IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーワイディー カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-電池列、電池パック及び車両 図1
  • 特許-電池列、電池パック及び車両 図2
  • 特許-電池列、電池パック及び車両 図3
  • 特許-電池列、電池パック及び車両 図4
  • 特許-電池列、電池パック及び車両 図5
  • 特許-電池列、電池パック及び車両 図6
  • 特許-電池列、電池パック及び車両 図7
  • 特許-電池列、電池パック及び車両 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】電池列、電池パック及び車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/209 20210101AFI20240522BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20240522BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20240522BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240522BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240522BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20240522BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20240522BHJP
   H01M 50/133 20210101ALI20240522BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240522BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20240522BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240522BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20240522BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M4/02 Z
H01M4/13
H01M10/04 Z
H01M10/058
H01M10/658
H01M50/103
H01M50/133
H01M50/204 401H
H01M50/242
H01M50/249
H01M50/293
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022549536
(86)(22)【出願日】2021-02-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 CN2021075786
(87)【国際公開番号】W WO2021164594
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】202010108866.X
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】袁万▲頌▼
(72)【発明者】
【氏名】▲顔▼海▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】姜熙
(72)【発明者】
【氏名】▲鄒▼翔▲達▼
(72)【発明者】
【氏名】朱燕
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-223085(JP,A)
【文献】特開平06-150963(JP,A)
【文献】国際公開第2019/107560(WO,A1)
【文献】特開2008-091252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20ー50/298
H01M 4/00-4/62
H01M 10/04ー10/0587
H01M 10/36-10/39
H01M 10/658
H01M 50/10ー50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池列であって、順に配列された複数の電池を含み、各電池は、ケースと、前記ケース内に配置された電極体とを含み、前記電極体は、極板を含み、前記極板は、集電体と、前記集電体上に配置された被覆材層とを含み、前記電池列は、以下の式1を満たし、
(1-JR)+(SR-1)=10%~15%(式1)
ここで、JRは、複数の電池の各電池において、内部の電極体の第1の方向の膨張可能な空間であり、SRは、複数の電池において、電池の外部の第1の方向の膨張可能な空間であり、複数の電池における各電池の厚さ方向が、第1の方向として定義され、
JR=P/(Cell-K-C)であり、ここで、Pは、全ての被覆材層の第1の方向の、電池使用前の任意の時点での厚さの総和であり、被覆材層の電池使用前の任意の時点での厚さの総和は、被覆材層の電池使用前の任意の時点での第1の方向の厚さの総和であり、Cellは、使用前の電池の第1の方向における厚さであり、Kは、前記ケースの第1の方向における壁厚であり、Cは、電極体の第1の方向における非圧縮性厚さであり、
SR=(M-MN)/(Cell×Cell)であり、ここで、Mは、電池列の第1の方向における厚さであり、MNは、電池列の第1の方向における非圧縮性厚さであり、Cellは、電池の個数であり、
前記電池列の外部にハウジングが設置され、前記ハウジングは、第1の方向の両側に位置する端板を含み、前記ハウジングと前記電池列との間に非圧縮性断熱綿をさらに含み、前記電池列の非圧縮性厚さは、前記端板及び前記非圧縮性断熱綿の厚さを含むことを特徴とする、電池列。
【請求項2】
=JR厚さ-Cであり、ここで、JR厚さは、複数の電池の各電池において内部の電極体の第1の方向における電池使用前の任意の時点での厚さであり、電極体の電池使用前の任意の時点での厚さは、前記電極体の電池使用前の任意の時点での第1の方向における厚さであることを特徴とする、請求項1に記載の電池列。
【請求項3】
前記被覆材層は、活物質を含み、電池の充放電状況で膨張又は収縮することができることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電池列。
【請求項4】
前記電極体の非圧縮性厚さは、電極体におけるセパレータ、集電体又は絶縁紙の厚さを含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の電池列。
【請求項5】
前記電池は、出荷状態で満充電されない場合に、JR≦94%であり、前記電池は、出荷状態で満充電される場合に、JR≦100%であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の電池列。
【請求項6】
前記電池列の構造は、さらに以下の式2を満たし、
88%≦JR≦92%(式2)
ここで、JRは、電池の内部の電極体の第2の方向における膨張可能な空間であり、前記電池の幅方向が前記第2の方向と定義されており、
JR=P/(Cell-K-C)であり、ここで、Pは、全ての被覆材層の第2の方向における電池使用前の任意の時点での幅の総和であり、前記被覆材層の電池使用前の任意の時点での幅の総和は、前記被覆材層の電池使用前の任意の時点での第2の方向における幅の総和であり、Cellは、使用前の電池の第2の方向の幅であり、Kは、前記ケースの第2の方向における壁幅であり、Cは、電極体の第2の方向における非圧縮性幅であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の電池列。
【請求項7】
=JR-Cであり、ここで、JRは、電池の内部の電極体の電池の第2の方向における電池使用前の任意の時点での幅であり、前記電極体の電池使用前の任意の時点での幅は、前記電極体の電池使用前の任意の時点での第2の方向における幅であることを特徴とする、請求項に記載の電池列。
【請求項8】
隣接する2つの前記電池の間に位置規制構造が設置されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の電池列。
【請求項9】
隣接する2つの前記電池のケースの間に位置規制構造及び断熱材が設置され、前記断熱材は、前記位置規制構造に充填されるか又は前記位置規制構造と前記電池ケースとの間に設置されることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の電池列。
【請求項10】
前記ケースは、第1の方向に沿って対向する2つの第1の表面を有し、少なくとも1つの前記第1の表面は、ケースの内部へ窪んで凹部を形成することを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の電池列。
【請求項11】
前記2つの第1の表面は、いずれもケースの内部へ窪んで、電極体を挟持することを特徴とする、請求項10に記載の電池列。
【請求項12】
複数の請求項1~11のいずれか1項に記載の電池列を含むことを特徴とする、電池パック。
【請求項13】
請求項12に記載の電池パックを含むことを特徴とする、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディーカンパニーリミテッドが2020年2月21日に提出した、出願名称が「電池列、電池パック及び車両」である中国特許出願第「202010108866.X」号の優先権を主張するものである。
【0002】
本願は、電池の技術分野に関し、特に、電池列、電池パック及び車両に関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー自動車の普及が進むにつれて、新エネルギー自動車の動力電池に対する使用要件は、ますます高まっている。従来の電池について、ケースに対して角形アルミニウムケースを用いることが多く、角形アルミニウムケースを有する電池に対して、電池のサイクル性能を向上させ、セパレータを傷つけずに電池をケース内に組み立てやすくするために、一般的に電極体とアルミニウムケースとの間に一定の組立隙間を残すが、隙間が大きすぎると、不十分な空間利用、電池容量の浪費を引き起こすだけでなく、電池内の電極体が動き回ることを引き起こし、かつ充放電過程においてガスが発生して界面状態が不良になり、リチウムイオンが悪い界面を通過して拡散できないため、リチウムイオンが放出し、電池の安全及び耐用年数に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、少なくとも従来技術における技術的課題の1つを解決することを目的とする。このために、本願は、配置がより合理的であり、膨張隙間を制御するとともに、極板界面及びセル性能を改善できる電池列を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
電池列は、順に配列された複数の電池を含み、前記電池は、ケースと、前記ケース内に位置し、極板を含む電極体とを含み、前記極板は、集電体と、前記集電体に担持された被覆材層とを含み、前記電池列の構造は、以下の式1を満たし、
(1-JR)+(SR-1)=10%~15%(式1)
ここで、前記JRは、電池の内部の電極体の第1の方向における膨張空間であり、前記SRは、電池の外部の第1の方向における膨張空間であり、前記第1の方向が前記電池の厚さ方向であり、
前記JR=P/(Cell-K-C)であり、ここで、前記Pは、全ての被覆材層の第1の方向における任意の時点での厚さの総和であり、前記被覆材層の任意の時点での厚さの総和は、前記被覆材層の膨張前、膨張中又は膨張後の任意の時点での第1の方向における厚さの総和であり、前記Cellは、使用前の電池の第1の方向における厚さであり、前記Kは、前記ケースの第1の方向における壁厚であり、前記Cは、電極体の第1の方向における非圧縮性厚さであり、前記SR=(M-MN)/(Cell×Cell)であり、ここで、前記Mは、電池列の第1の方向における厚さであり、前記MNは、電池列の第1の方向における非圧縮性厚さであり、前記Cellは、電池の個数である。
【0006】
これにより、JR及びSRを調整して、電池列20の構造及び/又は材料の選択に上記式1を満たさせることにより、膨張隙間を制御するとともに、極板界面及びセル性能を改善することができる。
【0007】
電池パックは、上記いずれか1項に記載の電池列を含む。
【0008】
車両は、上記電池パックを含む。
【発明の効果】
【0009】
本願の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本願の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになって理解されやすくなる。
【0011】
図1】本願の実施例に係る電池列の概略構成図である。
図2】本願の実施例に係る電池の概略構成図である。
図3】本願の実施例に係る電池列の斜視図である。
図4】本願の実施例に係る電池列の斜視図である。
図5】本願の実施例に係る電池の断面構成図である。
図6】本願の実施例に係る電池の斜視図である。
図7】本願の実施例に係る電池パックを示す図である。
図8】本願の実施例に係る車両の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は図面に示され、全体を通して同一又は類似する符号は、同一又は類似する部品、或いは同一又は類似する機能を有する部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を限定するためのものであると理解すべきではない。
【0013】
なお、本願の説明において、用語「中心」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0014】
なお、用語「第1の」、「第2の」は、説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を示すか又は示唆し、或いは示された技術的特徴の数を暗示的に示すものであると理解すべきではない。これにより、「第1の」、「第2の」で限定された特徴は、1つ以上の該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。さらに、本願の説明において、特別な説明がない限り、「複数」は、2つ以上を意味する。
【0015】
電池の厚さの変化は、可逆変化と不可逆変化の2種類に分けられ、可逆変化には、熱膨張とリチウムイオン放出による体積変化とが含まれ、同じSOCで初期の厚さを回復することができ、上記過程が電池に不可逆的な損傷を引き起こさない。電池が構造部材により拘束され、充電後に正極及び負極における被覆材層が膨張し、電極体内の多孔質構造(多孔質電極、セパレータ)における電解液が排出される。充電の進行に伴い、残留電解液の量が増加し、充電が終了する段階で液面が最も高い。この場合、電極体が厚さ方向において最大程度で膨張し、それに対応して電池が最大の膨張力を受け、放電過程において電解液が孔質構造に吸収されて戻り、該過程は、電池の充放電呼吸効果であると理解できる。電池の可逆膨張は、一般的に、正負極材料の特性を反映し、材料体系を最適化することにより膨張比率を低減することができる。
【0016】
図1及び図2に示すように、本願の実施例に係る電池列20は、順に配列された複数の電池10を含み、電池10は、ケース100と、ケース100内に位置し、極板を含む電極体201とを含み、極板は、集電体と、集電体に担持された被覆材層とを含む。被覆材層は、活物質を含み、電池の充放電状況で膨張又は収縮することができる。
【0017】
電池列20の構造は、以下の式1を満たし、
(1-JR)+(SR-1)=10%~15%(式1)
ここで、JRは、電池10の内部の電極体201の第1の方向Xにおける膨張空間であり、SRは、電池10の外部の第1の方向Xにおける膨張空間であり、第1の方向Xが電池の厚さ方向であり、
JR=P/(Cell-K-C)であり、
は、全ての被覆材層の第1の方向Xにおける任意の時点での厚さの総和である。被覆材層の任意の時点での厚さの総和は、被覆材層の膨張前、膨張中又は膨張後の任意の時点での第1の方向における厚さの総和であってもよく、なお、全ての被覆材層の第1の方向Xにおける厚さの総和について、一般的に、電極体201は、多層の極板を積層するか又は長い極板を間隔を隔てて巻回することにより取得され、一般的に、極板は、正極板及び負極板を含み、電極体は、正極板、セパレータ及び負極板を積層するか又は正極板、セパレータ及び負極板を巻回することにより形成され、正極板は、正極集電体と、正極集電体に担持された正極被覆材層とを含み、該正極被覆材層は、単層の被覆材であっても2層の被覆材であってもよく、負極板は、負極集電体と、負極集電体に担持された負極被覆材層とを含み、該負極被覆材層は、単層の被覆材であっても2層の被覆材であってもよく、被覆材層の厚さの総和は、正極被覆材層の厚さ+負極被覆材層の厚さ(被覆材層が単層である)又は正極被覆材層の厚さ+負極被覆材層の厚さの2倍(被覆材層が2層である)である。必要な場合に、電極体201は、外部に被覆された絶縁紙をさらに含む。
【0018】
Cellは、使用前の電池10の第1の方向Xにおける厚さであり、すなわち、Cellは、電池10のケース100の供給時の厚さであってもよく、電池10のケース100の組立前の厚さであってもよく、ケース100が組み立てられた後に膨張も収縮もしない場合の厚さであってもよい。
【0019】
は、ケース100の第1の方向Xにおける壁厚であり(すなわち測定する場合に、ケース100の第1の方向における側板の厚さの和であり、側板は、2つであっても複数であってもよい)、Cは、電極体201の第1の方向Xにおける非圧縮性厚さである。さらに、電極体201の非圧縮性厚さは、電極体201におけるセパレータ、集電体の厚さを含み、或いは、電極体201の非圧縮性厚さは、セパレータ、集電体及び絶縁紙の厚さを含む
【0020】
SR=(M-MN)/(Cell×Cell
ここで、Mは、電池列20の第1の方向Xにおける厚さであり、MNは、電池列20の第1の方向Xにおける非圧縮性厚さであり、Cellは、電池10の個数である。本実施例において、電池列20の外部にハウジング210が設置され、ハウジング210は、第1の方向Xの両側に位置する端板211を含み、ハウジング210と電池列20との間に非圧縮性断熱綿220をさらに含み、この実施例において、電池列20の非圧縮性厚さは、端板211及び非圧縮性断熱綿220の厚さを含む。ここで、Mは、電池列20の第1の方向Xにおける厚さであり、電池列20の正常に使用されるか又は使用されない場合の任意の時点での第1の方向Xにおける厚さを指す。
【0021】
本願において、電池列20の構造は、電池列20の空間位置での構造及び材料を含む。構造設計及び/又は材料の選択が上記式1を満たせば、本願に係る電池列20となる。
【0022】
第1の方向Xにおいて、(1-JR)+(SR-1)で表される予約空間が小さすぎると、電池10は、長期サイクル過程において大きすぎる拘束力を受け、充電時に電解液が押し出され、正負極板の界面間の電解液が不足し、リチウムイオンが正極に吸蔵できず、リチウムイオン放出現象が発生して、サイクルが迅速に減衰し、逆に(1-JR)+(SR-1)で表される予約空間が大きすぎると、電池10の極板界面が悪いという問題をもたらすとともに、電池と電池パックのエネルギー密度を犠牲にする。
【0023】
本願において、JR及びSRを調整して、電池列20の構造及び/又は材料の選択に上記式1を満たさせることにより、膨張隙間を制御するとともに、極板界面及びセル性能を改善することができる。
【0024】
いくつかの実施例において、P=JR厚さ-Cであり、ここで、JR厚さは、電池10の内部の電極体201の第1の方向Xにおける任意の時点での厚さである。電極体201の任意の時点での厚さは、電極体201の膨張前、膨張中又は膨張後の任意の時点での第1の方向における厚さであってもよく、式1において、電池10の内部の電極体201の第1の方向Xにおける任意の時点での厚さは、電池10が膨張するか又は膨張しない場合にいずれも上記式1を満たし、膨張した電極体201の第1の方向Xにおける厚さが極値に達する場合に依然として上記式1を満たすと、電池10の膨張による極板界面の破壊を回避することができる。
【0025】
他の実施例において、P=X×Y×(1+S)+X×Y×(1+S)であり、ここで、極板は、間隔を隔てて設置された正極板及び負極板を含み、Xは、正極板の層数であり、Yは、単層の正極板における被覆材層の第1の方向Xにおける厚さであり、Sは、正極板における被覆材層の膨張係数であり、Xは、負極板の層数であり、Yは、単層の負極板における被覆材層の第1の方向Xにおける厚さであり、Sは、負極板における被覆材層の膨張係数である。該実施例の示し方式において、被覆材層の膨張厚さ自体により被覆材層の第1の方向における任意の時点での厚さを示す。
【0026】
電池に対して、化成段階で電池内のガスを負圧で抜き出し、ガスが多いことによりリチウムイオンの放出が困難であり、界面が悪いという問題をもたらすことを防止し、電池の外部の大気圧がセルの内部圧力より大きく、ケース100は、内向きの収縮力を受けて電極体201に密着固定され、サイクル過程において電極体201は、窪んだケース100からの圧力を受け、電池の内部のガスが持続的に負圧で吸い出されるとともに、キャビティは充放電呼吸作用下で外向きに膨張し、充放電呼吸効果は、被覆材層の膨張係数Sを反映し、正負極材料の材質、正負極圧密、正負極面密度、ロールプレスプロセス(一次ロールプレス、二次ロールプレス)、ロールプレス後及び組立前の極板の反発時間などの方式で調整することができ、また、電池の異なる温度でのサイクル能力の要件を考える。いくつかの実施例において、電池は、出荷状態で満充電されない場合に、JR≦94%であり、電池は、出荷状態で満充電された場合に、JR≦100%である。
【0027】
JR/SRを制御することにより、セルのサイクル寿命を向上させることができ、負圧抜き出し後にケース100が窪み、内へ窪んだ深さは、ケースが異なる帯電状態にある電極体201に貼り付けられることを保証し、内へ窪んだケース、特に内へ窪んだアルミニウムケースにより、電池設計を簡略化することができ、電池の大きな面が膨張時に窪んだ部分の空間を占めることができ、電池列における2つの電池の間の隙間設計を低減し、構造設計を簡略化し、極板界面を保証するとともに、膨張比を制御し、組立製造効率を向上させる。
【0028】
電極体201がより長い極板を間隔を隔てて巻回することにより得られた場合、一部の被覆材層は、第1の方向Xにあり、他の部分の被覆材層は、第2の方向Yにあり、第2の方向にある被覆材層も膨張能力を有するため、いくつかの実施例において、電池列20の構造は、さらに以下の式2を満たし、
88%≦JR≦92%(式2)
ここで、JRは、電池10の内部の電極体201の第2の方向Yにおける膨張空間であり、第2の方向Yが電池10の幅方向であり、具体的には、図2に示すように、電池10の内部の巻回電極体は、幅方向に積層して設置された極板を有し、第2の方向Yに積層して設置された極板を有するため、電極体201は、第2の方向Yに膨張能力を有する。
【0029】
なお、電極体201の電池における配置方向は、上記実施例と異なる可能性があり、例えば、電極体201の側辺に円弧状領域がある部分が電池の短辺に向かう場合、電池10の第1の方向Xにおける対応する寸法は、式1を満たすべきであり、電池10の第2の方向Yにおける対応する寸法は、式2を満たすべきであり、電極体201の側辺に円弧状領域がある部分が電池の長辺に向かう場合、電池10の第1の方向Xにおける対応する寸法は、式2を満たすべきであり、電池10の第2の方向Yにおける対応する寸法は、式1を満たすべきである。
【0030】
すなわち、電極体201の側辺に円弧状領域がある部分が電池10の短辺に向かう場合、電池10の厚さ方向における対応する寸法は、式1を満たすべきであり、電池10の幅方向における対応する寸法は、式2を満たすべきであり、電極体201の側辺に円弧状領域がある部分が電池10の長辺に向かう場合、電池10の幅方向における対応する寸法は、式1を満たすべきであり、電池10の厚さ方向における対応する寸法は、式2を満たすべきである。JR=P/(Cell-K-C)であり、ここで、Pは、全ての被覆材層の第2の方向Yにおける任意の時点での幅の総和であり、被覆材層の任意の時点での幅の総和は、被覆材層の膨張前、膨張中又は膨張後の任意の時点での第2の方向Yにおける幅の総和であってもよい。Cellは、使用前の電池10の幅であり、Kは、ケース100の第2の方向Yにおける壁幅であり、Cは、電極体の第2の方向Yにおける非圧縮性幅であり、同様に、電極体201の非圧縮性幅は、電極体201におけるセパレータ及び集電体の幅を含み、或いは、電極体201の非圧縮性幅は、セパレータ、集電体及び絶縁紙の幅を含む。他の実施例において、電極体201の非圧縮性幅は、電極体201内の圧縮ガスが占める空間の第2の方向における幅をさらに含み、上記と同様である。
【0031】
第1の方向X及び第2の方向Yにおいて電池列20にそれぞれ上記式1及び式2を満たさせることにより、膨張隙間をよりよく制御するとともに、極板界面及びセル性能を改善することができる。
【0032】
いくつかの実施例において、P=JR-Cであり、ここで、JRは、電池10の内部の電極体201の電池の第2の方向Yにおける任意の時点での幅であり、電極体201の任意の時点での幅は、電極体201の膨張前、膨張中又は膨張後の任意の時点での第2の方向Yにおける幅であってもよい。
【0033】
いくつかの実施例において、P=X×Y正二×(1+S)+X×Y負二×(1+S)であり、ここで、極板は、間隔を隔てて設置された正極板及び負極板を含み、Xは、正極板の層数であり、Y正二は、単層の正極板における被覆材層の第2の方向Yにおける幅であり、Sは、正極板における被覆材層の膨張係数であり、Xは、負極板の層数であり、Y負二は、単層の負極板における被覆材層の第2の方向Yにおける幅であり、Sは、負極板における被覆材層の膨張係数である。
【0034】
図3に示すように、いくつかの実施例において、隣接する2つの電池10の間に位置規制構造300が設置される。電池10の間の隙間の均一性を保証することにより、電池10の間のサイクル性能の一致性を向上させ、応力の不均一による個別の電池10に極板界面の不良が発生してモジュール及びパック全体の電気的性能に影響を与えることを回避するために、本願に係る電池10の第1の方向Xに沿って対向する表面が内向きに窪んだ後、隣接する2つの電池10の間の位置規制構造の厚さを減少させ、位置規制構造の材料の使用量を低下させることができ、電池が膨張する場合に、まず、窪み空間を占めるとともに、サイクル過程における界面品質を保証する。本願において、位置規制構造300は、位置規制フレームである。
【0035】
図4に示すように、別の実施例において、隣接する2つの電池10のケース100の間に位置規制構造300及び断熱材400が設置され、断熱材400は、位置規制構造300に充填されるか又は位置規制構造300と電池ケース100との間に設置される。電池10の間にさらに断熱材400を配置する必要があり、電池10が極端な環境で失効して熱拡散が発生することを防止し、位置規制構造300が図3に示すフレーム構造である場合、断熱材400は、位置規制構造300と電池10の表面とで限定された隙間内に充填され、位置規制構造300が板状部材である場合、断熱材400は、電池10と位置規制構造300との間に設置される。
【0036】
図5に示すように、別の実施例において、ケース100は、第1の方向Xに沿って対向する2つの第1の表面を有し、少なくとも1つの第1の表面は、ケース100の内部へ窪んで凹部110を形成する。
【0037】
いくつかの実施例において、2つの第1の表面は、いずれもケース100の内部へ窪んで、電極体201を挟持する。
【0038】
図5及び図6に示すように、いくつかの実施例において、電池は、複数の電極体201を含み、電極体セット200は、複数の電極体201を有し、各電極体セット200は、1つの電極体201を含んでもよく、複数の電極体201を含んでもよく、複数の電極体201を含む場合、複数の電極体201が並列接続されて電極体セット200を形成するか、又は複数の電極体201が直列接続されて電極体セット200を形成するか、又は複数の電極体201が組に分けられ、各組における複数の電極体201が直列接続された後に、各組の電極体210がさらに並列接続されて電極体セット200を形成し、電極体セット200は、第3の方向Zに沿って配列され、複数の電極体セット200は、直列接続され、電極体セット200の長さ方向が第3の方向Zと一致し、第1の表面は、複数の凹部110を含み、1つの凹部110は、1つの電極体セット200に対応して設置される。他の実施例において、2つの対向して設置された第1の表面に同時に複数の凹部110が設置され、電極体セット200は、両側の凹部110により挟持される。
【0039】
図7に示すように、本願の実施例は、さらに、上記いずれか1つの実施例に係る電池列20を含む電池パック30を提供する。電池列20は、複数の電池10を含み、複数の電池10は、第1の方向Xに沿って順に配列されて電池列20を形成し、すなわち、複数の電池100は、電池の厚さ方向に沿って配列されて電池列を形成する。
【0040】
電池列20は、1つであっても複数であってもよく、各電池列20における電池10は、1つであっても複数であってもよく、実際の製造において、電池10の数は、実際の需要に応じて設定されてもよく、電池列20の数は、実際の需要に応じて設定されてもよく、本願は、これを具体的に限定しない。
【0041】
図8に示すように、本願は、さらに、上記電池パック30を含む車両1を提供する。
【0042】
本願の実施例を示し、説明したが、当業者であれば理解できるように、本願の原理及び趣旨から逸脱しない場合、これらの実施例に対して、様々な変更、修正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定される。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8