(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/19 20180101AFI20240523BHJP
F21S 45/48 20180101ALI20240523BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20240523BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20240523BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20240523BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20240523BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20240523BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20240523BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20240523BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20240523BHJP
F21W 103/40 20180101ALN20240523BHJP
F21W 105/00 20180101ALN20240523BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20240523BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240523BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240523BHJP
【FI】
F21S43/19
F21S45/48
F21V29/503 100
F21V29/76
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:00
F21W103:45
F21W103:40
F21W105:00
F21Y115:15
F21Y115:30
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
F21Y115:10 100
(21)【出願番号】P 2020198535
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】畑中 登志浩
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-247062(JP,A)
【文献】特開2018-160412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/19
F21S 45/48
F21V 29/503
F21V 29/76
F21W 103/55
F21W 103/10
F21W 103/20
F21W 103/35
F21W 103/00
F21W 103/45
F21W 103/40
F21W 105/00
F21Y 115/15
F21Y 115/30
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部側に第1の凹部を有するソケットと;
前記第1の凹部の内部に
、接着、あるいは、熱伝導グリスを含む層を介して設けられた伝熱部と;
発光素子を有し、前記伝熱部の、前記第1の凹部の底面側とは反対側の面に設けられた発光モジュールと;
前記第1の凹部の側面、および、前記伝熱部の側面の少なくともいずれかに設けられた凸部と;
前記第1の凹部の底面に開口する第2の凹部と;
を具備し、
平面視において、前記凸部
の先端が、前記第2の凹部の内部に位置している車両用照明装置。
【請求項2】
前記第1の凹部の側面に設けられた前記凸部の、前記第1の凹部の中心側の端部は、前記第1の凹部の開口側になるに従い前記第1の凹部の中心側から離れる方向に傾斜している請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記第1の凹部の側面に設けられた前記凸部は、高熱伝導性樹脂を含み、
前記伝熱部は、金属を含んでいる請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記伝熱部の側面に設けられた前記凸部の、前記第1の凹部の側面側の端部は、前記第1の凹部の底面側になるに従い前記第1の凹部の中心側に近づく方向に傾斜している請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記伝熱部の側面に設けられた前記凸部は金属を含み、
前記凹部の側面は、高熱伝導性樹脂を含んでいる請求項1または4に記載の車両用照明装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメント電球を備えた車両用照明装置に代えて発光ダイオードを備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。
ここで、発光ダイオードに電圧を印加すれば、発光ダイオードから光が放射されるが、熱も生じることになる。そのため、発生した熱により発光ダイオードの温度が上昇する。この場合、発光ダイオードの温度が高くなり過ぎると、発光ダイオードの機能が低下したり、発光ダイオードの寿命が短くなったりするおそれがある。
【0003】
そのため、発光ダイオードが設けられた基板と、高熱伝導性樹脂から形成されたソケットと、の間に金属から形成された伝熱部を設ける技術が提案されている。伝熱部が設けられていれば、発光ダイオードにおいて発生した熱を、速やかにソケットへ伝えることができる。そのため、発光ダイオードの温度上昇を抑制することができる。
【0004】
伝熱部は、インサート成形法を用いて、ソケットの端部に埋め込まれる場合がある。この様にすれば、伝熱部をソケットに密着させることができるので、伝熱部とソケットとの間の熱伝達を容易とすることができる。ところが、車両用照明装置(発光ダイオード)の、点灯と消灯が繰り返し行われると、伝熱部とソケットとの間に熱応力が繰り返し発生して、経時的に、ソケットと伝熱部との間に隙間が生じる場合がある。ソケットと伝熱部との間に隙間が生じると、ソケットへの熱伝導が阻害されたり、伝熱部や基板に温度分布が生じ易くなったりして、発光ダイオードの温度上昇を抑制できなくなるおそれがある。
【0005】
また、ソケットの端部に凹部を設け、伝熱部を凹部の内部に接着したり、伝熱部を凹部の内部に熱伝導グリスを介して取り付けたりする技術が提案されている。接着剤や熱伝導グリスを用いる場合には、伝熱部の側面と、凹部の側面との間に、接着剤や熱伝導グリスを設けるための隙間が設けられる。そのため、ソケットの凹部に対する伝熱部の位置がばらつく場合がある。ソケットの凹部に対する伝熱部の位置がばらつくと、隙間の寸法、ひいては接着剤の層や熱伝導グリスの層の寸法が変動することになる。これらの層の寸法が変動すると、ソケットへの熱伝導が変動し、伝熱部や基板に温度分布が生じ易くなる。伝熱部や基板に温度分布が生じると、発光ダイオードの温度上昇を抑制できなくなるおそれがある。
【0006】
この場合、凹部の側面に凸部を設け、凸部と伝熱部の側面とを接触させれば、凹部に対する伝熱部の位置を略一定にすることができる。
ところが、この様にすると、伝熱部を凹部の内部に挿入した際に、凸部と伝熱部の側面とが擦れてゴミ(削り屑)が発生する場合がある。発生したゴミが、伝熱部と凹部の底面との間に侵入すると、伝熱部が傾いたり、伝熱部の位置精度が悪くなったりするおそれがある。例えば、伝熱部が傾いたり、伝熱部の位置精度が悪くなったりすると、配光特性が変わるおそれがある。
【0007】
そこで、ソケットの凹部に対する伝熱部の位置のばらつきを抑制することができ、且つ、伝熱部を凹部の内部に挿入した際に発生したゴミが、伝熱部と凹部の底面との間に侵入するのを抑制することができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、伝熱部の位置のばらつきを抑制することができ、且つ、伝熱部を凹部の内部に挿入した際に発生したゴミが、伝熱部と凹部の底面との間に侵入するのを抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態に係る車両用照明装置は、一方の端部側に第1の凹部を有するソケットと;前記第1の凹部の内部に、接着、あるいは、熱伝導グリスを含む層を介して設けられた伝熱部と;発光素子を有し、前記伝熱部の、前記第1の凹部の底面側とは反対側の面に設けられた発光モジュールと;前記第1の凹部の側面、および、前記伝熱部の側面の少なくともいずれかに設けられた凸部と;前記第1の凹部の底面に開口する第2の凹部と;を具備している。平面視において、前記凸部の先端が、前記第2の凹部の内部に位置している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、伝熱部の位置のばらつきを抑制することができ、且つ、伝熱部を凹部の内部に挿入した際に発生したゴミが、伝熱部と凹部の底面との間に侵入するのを抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式斜視図である。
【
図2】
図1における車両用照明装置のA-A線断面図である。
【
図4】(a)は、凹部の側面に設けられた複数の凸部を例示するための模式平面図である。(b)、(c)は、
図4(a)におけるB-B線断面図である。(d)は、B-B線断面における他の実施形態に係る凸部を例示するための模式図である。
【
図5】(a)は、伝熱部の側面に設けられた複数の凸部を例示するための模式平面図である。(b)、(c)は、
図5(a)におけるC-C線断面図である。(d)は、C-C線断面における他の実施形態に係る凸部を例示するための模式図である。
【
図6】他の実施形態に係る凸部を例示するための模式平面図である。
【
図7】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0014】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置1としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL:Daytime Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置1の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0015】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、
図1における車両用照明装置1のA-A線断面図である。
図3は、発光モジュール20の模式平面図である。
図1および
図2に示すように、車両用照明装置1には、例えば、ソケット10、発光モジュール20、給電部30、および伝熱部40を設けることができる。
【0016】
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有する。
装着部11は、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けられている。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、フランジ13側とは反対側の端面に開口する凹部11aを有する。
【0017】
また、凹部11aの底面11a1に開口する凹部11b(第1の凹部の一例に相当する)が設けられている。すなわち、ソケット10は、一方の端部側に凹部11bを有している。凹部11bの内部には、伝熱部40が設けられる。
【0018】
バヨネット12は、装着部11の外側面に設けられている。バヨネット12は、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対峙している。バヨネット12は、複数設けられている。バヨネット12は、車両用照明装置1を車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いることができる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0019】
フランジ13は、板状を呈している。フランジ13は、例えば、円板状を呈している。フランジ13の外側面は、バヨネット12の外側面よりも車両用照明装置1の外方に位置している。
【0020】
放熱フィン14は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられている。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。
図1および
図2に例示をしたソケット10には複数の放熱フィンが設けられている。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、例えば、板状を呈している。
【0021】
コネクタホルダ15は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられている。コネクタホルダ15は、放熱フィン14と並べて設けることができる。コネクタホルダ15は、フランジ13の周縁近傍に設けることができる。コネクタホルダ15は、筒状を呈し、内部にシール部材105aを有するコネクタ105を挿入することができる。
【0022】
ソケット10は、発光モジュール20、および給電部30を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有する。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。また、近年においては、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれている。そのため、ソケット10は、例えば、高熱伝導性樹脂から形成される。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と、無機材料を用いたフィラーと、を含む。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン等の樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものである。
【0023】
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15が一体に成形されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、射出成形法などを用いて、一体成形することができる。また、インサート成形法などを用いて、ソケット10と給電部30を一体成形することもできる。
【0024】
発光モジュール20は、伝熱部40の、凹部11bの底面側とは反対側の面に設けられる。
図1および
図3に示すように、発光モジュール20は、例えば、基板21、発光素子22、枠部23、封止部24、および素子25を有する。
基板21は、例えば、伝熱部40の上に接着することができる。この場合、接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、無機材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。無機材料は、熱伝導率の高い材料(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス)とすることが好ましい。接着剤の熱伝導率は、例えば、0.5W/(m・K)以上、10W/(m・K)以下とすることができる。
【0025】
基板21は、板状を呈している。基板21の平面形状は、例えば、四角形である。基板21は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなど)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したものであってもよい。発光素子22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したものなどを例示することができる。基板21は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0026】
また、基板21の表面には、配線パターン21aが設けられている。配線パターン21aは、例えば、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料などから形成することができる。
【0027】
また、配線パターン21aや、後述する膜状の抵抗器などを覆う被覆部を設けることもできる。被覆部は、例えば、ガラス材料を含むことができる。
【0028】
発光素子22は、基板21の、伝熱部40側とは反対側に設けられている。発光素子22は、配線パターン21aと電気的に接続される。発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。複数の発光素子22を設ける場合には、複数の発光素子22を互いに直列接続することができる。
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
【0029】
発光素子22は、例えば、チップ状の発光素子とすることができる。チップ状の発光素子22は、COB(Chip On Board)により配線パターン21aに実装することができる。チップ状の発光素子22は、例えば、上部電極型の発光素子、上下電極型の発光素子、フリップチップ型の発光素子などとすることができる。
図1~
図3に例示をした発光素子22は、上下電極型の発光素子である。上部電極型の発光素子の電極、または上下電極型の発光素子の上部電極は、配線21bにより配線パターン21aと電気的に接続することができる。この場合、配線21bは、例えば、ワイヤーボンディング法により接続することができる。フリップチップ型の発光素子22は、配線パターン21aに直接実装することができる。
【0030】
発光素子22の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、車両用照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0031】
また、以上においては、発光素子22がチップ状の発光素子である場合を例示したが、発光素子22は、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)型などの表面実装型の発光素子や砲弾型などのリード線を有する発光素子とすることもできる。表面実装型の発光素子やリード線を有する発光素子とする場合には、後述する枠部23および封止部24を省くことができる。
ただし、チップ状の発光素子22とすれば、狭い領域に多くの発光素子22を設けることができる。そのため、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。
【0032】
枠部23は、基板21の、伝熱部40側とは反対側に設けられている。枠部23は、枠状を呈し、接着層27を介して、基板21の上に設けられている。枠部23は、発光素子22を囲んでいる。枠部23は、樹脂から形成することができる。樹脂は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、PET、ナイロン(Nylon)、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、PS(polystyrene)などの熱可塑性樹脂とすることができる。
【0033】
枠部23は、封止部24の形成範囲を規定する機能と、リフレクタの機能とを有することができる。そのため、枠部23は、反射率を向上させるために、酸化チタンの粒子などを含んでいたり、白色の樹脂を含んでいたりすることができる。
【0034】
封止部24は、枠部23の内側に設けることができる。封止部24は、枠部23により囲まれた領域を覆うように設けることができる。封止部24は、発光素子22を覆うように設けることができる。封止部24は、透光性を有する樹脂を含むことができる。封止部24は、例えば、枠部23の内側に樹脂を充填することで形成することができる。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどを用いて行うことができる。充填する樹脂は、例えば、シリコーン樹脂などとすることができる。
【0035】
また、封止部24には、蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)などとすることができる。ただし、蛍光体の種類は、車両用照明装置1の用途などに応じて所定の発光色が得られるように適宜変更することができる。
【0036】
また、封止部24の上には、必要に応じて光学要素を設けることもできる。光学要素は、例えば、凸レンズとすることができる。凸レンズである光学要素は、光を集光して、所定の配光特性が得られるようにする。なお、光学要素は、凸レンズに限定されるわけではなく、例えば、凹レンズなどであってもよい。
【0037】
素子25は、発光素子22を有する発光回路を構成するために用いられる受動素子または能動素子とすることができる。素子25は、例えば、枠部23の周辺に設けられ、配線パターン21aと電気的に接続される。素子25は、少なくとも1つ設けることができる。
【0038】
素子25は、例えば、抵抗25a、制御素子25b、コンデンサ25c、およびプルダウン抵抗25dなどとすることができる。
ただし、素子25の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22を有する発光回路の構成に応じて適宜変更することができる。例えば、素子25は、前述したものの他に、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ、インダクタ、サージアブソーバ、バリスタ、FETやバイポーラトランジスタなどのトランジスタ、集積回路、演算素子などであってもよい。
【0039】
抵抗25aは、基板21の、伝熱部40側とは反対側に設けることができる。抵抗25aは、配線パターン21aと電気的に接続される。抵抗25aは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。なお、
図1および
図3に例示をした抵抗25aは、膜状の抵抗器である。
【0040】
膜状の抵抗器の材料は、例えば、酸化ルテニウム(RuO2)である。膜状の抵抗器は、例えば、スクリーン印刷法および焼成法を用いて形成される。抵抗25aが膜状の抵抗器であれば、抵抗25aと基板21との接触面積を大きくすることができるので、放熱性を向上させることができる。また、複数の抵抗25aを一度に形成することができる。そのため、生産性を向上させることができる。また、複数の抵抗25aにおける抵抗値のばらつきを抑制することができる。
【0041】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子とグランド端子との間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22から照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、発光素子22に直列接続された抵抗25aにより、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。この場合、抵抗25aの抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0042】
抵抗25aが表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗25aを選択する。抵抗25aが膜状の抵抗器の場合には、抵抗25aの一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。例えば、膜状の抵抗器にレーザ光を照射すれば、膜状の抵抗器の一部を容易に除去することができる。なお、抵抗25aの数、大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0043】
制御素子25bは、基板21の、伝熱部40側とは反対側に設けることができる。制御素子25bは、配線パターン21aと電気的に接続される。制御素子25bは、例えば、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けることができる。制御素子25bは、例えば、表面実装型のダイオードや、リード線を有するダイオードなどである。
図1および
図3に例示をした制御素子25bは、表面実装型のダイオードである。
【0044】
コンデンサ25cは、基板21の、伝熱部40側とは反対側に設けることができる。コンデンサ25cは、配線パターン21aと電気的に接続される。コンデンサ25cは、例えば、ノイズ対策や電圧を平滑化するために設けることができる。コンデンサ25cは、例えば、チップ状のコンデンサ、表面実装型のコンデンサ、リード線を有するコンデンサなどである。
図3に例示をしたコンデンサ25cは、表面実装型のコンデンサである。
【0045】
プルダウン抵抗25dは、基板21の、伝熱部40側とは反対側に設けることができる。プルダウン抵抗25dは、配線パターン21aと電気的に接続される。プルダウン抵抗25dは、例えば、発光素子22に関する導通の検出や、誤点灯防止などのために設けることができる。プルダウン抵抗25dは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器、チップ状の抵抗器などである。
図1および
図3に例示をしたプルダウン抵抗25dは、表面実装型の抵抗器である。
【0046】
給電部30は、例えば、複数の給電端子31および保持部32を有する。
複数の給電端子31は、棒状体とすることができる。複数の給電端子31は、所定の方向に並べて設けることができる。複数の給電端子31の一方の端部は、凹部11aの底面11a1から突出している。複数の給電端子31の一方の端部は、配線パターン21aと半田付けされる。複数の給電端子31の他方の端部は、コネクタホルダ15の孔の内部に露出している。コネクタホルダ15の孔の内部に露出する複数の給電端子31には、コネクタ105が嵌め合わされる。複数の給電端子31は、例えば、銅合金などの金属から形成される。なお、複数の給電端子31の形状、配置、材料、数などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0047】
前述したように、ソケット10は熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。ところが、熱伝導率の高い材料は導電性を有している場合がある。例えば、炭素を用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂などは、導電性を有している。そのため、保持部32は、複数の給電端子31と、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けられている。また、保持部32は、複数の給電端子31を保持する機能をも有する。なお、ソケット10が絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムを用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂など)から形成される場合には、保持部32を省くことができる。この場合、ソケット10が複数の給電端子31を保持する。保持部32は、絶縁性を有する樹脂から形成することができる。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔10aに圧入したり、孔10aの内壁に接着したりすることができる。
【0048】
伝熱部40は、凹部11bの内部に設けられる。例えば、伝熱部40は、凹部11bの内部に接着することができる。伝熱部40を接着する接着剤は、例えば、基板21と伝熱部40とを接着する接着剤と同じとすることができる。この場合、接着剤が硬化することで形成された層が、伝熱層41となる。
【0049】
また、伝熱部40は、熱伝導グリス(放熱グリス)を含む層を介して、凹部11bの内部に設けることもできる。熱伝導グリスの種類には特に限定はないが、例えば、熱伝導グリスは、変性シリコーンに、熱伝導率の高い材料(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス)を用いたフィラーが混合されたものとすることができる。熱伝導グリスの熱伝導率は、例えば、1W/(m・K)以上、5W/(m・K)以下とすることができる。この場合、伝熱部40と凹部11bの内壁との間に設けられた熱伝導グリスを含む層が、伝熱層41となる。
【0050】
伝熱部40は、発光モジュール20において発生した熱が、ソケット10に伝わりやすくするために設けられる。そのため、伝熱部40は、熱伝導率の高い材料から形成されている。伝熱部40は、板状を呈し、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの金属から形成される。
【0051】
伝熱部40の平面形状は、例えば、基板11の平面形状と略同じとすることができる。伝熱部40の平面寸法は、例えば、基板11の平面寸法と略同じとすることができる。ただし、伝熱部40には、複数の給電端子31との短絡を防ぐための切り欠きや孔を設けることができる。
【0052】
ここで、伝熱部40が、インサート成形法を用いて、ソケット10の凹部11aの底面11a1に埋め込まれる場合がある。インサート成形法を用いて、伝熱部40を凹部11aの底面11a1に埋め込めば、伝熱部40をソケット10に密着させることができるので、伝熱部40とソケット10との間の熱伝達が容易となる。ところが、車両用照明装置1(発光素子22)の、点灯と消灯が繰り返し行われると、ソケット10と伝熱部40の、加熱と冷却が繰り返し生じることになる。材料が異なるため、ソケット10の熱膨張量と伝熱部40の熱膨張量は異なるものとなるので、加熱と冷却が繰り返し生じると、熱応力が繰り返し生じることになる。そのため、繰り返し生じた熱応力により、経時的に、ソケット10と伝熱部40との間に隙間が生じる場合がある。ソケット10と伝熱部40との間に隙間が生じると、ソケット10への熱伝導が阻害されたり、伝熱部40や基板11に温度分布が生じ易くなったりするおそれがある。熱伝導が阻害されたり、伝熱部40や基板11に温度分布が生じたりすると、発光素子22の温度上昇を抑制できなくなるおそれがある。
【0053】
本実施の形態に係る車両用照明装置1においては、伝熱部40は、凹部11bの内部に接着、あるいは、熱伝導グリスを含む層を介して設けられている。この場合、接着剤から形成された層や熱伝導グリスを含む層が、熱応力に対する緩衝材となるので、経時的に隙間が発生するのを抑制することができる。
【0054】
ここで、接着剤や熱伝導グリスを用いる場合には、伝熱部40の側面40aと、凹部11bの側面11b1との間に、接着剤や熱伝導グリスを設けるための隙間が設けられる。そのため、凹部11bの内部において伝熱部40の位置がばらつくおそれがある。伝熱部40の位置がばらつくと、隙間の寸法、ひいては、伝熱層41(接着剤の層または熱伝導グリスの層)の寸法が変動することになる。伝熱層41の寸法が変動すると、ソケット10への熱伝導に分布が生じて、伝熱部40や基板11に温度分布が生じ易くなる。伝熱部40や基板11に温度分布が生じると、発光素子22の温度上昇を抑制できなくなるおそれがある。
【0055】
そこで、伝熱部40の側面40aと、凹部11bの側面11b1との間には、凸部50(50a、50b)が設けられている。例えば、凸部50(50a、50b)は、凹部11bの側面11b1、および伝熱部40の側面40aの少なくともいずれかに設けることができる。
【0056】
図4(a)は、凹部11bの側面11b1に設けられた複数の凸部50を例示するための模式平面図である。
図4(b)、(c)は、
図4(a)におけるB-B線断面図である。
図4(d)は、B-B線断面における他の実施形態に係る凸部50を例示するための模式図である。
【0057】
図4(a)に示すように、複数の凸部50は、凹部11bの側面11b1から、凹部11bの内側に向けて突出している。平面視において(車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合に)、複数の凸部50は、凹部11bの側面11b1に沿って、互いに離隔した位置に設けることができる。複数の凸部50の数や配置には特に限定はないが、伝熱部40の平面形が略四角形の場合には、伝熱部40の1つの側面40aに対して、少なくとも1つの凸部50を設けることができる。
図4(a)に例示をした凸部50は、伝熱部40の1つの側面40aに対して2つ設けられている。
【0058】
複数の凸部50の高さH1は、略同一とすることができる。この様にすれば、伝熱層41の厚みを略同一とすることができるので、伝熱部40の側面40a側の熱伝導に分布が生じるのを抑制することができる。
例えば、複数の凸部50は、射出成形法などにより、装着部11と一体に形成することができる。
【0059】
複数の凸部50の少なくともいずれかの先端(凸部50の、凹部11bの中心側の端部)は、伝熱部40の側面40aと接触する。凸部50の先端が伝熱部40の側面40aと接触すれば、車両用照明装置1の中心軸1aに直交する方向における伝熱部40の位置のばらつきを抑制することができる。この場合、なるべく多くの凸部50の先端が伝熱部40の側面40aと接触することが好ましい。全ての凸部50の先端が伝熱部40の側面40aと接触することがより好ましい。伝熱部40の側面40aと接触する凸部50の数が多くなれば、伝熱部40の位置のばらつきを抑制するのが容易となる。
【0060】
複数の凸部50が凹部11bの側面11b1に設けられる場合には、複数の凸部50と凹部11bの側面11b1とを一体に形成することができるので、複数の凸部50が、例えば、高熱伝導性樹脂を含むものとなる。そのため、伝熱部40を凹部11bの内部に挿入した際に、伝熱部40の側面40aと接触した凸部50の先端が変形、あるいは、削れ易くなる。この場合、凸部50の先端と伝熱部40の側面40aとの接触面積が小さくなるようにすれば、凸部50の先端を変形させ易くしたり、削れ易くしたりすることができる。そのため、伝熱部40の挿入抵抗を低減させることができるので、中心軸1aの方向における所望の位置に伝熱部40を設けるのが容易となる。すなわち、中心軸1aの方向における伝熱部40の位置精度を向上させることができる。
【0061】
例えば、凸部50は、凹部11bの側面11b1に平行な方向における断面積が、凸部50の先端になるに従い漸減、あるいは段階的に減少する形態を有することができる。凸部50の断面形状は、例えば、台形、三角形、半円などの円の一部を含む形状などとすることができる。
【0062】
また、
図4(b)に示すように、凸部50は、凹部11bの開口側から底面側に向かって延びる形状を有していてもよいし、
図4(c)に示すように凹部11bの開口側と底面側との間に部分的(例えば、点状)に設けられていてもよい。
【0063】
また、
図4(d)に示すように、凸部50の先端501は傾斜させることができる。先端501は、凹部11bの開口側になるに従い凹部11bの中心側から離れる方向に傾斜させることができる。この様にすれば、凹部11bの内部への伝熱部40の挿入が容易となる。また、伝熱部40の挿入抵抗を低減させることができるので、中心軸1aの方向における所望の位置に伝熱部40を設けるのがさらに容易となる。すなわち、中心軸1aの方向における伝熱部40の位置精度をさらに向上させることができる。
【0064】
ここで、伝熱部40を凹部11bの内部に挿入した際に、伝熱部40により、凸部50の先端が削れるとゴミ(削れ屑)が発生する。発生したゴミが、伝熱部40と凹部11bの底面11b2との間に侵入すると、伝熱部40が傾いたり、伝熱部40の位置精度が悪くなったりするおそれがある。前述したように、伝熱部40には発光素子22が実装された基板21が設けられるので、伝熱部40が傾いたり、伝熱部40の位置精度が悪くなったりすると、配光特性が変わるおそれがある。
【0065】
そこで、凹部11bの底面11b2には、凹部11b3(第2の凹部の一例に相当する)が設けられている。
図4(b)~
図4(d)に示すように、凹部11b3は、凹部11bの底面11b2に開口している。
図4(a)に示すように、平面視において、凸部50は、凹部11b3の内部に位置している。なお、
図4(a)においては、凹部11b3が、複数の凸部50毎に設けられる場合を例示したが、例えば、2つ以上の凸部50に対して、1つの凹部11b3が設けられるようにしてもよい。この場合、平面視において、凹部11bの側面11b1に沿って設けられた、環状の凹部11b3としてもよい。
【0066】
凹部11b3が設けられていれば、凸部50の先端が削れることで発生したゴミを、凹部11b3の内部に収納することができる。そのため、ゴミが、伝熱部40と凹部11bの底面11b2との間に侵入するのを抑制することができる。
【0067】
図5(a)は、伝熱部40の側面40aに設けられた複数の凸部50aを例示するための模式平面図である。
図5(b)、(c)は、
図5(a)におけるC-C線断面図である。
図5(d)は、C-C線断面における他の実施形態に係る凸部50aを例示するための模式図である。
【0068】
図5(a)に示すように、複数の凸部50aは、伝熱部40の側面40aから、凹部11bの側面11b1に向けて突出している。平面視において、複数の凸部50aは、伝熱部40の側面40aに沿って、互いに離隔した位置に設けることができる。複数の凸部50aの数や配置には特に限定はないが、伝熱部40の平面形が略四角形の場合には、伝熱部40の1つの側面40aに少なくとも1つの凸部50aを設けることができる。
図4(a)に例示をした凸部50aは、伝熱部40の1つの側面40aに2つ設けられている。
【0069】
複数の凸部50aの高さH2は、略同一とすることができる。この様にすれば、伝熱層41の厚みを略同一とすることができるので、伝熱部40の側面40a側の熱伝導に分布が生じるのを抑制することができる。
例えば、複数の凸部50aは、プレス成形法などにより、伝熱部40と一体に形成することができる。
【0070】
複数の凸部50aの少なくともいずれかの先端は、凹部11bの側面11b1と接触する。凸部50aの先端が凹部11bの側面11b1と接触すれば、車両用照明装置1の中心軸1aに直交する方向における伝熱部40の位置のばらつきを抑制することができる。この場合、なるべく多くの凸部50aの先端が凹部11bの側面11b1と接触することが好ましい。全ての凸部50aの先端が凹部11bの側面11b1と接触することがより好ましい。凹部11bの側面11b1と接触する凸部50aの数が多くなれば、伝熱部40の位置のばらつきを抑制するのが容易となる。
【0071】
複数の凸部50aが伝熱部40の側面40aに設けられる場合には、複数の凸部50aと伝熱部40とを一体に形成することができるので、複数の凸部50aが、例えば、金属を含むものとなる。そのため、伝熱部40を凹部11bの内部に挿入した際に、凸部50aの先端と接触した凹部11bの側面11b1が変形、あるいは、削れ易くなる。凸部50aの先端と凹部11bの側面11b1との接触面積が小さくなるようにすれば、凹部11bの側面11b1を変形させ易くしたり、削れ易くしたりすることができる。そのため、伝熱部40の挿入抵抗を低減させることができるので、中心軸1aの方向における所望の位置に伝熱部40を設けるのが容易となる。すなわち、中心軸1aの方向における伝熱部40の位置精度を向上させることができる。
【0072】
例えば、凸部50aは、伝熱部40の側面40aに平行な方向における断面積が、凸部50aの先端になるに従い漸減、あるいは段階的に減少する形態を有することができる。凸部50aの断面形状は、例えば、台形、三角形、半円などの円の一部を含む形状などとすることができる。
【0073】
また、
図5(b)に示すように、凸部50aは、伝熱部40の厚み方向に延びる形状を有していてもよいし、
図5(c)に示すように伝熱部40の側面40aに部分的(例えば、点状)に設けられていてもよい。
【0074】
また、
図5(d)に示すように、凸部50aの先端50a1(凸部50aの、側面11b1側の端部)は傾斜させることができる。先端50a1は、凹部11bの底面側になるに従い凹部11bの中心側に近づく方向に傾斜させることができる。この様にすれば、凹部11bの内部への伝熱部40の挿入が容易となる。また、伝熱部40の挿入抵抗を低減させることができるので、中心軸1aの方向における所望の位置に伝熱部40を設けるのがさらに容易となる。すなわち、中心軸1aの方向における伝熱部40の位置精度をさらに向上させることができる。
【0075】
また、前述した凹部11bの側面11b1に設けられた凸部50と、伝熱部40の側面40aに設けられた凸部50aとを設けるようにしてもよい。
【0076】
ここで、伝熱部40を凹部11bの内部に挿入した際に、凸部50aにより、凹部11bの側面11b1が削れるとゴミ(削れ屑)が発生する。発生したゴミが、伝熱部40と凹部11bの底面11b2との間に侵入すると、伝熱部40が傾いたり、伝熱部40の位置精度が悪くなったりするおそれがある。前述したように、伝熱部40には発光素子22が実装された基板21が設けられるので、伝熱部40が傾いたり、伝熱部40の位置精度が悪くなったりすると、配光特性が変わるおそれがある。
【0077】
そこで、本実施の形態においても、凹部11bの底面11b2には、凹部11b3が設けられている。
図5(b)~
図5(d)に示すように、凹部11b3は、凹部11bの底面11b2に開口している。
図5(a)に示すように、平面視において、凸部50aは、凹部11b3の内部に位置している。なお、
図5(a)においては、凹部11b3が、複数の凸部50a毎に設けられる場合を例示したが、例えば、2つ以上の凸部50aに対して、1つの凹部11b3が設けられるようにしてもよい。この場合、平面視において、凹部11bの側面11b1に沿って設けられた、環状の凹部11b3としてもよい。
【0078】
凹部11b3が設けられていれば、凹部11bの側面11b1が削れることで発生したゴミを、凹部11b3の内部に収納することができる。そのため、ゴミが、伝熱部40と凹部11bの底面11b2との間に侵入するのを抑制することができる。
【0079】
図6は、他の実施形態に係る凸部50bを例示するための模式平面図である。
図6に示すように、複数の凸部50bは、凹部11bの側面11b1から、凹部11bの内側に向けて突出している。平面視において、複数の凸部50bは、凹部11bの側面11b1の、伝熱部40の角部に対峙する位置に設けられている。この場合、凸部50bの先端面に開口する凹部50b1を設けることができる。凹部50b1の内部には、伝熱部40の角部を収納することができる。凹部50b1が設けられていれば、伝熱部40の挿入抵抗を低減させることができるので、中心軸1aの方向における所望の位置に伝熱部40を設けるのが容易となる。すなわち、中心軸1aの方向における伝熱部40の位置精度を向上させることができる。伝熱部40の平面形状が四角形の場合には、少なくとも対角方向に一対の凸部50bを設けることができる。
図6に例示をした凸部50bは、伝熱部40の4つの角部のそれぞれに対峙する位置に設けられている。
【0080】
複数の凸部50bの高さH3は、略同一とすることができる。この様にすれば、伝熱層41の厚みを略同一とすることができるので、伝熱部40の側面40a側の熱伝導に分布が生じるのを抑制することができる。
凸部50bの形状、材料、作用、効果は、前述した凸部50と同様とすることができる。
【0081】
また、本実施の形態においても、凹部11bの底面11b2には、凹部11b3が設けられている。平面視において、凸部50bは、凹部11b3の内部に位置している。凹部11b3が設けられていれば、凸部50bの先端が削れることで発生したゴミを、凹部11b3の内部に収納することができる。そのため、ゴミが、伝熱部40と凹部11bの底面11b2との間に侵入するのを抑制することができる。
【0082】
(車両用灯具)
次に、車両用灯具100について例示する。
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0083】
図7は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図7に示すように、車両用灯具100には、例えば、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素部103、シール部材104、およびコネクタ105が設けられている。
【0084】
筐体101には車両用照明装置1が取り付けられる。筐体101は、装着部11を保持する。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成することができる。筐体101の底面には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aが設けられている。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部が設けられている。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0085】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0086】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けられている。カバー102は、透光性を有する樹脂などから形成することができる。カバー102は、レンズなどの機能を有することもできる。
【0087】
光学要素部103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素部103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。例えば、
図7に例示をした光学要素部103はリフレクタである。この場合、光学要素部103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンが形成されるようにする。
【0088】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けられている。シール部材104は、環状を呈するものとすることができる。シール部材104は、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成することができる。
【0089】
コネクタ105は、コネクタホルダ15の内部に露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わされる。コネクタ105は、電源などと電気的に接続されている。また、コネクタ105には、環状を呈するシール部材105aが設けられている。コネクタ105がコネクタホルダ15の内部に挿入された際に、シール部材105aによりコネクタホルダ15の内部が、水密となるように密閉される。
【0090】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 車両用照明装置、10 ソケット、11 装着部、11b 凹部、11b1 側面、11b2 底面、11b3 凹部、20 発光モジュール、21 基板、22 発光素子、40 伝熱部、40a 側面、50 凸部、50a 凸部、50b 凸部