又は挿入可能である、
流体接続部。
【請求項14】
請求項1に記載の流体路(1)の使用であって、
自動車における使用、特に自動車の冷媒回路における使用、自動車のバッテリモジュール用の使用。
【請求項15】
請求項8に記載の流体路(1)であって、
前記止め(12)はフランジである、
流体路。
【請求項16】
請求項1に記載の流体路(1)であって、
前記第1アーム(25)と前記第1脚(26)は互いに強固に接続されており、単一の部品として一体的に形成されている、
流体路。
【請求項17】
請求項1に記載の流体路(1)であって、
第2アーム(25)と第2脚(26)をさらに有し、
前記第1アーム(25)と前記第2アーム(25)は、前記軸Aの反対側に配置され、
前記第1脚(26)と前記第2脚(26)は、前記軸Aの反対側に配置されている、
流体路。
【請求項18】
請求項1に記載の流体路(1)であって、
第2脚(26)をさらに有し、
前記第1脚(26)と前記第2脚(26)は、前記ロック構成において前記管(3)の周囲を包んでU字形部を形成するように連結されている、
流体路。
【請求項19】
請求項18に記載の流体路(1)であって、
前記第1脚(26)と前記第2脚(26)の前記U字形部に接続された作動部分(10)をさらに有し、
前記作動部分(10)は前記U字形部から突出し、前記ロック構成において前記軸A及び前記回転軸Dの両方に対して垂直に延在する、
流体路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の組立体との接続用の流体路に関し、この流体路は、管と少なくとも1つのコネクタとを備え、コネクタは、相補形の継手内に挿入されるように設計されており、コネクタは、本体と、継手にロックするためのロック要素とを有し、ロック要素は、回転軸Dの周りで回転可能に本体に装着されており、ロック要素を回転軸Dの周りで回転させることによりコネクタのロックが達成されるような態様でコネクタ又はロック要素は設計されており、ロック要素はロック輪郭部を有する、流体路に関する。本発明は、この流体路と継手とを有する流体接続部、並びに、この流体路及びこの流体接続部の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
このような流体接続部が特許文献1から知られている。この流体接続部は、組立体の継手を有し、継手の外部には周方向溝を有する。これらの溝は、コネクタのロック要素の、対応するフックを収容するように働く。このロック要素は、コネクタ上に回転可能に装着されており、それにより差込み部のように継手の溝と係合できるようになっている。
【0003】
この流体接続部及び公知である流体接続部の恐らく全ては、少なくとも1つのシールを有し、このシールは、1つの又は2つの弾性封止リングの形態をしており、径方向においてコネクタのコネクタシャフトと継手の内壁との間に配置されている。封止リングは、コネクタ上と継手内の両方に挿入することができる。封止リングに作用する緊締力が大きいほど、封止リングの封止効果はより効果的になる。しかしながら、コネクタを継手内に完全に挿入するために軸方向に加えるべき力も、これにより増加する。
【0004】
直径に関しては、封止リング、コネクタ、及び継手は、約0.1mmかさらにそれ以下の公差で正確に一致する。継手が僅かでも大きすぎたり、或いは、封止リング又はコネクタが僅かに小さすぎたりすると、流体接続部は流体密にならなくなる。逆の場合は、軸方向の力が大きくなりすぎる。これらの軸方向の力により、個々の流体接続部の組み立てが複雑になることがあり、そのことにより、流体接続部の質的な印象は大幅に低下する。
【0005】
直径の公差を少なくするという観点から、流体路の製造者は、組立体の製造者又はシステム全体の製造者(車両の製造者等)にアダプタを供給する。このアダプタは、その一端に、組立体の残りの部分のためのインタフェースを有し、他端は流体路と正確に相補的になるように設計されている。インタフェースは、所望の通りに設計可能であり、例えば、溶接、接着、圧入、ボルト締め、又はこれらの組み合わせが可能である。このように、アダプタは、最適なプラグ接続を可能にする一方で、事実上、インタフェースという形で付加的な出費を発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許第4129397(C1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、組立体との公知の流体接続部の欠点は、組立体に関する製造費用が高すぎることである。結論として、本開示の技術的な課題は、組立体に関する製造費用を低減することである。この技術的な課題は、好ましくは、アダプタを節約して、アダプタインタフェースの製造費用をなくすことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、以下のような流体路により解決される。この流体路は、自動車の組立体との接続用又は他の流体路との接続用の流体路であって、管と少なくとも1つのコネクタとを備える。コネクタは、組立体の又は他の流体路の相補形の継手内に挿入されるように設計されている。コネクタは本体を有し、本体は、継手に配された第1端部と、第1端部から離れる側に面する第2端部とを有する。第1端部と第2端部とは、流体流路により互いに接続されており、流体流路は軸Aを有し且つ軸方向及び径方向を規定している。第2端部は本体の接続部分の構成部分であり、接続部分は管と接続されている。コネクタは、継手にロックするためのロック要素を有し、ロック要素は、回転軸Dの周りで回転可能に本体に対して装着されている。コネクタ又はロック要素又はその両方は、ロック要素を回転軸Dの周りで回転させることによりコネクタのロックが達成されるような態様で設計されている。ロック要素は少なくとも1つのロック輪郭部を有する。継手とロックする工程中において、軸方向においてコネクタに作用する力を、ロック要素を回転させることにより、継手の方向に作用させることができるような態様で、ロック要素が設計されている。
【0009】
初めに、本開示によるこの解決策は、冒頭で言及した課題を達成するには、継手及びコネクタの交換が重要であるという知見に依拠する。背景として、正確な外径よりも正確な内径の方が製造が簡単であるということがある。正確な内径は、穿孔又は再穿孔により調整が比較的簡単であるが、外径にはこれが当てはまらない。結論として、冒頭で言及した課題を解決するには、流体路にコネクタを配し、組立体に継手を配することが重要である。特に、これにより、シールの精度を目的とするアダプタを設けるというこれまでの必要性がなくなり、同時にアダプタと組立体との間のインタフェースも不要になる。本発明は更に、移動可能なロック要素をコネクタに配することにより、組立体に関する費用も同様に低減するという知見に依拠する。これは、結果として、移動可能なロック要素を組立体に配設したり組立てたりすることに関する、工場での作業ステップがなくなるからである。
【0010】
最後に、本開示は、ロック要素が回転できることで、軸方向に及ぼし得る力より大きい軸方向の力をロック工程中にコネクタに及ぼすことができるという知見に依拠する。そうすれば、継手の収容スペースとコネクタとの間において要求される公差の正確さを下げてもよいということが分かった。これは、回転可能なロック要素であれば大きい軸方向の力を及ぼすことができることにより、継手に許容される内径の範囲を下方に拡張することが可能になるからである。このことは、ロック要素が、シール上で生じるより大きい力を及ぼしやすくすることができるという理由による。結果として、継手内の穴も絶対に必要なものではなくなり、組立体に対する製造費用は、基本的に金属又はプラスチックからの継手の鋳造又は射出成形に限定することができる。これにより、冒頭で言及した課題が解決される。
【0011】
「流体路」という用語は、好ましくは、少なくとも1つのコネクタを備えた管を意味しており、好適には、2つのコネクタを備え、それぞれのコネクタが好ましくは各端部に配置されている管を意味する。2つのコネクタのうちの少なくとも1つが相補形の継手内に挿入されるように設計されていることが好適である。「組立体」という用語は、有利には、流体路ではない構成要素の全てを含む集合的な用語である。組立体の例に含まれるものとして、例えば、タンク、噴射ノズル、バッテリモジュール、ポンプ、熱交換器、等が挙げられる。「継手」という用語は、好ましくは、雌プラグ要素を意味する。相補形の継手内に挿入されるコネクタは、好適には、雄プラグ要素である。
【0012】
管は、プラスチックから構成されることが好ましい。管は、多層管であることが好適である。管は、有利には、少なくとも2つ又は3つ又は4つのプラスチック層を有する。管のプラスチック又は管層のプラスチックは、例えばポリアミドとすることができる。コネクタ又は本体又はロック要素は、プラスチック製又は金属製又はその両方であってもよい。コネクタ又は本体又はロック要素は、プラスチックのみから構成されることが好ましい。継手は、プラスチック製か又は金属製か又はその両方であることが好適である。本体やロック要素や継手は、有利には、非可逆的に一体に設計されており、好ましくは不可分になるように設計されているか、又は、鋳造や射出成形から製造される。
【0013】
本体は、回転対称に設計可能である。例示的実施形態においては、本体は、ロック要素用の配置要素以外は、回転対称に設計されている。流体路及び継手は、流体接続部の構成部分であることが好適である。「ロック(している)」という用語は、好ましくは、流体接続部がロック状態において流体密であることを意味する。対照的に、コネクタが継手内に挿入されていない場合、流体接続部は開放状態にある。開放状態もロック状態でもない場合は、流体接続部は中間状態にある。「コネクタが、相補形の継手内に挿入されるように設計されている」という表現は、好ましくは、コネクタがこの目的に適しているということのみを意味する。特に、この表現は、継手が流体路の構成部分と見なされるべきであることを意味するのではない。そうではなく、継手は流体接続部の構成部分である。
【0014】
継手は、好適には、少なくとも1つのロック部を有し、好ましくは2つのロック部を有し、更に好ましくはロック部を2つだけ有する。少なくとも1つのロック部は継手上に強固に配置されていることが非常に好適である。少なくとも1つのロック部は、継手の外側に位置することが好適である。継手の外側は、少なくとも一部において、軸方向に関して円筒形になるように設計されていることが最良である。少なくとも1つのロック部は、好ましくは継手の円筒形の外側に対して、径方向で外方に突出していることが非常に好適である。特に好適な実施形態において、少なくとも1つのロック部はピンとして設計されている。ピンは、丸い断面を有し且つ好ましくは円形に設計することができる。
【0015】
ロック部の径方向広がりは、継手の外側から少なくとも1mmであり、好ましくは少なくとも2mmであることが好適である。少なくとも1つのロック部の径方向広がりは、有利には、多くても5mmに相当し、好ましくは多くても4mmに相当する。これらのロック部が、周方向において互いに同一である角距離を有することが非常に特に好適である。
【0016】
ロック要素は、有利には、継手とロックする工程中において好ましくは手動でなされるロック要素の回転が、軸方向においてコネクタに作用する力に変換されるような態様で設計されている。ロックは、ロック要素を回転させることによってのみ達成可能であることが非常に有利である。コネクタ又はロック要素は、ロック要素の回転がコネクタの軸方向移動に変換されるような態様に設計されていることが好適であり、このとき、コネクタの軸方向移動は、コネクタを継手内に挿入する際の最後の軸方向経路部分に対応することが好ましい。
【0017】
非常に好適な実施形態によれば、ロック輪郭部は、継手の、好ましくは強固なロック部用の、移動可能なロック経路を規定する。コネクタ又は継手又はロック要素又はロック部は、ロック輪郭部が、配されたロック部に沿って、その長さ部分の少なくとも一部にわたって、ロック要素の回転中に移動するような態様に設計されていることが好適である。ロック経路又はロック輪郭部は、好ましくは、ロック要素の回転移動をコネクタの軸方向移動に変換するような態様に設計されている。ロック輪郭部又はロック経路は、開始点を有することが好適であり、この開始点において、ロック部は、ロックするために回転している際に初めてロック経路又はロック輪郭部と接触する。ロック輪郭部又はロック経路は、ロック点を有することが好適である。ロック要素は、好ましくは、ロック部がロック点に一旦到達すると継手内へのコネクタの軸方向移動が完了するような態様に設計されている。ロック点はロック経路の一端をなしていることが非常に好適である。
【0018】
特に有利な実施形態によれば、ロック輪郭部は、ロック要素をロックする際に必要な力が初めは増大しその後減少するような態様に設計されており、これにより、ロック工程は好ましくはロック要素での掛止を含む。ロック点は、軸方向において、ロック経路の、本体の第2端部よりも前にある部分よりも、本体の第2端部から離れていることが非常に好適である。好ましくは、ロック状態で、軸方向において開始点とロック点との間にある、ロック経路の一部分は、ロック経路の他のどの部分よりも、本体の第2端部に近づけて配置される。ロック経路の開始点は、有利には、軸方向において本体の第2端部から最も離れたところに位置する、ロック経路上の箇所又はロック経路の部分である。特にロック状態にあるときは、ロック点は、軸方向において、ロック経路ののうち本体の第2端部に最も近い部分と開始点との間に配置されていることが非常に好適である。
【0019】
ロック経路は、少なくとも5mmにわたって延在することが好適であり、好ましくは少なくとも7mmにわたって延在する。ロック輪郭部は、ロック経路を規定する縁部を有することが可能である、好ましくは縁部を1つだけ有する。例示的実施形態の一つによれば、ロック輪郭部は、ロック経路を規定する2つの縁部を有する。ロック輪郭部の2つの縁部が互いに平行に延在することが好適である。2つの縁部間の距離が、2つの縁部間にあるロック部の直径又は広がりよりも大きいことが好適である。
【0020】
ロック工程における回転中に、コネクタが、軸方向において継手の方へ少なくとも1mm又は2mm又は3mmだけ引っ張られることが特に有利である。軸方向におけるロック輪郭部の広がり、又は、ロック経路の広がりが、少なくとも1mm又は2mm又は3mmであることが有利である。ロック輪郭部又はロック経路が、ロック部の、ロック輪郭部又はロック経路の方向における広がりよりも長いことが好適である。ロック点が、継手のロック部を収容するように設計されていることが有利である。ロック点において収容されるロック部が、ロック状態を規定することが好適である。ロック状態への移行又はロック状態からの離脱又はそのいずれの場合においても力の閾値を超えなければならないような態様に、ロック要素又はロック輪郭部のみは設計されていることが非常に好適である。
【0021】
好適な実施形態においては、ロック輪郭部は少なくとも1つのロック点を有し、ロック要素は、好ましくは、ロック点においてロック部が見えるようになっているか又は完全に見えるようになっているように設計されている。ロック要素は、少なくとも軸方向区域に沿って且つ周方向における少なくとも1つの区域にわたって、本体を取り囲むか或いは止め1つ又は止め全てを取り囲むことが最良である。ロック要素は、本体の外側に配置されることが好適である。有利には、ロック要素は凹部を有し、ロック工程中に、ロック部が見えるようになっているか又は完全に見えるようになっている。例えば、凹部は、窓状に、特に長丸形状になるように設計可能である。凹部は、単一の縁部によって規定することができ、例えば旋回アームの縁部によって規定することができる。ロック中に、特にロック工程における回転中にロック部が見えるようになっていることの利点は、使用者がロックの進行状況を観察できることにある。
【0022】
コネクタ又はロック要素又はその両方は、ロック工程が完了していることを表示する表示要素を有し、表示要素は、好ましくは、ロック輪郭部の止め又は表示記号又はその両方を有することが特に好適である。好適な実施形態においては、ロック輪郭部の止めはロック経路の終端である。ロック輪郭部の止めは、好ましくはロック点を規定する。ロック輪郭部の止めは、有利には、ロック輪郭部の壁をなすか又はロック経路の端部の壁をなす。表示要素又はロック輪郭部の止めが、ロック工程中において使用者にとって見えるようになっていることが特に好適である。コネクタは、ロック部がコネクタのロック状態においてロック点にあるような態様に設計されていることが有利である。
【0023】
表示記号が使用者にとって視覚的に認識可能であることは非常に好適である。表示記号は、コネクタ上に又は本体上に、塗布又は印刷又はエンボス加工又は接着することができる。例えば、表示記号は、バーコード又はQRコード(登録商標)として設計可能である。他の実施形態においては、表示記号は、例えば緑色の又は赤色の点としてコネクタ上又は本体上に配置することができる。コネクタ又は本体又はロック要素は、ロック位置のみ又は開放位置のみのいずれかにおいて、表示記号がロック要素により少なくとも部分的に覆われるような態様で設計されていることが特に好適である。表示記号が、ロック要素の開放位置ではロック要素により少なくとも部分的に覆われ、ロック位置ではロック要素により僅かに覆われるか又は全く覆われないことが特に有利である。例えば、表示記号は、本体の止め1つ又は止め全ての上に或いは本体の止めの外側に配置することができる。ロック要素のロック位置又は開放位置において、ロック要素の作動部分1つ又は作動部分全てが見えるようになっている場合にも、表示記号が見えるようになっているようにコネクタが設計されていることが好適である。
【0024】
ロック要素は、特に好ましくは、ロック工程中において、ロック要素をロックする又は回転するための作動部分を有する。ロック要素の作動部分は、軸方向において、本体の第1端部から離れる側に面する、ロック要素の2分の1の部分に配置されることが非常に好適である。作動部分は、径方向に又は周方向に作動可能である。作動部分は、手で作動できるように設計されていることが好適である。例えば、作動部分は、突起又は滑り止め表面又はその両方を有することができる。作動部分は、フックとして設計するか又はロックねじのように設計することが可能である。ロック輪郭部は、ロック要素の継手側端部と作動部分との間に配置されていることが非常に好適である。
【0025】
非常に好適な実施形態によれば、コネクタ又は本体は、止めを有し、好ましくは止めフランジを有する。止めは、径方向に延在する又は本体の外側に対して径方向に突出することが好適である。止め又は止めフランジは、特に好ましくは、周方向において少なくとも部分的に、更に好ましくは周方向において完全に一周するように設計されている。止めは、好ましくは、少なくとも1mm又は2mm又は3mmの径方向広がりを有する。止めが少なくとも1mm又は2mm又は3mmの軸方向広がりを有することが好適である。止めは、本体の軸方向広がりの中央の2分の1の部分に配置されていることが好適である。本体は、軸方向において、接続部分とコネクタシャフトとを有することが有利である。止めは、軸方向において、本体を、接続部分とコネクタシャフトとに分割することが好適である。コネクタシャフトは、有利には、継手内に挿入可能な、本体の軸方向部分に対応する。軸方向において止めと本体の第1端部との間に、コネクタシャフト1つ又はコネクタシャフト全てが位置することが好適である。接続部分は、本体の第2端部と本体の止めとの間に配置されていることが有利である。コネクタシャフトの軸方向広がりは接続部分の軸方向広がりよりも大きいことが好適である。
【0026】
コネクタは、有利には、シールを有する。シールは、好ましくは、封止リングとして設計されている。シールが弾性プラスチックを含むことが最良である。シールは、有利には、環状溝を有する。シール又は封止リング又は環状溝は、好ましくは、コネクタシャフト上に、或いは、コネクタシャフトの又はコネクタの又は本体の外側に配置されている。封止リングは、環状溝内に挿入されていることが好適である。コネクタシャフト又は本体は、好ましくは、中央部分又は端部部分又はその両方を有する。中央部分は、軸方向において、シールと本体の止めとの間に配置されていることが好適である。シールは、有利には、コネクタシャフトを、軸方向において、端部部分1つ又は端部部分全てとに分割し、且つ、中央部分1つ又は中央部分全てとに分割する。端部部分は、軸方向において、シールと本体の第1端部との間に配置されていることが好適である。端部部分又は中央部分又はその両方は、少なくとも2mm又は3mm又は4mmの軸方向長さを有することが好適である。
【0027】
ロック要素の軸方向長さは、本体の軸方向長さの少なくとも50%又は60%又は70%又は80%に相当することが非常に有利である。この結果として、ロック要素は、手動で、より良好に作動させることができる。例えば、差込みピン状のロック要素の場合は、ロック要素の作動部分1つ又は作動部分全てを、ロック輪郭部又はロック部又は組立体から、軸方向においてより遠くに離すことができ、これにより、片手でロック要素をより良好に作動させることができる。このことは、特に、軸Aに対して垂直な壁を有し且つそれに応じて手の動きの自由を制限する組立体について当てはまる。別の例示的実施形態では、ロック要素の軸方向長さを大きくすることにより、作動部分1つ又は作動部分全てのレバー長がより大きくなり、ロック輪郭部又はロック部には相応に大きい力を作用させることができる。本体の長さは、好ましくは、少なくとも15mm又は20mm又は25mm又は30mmである。本体の軸方向長さは、大きくとも100mm又は80mm又は60mmであることが好適である。ロック状態及び開放状態の少なくとも一方において、ロック要素は、軸方向において継手の方に向かってシール1つ又はシール全てを越えて突出することが好適である。開放位置及びロック位置の少なくとも一方において、ロック要素は、軸方向において第2端部又は管の方に向かって本体の止め1つ又は止め全てを越えて突出することが好適である。
【0028】
本体の、継手内に挿入可能な部分の軸方向広がり又はコネクタシャフトの軸方向広がりは、本体の軸方向長さ全体の少なくとも20%又は30%又は40%又は50%に相当することが好適である。この結果として、本体と継手との間で径方向に生じる形状接続が、軸方向のより長くにわたって形成され、これにより、流体接続部の機械安定性が全体的に改良される。
【0029】
或る実施形態によれば、ロック要素の回転軸Dは、軸方向に又は略軸方向に又は軸Aと平行に延在する。ロック要素が、差込みピン状のスリーブとして設計されていることが好適である。ロック要素の作動部分は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、本体の周りを延在するように設計されていることが有利である。例えば、作動部分は、ロックねじの頭部の形態に設計することが可能である。作動部分は、本体の第1端部から離れる側に面するロック要素の軸方向端部に配置されるか、又は、本体の第2端部に配されることが好適である。作動部分が、径方向内方に突き出す肩部を有することが非常に有利である。作動部分又はロック要素又は本体の、径方向内方に突出する肩部は、軸方向におけるコネクタのロック位置において肩部が本体の止めに当接しており且つ方向性をもつ継手に軸方向において肩部が好ましくは力を及ぼすような態様で、設計されていることが特に好適である。ロック位置では、肩部の軸方向内側が、本体の第2端部に面する止めの壁に当接することが最良である。作動部分の肩部は、周方向において少なくとも部分的に、好ましくは周方向において完全に、本体の接続部分又は管の端部又はその両方の周りを延在することが好適である。
【0030】
ロック要素は、継手側端部に補強物を有することが有利である。補強物は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に一周するカラーとして、設計可能である。ロック輪郭部は、有利には、継手側端部又は補強物と、作動部分との間に配置されている。ロック輪郭部は、ロック要素の壁内に位置することが特に好適である。ロック輪郭部は、ロック要素の壁を少なくとも部分的に切り開くことが非常に好適である。ロック要素の壁内におけるロック輪郭部は、有利には、ほぼ螺旋方向に延在する。この裂け目がロック要素の壁内にあることにより、ロック部が見えるようになっていることが非常に好適である。
【0031】
或る実施形態によれば、コネクタを上から見た場合におけるロック要素の回転軸Dは、軸Aに対して傾斜して延在しており、好ましくは軸Aに垂直に延在しており、特に径方向に又は略径方向に延在している。ロック要素は、回転軸Dの周りで旋回可能なレバー状に設計されていることが非常に好適である。好ましくは、ロック要素は、少なくとも1つの旋回アームを、好ましくは2つの旋回アームを有する。少なくとも1つの旋回アームは、ロック輪郭部を有することが有利である。対向する2つの旋回ピン、特に、直径方向に対向する旋回ピンの回転軸は、本体の外側に形成されることが有利である。
【0032】
各旋回ピンは、止めの外側に配置されることが非常に好適である。或る実施形態においては、各旋回ピンは、ロック要素の内側に配置されており、本体の外側において対応する凹部に係合する。
【0033】
作動部分は、接続部分の方へほぼ径方向に作動するように設計されていることが有利である。作動部分は、好ましくは、ロックされたロック要素を外すことができるような態様で設計されている。特に、作動部分は、ロック位置において径方向外方へ突き出すフックとして設計することができる。回転軸Dは、軸方向において、作動部分と、1つ又は複数の旋回アーム又は1つ又は複数のロック輪郭部との間に配置されていることが非常に好適である。例示的実施形態において、ロック輪郭部は、回転軸D又は作動部分の側に面する、旋回アームの内側又は内縁部を介して形成されている。旋回アームは、ほぼL形になるように設計されていることが好適である。
【0034】
ロック要素は、有利には、少なくとも1つの掛止脚を、好ましくは2つの掛止脚を有する。掛止脚は、有利には、接続部分における管の一端にて掛止され、ロック位置となる。1つ又は複数の掛止脚は、開放位置では、管の一端に又は接続部分に当接するような態様に設計されており、これにより、力をかけた場合のみ、作動部分を接続部分の方向に更に移動させることができることが好ましい。特に好適な実施形態においては、本体に又は止めの外側に、表示記号1つ又は表示記号全てが配置されている。開放位置においては、レバー状のロック要素は、表示記号を少なくとも部分的に覆うことが非常に好適である。ロック位置では、ロック要素は、表示記号を少なくとも部分的に剥き出しにすることが好適である。
【0035】
冒頭で言及した課題は、継手と本発明による流体路とを有する流体接続部であって、流体路のコネクタは、継手内に挿入されている又は挿入可能である、流体接続部により解決される。継手は、組立体の構成部分又は別の流体路の構成部分とすることができる。継手が、コネクタ又は本体又は本体の止めの側に面する前端を有することが好適である。継手は、好ましくは、軸方向において封止部分又は端部受け又はその両方を有する。封止部分は、その内径に関しては、コネクタのシールを流体密に収容するように設計されていることが好適である。継手の端部受けは、好ましくは、径方向においてコネクタの端部部分と形状接続するように設計されている。封止部分の内径は端部受けの内径よりも大きいことが非常に好適である。継手又は組立体又は他の流体路は、接続流路を有することが好適である。端部受けは、有利には、軸方向において封止部分と接続流路との間に配置されている。封止部分及び端部受け及び接続流路のうち少なくとも1つは、軸Aと同心に設計されていることが好ましい。接続流路の内径は、端部受けの内径よりも小さく、好ましくは、コネクタの流体流路の内径に対応することが有利である。継手は、プラスチック製又は金属製又はその両方であってもよい。
【0036】
冒頭で言及した課題は、自動車において、好ましくはバッテリモジュールにおいて又はバッテリモジュールとの接続用に、本発明による流体路を使用すること、又は、本発明による流体接続部を使用することにより解決される。流体路又は流体コネクタを電気駆動部を備えた車両において使用できることが非常に好適である。流体路又は流体接続部が冷媒回路において使用されることが好適である。以下で本発明を、2つの例示的実施形態の図を基に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明による第1の例示的実施形態の斜視図である。
図2図1の例示的実施形態の縦断面図である。
図3】本発明による第2の例示的実施形態の斜視図である。
図4図3の例示的実施形態の縦断面図である。
図5A図3の切欠図である。
図5B図3図5Aの例示的実施形態であるが、ロック位置におけるものである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1に、本発明によるコネクタ4の第1の例示的実施形態を示す。コネクタ4は、本体6と、ロック要素9とを備え、このロック要素9は、この例示的実施形態では差込み式に設計されている。本体6とロック要素9は、好ましくは、別体に設計される要素である。本体6又はロック要素9又はその両方が、好ましくは、一体に又は不可分になるように設計されている。コネクタ4は流体路1の構成部分であり、流体路は、コネクタ4に加えて、特に管3も有する。管3はコネクタ4と接続されているが、これについては幾分より詳細に後で図説する。コネクタ4又は本体6は流体流路7を有し、この流体流路7は、円筒形になるように設計されていることが好ましい。流体流路7又は本体6は、軸Aを規定しており、軸Aは、好ましくは本体6の回転軸又は長手方向軸である。流体流路7が、コネクタ4又は本体6の、継手5側に面する第1端部と、本体6の、第1端部から離れる側に面する第2端部とを接続することが好適である。本体6の、第1端部から離れる側に面する第2端部は、好ましくは、接続部分8の構成部分である。この例示的実施形態における接続部分8は、好ましくは、その外側に波形の表面を有し、装着された管3が、本体6上又は接続部分8上で、より良好に保持される。管3は、好ましくは、本体6の外側で圧力嵌めにより保持される。または、他の例示的実施形態では、本体の中空円筒形の受け部(不図示)の中へ管3を挿入し、この管を、溶接等により、特にレーザ溶接により、本体と接続することもできる。
【0039】
コネクタ4は、継手5の形態の相補形の相手方部分に接続して流体接続3、4、5ができるように設計されている。継手5は、組立体2の構成部分とすることができ、組立体2は、例えば、タンク、噴射ノズル、バッテリモジュール、又は、流体路ではない別の構成要素とすることができる。組立体2の、継手5の向こう側は、本図では平円筒として表すが、単に、あらゆる種類の組立体2の切欠図又は象徴的なデザインとして理解されるべきである。一方、他の例示的実施形態では、継手5は第2流体路の構成部分とすることもでき、これにより、本発明による流体接続部が、特に、2つの管3の接続部よりなることもできる。この例示的実施形態における継手5の外側には、径方向外方に突出するピンの形態であり且つ直径方向において反対側にある2つのロック部14を有する。継手5が、流体路1の方向において前端22で接していることが好適である。有利な点としては、継手5は、コネクタ4又は本体6を収容する収容スペースを有するように設計されている。
【0040】
本体6は、好ましくは、止め12を含み、止めは、更に好ましくは、止めフランジとして設計されている。止めフランジは、有利には、周方向において完全に一周する要素として設計されている。止め12は、好ましくは、軸方向において、本体6を接続部分8(図2参照)とコネクタシャフト27とに分割する。コネクタ4は、シール11を有することが好ましく、このシール11は、弾性封止リングとして設計されていることが好ましい。コネクタシャフト27は、シール11が挿入される周方向の環状溝を有することが好適である。シール11において、コネクタシャフト27又は本体6を、軸方向において端部部分18と中央部分20とに分割することができる。
【0041】
この例示的実施形態におけるロック要素9は、包囲要素の形態に、スリーブ状に設計されている。本体6の第2端部側の軸方向部分において、ロック要素9は作動部分10を有することが好ましく、この例示的実施形態における作動部分10は、ロックねじの頭部に類似する。有利には、本体6の第1端部側のロック要素9の軸方向部分には、ロック要素9の補強物17が位置しており、補強物17は例えば周方向カラーの形態の有する。ロック要素9は、好ましくは、本体6上に回転可能に装着され、軸Aと平行な回転軸Dを規定する(図2参照)。ロック要素9は、好ましくは、少なくとも1つのロック輪郭部16を有し、この例示的実施形態におけるロック輪郭部16は、スリーブ状のロック要素9の壁内に、長円形状の凹部として構成されている。ロック要素9は、有利には、軸Aに対して直径方向において互いに反対側にある2つのロック輪郭部16を有し、この2つのロック輪郭部16は、同一であることが好ましい。少なくとも1つのロック輪郭部16が、このロック輪郭部に対応して設けられた、継手5のロック部14を収容するように設計されており、これにより、ロック部14がロック輪郭部16に沿ってロック要素9に対して移動することが好適である。しかしながら、この例示的実施形態においては、ロック部14は移動せずむしろロック要素9が作動部分10によって動かされ、これにより、ロック要素9がロック輪郭部16と共に回転軸Dの周りで回転することが好適である。いずれにしても、ロック部14は、ロック輪郭部16に対して移動する。
【0042】
ロック輪郭部16は開始点28を有し、この開始点28は、コネクタ4の挿入時に最初に継手5のロック部14と接触する。ロック要素9の回転により、ロック部14は、ロック輪郭部16のロック点15に最終的に到達する。ロック輪郭部16は、好ましくは強固に設計されたロック部用の、移動可能なロック経路を規定することが好ましい。ロック経路又はロック輪郭部16は、ロック要素9の回転中に、継手5の方向に作用する軸方向の力をコネクタ4に及ぼすような態様で設計されていることが有利である。この例示的実施形態のロック輪郭部16は、部分的に螺旋状に設計されている。
【0043】
ロック点15は、好ましくは、軸方向において、ロック輪郭部16の先端部分に比べて少しだけ継手に近づけて配置されていることを特徴としている。これにより、ロック輪郭部16とロック部14とに作用する軸方向の力は次第に小さくなって、ロック効果が、特に有利な点としては、掛止の形態で実現する。ロック点15が、止めの形態の表示要素13を有することが最も好適である。このようにして、ロック部14は、ロック輪郭部16に対して、ロック点15よりも遠くに移動することはできない。止めの形態の表示要素13により、使用者は、ロック工程が完全に実施されたことを一目で認識する。
【0044】
同時に、継手5及びコネクタ4は、図2に示すように、ロック位置において継手5の前端22が本体6又はコネクタ4の止め12に衝突するように設計されていることが好ましい。ここでは、ロック要素9の肩部23の、軸方向に作用する力が、好ましくは、止め12に作用し、これによって、止めが継手5の前端22に押圧される。シール11と封止部分21との間に非常に大きい圧力嵌めがあることを考えると、コネクタ4が継手5内に挿入される時は、相当に大きい軸方向の力に打ち勝たねばならない。ロック輪郭部16の設計は、完全にロックされるまで軸方向経路部分に手動で最後に加えられるべき力が、ロック要素9の回転によって明確に低減するようになされていることが好ましい。結論として、シール11と封止部分21との間の圧力嵌めを、相当に大きく設計することができる。
【0045】
図2の流体路1及び組立体2から構成される流体接続部1、2の縦断面図は、ロック位置における流体接続部1、2を示している。このとき、本体6の端部部分18は、好ましくは、継手5の端部受け19内に位置する。端部部分18は、有利には、径方向において、端部受け内に形状接続式に配置されている。同様に、シール11が、継手5の封止部分21と連動して、径方向において、形状接続をなし、好ましくは封止式の圧力嵌めをなすことが好適である。封止部分21の内径は、端部受け19の内径よりも大きいことが有利である。接続流路29は、軸方向において、端部受け19のところから組立体2の方へ続くことが好適である。接続流路29の内径は、端部受け19の内径よりも小さいことが有利である。本発明の範囲内では、接続流路29の内径は、本体6の内径又は流体流路7の外径に対応し、これにより、特に流れ媒体の乱流が回避される。軸Aは、接続流路29の軸又は接続部分8上の管3の軸と同一であることが最適である。
【0046】
特に図2においてはっきりと分かるように、継手5又は組立体2は、好ましくは内径に関して段差のある構造設計を有する。封止部分21と、端部受け19と、接続流路29の内径は、組立体2の内部に向かって次第に減少することが特に好適である。概して、組立体2とは、プラスチック又は金属から作られたワークピースのことであり、ワークピースは、射出成形で又は鋳造処理で製造され、相応に大きい公差を有する。一方、内径についても生じる大きい公差は、製造技術の見地から、特に、端部受け19及び封止部分21の領域を穿孔又は垂直掘りによって改善することにより、非常に簡単に回避することができる。これにより、端部受け19と端部部分18との間に完全な形状接続が実現する。同様のやり方で、シール11と封止部分21との間に、理想的な圧力嵌めが生成される。
【0047】
これの代わりに、組立体2の製造者は再穿孔ステップを省くこともできるが、その結果として公差が大きくなることを甘受しなければならない。その際、これらの公差は、封止部分21の内径が封止要素11がやっと封止されるほどの大きさである場合もあれば、封止部分21の内径がわずかに小さすぎるために異常に大きい圧力嵌めが生じる場合も起こり得る。しかし、コネクタ4の挿入中に軸方向経路部分に最後に加える力が、ロック要素9の回転によって明確に低減するため、この大きい圧力嵌めとなってもよい。
【0048】
図3は、本発明によるコネクタ4の第2の例示的実施形態を示す。この第2の例示的実施形態においては、組立体2、管3、シール11は、第1の例示的実施形態と同一に設計されている。本体6も、第1の例示的実施形態の本体とほぼ同一に設計されており、完全に異なる構成であるロック要素9の取付けに関してしか相違しない。このため、第2の例示的実施形態の本体6は、直径方向に対向し且つ径方向外方に突出する2つの旋回ピン24を有する。本例示的実施形態においては、旋回ピン24は、止め12に配置され、ロック要素9の回転軸Dを規定する。従って、第2の例示的実施形態の回転軸Dは、軸Aと平行ではなくなっており、むしろ軸Aに対して垂直に配向されている。図4参照。
【0049】
図3によれば、ロック要素9は、軸Aに関して互いに反対側に位置する2つの旋回アーム25を有し、これらの旋回アームは、旋回ピン24を介して回転軸Dの周りで旋回できるように設けられている。ロック要素9は、フック等の形態の作動部分10によって、回転軸Dの周りを回転することができる。この例示的実施形態のロック要素9は2つの掛止脚26を有し、これらの掛止脚は、ロック要素9の作動中に管3を適所に掛止する。第2の例示的実施形態の各旋回アーム25は、有利には、ロック輪郭部16を有し、このロック輪郭部は、好適には開始点28を有し、有利にはロック点15をも有する。ロック点15は、表示要素13を有することが好適であり、この表示要素13は、この例示的実施形態ではロック部14用の止めとして設計されている。
【0050】
組立体2を流体路1と接続するために、コネクタ4が継手5に押し込まれる。そのときまでは、掛止脚26は、好ましくは管3に当接しており、これにより、図3の掛止脚26は下方に滑落することができず、ロック要素9は開放位置のままである。コネクタ4は、止め12のところまで継手5内に押し込まれるか、又は、継手5の前端22が止め12にぶつからないまま、シール11と封止部分21との圧力嵌めのため抵抗が大きくなりすぎるところまで継手5内に押し込まれるか、のいずれかである。その際、ロック要素9は作動部分10を介して作動する。別の場合では、作動部分10での作動を介してロック要素9が旋回すると、ロック輪郭部16は、軸方向においてコネクタ4に作用する力をロック部14に沿って生成する。これにより、前端22が止め12にぶつかるまでコネクタ4が継手5に引き込まれる。使用者は、ロック部14が表示要素13にぶつかるときまでにロックが完了していることを認識することができる。
【0051】
図5Aにおける、図3及び図4の例示的実施形態の拡大図が強調するように、表示記号30を、本体6上に又は止め12上に配置することができる。この例示的実施形態の表示記号30は、印刷されたQRコード(登録商標)として設計されており、好ましくは、開放位置ではロック要素9により完全に覆われている。ロック要素9は、図5Bからわかるように、作動部分10が作動すると表示記号30が剥き出しになる又は見えるようになるような態様で設計されていることが好ましい。従って、表示記号30は、全体的に表示要素13の機能と同じような機能を果たすが、流体接続部1、2又はコネクタ4又はロック要素9がロック位置を占めているかどうかを器具により検証する能力を簡略化する。表示記号30は、好ましくは、本体6の、作動部分10も位置する側に配置されている。表示記号30は、作動部分10と同じ側の、コネクタ4の範囲の2分の1の部分内に配置されているか、又は、作動部分10と同じ側の、コネクタ4の範囲の3分の1/4分の1の部分内に配置されていることが好適である。
【符号の説明】
【0052】
1 流体路
2 組立体
3 管
4 コネクタ
5 継手
6 本体
7 流体流路
8 接続部分
9 ロック要素
10 作動部分
11 シール
12 止め
13 表示要素
14 ロック部
15 ロック点
16 ロック輪郭部
17 補強物
18 端部部分
19 端部受け
20 中央部分
21 封止部分
22 前端
23 肩部
24 旋回ピン
25 旋回アーム
26 掛止脚
27 コネクタシャフト
28 開始点
29 接続流路
30 表示記号
A 軸
D 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B