(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 37/28 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
D06F37/28
(21)【出願番号】P 2019212711
(22)【出願日】2019-11-25
【審査請求日】2022-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】西野 雅文
(72)【発明者】
【氏名】森 典之
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-042390(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104878986(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 37/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に設けられ、ドラムの開口と対向する衣類投入口を開閉するドアと、
前記ドアの開放動作を禁止するためのドアラッチユニットと、
前記ドアに設けられ、前記ドアを開閉するときに回動操作が行われる操作部材と、
前記ドアラッチユニットにより回転が阻止され得るドアロックレバーと一体に回転するシャフト軸と、
前記操作部材と前記シャフト軸とを接続する接続機構とを備え、
前記操作部材は、前記ドアを開放する開放位置から前記ドアを閉鎖する閉鎖位置までの操作可能範囲において回動可能であり、
前記接続機構は、
前記操作部材と前記シャフト軸との間に配置された回転伝達切替手段と、
前記操作部材に対して前記閉鎖位置に向かう回転力を作用させる戻し用ばねとを有しており、
前記回転伝達切替手段は、
前記シャフト軸と一体に回転するラチェットボスと、前記ラチェットボスの外周部に120度おきに形成される3つの溝内にそれぞれ配置された3つのラチェットボールと、前記ラチェットボールを前記ラチェットボスにそれぞれ押し付けるための3つのラチェットばねとを有し、
前記開放位置にある前記操作部材に対して前記閉鎖位置に向かって回動操作が行われた場合、及び、前記ドアロックレバーが前記ドアラッチユニットにより回転が阻止されない状態において前記閉鎖位置にある前記操作部材に対して前記開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、前記ラチェットボールが前記ラチェットボスの前記溝内に配置されて前記操作部材の回転を前記シャフト軸に対して伝達する伝達状態と、
前記ドアロックレバーが前記ドアラッチユニットにより回転が阻止された状態において前記閉鎖位置にある前記操作部材に対して前記開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、前記ラチェットボールが前記ラチェットボスの前記溝から外れて前記操作部材の回転を前記シャフト軸に対して伝達しない空転状態とを切り替えるとともに、
前記戻し用ばねは、前記ドアロックレバーが前記ドアラッチユニットにより回転が阻止された状態において前記閉鎖位置にある前記操作部材に対して前記開放位置に向かって回動操作が行われなくなると、前記操作部材を前記閉鎖位置に戻すことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記接続機構は、
前記操作部材に対して前記開放位置から前記閉鎖位置に向かって回動操作が行われた場合、及び、前記操作部材に対して前記閉鎖位置から前記開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、前記操作部材が操作可能範囲を超えて回動しないように規制する回動規制手段を有することを特徴とする請求項
1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記操作部材は、樹脂で形成された長尺のドアハンドルであり、前記ドアロックレバーが前記ドアラッチユニットにより回転が阻止された状態において前記閉鎖位置にある前記操作部材に対して前記開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、前記ドアラッチユニットが破損するまでに前記操作部材が破損するように形成されることを特徴とする請求項1
または2に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に形成された衣類投入口を開閉するドアを有する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
ドラム式洗濯機の正面には、特許文献1の
図3に示すように、横開きの円形状のドアが設けられている。ドアの左手側には、ドアを開閉するために利用される把手が設けられている。この把手は約1/4周回転自在となっており、水平状態でドアは開放可能となっており、右回転方向へ1/4周回転させるとドアは閉鎖される。
【0003】
この種の洗濯機では、洗浄やすすぎ時にドアが開放されると外槽内に溜まっている水が外に飛び出てしまう。また、脱水時にはドラムが高速で回転しているため、ドアが開放されると危険である。そこで、一旦運転が開始されると、ドアを開放すべく把手が操作されてもドアが開かないように、いわゆるドアロックが自動的に行われる。
【0004】
従来用いられているドアラッチユニットでは、特許文献1の
図4に示すように、把手と一体に回動するドアロックレバーが挿入される貫通孔が形成されており、貫通孔の上方の適宜の位置に上下に突出及び後退するように設けられた駐止ピンを有している。
【0005】
ドアが閉じられて把手が垂直になるように回転されると、貫通孔に挿入されたドアロックレバーは略垂直になる。そのとき、駐止ピンがドアロックレバーの回転軌跡の内側にまで突出すると、駐止ピンによりドアロックレバーの左回転方向への回転が阻止され、ドアはロックされる。その後、運転が終了すると、駐止ピンは、ドアロックレバーの回転軌跡の外側に退避されるため、ドアロックは解除され、把手は左回転方向へ回動するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コインランドリー向けの業務用ドラム式洗濯機及び業務用ドラム式洗濯乾燥機において、運転中にドアロック状態にもかかわらず、無理にドアを開こうとしてドアハンドルへ過剰な力を加えられると、ドアラッチユニットが破損する問題がある。例えば、特許文献1のドラム式洗濯機において、駐止ピンによりドアロックレバーの回転が阻止されている状態で、把手を過剰な力により回転させようとすると、ドアロックレバーから駐止ピンに対して過剰な押圧力が作用して、駐止ピンが破損する。
【0008】
そこで、本発明は、ドアロック状態においてドアハンドルに対して過剰な力を加えられた場合でも、ドアラッチユニットが破損するのを防止することを可能とした洗濯機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の洗濯機は、筐体に設けられ、ドラムの開口と対向する衣類投入口を開閉するドアと、前記ドアの開放動作を禁止するためのドアラッチユニットと、前記ドアに設けられ、前記ドアを開閉するときに回動操作が行われる操作部材と、前記ドアラッチユニットにより回転が阻止され得るドアロックレバーと一体に回転するシャフト軸と、前記操作部材と前記シャフト軸とを接続する接続機構とを備え、前記操作部材は、前記ドアを開放する開放位置から前記ドアを閉鎖する閉鎖位置までの操作可能範囲において回動可能であり、前記接続機構は、前記操作部材と前記シャフト軸との間に配置された回転伝達切替手段と、前記操作部材に対して前記閉鎖位置に向かう回転力を作用させる戻し用ばねとを有しており、前記回転伝達切替手段は、前記シャフト軸と一体に回転するラチェットボスと、前記ラチェットボスの外周部に120度おきに形成される3つの溝内にそれぞれ配置された3つのラチェットボールと、前記ラチェットボールを前記ラチェットボスにそれぞれ押し付けるための3つのラチェットばねとを有し、前記開放位置にある前記操作部材に対して前記閉鎖位置に向かって回動操作が行われた場合、及び、前記ドアロックレバーが前記ドアラッチユニットにより回転が阻止されない状態において前記閉鎖位置にある前記操作部材に対して前記開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、前記ラチェットボールが前記ラチェットボスの前記溝内に配置されて前記操作部材の回転を前記シャフト軸に対して伝達する伝達状態と、前記ドアロックレバーが前記ドアラッチユニットにより回転が阻止された状態において前記閉鎖位置にある前記操作部材に対して前記開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、前記ラチェットボールが前記ラチェットボスの前記溝から外れて前記操作部材の回転を前記シャフト軸に対して伝達しない空転状態とを切り替えるとともに、前記戻し用ばねは、前記ドアロックレバーが前記ドアラッチユニットにより回転が阻止された状態において前記閉鎖位置にある前記操作部材に対して前記開放位置に向かって回動操作が行われなくなると、前記操作部材を前記閉鎖位置に戻すことを特徴とする。
【0012】
本発明の洗濯機において、前記接続機構は、前記操作部材に対して前記開放位置から前記閉鎖位置に向かって回動操作が行われた場合、及び、前記操作部材に対して前記閉鎖位置から前記開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、前記操作部材が操作可能範囲を超えて回動しないように規制する回動規制手段を有することが好適である。
【0013】
本発明の洗濯機において、前記操作部材は、樹脂で形成された長尺のドアハンドルであり、前記ドアロックレバーが前記ドアラッチユニットにより回転が阻止された状態において前記閉鎖位置にある前記操作部材に対して前記開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、前記ドアラッチユニットが破損するまでに前記操作部材が破損するように形成されることが好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の洗濯機では、ドアロックレバーがドアラッチユニットにより回転が阻止された状態において閉鎖位置にある操作部材に対して開放位置に向かって回動操作が行われた場合でも、操作部材の回転に応じてシャフト軸を回転させないことにより、ドアラッチユニットが破損するのを防止することができる。また、閉鎖位置にある操作部材に対して開放位置に向かって回動操作が行われなくなると、操作部材が閉鎖位置に自動的に戻されるため、操作部材の操作性が向上する。
【0015】
本発明の洗濯機では、ドアロックレバーがドアラッチユニットにより回転が阻止された状態において閉鎖位置にある操作部材に対して開放位置に向かって回動操作が行われなくなると、戻し用ばねにより容易に操作部材を閉鎖位置に自動的に戻すことができる。
【0016】
本発明の洗濯機では、操作部材が閉鎖位置にあり且つドアロックレバーがドアラッチユニットにより回転が阻止された状態において、閉鎖位置にある操作部材に対して開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、操作部材はシャフト軸に対して空転するため、操作部材の回転をシャフト軸に伝達しないように容易に切り替えることができる。
【0017】
本発明の洗濯機では、操作部材に対して開放位置から閉鎖位置に向かって回動操作が行われた場合、及び、操作部材に対して閉鎖位置から開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、操作部材が操作可能範囲を超えて回動するのを防止できる。
【0018】
本発明の洗濯機では、操作部材が閉鎖位置にあり且つドアロックレバーがドアラッチユニットにより回転が阻止された状態において、閉鎖位置にある操作部材に対して開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、操作部材が過剰な力により操作可能範囲を超えて回動操作されたときでも、ドアラッチユニットが破損するまでに操作部材が破損するため、ドアラッチユニットが破損するのを防止できる。また、ドアラッチユニットが破損した場合の修理作業と比べて、操作部材が破損した場合、破損した操作部材を交換すればよく修理作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る洗濯機1の斜視図である。
【
図2】
図1の洗濯機1の構成を示す側面断面図である。
【
図3】ドア8が開放された状態の洗濯機1の部分斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、ハンドル装置50の正面図であり、
図4(b)は、
図4(a)のa-a線における断面図である。
【
図6】
図6(a)は、ドア開放状態のハンドル装置50の正面図であり、
図6(b)は、
図6(a)のa-a線における断面図である。
【
図7】
図7(a)は、ドア開放状態のハンドル装置50の側面図であり、
図7(b)は、
図7(a)のa
1-a
1線における断面図であり、
図7(c)は、
図7(a)のa
2-a
2線における断面図である。
【
図8】
図8(a)は、ドア閉鎖状態のハンドル装置50の正面図であり、
図8(b)は、
図8(a)のa-a線における断面図である。
【
図9】
図9(a)は、ドア閉鎖状態のハンドル装置50の側面図であり、
図9(b)は、
図9(a)のa
1-a
1線における断面図であり、
図9(c)は、
図9(a)のa
2-a
2線における断面図である。
【
図10】
図10(a)は、ドアこじ開け状態のハンドル装置50の正面図であり、
図10(b)は、
図10(a)のa-a線における断面図である。
【
図11】
図11(a)は、ドアこじ開け状態のハンドル装置50の側面図であり、
図11(b)は、
図11(a)のa
1-a
1線における断面図であり、
図11(c)は、
図11(a)のa
2-a
2線における断面図である。
【
図12】本発明の実施形態の変形例に係る洗濯機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態である洗濯機1について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態の洗濯機1の斜視図である。
図2は、
図1の洗濯機1の構成を示す側面断面図である。
【0021】
本実施形態の洗濯機1は、洗い工程、濯ぎ工程及び脱水工程を実施可能な洗濯機である。洗濯機1は、
図1及び
図2に示すように、箱形状の筐体2を有しており、筐体2の内部には、略円筒形状の内周面を有する外槽3が配置され、外槽3の内部には、洗濯物を収容するための略円筒形状の内周面を有するドラム4が前後方向に延伸する主軸5により軸支されている。
【0022】
筐体2の前面には、ドラム4の前端に形成された開口4aと対向する衣類投入口6が形成される。筐体2には、衣類投入口6を開閉するドア8が設けられており、衣類投入口6は、ドア8により開閉され、ドア8が開放された状態でドラム4内に洗濯物の出し入れが可能となっている。ドラム4の内周面には、多数の通水孔が穿設されており、洗浄やすすぎ時に外槽3内に供給された水は、通水孔を通してドラム4内へ流入し、遠心脱水時にドラム4内で洗濯物から吐き出された水は、この通水孔を通して外槽3側へと飛散する。
【0023】
主軸5は、外槽3の背面壁に装着された軸受5aによって回転自在に支承され、さらに後方に突出した主軸5の先端には、主プーリ10が取り付けられている。筐体2の底部には、モータ11が設置され、モータ11の回転軸には、モータプーリ12が取り付けられており、モータプーリ12の回転動力は、タイミングベルト16を介して主プーリ10に伝達される。これにより、モータ11が駆動されると、ドラム4が主軸5を中心に回転する。
【0024】
外槽3の背面壁の上部には、途中に給水バルブ30aが設けられた給水管30が接続されており、給水バルブ30aが開放されると、外部から供給される水が給水管30を介して外槽3へと供給される。外槽3の底部に設けられた排水口には、途中に排水バルブ31aが設けられた排水管31が接続されており、排水バルブ31aが開放されると、外槽3内の水が排水管31を通して機外へと排出される。
【0025】
ドア8の左側には、ドア8を開閉操作するためのハンドル装置50が取り付けられている。
図1では、ドア8が衣類投入口6を閉鎖した状態が図示されており、ドアハンドル52は、水平に対して右斜め下方向45度に傾斜した閉鎖位置にある。その状態のドアハンドル52を、左回転方向に90度回動させて、水平に対して右斜め上方向45度に傾斜した開放位置まで移動させて、ドア3を引くと、衣類投入口6が開放される。
【0026】
図3は、ドア8が開放された状態の洗濯機1の部分斜視図である。筐体2の前面においてドアハンドル50に対応する部分には、
図3に示すように、ドアロック装置としてのドアラッチユニット80が配置される。ドアラッチユニット80は、ドア8を閉鎖するときにドアハンドル52と一体に回動するドアロックレバー53aが挿入される略円形状の取り付け穴81を有している。取り付け穴81の直径は、ドアロックレバー53aの長さより大きいため、ドアロックレバー53aを取り付け穴81内において回転可能である。
【0027】
取り付け穴81の前端部は、板部材82で塞がれている。板部材82には、取り付け穴81の直径より小さい略円形状の開口83が形成され、開口83の一部は、径方向長さが長くなっており、ドアロックレバー53aを挿入する挿入部84となっている。挿入部84の長手方向は、ドアハンドル52が開放位置にある状態でのドアロックレバー53aの長手方向と一致する。開口83の直径はドアロックレバー53aの長さより小さく、且つ、挿入部84の長さはドアロックレバー53aの長手方向長さより大きい。そのため、ドアハンドル52が開放位置にある状態で、ドアロックレバー53aを挿入部84に挿入して、ドアハンドル52を閉鎖位置まで回動させると、ドアロックレバー53aは、板部材82の開口83の外側部分に引っ掛かって、ドア閉鎖状態に維持される。
【0028】
また、ドア閉鎖状態において、ドアラッチユニット80は、取り付け穴81に挿入されたドアロックレバー53aの回転を阻止可能な位置に対して突出及び後退するように設けられたロックピン85を有している。
【0029】
ドア8が閉じられて、ドアハンドル52が開放位置から閉鎖位置まで回動されると、挿入部84から挿入されたドアロックレバー53aは、
図3に一点鎖線で図示したように、略上下方向に延びるようになる。そのとき、取り付け穴81内においてロックピン85がドアロックレバー53aの回転軌跡の内側に突出すると、ロックピン85によりドアロックレバー53aの左回転方向(ドアハンドル52が閉鎖位置から開放位置に向かって回動する方向)の回転が阻止され、ドア8はロックされる。その後、運転が終了すると、ロックピン85は、ドアロックレバー53aの回転軌跡の外側に退避されるため、ドアロックは解除され、ドアハンドル52は、左回転方向に回転可能になる。
【0030】
図4(a)は、ハンドル装置50の正面図であり、
図4(b)は、
図4(a)のa-a線における断面図である。
図5は、ハンドル装置50の分解斜視図である。
【0031】
ハンドル装置50は、筐体2のドア枠2aに取り付けられるシャフト軸ボス51と、ドア8を開閉するときに回動操作が行われるドアハンドル52と、ドアラッチユニット80内に挿入されるドアロックレバー53aを有するシャフト軸53と、ドアハンドル52とシャフト軸53とを接続する接続機構Tとを有している。
【0032】
シャフト軸ボス51は、ハンドル装置50をドア枠2aの取付け部2a1に取り付ける部材である。シャフト軸ボス51は、ねじ51tによりドア枠2aの取付け部2a1に対して取り付けられる。
【0033】
ドアハンドル52は、樹脂で形成されており、筒状部52aと、把手部52bとを有している。筒状部52aは、ドアハンドル52の回転軸となる部分であり、把手部52bは、ドア8を開閉するときに回動操作が行われる部分である。ドアハンドル52の筒状部52aは、シャフト軸ボス51を覆うように配置される。
【0034】
ドアハンドル52の把手部52bの根本部52Aは、厚さが薄くなっており、強度が最も弱くなるように設計されている。すなわち、ドアハンドル52に対して過剰な力により回動操作が行われた場合に、把手部52bの根本部52Aが破損しやすいように設計されている。
【0035】
ハンドルボス54は、ドアハンドル52と一体に回転する部材であり、ドアハンドル52の筒状部52aの内部に配置される。ドアハンドル52は、ドアハンドル固定ネジ52tによりハンドルボス54の一端部に取り付けられる。そのため、ハンドルボス54は、ドアハンドル52とシャフト軸53とを接続する。
【0036】
ハンドルボス54の他端部には、略円柱状の突出部54aが形成されており、その突出部54aは、シャフト軸ボス51の先端面に形成された穴部51a内に配置される。穴部51aは、円形断面を有しており、ハンドルボス54の突出部54aは、シャフト軸ボス51の穴部51a内に軸受部材55を介して回転可能に配置される。
【0037】
シャフト軸53は、ドアラッチユニット80とドア8とを固定する部材であり、その先端には、シャフト軸53と一体に回転するT形のドアロックレバー53aが形成される。ドアロックレバー53aは、ドア8がロック状態である場合に、ドアラッチユニット80により回転が阻止される部分である。シャフト軸53は、シャフト軸ボス51を貫通する貫通穴51b内に2つの軸受部材56を介して回転可能に配置される。
【0038】
ラチェット機構60は、ドアハンドル52の筒状部52aの内周面と、シャフト軸53との間に配置され、ドアハンドル52の回転をシャフト軸53に対して伝達する伝達状態と伝達しない空転状態とを切り替える回転伝達切替手段である。
【0039】
図6(a)は、ドア開放状態のハンドル装置50の正面図であり、
図6(b)は、
図6(a)のa-a線における断面図である。
図7(a)は、ドア開放状態のハンドル装置50の側面図であり、
図7(b)は、
図7(a)のa
1-a
1線における断面図であり、
図7(c)は、
図7(a)のa
2-a
2線における断面図である。
【0040】
図8(a)は、ドア閉鎖状態のハンドル装置50の正面図であり、
図8(b)は、
図8(a)のa-a線における断面図である。
図9(a)は、ドア閉鎖状態のハンドル装置50の側面図であり、
図9(b)は、
図9(a)のa
1-a
1線における断面図であり、
図9(c)は、
図9(a)のa
2-a
2線における断面図である。
【0041】
図10(a)は、ドアこじ開け状態のハンドル装置50の正面図であり、
図10(b)は、
図10(a)のa-a線における断面図である。
図11(a)は、ドアこじ開け状態のハンドル装置50の側面図であり、
図11(b)は、
図11(a)のa
1-a
1線における断面図であり、
図11(c)は、
図11(a)のa
2-a
2線における断面図である。
【0042】
ラチェット機構60は、ラチェットボス61と、3つのラチェットばね62と、3つのラチェットボール63とを有している。
【0043】
ラチェットボス61は、ドアハンドル52を空転させるための溝付き円板である。ラチェットボス61は、
図7(b)、
図9(b)及び
図11(b)に示すように、ハンドルボス54の円形凹部54b内に配置された状態で、ナット61tによりシャフト軸53に取り付けられる。そのため、ラチェットボス61は、シャフト軸53と一体に回転する。ラチェットボス61の外周部には、3つの溝61aが120度おきに形成される。溝61aは、ラチェットボール63の外形に沿って形成される。
【0044】
ハンドルボス54は、ラチェットボス61が配置される円形凹部54bを有し、その略円柱状の側面から円形凹部54bの内周面に貫通する3つの貫通穴54cを有している。3つの貫通穴54cは、120度おきに配置される。
【0045】
3つのラチェットばね62は、ハンドルボス54の3つの貫通穴54c内にそれぞれ配置される。そのため、ラチェットばね62は、ハンドルボス54の径方向に沿って配置される。ラチェットばね62の径方向外側端部は、ハンドルボス54の貫通穴54cの径方向外側端部において止め具64により取り付けられる。止め具64は、ハンドルボス54の貫通穴54c内に配置される。
【0046】
3つのラチェットボール63は、3つのラチェットばね62の径方向内側端部にそれぞれ取り付けられる。
図7(b)のドア開放状態及び
図9(b)のドア閉鎖状態において、ラチェットボール63は、ハンドルボス54の円形凹部54b内に配置されたラチェットボス61の外周部の溝61a内に配置された状態で、ラチェットばね62により径方向内側に向かって押圧される。ラチェットばね62は、ラチェットボール63をラチェットボス61に押し付けるためのばねである。
【0047】
ラチェットボール63がラチェットボス61の溝61a内に配置された状態は、ドアハンドル52の回転をシャフト軸53に対して伝達する伝達状態である。すなわち、ドアハンドル52が回動すると、その回転がラチェットばね62及びラチェットボール63を介してラチェットボス61に伝達される。そのため、ラチェットボス61が取り付けられたシャフト軸53は、ドアハンドル52の回転に応じて回転する。
【0048】
これに対して、ドア8がロックされた状態では、ラチェットボール63がラチェットボス61の溝61a内に配置された状態において、シャフト軸53のドアロックレバー53aがドアラッチユニット80により回転が阻止されている。その状態において、ドアハンドル52が閉鎖位置から開放位置に向かって過剰な力により回動されると、
図11(b)のドアこじ開け状態において、ラチェットボス61の溝61a内に配置されたラチェットボール63がラチェットばね62の押圧力に抗して径方向外側に移動し、ラチェットボス61の溝61aから外れて、ハンドルボス54の貫通穴54c内に移動する。
【0049】
このように、ラチェットボール63がラチェットボス61の溝61aから外れた状態は、ドアハンドル52の回転をシャフト軸53に対して伝達しない空転状態である。すなわち、ドアハンドル52が回動しても、その回転がラチェットばね62及びラチェットボール63を介してラチェットボス61に伝達されない。そのため、ドアハンドル52は、ラチェットボス61に対して空転し、ラチェットボス61が取り付けられたシャフト軸53は、ドアハンドル52の回転に応じて回転しない。
【0050】
また、シャフト軸53の長手方向中央部には、回転レバー65がナット65tにより取り付けられる。回転レバー65は、ドアハンドル52の操作回動範囲を規制するための部材である。
【0051】
回転レバー65は、
図7(c)、
図9(c)及び
図11(c)に示すように、円形板部65aと、円形板部65aの外周部から外側に向かって突出する突出板部65bとを有している。円形板部65aの中心は、シャフト軸53の中心軸と一致する。突出板部65bの両端部は、90度隔てて配置される。
【0052】
回転レバー65は、シャフト軸ボス51の穴部51aの底面に形成された凹部51c内に配置される。凹部51cの両端部は、270度隔てて配置される。すなわち、シャフト軸ボス51の穴部51aの底面において、凹部51cが形成されてない部分には、段部51dが配置される。段部51dの両端部は、90度隔てて配置される。
【0053】
ハンドルボス54の突出部54aの先端面には、回転レバー65及びシャフト軸ボス51の段部51dと同一面上に配置された回転規制部54dが形成される。回転規制部54dの両端部は、90度隔てて配置される。
【0054】
よって、シャフト軸ボス51の凹部51c、ハンドルボス54の回転規制部54d、回転レバー65の形状により、ドアハンドル52の操作回動範囲が、90度の範囲に規制される。本実施形態において、ドアハンドル52が操作可能範囲を超えて回動しないように規制する回動規制手段Nは、シャフト軸ボス51の凹部51c(段部51d)と、ハンドルボス54の回転規制部54dと、回転レバー65の突出板部65bとを含んでいる。
【0055】
なお、ラチェットボール63がラチェットボス61の溝61aから外れた状態において、ドアハンドル52が回動されると、ドアハンドル52は、ラチェットボス61に対して空転して回動するが、ドアハンドル52が120度回動されたとすると、ラチェットボス61の溝61aから外れたラチェットボール63が、元の溝61aより回転方向下流側の溝61a内に配置される。そこで、ラチェットボス61の溝61aから外れたラチェットボール63が、元の溝61aより回転方向下流側の溝61a内に配置されるのを防止するために、ラチェットボス61の溝61aの間隔(120度)は、ドアハンドル52の回動可能範囲(90度)より大きい。
【0056】
また、ハンドルボス54の突出部54aの先端面には、円形断面を有する溝部54eが形成される。ハンドルボス54の溝部54e内には、ハンドル戻し用ばね66が配置される。ハンドル戻し用ばね66は、捩じりコイルばねであり、ハンドル戻し用ばね66は、ドアハンドル52に対して閉鎖位置に向かう回転力を作用させて、空転したドアハンドル52を元の閉鎖位置に戻すためのばねである。ハンドル戻し用ばね66は、その一端がハンドルボス54の溝部54eの内周面に取り付けられ、その他端が、シャフト軸53に取り付けられた回転レバー65に取り付けられる。
【0057】
シャフト軸ボス51の下面と、シャフト軸53の外周部から突出した外周突部53bとの間には、ハンドル開位置保持ばね68が配置される。ハンドル開位置保持ばね68は、ドア8が開放状態のときに、ドアハンドル52を開放位置に保持するためのばねである。
【0058】
なお、本実施形態において、ドアハンドル52とシャフト軸53とを接続する接続機構Tは、シャフト軸ボス51と、ハンドルボス54と、ラチェット機構60(ラチェットボス61、3つのラチェットばね62及び3つのラチェットボール63)と、回転レバー65と、ハンドル戻し用ばね66と、ハンドル開位置保持ばね68とを含んでいる。
【0059】
(ドア開放状態)
ドアハンドル52が開放位置にある状態について、
図6~
図7に基づいて説明する。
【0060】
ドアハンドル52が開放位置に向かって左回転方向に回動されると、
図7(c)に示すように、ハンドルボス54の回転規制部54dは、ドアハンドル52と一体となって左回転方向に回転されて、シャフト軸ボス51の穴部51aの底面に形成された凹部51c内において、シャフト軸ボス51の段部51dの上端部近傍の位置に配置される。そのとき、ハンドルボス54の回転規制部54dの左端部がシャフト軸ボス51の段部51dの上端部に当接することにより、ハンドルボス54の回転規制部54dの左回転方向への回転が規制される。そのため、ドアハンドル52の左回転方向への回転は、回動規制手段Nにより規制される。
【0061】
これに対して、
図7(c)に示すように、シャフト軸ボス51の凹部51c内において、回転レバー65の突出板部65bは、シャフト軸ボス51の段部51dと対向する位置に配置される。そのとき、回転レバー65の突出板部65bの下端部とシャフト軸ボス51の段部51dの下端部との間には、90度回転分の空隙が形成され、ハンドルボス54の回転規制部54dの右回転方向への回転は規制されない。そのため、ドアハンドル52の右回転方向への回転は、回動規制手段Nにより規制されない。
【0062】
ドアハンドル52が開放位置にある状態では、ラチェット機構60は、
図7(b)に示すように、ドアハンドル52の回転をシャフト軸53に対して伝達する伝達状態である。具体的には、3つのラチェットボール63は、それぞれ、ラチェットボス61の溝61a内に配置された状態で、ラチェットばね62により径方向内側に向かって押圧される状態である。
【0063】
すなわち、開放位置あるドアハンドル52に対して閉鎖位置に向かって回動操作が行われた場合、ドアハンドル52は、開放位置から閉鎖位置に向かって回動する。そのとき、ドアハンドル52の回転に応じて、シャフト軸53のドアロックレバー53aは回転する。
【0064】
なお、ドアハンドル52が開放位置にある状態では、ドアハンドル52は、ハンドル開位置保持ばね68により開放位置に保持される。
【0065】
(ドア閉鎖状態)
ドアハンドル52が開放位置から閉鎖位置まで回動されて、ドアハンドル52が閉鎖位置にある状態について、
図8~
図9に基づいて説明する。
【0066】
ドアハンドル52が開放位置から閉鎖位置に向かって右回転方向に回動されると、
図9(c)に示すように、ハンドルボス54の回転規制部54dは、ドアハンドル52と一体となって右回転方向に回転されて、シャフト軸ボス51の凹部51c内において、シャフト軸ボス51の段部51dと対向する位置に配置される。そのとき、回転レバー65の突出板部65bの左端部がシャフト軸ボス51の段部51dの下端部に当接すると共に、ハンドルボス54の回転規制部54dの下端部が回転レバー65の突出板部65bの右端部に当接することにより、ハンドルボス54の回転規制部54dの右回転方向への回転が規制される。そのため、ドアハンドル52の右回転方向への回転は、回動規制手段Nにより規制される。
【0067】
これに対して、
図9(c)に示すように、シャフト軸ボス51の凹部51c内において、回転レバー65の突出板部65bは、シャフト軸ボス51の段部51dの下端部近傍の位置に配置される。そのとき、ハンドルボス54の回転規制部54dの上端部とシャフト軸ボス51の段部51dの上端部との間には、90度回転分の空隙が形成され、ハンドルボス54の回転規制部54dの左回転方向への回転は規制されない。そのため、ドアハンドル52の左回転方向への回転は、回動規制手段Nにより規制されない。
【0068】
ドアハンドル52が閉鎖位置にある状態では、シャフト軸53の先端にあるドアロックレバー53aは、ドアラッチユニット80の取り付け穴81に挿入されている。洗濯機1の運転が行われてない場合、ドアロックが解除されており、取り付け穴81に挿入されたドアロックレバー53aの回転は、ロックピン85により阻止されてない状態であり、ハンドルボス54の回転規制部54dの左回転方向への回転は、ドアラッチユニット80により規制されない。そのため、ドアハンドル52の左回転方向への回転は、ドアラッチユニット80により規制されない。
【0069】
ドアハンドル52が閉鎖位置にある状態では、ラチェット機構60は、
図9(b)に示すように、ドアハンドル52の回転をシャフト軸53に対して伝達する伝達状態である。具体的には、3つのラチェットボール63は、それぞれ、ラチェットボス61の溝61a内に配置された状態で、ラチェットばね62により径方向内側に向かって押圧される状態である。
【0070】
すなわち、ドアロックレバー53aがドアラッチユニット80により回転が阻止されない状態において閉鎖位置にあるドアハンドル52に対して開放位置に向かって回動操作が行われた場合、ドアハンドル52は、閉鎖位置から開放位置に向かって回動する。そのとき、ドアハンドル52の回転に応じて、シャフト軸53のドアロックレバー53aは回転する。
【0071】
これに対して、洗濯機1の運転が行われている場合、ドアロックがされており、取り付け穴81に挿入されたドアロックレバー53aの回転は、ロックピン85により阻止された状態であり、ハンドルボス54の回転規制部54dの左回転方向への回転は、ドアラッチユニット80により規制される。そのため、ドアハンドル52の左回転方向への回転は、ドアラッチユニット80により規制される。
【0072】
すなわち、ドアロックレバー53aがドアラッチユニット80により回転が阻止された状態において閉鎖位置にあるドアハンドル52に対して開放位置に向かって回動操作が行われた場合、ラチェット機構60は、
図9(b)に示すように、ドアハンドル52の回転をシャフト軸53に対して伝達する伝達状態であるが、ドアロックレバー53aの回転は、ロックピン85により阻止された状態であり、ドアハンドル52は、閉鎖位置から開放位置に向かって回動しない。
【0073】
(ドアこじ開け状態)
ドアロック状態において、ドアハンドル52が閉鎖位置にある状態からこじ開けられて、ドアハンドル52が開放位置まで回動された状態について、
図10~
図11に基づいて説明する。
【0074】
洗濯機1の運転が行われている場合、ドアロックがされており、ドアハンドル52の左回転方向への回転はドアラッチユニット80により規制されている。その状態で閉鎖位置にあるドアハンドル52に対して開放位置に向かって、こじ開けようとする過剰な力が作用した場合、ラチェット機構60は、ドアハンドル52の回転をシャフト軸53に対して伝達する伝達状態から、ドアハンドル52の回転をシャフト軸53に対して伝達しない空転状態に切り替わる。具体的には、ラチェット機構60は、ドアハンドル52に対して開放位置に向かって過剰な力が作用して、ラチェットボス61の溝61a内に配置されたラチェットボール63がラチェットばね62の押圧力に抗して径方向外側に移動し、ラチェットボス61の溝61aから外れると、ドアハンドル52の回転をラチェットばね62及びラチェットボール63を介してラチェットボス61に伝達しない空転状態に切り替わる。
【0075】
すなわち、ドアロックレバー53aがドアラッチユニット80により回転が阻止された状態において閉鎖位置にあるドアハンドル52に対して開放位置に向かって回動操作が行われた場合、ドアハンドル52は、閉鎖位置から開放位置に向かって回動するが、ドアハンドル52がシャフト軸53に対して空転して、ドアハンドル52の回転に応じてシャフト軸53は回転しない。そのため、取り付け穴81に挿入されたドアロックレバー53aは回転しないため、ドアロックレバー53aからロックピン85に対して過剰な押圧力は作用しない。
【0076】
その後、さらに、ドアハンドル52が空転状態で開放位置に向かって左回転方向に回動されると、
図11(c)に示すように、ハンドルボス54の回転規制部54dは、ドアハンドル52と一体となって左回転方向に回転されて、シャフト軸ボス51の凹部51c内において、シャフト軸ボス51の段部51dの上端部近傍の位置に配置される。そのとき、ハンドルボス54の回転規制部54dの左端部がシャフト軸ボス51の段部51dの上端部に当接することにより、ハンドルボス54の回転規制部54dの左回転方向への回転が規制される。そのため、ドアハンドル52の左回転方向への回転は、回動規制手段Nにより規制され、ラチェットボス61の溝61aから外れたラチェットボール63が、元の溝61aより回転方向下流側の溝61a内に配置されるのが防止される。
【0077】
そのとき、ハンドルボス54の回転規制部54dの右端部と回転レバー65の突出板部65bの右端部との間には、90度回転分の空隙が形成され、ハンドルボス54の回転規制部54dの右回転方向への回転は規制されない。そのため、ドアハンドル52の右回転方向への回転は、回動規制手段Nにより規制されない。よって、ドアハンドル52が左回転方向に空転状態で回動された後、ドアハンドル52に対して操作が行われなくなると、ドアハンドル52が、ハンドル戻し用ばね66により、元の閉鎖位置に戻される。
【0078】
本実施形態の洗濯機1は、筐体2に設けられ、ドラム4の開口4aと対向する衣類投入口6を開閉するドア8と、ドア8の開放動作を禁止するドアラッチユニット80と、ドア8に設けられ、ドア8を開閉するときに回動操作が行われるドアハンドル52と、ドアラッチユニット80により回転が阻止され得るドアロックレバー53aと一体に回転するシャフト軸53と、ドアハンドル52とシャフト軸53とを接続する接続機構Tとを備え、ドアハンドル52は、ドア8を開放する開放位置からドア8を閉鎖する閉鎖位置までの操作可能範囲において回動可能であり、接続機構Tは、開放位置にあるドアハンドル52に対して閉鎖位置に向かって回動操作が行われた場合、及び、ドアロックレバー53aがドアラッチユニット80により回転が阻止されない状態において閉鎖位置にあるドアハンドル52に対して開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、ドアハンドル52の回転に応じてシャフト軸53を回転させると共に、ドアロックレバー53aがドアラッチユニット80により回転が阻止された状態において閉鎖位置にあるドアハンドル52に対して開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、ドアハンドル52の回転に応じてシャフト軸53を回転させないと共に、その操作が行われなくなるとドアハンドル52を閉鎖位置に戻す。
【0079】
これにより、本実施形態の洗濯機1では、ドアロックレバー53aがドアラッチユニット80により回転が阻止された状態において閉鎖位置にあるドアハンドル52に対して開放位置に向かって回動操作が行われた場合でも、ドアハンドル52の回転に応じてシャフト軸53を回転させないことにより、ドアラッチユニット80が破損するのを防止することができる。また、閉鎖位置にあるドアハンドル52に対して開放位置に向かって回動操作が行われなくなると、ドアハンドル52が閉鎖位置に自動的に戻されるため、ドアハンドル52の操作性が向上する。
【0080】
本実施形態の洗濯機1において、接続機構Tは、ドアハンドル52に対して閉鎖位置に向かう回転力を作用させる戻し用ばねであるハンドル戻し用ばね66を有しており、ドアロックレバー53aがドアラッチユニット80により回転が阻止された状態において閉鎖位置にあるドアハンドル52に対して開放位置に向かって回動操作が行われなくなると、ハンドル戻し用ばね66によりドアハンドル52を閉鎖位置に戻す。
【0081】
これにより、本実施形態の洗濯機1では、ドアロックレバー53aがドアラッチユニット80により回転が阻止された状態において閉鎖位置にあるドアハンドル52に対して開放位置に向かって回動操作が行われなくなると、ハンドル戻し用ばね66により容易にドアハンドル52を閉鎖位置に自動的に戻すことができる。
【0082】
本実施形態の洗濯機1において、接続機構Tは、ドアハンドル52とシャフト軸53との間に配置された回転伝達切替手段であるラチェット機構60とを有しており、ラチェット機構60は、ドアロックレバー53がドアラッチユニット80により回転が阻止された状態において閉鎖位置にあるドアハンドル52に対して開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、ドアハンドル52をシャフト軸53に対して空転するように切り替える。
【0083】
これにより、本実施形態の洗濯機1では、ドアロックレバー53aがドアラッチユニット80により回転が阻止された状態において閉鎖位置にあるドアハンドル52に対して開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、ドアハンドル52はシャフト軸53に対して空転するため、ドアハンドル52の回転をシャフト軸53に伝達しないように容易に切り替えることができる。
【0084】
本実施形態の洗濯機1において、接続機構Tは、ドアハンドル52に対して開放位置から閉鎖位置に向かって回動操作が行われた場合、及び、ドアハンドル52に対して閉鎖位置から開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、ドアハンドル52が操作可能範囲を超えて回動しないように規制する回動規制手段Nを有する。
【0085】
これにより、本実施形態の洗濯機1では、ドアハンドル52に対して開放位置から閉鎖位置に向かって回動操作が行われた場合、及び、ドアハンドル52に対して閉鎖位置から開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、ドアハンドル52が操作可能範囲を超えて回動するのを防止できる。
【0086】
本実施形態の洗濯機1において、ドアハンドル52は、樹脂で形成された長尺のドアハンドルであり、ドアロックレバー53がドアラッチユニット80により回転が阻止された状態において閉鎖位置にあるドアハンドル52に対して開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、ドアラッチユニット80が破損するまでにドアハンドル52が破損するように形成される。
【0087】
これにより、本実施形態の洗濯機1では、ドアロックレバー53aがドアラッチユニット80により回転が阻止された状態において閉鎖位置にあるドアハンドル52に対して開放位置に向かって回動操作が行われた場合に、ドアハンドル52が過剰な力により操作可能範囲を超えて回動操作されたときでも、ドアラッチユニット80が破損するまでにドアハンドル52の根本部52Aが破損するため、ドアラッチユニット80が破損するのを防止できる。また、ドアラッチユニット80が破損した場合の修理作業と比べて、ドアハンドル52が破損した場合、破損したドアハンドル52を交換すればよく修理作業が容易である。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0089】
例えば、上記実施形態において、ドアハンドル52とシャフト軸53とを接続する接続機構Tは、シャフト軸ボス51と、ハンドルボス54と、ラチェット機構60(ラチェットボス61、3つのラチェットばね62及び3つのラチェットボール63)と、回転レバー65と、ハンドル戻し用ばね66と、ハンドル開位置保持ばね68とを含んでいるが、接続機構Tの構成は、任意である。
【0090】
接続機構Tは、ドアハンドル52の回転をシャフト軸53に対して伝達する伝達状態と伝達しない空転状態とを切り替える回転伝達切替手段としてのラチェット機構60を有しなくてよい。接続機構Tが回転伝達切替手段を有する場合でも、回転伝達切替手段は、ラチェット機構60に限られない。
【0091】
例えば、上記実施形態のハンドル装置50において、ラチェット機構60を有しないとすると、ドアハンドル52とシャフト軸53とは、ハンドル戻し用ばね66で接続される。その状態で、ドアロックレバー53aがドアラッチユニット80により回転が阻止された状態において閉鎖位置にあるドアハンドル52に対して開放位置に向かって回動操作が行われた場合、ドアハンドル52は、シャフト軸53に対して空転して開放位置に向かって回動される。そのとき、ドアハンドル52は、捩じりコイルばねであるハンドル戻し用ばね66の閉鎖位置に向かう回転力に抗して回動するため、その後、ドアハンドル52に対して開放位置に向かって回動操作が行われなくなると、閉鎖位置に戻される。その場合でも、ドアハンドル52は、回動規制手段Nにより操作可能範囲を超えて回動しないように規制されるため、ハンドル戻し用ばね66が破損するのが防止される。
【0092】
また、接続機構Tが回転伝達切替手段としてのラチェット機構60を有する場合でも、ラチェット機構60の構成は、任意である。すなわち、上記実施形態のラチェット機構60では、ラチェットボス61の溝61a、ラチェットばね62及びラチェットボール63をそれぞれ3つ有しているが、ラチェットボス61の溝61a、ラチェットばね62及びラチェットボール63の数は、1つ、2つ、4つ以上でもよい。
【0093】
接続機構Tは、回転伝達切替手段を有しなくてよい。なお、本発明において、回転伝達切替手段が、ドアハンドル52とシャフト軸53との間に配置されるとは、回転伝達切替手段が、ドアハンドル52及びシャフト軸53のそれぞれに他の部材を介して接続される場合が含まれる。
【0094】
上記実施形態において、ドアハンドル52が操作可能範囲を超えて回動しないように規制する回動規制手段Nは、シャフト軸ボス51の凹部51c(段部51d)と、ハンドルボス54の回転規制部54dと、回転レバー65の突出板部65bとを含んでいるが、回動規制手段Nの構成は、任意である。
【0095】
上記実施形態において、ドアロックレバー53がドアラッチユニット80により回転が阻止された状態において閉鎖位置にあるドアハンドル52に対して開放位置に向かって回動操作が行われなくなると、捩じりコイルばねであるハンドル戻し用ばね66によりドアハンドル52を閉鎖位置に戻すが、ドアハンドル52を閉鎖位置に戻すための構成は、任意である。
【0096】
上記実施形態において、操作部材は、長尺の把手部52bを有するドアハンドル52であるが、操作部材の形状は、任意である。例えば、
図12に示すように、対称形状を有する操作部材153でもよい。
【0097】
上記実施形態において、ドアラッチユニット80は、ドアロックレバー53aの回転を阻止可能な位置に対して突出及び後退するように設けられたロックピン85を有しているが、ドアラッチユニット80の構成は、任意である。
【0098】
上記実施形態において、ドアハンドル52は、水平に対して右斜め下方向45度に傾斜した閉鎖位置と水平に対して右斜め上方向45度に傾斜した開放位置との間の90度の操作可能範囲において回動操作が行われるが、それに限られない。ドアハンドル52の閉鎖位置は、水平に対して右斜め下方向45度に傾斜した閉鎖位置以外の位置でもよい。ドアハンドル52の開放位置は、水平に対して右斜め上方向45度に傾斜した開放位置以外の位置でもよい。ドアハンドル52の操作可能範囲は、90度以外の範囲でもよい。
【0099】
上記実施形態において、操作部材であるドアハンドル52は、把手部52bの根本部52Aの厚さが薄くなっており、強度が最も弱くなるように設計されている。ドアハンドル52が過剰な力により操作可能範囲を超えて回動操作されたときに、ドアラッチユニットが破損するまでにドアハンドル52の根本部52Aが破損するが、ドアハンドル52の破損する部分は、把手部52bの根本部52Aに限られない。また、ドアハンドル52の把手部52bの根本部52Aの強度が弱くなるように、根本部52Aの厚さが薄くなっているが、把手部52bの根本部52Aに切欠きを形成して、根本部52Aの強度が弱くなるようにしてよい。
【0100】
上記実施形態では、洗い工程、濯ぎ工程及び脱水工程を実施可能な洗濯機1について説明したが、本発明は、洗い工程、濯ぎ工程及び脱水工程の少なくとも1つを実施可能な洗濯機に適用可能であり、洗い工程、濯ぎ工程及び脱水工程の少なくとも1つの工程と共に乾燥工程を実施可能な洗濯乾燥機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 洗濯機
2 筐体
3 外槽
4 ドラム
4a 開口
6 衣類投入口
8 ドア
52 ドアハンドル(操作部材)
53 シャフト軸
53a ドアロックレバー
54 ハンドルボス
60 ラチェット機構(回転伝達切替手段)
66 ハンドル戻し用ばね(戻し用ばね)
80 ドアラッチユニット
152 操作部材
T 接続機構
N 回動規制手段