(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】軟質熱伝導部材
(51)【国際特許分類】
C09K 5/14 20060101AFI20240522BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20240522BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240522BHJP
【FI】
C09K5/14 101E
C08L83/04
C08K3/013
(21)【出願番号】P 2023503762
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 JP2022007646
(87)【国際公開番号】W WO2022186046
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-06-19
(31)【優先権主張番号】P 2021032244
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217102
【氏名又は名称】冨永 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100189289
【氏名又は名称】北尾 拓洋
(72)【発明者】
【氏名】綱嶋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】梅林 広
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-532396(JP,A)
【文献】特開2013-053255(JP,A)
【文献】特開2014-122307(JP,A)
【文献】特開2007-039621(JP,A)
【文献】特開平04-117482(JP,A)
【文献】特開2005-307130(JP,A)
【文献】特開2002-294269(JP,A)
【文献】国際公開第2015/092889(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K5/14
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリースと、熱伝導性粒子と、を含む軟質熱伝導部材
(但し、スチレンポリオレフィンコポリマーを含むものを除く)であって、
前記グリースが、シリコーングリースであり、前記グリース100質量部に対して、前記熱伝導性粒子を550~800質量部含み、
前記熱伝導性粒子は、平均粒径が30~55μmの第一熱伝導性粒子と、平均粒径が3~15μmの第二熱伝導性粒子とからなり、前記第一熱伝導性粒子と前記第二熱伝導性粒子の配合比が、質量基準で7:3~5:5であり、
タイプОО硬度が、70以下であり、
直径13mmの円形範囲を単位面積とした温度25℃における粘着力が、10N以下であり、
熱伝導率が、0.4W/m・K以上である、軟質熱伝導部材。
【請求項2】
前記第一熱伝導性粒子の平均粒径が、35~50μmであり、
前記第二熱伝導性粒子の平均粒径が、4.5~9μmである、請求項1に記載の軟質熱伝導部材。
【請求項3】
前記熱伝導性粒子が、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、及び金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも一種の材料からなる粒子である、請求項1
又は2に記載の軟質熱伝導部材。
【請求項4】
前記熱伝導性粒子が、酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化亜鉛粒子、窒化ホウ素粒子、窒化アルミニウム粒子、炭化ケイ素粒子、又は水酸化アルミニウム粒子のいずれかである、請求項
3に記載の軟質熱伝導部材。
【請求項5】
前記グリースのちょう度が、150~300である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の軟質熱伝導部材。
【請求項6】
粘土状である、請求項1~
5のいずれか一項に記載の軟質熱伝導部材。
【請求項7】
タイプОО硬度が、0.5~60である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の軟質熱伝導部材。
【請求項8】
熱伝導率が、2~4W/m・Kである、請求項1~
7のいずれか一項に記載の軟質熱伝導部材。
【請求項9】
直径13mmの円形範囲を単位面積とした温度25℃における粘着力が、0.1~10Nである、請求項1~
8のいずれか一項に記載の軟質熱伝導部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質熱伝導部材に関し、更に詳しくは、低粘着な粘土状の熱伝導部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品の小型化・高性能化が進んだことにより、電子部品や基板の発熱密度が増加する傾向にある。このため、電子部品や基板の放熱が大きな課題となっている。
【0003】
一般に、電子部品や基板を含む電子機器で発生した熱は、ヒートシンク等に伝達して冷却しているが、発熱部と伝熱部品の接触条件を改善し効率よく伝熱できるよう、高熱伝導率のグリースやゲルシート、ゴムシートが放熱部品として使用されることが多い。また、これらの放熱部品は、電子部品や電子基板上に設置できるように、電気絶縁性を有する場合が多い。例えば、従来、放熱部品として、シリコーングリース等の各種グリースやシリコーンゲル等からなるゲルシートが提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-42096号公報
【文献】特開2019-169692号公報
【文献】特開2009-241440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の放熱部品としてのグリースやゲルシートは、取り扱い時のハンドリング性が悪い、及び再利用できない等の種々の問題があった。このような問題の要因は、例えば、放熱部品としてのグリースの形状保持性の低さやゲルシートの粘着性の高さと考えられる。
【0006】
一方、放熱部品としてのゴムシートは、使用箇所との密着性が低く、伝熱の効率が落ちてしまうという問題があった。このような問題の要因は、例えば、電子部品に高い負荷をかけると、電子部品の破損のおそれがあるためと考えられる。このため、ゴムシートを低い負荷で使用箇所に密着させるには、ゴムシートを構成するゴムを低硬度にすればよい。
【0007】
しかしながら、ゴムを低硬度にすればするほど、ゴムシートの形状保持性は低く、粘着性は高くなってしまう。そのため、放熱部品としてのゴムシートを、低反発で且つ密着性を高めようとすると、上述したグリースやゲルシートが抱えるハンドリング性の悪さ等の問題が生じてしまう。
【0008】
つまり、放熱部品として、ハンドリング性を改善するための良好な形状保持性および低粘着性と、良好な密着性を実現するための低硬度は、どちらも放熱部品において需要な要素であるが、二律背反(即ち、トレードオフ)の関係にあり、両者を両立させることは極めて難しいことであった。
【0009】
ここで、特許文献3には、分子マトリックスと、熱伝導性充填材とを含有する熱伝導性高分子組成物から成形される熱伝導性高分子層と、この熱伝導性高分子層の一対の表面の内の少なくとも一方の表面上に熱可塑性樹脂粉末が付着した後に該粉末が溶融することにより形成される樹脂層と、を備えた熱伝導性シートが開示されている。そして、特許文献3に記載された技術によれば、ハンドリング性と密着性の両立を図ることができるとされている。しかしながら、特許文献3に記載された技術は、放熱部品がシート形状に限定されているため、放熱部品の使用箇所に凹凸形状等の複雑な形状を含む場合に、使用箇所における放熱部品の形状追随性に限界があり、伝熱の効率が落ちてしまうという問題があった。
【0010】
上記の課題に鑑み、本発明によれば、低粘着な粘土状の軟質熱伝導部材が提供される。即ち、ハンドリング性を改善するための良好な形状保持性および低粘着性と、良好な密着性を実現するための低硬度の両立が実現された軟質熱伝導部材が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下の軟質熱伝導部材を提供する。
【0012】
[1] グリースと、熱伝導性粒子と、を含む軟質熱伝導部材(但し、スチレンポリオレフィンコポリマーを含むものを除く)であって、
前記グリースが、シリコーングリースであり、前記グリース100質量部に対して、前記熱伝導性粒子を550~800質量部含み、
前記熱伝導性粒子は、平均粒径が30~55μmの第一熱伝導性粒子と、平均粒径が3~15μmの第二熱伝導性粒子とからなり、前記第一熱伝導性粒子と前記第二熱伝導性粒子の配合比が、質量基準で7:3~5:5であり、
タイプОО硬度が、70以下であり、
直径13mmの円形範囲を単位面積とした温度25℃における粘着力が、10N以下であり、
熱伝導率が、0.4W/m・K以上である、軟質熱伝導部材。
【0013】
[2] 前記第一熱伝導性粒子の平均粒径が、35~50μmであり、
前記第二熱伝導性粒子の平均粒径が、4.5~9μmである、前記[1]に記載の軟質熱伝導部材。
【0015】
[3] 前記熱伝導性粒子が、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、及び金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも一種の材料からなる粒子である、前記[1]又は[2]に記載の軟質熱伝導部材。
【0016】
[4] 前記熱伝導性粒子が、酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化亜鉛粒子、窒化ホウ素粒子、窒化アルミニウム粒子、炭化ケイ素粒子、又は水酸化アルミニウム粒子のいずれかである、前記[3]に記載の軟質熱伝導部材。
【0017】
[5] 前記グリースのちょう度が、150~300である、前記[1]~[4]のいずれかに記載の軟質熱伝導部材。
【0018】
[6] 粘土状である、前記[1]~[5]のいずれかに記載の軟質熱伝導部材。
【0019】
[7] タイプОО硬度が、0.5~60である、前記[1]~[6]のいずれかに記載の軟質熱伝導部材。
【0020】
[8] 熱伝導率が、2~4W/m・Kである、前記[1]~[7]のいずれかに記載の軟質熱伝導部材。
【0021】
[9] 直径13mmの円形範囲を単位面積とした温度25℃における粘着力が、0.1~10Nである、前記[1]~[8]のいずれかに記載の軟質熱伝導部材。
【発明の効果】
【0022】
本発明の軟質熱伝導部材は、ハンドリング性を改善するための良好な形状保持性および低粘着性と、良好な密着性を実現するための低硬度の両立が実現されるという効果を奏する。従って、このような軟質熱伝導部材によれば、低硬度でありながら、ハンドリング性を高めることができる。それにより、低反発で使用箇所との密着性を高めることができる。また、放熱部品を使用箇所に合わせた任意の凹凸形状に成形が可能となる。使用箇所の凹凸側面とも接触させ、従来のシート形状の熱伝導部材よりも接触面積を増やすことができ、熱伝導性能が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】粘着力の測定を行うための粘着力測定系を示す模式図である。
【
図2】軟質熱伝導部材の他の実施形態である低反力熱伝導部材を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図2に示す低反力熱伝導部材の断面図である。
【
図4】
図2に示す低反力熱伝導部材の使用方法を示す断面図である。
【
図5】
図2に示す低反力熱伝導部材の使用方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0025】
本実施形態の軟質熱伝導部材は、グリースと、熱伝導性粒子と、を含む軟質熱伝導部材である。軟質熱伝導部材は、グリース100質量部に対して、熱伝導性粒子を550~800質量部含む。そして、熱伝導性粒子は、平均粒径が30~55μmの第一熱伝導性粒子と、平均粒径が3~15μmの第二熱伝導性粒子とからなり、第一熱伝性導粒子と第二熱伝導性粒子の配合比が、質量基準で7:3~5:5である。
【0026】
また、本実施形態の軟質熱伝導部材は、タイプОО硬度が、70以下であり、直径13mmの円形範囲を単位面積とした温度25℃における粘着力が、10N以下であり、更に、熱伝導率が、0.4W/m・K以上である。
【0027】
本実施形態の軟質熱伝導部材は、高熱伝導率のフィラーとして粒径の異なる熱伝導性粒子(第一熱伝導性粒子及び第二熱伝導性粒子)を含んだグリースであり、低粘着な粘土状の熱伝導部材である。
【0028】
本実施形態の軟質熱伝導部材は、ハンドリング性を改善するための良好な形状保持性および低粘着性と、良好な密着性を実現するための低硬度の両立が実現されるという効果を奏する。従って、本実施形態の軟質熱伝導部材によれば、低硬度でありながら、ハンドリング性を高めることができる。それにより、低反発で使用箇所との密着性を高めることができる。また、放熱部品を使用箇所に合わせた任意の凹凸形状に成形が可能となる。使用箇所の凹凸側面とも接触させ、従来のシート形状の熱伝導部材よりも接触面積を増やすことができ、熱伝導性能が高くなる。
【0029】
グリースは、原料基油に増ちょう剤を分散させた半固体又は固体化したものであれば特に制限はない。即ち、原料基油や増ちょう剤の種類については特に制限はなく、タイプОО硬度や粘着力が上述した数値範囲を満足するように適宜調製されたものを用いることができる。例えば、原料基油は、鉱物油、合成油、その他の動植物油、及びこれらの混合油等を挙げることができる。増ちょう剤の種類についても特に制限はなく、例えば、リチウム石けん又はカルシウム石けん等の金属石けん系増ちょう剤や、シリカ、ウレア、PTFE又はベントン等の非石けん系増ちょう剤等の従来公知の増ちょう剤が用いられる。
【0030】
本実施形態の軟質熱伝導部材において、グリースは、原料基油がシリコーン油のグリースを含むことが好ましく、当該グリースは、シリコーングリースであることがより好ましい。例えば、シリコーングリースとしては、東レダウコーニング社製の「HVGグリース(商品名)」を挙げることができる。
【0031】
グリースのちょう度は、不混和で100~400であることが好ましく、150~300であることが更に好ましい。グリースのちょう度の測定は、JIS K 2200-2013に従い、ちょう度計を用いて測定することができる。ちょう度計としては、例えば、離合社製の針入度試験器「RPM-201」を用いることができる。
【0032】
軟質熱伝導部材は、これまでに説明したグリースに加えて、熱伝導性フィラーとしての熱伝導性粒子を含む。このような熱伝導性粒子を適量含むことにより、低硬度でありながら、形状保持性を高めることができる。また、軟質熱伝導部材の熱伝導率についても適切な値とすることができる。なお、特に限定されることはないが、熱伝導性粒子は、グリース100質量部に対して、550~800質量部であることが好ましく、600~700質量部であることが更に好ましい。熱伝導性粒子の配合量が少なすぎると、熱伝導率や形状保持性が低下し、例えば、軟質熱伝導部材の粘着性を抑制する効果が発現し難くなることがある。一方で、熱伝導性粒子の配合量が多くなるほど、軟質熱伝導部材の熱伝導率や形状保持性が高くなるが、熱伝導性粒子の配合量が多すぎると、軟質熱伝導部材の硬度(例えば、タイプОО硬度)が高くなり、グリースと熱伝導性粒子との一体性が低下し、軟質熱伝導部材の形状保持が困難になることがある。
【0033】
熱伝導性粒子は、平均粒径が30~55μmの第一熱伝導性粒子と、平均粒径が3~15μmの第二熱伝導性粒子とからなる。即ち、軟質熱伝導部材には、熱伝導性フィラーとしての熱伝導性粒子として、粒径の異なる2種類の熱伝導性粒子粉末を含んでいる。このように構成することによって、軟質熱伝導部材内における熱伝導性粒子の充填性が高くなり、低硬度でありながら、形状保持性を高めるという効果をより顕著なものとなる。特に、球状で上述したような粒径の異なる2種類の熱伝導性粒子粉末を含むことにより、熱伝導性粒子の最密充填が実現される。ここで、熱伝導性粒子の粒径は、レーザー回折式粒度分布測定法(装置:マイクロトラック)によって測定された値である。
【0034】
第一熱伝性導粒子と第二熱伝導性粒子の配合比は、質量基準で7:3~5:5である。上記配合比率の範囲を外れると、熱伝導性粒子の充填性が低くなり、軟質熱伝導部材の硬度が高くなり、グリースと熱伝導性粒子との一体性が低下し、軟質熱伝導部材の形状保持が困難になる。
【0035】
熱伝導性粒子は、導電性の粒子(例えば、導電性フィラー)であってもよいし、絶縁性の粒子(例えば、絶縁性フィラー)であってもよい。導電性の粒子の材料としては、例えば、金属、炭素を挙げることができ、一種単独の材料からなる粒子であってもよいし、二種以上の材料を組み合わせた粒子であってもよい。導電性の粒子の具体例としては、アルミニウム粒子、銅粒子、銀粒子、炭素粒子、炭素繊維、ダイヤモンド、黒鉛などを挙げることができる。なお、軟質熱伝導部材に導電性の熱伝導性粒子(熱伝導性フィラー)が含まれる場合には、軟質熱伝導部材が熱伝導性フィラーに由来する導電性を示すことがある。このような軟質熱伝導部材を絶縁性が必要な場所で使用する場合には、例えば、熱伝導部材にコーティングを行って絶縁処理を施したり、熱伝導部材に対して絶縁性の部材を設けたりすることによって、軟質熱伝導部材との絶縁性を確保することができる。
【0036】
熱伝導性粒子は、絶縁性の粒子(例えば、絶縁性フィラー)であることが好ましい。例えば、熱伝導性粒子は、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、及び金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも一種の材料からなる粒子であることが好ましい。更に、熱伝導性粒子が、酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化亜鉛粒子、窒化ホウ素粒子、窒化アルミニウム粒子、炭化ケイ素粒子、又は水酸化アルミニウム粒子のいずれかであることが特に好ましい。第一熱伝性導粒子と第二熱伝導性粒子とは、同じ材料からなる粒子であってもよいし、異なる材料からなる粒子であってもよい。但し、第一熱伝性導粒子と第二熱伝導性粒子とは、同じ材料からなる粒子であることが好ましい。
【0037】
第一熱伝導性粒子の平均粒径は、30~55μmであることが好ましく、35~50μmであることが更に好ましく、45μmであることが特に好ましい。また、第二熱伝導性粒子の平均粒径は、3~15μmであることが好ましく、4.5~9μmであることが更に好ましく、5μmであることが特に好ましい。ここで、第一熱伝導性粒子及び第二熱伝導性粒子の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定法(装置:マイクロトラック)によって測定された体積を基準とした累積平均値である。
【0038】
軟質熱伝導部材のタイプОО硬度は、70以下であるが、0.5~60であることが好ましく、0.5~50であることが特に好ましい。タイプОО硬度の測定は、ASTM-D 2240-2015に従い、硬度計を用いて測定することができる。硬度計としては、例えば、テクロック社製のデュロメータ「GSD-754K(商品名)」を用いることができる。
【0039】
軟質熱伝導部材は、直径13mmの円形範囲を単位面積とした温度25℃における粘着力が、10N以下であるが、0.1~9Nであることが好ましく、2~9Nであることが特に好ましい。粘着力の測定は、
図1に示すような材料試験機を用いた粘着力測定系によって測定することができる。
図1は、粘着力の測定を行うための粘着力測定系を示す模式図である。
【0040】
図1に示すように、軟質熱伝導部材の粘着力の測定は、測定子11及び試料台座12を有する材料試験機(図示せず)を用いて行うことができる。材料試験機としては、例えば、島津製作所社製の小型卓上試験機「EZ-SX(商品名)」を用いることができる。測定子11は、紙面のX方向(鉛直方向)を駆動方向とする円柱形状の丸棒部材である。試料台座12は、測定試料100としての軟質熱伝導部材を配置するための台座であり、紙面のX方向を軸方向とする円柱形状の丸棒部材である。試料台座12は、粘着力測定系において固定されている。測定子11及び試料台座12は、SUS304製で、互いに対向するそれぞれの端面11a,12aが、直径13mmの円形状となっている。
【0041】
測定試料100としての軟質熱伝導部材は、直径13mm、厚さ1mmの円板形状とする。このような測定試料100を、試料台座12の端面12aに載置し、粘着力の測定を行う。
【0042】
粘着力の測定は、試料台座12上に載置した測定試料100に規定の圧縮荷重まで測定子11を押し込み、測定子11を引張上げたときの最大荷重[N]を測定し、その最大荷重[N]を、測定試料100としての軟質熱伝導部材の粘着力[N]とする。粘着力を測定する際の測定条件としては、温度25℃、測定子11を押し込む際の圧縮速度を1mm/min、圧縮荷重を5Nとし、測定子11を引張上げる際の引張速度を1000mm/minとする。本実施形態の軟質熱伝導部材は、以上のようにして測定した粘着力が、10N以下である。
【0043】
軟質熱伝導部材は、熱伝導率が、0.4W/m・K以上であるが、2~4W/m・Kであることが好ましく、2~3.5W/m・Kであることが特に好ましい。軟質熱伝導部材の熱伝導率は、熱伝導率測定装置を用いて測定することができる。熱伝導率測定装置としては、例えば、C-Therm Technologies社製の「TCi-3-A(商品名)」を挙げることができる。
【0044】
軟質熱伝導部材は、粘土状であることが好ましい。ここで、本明細書において、「粘土状」とは、一塊になり形状を保つことができる状態のことをいい、液状・グリース状のような形状保持が困難なもの、粉状のような一塊にならないもの、形状が一定に固定された固形状のものを含まない。
【0045】
軟質熱伝導部材は、更に、着色剤、基油拡散防止剤、増粘剤等を含んでいてもよい。
【0046】
軟質熱伝導部材の製造方法については、特に限定されることはないが、例えば、以下のような方法を挙げることができる。
【0047】
まず、グリースを用意し、用意したグリースに、平均粒径が異なる2種の熱伝導性粒子を添加する。グリース及び熱伝導性粒子については、これまでに好適例として説明した各種材質からなるものを適宜用いることができる。2種の熱伝導性粒子は、軟質熱伝導部材において、平均粒径が30~55μmの第一熱伝導性粒子と、平均粒径が3~15μmの第二熱伝導性粒子との配合比が、質量基準で7:3~5:5となるように、それぞれの配合量を適宜調節することが好ましい。
【0048】
次に、熱伝導性粒子を添加したグリースを、グリースと熱伝導性粒子とが均等に混ざり合うように混合することによって、本実施形態の軟質熱伝導部材を製造することができる。混合方法については特に制限はないが、例えば、自転公転撹拌機を用いた混合撹拌などを挙げることができる。
【0049】
次に、軟質熱伝導部材の他の実施形態である低反力熱伝導部材について説明する。本実施形態の低反力熱伝導部材は、
図2及び
図3に示すような低反力熱伝導部材30である。
図2は、軟質熱伝導部材の他の実施形態である低反力熱伝導部材を模式的に示す斜視図である。
図3は、
図2に示す低反力熱伝導部材の断面図である。
【0050】
図2及び
図3に示すように、低反力熱伝導部材30は、軟質熱伝導部材40と、熱伝導性弾性体31とを備えたものである。軟質熱伝導部材40は、これまでに説明した、グリースと熱伝導性粒子とを含む軟質熱伝導部材から構成されている。本実施形態の低反力熱伝導部材30において、熱伝導性弾性体31は、高熱伝導率の弾性体を、放熱対象の形状に応じて立体的に追随した形状に成形したものを挙げることができる。本実施形態の低反力熱伝導部材30において、熱伝導性弾性体31が外層となり、軟質熱伝導部材40が内層となる。
【0051】
熱伝導性弾性体31は、低粘着性の熱伝導部材によって構成することができる。熱伝導性弾性体31を構成する材料は、特に限定されることはないが、例えば、シリコーンゴムやエラストマーに、熱伝導率の高い熱伝導性フィラーを添加、混合して調製したものを挙げることができる。熱伝導率は、0.4W/m・K以上であることが好ましく、1.0W/m・K以上であることが更に好ましい。また、この材料の硬さは硬度JIS-A90以下が好ましく、A60以下が更に好ましい。
【0052】
熱伝導性弾性体31を構成する材料に含まれる熱伝導性フィラーの例として、絶縁性では金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物を挙げることができ、これらの具体例として、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化亜鉛、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、水酸化アルミニウムなどを挙げることができる。また、導電性では金属、炭素を挙げることができ、これらの具体例として、アルミニウム、銅、銀、炭素繊維、ダイヤモンド、黒鉛などを挙げることができる。ただし、熱伝導性フィラーはこれらに限定されることはない。また、一種単独でも二種以上の組み合わせでもよい。なお、熱伝導性弾性体31に導電性の熱伝導性フィラーが含まれる場合には、熱伝導性弾性体31が熱伝導性フィラーに由来する導電性を示すことがある。このような熱伝導性弾性体31を絶縁性が必要な場所で使用する場合には、例えば、熱伝導部材にコーティングを行って絶縁処理を施したり、熱伝導部材に対して絶縁性の部材を設けたりすることによって、熱伝導性弾性体31との絶縁性を確保することができる。
【0053】
熱伝導性弾性体31は、放熱対象を覆うような形状で、且つ、放熱対象周辺及びヒートシンクが確実に接触する形状で、且つ、放熱対象と熱伝導性弾性体31の間に任意のギャップを設ける形状に成形されたものであることが好ましい。そして、熱伝導性弾性体31の上記ギャップ内に軟質熱伝導部材40が設置される。低反力熱伝導部材30を使用する際には、ギャップ内の軟質熱伝導部材40を放熱対象に被せるようにして設置することで、軟質熱伝導部材40が放熱対象に圧縮されて変形し、ギャップ内が軟質熱伝導部材40で充填される。ここで、熱伝導性弾性体31の形状については特に制限はないが、例えば、一つの面(例えば、天面)が開口した中空の直方体からなる箱状体などを挙げることができる。このような箱状体の中空部分が、軟質熱伝導部材40を設置するためのギャップとなる。箱状体の熱伝導性弾性体31の外寸や、ギャップとなる中空部分の寸法については特に制限はなく、放熱対象などの大きさにより適宜設定することができる。
【0054】
熱伝導性弾性体31は、例えば、以下のような方法によって製造することができる。シリコーンゴム材にアルミナフィラーを添加し、混練して、熱伝導性ゴム材を得る。このとき、熱伝導性ゴム材の熱伝導率は、0.4W/m・K以上であることが好ましく、1.0W/m・K以上であることが更に好ましい。ゴム材に添加するフィラーは、アルミナフィラーに限定されることはない。ゴム材に添加するフィラーは、熱伝導率が高いものであることが好ましく、これまでに説明した熱伝導性フィラーを好適に用いることができる。また、ゴム材の種類についても特性に制限はないが、例えば、アルミナフィラーを多量に配合する場合などは、上述したようなシリコーンゴムが好ましい。また、軟質熱伝導部材40を封入するには、ゴム弾性を有することが好ましく、引張強さ2.0MPa以上、伸び200%以上、圧縮永久歪20%以下になるように配合して熱伝導性ゴム材を得ることが好ましい。
【0055】
そして、上記のようにして得られた熱伝導性ゴム材を用いて、金型による圧縮成形にて所望の形状の熱伝導性弾性体31を作製する。成形方法については、上述した圧縮成形に限定されることはない。熱伝導性弾性体31の形状は、放熱対象及び軟質熱伝導部材40が充填されるギャップを設けた形状であればよく、例えば、上述したような一つの面が開口した中空の直方体からなる箱状体などを挙げることができる。具体例として、例えば、15mm×15mm、高さ3mmの放熱対象に対して、熱伝導性弾性体31は外寸25mm×25mm、高さ5mm、ギャップの寸法は20mm×20mm、深さ4mmとすることができる。
【0056】
軟質熱伝導部材40の設置量(別言すれば、ギャップ内の充填量)は、圧縮変形後にギャップの容積の70%以上を充填するように設定することで、効率よく熱伝達できる。低反力熱伝導部材30を使用する際には、例えば、以下のような方法で使用することができる。まず、熱伝導性弾性体31のギャップ内に、軟質熱伝導部材40を充填する。充填量は、ギャップと放熱対象の発熱体の体積を差し引いた分を上回らないように設定することが好ましい。そして、
図4に示すように、ギャップ内に軟質熱伝導部材40が充填された熱伝導性弾性体31を、基材51上に載置された放熱対象50に被せて設置し、
図5に示すように、ヒートシンク52で熱伝導性弾性体31を挟み込むことで、低反力且つ効率的な熱伝導性を示すことができる。ここで、
図4及び
図5は、
図2に示す低反力熱伝導部材の使用方法を示す断面図である。例えば、基材51は、回路基板等を挙げることができ、放熱対象50は、回路基板上に載置されたICチップ等の発熱体を挙げることができる。
【0057】
以上のように構成された低反力熱伝導部材30は、軟質熱伝導部材40及び熱伝導性弾性体31が連続して構成されており、また放熱対象の周辺が熱伝導部材で充填されている状態であるため、高い熱伝導性(放熱性)が期待できる。また、軟質熱伝導部材40が低硬度ため低反力であり、放熱対象への負荷が小さい。また、熱伝導性弾性体31で軟質熱伝導部材40を包括した状態で、軟質熱伝導部材40の装着時の変形やポンプアウトによる流出を抑制し、放熱性(熱伝導性)を維持することが可能となる。
【0058】
更に、軟質熱伝導部材40及び熱伝導性弾性体31は低粘着性なため、低反力熱伝導部材30は取扱性が良好であり、また、部品のリワーク(再利用)が可能である。また、軟質熱伝導部材40はオイル滲みが小さく、熱伝導性弾性体31はオイル滲みがほぼないため、オイルの放熱対象への影響を軽減し、且つ長期耐久性の向上も可能となる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0060】
実施例、比較例に用いた原料は以下のとおりである。
<グリース>
グリースA:東レダウコーニング社製のシリコーングリース「H.V.G(商品名)」、ちょう度210
【0061】
<熱伝導性粒子>
粒子A:デンカ社製のアルミナ粒子「DAM-45(商品名)」、平均粒径45μm
粒子B:デンカ社製のアルミナ粒子「DAM-05(商品名)」、平均粒径5μm
【0062】
【0063】
(実施例1)
グリースAと、熱伝導性粒子として粒子A及び粒子Bの2種類とを用いて軟質熱伝導部材を作製した。具体的には、グリースA100質量部に対して、第一熱伝導性粒子として粒子Aを385質量部、第二熱伝導性粒子として粒子Bを165質量部添加し、自転公転撹拌機を用いて混合することで、実施例1の軟質熱伝導部材を作製した。表1に、実施例1の軟質熱伝導部材における配合処方を示す。以下、本実施例においては、軟質熱伝導部材を単に熱伝導部材ということがある。
【0064】
(実施例2)
グリースAを用い、熱伝導性粒子として粒子A及び粒子Bの2種類を用い、表1に示すような配合処方としたこと以外は、実施例1と同様の方法で熱伝導部材を作製した。
【0065】
(実施例3)
グリースAを用い、熱伝導性粒子として粒子A及び粒子Bの2種類を用い、表1に示すような配合処方としたこと以外は、実施例1と同様の方法で熱伝導部材を作製した。
【0066】
(実施例4)
グリースAを用い、熱伝導性粒子として粒子A及び粒子Bの2種類を用い、表1に示すような配合処方としたこと以外は、実施例1と同様の方法で熱伝導部材を作製した。
【0067】
(実施例5)
グリースAを用い、熱伝導性粒子として粒子A及び粒子Bの2種類を用い、表1に示すような配合処方としたこと以外は、実施例1と同様の方法で熱伝導部材を作製した。
【0068】
(比較例1,2)
グリースAを用い、熱伝導性粒子として粒子A及び粒子Bの2種類を用い、表1に示すような配合処方としたこと以外は、実施例1と同様の方法で熱伝導部材を作製した。
【0069】
実施例1~5及び比較例1,2の熱伝導部材について、以下の方法で、熱伝導率[W/m・K]、タイプОО硬度、粘着力[N]の測定を行った。結果を、表1に示す。
【0070】
<熱伝導率[W/m・K]>
C-Therm Technologies社製の熱伝導率測定装置「TCi-3-A(商品名)」を用いて、熱伝導部材の温度25℃の熱伝導率[W/m・K]を測定した。
【0071】
<タイプОО硬度>
テクロック社製のデュロメータ「GSD-754K(商品名)」を用いて、熱伝導部材のタイプОО硬度を測定した。
【0072】
<粘着力[N]>
図1に示すような材料試験機を用いて、熱伝導部材の粘着力[N]を測定した。材料試験機としては、島津製作所社製の小型卓上試験機「EZ-SX(商品名)」を用いた。
図1に示すような材料試験機の測定子11及び試料台座12は、SUS304製で、互いに対向するそれぞれの端面11a,12aが直径13mmの円形状とし、測定試料100としての熱伝導部材は、直径13mm、厚さ1mmの円板形状とした。粘着力の測定は、試料台座12上に載置した測定試料100に規定の圧縮荷重まで測定子11を押し込み、測定子11を引張上げたときの最大荷重[N]を測定し、その最大荷重[N]を、熱伝導部材の粘着力[N]とする。粘着力を測定する際の測定条件としては、温度25℃、測定子11を押し込む際の圧縮速度を1mm/min、圧縮荷重を5Nとし、測定子11を引張上げる際の引張速度を1000mm/minとした。なお、測定される粘着力[N]は、直径13mmの円を単位面積とする粘着力[N/φ13mm]と言える。
【0073】
また、実施例1~5及び比較例1,2の熱伝導部材の形状保持性の評価を、以下の評価基準に基づき評価を行った。熱伝導部材の形状が粘土状であり、ボソボソしておらず、一塊になり形状を保つことができる場合を合格とし、表1において「OK」と示す。熱伝導部材の形状が液状・グリース状であり、粘着性があり、形状を作れない、又は、熱伝導部材の形状が粉状であり、ボソボソし、一塊にならない粉体である場合を不合格とし、表1において「NG」と示す。
図6に、熱伝導部材の形状が粘土状の場合の例を示す。
図7に、熱伝導部材の形状が液状・グリース状の場合の例を示す。
図8に、熱伝導部材の形状が粉状の場合の例を示す。
図6~
図8は、熱伝導部材の形状を示す写真である。
【0074】
(結果1)
表1に示すように、実施例1~5の熱伝導部材は、熱伝導率が0.4W/m・K以上で、粘着力が10N以下で、タイプОО硬度が70以下であった。そして、形状保持性の評価において、共に良好な結果を得ることができた。即ち、実施例1~5の熱伝導部材は、形状が粘土状であり、ボソボソしておらず、一塊になり形状を保つことができた。一方で、比較例1の熱伝導部材は、熱伝導性粒子の配合割合が多すぎて、熱伝導率、粘着力及びタイプОО硬度の測定が不可であった。比較例1の熱伝導部材は、熱伝導性粒子の配合割合が少なすぎて、形状を保つことができず、タイプОО硬度が0であった。
【0075】
(比較例3)
比較例3の熱伝導部材として、富士高分子工業社製のシリコーンパテシート「PG25A(商品名)」を用意した。比較例3の熱伝導部材は、その形態がパテ状であった。
【0076】
(比較例4)
比較例4の熱伝導部材として、富士高分子工業社製のシリコーンゲルシート「GR45A(商品名)」を用意した。比較例4の熱伝導部材は、その形態がゲル状であった。
【0077】
(比較例5)
比較例5の熱伝導部材として、信越化学工業社製のシリコーンゲルシート「TC-100CAS-30(商品名)」を用意した。比較例5の熱伝導部材は、その形態がゲル状であった。
【0078】
(比較例6)
比較例6の熱伝導部材として、タイカ社製のシリコーンゲルシート「COH-4000LVC(商品名)」を用意した。比較例6の熱伝導部材は、その形態がゲル状であった。
【0079】
(比較例7)
比較例7の熱伝導部材として、富士高分子工業社製のシリコーンコンパウンド「SPG30B(商品名)」を用意した。比較例7の熱伝導部材は、その形態がゲル状であった。
【0080】
比較例4~7の熱伝導部材について、上記した方法で、粘着力[N]の測定を行った。結果を、表2に示す。なお、比較例6のシリコーンゲルシートは1枚の厚さが0.5mmであるため、粘着力の測定においては、シリコーンゲルシートを2枚重ねた状態で測定を行った。
【0081】
【0082】
(結果2)
表2に示すように、実施例1~5の熱伝導部材は、粘着力が10N以下で、ハンドリング性を改善するための低粘着性ものであるのに対して、比較例3~7の熱伝導部材は、粘着力が10Nを超え、ハンドリング性が悪いものであった。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の軟質熱伝導部材は、自動車用や電子機器の放熱部品として利用することができる。
【符号の説明】
【0084】
10:粘着力測定系
11:測定子
11a:端面(測定子の端面)
12:試料台座
12a:端面(試料台座の端面)
30:低反力熱伝導部材
31:熱伝導性弾性体
40:軟質熱伝導部材
50:放熱対象
51:基材
52:ヒートシンク
100:測定試料