(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】タイトフレーム固定装置
(51)【国際特許分類】
E04D 3/36 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
E04D3/36 H
(21)【出願番号】P 2020166230
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】593162095
【氏名又は名称】株式会社長谷川工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 周藏
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-142719(JP,U)
【文献】実開平01-138027(JP,U)
【文献】実公昭50-000897(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根下地材上に載置されたタイトフレームの載置部に上方から交差状態に重ねて載置される押え部材と、この押え部材の両側端部を前記屋根下地材に締付固定して前記タイトフレームを屋根下地材上に押え込み固定する固定部材とから成
り、前記押え部材は、前記タイトフレームの載置部に交差状態に配設される交差中央部と、このタイトフレームの長さ方向と直交する載置部の一方側に突出状態に配設される一方側端部と、載置部の反対側に突出状態に配設される反対側端部とを有する形状に構成され、前記固定部材は、前記屋根下地材とこの屋根下地材上に載置されている前記押え部材の端部を上下から挟み込むようにして取付ける固定基体に、前記押え部材の端部若しくはこの押え部材の端部が載置されている屋根下地材に締付圧接してこの押え部材を前記屋根下地材に締付固定する締付ボルトが設けられ
ており、前記固定基体は、一枚の金属板が折曲されて天板部の両側に垂下板部が垂下連設する形状に形成され、この天板部に前記締付ボルトが設けられ、前記両側の垂下板部には、前記屋根下地材とこの屋根下地材上に載置されている前記押え部材の端部とに被嵌する被嵌用間隙が設けられていると共に、この被嵌用間隙の下方には、両側の垂下板部夫々に前記屋根下地材の下面に接する下顎部が設けられていて、屋根下地材と押え部材の端部とが前記締付ボルトと前記両側の下顎部とによって挟み込まれるように構成され、前記押え部材は、外周に屈曲形成された補強片を有し、この補強片の内側に前記両側の垂下板部が配設するようにしてこの押え部材の前記端部に前記固定基体が取付けられるように構成されていることを特徴とするタイトフレーム固定装置。
【請求項2】
前記固定部材は、前記屋根下地材とこの屋根下地材上に載置されている前記押え部材の一方側端部を上下から挟み込むようにして取付ける固定基体に、前記一方側端部に締付圧接してこの押え部材を前記屋根下地材に締付固定する締付ボルトが設けられた構成の第一固定部材と、前記屋根下地材とこの屋根下地材上に載置されている前記押え部材の反対側端部を上下から挟み込むようにして取付ける固定基体に、前記反対側端部に締付圧接してこの押え部材を前記屋根下地材に締付固定する締付ボルトが設けられた構成の第二固定部材とを有して、この第一固定部材と第二固定部材で、押え部材の両側端部を前記屋根下地材に締付固定して前記タイトフレームを屋根下地材上に押え込み固定し得るように構成されていることを特徴とする請求項1記載のタイトフレーム固定装置。
【請求項3】
前記押え部材は、両側端部に前記屋根下地材の一方側縁部と反対側縁部とに近接若しくは当接する位置決め片が設けられていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のタイトフレーム固定装置。
【請求項4】
前記押え部材は、前記交差中央部の下面に、前記タイトフレームの載置部に対し位置決め状態で被嵌載置可能な位置決め凹部が設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のタイトフレーム固定装置。
【請求項5】
前記押え部材の交差中央部には、この交差中央部を前記タイトフレームの載置部に載置した際に、この載置部に上方へ向けて突設されている係止凸部が係止するための係合部が設けられているか、若しくは前記載置部に設けられている係合部に係止するための係止凸部が下方へ向けて突設されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のタイトフレーム固定装置。
【請求項6】
前記押え部材は、前記一方側端部と前記反対側端部の上面に、締付操作により螺動進出する前記締付ボルトのボルト先端が収容されて圧接するボルト収容凹部が設けられていると共に、このボルト収容凹部は、締付ボルトのボルト先端の外形状に対応する形状の凹部に形成されていて、このボルト収容凹部に締付ボルトのボルト先端が収容されて圧接すると、ボルト収容凹部に対し締付ボルトの移動が阻止されて押え部材に対し前記固定部材が位置決め状態となるように構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のタイトフレーム固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折板屋根材を支持するタイトフレームを、屋根下地材に溶接することなく固定できるタイトフレーム固定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
折板構造屋根は、H型鋼やI型鋼などで構成された屋根下地材(母屋)の上面に沿って固定された横長のタイトフレーム上に、折板屋根材が順次被嵌支持されて取付固定されることによって構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、タイトフレームは、屋根下地材に対して溶接固定されるのが一般的であるが、昨今は施主から火の取り扱いを控えて欲しいという要望があって溶接作業自体が困難な現場があったりする。また、海沿い等の塩害が懸念される地域では、タイトフレームに錆付き防止のための鍍金を施したいという要望も多く、これに応えるべくタイトフレームに鍍金を施すことによって溶接による固定が非常に困難となるケースもある。
【0004】
そこで従来、タイトフレームの屋根下地材への固定手段として、溶接せずに固定できる無溶接固定具が開発されている(特許文献2参照)。
【0005】
この特許文献2を簡単に説明すると、受部本体(タイトフレーム)と、この受部本体が設置されると共に受部本体の設置位置を中心として両側に貫通孔が形成された長方形状の台座と、断面コ字形状で且つ上片側に締付螺子部が設けられてなる二つの係止部材とを具備し、前記係止部材の前記締付螺子部は前記台座の前記貫通孔に貫通されると共に、前記係止部材は水平面上を回動自在とすると共に前記締付螺子部の締付にて固定されてなるものであって、台座に装着された両係止部材を、屋根下地材としてのH型鋼或いはI型鋼のフランジに被嵌した上で、締付螺子部を締付することによって係止固定できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-97878号公報
【文献】特許第6437760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献2では、既存の安価なタイトフレームを使用することができず、台座と係止部材とが設けられた専用設計のタイトフレーム(受部本体)を多数用意する必要があるために施工コスト高となってしまう問題点があった。
【0008】
本発明は、このような従来の無溶接タイトフレーム固定具の問題点に注目し、これを解決しようとするためのもので、既存のタイトフレームを無溶接で屋根下地材に固定することができるタイトフレーム固定装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
屋根下地材1上に載置されたタイトフレーム2の載置部3に上方から交差状態に重ねて載置される押え部材4と、この押え部材4の両側端部6を前記屋根下地材1に締付固定して前記タイトフレーム2を屋根下地材1上に押え込み固定する固定部材7とから成り、前記押え部材4は、前記タイトフレーム2の載置部3に交差状態に配設される交差中央部5と、このタイトフレーム2の長さ方向と直交する載置部3の一方側に突出状態に配設される一方側端部6と、載置部3の反対側に突出状態に配設される反対側端部6とを有する形状に構成され、前記固定部材7は、前記屋根下地材1とこの屋根下地材1上に載置されている前記押え部材4の端部6を上下から挟み込むようにして取付ける固定基体8に、前記押え部材4の端部6若しくはこの押え部材4の端部6が載置されている屋根下地材1に締付圧接してこの押え部材4を前記屋根下地材1に締付固定する締付ボルト9が設けられており、前記固定基体8は、一枚の金属板が折曲されて天板部17の両側に垂下板部18が垂下連設する形状に形成され、この天板部17に前記締付ボルト9が設けられ、前記両側の垂下板部18には、前記屋根下地材1とこの屋根下地材1上に載置されている前記押え部材4の端部6とに被嵌する被嵌用間隙19が設けられていると共に、この被嵌用間隙19の下方には、両側の垂下板部18夫々に前記屋根下地材1の下面に接する下顎部20が設けられていて、屋根下地材1と押え部材4の端部6とが前記締付ボルト9と前記両側の下顎部20とによって挟み込まれるように構成され、前記押え部材4は、外周に屈曲形成された補強片15を有し、この補強片15の内側に前記両側の垂下板部18が配設するようにしてこの押え部材4の前記端部6に前記固定基体8が取付けられるように構成されていることを特徴とするタイトフレーム固定装置に係るものである。
【0011】
また、前記固定部材7は、前記屋根下地材1とこの屋根下地材1上に載置されている前記押え部材4の一方側端部6を上下から挟み込むようにして取付ける固定基体8に、前記一方側端部6に締付圧接してこの押え部材4を前記屋根下地材1に締付固定する締付ボルト9が設けられた構成の第一固定部材7Aと、前記屋根下地材1とこの屋根下地材1上に載置されている前記押え部材4の反対側端部6を上下から挟み込むようにして取付ける固定基体8に、前記反対側端部6に締付圧接してこの押え部材4を前記屋根下地材1に締付固定する締付ボルト9が設けられた構成の第二固定部材7Bとを有して、この第一固定部材7Aと第二固定部材7Bで、押え部材4の両側端部6を前記屋根下地材1に締付固定して前記タイトフレーム2を屋根下地材1上に押え込み固定し得るように構成されていることを特徴とする請求項1記載のタイトフレーム固定装置に係るものである。
【0012】
また、前記押え部材4は、両側端部6に前記屋根下地材1の一方側縁部と反対側縁部とに近接若しくは当接する位置決め片10が設けられていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のタイトフレーム固定装置に係るものである。
【0013】
また、前記押え部材4は、前記交差中央部5の下面に、前記タイトフレーム2の載置部3に対し位置決め状態で被嵌載置可能な位置決め凹部11が設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のタイトフレーム固定装置に係るものである。
【0014】
また、前記押え部材4の交差中央部5には、この交差中央部5を前記タイトフレーム2の載置部3に載置した際に、この載置部3に上方へ向けて突設されている係止凸部13が係止するための係合部12が設けられているか、若しくは前記載置部3に設けられている係合部12に係止するための係止凸部13が下方へ向けて突設されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のタイトフレーム固定装置に係るものである。
【0015】
また、前記押え部材4は、前記一方側端部6と前記反対側端部6の上面に、締付操作により螺動進出する前記締付ボルト9のボルト先端が収容されて圧接するボルト収容凹部14が設けられていると共に、このボルト収容凹部14は、締付ボルト9のボルト先端の外形状に対応する形状の凹部に形成されていて、このボルト収容凹部14に締付ボルト9のボルト先端が収容されて圧接すると、ボルト収容凹部14に対し締付ボルト9の移動が阻止されて押え部材4に対し前記固定部材7が位置決め状態となるように構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のタイトフレーム固定装置に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のように構成したから、既存のタイトフレームを、溶接手段を要することなく屋根下地材上に固定できる極めて実用性に優れたタイトフレーム固定装置となる。
【0017】
また、請求項2記載の発明においては、押え部材の両側端部を屋根下地材上に確固に固定できる構成を、二つの固定部材を用いて簡易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成のタイトフレーム固定装置となる。
【0018】
また、請求項3記載の発明においては、位置決め片が屋根下地材の一方側縁部と反対側縁部とに近接若しくは当接することによって、押え部材の屋根下地材の長さ方向と直交する方向への位置ズレが阻止されてタイトフレームを非常に強固に固定できる一層実用性に優れた構成のタイトフレーム固定装置となる。
【0019】
また、請求項4,5記載の発明においては、押え部材に対するタイトフレーム(の載置部)の位置ズレが阻止されてタイトフレームを非常に強固に固定できる一層実用性に優れた構成のタイトフレーム固定装置となる。
【0020】
また、請求項6記載の発明においては、押え部材に対する固定部材の位置ズレが阻止されて、固定部材により押え部材とともにタイトフレーム(の載置部)を屋根下地材に非常に強固に固定できる一層実用性に優れた構成のタイトフレーム固定装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】本実施例の押え部材を、屋根下地材上に載置されているタイトフレームの載置部に上方から重ねて載置しようとする状態を示す説明斜視図である。
【
図3】
図2に続いて、押え部材をタイトフレームの載置部に載置した状態を示す説明斜視図である。
【
図4】
図3に続いて、屋根下地材とこの屋根下地材上に載置されている押え部材の端部に固定部材を取付けようとする状態を示す説明斜視図である。
【
図5】
図4に続いて、屋根下地材とこの屋根下地材上に載置されている押え部材の端部とを、固定部材で締付固定した状態(屋根下地材上にタイトフレーム(の載置部)を押え付け固定した状態)を示す説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の最適な実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0023】
屋根下地材1上に載置されたタイトフレーム2の載置部3に、押え部材4の交差重合部5を上方から交差状態に重ねて載置すると、タイトフレーム2の長さ方向と直交する載置部3の一方側に押え部材4の一方側端部6が突出状態に配設されると共に、載置部3の反対側に反対側端部6が突出状態に配設される。
【0024】
次いで、屋根下地材1とこの屋根下地材1上に載置されている前記押え部材4の両側端部6を上下から挟み込むようにして固定部材7の固定基体8を取付け、この固定基体8に設けられている締付ボルト9を締付操作して押え部材4の端部6若しくはこの押え部材4の端部6が載置されている屋根下地材1に締付圧接させると、押え部材4が屋根下地材1に締付固定されて、押え部材4に前記タイトフレーム2(の載置部3)が押え込まれて屋根下地材1上に固定される。
【0025】
従って、本発明の押え部材4と固定部材7とから成るタイトフレーム固定装置Aを用いることにより、既存の安価なタイトフレーム2を溶接手段を要することなく屋根下地材1上に固定できる。
【実施例】
【0026】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0027】
本実施例は、折板構造屋根のタイトフレーム2をH型鋼やI型鋼などの鉄骨で構成された屋根下地材1上に固定するためのタイトフレーム固定装置Aに係るものであって、屋根下地材1上に載置されたタイトフレーム2の載置部3に上方から交差状態に重ねて載置される押え部材4と、この押え部材4の両側端部6を前記屋根下地材1に締付固定して前記タイトフレーム2を屋根下地材1上に押え込み固定する前後一対の固定部材7(第一固定部材7Aと第二固定部材7B)とから成るものに構成されている。尚、図面は、タイトフレーム嵌合式と称される折板構造屋根用のタイトフレーム2を採用した場合を図示しているが、本実施例は、重ね式折板構造屋根用のタイトフレーム2の固定や、ハゼ式折板構造屋根用のタイトフレーム2の固定にも使用可能である。また、本実施例では、タイトフレーム2の谷部3を前記載置部3とした場合を示している(以下、本実施例では載置部3を谷部3と称して説明する。)。
【0028】
具体的には、本実施例の前記押え部材4は、
図1~
図4に示すように、平面視長方形状の金属板で構成されており、この金属板の中間部が前記タイトフレーム2の谷部3上にこのタイトフレーム2の長さ方向と交差するように(タイトフレーム2と押え部材4とが直交状態となるように)重ねて配設(載置)される交差中央部5として構成され、この際タイトフレーム2の長さ方向と直交する谷部3の一方側に突出状態に配設される一方側端部6と、谷部3の反対側に突出状態に配設される反対側端部6とを有するように金属板の長さ寸法が設定構成されている。尚、本実施例のタイトフレーム固定装置Aは、説明の都合上、屋根下地材1及びタイトフレーム2の長さ方向に対向する方向を左右方向、タイトフレーム2の長さ方向と直交する方向に対応する方向を前後方向と定めて、以下説明する。
【0029】
また、この長方形状の押え部材4は、外周の四辺部に直角上方へ屈曲形成された補強片15を有していると共に、前後の対向短辺部(前後両端部6の端縁)の中間部が、補強片15と反対向きに(直角下方に)屈曲形成されて、この垂下片が前記屋根下地材1の上フランジ部1Aの一方側(前側)縁部と反対側(後側)縁部とに近接若しくは当接する位置決め片10として構成されていて、この押え部材4の前記交差中央部5を、屋根下地材1の上フランジ部1A上に載置されている前記タイトフレーム2の谷部3上に上方から重ねて載置すると、前後の前記位置決め片10が上フランジ部1Aの一方側(前側)縁部と反対側(後側)縁部とに近接若しくは当接(
図3,
図6参照)して、屋根下地材1(の上フランジ部1A)に対し押え部材4が屋根下地材1の長さ方向と直交する前後方向へは位置ズレが防止されるように構成されている。
【0030】
また、この押え部材4は、
図1に示すように、前記交差中央部5の下面が、上方に向かって凹む形状に形成されていると共に、この凹みは、交差中央部5を前記タイトフレーム2の谷部3に上方から重ねて載置した際に谷部3に略合致する凹み形状に形成されていて、この凹みが、谷部3に対し交差中央部5(押え部材4)が位置決め状態で被嵌載置するための位置決め凹部11として構成されている(
図6参照)。
【0031】
また、この位置決め凹部11は、前記屋根下地材1の上フランジ部1A上に載置されているタイトフレーム2の谷部3に押え部材4の交差中央部5を上方から重ねて載置した際に、押え部材4の両側端部6の下面が上フランジ部1A上に載置される凹設深さ寸法を有する形状に形成されている(
図3,
図4,
図6参照)。
【0032】
また、ここで本実施例のタイトフレーム2についてさらに詳しく説明すると、前記谷部3の上面には、その前後二箇所に上方へ向かって半球状に突出する係止凸部13が設けられている(
図2参照)。
【0033】
そして、前記押え部材4の交差中央部5には、この交差中央部5を前記タイトフレーム2の谷部3に上方から重ねて載置した際に、この谷部3上に突設されている前記係止凸部13が係止するための丸穴状の係合部12が設けられ(貫通形成され)ていて、この係止凸部13の係合部12への係合係止により、谷部3(タイトフレーム2)に対して交差中央部5(押え部材4)が水平方向に位置ズレ防止された位置決め状態となるように構成されている(
図3,
図6参照)。
【0034】
また、前記押え部材4は、前記一方側端部6と前記反対側端部6の上面に、後述する締付ボルト9のボルト先端が収容されて圧接するボルト収容凹部14が設けられていると共に、このボルト収容凹部14は、締付ボルト9のボルト先端の外形状に対応する円形の凹部に形成されていて、このボルト収容凹部14に締付ボルト9のボルト先端が収容されて圧接すると、ボルト収容凹部14に対し締付ボルト9の移動が阻止されて押え部材4に対し前記固定部材7が水平方向に位置ズレ防止された位置決め状態となるように構成されている。
【0035】
具体的には、前記一方側端部6の上面と前記他方側端部6の上面とに、夫々の下面を上方に向かって凹となるように押圧することによって上方に向かってリング状に突出する凸条16が一体的に突設されていて、このリング凸条16内側のリング凸条16に対して凹んでいる部分が前記締付ボルト9のボルト先端の外形状に対応する平面視円形の凹部14に形成され、この円形凹部14が前記ボルト収容凹部14として構成されている(
図6参照)。
【0036】
また、本実施例の固定部材7は、前記屋根下地材1の上フランジ部1Aとこの上フランジ部1A上に載置されている前記押え部材4の端部6を上下から挟み込むようにして取付ける固定基体8に、前記押え部材4の端部6若しくはこの押え部材4の端部6が載置されている上フランジ部1Aに締付圧接してこの押え部材4を屋根下地材1(上フランジ部1A)に締付固定する前記締付ボルト9が設けられている。
【0037】
また、固定基体8は、
図1に示すように、一枚の金属板が折曲されて天板部17の左右両側に垂下板部18が垂下連設する正断面転コ字板状体に形成されていると共に、左右の垂下板部18は、前記屋根下地材1の上フランジ部1Aとこの上フランジ部1A上に載置されている前記押え部材4の端部6とを上下から挟み込むようにして前方及び後方から被嵌可能な被嵌用間隙19を有する側面視コ字状体(C字状体)に構成され、さらにこの被嵌用間隙19の下方に存する水平縁部が、前記上フランジ部1Aの下面に圧接する下顎部20として構成されている。
【0038】
また、この固定基体8の天板部17には、この天板部17を上下に貫通するようにして六角ボルトが採用された前記締付ボルト9が螺着されていると共に、この締付ボルト9は、その頭部が天板部17の上方へ突出するようにして天板部17に螺着されていて、この締付ボルト9の頭部を締付操作すると、ボルト先端が天板部17から下方へ螺動進出するように構成されている。
【0039】
従って、この固定基体8を、屋根下地材1の上フランジ部1Aとこの上フランジ部1A上に載置されている前記押え部材4の端部6とを上下から挟み込むように被嵌した状態で(上フランジ部1Aと端部6とが前記被嵌用間隙19に入り込んだ状態で)締付ボルト9を締付操作すると、螺動進出する締付ボルト9のボルト先端が前記端部6に上方から接近し、やがて端部6上面に設けられている前記ボルト収容凹部14に締付操作により収容されて圧接し、これにより上フランジ部1Aと押え部材4の端部6とが固定部材7(固定基体8)の下顎部20と締付ボルト9によって挟み込まれ前記押え部材4が屋根下地材1(上フランジ部1A)に締付固定されて、タイトフレーム2(の谷部3)が屋根下地材1上に固定されるように構成されている。
【0040】
また、本実施例では、前記押え部材4一個に対し固定部材7が二個一組(一対)で使用されるものとし、この二個の固定部材7は、その前記被嵌用間隙19の開放側を向い合せて使用される。
【0041】
具体的には、一方の固定部材(第一固定部材7A)を前記屋根下地材1の上フランジ部1Aとこの上フランジ部1A上に載置されている前記押え部材4の一方側端部6を上下から挟み込むようにして屋根下地材1前方側から取付けると共に、他方の固定部材7(第二固定部材7B)を屋根下地材1の上フランジ部1Aとこの上フランジ部1A上に載置されている前記押え部材4の反対側端部6を上下から挟み込むようにして屋根下地材1後方側から取付けることで、この二つの固定部材7で押え部材4の両側端部6を屋根下地材1(上フランジ部1A)上に確固に固定できる(タイトフレーム2(の谷部3)を屋根下地材1上に確固に固定できる)ように構成されている(
図4~
図6参照)。
【0042】
図中符号21は天板部17の前後縁部を折曲して形成された補強用折曲片である。
【0043】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0044】
1 屋根下地材
2 タイトフレーム
3 載置部
4 押え部材
5 交差中央部
6 端部
7 固定部材
7A 第一固定部材
7B 第二固定部材
8 固定基体
9 締付ボルト
10 位置決め片
11 位置決め凹部
12 係合部
13 係止凸部
14 ボルト収容凹部
15 補強片
17 天板部
18 垂下板部
19 被嵌用間隙
20 下顎部