(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】カーナビ制御装置
(51)【国際特許分類】
G07C 5/10 20060101AFI20240523BHJP
G06F 11/07 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
G07C5/10
G06F11/07 140R
G06F11/07 196
(21)【出願番号】P 2023116370
(22)【出願日】2023-07-17
【審査請求日】2023-09-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ・令和5年5月31日に有限会社ユニオンシステムが、Amazonに、玉木勉氏が発明したカーナビ制御装置を卸した。・令和5年6月22日に有限会社ユニオンシステムが、Amazonに、玉木勉氏が発明したカーナビ制御装置を卸した。・令和5年6月28日に有限会社ユニオンシステムが、Amazonに、玉木勉氏が発明したカーナビ制御装置を卸した。・令和5年7月8日に有限会社ユニオンシステムが、Amazonに、玉木勉氏が発明したカーナビ制御装置を卸した。・令和5年7月10日に有限会社ユニオンシステムが、個人の寺田翔也氏に、玉木勉氏が発明したカーナビ制御装置を販売した。・令和5年7月11日に有限会社ユニオンシステムが、Amazonに、玉木勉氏が発明したカーナビ制御装置を卸した。・令和5年6月12日に有限会社ユニオンシステムが、公開されているYouTubeのウェブサイトにて、玉木勉氏が発明したカーナビ制御装置について公開した。・令和5年6月23日に有限会社ユニオンシステムが、公開されているYouTubeのウェブサイトにて、玉木勉氏が発明したカーナビ制御装置について公開した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307030496
【氏名又は名称】有限会社 ユニオンシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100187399
【氏名又は名称】上西 敏文
(74)【代理人】
【識別番号】100127166
【氏名又は名称】本間 政憲
(72)【発明者】
【氏名】玉木 勉
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特許第7274806(JP,B1)
【文献】特許第7274798(JP,B1)
【文献】特許第7130294(JP,B1)
【文献】特許第7343936(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 5/00- 5/10
B60R 11/02
G01C 21/36
G08G 1/00
G06F 11/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両とカーナビとの間に接続されて、カーナビを制御する装置であって、
前記車両からカーナビに向けて送信される車両情報を受信する受信手段と、
前記車両情報に対して演算を行う演算手段と、
前記演算手段の命令によって前記車両情報を記憶する記憶手段と、
前記演算手段によって得られた演算後車両情報をカーナビに対して送信する送信手段と、
を備え、
前記演算手段が、
停止状態を示す車両走行情報と圧縮演算した車両走行情報とを交互に演算後車両情報に入力する際にGPS測位情報と車両走行情報とが異なる車両状態を示した場合において、カーナビがエラーであると判断することを回避するエラー回避手段を備え
、
前記エラー回避手段が、
カーナビにおけるエラーの発生条件である、前記GPS測位情報と前記車両走行情報とが異なる車両状態を示した場合に、
以前に取得した前記GPS測位情報を用いて擬似的に生成した停止情報、擬似的に生成したGPS測位不能情報を演算後車両情報に入力すること、
又は、前記異なる車両状態によって、予め設定された、カーナビがエラーを発生するしきい値に達する際には、非圧縮の車両走行情報を演算後車両情報に入力すること、
を特徴とするカーナビ制御装置。
【請求項2】
車両とカーナビとの間に接続されて、カーナビを制御する装置であって、
前記車両からカーナビに向けて送信される車両情報を受信する受信手段と、
前記車両情報に対して演算を行う演算手段と、
前記演算手段の命令によって前記車両情報を記憶する記憶手段と、
前記演算手段によって得られた演算後車両情報をカーナビに対して送信する送信手段と、
を備え、
前記演算手段が、
停止状態を示す車両走行情報と圧縮演算した車両走行情報とを交互に演算後車両情報に入力する際にGPS測位情報と車両走行情報とが異なる車両状態を示した場合において、カーナビがエラーであると判断することを回避するエラー回避手段を備え、
前記エラー回避手段が、
前記異なる車両状態の回数が、予め設定された、カーナビにおけるエラー発生累積回数のしきい値を超える場合に、
非圧縮の車両走行情報を前記演算後車両情報に入力して、
前記送信手段が、
前記非圧縮の車両走行情報及び非加工のGPS測位情報が入力された演算後車両情報をカーナビに送信すること、
を特徴とするカーナビ制御装置。
【請求項3】
前記演算手段が、
第一期間分又は第一期間及び第二期間分の前記車両走行情報をカーナビに送信せず前記記憶手段に記憶することを命令するステップと、
前記記憶手段が、
前記第一期間分又は第一期間及び第二期間分の前記車両走行情報を記憶するステップと、
前記演算手段が、
その後に続く第一期間より短い第二期間に、前記第一期間分又は第一期間及び第二期間分の前記車両走行情報を圧縮して演算後車両情報に入力するステップと、
該演算後車両情報における前記GPS測位情報と、前記車両走行情報と、において走行状態が相違するか否かの判断を行うステップと、を備えたこと、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載するカーナビ制御装置。
【請求項4】
前記演算手段が、
前記車両の速度に応じて量が変化した第一期間分又は第一期間及び第二期間分の前記車両走行情報に、一度に送信する前記演算後車両情報の量を対応させて変化させる演算を行うこと、
を特徴とする請求項
3に記載するカーナビ制御装置。
【請求項5】
前記演算手段が、
一度に送信する前記演算後車両情報の圧縮度を第二期間内において連続して又は段階的に変化させるスイープ機能を持つこと、
を特徴とする請求項
3に記載するカーナビ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行状態を示す車速パルス信号、パーキング信号及び各種の車両状態を示すCAN信号(以下、「車両走行情報」という。)、並びに測位衛星を利用した全地球測位システム(衛星測位システム(GNSS)を含む。)の測位情報(以下、「GPS測位情報」という。)の車両情報(以下、「車両走行情報」と「GPS測位情報」とを併せて「車両情報」という。)を比較して異なることによって生じる自動車のナビゲーション装置(以下、「カーナビ」という。)のエラーを回避するカーナビ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常カーナビは、車両が走行中にはテレビ、光ディスク、メモリ、通信又はネットワーク(以下、「テレビ等」という。)を利用した映像の視聴はできないように設定されている。運転者が映像を視聴することによって運転の安全性が低下することを防止するためである。
【0003】
しかし、助手席又は後部座席の同乗者が車両の走行中に映像の視聴を希望する場合がある。同乗者が映像の視聴を希望する場合に対応して、車両からカーナビへ車両情報を送信する信号線に接続して、走行中でもテレビ等の視聴が可能となるように制御する装置が開発されている。
【0004】
特許文献1には、運転支援システムと連携する、テレビが搭載されたナビゲーション装置(カーナビ)において、運転支援システムの機能を阻害することなく車両が走行中であってもテレビ視聴を可能とする車載用テレビアダプターが開示されている。特許文献1では、運転支援システムが非動作中である場合には、テレビアダプターが受信した車速パルス信号は、テレビアダプターのアナログ信号制御部によって、実際には走行中であっても停車中であることを示す信号に変換されたうえで、ナビゲーション装置のアナログ信号入力部に送信され、車両が走行中であってもテレビの視聴を可能としている。
【0005】
しかし、車両によっては、GPS測位情報と車両走行情報とを比較して、「停止」と「走行」との異なる状態を検知した際には、エラーとなり、ナビゲーションを停止させるカーナビが存在する。特許文献1において、実際には車両が走行中である場合に、停車中であることを示す信号をナビゲーション装置に送信すると、実移動する現在位置を示すGPS測位情報との間に、「停止」と「走行」という異なる状態を検知することになる。車両情報から得られる状態に関して、所定の時間矛盾する状態が継続されると、カーナビがエラーを表示させたり、ナビゲーション又はテレビ等の視聴動作を停止させたりする問題が生じる。
【0006】
「停止」と「走行」との異なる状態を検知した際に、GPS測位情報を制御することによって、カーナビのエラー発生を回避するための先行技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第7130294号公報
【文献】特許第7274806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2には、ナビゲーションシステム(カーナビ)に対し、車速パルス信号及びCAN-BUS信号(CAN信号)の一方又は双方が提供され、前記ナビゲーションシステム又は該ナビゲーションシステムと連携する運転支援システム若しくは故障検知装置が、前記ナビゲーションシステムに提供された車速パルス信号又はCAN-BUS信号の一方若しくは双方が車両の停止を示すものの、前記ナビゲーションシステムに提供されたGPS信号が、前記車両が所定距離を走行する間又は第1所定時間のいずれか一方の間、前記車両の走行を示す状況が継続した場合に、異常を検知するように構成されるナビゲーションシステムに対して、GPSアンテナから得られる電波信号(以下、GPS信号という。)を電子回路でカーナビに送信しないように処理して、又はスイッチを用いてGPS信号を受信できないようにして、擬似的にGPSによって測位できない状態を生成し、「停止」と「走行」との異なる状態を回避して、カーナビがエラーを表示させたり、動作を停止させたりする問題の解決を図っている。
【0009】
しかし、ナビゲーションシステムにおいてエラーが発生することを回避するために、GPS信号を電気的に遮断したり、機械的なスイッチ等で遮断したりしてナビゲーションシステムへの送信を取りやめると、ナビゲーションシステム以外にGPSの情報を利用している前記車両に搭載された他の装置に悪影響を及ぼし、正常な動作ができなくなる問題がある、
【0010】
また、ナビゲーションシステムは、GPS信号を受信できない場合には、車速走行信号から得られる情報により、現在の車両位置を算出し表示装置に表示される。走行中にテレビ等を視聴する場合には、車両走行情報も停止状態としてナビゲーションシステムに認識させる必要があり、車両位置はテレビ視聴を開始した位置に止められたままになっており、テレビ視聴モードからナビゲーションモードに復帰した際には、テレビ等の視聴を開始した時点の車両位置を表示し当該位置から車両が走行を再開する。したがって、表示された車両位置は実際の車両位置と異なる位置を表示することになる。その後、GPS信号の受信が再開されGPS測位情報を取得した時点で、突然現在の車両位置に移動する問題がある。
【0011】
また、GPSアンテナから得られるGPS信号の受信を電気的に遮断したり、スイッチ等で遮断したりする場合には、改めてGPS信号を受信する際、複数の人工衛星の受信を確保しなければならず、測位が回復するまで時間を有することになり、前記ナビゲーションシステムが本来GPS測位情報を必要とするタイミングで演算処理ができず、前記ナビゲーションシステムの表示装置の地図上に指し示す前記車両の表示位置を補正することができなくなりずれが生じてしまうことがある。
【0012】
また、車両にはカーナビのほかにもGPS測位情報を必要とする他の機器が搭載されている場合には、カーナビにGPSアンテナが接続されていない場合がある。このような車両においては特許文献2の解決手段を用いることはできない。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、車両情報のうち、車両走行情報とGPS測位情報とによって得られる車両の状態が異なることによってカーナビがエラーを発生することを防止し、かつエラー発生によって波及する他の装置に対する悪影響を防止することができるカーナビ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明のカーナビ制御装置は、車両とカーナビとの間に接続されて、カーナビを制御する装置であって、前記車両からカーナビに向けて送信される車両情報を受信する受信手段と、前記車両情報に対して演算を行う演算手段と、前記演算手段の命令によって前記車両情報を記憶する記憶手段と、前記演算手段によって得られた演算後車両情報をカーナビに対して送信する送信手段と、を備え、前記演算手段が、停止状態を示す車両走行情報と圧縮演算した車両走行情報とを交互に演算後車両情報に入力する際にGPS測位情報と車両走行情報とが異なる車両状態を示した場合において、カーナビがエラーであると判断することを回避するエラー回避手段を備え、前記エラー回避手段が、カーナビにおけるエラーの発生条件である、前記GPS測位情報と前記車両走行情報とが異なる車両状態を示した場合に、以前に取得した前記GPS測位情報を用いて擬似的に生成した停止情報、擬似的に生成したGPS測位不能情報を演算後車両情報に入力すること、又は、前記異なる車両状態によって、予め設定された、カーナビがエラーを発生するしきい値に達する際には、非圧縮の車両走行情報を演算後車両情報に入力すること、を特徴とする。
【0015】
また、本発明のカーナビ制御装置は、車両とカーナビとの間に接続されて、カーナビを制御する装置であって、前記車両からカーナビに向けて送信される車両情報を受信する受信手段と、前記車両情報に対して演算を行う演算手段と、前記演算手段の命令によって前記車両情報を記憶する記憶手段と、前記演算手段によって得られた演算後車両情報をカーナビに対して送信する送信手段と、を備え、前記演算手段が、停止状態を示す車両走行情報と圧縮演算した車両走行情報とを交互に演算後車両情報に入力する際にGPS測位情報と車両走行情報とが異なる車両状態を示した場合において、カーナビがエラーであると判断することを回避するエラー回避手段を備え、前記エラー回避手段が、前記異なる車両状態の回数が、予め設定された、カーナビにおけるエラー発生累積回数のしきい値を超える場合に、非圧縮の車両走行情報を前記演算後車両情報に入力して、前記送信手段が、前記非圧縮の車両走行情報及び非加工のGPS測位情報が入力された演算後車両情報をカーナビに送信すること、を特徴とする。
【0016】
また、本発明のカーナビ制御装置は、前記演算手段が、第一期間分又は第一期間及び第二期間分の前記車両走行情報をカーナビに送信せず前記記憶手段に記憶することを命令するステップと、前記記憶手段が、前記第一期間分又は第一期間及び第二期間分の前記車両走行情報を記憶するステップと、前記演算手段が、その後に続く第一期間より短い第二期間に、前記第一期間分又は第一期間及び第二期間分の前記車両走行情報を圧縮して演算後車両情報に入力するステップと、該演算後車両情報における前記GPS測位情報と、前記車両走行情報と、において走行状態が相違するか否かの判断を行うステップと、を備えたこと、を特徴とする。
【0017】
また、本発明のカーナビ制御装置は、前記演算手段が、前記車両の速度に応じて量が変化した第一期間分又は第一期間及び第二期間分の前記車両走行情報に、一度に送信する前記演算後車両情報の量を対応させて変化させる演算を行うこと、を特徴とする。
【0018】
また、本発明のカーナビ制御装置は、前記演算手段が、一度に送信する前記演算後車両情報の圧縮度を第二期間内において連続して又は段階的に変化させるスイープ機能を持つこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明のカーナビ制御装置によれば、走行中にカーナビによってテレビ等の視聴を可能とした場合であっても、カーナビが、車両情報から得られるデータに差異が生じてエラーを起こすことがなく動作できる効果を奏する。また、エラー発生によって波及する他の装置に対する悪影響を防止することができる
【0020】
また、本発明のカーナビ制御装置によれば、テレビ等の映像が表示されているカーナビのバックグラウンドでナビゲーション動作を継続して行い、テレビ視聴を終了した直後には、正しい車両位置を表示することができる効果を奏する。
【0021】
また、本発明のカーナビ制御装置によれば、テレビ等の映像が表示されているカーナビのバックグラウンドで継続されているナビゲーション動作による位置精度について、テレビ等の映像が表示されていない場合のナビゲーション動作の位置精度と同等の位置精度を得ることができる効果を奏する。
【0022】
第二期間は、車両の走行状態についてカーナビが判断を行う時間に該当する。当該第二期間は、車種又はカーナビによって異なるが、本発明のカーナビ制御装置において、車種ごと設定された車種固有の設定情報のうち第二期間に関わる情報を変更することにより対応可能である。したがって、車種によって当該第二期間が異なった場合であっても、本発明のカーナビ制御装置によれば、ナビゲーション動作継続の対応が可能である効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係るカーナビ制御装置10使用時の車両20のシステム構成図の一例である。
【
図2】本発明に係るカーナビ制御装置10及び車両20の関連する部分のブロック図の一例である。
【
図3】車両位置は原則車両走行情報によって取得するが、車両位置の補正のためにGPS測位情報を利用するのみのカーナビ30に接続したカーナビ制御装置10における、車両走行情報の入力信号パターン、及び車両走行情報の出力信号パターンの一例である。
【
図4】車両位置は原則車両走行情報によって取得するが、車両位置の補正のためにGPS測位情報を利用するのみのカーナビ30に接続したカーナビ制御装置10におけるフローチャートの一例である。
【
図5】車両位置は原則車両走行情報によって取得するが、車両位置の補正のためにGPS測位情報を利用するカーナビ30が、GPS測位情報を基に車両走行情報の走行状態の正当性を検出し、異なる状態が一定以上累積する際に、エラーを検出し警告を発出したり、GPS測位情報のみに基づいて車両位置を取得し自車現在位置としたりする場合において、車両走行情報とGPS測位情報とが異なる状態を回避しないカーナビ制御装置における車両走行情報の入力信号パターン、並びに車両走行情報及びGPS測位情報の出力信号パターンの一例である。
【
図6】GPS測位情報を利用して、車両走行情報とリアルGPS測位情報Rとが異なる状態を回避するカーナビ制御装置10における車両走行情報の入力信号パターン、並びに車両走行情報及びGPS測位情報の出力信号パターンの一例である。
【
図7】GPS測位情報を利用して、車両走行情報とリアルGPS測位情報Rとが異なる状態を回避するカーナビ制御装置10におけるフローチャートの一例である。
【
図8】車両走行情報を利用して、車両走行情報とリアルGPS測位情報Rとが異なる状態が蓄積することによるエラーを回避するカーナビ制御装置10における車両走行情報の入力信号パターン、並びに車両走行情報及びGPS測位情報の出力信号パターンの一例である。
【
図9】車両走行情報を利用して、車両走行情報とリアルGPS測位情報Rとが異なる状態が蓄積することによるエラーを回避するカーナビ制御装置10におけるフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係るカーナビ制御装置10を実施するための形態について、図を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係るカーナビ制御装置10使用時の車両20のシステム構成図の一例である。車両20には、共通の双方向データバスラインとして、CANバスライン50が張り巡らされ、車両の安全や自動化のために必要なセンサ類や制御装置が接続されて、各種の信号の入出が行われる。
図1では、センサ類として、前方カメラ60、後方カメラ62、照度センサ64、フロントソナー66、バックソナー68、車速センサ(不図示)、加速度センサ(不図示)などが接続されている。また、車両位置の測位のためにGPSアンテナ42が接続されたGPS測位制御部40が接続される。各種センサの信号は、車両制御部22において、データ処理され安全装置や自動化装置、カーナビ30に車両情報として送信(出力)され、必要に応じて安全装置や自動化装置、カーナビ30から情報のフィードバックを受信(入力)する。
【0025】
カーナビ制御装置10は、車両制御部22とカーナビ30との間に接続され、カーナビ30の制御を行う。通常カーナビ30は、車両20が走行中にはテレビ等を利用した映像の視聴はできないように設定されている。しかし、助手席又は後部座席の同乗者が車両20の走行中に映像の視聴を希望する場合があるので、車両制御部22からカーナビ30へ車両情報を送信する信号線にカーナビ制御装置10を接続することによって、走行中でもテレビ等の視聴を可能とする。
【0026】
図2は、本発明に係るカーナビ制御装置10及び車両20の関連する部分のブロック図である。
【0027】
カーナビ制御装置10は、車両情報について演算を行う演算手段としての演算部12と、演算部12の命令によって車両情報を記憶する記憶手段としての記憶部14と、車両20からカーナビ30に向けて送信される車両情報を受信し、演算部12によって得られた演算後車両情報をカーナビ30に対して送信する受信手段かつ送信手段としての送受信部16と、を備える。各部は、バスライン18によって接続され、情報の受け渡しを行う。
【0028】
カーナビ制御装置10は、車両制御部22との間で走行状態を示す車速パルス信号、パーキング信号及び各種の車両状態を示すCAN信号SG1の車両走行情報、並びにGPS測位情報SG2の両方を併せた車両情報の送受信を行う。同様に、カーナビ制御装置10は、カーナビ30とも車両情報の送受信を行う。カーナビ制御装置10から送信される車両情報は、カーナビ制御装置10において演算された演算後車両情報である場合と、車両制御部22から受信した車両情報を加工せず、そのまま送信する場合とがある。各々の場合については後述する。
【0029】
GPSアンテナ42から受信したGPS信号SG3は、GPS制御部でGPS測位情報SG2に加工され、CAN信号SG1に包含され車両制御部22を介してカーナビ制御装置10に送信される。
【0030】
最初に、車両20の走行状態の監視についてGPS測位情報を利用しないカーナビ30の場合の、カーナビ制御装置10が走行中のテレビ視聴を可能とする技術内容に関して、以下に説明する。
【0031】
図3は、車両20の走行状態の監視についてGPS測位情報を利用しないカーナビ30の場合の、カーナビ制御装置10が走行中にテレビ等の視聴を可能とする際の信号パターンの一例を示した。図中(a)は、車両制御部22から送信される車両走行情報を示した。図中(b)は、カーナビ制御装置10が、カーナビ30に対して送信する車両走行情報を示した。
【0032】
従来技術は、車両が走行中にテレビ等の映像視聴できないカーナビ30において、カーナビ30に送信する車両走行情報の車両の走行状態を監視する信号を遮断することで、走行中にテレビ等を視聴可能にしていた。しかし、カーナビ30に送信する車両走行情報を遮断するため、テレビ等の視聴中はナビゲーション動作が停止又は正常に動作しない。
【0033】
図3では、テレビ等の視聴開始前は、車両走行情報に関して演算を行うことなく、そのままカーナビ30に送信する。搭乗者によってテレビ等の視聴が開始されると、第一期間(T1)分又は第一期間(T1)及び第二期間(T2)分の車両走行情報をカーナビ30に送信せず記憶部14に保存する。
第一期間(T1)において車両走行情報を記憶部14に保存している間は、カーナビ30へは停止の状態を示す車両走行情報を送信する。
【0034】
その後に続く第一期間(T1)より短い第二期間(T2)において、前記第一期間(T1)分又は第一期間(T1)及び第二期間(T2)分の前記車両走行情報を圧縮演算して演算後車両情報に入力し、送受信部16からカーナビ30に対して送信を行う。
【0035】
搭乗者によってテレビ等の視聴が終了されると、カーナビ制御装置10は、再び車両走行情報に関して圧縮演算を行うことなく、車両制御部22から送信されるままの車両走行情報をカーナビ30に送信する。前述は、車両走行情報のうち、車速パルス信号のみ圧縮演算を行うことでテレビ等の視聴が可能なカーナビ30であるが、これに限定されるものではなく、パーキング信号等の車両20の走行状態を監視する信号を利用して圧縮演算を行うことによってもテレビ等の視聴が可能なカーナビ30も存在する。その場合、車両走行情報のうち、車両パルス信号を圧縮演算又は非圧縮とするのではなく、パーキングを圧縮演算又は非圧縮とすることによって対応が可能である。以下の説明においても同様である。
【0036】
ここで、第一期間(T1)は、カーナビ30が車両走行情報を受信してから走行状態の判断を開始するまでの時間である。第一期間(T1)中、カーナビ制御装置10は停止状態を示す車両走行情報をカーナビ30に送信する。第一期間(T1)の代表的な時間は、1.5秒である。第一期間(T1)はカーナビ30の種類によって異なる。
【0037】
第二期間(T2)は、車両20の走行状態についてカーナビ30が判断を行う時間である。例えば、カーナビ30が停止していると判断した場合であっても直ちにナビゲーション動作を停止して車両位置を保持するわけではなく、所定の時間、すなわち第二期間(T2)待機した後ナビゲーション動作を停止させる。第二期間(T2)の代表的な時間は、1秒である。第二期間(T2)はカーナビ30の種類によって異なる。以下の説明においても同様である。
【0038】
図3に示すように、カーナビ30が車両20を走行状態であると判断する時間より短い期間である第二期間(T2)に、圧縮演算した車両走行情報をカーナビ30に送信することにより、カーナビ30は、ナビゲーション動作を停止することなく、かつテレビ等の視聴も継続でき、テレビ等の視聴を終了した際には、走行中の車両20の正確な位置を表示することができる。
【0039】
図4は、GPS測位情報を利用して車両20の走行状態を監視しないカーナビ30の場合、カーナビ制御装置10における車両走行情報を制御してテレビ等の視聴を可能とする場合のフローチャーの一例である。
【0040】
カーナビ制御装置10は、プログラムをスタート(ステップ1(以下、「S数字」と表記する。)させた後、車両走行情報の取得に関して割込み処理を許可(S2)する。
【0041】
割込み処理が開始される(インターラプト1(以下、「I数字」と表記する。)と、車両制御装置から車両走行情報が送信されるタイミングに応じて、車両走行情報を取得(I2)し、取得した車両走行情報の保存蓄積(I3)した後、割込み処理を終了(I4)し、メインルーチンに復帰する。
【0042】
メインルーチンは、第一期間(T1)の車両走行情報の保存蓄積中であるか判断し、第一期間(T1)が経過するまで待機する(S3)。
【0043】
第一期間(T1)が経過後、蓄積した車両走行情報の保存データを演算部12の送信用メモリにコピー(S4)した後、記憶部14に保存した車両走行情報を消去する。(S5)
【0044】
演算部12が、送信用メモリに一時保存した第一期間(T1)分又は第一期間(T1)及び第二期間(T2)分の車両走行情報の密度に関する演算において、車両20の速度に応じて一度に送信する車両走行情報の量を変化、又は一度に送信する車両走行情報の量を徐々に又は段階的に変化させる圧縮演算を行い、圧縮演算の結果を演算後車両情報に入力し、演算後車両情報を送受信部16からカーナビ30に対して送信する。(S6)
【0045】
すべての演算後車両情報を送信した後、送信用メモリを消去し(S7)、S3に戻る。
【0046】
最近の車両20に使用されているカーナビ30には、車両走行情報及びGPS測位情報の走行状態の相違を判断し、エラーを生じさせる機能が付加されてきている。
【0047】
図5は、車両位置は原則車両走行情報によって取得するが、車両位置の補正のためにGPS測位情報を利用するカーナビ30が、GPS測位情報を基に車両走行情報の走行状態の正当性を検出し、異なる状態が一定以上累積する際に、エラーを検出し警告を発出したり、又はGPS測位情報のみを使用して車両位置を自車現在位置としたりする場合における、カーナビ制御装置の信号パターンの一例である。
図5は、カーナビ30が、車両走行情報及びGPS測位情報の走行状態の相違を判断し、エラーを生じさせる場合である。カーナビ制御装置が、車両走行情報についてGPS測位情報と異なる走行状態の信号をカーナビ30に送信しナビゲーション動作を継続させている際に、車両走行情報とGPS測位情報と異なる走行状態が累積すると、カーナビ30にエラーが発生することになる。その際、搭乗者がテレビ等の視聴を終了してカーナビ30がエラーのリセットに必要な期間(以下、「正常動作復帰時間」という。)(T4)連続して車両20が走行した場合、車両走行情報とGPS測位情報と走行状態が一致しカーナビ30のエラーがリセットされる状態を示す一例である。図中(a)は、走行中の車両制御部22から送信される車両走行情報の信号パターンを示した。図中(b)は、テレビ等を視聴する際のカーナビ制御装置の車両走行情報の出力信号パターンを示した。図中(c)は、GPS測位制御部40が出力するリアルGPS測位情報Rの信号パターンを示した。
【0048】
図5では、テレビ等の視聴開始前は、車両走行情報に関して演算を行うことなく、そのままカーナビ30に送信する。搭乗者によってテレビ等の視聴が開始されると、第一期間(T1)分
又は第一期間(T1)及び第二期間(T2)分の車両走行情報をカーナビ30に送信せず記憶部14に保存する。
第一期間(T1)において車両走行情報を記憶部14に保存している間は、カーナビ30へは停止の状態を示す車両走行情報を送信する。
【0049】
一方、第一期間(T1)に取得したGPS測位情報は走行状態を示しており、車両走行情報とGPS測位情報との走行状態は異なる。カーナビ30が車両走行情報とGPS測位情報との走行状態が異なっていることを検知した際には、所定の走行状態確認期間(T3)の間、異なっている状態が継続されるのか、又は、異なっている状態が解消され同じ走行状態を示すのか確認を続ける。走行状態確認時間(T3)が経過するまでに、車両走行情報とGPS測位情報との走行状態が異なる状況が累積してエラー発生のしきい値を超える場合には、カーナビ30は、エラー表示を行ったり、車両位置の位置情報の決定をGPS測位情報のみに変更したりするなどエラー処理を開始する。
【0050】
カーナビ30では、車両走行情報とGPS測位情報との走行状態が同じ状態を示すか否かの確認処理は継続されており、テレビ等の視聴を終了した後、所定の正常動作復帰期間(T4)の間、同じ走行状態が継続されていると、エラー表示やGPS測位情報による車両位置取得などの処理を解除し、通常の動作に戻る。
【0051】
カーナビ30の種類によっては、車両走行情報とGPS測位情報との走行状態が異なるか否かを判断する際に、一度異なる状態が所定時間継続するだけでエラーが生じていると判断するカーナビ30が存在する。また、複数回走行状態が異なるステータスが累積した場合にエラーが生じていると判断するカーナビ30も存在する。
図5では、走行状態が異なるステータスの累積が5回をしきい値として、エラーが生じていると判断する例を示した。
【0052】
テレビ等の視聴を継続するためには、上記のエラーを回避する必要がある。
【0053】
図6は、GPS測位情報を利用して、車両走行情報及びリアルGPS測位情報Rが異なる状態を回避してテレビ等の視聴を可能とするカーナビ制御装置10における信号パターンを示す一例である。図中(a)は、車両制御部22から送信される車両走行情報の信号パターンを示した。図中(b)は、テレビ等を視聴する際のカーナビ制御装置10の車両走行情報の出力信号パターンを示した。図中(c)は、カーナビ制御装置10が、カーナビ30に対して送信するGPS測位情報の出力信号パターンを示した。
【0054】
図6では、テレビ等の視聴開始前は、車両走行情報に関して圧縮演算を行うことなく、そのままカーナビ30に送信する。搭乗者によってテレビ等の視聴が開始されると、第一期間(T1)分又は第一期間(T1)及び第二期間(T2)分の車両走行情報をカーナビ30に送信せず記憶部14に保存する。
第一期間(T1)において車両走行情報を記憶部14に保存している間は、カーナビ30へは停止の状態を示す車両走行情報を送信する。その後に続く第一期間(T1)より短い第二期間(T2)において、前記第一期間(T1)分又は第一期間(T1)及び第二期間(T2)分の前記車両走行情報を圧縮演算して演算後車両情報に入力し、送受信部16からカーナビ30に対して送信を行う。
【0055】
しかし、第一期間(T1)に取得したGPS測位情報は走行状態を示しており、車両走行情報とリアルGPS測位情報Rとの走行状態は異なる。第一期間(T1)において、カーナビ制御装置10が停止状態の車両走行情報を出力中は、取得したリアルGPS測位情報Rに代えて、一回前に取得したGPS測位情報をダミーGPS測位情報Dとしてカーナビ30に送信する。ダミーGPS測位情報Dを受信したカーナビ30は、車両走行情報及びダミーGPS測位情報Dが、同じ停止状態を示していることになるため、エラーを生じさせることなくナビゲーション動作を継続することができる。したがって、車両走行情報とGPS測位情報とが異なるステータスが累積することもない。
【0056】
また、カーナビ制御装置10が車両走行情報及びリアルGPS測位情報Rの異なる走行状態を複数回検知することがあるが、その際には、前々回取得したGPS測位情報をダミーGPS測位情報Dとして、カーナビ30に送信することになる。
【0057】
当該回避方法によると、車両走行情報とリアルGPS測位情報Rとの走行状態が、一度異なる状態が所定時間継続するだけでエラーが生じていると判断するカーナビ30、及び複数回走行状態が異なるステータスが累積した場合にエラーが生じていると判断するカーナビ30の両方について、エラーを回避することが可能である。
【0058】
また、カーナビ制御装置10が、車両走行情報及びリアルGPS測位情報Rに関して異なる走行状態を検知した場合において、取得したGPS測位情報をダミーのGPS測位不能情報に変更しカーナビ30に送信することで、カーナビ30において車両走行情報とリアルGPS測位情報Rとの異なる状態を判断できない状況を作り出すことによっても、カーナビ30に生じるエラーを回避することができる。
【0059】
また、カーナビ制御装置10が、車両走行情報及びリアルGPS測位情報Rによって得られる車両位置に差異が生じている場合において、当該差異が、カーナビ30においてエラーが生じるしきい値を超える前に、取得した車両走行情報の圧縮演算を行うことなく演算後車両情報に入力しカーナビ30に送信して自動的に一時的にテレビ視聴を中止して、カーナビ30のエラーがリセットされる時間(T4)経過後に再びテレビが視聴できる状態に戻すことで、カーナビ30において生じるエラーを回避することができる。
【0060】
図7は、GPS測位情報を利用して、車両走行情報とリアルGPS測位情報Rとの異なる状態を回避してテレビ等の視聴を可能とするカーナビ制御装置10におけるエラー回避フローチャートの一例である。
【0061】
カーナビ制御装置10は、プログラムをスタート(S11)させた後、車両情報の取得に関して割込み処理を許可(S12)する。
【0062】
割込み処理が開始される(I11)と、車両制御装置から車両情報が送信されるタイミングに応じて、車両情報を取得(I12)し、取得した車両走行情報の保存蓄積(I13)を行う。
【0063】
次に、現在第一期間(T1)であるか否かを判断(I14)し、第一期間(T1)ではない場合には、割込み処理を終了(I16)し、メインルーチンに復帰する。
【0064】
I14において、第一期間(T1)であると判断した場合には、前回取得したGPS測位情報をダミーGPS測位情報Dとしてカーナビ30に送信する(I15)。その後、割込み処理を終了(I16)し、メインルーチンに復帰する。次に車両情報を取得した時期が、再度第一期間(T1)である場合には、前回カーナビ30に送信したダミーGPS測位情報Dを送信することになるため、前々回車両制御部22から取得したGPS測位情報と同じ内容である。したがって、車両20は停止しているとカーナビ30は判断することになるので、車両走行情報との走行状態の差異はなく、ナビゲーション動作は継続される。
【0065】
メインルーチンは、第一期間(T1)の車両走行情報の保存蓄積中であるか判断し、第一期間(T1)が経過するまで待機する(S13)。
【0066】
第一期間(T1)が経過後、蓄積した車両走行情報の保存データを演算部12の送信用メモリにコピー(S14)した後、記憶部14に保存した車両走行情報を消去する。(S15)
【0067】
演算部12が、送信用メモリに一時保存した第一期間(T1)分又は第一期間(T1)及び第二期間(T2)分の車両走行情報の密度に関する演算において、車両20の速度に応じて一度に送信する車両走行情報の量を変化、又は一度に送信する車両走行情報の量を徐々に又は段階的に変化させる圧縮演算を行い、圧縮演算の結果を演算後車両情報に入力し、演算後車両情報を送受信部16からカーナビ30に対して送信する。(S16)
【0068】
すべての演算後車両情報を送信した後、送信用メモリを消去し(S17)、S13に戻る。
【0069】
以上により、車両走行情報とリアルGPS測位情報Rとの走行状態が異なるか否かを判断するカーナビにおいて、GPS測位情報を利用して、カーナビは、エラーを発生させることなく、テレビ等の視聴を継続し、かつバックグランドでナビゲーション動作を継続することが可能となる。
【実施例1】
【0070】
車両走行情報とリアルGPS測位情報Rとの走行状態が異なるか否かを判断するカーナビ30において、GPS測位情報を利用することなく、カーナビ30が車両走行情報とリアルGPS測位情報Rとの走行状態が異なることを要因として生じるエラーを回避することができる方法の一実施例を以下に示す。
【0071】
図8は、車両走行情報を利用して、車両走行情報とリアルGPS測位情報Rとの異なる状態が蓄積することによるエラーを回避してテレビ等の視聴を可能とするカーナビ制御装置10における信号パターンの一例である。図中(a)は、車両制御部22から送信される車両走行情報の信号パターンを示した。図中(b)は、テレビ等を視聴する際のカーナビ制御装置10の車両走行情報の出力信号パターンを示した。図中(c)は、GPS測位制御部40が出力するリアルGPS測位情報Rの信号パターンを示した。図は、一例としてカーナビ30が、車両走行情報とリアルGPS測位情報Rとが異なるステータスを5回蓄積することをしきい値として、エラーであると判断する場合を示した。
【0072】
図8では、テレビ等の視聴開始前は、車両走行情報に関して演算を行うことなく、そのままカーナビ30に送信する。搭乗者によってテレビ等の視聴が開始されると、第一期間(T1)分又は第一期間(T1)及び第二期間(T2)分の車両走行情報をカーナビ30に送信せず記憶部14に保存する。
第一期間(T1)において車両走行情報を記憶部14に保存している間は、カーナビ30へは停止の状態を示す車両走行情報を送信する。その後に続く第一期間(T1)より短い第二期間(T2)において、前記第一期間(T1)分又は第一期間(T1)及び第二期間(T2)分の前記車両走行情報を圧縮して演算後車両情報に入力し、送受信部16からカーナビ30に対して送信する。
【0073】
しかし、第一期間(T1)に取得したGPS測位情報は走行状態を示しており、車両走行情報とリアルGPS測位情報Rとの走行状態は異なる。カーナビ制御装置10が車両走行情報とリアルGPS測位情報Rとの走行状態が異なっていることを検知した際には、カーナビ30がエラーであると判断する回数まで車両走行情報とGPS測位情報との差異発生回数を加算して、カーナビ30がエラーであると判断する所定の回数に差異発生回数が達した場合には、取得した車両走行情報について圧縮演算を行うことなく、車両制御部22から受信したままカーナビ30に送信する。リセット期間(T5)中に、カーナビ30内部では車両走行情報とリアルGPS測位情報Rとの差異発生回数がクリアされる。非圧縮の車両走行情報を受信したカーナビ30は、車両走行情報及びリアルGPS測位情報Rが、同じ走行状態を示しているため、エラーを生じさせることなくナビゲーション動作を継続することができる。当該期間において、一瞬テレビ等の視聴が中断され、カーナビ30に生じたエラーのリセット期間(T5)が経過後にテレビ視聴は自動的に再開する。
【0074】
図9は、車両走行情報を利用して、車両走行情報とリアルGPS測位情報Rとが異なる状態が蓄積することによるエラーを回避してテレビ等の視聴を可能とするカーナビ制御装置10におけるフローチャートである。
【0075】
カーナビ制御装置10は、プログラムをスタート(S21)させた後、車両情報の取得に関して割込み処理を許可(S22)する。
【0076】
割込み処理が開始される(I21)と、車両制御装置から車両情報が送信されるタイミングに応じて、車両情報を取得(I22)する。
【0077】
次に、一時的にナビゲーション動作に移行中であるか判断(I23)し、一時的にナビゲーション動作中でなければ、カーナビ30においてリアルGPS測位情報Rと第一期間(T1)の車両走行情報とに生じた差異エラーが蓄積される条件を判断する(I24)。例えば、前記条件を所定の速度以上で所定の時間以上の時間走行することとする。当該条件を満たした場合には、一時的にナビゲーション動作に切り替えて(I25)、割込み処理を終了(I30)し、メインルーチンに復帰する。
【0078】
カーナビ30における、リアルGPS測位情報Rと第一期間(T1)の車両走行情報に生じた差異エラーが蓄積される条件を満たしていないと判断したとき(I24)は、車両走行情報の保存蓄積(I29)を行い、割込み処理を終了(I30)し、メインルーチンに復帰する。
【0079】
一時的にナビゲーション動作に移行中であるか判断(I23)した結果、一時的にナビゲーション動作に移行中の場合には、取得した車両走行情報について圧縮演算を行うことなしにカーナビ30へ送信を行う(I26)。
【0080】
次に、一時的にナビゲーション動作に移行中の期間が、カーナビ30においてリアルGPS測位情報Rと第一期間(T1)の車両走行情報とに生じた差異エラーの累積がリセットされるための時間(T5)を、経過したか否かを判断(I27)し、差異エラーがリセットされる期間(T5)を経過していない場合は、割込み処理を終了(I30)し、メインルーチンに復帰する。
【0081】
一時的にナビゲーション動作に移行中の期間が、カーナビ30においてリアルGPS測位情報Rと第一期間(T1)の車両走行情報とに生じた差異エラーの累積がリセットされる期間(T5)を経過している場合には、ナビゲーション動作を解除してテレビ視聴を開始し(I28)、割込み処理を終了(I30)し、メインルーチンに復帰する。
【0082】
メインルーチンは、第一期間(T1)の車両走行情報の保存蓄積中であるか判断し、第一期間(T1)が経過するまで待機する(S23)。
【0083】
第一期間(T1)が経過後、蓄積した車両走行情報の保存データを演算部12の送信用メモリにコピー(S24)した後、記憶部14に保存した車両走行情報を消去する。(S25)
【0084】
演算部12が、送信用メモリに一時保存した第一期間(T1)分又は第一期間(T1)及び第二期間(T2)分の車両走行情報の密度に関する演算において、車両20の速度に応じて一度に送信する車両走行情報の量を変化、又は一度に送信する車両走行情報の量を徐々に又は段階的に変化させる圧縮演算を行い、圧縮演算の結果を演算後車両情報に入力し、演算後車両情報を送受信部16からカーナビ30に対して送信する。(S26)
【0085】
すべての演算後車両情報を送信した後、送信用メモリを消去し(S27)、S23に戻る。
【0086】
以上により、車両走行情報とGPS測位情報との走行状態が異なるか否かを判断するカーナビにおいて、車両走行情報を利用して、カーナビは、エラーを発生させることなく、テレビ等の視聴を継続し、かつバックグランドでナビゲーション動作を継続することが可能となる。車両走行情報とGPS測位情報との走行状態が異なることによって生じるエラーを防止することができるため、エラー発生によって他の装置に悪影響を及ぼすことがない。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明に係るカーナビ制御装置は、助手席又は後部座席の同乗者の希望に応じて、走行中でもテレビ等の視聴が可能とするようにカーナビの機能を変更する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0088】
10 カーナビ制御装置
12 演算部
14 記憶部
16 送受信部
18 バスライン
20 車両
22 車両制御部
30 カーナビゲーション装置(カーナビ)
40 GPS測位制御部
42 GPSアンテナ
50 CANバスライン
60 前方カメラ
62 後方カメラ
64 照度センサ
66 フロントソナー
68 バックソナー
R リアルGPS測位情報
D ダミーGPS測位情報
SG1 車両情報(CAN信号)
SG2 GPS測位情報
SG3 GPS信号
T1 第一期間
T2 第二期間
T3 走行状態確認時間
T4 正常動作復帰期間
T5 GPS測位情報と第一期間の車両走行情報との差異エラー累積リセット期間
【要約】
【課題】本発明は、車両情報のうち、車両走行情報とGPS測位情報とによって得られる車両の状態が異なることによってカーナビがエラーを発生することを防止し、かつエラー発生によって波及する他の装置に対する悪影響を防止することができるカーナビ制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決するため、本発明のカーナビ制御装置は、車両とカーナビとの間に接続されて、前記車両からカーナビに向けて送信される車両情報を受信する受信手段と、前記車両情報に対して演算を行う演算手段と、前記演算手段の命令によって前記車両情報を記憶する記憶手段と、前記演算手段によって得られた演算後車両情報をカーナビに対して送信する送信手段と、を備え、前記演算手段が、GPS測位情報と車両走行情報との間に生じる異なる状態によってカーナビがエラーであると判断することを回避するエラー回避手段、を備えたこと、を特徴とする。
【選択図】
図1