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特許7492603デジタルとアナログとの間で信号を変換するための回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】デジタルとアナログとの間で信号を変換するための回路
(51)【国際特許分類】
   H03M 1/12 20060101AFI20240522BHJP
   H03M 1/66 20060101ALI20240522BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
H03M1/12 C
H03M1/66 C
G01R31/28 M
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022561556
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2020060142
(87)【国際公開番号】W WO2021204387
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】ベールマン、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ミュッケ、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ボルマー、クリスチャン
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-244576(JP,A)
【文献】特開平09-107349(JP,A)
【文献】特開2009-253757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 1/00-1/88
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルとアナログとの間で信号を変換するための回路であって、
同期クロック信号を供給または使用するように構成されたプロセッサと、
変換器クロック信号を使用してデジタルとアナログとの間でデータを変換するように構成された変換器と、
前記同期クロック信号と前記変換器クロック信号との間の位相関係を決定するように構成された位相比較器と、
前記位相関係に関する情報を受信するために前記位相比較器に結合され、前記位相関係に応じて前記プロセッサと前記変換器との間で交換される信号データに遅延を与えるように構成されたデジタルシグナルプロセッサと
を備え、
前記同期クロック信号と前記変換器クロック信号との間に所定の周波数関係が存在し、前記同期クロック信号は、デジタルとアナログとの間での前記変換用のタイミングを示すクロック信号である、回路。
【請求項2】
前記回路が、前記変換器クロック信号と時間的に同期しているイネーブル信号を取得するために、前記同期クロック信号と前記変換器クロック信号との間の前記位相関係に関する情報に基づいて、前記同期クロック信号と時間的に同期しており、デジタルとアナログとの間でのデータの変換をトリガするイネーブル信号が前記変換器クロック信号の立ち上がりエッジにおいてサンプリングされるか立ち下がりエッジにおいてサンプリングされるかを決定するように構成される、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記回路が、前記同期クロック信号と前記変換器クロック信号との間の前記位相関係に関する前記情報に応じて、
前記同期クロック信号と時間的に同期しており、デジタルとアナログとの間でのデータの変換をトリガする前記イネーブル信号が、中間信号を取得するために、前記変換器クロック信号の第1のエッジタイプのエッジにおいてサンプリングされ、かつ前記中間信号が、前記変換器クロック信号と時間的に同期している前記イネーブル信号を取得するために、前記変換器クロック信号の第2のエッジタイプのエッジにおいてサンプリングされる第1のモードと、
前記同期クロック信号と時間的に同期しており、デジタルとアナログとの間でのデータの変換をトリガする前記イネーブル信号が、前記変換器クロック信号と時間的に同期している前記イネーブル信号を取得するために、前記変換器クロック信号の前記第2のエッジタイプのエッジにおいてサンプリングされる第2のモードと
の間で選択するように構成される、請求項2に記載の回路。
【請求項4】
イネーブル信号を受信するために前記プロセッサに結合された第1のフリップフロップ回路であって、前記第1のフリップフロップ回路が、前記同期クロック信号と前記変換器クロック信号との間の位相差の値が第1の所定の範囲内にあることを前記位相関係が示す場合、サンプリングされた信号を取得するために、第1のサンプリング位相において前記イネーブル信号をサンプリングするように構成される、第1のフリップフロップ回路と、
前記イネーブル信号を受信するために前記プロセッサに結合され、かつ前記サンプリングされた信号を受信するために前記第1のフリップフロップ回路に結合された信号選択器であって、前記信号選択器が、選択された信号を取得するために、前記受信された信号のうちの1つを選択するように構成される、信号選択器と、
前記選択された信号を受信するために前記信号選択器に結合された第2のフリップフロップ回路であって、前記第2のフリップフロップ回路が、前記位相関係が第2の所定の範囲内にある場合、第2のサンプリング位相において前記イネーブル信号をサンプリングするように構成される、第2のフリップフロップ回路と、
前記信号データを受信するために前記デジタルシグナルプロセッサに結合され、かつ前記第2のフリップフロップ回路の出力信号の遅延したバージョンを受信するために遅延回路を介して前記第2のフリップフロップ回路に結合された先入れ先出し回路であって、前記先入れ先出し回路が、前記サンプリングされたイネーブル信号に関連付けられた信号データを前記変換器に供給する、先入れ先出し回路と
を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の回路。
【請求項5】
前記選択器が、前記位相関係に関する前記情報に基づいて入力信号のうちの1つを選択するマルチプレクサを備える、請求項4に記載の回路。
【請求項6】
前記位相比較器が、前記位相関係を決定するために前記同期クロック信号と前記変換器クロック信号との間の位相差を測定するように構成された位相-デジタル変換器を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の回路。
【請求項7】
前記デジタルシグナルプロセッサが、前記同期クロック信号と前記変換器クロック信号との間の位相差を打ち消す、かつ/または少なくとも部分的に補償するように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の回路。
【請求項8】
前記デジタルシグナルプロセッサが、前記同期クロック信号と同期して供給される1つもしくは複数の入力データ値に基づいて、前記変換器クロック信号によって決定される時間格子における変換時間に関連付けられたフィルタされたデータ値を供給するように構成される、および/または
前記デジタルシグナルプロセッサが、前記変換器クロック信号によって決定される時間格子において規定された1つもしくは複数のデータ値に基づいて、前記同期クロック信号によって決定される時間軸に揃えられたフィルタされたデータ値を供給するように構成される、請求項7に記載の回路。
【請求項9】
前記デジタルシグナルプロセッサが有限インパルス応答(FIR)フィルタを使用する、請求項7または8に記載の回路。
【請求項10】
前記デジタルシグナルプロセッサがファロー構造を使用する、請求項7または8に記載の回路。
【請求項11】
前記回路が、発振器であって、前記発振器の出力信号が前記変換器クロック信号として使用される、または前記回路が前記発振器の前記出力信号から前記変換器クロック信号を導出するように構成される、発振器を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の回路。
【請求項12】
前記回路が、前記同期クロック信号の周波数と前記変換器クロック信号の周波数とが所定の関係にあるように、共通基準信号から前記同期クロック信号および前記変換器クロック信号を導出するように構成される、請求項1から11のいずれか一項に記載の回路。
【請求項13】
前記変換器がデジタル-アナログ変換器である、請求項1から12のいずれか一項に記載の回路。
【請求項14】
前記変換器がアナログ-デジタル変換器である、請求項1から12のいずれか一項に記載の回路。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の回路を備える、被試験デバイスを試験するための試験装置。
【請求項16】
前記試験装置が、前記同期クロック信号に同期して試験フローを実行するように構成される、請求項15に記載の試験装置。
【請求項17】
前記装置が、入力信号値に基づいて前記変換器を使用して取得されたアナログ信号を前記被試験デバイスに供給するように構成される、および/または
前記装置が、前記遅延を使用して前記変換器から取得されたデジタル化された被試験デバイス信号に基づいて前記デジタルシグナルプロセッサによって供給されるデジタルデータを取得し、前記デジタルデータを評価するように構成される、請求項16に記載の試験装置。
【請求項18】
デジタルとアナログとの間で信号を変換するための方法であって、
プロセッサから供給される、またはプロセッサによって使用される同期クロック信号、および変換器によって使用される変換器クロック信号を受信するステップと、
前記同期クロック信号と前記変換器クロック信号との間の位相関係を決定するステップと、
前記同期クロック信号と前記変換器クロック信号との間の前記位相関係に基づいて、前記プロセッサと前記変換器との間で交換される信号データに遅延を与えるステップと
を含み、
前記同期クロック信号と前記変換器クロック信号との間に所定の周波数関係が存在し、前記同期クロック信号は、デジタルとアナログとの間での前記変換用のタイミングを示すクロック信号である、方法。
【請求項19】
前記方法が、
前記同期クロック信号と前記変換器クロック信号との間の前記位相関係に応じて、
前記同期クロック信号と時間的に同期しており、デジタルとアナログとの間でのデータの変換をトリガするイネーブル信号が、中間信号を取得するために、前記変換器クロック信号の第1のエッジタイプのエッジにおいてサンプリングされ、かつ前記中間信号が、前記変換器クロック信号と時間的に同期している前記イネーブル信号を取得するために、前記変換器クロック信号の第2のエッジタイプのエッジにおいてサンプリングされる第1のモードと、
前記同期クロック信号と時間的に同期しており、デジタルとアナログとの間でのデータの変換をトリガする前記イネーブル信号が、前記変換器クロック信号と時間的に同期している前記イネーブル信号を取得するために、前記変換器クロック信号の前記第2のエッジタイプのエッジにおいてサンプリングされる第2のモードと
の間を選択するステップと、
前記サンプリングされたイネーブル信号に関連付けられた前記信号データを前記変換器に供給するステップと
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
コンピュータまたはマイクロコントローラ上で実行されているときに、請求項18または19に記載の方法を実行するためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルとアナログとの間で信号を変換するための回路、被試験デバイスを試験するための試験装置、およびデジタルとアナログとの間で信号を変換するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最先端のデバイスの稼働率が増加するにつれて、生産規模の量でそのようなデバイスの性能を評価する課題は、ますます難しいものになる。難しさの1つは従来の高速デバイス試験モードに起因すると考えられ、このような試験モードは、より高い周波数において、被試験デバイス(DUT)単独の性能ではなく、DUTと試験ハードウェアとの合成性能を反映する傾向がある。
【0003】
GHz(ギガヘルツ)周波数範囲において高速で高性能なデバイスを試験するとき、従来の自動試験機器(ATE)での性能に対する制限要因は、試験ハードウェアの一部であるアナログ-デジタル変換器(ADC)およびデジタル-アナログ変換器(DAC)の刺激および変換(サンプリング)クロック信号におけるジッタによってますます決まる。ジッタは、基準クロックソースに関連することが多い周期的信号の時間変動である。ジッタは、連続パルスの周波数または周期的信号の位相などの特性において観測され得る。しかしながら、ATEの性能に関連して、制限作用は変換クロック単独のジッタによって引き起こされると一般的に想定されている。したがって、超低ジッタクロックを供給することに高コストおよび高度な開発努力が(例えば、高度な位相ロックループ(PLL)アーキテクチャを組み込んだ低ジッタクロック発生器を開発することによって)一般に費やされる。
【0004】
近年、固定サンプルレートでの連続動作のためにADCおよびDACが製造されている。つまり、ADCおよびDACが連続モードで使用されるとき、変換器のサンプリングレートはPLLによってデータレートにロックされる。信号を変換するためのすべての周波数は通常知られており、したがって、任意のユーザデータレートから変換器レートに変換するためにデジタルシグナルプロセッサ(DPS)を使用することが可能である。例えば図8に示すように、バーストモードでも同じようにすることが可能である。しかしながら、図9に示すようにクロックタイミングを合わせるためには、各測定の前にPLLをセットアップする必要がある。つまり、サブ変換器レート分解能でバーストの正確なタイミングを実現することが求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
信号を変換するための従来の回路(例えば、図7に略図として示す回路)は、各チャネルに1つのPLLを必要とする。PLLの最も単純な構成は、位相比較器と、ループフィルタと、電圧制御発振器とを備えるが、一般に、PLLは、特別で高価な外部構成要素を必要とする。加えて、低ジッタPLLはCMOSプロセスに組み込むことができず、したがって、PLLは多くの基板スペースを消費する。各バーストの前にPLLが安定するのに必要な時間もまた、試験が多数の比較的短いバーストを含むことが多く、ATEの課題である。
【0006】
したがって、本発明の目的は、バーストモードで信号を変換するための回路の改善された概念を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、請求項1に記載のデジタルとアナログとの間で信号を変換するための回路、請求項15に記載の被試験デバイスを試験するための試験装置、および請求項18に記載のデジタルとアナログとの間で信号を変換するための方法によって解決される。
【0008】
また、本発明のいくつかの実施形態は、本発明の方法のステップを実行するためのコンピュータプログラムを提供する。
【0009】
本願の第1の態様に係る回路は、デジタルとアナログとの間で(例えば、デジタル表現とアナログ表現との間で、すなわち、デジタル表現からアナログ表現へ、またはアナログ表現からデジタル表現へ)信号を変換するための回路において、同期クロック信号と変換器クロック信号との間に所定の周波数関係(例えば、所定の値においてロックされた所定の周波数関係)が存在する、回路であり、同期クロック信号(例えば、時間格子または時間軸上の(例えば、時間的に等間隔の)サンプル時間に関連付けられた入力データ値に基づいてデータを出力するためのタイミングを示すクロック信号である同期クロック信号)を供給または使用するように構成されたプロセッサと、変換器クロック信号(例えば、プロセッサから供給されたデータを受信するためのタイミングを示す、および/またはデジタルとアナログとの間の変換が実行される時間を規定するクロック信号である変換器クロック信号)を使用してデジタルとアナログとの間でデータを変換するように構成された変換器と、(例えば、同期クロック信号を受信するためにプロセッサに結合され、変換器クロック信号を受信するために変換器に結合され、)同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相関係を決定するように構成された(すなわち、位相比較器が、同期クロック信号と変換器クロック信号との間での立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジのタイミングの比較を実行し、それによって信号間の位相比較を実行するように構成された)位相比較器と、位相関係(例えば、同期クロック信号と比較器クロック信号との間の位相差)に関する情報を受信するために位相比較器に結合され、(例えば、位相関係に応じて同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相差を少なくとも部分的に補償するために)プロセッサと変換器との間で交換される信号データ(例えば、異なるサンプル時間に関連付けられた(例えば、元の時間格子または時間軸上にない)時間離散出力値)に遅延を適用するように構成されたデジタルシグナルプロセッサとを備える。
【0010】
実施形態において、回路は、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相関係に関する情報に基づいて、変換器クロック信号と時間的に同期しているイネーブル信号を取得するために、同期クロック信号と時間的に同期しており、デジタルとアナログとの間でのデータの変換をトリガするイネーブル信号が変換器クロック信号の立ち上がりエッジにおいてサンプリングされるか立ち下がりエッジにおいてサンプリングされるかを決定するように構成される。
【0011】
実施形態おいて、回路は、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相関係に関する情報に応じて、同期クロック信号と時間的に同期しており、デジタルとアナログとの間でのデータの変換をトリガするイネーブル信号が、中間信号を取得するために、変換器クロック信号の第1のエッジタイプのエッジ(例えば、立ち下がりエッジ)においてサンプリングされ、かつ中間信号が、変換器クロック信号と時間的に同期しているイネーブル信号を取得するために、変換器クロック信号の第2のエッジタイプのエッジ(例えば、立ち上がりエッジ)においてサンプリングされる第1のモードと、同期クロック信号と時間的に同期しており、デジタルとアナログとの間でのデータの変換をトリガするイネーブル信号が、変換器クロックと時間的に同期しているイネーブル信号を取得するために、変換器クロック信号の第2のエッジタイプのエッジにおいてサンプリングされる第2のモードとの間で選択するように構成される。
【0012】
実施形態おいて、回路は、イネーブル信号(例えば、変換器クロック信号とは異なるクロック領域上の試験信号であり、信号データの出力タイミングを揃えるためにプロセッサから供給されるイネーブル信号)を受信するためにプロセッサに結合された第1のフリップフロップ回路であって、第1のフリップフロップ回路が、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相差の値が第1の所定の範囲内にあることを位相関係が示す場合、サンプリングされた信号を取得するために、第1のサンプリング位相においてイネーブル信号をサンプリングする(例えば、位相差が準安定につながるリスクを有する可能性がある所定の値よりも小さい場合には、イネーブル信号をサンプリングする位相が、サンプリング時間インスタンスを同期クロック信号のクロックエッジから離すように反転される)ように構成される、第1のフリップフロップ回路と、イネーブル信号を受信するためにプロセッサに結合され、かつサンプリングされた信号を受信するために第1のフリップフロップ回路に結合された信号選択器であって、信号選択器が、選択された信号を取得するために、(例えば、位相関係に応じて)受信された信号のうちの1つを選択するように構成される、信号選択器と、選択された信号を受信するために信号選択器に結合された第2のフリップフロップ回路であって、第2のフリップフロップ回路が、位相関係が(例えば、第1の所定の範囲とは異なり、典型的には第1の所定の範囲と重複しない)第2の所定の範囲内にある(このことは、例えば、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相差の値が所定の値よりも大きいことを示し得る)場合(この場合、サンプリングされた信号のエッジが変換器クロック信号と同期している、すなわち、信号どうしの出力タイミングが揃っており、したがって、クロック信号の立ち上がりタイミングを揃える必要がない)、第2のサンプリング位相においてイネーブル信号をサンプリングするように構成される、第2のフリップフロップ回路と、信号データを受信するためにデジタルシグナルプロセッサに結合され、かつ(例えば、変換器の信号データ出力タイミングを示す)第2のフリップフロップ回路の出力信号の遅延したバージョンを受信するために、(例えば、イネーブル信号と変換器クロック信号との間の位相差に基づいて遅延時間を計算する)遅延回路を介して第2のフリップフロップ回路に結合された先入れ先出し回路であって、先入れ先出し回路が、サンプリングされたイネーブル信号に関連付けられた信号データを変換器に供給する、先入れ先出し回路とを備える。
【0013】
実施形態において、選択器は、位相関係に関する情報に基づいて入力信号のうちの1つを選択するマルチプレクサを備える。加えて、位相比較器は、位相関係を決定するために同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相差を測定するように構成された位相-デジタル変換器を備える。さらに、デジタルシグナルプロセッサ(例えば、非整数遅延フィルタ)は、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相差を打ち消す、かつ/または少なくとも部分的に補償するように構成される。
【0014】
実施形態において、デジタルシグナルプロセッサ(例えば、非整数遅延フィルタ)は、同期クロック信号と同期して供給される1つもしくは複数の入力データ値(例えば、本来同期クロック信号によって決定される時間においてデジタル-アナログ変換されるべきであったが、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の時間シフト/位相シフトに起因して不可能であった、プロセッサによって供給される1つもしくは複数の信号サンプル)に基づいて、変換器クロック信号によって決定される時間格子における変換時間に関連付けられたフィルタされたデータ値(例えば、変換器クロック信号によって決定される時間において変換器によって実際にはデジタル-アナログ変換される信号サンプル)を供給するように構成される、および/またはデジタルシグナルプロセッサ(例えば、非整数遅延フィルタ)は、変換器クロック信号によって決定される時間格子において規定された1つもしくは複数のデータ値(例えば、本来同期クロック信号によって決定される時間においてアナログ-デジタル変換されるべきであったが、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の時間シフト/位相シフトに起因して不可能であった、実際には変換器クロック信号によって決定される時間において変換器によってアナログ-デジタル変換される1つもしくは複数の信号サンプル)に基づいて、同期クロック信号によって決定される時間軸に揃えられたフィルタされたデータ値を供給するように構成される。
【0015】
実施形態において、デジタルシグナルプロセッサまたは非整数遅延フィルタはファロー構造(Farrow structure)を使用する。しかしながら、遅延を実装するための任意の他の適切な手段が許容される。回路は、発振器であって、発振器の出力信号が変換器クロック信号として使用される、または回路が発振器の出力信号から変換器クロック信号を導出するように構成される、発振器を備える。回路は、同期クロック信号の周波数と変換器クロック信号の周波数とが所定の関係にあるように、共通基準信号から同期クロック信号および変換器クロック信号を導出するように構成される。変換器は、デジタル-アナログ変換器またはアナログ-デジタル変換器である。
【0016】
本願の第2の態様は、本願に係る回路を備える被試験デバイスを試験するための試験装置に関する。試験装置は、同期クロック信号と同期して、試験フロー(例えば、被試験デバイスに信号を供給し、被試験デバイスから受信した信号を評価する、複数のチャネルモジュールを使用する試験フロー)を実行する(例えば、開始する)ように構成される。試験装置は、(例えば、プロセッサによって供給される)入力信号値に基づいて変換器を使用して取得されたアナログ信号を被試験デバイスに供給する(例えば、それによって被試験デバイスを刺激する)ように構成される、および/または装置は、遅延を使用して変換器から取得されたデジタル化された被試験デバイス信号に基づいてデジタルシグナルプロセッサによって供給されるデジタルデータを取得し、(例えば、被試験デバイスの特性を明らかにするために)デジタルデータを評価するように構成される。
【0017】
本願の第3の態様は、デジタルとアナログとの間で信号を変換するための方法であり、プロセッサから供給される、またはプロセッサによって使用される同期クロック信号、および変換器によって使用される変換器クロック信号を受信するステップと、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相関係を決定するステップと、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相関係に基づいて、プロセッサと変換器との間で交換される信号データに遅延を適用するステップと、を備え、同期クロック信号と変換器クロック信号との間に所定の周波数関係が存在する。
【0018】
実施形態に係る方法は、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相関係に応じて、同期クロックと時間的に同期しており、デジタルとアナログとの間でのデータの変換をトリガするイネーブル信号が、中間信号を取得するために、変換器クロックの第1のエッジタイプのエッジにおいてサンプリングされ、かつ中間信号が、変換器クロックと時間的に同期しているイネーブル信号を取得するために、変換器クロックの第2のエッジタイプのエッジにおいてサンプリングされる第1のモードと、同期クロックと時間的に同期しており、デジタルとアナログとの間でのデータの変換をトリガするイネーブル信号が、変換器クロックと時間的に同期しているイネーブル信号を取得するために、変換器クロックの第2のエッジタイプのエッジにおいてサンプリングされる第2のモードとの間で選択するステップと、サンプリングされたイネーブル信号に関連付けられた信号データを変換器に供給するステップと、を含む。
【0019】
本願の第4の態様によれば、コンピュータプログラムが提供され、コンピュータプログラムは、コンピュータまたはマイクロコントローラ上で実行されると上述の方法を実施するように構成され、その結果、上述の方法はコンピュータプログラムによって実施される。
【0020】
以下、図面を参照しながら本願の実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本願発明の第1の実施形態による、信号を変換するための回路の概略ブロック図である。
図2】本願発明の第1の実施形態による位相比較器の概略タイミング図である。
図3】本願発明の概念による、図2による位相比較器の概略ブロック図である。
図4】本願発明の概念の第1の実施形態による、同期クロックと変換器クロックとの間の位相関係を示す概略図である。
図5】本願発明の第2の実施形態による回路の実装例を示す概略ブロック図である。
図6】本願発明の概念の第3の実施形態による、被試験デバイスを試験するための試験装置を示す概略ブロック図である。
図7】本願発明の概念の第3の実施形態による、デジタルとアナログとの間で信号を変換するための方法のステップを示すフローチャートである。
図8】従来技術による概略ブロック図である。
図9】従来技術による概略タイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明は、限定ではなく説明を目的として、特定の実施形態、手順、技法など、具体的な詳細を記載する。これらの具体的な詳細とは別に、他の実施形態が採用されてもよいことが当業者には理解されよう。例えば、以下の説明は、非限定的な例示的な応用を用いることにより進められるが、本技術は、任意のタイプの変換器に採用されてもよい。場合によっては、不必要な詳細で説明を不明瞭にしないように、周知の方法、インターフェース、回路、およびデバイスの詳細な説明は省略される。
【0023】
同等または均等な機能を有する同等または均等な要素は、以下の説明では同等または均等な参照符号で示される。
【0024】
図1は、本発明の第1の実施形態による、信号を変換するための回路の概略ブロック図を示している。回路100は、プロセッサ2と、変換器4と、位相比較器(PDC)6と、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)8とを備える。
【0025】
プロセッサ2は、PDC6に結合され、PDC6に同期クロック信号を供給する。加えて、プロセッサ2は、DSP8に結合され、DSP8にデータ/信号データを供給する。プロセッサ2は、同期クロック信号(例えば、時間格子または時間軸上の(例えば、時間的に等間隔の)サンプル時間に関連付けられた入力データ値に基づいてデータを出力するためのタイミングを示すクロック信号である同期クロック信号)を供給または使用するように構成される。本実施形態では、同期クロック信号がプロセッサ2からPDC6に供給されることが示されている。しかしながら、同期クロック信号は、別のデータソースからプロセッサ2に供給されてもよい。この場合、プロセッサ2は、供給された同期クロック信号を使用する。
【0026】
変換器4は、PDC6に結合され、PDC6に変換器クロック信号を供給する。加えて、変換器4は、DSP8に結合され、プロセッサ2によって供給された信号データをDSP8を介して受信する。変換器4は、変換器クロック信号(例えば、プロセッサから供給されたデータを受信するためのタイミングを示す、および/またはデジタルとアナログとの間の変換が実行される時間を規定するクロック信号である変換器クロック信号)を使用してデジタルとアナログとの間でデータを変換するように構成される。変換器4は、デジタル-アナログ変換器またはアナログ-デジタル変換器である。
【0027】
PDC6は、同期クロック信号を受信するためにプロセッサ2に結合され、かつ変換器クロック信号を受信するために変換器4に結合され、そしてPDC6は、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジのタイミングの比較を実行し、それによって信号間の位相比較を実行するように構成される。つまり、PDC6は、同期クロック信号と変換クロック信号との間の位相差を検出する。加えて、PDC6は、位相関係を決定するために同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相差を測定するように構成された位相-デジタル変換器を備える。
【0028】
DSP8は、位相関係(例えば、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相差)に関する情報を受信するためにPDC6に結合され、そしてDSP8は、(例えば、位相関係に応じて同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相差を少なくとも部分的に補償するために)プロセッサと変換器との間で交換される信号データ(例えば、異なるサンプル時間に関連付けられた(例えば、元の時間格子または時間軸上にない)時間離散出力値)に遅延を適用するように構成され、同期クロック信号と変換器クロック信号との間に所定の周波数関係(例えば、所定の値においてロックされた所定の周波数関係)が存在する。さらに、DSP8は、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相差を打ち消す、かつ/または少なくとも部分的に補償するように構成される。
【0029】
回路100では、同期クロック信号と変換器クロック信号との間に所定の周波数関係(例えば、所定の値においてロックされた所定の周波数関係)が存在する。所定の周波数関係は、回路の必要とされる結果もしくは実行状態または任意の他の基準に基づいて規定される。
【0030】
上述のように、プロセッサ2は、DSP8に信号データを供給し、PDC6に同期クロック信号を供給する。PDC6は、変換器4から変換器クロック信号を受信し、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相関係を決定する。決定された位相関係に関する情報は、PDC6からDSP8に供給される。次いで、DSP8は、位相関係に応じて、プロセッサ2と変換器4との間で交換される信号データに遅延を適用する。これにより、変換器クロック信号が同期クロック信号に対して位相シフトしているという事実によって生じた出力タイミング差が変換器4において補正される。
【0031】
図2はPDC6の概略タイミング図を示し、図3はPDC6の概略ブロック図を示している。図2および図3に示すように、基準クロック信号REFCLK/REF_CLKおよび測定クロック信号MEAS_CLKがPDC6に供給される。次いで、PDC6は、REF_CLKの立ち上がりエッジ(すなわち、基準クロック信号の立ち上がりエッジ)とMEAS_CLKの立ち上がりエッジ(すなわち、測定クロック信号の立ち上がりエッジ)との間の遅延を伝える。上述のように、PDC6は位相差(すなわち、信号の遅延)を決定する、つまり、PDC6の精度は回路のタイミング精度に直接影響する。このように、PDC6は、正確であることが求められる。
【0032】
図4は、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相関係を示す概略図を示している。DSP8、または図4に示すように、例えば、DSP8に含まれる非整数遅延フィルタリングは、同期クロック信号と同期して供給される1つもしくは複数の入力データ値(例えば、本来同期クロック信号によって決定される時間においてデジタル-アナログ変換されるべきであったが、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の時間シフト/位相シフトに起因して不可能であった、プロセッサ2によって供給される1つもしくは複数の信号サンプル)に基づいて、変換器クロック信号によって決定される時間格子における変換時間に関連付けられ、変換器クロック信号によって決定される時間において変換器によって実際にはデジタル-アナログ変換された、フィルタされたデータ値(信号サンプル)を供給するように構成される、および/またはDSP8もしくは非整数遅延フィルタリングが、変換器クロック信号によって決定される時間格子において規定された1つもしくは複数のデータ値(例えば、本来同期クロック信号によって決定される時間においてアナログ-デジタル変換されるべきであったが、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の時間シフト/位相シフトのために不可能であった、実際には変換器クロック信号によって決定される時間において変換器によってアナログ-デジタル変換されている1つもしくは複数の信号サンプル)に基づいて、同期クロック信号によって決定される時間軸に揃えられたフィルタされたデータ値を供給するように構成される。
【0033】
加えて、PDC6は、標準的なCMOSプロセスに組み込むことが可能であり、したがって、既知の技術におけるPLL手法の場合と比較してより高い密度を可能にする。さらに、すべての変換器クロックに対して1つの中央クロック発生が可能であり、このことによっても、より高い密度が可能になる。別の利点は、使用可能なPDC測定値が、低位相雑音PLLの典型的な設定時間よりもはるかに短い時間で入手可能であることである。
【0034】
図5は、本発明の第2の実施形態による回路200の実装形態を示す概略ブロック図を示している。図5に示すように、回路200は、第1のフリップフロップ回路(FF)10と、信号選択器(例えば、マルチプレクサ)12と、第2のフリップフロップ回路(FF)14と、発振器(VCSO)(電圧制御SAW発振器、SAW=表面弾性波)16とをさらに備える。加えて、DSP8は、非整数遅延フィルタを備え、非整数遅延フィルタは、ファロー構造で実装することができる、または任意の他の適切な実装形態を使用することができる。
【0035】
第1のFF10は、イネーブル信号TEST_EN(例えば、変換器クロック信号とは異なるクロック領域上の試験信号であり、信号データの出力タイミングを揃えるためにプロセッサから供給されるイネーブル信号)を受信するためにプロセッサ2に結合され、FF10は、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相差の値が第1の所定の範囲内にあることを位相関係が示す場合、サンプリングされた信号を取得するために、第1のサンプリング位相においてイネーブル信号をサンプリングする(例えば、位相差が準安定につながるリスクを有する可能性がある所定の値よりも小さい場合には、イネーブル信号をサンプリングする位相が、サンプリング時間インスタンスを同期クロック信号のクロックエッジから離すように反転される)ように構成される。所定の範囲は、例えば、必要とされる試験の精度に基づいて決定される。
【0036】
信号選択器(すなわち、マルチプレクサ12)は、イネーブル信号TEST_ENを受信するためにプロセッサ2に結合され、かつサンプリングされた信号を受信するために第1のFF10に結合され、マルチプレクサ12は、選択された信号EN_SYNCを取得するために、例えば位相関係に応じて、受信された信号のうちの1つを選択するように構成される。マルチプレクサ12は、位相関係に関する情報に基づいて、入力信号のうちの1つを選択する。
【0037】
第2のFF14は、選択された信号EN_SYNCを受信するためにマルチプレクサ12に結合され、第2のFF14は、位相関係が(例えば、第1の所定の範囲とは異なり、典型的には第1の所定の範囲と重複しない)第2の所定の範囲内にある(このことは、例えば、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相差の値が所定の値よりも大きいことを示し得る)場合(この場合、サンプリングされた信号のエッジが変換器クロック信号と同期している、すなわち、信号どうしの出力タイミングが揃っており、したがって、クロック信号の立ち上がりタイミングを揃える必要がない)、第2のサンプリング位相においてイネーブル信号TEST_ENをサンプリングするように構成される。
【0038】
図4では、立ち上がりエッジに基づいて位相差を決定することを示しているが、上述のように、回路200は立ち下がりエッジを選択することが可能である。つまり、回路200は、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相関係に関する情報に応じて、同期クロック信号と時間的に同期しており、デジタルとアナログとの間でのデータの変換をトリガするイネーブル信号が、中間信号を取得するために、変換器クロック信号の第1のエッジタイプのエッジ(例えば、立ち下がりエッジ)においてサンプリングされ、かつ中間信号が、変換器クロック信号と時間的に同期しているイネーブル信号を取得するために、変換器クロック信号の第2のエッジタイプのエッジ(例えば、立ち上がりエッジ)においてサンプリングされる第1のモードと、同期クロック信号と時間的に同期しており、デジタルとアナログとの間でのデータの変換をトリガするイネーブル信号が、変換器クロックと時間的に同期しているイネーブル信号を取得するために、変換器クロック信号の第2のエッジタイプのエッジにおいてサンプリングされる第2のモードとの間で選択するように構成される。
【0039】
VCSO16は変換器4に結合される。VCSO16の出力信号は変換器クロック信号として使用される。回路200は、同期クロック信号の周波数と変換器クロック信号の周波数とが所定の関係にあるように、共通基準信号から同期クロック信号および変換器クロック信号を導出するように構成される。加えて、回路200は、VCSO16の出力信号から変換器クロック信号を導出するように構成されてもよい。
【0040】
加えて、図5に示すように、先入れ先出し回路FIFOが、信号データを受信するためにDSP8に結合され、かつFF14の出力信号をプログラマブルな目標クロック信号サイクル数だけ遅延させるために使用される追加の遅延回路(「遅延N」)を介して第2のFF14に結合される。クロックサイクル数は、FIFOイネーブル信号READ_ENが、十分なデータがFIFO内で利用可能であり、被試験デバイスがDACを介してデータを受信するようにサポートされる正しい時点で正確にアクティブになり、FIFOがサンプリングされたイネーブル信号に関連付けられた信号データを変換器4に供給するように選択される。
【0041】
さらに、図5に示すように、回路200は、変換器クロック信号と時間的に同期しているイネーブル信号を取得するために、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相関係に関する情報に基づいて、同期クロック信号と時間的に同期しており、デジタルとアナログとの間でのデータの変換をトリガするイネーブル信号が変換器クロック信号の立ち上がりエッジにおいてサンプリングされるか立ち下がりエッジにおいてサンプリングされるかを決定するように構成される。
【0042】
図6は、本発明の第3の実施形態による、被試験デバイスを試験するための試験装置を示す概略ブロック図を示している。図6では、試験装置は第2の実施形態による回路200を備えるが、試験装置は、第1の実施形態による回路100を備えてもよい。図6に示すように、PDC6は、DSP8および選択器12に位相差に関する情報を供給するための処理回路をさらに備える。詳細な説明は、本発明の回路を繰り返し説明することを避けるために省略する。
【0043】
図6に示すように、試験装置では、同期クロック信号と同期して、波形の始まりは信号(TEST_EN)(例えば、試験フロー(例えば、被試験デバイスに信号を供給し、被試験デバイスから受信した信号を評価する、複数のチャネルモジュールを使用する試験フロー)を開始する)によって決定される。したがって、データインターフェースにおけるタイミング要件は比較的緩和される。
【0044】
加えて、試験装置(すなわち、回路200)は、(例えば、プロセッサ2によって供給された)入力信号値に基づいて変換器4を使用して取得されたアナログ信号を被試験デバイスに供給する(例えば、それによって被試験デバイスを刺激する)ように構成される、および/または装置は、遅延を使用して変換器4から取得されたデジタル化された被試験デバイス信号に基づいてDSP8によって供給されるデジタルデータを取得し、(例えば、被試験デバイスの特性を明らかにするために)デジタルデータを評価するように構成される。
【0045】
図7は、本発明の概念の第3の実施形態による、デジタルとアナログとの間で信号を変換するための方法のステップを示すフローチャートを示している。
【0046】
まず、同期クロック信号および変換器クロック信号を受信する(S10)。つまり、位相比較器(すなわち、例えば、図1または図2に示すPDC6)は、プロセッサ(すなわち、例えば、図1または図2のプロセッサ2)からの同期クロック信号と、変換器(すなわち、例えば、図1または図2の変換器4)からの変換器クロック信号とを受信する。同期クロックは、プロセッサ2によって供給されても任意の他のソースによって供給されてもよい。
【0047】
次に、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相関係を決定する(S12)。次いで、位相関係に基づいて信号データに遅延を適用する(S14)。つまり、ステップS12において決定された同期クロック信号と変換器クロック信号との間の位相関係に基づいて、プロセッサと変換器との間で交換される信号データに遅延を適用する。加えて、同期クロック信号と変換器クロック信号との間には所定の周波数関係が存在する。
【0048】
上記のステップに加えて、サンプリングエッジモードを選択することが可能である。つまり、本方法は、サンプリングエッジモードを選択するステップ(すなわち、同期クロック信号と変換器クロック信号との間の決定された位相関係に応じて第1のモードと第2のモードとの間で選択するステップ)をさらに含む。第1のモードでは、同期クロックと時間的に同期しているイネーブル信号が、中間信号を取得するために、変換器クロック信号の第1のエッジタイプのエッジ(例えば、立ち下がりエッジ)においてサンプリングされ、かつ中間信号が、変換器クロックと時間的に同期しているイネーブル信号を取得するために、変換器クロックの第2のエッジタイプのエッジ(例えば、立ち上がりエッジ)においてサンプリングされる。第2のモードでは、同期クロックと時間的に同期しているイネーブル信号が、変換器クロックと時間的に同期しているイネーブル信号を取得するために、第2のエッジタイプのエッジ(例えば、立ち上がりエッジ)においてサンプリングされる。次いで、サンプリングされたイネーブル信号に関連付けられた信号データは、変換器(例えば、図1または図2の変換器4)に供給される。
【0049】
本願の第4の態様によれば、コンピュータプログラムが提供され、コンピュータプログラムは、コンピュータまたはマイクロコントローラ上で実行されると上述の方法を実施するように構成され、その結果、上述の方法はコンピュータプログラムによって実施される。
【0050】
いくつかの態様を装置に関連して説明してきたが、これらの態様は対応する方法の説明も表すことは明らかであり、ブロックまたはデバイスは方法ステップまたは方法ステップの特徴に対応する。同様に、方法ステップに関連して説明される態様もまた、対応する装置の対応するブロックまたは項目または特徴の説明を表す。方法ステップのいくつかまたはすべてが、例えばマイクロプロセッサ、プログラマブルコンピュータ、または電子回路などのハードウェア装置によって(またはこれを使用して)実行されてもよい。いくつかの実施形態では、最も重要な方法ステップのうちの1つまたは複数がそのような装置によって実行されてもよい。
【0051】
本発明のデータストリームは、デジタル記憶媒体に記憶することもできるし、無線伝送媒体またはインターネットなどの有線伝送媒体など、伝送媒体上で伝送することもできる。
【0052】
特定の実装要件に応じて、本願の実施形態は、ハードウェアでもソフトウェアでも実装することができる。実装は、電子的に読み取り可能な制御信号が記憶されたデジタル記憶媒体(例えば、フロッピーディスク(登録商標)、DVD、Blu-Ray(登録商標)、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、またはフラッシュメモリ)を使用して実行することができ、これらは対応する方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと協働する(または協働することができる)。したがって、デジタル記憶媒体はコンピュータ可読であってもよい。
【0053】
本発明によるいくつかの実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つが実行されるように、プログラム可能なコンピュータシステムと協働することができる電子的に読み取り可能な制御信号を有するデータキャリアを含む。
【0054】
一般に、本願の実施形態は、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品として実装することができ、プログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されると方法のうちの1つを実行するように動作可能である。プログラムコードは、例えば、機械可読キャリアに記憶されてもよい。
【0055】
他の実施形態は、機械可読キャリアに記憶され、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを含む。
【0056】
したがって、換言すれば、本発明の方法の一実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されると本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0057】
したがって、本発明の方法のさらなる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを記録して含むデータキャリア(またはデジタル記憶媒体、またはコンピュータ可読媒体)である。データキャリア、デジタル記憶媒体、または記録された媒体は、典型的には、有形および/または非一時的である。
【0058】
したがって、本発明の方法のさらなる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号系列である。データストリームまたは信号系列は、例えば、データ通信接続を介して(例えば、インターネットを介して)転送されるように構成されてもよい。
【0059】
さらなる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するように構成または適合された処理手段(例えば、コンピュータまたはプログラマブルロジックデバイス)を含む。
【0060】
さらなる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムがインストールされたコンピュータを含む。
【0061】
本発明によるさらなる実施形態は、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを受信機に転送する(例えば、電子的または光学的に転送する)ように構成された装置またはシステムを含む。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイルデバイス、またはメモリデバイスなどであってもよい。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信機に転送するためのファイルサーバを含んでもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ)を使用して、本明細書に記載の方法の機能のいくつかまたはすべてを実行してもよい。いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイは、本明細書に記載の方法のうちの1つを実行するためにマイクロプロセッサと協働してもよい。一般に、方法は、任意のハードウェア装置によって実行されることが好ましい。
【0063】
本明細書に記載の装置は、ハードウェア装置を使用して、またはコンピュータを使用して、またはハードウェア装置とコンピュータとの組み合わせを使用して実装されてもよい。
【0064】
本明細書に記載の装置、または本明細書に記載の装置の任意の構成要素は、少なくとも部分的にハードウェアおよび/またはソフトウェアで実装されてもよい。
【0065】
上述の実施形態は、本発明の原理の例示に過ぎない。本明細書に記載の構成および詳細な説明の修正および変形は、当業者には明らかであることを理解されたい。したがって、本明細書において実施形態の記載および説明として提示された具体的な詳細によってではなく、以下に示す特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図されている。
【符号の説明】
【0066】
2 プロセッサ
4 変換器
8 DSP
10 FF
12 マルチプレクサ,選択器
14 FF
16 VCSO
100 回路
200 回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9