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特許7492591精算装置、精算システム、精算方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】精算装置、精算システム、精算方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20240522BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20240522BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20240522BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
H02J3/00 180
G06Q50/06
H02J3/46
H02J13/00 301A
H02J13/00 311
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022546305
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 JP2021031743
(87)【国際公開番号】W WO2022050220
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】P 2020148878
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】広江 隆治
(72)【発明者】
【氏名】井手 和成
(72)【発明者】
【氏名】佐瀬 遼
【審査官】宮田 繁仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-170151(JP,A)
【文献】特開2019-170152(JP,A)
【文献】特開2008-5684(JP,A)
【文献】特開2014-128137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-5/00
H02J 13/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送配電網に対し調整力を提供可能な調整力提供手段との接続点において授受される有効電力の計測値と、当該接続点における周波数の計測値とを取得する計測値取得部と、
取得した前記有効電力の計測値と前記周波数の計測値とに基づいて、前記接続点における調整電力を計量する調整電力計量部と、
前記調整電力を時間について積算して、前記接続点における所定期間の調整電力量を算出する調整電力量算出部と、
前記接続点において前記所定期間に授受された電力量を取得する電力量取得部と、
前記調整電力量と、前記電力量との和に基づき、前記調整力提供手段が提供する調整力、及び前記調整力提供手段が授受する電力の対価を精算する精算部と、
を備える精算装置。
【請求項2】
計量された前記調整電力に前記調整電力の対価を調整する価格調整係数を乗じる調整部を更に備え、
前記調整電力量算出部は、前記調整電力に前記価格調整係数を乗じた値を積算して、前記調整電力量を算出する、
請求項1に記載の精算装置。
【請求項3】
日時に応じて異なる値が予め設定された複数の価格調整係数を記憶する係数記憶部を更に備え、
前記調整部は、前記所定期間に対応する価格調整係数を前記係数記憶部から取得する、
請求項2に記載の精算装置。
【請求項4】
前記調整部は、前記送配電網を管理する系統運用者のサーバから前記価格調整係数を取得する、
請求項2に記載の精算装置。
【請求項5】
前記調整力提供手段の調整力の定常性を評価する評価部を更に備え、
前記調整部は、前記評価部の評価結果に応じて前記価格調整係数を変更する、
請求項2に記載の精算装置。
【請求項6】
前記評価部は、前記調整電力の時系列データから算出されたステップ毎の調整電力の増分の分散に基づいて、前記定常性を評価する、
請求項5に記載の精算装置。
【請求項7】
前記評価部は、前記調整電力量の時系列データから算出された一定期間毎の調整電力量の増分の分散に基づいて前記定常性を評価する、
請求項5又は6に記載の精算装置。
【請求項8】
前記有効電力の計測値と、前記周波数の計測値とに基づいて前記調整力提供手段の調停率を推定する調停率推定部を更に備え、
前記評価部は、前記調停率の推定値の時系列データから算出された前記調停率の推定値の増分の分散に基づいて前記定常性を評価する、
請求項5に記載の精算装置。
【請求項9】
前記調整電力計量部は、取得した前記有効電力の計測値と前記周波数の計測値を帯域別に分割した第1成分及び第2成分について、前記第1成分の第1調整電力と、前記第2成分の第2調整電力とを計量し、
前記調整部は、前記第1調整電力に前記第1成分に対応する第1価格調整係数を乗算するとともに、前記第2調整電力に前記第2成分に対応する第2価格調整係数を乗算し、
前記調整電力量算出部は、前記第1調整電力と前記第1価格調整係数とを乗算した値を積算して第1成分に対応する第1調整電力量を算出するとともに、前記第2調整電力と前記第2価格調整係数とを乗算した値を積算して第2成分に対応する第2調整電力量を算出する、
請求項2から8の何れか一項に記載の精算装置。
【請求項10】
送配電網に対し調整力を提供可能な調整力提供手段との接続点に設けられる精算装置と、
前記精算装置と通信可能に接続されたサーバと、
を備え、
前記精算装置は、
前記接続点において授受される有効電力の計測値と、当該接続点における周波数の計測値とを取得する計測値取得部と、
取得した前記有効電力の計測値と前記周波数の計測値とに基づいて、前記接続点における調整電力を計量する調整電力計量部と、
前記調整電力の対価を調整する価格調整係数を、計量された前記調整電力に乗じる調整部と、
前記調整電力に前記価格調整係数を乗じた値を時間について積算して、前記接続点における所定期間の調整電力量を算出する調整電力量算出部と、
前記接続点において前記所定期間に授受された電力量を取得する電力量取得部と、
前記調整電力量と、前記電力量との和に基づき、前記調整力提供手段が提供する調整力、及び前記調整力提供手段が授受する電力の対価を精算する精算部と、
を有し、
前記サーバは、
前記調整力提供手段の調整力の定常性を評価する評価部と、
前記定常性の評価前記評価部の評価結果に応じて前記価格調整係数を変更する係数決定部と、
有し、
前記精算装置の調整部は、前記サーバの前記係数決定部により変更された前記価格調整係数を取得する、
精算システム。
【請求項11】
送配電網に対し調整力を提供可能な調整力提供手段との接続点において授受される有効電力の計測値と、当該接続点における周波数の計測値とを取得するステップと、
取得した前記有効電力の計測値と前記周波数の計測値とに基づいて、前記接続点における調整電力を計量するステップと、
前記調整電力に基づいて、前記接続点における所定期間の調整電力量を算出するステップと、
前記接続点において前記所定期間に授受された電力量を取得するステップと、
前記調整電力量と、前記電力量との和に基づき、前記調整力提供手段が提供する調整力、及び前記調整力提供手段が授受する電力の対価を精算するステップと、
を有する精算方法。
【請求項12】
送配電網に対し調整力を提供可能な調整力提供手段との接続点において授受される有効電力の計測値と、当該接続点における周波数の計測値とを取得するステップと、
取得した前記有効電力の計測値と前記周波数の計測値とに基づいて、前記接続点における調整電力を計量するステップと、
前記調整電力に基づいて、前記接続点における所定期間の調整電力量を算出するステップと、
前記接続点において前記所定期間に授受された電力量を取得するステップと、
前記調整電力量と、前記電力量との和に基づき、前記調整力提供手段が提供する調整力、及び前記調整力提供手段が授受する電力の対価を精算するステップと、
を精算装置のコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、精算装置、精算システム、精算方法、及びプログラムに関する。
本願は、2020年9月4日に、日本に出願された特願2020-148878号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
送配電系統は、電力需要の変動周期に応じて、(1)ガバナーフリー(Governor Free;GF)、(2)負荷周波数制御(Load Frequency Control;LFC)、(3)経済負荷配分制御(Economic load Dispatching Control;EDC)に基づく電源からの「調整力」を組み合わせることで、周波数が維持されている。電力自由化により、系統運用者(Transmission System Operator;TSO)は、調整力を公募か市場で発電事業者等から調達することが想定される。
【0003】
オフィスや工場、一般家庭等における電力需要は時々刻々と変動する。送配電系統の電力需要が電力供給を超過すると、送配電系統の周波数は基準値(例えば、50Hz又は60Hz)よりも低下し、逆に、電力供給が電力需要を超過すると周波数は基準値より上昇する。「調整力」とは、時々刻々と変動する需要と供給とをバランスさせるためのものであり、調整力が理想的に提供された場合には、周波数は基準値に一致する。
【0004】
数分から30分未満の需要変動に対しては、負荷周波数制御(LFC)が用いられる。負荷周波数制御によれば、送配電系統における周波数の変動に応じた量の調整力が提供される。即ち、送配電系統の周波数が基準値に不足した場合には、当該送配電系統を管轄する系統運用者は、プラスの調整力を発電事業者から調達する。他方、送配電系統の周波数が基準値を超過した場合には、系統運用者は、マイナスの調整力を発電事業者から調達する。負荷周波数制御による調整力調達の実際は、系統運用者から送信される時々刻々の指令に対し、発電事業者が電源の出力を調整して応じることにより行われる。
【0005】
負荷周波数制御(LFC)に基づく電力の安定供給は、発電事業者が、系統運用者からの指令どおりに調整力を提供することに掛かっている。そこで、電力自由化においては、系統運用者が、発電事業者に対し、調整力の提供の実績に応じた対価を支払う仕組み(調整力提供の精算)が検討されている。
【0006】
しかしながら、系統運用者がごく短時間で急峻に変動する調整力の指令を行った場合は、電力事業者は当該指令に応じることができず、逆にペナルティを課せられ得る。また、周波数は、送配電系統の場所ごとに違いがある。送配電系統の場所ごとにきめ細かく調整力を指令することが望ましいが、短周期(周期3~5秒程度)の揺動に対してそれを行うことは現実的ではない。
【0007】
そこで、短周期の需要変動に対しては、一般に、発電事業者が所有する電源(タービン装置及び発電機からなるもの)で自律に行われるガバナーフリー(GF)運転による調整が行われる。ガバナーフリー運転とは、負荷変動に起因する発電機の回転速度の変化に対して、当該回転速度を一定に保つように、タービン装置への燃料供給量等を制御する運転のことをいう。
【0008】
また、タービン装置を原動力とする電源は、運転中において、仕組み上、慣性エネルギーを内部に有している。この慣性エネルギーは、負荷変動に応じて、負荷との間で自動的に授受されることで、負荷変動の緩衝材(バッファ)として安定運転に寄与する。
【0009】
ガバナーフリー運転、又は、慣性による調整力の提供は、系統運用者からの指令によらず、各電源で自律的に行われるため、系統運用者によって計量されない。したがって、ガバナーフリー運転や慣性を通じて提供した調整力は、系統運用者による対価の支払い(精算)の対象とならない。そうすると、負荷周波数制御によって提供された調整力には対価が支払われる一方で、ガバナーフリー運転によって提供した調整力には対価が支払われないという不均衡が生じる。そのため、ガバナーフリー運転によって提供された調整力も含めて、電源等の調整力供給源が実際に提供した調整力を計量することが求められている。
【0010】
例えば特許文献1には、価格の透明性を高めると共に安定供給に必要な調整力を確保することを可能にする電力市場の価格形成システムおよびその方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】日本国特許第5886400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、電力系統内において電力需給のバランスが30分、1時間のような長い周期で変動する場合には特に有効であるが、例えば1秒程度の短い周期で需給バランスが変動する場合には有効でない。
【0013】
具体例を述べる。例えば、安定的な電力供給を脅かすものとして、周波数の長周期動揺がある。これは、日本のような串形の電力系統(複数の電力会社の系統が直列に連携された電力系統)において特に顕著であり、串形の電力系統の両端(例えば日本の60Hz系統であれば、九州電力と中部電力)の周波数が1秒~数秒の周期でシーソー状に逆方向に揺れる現象である。このような状況では、電力の過剰と不足が離れた場所で同時刻に発生する。例えば、シーソーの端にある九州電力の周波数が高いその時刻に、シーソーの逆の端にある中部電力では周波数が低い。このようなとき。特許文献1に記載の技術を適用するには、調整力の市場価格を場所ごとに変えなければならない。しかも、価格が周波数に依存して増減する様子を表すには、少なくとも一つの周期のなかで10回程度の頻度で価格を変更しなければならない。仮に、周波数動揺の周期が1秒であるとするならば、0.1秒ごとに市場価格を更新することになる。特許文献1には、系統運用機関の系統運用計算機に情報を集め、同計算機で価格決定することが記載されている。このように、中央で集中的に、すべての地域に対してリアルタイムに価格決定を行うことは演算能力やその信頼性を考えると実現は困難である。
【0014】
また、特許文献1には、価格を需要家の端末に送信することが記載されている。仮に演算能力や演算の信頼性の課題が解決されたとしても、前述の状況では、価格は1秒から数秒周期で変動することになるので、却って市場の混乱を招く恐れがある。このように、特許文献1のように、電力の需給バランスに応じて電力量の価格を決定する方式では、いかにそれに透明性があったとしても、電力系統の長周期動揺のような数秒周期の需給調整には有効でない。このため、調整力を計量し、その実績に基づき精算する仕組みが必要とされている。
【0015】
本開示は、このような課題に鑑みてなされたものであって、授受した電力量に応じた対価と、電力需給の調整力に応じた対価との両方を精算することができる精算装置、精算システム、精算方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本開示の一態様によれば、精算装置は、送配電網に対し調整力を提供可能な調整力提供手段との接続点において授受される有効電力の計測値と、当該接続点における周波数の計測値とを取得する計測値取得部と、取得した前記有効電力の計測値と前記周波数の計測値とに基づいて、前記接続点における調整電力を計量する調整電力計量部と、前記調整電力に基づいて、前記接続点における所定期間の調整電力量を算出する調整電力量算出部と、前記接続点において前記所定期間に授受された電力量を取得する電力量取得部と、前記調整電力量と、前記電力量との和に基づき、前記調整力提供手段が提供する調整力、及び前記調整力提供手段が授受する電力の対価を精算する精算部と、を備える。
【0017】
本開示の一態様によれば、精算システムは、送配電網に対し調整力を提供可能な調整力提供手段との接続点に設けられる精算装置と、前記精算装置と通信可能に接続されたサーバと、を備える。前記精算装置は、前記接続点において授受される有効電力の計測値と、当該接続点における周波数の計測値とを取得する計測値取得部と、取得した前記有効電力の計測値と前記周波数の計測値とに基づいて、前記接続点における調整電力を計量する調整電力計量部と、前記調整電力の対価を調整する価格調整係数を、計量された前記調整電力に乗じる調整部と、前記調整電力に前記価格調整係数を乗じた値を時間について積算して、前記接続点における所定期間の調整電力量を算出する調整電力量算出部と、前記接続点において前記所定期間に授受された電力量を取得する電力量取得部と、前記調整電力量と、前記電力量との和に基づき、前記調整力提供手段が提供する調整力、及び前記調整力提供手段が授受する電力の対価を精算する精算部と、を有する。前記サーバは、前記調整力提供手段の調整力の定常性を評価する評価部と、前記定常性の評価前記評価部の評価結果に応じて前記価格調整係数を変更する係数決定部と、有する。前記精算装置の調整部は、前記サーバの前記係数決定部により変更された前記価格調整係数を受信する。説明を簡単にするために発電事業者が供給する調整力について述べたが、オフィスや工場、一般家庭等も、系統運用者が開示する一日の電力使用見通しに基づいて、電力使用がピークとなる時間帯で需要を下げるよう空調を切るなどすれば調整力を提供できる。したがって、電源と同様に、オフィスや工場、一般家庭の一つ一つも調整力供給手段である。
【0018】
本開示の一態様によれば、精算方法は、送配電網に対し調整力を提供可能な調整力提供手段との接続点において授受される有効電力の計測値と、当該接続点における周波数の計測値とを取得するステップと、取得した前記有効電力の計測値と前記周波数の計測値とに基づいて、前記接続点における調整電力を計量するステップと、前記調整電力に基づいて、前記接続点における所定期間の調整電力量を算出するステップと、前記接続点において前記所定期間に授受された電力量を取得するステップと、前記調整電力量と、前記電力量との和に基づき、前記調整力提供手段が提供する調整力、及び前記調整力提供手段が授受する電力の対価を精算するステップと、を有する。
【0019】
本開示の一態様によれば、プログラムは、送配電網に対し調整力を提供可能な調整力提供手段との接続点において授受される有効電力の計測値と、当該接続点における周波数の計測値とを取得するステップと、取得した前記有効電力の計測値と前記周波数の計測値とに基づいて、前記接続点における調整電力を計量するステップと、前記調整電力に基づいて、前記接続点における所定期間の調整電力量を算出するステップと、前記接続点において前記所定期間に授受された電力量を取得するステップと、前記調整電力量と、前記電力量との和に基づき、前記調整力提供手段が提供する調整力、及び前記調整力提供手段が授受する電力の対価を精算するステップと、を精算装置のコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本開示に係る精算装置、精算システム、精算方法、及びプログラムによれば、授受した電力量に応じた対価と、電力需給の調整力に応じた対価との両方を精算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の第1の実施形態に係る精算システムの全体構成を示す図である。
図2】本開示の第1の実施形態に係る精算システムの構成を詳細に示す図である。
図3】本開示の第1の実施形態に係る精算装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】本開示の第1の実施形態に係る精算装置の機能構成を示すブロック図である。
図5】本開示の第1の実施形態に係る精算装置の機能を説明するための第1の図である。
図6】本開示の第1の実施形態に係る精算装置の機能を説明するための第2の図である。
図7】本開示の第2の実施形態に係る精算装置の機能構成を示すブロック図である。
図8】本開示の第3の実施形態に係るサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図9】本開示の第3の実施形態に係るサーバ及び精算装置の機能構成を示すブロック図である。
図10】本開示の第4の実施形態に係る精算装置の機能構成を示すブロック図である。
図11】本開示の第4の実施形態に係る評価部の機能構成を示すブロック図である。
図12】本開示の第4の実施形態の変形例に係る精算装置及びサーバの機能構成を示すブロック図である。
図13】本開示の第5の実施形態に係る精算装置の機能構成を示すブロック図である。
図14】本開示の第5の実施形態に係る評価部の機能構成を示すブロック図である。
図15】本開示の第5の実施形態の変形例に係る精算装置及びサーバの機能構成を示すブロック図である。
図16】本開示の第6の実施形態に係る精算装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1の実施形態>
以下、本開示の第1の実施形態に係る精算装置、及び、当該精算装置を具備する精算システム1について、図1図6を参照しながら説明する。
【0023】
(精算システムの全体構成)
図1は、本開示の第1の実施形態に係る精算システムの全体構成を示す図である。
図1には、発電を行う発電事業者G(GA、GB)と、発電された電力の送配電を行う系統運用者Tと、送配電された電力を消費する需要家Cとを示している。図1に示す例では、系統運用者Tが管理対象とする送配電網(以下、対象送配電網N1とも記載する。)には、発電事業者Gと需要家Cとが接続されている。発電事業者Gが発電した電力は、対象送配電網N1を通じて、需要家Cへと流れる。なお、対象送配電網N1は、他の一般送配電事業者が管理対象とする送配電網(以下、対象外送配電網N2とも記載する。)とも接続されている。
【0024】
図1に示すように、精算システム1は、サーバ10と、精算装置50とを有してなる。
精算装置50は、対象送配電網N1と、発電事業者G等が管理する調整力提供手段との接続点に設置され、当該接続点において授受される電力と、発電事業者G等が提供した「調整力」との対価を精算可能とする。ここで、「調整力提供手段」とは、送配電網(対象送配電網N1)に対し電力需給バランスの調整力を提供可能な装置等であって、具体的には、発電事業者Gが管理する電源(後述)、安定化機器、需要家Cが管理する負荷、及び、系統運用者Tの管理対象外とする送配電網(対象外送配電網N2)を指す。
サーバ10は、系統運用者Tに管理(又は、運用)される。例えば、サーバ10は、各接続点に設置された精算装置から、発電事業者G等の精算結果を収集する。
【0025】
(精算システムの構成の詳細)
図2は、本開示の第1の実施形態に係る精算システムの構成を詳細に示す図である。
図2には、発電事業者GAの発電所aの構成が例として示されている。図示は略すが、発電事業者GBも、同様の構成の発電所bを管理(又は運用)しているものとする。
発電所aは、複数の電源21、22、23、・・を有する。
【0026】
以下、発電所aの複数の電源21、22、23、・・のうち、一つの電源21を例に、説明する。なお、他の電源22、23、・・の構成及び機能は、電源21と同様である。
【0027】
電源21は、制御部210と、タービン装置211(例えば、ガスタービン、蒸気タービン等)と、発電機212とを有してなる。
【0028】
制御部210は、タービン装置211及び発電機212の運転制御を行う。特に、制御部210は、発電機212の回転速度(出力の周波数に対応)を常時モニタリングして、当該回転速度が一定に保たれるように、タービン装置211への燃料、又は蒸気の供給量を自動調整する(ガバナーフリー運転)。このような運転制御によれば、例えば、短期間で負荷(電力需要)が増大し、発電機212の回転速度が低下した場合には、制御部210は、直ちに、タービン装置211への燃料等の供給量を上昇させ、回転速度の低下を補償する。発電機212が元の回転速度に復帰する際の出力の増分は、上記負荷(電力需要)の増大に対応して電源21が提供した「調整力」である。このように、短周期(周期3~5秒程度)の電力需要変動に対しては、電源21のガバナーフリー運転により、逐次、調整力が提供される。
【0029】
(精算装置のハードウェア構成)
図3は、本開示の第1の実施形態に係る精算装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3に示すように、精算装置50は、CPU500と、メモリ501と、通信インタフェース502と、表示装置503と、ストレージ504と、計測器505と、電力量計506とを備えている。
【0030】
CPU500は、精算装置50の動作全体の制御を司るプロセッサである。
【0031】
メモリ501は、いわゆる主記憶装置であって、CPU500がプログラムに基づいて動作するための命令及びデータが展開される。
【0032】
通信インタフェース502は、外部装置(特に、サーバ10)との間で情報をやり取りするためのインタフェース機器である。なお、本実施形態においては、通信インタフェース502によって実現される通信手段及び通信方式は、特に限定されない。例えば、通信インタフェース502は、有線通信を実現するための有線接続インタフェースであってもよいし、無線通信を実現するための無線通信モジュールであってもよい。
【0033】
表示装置503は、精算装置50による精算結果等を表示する液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等を用いた表示装置である。
【0034】
ストレージ504は、いわゆる補助記憶装置であって、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等であってよい。
【0035】
計測器505は、接続点において授受される有効電力と、接続点における周波数とを計測する。例えば、電源21と対象送配電網N1との接続点に設置された精算装置50において、計測器505は、当該電源21から対象送配電網N1へと出力される有効電力の計測値(以下、「有効電力計測値P」とも記載する。)、及び、周波数の計測値(以下、「周波数計測値f」とも記載する。)を取得する。
【0036】
電力量計506は、接続点において授受される電力量を計測する。例えば、電源21と対象送配電網N1との接続点に設置された精算装置50において、電力量計506は、当該電源21から対象送配電網N1へと供給される電力量(以下、「電力量W(kWh)」とも記載する。)を取得する。なお、接続点には、電気の使用量又は供給量を計測するための電力量計が設置済みである場合がある。この場合、電力量計506として既存の電力量計を利用してもよい。
【0037】
(精算装置の機能構成)
図4は、本開示の第1の実施形態に係る精算装置の機能構成を示すブロック図である。
以下、図4を参照しながら、本実施形態に係る精算装置50の機能構成について詳細に説明する。
【0038】
図4に示すように、精算装置50のCPU500は、プログラムに従って動作することで、計測値取得部5001、電力量取得部5002、調整電力計量部5003、調整電力量算出部5004、加算部5005、精算部5006としての機能を発揮する。
【0039】
計測値取得部5001は、計測器505から、接続点において授受される有効電力の計測値(有効電力計測値P(kW))と、当該接続点における周波数の計測値(周波数計測値f(Hz))とを取得する。
【0040】
電力量取得部5002は、電力量計506から、接続点において所定期間に授受された電力量W(kWh)を取得する。
【0041】
調整電力計量部5003は、取得した有効電力計測値Pと周波数計測値fとに基づいて、接続点における調整電力ΔPGFを計量する。
【0042】
調整電力量算出部5004は、調整電力ΔPGFを時間について積算して、接続点における所定期間の調整電力量WGF(kWh)を算出する。
【0043】
加算部5005は、調整電力量算出部5004が算出した所定期間の調整電力量WGFと、電力量取得部5002が取得した所定期間の電力量Wとを加算した値Wbill(kWh)を求める。
【0044】
精算部5006は、調整電力量WGFと、電力量Wとの和Wbillに基づき、調整力提供手段が提供する調整力、及び調整力提供手段が授受する電力の対価を精算する。例えば、精算部5006は、調整力提供手段が電源21である場合、電源21のガバナーフリー運転による調整力に対する対価と、電源21が対象送配電網N1に供給する電力に対する対価との両方を合わせて精算する。
【0045】
(精算装置の処理フロー)
以下、図4を参照しながら、本実施形態に係る精算装置50の処理フロー(精算装置50を用いた精算方法)について詳細に説明する。
【0046】
電力系統の需給を調整する電力(kW)は、時間的に積算するとゼロになるので、単純な積算で計量することができない。電気の使用量又は供給量(kWh)が電力量計で簡便に計られるのとは対照的である。需給調整は、主に発電所が、電力系統(対象送配電網N1)の周波数を一定に保つように発電量を調節して行っている。具体的には、式(1)で表されるガバナーフリー運転によっている。
【0047】
【数1】
【0048】
式(1)において、「Δf」は、対象送配電網N1の周波数の基準値(例えば、「50Hz」、「60Hz」等)に対する超過分であり、それに比例して発電する電力を「ΔP」だけ減じる。ここに、「P」は発電機212の定格の発電出力(kW)、「f」は基準周波数(Hz)である。「δ」は調停率と呼ばれる値であり、発電所の制御部210に値が設定されている。一般に、0.04程度の値が設定される。これは、基準周波数に対する超過分Δfと、それに対して減じる電力ΔPとの関係を指定するものである。調停率が「0.04」のときには、周波数が「0.04×f(Hz)」だけ増加すると、ΔPは「P」だけ減じることを表している。例えば、定格の電気出力で運転中に、周波数が「0.04×f(基準周波数が60Hzであれば2.4Hz)」だけ増加すると、発電出力は「0」まで下げるような調整が行われる。発電所が、このように急峻に発電を調整することによって、対象送配電網N1の周波数は一定に維持されている。
【0049】
発電事業者Gの経営は、主に電力を供給する対価の上に成り立っている。対価となるものとして主要なのは、電力量(kWh)である。これは、発電所が対象送配電網N1に送出する電力(kW)を、時間について積算した値である。対象送配電網N1に送出する電力とは、発電所と対象送配電網N1の接続点において計測する有効電力のことである。
【0050】
ここで、図1に示すように、2つの発電事業者GAと発電事業者GBとを考える。発電事業者GAは発電所aを管理(又は運用)しており、発電所aは式(1)(ガバナーフリー運転)により需給調整を行っているものとする。発電事業者GBは発電所bを管理(又は運用)しており、発電所bはガバナーフリー運転による需給調整をしていないものとする。発電所aと発電所bは、基準周波数が「60Hz」の地域にあり近接していて、電力系統の周波数は常に等しいとする。また、定格出力はともに100kWであるとする。
【0051】
図5は、本開示の第1の実施形態に係る精算装置の機能を説明するための第1の図である。
図6は、本開示の第1の実施形態に係る精算装置の機能を説明するための第2の図である。
図5の(a)は、発電所a及び発電所bそれぞれの電源が接続される対象送配電網N1の周波数計測値f(Hz)の時刻歴を示す。図5の(b)は発電所aが対象送配電網N1に送出する有効電力P(kW)の時刻歴、(c)は発電所bが対象送配電網N1に送出する有効電力P(kW)の時刻歴である。
また、図6は、図5に示す周波数計測値fの時刻歴と、発電所a及び発電所bの有効電力計測値P(P、P)、調整電力ΔPGF(ΔPGFa、ΔPGFb)、調整電力量ΔWGF(ΔWGFa、ΔWGFb)の時刻歴と、を表にしたものである。
【0052】
図5及び図6に示すように、発電所a及び発電所bは時刻t0にてそれぞれ定格出力(「100kW」)で運転しており、時刻t1に周波数が「2.4Hz」だけ、「60Hz」から「62.4Hz」に上昇したとする。このとき、発電所aが送出する有効電力Paは式(1)に従って「0kW」に低下する。一方、発電所bが送出する有効電力Pbは「100kW」のままである。その後、周波数は図示した時刻で「60Hz」と「62.4Hz」とを往復したとする。このとき、時刻tから時刻tまでの電力量(対象送配電網N1への供給量)は、発電所aについては、「100kW×((t-t)+(t-t)+(t-t))/(t-t)」である。時刻t,t,t,…,tの間隔が均等であるならば、発電所aの電力量は「50kW×(t-t)」である。一方、発電所bの電力量は「100kW×(t-t)」であり、発電所aの2倍である。このように、需給調整を行うと、発電所aは、本来は対象送配電網N1に送出した電力量(供給量)について得られる対価が得られない。対して、需給調整とは無関係に全出力での運転を継続した発電所bは、最大限の対価を得ている。これは、明らかに不合理である。
【0053】
その不合理を解消するために、本実施形態に係る精算装置50は、発電所aが産出した調整力をkwの単位で計量する。単位が電力(kW)なので、これ以降は「調整力」を「調整電力」とも記載する。本実施形態に係る精算装置50は、計量した調整電力を時間について積算し電力量(kWh)として精算する。電力量(kWh)は、現在、電力を売買する最も一般的な単位であるので、調整電力の売買に新規のシステムを設立するよりは、既存の電力量(kWh)の売買システムに統合するほうがコストの点でメリットがある。
【0054】
精算装置50の具体的な処理の流れについて説明する。図4に示すように、まず、計測値取得部5001は、計測器505から接続点における有効電力計測値P及び周波数計測値fを毎時刻(t,t,…)、取得する(S100)。また、電力量取得部5002は、電力量計506から接続点における電力量Wを取得する(S101)。
【0055】
次に、調整電力計量部5003は、取得した有効電力計測値P及び周波数計測値fに基づいて、毎時刻の調整電力(kW)を計量する(S102)。具体的には、調整電力計量部5003は、接続点の周波数計測値fが時間的に低下したときに、接続点から対象送配電網N1に送出する有効電力計測値Pが時間的に増加すれば、正の調整電力にカウントする。逆に、調整電力計量部5003は、同周波数計測値fが時間的に低下したときに、同有効電力計測値Pが時間的に低下すれば、負の調整電力にカウントする。これをまとめると、時刻tの調整電力をΔPGF(t)と記すと、その算出は式(2)に従う。
【0056】
【数2】
【0057】
ここで、「ΔT」は計測のサンプリング間隔(h)である。「sgn(x)」は符号関数であり、入力xが「正」のときに関数の値が「1」、入力xが「負」のときに関数の値が「-1」、入力xが「0」のときに関数の値が「0」となる。調整電力(kW)の計量は、式(2)に限定しない。例えば、以下の式(2A)~(2C)のようであってもよい。
【0058】
【数2A】
【0059】
【数2B】
【0060】
【数2C】
【0061】
式(2C)において「Cоv」は共分散を、「Var」は分散を表している。
【0062】
次に、調整電力量算出部5004は、発電所aが所定期間にどのくらいの調整電力を産出したか求める(S103)。調整電力(kW)を時間について積算したものを調整電力量WGF(kWh)と呼ぶことにする。一定の時間刻みΔTで積算するならば、調整電力量WGF(t)は式(3)で表される。
【0063】
【数3】
【0064】
図6に適用すると、発電所aの時刻tから時刻tの期間における調整電力ΔPGFaは「600kWh」となる。一方、発電所bの同期間における調整電力ΔPGFbは「0kWh」となる。つまり、発電所aの調整電力が電力量(調整電力量WGFa)に換算されている。
【0065】
次に、加算部5005は、調整電力量算出部5004が算出した所定期間(例えば、ΔT)の調整電力量WGF(t)を、電力量取得部5002が取得した同期間の電力量W(t)に加算して、精算電力量Wbill(t)とする(S104)。
【0066】
精算部5006は、精算電力量Wbill(t)に基づいて、発電所aの対価の精算を行う(S105)。このように、調整電力量WGF(t)を含む精算電力量Wbill(t)に基づいて精算を行うことにより、調整電力を産出した発電所aは、電力量の仕組みで、送出した電力量W(t)に応じた対価と、調整電力量WGFaに応じた対価との両方を得ることができる。なお、精算部5006による精算結果は、表示装置503に表示され、発電所aを管理する発電事業者GAにより確認可能である。また、精算結果は、通信インタフェース502を介して系統運用者Tのサーバ10に送信される。系統運用者Tは精算結果に基づいて、各発電事業者GAへの対価の支払いを行う。また、発電所bと対象送配電網N1との接続点に設けられた精算装置50も、上述と同様の処理を行うことにより、発電所bの対価について精算を行う。
【0067】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る精算方法(精算装置50、又は精算装置50を具備する精算システム1も含む。以下同様。)は、接続点の有効電力計測値P及び周波数計測値fに基づいて調整力提供手段(例えば、発電所aの電源21)の調整電力ΔPGFを計量し、調整電力ΔPGFを時間について積算した調整電力量WGFと、調整力提供手段が授受した電力量Wとの和Wbillに基づき、調整力提供手段が授受する対価を精算する。
このようにすることで、精算装置50は、調整力提供手段が授受した電力量に応じた対価と、電力需給の調整力に応じた対価との両方を精算することができる。
【0068】
さらに、その需給調整が、自律的であり、系統運用者Tの指令によらない自発的なものであったとしても、本実施形態に係る精算方法によればその対価が得られる。しかも、その対価が、既に確立した電力量の精算システムによって行えるので、新システムを構築するコスト、さらに、それを維持するコストが不要になるので、社会全体に大きなメリットである。
【0069】
なお、本実施形態では、発電事業者Gがガバナーフリー運転により調整力を産出する態様を例として説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、精算装置50は、需要家Cが使用した電力量と、需要家Cが需要調整を行うことにより産出した調整力との両方の対価について精算するようにしてもよい。また、さらに他の実施形態では、精算装置50は、他の系統運用者Tが管理(又は運用)する対象外送配電網N2との間の契約により送受電した電力量と、対象外送配電網N2が提供する調整力との両方の対価について精算するようにしてもよい。
【0070】
このように、発電事業者G、需要家C、又は他の系統運用者Tが自律的に行う需給調整にも対価が生じ、電力の需給調整にインセンティブを与えることは、電力システム全体として需給調整の能力が増強される。そうすれば、太陽光発電などの再生可能エネルギーも大量に受容でき、温暖化対策などで全社会的なメリットがもたらされる。
【0071】
<第2の実施形態>
次に、本開示の第2の実施形態に係る精算システム1について図7を参照しながら説明する。
第1の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0072】
(精算装置の機能構成)
図7は、本開示の第2の実施形態に係る精算装置の機能構成を示すブロック図である。
以下、図7を参照しながら、本実施形態に係る精算装置50の機能構成について詳細に説明する。
【0073】
図7に示すように、本実施形態に係る精算装置50のCPU500は、プログラムに従って動作することで、調整部5007としての機能を更に発揮する。
【0074】
調整部5007は、調整電力の対価を調整する価格調整係数kGFを、調整電力計量部5003により計量された調整電力ΔPGFに乗じる。本実施形態では、日時に応じて異なる価格調整係数kGFの値が予め設定され、その対応表が係数記憶部(ストレージ504)に格納されている。調整部5007は、係数記憶部の対応表から現在の日時に対応する価格調整係数kGFを取得して、調整電力ΔPGFに乗じる。
【0075】
また、本実施形態に係る調整電力量算出部5004は、調整電力ΔPGFに価格調整係数kGFを乗じた値を積算して、調整電力量を算出する。
【0076】
(精算装置の処理フロー)
以下、図7を参照しながら、本実施形態に係る精算装置50の処理フロー(精算装置50を用いた精算方法)について詳細に説明する。
【0077】
本実施形態において、計測値取得部5001、電力量取得部5002、及び調整電力計量部5003における処理S200、S201、S202は、第1実施形態の処理S100、S101、S102(図4)と同様である。
【0078】
次に、調整部5007は、係数記憶部から現在時刻に対応する価格調整係数kGFを取得して(S203)、調整電力計量部5003が計量した調整電力ΔPGFに乗じる(S204)。調整電力量算出部5004は、調整電力ΔPGFと価格調整係数kGFとを乗じた値を積算して調整電力量WGFを算出する(S205)。
【0079】
例えば、週日は12:00に電力消費量が減少し、13:00に回復することが知られている。すなわち、この時間帯は電力需給の変動が大きい。このような時間帯において、調整電力量の単価を予め特別に高く設定すれば、調整力産出にインセンティブが与えられ、対象送配電網N1の周波数変動が抑制される。
【0080】
具体的には、12:00-13:00においては調整力の価格を通常の1.1倍にするなど、調整力の需要に応じて価格を変更する。本実施形態では、調整電力ΔPGFに価格調整係数kGFを乗じることにより、日時に応じた重み付けを行う。価格調整係数kGFは、例えば暦とタイマーに基づき値を予め定めておき、それを表引きする。価格調整係数kGFにより、調整電力量は次式で計算する。
【0081】
【数4】
【0082】
以降の加算部5005、精算部5006の処理S206、S207は、第1の実施形態の処理S104、S105(図4)と同様である。
【0083】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る精算方法は、計量された調整電力ΔPGFに価格調整係数kGFを乗じた値を積算して、調整電力量WGFを算出する。また、価格調整係数kGFは、日時に応じて異なる値が予め設定されている。
このようにすることで、電力需給に応じて調整電力量の対価を変動させることができる。また、日時に応じて電力需給が変動する場合に、調整電力量の対価を電力需給の変動に合わせて変化させることができる。例えば、多くの調整力が要求される時間帯は、調整電力量の対価を高くすることにより、調整力産出のインセンティブが与えられるので、対象送配電網N1の周波数変動を抑制することが可能となる。
【0084】
<第3の実施形態>
次に、本開示の第3の実施形態に係る精算システム1について図8図9を参照しながら説明する。
第1~第2の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0085】
(サーバのハードウェア構成)
図8は、本開示の第3の実施形態に係るサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図8に示すように、サーバ10は、CPU100と、メモリ101と、通信インタフェース102と、ストレージ103とを備えている。
【0086】
CPU100は、サーバ10の動作全体の制御を司るプロセッサである。
【0087】
メモリ101は、いわゆる主記憶装置であって、CPU100がプログラムに基づいて動作するための命令及びデータが展開される。
【0088】
通信インタフェース102は、外部装置(特に、精算装置50)との間で情報をやり取りするためのインタフェース機器である。なお、本実施形態においては、通信インタフェース102によって実現される通信手段及び通信方式は、特に限定されない。例えば、通信インタフェース102は、有線通信を実現するための有線接続インタフェースであってもよいし、無線通信を実現するための無線通信モジュールであってもよい。
【0089】
ストレージ103は、いわゆる補助記憶装置であって、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等であってよい。
【0090】
(サーバ及び精算装置の機能構成)
図9は、本開示の第3の実施形態に係るサーバ及び精算装置の機能構成を示すブロック図である。
以下、図9を参照しながら、本実施形態に係るサーバ10及び精算装置50の機能構成について詳細に説明する。
【0091】
本実施形態に係る精算装置50において、調整部5007は、価格調整係数kGFを係数記憶部(ストレージ504)ではなく、サーバ10から取得(受信)する点において、第2の実施形態と異なっている。他の機能部については、第2の実施形態と同様である。
【0092】
サーバ10のCPU100は、プログラムに従って動作することで、係数決定部1001としての機能を発揮する。係数決定部1001は、地域毎の電力需給に応じて、各地域に対応する価格調整係数kGFを決定する。係数決定部1001により決定された価格調整係数kGFは、通信回線を介して精算装置50に送信される。
【0093】
(精算装置の処理フロー)
以下、図7を参照しながら、本実施形態に係る精算装置50の処理フロー(精算装置50を用いた精算方法)について詳細に説明する。
【0094】
本実施形態において、計測値取得部5001、電力量取得部5002、及び調整電力計量部5003における処理S300、S301、S302は、第2実施形態の処理S200、S201、S202(図7)と同様である。
【0095】
第2の実施形態では、時間帯で電力需要変動の状況が変わることを述べた。時間の他にも電力需給変動は地域による違いがある。対象送配電網N1には容量の制約があるので、ある地域で電力需給の不均衡があるならば、その不均衡は、その地域かまたは近隣で調整することが望ましい。そのためには、価格調整係数kGFを地域ごとに設定できると都合がよい。需給不均衡が大きい地域でこそ価格調整係数kGFを大きく設定すれば、調整電力の産出のインセンティブが与えられて、不均衡の解消に役立つからである。
【0096】
したがって、本実施形態にかかるサーバ10において、係数決定部1001は、地域毎に価格調整係数kGFを決定する(ステップS303)。具体的には、係数決定部1001は、通信回線を介して、各接続点の周波数計測値fを取得してモニタリングする。例えば、係数決定部1001は、周波数計測値fの分散が大きくなるほど、調整力の対価が高くなるように価格調整係数kGFを決定する。決定した価格調整係数kGFは、通信回線を介して精算装置50に送信される。係数決定部1001は、予め分散に応じた価格調整係数kGFの値を定めておき、自動的に価格調整係数kGFを決定及び送信する。また、係数決定部1001は、管理者による入力操作を受け付けて、価格調整係数kGFを決定及び送信するようにしてもよい。
【0097】
次に、調整部5007は、系統運用者Tのサーバ10から価格調整係数kGFを受信し(S304)、これを調整電力ΔPGFに乗じる(S305)。調整電力量算出部5004は、調整電力ΔPGFと価格調整係数kGFとを乗じた値を積算して調整電力量WGFを算出する(S306)。
【0098】
以降の加算部5005、精算部5006の処理S307、S308は、第2の実施形態の処理S206、S207(図7)と同様である。
【0099】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る精算方法は、計量された調整電力ΔPGFに系統運用者Tのサーバ10から取得した価格調整係数kGFを乗じた値を積算して、調整電力量WGFを算出する。
このようにすることで、系統運用者Tが需給変動に応じて価格調整係数を変更して、調整電力算出のインセンティブを調整することができる。
【0100】
また、地域毎の電力需給に応じて価格調整係数kGFを変更することにより、地域毎の需給バランスを調整することが可能となる。例えば、需給不均衡が大きい地域の価格調整係数kGFを大きく設定することにより、調整電力の産出のインセンティブが与えられ、不均衡の解消に貢献することができる。
【0101】
<第4の実施形態>
次に、本開示の第4の実施形態に係る精算システム1について図10図12を参照しながら説明する。
第1~第3の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0102】
(精算装置の機能構成)
図10は、本開示の第4の実施形態に係る精算装置の機能構成を示すブロック図である。
以下、図10を参照しながら、本実施形態に係る精算装置50の機能構成について詳細に説明する。ここでは、発電所aとの接続点に設置された精算装置50を例として説明する。
【0103】
図10に示すように、本実施形態に係る精算装置50のCPU500は、プログラムに従って動作することで、評価部5008としての機能を更に発揮する。
【0104】
評価部5008は、調整力提供手段の調整力の定常性を評価する。
【0105】
また、本実施形態に係る調整部5007は、評価部5008の評価結果に応じて価格調整係数kGFを変更する。
【0106】
(精算装置の処理フロー)
図11は、本開示の第4の実施形態に係る評価部の機能構成を示すブロック図である。
以下、図10図11を参照しながら、本実施形態に係る精算装置50の処理フロー(精算装置50を用いた精算方法)について詳細に説明する。
【0107】
第1から第3の実施形態では、各発電所は自律的に調整電力量を供給し、それを計量し精算する方式について述べた。これは、電力のコモディティの性質が前提となっている。よく言われるように、電力は溜めておくことが難しい。ガバナーフリー運転などの瞬時の調整力はその性格が強い。このため、予備調整電力を厚くすることが重要になる。例えば、巨大な太陽光発電に積乱雲がかかり発電量が急減したとする。それによる供給不足は、他の発電所が直ちに調整電力を供給して補償する。それは、1秒かそれ以下の瞬時に行われなければならないし、実際に行われている。1分後では遅くて役に立たない。
【0108】
予備調整力は普段使わずにいる潜在的なものだから真の値を知ることはできない。よって、推定するしかない。例えば、推定として有効なものとして、調整電力の産出の定常性などがある。毎日、毎時間、毎分、毎秒の予備力の産出の定常性を、平均や分散などの統計量で採点することは難しいことではない。そして、定常性に応じて報奨すれば、発電所に対して調整力を定常的に産出するインセンティブを与え、結果として予備調整電力が厚くなるであろう。本実施形態は、その技術的なインフラを作るものであり、以下のように構成する。
【0109】
まず、図10に示すように、計測値取得部5001は、計測器505から、発電所aとの接続点の周波数計測値fと有効電力計測値Pとを取得する(S400)。また、電力量取得部5002は、電力量計506から発電所aとの接続点において授受された電力量Wを取得する(S401)。
【0110】
調整電力計量部5003は、式(1)により各時刻の調整電力ΔPGFを計量する(S402)。
【0111】
次に、評価部5008は、調整電力ΔPGFに基づいて、発電所aの定常性を評価する(S403)。具体的には、図11に示すように、評価部5008は、各時刻の調整電力ΔPGFの時系列データについて、式(5)のように分散VPGFを算出する(S403A)。Eは期待値を表す。
【0112】
【数5】
【0113】
同様に、評価部5008は、調整力の長周期成分の評価のために調整電力量WGFを算出し(S403B)、その、毎日、毎時間、毎分、毎秒の増分について分散を算出する(S403C)。例えば、毎分の分散であれば、式(6)により毎分の増分ΔWGF60を算出し、式(7)でその分散VPGF60を求める。
【0114】
【数6】
【0115】
【数7】
【0116】
次に、評価部5008は、VPGFやVWGF60などに基づき、発電所a(電源21)の調整力産出の定常性を採点する(S403D)。例えば、評価部5008は、式(5)(図11のS403A)で算出された分散VPGFに基づいて、発電所aの応答の速さを評価してもよい。また、評価部5008は、式(6)~(7)(図11のS403C)で算出された分散VWGF60に基づいて、発電所aが恒常的に調整力を発揮しているかを評価してもよい。
【0117】
次に、図10に戻り、調整部5007は、評価部5008による定常性の評価結果に基づいて、価格調整係数kGFを変更する(S404)。例えば、調整部5007は、発電所aの定常性が強い(他の発電所bよりも恒常的に調整力を発揮している等)ほど、価格調整係数kGFを高く設定する。例えば、式(8)のように、分散VWGF60の平方根である標準偏差に比例して価格調整係数を下げてもよい。βは調整係数である。
【0118】
【数8】
【0119】
また、調整部5007は、調整電力計量部5003が計量した調整電力ΔPGFに、変更した価格調整係数kGFを乗じる(S405)。
【0120】
以降の調整電力量算出部5004、加算部5005、精算部5006の処理S406、S407、S408は、第2の実施形態の処理S205、S206、S207(図7)と同様である。
【0121】
(変形例)
図12は、本開示の第4の実施形態の変形例に係る精算装置及びサーバの機能構成を示すブロック図である。
第4の実施形態では、精算装置50が定常性の評価を行う(評価部5008を有する)態様について説明したが、これに限られることはない。本変形例(図12)のように、系統運用者Tのサーバ10が定常性の評価を行う態様であってもよい。以下、第4の実施形態との相違点について、図12を参照しながら説明する。また、ここでは、サーバ10が発電所aの定常性について評価する場合について説明するが、サーバ10は他の発電所についても同様に評価を行うものとする。
【0122】
図12に示すように、精算装置50のCPU500は、評価部5008に代えて、送信部5009を有している。送信部5009は、調整電力計量部5003が計量した発電所aの調整電力ΔPGFを、通信回線を介してサーバ10に送信する(S410)。
【0123】
また、サーバ10のCPU100は、受信部1002と、評価部1003とを更に有している。受信部1002は、発電所aの精算装置50から発電所aの調整電力ΔPGFを、通信回線を介して受信する(S411)。
【0124】
次に、サーバ10の評価部1003は、精算装置50の評価部5008(図11)と同様に、発電所aの各時刻の調整電力ΔPGFの時系列データについて、式(5)のように分散VPGFを算出する(S403A)。
【0125】
また、サーバ10の評価部1003は、精算装置50の評価部5008(図11)と同様に、発電所aの調整電力量WGFを算出し(S403B)、例えば式(6)により毎分の増分ΔWGF60を算出し、式(7)でその分散VPGF60を求める(S403C)。
【0126】
サーバ10の評価部1003は、精算装置50の評価部5008(図11)と同様に、VPGFやVWGF60などに基づき、発電所aの調整力産出の定常性を採点する(S403D)。
【0127】
次に、サーバ10の係数決定部1001は、評価部1003の評価結果に基づいて、発電所aの価格調整係数kGFを決定する(S413)。当該処理は、精算装置50の調整部5007の処理(図10のS404)と同様である。
【0128】
サーバ10の係数決定部1001は、発電所aの価格調整係数kGFを、通信回線を介して発電所aの精算装置50に送信する。精算装置50は、この価格調整係数kGFを受信すると(S414)、調整電力計量部5003が計量した調整電力PGFに、受信した価格調整係数kGFを乗じた値を、調整電力量算出部5004に出力する(S415)。以降の処理は、第4の実施形態と同様である。
【0129】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る精算方法は、調整電力ΔPGFと調整電力量WGFとの増分に基づき定常性を採点するところが特徴である。
このようにすることで、定常性の高い調整力提供手段に対し、定常性の低い調整力提供手段よりも高いインセンティブを与えることができる。例えば、迅速に調整力を提供する調整力提供手段、又は、恒常的に調整力を提供する調整力提供手段に対し、他の調整力提供手段よりも高いインセンティブを与えることができる。これにより、対象送配電網N1における周波数の安定性をより高めることができる。
【0130】
<第5の実施形態>
次に、本開示の第5の実施形態に係る精算システム1について図13図15を参照しながら説明する。
第1~第4の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0131】
(精算装置の機能構成)
図13は、本開示の第5の実施形態に係る精算装置の機能構成を示すブロック図である。
以下、図13を参照しながら、本実施形態に係る精算装置50の機能構成について詳細に説明する。ここでは、発電所aとの接続点に設置された精算装置50を例として説明する。
【0132】
図13に示すように、本実施形態に係る精算装置50のCPU500は、プログラムに従って動作することで、調停率推定部5010としての機能を更に発揮する。
【0133】
調停率推定部5010は、有効電力計測値Pと、周波数計測値fとに基づいて調整力提供手段の調停率^δを推定する。なお、明細書中における「^δ」との表記は、以下に示す図、式中において「δ」にハット記号「^」が付された表記に対応する。
【0134】
(精算装置の処理フロー)
図14は、本開示の第5の実施形態に係る評価部の機能構成を示すブロック図である。
以下、図13図14を参照しながら、本実施形態に係る精算装置50の処理フロー(精算装置50を用いた精算方法)について詳細に説明する。
【0135】
調整電力ΔPGFの大小は、需給変動の大きさに依存する。同じ発電所を同じように運転していても、対象送配電網N1の需給変動が大きい時間帯は調整電力ΔPGFの産出も多くなり、逆に、需給変動が小さい時間帯は調整電力ΔPGFの産出も少なくなる。このように、調整電力量WGFの値にばらつきがあるからと言って、ただちに定常性が無いとは言えない。需給変動の大きさが同程度の時間帯を選ぶなどの取り扱いをすることは対策となる。しかし、ある時間帯を切りとるので、一般性は失われる。
【0136】
本実施形態は、周波数fと有効電力Pの相関関数を指標とすることにより、需給変動への依存性を緩和し、定常性をより厳密に評価するものである。
【0137】
具体的には、図13に示すように、計測値取得部5001は、計測器505から、発電所aとの接続点の周波数計測値fと有効電力計測値Pとを取得する(S500)。また、電力量取得部5002は、電力量計506から、発電所aとの接続点において授受された電力量Wを取得する(S501)。調整電力計量部5003は、取得した周波数計測値fと有効電力計測値Pとに基づいて、発電所aの各時刻の調整電力ΔPGFを計量する(S502)。
【0138】
次に、調停率推定部5010は、式(9)により発電所aの調停率を推定する(S503)。式(9)は、式(1)から導出されるものであり、調停率δを、有効電力Pの時系列データと周波数fの時系列データとから最小二乗法で推定するのと同じ計算を行っている。「Cov」は相関関数、「Var」は分散を表す。
【0139】
【数9】
【0140】
また、評価部5008は、調停率推定部5010が推定した調停率推定値^δに基づいて、発電所aの定常性を評価する(S504)。具体的には、図14に示すように、評価部5008は、調停率推定値^δの時系列値の分散を算出する(S504A)。
【0141】
次に、評価部5008は、調停率推定値^δの分散に基づいて、発電所aの調整力産出の定常性を採点する(S504B)。例えば、評価部5008は、調停率推定値^δが安定している(分散が小さい)ほど、定常性のスコアが高くなるように採点する。
【0142】
次に、図13に戻り、調整部5007は、評価部5008による定常性の評価結果に基づいて、価格調整係数kGFを変更する(S505)。
【0143】
また、調整部5007は、調整電力計量部5003が計量した調整電力ΔPGFに、変更した価格調整係数kGFを乗じる(S506)。
【0144】
以降の調整電力量算出部5004、加算部5005、精算部5006の処理S507、S508、S509は、第2の実施形態の処理S205、S206、S207(図7)と同様である。
【0145】
(変形例)
図15は、本開示の第5の実施形態の変形例に係る精算装置及びサーバの機能構成を示すブロック図である。
第5の実施形態では、精算装置50が定常性の評価を行う(評価部5008を有する)態様について説明したが、これに限られることはない。本変形例(図15)のように、系統運用者Tのサーバ10が定常性の評価を行う態様であってもよい。以下、第5の実施形態との相違点について、図15を参照しながら説明する。また、ここでは、サーバ10が発電所aの定常性について評価する場合について説明するが、サーバ10は他の発電所についても同様に評価を行うものとする。
【0146】
図15に示すように、精算装置50のCPU500は、評価部5008に代えて、送信部5009を有している。送信部5009は、調停率推定部5010が推定した発電所aの調停率推定値^δを、通信回線を介してサーバ10に送信する(S510)。
【0147】
また、サーバ10のCPU100は、受信部1002と、評価部1003とを更に有している。受信部1002は、発電所aの調停率推定値^δを、通信回線を介して受信する(S511)。
【0148】
次に、サーバ10の評価部1003は、精算装置50の評価部5008(図14)と同様に、発電所aの調停率推定値^δの時系列値の分散を算出する(S504A)。
【0149】
また、サーバ10の評価部1003は、精算装置50の評価部5008(図14)と同様に、調停率推定値^δの分散に基づいて、発電所aの調整力産出の定常性を採点する(S504B)。
【0150】
次に、サーバ10の係数決定部1001は、評価部1003の評価結果に基づいて、発電所aの価格調整係数kGFを決定する(S513)。当該処理は、精算装置50の調整部5007の処理(図13のS505)と同様である。
【0151】
サーバ10の係数決定部1001は、発電所aの価格調整係数kGFを、通信回線を介して発電所aの精算装置50に送信する。精算装置50は、この価格調整係数kGFを受信すると(S514)、調整電力計量部5003が計量した調整電力PGFに、受信した価格調整係数kGFを乗じた値を、調整電力量算出部5004に出力する(S515)。以降の処理は、第5の実施形態と同様である。
【0152】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る精算方法は、調停率推定値^δに基づき定常性を採点するところが特徴である。
このようにすることで、需給変動の大きさによらず、各調整力提供手段の定常性をとより厳密に評価することができる。
【0153】
<第6の実施形態>
次に、本開示の第6の実施形態に係る精算システム1について図16を参照しながら説明する。
第1~第5の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0154】
(精算装置の機能構成)
図16は、本開示の第6の実施形態に係る精算装置の機能構成を示すブロック図である。
第2の実施形態(図7)では、精算装置50が調整電力計量部5003及び調整電力量算出部5004をそれぞれ1つずつ有する態様について説明した。これに対し、本実施形態に係る精算装置50は、図16に示すように、調整電力計量部5003及び調整電力量算出部5004からなる対a、b、・・を、複数有している。また、精算装置50は、対a、b、・・それぞれに対応する、複数の調整部5007a、5007b、・・を有している。更に、精算装置50は、帯域分割部5011を有している。
【0155】
図16には、精算装置50が、調整電力計量部5003a及び調整電力量算出部5004aからなる対aと、調整電力計量部5003b及び調整電力量算出部5004bからなる対bとの、二つの対を有している例が示されている。本実施形態では、調整電力に含まれる速く応答する成分(第1成分)と、遅く応答する成分(第2成分)との価値に違いをつけることを特徴とする。価値の違いは、価格調整係数kGFで表現する。精算装置50は、対aにおいて速く応答する成分(第1成分)の調整電力量WGFuを算出し、対bにおいて遅く応答する成分(第2成分)の調整電力量WGFvを算出する。なお、他の実施形態では、帯域分割部5011は調整電力計量部に分散して配置しても良い。この場合、例えば、調整電力計量部5003aは、高帯域の成分(第1成分)を抽出する帯域分割部5011を有し、抽出した第1成分の調整電力量WGFuを算出する。また、調整電力計量部5003bは、低帯域の成分(第2成分)を抽出する帯域分割部5011を有し、抽出した第2成分の調整電力量WGFvを算出する。
【0156】
(精算装置の処理フロー)
以下、図16を参照しながら、本実施形態に係る精算装置50の処理フロー(精算装置50を用いた精算方法)について詳細に説明する。
なお、計測値取得部5001の処理S600、及び電力量取得部5002における処理S601は、第2の実施形態の処理S200、S201(図7)と同様である。
【0157】
帯域分割部5011は、有効電力計測値Pを速い成分Pと遅い成分Pとに分ける。同じく、帯域分割部5011は、周波数計測値fも速い成分fと遅い成分fに分ける(ステップS602)。なお、帯域分割部5011の処理の詳細については後述する。
【0158】
そして、有効電力計測値の速い成分Pと周波数計測値の速い成分fを対aの調整電力計量部5003aに入力し、調整電力の速い成分ΔPGFu(第1調整電力)を計算する(ステップ603a)。同じく、有効電力計測値の遅い成分Pと周波数計測値の遅い成分fを対bの調整電力計量部5003bに入力し、調整電力の遅い成分ΔPGFv(第2調整電力)を計算する(ステップ603b)。
【0159】
次に、調整部5007aは、係数記憶部から現在時刻に対応する速い成分の価値を示す価格調整係数kGFu(第1価格調整係数)を取得する(ステップS604a)。同様に、調整部5007bは、係数記憶部から現在時刻に対応する遅い成分の価値を示す価格調整係数kGFv(第2価格調整係数)を取得する(ステップS604b)。
【0160】
速い成分に対応する調整電力ΔPGFuは、価格調整係数kGFuを乗じて価値の違いを調整(ステップS605a)された後、調整電力量算出部5004aにて積算され、速い成分に対応する調整電力量WGFu(第1調整電力量)となる(ステップS606a)。同様に、遅い成分に対応する調整電力ΔPGFvは、価格調整係数kGFvを乗じて価値の違いを調整(ステップS605b)された後、調整電力量算出部5004bにて積算され、遅い成分に対応する調整電力量WGFv(第2調整電力量)となる(ステップS606a)。
【0161】
また、対a、bのそれぞれにおいて算出された調整電力量WGFu、WGFvの和が、調整電力量WGFとなる(ステップS607)。以降の加算部5005の処理S608、精算部5006の処理S609は、第2の実施形態の処理S206、S207(図7)と同様である。
【0162】
(帯域分割部の処理について)
本実施形態は、速い成分と遅い成分の価値の違いを調整電力量WGFに反映するところが特徴である。成分を分けて計算を行うために、本実施形態では、帯域分割部5011を有している。ここでは、帯域分割部5011の処理S602について詳細に説明する。
【0163】
まず、周波数計測値fの帯域分割について説明する。帯域分割部5011は、例えば濾波器で構成される。また、例えば、速い成分として時定数が10秒以下の成分を取り出す濾波器は、次の式(10)のような伝達関数として実装してもよい。式(10)において、sはラプラス演算子を表す。
【0164】
【数10】
【0165】
この伝達関数を用いて、周波数計測値の速い成分fは次式(11)で計算する。
【0166】
【数11】
【0167】
また、遅い成分として、例えば、時定数が300秒以下の成分を取り出すのであれば、濾波器の伝達関数Gは次の式(12)のように定める。
【0168】
【数12】
【0169】
この伝達関数と周波数計測値fから遅い成分fを差し引いた「f-f」とから周波数計測値の遅い成分fは次式(13)で計算する。
【0170】
【数13】
【0171】
なお、本実施形態では、帯域分割部5011が帯域を2分割する例について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、帯域分割部5011は、帯域を3つ以上に分割してもよい。例えば、3分割目(第3成分)として、時定数が2700秒以下を取り出すのであれば、3番目の伝達関数Gを次の式(14)のように定める。
【0172】
【数14】
【0173】
帯域分割部5011は、式(14)に示す伝達関数Gを用いて、さらに遅い成分fを次式(15)で計算する。
【0174】
【数15】
【0175】
これを繰り返すことにより、いくらでも分割数を増やすことが可能である。なお、帯域の分割数を3つに増やした場合、調整電力計量部5003及び調整電力量算出部5004の対を3つに増やして、成分毎の調整電力量WGFを算出すればよい。4つ以上に分割する場合も同様である。
【0176】
次に、帯域分割部5011で行う有効電力計測値Pの帯域分割について説明する。濾波器は周波数計測値の分割と同じものを使って有効電力計測値Pを帯域分割する。帯域分割した有効電力計測値Pの各成分は、次式(16)で求められる。
【0177】
【数16】
【0178】
調整電力計量部5003aは、帯域分割した調整電力ΔPGFuを、式(2)、式(2B)、または式(2C)から算出する。式(2)、式(2B)、または式(2C)において、PのところにPを代入し、fのところにfを代入して計算する。帯域分割した調整電力ΔPGFu、ΔPGFwも同様である。
【0179】
なお、本実施形態では、第2の実施形態の構成(図7)に、帯域分割部5011と、複数の調整電力計量部5003、調整電力量算出部5004、及び調整部5007とを有する構成を適用する例について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、第3の実施形態の構成(図9)、第4の実施形態の構成(図10図12)の構成、又は第5の実施形態の構成(図13図15)に、上記した帯域分割部5011等の構成を適用してもよい。
【0180】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る精算方法は、有効電力計測値P及び周波数計測値fを帯域別の複数の成分に分割する。また、分割した成分毎の調整電力に、成分毎に異なる価格調整係数kGFを乗じて価値の調整を行った上で、成分毎の調整電力量を算出する。
このようにすることで、調整力提供手段の調整力を、成分毎に計算することが可能となる。これにより、調整力提供手段の調整力に対し、より適切な対価を支払うことが可能となる。
【0181】
以上のとおり、本発明に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0182】
例えば、上述の各実施形態において、電源21、22、・・がタービン装置211及び発電機を用いて発電を行う態様について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、電源21、22、・・は、太陽電池を用いて太陽光発電を行う態様であってもよい。
【0183】
<付記>
上述の実施形態に記載の精算装置、精算システム、精算方法、及びプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0184】
本開示の第1の態様によれば、精算装置(50)は、送配電網に対し調整力を提供可能な調整力提供手段との接続点において授受される有効電力の計測値と、当該接続点における周波数の計測値とを取得する計測値取得部(5001)と、取得した前記有効電力の計測値と前記周波数の計測値とに基づいて、前記接続点における調整電力を計量する調整電力計量部(5003)と、前記調整電力を時間について積算して、前記接続点における所定期間の調整電力量を算出する調整電力量算出部(5004)と、前記接続点において前記所定期間に授受された電力量を取得する電力量取得部(5002)と、前記調整電力量と、前記電力量との和に基づき、前記調整力提供手段が提供する調整力、及び前記調整力提供手段が授受する電力の対価を精算する精算部(5006)と、を備える。
【0185】
このようにすることで、精算装置50は、調整力提供手段が授受した電力量に応じた対価と、電力需給の調整力に応じた対価との両方を精算することができる。
【0186】
本開示の第2の態様によれば、第1の態様に係る精算装置(50)は、計量された前記調整電力に前記調整電力の対価を調整する価格調整係数を乗じる調整部(5007)を更に備え、前記調整電力量算出部(5004)は、前記調整電力に前記価格調整係数を乗じた値を積算して、前記調整電力量を算出する。
【0187】
このようにすることで、電力需給に応じて調整電力量の対価を変動させることができる。
【0188】
本開示の第3の態様によれば、第2の態様に係る精算装置(50)は、日時に応じて異なる値が予め設定された複数の価格調整係数を記憶する係数記憶部(504)を更に備え、前記調整部(5007)は、前記所定期間に対応する価格調整係数を前記係数記憶部(504)から取得する。
【0189】
このようにすることで、日時に応じて電力需給が変動する場合に、調整電力量の対価を電力需給の変動に合わせて変化させることができる。
【0190】
本開示の第4の態様によれば、第2の態様に係る精算装置(50)において、前記調整部(5007)は、前記送配電網を管理する系統運用者のサーバ(10)から前記価格調整係数を取得する。
【0191】
このようにすることで、系統運用者Tが需給変動に応じて価格調整係数を変更して、調整電力算出のインセンティブを調整することができる。
【0192】
本開示の第5の態様によれば、第2の態様に係る精算装置(50)は、前記調整力提供手段の調整力の定常性を評価する評価部(5008)を更に備え、前記調整部(5007)は、前記評価部(5008)の評価結果に応じて前記価格調整係数を変更する。
【0193】
このようにすることで、定常性の高い調整力提供手段に対し、定常性の低い調整力提供手段よりも高いインセンティブを与えることができる。例えば、迅速に調整力を提供する調整力提供手段に対し、他の調整力提供手段よりも高いインセンティブを与えることができる。これにより、対象送配電網N1における周波数の安定性をより高めることができる。
【0194】
本開示の第6の態様によれば、第5の態様に係る精算装置(50)において、前記評価部(5008)は、前記調整電力の時系列データから算出されたステップ毎の調整電力の増分の分散に基づいて、前記定常性を評価する。
【0195】
本開示の第7の態様によれば、第5又は第6の態様に係る精算装置(50)において、前記評価部(5008)は、前記調整電力量の時系列データから算出された一定期間毎の調整電力量の増分の分散に基づいて前記定常性を評価する。
【0196】
このようにすることで、定常性の高い調整力提供手段に対し、定常性の低い調整力提供手段よりも高いインセンティブを与えることができる。例えば、恒常的に調整力を提供する調整力提供手段に対し、他の調整力提供手段よりも高いインセンティブを与えることができる。これにより、対象送配電網N1における周波数の安定性をより高めることができる。
【0197】
本開示の第8の態様によれば、第5の態様に係る精算装置(50)は、前記有効電力の計測値と、前記周波数の計測値とに基づいて前記調整力提供手段の調停率を推定する調停率推定部(5010)を更に備え、前記評価部(5008)は、前記調停率の推定値の時系列データから算出された前記調停率の推定値の増分の分散に基づいて前記定常性を評価する。
【0198】
このようにすることで、需給変動の大きさによらず、各調整力提供手段の定常性をとより厳密に評価することができる。
【0199】
本開示の第9の態様によれば、第2から第8の何れか一の態様に係る精算装置(50)において、前記調整電力計量部(5003)は、取得した前記有効電力の計測値と前記周波数の計測値を帯域別に分割した第1成分及び第2成分について、前記第1成分の第1調整電力と、前記第2成分の第2調整電力とを計量し、前記調整部(5007)は、前記第1調整電力に前記第1成分に対応する第1価格調整係数を乗算するとともに、前記第2調整電力に前記第2成分に対応する第2価格調整係数を乗算し、前記調整電力量算出部(5004)は、前記第1調整電力と前記第1価格調整係数とを乗算した値を積算して第1成分に対応する第1調整電力量を算出するとともに、前記第2調整電力と前記第2価格調整係数とを乗算した値を積算して第2成分に対応する第2調整電力量を算出する。
【0200】
このようにすることで、調整力提供手段の調整力を、成分毎に計算することが可能となる。これにより、調整力提供手段の調整力に対し、より適切な対価を支払うことが可能となる。
【0201】
本開示の第10の態様によれば、精算システム(1)は、送配電網に対し調整力を提供可能な調整力提供手段との接続点に設けられる精算装置(50)と、前記精算装置(50)と通信可能に接続されたサーバ(10)と、を備える。前記精算装置(50)は、前記接続点において授受される有効電力の計測値と、当該接続点における周波数の計測値とを取得する計測値取得部(5001)と、取得した前記有効電力の計測値と前記周波数の計測値とに基づいて、前記接続点における調整電力を計量する調整電力計量部(5003)と、前記調整電力の対価を調整する価格調整係数を、計量された前記調整電力に乗じる調整部(5007)と、前記調整電力に前記価格調整係数を乗じた値を時間について積算して、前記接続点における所定期間の調整電力量を算出する調整電力量算出部(5004)と、前記接続点において前記所定期間に授受された電力量を取得する電力量取得部(5002)と、前記調整電力量と、前記電力量との和に基づき、前記調整力提供手段が提供する調整力、及び前記調整力提供手段が授受する電力の対価を精算する精算部(5006)と、を有する。前記サーバ(10)は、前記調整力提供手段の調整力の定常性を評価する評価部(1003)と、前記定常性の評価前記評価部の評価結果に応じて前記価格調整係数を変更する係数決定部(1001)と、有する。前記精算装置(50)の調整部(5007)は、前記サーバ(10)の前記係数決定部(1001)により変更された前記価格調整係数を取得する。
【0202】
本開示の第11の態様によれば、精算方法は、送配電網に対し調整力を提供可能な調整力提供手段との接続点において授受される有効電力の計測値と、当該接続点における周波数の計測値とを取得するステップと、取得した前記有効電力の計測値と前記周波数の計測値とに基づいて、前記接続点における調整電力を計量するステップと、前記調整電力に基づいて、前記接続点における所定期間の調整電力量を算出するステップと、前記接続点において前記所定期間に授受された電力量を取得するステップと、前記調整電力量と、前記電力量との和に基づき、前記調整力提供手段が提供する調整力、及び前記調整力提供手段が授受する電力の対価を精算するステップと、を有する。
【0203】
本開示の第12の態様によれば、プログラムは、送配電網に対し調整力を提供可能な調整力提供手段との接続点において授受される有効電力の計測値と、当該接続点における周波数の計測値とを取得するステップと、取得した前記有効電力の計測値と前記周波数の計測値とに基づいて、前記接続点における調整電力を計量するステップと、前記調整電力に基づいて、前記接続点における所定期間の調整電力量を算出するステップと、前記接続点において前記所定期間に授受された電力量を取得するステップと、前記調整電力量と、前記電力量との和に基づき、前記調整力提供手段が提供する調整力、及び前記調整力提供手段が授受する電力の対価を精算するステップと、を精算装置(50)のコンピュータ(900)に実行させる。
【産業上の利用可能性】
【0204】
本開示に係る精算装置、精算システム、精算方法、及びプログラムによれば、授受した電力量に応じた対価と、電力需給の調整力に応じた対価との両方を精算することができる。
【符号の説明】
【0205】
1 精算システム
10 サーバ
100 CPU
1001 係数決定部
1002 受信部
1003 評価部
101 メモリ
102 通信インタフェース
103 ストレージ
21,22,23 電源
210 制御部
211 タービン装置
212 発電機
50 精算装置
500 CPU
5001 計測値取得部
5002 電力量取得部
5003,5003a,5003b 調整電力計量部
5004,5004a、5004b 調整電力量算出部
5005 加算部
5006 精算部
5007,5007a,5007b 調整部
5008 評価部
5009 送信部
5010 調停率推定部
5011 帯域分割部
501 メモリ
502 通信インタフェース
503 表示装置
504 ストレージ(係数記憶部)
505 計測器
506 電力量計
900 コンピュータ
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