(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】管理装置、管理システム、及び管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240523BHJP
【FI】
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2020160270
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2023-08-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520371943
【氏名又は名称】株式会社ジョブシェアリングオートメーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】弁理士法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大海 英美
(72)【発明者】
【氏名】兎澤 直樹
【審査官】上田 翔太
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-154650(JP,A)
【文献】特開2005-215993(JP,A)
【文献】特開2003-058683(JP,A)
【文献】特開2004-094792(JP,A)
【文献】特開2019-082971(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2101858(KR,B1)
【文献】TELEWORK ― テレワーク ― 働き方を多様化し、労働参加率を高めるテレワーク,[online],2020年03月01日,[2023年10月13日検索],インターネット,<URL:https://web.archive.org/web/20200301043349/https://www.ni-ware.com/telework/>
【文献】田中 謙二,把握しておきたい副業・兼業についての労働保険と社会保険のリスク,企業実務,株式会社日本実業出版社,2018年07月25日,第57巻 第10号 ,p.44-47
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
労働者による複数の企業に亘る勤務日時の設定が可能な管理装置において、
前記労働者の端末装置より勤務日時の申請を受付ける受信部と、
前記勤務日時の申請に関わる承認を前記企業の端末装置に求める確認部と、
前記企業の端末装置からの承認を受けた場合に、勤務日時の設定を行う勤務日時設定部と、
前記労働者の勤怠情報を管理する勤怠管理部と、
前記勤怠情報に基づいて、前記労働者の給与、及び保険料を計算する給与計算部と、
前記勤怠情報及び前記保険料の情報に基づいて、前記複数の企業により保険料を按分する保険料案分計算部と、
前記按分に基づいて、保険料の主支払勤務先企業へ、他の勤務先企業が自社負担分を支払うように電子決済を行う決済部と、を有し、
前記勤務日時の申請に係る情報は、勤務日時と共に、出勤による勤務又は在宅による勤務の別に係る情報を含んでおり、前記勤務日時設定部は、前記勤務日時に加えて、出勤による勤務又は在宅による勤務の別を設定する
管理装置。
【請求項2】
前記保険料とは、前記労働者が前記複数の企業の少なくともいずれかの企業において正社員である場合には、社会保険料及び雇用保険料であり、前記労働者がいずれの企業においても正社員
でない場合には、雇用保険料である
請求項
1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記複数
の企業における勤務日時を一覧表の画面データとする生成部と、
前記画面データを前記労働者の端末装置、及び前記複数の企業の端末装置に送信する送信部と、を更に有する
請求項1又は請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
労働者の端末装置と、企業の端末装置と、管理装置とからなり、労働者による複数の企業に亘る勤務日時の設定が可能な管理システムにおいて、
前記労働者の端末装置は、
前記管理装置に、勤務日時の申請を行う第1送信部を備え、
前記管理装置は、
前記労働者の端末装置より勤務日時の申請を受付ける第1受信部と、
前記勤務日時の申請に関わる承認を前記企業の端末装置に求める確認部と、
前記企業の端末装置からの承認を受けた場合に、勤務日時の設定を行う勤務日時設定部と、
前記労働者の勤怠情報を管理する勤怠管理部と、
前記勤怠情報に基づいて、前記労働者の給与、及び保険料を計算する給与計算部と、
前記勤怠情報及び前記保険料の情報に基づいて、前記複数の企業により保険料を按分する保険料案分計算部と、
前記按分に基づいて、保険料の主支払勤務先企業へ、他の勤務先企業が自社負担分を支払うように電子決済を行う決済部と、を有し、
前記勤務日時の申請に係る情報は、勤務日時と共に、出勤による勤務又は在宅による勤務の別に係る情報を含んでおり、前記勤務日時設定部は、前記勤務日時に加えて、出勤による勤務又は在宅による勤務の別を設定する
管理システム。
【請求項5】
前記保険料とは、前記労働者が前記複数の企業の少なくともいずれかの企業において正社員である場合には、社会保険料及び雇用保険料であり、前記労働者がいずれの企業においても正社員
でない場合には、雇用保険料である
請求項
4に記載の管理システム。
【請求項6】
前記管理装置は、
前記複数
の企業における勤務日時を一覧表の画面データとする生成部と、
前記画面データを前記労働者の端末装置、及び前記複数の企業の端末装置に送信する第2送信部と、を更に備え、
前記労働者の端末装置は、
前記画面データを受信する第2受信部と、
前記画面データに基づく表示を行う表示部と、を更に備える
請求項4又は請求項5に記載の管理システム。
【請求項7】
労働者の端末装置と、企業の端末装置と、管理装置とからなり、労働者による複数の企業に亘る勤務日時の設定が可能な管理システムによる方法において、
前記労働者の端末装置では、
第1送信部が、前記管理装置に、勤務日時の申請を行い、
前記管理装置では、
第1受信部が、前記労働者の端末装置より勤務日時の申請を受付け、
確認部が、前記勤務日時の申請に関わる承認を前記企業の端末装置に求め、
勤務日時設定部が、前記企業の端末装置からの承認を受けた場合に、勤務日時の設定を行い、
勤怠管理部が、前記労働者の勤怠情報を管理し、
給与計算部が、前記勤怠情報に基づいて、前記労働者の給与、及び保険料を計算し、
保険料案分計算部が、前記勤怠情報及び前記保険料の情報に基づいて、前記複数の企業により保険料を按分し、
決済部が、前記按分に基づいて、保険料の主支払勤務先企業へ、他の勤務先企業が自社負担分を支払うように電子決済を行い、
前記勤務日時の申請に係る情報は、勤務日時と共に、出勤による勤務又は在宅による勤務の別に係る情報を含んでおり、前記勤務日時設定部は、前記勤務日時に加えて、出勤による勤務又は在宅による勤務の別を設定する
管理方法。
【請求項8】
前記保険料とは、前記労働者が前記複数の企業の少なくともいずれかの企業において正社員である場合には、社会保険料及び雇用保険料であり、前記労働者がいずれの企業においても正社員
でない場合には、雇用保険料である
請求項
7に記載の管理方法。
【請求項9】
前記管理装置では、
生成部が、前記複数
の企業における勤務日時を一覧表の画面データとし、
第2送信部が、前記画面データを前記労働者の端末装置、及び前記複数の企業の端末装置に送信し、
前記労働者の端末装置では、
第2受信部が、前記画面データを受信し、
表示部が、前記画面データに基づく表示を行う
請求項7又は請求項8に記載の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、労働者による複数の企業に亘る勤務時間の申請を受付け管理し、当該労働者の保険料を勤務先の複数企業で按分する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICT社会の進展により、シフト勤務のスケジュール等についても、従業員は自己の端末装置で実施することができ、その管理についても、サーバ装置側で統括的に実施されているのが実状である。このようなシフト勤務のスケジューリングをより簡便にするために、種々の技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、シフト勤務のスケジュールを決定する際に満たす必要がある条件である必須条件、シフト勤務のスケジュールを決定する際に満たすことが好ましい条件である希望条件、及び希望条件の優先度を設定する条件設定部と、従業員ごとのシフト勤務の希望日時を受け付けるシフト希望受付部と、配属グループ、時間帯及び人数が設定された一つ以上のシフト枠に基づいて、従業員ごとのシフト勤務の日時を決定するシスト決定部とを備えたシフト決定装置が開示されている。同装置では、シスト決定部は、必須条件を満たしつつ、希望条件を満たす度合いが高くなるように、シフト勤務の組み合わせを変更することを、所定回数繰り返すことによって、シフト勤務の組み合わせの最適解を探索する探索処理を実行する。
【0004】
さらに、特許文献2では、設定した時間枠に割り当てる勤務者を決定することにより勤務シフトを作成する勤務シフト作成装置であって、他の勤務者との関係性を表す関係性データを含む勤務者毎の属性情報を取得する取得部と、取得部にて取得した属性情報に基づき、時間枠に割り当てる勤務者の組み合わせを評価する評価部と、評価部による評価結果に基づき、時間枠に割り当てる勤務者の組み合わせを決定する決定部とを備える勤務シフト作成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-101551号公報
【文献】国際公開番号WO2020/067137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2では、一人の労働者が複数の企業に亘る勤務時間の申請を行い、それを企業側が承認することで勤務時間の設定及び管理を行う点や、当該労働者の社会保険料や雇用保険料等を、勤務先の複数企業で按分する点は、何ら開示も示唆もされていない。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、労働者による複数の企業に亘る勤務時間の申請を受付け管理し、当該労働者の保険料を勤務先の複数企業で按分する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る管理装置は、労働者による複数の企業に亘る勤務日時の設定が可能な管理装置において、前記労働者の端末装置より勤務日時の申請を受付ける受信部と、前記勤務日時の申請に関わる承認を前記企業の端末装置に求める確認部と、前記企業の端末装置からの承認を受けた場合に、勤務日時の設定を行う勤務日時設定部と、前記労働者の勤怠情報を管理する勤怠管理部と、前記勤怠情報に基づいて、前記労働者の給与、及び保険料を計算する給与計算部と、前記勤怠情報及び前記保険料の情報に基づいて、前記複数の企業により保険料を按分する保険料案分計算部と、前記按分に基づいて、保険料の主支払勤務先企業へ、他の勤務先企業が自社負担分を支払うように電子決済を行う決済部と、を有し、前記勤務日時の申請に係る情報は、勤務日時と共に、出勤による勤務又は在宅による勤務の別に係る情報を含んでおり、前記勤務日時設定部は、前記勤務日時に加えて、出勤による勤務又は在宅による勤務の別を設定する。
【0010】
本発明の第2の態様に係る管理装置は、第1の態様において、前記労働者が前記複数の企業の少なくともいずれかの企業において正社員である場合には、社会保険料及び雇用保険料であり、前記労働者がいずれの企業においても正社員でない場合には、雇用保険料である。
【0011】
本発明の第3の態様に係る管理装置は、第1又は第2の態様において、前記複数の企業における勤務日時を一覧表の画面データとする生成部と、前記画面データを前記労働者の端末装置、及び前記複数の企業の端末装置に送信する送信部と、を更に有する。
【0013】
本発明の第4の態様に係る管理システムは、労働者の端末装置と、企業の端末装置と、管理装置とからなり、労働者による複数の企業に亘る勤務日時の設定が可能な管理システムにおいて、前記労働者の端末装置は、前記管理装置に、勤務日時の申請を行う第1送信部を備え、前記管理装置は、前記労働者の端末装置より勤務日時の申請を受付ける第1受信部と、前記勤務日時の申請に関わる承認を前記企業の端末装置に求める確認部と、前記企業の端末装置からの承認を受けた場合に、勤務日時の設定を行う勤務日時設定部と、前記労働者の勤怠情報を管理する勤怠管理部と、前記勤怠情報に基づいて、前記労働者の給与、及び保険料を計算する給与計算部と、前記勤怠情報及び前記保険料の情報に基づいて、前記複数の企業により保険料を按分する保険料案分計算部と、前記按分に基づいて、保険料の主支払勤務先企業へ、他の勤務先企業が自社負担分を支払うように電子決済を行う決済部と、を有し、前記勤務日時の申請に係る情報は、勤務日時と共に、出勤による勤務又は在宅による勤務の別に係る情報を含んでおり、前記勤務日時設定部は、前記勤務日時に加えて、出勤による勤務又は在宅による勤務の別を設定する。
【0015】
本発明の第5の態様に係る管理システムは、第4の態様において、前記保険料とは、前記労働者が前記複数の企業の少なくともいずれかの企業において正社員である場合には、社会保険料及び雇用保険料であり、前記労働者がいずれの企業においても正社員でない場合には、雇用保険料である。
【0016】
本発明の第6の態様に係る管理システムは、第4又は第5の態様において、前記管理装置は、前記複数の企業における勤務日時を一覧表の画面データとする生成部と、前記画面データを前記労働者の端末装置、及び前記複数の企業の端末装置に送信する第2送信部と、を更に備え、前記労働者の端末装置は、前記画面データを受信する第2受信部と、前記画面データに基づく表示を行う表示部と、を更に備える。
【0018】
本発明の第7の態様に係る管理方法は、労働者の端末装置と、企業の端末装置と、管理装置とからなり、労働者による複数の企業に亘る勤務日時の設定が可能な管理システムによる方法において、前記労働者の端末装置では、第1送信部が、前記管理装置に、勤務日時の申請を行い、前記管理装置では、第1受信部が、前記労働者の端末装置より勤務日時の申請を受付け、確認部が、前記勤務日時の申請に関わる承認を前記企業の端末装置に求め、勤務日時設定部が、前記企業の端末装置からの承認を受けた場合に、勤務日時の設定を行い、勤怠管理部が、前記労働者の勤怠情報を管理し、給与計算部が、前記勤怠情報に基づいて、前記労働者の給与、及び保険料を計算し、保険料案分計算部が、前記勤怠情報及び前記保険料の情報に基づいて、前記複数の企業により保険料を按分し、決済部が、前記按分に基づいて、保険料の主支払勤務先企業へ、他の勤務先企業が自社負担分を支払うように電子決済を行い、前記勤務日時の申請に係る情報は、勤務日時と共に、出勤による勤務又は在宅による勤務の別に係る情報を含んでおり、前記勤務日時設定部は、前記勤務日時に加えて、出勤による勤務又は在宅による勤務の別を設定する。
【0020】
本発明の第8の態様に係る管理方法は、第7の態様において、前記保険料とは、前記労働者が前記複数の企業の少なくともいずれかの企業において正社員である場合には、社会保険料及び雇用保険料であり、前記労働者がいずれの企業においても正社員でない場合には、雇用保険料である。
【0021】
本発明の第9の態様に係る管理方法は、第7又は第8の態様において、前記管理装置では、生成部が、前記複数の企業における勤務日時を一覧表の画面データとし、第2送信部が、前記画面データを前記労働者の端末装置、及び前記複数の企業の端末装置に送信し、前記労働者の端末装置では、第2受信部が、前記画面データを受信し、表示部が、前記画面データに基づく表示を行う。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、労働者による複数の企業に亘る勤務時間の申請を受付け管理し、当該労働者の保険料を勤務先の複数企業で按分する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係る管理システムの構成図である。
【
図4】管理装置による保険料案分に関わる処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】同システムによる出勤日設定に係る処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】出勤スケジュール確認画面の表示例である。
【
図11】同システムにより出向処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0026】
図1には、本発明の実施形態に係る管理システムの構成を示し説明する。
【0027】
同図に示されるように、管理システムは、管理装置1と、労働者の端末装置2と、勤務先企業の端末装置3とが、インターネット等の通信網4を介して、無線又は有線で接続されて、構成されている。管理装置1としては、サーバ装置やパーソナルコンピュータを採用することができる。労働者の端末装置2、勤務先企業の端末装置3としては、スマートフォンやタブレット端末、ノート型パーソナルコンピュータ、デスクトップ型パーソナルコンピュータ等を採用することができる。
【0028】
このような構成において、この管理システムでは、労働者の端末装置2による複数の企業に亘る勤務日時の設定が可能となっている。この複数企業に亘る勤務については、一の企業を出向元企業、他の企業を出向先企業としていることが前提となる。すなわち、一の企業と他の企業との間で出向に関わる契約が締結されていることが前提となる。管理装置1は、労働者の端末装置2より勤務日時の申請を受付けると、勤務日時の申請に関わる承認を企業の端末装置3に求め、企業の端末装置3からの承認を受けた場合に、勤務日時の設定を行う。この勤務日時の申請に係る情報は、勤務日時と共に、出勤による勤務又は在宅による勤務の別に係る情報を含んでおり、勤務日時の設定に際しては、勤務日時に加えて、出勤による勤務又は在宅による勤務の別を設定する。
【0029】
また、管理装置1は、労働者の勤怠情報を管理しており、勤怠情報に基づいて、労働者の給与、及び保険料を計算し、勤怠情報及び保険料の情報に基づいて、複数の企業により保険料を按分する。そして、按分した保険料を、出向先の企業が出向元の企業に支払うように管理装置1側で決済をするようになっている。ここで、保険料とは、労働者が前記複数の企業の少なくともいずれかの企業において正社員である場合には、社会保険料及び雇用保険料であり、労働者がいずれの企業においても正社員出ない場合には、雇用保険料である。
【0030】
管理装置1は、複数企業における勤務日時を一覧表の画面データとして生成し、画面データを労働者の端末装置2、及び複数の企業の端末装置3に送信する。これにより、各端末装置2,3では、労働者の複数企業に亘る勤務スケジュールが、出勤による勤務、在宅による勤務を交えて、一覧表で確認可能となる。
【0031】
図2には、同システムの管理装置の構成を示し説明する。
【0032】
同図に示されるように、管理装置1は、制御部11と、通信部12と、記憶部13とを有する。制御部11と、通信部12と、記憶部13とは、バスライン19を介して通信可能に接続されている。これら構成のほか、キーボードやマウス等の入力部や、各種表示を行う液晶ディスプレイ等の表示部を有してもよい。通信部12は、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC;Network Interface Card)等により実現されるもので、インターネット等の通信網4と有線又は無線で接続され、端末装置2、3等との間で通信を行う通信インタフェースである。記憶部13は、例えば、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスクドライブ(HDD;Hard Disc Drive)、または光ディスク装置等で実現されるもので、制御部11で実行されるプログラムを予め記憶している。また、記憶部13は、ユーザ情報記憶部14と勤怠情報記憶部15と給与情報記憶部16と按分情報記憶部17と出向情報記憶部18を有する。
【0033】
ユーザ情報記憶部14は、ユーザである労働者の属性情報等を記憶している。より詳細には、ユーザIDと紐づけて、氏名、住所、年齢、性別、メールアドレス、給与振り込み先口座等を記憶している。勤怠情報記憶部15は、ユーザIDと紐づけて、ユーザである労働者の全ての勤務先に関わる勤怠情報、即ち、各月の勤務日時、出勤日数、労働時間、残業時間、深夜残業時間、労働時間比等を記憶している。給与情報記憶部16は、ユーザIDと紐づけて、全ての勤務先に関わる各月の時給、給与、残業手当、時間外手当、通勤手当などを記憶している。按分情報記憶部17は、ユーザIDと紐づけて、各月について労働時間比率に基づいて計算された保険料の按分金額が記憶されている。出向情報記憶部18は出向情報を記憶している。
【0034】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等で実現され、記憶部13に記憶されているプログラムを実行することで、勤務日時設定部11a、休暇設定部11b、勤怠管理部11c、給与計算部11d、保険料案分計算部11e、決済部11f、生成部11g、送信部11h、受信部11i、確認部11j、及び出向処理部11kとして機能する。制御部11は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Array)等の集積回路で構成されてよい。
【0035】
このような構成において、受信部11iは、労働者の端末装置2より勤務日時の申請を受付ける。確認部11jは、この勤務日時の申請に関わる承認を企業の端末装置3に求める。勤務日時設定部11aは、企業の端末装置3からの承認を受けた場合に、勤務日時の設定を行う。ここで、勤務日時の申請に係る情報は、勤務日時と共に、出勤による勤務又は在宅による勤務の別に係る情報を含んでおり、勤務日時設定部11aは、勤務日時に加えて、出勤による勤務又は在宅による勤務の別を設定する。この設定された情報は、勤怠情報記憶部15に記憶される。休暇設定部11bは、勤務日時設定部11aによる勤務日時の設定と同じように、労働者の端末装置2からの休暇の申請を受付け、企業の端末装置3による承認を受け、休暇の設定を行う。この休暇の情報も、勤怠情報記憶部15に記憶される。
【0036】
勤怠管理部11cは、労働者の勤怠情報を管理する。具体的には、各月の出勤日時、出勤日数、労働時間、残業時間、深夜残業時間、複数企業での勤怠における各企業の労働時間比率等を、勤怠情報記憶部15で管理している。給与計算部11dは、勤怠情報等に基づいて、労働者の給与、及び保険料を計算する。具体的には、各勤務先での時給に基づいて、給与、残業手当、時間外手当、通勤手当等を計算し、給与情報記憶部16に記憶することになる。
【0037】
保険料按分計算部11eは、勤怠情報及び保険料の情報に基づいて、複数の勤務先企業により保険料を按分する。ここで、保険料とは、労働者が前記複数の企業の少なくともいずれかの企業において正社員である場合には、社会保険料及び雇用保険料であり、労働者がいずれの企業においても正社員出ない場合には、雇用保険料である。そして、決済部11fは、この按分に基づいて、保険料の主支払勤務先企業へ、他の勤務先企業が自社負担分を支払うように電子決済を行う。
【0038】
生成部11gは、複数企業における勤務日時を一覧表の画面データとしてHTML型式等による生成する。送信部11hは、この画面データを労働者の端末装置2、及び複数の企業の端末装置3に送信する。出向処理部11kは、企業からの出向に関わるリクエストを受けて、出向元の企業に出向の可否を打診し、しかるべき出向社員の選定を促し、出向情報を受け付け、当該出向情報に基づく出向を打診をした企業が了承する確認し、了承した場合に、出向情報記憶部18の出向情報を更新する。
【0039】
図3には、同システムの端末装置の構成を示し説明する。ここでは、労働者であるユーザの端末装置2の構成を例示するが、企業の端末装置3も同種の構成である。
【0040】
同図に示されるように、端末装置2は、制御部21と、通信部22と、操作部23と、表示部24と、記憶部25とを有する。各部21~25は、バスライン26を介して通信自在に接続されている。
【0041】
通信部22は、例えばNIC等により実現されるもので、通信網4と有線又は無線で接続され、コンテンツ配信装置1等との間で通信を行う通信インタフェースである。操作部23は、マウスやキーボード等で実現され、ユーザによる各種操作入力を受け付ける。表示部24は、液晶ディスプレイ等により実現され、各種表示を行う。尚、操作部23と表示部24とをタッチパネルとして一体に構成してもよい。記憶部25は、例えば、RAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、HDD、または光ディスク装置等で実現されるもので、制御部21で実行されるプログラムを記憶している。
【0042】
制御部21は、CPUやMPU等で実現され、記憶部25に記憶されているプログラムを実行することで、受信部21a、閲覧部21b、送信部21cとして機能する。制御部21は、ASICやFPGA等の集積回路で構成されてよい。
【0043】
このような構成において、受信部21aは、管理装置1から送られてきたHTML形式等の画面データを受信する。閲覧部21bは、画面データに基づいて、表示部24に表示を行い、閲覧可能とする。そして、送信部21cは、勤務や休暇の申請等を管理装置1に対して送信する。
【0044】
以下、
図4のフローチャートを参照して、管理装置による保険料案分に関わる処理手順を詳細に説明する。
【0045】
処理を開始すると、給与計算部11dは、勤怠情報記憶部15より勤怠情報を読み出す(S1)。より具体的には、給与計算部11dは、勤怠情報として、各月の出勤日時、出勤日数、労働時間、残業時間、深夜残業時間、複数企業での勤怠における各企業の労働時間比率等を読み出す。
【0046】
そして、給与計算部11dは、時給や勤怠情報等に基づいて、労働者の給与、及び保険料を計算する(S2)。より具体的には、給与計算部11dは、各勤務先での時給、勤怠情報に基づいて、給与、残業手当、時間外手当、通勤手当等を計算し、給与情報記憶部16に記憶する。
【0047】
続いて、保険料按分計算部11eは、勤怠情報及び保険料の情報に基づいて、複数の勤務先企業により保険料を按分する(S3)。ここで、保険料とは、労働者が前記複数の企業の少なくともいずれかの企業において正社員である場合には、社会保険料及び雇用保険料であり、労働者がいずれの企業においても正社員出ない場合には、雇用保険料である。そして、決済部11fは、この按分に基づいて、保険料の主支払勤務先企業へ、他の勤務先企業が自社負担分を支払うように電子決済を行う(S4)。こうして、一連の処理を終了することになる。
【0048】
ここで、
図5、
図6には処理結果である給与明細に係る表示例を示し説明する。
【0049】
図5に示す例は、労働者が、少なくとも1つの企業で正社員となっている場合の給与明細を示している。同図に示されるように、この例では、主勤務先(正社員)の企業Aのほか、企業B、Cでも勤務を行っている。各企業における勤務日時が一覧形式で示されると共に、勤怠情報、給与情報、及び按分情報が提示される。この例では、主勤務先が企業Aであるので、他の企業B,企業Cは、労働時間比率に基づいて計算された保険料の按分額を企業Aに支払うことが明記されることになる。
【0050】
一方、
図6に示す例は、労働者が、いずれの企業でも正社員となっていない場合の給与明細を示している。同図に示されるように、この例では、企業A、企業B、及び企業Cで勤務しているが非正規である。各企業における勤務日時が一覧形式で示されると共に、勤怠情報、給与情報、及び按分情報が提示される。この例では、主勤務(正社員)先がないので、雇用保険料のみが労働時間比率に基づいて企業A,B,Cで按分され、按分額が明記されることになる。
【0051】
次に、
図7のフローチャートを参照して、同システムによる出勤日設定に係る処理手順を詳細に説明する。ここでは、
図8(a)、
図8(b)、
図9(a)、
図9(b)の表示例を適宜参照しつつ説明を進める。
【0052】
労働者の端末装置2は、管理装置1にアクセスして、
図8(a)、
図8(b)に示されるような画面を閲覧部21bの制御により表示部24に表示する(S11)。詳細には、
図8(a)は休暇申請欄を選択したときの画面表示例であり、休暇種類、期間等を入力することができる。一方、
図8(b)は、勤務時間変更の選択したときの画面表示例であり、日程と出勤時間及び退勤時間等を入力することができる。この画面で入力が行われると、出勤日時等に関わる申請を送信部21cが管理装置1に送信する(S12)。
【0053】
管理装置1では、受信部11iが、この申請を受付け(S13)、確認部11jが、企業側に確認を要請する(S14)。企業側の端末装置3は、この確認の要請を受信部21aが受信し、閲覧部21bの制御の下、表示部24に画面表示を行う(S16)。
【0054】
この画面表示例は、
図9(a)、
図9(b)に示される通りである。休暇申請の確認の際には、
図9(a)に示される画面が表示され、休暇種類と期間が提示される。一方、、時間変更の確認の際には、
図9(b)に示される画面が表示され、日程と出勤時間、退勤時間変更が提示される。
【0055】
そして、企業の端末装置3では、操作部23の操作の下、承認又は却下ボタンが選択されると(S17)、承認又は却下を示す情報が送信部21cにより管理装置1に送信されることになる(S18)。こうして、管理装置1は、企業の端末装置3から送られてきた承認又は却下を示す情報を受信部11iが受信し(S19)、勤務日程設定部11aが、勤務スケジュールを更新することになる。
【0056】
図10には、出勤スケジュール確認画面の表示例を示し説明する。
【0057】
前述したようにして設定された勤務スケジュールは、労働者の端末装置2、企業の端末装置3の双方で随時確認可能となっており、複数企業に亘る勤務日時、勤務時間、企業側の承認/未承認の別が確認可能となる。
【0058】
最後に、
図11のフローチャートを参照して、企業の端末装置間で、出向に関わる契約を締結する電子的な処理の流れを詳細に説明する。
【0059】
出向先のB社の端末装置3Bは、送信部21cが、出向要求を管理装置1に送信する(S21)。管理装置1では、この出向要求を受信部11iが受け付け(S22),出向処理部11kが、出向確認を出向元のA社の端末装置3Aに送信する(S23)。A社の端末装置3Aは、受信部21aが、この出向確認の通知を受け付け(S24)、出向可否及び出向者の特定が操作部23の操作によりなされると(S25)、送信部21cが、出向情報を管理装置1に送信する(S26)。管理装置1では、出向情報を受信部11iが受信すると(S27)、出向処理部11kが、出向情報をB社の端末装置3Bに送信する(S28)。
【0060】
B社の端末装置3では、受信部21aが、出向情報を受信し(S29)、閲覧部21bの制御の下、表示部24に出向情報を表示する(S30)。そして、操作部23の操作により承諾が指示されると、送信部21cがその旨を管理装置1に送信する(S31)。管理装置1では、承諾の通知を受信部11iが受信し(S32)、出向処理部11kが、出向情報記憶部18に出向情報を登録し(S33)、確認通知を各社の端末装置3A,3Bに送信する(S34)。各社の端末装置3A,3Bは、確認通知を受信部21aが受信し、閲覧部21bの制御の下、表示部24に表示する(S35,S36)。こうして、出向に関わる契約を締結する一連の流れを終了する。
【0061】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る管理システムによれば、複数企業にわたる勤務について、労働者が自由にスケジュールを組み、企業側の承認を受けることで、シフトを組むことが可能となる。このとき、複数企業に亘る勤務スケジュールは、一覧で表示されることから、労働者は、自己の勤務スケジュールを的確に把握できる。この勤務については、出勤による勤務、リモート勤務を自由に申請することができる。
【0062】
また、複数企業にわたる勤務の実態に即して、社会保険料や雇用保険料等を当該複数の企業で按分することが可能となる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【0064】
例えば、前述した実施形態では、労働時間比率に基づいて、保険料を按分する例を示したが、これに限定されず、企業間で取り決めたルールに基づいて、算定式を定めて、保険料を按分するようにしてもよい。また、上記実施形態では、出向契約が企業間であることを前提としていたが、税法改正などにより、出向契約を前提としなくても、保険料などの按分が可能となった場合には、当該前提は外してよい。
【符号の説明】
【0065】
1…管理装置、2…労働者の端末装置、3…企業の端末装置、4…通信網、11…制御部、11a…勤務日時設定部、11b…休暇設定部、11c…勤怠管理部、11d…給与計算部、11e…保険料案分計算部、11f…決済部、11g…生成部、11h…送信部、11i…受信部、11j…確認部、11k…出向処理部、12…通信部、13…記憶部、14…ユーザ情報記憶部、15…勤怠情報記憶部、16…給与情報記憶部、17…按分情報記憶部、18…出向情報記憶部、19…バスライン、21…制御部、21a…受信部、21b…閲覧部、21c…送信部、22…通信部、23…操作部、24…表示部、25…記憶部、26…バスライン。