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特許7492728ゴムまたは樹脂製ホースへの付属部品の成形方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】ゴムまたは樹脂製ホースへの付属部品の成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20240523BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
B29C45/14
B29C45/26
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020076425
(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公開番号】P2021171977
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000233619
【氏名又は名称】株式会社ニチリン
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 一斉
(72)【発明者】
【氏名】桝野 哲朗
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-141007(JP,A)
【文献】特開平06-055574(JP,A)
【文献】特開平10-029226(JP,A)
【文献】特開2005-125757(JP,A)
【文献】特開昭57-128527(JP,A)
【文献】特開平07-144339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B29C 33/00-33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂の充填口を備えた上型と下型とを有する金型の前記上型を前記下型から離隔させて、ゴムまたは樹脂製ホースの管体を前記下型上に載置する載置工程と、
前記上型と前記下型とを型締めする型締め工程と、
前記上型と前記下型とで形成されるキャビティ内に、前記充填口から前記樹脂を充填する充填工程と、
前記上型を前記下型から離隔させる型開き工程と、
前記樹脂からなる付属部品が外周面に成形された前記管体を、前記下型から取り出す取出工程と、
前記載置工程の後であって、前記充填工程の前に、前記上型と前記下型との対向方向および前記管体の長手方向に、それぞれ直交する直交方向に遮蔽部材をスライドさせて、前記管体の外周面における前記充填口に対向する部分である対向部分を前記遮蔽部材で覆う遮蔽工程と、
前記充填工程の後であって、前記取出工程の前に、前記直交方向に前記遮蔽部材をスライドさせて、前記付属部品内から前記遮蔽部材を抜き出す抜出工程と、
を有することを特徴とする、ゴムまたは樹脂製ホースへの付属部品の成形方法。
【請求項2】
樹脂の充填口を備えた上型と下型とを有する金型の前記上型を前記下型から離隔させて、ゴムまたは樹脂製ホースの管体を前記下型上に載置する載置工程と、
前記上型と前記下型とを型締めする型締め工程と、
前記上型と前記下型とで形成されるキャビティ内に、前記充填口から前記樹脂を充填する充填工程と、
前記上型を前記下型から離隔させる型開き工程と、
前記樹脂からなる付属部品が外周面に成形された前記管体を、前記下型から取り出す取出工程と、
前記載置工程の前に、前記管体の外周面における前記充填口に対向する部分である対向部分を覆うように前記管体の外周面に管状の遮蔽部材を外嵌めする外嵌め工程と、
を有し、
前記取出工程において、前記管体と前記付属部品との間に前記遮蔽部材が埋まった状態で、前記管体を前記下型から取り出すことを特徴とする、ゴムまたは樹脂製ホースへの付属部品の成形方法。
【請求項3】
樹脂の充填口を備えた上型と下型とを有する金型の前記上型を前記下型から離隔させて、ゴムまたは樹脂製ホースの管体を前記下型上に載置する載置工程と、
前記上型と前記下型とを型締めする型締め工程と、
前記上型と前記下型とで形成されるキャビティ内に、前記充填口から前記樹脂を充填する充填工程と、
前記上型を前記下型から離隔させる型開き工程と、
前記樹脂からなる付属部品が外周面に成形された前記管体を、前記下型から取り出す取出工程と、
前記載置工程の後であって、前記充填工程の前に、前記管体の外周面における前記充填口に対向する部分である対向部分の上に遮蔽部材を載置することで、前記対向部分を前記遮蔽部材で覆う遮蔽工程と、
を有し、
前記取出工程において、前記管体と前記付属部品との間に前記遮蔽部材が埋まった状態で、前記管体を前記下型から取り出すことを特徴とする、ゴムまたは樹脂製ホースへの付属部品の成形方法。
【請求項4】
前記遮蔽工程において、前記キャビティ内に設けられた位置決め部材で前記遮蔽部材を位置決めすることを特徴とする、請求項に記載のゴムまたは樹脂製ホースへの付属部品の成形方法。
【請求項5】
前記載置工程において、前記管体における前記キャビティ内に位置する部分を、下方から支持部材で支持することを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のゴムまたは樹脂製ホースへの付属部品の成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムまたは樹脂製ホースの管体上に付属部品を成形する、ゴムまたは樹脂製ホースへの付属部品の成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムまたは樹脂製ホースを配策し保持する方法として、管体上にゴムや樹脂で成形された付属部品を取り付け、それをクランプする方法が広く行われている。付属部品の管体上への固定方法は、接着や圧入などがあるが、取付工数を削減するため、管体上に熱可塑性エラストマーなどの樹脂を直接射出成形する方法がある。管体上に成形された樹脂は、冷却されるときに収縮し管体を締め付けることで固定される。
【0003】
特許文献1には、第1熱可塑性材料を主材として形成された本体の第1要素が、第2熱可塑性材料によって完全又は部分的に覆われた軸又はローラーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-169640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、補強層を持たない剛性の低いゴムホースや、熱に晒されると軟化する樹脂チューブでは、樹脂を金型内に充填するときの圧力で、管体が変形してしまうことがある。金型における樹脂の充填口付近は、樹脂の充填中に常に高温の樹脂に晒され、圧力も高くなることから、管体は変形しやすい。
【0006】
そこで、管体内に中芯を挿入する方法があるが、中芯の挿入と抜去に時間やコストがかかり、中芯で管体の内面を傷つける恐れもある。また、空気や水で管体の内圧を高める方法があるが、樹脂の充填時間は1秒程度と短く、内圧をかけるタイミングを、それに合わせなくてはならない。さらに、内圧が高すぎたり、樹脂の充填後にも内圧をかけ続けると、充填した樹脂の熱で、軟化した管体が変形したり破裂したりする恐れがある。
【0007】
本発明の目的は、樹脂の充填時の圧力で、管体が変形するのを抑制することが可能な、ゴムまたは樹脂製ホースへの付属部品の成形方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、樹脂の充填口を備えた上型と下型とを有する金型の前記上型を前記下型から離隔させて、ゴムまたは樹脂製ホースの管体を前記下型上に載置する載置工程と、前記上型と前記下型とを型締めする型締め工程と、前記上型と前記下型とで形成されるキャビティ内に、前記充填口から前記樹脂を充填する充填工程と、前記上型を前記下型から離隔させる型開き工程と、前記樹脂からなる付属部品が外周面に成形された前記管体を、前記下型から取り出す取出工程と、を有し、前記充填工程において、前記管体における前記充填口に対向する部分である対向部分を遮蔽部材で覆うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、充填口からキャビティ内に樹脂を充填する際に、管体における充填口に対向する部分である対向部分が、遮蔽部材で覆われている。この遮蔽部材によって、樹脂の充填時の圧力が、管体に直接作用しないようにすることができる。これにより、樹脂の充填時の圧力で、管体が変形するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態におけるホースの斜視図である。
図2】第1実施形態における金型の斜視図であり、上型が下型から離隔された状態を示す図である。
図3】第1実施形態における金型の斜視図であり、管体の対向部分が遮蔽部材で覆われた状態を示す図である。
図4】第1実施形態における金型の斜視図であり、上型と下型とが型締めされた状態を示す図である。
図5】第1実施形態における金型の斜視図であり、管体の一部の外周面に付属部品が成形された状態を示す図である。
図6】第2実施形態におけるホースの斜視図である。
図7】第2実施形態における金型の斜視図であり、上型が下型から離隔された状態を示す図である。
図8】第2実施形態における金型の斜視図であり、管体が下型上に載置された状態を示す図である。
図9】第2実施形態および第3実施形態における金型の斜視図であり、上型と下型とが型締めされた状態を示す図である。
図10】第2実施形態における金型の斜視図であり、管体の一部の外周面に付属部品が成形された状態を示す図である。
図11】第3実施形態におけるホースの斜視図である。
図12】第3実施形態における金型の斜視図であり、上型が下型から離隔された状態を示す図である。
図13】第3実施形態における金型の斜視図であり、管体が下型上に載置された状態を示す図である。
図14】第3実施形態における金型の斜視図であり、管体の一部の外周面に付属部品が成形された状態を示す図である。
図15図13の要部Aの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
[第1実施形態]
(ホースの構成)
本発明の第1実施形態である、ゴムまたは樹脂製ホースへの付属部品の成形方法(以下、成形方法という)は、ゴムまたは樹脂製ホースの管体上に付属部品を成形する方法である。ホース1の斜視図である図1に示すように、ゴムまたは樹脂製のホース1の管体2の一部の外周面には、熱可塑性エラストマーなどの樹脂からなる付属部品3が成形されている。なお、本実施形態のホース1は、車両に用いられるものであるが、これに限定されない。
【0013】
付属部品3には、貫通穴3aが形成されている。この貫通穴3aは、付属部品3の成形時に、後述する遮蔽部材によって形成される。また、付属部品3には、4つの有底孔3bが形成されている。これら有底孔3bが有する底は、それぞれ管体2の外周面である。これら有底孔3bは、付属部品3の成形時に、後述する支持部材によって、それぞれ形成される。なお、有底孔3bの数は、4つに限定されない。
【0014】
(金型の構成)
次に、金型11の斜視図である図2図5を参照しながら、金型11の構成について説明する。図4に示すように、金型11は、上型12と下型13とを有している。上型12は、樹脂の充填口12aを備えている。なお、図2図3図5では、上型12を図示していない。
【0015】
図2に示すように、下型13には、水平に配置された管体2の下半分が嵌る溝13aと、樹脂が充填される空間13bとが形成されている。同様に、上型12には、水平に配置された管体2の上半分が嵌る溝と、樹脂が充填される空間とが形成されている。上型12の上記の空間には、充填口12aが連通している。図4に示すように、上型12が、下型13の上に載せられた際には、下型13の空間13bと上型12の空間とは、1つのキャビティを形成する。
【0016】
図2に示すように、下型13の空間13b内には、4つの支持部材14が鉛直方向に、それぞれ立てて設けられている。これら支持部材14の上端は、溝13aの内周面と同じ高さにされている。図3に示すように、下型13上に管体2が載置された際に、管体2の空間13b内に位置する部分は、4つの支持部材14によって下方から支持される。これにより、下型13上に管体2が載置された際に、管体2の空間13b内に位置する部分が下方に撓むのが抑制されるので、管体2は、水平方向に真っ直ぐ延びた状態で、下型13上に載置されることになる。
【0017】
また、図3に示すように、金型11は、一対の遮蔽部材15を有している。一対の遮蔽部材15は、金属製であり、直交方向にそれぞれスライド可能である。ここで、直交方向とは、上型12と下型13との対向方向(鉛直方向)および管体2の長手方向に、それぞれ直交する方向である。遮蔽部材15の管体2側の先端部には、管体2の外周面に沿う凹部15aが形成されている。
【0018】
図3に示すように、下型13上に管体2が載置された後であって、充填口12aから樹脂がキャビティ内に充填される前に、一対の遮蔽部材15は、互いに近接するようにスライドされて、管体2の上端で互いに当接される。これにより、管体2の対向部分が遮蔽部材15で覆われる。ここで、対向部分とは、管体2における充填口12aに対向する部分である。図5に示すように、キャビティ内に樹脂が充填された後は、一対の遮蔽部材15は、互いに離隔するようにスライドされて、樹脂が固化してなる付属部品3内から、それぞれ抜き出される。これにより、付属部品3が外周面に成形された管体2を、下型13から容易に取り出せるようになる。
【0019】
キャビティ内に樹脂を充填したときに、一対の遮蔽部材15がそれぞれ存在していた部分は、付属部品3内から遮蔽部材15を抜き出した際に、図1に示した貫通穴3aとなる。また、キャビティ内に樹脂を充填したときに、4つの支持部材14がそれぞれ存在していた部分は、付属部品3を下型13から取り出した際に、図1に示した4つの有底孔3bとなる。
【0020】
(成形方法)
次に、図2図5を参照しながら、本実施形態の成形方法について説明する。まず、図2に示すように、金型11の上型12を下型13から離隔させて、ホース1の管体2を下型13上に載置する(載置工程)。このとき、管体2におけるキャビティ内に位置する部分が、下方から支持部材14で支持される。これにより、樹脂の充填時の圧力で、管体2が下方に撓るのを抑制することができる。
【0021】
次に、図3に示すように、直交方向に遮蔽部材15をスライドさせて、対向部分を遮蔽部材15で覆う(遮蔽工程)。そして、図4に示すように、上型12と下型13とを型締めする(型締め工程)。なお、遮蔽工程と型締め工程とは、順番が逆であってもよいし、同時に行ってもよい。
【0022】
次に、キャビティ内に充填口12aから樹脂を充填する(充填工程)。このとき、管体2における充填口12aに対向する部分である対向部分が、遮蔽部材15で覆われている。この遮蔽部材15によって、樹脂の充填時の圧力が、管体2に直接作用しないようにすることができる。これにより、樹脂の充填時の圧力で、管体2が変形するのを抑制することができる。
【0023】
次に、図5に示すように、直交方向に遮蔽部材15をスライドさせて、付属部品3内から遮蔽部材15を抜き出す(抜出工程)。そして、上型12を下型13から離隔させる(型開き工程)。抜出工程と型開き工程とは、順番が逆であってもよいし、同時に行ってもよい。
【0024】
その後、付属部品3が外周面に成形された管体2を、下型13から取り出す(取出工程)。管体2を下型13から取り出す前に、付属部品3内から遮蔽部材15を抜き出しておくことで、その後に、管体2を下型13から容易に取り出すことができる。
【0025】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る成形方法によると、充填口12aからキャビティ内に樹脂を充填する際に、管体2における充填口12aに対向する部分である対向部分が、遮蔽部材15で覆われている。この遮蔽部材15によって、樹脂の充填時の圧力が、管体2に直接作用しないようにすることができる。これにより、樹脂の充填時の圧力で、管体2が変形するのを抑制することができる。
【0026】
また、管体2を下型13上に載置した後であって、キャビティ内に充填口12aから樹脂を充填する前に、遮蔽部材15がスライドされて、対向部分が遮蔽部材15で覆われる。これにより、樹脂の充填時の圧力で、管体2が変形するのを好適に抑制することができる。そして、樹脂を充填した後であって、管体2を下型13から取り出す前に、付属部品3内から遮蔽部材15が抜き出される。これにより、管体2を下型13から容易に取り出すことができる。
【0027】
また、管体2を下型13上に載置した際に、管体2におけるキャビティ内に位置する部分が、下方から支持部材14で支持される。これにより、樹脂の充填時の圧力で、管体2が下方に撓るのを抑制することができる。
【0028】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の成形方法について、図面を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態と共通する構成、および、それにより奏される効果については説明を省略し、主に、第1実施形態と異なる点について説明する。なお、第1実施形態と同じ部材については、第1実施形態と同じ符号を付している。
【0029】
(ホースの構成)
第1実施形態では、直交方向にスライドする遮蔽部材15を用いて成形するため、図1に示すように、付属部品3に貫通穴3aが形成されていた。本実施形態では、直交方向にスライドする遮蔽部材15の代わりに、管体2の外周面に外嵌めされる管状の遮蔽部材115を用いる(図8参照)。そのため、ホース101の斜視図である図6に示すように、付属部品103に貫通穴3aが形成されない。付属部品103に有底孔3bが形成されるのは、第1実施形態と同様である。
【0030】
本実施形態の遮蔽部材115は、樹脂または金属製である。上述のように、この遮蔽部材115は、管体2の外周面に外嵌めされるため、付属部品103の成形後に、管体2と付属部品103との間に埋まった状態となる。このように、管体2と付属部品103との間に遮蔽部材115が埋まっていても、ホース101の性能に影響はない。
【0031】
(金型の構成)
本実施形態の金型111の斜視図を図7図10に示す。本実施形態の金型111が、第1実施形態の金型11と異なる点は、直交方向にスライドする遮蔽部材15を備えていない点であり、その他は、第1実施形態の金型11と同様である。なお、図7図8図10では、上型12を図示していない。
【0032】
図8に示すように、管状の遮蔽部材115は、管体2の外周面に外嵌めされる。遮蔽部材115が外嵌めされる管体2の部分は、充填口12aに対向する対向部分である。管体2の軸方向における支持部材14同士の間隔は、管体2の軸方向における遮蔽部材115の長さよりも長い。よって、管体2を下型13上に載置した際に、支持部材14が遮蔽部材115に干渉しないとともに、支持部材14によって、遮蔽部材115の位置ずれが抑制される。
【0033】
(成形方法)
次に、図7図10を参照しながら、本実施形態の成形方法について説明する。まず、充填口12aとの対向部分を覆うように、管体2の外周面に管状の遮蔽部材115を外嵌めする(外嵌め工程)。そして、図8に示すように、金型11の上型12を下型13から離隔させて、ホース101の管体2を下型13上に載置する(載置工程)。このとき、管体2におけるキャビティ内に位置する部分が、下方から支持部材14で支持される。これにより、樹脂の充填時の圧力で、管体2が下方に撓るのを抑制することができる。
【0034】
次に、図9に示すように、上型12と下型13とを型締めする(型締め工程)。そして、キャビティ内に充填口12aから樹脂を充填する(充填工程)。このとき、管体2における充填口12aに対向する部分である対向部分が、遮蔽部材115で覆われている。この遮蔽部材115によって、樹脂の充填時の圧力が、管体2に直接作用しないようにすることができる。これにより、樹脂の充填時の圧力で、管体2が変形するのを抑制することができる。
【0035】
次に、図10に示すように、上型12を下型13から離隔させる(型開き工程)。その後、管体2と付属部品103との間に遮蔽部材115が埋まった状態で、付属部品103が外周面に成形された管体2を、下型13から取り出す(取出工程)。樹脂を充填した後に、遮蔽部材115を付属部品103から取り外す必要がないので、工数を削減することができる。
【0036】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る成形方法によると、管体2を下型13上に載置する前に、管体2の対向部分に管状の遮蔽部材115が外嵌めされる。この遮蔽部材115によって、樹脂の充填時の圧力で、管体2が変形するのを好適に抑制することができる。そして、樹脂を充填した後に、管体2と付属部品103との間に遮蔽部材115が埋まった状態で、管体2が下型13から取り出される。樹脂を充填した後に、遮蔽部材115を付属部品103から取り外す必要がないので、工数を削減することができる。
【0037】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の成形方法について、図面を参照しつつ説明する。なお、第2実施形態と共通する構成、および、それにより奏される効果については説明を省略し、主に、第2実施形態と異なる点について説明する。なお、第2実施形態と同じ部材については、第2実施形態と同じ符号を付している。
【0038】
(ホースの構成)
第2実施形態では、管体2の外周面に外嵌めされる管状の遮蔽部材115を用いていた。本実施形態では、管状の遮蔽部材115の代わりに、管体2の対向部分の上に載置されて、対向部分を覆う半円筒状の遮蔽部材215を用いる(図13参照)。この遮蔽部材215は、付属部品203の成形後に、管体2と付属部品203との間に埋まった状態となる。
【0039】
ホース201の斜視図である図11に示すように、付属部品203には、2つの有底孔3cが形成されている。これら有底孔3cは、付属部品203の成形時に、後述する位置決め部材によって、それぞれ形成される。付属部品203に有底孔3bが形成されるのは、第1実施形態と同様である。
【0040】
本実施形態の遮蔽部材215もまた、樹脂または金属製である。上述のように、この遮蔽部材215は、付属部品203の成形後に、管体2と付属部品203との間に埋まった状態となるが、ホース201の性能に影響はない。
【0041】
(金型の構成)
本実施形態の金型211の斜視図を図12図14に示す。本実施形態の金型211が、第2実施形態の金型111と異なる点は、遮蔽部材215を位置決めする位置決め部材16を備えている点であり、その他は、第2実施形態の金型111と同様である。なお、図12図14では、上型12を図示していない。
【0042】
図12に示すように、下型13の空間13b内には、一対の位置決め部材16が鉛直方向に、それぞれ立てて設けられている。図13に示すように、遮蔽部材215は、下型13上に載置された管体2の外周面上に、対向部分を覆うように載置される。
【0043】
ここで、遮蔽部材215の内周面の周方向の長さは、管体2の外周面の半周分の長さよりも長くされている。よって、遮蔽部材215の内周面を管体2の外周面に当接させた際に、単に管体2の外周面上に遮蔽部材215が載った状態になるのではなく、遮蔽部材215の周方向の両端部で管体2を挟持した状態となる。つまり、遮蔽部材215が、管体2の外周面に嵌った状態になる。よって、樹脂の充填時における遮蔽部材215の位置ずれが抑制される。
【0044】
図13の要部Aの拡大図である図15に示すように、遮蔽部材215の周方向の両端部には、凹部215aが形成されている。この凹部215aに位置決め部材16が嵌ることで、遮蔽部材215が位置決めされる。
【0045】
(成形方法)
次に、図9、および、図12図14を参照しながら、本実施形態の成形方法について説明する。まず、図12に示すように、金型11の上型12を下型13から離隔させて、ホース201の管体2を下型13上に載置する(載置工程)。次に、図13に示すように、管体2の対向部分の上に遮蔽部材215を載置することで、対向部分を遮蔽部材215で覆う(遮蔽工程)。このとき、遮蔽部材215が管体2の外周面に嵌るとともに、キャビティ内に設けられた位置決め部材16で、遮蔽部材215が位置決めされる。これにより、樹脂の充填時の圧力で、遮蔽部材215が位置ずれするのを抑制することができる。
【0046】
ここで、第2実施形態のように、管体2の外周面に管状の遮蔽部材115を外嵌めする構成では、管体2の端から嵌めた遮蔽部材115を対向部分まで移動させる必要があり、作業が煩雑である。これに対して、本実施形態のように、対向部分の上に遮蔽部材215を載置する構成であれば、遮蔽部材215で対向部分を容易に覆うことができるので、作業性を向上させることができる。
【0047】
次に、図9に示すように、上型12と下型13とを型締めする(型締め工程)。そして、キャビティ内に充填口12aから樹脂を充填する(充填工程)。このとき、管体2における充填口12aに対向する部分である対向部分が、遮蔽部材215で覆われている。この遮蔽部材215によって、樹脂の充填時の圧力が、管体2に直接作用しないようにすることができる。これにより、樹脂の充填時の圧力で、管体2が変形するのを抑制することができる。
【0048】
また、第2実施形態のように、管体2の外周面に管状の遮蔽部材115を外嵌めする構成に比べて、本実施形態のように、管体2の対向部分の上に遮蔽部材215を載置する構成の方が、樹脂と管体2との接触面積を多く確保することができる。よって、管体2への付属部品203の締付効果が高まり、固定強度を高めることができる。
【0049】
次に、図14に示すように、上型12を下型13から離隔させる(型開き工程)。その後、管体2と付属部品203との間に遮蔽部材215が埋まった状態で、付属部品203が外周面に成形された管体2を、下型13から取り出す(取出工程)。樹脂を充填した後に、遮蔽部材215を付属部品203から取り外す必要がないので、工数を削減することができる。
【0050】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る成形方法によると、管体2を下型13上に載置した後であって、キャビティ内に充填口12aから樹脂を充填する前に、管体2の対向部分の上に遮蔽部材215を載置することで、対向部分を遮蔽部材215で覆う。この遮蔽部材215によって、樹脂の充填時の圧力で、管体2が変形するのを好適に抑制することができる。そして、樹脂を充填した後に、管体2と付属部品203との間に遮蔽部材215が埋まった状態で、管体2が下型13から取り出される。樹脂を充填した後に、遮蔽部材215を付属部品203から取り外す必要がないので、工数を削減することができる。
【0051】
また、管体2の外周面に管状の遮蔽部材115を外嵌めする構成では、管体2の端から嵌めた遮蔽部材115を対向部分まで移動させる必要があり、作業が煩雑であるが、対向部分の上に遮蔽部材215を載置する構成であれば、遮蔽部材215で対向部分を容易に覆うことができるので、作業性を向上させることができる。また、管体2の外周面に管状の遮蔽部材115を外嵌めする構成に比べて、対向部分の上に遮蔽部材215を載置する構成の方が、樹脂と管体2との接触面積を多く確保することができるので、管体2への付属部品203の締付効果が高まり、固定強度を高めることができる。
【0052】
また、対向部分を遮蔽部材215で覆う際に、キャビティ内に設けられた位置決め部材16で、遮蔽部材215が位置決めされる。これにより、樹脂の充填時の圧力で、遮蔽部材215が位置ずれするのを抑制することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に、本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0054】
1,101,201 ホース
2 管体
3,103,203 付属部品
3a 貫通穴
3b,3c 有底孔
11,111,211 金型
12 上型
12a 充填口
13 下型
13a 溝
13b 空間
14 支持部材
15,115,215 遮蔽部材
15a 凹部
16 位置決め部材
215a 凹部
図1
図2
図3
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