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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/235 20240101AFI20240523BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
B60K35/235
G02B27/01
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020164316
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022056520
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】濱田 一成
(72)【発明者】
【氏名】猪坂 雄治
(72)【発明者】
【氏名】秦 誠
(72)【発明者】
【氏名】笠原 毅
(72)【発明者】
【氏名】高橋 悠樹
【審査官】角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-132005(JP,A)
【文献】米国特許第10747314(US,B1)
【文献】特開2011-152883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/20
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
G02B 27/00-30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示光投影手段からの表示光を反射鏡で反射させて反射透光部材に投影し、前記反射透光部材を透過する実景に重ねて前記反射透光部材に反射された表示光により虚像を生成して表示するとともに、車両の利用者に対し、赤外光照射手段からの赤外光を照射し、前記利用者を撮像手段で撮像する車両用表示装置であって
記表示光投影手段、前記反射鏡及び前記撮像手段を収容する筐体を備え、
前記撮像手段は、前記筐体において前記反射鏡に対して前記反射透光部材の側と反対側でなく、且つ、前記反射鏡から前記反射透光部材までの表示光の光路と重ならない位置に設けられ
さらに前記撮像手段は、前記筐体において前記車両の車幅方向中央側に設けられていることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
表示光投影手段からの表示光を反射鏡で反射させて反射透光部材に投影し、前記反射透光部材を透過する実景に重ねて前記反射透光部材に反射された表示光により虚像を生成して表示するとともに、車両の利用者に対し、赤外光照射手段からの赤外光を照射し、前記利用者を撮像手段で撮像する車両用表示装置であって、
前記表示光投影手段、前記赤外光照射手段、前記反射鏡及び前記撮像手段を収容する筐体を備え、
前記赤外光照射手段は、前記筐体において前記反射鏡に対して前記反射透光部材の側と反対側でなく、且つ、前記反射鏡から前記反射透光部材までの表示光の光路と重ならない位置に設けられ、
前記撮像手段は、前記筐体において前記車両の車幅方向一端側に設けられ、前記赤外光照射手段は、前記筐体において前記車両の車幅方向他端側に設けられていることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項3】
前記撮像手段の光軸の前記反射透光部材との交点は、前記表示光の中心光路の前記反射透光部材における反射点よりも上方に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記筐体には、前記撮像手段に対して前記反射透光部材の側に可視光を遮光して赤外光を透過させる遮蔽部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記筐体には、前記表示光投影手段からの表示光、前記赤外光照射手段からの赤外光及び前記利用者で反射されて前記撮像手段が受光する赤外光が透過する透光部材が設けられ、
前記透光部材の板面に垂直な垂直面と、前記垂直面に直交し所定の鋭角値にて前記板面と交差する平面と、が重なる部位に前記赤外光照射手段の光軸が位置し、前記撮像手段は前記平面と前記透光部材との間の領域に設けられていることを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記赤外光照射手段と前記撮像手段との間には、赤外光を遮光する遮光部材が設けられていることを特徴とする請求項に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントウインドシールドやコンバイナ等に虚像を表示するとともに、利用者を撮像可能なヘッドアップディスプレイ装置等の車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロントウインドシールドやコンバイナ等の反射透光部材を透過する実景(車両前方の風景)に重ねて、その反射透光部材に反射された表示光により虚像を生成して表示するヘッドアップディスプレイ装置は、車両の運転者等の利用者の視線移動を極力抑えつつ、利用者が所望する情報を虚像により提供することによって、安全で快適な車両運行に寄与する。
【0003】
また、ヘッドアップディスプレイ装置には、利用者に赤外光を照射して利用者を撮像し、その撮像画像に基づいて利用者の状態把握に供するものがある。
【0004】
例えば特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイ装置は、表示手段から発せられる可視光をコンバイナ部材にて利用者に向けて反射して表示像を結像してなるもので、利用者に向けて赤外線を照射する赤外線照射手段と、表示手段から発せられる可視光をコンバイナ部材に向けて反射し、利用者及びコンバイナ部材にて反射される赤外線を透過するミラー部材と、ミラー部材を透過する赤外線を感受して利用者をそれぞれ異なる方向から撮像する複数の撮像手段と、撮像手段によって撮像された画像に基づいて利用者の目の位置を算出する画像処理手段とを備え、利用者の目の位置を精度良く算出することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-126984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイ装置のように、撮像手段を反射鏡(ミラー部材)の裏側(反射鏡に対して利用者及びコンバイナ部材の側と反対側)に設置する場合には、反射鏡が可視光を反射して赤外光を透過させるものでなければならず、その製造コストが高額になるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、反射鏡が赤外光を透過させる必要がない車両用表示装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、表示光投影手段からの表示光を反射鏡で反射させて反射透光部材に投影し、前記反射透光部材を透過する実景に重ねて前記反射透光部材に反射された表示光により虚像を生成して表示するとともに、車両の利用者に対し、赤外光照射手段からの赤外光を照射し、前記利用者を撮像手段で撮像する車両用表示装置であって、前記表示光投影手段、前記反射鏡及び前記撮像手段を収容する筐体を備え、前記撮像手段は、前記筐体において前記反射鏡に対して前記反射透光部材の側と反対側でなく、且つ、前記反射鏡から前記反射透光部材までの表示光の光路と重ならない位置に設けられて、さらに前記撮像手段は、前記筐体において前記車両の車幅方向中央側に設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、表示光投影手段からの表示光を反射鏡で反射させて反射透光部材に投影し、前記反射透光部材を透過する実景に重ねて前記反射透光部材に反射された表示光により虚像を生成して表示するとともに、車両の利用者に対し、赤外光照射手段からの赤外光を照射し、前記利用者を撮像手段で撮像する車両用表示装置であって、前記表示光投影手段、前記赤外光照射手段、前記反射鏡及び前記撮像手段を収容する筐体を備え、前記赤外光照射手段は、前記筐体において前記反射鏡に対して前記反射透光部材の側と反対側でなく、且つ、前記反射鏡から前記反射透光部材までの表示光の光路と重ならない位置に設けられ、前記撮像手段は、前記筐体において前記車両の車幅方向一端側に設けられ、前記赤外光照射手段は、前記筐体において前記車両の車幅方向他端側に設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、前記撮像手段の光軸の前記反射透光部材との交点は、前記表示光の中心光路の前記反射透光部材における反射点よりも上方に位置してもよい。
【0011】
前記筐体には、前記撮像手段に対して前記反射透光部材の側に可視光を遮光して赤外光を透過させる遮蔽部材が設けられてもよい。
【0012】
あるいは、前記筐体には、前記表示光投影手段からの表示光、前記赤外光照射手段からの赤外光及び前記利用者で反射されて前記撮像手段が受光する赤外光が透過する透光部材が設けられ、前記透光部材の板面に垂直な垂直面と、前記垂直面に直交し所定の鋭角値にて前記板面と交差する平面と、が重なる部位に前記赤外光照射手段の光軸が位置し、前記撮像手段は前記平面と前記透光部材との間の領域に設けられてもよい。
【0014】
記赤外光照射手段と前記撮像手段との間には、赤外光を遮光する遮光部材が設けられてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両用表示装置において反射鏡が赤外光を透過させる必要がないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】発明を実施するための形態に係るヘッドアップディスプレイ装置が設けられた車両を示す説明図である。
図2図1のヘッドアップディスプレイ装置を平面視で示す説明図である。
図3図2のA-A線に沿った断面図である。
図4図1のヘッドアップディスプレイ装置においてカメラが設けられている領域を示す説明図である。
図5】(a)は図2のB-B線に沿った断面図、(b)は(a)のカメラの位置を変えた構成を示す説明図である。
図6】発明を実施するための形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の他の例を平面視で示す説明図である。
図7】(a)は図6のC-C線に沿った断面図、(b)は(a)のカメラの位置を変えた構成を示す説明図である。
図8】発明を実施するための形態に係るヘッドアップディスプレイ装置のさらに他の例を平面視で示す説明図である。
図9図8のE-E線に沿った断面図である。
図10図5(a)の赤外光照射ユニットとカメラとの間に遮光板を設けた構成を示す断面図である。
図11図7(a)の赤外光照射ユニットとカメラとの間に遮光板を設けた構成を示す断面図である。
図12図9の赤外光照射ユニットとカメラとの間に遮光板を設けた構成を示す断面図である。
図13】遮光板が短い構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態に係る車両用表示装置としてのヘッドアップディスプレイ装置(HUD)1は、車両2のフロントウインドシールド3の下方にあるインストルメントパネル4の内部に設けられ、フロントウインドシールド3の一部に可視光である表示光Lを投影する。表示光Lは、フロントウインドシールド3に反射されて虚像Vを生成し、ステアリングホイール5の後方の図示を略す運転席に座る運転者Dにフロントウインドシールド3を透過する実景に重ねて虚像Vを視認させる。
【0019】
また、HUD1は、運転者Dの状態をモニターするDMS(ドライバーモニタリングシステム)の機能を持ち、運転者Dに赤外光Lを投影して運転者Dを撮像する。
【0020】
詳細には、HUD1は、黒色のABS樹脂等により成形されて外光の侵入が防止されたハウジング6に覆われて外部と区画され、ハウジング6にはポリカーボネート等からなる透明なカバーガラス(透明部材)7が取り付けられた開口部8が形成されている。ハウジング6の内部には、表示器ユニット9と、平面鏡10と、凹面鏡11と、赤外光照射ユニット12と、カメラ13と、不可視部としての遮蔽片14とが保持・収容されている。
【0021】
表示器ユニット9は、光源及び液晶パネル等からなる表示器15が設けられ、表示器15から可視光である映像光(表示光L)を投影表示する。平面鏡10は、平面部分を有するように成形されたガラスにアルミニウム等の金属や誘電体多層膜を蒸着してなり、可視光を単純に反射する。凹面鏡11は、凹面部分を有するように成形されたポリカーボネート等の樹脂にアルミニウム等の金属を蒸着してなり、可視光を拡大して反射する。
【0022】
赤外光照射ユニット12は、図2及び図3に示すように、ハウジング6においてカバーガラス7の下方で車両2の車幅方向中央側に設けられ、発光ダイオードからなる光源が発する赤外光(近赤外線)を遮蔽片14及びカバーガラス7を通してフロントウインドシールド3に向けて照射する。
【0023】
一方、カメラ13は、ハウジング6においてカバーガラス7の下方で車両2の車幅方向中央側、且つ、赤外光照射ユニット12の前方に設けられ、赤外照射ユニット12から照射される波長帯の赤外光に感度を有する撮像素子、及び、赤外光を透過してその撮像素子に結像させ得るレンズを備えて近赤外線画像を撮影する。
【0024】
赤外光照射ユニット12及びカメラ13は、いずれも、平面鏡10の裏側(平面鏡10に対してフロントウインドシールド3の側と反対側)でなく、且つ、平面鏡10からフロントウインドシールド3までの表示光Lの光路Pと重ならない位置に設けられ、カメラ13の光軸O(カメラ13の中心光路で、この光路上にある点がカメラ画角の中心に撮像される。なお、光軸Oは、設計上定まっているアイポイントの中心に向かうように設置され、アイボックス(虚像が視認される範囲)全体がカメラ画角に収まっていれば、その向きは限定されない。)のフロントウインドシールド3との交点xが、表示光Lの光路Pの中心O(表示光Lの中心光路で、この光路を通る光が虚像Vの中心を生成する。)のフロントウインドシールド3における反射点yよりも上方に位置する。
【0025】
また、カメラ13は、図4に示すように、赤外光照射ユニット12の光軸Oを含みカバーガラス7に垂直な垂直面Sに直交する平面Sとカバーガラス7との間の領域Rに設けられている。一般に、赤外光照射ユニット12の光軸Oは、赤外光照射ユニット12から後方かつ上方に延びるので、平面Sがカバーガラス7と交わる角度θは90°以下で、この角度θの範囲が領域Rとなる。
【0026】
また、本例の場合、ここでの詳細図示は省略するが、ハウジング6は、車幅方向と略直交(交差)する一対の周壁部を有しており、これら一対の周壁部のうち車両を左右に2等分する仮想中心ラインに近い側に位置する一周壁部(一方の周壁部)のやや内側となるハウジング6の空所に赤外光照射ユニット12及びカメラ13を設けた構成としている。なお、ここでのハウジング6は、4つの周壁部を備え、図1で図示された概ね車幅方向に沿う2つの周壁部は、前記一対の周壁部の各々の端部同士を繋ぐ立壁として構成される。
【0027】
遮蔽片14は、可視光を遮光して赤外光を透過させるもので、ハウジング5において、赤外光照射ユニット12及びカメラ13の上方、すなわち、赤外光照射ユニット12及びカメラ13に対してフロントウインドシールド3の側に設けられている。
【0028】
HUD1において、表示器ユニット9からの表示光Lは、平面鏡10で反射され、次いで、凹面鏡11で拡大して反射され、カバーガラス7を通過してフロントウインドシールド3に投影される。フロントウインドシールド3に投影された表示光Lは、運転者Dの側に拡大して反射され、虚像Vを生成してフロントウインドシールド3を透過する実景に重ねて運転者Dに表示する。
【0029】
一方、赤外光照射ユニット12からの赤外光Lは、遮蔽片14及びカバーガラス7を通過してフロントウインドシールド3に投影され、フロントウインドシールド3で運転者Dの側に反射されて運転者Dを照射する。そして、運転者Dに反射されると赤外光Lの一部は逆の経路を辿り、カバーガラス7及び遮蔽片14を通過してカメラ13に入射した赤外光Lにより運転者Dが撮像される。この撮像は、虚像Vの表示中、定期的又は不定期的に行われ、その撮像画像に基づいて運転者Dのモニタリングが行われる。
【0030】
本実施の形態に係るHUD1は、表示器ユニット9からの表示光Lを平面鏡10で反射させてフロントウインドシールド3に投影し、フロントウインドシールド3を透過する実景に重ねてフロントウインドシールド3に反射された表示光Lにより虚像Vを生成して表示するとともに、車両2の運転者Dに対し、赤外光照射ユニット12からの赤外光Lを照射し、運転者Dをカメラ13で撮像するもので、表示器ユニット9、平面鏡10及びカメラ13を備えるとともに、表示器ユニット9、平面鏡10及びカメラ13を収容するハウジング6を備え、カメラ13は、ハウジング6において平面鏡10に対してフロントウインドシールド3の側と反対側でなく、且つ、平面鏡10からフロントウインドシールド3までの表示光Lの光路Pと重ならない位置に設けられているので、カメラ13が受光する赤外光Lの光路P図3参照)上にない平面鏡10が、赤外光Lを透過させる必要がなく、その製造コストを抑制することができる。
【0031】
ここでは、カメラ13は、ハウジング6において車両2の車幅方向中央側に設けられているので、車両2のサイドウインドからの外光が入り難く、カメラ13に強い外光が入って運転者Dのモニターに支障を来たす可能性を低減させることができる。
【0032】
また、カメラ13の光軸Oのフロントウインドシールド3との交点xが、表示光Lの光路Pの中心Oのフロントウインドシールド3における反射点y(一般に、運転者Dが見下ろした位置にある。)よりも上方に位置するので、カメラ13が受光する赤外光Lの光路Pがインストルメントパネル4及びステアリングホイール5に遮られずに、カメラ13により運転者Dの顔を正面に近い角度から撮像することができる。
【0033】
ハウジング6には、カメラ13に対してフロントウインドシールド3の側に、可視光を遮光して赤外光を透過させる遮蔽片14が設けられているので、HUD1の外観上、カバーガラス7を透して見えるはずのカメラ13が遮蔽片14により隠蔽され、HUD1の商品性を向上させることができる。
【0034】
さらに、ハウジング6には、表示器ユニット9からの表示光L、赤外光照射ユニット12からの赤外光L及び運転者Dで反射されてカメラ13が受光する赤外光Lが透過するカバーガラス7が設けられ、カメラ13は、ハウジング6において、赤外光照射ユニット12の光軸Oを含み垂直面Sに直交する平面Sとカバーガラス7との間の領域Rに設けられているので、図5(a)に示すように、赤外光照射ユニット12から出射してカバーガラス7で反射された赤外光Lがカメラ13に入りにくい角度となり、撮像画像において照明光による迷光の発生を抑制することができる(図5及び後述の図7図9乃至図13において、αは赤外光照射ユニット12の照射範囲、βはカメラ13の画角を示し、カメラ13が領域Rになければ、図5(b)に示すように、赤外光照射ユニット12から出射してカバーガラス7で反射された赤外光Lがカメラ13に入りやすい。)。
【0035】
図6は、赤外光照射ユニット12及びカメラ13が、ハウジング6において車両2の車幅方向中央側で前後ではなく左右に配置(並設)された例を示す。カメラ13は、図7(a)に示すように、赤外光照射ユニット12の光軸Oを含み垂直面に直交する平面とカバーガラス7との間の領域Rに設けられているので、赤外光照射ユニット12から出射してカバーガラス7で反射された赤外光Lがカメラ13に入りにくい角度となり、撮像画像において照明光による迷光の発生をやはり抑制することができる(カメラ13が領域Rになければ、図7(b)に示すように、赤外光照射ユニット12から出射してカバーガラス7で反射された赤外光Lがカメラ13に入りやすい。)。
【0036】
図8は、カメラ13がハウジング6において車両2の車幅方向一端側(中央側)に設けられ、赤外光照射ユニット12がハウジング6において車両2の車幅方向他端側(外側)に設けられた例を示す。カメラ13は、図9に示すように、赤外光照射ユニット12から離れて設けられているので、赤外光照射ユニット12から出射してカバーガラス7で反射された赤外光Lがカメラ13に入りにくく、撮像画像において照明光による迷光の発生を抑制することができる。
【0037】
なお、赤外光照射ユニット12とカメラ13との間には、図10乃至図12に示すように、赤外光Lを遮光する遮光板16が設けられてもよい。ここで、図10図5(a)に対応し、図11図7(a)に対応するが、赤外光照射ユニット12から出射してカバーガラス7で反射された赤外光Lが、遮光板16に遮られてカメラ13に入りにくくなれば、赤外光照射ユニット12及びカメラ13の配置は、図5(b)や図7(b)に示すようなものであってもよい。
【0038】
一方、図12図9に対応し、もともと離れた位置にある赤外光照射ユニット12及びカメラ13のそれぞれに隣接して遮光板16が設けられているから、赤外光照射ユニット12から出射してカバーガラス7で反射された赤外光Lがカメラ13に入るおそれを一層排することができる。
【0039】
遮光板16については、必ずしもカバーガラス7と接触していなくてもよいが、遮光板16が短いと、図13に示すように、赤外光照射ユニット12から出射してカバーガラス7で反射された赤外光Lがカメラ13に入りやすくなるから、遮光板16はカバーガラス7から見て赤外光照射ユニット12の出射面(赤外光Lの出射面)より遠くまで延伸していることが望ましく、カメラ13の入射面(赤外光Lの入射面)より遠くまで延伸していることが望ましい。つまり、遮光板16は、カバーガラス7から赤外光照射ユニット12やカメラ13の背後側まで立壁形状をなすように延伸していることが望ましい。
【0040】
以上、本発明を実施するための形態について例示したが、本発明の実施形態は上述したものに限られず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更等してもよい。
【0041】
例えば、上記実施の形態では、車両のフロントウインドシールドを反射透光部材として表示光を投影したが、フロントウインドシールドに代えてコンバイナを用いてもよい。
【0042】
また、赤外光照射ユニット及びカメラの配置も上記に限定されるものではなく、カメラがハウジングに収容されていれば、赤外光照射ユニットはハウジングの外部(例えば車両のハンドルの奥にあるステアリングコラム上)に設けてもよい。さらに、カバーガラスは、透明ではなく暗色(半透過性)の部材により構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 ヘッドアップディスプレイ装置(車両用表示装置)
2 車両
3 フロントウインドシールド(反射透光部材)
6 筐体(ハウジング)
7 カバーガラス(透光部材)
9 表示光投影手段(表示器ユニット)
10 平面鏡(反射鏡)
12 赤外光照射ユニット(赤外光照射手段)
13 カメラ(撮像手段)
14 遮蔽片(遮蔽部材)
16 遮光板(遮光部材)
D 運転者(利用者)
表示光
赤外光
光軸(赤外光照射手段の光軸)
光軸(撮像手段の光軸)
光路
R 領域
垂直面
平面
V 虚像
x 交点
y 反射点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13