(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-21
(45)【発行日】2024-05-29
(54)【発明の名称】ゴム組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 21/00 20060101AFI20240522BHJP
C08L 1/00 20060101ALI20240522BHJP
C08K 5/544 20060101ALI20240522BHJP
C08K 5/548 20060101ALI20240522BHJP
C08L 23/00 20060101ALI20240522BHJP
【FI】
C08L21/00
C08L1/00
C08K5/544
C08K5/548
C08L23/00
(21)【出願番号】P 2023579761
(86)(22)【出願日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 JP2023040620
【審査請求日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2022181237
(32)【優先日】2022-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591023642
【氏名又は名称】中越パルプ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095740
【氏名又は名称】開口 宗昭
(74)【代理人】
【識別番号】100225141
【氏名又は名称】和田 安司
(72)【発明者】
【氏名】橋場 洋美
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-115023(JP,A)
【文献】特開2021-014512(JP,A)
【文献】特開2021-014509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ゴム成分と、(B-1)
未変性のセルロースナノファイバーを含有する溶融混合物と、(C)メルカプト基を有するシランカップリング剤及びアミノ基を有するシランカップリング剤とを含有するゴム組成物。
【請求項2】
前記溶融混合物の水分値は、10.3%より小さく、
前記溶融混合物の平均粒径D50の値は、10,500μmより小さいものである、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
(A)ゴム成分と、(B-2)セルロース繊維と、(C)メルカプト基を有するシランカップリング剤及びアミノ基を有するシランカップリング剤とを含有するゴム組成物
であって、
前記(B-2)セルロース繊維のD50の値は、20μmから100μmの範囲である、ゴム組成物。
【請求項4】
(A)ゴム成分と、(B-1)
セルロースナノファイバーと、ポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョンとを含有する溶融混合物と、(C)メルカプト基を有するシランカップリング剤とを含有するゴム組成物。
【請求項5】
(A)ゴム成分と、(B-1)
セルロースナノファイバーと、ポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョンとを含有する溶融混合物と、(C)メルカプト基を有するシランカップリング剤及びアミノ基を有するシランカップリング剤とを含有するゴム組成物。
【請求項6】
(A)ゴム成分と、(B-1)
セルロースナノファイバーと、200以上、5000以下の重量平均分子量の範囲にあるビニル芳香族化合物を主成分とする重合体を含有する溶融混合物と、(C)メルカプト基を有するシランカップリング剤及びアミノ基を有するシランカップリング剤とを含有するゴム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース繊維或いはナノ天然高分子を含有する溶融混合物を含有するゴム組成物、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムとは、一般的には、天然ゴムや合成ゴムのような有機高分子を主成分とする弾性限界が高く弾性率の低い材料、すなわち弾性ゴムを指すことが多い。ゴムを含有する組成物(ゴム組成物)は、タイヤ、シール材、免振防振材等の工業用途に広く用いられている。また、ゴムの有する特性を生かし、より好ましい性能を得るために、種々の成分がゴム組成物の添加剤として用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、平均径0.5μm未満の短繊維の水分散液とゴムラテックスとを攪拌混合し、次にその混合液を、パルス燃焼による衝撃波の雰囲気下に噴射して乾燥させて得られるゴム/短繊維マスターバッチに関する技術が開示されている。
また、特許文献2には、セルロース系繊維からなる補強材のゴム成分への分散性及び接着性を高めて十分な耐久性及び剛性を発揮するゴム組成物及びその製造方法に関する技術が開示されている。
【0004】
これらの特許文献は、セルロース系繊維がゴム組成物の添加剤として有用であることを示した。
しかしながら、ゴムとセルロース系繊維との界面の密着性を高め、ゴム中のセルロース系繊維の分散性を改善するという点において、未だ追求の余地がある。
また、ゴム組成物やそれを架橋してなるゴム製品の架橋特性、加工性、機械的強度等を改善するという点において、未だ追求の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-206864号公報
【文献】特開2009-191198号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】粉体流動性測定法 日本画像学会誌 第46巻 第6号 472-477
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑み、ゴム中のナノ天然高分子を含有する溶融混合物或いはセルロース繊維の分散性が高く、かつ、ゴムとナノ天然高分子を含有する溶融混合物或いはセルロース繊維の界面密着性が良好なものであるゴム組成物、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、ナノ天然高分子と溶媒とを含む混合物と、少なくとも、ポリオレフィンと水とを含むポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョン又は、重量平均分子量が特定の範囲にあるスチレン系重合体とを溶融混合して得られる溶融混合物をシランカップリング剤と混合したもの又は、特定の嵩比重及び平均粒径を有するセルロース繊維とゴムとを混合することにより得られるゴム組成物が上記課題を解決し得ることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明のゴム組成物は、(A)ゴム成分と、(B-1)ナノ天然高分子を含有する溶融混合物と、(C)メルカプト基を有するシランカップリング剤とを含有するゴム組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ゴム中のナノ天然高分子を含有する溶融混合物或いはセルロース繊維の分散性が高く、かつ、ゴムとナノ天然高分子を含有する溶融混合物或いはセルロース繊維の界面密着性が良好なものであるゴム組成物、及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】CNFの製造(解繊処理)装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施例に基づき、より具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0013】
(用語の定義)
本発明において、溶融混合物とは、少なくとも、ナノ天然高分子とポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョンとからなる混合物又はナノ天然高分子と重量平均分子量が特定の範囲にあるスチレン系重合体とを含む混合物に、熱を加えて、パウダー化したものである。
本発明において、紙粉とは、紙を細かく粉砕する処理を行った後に得られるものである。
本発明において、ゴム組成物とは、少なくとも、ゴムに前記溶融混合物を配合して得られる組成物である。
【0014】
本発明は、(A)ゴム100質量部、ゴム100質量部に対して、(B―1)ナノ天然高分子を含む溶融混合物を1~100質量部、前記(B―1)ナノ天然高分子を含む溶融混合物に対して、(C)シランカップリング剤を5~60質量%含むゴム組成物である。
また、本発明は、(A)ゴム100質量部、ゴム100質量部に対して、(B-2)セルロース繊維を1~100質量部、前記(B-2)セルロース繊維に対して、(C)シランカップリング剤を5~60質量%含むゴム組成物である。
【0015】
[(A)ゴム]
本発明において使用するゴムは特に限定されないが、例えば天然ゴム、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合ゴム、エチレン-ブテン-1共重合ゴム、エチレン-ヘキセン共重合ゴム、エチレン-オクテン共重合ゴム、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、部分水添スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合ゴム、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル共重合ゴム、スチレン-イソプレンブロック共重合ゴム、部分水添スチレン-イソプレンブロック共重合ゴム、ポリウレタンゴム、スチレングラフト-エチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合ゴム、スチレン-グラフト-エチレン-プロピレン共重合ゴム、スチレン/アクリロニトリル-グラフト-エチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合ゴム、スチレン/アクリロニトリル-グラフト-エチレン-プロピレン共重合ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、シリコンゴム、エチレン-酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴムがなど挙げられる。なお、これらのゴムは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
[(B-1)溶融混合物]
本発明に用いる溶融混合物は、少なくとも、(a)ナノ天然高分子と(b-1)ポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョン、又は、(b-2)特定の分子量の範囲にあるビニル芳香族化合物を主成分とする重合体とを含む混合物に、熱を加えて、パウダー化したものである。
【0017】
[(a)ナノ天然高分子]
本発明の溶融混合物に用いるナノ天然高分子としては、直径が1~1000nm未満の繊維状物質であり、長さが直径の100倍以上である天然高分子ナノファイバー、又は直径が10~50nm、長さが100~500nm以下の棒状、あるいは紡錘形をした超微細結晶である天然高分子ナノクリスタルである。
【0018】
本発明に用いる天然高分子としては、特に限定しないが、セルロース、キチン、キトサン等の多糖類、コラーゲン、シルク、ゼラチン等のタンパク質等が挙げられる。
本発明においてナノ天然高分子の結晶化度は50%以上の範囲にあるものを使用することが好ましい。結晶化度が高いナノ天然高分子を使用した場合には、ナノ天然高分子の比表面積が低下することにより樹脂への担持する能力が劣り、強度、弾性及びチキソ性の低下によって樹脂成形品の能力及び作業性(樹脂の流動性、樹脂成型品の保形性)が劣るからである。また結晶化度が低いと腐敗もしやすくなる。
【0019】
本発明においてナノ天然高分子の平均重合度は400~900の範囲にあるものを使用することが好ましい。平均重合度900より高い重合度のものは、ナノ天然高分子が絡まったり、ヨレが生じ易くなったりするため繊維として機能しにくくなり樹脂内部で異物(凝集物)となり易く、また剛直な繊維として機能しないため樹脂の補強効果が劣るためである。平均重合度が400未満の場合は、天然繊維の剛直性が失われるため補強効果が生じ難い。
【0020】
次いで、天然高分子としてセルロースを用いたセルロースナノファイバー(以下、「CNF」ということもある。)及びセルロースナノクリスタル水溶液の調製方法について説明する。本発明において、CNFとしては例えば、木材繊維、広葉樹、針葉樹、竹繊維、サトウキビ繊維、種子毛繊維、葉繊維、海藻類等の天然の植物、酢酸菌由来のペリクル等を含む多糖由来のCNFが挙げられる。また、バガス、稲わら、もみ殻、茶殻、果汁の搾り粕等の植物の葉、花、茎、実、根、外皮等に由来する作物残渣から産出されるものであっても良い。これらCNFは一種を単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。また多糖としてはα-セルロース含有率60%~99質量%のパルプを用いるのが好ましい。α-セルロース含有率60質量%以上の純度であれば繊維径及び繊維長さが調整しやすくなって繊維同士の絡み合いを抑えることができ、α-セルロース含有率60質量%未満のものを用いた場合に比べ、溶融時の熱安定性が高く、衝撃強度の低下を引き起こすことがないほか、ヘミセルロースの熱分解による着色抑制効果が良好であり、本発明の効果をより優れたものとすることができる。一方、99質量%以上のものを用いた場合、繊維をナノレベルに解繊することが困難でエネルギーコストが大きくなり、繊維径及び繊維長さが調整し難くなる。
【0021】
本発明におけるCNFは、例えば以下の解繊処理行うことによりCNF分散液(以下、含水状態のCNFということもある。)として得られる。
解繊処理は、
図1に示した水中対向衝突法(以下、ACC法と言うこともある。)を用いて行う。これは、水に懸濁したパルプをチャンバー(
図1:107)内で相対する二つのノズル(
図1:108a,108b)に導入し、これらのノズルから一点に向かって噴射、衝突させる手法である。
図1に示される装置は液体循環型となっており、タンク(
図1:109)、プランジャ(
図1:110)、対向する二つのノズル(
図1:108a,108b)、必要に応じて熱交換器(
図1:111)を備え、水中に分散させた微粒子を二つのノズルに導入し50~400MPa程度の高圧下で合い対する2本のノズル(
図1:108a,108b)から噴射して対向衝突させる。
【0022】
また、パルプ繊維からCNFへの解繊度合は、CNF分散液の粘度値により評価することが出来る。
また、解繊後の繊維径に対する繊維長の比(アスペクト比)がパルプ原料の由来毎に異なるので、CNF分散液の粘度値はそれぞれ異なるものとなる。
さらに、例えば、異なる原料由来のパルプ繊維を組み合わせることにより、又は、前記解繊度合を調製することにより、CNF水分散液1wt%におけるB型粘度値を概ね300~10000mPa・sの範囲で調整することができる。
【0023】
以上のようにして得るCNFは、優先して天然セルロース繊維間の相互作用を解裂させることによってナノ微細化を行うためセルロース分子の構造変化がなく、原料パルプに由来する以下の化学式1に表わされる構造式を有する。換言すると、本願発明で用いるCNFは、化学式1中のセロビオースユニット内に水酸基6個を有し、化学修飾されていないことを意味する。これは、FT-IRを使用してセルロースのIRスペクトルと本願発明に使用するCNFとを比較することで確認することができる。 本ACC法により、セルロース繊維の平均繊維径を1μm以下に粉砕することができ、その結果、平均太さ3~1,000nmであり、平均長さ0.1μm以上であるCNFが得られる。
【0024】
平均太さと平均繊維長さの測定は、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型プローブ顕微鏡(SPM)等を適宜選択し、CNFを観察・測定し、得られた写真から20本以上を選択し、これをそれぞれ平均化することにより求める。対向衝突処理においては、加えられるエネルギーが共有結合を切断するエネルギーには、はるかに及ばず(推定1/300以下)、セルロースの重合度の低下は生じにくい。本ACC法によって得られたセルロースナノファイバーは、親水サイトと疎水サイトが共存し、両親媒性を示す。
【0025】
【0026】
なお、本発明においては、他のセルロースナノファイバーの製造方法として公知であるTEMPO酸化触媒、リン酸エステル化処理、オゾン処理、酵素処理、マレイン酸処理、無水アルケニルコハク酸による疎水変性、アルキルケテンダイマーによる疎水変性、アセチル化による疎水変性などの化学的処理をする方法によって得られるセルロースナノファイバー又はグラインダー(石臼型粉砕機)、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、高圧ホモジナイザー、ビーズミル、湿式爆砕法、超音波解繊法、混練法、凍結粉砕法などの機械的作用を利用する湿式粉砕でセルロース系繊維を細くする物理的方法によって得られるセルロースナノファイバーであっても、本発明においてCNF分散液として使用することができる。また、化学的処理及び物理的処理を併用する方法によって得られたセルロースナノファイバーをもCNF分散液として利用することができる。
【0027】
以上の様にして得られるCNF分散液のCNF濃度は、通常、0.1~10%の範囲である。
次いで、得られたCNF分散液を脱溶媒してCNF固形分濃度を20~50%の範囲とする。CNF固形分濃度が20%未満である場合には、溶媒量が多くなり、溶融混合物の製造時に、熱エネルギーのロスおよび添加剤の歩留悪化を招くことになる。
一方、固形分濃度が50%より高い場合には、既にCNF同士が一部凝集しており、溶融混合物の製造時に、凝集物を再分散させることができないため、好ましくない。前記溶媒は、水が含まれていればよく、水の他に有機溶媒等の他の溶媒が含まれていても、特に制限されることなく使用することができる。
【0028】
[(B-2)セルロース繊維]
本発明に用いるセルロース繊維としては、原料がセルロース由来の繊維状の形状を示すものであれば良い。特に、入手しやすい点から製紙用パルプ、セルロースナノファイバー、粉砕した紙粉等を特に制限されることなく用いることができる。
一態様において、紙を細かく粉砕した微細紙粉を用いることができる。原料となる紙は、特に制限されることなく用いることができるが、敢えて例示すれば、製紙工場において発生する破紙やロットアウト品を用いることができる。また、紙の種類としては、特に制限されることなく用いることができるが、敢えて例示すれば、バージンパルプを含むバージン紙の他、古紙、排紙等、様々な種類の紙を用いることができる。また、原料パルプとしても針葉樹由来、広葉樹由来、竹由来など様々なものを用いることができる。さらに、紙に含まれる填料はゴムに悪影響を与えない範囲で特に制限されることなく用いることができる。
さらに、紙を細かく粉砕する方法としても、特に制限されることなく使用することができるが、敢えて例示すれば、シュレッダー、ローラーミル、カッターミル、薬研式粉砕機等を単独で、或いはこれらを組み合わせて使用することができる。
例えばカッターミル(実用新案登録 第1904682号)を用いて粉砕することで、固定刃と回転刃のクリアランスを最小0.5mmとすることができ、原料滞留が少なく温度上昇が少ないため紙圧5μmの薄紙でも粉砕することができる。紙粉の大きさは丸穴スクリーンで簡単調整し、スクリーンの丸穴サイズは最小直径0.5mmを用いると超微細な紙粉となり、5mmを用いると大きめとなり、10mmを用いるとさらに粗い紙粉となる。また粉砕処理は一度だけでも良く、複数回の処理を組み合わせても良く、複数回の時にスクリーンサイズやクリアランスを調整することで所望のサイズの紙粉を得ることができる。
【0029】
一態様において、本発明に用いるセルロース繊維は、レーザー回折式粒度分布を測定して得られるD90の値で、10~50μm、好ましくは、20~40μm、より好ましくは、25~35μmの範囲となるように、或いは、D50の値で、5~100μm、好ましくは、20~100μm、より好ましくは、25~50μmの範囲となるようにするとよい。D90の値が、10μm未満のセルロース繊維は、製造コストが上昇する可能性があり、50μmを超えるものは、紙粉がゴム組成物の中で均一に分散させることができないおそれがある。また、不良を起こし、紙粉が合成樹脂中に嵩高な継粉を形成する場合があり、嵩高な継粉によって組成物の流動性が著しく低下してしまうことがある。セルロース繊維の毛羽立ちを調整して使用してもよい。
また、本発明に用いるセルロース繊維の吸水量は、23℃、50%RH、48時間における値が、0.1%以上、10%以下、好ましくは、1%以上8%以下、より好ましくは、2%以上6%以下となるようにするとよい。
【0030】
本発明に用いるセルロース繊維の嵩比重は、0.1以上0.4以下であるのが好ましい。嵩比重が0.4以上であると分散性が低下する虞がある。一方、嵩比重が0.1未満であると、取り扱いの制御が困難になる虞がある。
なお、 嵩比重は、JIS K7365に準じて測定した値である。
【0031】
本発明に用いるセルロース繊維の安息角は、30°以上75°以下であるのが好ましく、30°~70°であるのがより好ましい。安息角が75°以上であると流動性が小さく、ゴムとの均一配合が困難になる虞がある。一方、安息角が30°未満であると、流動性が高く、取り扱い性が低下する。なお、 安息角は、非特許文献1に記載の傾斜角法(始動角)で3回測定した平均値である。
【0032】
[(b-1)ポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョン]
本発明におけるポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョンとは、ポリオレフィンを水に分散したものであり、ポリオレフィンとポリビニルアルコール等の水溶性高分子とからなる混練物を水中に分散される方法、ポリオレフィンとカルボキシル基含有ポリオレフィンとを溶融混練後、塩基性物質を含有する熱水中に供給し、剪断力を加えて分散液を得る方法等により製造できる。
ここで使用されるポリオレフィンとは結晶性ないし非晶性のオレフィン系重合体である。また、二重結合を2つ以上有するジエンを含有していてもよい。
また、該重合体を構成するオレフィンとしては、エチレンのほかプロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1等のα-オレフィンをあげることができる。これらは単独でも、複数組み合わせて使用しても良い。
【0033】
ジエンとしては、イソプレン、ブタジエン、ジシクロペンタジエン、ペンタジエン-1,4、2-メチル-ペンタジエン-1,4、ヘキサジエン-1,4、ジビニルベンゼン、メチリデンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等があり、これらは単独でも、複数組み合わせて使用しても良い。更にはスチレン、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル等も使用できる。
【0034】
ポリオレフィンとして具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン-1共重合体、プロピレン・ブテン-1共重合体、エチレン・プロピレン・ヘキサジエン-1,4共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・ブテン-1・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・ブテン-1・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・ブタジエン共重合体などを例示できる。
【0035】
上記ポリオレフィンと混合する水溶性高分子とはケン化ポリビニルアルコール等であり、特に限定はない。また、カルボキシル基含有ポリオレフィンとは上記ポリオレフィンに無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、次亜塩素酸等を反応させたもの或いはアクリル酸、メタクリル酸等を共重合したものである。
また、それらの混合物を水に分散して分散体を製造する際、該混合物中にアニオン系界面活性剤および/またはノニオン系界面活性剤を含有させてもよい。
【0036】
そのようにして製造されるポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョンの固形分濃度は通常10~70%であり、固形分粒子の平均粒径は0.01~20μmである。なお、平均粒径は、コールカウンター法、マイクロトラック法のいずれかで測定することができる。
【0037】
[(b-2)特定の分子量の範囲にあるビニル芳香族化合物を主成分とする重合体]
特定の分子量の範囲にあるビニル芳香族化合物を主成分とする重合体は、ビニル芳香族化合物を主成分とするスチレン系重合体であり、ビニル芳香族化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、パラメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等を挙げることができ、好ましくは、スチレンである。スチレン系重合体としては、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン、アクリロニトリル-アクリル酸-スチレン、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体のオリゴマー、その水素化物、又は、スチレン骨格を有する単量体に由来する繰り返し単位を有するものを例示することができる。このなかでも特に物性面、コスト面から、スチレン重合体、アクリロニトリル-スチレン重合体が好ましい。なお、スチレン系重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0038】
また、本発明で用いられるスチレン系重合体は、有機溶媒中でフリーデルクラフツ型触媒存在下、スチレンモノマーを特殊な条件下、重合して得られる重量平均分子量が2000以上、好ましくは2200以上、4000以下、好ましくは、3800以下であり、重量平均分子量/数平均分子量の比が1.6~2.1、Z平均分子量/重量平均分子量の比が1.6~2.0、軟化点が60~160℃、好ましくは、80~130℃、更に好ましくは、95~120℃のスチレン重合体である。
軟化点がこのような範囲にあることで、粉末化する手段の加熱温度を低くでき、さらに、エネルギーコスト削減にも寄与することとなる。なお、質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算の値をいう。
または、フリーデルクラフツ型触媒存在下、スチレン骨格を有する単量体を重合若しくは共重合して得られたものであり、重量平均分子量は、200以上、好ましくは750以上、より好ましくは1000以上、5000以下、好ましくは4000以下、より好ましくは3800以下である。
なお、フリーデルクラフツ型触媒は、一般的に使用されているものを使用することができる。
【0039】
スチレン系重合体は、市販品として入手することも可能であり、市販品としては、例えば、東亜合成社製、商品名「アルフォン(登録商標)UP-1150」、ヤスハラケミカル社製、商品名「YSレジンSX-100」(重量平均分子量2500」、ピコラスチックA5(ポリスチレン、軟化点5℃、重量平均分子量350)、ピコラスチックA-75(ポリスチレン、軟化点74℃、重量平均分子量1300)、ピコテックス75(ビニルトルエンとα-メチルスチレンの共重合体、軟化点75℃、重量平均分子量1100)、ピコテックスLC(ビニルトルエンとα-メチルスチレンの共重合体、軟化点91℃、重量平均分子量1350)、クリスタレックス3070(ポリα-メチルスチレン、軟化点70℃、重量平均分子量950)、クリスタレックス3085(ポリα-メチルスチレン、軟化点85℃、重量平均分子量1150)、クリスタレックス3100(ポリα-メチルスチレン、軟化点100℃、重量平均分子量1500)、及びクリスタレックス5140(ポリα-メチルスチレン、軟化点139℃、重量平均分子量4900)等のEASTMAN社製の商品や、ハイマーST-95(ポリスチレン、軟化点95℃、重量平均分子量4000;三洋化成工業製)、を用いることができる。
【0040】
[(c-1)(シランカップリング剤)]
本発明の溶融混合物には、更に(c-1)シランカップリング剤を配合してもよい。
シランカップリング剤とは、加水分解性基と有機官能基とを一つの分子中に併せ持つ有機ケイ素化合物である。
加水分解性基とは、珪素原子に直結し、加水分解反応及び/又は縮合反応によってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。一般には、水素原子又は炭素原子数1以上22以下のアルキル基を表す。アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。シランカップリング剤の分子中に加水分解性基が複数存在する場合、前記置換基は同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
有機官能基は、一般には、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基、イソシアヌレート基等から選択される少なくとも一種が好ましい。シランカップリング剤の分子中に有機官能基が複数存在する場合には、前記有機官能基は、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0041】
このようなシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス(- トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0042】
[(c-2)(変性ポリオレフィン)]
本発明の溶融混合物には、更に(c-2)変性ポリオレフィンを配合してもよい。なお、本発明の溶融混合物には、(c-1:シランカップリング剤)と(c-2:変性ポリオレフィン)とを共に配合してもよい。
変性ポリオレフィンとしては、極性を付与するようポリオレフィンを変性したものであれば特に限定されないが、例えば(無水)カルボン酸、エポキシド、オキサゾリン、イソシアネート、カルボジイミド等で変性したポリプロピレンが挙げられ、好ましくは、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、カルボジイミド変性ポリプロピレン、エポキシ変性ポリプロピレンが挙げられる。変性ポリオレフィンの重量平均分子量が、500,000以下、好ましくは、300,000以下、より好ましくは200,000以下のものを使用するよい。
【0043】
((B-1)溶融混合物中の(a)ナノ天然高分子と(b-1)ポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョンの割合)
本発明の(B)溶融混合物は、(a)ナノ天然高分子1質量部に対し、(b-1)ポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョンを好ましくは固形換算で0.05~1質量部、好ましくは0.1質量部~0.5質量部、さらに好ましくは0.2質量部~0.3質量部である。ポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョンは0.05質量部未満では、セルロースナノファイバーの分散性に効果は無く、1質量部より多いと滑剤として働き、せん断がかからず溶融混合物中の水分が抜けないからである。
【0044】
((B-1)溶融混合物中の(a)ナノ天然高分子と(b-2)ビニル芳香族化合物を主成分とするスチレン系重合体の割合)
本発明の(B-1)溶融混合物は、(a)ナノ天然高分子1質量部に対し、(b-2)ビニル芳香族化合物を主成分とするスチレン系重合体を好ましくは固形換算で0.05~5質量部、好ましくは0.1質量部~1質量部、さらに好ましくは0.2質量部~0.6質量部である。スチレン系重合体は0.05質量部未満では、セルロースナノ繊維の分散性に効果は無く、5質量部より多いと強度物性が著しく低下するとともにブリード等による成形品表面の問題が発生する。
【0045】
溶融混合物に、(c-1:シランカップリング剤)を含有させる場合には、前記(a)ナノ天然高分子と前記(b-1)ポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョン若しくは前記(b-2)ビニル芳香族化合物を主成分とするスチレン系重合体)との混合物100質量部に対して、(c-1)シランカップリング剤を0.1質量部以上10質量部以下となるように配合すればよい。
また、溶融混合物に、(c-2:変性ポリオレフィン)を含有させる場合には、前記(a)ナノ天然高分子と前記(b-1)ポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョン若しくは前記(b-2)ビニル芳香族化合物を主成分とするスチレン系重合体との混合物100質量部に対して、(c-2)(変性ポリオレフィン)を0.05質量部以上5質量部以下となるように配合すればよい。
さらに、溶融混合物に、(c-1:シランカップリング剤)及び(c-2:変性ポリオレフィン)を含有させる場合には、前記(a)ナノ天然高分子と前記(b-1)ポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョン若しくは前記(b-2)ビニル芳香族化合物を主成分とするスチレン系重合体との混合物100質量部に対して、(c-1)シランカップリング剤を0.1質量部以上10質量部以下、及び(c-2)(変性ポリオレフィン)を0.05質量部以上5質量部以下となるように配合すればよい。
【0046】
(溶融混合物の製造方法)
溶融混合物の製造方法は、まず、(a)ナノ天然高分子と溶媒とを含む混合物と(b-1)ポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョン、又は、(b-2)ビニル芳香族化合物を主成分とするスチレン系重合体とを混合して混合物を得る混合工程を行う。ここで、(b-1)ポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョンを用いる理由は、(a)と(b)の成分は、共に水に不溶な成分が水に分散している形態のものであり、また、溶融混合物中にオレフィンを存在させることによって、ナノ天然高分子とゴムとの分散性を向上させることができるからである。
また、混合に用いる装置は、タンブルミキサーやヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサー等で代表される高速ミキサーを用いることができる。
【0047】
次いで、得られた混合物を加熱するとともに剪断力を加えて、前記混合物の水分を除去し、粉末化する工程を行う。
得られる溶融混合物の水分は、10.0%以下、好ましくは8.0%以下、より好ましくは6.0%以下にするとよい。溶融混合物の水分値が10.0%よりも高い値であると、ゴム組成物中のナノ天然高分子の分散性が悪くなるからである。
また、粉末化する手段は、加熱するとともに、剪断力を加えることができれば特に制限されない。具体的には、単軸押出機、二軸押出機、二軸混練機、ニーダー、バンバリーミキサー、往復式混練機、ロール混練機等を例示することができる。ここで、二軸混練機等の連続式押出機を用いると、樹脂等への混練工程まで連続して作業を行うことができるため効率性が良く特に好ましい。また、粉末化工程において発生する水分その他の揮発分を除去するため、脱気設備等を用いてもよい。また、酸化による劣化や異常分解などを抑えるために窒素パージを行っても良い。なお、ナノ天然高分子混合物への加熱条件としては、加熱時間等の加熱条件は特には制限されない。
得られる溶融混合物の粒径は、粒度分布を測定して得られる平均粒径D50(メディアン径)の値で、11,000μm以下、好ましくは7,500μm以下、より好ましくは5,500μm以下にするとよい。
同様に、D90の値で、12,000μm以下、好ましくは11,100μm以下、より好ましくは8,300μm以下にするとよい。平均粒径D50の値が11,000μmよりも高い値、或いはD90の値が12,000μmよりも高い値であると、ゴム組成物中のナノ天然高分子の分散性が悪くなるからである。
【0048】
([(C)シランカップリング剤])
本発明においては、メルカプト基を有するシランカップリング剤を使用する。メルカプト基は(-SH)で表される官能基でチオール基、スルファニル基、スルフヒドリル基などがある。メルカプト基を有するシランカップリング剤としては特に限定はなく、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
また、本発明のゴム組成物では、他の官能基を有するシランカップリング剤を併用することができる。併用して使用するシランカップリング剤は特に制限はなく、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基、イソシアヌレート基等を有するシランカップリング剤が挙げられる。これらの中でも、アミノ基を有するシランカップリング剤を使用することが好ましい。
シランカップリング剤の配合量は、溶融混合物に対して、好ましくは5~50質量%、より好ましくは10~20質量%の範囲にすれば良い。
【0049】
(ゴム組成物への添加剤等)
本発明のゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、ゴム工業界で通常用いられるカーボンブラックやシリカ等の補強用充填材、各種薬品、例えば加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、プロセスオイル、植物油脂、可塑剤等のタイヤ用、その他一般ゴム用に配合されている各種添加剤を従来の一般的な量で配合させることができる。これらの各種添加剤は、一つまたは任意の組み合わせを配合することができる。
【0050】
加硫剤としては、有機過酸化物、硫黄系加硫剤を使用することができる。有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゼン、ジ-t-ブチルパーオキシ-ジイソプロピルベンゼン等が挙げられ、硫黄系加硫剤としては、硫黄、モルホリンジスルフィド等が挙げられる。
使用できる加硫促進剤としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール(MTB)、ジ-2-ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)等のチアゾール系; N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(TBBS)、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系; ジフェニルグアニジン(DPG)等のグアニジン系の加硫促進剤等が挙げられる。
【0051】
(ゴム組成物の製造方法)
本発明のゴム組成物の製造方法に特に制限はないが、下記の工程A~Dを有する製造方法によって製造することができる。なお、混合工程(工程A)と第一の混練工程(工程B)の順番は前後しても良い。
工程A:溶融混合物とメルカプト基を有するシランカップリング剤、又は、溶融混合物とメルカプト基を有するシランカップリング剤及びアミノ基を有するシランカップリング剤とを混合して溶融混合物/シランカップリング剤の混合物を得る混合工程
工程B:ゴムを素練りする第一の混練工程
工程C:工程Aで得られた混合物を第一の混練工程後の混練機へ投入して混練りする第二の混練工程
工程D:第二の混練工程で得られたゴム組成物を取り出し、添加剤と共に、混練機へ投入してシート状に加工する第三の混練工程
【0052】
(混合工程)
混合工程は、溶融混合物にメルカプト基を有するシランカップリング剤又はメルカプト基を有するシランカップリング剤及びアミノ基を有するシランカップリング剤を混合する工程である。混合方法としては、特に制限されることなく、公知の手段を用いることができる。アミノ基を有するシランカップリング剤を併用することで塩基側へシフトさせ、加水分解反応を速めることができる。
【0053】
(第一の混練工程)
第一の混練工程は、ゴム(原料ゴム)の素練りを行う工程である。本工程に用いられる混練機としては、プラストミル、オープンミル、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール、インターミキサーなどの開放式又は密閉式の混練機が挙げることができる。
例えば、ゴムポリマーをインターナルミキサーに充填率80%で投入して、5分間混練し、素練りゴムポリマーが得られる。なお、その際の設定温度は80℃、回転数は30rpmとすることができる。
【0054】
(第二の混練工程)
第二の混練工程は、前記混合工程で得られた混合物を第一の混練工程後の混練機へ投入して混練りする工程である。
本工程は、ゴム組成物へカーボンブラック、老化防止剤、ステアリン酸、ワックス、酸化亜鉛、オイルなどをさらに配合する場合に必要となる工程である。
例えば、前記第一の混練工程で得られた素練りゴムポリマー、セルロース繊維を含む、前記混合工程で得られた混合物、その他の配合剤等をインターナルミキサーに充填率80%となるように投入して、3分間、ローター回転数30rpmにて混練し、その後、ゴム温度が150℃となるように回転数を調整し、150℃で5分間保持した後放出する。その際の設定温度は80℃とすることができる。
【0055】
(第三の混練工程)
第三の混練工程は、第二の混練工程で得られたゴム組成物を取り出し、添加剤と共に、混練機へ投入してシート状に加工する工程である。本工程は、第二の混練工程で得られたゴム組成物へオイル、硫黄、加硫促進剤などをさらに配合する場合に必要となる工程である。
例えば、前記第一及び第二の混練工程において練り得られたゴムをオープンロールにかけ、さらに、硫黄、促進剤等の加硫促進剤等の添加剤を投入し、シート出しし、丸めてまたロールがけ、シート出し、丸めるという工程を4回繰り返えして加硫系の分散を促進させる。その後、適当な厚みに調整してシート状に加工する。
【0056】
また、本発明のゴム組成物は、公知の方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋して使用することができる。例えば、ロール等の開放式混練機、バンバリーミキサー等の密閉式混練機等の混練機を用いて混練し、成形加工後に加硫を行い、各種ゴム製品用途に適用することができる。
【実施例】
【0057】
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例及び比較例に記載の平均重合度は以下の測定方法により測定した。
【0058】
(CNFの重合度測定)
CNF固形分量0.15gを30mLの0.5M銅エチレンジアミン溶液に溶解させ、キャノン・フェンスケ動粘度管を用いて、CNF・銅エチレンジアミン溶液の粘度ηを測定し、0.5M銅エチレンジアミン溶液の粘度をη0として、下記のSchulz-Blaschke式から極限粘度[η]を求めて、下記のMark-Houwink-Sakurada式から重合度DPを算出した。
比粘度 ηsp=η/η0-1
極限粘度[η]=ηsp/{c(1+A×ηsp)}
η0は0.5M銅エチレンジアミン溶液の粘度であり、cはCNF濃度(g/mL)であり、Aは溶液の種類によって決まる固有値であって0.5M銅エチレンジアミン溶液の場合にはA=0.28である。
重合度DP=[η]/Ka
Kとaは高分子と溶媒の種類によって決まる固有値であって、銅エチレンジアミン溶液に溶解したセルロースの場合としてK=0.57、a=1とした。
【0059】
(製造例1:溶融混合物A1)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:ΜMH-75B/I)を用いて、針葉樹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分50%、水分50%、平均重合度810)とポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョン(三井化学株式会社製:ケミパール401)との割合を9:1(1:0.1)として混合し、混合物を得た。
次いで、得られた混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、溶融混合物を得た。スクリュー径はΦ25mm、平均シリンダー温度を129℃とした。
【0060】
(製造例2:溶融混合物A2)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:ΜMH-75B/I)を用いて、針葉樹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分30%、水分70%、平均重合度810)とポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョン(三井化学株式会社製:ケミパール401)との割合を9:1(1:0.1)とし、
シランカップリング剤として、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製:KBE-403)を、混合物100質量部に対して、3.3質量部としたものを混合し、混合物とした。
二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、溶融混合物を得た。スクリュー径はΦ25mm、平均シリンダー温度を118℃とした。
【0061】
(製造例3:溶融混合物A3)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:ΜMH-75B/I)を用いて、針葉樹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分30%、水分70%、平均重合度810)とポリオレフィン樹脂の水性ディスパージョン(三井化学株式会社製:ケミパール401)との割合を9:1(1:0.1)として混合し、混合物を得た。
次いで、得られた混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、溶融混合物を得た。スクリュー径はΦ25mm、平均シリンダー温度を106℃とした。
【0062】
(製造例4:溶融混合物B1)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:MMH-75B/I)を用いて、針葉樹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)との割合を7:3(1:0.4)として混合した。
次いで、得られたCNFとスチレン系オリゴマー混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、粉末状セルロースナノファイバーを得た。スクリュー系はΦ25mm、樹脂温度を114℃とした。
【0063】
(製造例5:溶融混合物B2)
メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社、型式:MMH-75B/I)を用いて、針葉樹パルプ由来のCNF水混合物(CNF固形分35%、水分65%、平均重合度810)とスチレン系重合体(ヤスハラケミカル株式会社製:YSレジンSX100)との割合を7:3(1:0.4)として混合した。
次いで、得られたCNFとスチレン系オリゴマー混合物を、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、型式:TEX25αIII)に供し、粉末状セルロースナノファイバーを得た。スクリュー系はΦ25mm、樹脂温度を103℃とした。
【0064】
(水分値測定及び粒度分布測定)
製造例1~5で得られた溶融混合物について、赤外線・ハロゲン水分計(メトラー・トレド株式会社製 型式:HC103)を用いて水分値測定を行った。
また、製造例1~5で得られた溶融混合物について、以下の測定方法により、粒度分布測定を行った。
結果を表1に示す。
【0065】
(粒度分布測定)
溶融混合物約5gを、画像回折式粒度径分布測定装置(マイクロトラックベル株式会社製:マイクロトラックPartAn3D)を用いて測定を行った。測定結果として、 D50、D90の値を採用した。
【0066】
【0067】
以下の各実施例及び各比較例において使用した各成分を以下に示す。
・天然ゴム:Astlett Rubber Inc.製「SMR CV60(商品名)」
・合成ゴム:JSR株式会社製「EP21(商品名)」
・カーボンブラック:旭カーボン株式会社製「旭#60G(商品名)」
・紙粉1(実施例22)
安息角:65°、 嵩比重:0.22 、水分:3.3% 、D50(メディアン径)33.6μm
・紙粉2(実施例23)
安息角:44°、 嵩比重:0.23 、水分:3.7% 、D50(メディアン径)35.8μm
・シランカップリング剤(C1):EVONIK社製「Si-69(商品名)」(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
・シランカップリング剤(C2):Momentive製「NXT-Z45(商品名)」(構造式を化2に示す。)
・シランカップリング剤(C3):Momentive製「A1891(商品名)」(3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン)
・シランカップリング剤(C4):Momentive製「NXT-シラン(商品名)」(3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン)
・シランカップリング剤(C5):Momentive製「A1110」(3-アミノプロピルトリメトキシシラン)
・ステアリン酸:日油株式会社製の「つばき(商品名)」
・亜鉛華:正同化学工業社株式会社製の「酸化亜鉛3種(商品名)」
・精製鉱油:三共油化工業株式会社製の「SNH-22(商品名)」
・硫黄:細井化学工業株式会社製の「HK-200-5(5%オイル硫黄)(商品名)」
・加硫促進剤1:三新化学工業株式会社製の「サンセラーCM-G(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド)(商品名)」
・加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製の「ノクセラーNS-P(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)(商品名)」
【0068】
【0069】
(実施例1)
(ゴム組成物の製造)
以下に示す各成分を計量した後、溶融混合物(A1)とシランカップリング剤(C2)とを予め混合して混合物とした。次いで、天然ゴムを、バンバリーミキサー(株式会社東洋精機製作所、ラボプラストミル)を用いて、30秒間素練りした後、前記混合物をバンバリーミキサーに投入して30秒間混練した。次いで、カーボンブラックを投入した後、110℃の条件で混練し、分散性評価を目視で行った。次いで、他の以下の成分を投入して110℃の条件で混練し、ゴム組成物を得た。
・天然ゴム:100質量部
・カーボンブラック:50質量部
・溶融混合物(A1):7.8質量部
・シランカップリング剤(C2):2.65質量部
・ステアリン酸:2質量部
・亜鉛華:5質量部
・精製鉱油:15質量部
・硫黄:2.48質量部
・加硫促進剤2:1質量部
【0070】
(分散性評価)
カーボンブラックを投入した後のゴム組成物中のセルロース繊維の分散状態を以下の評価基準を用いて目視で確認した。
〇:凝集物が認められず、均一に分散している
×:凝集物が認められる。
【0071】
次いで、得られたゴム組成物を用いて、ムーニー粘度を下記方法で測定した。次いで、得られたゴム組成物を用いて、物性評価としてのムーニー粘度及び加硫特性を下記方法で測定した。次いで、得られたゴムシートをプレス架橋成型して試験片を得た。試験片におけるセルロース繊維の分散性を確認した後、得られたゴム架橋シートを用いて、加硫ゴムの評価を下記方法で測定した。
【0072】
[物性評価]
(ムーニー粘度(ML1+10(100℃))
100℃におけるムーニー粘度(ML(1+4)125℃)は、JIS K6300に準拠して、ムーニー粘度計(エムアンドケー株式会社、装置名:MVM11)を用いて、100℃の条件下で測定した。
【0073】
(加硫特性)
加硫特性は、JIS K6300-2に準拠して、キュラストメーター(登録商標)(エムアンドケー株式会社、装置名:Curebase)を用いて測定した。
測定温度160℃で20分間の加硫曲線を測定し、縦軸をトルク、横軸を時間としたグラフのトルクの最小値ML(kgf・cm)、最大値MH(kgf・cm)、MHの10%のトルクになるまでの時間T10(分)、MHの50%のトルクになるまでの時間T50(分)、MHの90%のトルクになるまでの時間T90(分)を求めた。
その結果、T10が0.7分、T90が1.2分、MLが3.9kgf・cm及びMHが46.7kgf・cmであった。
【0074】
(加硫ゴム物性の評価)
(引張破断点応力、引張破断点伸び)
ゴム架橋シートの引張破断点応力、引張破断点伸びを以下の方法で測定した。
ゴム架橋シートを打抜いてJIS K 6251に記載のダンベル試験片を調製し、この試験片を用いてJIS K6251に規定される方法に従い、測定温度23℃、相対湿度50%、引張速度500mm/分の条件で引張り試験を行ない、伸び率が25%であるときの引張応力(25%モジュラス(M25))、伸び率が50%であるときの引張応力(50%モジュラス(M50))、伸び率が100%であるときの引張応力(100%モジュラス(M100))、伸び率が200%であるときの引張応力(200%モジュラス(M200))、伸び率が300%であるときの引張応力(300%モジュラス(M300))、引張破断点応力(TB)および引張破断点伸び(EB)を測定した。
【0075】
(実施例2~18、比較例1~3)
上記「ゴム組成物の製造」において、成分の種類及び量を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。そして、得られたゴム組成物を用いて実施例1と同様の評価を行った。結果を表2及び表3に示す。
また、比較例2、3は、分散性評価時に評価が「×」であったため、以降の処理を行わなかった。
【0076】
【0077】
【0078】
表3により、カーボンブラック、溶融混合物同配合 実施例8、11、12,13でシランカップリング剤の種類変更により加硫特性が異なることがわかった。
また、溶融混合物配合でM25、M50、M100、M200の低歪領域の応力が高くなることがわかったが、破断時の応力および伸びが低下する結果であった。
【0079】
(実施例19~21、比較例4)
上記「ゴム組成物の製造」において、成分の種類及び量を表4に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を用いて実施例1と同様の評価を行った。また、実施例1での評価の他に、以下の方法により、損失係数並びに損失弾性率の測定を行った。結果を表4に示す。
【0080】
(粘弾性の測定)
測定機器(株式会社上島製作所:VR-7130)
サンプルサイズ(4mm×40mm)
測定周波数:10Hz、測定温度条件(0℃、60℃)
歪温度分散について、歪は±2%で測定をした。損失係数及び損失弾性率は周波数10Hzの2%時における値を記載した。
【0081】
【0082】
表4により、溶融混合物を配合したゴム組成物の損失係数の値は小さくなることが明らかとなった。また、損失係数(tanδ)の値が比較例4と比較して、小さくなっていることから、低燃費性能が期待できると考えられる。
【0083】
(実施例22~24)
以下に示す各成分を計量した後、紙粉(実施例22,23)或いは溶融混合物(実施例24)とシランカップリング剤(C2及びC5)とを予め混合して混合物とした。次いで、天然ゴム(実施例22)或いは合成ゴム(実施例23、24)を、バンバリーミキサー(株式会社東洋精機製作所、ラボプラストミル)を用いて、30秒間素練りした後、前記混合物をバンバリーミキサーに投入して30秒間混練した。次いで、カーボンブラックを投入した後、110℃の条件で混練し、分散性評価を目視で行った。次いで、他の成分を投入して110℃の条件で混練し、ゴム組成物を得た。
・天然ゴム:100質量部
・合成ゴム(EPDM):100質量部
・カーボンブラック:50質量部
・溶融混合物(A1):7.8質量部
・紙粉:9質量部
・シランカップリング剤(C2):1質量部
・シランカップリング剤(C5):0.5質量部
・ステアリン酸:2質量部
・亜鉛華:5質量部
・精製鉱油:15質量部
【0084】
【0085】
実施例22~24のゴム組成物には、いずれも凝集物がなく良好に分散されていたことが明らかとなった。
比較例1および実施例5、14、22より、マイクロ繊維の紙粉を用いた場合、加硫特性(t90)は配合有無で変わらず、生産性向上にはつながらない結果であった。引張強度は、破断までの強度は比較例1と同等であったが、低歪領域の応力は比較例1よりも高いが実施例5、14には劣る結果であった。
また、実施例23および24より、加硫特性のt10が実施例24の方が低く、溶融混合物でスコーチしやすいことが分かったが、生産性の指標になるt90は変わらず生産性は変わらない結果であることがわかった。
さらに、破断引張強度、破断伸びは実施例23が高く、低歪領域での強度は実施例24が高い結果であることが分かった。
【0086】
密着性の評価は、引張強度における伸び率が小さな初期段階で判断することができ、M25、M50、M100の結果より密着性が向上していることが分かる。
【要約】
【課題】本発明は、ゴムとの界面密着性が良好で、かつ、ゴム中での分散性が高いナノ天然高分子を含むゴム組成物、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
(A)ゴム成分と、(B-1)ナノ天然高分子を含有する溶融混合物と、(C)メルカプト基を有するシランカップリング剤及びアミノ基を有するシランカップリング剤とを含有する、ゴム組成物である。本発明によるゴム組成物により、ゴムとの界面密着性が良好で、かつ、ゴム中での分散性が高いナノ天然高分子を含む溶融混合物と、それを架橋してなるゴム製品が提供される。
【選択図】
図1