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特許7492704流動体の塗布方法及び流動体吐出用ノズル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】流動体の塗布方法及び流動体吐出用ノズル
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/26 20060101AFI20240523BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240523BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240523BHJP
   B05B 1/20 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
B05D1/26 Z
B05D7/24 301P
B05C5/00 101
B05B1/20 101
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020077331
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2021171701
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593143120
【氏名又は名称】鐘工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】古田 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】和久利 正二
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-232675(JP,A)
【文献】特開2008-168179(JP,A)
【文献】実開昭56-062168(JP,U)
【文献】米国特許第05638990(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C
B05D
B05B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間の経過とともに硬化する流動体を塗布するための方法であって、
吐出口から前記流動体を吐出するノズルを、対象面に沿って移動させながら前記対象面に前記流動体を付着させる塗布工程を含み、
前記吐出口が、前記ノズルの移動方向とは反対側の第1方向に前記流動体を吐出する第1吐出口と、前記第1方向と交わる向きに前記流動体を吐出する第2吐出口とを備え
前記第1吐出口は、矩形状である、
流動体の塗布方法。
【請求項2】
時間の経過とともに硬化する流動体を塗布するための方法であって、
吐出口から前記流動体を吐出するノズルを、対象面に沿って移動させながら前記対象面に前記流動体を付着させる塗布工程を含み、
前記吐出口が、前記ノズルの移動方向とは反対側の第1方向に前記流動体を吐出する第1吐出口と、前記第1方向と交わる向きに前記流動体を吐出する第2吐出口とを備え、
前記第2吐出口は、前記第1方向に延びるスリットである、
流動体の塗布方法。
【請求項3】
前記第2吐出口は、前記第1吐出口に連通している、請求項1又は2記載の流動体の塗布方法。
【請求項4】
時間の経過とともに硬化する流動体を塗布するための方法であって、
吐出口から前記流動体を吐出するノズルを、対象面に沿って移動させながら前記対象面に前記流動体を付着させる塗布工程を含み
前記吐出口が、前記ノズルの移動方向とは反対側の第1方向に前記流動体を吐出する第1吐出口と、前記第1方向と交わる向きに前記流動体を吐出する第2吐出口とを備え、
前記第2吐出口は、前記第1吐出口とは独立して形成されている、
流動体の塗布方法。
【請求項5】
前記対象面は、前記第1方向に延びる底面と、前記底面から立ち上がる少なくとも1つの壁面とを有する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の流動体の塗布方法。
【請求項6】
前記対象面は、前記第1方向に延びる底面と、前記底面から立ち上がる一対の壁面とを有する溝である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の流動体の塗布方法。
【請求項7】
前記第2吐出口は、前記第1吐出口の両側に設けられた一対からなる、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の流動体の塗布方法。
【請求項8】
流動体を吐出するためのノズルであって、
管体と、
前記管体の先端側で開口し、かつ、前記流動体を吐出する吐出口とを含み、
前記吐出口は、
前記管体の長手方向に沿った第1方向に前記流動体を吐出する第1吐出口と、
前記第1方向と交わる向きに前記流動体を吐出する第2吐出口とを備え、
前記第1吐出口は、矩形状である、
流動体吐出用ノズル
【請求項9】
流動体を吐出するためのノズルであって、
管体と、
前記管体の先端側で開口し、かつ、前記流動体を吐出する吐出口とを含み、
前記吐出口は、
前記管体の長手方向に沿った第1方向に前記流動体を吐出する第1吐出口と、
前記第1方向と交わる向きに前記流動体を吐出する第2吐出口とを備え
前記第2吐出口は、前記第1方向に延びるスリットである、
流動体吐出用ノズル。
【請求項10】
前記第2吐出口は、前記第1吐出口に連通している請求項8又は9記載の流動体吐出用ノズル。
【請求項11】
流動体を吐出するためのノズルであって、
管体と、
前記管体の先端側で開口し、かつ、前記流動体を吐出する吐出口とを含み、
前記吐出口は、
前記管体の長手方向に沿った第1方向に前記流動体を吐出する第1吐出口と、
前記第1方向と交わる向きに前記流動体を吐出する第2吐出口とを備え、
前記第2吐出口は、前記第1吐出口とは独立して形成されている、
流動体吐出用ノズル。
【請求項12】
前記第2吐出口は、前記第1吐出口の両側に設けられた一対からなる請求項8ないし11のいずれか1項に記載の流動体吐出用ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動体の塗布方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、接着剤が入った後部チューブに取り付けられるボンド塗布具が記載されている。このボンド塗布具には、接着剤の流出口として、複数個の穴が配列されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3136678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のボンド塗布具は、後部チューブを一方向に引きながら、接着剤が押し出されることにより、接着剤を線上に塗布することができる。
【0005】
しかしながら、近年では、接着剤などの流動体の塗布幅を広げて、効率的な塗布が求められていた。
【0006】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、流動体を効率よく塗布することが可能な方法等を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、流動体を塗布するための方法であって、吐出口から前記流動体を吐出するノズルを、対象面に沿って移動させながら前記対象面に前記流動体を付着させる塗布工程を含み、前記吐出口が、前記ノズルの移動方向とは反対側の第1方向に前記流動体を吐出する第1吐出口と、前記第1方向と交わる向きに前記流動体を吐出する第2吐出口とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る前記流動体の塗布方法において、前記対象面は、前記第1方向に延びる底面と、前記底面から立ち上がる少なくとも1つの壁面とを有してもよい。
【0009】
本発明に係る前記流動体の塗布方法において、前記対象面は、前記第1方向に延びる底面と、前記底面から立ち上がる一対の壁面とを有する溝であってもよい。
【0010】
本発明に係る前記流動体の塗布方法において、前記第1吐出口は、矩形状であってもよい。
【0011】
本発明に係る前記流動体の塗布方法において、前記第2吐出口は、前記第1吐出口の両側に設けられた一対からなるものでもよい。
【0012】
本発明に係る前記流動体の塗布方法において、前記第2吐出口は、前記第1方向に延びるスリットであってもよい。
【0013】
本発明に係る前記流動体の塗布方法において、前記第2吐出口は、前記第1吐出口に連通していてもよい。
【0014】
本発明に係る前記流動体の塗布方法において、前記第2吐出口は、前記第1吐出口とは独立して形成されていてもよい。
【0015】
本発明は、流動体を吐出するためのノズルであって、管体と、前記管体の先端側で開口し、かつ、前記流動体を吐出する吐出口とを含み、前記吐出口は、前記管体の長手方向に沿った第1方向に前記流動体を吐出する第1吐出口と、前記第1方向と交わる向きに前記流動体を吐出する第2吐出口とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る前記流動体吐出用ノズルにおいて、前記第1吐出口は、矩形状であってもよい。
【0017】
本発明に係る前記流動体吐出用ノズルにおいて、前記第2吐出口は、前記第1吐出口の両側に設けられた一対からなるものでもよい。
【0018】
本発明に係る前記流動体吐出用ノズルにおいて、前記第2吐出口は、前記第1方向に延びるスリットであってもよい。
【0019】
本発明に係る前記流動体吐出用ノズルにおいて、前記第2吐出口は、前記第1吐出口に連通していてもよい。
【0020】
本発明に係る前記流動体吐出用ノズルにおいて、前記第2吐出口は、前記第1吐出口とは独立して形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の流動体の塗布方法は、上記の工程を採用することにより、流動体の塗布幅を広げることができ、流動体を対象面に効率よく塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】流動体の塗布方法によって流動体が塗装される対象面の一例を示す斜視図である。
図2図1の側部断面図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4】ノズル及び容器部の一例を示す部分側面図である。
図5】ノズルの一例を示す斜視図である。
図6】本発明の他の実施形態のノズルの一例を示す斜視図である。
図7】本発明のさらに他の実施形態のノズルの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。なお、各図面は、発明の内容の理解を高めるためのものであり、誇張された表示が含まれる他、各図面間において、縮尺等は厳密に一致していない点が予め指摘される。
【0024】
図1は、流動体の塗布方法(以下、単に「塗布方法」ということがある)によって、流動体が塗装される対象面3の一例を示す斜視図である。図2は、図1の側部断面図である。図3は、図2のA-A断面図である。
【0025】
対象面3としては、流動体2が塗布されるものであれば、特に限定されない。図2及び図3に示されるように、本実施形態の対象面3は、第1方向D1(ノズル16の移動方向D3とは反対側)に延びる底面5と、底面5から立ち上がる少なくとも1つの壁面6(本例では、一対の壁面6、6)とを有している。図3に示されるように、壁面6は、第1方向D1(図2に示す)と交わる向き(第2方向D2)に配されている。本実施形態の対象面3は、底面5と、一対の壁面6、6とを有する溝8である場合が例示される。
【0026】
溝8は、底面5と一対の壁面6、6とを有するものであれば、特に限定されない。図1に示されるように、本実施形態の溝8は、直線状に延びるものが例示されているが、例えば、曲線状や、折線状(ジグザグ状)に延びていてもよい。また、溝幅W1(図3に示す)は、特に限定されるわけではなく、例えば、3~8mm程度に設定されている。
【0027】
本実施形態の溝8は、建物の壁下地11に固定された仕上げ材12、12の間に形成された目地13として構成されている。なお、溝8は、例えば、仕上げ材12の表面を凹ませて形成された化粧目地であってもよい。仕上げ材12としては、タイル14である場合が例示されるが、例えば、石材や、陶板などであってもよい。
【0028】
図2に示されるように、本実施形態の底面5は、仕上げ材12を壁下地11に接着する固定手段15の硬化物によって構成されている。固定手段15には、例えば、モルタル、樹脂モルタル、又は、弾性接着剤などが採用される。
【0029】
ところで、本実施形態の溝8(対象面3)には、例えば、固定手段15の経年に伴い、メンテナンスが行われることがある。このようなメンテナンスには、例えば、時間の経過とともに硬化する流動体2が、対象面3に塗布される。本実施形態において、硬化とは、時間の経過によって流動性がなくなる状態をいい、弾性を有する状態が含まれる。本実施形態の流動体2は、対象面3をメンテナンスできるものであれば、適宜採用されうる。本実施形態の流動体2には、弾性接着剤が採用される。
【0030】
本実施形態において、流動体2の塗布には、流動体吐出用ノズル(以下、単に「ノズル」ということがある。)16が用いられる。図1に示されるように、本実施形態のノズル16には、流動体供給装置17が取り付けられる。
【0031】
流動体供給装置17は、ノズル16に流動体2(図2に示す)を供給するためのものである。本実施形態の流動体供給装置17は、流動体2が収容された容器部19と、容器部19内の流動体2をノズル16に供給する供給部20とを含んで構成される。なお、流動体供給装置17は、流動体2をノズル16に供給することができれば、特に限定されるわけではなく、例えば、容器部19(例えば、上記特許文献1の接着剤(流動体)が収容されたチューブ)のみで構成されてもよい。
【0032】
図4は、ノズル16及び容器部19の一例を示す部分側面図である。図1及び図4に示されるように、本実施形態の容器部19は、流動体2(図2に示す)が主として収容された本体部21と、本体部21から突出したノズル部22とを含んで構成される。本実施形態では、本体部21とノズル部22とが着脱可能に固定されている。本実施形態の容器部19は、公知のコーキングガン(供給部20)に装着可能なカートリッジとして構成されているが、このような態様に限定されない。
【0033】
ノズル部22には、本体部21に収容された流動体2(図示省略)を、外部に排出するための排出口23が設けられている。本実施形態では、排出口23に、ノズル16が取り付けられる(嵌め込まれる)。排出口23は、例えば、ノズル部22の先端側が切除されることで形成されうるが、このような態様に限定されない。本実施形態のノズル部22は、本体部21側から排出口23に向かって先細状に延びている。
【0034】
図1に示されるように、本実施形態の供給部20は、公知のコーキングガンとして構成されている。なお、供給部20は、容器部19に収容された流動体2をノズル16に供給できれば、このような態様に限定されない。コーキングガンとしては、例えば、手押し式、電動式、及び、エアー式など、種々のものが採用されうる。本実施形態の供給部20は、供給部20のトリガー25が引かれることによって、容器部19に収容された流動体2(図示省略)が、排出口23から排出される。排出口23から排出された流動体2は、ノズル16に供給されうる。
【0035】
図5は、ノズル16の一例を示す斜視図である。図4及び図5に示されるように、本実施形態のノズル16は、管体26と、吐出口27とを含んで構成されている。さらに、ノズル16は、供給口28を含んで構成されている。本実施形態のノズル16は、スチール等の金属によって形成されているが、このような態様に限定されるわけではなく、例えば、樹脂等で形成されてもよい。
【0036】
管体26は、中空の円筒状に形成されている。本実施形態の管体26の外径L1は、吐出口27から供給口28に向かって徐々に大きくなっている。図4に示されるように、管体26の少なくとも一部の外径L1(図5に示す)は、図4に示したノズル部22の排出口23の内径(図示省略)よりも大きく設定されている。これにより、図4に示されるように、例えば、ノズル部22の本体部21側から排出口23に向かって、ノズル16が挿入されることにより、ノズル16の管体26が排出口23に確実に嵌め込まれうる。
【0037】
図4及び図5に示されるように、本実施形態の管体26は、第1部分31と、第1部分31よりも外径L1が大きい第2部分32と、第2部分32よりも外径L1が大きい第3部分33とを含んで構成されている。第1部分31と第2部分32との間、及び、第2部分32と第3部分33との間には、段差部38がそれぞれ設けられている。なお、管体26は、このような態様に限定されるわけでなく、例えば、外径L1が漸増する第1部分のみで構成されてもよいし、第3部分33よりも大きい第4部分(図示省略)等がさらに含まれてもよい。本実施形態の第1部分31、第2部分32及び第3部分33の各外径L1は、それぞれ一定に設定されているが、長手方向の先端側26tから末端側26eに向かって漸増するものでもよい。
【0038】
本実施形態の管体26には、長手方向の末端側26eにおいて、フランジ状にのびる鍔部30が設けられている。このような鍔部30は、管体26のノズル部22への挿入時において、ノズル部22の内側面34に当接することができ、管体26の排出口23への嵌め込みを、より確実にすることが可能となる。
【0039】
本実施形態の管体26には、長手方向の先端側26tで突出する一対の突出片35、36が設けられている。本実施形態の一対の突出片35、36は、円筒状に形成された管体26とは異なり、それぞれ平面状に形成されている。なお、一対の突出片35、36は、それぞれ円弧面で形成されていてもよい。
【0040】
本実施形態の一対の突出片35、36は、先端側26tからの正面視において、それらの先端部35a、36aが平行に配されている。さらに、一対の突出片35、36は、管体26の側面視において、それらの側端部35b、36bが、平行に配されている。本実施形態の先端部35a、36aの間隔W4(図3に示す)、及び、側端部35b、36bの間隔W5(図2に示す)は、同一に設定されているが、異なっていてもよい。
【0041】
吐出口27は、流動体2を吐出するためのものである。図5に示されるように、吐出口27は、管体26の先端側26tで開口することで形成されている。図3に示されるように、本実施形態の管体26の吐出口27側の幅W2は、対象面3の幅(本例では、溝幅W1)よりも小さく設定されており、例えば、2~5mm程度に設定されている。図2図3及び図5に示されるように、本実施形態の吐出口27は、一対の突出片35、36によって形成されている。
【0042】
図5に示されるように、本実施形態の吐出口27は、第1吐出口27Aと、第2吐出口27Bとを含んで構成されている。本実施形態の第2吐出口27Bは、第1吐出口27Aに連通している。
【0043】
第1吐出口27Aは、管体26の長手方向に沿った第1方向D1(即ち、図2に示した対象面3の底面5が延びる方向)に、流動体2(図2に示す)を吐出するためのものである。本実施形態の第1吐出口27Aは、一対の突出片35、36の先端部35a、36aと、先端部35a、36aの幅方向の端部の間を延びる一対の境界部37、37(二点鎖線で示す)とで区画されている。上述したように、一対の先端部35a、36aは、先端側26tからの正面視において、平行に配されている。これにより、本実施形態の第1吐出口27Aは、矩形状(本例では、横長矩形状)に形成される。なお、第1吐出口27Aは、このような形状に限定されるわけではなく、例えば、円形状等(例えば、横長楕円等)に形成されていてもよい。
【0044】
図4及び図5に示されるように、第2吐出口27Bは、第1方向D1(本例では、管体26の長手方向)と交わる向き(第2方向D2)に流動体2を吐出するためのものである。本実施形態の第2吐出口27Bは、第1吐出口27Aの両側に設けられた一対で構成される態様が例示されるが、例えば、第1吐出口27Aの片側のみで構成されてもよい。
【0045】
図5に示されるように、本実施形態の第2吐出口27Bは、一対の突出片35、36の側端部35b、36bと、一対の境界部37、37(二点鎖線で示す)と、管体26(第1部分31の先端側26tの端部)とによって区分されている。これにより、第2吐出口27Bは、第1方向D1(本例では、管体26の長手方向)に延びるスリットとして形成される。上述したように、一対の側端部35b、36bは、管体26の側面視において、平行に配されている。これにより、本実施形態の第2吐出口27Bは、矩形状(本例では、横長矩形状)に形成される。なお、第2吐出口27Bは、このような形状に限定されるわけではなく、例えば、円形状等(例えば、横長楕円等)に形成されてもよい。
【0046】
供給口28(図5において破線で示す)は、管体26の長手方向の末端側26eにおいて、管体26の内部に流動体2を供給するためのものである。本実施形態の供給口28は、末端側26eからの正面視において、円形状に形成されているが、特に限定されるわけではなく、例えば、矩形状に形成されてもよい。
【0047】
次に、本実施形態の塗布方法が説明される。
図1図3に示されるように、本実施形態の塗布方法は、吐出口27から流動体2(図2に示す)を吐出するノズル16を、対象面3に沿って移動させながら、対象面3に流動体2を付着させる塗布工程を含んでいる。
【0048】
本実施形態の塗布工程では、先ず、図1に示した流動体供給装置17に、ノズル16が取り付けられる。本実施形態では、先ず、図4に示されるように、容器部19において、本体部21からノズル部22が取り外される。次に、取り外されたノズル部22の排出口23に、ノズル16が嵌め込まれる。これにより、ノズル部22の排出口23から、ノズル16の先端側26t(図5に示す)、及び、吐出口27を突出させることができる。そして、ノズル16が嵌め込まれたノズル部22が、本体部21のネジ部42に取り付けられる。
【0049】
次に、本実施形態の塗布工程では、図1に示した供給部20に、容器部19が取り付けられる。供給部20への容器部19の取り付けは、供給部(本例では、コーキングガン)20に定められた手順に基づいて、適宜行われる。
【0050】
次に、本実施形態の塗布工程では、図1図3に示されるように、流動体2を塗布する対象面3に、ノズル16が配置される。本実施形態では、図2に示されるように、ノズル16の移動方向D3とは反対側の第1方向D1に、ノズル16の第1吐出口27Aが向くように、ノズル16の吐出口27が対象面3(本例では、溝8の内部)に配置される。さらに、一対の突出片35、36のうち、一方の突出片35が、対象面3の底面5側に配置される。これにより、図2及び図3に示されるように、第2吐出口27B、27Bが、第1方向D1と交わる向き(第2方向D2)に配された壁面6に向けられる。
【0051】
次に、本実施形態の塗布工程では、図1及び図2に示されるように、ノズル16を対象面3に沿って移動させながら、ノズル16から流動体2が吐出される。本実施形態のノズル16の移動は、図2に示されるように、対象面3の底面5に、一方の突出片35を沿わせながら、ノズル16が取り付けられた流動体供給装置17(図1に示す)を、移動方向D3に向かって移動させることで行われる。また、流動体2の吐出は、図1に示した供給部20のトリガー25を引くことによって、容器部19の収容された流動体2がノズル16(吐出口27)に供給されることで行われる。これにより、塗布工程では、対象面3に流動体2を付着させることができる。
【0052】
本実施形態の塗布工程では、図2に示されるように、第1方向D1(移動方向D3とは反対側)に、第1吐出口27Aから流動体2を吐出させることができる。さらに、図3に示されるように、第1方向D1と交わる向き(第2方向D2)に、第2吐出口27Bから流動体2を吐出させることができる。これにより、本実施形態では、例えば、ノズル16に第2吐出口27Bが設けられていない場合や、ノズル16が取り付けられない(即ち、図4に示したノズル部22の排出口23のみ)場合に比べて、流動体2の塗布幅W3(図3に示す)を広げることができる。
【0053】
このように、本実施形態の塗布工程では、ノズル16が用いられることにより、流動体2の塗布幅W3(図3に示す)を広げることができるため、流動体2を対象面3に効率よく塗布することが可能となる。さらに、本実施形態では、第2吐出口27Bから吐出された流動体2を、第1方向D1と交わる向き(第2方向D2)に設けられた壁面6に向かって吐出させることができる。これにより、本実施形態のノズル16(塗布工程)は、底面5及び壁面6、6の双方に、流動体2を付着させることができるため、流動体2の密着強度を高めることが可能となる。
【0054】
本実施形態の第2吐出口27Bは、第1吐出口27Aに連通しているため、図2及び図3に示されるように、第2吐出口27Bから吐出される流動体2と、第1吐出口27Aから吐出される流動体2とを一体として、流動体2を吐出させることができる。したがって、本実施形態では、流動体2の密着性を効果的に高めることができる。
【0055】
図5に示されるように、本実施形態では、第1吐出口27Aが矩形状に形成されているため、図3に示されるように、第1吐出口27Aから吐出された流動体2を、対象面3の底面5に沿って吐出することができる。さらに、本実施形態の第1吐出口27Aから吐出された流動体2は、図2及び図3に示されるように、他方の突出片36により、底面5に沿って平滑に均される。これにより、本実施形態では、流動体2の対象面3(底面5)への密着性を効果的に高めつつ、例えばヘラ(図示省略)等を用いた流動体2の均し工程を省略することができる。このような作用を効果的に発揮させるために、底面5に対するノズル16(管体26)の傾斜角度α(図2に示す)は、10~60度程度が望ましい。
【0056】
他方の突出片36の第1方向(長手方向)D1への突出長さL2(図2に示す)は、一方の突出片35(底面5側)の突出長さ(図示省略)に比べて、大きく設定されてもよい。これにより、他方の突出片36は、一方の突出片35よりも第1方向D1側に配置されるため、一方の突出片35から離れて対象面3に付着した流動体2を効果的に均すことが可能となる。
【0057】
本実施形態では、第2吐出口27B、27Bが、第1方向D1(管体26の長手方向)に延びるスリットで形成されている。このため、第2吐出口27B、27Bは、管体26の長手方向(第1方向D1)に沿って供給される流動体2を、第1方向D1と交わる向き(第2方向D2)に吐出させつつ、その吐出した流動体2を第1方向D1に円滑に案内することができる。
【0058】
図2及び図3に示されるように、本実施形態の第2吐出口27B、27Bから吐出された流動体2は、第1吐出口27Aから塗布された流動体2のように平滑に均されない。このため、図3に示されるように、第2吐出口27B、27Bから吐出された流動体2の厚さT2が、第1吐出口27Aから塗布された流動体2の厚さT1に比べて大きくなる。これにより、本実施形態の流動体2の断面が、略U字状に形成される。これにより、第2吐出口27Bから吐出された流動体2と、壁面6との接着領域を大きくできるため、流動体2の密着性を効果的に高めることができる。
【0059】
これまでの実施形態では、第2吐出口27Bが、第1吐出口27Aに連通している態様が例示されたが、このような態様に限定されない。図6は、本発明の他の実施形態のノズル16の一例を示す斜視図である。この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
【0060】
第2吐出口27Bは、例えば、第1吐出口27Aとは独立して形成されていてもよい。これにより、第2吐出口27Bは、図5に示した第2吐出口27Bに比べて、第1方向D1と交わる向き(第2方向D2)に、流動体2を積極的に吐出することができる。これにより、この実施形態では、第1吐出口27Aとは別に、流動体2を独立して吐出することができるため、第1方向D1と交わる向き(第2方向D2)に配される壁面6に向かって、流動体2を積極的に吐出することが可能となる。
【0061】
この実施形態の第2吐出口27Bは、例えば、矩形状(例えば、横長矩形状のスリット)に形成されてもよいし、円形状(例えば、横長楕円等)に形成されていてもよい。また、吐出口27は、この実施形態の第2吐出口27B(即ち、第1吐出口27Aとは独立して形成)と、第1吐出口27Aに連通する第2吐出口27B(図5に示す)との双方が設けられてもよい。
【0062】
これまでの実施形態のノズル16は、一つの管体26で構成され、かつ、その管体26に吐出口27が設けられる態様が例示されたが、このような態様に限定されない。図7は、本発明のさらに他の実施形態のノズル16の一例を示す斜視図である。この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
【0063】
この実施形態のノズル16は、分岐して設けられた複数の管体26を含み、それらの管体26に、吐出口27がそれぞれ設けられてもよい。吐出口27は、これまでの実施形態の吐出口27と同様に形成される。
【0064】
この実施形態のノズル16は、一対の管体26、26と、これらの管体26、26を分岐させる分岐部40とを含んで構成されている。分岐部40には、流動体2を供給するための供給口28(図7で破線で示す)が設けられている。この実施形態の分岐部40は、図4に示した容器部19の本体部21のネジ部42に取り付け可能に形成されているが、このような態様に限定されない。
【0065】
この実施形態のノズル16は、それぞれの管体26、26の吐出口27、27から、流動体2(図2及び図3に示す)を同時に吐出することができる。したがって、ノズル16は、複数の対象面3(図1に示す)に、流動体2を同時に塗布することが可能となる。
【0066】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【0067】
2 流動体
3 対象面
16 ノズル
27 吐出口
27A 第1吐出口
27B 第2吐出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7