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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】収納装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 51/00 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
A47B51/00 501C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020187092
(22)【出願日】2020-11-10
(65)【公開番号】P2022076624
(43)【公開日】2022-05-20
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】506360631
【氏名又は名称】株式会社三条工機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 豊
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-248697(JP,A)
【文献】特開2003-093174(JP,A)
【文献】特開平09-028472(JP,A)
【文献】特開2001-017245(JP,A)
【文献】特開2009-189658(JP,A)
【文献】中国実用新案第209300460(CN,U)
【文献】中国実用新案第203913984(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 51/00
A47B 77/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納基体に収納物を載せるまたは掛下げ収納する収納部が設けられ、この収納部が前記収納基体に対して前方にスライド突出移動自在に構成され、
前記収納基体に対して前方にスライド突出移動させた前記収納部を昇降させる昇降装置が設けられ、
この昇降装置は、前記収納基体または前記収納基体以外の固定部に対して前記収納部を支持し下部前方へ回動下降および上部後方へ戻り回動上昇させる回動支持腕部を有する回動昇降機構と、この回動支持腕部を戻り回動上昇付勢する上昇付勢機構とを備え、
前記上昇付勢機構は、常に回動支持腕部を回動上昇付勢する常時付勢部と、切替えにより必要時に追加増力して回動上昇付勢する増力付勢部と、前記昇降装置の前記回動支持腕部が下部前方へ回動下降された状態で前記常時付勢部による常時上昇付勢状態から切替え操作部の切替え操作により回動支持腕部と前記増力付勢部とを連結してこの増力付勢部による増力上昇付勢状態に切替え可能な付勢状態切替え機構とを備えていることを特徴とする収納装置。
【請求項2】
前記収納部は、箱状部もしくは棚板部を有する箱状部または棚板部もしくは上下に複数あるうちの一部の棚板部であることを特徴とする請求項1記載の収納装置。
【請求項3】
前記回動昇降機構は、前記収納基体または前記収納基体以外の固定部に前記回動支持腕部の基端が回動自在に枢着されていると共に、この回動支持腕部先端側の途中取付部が前記収納部に取付けられていて、この回動支持腕部の基端枢着部を支点とする回動移動により前記収納部が収納基体に対し回動下降および戻り回動上昇するように構成され、
この回動支持腕部の前記途中取付部より先端側に、前記増力付勢部が連結される連結受部が設けられていると共に、この連結受部に前記付勢状態切替え機構の切替え操作部の切替え操作により前記増力付勢部が連結されるように構成されていて、この増力付勢部の連結により追加増力されて回動支持腕部が前記増力上昇付勢状態に切替わるように構成されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の収納装置。
【請求項4】
前記回動支持腕部は、前記途中取付部に前記増力付勢部としての渦巻きバネが設けられ、この渦巻きバネに設けられている付勢力伝達用の連結部が、前記付勢状態切替え機構の切替え操作部の切替え操作により回動支持腕部の前記連結受部に連結されるように構成されていて、この渦巻きバネの連結部の連結により追加増力されて回動支持腕部が前記増力上昇付勢状態に切替わるように構成されていることを特徴とする請求項3記載の収納装置。
【請求項5】
前記切替え操作部は、前記収納部に軸着されていると共に、その操作先端が収納部の前方に向けて配設されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊戸棚や陳列棚などの収納基体から収納部を前方へ引出して収納物の出し入れを行うことができる収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえばキッチンの吊戸棚や陳列棚などにおいて、棚部を底部開口部から下方に引き降ろして収納物を取り出したり載せて戻し上昇させたりして出し入れが容易となるものや、棚部を前方に引出して出し入れが容易となるものなど様々な昇降装置を備えた収納装置が提案されている。
【0003】
一方、たとえば、この棚部や箱状部などの収納部を昇降させる昇降装置に、収納部を上方に戻り上昇付勢して、収納部を降ろすときはゆっくりと安全に降ろすことができ、戻り上昇させるときはその付勢分軽く上昇させることができる付勢機構が設けられ、さらにこの付勢機構に、収納部に載せる収納物の総重量に応じて付勢力を増力切替えできる増力切替え機構が設けられている収納装置も出願人により開発されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-83096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1は、構成が複雑で量産性に劣り、様々なタイプに適用させる場合の改良も容易でなく、まだまだ改良が必要で、実用性が十分ではなかった。
【0006】
本発明は、このような問題を見出し、これを解決するもので、たとえ高い位置に収納部があっても収納物の積み下ろしが容易に行え使い易く、しかもその収納物の総重量に応じて戻り回動上昇付勢の付勢力の切替えが行えて良好な操作アシスト力が得られ、その構成も簡易な構成で実現でき、製作容易で量産性に優れる極めて実用性に優れた昇降装置を備えた収納装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
収納基体1に収納物を載せるまたは掛下げ収納する収納部2が設けられ、この収納部2が前記収納基体1に対して前方にスライド突出移動自在に構成され、
前記収納基体1に対して前方にスライド突出移動させた前記収納部2を昇降させる昇降装置3が設けられ、
この昇降装置3は、前記収納基体1または前記収納基体1以外の固定部に対して前記収納部2を支持し下部前方へ回動下降および上部後方へ戻り回動上昇させる回動支持腕部4を有する回動昇降機構5と、この回動支持腕部4を戻り回動上昇付勢する上昇付勢機構6とを備え、
前記上昇付勢機構6は、常に回動支持腕部4を回動上昇付勢する常時付勢部7と、切替えにより必要時に追加増力して回動上昇付勢する増力付勢部8と、前記昇降装置3の前記回動支持腕部4が下部前方へ回動下降された状態で前記常時付勢部7による常時上昇付勢状態から切替え操作部10の切替え操作により回動支持腕部4と前記増力付勢部8とを連結してこの増力付勢部8による増力上昇付勢状態に切替え可能な付勢状態切替え機構9とを備えていることを特徴とする収納装置に係るものである。
【0009】
また、前記収納部2は、箱状部もしくは棚板部を有する箱状部または棚板部もしくは上下に複数あるうちの一部の棚板部であることを特徴とする請求項1記載の収納装置に係るものである。
【0010】
また、前記回動昇降機構5は、前記収納基体1または前記収納基体1以外の固定部に前記回動支持腕部4の基端が回動自在に枢着されていると共に、この回動支持腕部4先端側の途中取付部12が前記収納部2に取付けられていて、この回動支持腕部4の基端枢着部11を支点とする回動移動により前記収納部2が収納基体1に対し回動下降および戻り回動上昇するように構成され、
この回動支持腕部4の前記途中取付部12より先端側に、前記増力付勢部8が連結される連結受部14が設けられていると共に、この連結受部14に前記付勢状態切替え機構9の切替え操作部10の切替え操作により前記増力付勢部8が連結されるように構成されていて、この増力付勢部8の連結により追加増力されて回動支持腕部4が前記増力上昇付勢状態に切替わるように構成されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の収納装置に係るものである。
【0011】
また、前記回動支持腕部4は、前記途中取付部12に前記増力付勢部8としての渦巻きバネ8Aが設けられ、この渦巻きバネ8Aに設けられている付勢力伝達用の連結部13が、前記付勢状態切替え機構9の切替え操作部10の切替え操作により回動支持腕部4の前記連結受部14に連結されるように構成されていて、この渦巻きバネ8Aの連結部13の連結により追加増力されて回動支持腕部4が前記増力上昇付勢状態に切替わるように構成されていることを特徴とする請求項3記載の収納装置に係るものである。
【0012】
また、前記切替え操作部10は、前記収納部2に軸着されていると共に、その操作先端が収納部2の前方に向けて配設されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の収納装置に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成したから、収納基体に設けられている収納部から収納物を取り出したり、逆に収納したりする際にこの収納部が高い位置にあって出し入れしづらい場合には、収納基体から収納部を前方に引出すことができ、収納部を前方に引出してもまだ出し入れしづらい場合には、さらに収納基体に対してこの収納部を昇降装置により収納部の回動下降位置に引出して収納物の出し入れを容易に行うことができ、しかも収納部への収納物の出し入れが行われる回動下降位置で、この収納部への回動上昇付勢力を常時付勢部による常時上昇付勢状態と、常時付勢状態に増力付勢部による付勢力が加わった増力上昇付勢状態とを付勢状態切替え機構の切替え操作部の操作により切替え変更できるため、その後の収納部の回動上昇操作を行うにあたって積載物の総重量に応じた押し上げ力の軽減調整と上昇速度の適正化調整ができ、その構成も簡易な構成で実現できて製作容易で量産性に優れるなど、極めて実用性に優れた収納装置となる。
【0014】
また、請求項2記載の発明においては、収納物を出し入れし易い収納部を簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成の収納装置となる。
【0015】
また、請求項3,4記載の発明においては、切替え操作部の切替え操作により常時上昇付勢状態と増力上昇付勢状態とを切替え可能な付勢状態切替え機構を簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成の収納装置となる。
【0016】
また、請求項5記載の発明においては、収納部を回動下降させた際に切替え操作部を操作し易い一層実用性に優れた構成の収納装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1を示す、収納基体内に収納部が収納されている状態の概略説明斜視図である。
図2図1の概略説明側面図である。
図3図1の状態における、回動昇降機構の昇降停止機構を示す説明部分拡大側面図並びに昇降装置を示す説明斜視図である。
図4図1の状態における、回動昇降機構の昇降停止機構を示す説明部分拡大背面図である。
図5図1の状態における、増力付勢部と付勢状態切替え機構との関係を示す説明部分拡大斜視図である。
図6】実施例1を示す、収納基体から収納部を前方にスライド突出移動させた(引出した)状態の概略説明側面図である。
図7図6の状態における、回動昇降機構の昇降停止機構(昇降停止解除状態)を示す説明部分拡大側面図並びに昇降装置を示す説明斜視図である。
図8図6の状態における、増力付勢部と付勢状態切替え機構との関係を示す説明部分拡大側面図である。
図9図6に続いて、収納部を回動昇降機構を介して下降限位置まで回動下降させた状態を示す概略説明側面図である。
図10図9の概略説明斜視図である。
図11図9の状態における、増力付勢部と付勢状態切替え機構との関係を示す説明部分拡大側面図である。
図12図9に続いて、切替え操作部を切替え操作した(増力上昇付勢状態に切替えた)状態を示す概略説明側面図である。
図13図12の状態における、増力付勢部と付勢状態切替え機構との関係を示す説明部分拡大側面図である。
図14図12に続いて、収納部を回動昇降機構を介して上昇限位置まで回動上昇させた状態を示す概略説明側面図である。
図15図14に続いて、収納部を後方にスライド退避移動させて収納基体内へ収納した状態を示す説明側面図である。
図16】実施例2を示す、収納基体内に収納部が収納されている状態の概略説明側面図である。
図17】実施例2を示す、収納基体から収納部を前方にスライド突出移動させた(引出した)状態の概略説明側面図である。
図18図17に続いて、収納部を回動昇降機構を介して下降限位置まで回動下降させた状態を示す概略説明側面図である。
図19図18に続いて、切替え操作部を切替え操作した(増力上昇付勢状態に切替えた)状態を示す概略説明側面図である。
図20図19に続いて、収納部を回動昇降機構を介して上昇限位置まで回動上昇させた状態を示す概略説明側面図である。
図21図20に続いて、収納部を後方にスライド退避移動させて収納基体内へ収納した状態を示す説明側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の最適な実施形態を図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0019】
収納基体1に設けられている収納部2から収納物を取り出したり、逆に載せたり掛下げ収納したりする際に、この収納部2が高い位置にあって出し入れしづらい場合には、収納基体1から収納部2を前方に引出すことができる。収納部2を前方に引出してもまだ出し入れしづらい場合には、さらに収納基体1に対してこの収納部2を昇降装置3により、具体的には回動昇降機構5の回動支持腕部4により支持して収納部2を下部前方へ回動下降させ、この前方の低い位置で収納物の積み下ろしを行うことができ、積み下ろしが終了したら、収納部2を上部後方へ戻り回動上昇させ、後方に戻りスライドさせて元に戻すことができる。
【0020】
この際、回動支持腕部4を備えた回動昇降機構5には、この回動支持腕部4を戻り回動上昇付勢する上昇付勢機構6を備え、この上昇付勢機構6には、常に回動上昇付勢する常時付勢部7と、切替えにより必要時に追加増力して回動上昇付勢する増力付勢部8と、前記回動昇降機構5の前記回動支持腕部4が下部前方へ回動下降された状態で前記常時付勢部7による常時上昇付勢状態から切替え操作部10の切替え操作により回動支持腕部4と前記増力付勢部8とを連結してこの増力付勢部8による増力上昇付勢状態に切替え可能な付勢状態切替え機構9とを備えている。
【0021】
すなわち、下部前方へ回動下降させて収納物の積み下ろしを終えた収納部2を上部後方へ戻り回動上昇させる際には、回動支持腕部4(収納部2)が常時付勢部7による常時付勢状態であるために操作力軽減作用を得ることができるが、収納物の総重量が大きく重いと思われる場合には、前記切替え操作部10を操作し回動支持腕部4と増力付勢部8とを連結して増力付勢状態に切替えることで、大きい総重量に対応した付勢力(操作力軽減作用)を得ることができる。
【0022】
逆に、下部前方へ回動下降させた収納部2から多くの収納物が取り出されて総重量が小さく軽いと思われる場合には、前記切替え操作部10を操作して回動支持腕部4と増力付勢部8との連結を解除すると、常時付勢部7だけによる常時付勢状態に戻るので、強い回動上昇付勢力により勢い良く収納部2が回動上昇してしまうような不都合がない。
【0023】
また、この回動上昇付勢力を切替え可能な回動昇降機構5の上昇付勢機構6は、簡易な構成で実現でき、製作容易で量産性に優れる。
【実施例1】
【0024】
本発明の具体的な実施例1について図1図15に基づいて説明する。
【0025】
本実施例の収納基体1は、図1図10に示すような正面から見て四角形状を呈する前面開放型の棚(吊戸棚)が採用されており、この収納基体1内には、収納物を載せるまたは掛下げ収納する収納部2が設けられている。図示していないが、収納基体1の前面開放部には、開閉扉が設けられていても良い。
【0026】
収納部2は、図1図10に示すような前面および上面開放型であって中段に棚板部を有する方形の箱状部に構成され、この箱状収納部2の前側下部に引出し用把手15が設けられている。この収納部2の形態は本実施例に限定されるものではなく、例えば、棚板部を有しない箱状部や、箱状でない棚板部や、上下複数段の棚板部でも良いし、その他の収納形態のものが採用されていても良い。
【0027】
また、この収納部2は、前記収納基体1に対して前方にスライド突出移動自在に構成され、前記収納基体1に対して前方にスライド突出移動させた前記収納部2を昇降させる昇降装置3が設けられている。
【0028】
具体的には、この昇降装置3は、前記収納基体1に対して前記収納部2を支持し下部前方へ回動下降および上部後方へ戻り回動上昇させる回動支持腕部4を有する回動昇降機構5と、この回動支持腕部4を戻り回動上昇付勢する上昇付勢機構6とを備えている。尚、この昇降装置3は、収納基体1以外の固定部に対して収納部2を支持する構成が採用されていても良い。
【0029】
本実施例の回動昇降機構5について説明すると、前記収納部2の左右夫々の側面部に、片側前後二体ずつ計四本の帯板状の前記回動支持腕部4が枢着され、この各回動支持腕部4の基端部が収納基体1内の底面左右部に設けた基体側取付具16に枢着されている。また、この前後の回動支持腕部4の先端側(他端側)が収納部2の左右側壁部に設けられた収納部側取付具17の前後位置に夫々回動自在に枢着されており、これによりこの各回動支持腕部4の基端枢着部11を支点とする回動移動により前記収納部2が平行運動を伴って収納基体1に対し回動下降および戻り回動上昇する平行リンク機構5が構成されている。そして、この平行リンク機構5が前記回動昇降機構5として構成されており、この回動昇降機構5を介して収納部2が収納基体1内から角度を変えずにこの収納基体1底面よりも前側下方へ下がった位置に引出し配設でき且つこの引出し回動下降位置から戻り回動上昇させて収納基体1へと押上げ配設できるように構成されている(図6図9図12図14参照)。
【0030】
また、ここで収納部側取付具17についてさらに詳しく説明すると、前記収納部2の左右側壁部に固定される収納取付プレート18と、前記回動支持腕部4の先端側が枢着される腕支持プレート19と、この収納取付プレート18と腕支持プレート19との間に介在されているスライドレール20とから構成されていて、スライドレール20を介して腕支持プレート19に対し収納取付プレート18が前方へスライド移動自在に構成されている。
【0031】
すなわち、前記腕支持プレート19,前記回動支持腕部4および前記基体側取付具16を介して前記収納基体1に固定されている収納部2(前記収納取付プレート18)は、前記スライドレール20を介して収納基体1に対しその前方開口部より出入りスライド移動自在に設けられている(図2図6および図14図15参照)。
【0032】
また、本実施例では、収納部2がスライド後退して収納基体1内に完全に収まっているとき(図1図2の状態)に前記回動昇降機構4の機能を停止させる昇降停止機構23を備え、この昇降停止機構23は、収納部2を収納基体1に対して前方にスライド突出移動させたときに解除されて、前方にスライド突出した収納部2を前記回動昇降機構4を介して回動昇降させることができるように構成されている。
【0033】
具体的には、図3図4に示すように、後側の前記回動支持腕部4の上端部が略直角に折曲されてこの折曲上端部がストッパ片部24として構成されている一方、前記収納取付プレート18の下端部が略直角に折曲されてこの折曲下端部が受片部25として構成され、このストッパ片部24と受片部25とが近接配設するように構成されている。
【0034】
また、このストッパ片部24と受片部25とは、前記収納部2が前記収納基体1内に完全に収まっているときに近接配設状態となり(図3参照)、この状態では回動支持腕部4が回動しようとしてもストッパ片部24が受片部25に接触することで回動阻止され、図6に示すように収納部2を収納基体1から前方へ引出しスライド移動させると、前記スライドレール20を介して前記収納取付プレート18と前記腕支持プレート19とが位置ズレしていき、収納部2が収納基体1から最大限前方へ引出された際には、図7に示すようにストッパ片部24の上方から受片部25が退避して回動支持腕部4が回動移動可能となるように(収納基体1に対して前方にスライド突出移動させた前記収納部2を下部前方へ回動下降および上部後方へ戻り回動上昇させることが可能となるように)前記昇降停止機構23が構成されている。
【0035】
また、本実施例の前記上昇付勢機構6は、常に回動支持腕部4を回動上昇付勢する常時付勢部7と、切替えにより必要時に追加増力して回動上昇付勢する増力付勢部8と、前記回動昇降機構5の前記回動支持腕部4が下部前方へ回動下降された状態で前記常時付勢部7による常時上昇付勢状態から切替え操作部10の切替え操作により回動支持腕部4と前記増力付勢部8とを連結してこの増力付勢部8による増力上昇付勢状態に切替え可能な付勢状態切替え機構9とを備えている。
【0036】
本実施例の常時付勢部7について説明すると、詳しく図示していないが、前記回動支持腕部4の基端部(前記基体側取付具16への基端枢着部11)と前記基体側取付具16とに介在させた捩りバネ7で構成され、この捩りバネ7によって常に回動支持腕部4が回動上昇付勢されていて(前記常時上昇付勢状態となっていて)、回動下降位置にある収納部2を上方へ戻す際には操作力の軽減作用が得られ、逆に収納部2を収納基体1から引出す際には前記回動支持腕部4の回動作動に抵抗が付与されて、収納部2が勢い良く飛び出すことが防止されている。尚、収納部2を引出す際の前記回動支持腕部4の回動作動に抵抗を付与するダンパー装置などが併用されていても良い。
【0037】
また、ここで各回動支持体4と前記収納部2との枢着構造についてさらに詳しく説明すると、前後の回動支持腕部4は、後側の回動支持腕部4の先端部(他端部)が前記収納部側取付具17の後側位置に枢着されている一方で、前側の回動支持腕部4の先端側(他端側)は、その途中部(途中取付部12)が収納部側取付具17の前側位置に枢着されている。そして、この前側の回動支持腕部4の途中取付部12より先端側が鉤形に形成されていると共に、この鉤形先端部に前記収納部2に向かって突出する突片14Aが形成されて(図5参照)、この突片14Aが、前記増力付勢部8が連結・解除自在に連結される連結受部14として構成され、この連結受部14に、前記付勢状態切替え機構9の切替え操作部10(10A)の切替え操作により増力付勢部8が連結されると、この増力付勢部8の連結により追加増力されて回動支持腕部4が前記増力上昇付勢状態に切替わるように構成されている。
【0038】
また、本実施例の増力付勢部8について説明すると、前記回動支持腕部4の途中取付部12に設けられた非接触型渦巻きバネ8Aで構成されている。
【0039】
具体的には、渦巻きバネ8Aは、前記回動支持腕部4の途中取付部12の枢着軸に巻回状態に設けられて、その中心側端部が途中取付部12の枢着軸に固定されていると共に、外周側端部は、フック状に折曲形成されてこのフック部13Aが前記回動支持腕部4の連結受部14に連結・解除可能に掛止連結可能な連結部13として構成されている(図3図5図7図8図11図13参照)。そして、連結部13が連結受部14に掛止連結されると、この渦巻きバネ8Aの付勢力が回動支持腕部4に加わって(前記常時付勢部7の付勢力に追加増力されて)回動支持腕部4が前記増力上昇付勢状態に切替わるように構成されている(図12図15参照)。
【0040】
また、前記収納部側取付具17の腕支持プレート19の前側端部には、短い帯板状の前記切替え操作部10Aが、その長さ方向が前後方向に沿うようにして配設されていると共に、腕支持プレート19に対し前後方向にスライド移動自在に設けられている。図中符号26は切替え操作部10Aを前後スライド移動自在に支持するスライドガイドである。
【0041】
この切替え操作部10Aについてさらに詳しく説明すると、図5に示すように、前側端部が前記収納部2側へ略直角に折曲されて、この前端折曲片部が指掛け操作可能な操作片21として構成されていると共に、この操作片21が腕支持プレート19の前側端部より前方側に存するようにして配設されている。すなわち切替え操作部10Aは、その操作片21が収納部2の前方側を向くようにして設けられていて、収納部2の手前側にいる操作者が、この操作片21に手の指をかけて前後にスライド切替え操作し易くなるように構成されている。
【0042】
また、この切替え操作部10Aは、下部が略水平に折曲されていると共に、この水平下板部の後側端部が下方へ略直角に折曲され、この後端折曲片部が前記渦巻きバネ8Aの連結部13(フック部13A)を掛脱自在に掛止連結可能な掛片22として構成されている(図3図5図7図8図11図13参照)。そして、前記収納基体1から前記収納部2を回動下降させた状態で切替え操作部10Aを操作片21の操作により後方へ押し込みスライド移動させると、収納部2が戻り回動上昇する際に前記フック部13Aが掛片22に掛止められ、逆に収納基体1から収納部2を回動下降させた状態で切替え操作部10Aを前記操作片21の操作により腕支持プレート19に対し前方へ引出しスライド移動させると、収納部2が戻り回動上昇する際に前記フック部13Aが掛片22に掛止められなくなるように構成されている。
【0043】
すなわち、収納部2が回動下降限位置にある状態で切替え操作部10Aの操作片21を後方に押し込みスライド移動させると、収納部2を戻り回動上昇させる際に渦巻きバネ8Aのフック部13Aが前記掛片22に掛止められ(図1図2図3図5図6参照)、これによりフック部13Aが前記回動支持腕部4の連結受部14(突片14A)から掛脱して前記常時上昇付勢状態となり、逆に収納部2が回動下降限位置にある状態で切替え操作部10Aの操作片21を前方に引出しスライド移動させると、渦巻きバネ8Aのフック部13Aが前記回動支持腕部4の突片14Aに掛止連結(回動支持腕部4に前記増力付勢部8が連結)されて(図12図15参照)前記増力上昇付勢状態となるように前記付勢状態切替え機構9が構成されている。
【0044】
また、この切替え操作部10Aは、後方へ押し込みスライド移動されて前記掛片22に前記渦巻きバネ8Aのフック部13Aが掛止められている状態(前記常時上昇付勢状態)では前方へ引出しスライド移動操作することができないが、前記収納基体1内に収まっている前記収納部2を前側下方へ回動下降させると、回動下降途中で前記突片14Aがフック部13Aに連結され、その後も収納部2を回動下降させると、突片14A(回動支持腕部4)の回動移動に伴いフック部13Aが掛片22から掛脱した状態となると共に、図11に示すように、収納部2の回動下降限位置(収納部2が最も前側下方へ回動下降した位置)では、フック部13Aが掛片22から掛脱し突片14Aに連結した状態が維持され、このときに切替え操作部10Aを前方へ引出しスライド操作可能となるように構成されている(このような作用を奏するように切替え操作部10A,回動支持腕部4および渦巻きバネ8Aのフック部13Aの配置などが設定構成されている。)。
【0045】
そして、収納部2を回動下降した状態で切替え操作部10Aを前方へ引出しスライド操作し、その後に収納部2を収納基体1に向かって回動上昇させると、渦巻きバネ8Aの連結部13は前記掛片22には掛止られることなく、回動支持腕部4へ付勢力を付与し続ける前記増力付勢状態となるように構成され、収納物の総重量が大きく重い場合にはこの増力付勢状態で収納部2を上部後方へ戻り回動上昇させ(図14参照)、後方に戻りスライドさせて元に(収納基体1内に収納された状態に)戻すことができるように構成されている(図15参照)。
【実施例2】
【0046】
本発明の具体的な実施例2について図16図21に基づいて説明する。
【0047】
本実施例は、前記増力付勢部8の構成と前記付勢状態切替え機構9の構成を、前記実施例1とは異ならせた場合である。
【0048】
具体的には、本実施例の増力付勢部8は、図示したように一対の接続ベース28(28A・28B)間に抗張弾性を有する三体のコイルバネ27が架設されて成る付勢部材8Bで構成されており、この付勢部材8Bの一側接続ベース28Aが、前記腕支持プレート19の、後側の前記回動支持腕部4の先端枢着部より後方位置に枢着されていると共に、他側接続ベース28Bが前側の前記回動支持腕部4の先端部に設けられている連結受部14に連結・解除自在に連結し得るように構成されている。
【0049】
また、他側接続ベース28Bには、この他側接続ベース28Bから左右両外側方向に突出する連結ピン13Bが設けられていて、この連結ピン13Bが前記回動支持腕部4の連結受部14に連結・解除可能に掛止連結可能な連結部13として構成されている。
【0050】
一方、前側の回動支持腕部4の先端部には、前記連結ピン13Bに嵌脱自在に被嵌連結可能な凹状部14Bが形成されていて、この凹状部14Bが前記連結受部14として構成されている。
【0051】
本実施例では、後述する切替え操作部10(10B)で連結解除されない限りは、前記連結ピン13Bの、前記他側接続ベース28Bに対して外側に存する部位が、凹状部14Bに連結されて増力付勢される(前記増力上昇付勢状態となる)ように、前記付勢状態切替え機構9が構成されている。
【0052】
また、本実施例の切替え操作部10Bは、図18図21に示すようなL字状の帯板材で構成されていて、前記収納部側取付具17の腕支持プレート19に軸着されており、さらにこの切替え操作部10Bは、一側のストレート形状の操作端部29が腕支持プレート19より前方へ突出配設され(収納部2の手前側にいる操作者が、この操作端部29に手の指をかけて上下方向に回動切替え操作し易くなるように構成され)、反対側(後方側)の鉤形部30が前記付勢部材8Bの他側接続ベース28Bに臨設配設されて、この鉤形部30が、前記連結ピン13B(前記付勢部材8B)の前記他側接続ベース28Bから内側に突出している部位に掛止められるように構成されている。
【0053】
また、この切替え操作部10Bは、前記腕支持プレート19の前端側に軸着されていて、この軸着部31を支点に腕支持プレート19の前方へ突出している切替え操作部10Bの操作端部29を下方に回動移動させると反対側の鉤形部30が上方に回動移動し、逆に切替え操作部10Bの操作端部29を上方に回動移動させると反対側の鉤形部30が下方に回動移動するように構成されている。
【0054】
そして、図18に示すように、前記収納基体1から前記収納部2を回動下降させた状態でこの切替え操作部10Bの操作端部29を下方に回動移動させると、上動する切替え操作部10Bの鉤形部30が、前記付勢部材8Bの連結ピン13Bに掛止められるように構成され、この状態では前記他側接続ベース28Bの前記コイルバネ27が縮む方向への移動が阻止されて前記収納部2を回動上昇させた際に連結ピン13Bがその場にとどまり、この連結ピン13Bの前記他側接続ベース28Bから外側に突出している部位が回動移動する回動支持腕部4の凹状部14Bから連結解除されて前記常時上昇付勢状態となり(図17参照)、逆に収納部2を回動下降させた状態で切替え操作部10Bの操作端部29を上方に回動移動させると、下動する鉤形部30が連結ピン13Bから掛脱し(図19参照)、この状態では前記他側接続ベース28Bの前記コイルバネ27が縮む方向(コイルバネ27の復帰付勢力が発揮される方向)への移動が阻止されず、前記収納部2を回動上昇させた際に連結ピン13Bの凹状部14Bへの連結状態が維持されて前記増力上昇付勢状態となる(図20参照)ように、前記付勢状態切替え機構9が構成されている。
【0055】
他の構成は、前記実施例1と同様である(実施例1と同符号を図面に付すことで詳しく説明することは省略する。)。
【0056】
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0057】
1 収納基体
2 収納部
3 昇降装置
4 回動支持腕部
5 回動昇降機構
6 上昇付勢機構
7 常時付勢部
8 増力付勢部
8A 渦巻きバネ
9 付勢状態切替え機構
10 切替え操作部
11 基端枢着部
12 途中取付部
13 連結部
14 連結受部
図1
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図3
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