(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】太陽光発電最適化システム、太陽光発電最適化方法、サーバ装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240523BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20240523BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J3/00 170
H02J3/00 180
H02J3/38 130
(21)【出願番号】P 2020034717
(22)【出願日】2020-03-02
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】510259932
【氏名又は名称】エナジー・ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】弁理士法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森上 寿生
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-124059(JP,A)
【文献】特開2020-018091(JP,A)
【文献】特開2013-254278(JP,A)
【文献】特開2014-124035(JP,A)
【文献】特開2019-054584(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0131190(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
H02J 3/00
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期費用と、所定期間における所定時間の間隔での購入電力量及び太陽光発電量のデータとを少なくとも受付け処理する入力処理部と、
顧客IDと紐づけて、購入電力削減率及び太陽光発電量単価のデータと、太陽光発電の出力とパワーコンディショナの出力の組み合わせに係るデータを記憶する記憶部と、
前記所定時間毎に、前記太陽光発電量より前記購入電力量を差し引くことで差分を算出し、前記差分のうち正の値の前記所定期間の和を求めることで、逆潮流電力量を算出する逆潮流電力量算出部と、
前記所定期間における前記太陽光発電量の和より前記所定期間における前記逆潮流電力量の和を差し引き、前記所定期間における前記購入電力量の和で除算することで、購入電力削減率を算出する購入電力削減率算出部と、
前記初期費用を、前記所定期間における前記太陽光発電量の和から前記所定期間における前記逆潮流電力量の和を差し引いた値で除算することで、太陽光発電量単価を算出する太陽光発電量単価算出部と、
前記記憶部を参照して、前記太陽光発電量単価が最小値となる組み合わせの中で前記購入電力削減率が最大となる組み合わせを選定する選定部と、を備えた
サーバ装置。
【請求項2】
前記太陽光発電量は、設置拠点の日射量データに基づいて算出されたものである
請求項
1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
端末装置と、サーバ装置とからなる太陽光発電最適化システムであって、
前記サーバ装置は、
初期費用と、所定期間における所定時間の間隔での購入電力量及び太陽光発電量のデータとを少なくとも受付け処理する入力処理部と、
顧客IDと紐づけて、購入電力削減率及び太陽光発電量単価のデータと、太陽光発電の出力とパワーコンディショナの出力の組み合わせに係るデータを記憶する記憶部と、
前記所定時間毎に、前記太陽光発電量より前記購入電力量を差し引くことで差分を算出し、前記差分のうち正の値の前記所定期間の和を求めることで、逆潮流電力量を算出する逆潮流電力量算出部と、
前記所定期間における前記太陽光発電量の和より前記所定期間における前記逆潮流電力量の和を差し引き、前記所定期間における前記購入電力量の和で除算することで、購入電力削減率を算出する購入電力削減率算出部と、
前記初期費用を、前記所定期間における前記太陽光発電量の和から前記所定期間における前記逆潮流電力量の和を差し引いた値で除算することで、太陽光発電量単価を算出する太陽光発電量単価算出部と、
前記記憶部を参照して、前記太陽光発電量単価が最小値となる組み合わせの中で前記購入電力削減率が最大となる組み合わせを選定する選定部と、
前記選定結果に基づいて表示データを生成する生成部と、
前記表示データを前記端末装置に送信する送信部と、を有し、
前記端末装置は、
前記表示データを受信する受信部と、
前記表示データを表示する表示部と、を有する
太陽光発電最適化システム。
【請求項4】
前記太陽光発電量は、設置拠点の日射量データに基づいて算出されたものである
請求項
3に記載の太陽光発電最適化システム。
【請求項5】
入力処理部が、初期費用と、所定期間における所定時間の間隔での購入電力量及び太陽光発電量のデータとを少なくとも受付け処理し、
記憶部が、顧客IDと紐づけて、購入電力削減率及び太陽光発電量単価のデータと、太陽光発電の出力とパワーコンディショナの出力の組み合わせに係るデータを記憶し、
逆潮流電力算出部が、前記所定時間毎に、前記太陽光発電量より前記購入電力量を差し引くことで差分を算出し、前記差分のうち正の値の前記所定期間の和を求めることで、逆潮流電力量を算出し、
購入電力削減率算出部が、前記所定期間における前記太陽光発電量の和より前記所定期間における前記逆潮流電力量の和を差し引き、前記所定期間における前記購入電力量の和で除算することで、購入電力削減率を算出し、
太陽光発電量単価算出部が、前記初期費用を、前記所定期間における前記太陽光発電量の和から前記所定期間における前記逆潮流電力量の和を差し引いた値で除算することで、太陽光発電量単価を算出し、
選定部が、
前記記憶部を参照して、前記太陽光発電量単価が最小値となる組み合わせの中で前記購入電力削減率が最大となる組み合わせを選定する
太陽光発電最適化方法。
【請求項6】
前記太陽光発電量は、設置拠点の日射量データに基づいて算出されたものである
請求項
5に記載の太陽光発電最適化方法。
【請求項7】
顧客IDと紐づけて、購入電力削減率及び太陽光発電量単価のデータと、太陽光発電の出力とパワーコンディショナの出力の組み合わせに係るデータを記憶した記憶部を備えたコンピュータを、
初期費用と、所定期間における所定時間の間隔での購入電力量及び太陽光発電量のデータとを少なくとも受付け処理する入力処理部、
前記所定時間毎に、前記太陽光発電量より前記購入電力量を差し引くことで差分を算出し、前記差分のうち正の値の前記所定期間の和を求めることで、逆潮流電力量を算出する逆潮流電力量算出部、
前記所定期間における前記太陽光発電量の和より前記所定期間における前記逆潮流電力量の和を差し引き、前記所定期間における前記購入電力量の和で除算することで、購入電力削減率を算出する購入電力削減率算出部、
前記初期費用を、前記所定期間における前記太陽光発電量の和から前記所定期間における前記逆潮流電力量の和を差し引いた値で除算することで、太陽光発電量単価を算出する太陽光発電量単価算出部、及び
前記記憶部を参照して、前記太陽光発電量単価が最小値となる組み合わせの中で前記購入電力削減率が最大となる組み合わせを選定する選定部、として機能させる
プログラム。
【請求項8】
前記太陽光発電量は、設置拠点の日射量データに基づいて算出されたものである
請求項
7に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば購入電力削減率と太陽光発電量単価との最適化を図った太陽光発電及びパワーコンディショナの出力設計を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電システムの導入に際しては、導入コストをいかに抑えて、無駄のない設備導入を行うかが重要となっている。太陽光発電システムの「導入後」の発電計画を策定する技術については、種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、発電計画策定装置が開示されている。この発電計画策定装置は、発電機の特性に関する第1データと、前記発電機の燃料に関する第2データと、前記発電機の定検に関する第3データと、電力需要の予測結果を示す第4データと、電力市場価格の予測結果を示す第5データとを記憶する記憶部を備える。前記装置はさらに、前記第1から第5データに基づいて、前記発電機について発生するコストを算出する演算部を備える。前記装置はさらに、前記コストを出力する出力部を備える。前記演算部は、前記第1から第5データと、前記記憶部に記憶されている前記発電機についての定検計画とに基づいて、前記コストを算出する、または、前記第1から第5データに基づいて、前記定検計画と前記コストとを作成または算出する。
【0004】
ここで、
図6(a)、
図6(b)には、時系列的な太陽光発電量と消費電力量の変化の関係を図示しているが、時間帯によっては、太陽光発電量が、消費電力量を上回り、逆潮流電力量が多くなっていることが分かる。この逆潮流電力量は、無駄になっている電力量に相当することから、低く抑えることが嘱望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1等で開示された従来技術では、太陽光発電量のうち逆潮流電力量がどの程度あるのか、実際に自家消費できる電力量がどのくらいになるのか、正確に算出することができなかったので、購入電力削減率と太陽光発電量単価との最適化を図った太陽光発電及びパワーコンディショナの出力設計を行うことができなかった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、購入電力削減率と太陽光発電量単価とのバランスを図り最適化した太陽光発電及びパワーコンディショナの出力設計を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るサーバ装置は、初期費用と、所定期間における所定時間の間隔での購入電力量及び太陽光発電量のデータとを少なくとも受付け処理する入力処理部と、顧客IDと紐づけて、購入電力削減率及び太陽光発電量単価のデータと、太陽光発電の出力とパワーコンディショナの出力の組み合わせに係るデータを記憶する記憶部と、前記所定時間毎に、前記太陽光発電量より前記購入電力量を差し引くことで差分を算出し、前記差分のうち正の値の前記所定期間の和を求めることで、逆潮流電力量を算出する逆潮流電力量算出部と、前記所定期間における前記太陽光発電量の和より前記所定期間における前記逆潮流電力量の和を差し引き、前記所定期間における前記購入電力量の和で除算することで、購入電力削減率を算出する購入電力削減率算出部と、前記初期費用を、前記所定期間における前記太陽光発電量の和から前記所定期間における前記逆潮流電力量の和を差し引いた値で除算することで、太陽光発電量単価を算出する太陽光発電量単価算出部と、前記記憶部を参照して、前記太陽光発電量単価が最小値となる組み合わせの中で前記購入電力削減率が最大となる組み合わせを選定する選定部と、を備える。
【0009】
本発明の第2の態様に係る太陽光発電最適化システムは、端末装置と、サーバ装置とからなる太陽光発電最適化システムであって、前記サーバ装置は、初期費用と、所定期間における所定時間の間隔での購入電力量及び太陽光発電量のデータとを少なくとも受付け処理する入力処理部と、顧客IDと紐づけて、購入電力削減率及び太陽光発電量単価のデータと、太陽光発電の出力とパワーコンディショナの出力の組み合わせに係るデータを記憶する記憶部と、前記所定時間毎に、前記太陽光発電量より前記購入電力量を差し引くことで差分を算出し、前記差分のうち正の値の前記所定期間の和を求めることで、逆潮流電力量を算出する逆潮流電力量算出部と、前記所定期間における前記太陽光発電量の和より前記所定期間における前記逆潮流電力量の和を差し引き、前記所定期間における前記購入電力量の和で除算することで、購入電力削減率を算出する購入電力削減率算出部と、前記初期費用を、前記所定期間における前記太陽光発電量の和から前記所定期間における前記逆潮流電力量の和を差し引いた値で除算することで、太陽光発電量単価を算出する太陽光発電量単価算出部と、前記記憶部を参照して、前記太陽光発電量単価が最小値となる組み合わせの中で前記購入電力削減率が最大となる組み合わせを選定する選定部と、前記選定結果に基づいて表示データを生成する生成部と、前記表示データを前記端末装置に送信する送信部と、を有し、前記端末装置は、前記表示データを受信する受信部と、前記表示データを表示する表示部と、を有する。
【0010】
本発明の第3の態様に係る太陽光発電最適化方法は、入力処理部が、初期費用と、所定期間における所定時間の間隔での購入電力量及び太陽光発電量のデータとを少なくとも受付け処理し、記憶部が、顧客IDと紐づけて、購入電力削減率及び太陽光発電量単価のデータと、太陽光発電の出力とパワーコンディショナの出力の組み合わせに係るデータを記憶し、逆潮流電力算出部が、前記所定時間毎に、前記太陽光発電量より前記購入電力量を差し引くことで差分を算出し、前記差分のうち正の値の前記所定期間の和を求めることで、逆潮流電力量を算出し、購入電力削減率算出部が、前記所定期間における前記太陽光発電量の和より前記所定期間における前記逆潮流電力量の和を差し引き、前記所定期間における前記購入電力量の和で除算することで、購入電力削減率を算出し、太陽光発電量単価算出部が、前記初期費用を、前記所定期間における前記太陽光発電量の和から前記所定期間における前記逆潮流電力量の和を差し引いた値で除算することで、太陽光発電量単価を算出し、選定部が、前記記憶部を参照して、前記太陽光発電量単価が最小値となる組み合わせの中で前記購入電力削減率が最大となる組み合わせを選定する。
【0011】
本発明の第4の態様に係るプログラムは、顧客IDと紐づけて、購入電力削減率及び太陽光発電量単価のデータと、太陽光発電の出力とパワーコンディショナの出力の組み合わせに係るデータを記憶した記憶部を備えたコンピュータを、初期費用と、所定期間における所定時間の間隔での購入電力量及び太陽光発電量のデータとを少なくとも受付け処理する入力処理部、前記所定時間毎に、前記太陽光発電量より前記購入電力量を差し引くことで差分を算出し、前記差分のうち正の値の前記所定期間の和を求めることで、逆潮流電力量を算出する逆潮流電力量算出部、前記所定期間における前記太陽光発電量の和より前記所定期間における前記逆潮流電力量の和を差し引き、前記所定期間における前記購入電力量の和で除算することで、購入電力削減率を算出する購入電力削減率算出部、前記初期費用を、前記所定期間における前記太陽光発電量の和から前記所定期間における前記逆潮流電力量の和を差し引いた値で除算することで、太陽光発電量単価を算出する太陽光発電量単価算出部、及び前記記憶部を参照して、前記太陽光発電量単価が最小値となる組み合わせの中で前記購入電力削減率が最大となる組み合わせを選定する選定部、として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、購入電力削減率と太陽光発電量単価との図り最適化した太陽光発電及びパワーコンディショナの出力設計を行う技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る太陽光発電最適化システムの構成図である。
【
図4】同システムによる処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1には、本発明の一実施形態に係る太陽光発電最適化システムの構成を示し説明する。
【0016】
同図に示されるように、太陽光発電最適化システムは、サーバ装置1と、ユーザの端末装置2と、情報提供サーバ装置3と、を有する。サーバ装置1と端末装置2と情報提供サーバ装置3とは、インターネット等の通信網4に無線又は有線で接続されている。ユーザの端末装置2としては、スマートフォン、タブレット端末、ノート型パーソナルコンピュータ、デスクトップ型パーソナルコンピュータ等を採用できる。
【0017】
このような構成において、サーバ装置1は、ユーザの端末装置2より送信される電力会社提供の所定時間(例えば30分、以下同じ)ごとの購入電力量のデータを受信し、情報提供サーバ3より送信される任意に設定される太陽光発電の出力と日射量データとに基づいて算出される所定時間ごとの太陽光発電量のデータを受信する。そして、太陽光発電及びパワーコンディショナ導入にかかる初期費用と、所定期間(例えば1年、以下同じ)における所定時間の間隔での購入電力量及び太陽光発電量のデータとを少なくとも受付け、これらデータを処理する。
【0018】
続いて、サーバ装置1は、所定時間毎に、太陽光発電量より購入電力量を差し引くことで差分を算出し、差分のうち正の値の所定期間の和を求めることで逆潮流電力量を算出する。次いで、所定期間における太陽光発電量の和より所定期間における逆潮流電力量の和を差し引き、所定期間における購入電力量の和で除算することで、購入電力削減率を算出する。そして、初期費用を、所定期間における太陽光発電量の和から所定期間における逆潮流電力量の和を差し引いた値で除算することで、太陽光発電量単価を算出する。こうして、購入電力削減率と太陽光発電量単価に基づいて、太陽光発電の出力とパワーコンディショナの出力の最適な組み合わせを選定する。より詳細には、太陽光発電量単価が最小値となる組み合わせの中で、購入電力削減率が最大となる組み合わせを選定する。
【0019】
図2(a)には、太陽光発電最適化システムのサーバ装置の構成を示し、
図2(b)には演算部の詳細な構成を示し、説明する。
【0020】
図2(a)に示されるように、太陽光発電最適化システムのサーバ装置1は、制御部11と、通信部12と、記憶部13とを有する。制御部11と、通信部12と、記憶部13とは、バスラインを介して通信可能に接続されている。これら構成のほか、キーボードやマウス等の入力部や、各種表示を行う液晶ディスプレイ等の表示部を有してもよい。
【0021】
通信部12は、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC;Network Interface Card)等により実現されるもので、インターネット等の通信網4と有線又は無線で接続され、端末装置2等との間で通信を行う通信インタフェースである。記憶部13は、例えばRAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスクドライブ(HDD;Hard Disc Drive)、または光ディスク装置等で実現されるもので、制御部11で実行されるプログラムを予め記憶している。また、記憶部13は、少なくとも、顧客情報記憶部14と演算用記憶部15とを有する。
【0022】
顧客情報記憶部14は、顧客IDを主キーとして、顧客の氏名又は名称、住所、電話番号、電子メールアドレス、設備設置場所、設備情報等が紐づけて記憶している。演算用記憶部15は、顧客IDを紐づけて、端末装置2より送信される電力会社提供の所定時間(例えば30分)ごとの購入電力量のデータや、情報提供サーバ3より送信される任意に設定される太陽光発電の出力と日射量データとに基づいて算出される所定時間(例えば30分)ごとの太陽光発電量のデータや、演算された逆潮流電力量、購入電力削減率、太陽光発電量単価等のデータや、選定された太陽光発電の出力とパワーコンディショナの出力の組み合わせに関わるデータ等を記憶している。
【0023】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等で構成されており、記憶部13に記憶されているプログラムを実行することで、受信部11a、入力処理部11b、演算部11c、生成部11d、及び送信部11eとして機能する。制御部11は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Array)等の集積回路で構成されてよい。
【0024】
演算部11cの詳細な構成は、
図2(b)に示される通りであり、演算部11cは、逆潮流電力量算出部11c-1、購入電力削減率算出部11c-2、太陽光発電量単価算出部11c-3、及び選定部11c-4を有している。
【0025】
このような構成において、受信部11aは、ユーザの端末装置2より送信される電力会社提供の所定時間(例えば30分、以下同じ)ごとの購入電力量のデータを受信し、情報提供サーバ3より送信される任意に設定される太陽光発電の出力と日射量データとに基づいて算出される所定時間ごとの太陽光発電量のデータを受信する。入力処理部11bは、初期費用と、所定期間(例えば1年、以下同じ)における所定時間の間隔での購入電力量及び太陽光発電量のデータとを少なくとも受付け、これらデータを処理する。
【0026】
逆潮流電力量算出部11c-1は、所定時間毎に太陽光発電量より購入電力量を差し引くことで差分を算出し、差分のうち正の値の所定期間の和を求めることで、逆潮流電力量を算出する。購入電力削減率算出部11c-2は、所定期間における太陽光発電量の和より所定期間における逆潮流電力量の和を差し引き、所定期間における購入電力量の和で除算することで、購入電力削減率を算出する。太陽光発電力単価算出部11c-3は、初期費用を、所定期間における太陽光発電量の和から所定期間における前記逆潮流電力量の和を差し引いた値で除算することで、太陽光発電量単価を算出する。
【0027】
選定部11c-4は、購入電力削減率と太陽光発電量単価に基づいて、太陽光発電の出力とパワーコンディショナの出力の最適な組み合わせを選定する。より具体的には、選定部11c-4は、太陽光発電量単価が最小となるときの、太陽光発電の出力及びパワーコンディショナの出力の組み合わせを、最適な組み合わせとして選定する。さらに具体的には、選定部11c-4は、太陽光発電量単価が最小値となる組み合わせの中で、購入電力削減率が最大となる組み合わせを選定する。
【0028】
生成部11dは、以上の演算部11cによる演算結果に関わる表示データをHTML形式等で生成する。そして、送信部11eは、表示データを、通信部12を介して、ユーザの端末装置2に送信する。
【0029】
図3には、太陽光発電最適化システムの端末装置の構成を示し説明する。
【0030】
同図に示されるように、端末装置2は、制御部21と、通信部22と、操作部23と、表示部24と、記憶部25とを有する。各部21~25は、バスライン26を介して通信自在に接続されている。
【0031】
通信部22は、例えば、NIC等により実現されるもので、インターネット等の通信網4と有線又は無線で接続され、サーバ装置1等との間で通信を行う通信インタフェースである。操作部23は、マウスやキーボード等で実現され、ユーザによる各種操作入力を受け付ける。表示部24は、液晶ディスプレイ等により実現され、各種表示を行う。尚、操作部23と表示部24とをタッチパネルとして一体に構成してもよい。記憶部25は、例えば、RAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、HDD、または光ディスク装置等で実現されるもので、制御部21で実行されるプログラムを記憶している。
【0032】
制御部21は、CPUやMPU等で実現され、記憶部25に記憶されているプログラムを実行することで、要求部21a、受信部21b、及び閲覧部21cとして機能する。なお、制御部11は、ASICやFPGA等の集積回路で構成されてよい。
【0033】
このような構成において、要求部21aは、サーバ装置1に対して、最適化に関わる演算をリクエストする。受信部21bは、サーバ装置1から送られてきた演算結果に関わる表示データをHTML形式等で受信する。そして、閲覧部21cは、表示データに基づく表示を表示部24に行い、閲覧可能とする。
【0034】
以下、
図4のフローチャートを参照して、太陽光発電最適化システムによる出力最適化に関わる処理手順を詳細に説明する。
【0035】
演算部11cが処理を開始すると、入力処理部11bは、初期費用と、所定期間(例えば1年、以下同じ)における所定時間(例えば30分、以下同じ)の間隔での購入電力量及び太陽光発電量のデータとを少なくとも受付け、これらデータを処理する(S1)。
【0036】
続いて、逆潮流電力量算出部11c-1は、所定時間毎に太陽光発電量より購入電力量を差し引くことで差分を算出し、差分のうち正の値の所定期間の和を求めることで、逆潮流電力量を算出する(S2)。そして、購入電力削減率算出部11c-2は、所定期間における太陽光発電量の和より所定期間における逆潮流電力量の和を差し引き、所定期間における購入電力量の和で除算することで、購入電力削減率を算出する(S3)。
【0037】
次いで、太陽光発電力単価算出部11c-3は、初期費用を、所定期間における太陽光発電量の和から所定期間における前記逆潮流電力量の和を差し引いた値で除算することで太陽光発電量単価を算出する(S4)。そして、選定部11c-4は、購入電力削減率と太陽光発電量単価に基づいて、太陽光発電の出力とパワーコンディショナの出力の最適な組み合わせを選定する(S5)。具体的には、選定部11c-4は、太陽光発電量単価が最小となるときの、太陽光発電の出力及びパワーコンディショナの出力の組み合わせを、最適な組み合わせとして選定する。より具体的には、選定部11c-4は、太陽光発電量単価が最小値となる組み合わせの中で、購入電力削減率が最大となる組み合わせを選定する。
【0038】
こうして、演算部11cは、演算結果を出力する(S6)。例えば、生成部11dは、以上の演算部11cによる演算結果に関わる表示データをHTML形式等で生成し、送信部11eは、表示データを、通信部12を介して、ユーザの端末装置2に送信する。
【0039】
【0040】
同図に示されるように、規定値に関わる太陽光発電(PV)出力、パワーコンディショナ(PCS)出力、過積載率、初期費用、初期費用修年数、購入電力削減率、太陽光発電量単価、購入電力量合計、太陽光発電量合計、逆潮流電力量合計、太陽光電力量合計が示されると共に、前述した演算部11cによる最適化演算により求められた規定値に関わる太陽光発電(PV)出力、パワーコンディショナ(PS)出力、過積載率、初期費用、初期費用修年数、購入電力削減率、太陽クオ発電量単価、購入電力量合計、太陽光発電量合計、逆潮流電力量合計、太陽光電力量合計が示されるようになっている。この例では、太陽光発電の出力が420、パワーコンディショナの出力が320の組み合わせが、最適な組み合わせとして提案されている。
【0041】
以上説明したように、本発明では、自家消費太陽光発電システムを設計する場合、逆潮流電力量を差し引いて、実際に自家消費できる発電量から最適な出力の組み合わせを提案する必要があることに着目し、太陽光発電量単価が最小となる組み合わせの中で購入電力削減率が最大となる太陽光発電の出力とパワーコンディショナの出力との組み合わせを選定し、顧客に提案することが可能となるので、顧客の費用対効果が最大化される。
【0042】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【0043】
例えば、上記実施形態では、所定時間として例えば30分毎に、太陽光発電量より購入電力量を差し引くことで差分を算出し、差分のうち正の値の所定期間として例えば1年の和を求めることで逆潮流電力量を算出していたが、所定時間、所定期間はこれらには限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1…サーバ装置、2…端末装置、3…外部サーバ装置、通信網、11…制御部、11a…受信部、11b…入力処理部、11c…演算部、11d…生成部、11e…送信部、22…通信部、23…記憶部、24…顧客情報DB、25…演算用DB、11c-1…逆潮流電力量算出部、11c-2…購入電力削減率算出部、11c-3…太陽光発電量単価算出部、11c-4…PV/PCS出力選定部、21…制御部、21a…要求部、21b…受信部、21c…閲覧部、22…通信部、23…操作部、24…表示部、25…記憶部、26…バスライン。