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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】ランプ装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20240522BHJP
   B60S 1/56 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
B60S1/62 110A
B60S1/56 120B
B60S1/62 120C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022184884
(22)【出願日】2022-11-18
(62)【分割の表示】P 2020519598の分割
【原出願日】2019-05-09
(65)【公開番号】P2023015348
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2022-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2018096093
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018096095
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】綿野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 重之
(72)【発明者】
【氏名】久保田 晃宜
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-067341(JP,A)
【文献】特開2003-011791(JP,A)
【文献】特開2016-172486(JP,A)
【文献】特開2005-178569(JP,A)
【文献】特開2009-140715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/62
B60S 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるランプ装置であって、
前記車両の外部に可視光を照射するランプユニットと、
前記車両の外部の画像を取得するカメラユニットと、
前記ランプユニットと前記カメラユニットを覆う透光カバーと、
記カメラユニットの画角内に位置する前記透光カバー上の第一領域を含む領域に向けて気体を噴射するエアクリーナと、
を備えており、
前記第一領域は、前記ランプユニットから照射された光が通過する前記透光カバー上の第二領域を洗浄するために噴射される洗浄液が到達可能な前記透光カバー上の第三領域を避けるように位置している、
ランプ装置。
【請求項2】
前記気体が前記第三領域に到達するように前記エアクリーナが配置されている、
請求項1に記載のランプ装置。
【請求項3】
前記エアクリーナは、前記車両の走行時において前記第一領域へ向かう雨滴の流れを阻止するように配置と形状の少なくとも一方が定められている、
請求項1または2に記載のランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載される撮像装置に関連する。本開示は、車両に搭載されるランプ装置にも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両に搭載されて当該車両の外部の画像を取得する撮像装置を開示している。そのような撮像装置の一例として、特許文献1は、ランプ装置の灯室内に車両の外部の画像を取得するカメラユニットが配置された構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特許出願公開2008-068701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に搭載された撮像装置による情報取得能力の低下を抑制することが求められている(第一の要求)。
【0005】
車両に搭載されたランプ装置に内蔵されたカメラユニットによる情報取得能力の低下を抑制することが求められている(第二の要求)。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の第一の要求に応えるための一態様は、車両に搭載される撮像装置であって、
前記車両の外部の画像を取得するカメラユニットと、
前記カメラユニットを覆う透光カバーと、
前記透光カバーの位置における前記カメラユニットの画角内に位置する領域に向けて気体を噴射する第一エアクリーナと、
を備えており、
前記第一エアクリーナは、前記領域よりも前記車両の上下方向における上方に配置されている。
【0007】
透光カバーの上記領域上に雨滴や雪が付着していると、カメラユニットによる画像の取得に支障をきたしうる。第一エアクリーナから上記領域へ向けて適宜のタイミングで空気を噴射することにより、少なくとも上記領域に存在する雨滴や雪を除去できる。これにより、車両に搭載された撮像装置による情報取得能力の低下を抑制できる。
【0008】
特に第一エアクリーナが上記領域に向けて上方から空気を噴射するので、上記領域に付着した雨滴や雪の重力による落下を促すことができる。換言すると、より小さな風圧で雨滴や雪の除去を実現しうる。したがって、第一エアクリーナの大型化や消費電力増を抑制できる。ひいては、撮像装置の大型化や消費電力増を抑制できる。
【0009】
上記の第一の要求に応えるための一態様は、車両に搭載される撮像装置であって、
前記車両の外部の画像を取得するカメラユニットと、
前記カメラユニットを覆う透光カバーと、
前記透光カバーにおける前記カメラユニットの画角内に位置する領域に向けて気体を噴射する第一エアクリーナと、
前記領域に向けて前記第一エアクリーナとは異なる方向から気体を噴射する第二エアクリーナと、
を備えている。
【0010】
このような構成によれば、透光カバーの上記領域に付着した雨滴や雪が第一エアクリーナによる一方向からの気体噴射によっては除去できない場合において、別方向からの気体噴射による除去を試みることが可能になる。したがって、車両に搭載されたカメラユニットによる情報取得能力の低下をより確実に抑制できる。
【0011】
上記の各態様に係る撮像装置は、以下のように構成されうる。
前記車両の速度に基づいて、前記第一エアクリーナと前記第二エアクリーナの少なくとも一方を選択的に動作させる制御装置を備えている。
【0012】
このような構成によれば、上記領域からの雨滴や雪の除去をより容易かつ有効に遂行できるエアクリーナが、車両の速度に応じて選択的に作動される。したがって、上記領域を通じたカメラユニットの視界確保を比較的簡易な処理で遂行できる。
【0013】
これに加えてあるいは代えて、上記の各態様に係る撮像装置は、以下のように構成されうる。
前記カメラユニットにより取得された画像に基づいて、前記第一エアクリーナと前記第二エアクリーナの少なくとも一方を選択的に動作させる制御装置を備えている。
【0014】
このような構成によっても、上記領域からの雨滴や雪の除去をより容易かつ有効に遂行できるエアクリーナが、車両の速度に応じて選択的に作動される。また、上記領域を通じたカメラユニットの視界確保を、外部より速度情報の入力を必要とすることなく撮像装置単体で遂行できる。
【0015】
制御装置の動作がカメラユニットにより取得された画像に基づく場合、第一エアクリーナと第二エアクリーナのより柔軟な選択的動作が可能になる。例えば、制御装置によって上記領域内の特定の位置に汚れが検出された場合、当該位置により近いエアクリーナが選択されうる。選択されたエアクリーナは、当該汚れを除去するために気体を噴射しうる。
【0016】
上記の第二の要求に応えるための一態様は、車両に搭載されるランプ装置であって、
前記車両の外部に可視光を照射するランプユニットと、
前記車両の外部の画像を取得するカメラユニットと、
前記ランプユニットと前記カメラユニットを覆う透光カバーと、
前記透光カバーの位置における前記カメラユニットの画角内に位置する第一領域を含む領域に向けて気体を噴射するエアクリーナと、
を備えており、
前記第一領域は、前記透光カバーの位置における前記ランプユニットから照射された光が通過する第二領域を洗浄するために噴射される洗浄液が到達可能な第三領域を避けるように位置している。
【0017】
透光カバーの第一領域上に汚れや異物が付着していると、カメラユニットによる画像の取得に支障をきたしうる。エアクリーナから第一領域を含む領域へ向けて適宜のタイミングで空気を噴射することにより、少なくとも第一領域に存在する汚れや異物を除去できる。これにより、ランプ装置に内蔵されたカメラユニットによる情報取得能力の低下を抑制できる。
【0018】
ランプ装置の透光カバーに向けて洗浄液を噴射することにより、照明の妨げになりうる透光カバー上の汚れや異物を除去する液式クリーナが知られている。上記のランプ装置は、このような液式クリーナとともに用いられうる。上記の構成においては、第一領域が第三領域を避けるようにカメラユニットが配置されている。したがって、液式クリーナから噴射された洗浄液がカメラユニットの画角内に進入する事態を回避できる。これにより、カメラユニットによる情報処理能力低下の抑制を容易にできる。
【0019】
上記のランプ装置は、以下のように構成されうる。
前記気体が前記第三領域に到達するように前記エアクリーナが配置されている。
【0020】
このような構成によれば、エアクリーナから噴射されて第一領域を通過した空気の風圧によって、第三領域内の洗浄液を第一領域から遠ざけることができる。したがって、液式クリーナから噴射された洗浄液がカメラユニットの画角内に進入する事態の回避をより確実にできる。
【0021】
上記のランプ装置は、以下のように構成されうる。
前記エアクリーナは、前記車両の走行時において前記第一領域へ向かう雨滴の流れを阻止するように配置と形状の少なくとも一方が定められている。
【0022】
車両の走行時においては、車体に付着した雨滴が走行風によって車体表面を移動し、流れを形成する。このような雨滴が透光カバーの第一領域に到達すると、カメラユニットによる画像の取得に支障をきたしうる。このような雨滴の流れがエアクリーナによって阻止されることにより、カメラユニットの視界を確保するための空気噴射動作の頻度を低くできる。
【0023】
本開示において使用される「ランプユニット」という語は、所望の照明機能を備えつつ、それ自身が単体で流通可能な部品の構成単位を意味する。
【0024】
本開示において使用される「カメラユニット」という語は、所望の画像取得機能を備えつつ、それ自身が単体で流通可能な部品の構成単位を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形態に係る左前撮像装置の構成を例示している。
図2図1の左前撮像装置の車両における位置を例示している。
図3A図1の左前撮像装置の動作を例示している。
図3B図1の左前撮像装置の動作を例示している。
図4A図1の左前撮像装置の動作を例示している。
図4B図1の左前撮像装置の動作を例示している。
図5】一実施形態に係る左前ランプ装置の構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0027】
添付の図面において、矢印Fは、図示された構造の前方向を示している。矢印Bは、図示された構造の後方向を示している。矢印Uは、図示された構造の上方向を示している。矢印Dは、図示された構造の下方向を示している。矢印Lは、図示された構造の左方向を示している。矢印Rは、図示された構造の右方向を示している。以降の説明に用いる「左」および「右」は、運転席から見た左右の方向を示している。
【0028】
図1は、一実施形態に係る左前撮像装置101の構成を示している。左前撮像装置101は、図2に示される車両10の左前部LFに配置される。左前部LFは、車両10の左右方向における中央よりも左側、かつ車両10の前後方向における中央よりも前側に位置する領域である。
【0029】
図1に示されるように、左前撮像装置101は、ハウジング111と透光カバー112を備えている。ハウジング111は、透光カバー112とともに収容室113を区画している。
【0030】
左前撮像装置101は、カメラユニット114を備えている。カメラユニット114は、収容室113内に収容されている。透光カバー112は、カメラユニット114を覆っている。
【0031】
カメラユニット114は、車両10の外部の画像を取得するための装置である。画像は、静止画像と動画像の少なくとも一方を含みうる。カメラユニット114は、可視光に感度を有するカメラと赤外光に感度を有するカメラの少なくとも一方を備えうる。一点鎖線で囲まれた領域Aは、透光カバー112の位置におけるカメラユニット114の画角内に位置する領域を示している。
【0032】
左前撮像装置101は、第一エアクリーナ115を備えている。第一エアクリーナ115は、適宜の支持部材を介してハウジング111または透光カバー112に支持されている。第一エアクリーナ115は、上記の領域Aよりも車両10の上下方向における上方に配置されている。第一エアクリーナ115は、少なくとも上記の領域Aに向けて上方から空気を噴射するように構成されている。
【0033】
透光カバー112の領域A上に雨滴や雪が付着していると、カメラユニット114による画像の取得に支障をきたしうる。第一エアクリーナ115から領域Aへ向けて適宜のタイミングで空気を噴射することにより、少なくとも領域Aに存在する雨滴や雪を除去できる。これにより、車両10に搭載されたカメラユニット114による情報取得能力の低下を抑制できる。
【0034】
特に第一エアクリーナ115が領域Aに向けて上方から空気を噴射するので、領域Aに付着した雨滴や雪の重力による落下を促すことができる。換言すると、より小さな風圧で雨滴や雪の除去を実現しうる。したがって、第一エアクリーナ115の大型化や消費電力増を抑制できる。ひいては、左前撮像装置101の大型化や消費電力増を抑制できる。
【0035】
左前撮像装置101は、第二エアクリーナ116を備えうる。第二エアクリーナ116は、上記の領域Aに向けて第一エアクリーナ115とは異なる方向から気体を噴射するように構成されている。図示の例においては、第二エアクリーナ116は、右斜め下方から領域Aに向けて気体を噴射するように配置されている。
【0036】
このような構成によれば、領域Aに付着した雨滴や雪が第一エアクリーナ115による一方向からの気体噴射によっては除去できない場合において、別方向からの気体噴射による除去を試みることが可能になる。したがって、車両10に搭載されたカメラユニット114による情報取得能力の低下をより確実に抑制できる。
【0037】
左前撮像装置101は、制御装置117を備えうる。制御装置117は、第一エアクリーナ115および第二エアクリーナ116と通信可能に接続されうる。制御装置117は、制御信号S1と制御信号S2を出力可能に構成される。制御信号S1は、第一エアクリーナ115に気体を噴射させる信号である。制御信号S2は、第二エアクリーナ116に気体を噴射させる信号である。
【0038】
制御装置117は、車両10に搭載されたメインECUや車速センサから車両10の速度を示す速度信号Vを受信可能に構成されうる。この場合、制御装置117は、速度信号Vに対応する車両10の速度に基づいて、第一エアクリーナ115と第二エアクリーナ116の少なくとも一方を選択的に動作させるように構成される。
【0039】
図3Aは、車両10が停止している場合、あるいは比較的低速で走行している場合において透光カバー112の領域Aに付着した雨滴RDを示している。雨滴RDは、静止しているか、重力の影響により下方へ比較的低速で変位する。
【0040】
例えば、速度信号Vの示す車両10の速度が所定値未満である場合、制御装置117は、第一エアクリーナ115を動作させる制御信号S1を出力する。これにより、図3Bに示されるように、領域Aの上方に位置する第一エアクリーナ115から気体が噴射され、雨滴RDの領域Aからの離脱が促される。
【0041】
図4Aは、車両が比較的高速で走行している場合において透光カバー112の領域Aに付着した雨滴RDを示している。雨滴RDは、走行風によって透光カバー112の表面を移動する。図示の例においては、雨滴RDは、左斜め上方に向かって移動している。
【0042】
例えば、速度信号Vの示す車両10の速度が所定値以上である場合、制御装置117は、第二エアクリーナ116を動作させる制御信号S2を出力する。これにより、図4Bに示されるように、領域Aの右斜め下方に位置する第二エアクリーナ116から気体が噴射され、雨滴RDの領域Aからの離脱が促される。
【0043】
すなわち、領域Aからの雨滴や雪の除去をより容易かつ有効に遂行できるエアクリーナが、車両10の速度に応じて選択的に作動される。したがって、領域Aを通じたカメラユニット114の視界確保を比較的簡易な処理で遂行できる。
【0044】
上記に加えてあるいは代えて、制御装置117は、カメラユニット114と通信可能に接続されうる。カメラユニット114は、取得した画像に対応する検出信号S0を出力するように構成される。制御装置117は、検出信号S0を受信可能に構成される。
【0045】
この場合、制御装置117は、カメラユニット114により取得された画像に基づいて、第一エアクリーナ115と第二エアクリーナ116の少なくとも一方を選択的に動作させるように構成される。すなわち、制御装置117は、カメラユニット114から受信した検出信号S0に基づいて、制御信号S1と制御信号S2の少なくとも一方を出力するように構成される。
【0046】
制御装置117は、入力インターフェース、および画像処理を実行可能なプロセッサを備えうる。入力インターフェースは、カメラユニット114からの検出信号S0を受け付けるとともに、検出信号S0をプロセッサによる画像処理が可能な状態に変換する。領域A内の雨滴RDの動きは、プロセッサの画像処理によって検出されうる。
【0047】
検出された雨滴RDの動きが図3Aに示される態様である場合、プロセッサは、車両10が停止または比較的低速で走行していると判断する。制御装置117は、図3Bに示されるように、第一エアクリーナ115に気体を噴射させる。
【0048】
検出された雨滴RDの動きが図4Aに示される態様である場合、プロセッサは、車両10が比較的高速で走行していると判断する。制御装置117は、図4Bに示されるように、第二エアクリーナ116に気体を噴射させる。
【0049】
このような構成によっても、領域Aからの雨滴や雪の除去をより容易かつ有効に遂行できるエアクリーナが、車両10の速度に応じて選択的に作動される。また、領域Aを通じたカメラユニット114の視界確保を、外部より速度信号Vの入力を必要とすることなく左前撮像装置101単体で遂行できる。
【0050】
制御装置117の動作がカメラユニット114により取得された画像に基づく場合、第一エアクリーナ115と第二エアクリーナ116のより柔軟な選択的動作が可能になる。例えば、プロセッサの画像処理によって領域A内の特定の位置に汚れが検出された場合、当該位置により近いエアクリーナが選択されうる。選択されたエアクリーナは、当該汚れを除去するために気体を噴射する。
【0051】
上記のプロセッサの機能は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用マイクロプロセッサは、複数のプロセッサコアを含みうる。汎用メモリの例としては、ROMやRAMが挙げられる。ROMには、後述する処理を実行するプログラムが記憶されうる。当該プログラムは、人工知能プログラムを含みうる。人工知能プログラムの例としては、ディープラーニングによる学習済みニューラルネットワークが挙げられる。汎用マイクロプロセッサは、ROMに記憶されたプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上記の処理を実行しうる。あるいは、上記のプロセッサの機能は、マイクロコントローラ、FPGA、ASICなどの専用集積回路によって実現されてもよい。
【0052】
上記の実施形態は、本開示の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本開示の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0053】
上記の実施形態においては、二つのエアクリーナが設けられている。複数の方向から領域Aに向けて気体を噴射可能にすることによって領域A内の異物を除去しやすくするという観点からは、第一エアクリーナ115は、必ずしも領域Aよりも車両10の上下方向における上方に配置されることを要しない。また、車両10および左前撮像装置101の仕様に応じて、三つ以上のエアクリーナが設けられてもよい。
【0054】
図2に示される車両10の右前部RFには、図1に示される左前撮像装置101と左右対称の構成を有する右前撮像装置が搭載されうる。右前部RFは、車両10の左右方向における中央よりも右側、かつ車両10の前後方向における中央よりも前側に位置する領域である。
【0055】
左前撮像装置101の構成は、左後撮像装置にも適用可能である。左後撮像装置は、図2に示される車両10の左後部LBに搭載される。左後部LBは、車両10の左右方向における中央よりも左側、かつ車両10の前後方向における中央よりも後側に位置する領域である。左後撮像装置の基本的な構成は、左前撮像装置101と前後対称でありうる。
【0056】
左前撮像装置101の構成は、右後撮像装置にも適用可能である。右後撮像装置は、図2に示される車両10の右後部RBに搭載される。右後部RBは、車両10の左右方向における中央よりも右側、かつ車両10の前後方向における中央よりも後側に位置する領域である。右後撮像装置の基本的な構成は、上述の左後撮像装置と左右対称でありうる。
【0057】
図1に示されるように、収容室113内には、ランプユニット118が収容されうる。ランプユニット118は、車両10の外方へ可視光を照射する装置である。ランプユニット118としては、前照灯ユニット、車幅灯ユニット、方向指示灯ユニット、霧灯ユニット、ストップランプユニット、ブレーキランプユニットなどが例示されうる。
【0058】
収容室113内に収容されるカメラユニット114の数は、複数でもよい。この場合、カメラユニット114ごとに少なくとも一つのエアクリーナが設けられてもよいし、複数のカメラユニット114について設定される複数の領域Aに向けて一つのエアクリーナから気体が噴射されてもよい。
【0059】
カメラユニット114は、必ずしもハウジング111に収容されることを要しない。カメラユニット114は、車両10のフロントガラスやドアバイザーの後方に配置されうる。フロントガラスやドアバイザーは、透光カバーの一例となりうる。
【0060】
図5は、一実施形態に係る左前ランプ装置201の構成を示している。左前ランプ装置201は、図2に示される車両10の左前部LFに配置されうる。
【0061】
図5に示されるように、左前ランプ装置201は、ハウジング211と透光カバー212を備えている。ハウジング211は、透光カバー212とともに灯室213を区画している。
【0062】
左前ランプ装置201は、ランプユニット214とカメラユニット215を備えている。ランプユニット214とカメラユニット215は、灯室213内に収容されている。透光カバー212は、ランプユニット214とカメラユニット215を覆っている。
【0063】
ランプユニット214は、車両10の外方へ可視光を照射する装置である。ランプユニット214としては、前照灯ユニット、車幅灯ユニット、方向指示灯ユニット、霧灯ユニットなどが例示されうる。
【0064】
カメラユニット215は、車両10の外部の画像を取得するための装置である。画像は、静止画像と動画像の少なくとも一方を含みうる。カメラユニット215は、可視光に感度を有するカメラと赤外光に感度を有するカメラの少なくとも一方を備えうる。一点鎖線L1で囲まれた第一領域A1は、透光カバー212の位置におけるカメラユニット215の画角内に位置する領域を示している。
【0065】
左前ランプ装置201は、エアクリーナ216を備えている。エアクリーナ216は、適宜の支持部材を介してハウジング211または透光カバー212に支持されている。エアクリーナ216は、少なくとも上記の第一領域A1に向けて空気を噴射するように構成されている。一点鎖線L0で囲まれる領域A0は、エアクリーナ216から噴射された空気が到達しうる領域を示している。
【0066】
透光カバー212の第一領域A1上に汚れや異物が付着していると、カメラユニット215による画像の取得に支障をきたしうる。エアクリーナ216から第一領域A1を含む領域A0へ向けて適宜のタイミングで空気を噴射することにより、少なくとも第一領域A1に存在する汚れや異物を除去できる。これにより、左前ランプ装置201に内蔵されたカメラユニット215による情報取得能力の低下を抑制できる。
【0067】
ランプ装置の透光カバーに向けて洗浄液を噴射することにより、照明の妨げになりうる透光カバー上の汚れや異物を除去する液式クリーナが知られている。左前ランプ装置201は、このような液式クリーナ11とともに用いられうる。
【0068】
一点鎖線L2で囲まれた第二領域A2は、透光カバー212の位置におけるランプユニット214から照射された光が通過する領域を示している。液式クリーナ11は、少なくとも第二領域A2を洗浄するために洗浄液を噴射するように構成されている。二本の一点鎖線L3の間に位置する第三領域A3は、走行風などによって洗浄液が到達可能な領域を示している。
【0069】
本実施形態においては、上記の第一領域A1が第三領域A3を避けるようにカメラユニット215が配置されている。したがって、液式クリーナ11から噴射された洗浄液がカメラユニット215の画角内に進入する事態を回避できる。これにより、カメラユニット215による情報処理能力低下の抑制を容易にできる。
【0070】
図5に示されるように、本実施形態においては、領域A0の一部が第三領域A3と重なっている。すなわち、噴射された空気が第三領域A3に到達するように、エアクリーナ216が配置されている。
【0071】
このような構成によれば、エアクリーナ216から噴射されて第一領域A1を通過した空気の風圧によって、第三領域A3内の洗浄液を第一領域A1から遠ざけることができる。したがって、液式クリーナ11から噴射された洗浄液がカメラユニット215の画角内に進入する事態の回避をより確実にできる。
【0072】
本実施形態においては、エアクリーナ216は、車両10の走行時において第一領域A1に向かう雨滴の流れSを阻止するように配置と形状の少なくとも一方が定められている。例えば、エアクリーナ216は、車体と透光カバー212の境界付近を延びる壁状部分216aを備えうる。
【0073】
車両10の走行時においては、車体に付着した雨滴が走行風によって車体表面を移動し、流れSを形成する。このような雨滴が透光カバー212の第一領域A1に到達すると、カメラユニット215による画像の取得に支障をきたしうる。このような雨滴の流れSがエアクリーナ216によって阻止されることにより、カメラユニット215の視界を確保するための空気噴射動作の頻度を低くできる。
【0074】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0075】
上記の実施形態においては、二つのカメラユニット215が灯室213内に収容されている。しかしながら、灯室213内に収容されるカメラユニット215の数は、一つ以上の任意の数とされうる。
【0076】
エアクリーナ216の配置と空気の噴射方向は、図5に示された方向に限られない。第三領域A3を避けるように配置された第一領域A1を含む領域A0に向けて空気を噴射可能であれば、エアクリーナ216の配置と空気の噴射方向は、車両10と左前ランプ装置201の仕様に応じて適宜に定められうる。
【0077】
図2に示される車両10の右前部RFには、図5に示される左前ランプ装置201と左右対称の構成を有する右前ランプ装置が搭載されうる。
【0078】
左前ランプ装置201の構成は、左後ランプ装置にも適用可能である。左後ランプ装置は、図2に示される車両10の左後部LBに搭載される。左後ランプ装置の基本的な構成は、左前ランプ装置201と前後対称でありうる。この場合、ランプユニット214として、ストップランプユニット、ブレーキランプユニット、方向指示灯ユニットが搭載されうる。
【0079】
左前ランプ装置201の構成は、右後ランプ装置にも適用可能である。右後ランプ装置は、図2に示される車両10の右後部RBに搭載される。右後ランプ装置の基本的な構成は、上述の左後ランプ装置と左右対称でありうる。
【0080】
本出願の記載の一部を構成するものとして、2018年5月18日に提出された日本国特許出願2018-096093号、および2018年5月18日に提出された日本国特許出願2018-096095号の内容が援用される。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5