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特許7492567ツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】ツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/00 20060101AFI20240522BHJP
   G06N 3/08 20230101ALI20240522BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240522BHJP
   G06V 10/82 20220101ALI20240522BHJP
【FI】
G01N17/00
G06N3/08
G06T7/00 350C
G06V10/82
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022166691
(22)【出願日】2022-10-18
(65)【公開番号】P2023184389
(43)【公開日】2023-12-28
【審査請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】202210688937.7
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520360121
【氏名又は名称】グアンジョウ パワー サプライ ビューロー オブ グァンドン パワー グリッド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】黄 嘉盛
(72)【発明者】
【氏名】韓 卓展
(72)【発明者】
【氏名】李 濛
(72)【発明者】
【氏名】劉 智勇
(72)【発明者】
【氏名】張 飛
(72)【発明者】
【氏名】石 銀霞
(72)【発明者】
【氏名】冉 倩
(72)【発明者】
【氏名】張 滔
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特許第4094464(JP,B2)
【文献】特開2021-071304(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112161919(CN,A)
【文献】米国特許第06450036(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第113191215(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 17/00 - 17/04
G01N 29/00 - 29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法であって、
超音波誘導波検出機器を利用し、ケーブルアルミニウムシースの正常状態で超音波誘導波信号をトレーニング信号セットとして収集し、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷状態で超音波誘導波信号をテスト信号セットとして収集するステップと、
トレーニング信号セットとテスト信号セットの標準化処理を行って標準トレーニングセットと標準テストセットを得るステップと、
ディープ畳み込みニューラルネットワークを利用して標準トレーニングセットの次元低下、信号干渉の追加、及び再構築を行い、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットを模擬するステップと、
ツインネットワークを構築し、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号と標準トレーニングセットを用いてディープ学習を行うと共にツインネットワークパラメータを更新して、トレーニング済みツインネットワークを取得するステップと、
トレーニング済みツインネットワークに標準テストセットを入力してケーブルアルミニウムシース腐食損傷指標を取得し、確率画像化法を用いてケーブルアルミニウムシース腐食損傷状態を表すステップと、を含むことを特徴とするツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法。
【請求項2】
前記の超音波誘導波信号の収集は、具体的には、
コンピュータで励起信号を生成して任意の信号発生器に導入して電圧増幅器に入力し、
電気信号を増幅する電圧を電圧増幅器からケーブルアルミニウムシースの励起センサに出力し、励起センサの圧電チップの逆圧電効果を利用して電気信号を振動信号に変換し、
振動信号がケーブルアルミニウムシース内を誘導波方式で伝搬し、ケーブルアルミニウムシースのねじ込みパイプ構造の外凸面と銅編組の溶接箇所で収集センサにより振動信号を収集し、収集センサの圧電チップの正圧電効果を利用して振動信号を電気信号に変換してデータ収集カードに入力し、
データ収集カードにおけるデジタルからアナログへの変換後にコンピュータに入力し、腐食損傷状態と正常状態のケーブルアルミニウムシースの超音波誘導波信号を取得し、
ケーブルアルミニウムシースの正常状態で収集された超音波誘導波信号をトレーニング信号セット
【数1】

【数2】
は、正常状態におけるn個目の超音波誘導波信号サンプルであり、Nは、トレーニング信号セットのサンプル数である)とし、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷状態で収集された超音波誘導波信号をテスト信号セット
【数3】

【数4】
は、腐食損傷状態におけるn番目の超音波誘導波信号サンプルであり、Nは、テスト信号セットのサンプル数である)とすることを特徴とする請求項1に記載のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法。
【請求項3】
前記の標準化処理を行うことは、具体的には、

【数5】
(Yは、信号セットのi番目の信号サンプルであり、max(Y)は、全ての信号サンプルの最大値であり、min(Y)は、全ての信号サンプルの最小値である)のように、信号セット内の信号サンプル毎に標準化処理を行い、
トレーニング信号セットとテスト信号セットをそれぞれ[-1,1]に標準化し、標準トレーニングセットY={Yhi}、i=1,2,…,Nと標準テストセットY={Yti}、i=1,2,…,Nを取得することを特徴とする請求項2に記載のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法。
【請求項4】
前記ディープ畳み込みニューラルネットワークは、畳み込み符号化ネットワーク及び復号再構築ネットワークを含み、
前記畳み込み符号化ネットワークは、畳み込み層とプーリング層で構成され、入力信号に対して層ごとの特徴抽出を行い、特徴の次元低下を実現し、畳み込み計算プロセスは、次のように表され、
【数6】
ここで、i、j、kは、全て正の整数であり、hi,kは、i番目の畳み込みカーネルによってキャプチャされた隠れ層によって表されるk番目の要素であり、mは、畳み込みカーネルのサイズであり、nは、畳み込みカーネルの数であり、lは、入力信号の長さであり、Yk-1+jは、k-1+j番目の標準化信号のゼロベクトルであり、Ki,jは、i番目の畳み込みカーネルのj番目の要素であり、
前記復号再構築ネットワークは、多層アップサンプリング層とデコンボリューション層で構成され、次元低下後の信号を再構築し、再構築プロセスは、次のように表され、
【数7】
ここで、i、j、kは、全て正の整数であり、
【数8】
は、N層のデコンボリューション層のi番目の畳み込みカーネルによって得られる畳み込みで表現されるk番目の要素であり、
【数9】
は、N番目のデコンボリューション層のi番目の畳み込みカーネルのk番目の要素の、前のアップサンプリング層における結果を示し、
【数10】
は、N層のデコンボリューション層のi番目の畳み込みカーネルのj番目の要素であり、
【数11】
は、N番目のデコンボリューション層の畳み込みカーネルのサイズであり、
【数12】
は、N番目のデコンボリューション層の入力信号長であることを特徴とする請求項3に記載のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法。
【請求項5】
前記のケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットの模擬ステップは、
標準トレーニングセットをディープ畳み込みニューラルネットワークに入力し、畳み込み符号化ネットワークを用いて標準トレーニングセットの次元低下を行ってディープ畳み込み特徴、即ち隠れ層表現を取得し、
標準トレーニングセットの隠れ層表現に信号干渉を追加して、乱れた隠れ層表現を取得し、
復号再構築ネットワークを用いて、乱れた隠れ層表現を再構築してケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットを取得し、
前記ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットの生成式は、次のとおりであり、
【数13】
ここで、Yは、標準トレーニングセットであり、Yは、腐食損傷信号セットであり、Qは、畳み込み符号化ネットワークによって次元低下して出力される隠れ層表現であり、
【数14】
は、乱れた隠れ層表現であり、Encoderは、畳み込み符号化ネットワークであり、Decoderは、復号再構築ネットワークであることを特徴とする請求項4に記載のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法。
【請求項6】
前記ツインネットワークは、半教師あり学習ネットワークによって構築され、2つのパラメータ共有の畳み込みニューラルネットワークを含み、
入力信号ペア[Y,Y]に対して、マッピング関数F(Y)を使用し、畳み込みニューラルネットワークを介して入力信号を新しい座標系空間にマッピングし、マッピング信号F(Y)とF(Y)のユークリッド距離Sを距離メトリックで計算し、
S(F(Y),F(Y))=||F(Y),F(Y)||
ここで、YとYは、異なる信号セットであるか、同じ信号セットであり、
前記ユークリッド距離Sは、ツインネットワークの出力として、信号間の偏差値を表すことを特徴とする請求項5に記載のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法。
【請求項7】
前記のディープ学習を行うと共にツインネットワークパラメータを更新してトレーニング済みツインネットワークを取得することは、具体的には、
トレーニングデータセットからサイズNの正常状態トレーニングセット
【数15】
を取得し、[1,N]から正の整数値n及びnをランダムに選択し、正常サンプル入力ペア
【数16】
を構築し、
ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットから、損傷サンプルを模擬する損傷模擬入力ペア
【数17】
(Sは、正の整数値である)を構築し、
正常サンプル入力ペアのラベルを0、損傷模擬入力ペアのラベルを1にセットし、正常サンプル入力ペアの数を損傷模擬入力ペアの数と同じにし、
正常サンプル入力ペアと損傷模擬入力ペアをツインネットワークに入力してパラメータ更新を行い、
バイナリクロスエントロピーを損失関数とし、次のように定義され、
【数18】
ここで、
【数19】
は、入力ペアのラベルであり、Xは、ツインネットワークの出力であることを特徴とする請求項6に記載のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法。
【請求項8】
前記の確率画像化法でケーブルアルミニウムシース腐食損傷状態を表すことは、具体的には、
標準テストセットのテスト信号Yと標準トレーニングセットの正常信号からなるテストペア
【数20】
をトレーニング済みツインネットワークに入力し、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷指標を出力し、
腐食損傷指標に基づいて、マルチセンサを使用して損傷確率を伝達経路の近くの画像化点に割り当て、面積化の損傷確率の割り当てにより画像化性能を向上させ、
画像化のステップは、
N個のセンサがある条件下で、N×(N-1)本の異なる伝達経路を有し、励起センサ、収集センサと腐食損傷箇所の距離をユークリッド距離計算によって取得し、
ケーブルアルミニウムシース内の超音波誘導波の伝搬速度に基づいて、超音波誘導波が各距離で伝搬するのに必要な時間を計算し、直接波信号と散乱信号の時間差を計算し、
ΔT=T+T-T
ここで、Tは、誘導波信号が励起センサからケーブルアルミニウムシース腐食損傷箇所に至る時間であり、Tは、誘導波信号がケーブルアルミニウムシース腐食損傷箇所から収集センサに至る時間であり、Tは、正常状態で誘導波信号が励起センサから収集センサに至る時間であり、
前記直接波信号は、正常状態で励起センサから収集センサに至る誘導波信号であり、
前記散乱信号は、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷箇所から収集センサに至る誘導波信号と、正常状態で励起センサから収集センサに至る誘導波信号との差信号であり、
ケーブルの検出対象領域を離散化し、各離散点を1つの基準点として励起点、受信点と離散点の伝搬時間を計算し、損傷点と離散点の時間差を求め、時間係数は、次のように定義され、
τ=(ΔT’-ΔT)/T=[(T’+T’-T)-(T+T-T)]/T
ここで、ΔT’は、離散点信号と正常状態信号の時間差であり、T’は、誘導波信号が励起センサから離散点に至る時間であり、T’は、誘導波信号が離散点から収集センサに至る時間であり、
前記励起点は、励起センサの位置であり、前記受信点は、収集センサの位置であり、前記損傷点は、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷箇所の位置であり、
τ=0の場合、基準点での損傷確率が最も大きくなり、τが大きいほど、基準点が損傷から離れ、損傷確率が低くなり、
画像化の重みを線形減衰に設定し、τと線形減衰係数αによって計算され、
【数21】
離散点毎に損傷確率値を計算することにより、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷画像を得て、
前記損傷確率値の計算式は、以下の通りであり、
【数22】
ここで、P(x,y)は、n本目の超音波誘導波伝達経路によって推定される座標(x,y)の離散点の損傷確率であり、Nは、全ての励起センサの伝達経路の数であり、Clは、n本目の超音波誘導波伝達経路の損傷指標であり、H(x,y)は、n本目の超音波誘導波伝達経路の線形減衰画像化重みであることを特徴とする請求項7に記載のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法。
【請求項9】
ツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化システムであって、
超音波誘導波検出機器を利用し、ケーブルアルミニウムシースの正常状態で超音波誘導波信号をトレーニング信号セットとして収集し、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷状態で超音波誘導波信号をテスト信号セットとして収集する信号収集モジュールと、
トレーニング信号セットとテスト信号セットの標準化処理を行って標準トレーニングセットと標準テストセットを得る信号標準化モジュールと、
ディープ畳み込みニューラルネットワークを利用して標準トレーニングセットの次元低下、信号干渉の追加、及び再構築を行い、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットを模擬する信号模擬モジュールと、
ツインネットワークを構築し、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号と標準トレーニングセットを用いてディープ学習を行うと共にツインネットワークパラメータを更新して、トレーニング済みツインネットワークを取得するツインネットワークトレーニングモジュールと、
トレーニング済みツインネットワークに標準テストセットを入力してケーブルアルミニウムシース腐食損傷指標を取得し、確率画像化法を用いてケーブルアルミニウムシース腐食損傷状態を表す確率画像化モジュールと、を含むことを特徴とするツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化システム。
【請求項10】
プログラムが格納されているコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラムがプロセッサによって実行されると、請求項1~8のいずれか一項に記載のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法を実現することを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルアルミニウムシースの非破壊検出の技術分野に係り、特にツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法及び装置に係る。
【背景技術】
【0002】
現代社会において、電力ケーブルは、都市電力網の重要な部分として、その構造に対する健康監視が非常に重要である。ケーブルの一部であるケーブルアルミニウムシースは、防水対策が不十分なために電気化学的に腐食することが多く、ケーブルアルミニウムシースを効果的に接地することができず、浮遊電圧が発生し、最終的にはケーブルや付属品が故障し、電源システムが損傷したり、人命の安全が脅かされたりする可能性がある。そのため、アルミニウムケーブルシースの腐食欠陥の検出は、差し迫っている。
【0003】
電力システムの現在の検出で一般的に使用されている非破壊検出方式には、磁粉検出、渦電流検出、赤外線検出、超音波検出などがある。ただし、高電圧ケーブルアルミニウムシースの外層に厚いPVC材料があり、既存の方法により、多層の構造を経てケーブルアルミニウムシースの腐食欠陥を検出することができないので、高電圧ケーブルアルミニウムシースの腐食欠陥を検出する検出手段が切に必要とされている。
【0004】
超音波誘導波方法には、伝播距離が遠く、検出距離が大きく、検出効率が高いといった利点を有し、ケーブルアルミニウムシース腐食欠陥の位置決め及び損傷評価を達成できる。同時に、早期の損傷及び微小の欠陥に非常に敏感である。高電圧ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷検出への超音波誘導波の導入は、腐食欠陥の位置決め及び評価を効果的に行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、従来技術の欠点や不備を克服し、ツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法及び装置を提供することである。本発明は、異なる収集センサによって収集されたケーブルアルミニウムシース元信号の標準化処理を行ってトレーニングサンプルの一致性を確保する。畳み込みニューラルネットワークを利用して誘導波信号の次元低下及び再構築を行い、正常信号の表現に信号干渉を追加してケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号を模擬する。そしてツインネットワークをトレーニングする。正常状態信号とテスト信号を利用してツインネットワークでケーブルアルミニウムシース腐食損傷指標を取得する。最後に、確率画像化法でケーブルアルミニウムシース腐食損傷状態を直観的に表す。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術手段を採用する。
【0007】
本発明の第1の目的は、ツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法を提供し、超音波誘導波検出機器を利用し、ケーブルアルミニウムシースの正常状態で超音波誘導波信号をトレーニング信号セットとして収集し、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷状態で超音波誘導波信号をテスト信号セットとして収集するステップと、トレーニング信号セットとテスト信号セットの標準化処理を行って標準トレーニングセットと標準テストセットを得るステップと、ディープ畳み込みニューラルネットワークを利用して標準トレーニングセットの次元低下及び再構築を行い、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットを模擬するステップと、ツインネットワークを構築し、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号と標準トレーニングセットを用いてディープ学習を行うと共にツインネットワークパラメータを更新して、トレーニング済みツインネットワークを取得するステップと、トレーニング済みツインネットワークに標準テストセットを入力してケーブルアルミニウムシース腐食損傷指標を取得し、確率画像化法を用いてケーブルアルミニウムシース腐食損傷状態を表すステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
好ましい技術手段として、前記の超音波誘導波信号の収集は、具体的には、
コンピュータで励起信号を生成して任意の信号発生器に導入して電圧増幅器に入力し、
電気信号を増幅する電圧を電圧増幅器からケーブルアルミニウムシースの励起センサに出力し、励起センサの圧電チップの逆圧電効果を利用して電気信号を振動信号に変換し、
振動信号がケーブルアルミニウムシース内を誘導波方式で伝搬し、ケーブルアルミニウムシースのねじ込みパイプ構造の外凸面と銅編組の溶接箇所で収集センサにより振動信号を収集し、収集センサの圧電チップの正圧電効果を利用して振動信号を電気信号に変換してデータ収集カードに入力し、
データ収集カードにおけるデジタルからアナログへの変換後にコンピュータに入力し、腐食損傷状態と正常状態のケーブルアルミニウムシースの超音波誘導波信号を取得し、
ケーブルアルミニウムシースの正常状態で収集された超音波誘導波信号をトレーニング信号セット
【数1】

【数2】
は、正常状態におけるn個目の超音波誘導波信号サンプルであり、Nは、トレーニング信号セットのサンプル数である)とし、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷状態で収集された超音波誘導波信号をテスト信号セット
【数3】

【数4】
は、腐食損傷状態におけるn番目の超音波誘導波信号サンプルであり、Nは、テスト信号セットのサンプル数である)とする。
【0009】
好ましい技術手段として、前記の標準化処理を行うことは、具体的には、

【数5】
(Yは、信号セットのi番目の信号サンプルであり、max(Y)は、全ての信号サンプルの最大値であり、min(Y)は、全ての信号サンプルの最小値である)のように、信号セット内の信号サンプル毎に標準化処理を行い、
トレーニング信号セットとテスト信号セットをそれぞれ[-1,1]に標準化し、標準トレーニングセットY={Yhi},i=1,2,…,Nと標準テストセットY={Yti},i=1,2,…,Nを取得する。
【0010】
好ましい技術手段として、前記ディープ畳み込みニューラルネットワークは、畳み込み符号化ネットワーク及び復号再構築ネットワークを含み、
前記畳み込み符号化ネットワークは、畳み込み層とプーリング層で構成され、入力信号に対して層ごとの特徴抽出を行い、特徴の次元低下を実現し、畳み込み計算プロセスは、次のように表され、
【数6】
ここで、i、j、kは、全て正の整数であり、hi,kは、i番目の畳み込みカーネルによってキャプチャされた隠れ層によって表されるk番目の要素であり、mは、畳み込みカーネルのサイズであり、nは、畳み込みカーネルの数であり、lは、入力信号の長さであり、Yk-1+jは、k-1+j番目の標準化信号のゼロベクトルであり、Ki,jは、i番目の畳み込みカーネルのj番目の要素であり、
前記復号再構築ネットワークは、多層アップサンプリング層とデコンボリューション層で構成され、次元低下後の信号を再構築し、再構築プロセスは、次のように表され、
【数7】
ここで、i、j、kは、全て正の整数であり、
【数8】
は、N層のデコンボリューション層のi番目の畳み込みカーネルによって得られる畳み込みで表現されるk番目の要素であり、
【数9】
は、N番目のデコンボリューション層のi番目の畳み込みカーネルのk番目の要素の、前のアップサンプリング層における結果を示し、
【数10】
は、N層のデコンボリューション層のi番目の畳み込みカーネルのj番目の要素であり、
【数11】
は、N番目のデコンボリューション層の畳み込みカーネルのサイズであり、
【数12】
は、N番目のデコンボリューション層の入力信号長である。
【0011】
好ましい技術手段として、前記のケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットの模擬ステップは、
標準トレーニングセットをディープ畳み込みニューラルネットワークに入力し、畳み込み符号化ネットワークを用いて標準トレーニングセットの次元低下を行ってディープ畳み込み特徴、即ち隠れ層表現を取得し、
標準トレーニングセットの隠れ層表現に信号干渉を追加して、乱れた隠れ層表現を取得し、
復号再構築ネットワークを用いて、乱れた隠れ層表現を再構築してケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットを取得し、
前記ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットの生成式は、次のとおりであり、
【数13】
ここで、Yは、標準トレーニングセットであり、Yは、腐食損傷信号セットであり、Qは、畳み込み符号化ネットワークによって次元低下して出力される隠れ層表現であり、
【数14】
は、乱れた隠れ層表現であり、Encoderは、畳み込み符号化ネットワークであり、Decoderは、復号再構築ネットワークである。
【0012】
好ましい技術手段として、前記ツインネットワークは、半教師あり学習ネットワークによって構築され、2つのパラメータ共有の畳み込みニューラルネットワークを含み、
入力信号ペア[Y,Y]に対して、マッピング関数F(Y)を使用し、畳み込みニューラルネットワークを介して入力信号を新しい座標系空間にマッピングし、マッピング信号F(Y)とF(Y)のユークリッド距離Sを距離メトリックで計算し、
S(F(Y),F(Y))=||F(Y),F(Y)||
ここで、YとYは、異なる信号セットであるか、同じ信号セットであり、
前記ユークリッド距離Sは、ツインネットワークの出力として、信号間の偏差値を表す。
【0013】
好ましい技術手段として、前記のディープ学習を行うと共にツインネットワークパラメータを更新してトレーニング済みツインネットワークを取得することは、具体的には、
トレーニングデータセットからサイズNの正常状態トレーニングセット
【数15】
を取得し、[1,N]から正の整数値n及びnをランダムに選択し、正常サンプル入力ペア
【数16】
を構築し、
ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットから、損傷サンプルを模擬する損傷模擬入力ペア
【数17】
(sは、正の整数値である)を構築し、
正常サンプル入力ペアのラベルを0、損傷模擬入力ペアのラベルを1にセットし、正常サンプル入力ペアの数を損傷模擬入力ペアの数と同じにし、
正常サンプル入力ペアと損傷模擬入力ペアをツインネットワークに入力してパラメータ更新を行い、
バイナリクロスエントロピーを損失関数とし、次のように定義され、
【数18】
ここで、
【数19】
は、入力ペアのラベルであり、Xは、ツインネットワークの出力である。
【0014】
好ましい技術手段として、前記の確率画像化法でケーブルアルミニウムシース腐食損傷状態を表すことは、具体的には、
標準テストセットのテスト信号yと標準トレーニングセットの正常信号からなるテストペア
【数20】
をトレーニング済みツインネットワークに入力し、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷指標を出力し、
腐食損傷指標に基づいて、マルチセンサを使用して損傷確率を伝達経路の近くの画像化点に割り当て、面積化の損傷確率の割り当てにより画像化性能を向上させ、
画像化のステップは、
N個のセンサがある条件下で、N×(N-1)本の異なる伝達経路を有し、励起センサ、収集センサと腐食損傷箇所の距離をユークリッド距離計算によって取得し、
ケーブルアルミニウムシース内の超音波誘導波の伝搬速度に基づいて、超音波誘導波が各距離で伝搬するのに必要な時間を計算し、直接波信号と散乱信号の時間差を計算し、
ΔT=T+T-T
ここで、Tは、誘導波信号が励起センサからケーブルアルミニウムシース腐食損傷箇所に至る時間であり、Tは、誘導波信号がケーブルアルミニウムシース腐食損傷箇所から収集センサに至る時間であり、Tは、正常状態で誘導波信号が励起センサから収集センサに至る時間であり、
前記直接波信号は、正常状態で励起センサから収集センサに至る誘導波信号であり、
前記散乱信号は、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷箇所から収集センサに至る誘導波信号と、正常状態で励起センサから収集センサに至る誘導波信号との差信号であり、
ケーブルの検出対象領域を離散化し、各離散点を1つの基準点として励起点、受信点と離散点の伝搬時間を計算し、損傷点と離散点の時間差を求め、時間係数τは、次のように定義され、
τ=(ΔT’-ΔT)/T=[(T’+T’-T)-(T+T-T)]/T
ここで、ΔT’は、離散点信号と正常状態信号の時間差であり、T’は、誘導波信号が励起センサから離散点に至る時間であり、T’は、誘導波信号が離散点から収集センサに至る時間であり、
前記励起点は、励起センサの位置であり、前記受信点は、収集センサの位置であり、前記損傷点は、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷箇所の位置であり、
τ=0の場合、基準点での損傷確率が最も大きくなり、τが大きいほど、基準点が損傷から離れ、損傷確率が低くなり、
画像化の重みを線形減衰に設定し、τと線形減衰係数αによって計算され、
【数21】
離散点毎に損傷確率値を計算することにより、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷画像を得て、
前記損傷確率値の計算式は、以下の通りであり、
【数22】
ここで、p(x,y)は、n本目の超音波誘導波伝達経路によって推定される座標(x,y)の離散点の損傷確率であり、Nは、全ての励起センサの伝達経路の数であり、Clは、n本目の超音波誘導波伝達経路の損傷指標であり、H(x,y)は、n本目の超音波誘導波伝達経路の線形減衰画像化重みである。
【0015】
本発明の第2の目的は、ツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化システムを提供し、超音波誘導波検出機器を利用し、ケーブルアルミニウムシースの正常状態で超音波誘導波信号をトレーニング信号セットとして収集し、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷状態で超音波誘導波信号をテスト信号セットとして収集する信号収集モジュールと、トレーニング信号セットとテスト信号セットの標準化処理を行って標準トレーニングセットと標準テストセットを得る信号標準化モジュールと、ディープ畳み込みニューラルネットワークを利用して標準トレーニングセットの次元低下及び再構築を行い、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットを模擬する信号模擬モジュールと、ツインネットワークを構築し、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号と標準トレーニングセットを用いてディープ学習を行うと共にツインネットワークパラメータを更新して、トレーニング済みツインネットワークを取得するツインネットワークトレーニングモジュールと、トレーニング済みツインネットワークに標準テストセットを入力してケーブルアルミニウムシース腐食損傷指標を取得し、確率画像化法を用いてケーブルアルミニウムシース腐食損傷状態を表す確率画像化モジュールと、を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の第3の目的は、プログラムが格納されているコンピュータ可読記憶媒体を提供し、前記プログラムがプロセッサによって実行されると、上記のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷方法を実現することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
従来技術と比較して、本発明は、以下の利点と有益な効果を有する。
本発明は、超音波誘導波を採用して高電圧ケーブルアルミニウムシースを検出し、ツイン畳み込みネットワークを介して、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号を模擬してトレーニングモデルのトレーニングの最適化と知識の伝達を実現する。超音波誘導波信号符号化表現に加え、腐食損傷信号の模擬生成を実現し、損傷信号を模擬する知識伝達により、腐食損傷モデルの有効なトレーニングを実現し、ツインネットワークモデルと共に、正常サンプルに基づく腐食欠陥特徴取得モデルを構築してケーブルアルミニウムシースの腐食損傷指標を出力する。確率画像化方法と共に、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷画像を取得し、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷状態を直観的に表し、ケーブルの監視及びメンテナンスに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本願の実施例における技術手段をより明確に説明するために、以下では、実施例の説明で使用される図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の説明における図面は、本願のいくつかの実施例にすぎない。当業者は、創造的な努力なしに、これらの図面から他の図面を得ることができる。
【0019】
図1】本発明の実施例に係るツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施例に係るツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法のブロック図である。
図3】本発明の実施例に係る畳み込みニューラルネットワークによる次元低下及び再構築の構造図である。
図4】本発明の実施例に係るツインネットワークの動作原理図である。
図5】本発明の実施例に係る単一離散点損傷画像値の原理図である。
図6】本発明の実施例に係るツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化システムの構造図である。
図7】本発明の実施例に係るコンピュータ可読記憶媒体の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
当業者が本願の手段をよりよく理解できるようにするために、以下では、本願の実施例における添付の図面を参照して、本願の実施例における技術手段を明確かつ完全に説明する。明らかに、記載された実施例は、本願の実施例の一部にすぎず、実施例の全てではない。本願の実施例に基づいて、創造的な努力なしに当業者によって得られる他の全ての実施例は、全て本願の保護範囲内に入る。
【0021】
本願における「実施例」は、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。明細書の様々な箇所に現れるこの語句は、必ずしも全てが同じ実施例を指すとは限らず、他の実施例と相互に排他的である別個又は代替の実施例でもない。本願に記載された実施例を他の実施例と組み合わせることができることは、当業者によって明示的及び暗示的に理解される。
【0022】
図1に示されるように、本願の一実施例において、ツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法を提供し、超音波誘導波検出機器を利用し、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷状態で超音波誘導波信号をテスト信号セットとして収集し、ケーブルアルミニウムシースの正常状態で超音波誘導波信号をトレーニング信号セットとして収集するステップと、トレーニング信号セットとテスト信号セットの標準化処理を行って標準トレーニングセットと標準テストセットを得るステップと、ディープ畳み込みニューラルネットワークを利用して標準トレーニングセットの次元低下及び再構築を行い、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットを模擬するステップと、ツインネットワークを構築し、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号と標準トレーニングセットを用いてディープ学習を行うと共にツインネットワークパラメータを更新して、トレーニング済みツインネットワークを取得するステップと、トレーニング済みツインネットワークに標準テストセットを入力してケーブルアルミニウムシース腐食損傷指標を取得し、確率画像化法を用いてケーブルアルミニウムシース腐食損傷状態を表すステップと、を含む。
【0023】
図2に示すように、超音波誘導波信号の収集は、具体的には、以下である。
まず、コンピュータで励起信号を生成し、任意の信号発生器に導入してデジタル信号をアナログ信号に変換して電圧増幅器に入力する。
次いで、電気信号を増幅する電圧を電圧増幅器からケーブルアルミニウムシースの励起センサに出力し、励起センサの圧電チップの逆圧電効果を利用して電気信号を振動信号に変換する。
その後、振動信号がケーブルアルミニウムシース内を誘導波方式で伝搬し、ケーブルアルミニウムシースのねじ込みパイプ構造の外凸面と銅編組の溶接箇所で収集センサにより振動信号を収集し、収集センサの圧電チップの正圧電効果を利用して振動信号を電気信号に変換してデータ収集カードに入力する。
最後に、データ収集カードにおけるデジタルからアナログへの変換後にコンピュータに入力し、腐食損傷状態と正常状態のケーブルアルミニウムシースの超音波誘導波信号を取得する。
ケーブルアルミニウムシースの正常状態で収集された超音波誘導波信号をトレーニング信号セット
【数23】

【数24】
は、正常状態におけるn個目の超音波誘導波信号サンプルであり、Nは、トレーニング信号セットのサンプル数である)とし、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷状態で収集された超音波誘導波信号をテスト信号セット
【数25】

【数26】
は、腐食損傷状態におけるn番目の超音波誘導波信号サンプルであり、Nは、テスト信号セットのサンプル数である)とする。
【0024】
異なるセンサによって受信された元信号のディープニューラルネットワークによる再構築の大きな違いを回避するために、信号サンプル毎に標準化処理を行う必要がある。具体的には、以下である。

【数27】
(Yは、信号セットのi番目の信号サンプルであり、max(Y)は、全ての信号サンプルの最大値であり、min(Y)は、全ての信号サンプルの最小値である)のように、信号セット内の信号サンプル毎に標準化処理を行う。
トレーニング信号セットとテスト信号セットをそれぞれ[-1,1]に標準化し、標準トレーニングセットY={Yhi},i=1,2,…,Nと標準テストセットY={Yti},i=1,2,…,Nを取得する。
【0025】
図2図3に示すように、本実施例におけるディープ畳み込みニューラルネットワークは、畳み込み符号化ネットワーク及び復号再構築ネットワークを含む。畳み込み符号化ネットワークは、畳み込み層とプーリング層で構成され、入力信号に対して層ごとの特徴抽出を行い、特徴の次元低下を実現し、畳み込み計算プロセスは、次のように表される。
【数28】
ここで、i、j、kは、全て正の整数であり、hi,kは、i番目の畳み込みカーネルによってキャプチャされた隠れ層によって表されるk番目の要素であり、mは、畳み込みカーネルのサイズであり、nは、畳み込みカーネルの数であり、lは、入力信号の長さであり、Yk-1+jは、k-1+j番目の標準化信号のゼロベクトルであり、Ki,jは、i番目の畳み込みカーネルのj番目の要素である。
復号再構築ネットワークは、多層アップサンプリング層とデコンボリューション層で構成され、次元低下後の信号を再構築し、再構築プロセスは、次のように表される。
【数29】
ここで、i、j、kは、全て正の整数であり、
【数30】
は、N層のデコンボリューション層のi番目の畳み込みカーネルによって得られる畳み込みで表現されるk番目の要素であり、
【数31】
は、N番目のデコンボリューション層のi番目の畳み込みカーネルのk番目の要素の、前のアップサンプリング層における結果を示し、
【数32】
は、N層のデコンボリューション層のi番目の畳み込みカーネルのj番目の要素であり、
【数33】
は、N番目のデコンボリューション層の畳み込みカーネルのサイズであり、
【数34】
は、N番目のデコンボリューション層の入力信号長である。
【0026】
構築されたディープニューラルネットワークに基づいて、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットの模擬ステップは、以下である。
標準トレーニングセットをディープ畳み込みニューラルネットワークに入力し、畳み込み符号化ネットワークを用いて標準トレーニングセットの次元低下を行ってディープ畳み込み特徴、即ち隠れ層表現を取得する。
標準トレーニングセットの隠れ層表現に信号干渉を追加して、乱れた隠れ層表現を取得する。
復号再構築ネットワークを用いて、乱れた隠れ層表現を再構築してケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットを取得する。
前記ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットの生成式は、次のとおりである。
【数35】
ここで、Yは、標準トレーニングセットであり、Yは、腐食損傷信号セットであり、Qは、畳み込み符号化ネットワークによって次元低下して出力される隠れ層表現であり、
【数36】
は、乱れた隠れ層表現であり、Encoderは、畳み込み符号化ネットワークであり、Decoderは、復号再構築ネットワークである。
【0027】
図2図4に示すように、本実施例におけるツインネットワークは、半教師あり学習ネットワークによって構築され、2つのパラメータ共有の畳み込みニューラルネットワークを含む。ツインネットワークの原理は、以下である。
入力信号ペア[Y,Y]に対して、マッピング関数F(Y)を使用し、畳み込みニューラルネットワークを介して入力信号を新しい座標系空間にマッピングし、マッピング信号F(Y)とF(Y)のユークリッド距離Sを距離メトリックで計算する。
S(F(Y),F(Y))=||F(Y),F(Y)||
ここで、YとYは、異なる信号セットであるか、同じ信号セットである。
前記ユークリッド距離Sは、信号間の偏差値を表すためのものであり、本発明におけるテスト信号と正常信号との偏差の計算に用いることができるため、それをツインネットワークの出力とする。
【0028】
構築されたツインネットワークに対してディープ学習を行うと共にツインネットワークパラメータを更新してトレーニング済みツインネットワークを取得することは、具体的には、以下である。
トレーニングデータセットからサイズNの正常状態トレーニングセット
【数37】
を取得し、[1,N]から正の整数値n及びnをランダムに選択し、正常サンプル入力ペア
【数38】
を構築する。
同様に、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットから、損傷サンプルを模擬する損傷模擬入力ペア
【数39】
(sは、正の整数値である)を構築する。
正常サンプル入力ペアのラベルを0、損傷模擬入力ペアのラベルを1にセットし、正常サンプル入力ペアの数を損傷模擬入力ペアの数と同じにする。
正常サンプル入力ペアと損傷模擬入力ペアをツインネットワークに入力してパラメータ更新を行う。
バイナリクロスエントロピーを損失関数とし、次のように定義される。
【数40】
ここで、
【数41】
は、入力ペアのラベルであり、Xは、ツインネットワークの出力である。
【0029】
異なるテスト信号に対して標準化を行い、各テスト信号の損傷指標を出力することにより、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷状態を評価し、異なる損傷指標を利用し、確率画像化法と共に構造状態の画像表現を取得し、具体的には、以下である。
標準テストセットのテスト信号Yと標準トレーニングセットの正常信号からなるテストペア
【数42】
をトレーニング済みツインネットワークに入力し、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷指標を出力する。
腐食損傷指標に基づいて、マルチセンサを使用して損傷確率を伝達経路の近くの画像化点に割り当て、面積化の損傷確率の割り当てにより画像化性能を向上させる。
画像化のステップは、以下である。図5に示すように、N個のセンサがある条件下で、N×(N-1)本の異なる伝達経路を有し、励起センサ、収集センサと腐食損傷箇所の距離をユークリッド距離計算によって取得する。
ケーブルアルミニウムシース内の超音波誘導波の伝搬速度に基づいて、超音波誘導波が各距離で伝搬するのに必要な時間を計算し、直接波信号と散乱信号の時間差を計算する。
ΔT=T+T-T
ここで、Tは、誘導波信号が励起センサからケーブルアルミニウムシース腐食損傷箇所に至る時間であり、Tは、誘導波信号がケーブルアルミニウムシース腐食損傷箇所から収集センサに至る時間であり、Tは、正常状態で誘導波信号が励起センサから収集センサに至る時間である。
図5において、直接波信号は、正常状態で励起センサから収集センサに至る誘導波信号であり、散乱信号は、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷箇所から収集センサに至る誘導波信号と、正常状態で励起センサから収集センサに至る誘導波信号との差信号である。
ケーブルの検出対象領域を離散化し、各離散点を1つの基準点として励起点、受信点と離散点の伝搬時間を計算し、損傷点と離散点の時間差を求め、時間係数τは、次のように定義される。
τ=(ΔT’-ΔT)/T=[(T’+T’-T)-(T+T-T)]/T
ここで、ΔT’は、離散点信号と正常状態信号の時間差であり、T’は、誘導波信号が励起センサから離散点に至る時間であり、T’は、誘導波信号が離散点から収集センサに至る時間である。
図5において、励起点は、励起センサの位置であり、受信点は、収集センサの位置であり、損傷点は、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷箇所の位置である。
τ=0の場合、基準点での損傷確率が最も大きくなり、τが大きいほど、基準点が損傷から離れ、損傷確率が低くなる。
画像化の重みを線形減衰に設定し、τと線形減衰係数αによって計算される。
【数43】
離散点毎に損傷確率値を計算することにより、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷画像を得る。
前記損傷確率値の計算式は、以下の通りである。
【数44】
ここで、p(x,y)は、n本目の超音波誘導波伝達経路によって推定される座標(x,y)の離散点の損傷確率であり、Nは、全ての励起センサの伝達経路の数であり、Clは、n本目の超音波誘導波伝達経路の損傷指標であり、H(x,y)は、n本目の超音波誘導波伝達経路の線形減衰画像化重みである。
【0030】
なお、説明の便宜上、前述の方法の実施例は、全て一連の動作の組み合わせとして表現されているが、当業者は、本発明が説明された動作順によって限定されないことを理解すべきである。これらは、本発明に従って、他の順序で、又は同時に実行されてもよい。
【0031】
上記の実施例におけるツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法と同一の発明思想に基づいて、本発明は、更に、ツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化システムを提供する。該システムは、上記のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法を実行することができる。説明の便宜上、ツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化システムの実施例の構造図において、本発明の実施例に関する部分のみを示している。図示の構造は、装置への限定を構成せず、図示されているものよりも多い又は少ない部品を含んだり、特定の部品を組み合わせたり、異なる部品配置をしたりすることができる。これは、当業者にとって自明である。
【0032】
図6を参照し、本願の別の実施例において、ツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化システムを提供する。該システムは、超音波誘導波検出機器を利用し、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷状態で超音波誘導波信号をテスト信号セットとして収集し、ケーブルアルミニウムシースの正常状態で超音波誘導波信号をトレーニング信号セットとして収集する信号収集モジュールと、トレーニング信号セットとテスト信号セットの標準化処理を行って標準トレーニングセットと標準テストセットを得る信号標準化モジュールと、ディープ畳み込みニューラルネットワークを利用して標準トレーニングセットの次元低下及び再構築を行い、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットを模擬する信号模擬モジュールと、ツインネットワークを構築し、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号と標準トレーニングセットを用いてディープ学習を行うと共にツインネットワークパラメータを更新して、トレーニング済みツインネットワークを取得するツインネットワークトレーニングモジュールと、トレーニング済みツインネットワークに標準テストセットを入力してケーブルアルミニウムシース腐食損傷指標を取得し、確率画像化法を用いてケーブルアルミニウムシース腐食損傷状態を表す確率画像化モジュールと、を含む。
【0033】
なお、本発明のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化システムは、本発明のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法に一対一に対応する。上記のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法の実施例において説明した技術的特徴及びその有益な効果は、全てツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化システムの実施例に適用し、具体的な内容は、本発明の方法の実施例の説明を参照し、ここでは繰り返して記載しない。
【0034】
更に、上記実施例のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化システムの実施形態において、各プログラムモジュールの論理的分割は、単なる例であり、実際のアプリケーションでは、対応するハードウェアの配置要求又はソフトウェア実装の便宜を考慮し、必要に応じて、異なるプログラムモジュールで実行するように上記機能を割り当てる。即ち、以上記載した機能の全て又は一部を完成するために、前記ツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化システムの内部構造を異なるプログラムモジュールに分割する。
【0035】
図7を参照し、本発明の実施例は、更にコンピュータ可読記憶媒体を提供し、メモリにプログラムが格納されている。プログラムがプロセッサによって実行されると、ツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法を実現する。具体的に、超音波誘導波検出機器を利用し、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷状態で超音波誘導波信号をテスト信号セットとして収集し、ケーブルアルミニウムシースの正常状態で超音波誘導波信号をトレーニング信号セットとして収集するステップと、トレーニング信号セットとテスト信号セットの標準化処理を行って標準トレーニングセットと標準テストセットを得るステップと、ディープ畳み込みニューラルネットワークを利用して標準トレーニングセットの次元低下及び再構築を行い、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットを模擬するステップと、ツインネットワークを構築し、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号と標準トレーニングセットを用いてディープ学習を行うと共にツインネットワークパラメータを更新して、トレーニング済みツインネットワークを取得するステップと、トレーニング済みツインネットワークに標準テストセットを入力してケーブルアルミニウムシース腐食損傷指標を取得し、確率画像化法を用いてケーブルアルミニウムシース腐食損傷状態を表すステップとを含む。
【0036】
当業者は、上記実施例の方法におけるプロセスの全て又は一部が、コンピュータプログラムを介して関連するハードウェアに命令することによって実現されることを理解することができる。前記プログラムは、非揮発性のコンピュータ可読記憶媒体に記憶される。このプログラムが実行されると、上記の各方法の実施例のプロセスを含むことができる。ここで、本願で提供される様々な実施例で使用されるメモリ、ストレージ、データベース又は他の媒体への言及は、非揮発性及び/又は揮発性メモリを含む。非揮発性メモリには、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的にプログラム可能なROM(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能なROM(EEPROM)又はフラッシュメモリが含まれる。揮発性メモリには、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は外部キャッシュメモリが含まれる。限定ではなく例として、RAMは、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDRSDRAM)、拡張SDRAM(ESDRAM)、同期リンク(Synchlink)DRAM(SLDRAM)、メモリバス(Rambus)ダイレクトRAM(RDRAM)、ダイレクトメモリバスダイナミックRAM(DRDRAM)、メモリバスダイナミックRAM(RDRAM)など、複数の形態をとることができる。
【0037】
上記実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることができる。説明を簡単にするために、上記実施例における各技術的特徴の可能な全ての組み合わせを記載していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書に記載されている範囲とみなす。
【0038】
上記の実施例は、本発明の好ましい実施形態である。ただし、本発明の実施形態は、上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨や原理から逸脱することなく為したその他の変更、修正、置換、組み合わせ、単純化は、いずれも同等の置換方法であり、全て本発明の保護範囲に含まれる。
【0039】
(付記)
(付記1)
ツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法であって、
超音波誘導波検出機器を利用し、ケーブルアルミニウムシースの正常状態で超音波誘導波信号をトレーニング信号セットとして収集し、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷状態で超音波誘導波信号をテスト信号セットとして収集するステップと、
トレーニング信号セットとテスト信号セットの標準化処理を行って標準トレーニングセットと標準テストセットを得るステップと、
ディープ畳み込みニューラルネットワークを利用して標準トレーニングセットの次元低下及び再構築を行い、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットを模擬するステップと、
ツインネットワークを構築し、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号と標準トレーニングセットを用いてディープ学習を行うと共にツインネットワークパラメータを更新して、トレーニング済みツインネットワークを取得するステップと、
トレーニング済みツインネットワークに標準テストセットを入力してケーブルアルミニウムシース腐食損傷指標を取得し、確率画像化法を用いてケーブルアルミニウムシース腐食損傷状態を表すステップと、を含むことを特徴とするツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法。
【0040】
(付記2)
前記の超音波誘導波信号の収集は、具体的には、
コンピュータで励起信号を生成して任意の信号発生器に導入して電圧増幅器に入力し、
電気信号を増幅する電圧を電圧増幅器からケーブルアルミニウムシースの励起センサに出力し、励起センサの圧電チップの逆圧電効果を利用して電気信号を振動信号に変換し、
振動信号がケーブルアルミニウムシース内を誘導波方式で伝搬し、ケーブルアルミニウムシースのねじ込みパイプ構造の外凸面と銅編組の溶接箇所で収集センサにより振動信号を収集し、収集センサの圧電チップの正圧電効果を利用して振動信号を電気信号に変換してデータ収集カードに入力し、
データ収集カードにおけるデジタルからアナログへの変換後にコンピュータに入力し、腐食損傷状態と正常状態のケーブルアルミニウムシースの超音波誘導波信号を取得し、
ケーブルアルミニウムシースの正常状態で収集された超音波誘導波信号をトレーニング信号セット
【数45】

【数46】
は、正常状態におけるn個目の超音波誘導波信号サンプルであり、Nは、トレーニング信号セットのサンプル数である)とし、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷状態で収集された超音波誘導波信号をテスト信号セット
【数47】

【数48】
は、腐食損傷状態におけるn番目の超音波誘導波信号サンプルであり、Nは、テスト信号セットのサンプル数である)とすることを特徴とする付記1に記載のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法。
【0041】
(付記3)
前記の標準化処理を行うことは、具体的には、

【数49】
(Yは、信号セットのi番目の信号サンプルであり、max(Y)は、全ての信号サンプルの最大値であり、min(Y)は、全ての信号サンプルの最小値である)のように、信号セット内の信号サンプル毎に標準化処理を行い、
トレーニング信号セットとテスト信号セットをそれぞれ[-1,1]に標準化し、標準トレーニングセットY={Yhi}、i=1,2,…,Nと標準テストセットY={Yti}、i=1,2,…,Nを取得することを特徴とする付記2に記載のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法。
【0042】
(付記4)
前記ディープ畳み込みニューラルネットワークは、畳み込み符号化ネットワーク及び復号再構築ネットワークを含み、
前記畳み込み符号化ネットワークは、畳み込み層とプーリング層で構成され、入力信号に対して層ごとの特徴抽出を行い、特徴の次元低下を実現し、畳み込み計算プロセスは、次のように表され、
【数50】
ここで、i、j、kは、全て正の整数であり、hi,kは、i番目の畳み込みカーネルによってキャプチャされた隠れ層によって表されるk番目の要素であり、mは、畳み込みカーネルのサイズであり、nは、畳み込みカーネルの数であり、lは、入力信号の長さであり、Yk-1+jは、k-1+j番目の標準化信号のゼロベクトルであり、Ki,jは、i番目の畳み込みカーネルのj番目の要素であり、
前記復号再構築ネットワークは、多層アップサンプリング層とデコンボリューション層で構成され、次元低下後の信号を再構築し、再構築プロセスは、次のように表され、
【数51】
ここで、i、j、kは、全て正の整数であり、
【数52】
は、N層のデコンボリューション層のi番目の畳み込みカーネルによって得られる畳み込みで表現されるk番目の要素であり、
【数53】
は、N番目のデコンボリューション層のi番目の畳み込みカーネルのk番目の要素の、前のアップサンプリング層における結果を示し、
【数54】
は、N層のデコンボリューション層のi番目の畳み込みカーネルのj番目の要素であり、
【数55】
は、N番目のデコンボリューション層の畳み込みカーネルのサイズであり、
【数56】
は、N番目のデコンボリューション層の入力信号長であることを特徴とする付記3に記載のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法。
【0043】
(付記5)
前記のケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットの模擬ステップは、
標準トレーニングセットをディープ畳み込みニューラルネットワークに入力し、畳み込み符号化ネットワークを用いて標準トレーニングセットの次元低下を行ってディープ畳み込み特徴、即ち隠れ層表現を取得し、
標準トレーニングセットの隠れ層表現に信号干渉を追加して、乱れた隠れ層表現を取得し、
復号再構築ネットワークを用いて、乱れた隠れ層表現を再構築してケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットを取得し、
前記ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットの生成式は、次のとおりであり、
【数57】
ここで、Yは、標準トレーニングセットであり、Yは、腐食損傷信号セットであり、Qは、畳み込み符号化ネットワークによって次元低下して出力される隠れ層表現であり、
【数58】
は、乱れた隠れ層表現であり、Encoderは、畳み込み符号化ネットワークであり、Decoderは、復号再構築ネットワークであることを特徴とする付記4に記載のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法。
【0044】
(付記6)
前記ツインネットワークは、半教師あり学習ネットワークによって構築され、2つのパラメータ共有の畳み込みニューラルネットワークを含み、
入力信号ペア[Y,Y]に対して、マッピング関数F(Y)を使用し、畳み込みニューラルネットワークを介して入力信号を新しい座標系空間にマッピングし、マッピング信号F(Y)とF(Y)のユークリッド距離Sを距離メトリックで計算し、
S(F(Y),F(Y))=||F(Y),F(Y)||
ここで、YとYは、異なる信号セットであるか、同じ信号セットであり、
前記ユークリッド距離Sは、ツインネットワークの出力として、信号間の偏差値を表すことを特徴とする付記5に記載のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法。
【0045】
(付記7)
前記のディープ学習を行うと共にツインネットワークパラメータを更新してトレーニング済みツインネットワークを取得することは、具体的には、
トレーニングデータセットからサイズNの正常状態トレーニングセット
【数59】
を取得し、[1,N]から正の整数値n及びnをランダムに選択し、正常サンプル入力ペア
【数60】
を構築し、
ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットから、損傷サンプルを模擬する損傷模擬入力ペア
【数61】
(Sは、正の整数値である)を構築し、
正常サンプル入力ペアのラベルを0、損傷模擬入力ペアのラベルを1にセットし、正常サンプル入力ペアの数を損傷模擬入力ペアの数と同じにし、
正常サンプル入力ペアと損傷模擬入力ペアをツインネットワークに入力してパラメータ更新を行い、
バイナリクロスエントロピーを損失関数とし、次のように定義され、
【数62】
ここで、
【数63】
は、入力ペアのラベルであり、Xは、ツインネットワークの出力であることを特徴とする付記6に記載のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法。
【0046】
(付記8)
前記の確率画像化法でケーブルアルミニウムシース腐食損傷状態を表すことは、具体的には、
標準テストセットのテスト信号Yと標準トレーニングセットの正常信号からなるテストペア
【数64】
をトレーニング済みツインネットワークに入力し、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷指標を出力し、
腐食損傷指標に基づいて、マルチセンサを使用して損傷確率を伝達経路の近くの画像化点に割り当て、面積化の損傷確率の割り当てにより画像化性能を向上させ、
画像化のステップは、
N個のセンサがある条件下で、N×(N-1)本の異なる伝達経路を有し、励起センサ、収集センサと腐食損傷箇所の距離をユークリッド距離計算によって取得し、
ケーブルアルミニウムシース内の超音波誘導波の伝搬速度に基づいて、超音波誘導波が各距離で伝搬するのに必要な時間を計算し、直接波信号と散乱信号の時間差を計算し、
ΔT=T+T-T
ここで、Tは、誘導波信号が励起センサからケーブルアルミニウムシース腐食損傷箇所に至る時間であり、Tは、誘導波信号がケーブルアルミニウムシース腐食損傷箇所から収集センサに至る時間であり、Tは、正常状態で誘導波信号が励起センサから収集センサに至る時間であり、
前記直接波信号は、正常状態で励起センサから収集センサに至る誘導波信号であり、
前記散乱信号は、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷箇所から収集センサに至る誘導波信号と、正常状態で励起センサから収集センサに至る誘導波信号との差信号であり、
ケーブルの検出対象領域を離散化し、各離散点を1つの基準点として励起点、受信点と離散点の伝搬時間を計算し、損傷点と離散点の時間差を求め、時間係数は、次のように定義され、
τ=(ΔT’-ΔT)/T=[(T’+T’-T)-(T+T-T)]/T
ここで、ΔT’は、離散点信号と正常状態信号の時間差であり、T’は、誘導波信号が励起センサから離散点に至る時間であり、T’は、誘導波信号が離散点から収集センサに至る時間であり、
前記励起点は、励起センサの位置であり、前記受信点は、収集センサの位置であり、前記損傷点は、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷箇所の位置であり、
τ=0の場合、基準点での損傷確率が最も大きくなり、τが大きいほど、基準点が損傷から離れ、損傷確率が低くなり、
画像化の重みを線形減衰に設定し、τと線形減衰係数αによって計算され、
【数65】
離散点毎に損傷確率値を計算することにより、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷画像を得て、
前記損傷確率値の計算式は、以下の通りであり、
【数66】
ここで、P(x,y)は、n本目の超音波誘導波伝達経路によって推定される座標(x,y)の離散点の損傷確率であり、Nは、全ての励起センサの伝達経路の数であり、Clは、n本目の超音波誘導波伝達経路の損傷指標であり、H(x,y)は、n本目の超音波誘導波伝達経路の線形減衰画像化重みであることを特徴とする付記7に記載のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法。
【0047】
(付記9)
ツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化システムであって、
超音波誘導波検出機器を利用し、ケーブルアルミニウムシースの正常状態で超音波誘導波信号をトレーニング信号セットとして収集し、ケーブルアルミニウムシースの腐食損傷状態で超音波誘導波信号をテスト信号セットとして収集する信号収集モジュールと、
トレーニング信号セットとテスト信号セットの標準化処理を行って標準トレーニングセットと標準テストセットを得る信号標準化モジュールと、
ディープ畳み込みニューラルネットワークを利用して標準トレーニングセットの次元低下及び再構築を行い、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号セットを模擬する信号模擬モジュールと、
ツインネットワークを構築し、ケーブルアルミニウムシース腐食損傷信号と標準トレーニングセットを用いてディープ学習を行うと共にツインネットワークパラメータを更新して、トレーニング済みツインネットワークを取得するツインネットワークトレーニングモジュールと、
トレーニング済みツインネットワークに標準テストセットを入力してケーブルアルミニウムシース腐食損傷指標を取得し、確率画像化法を用いてケーブルアルミニウムシース腐食損傷状態を表す確率画像化モジュールと、を含むことを特徴とするツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化システム。
【0048】
(付記10)
プログラムが格納されているコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラムがプロセッサによって実行されると、付記1~8のいずれか一つに記載のツインネットワーク及び超音波誘導波に基づくケーブルアルミニウムシース腐食損傷画像化方法を実現することを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7