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特許7492752免疫療法のためのアジュバントとしてのグアナベンズ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】免疫療法のためのアジュバントとしてのグアナベンズ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/155 20060101AFI20240523BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240523BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240523BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240523BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240523BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20240523BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240523BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20240523BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
A61K31/155
A61K35/17
A61K39/39
A61P31/00
A61P31/04
A61P31/10
A61P31/12
A61P33/00
A61P35/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021521951
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2019078867
(87)【国際公開番号】W WO2020083982
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】18202122.0
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511294534
【氏名又は名称】ウニベルシテ カソリーク デ ルーベン
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デン アインデ,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】ヂュー,ジンジン
【審査官】原口 美和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/183908(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/156644(WO,A1)
【文献】特表2018-522899(JP,A)
【文献】INTERNATIONAL JOURNAL OF ONCOLOGY,2014年,Vol. 44,pp. 1980-1988
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/39
A61P 31/00
A61P 35/00
A61P 31/12
A61P 31/04
A61P 31/10
A61P 33/00
A61K 35/17
A61K 45/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象のがんまたは感染性疾患の処置における免疫療法で使用するためのグアナベンズを含む医薬組成物であって、処置される前記がんは卵巣がんではない、医薬組成物
【請求項2】
グアナベンズが、免疫療法のためのアジュバントとして使用される、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項3】
グアナベンズが、免疫療法のためのコンディショニングレジメンとして使用され、コンディショニングレジメンが、免疫療法のために前記対象を前処置するための治療である、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項4】
グアナベンズが、メラノーマ、乳癌、結腸癌、腎癌、副腎皮質癌、精巣奇形腫、皮膚肉腫、線維肉腫、肺癌、腺癌、肝癌、神経膠芽腫、前立腺癌、および膵癌からなる群から選択される固形がんの処置における免疫療法で使用される、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項5】
グアナベンズが、ウイルス、細菌、真菌、または寄生原虫により引き起こされる感染性疾患の処置における免疫療法で使用される、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項6】
グアナベンズが、免疫療法の前および/または免疫療法と同時に投与される、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項7】
グアナベンズが、体重1kgあたり約0.01mg(mg/kg)~約15mg/kgの範囲の用量で投与される、請求項1~6のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項8】
前記免疫療法が、免疫細胞の養子移入を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項9】
前記免疫細胞が、T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である、請求項8に記載の医薬組成物
【請求項10】
前記免疫細胞が、CAR T細胞またはCAR NK細胞である、請求項8または9に記載の医薬組成物
【請求項11】
前記免疫細胞が、自家性免疫細胞である、請求項8~10のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項12】
前記免疫細胞が、CD8T細胞である、請求項8~11のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項13】
前記免疫療法が、チェックポイント阻害剤を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項14】
前記チェックポイント阻害剤が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、tislelizumab、spartalizumab、ABBV-181、およびJNJ-63723283などのPD-1の阻害剤、アベルマブ(avelumab)、アテゾリズマブ(atezolizumab)、およびデュルバルマブ(durvalumab)などのPD-L1の阻害剤、イピリムマブおよびtremelimumabなどのCTLA-4の阻害剤、ならびにそれらのいずれかの混合物を含む群から選択される、請求項13に記載の医薬組成物
【請求項15】
前記免疫療法が、ワクチン投与を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫療法の分野、特にがん免疫療法の分野に関する。より具体的には、本発明は、免疫療法のためのアジュバントとしてのグアナベンズの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫療法は、特定の標的に対する免疫応答、たとえばウイルス、細菌、真菌もしくは寄生原虫などの感染性作用物質に対する免疫応答またはがん細胞に対する免疫応答を誘導および/または亢進することを目的とする治療として、幅広く定義され得る。これらの治療効果を向上させるために、多くの場合、免疫療法は、アジュバントと併用して投与される。よってアジュバント化合物は、特に上記免疫応答を亢進、加速、および/または長期化することにより、特定の標的に対する免疫応答を増強または調節しようと努める。
【0003】
近年、免疫療法は、がんの処置において最も見込みのある開発の1つであることが証明されている。がん免疫療法は、がん細胞に対する対象の免疫応答を高め、よって、がん細胞の特異的な破壊を誘導するために、対象の免疫系を操作する。
【0004】
現在、がんの処置における免疫療法は、多くの異なる形態をとり得、たとえば、細胞、特に細胞傷害性細胞の養子移入、チェックポイント阻害剤の投与、T細胞アゴニストの投与、モノクローナル抗体の投与、またはサイトカインの投与が挙げられる(Ribas & Wolchok, 2018, Science 359, 1350-1355; Galluzzi et al., 2014, Oncotarget 5, 12472-12508; Sharma & Allison, 2015, Science 348, 56-61)。また、がんの処置における免疫療法は、治療用ワクチンおよびBCG(Bacillus Calmette-Guerin:カルメット・ゲラン桿菌)の使用を含み、後者は、膀胱がんの処置に使用されている(Ribas & Wolchok, 2018, Science 359, 1350-1355; Garg et al., 2017, Trends Immunol 38, 577-593; Durgeau et al.,2018, Front Immunol 9, 14)。
【0005】
がん免疫療法の根底にある中心的な前提の1つは、がん細胞において選択的または豊富に発現または変異した抗原の存在であり、よって、がん細胞の特異的な認識およびその後の破壊が可能となる(Wirth & Kuhnel, 2017, Front Immunol 8, 1848; Hugo et al., 2016, Cell 165, 35-44, Coulie et al., 2014, Nature Reviews Cancer 14, 135-146)。がん免疫療法の根底にある別の中心的な前提は、腫瘍における免疫細胞、特にリンパ球の存在である(Tumeh et al., 2014, Nature 515, 568-571)。このようなリンパ球は、一般に腫瘍浸潤リンパ球(TIL)と呼ばれ、特に、上述の腫瘍に特異的な抗原の認識を介して腫瘍細胞を標的とし殺滅し得るエフェクターTILが挙げられる(Durgeau et al.,2018, Front Immunol 9, 14; Tumeh et al., 2014, Nature 515, 568-571)。
【0006】
さらに、がんの種類および個々の応答に応じて、腫瘍は、免疫細胞、特にはリンパ球に様々な程度で浸潤される。リンパ球が著しく存在する腫瘍は、一般に、「hot tumor」と呼ばれ、リンパ球の存在が少ない腫瘍は、一般に、「cold tumor」と呼ばれている(Sharma & Allison, 2015, Science 348, 56-61)。
【0007】
エフェクターT細胞の腫瘍内への浸潤の増大、よって腫瘍細胞に対するT細胞応答の増大は、多くの異なる種類のがんに関する生存の増大と相関していることが知られている。よって、多くのがん免疫療法は、腫瘍内のエフェクターT細胞の浸潤および/または活性化の増大を目的とする。
【0008】
このような免疫療法の1つは、腫瘍浸潤T細胞などの腫瘍を標的化する免疫細胞の対象への移入、すなわち注入から構成される。このような移入は、養子細胞移入と呼ばれており、1988年に最初に記載された(Rosenberg et al., 1988, N Engl J Med 319, 1676-1680)。別のこのような免疫療法は、チェックポイント阻害剤の投与から構成される。チェックポイント阻害剤は、T細胞で発現される抑制性受容体とそれらのリガンドとの間の相互作用を遮断する。チェックポイント阻害剤は、腫瘍細胞により発現される因子によるT細胞の阻害を予防し、よって、上記腫瘍細胞に対するT細胞応答を高めるために投与される(Marin-Acevedo et al., 2018, J Hematol Oncol 11, 39)。
【0009】
しかしながら、免疫療法の全般的な効力は、患者の大部分で依然として限定されたままである(Jenkins et al., 2018, Br J Cancer 118, 9-16; Ladanyi. 2015, Pigment Cell Melanoma Res 28, 490-500)。1つの重要な懸念の1つは、腫瘍に存在する腫瘍に特異的なT細胞の数、および上記腫瘍浸潤T細胞の枯渇であり、上記枯渇は、不十分なエフェクター機能、抑制性受容体の長期間の発現、および/または機能的なエフェクターT細胞もしくはメモリーT細胞とは異なる転写状態を特徴とする(Jochems & Schlom, 2011, Exp Biol Med (Maywood) 236, 567-579)。
【0010】
よって、より有効な免疫療法、特により有効ながん免疫療法が必要とされている。特に、免疫療法、特にがん免疫療法で投与されるアジュバントであって、特に、たとえば腫瘍におけるT細胞浸潤の増大、がんに特異的なT細胞の生存の増大、および/またはがんに特異的なT細胞のエフェクター機能の増大を介して、がん細胞に対する細胞性免疫応答を改善することにより免疫療法を増強する、アジュバントが依然として必要とされている。
【0011】
グアナベンズは、特にα-2アドレナリン受容体アゴニストとして知られている、小分子である。よってグアナベンズ(Wytensin(登録商標))は、経口投与用の降圧剤として処方されていた。がん細胞に対する免疫応答を増強できる化合物を探索する間、驚くべきことに本出願人は、グアナベンズが免疫応答、特にT細胞免疫応答などの細胞性免疫応答を刺激できることを示した。たとえば、本出願人は、驚くべきことに、グアナベンズが、抗腫瘍T細胞の機能的な活性およびin vivoでがん細胞を殺滅するそれらの特性を刺激することにより、がん免疫療法の効力を有意に増大させることを見出した。また本出願人は、グアナベンズが、ワクチン投与の作用を高めることを示した。実際に、本出願人は、驚くべきことに、抗原ワクチンとグアナベンズの投与が、当該抗原に対する再曝露により誘導される特異的な細胞性免疫応答を有意に高めることを見出した。
【0012】
よって本発明は、免疫療法のためのアジュバントとして使用するためのグアナベンズに関する。特に本発明は、がんまたは感染性疾患の処置における免疫療法で使用するためのグアナベンズに関する。本明細書中以下に示すように、グアナベンズは、免疫療法、特にがん免疫療法のためのアジュバントとして作用する。特に本発明は、がんの処置における、養子細胞療法、CAR免疫細胞療法、チェックポイント阻害剤療法、T細胞アゴニスト療法、治療用ワクチン投与、抗体療法(たとえばモノクローナル抗体および/もしくは二重特異性抗体)、腫瘍溶解性ウイルス療法、またはサイトカイン療法で使用するためのグアナベンズに関する。また本発明は、感染性疾患の防止的および/または治療上の処置におけるワクチン投与で使用するためのグアナベンズに関する。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、それを必要とする対象のがんまたは感染性疾患の処置における免疫療法で使用するためのグアナベンズに関する。一実施形態では、グアナベンズは、免疫療法のためのアジュバントとして使用される。一実施形態では、グアナベンズは、免疫療法のためのコンディショニングレジメンとして使用される。一実施形態では、グアナベンズは、免疫療法のためのコンディショニングレジメンとして使用され、コンディショニングレジメンは、免疫療法のために対象を前処置するための治療である。
【0014】
一実施形態では、グアナベンズは、急性リンパ性白血病、急性骨髄芽球性白血病 副腎癌、胆管がん、膀胱がん、乳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、胃がん、消化管間質腫瘍、神経膠芽腫、頭頸部がん、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫、腎臓がん、肺がん、メラノーマ、メルケル細胞皮膚がん、中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患、非ホジキンリンパ腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、唾液腺がん、肉腫、扁平上皮癌、睾丸がん、甲状腺がん、尿路上皮癌、およびブドウ膜黒色腫を含むかまたはからなる群から選択されるがんの処置における免疫療法で使用される。一実施形態では、グアナベンズは、メラノーマ、乳癌、結腸癌、腎癌、副腎皮質癌、精巣奇形腫、皮膚肉腫、線維肉腫、肺癌、腺癌、肝癌、神経膠芽腫、前立腺癌、および膵癌を含むかまたはからなる群から選択されるがんの処置における免疫療法で使用される。
【0015】
一実施形態では、グアナベンズは、ウイルス、細菌、真菌、または寄生原虫により引き起こされる感染性疾患の処置における免疫療法で使用される。
【0016】
一実施形態では、グアナベンズは、免疫療法の前および/または免疫療法と同時に投与される。
【0017】
一実施形態では、グアナベンズは、体重1kgあたり約0.01mg(mg/kg)~約15mg/kgの範囲の用量で投与される。
【0018】
一実施形態では、免疫療法は、免疫細胞の養子移入を含む。一実施形態では、上記免疫細胞は、T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である。一実施形態では、上記免疫細胞は、CAR T細胞またはCAR NK細胞である。一実施形態では、上記免疫細胞は、自家性免疫細胞である。一実施形態では、上記免疫細胞は、CD8T細胞である。
【0019】
一実施形態では、免疫療法は、チェックポイント阻害剤を含む。一実施形態では、上記チェックポイント阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、tislelizumab、spartalizumab、ABBV-181、およびJNJ-63723283などのPD-1の阻害剤、アベルマブ(avelumab)、アテゾリズマブ(atezolizumab)、およびデュルバルマブ(durvalumab)などのPD-L1の阻害剤、イピリムマブおよびtremelimumabなどのCTLA-4の阻害剤、ならびにそれらのいずれかの混合物を含むかまたはからなる群から選択される。
【0020】
一実施形態では、免疫療法は、ワクチン投与を含む。
【0021】
定義
本発明では、以下の用語は、以下の意味を有する。
【0022】
数字に先行する「約」は、上記数値の+または-10%以下を包有する。用語「約」が表す値はまた、それ自体が具体的であり、好ましくは開示されていることを理解されたい。
【0023】
本発明における「アジュバント」は、免疫療法を増強する化合物または化合物の組み合わせを表す。一実施形態では、アジュバントは、がんの処置における免疫療法で使用され、よってがん細胞に対する免疫応答を増強する。たとえば、アジュバントは、リンパ球、特に腫瘍に浸潤したリンパ球の数を増大させ得;リンパ球、特に腫瘍に浸潤したリンパ球の活性化を増大させ得;リンパ球、特に腫瘍に浸潤したリンパ球の適応度を増大させ得;かつ/または、リンパ球、特に腫瘍に浸潤したリンパ球の生存を増大させ得る。一実施形態では、アジュバントは、感染性疾患の処置における免疫療法で使用され、よって、感染性作用物質に対する免疫応答を増強する。たとえば、アジュバントは、リンパ球、特にエフェクターリンパ球の数を増大させ得;リンパ球、特にエフェクターリンパ球の活性化を増大させ得;リンパ球、特にエフェクターリンパ球の適応度を増大させ得;かつ/またはリンパ球、特にエフェクターリンパ球の生存を増大させ得る。
【0024】
「アロジェニック(Allogeneicまたはallogenic)」は、物質が導入される対象とは異なる同じ種の対象から得られたかまたはこれに由来する何らかの物質を表す。2以上の対象が、1つ以上の遺伝子座の遺伝子が同一ではない場合、互いにアロジェニックであると言われる。一部の態様では、同じ種の対象由来のアロジェニックな物質は、抗原的に相互作用するために十分に遺伝学的に異なるものであり得る。
【0025】
「自家性」は、後に再導入される同じ対象から得られるかまたはこれに由来する何らかの物質を表す。
【0026】
「がん免疫療法」は、がんの処置のために使用される免疫療法であって、がん細胞に対する対象の免疫応答を誘導および/または刺激することを目的として対象の免疫応答を調節する、免疫療法を表す。一実施形態では、がん免疫療法は、免疫細胞、特にT細胞(たとえばアルファ・ベータ(αβ)またはγδT細胞)、NK細胞、またはNK T細胞の養子移入を含むかまたはこれよりなる。一実施形態では、がん免疫療法は、チェックポイント阻害剤の投与を含むかまたはこれよりなる。一実施形態では、がん免疫療法は、チェックポイントアゴニストの投与を含むかまたはこれよりなる。一実施形態では、がん免疫療法は、抗体の投与を含むかまたはこれよりなる。一実施形態では、がん免疫療法は、治療用抗がんワクチンの投与を含むかまたはこれよりなる。
【0027】
「コンディショニングレジメン」は、がんなどの疾患の処置に使用される後続治療のため対象を前処置するために投与される化合物または行われる治療を表す。たとえば、コンディショニングレジメンは、免疫細胞の養子移入の前に使用される。
【0028】
「第1選択治療」は、「一次治療」または「導入療法」としても知られており、疾患、たとえばがんの処置で行われる最初の治療を表す。第1選択治療は、完了してもよく、または別の治療と置き換えてもよい。
【0029】
「免疫療法」は、特定の標的に対する、たとえばウイルス、細菌、真菌、もしくは寄生原虫などの感染性作用物質に対するかまたはがん細胞に対する免疫応答を誘導および/または亢進することを目的とする治療を表す。本明細書中使用される場合、免疫療法の例として、限定するものではないが、ワクチン投与、たとえば予防用および治療用のワクチン投与;免疫細胞、特にT細胞(たとえばアルファ・ベータ(αβ)またはγδT細胞)、またはNK細胞の養子移入;チェックポイント阻害剤;チェックポイントアゴニスト;抗体が挙げられる。
【0030】
「感染性疾患」は、ウイルス、細菌、真菌(たとえば酵母)、藻類、または寄生原虫(たとえばアメーバ)などの感染性作用物質により引き起こされる疾患を表す。
【0031】
「薬学的に許容される賦形剤」または「薬学的に許容される担体」は、この分野で一般に知られており使用される賦形剤または担体を表し、特にあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤ならびに吸収遅延剤を含む。よって、薬学的に許容される賦形剤または担体は、あらゆる種類の、非毒性の固体、半固体、または液体のフィラー、希釈剤、カプセル化材料、または製剤化助剤を表す。ヒトへの投与では、製剤は、FDA(アメリカ食品医薬品局)またはEMA(欧州医薬品庁)などの規制局が要求する、無菌性、発熱性、全般的な安全性、および純度の基準と一致しなければならない。
【0032】
「薬学的に許容される塩」は、生物学的に望ましくないものではなく、全般的に適切な有機酸もしくは無機酸と遊離塩基を反応させるかまたは適切な有機塩基もしくは無機塩基と遊離酸を反応させることにより調製される、遊離酸または遊離塩基の塩を表す。適切な酸付加塩は、非毒性の塩を形成する酸から形成される。例として、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、サイクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩(esylate)、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチルスルファート、ナフチル酸塩(naphthylate)、2-ナプシラート、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/水素、リン酸塩/二水素、リン酸塩、ピログルタミン酸塩、サッカラート、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、およびキシナホ酸(xinofoate)塩が挙げられる。適切な塩基塩は、非毒性の塩を形成する塩基から形成される。例として、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リジン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、2-(ジエチルアミノ)エタノール、エタノールアミン、モルフォリン、4-(2-ヒドロキシエチル)モルフォリン、および亜鉛の塩が挙げられる。酸および塩基のヘミ塩、たとえばヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩もまた、形成され得る。
【0033】
「対象」は、哺乳類、好ましくはヒトを表す。一実施形態では、対象は、がんまたは感染性疾患と診断されている。一実施形態では、対象は、がんまたは感染性疾患などの疾患の医療の受診を待機しているか、または当該医療を受診しているか、または過去/現在/将来に当該医療の対象であった/ある/となり得るか、またはがんもしくは感染性疾患などの疾患の発症もしくは進行に関してモニタリングされている患者、好ましくはヒトの患者である。一実施形態では、対象は、がんまたは感染性疾患の発症または進行に関して処置および/またはモニタリングされるヒトの患者である。一実施形態では、対象は、男性である。別の実施形態では、対象は、女性である。一実施形態では、対象は、成年である。別の実施形態では、対象は、小児である。一実施形態では、対象は、免疫療法に耐性がある。一実施形態では、対象は、がん免疫療法に耐性がある。
【0034】
「T細胞免疫応答」は、T細胞が介在する免疫応答を表す。一実施形態では、「T細胞免疫応答」は、本明細書中使用される場合、エフェクターT細胞が介在する応答、好ましくは細胞傷害性T細胞が介在する応答を表す。本明細書中使用される場合、「T細胞免疫応答」は、アルファ・ベータ(αβ)T細胞が介在する免疫応答およびガンマ・デルタ(γδ)T細胞が介在する免疫応答を含む。
【0035】
「治療上有効量」または「治療上有効用量」は、対象に対して有意な負の作用または副作用を引き起こすことなく、(1)対象において病状もしくは障害、特にがんもしくは感染性疾患の発症の遅延もしくは予防;(2)病状もしくは障害、特にがんもしくは感染性疾患の重症度もしくは発症頻度の低減;(3)対象を侵す病状もしくは障害、特にがんもしくは感染性疾患の1つ以上の症状の進行、増悪、もしくは悪化の遅延もしくは停止;(4)対象を侵す病状もしくは障害、特にがんもしくは感染性疾患の症状の寛解をもたらすこと;または(5)対象を侵す病状もしくは障害、特に対象を侵すがんもしくは感染性疾患の治癒を目的とする、グアナベンズの量または用量を表す。治療上有効量は、防止的または予防的な作用のため、病状または障害、特にがんまたは感染性疾患の発症の前に投与され得る。あるいはまたはさらに、治療上有効量は、治療上の作用のため、病状または障害、特にがんまたは感染性疾患の発症の後に投与され得る。
【0036】
「処置すること(treating)」または「処置(treatment)」は、治療上の処置;防止的または予防的な手段;またはその両方を表し、この目的は、目的の病状または障害、たとえばがんまたは感染性疾患を予防、遅延(減少)、または治癒することである。本発明の一実施形態では、「処置すること(treating)」または「処置(treatment)」は、治療上の処置を表す。本発明の別の実施形態では、処置すること(treating)」または「処置(treatment)」は、防止的または予防的な処置を表す。本発明のさらなる別の実施形態では、「処置すること(treating)」または「処置(treatment)」は、防止的(または予防的)な処置および治療上の処置の両方を表す。処置を必要とするものは、病状もしくは障害、たとえばがんもしくは感染性疾患をすでに罹患しているもの、および病状もしくは障害、たとえばがんもしくは感染性疾患を発症する傾向があるもの、または病状もしくは障害、たとえばがんもしくは感染性疾患を予防すべきものを含む。一実施形態では、がんまたは感染性疾患を罹患している対象が、治療上有効量のグアナベンズを投与された後、特に免疫療法を伴い治療上有効量のグアナベンズを投与された後に、対象が、がん細胞の数もしくは感染性作用物質の数の観察可能かつ/もしくは測定可能な減少;がん性である細胞の合計のパーセントもしくは感染した細胞の合計のパーセントの低下;がんもしくは感染性疾患に関連する症状のうちの1つ以上のある程度までの軽減;罹患率および死亡率の低下、いわゆるがんもしくは感染性疾患に関連する疾病および/もしくは死亡のリスクの低下、ならびに/またはクオリティライフの問題の改善を示す場合、当該対象の「処置」は成功している。処置の成功および疾患の改善を評価するための上記パラメータは、医師に知られている規定の手法により容易に測定可能である。
【0037】
「腫瘍浸潤リンパ球」または「TIL」は、免疫療法の前または免疫療法の後、たとえば養子細胞移入または治療用ワクチン投与の後などに、腫瘍に存在するT細胞を表す。本明細書中使用される場合、T細胞は、アルファ・ベータ(αβ)T細胞およびガンマ・デルタ(γδ)T細胞を包有する。本明細書中使用される場合、T細胞は、CD4T細胞およびCD8T細胞を包有する。またT細胞は、本明細書中使用される場合、CD4Treg細胞またはCD8Treg細胞などのT制御性(Treg)細胞、およびCD4エフェクターT細胞およびCD8エフェクターT細胞などのTエフェクター細胞を包有する。特に、CD8エフェクターT細胞は、細胞傷害性CD8T細胞を含む。一実施形態では、エフェクター腫瘍浸潤リンパ球またはエフェクターTILは、たとえば養子細胞移入または治療用ワクチン投与などといった免疫療法の前または免疫療法の後に、腫瘍に存在するCD4またはCD8エフェクターT細胞である。一実施形態では、制御性腫瘍浸潤リンパ球、または制御性TILは、たとえば養子細胞移入または治療用ワクチン投与などといった免疫療法の前または免疫療法の後に、腫瘍に存在するCD4またはCD8Treg細胞である。
【0038】
「腫瘍に特異的な抗原」または「腫瘍に関連する抗原」は、がん細胞または腫瘍細胞により特異的かつ/または豊富に発現される抗原を表す。上記抗原を認識および結合するT細胞受容体を発現するT細胞は、腫瘍に特異的な抗原もしくは腫瘍に関連する抗原を認識するT細胞、腫瘍に特異的な抗原もしくは腫瘍に関連する抗原に特異的なT細胞、腫瘍に特異的な抗原もしくは腫瘍に関連する抗原の特定のT細胞(T cells specific of)、または腫瘍に特異的な抗原もしくは腫瘍に関連する抗原を対象とするT細胞と呼ばれ得る。
【0039】
「ワクチン投与」は、目的の、感染性作用物質(ウイルス、細菌、真菌、もしくは寄生原虫など)に対する免疫応答、またはがん細胞に対する免疫応答を、対象に誘導および/または亢進させるように意図されている、物質または物質のグループ(すなわちワクチン)を含む製剤の使用を表す。防止的なワクチン投与は、対象が特定の疾患を有することを予防するため、または疾患の軽度な症例のみを有するようにさせるために使用される。たとえば、防止的なワクチンは、感染性疾患の原因である(殺滅されているか、不活性化されているか、または生きているが弱毒化されている)感染性作用物質、または感染性作用物質から単離されているかもしくは遺伝子操作されているその成分(感染性作用物質の表面に存在する分子もしくは感染性作用物質により分泌される毒素など)を含み得る。治療用ワクチン投与は、対象において、特定の疾患、たとえばがんまたはヘルペスもしくはB型肝炎など感染性疾患を処置するように意図されている。たとえば、治療用抗がんワクチンは、上記腫瘍に関連する抗原を発現するがん細胞を対象とする、細胞が介在する免疫応答、特にT細胞免疫応答を誘導および/または亢進することを目的として、腫瘍に関連する抗原を含み得る。
【0040】
詳細な説明
本発明は、免疫応答の調節が必要とされる疾患または病態の処置で使用するためのグアナベンズに関する。
【0041】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象の免疫障害の処置で使用するためのグアナベンズに関する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象の免疫障害の処置で使用するためのグアナベンズであって、免疫調節剤として使用される、グアナベンズに関する。
【0042】
本明細書中使用される場合、「免疫障害」は、免疫系の機能不全からもたらされる疾患または病態を表す。免疫障害の例として、限定するものではないが、免疫不全、自己免疫疾患、アレルギー、炎症性障害、喘息、および移植片対宿主病(GVHD)が挙げられる。
【0043】
特に本発明は、免疫応答の亢進を必要とする疾患または病態の処置で使用するためのグアナベンズに関する。
【0044】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象の免疫不全の処置で使用するためのグアナベンズに関する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象の免疫不全の処置で使用するためのグアナベンズであって、免疫応答を亢進するために使用される、グアナベンズに関する。
【0045】
免疫不全の例として、限定するものではないが、後天性免疫不全症候群(AIDS)、およびX連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)および常染色体劣性無ガンマグロブリン血症(ARA)を含む原発性免疫不全障害(PID)とも呼ばれる原発性免疫不全疾患(PIまたはPIDD)、毛細血管拡張性運動失調症、慢性肉芽腫症および他の貪食細胞障害、分類不能型免疫不全症、補体欠損症、ディジョージ症候群、血球貪食性リンパ組織球症(HLH)、高IgE症候群、高IgM症候群、IgGサブクラス欠損症、自然免疫不全症(innate immune defects)、NEMO(nuclear factor-kappa B essential modulator)欠乏症候群、選択的IgA欠損症、選択的IgM欠損症、重症複合免疫不全症および複合免疫不全症、特異抗体不全症(specific antibody deficiency)、乳児一過性低ガンマグロブリン血症、WHIM症候群(疣贅(warts)、低ガンマグロブリン血症(hypogammaglobulinemia)、感染症(infections)、および骨髄性細胞貯留(myelokathexis))、ウィスコット・アルドリッチ症候群が挙げられる。
【0046】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象のがんまたは感染性疾患の処置で使用するためのグアナベンズであって、がん細胞または感染性作用物質のそれぞれに対する免疫応答を亢進するために使用される、グアナベンズに関する。一実施形態では、本発明は、がんの処置で使用するためのグアナベンズであって、第1選択治療として行われる免疫療法の後の第2選択治療として投与される、グアナベンズに関する。一実施形態では、本発明は、がんの処置で使用するためのグアナベンズであって、以前に行われた免疫療法の後の後続治療として投与される、グアナベンズに関する。
【0047】
また本発明は、それを必要とする対象のがんまたは感染性疾患の処置における免疫療法で使用するためのグアナベンズに関する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象のがんまたは感染性疾患の処置における免疫療法で使用するためのグアナベンズであって、免疫療法のためのアジュバントとして使用される、グアナベンズに関する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象のがんまたは感染性疾患の処置における免疫療法で使用するためのグアナベンズであって、免疫療法のためのコンディショニングレジメンとして使用される、グアナベンズに関する。
【0048】
また本発明は、がんまたは感染性疾患の処置のための免疫療法のためのアジュバントであって、グアナベンズを含むかまたはからなる、アジュバントに関する。一実施形態では、本発明は、グアナベンズを含むかまたはからなるがん免疫療法のためのアジュバントに関する。一実施形態では、本発明は、グアナベンズを含むかまたはからなるワクチン投与用のアジュバントに関する。
【0049】
また本発明は、グアナベンズを含むかまたはからなる、がんまたは感染性疾患の処置のための免疫療法のためのコンディショニングレジメンに関する。一実施形態では、本発明は、グアナベンズを含むかまたはからなる、がん免疫療法のためのコンディショニングレジメンに関する。一実施形態では、本発明は、グアナベンズを含むかまたはからなる、ワクチン投与用のコンディショニングレジメンに関する。
【0050】
驚くべきことに、本出願人は、グアナベンズが免疫応答、特に細胞性免疫応答を刺激できることを示した。特に、本出願人は、驚くべきことに、グアナベンズが、単独で使用される場合またはがん免疫療法と組み合わせて使用される場合に、がん細胞に対する免疫応答を有意に増強することを示した。本明細書中以下の実施例で示されるように、グアナベンズとT細胞のin vitroでのインキュベーションは、抗原認識後のT細胞の脱顆粒およびインターフェロンガンマ(IFNγ)の分泌の増大を介して観察されるように、T細胞の機能の増大をもたらした。さらに、マウスへのグアナベンズのin vivoでの投与は、特にT細胞の養子移入と組み合わせた場合に、腫瘍においてT細胞の浸潤および残留性を増大させ、また腫瘍に浸潤したT細胞の活性をも増大させた。よって、グアナベンズのin vivoでの投与は、特にT細胞の養子移入と組み合わせた場合に、腫瘍増殖の阻害および生存の増大をもたらした。また本出願人は、驚くべきことに、グアナベンズが、放射線照射された腫瘍細胞または卵白アルブミンタンパク質を使用するワクチン投与の作用を高めることを示した。実際に、本出願人は、グアナベンズが、免疫処置により誘導される、特異的な免疫応答、特にT細胞免疫応答を有意に増強することを示した。本明細書中以下の実施例で示されるように、放射線照射されたL1210 P1A腫瘍細胞または組み換え卵白アルブミンを使用してマウスを免疫処置する場合に、グアナベンズの併用投与が、免疫処置されたマウスの脾臓および血液における活性CD8T細胞の数の増加を介して観察されるように、免疫処置応答の増大をもたらした。
【0051】
グアナベンズ(CAS番号5051-62-7)は、2-[(E)-(2,6-ジクロロフェニル)メチリデンアミノ]グアニジンとしても知られている。グアナベンズを表すために使用されている他の名称として、2-[(2,6-ジクロロフェニル)メチリデンアミノ]グアニジン;N-(2,6-ジクロロベンジリデン)-N’-アミジノヒドラジン;2-((2,6-ジクロロフェニル)メチレン)ヒドラジンカルボキシミドアミド;ヒドラジンカルボキシミドアミド、2-((2,6-ジクロロフェニル)メチレン)-;およびWY-8678が挙げられる。グアナベンズの商標名として、限定するものではないが、Wytensin(登録商標)、Wytens(登録商標)、Lisapres(登録商標)、およびRexitene(登録商標)が挙げられる。またグアナベンズは、場合によりGBZと呼ばれる。
【0052】
グアナベンズは、以下の式:
【化1】
を有する。
【0053】
本明細書中使用される場合、用語「グアナベンズ」は、その全てのプロドラッグ、薬学的に許容される塩、水和物、および溶媒和物を包有する。特に、用語「グアナベンズ」は、その酢酸塩およびモノアセタートの塩、たとえばグアナベンズ酢酸塩およびグアナベンズモノアセタートを包有する。用語「グアナベンズ」はまた、上記化合物の結晶形態を包有する。
【0054】
グアナベンズは、1966年に公開された英国特許公報第1019120号における除草剤の化合物として最初に記載された。それ以来、グアナベンズの獣医学的および医学的な使用、特に、動物における鎮静剤または精神安定剤としての使用およびヒトでの降圧剤としての使用が、研究されてきた。よってグアナベンズは、高血圧の処置で、長期間臨床的に使用されてきた。グアナベンズは、α2アドレナリン受容体のアゴニストであり、その降圧作用は、中枢性α-アドレナリン作動性刺激によるものであると考えられている。
【0055】
本発明は、それを必要とする対象のがんまたは感染性疾患の処置における免疫療法で使用するための本明細書中上述のグアナベンズに関する。
【0056】
本発明の別の目的は、それを必要とする対象のがんまたは感染性疾患の処置で使用するための、グアナベンズを含む第1のパーツと、免疫療法を含む第2のパーツとを含むキットオブパーツである。一実施形態では、本発明のキットオブパーツは、それを必要とする対象のがんの処置で使用するための、グアナベンズを含む第1のパーツと、免疫療法、たとえばチェックポイント阻害剤などを含む第2のパーツとを含む。
【0057】
本発明では、免疫療法は、特定の標的に対する免疫応答を誘導および/または亢進する目的で対象の免疫応答を調節する治療として定義される。
【0058】
一実施形態では、免疫療法は、養子細胞療法、特に養子T細胞療法、養子NK細胞療法および/もしくはCAR免疫細胞療法、チェックポイント阻害剤療法、T細胞アゴニスト療法、ワクチン投与、たとえば予防用ワクチン投与もしくは治療用ワクチン投与、抗体療法、サイトカイン療法、またはそれらのいずれかの混合を含むかまたはからなる。
【0059】
一実施形態では、免疫療法は、養子細胞療法、特に養子T細胞療法、養子NK細胞療法および/もしくはCAR免疫細胞療法、チェックポイント阻害剤療法、ワクチン投与、たとえば予防用ワクチン投与もしくは治療用ワクチン投与、抗体療法、またはそれらのいずれかの混合を含むかまたはからなる。
【0060】
一実施形態では、免疫療法は、養子細胞療法、特に養子T細胞療法もしくは養子NK細胞療法および/もしくはCAR免疫細胞療法、チェックポイント阻害剤療法、ワクチン投与、たとえば予防用ワクチン投与もしくは治療用ワクチン投与、またはそれらのいずれかの混合を含むかまたはからなる。
【0061】
一実施形態では、免疫療法は、養子細胞療法、特に養子T細胞療法もしくは養子NK細胞療法、チェックポイント阻害剤療法、ワクチン投与、たとえば予防用ワクチン投与もしくは治療用ワクチン投与、またはそれらのいずれかの混合を含むかまたはからなる。
【0062】
一実施形態では、免疫療法は、養子細胞療法、特に養子T細胞療法、養子NK細胞療法および/もしくはCAR免疫細胞療法、ワクチン投与、たとえば予防用ワクチン投与もしくは治療用ワクチン投与、またはそれらのいずれかの混合を含むかまたはからなる。
【0063】
一実施形態では、免疫療法は、養子細胞療法、特に養子T細胞療法もしくは養子NK細胞療法、またはワクチン投与、たとえば予防用ワクチン投与もしくは治療用ワクチン投与を含むかまたはからなる。
【0064】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象のがんの処置における免疫療法で使用するためのグアナベンズに関する。よって、一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象のがんの処置におけるがん免疫療法で使用するためのグアナベンズに関する。
【0065】
本発明では、がんの処置としての免疫療法、すなわちがん免疫療法は、がん細胞に対する対象の免疫応答を誘導および/または亢進する目的で、対象の免疫応答を調節する治療として定義される。
【0066】
がん免疫療法の根底にある中心的な前提の1つは、がん細胞において選択的または豊富に発現または変異した抗原の存在であり、よって、がん細胞の特異的な認識およびその後の破壊が可能となる。このような抗原は、一般的に腫瘍に特異的な抗原と呼ばれている。がん免疫療法の根底にある別の中心的な前提は、腫瘍におけるリンパ球、すなわち腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、特に上述の腫瘍に特異的な抗原の認識を介して腫瘍細胞を標的化および殺滅し得るエフェクターTILの存在である。
【0067】
がん免疫療法の例として、限定するものではないが、免疫細胞の養子移入;チェックポイント阻害剤;チェックポイントアゴニストとも呼ばれるT細胞アゴニスト;モノクローナル抗体、抗体ドメイン、抗体フラグメント、二重特異性抗体を含む抗体;サイトカイン;腫瘍溶解性ウイルス;予防用ワクチンおよび治療用ワクチン、BCG(カルメット・ゲラン桿菌);ARN療法に基づく免疫療法、たとえばRNA干渉(RNAiとしても知られている)によりex vivoで修飾された免疫細胞、またはRNAベースのワクチンが挙げられる。
【0068】
一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、養子細胞療法、特に養子T細胞療法もしくは養子NK細胞療法、CAR免疫細胞療法、チェックポイント阻害剤療法、T細胞アゴニスト療法、治療用ワクチン投与、抗体療法、腫瘍溶解性ウイルス療法、サイトカイン療法、またはそれらのいずれかの混合を含むかまたはからなる。
【0069】
一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、養子細胞療法とも呼ばれる細胞の養子移入(両方ACTとも呼ばれる)、特に、T細胞またはNK細胞の養子移入(それぞれ養子T細胞療法または養子NK細胞療法とも呼ばれる)を含むかまたはからなる。よって、一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、養子細胞療法、特に養子T細胞療法または養子NK細胞療法である。
【0070】
本明細書中使用される場合、細胞の養子移入または養子細胞療法は、対象への免疫細胞の移入、たとえば注入として定義される。がんの処置としての、対象への免疫細胞の養子移入は、がん細胞に対する対象の免疫応答を亢進することを目的とする。
【0071】
一実施形態では、移入される免疫細胞は、T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である。一実施形態では、移入される免疫細胞は、T細胞、特にCD8T細胞、および/またはナチュラルキラー(NK)細胞である。
【0072】
一実施形態では、移入される免疫細胞は、細胞傷害性細胞である。細胞傷害性細胞の例として、ナチュラルキラー(NK)細胞、CD8T細胞、およびナチュラルキラー(NK)T細胞が挙げられる。
【0073】
一実施形態では、移入される免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。
【0074】
一実施形態では、移入される免疫細胞は、T細胞、特にエフェクターT細胞である。エフェクターT細胞の例として、CD4T細胞およびCD8T細胞が挙げられる。
【0075】
一実施形態では、移入される免疫細胞は、アルファ・ベータ(αβ)T細胞である。別の実施形態では、移入される免疫細胞は、ガンマ・デルタ(γδ)T細胞である。
【0076】
一実施形態では、移入される免疫細胞は、CD4T細胞、CD8T細胞、またはナチュラルキラー(NK)T細胞であり、好ましくは移入されるT細胞は、CD8T細胞である。
【0077】
一実施形態では、本明細書中上述の移入される免疫細胞は、抗原に特異的な免疫細胞である。一実施形態では、本明細書中上述の移入される免疫細胞は、抗原に特異的な免疫細胞であり、ここで上記抗原は、がん細胞により特異的かつ/または豊富に発現されている。一実施形態では、本明細書中上述の移入される免疫細胞は、腫瘍に特異的な免疫細胞であり、言い換えると、本明細書中上述の移入される免疫細胞は、がん細胞または腫瘍細胞により特異的かつ/または豊富に発現される抗原を介して上記がん細胞または腫瘍細胞を特異的に認識する。一実施形態では、本明細書中上述の移入される免疫細胞は、腫瘍に特異的なエフェクターT細胞である。一実施形態では、本明細書中上述の移入される免疫細胞は、腫瘍に特異的なCD8エフェクターT細胞、特に腫瘍に特異的な細胞傷害性CD8T細胞である。一実施形態では、本明細書中上述の移入される免疫細胞は、腫瘍に特異的な細胞傷害性細胞である。一実施形態では、本明細書中上述の移入される免疫細胞は、腫瘍に特異的なNK細胞である。
【0078】
腫瘍に特異的な抗原、すなわち、がん細胞により特異的かつ/または豊富に発現される抗原の例として、限定するものではないが、ネオアンチゲン(新規抗原または変異した抗原とも呼ばれる)、9D7、ART4、β-カテニン、BING-4、Bcr-abl、BRCA1/2、カルシウム活性化型塩化物チャネル2、CDK4、CEA(がん胎児抗原)、CML66、サイクリンB1、CypB、EBV(エプスタイン・バーウイルス)関連抗原(たとえばLMP-1、LMP-2、EBNA1、およびBARF1)、EGFRvIII、Ep-CAM、EphA3、フィブロネクチン、Gp100/pmel17、Her2/neu、HPV(ヒトパピローマウイルス)E6、HPV E7、hTERT、IDH1、IDH2、未成熟ラミニン受容体、MC1R、Melan-A/MART-1、MART-2、メソテリン、MUC1、MUC2、MUM-1、MUM-2、MUM-3、NY-ESO-1/LAGE-2、p53、PRAME、前立腺特異抗原(PSA)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、Ras、SAP-1、SART-I、SART-2、SART-3、SSX-2、サバイビン、TAG-72、テロメラーゼ、TGF-βRII、TRP-1/-2、チロシナーゼ、WT1、BAGEファミリーの抗原、CAGEファミリーの抗原、GAGEファミリーの抗原、MAGEファミリーの抗原、SAGEファミリーの抗原、およびXAGEファミリーの抗原が挙げられる。
【0079】
本明細書中使用される場合、ネオアンチゲン(新規抗原または変異した抗原とも呼ばれる)は、腫瘍が獲得した体細胞突然変異または遺伝子の再配置の影響を受けるタンパク質に由来する抗原に対応する。ネオアンチゲンは、各個別の対象に特異的であり得、よって、個別化された免疫療法を開発するための標的を提供し得る。ネオアンチゲンの例として、限定するものではないが、たとえば、CDK4のR24C変異体、CDK4のR24L変異体、コドン12で変異したKRAS、変異したp53、BRAFのV600E変異体、およびIDH1のR132H変異体が挙げられる。
【0080】
一実施形態では、本明細書中上述の移入される免疫細胞は、CTAのクラス(がん/精巣抗原、MAGE型抗原としても知られている)、ネオアンチゲンのクラス、およびウイルス抗原のクラスを含むかまたはからなる群から選択される腫瘍抗原に特異的である。
【0081】
本明細書中使用される場合、CTAのクラスは、腫瘍細胞で発現されるが、雄性の生殖系列細胞を除き正常な組織では発現されない遺伝子によりコードされる抗原に対応する。CTAの例として、限定するものではないが、MAGE-A1、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、NY-ESO-1、PRAME、およびSSX-2が挙げられる。
【0082】
本明細書中使用される場合、ウイルス抗原のクラスは、ウイルスの発癌性タンパク質由来の抗原に対応する。ウイルス抗原の例として、限定するものではないが、HPV(ヒトパピローマウイルス)に関連する抗原、たとえばE6およびE7、ならびにEBV(エプスタイン・バーウイルス)に関連する抗原、たとえばLMP-1、LMP-2、EBNA1、およびBARF1が挙げられる。
【0083】
一実施形態では、本明細書中上述の移入される免疫細胞は、自家性免疫細胞、特に自家性T細胞である。別の実施形態では、本明細書中上述の移入される免疫細胞は、アロジェニック(allogenicまたはallogenous)な免疫細胞、特にアロジェニックNK細胞である。
【0084】
たとえば、自家性T細胞は、対象から単離された抗原に特異的なT細胞の増殖によるか、または遺伝子操作を介した対象のT細胞の再調節により、ex vivoで作製され得る。
【0085】
一実施形態では、注入される免疫細胞は、対象に注入される前に、ex vivoにて、特にRNA干渉(RNAiとしても知られている)を用いて、修飾される。
【0086】
対象からT細胞、特に抗原に特異的なT細胞、たとえば腫瘍に特異的なT細胞を単離するための方法は、当該分野でよく知られている(たとえば、Rosenberg & Restifo, 2015, Science 348, 62-68; Prickett et al., 2016, Cancer Immunol Res 4, 669-678;またはHinrichs & Rosenberg, 2014, Immunol Rev 257, 56-71を参照されたい)。ex vivoでT細胞を増殖させるための方法は、当該分野でよく知られている(たとえば、Rosenberg & Restifo, 2015, Science 348, 62-68;Prickett et al., 2016, Cancer Immunol Res 4, 669-678;またはHinrichs & Rosenberg, 2014, Immunol Rev 257, 56-71を参照されたい)。注入前のコンディショニングレジメンを含む対象におけるT細胞の注入のためのプロトコルは、当該分野でよく知られている(たとえば、Rosenberg & Restifo, 2015, Science 348, 62-68;Prickett et al., 2016, Cancer Immunol Res 4, 669-678;またはHinrichs & Rosenberg, 2014, Immunol Rev 257, 56-71を参照されたい)。
【0087】
一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、CAR免疫細胞療法、特にCAR T細胞療法またはCAR NK細胞療法を含むかまたはからなる。よって、一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、CAR免疫細胞療法、特にCAR T細胞療法、またはCAR NK細胞療法である。
【0088】
本明細書中使用される場合、CAR免疫細胞療法は、移入される細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子操作されている本明細書中上述の免疫細胞、たとえばT細胞またはNK細胞である、養子細胞療法である。がんの処置として、対象へのCAR免疫細胞の養子移入は、がん細胞に対する対象の免疫応答を亢進することを目的とする。
【0089】
CARは、単一の融合分子またはいくつかの分子における1つ以上のシグナリングドメインに関連する標的化部分からなる合成受容体である。一般的に、CARの結合部分は、可動性のリンカーにより結合したモノクローナル抗体の軽鎖可変のフラグメントを含む、単鎖抗体(scFv)の抗原結合ドメインからなる。受容体またはリガンドドメインに基づく結合部分もまた、うまく使用されている。第1世代のCARのシグナリングドメインは、通常、CD3zetaまたはFc受容体γ鎖の細胞質内領域に由来する。第1世代のCARは、T細胞の細胞傷害性をうまく再調節することが示されているが、これらは、in vivoでの長期間の増殖および抗腫瘍活性を提供することができなかった。よって、CD28、OX-40(CD134)、および4-1BB(CD137)を含む同時刺激分子由来のシグナリングドメインが、CARにより修飾されたT細胞の生存を亢進し増殖を増大させるために、単独(第2世代)または組み合わせて(第3世代)、追加されている。
【0090】
よって、一実施形態では、本明細書中上述の移入されるT細胞は、CAR T細胞である。CARの発現により、T細胞は、選択した抗原、たとえばがん細胞の表面で発現した抗原に対して再調節される。一実施形態では、移入されるCAR T細胞は、腫瘍に特異的な抗原を認識する。
【0091】
別の実施形態では、本明細書中上述の移入されるNK細胞は、CAR NK細胞である。CARの発現により、NK細胞は、選択した抗原、たとえばがん細胞の表面で発現した抗原に対して再調節される。一実施形態では、移入されるCAR NK細胞は、腫瘍に特異的な抗原を認識する。
【0092】
腫瘍に特異的な抗原の例は、本明細書中上述されている。
【0093】
一実施形態では、移入されるCAR T細胞またはCAR NK細胞は、EGFR、特にEGFRvIII、メソテリン、PSMA、PSA、CD47、CD70、CD133、CD171、CEA、FAP、GD2、HER2、IL-13Rα、αvβ6インテグリン、ROR1、MUC1、GPC3、EphA2、CD19、CD21、およびCD20を含むかまたはからなる群から選択される腫瘍に特異的な抗原を認識する。
【0094】
一実施形態では、本明細書中上述されるCAR免疫細胞は、自家性CAR免疫細胞、特に自家性CAR T細胞である。別の実施形態では、本明細書中上述されるCAR免疫細胞は、アロジェニックなCAR免疫細胞、特にアロジェニックなCAR NK細胞である。
【0095】
一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤を含むかまたはからなる。よって一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、チェックポイント阻害剤療法である。
【0096】
本明細書中使用される場合、チェックポイント阻害剤療法は、対象への少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の投与として定義される。
【0097】
チェックポイント阻害剤(CPI、免疫チェックポイント阻害剤またはICIとも呼ばれ得る)は、T細胞で発現する抑制性受容体とそれらのリガンドとの間の相互作用を遮断する。がんの処置として、チェックポイント阻害剤療法は、腫瘍細胞により発現されたリガンドによる、T細胞で発現した抑制性受容体の活性化を予防することを目的とする。よって、チェックポイント阻害剤療法は、腫瘍に存在するT細胞、すなわち腫瘍を浸潤するT細胞の阻害を予防すること、よって腫瘍細胞に対する対象の免疫応答を亢進することを目的とする。
【0098】
チェックポイント阻害剤の例として、限定するものではないが、CD279(分化抗原群:cluster differentiation 279)としても知られている細胞表面受容体PD-1(programmed cell death protein 1)の阻害剤;CD274(cluster of differentiation 274)またはB7-H1(B7 homolog 1)としても知られているリガンドPD-L1(programmed death-ligand 1)の阻害剤;CD152(cluster of differentiation 152)としても知られている細胞表面受容体CTLA4またはCTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4)の阻害剤;IDO(インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ)の阻害剤およびTDO(トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ)の阻害剤;CD223(cluster differentiation 223)としても知られているLAG-3(lymphocyte-activation gene 3)の阻害剤;HAVCR2(A型肝炎ウイルス細胞性受容体2)またはCD366(cluster differentiation 366)としても知られているTIM-3(T-cell immunoglobulin and mucin-domain containing-3)の阻害剤;VSIG9(V-Set And Immunoglobulin Domain-Containing Protein 9)またはVSTM3(V-Set And Transmembrane Domain-Containing Protein 3)としても知られているTIGIT(T cell immunoreceptor with Ig and ITIM domains)の阻害剤;CD272(cluster differentiation 272)としても知られているBTLA(B and T lymphocyte attenuator)の阻害剤;CD66a(cluster differentiation 66a)としても知られているCEACAM-1(carcinoembryonic antigen-related cell adhesion molecule 1)の阻害剤が挙げられる。
【0099】
一実施形態では、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤は、PD-1の阻害剤、PD-L1の阻害剤、CTLA-4の阻害剤、およびそれらのいずれかの混合物を含むかまたはからなる群から選択される。
【0100】
一実施形態では、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、tislelizumab、spartalizumab、ABBV-181、JNJ-63723283、BI 754091、MAG012、TSR-042、AGEN2034、アベルマブ(avelumab)、アテゾリズマブ(atezolizumab)、デュルバルマブ(durvalumab)、LY3300054、イピリムマブ、tremelimumab、およびそれらのいずれかの混合物を含むかまたはからなる群から選択される。
【0101】
一実施形態では、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、tislelizumab、spartalizumab、ABBV-181、JNJ-63723283、アベルマブ(avelumab)、アテゾリズマブ(atezolizumab)、デュルバルマブ(durvalumab)、イピリムマブ、tremelimumab、およびそれらのいずれかの混合物を含むかまたはからなる群から選択される。
【0102】
一実施形態では、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤は、抗PD-1とも呼ばれる、PD-1の阻害剤である。
【0103】
PD-1の阻害剤は、PD-1を標的化する抗体、特にモノクローナル抗体、および非抗体阻害剤、たとえば小分子阻害剤を含み得る。
【0104】
PD-1の阻害剤の例として、限定するものではないが、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、tislelizumab、spartalizumab、ABBV-181、JNJ-63723283、BI 754091、MAG012、TSR-042、およびAGEN2034が挙げられる。
【0105】
ペムブロリズマブは、MK-3475、MK03475、lambrolizumab、またはSCH-900475としても知られている。ペムブロリズマブの商標名は、Keytruda(登録商標)である。
【0106】
ニボルマブは、ONO-4538、BMS-936558、MDX1106、またはGTPL7335としても知られている。ニボルマブの商標名は、Opdivo(登録商標)である。
【0107】
セミプリマブは、REGN2810またはREGN-2810としても知られている。
【0108】
Tislelizumabは、BGB-A317としても知られている。
【0109】
Spartalizumabは、PDR001またはPDR-001としても知られている。
【0110】
一実施形態では、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、tislelizumab、spartalizumab、ABBV-181、JNJ-63723283、BI 754091、MAG012、TSR-042、AGEN2034、およびそれらのいずれかの混合物を含むかまたはからなる群から選択される。
【0111】
一実施形態では、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、tislelizumab、spartalizumab、ABBV-181、JNJ-63723283、およびそれらのいずれかの混合物を含むかまたはからなる群から選択される。
【0112】
一実施形態では、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤は、抗PD-L1とも呼ばれる、PD-L1の阻害剤である。
【0113】
PD-L1の阻害剤は、PD-L1を標的とする抗体、特にモノクローナル抗体、および非抗体阻害剤、たとえば小分子阻害剤を含み得る。
【0114】
PD-L1の阻害剤の例として、限定するものではないが、アベルマブ(avelumab)、アテゾリズマブ(atezolizumab)、デュルバルマブ(durvalumab)、およびLY3300054が挙げられる。
【0115】
アベルマブ(avelumab)は、MSB0010718C、MSB-0010718C、MSB0010682、またはMSB-0010682としても知られている。アベルマブ(avelumab)の商標名は、Bavencio(登録商標)である。
【0116】
アテゾリズマブ(atezolizumab)は、MPDL3280A(clone YW243.55.S70)、MPDL-3280A、RG-7446、またはRG7446としても知られている。アテゾリズマブ(atezolizumab)の商標名は、Tecentriq(登録商標)である。
【0117】
デュルバルマブ(durvalumab)は、MEDI4736またはMEDI-4736としても知られている。デュルバルマブ(durvalumab)の商標名は、Imfinzi(登録商標)である。
【0118】
一実施形態では、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤は、アベルマブ(avelumab)、アテゾリズマブ(atezolizumab)、デュルバルマブ(durvalumab)、LY3300054、およびそれらのいずれかの混合物を含むかまたはからなる群から選択される。
【0119】
一実施形態では、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤は、アベルマブ(avelumab)、アテゾリズマブ(atezolizumab)、デュルバルマブ(durvalumab)、およびそれらのいずれかの混合物を含むかまたはからなる群から選択される。
【0120】
一実施形態では、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4とも呼ばれるCTLA-4の阻害剤である。
【0121】
CTLA-4の阻害剤は、CTLA-4を標的とする抗体、特にモノクローナル抗体、および非抗体阻害剤、たとえば小分子阻害剤を含み得る。
【0122】
CTLA-4の阻害剤の例として、限定するものではないが、イピリムマブおよびtremelimumabが挙げられる。
【0123】
イピリムマブは、BMS-734016、MDX-010、またはMDX-101としても知られている。イピリムマブの商標名は、Yervoy(登録商標)である。
【0124】
Tremelimumabは、ticilimumab、CP-675、またはCP-675,206としても知られている。
【0125】
一実施形態では、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤は、イピリムマブ、tremelimumab、およびそれらのいずれかの混合物を含むかまたはからなる群から選択される。
【0126】
一実施形態では、少なくとも1つのチェックポイント阻害剤は、それぞれ抗IDOまたは抗TDOとも呼ばれる、IDOの阻害剤またはTDOの阻害剤である。
【0127】
IDOの阻害剤の例として、限定するものではないが、1-メチル-D-トリプトファン(indoximodとしても知られている)、エパカドスタット(INCB24360としても知られている)、navoximod(IDO-IN-7またはGDC-0919としても知られている)、linrodostat(BMS-986205としても知られている)、PF-06840003(EOS200271としても知られている)、TPST-8844、およびLY3381916が挙げられる。
【0128】
一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、少なくとも1つのT細胞アゴニスト(場合によりチェックポイントアゴニストとも呼ばれる)を含むかまたはからなる。よって一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、T細胞アゴニスト療法である。
【0129】
本明細書中使用される場合、T細胞アゴニスト療法は、対象への少なくとも1つのT細胞アゴニストの投与として定義される。
【0130】
T細胞アゴニストは、T細胞などの免疫細胞で発現する刺激性受容体を活性化することにより作用する。本明細書中使用される場合、用語「刺激性受容体」は、活性化後に刺激性シグナルを誘導し、よって、免疫応答の亢進をもたらす受容体を表す。がんの処置として、T細胞アゴニスト療法は、腫瘍に存在する免疫細胞で発現した刺激性受容体を活性化することを目的とする。特に、T細胞アゴニスト療法は、腫瘍に存在するT細胞、すなわち腫瘍を浸潤するT細胞の活性化を亢進すること、よって、腫瘍細胞に対する対象の免疫応答を亢進することを目的とする。現在、T細胞アゴニスト療法のための多くの見込みのある標的が同定されている。
【0131】
T細胞アゴニストの例として、限定するものではないが、4-1BBまたはTNFRS9(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー9)としても知られているCD137(cluster differentiation 137)のアゴニスト;CD134(cluster differentiation 134)またはTNFRSF4(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー4)としても知られているOX40受容体のアゴニスト;GITR(グルココルチコイド-誘導性TNF受容体ファミリー関連タンパク質)のアゴニスト;ICOS(誘導性共刺激因子)のアゴニスト;CD27-CD70(cluster differentiation 27-cluster differentiation 70)のアゴニスト;およびCD40(cluster differentiation 40)のアゴニストが挙げられる。
【0132】
一実施形態では、少なくとも1つのT細胞アゴニストは、CD137のアゴニスト、OX40のアゴニスト、GITRのアゴニスト、ICOSのアゴニスト、CD27-CD70のアゴニスト、CD40のアゴニスト、およびそれらのいずれかの混合物を含むかまたはからなる群から選択される。
【0133】
CD137のアゴニストの例として、限定するものではないが、utomilumabおよびurelumabが挙げられる。
【0134】
一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、ワクチンを含むかまたはからなる。よって一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、ワクチン投与である。
【0135】
一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、治療用ワクチン(場合により処置ワクチンとも呼ばれる)を含むかまたはからなる。よって一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、治療用ワクチン投与である。
【0136】
本明細書中使用される場合、治療用ワクチンは、少なくとも1つの腫瘍に特異的な抗原(たとえば合成長鎖ペプチドもしくはSLP)もしくは上記腫瘍に特異的な抗原をコードする核酸の投与;腫瘍細胞に選択的に進入しかつ/もしくは複製する組み換えウイルスベクターの投与;腫瘍細胞の投与;および/または腫瘍に特異的な抗原を提示し、これら抗原に対する免疫応答を誘発するように操作された免疫細胞(たとえば樹状細胞)の投与として、定義される。
【0137】
がんの処置として、治療用ワクチンは、腫瘍細胞に対する対象の免疫応答を亢進することを目的とする。
【0138】
腫瘍細胞に対する対象の免疫応答を亢進することを目的とする治療用ワクチンの例として、限定するものではないが、アデノウイルス(たとえば腫瘍溶解性アデノウイルス)、ワクシニアウイルス(たとえば改変ワクシニア・アンカラ(MVA))、アルファウイルス(たとえばセムリキフォレストウイルス(SFV))、麻疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、およびコクサッキーウイルスなどのウイルスベクターベースの治療用ワクチン;合成長鎖ペプチド(SLP)のワクチン;RNAベースのワクチン、および樹状細胞のワクチンが挙げられる。
【0139】
一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、抗体療法を含むかまたはからなる。よって一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、抗体療法である。
【0140】
本明細書中使用される場合、抗体療法は、対象への少なくとも1つの抗体の投与として定義される。
【0141】
がんの処置として、抗体療法は、特に、破壊のためがん細胞を標的とするか、腫瘍に存在するT細胞の活性化を刺激するか、もしくは腫瘍に存在するT細胞の阻害を予防することにより、がん細胞に対する対象の免疫応答を亢進すること、またはがん細胞の増殖もしくは拡散を阻害することを目的とする。
【0142】
本明細書中使用される場合、「抗体療法」は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多鎖抗体、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、抗体フラグメント、抗体ドメイン、抗体のミメティック、または二重特異性抗体などの多重特異性抗体の投与を含み得る。
【0143】
一実施形態では、抗体は、破壊のためがん細胞または腫瘍細胞を標的化するためのものであるか、または破壊のためがん細胞または腫瘍細胞を標的化することを目的とする。
【0144】
破壊のためがん細胞または腫瘍細胞を標的とする抗体、特にモノクローナル抗体の例として、腫瘍に特異的な抗体、特に腫瘍に特異的なモノクローナル抗体が挙げられる。腫瘍に特異的な抗体の例として、限定するものではないが、がん細胞または腫瘍細胞の細胞表面マーカーを標的とする抗体、がん細胞または腫瘍細胞の増殖または拡散に関与するタンパク質を標的とする抗体が挙げられる。
【0145】
一実施形態では、抗体は、腫瘍に存在するT細胞の活性化を刺激するためのものであるか、または刺激することを目的とする。
【0146】
腫瘍に存在するT細胞の活性化を刺激する抗体、特にモノクローナル抗体の例として、限定するものではないが、本明細書中上述される抗CD137抗体および抗OX40抗体が挙げられる。
【0147】
一実施形態では、抗体は、腫瘍に存在するT細胞の阻害を予防するためのものであるか、または予防することを目的とする。
【0148】
腫瘍に存在するT細胞の阻害を予防する抗体、特にモノクローナル抗体の例として、限定するものではないが、本明細書中上述される抗PD-1抗体(たとえばペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、tislelizumab、およびspartalizumab)、抗PD-L1抗体(たとえばアベルマブ(avelumab)、アテゾリズマブ(atezolizumab)、およびデュルバルマブ(durvalumab))、ならびに抗CTLA-4抗体(たとえばイピリムマブおよびtremelimumab)が挙げられる。
【0149】
一実施形態では、抗体は、がん細胞の増殖または拡散を阻害するためのものであるか、または阻害することを目的とする。
【0150】
がん細胞の増殖または拡散を阻害する抗体の例として、限定するものではないが、抗HER2抗体(トラスツズマブなど)が挙げられる。
【0151】
一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、腫瘍溶解性ウイルス療法を含むかまたはからなる。よって、一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、腫瘍溶解性ウイルス療法である。
【0152】
本明細書中使用される場合、腫瘍溶解性ウイルス療法は、対象への少なくとも1つの腫瘍溶解性ウイルスの投与として定義される。
【0153】
腫瘍溶解性ウイルスは、正常な非がん細胞と比較してがん細胞に優先的に感染しこれを殺滅するウイルスとして定義される。がんの処置として、腫瘍溶解性ウイルス療法は、がん細胞を殺滅することおよび/またはがん細胞に対する免疫応答を誘発もしくは亢進することを目的とする。
【0154】
腫瘍溶解性ウイルスの例として、限定するものではないが、改変単純ヘルペスウイルス1型、たとえばタリモジーン・ラハーパレプベック(T-VECとしても知られている)またはHSV-1716;改変アデノウイルス、たとえばAd5-DNX-2401;改変麻疹ウイルス、たとえばMV-NIS;改変ワクシニアウイルス(VV)、たとえばワクシニアウイルスTG6002;および改変ポリオウイルス、たとえばPVS-RIPOが挙げられる。
【0155】
一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、サイトカイン療法を含むかまたはからなる。よって一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共にがんの処置で使用される免疫療法は、サイトカイン療法である。
【0156】
本明細書中使用される場合、サイトカイン療法は、対象への少なくとも1つのサイトカイン、特に組み換え型サイトカインの投与として定義される。
【0157】
がんの処置として、サイトカイン療法は、特に免疫細胞の活性化を刺激することにより、がん細胞に対する対象の免疫応答を亢進することを目的とする。
【0158】
サイトカイン療法として投与され得るサイトカインの例として、限定するものではないが、インターロイキン-2(IL-2)およびインターフェロン-α(IFN-α)が挙げられる。
【0159】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象の感染性疾患の処置における免疫療法で使用するためのグアナベンズに関する。
【0160】
本発明では、感染性疾患のための処置としての免疫療法は、感染性疾患に寄与する感染性作用物質に対する対象の免疫応答を誘導および/または亢進する目的で、対象の免疫応答を調節する治療として定義される。
【0161】
感染性疾患の処置で使用される免疫療法の例として、限定するものではないが、予防用ワクチン、治療用ワクチン、モノクローナル抗体、サイトカイン、T細胞の養子移入、顆粒球の注入、およびチェックポイント阻害剤が挙げられる。
【0162】
一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共に感染性疾患の処置で使用される免疫療法は、予防用ワクチン投与、治療用ワクチン投与、養子T細胞療法、抗体療法、またはそれらのいずれかの混合を含むかまたはからなる。
【0163】
一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共に感染性疾患の処置で使用される免疫療法は、予防用ワクチンまたは治療用ワクチンを含むワクチンを含むかまたはからなる。よって一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズと共に感染性疾患の処置で使用される免疫療法は、ワクチン投与、特に予防用ワクチン投与または治療用ワクチン投与である。
【0164】
本発明は、本明細書中上述の免疫療法のため、特に本明細書中上述のがん免疫療法または本明細書中上述のワクチン投与のためのアジュバントとして使用するためのグアナベンズに関する。
【0165】
よって、本発明では、本明細書中上述のグアナベンズは、免疫療法、特にがん免疫療法またはワクチン投与のためのアジュバントとして使用される。言い換えると、本発明では、本明細書中上述のグアナベンズは、免疫療法、特にがん免疫療法またはワクチン投与を増強する。
【0166】
一実施形態では、アジュバントの存在下での免疫療法、特にがん免疫療法またはワクチン投与の増強は、単独で行われる免疫療法、特にがん免疫療法またはワクチン投与と比較することにより定義される。
【0167】
一実施形態では、上記がん免疫療法のアジュバント、すなわちグアナベンズによる増強は、上記がん免疫療法の対象レシピエントで観察される以下のうちの少なくとも1つとして定義される:
リンパ球(たとえば細胞傷害性CD8T細胞もしくはNK細胞)、特に腫瘍に浸潤したエフェクターリンパ球の数の増加;
リンパ球(たとえば細胞傷害性CD8T細胞もしくはNK細胞)、特に腫瘍に浸潤したエフェクターリンパ球の活性化の増大;
リンパ球(たとえば細胞傷害性CD8T細胞もしくはNK細胞)、特に腫瘍に浸潤したエフェクターリンパ球の適応度の増大(ここでの適応度は、上記リンパ球によるTCRにより誘発されるシグナリング、増殖、および/もしくはサイトカイン産生、および/もしくは上記リンパ球の生存として評価される);
リンパ球(たとえば細胞傷害性CD8T細胞もしくはNK細胞)、特に腫瘍に浸潤したエフェクターリンパ球の生存もしくは残留性の増大;
免疫抑制細胞、たとえば抑制性骨髄細胞(たとえばMDSCおよび/もしくは腫瘍関連マクロファージ)、および/もしくは抑制性リンパ球(たとえばT制御性リンパ球)、特に腫瘍に浸潤した免疫抑制細胞の数の減少;
免疫抑制細胞、たとえば抑制性骨髄細胞(たとえばMDSCおよび/もしくは腫瘍関連マクロファージ)、および/もしくは抑制性リンパ球(たとえばT制御性リンパ球)、特に腫瘍に浸潤した免疫抑制細胞の活性化の減少;
免疫抑制細胞、たとえば抑制性骨髄細胞(たとえばMDSCおよび/もしくは腫瘍関連マクロファージ)、および/もしくは抑制性リンパ球(たとえばT制御性リンパ球)、特に腫瘍に浸潤した免疫抑制細胞の適応度の減少(ここでの適応度は、上記免疫抑制細胞による活性化、増殖、および/もしくはサイトカイン産生、および/もしくは上記免疫抑制細胞の生存として評価される);
免疫抑制細胞、たとえば抑制性骨髄細胞(たとえばMDSCおよび/もしくは腫瘍関連マクロファージ)、および/もしくは抑制性リンパ球(たとえばT制御性リンパ球)、特に腫瘍に浸潤した免疫抑制細胞の生存の減少;
腫瘍増殖の減少および/もしくは腫瘍の大きさの減少;ならびに/または
生存の増大。
【0168】
上述のパラメータは、当業者によく知られている。さらに、T細胞またはNK細胞などのリンパ球の数、活性化、適応度、および/または生存を決定するための方法は、この分野で一般に使用されている。このような方法として、たとえば、対象から得られたサンプル、特に腫瘍サンプルで行われるFACS分析が挙げられる(たとえばZhu et al., 2017, Nat Commun 8, 1404を参照)。
【0169】
一実施形態では、上記ワクチン投与のアジュバント、すなわちグアナベンズによる増強は、上記ワクチン投与の対象のレシピエントで観察される以下の少なくとも1つとして定義される:
エフェクターリンパ球、たとえば細胞傷害性CD8T細胞、特に特異的なエフェクターリンパ球の数の増加;
エフェクターリンパ球、たとえば細胞傷害性CD8T細胞、特に特異的なエフェクターリンパ球の活性化の増大;
抗原に特異的な抗体の量の増加。
【0170】
上述のパラメータは、当業者によく知られている。さらに、リンパ球の数、活性化、生存を決定するための方法は、この分野で一般に使用されている。このような方法として、たとえば、対象から得られた血液または腫瘍のサンプルなどのサンプルで行われるFACS分析が挙げられる。
【0171】
本発明では、グアナベンズは、免疫療法、特にがん免疫療法またはワクチン投与と同時、別々、または連続して投与すべきであり、ここでグアナベンズは、アジュバントとして使用される。
【0172】
また本発明は、本明細書中上述される後続の免疫療法、特に本明細書中上述されるがん免疫療法のためのコンディショニングレジメンとして使用するためのグアナベンズに関する(言い換えると、コンディショニングレジメンとして使用するためのグアナベンズは、後続の免疫療法、特にがん免疫療法のため対象を前処置するためのものである)。
【0173】
よって、一実施形態では、グアナベンズは、免疫療法、特に養子細胞療法、チェックポイント阻害剤療法、またはワクチン投与の前に、投与される。一実施形態では、グアナベンズは、免疫療法、特に養子細胞療法、チェックポイント阻害剤療法、またはワクチン投与の前およびこれと同時に投与される。一実施形態では、グアナベンズは、免疫療法、特に養子細胞療法、チェックポイント阻害剤療法、またはワクチン投与の前、およびそれ以降連続して投与される。
【0174】
本発明の別の目的は、それを必要とする対象において免疫応答、特に細胞性免疫応答を調節するための方法であって、本明細書中上述のグアナベンズを対象に投与するステップを含む、方法である。
【0175】
一実施形態では、上記免疫応答、特に細胞性免疫応答を調節するための方法は、グアナベンズの治療上有効量を対象に投与するステップを含む。
【0176】
本発明の別の目的は、それを必要とする対象において免疫応答、特に細胞性免疫応答を刺激または亢進するための方法であって、本明細書中上述のグアナベンズを対象に投与するステップを含む、方法である。
【0177】
一実施形態では、上記免疫応答、特に細胞性免疫応答を刺激または亢進するための方法は、グアナベンズの治療上有効量を対象に投与するステップを含む。
【0178】
一実施形態では、免疫応答、特に細胞性免疫応答は、T細胞応答またはNK細胞応答である。一実施形態では、T細胞応答は、アルファ・ベータ(αβ)T細胞応答またはガンマ・デルタ(γδ)T細胞応答である。一実施形態では、T細胞応答は、細胞傷害性T細胞応答である。
【0179】
本発明の別の目的は、免疫療法、特に養子細胞療法のため対象を前処置するための方法であって、本明細書中上述のグアナベンズを、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法である。
【0180】
一実施形態では、本発明の方法は、免疫療法、特に養子細胞療法のため対象を前処置するための方法であり、上記免疫療法は、がんまたは感染性疾患の処置で使用される。
【0181】
一実施形態では、上記免疫療法、特に養子細胞療法のため対象を前処置するための方法は、本明細書中上述のグアナベンズを、それを必要とする対象に投与するステップを含み、グアナベンズの治療上有効量が、本明細書中上述される免疫療法を対象へ行う前、行うと同時、および/または行った後連続的に、対象へ投与される。
【0182】
本発明の別の目的は、それを必要とする対象において免疫療法を増強するための方法であって、本明細書中上述のグアナベンズを対象に投与するステップを含む、方法である。
【0183】
一実施形態では、本発明の方法は、がんまたは感染性疾患の処置における免疫療法を増強するためのものである。
【0184】
一実施形態では、上記それを必要とする対象において免疫療法を増強するための方法は、本明細書中上述のグアナベンズを対象に投与するステップを含み、グアナベンズの治療上有効量が、本明細書中上述される免疫療法を対象へ行う前、行うと同時、および/または行った後連続的に、対象へ投与される。
【0185】
本発明の別の目的は、それを必要とする対象のがんまたは感染性疾患を処置するための方法であり、本明細書中上述される免疫療法およびグアナベンズを対象に投与するステップを含み、グアナベンズは、コンディショニングレジメンとして使用され、これにより、免疫療法のため対象を前処置し、および/または免疫療法のためのアジュバントとして使用され、これにより、免疫療法を増強する。
【0186】
一実施形態では、上記それを必要とする対象のがんまたは感染性疾患を処置するための方法は、本明細書中上述される免疫療法およびグアナベンズを対象に投与するステップを含み、グアナベンズの治療上有効量が、本明細書中上述される免疫療法を対象へ行う前、行うと同時、および/または行った後連続的に、対象へ投与される。
【0187】
本発明の別の目的は、それを必要とする対象のがんを処置するための方法であり、本明細書中上述される免疫療法およびグアナベンズを対象に投与するステップを含み、グアナベンズは、コンディショニングレジメンとして使用され、これにより、免疫療法のため対象を前処置し、および/または免疫療法のためのアジュバントとして使用され、これにより、免疫療法を増強する。
【0188】
一実施形態では、上記それを必要とする対象のがんを処置するための方法は、本明細書中上述される免疫療法およびグアナベンズを対象に投与するステップを含み、グアナベンズの治療上有効量が、本明細書中上述される免疫療法を対象へ行う前、行うと同時、および/または行った後連続的に、対象へ投与される。
【0189】
本発明の別の目的は、それを必要とする対象の感染性疾患を処置するための方法であって、本明細書中上述される免疫療法、特にワクチン投与、およびグアナベンズを対象に投与するステップを含み、上記グアナベンズは、コンディショニングレジメンとして使用され、これにより、免疫療法のため対象を前処置し、および/または免疫療法のためのアジュバントとして使用され、これにより、免疫療法を増強する。
【0190】
一実施形態では、上記それを必要とする対象の感染性疾患を処置するための方法は、本明細書中上述される免疫療法、特にワクチン投与、およびグアナベンズを対象に投与するステップを含み、グアナベンズの治療上有効量が、本明細書中上述される免疫療法、特にワクチン投与を対象へ行う前、行うと同時、および/または行った後連続的に、対象へ投与される。
【0191】
本発明の別の目的は、それを必要とする対象の免疫応答を調節するための医薬の製造のための、本明細書中上述のグアナベンズの使用である。
【0192】
本発明の別の目的は、それを必要とする対象において免疫応答、特に細胞性免疫応答を刺激または亢進するための医薬の製造のための、本明細書中上述のグアナベンズの使用である。
【0193】
一実施形態では、免疫応答、特に細胞性免疫応答は、T細胞応答またはNK細胞応答である。一実施形態では、T細胞応答は、アルファ・ベータ(αβ)T細胞応答またはガンマ・デルタ(γδ)T細胞応答である。一実施形態では、T細胞応答は、細胞傷害性T細胞応答である。
【0194】
本発明の別の目的は、後続の免疫療法のため対象を前処置するための医薬の製造のための、本明細書中上述のグアナベンズの使用である。一実施形態では、上記免疫療法は、本明細書中上述されるがん免疫療法またはワクチン投与である。
【0195】
本発明の別の目的は、それを必要とする対象における免疫療法を増強するための医薬の製造のための、本明細書中上述のグアナベンズの使用である。一実施形態では、上記免疫療法は、本明細書中上述されるがん免疫療法またはワクチン投与である。
【0196】
本発明の別の目的は、それを必要とする対象のがんまたは感染性疾患の処置のための医薬の製造のための、本明細書中上述のグアナベンズの使用であって、上記医薬が、対象へその後行われる免疫療法のためのコンディショニングレジメンとして使用される、使用である。
【0197】
本発明の別の目的は、それを必要とする対象のがんまたは感染性疾患の処置のための医薬の製造のための、本明細書中上述のグアナベンズの使用であって、上記医薬が、対象へその後行われる免疫療法のためのアジュバントとして使用される、使用である。
【0198】
本発明の別の目的は、本明細書中上述される免疫療法と組み合わせた、それを必要とする対象のがんまたは感染性疾患の処置のための医薬の製造のための、本明細書中上述のグアナベンズの使用である。
【0199】
本発明の別の目的は、本明細書中上述される免疫療法と組み合わせた、それを必要とする対象のがんの処置のための医薬の製造のための、本明細書中上述のグアナベンズの使用である。
【0200】
本発明の別の目的は、本明細書中上述される免疫療法、特にワクチン投与と組み合わせた、それを必要とする対象の感染性疾患の処置のための医薬の製造のための、本明細書中上述のグアナベンズの使用である。
【0201】
本発明の別の目的は、それを必要とする対象のがんまたは感染性疾患の処置で使用するための、本明細書中上述のグアナベンズと少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物であって、免疫療法のためのアジュバントまたはコンディショニングレジメンとして使用される、医薬組成物である。
【0202】
一実施形態では、本発明に係るがんまたは感染性疾患の処置で使用するための医薬組成物は、本明細書中上述のグアナベンズと、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と、たとえばチェックポイント阻害剤などの本明細書中上述される免疫療法とを含む。
【0203】
本発明の別の目的は、それを必要とする対象のがんまたは感染性疾患の処置で使用するためのキットオブパーツであって、本明細書中上述のグアナベンズおよび少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を含む第1のパーツと、たとえばチェックポイント阻害剤などの本明細書中上述される免疫療法を含む第2のパーツとを含む、キットオブパーツである。
【0204】
本発明の医薬組成物で使用され得る薬学的に許容される賦形剤として、限定するものではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、バッファー物質、たとえばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分的なグリセリド混合物、水、塩、または電解質、たとえば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、トリケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質(たとえばナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリエチレングリコール、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂が挙げられる。
【0205】
本発明の別の目的は、それを必要とする対象のがんまたは感染性疾患の処置に使用するための、本明細書中上述のグアナベンズ、または本明細書中上述される医薬組成物、または本明細書中上述されるキットオブパーツを含む医薬であって、免疫療法のためのアジュバントまたはコンディショニングレジメンとして使用される、医薬である。
【0206】
本明細書中上述されるように、本明細書中上述のグアナベンズは、本明細書中上述される免疫療法と同時、別々、または連続して投与され、アジュバントまたはコンディショニングレジメンとして使用される。
【0207】
一実施形態では、本発明のグアナベンズ、医薬組成物、本発明の医薬、または本発明のキットオブパーツは、対象への投与のために製剤化される。本発明のグアナベンズ、医薬組成物、医薬、またはキットオブパーツは、経口投与、非経口投与、局所投与、吸入スプレーによる投与、直腸投与、経鼻投与、バッカル投与、膣投与により投与されてもよく、または埋め込みリザーバーを介して投与されてもよい。
【0208】
一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズは、経口投与に適した形態である。よって一実施形態では、グアナベンズは、たとえば散剤、錠剤、カプセル剤などとして、または徐放用に製剤化された錠剤として、対象に経口投与される。
【0209】
一実施形態では、本発明の医薬組成物、医薬、またはキットオブパーツは、経口投与に適した形態である。言い換えると、本発明の医薬組成物、医薬、またはキットオブパーツは、経口投与に適した形態で、グアナベンズと、任意選択で、本明細書中上述される免疫療法とを含む。
【0210】
経口投与に適した形態の例として、限定するものではないが、液体、ペースト、または固体の組成物、より具体的には錠剤、徐放用に製剤化された錠剤、カプセル剤、丸剤、糖衣錠、液剤、ゲル、シロップ剤、スラリー、および懸濁剤が挙げられる。
【0211】
別の実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズは、注射に適した形態である。よって一つには、グアナベンズは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸膜内、皮下、経皮注射または注入により、対象に注射される。
【0212】
一実施形態では、本発明の医薬組成物、医薬、またはキットオブパーツは、注射、たとえば、静脈内、皮下、筋肉内、真皮内、経皮注射または注入などに適した形態である。言い換えると、本発明の医薬組成物、医薬、またはキットオブパーツは、注射、たとえば静脈内、筋肉内、腹腔内、胸膜内、皮下、経皮注射または注入などに適した形態で、グアナベンズと、任意選択で本明細書中上述される免疫療法とを含む。
【0213】
本発明のグアナベンズ、医薬組成物、または医薬の無菌性の注射可能な形態は、液剤、または水系もしくは油性の懸濁剤であり得る。これら懸濁剤は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当該分野で知られている技術により製剤化され得る。無菌性の注射可能な調製物はまた、非毒性の薬学的に許容される希釈剤または溶媒における無菌性の注射可能な液剤または懸濁剤であり得る。特に使用され得る適切なビヒクルおよび溶媒は、水、リンゲル液、および等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌性の固定油が、従来より溶媒または懸濁媒体として使用されている。この目的のため、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意のブランドの固定油が使用され得る。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、注射可能な物質(injectable)の調製に有用であり、また、オリーブ油またはヒマシ油などの天然の薬学的に許容される油も、特にポリオキシエチル化バージョンで、同様に有用である。これら油の溶液または懸濁物はまた、長鎖アルコールの希釈剤または分散剤、たとえばカルボキシメチルセルロース、またはエマルジョンおよび懸濁物を含む薬学的に許容される剤形の製剤で一般的に使用される同様の分散剤を含み得る。他のTweens、Spanなどの一般に使用される界面活性剤、および薬学的に許容される固体、液体、または他の剤形の製造で一般に使用される他の乳化剤またはバイオアベイラビリティエンハーサーもまた、製剤化のために使用され得る。
【0214】
別の実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズは、非経口投与に適した形態である。よって一実施形態では、グアナベンズは、非経口投与される。
【0215】
一実施形態では、本発明の医薬組成物、医薬、またはキットオブパーツは、非経口投与に適した形態である。言い換えると、本発明の医薬組成物、医薬、またはキットオブパーツは、非経口投与に適した形態で、グアナベンズと、任意選択で本明細書中上述される免疫療法とを含む。
【0216】
別の実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズは、局所投与に適した形態である。よって一実施形態では、グアナベンズは、局所投与される。
【0217】
一実施形態では、本発明の医薬組成物、医薬、またはキットオブパーツは、局所投与に適した形態である。言い換えると、本発明の医薬組成物、医薬、またはキットオブパーツは、局所投与に適した形態で、本明細書中上述のグアナベンズと、任意選択で本明細書中上述される免疫療法とを含む。
【0218】
局所投与に適した形態の例として、限定するものではないが、液体、ペースト、または固体の組成物、より具体的には、水溶液、滴下剤、分散液、スプレー、マイクロカプセル、マイクロ粒子もしくはナノ粒子、重合体パッチ、または徐放パッチなどが挙げられる。
【0219】
別の実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズは、直腸投与に適した形態である。よって一実施形態では、グアナベンズは、直腸投与される。
【0220】
一実施形態では、本発明の医薬組成物、医薬、またはキットオブパーツは、直腸投与に適した形態である。言い換えると、本発明の医薬組成物、医薬、またはキットオブパーツは、直腸投与に適した形態で、本明細書中上述のグアナベンズと、任意選択で本明細書中上述される免疫療法とを含む。
【0221】
直腸投与に適した形態の例として、限定するものではないが、座薬、マイクロ浣腸、浣腸、ゲル、直腸フォーム、クリーム、軟膏などが挙げられる。
【0222】
一実施形態では、本発明のキットオブパーツは、経口投与に適した形態の本明細書中上述のグアナベンズと、注射、たとえば静脈内、筋肉内、腹腔内、胸膜内、皮下、経皮注射または注入などに適した形態の本明細書中上述される免疫療法とを含む。よって一実施形態では、本発明のキットオブパーツは、対象に経口投与される本明細書中上述のグアナベンズと、注射、たとえば静脈内、筋肉内、腹腔内、胸膜内、皮下、経皮注射または注入などにより対象へ投与される本明細書中上述される免疫療法とを含む。
【0223】
別の実施形態では、本発明のキットオブパーツは、注射、たとえば静脈内、筋肉内、腹腔内、胸膜内、皮下、経皮注射または注入などに適した形態の本明細書中上述のグアナベンズと、経口投与に適した形態の本明細書中上述される免疫療法とを含む。よって一実施形態では、本発明のキットオブパーツは、注射、たとえば静脈内、筋肉内、腹腔内、胸膜内、皮下、経皮注射または注入などにより対象へ投与される本明細書中上述のグアナベンズと、対象に経口投与される本明細書中上述される免疫療法とを含む。
【0224】
一実施形態では、グアナベンズは、本明細書中上述される免疫療法の前および/または免疫療法と同時に投与される。一実施形態では、グアナベンズは、本明細書中上述される免疫療法の1週間~1時間前、好ましくは本明細書中上述される免疫療法の1日前に、投与される。
【0225】
一実施形態では、免疫療法は、養子細胞療法であり、グアナベンズは、本明細書中上述される免疫細胞が移入される日より前または同日に投与される。別の実施形態では、免疫療法は、チェックポイント阻害剤療法であり、グアナベンズは、本明細書中上述されるチェックポイント阻害剤が投与される日より前または同日に投与される。別の実施形態では、免疫療法は、ワクチン投与であり、グアナベンズは、本明細書中上述されるワクチン投与が行われる日より前または同日に投与される。
【0226】
一実施形態では、グアナベンズは、本明細書中上述される免疫療法より前に、1回、2回、3回、またはそれ以上投与される。
【0227】
一実施形態では、グアナベンズは、本明細書中上述される免疫療法より前および/または免疫療法と同時、かつそれ以降連続して投与される。
【0228】
一実施形態では、グアナベンズは、本明細書中上述される免疫療法より前または免疫療法と同時、かつその後、それ以降少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日間、投与される。別の実施形態では、グアナベンズは、本明細書中上述される免疫療法より前または免疫療法と同時、かつその後、それ以降少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10週間、投与される。別の実施形態では、グアナベンズは、本明細書中上述される免疫療法より前または免疫療法と同時、かつその後、それ以降少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10カ月間、投与される。
【0229】
一実施形態では、免疫療法は、養子細胞療法であり、グアナベンズは、上記養子細胞療法より前および/または上記養子細胞療法と同時、かつそれ以降連続して、投与される。一実施形態では、免疫療法は、養子細胞療法であり、グアナベンズは、上記養子細胞療法より前および/または上記養子細胞療法と同時、かつその後、それ以降少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10週間、投与される。
【0230】
一実施形態では、免疫療法は、チェックポイント阻害剤療法であり、グアナベンズは、上記チェックポイント阻害剤療法より前および/または上記チェックポイント阻害剤療法と同時に投与される。一実施形態では、免疫療法は、チェックポイント阻害剤療法であり、グアナベンズは、上記チェックポイント阻害剤療法より前および/または上記チェックポイント阻害剤療法と同時に、かつそれ以降連続して投与される。一実施形態では、免疫療法は、チェックポイント阻害剤療法であり、グアナベンズは、上記チェックポイント阻害剤療法より前または上記チェックポイント阻害剤療法と同時に、かつその後、それ以降少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10週間、投与される。
【0231】
一実施形態では、免疫療法は、ワクチン投与であり、グアナベンズは、上記ワクチン投与より前および/または上記ワクチン投与と同時に投与される。一実施形態では、免疫療法は、ワクチン投与であり、グアナベンズは、上記ワクチン投与より前および/または上記ワクチン投与と同時に、かつそれ以降連続して、投与される。一実施形態では、免疫療法は、ワクチン投与であり、グアナベンズは、上記ワクチン投与より前および/または上記ワクチン投与と同時に、かつその後、それ以降少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10週間、投与される。
【0232】
一実施形態では、本明細書中上述のグアナベンズの治療上有効量は、それを必要とする対象のがんまたは感染性疾患の処置において使用するために投与され、ここでグアナベンズは、免疫療法のためのアジュバントまたはコンディショニングレジメンとして使用される。よって一実施形態では、本発明の医薬組成物、医薬、またはキットオブパーツは、本明細書中上述のグアナベンズの治療上有効量と、任意選択で本明細書中上述される免疫療法の治療上有効量とを含む。
【0233】
グアナベンズの一日総使用量は、正しい医学的な判断の範囲内で担当医により決定されることを理解されたい。いずれかの特定の対象に特有の用量は、処置されるがんまたは感染性疾患;患者の年齢、体重、全般的な健康状態、性別、および食事;ならびに医学の分野でよく知られている同様の要因などの様々な要因に応じて変化する。
【0234】
一実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、体重1kgあたり約0.01mg(mg/kg)~約30mg/kg、好ましくは約0.01mg/kg~約15mg/kg、より好ましくは約0.01mg/kg~約7mg/kgの範囲の用量である。別の実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、約0.01mg/kg~約4.5mg/kg、好ましくは約0.01mg/kg~約2mg/kg、より好ましくは約0.01mg/kg~約1mg/kgの範囲の用量である。
【0235】
一実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、体重1kgあたり1日あたり約0.01mg(mg/kg/日)~約30mg/kg/日、好ましくは約0.01mg/kg/日~約15mg/kg/日、より好ましくは約0.01mg/kg/日~約7mg/kg/日の範囲の用量である。別の実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、約0.01mg/kg/日~約4.5mg/kg/日、好ましくは約0.01mg/kg/日~約2mg/kg/日、より好ましくは約0.01mg/kg/日~約1mg/kg/日の範囲の用量である。
【0236】
一実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、約1mg~約2000mg、好ましくは約1mg~約1000mg、より好ましくは約1mg~約500mgの範囲の用量である。一実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、約1mg~約320mg、好ましくは約1mg~約150mgの範囲の1日用量である。別の実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、約1~約100mg、好ましくは約1mg~約70mgの範囲の用量である。
【0237】
一実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、約1mg~約2000mg、好ましくは約1mg~約1000mg、より好ましくは約1mg~約500mgの範囲の1日用量である。一実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、約1mg~約320mg、好ましくは約1mg~約150mgの範囲の1日用量である。別の実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、約1~約100mg、好ましくは約1mg~約70mgの範囲の1日用量である。
【0238】
一実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、少なくとも約0.01、0.02、0.07、0.15、0.30、0.42、0.55、0.70、または0.85mg/kgの用量である。一実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、少なくとも約0.01、0.02、0.07、0.15、0.30、0.42、0.55、0.70、または0.85mg/kg/日の用量である。
【0239】
一実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、少なくとも約1、2、5、10、20、30、40、50、または60mgの用量である。一実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、少なくとも約1、2、5、10、20、30、40、50、または60mgの1日用量である。
【0240】
一実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、約0.057、0.115、0.23、0.46、または0.92mg/kgの用量である。一実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、約0.057、0.115、0.23、0.46、または0.92mg/kg/日の用量である。
【0241】
一実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、約4、8、16、32、または64mgの用量である。一実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、約4、8、16、32、または64mgの1日用量である。
【0242】
一実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、1、2、3、またはそれ以上のテイクで投与される1日用量である。一実施形態では、対象は、哺乳類、好ましくはヒトであり、グアナベンズの用量、好ましくは、治療上有効量は、1または2回のテイクで投与される1日用量である。
【0243】
一実施形態では、本発明により処置されるがんは、急性リンパ性白血病、急性骨髄芽球性白血病 副腎癌、胆管がん、膀胱がん、乳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、胃がん、消化管間質腫瘍、神経膠芽腫、頭頸部がん、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫、腎臓がん、肺がん、メラノーマ、メルケル細胞皮膚がん、中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患、非ホジキンリンパ腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、唾液腺がん、肉腫、扁平上皮癌、睾丸がん、甲状腺がん、尿路上皮癌、およびブドウ膜黒色腫を含むかまたはからなる群から選択される。
【0244】
一実施形態では、本発明により処置されるがんは、婦人科のがんまたは腫瘍ではない。一実施形態では、本発明により処置されるがんは、卵巣がんまたは卵巣腫瘍ではない。
【0245】
一実施形態では、本発明により処置されるがんは、急性リンパ性白血病、急性骨髄芽球性白血病 副腎癌、胆管がん、膀胱がん、乳がん、結腸直腸がん、食道がん、胃がん、消化管間質腫瘍、神経膠芽腫、頭頸部がん、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫、腎臓がん、肺がん、メラノーマ、メルケル細胞皮膚がん、中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患、非ホジキンリンパ腫、膵がん、前立腺がん、唾液腺がん、肉腫、扁平上皮癌、睾丸がん、甲状腺がん、尿路上皮癌、およびブドウ膜黒色腫を含むかまたはからなる群から選択される。
【0246】
一実施形態では、本発明により処置されるがんは、本明細書中上述されるがん免疫療法に耐性のあるがんである。
【0247】
免疫療法に耐性のあるがんの例として、限定するものではないが、結腸直腸がん、膵がん、および前立腺がんが挙げられる。
【0248】
一実施形態では、本発明により処置されるがんを罹患した対象は、本明細書中上述されるがん免疫療法に耐性がある。
【0249】
一実施形態では、本発明により処置されるがんは、固形がんまたは固形腫瘍である。
【0250】
本明細書中使用される場合、用語「固形がん」は、塊を形成することなく組織に拡散して浸潤するがん(または悪性腫瘍)とは対照的に、個別の腫瘍塊を形成する全てのがん(悪性腫瘍とも呼ばれる)を包有する。
【0251】
固形がんの例として、限定するものではないが、副腎皮質癌、肛門がん、基底細胞癌、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳がん、たとえば神経膠芽腫または中枢神経系(CNS)腫瘍、乳がん(たとえばトリプルネガティブ乳がん、および炎症性乳がん)、子宮頸がん、子宮がん、子宮内膜がん、結腸癌などの結腸直腸がん(CRC)、食道がん、網膜芽細胞腫などの眼がん、胆嚢がん、胃がん(胃がん(stomach cancer)とも呼ばれる)、胃腸癌、消化管間質腫瘍(GIST)、頭頸部がん(たとえば喉頭がん、中咽頭がん、上咽頭癌、または咽頭がん)、肝細胞癌(HCC)などの肝臓がん、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、肥満細胞症、骨髄線維症、肺がん(たとえば肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、および小細胞肺がん)、胸膜中皮腫、ブドウ膜黒色腫などのメラノーマ、神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor)、神経芽細胞腫、卵巣がん、原発性腹膜がん、膵がん、副甲状腺がん、陰茎がん、下垂体腺腫、前立腺がん、たとえば去勢転移性前立腺がん、直腸がん、腎臓がん、たとえば腎細胞癌(RCC)、メラノーマ以外の皮膚がん、たとえばメルケル細胞皮膚がん、小腸がん、軟部肉腫などの肉腫、扁平上皮癌、睾丸がん、甲状腺がん、ならびに尿道がんが挙げられる。
【0252】
一実施形態では、本発明により処置されるがんは、メラノーマ、乳癌、結腸癌、腎癌、副腎皮質癌、精巣奇形腫、皮膚肉腫、線維肉腫、肺癌、腺癌、肝癌、神経膠芽腫、前立腺癌、および膵癌を含むかまたはからなる群から選択される固形がんまたは固形腫瘍である。
【0253】
一実施形態では、本発明により処置されるがんは、メラノーマ、乳癌、結腸癌、腎癌、副腎皮質癌、精巣奇形腫、皮膚肉腫、線維肉腫、肺癌、腺癌、肝癌、神経膠芽腫、前立腺癌、および膵癌を含むかまたはからなる群から選択される固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述の養子細胞移入療法、本明細書中上述のチェックポイント阻害剤療法、または本明細書中上述のワクチン投与、特に治療用ワクチン投与である。
【0254】
一実施形態では、本発明により処置されるがんは、メラノーマ、乳癌、結腸癌、腎癌、副腎皮質癌、精巣奇形腫、皮膚肉腫、線維肉腫、肺癌、腺癌、肝癌、神経膠芽腫、前立腺癌、および膵癌を含むかまたはからなる群から選択される固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述の養子細胞移入療法、または本明細書中上述のワクチン投与、特に治療用ワクチン投与である。
【0255】
一実施形態では、本発明により処置されるがんは、メラノーマ、乳癌、結腸癌、腎癌、副腎皮質癌、精巣奇形腫、皮膚肉腫、線維肉腫、肺癌、腺癌、肝癌、神経膠芽腫、前立腺癌、および膵癌を含むかまたはからなる群から選択される固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述のチェックポイント阻害剤療法、または本明細書中上述のワクチン投与、特に治療用ワクチン投与である。
【0256】
一実施形態では、本発明により処置されるがんは、メラノーマ、乳癌、結腸癌、腎癌、副腎皮質癌、精巣奇形腫、皮膚肉腫、線維肉腫、肺癌、腺癌、肝癌、神経膠芽腫、前立腺癌、および膵癌を含むかまたはからなる群から選択される固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述の養子細胞移入療法または本明細書中上述のチェックポイント阻害剤療法である。
【0257】
一実施形態では、本発明により処置されるがんは、メラノーマ、乳癌、結腸癌、腎癌、副腎皮質癌、精巣奇形腫、皮膚肉腫、線維肉腫、肺癌、腺癌、肝癌、神経膠芽腫、前立腺癌、および膵癌を含むかまたはからなる群から選択される固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述の養子細胞移入療法である。
【0258】
一実施形態では、本発明により処置されるがんは、メラノーマ、乳癌、結腸癌、腎癌、副腎皮質癌、精巣奇形腫、皮膚肉腫、線維肉腫、肺癌、腺癌、肝癌、神経膠芽腫、前立腺癌、および膵癌を含むかまたはからなる群から選択される固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述のチェックポイント阻害剤療法である。
【0259】
一実施形態では、本発明により処置されるがんは、メラノーマ、乳癌、結腸癌、腎癌、副腎皮質癌、精巣奇形腫、皮膚肉腫、線維肉腫、肺癌、腺癌、肝癌、神経膠芽腫、前立腺癌、および膵癌を含むかまたはからなる群から選択される固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述のワクチン投与、特に治療用ワクチン投与である。
【0260】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、転移性の固形がん、すなわち原発性腫瘍に加えて少なくとも1つの転移性腫瘍が観察される固形がんである。
【0261】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、良好な免疫原性を有する固形がんまたは固形腫瘍、すなわち免疫療法に応答しやすい固形がんまたは固形腫瘍である。
【0262】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマ、乳癌、結腸癌、腎癌、副腎皮質癌、皮膚肉腫、肺癌、および肝癌を含むかまたはからなる群から選択される良好な免疫原性を有する固形がんまたは固形腫瘍である。
【0263】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマ、乳癌、結腸癌、腎癌、副腎皮質癌、皮膚肉腫、肺癌、および肝癌を含むかまたはからなる群から選択される良好な免疫原性を有する固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述の養子細胞移入療法、本明細書中上述のチェックポイント阻害剤療法、または本明細書中上述のワクチン投与、特に治療用ワクチン投与である。
【0264】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマ、乳癌、結腸癌、腎癌、副腎皮質癌、皮膚肉腫、肺癌、および肝癌を含むかまたはからなる群から選択される良好な免疫原性を有する固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述の養子細胞移入療法、または本明細書中上述のワクチン投与、特に治療用ワクチン投与である。
【0265】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマ、乳癌、結腸癌、腎癌、副腎皮質癌、皮膚肉腫、肺癌、および肝癌を含むかまたはからなる群から選択される良好な免疫原性を有する固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述のチェックポイント阻害剤療法、または本明細書中上述のワクチン投与、特に治療用ワクチン投与である。
【0266】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマ、乳癌、結腸癌、腎癌、副腎皮質癌、皮膚肉腫、肺癌、および肝癌を含むかまたはからなる群から選択される良好な免疫原性を有する固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述の養子細胞移入療法または本明細書中上述のチェックポイント阻害剤療法である。
【0267】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマ、乳癌、結腸癌、腎癌、副腎皮質癌、皮膚肉腫、肺癌、および肝癌を含むかまたはからなる群から選択される良好な免疫原性を有する固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述の養子細胞移入療法である。
【0268】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマ、乳癌、結腸癌、腎癌、副腎皮質癌、皮膚肉腫、肺癌、および肝癌を含むかまたはからなる群から選択される良好な免疫原性を有する固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述のチェックポイント阻害剤療法である。
【0269】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマ、乳癌、結腸癌、腎癌、副腎皮質癌、皮膚肉腫、肺癌、および肝癌を含むかまたはからなる群から選択される良好な免疫原性を有する固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述のワクチン投与、特に治療用ワクチン投与である。
【0270】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、低い免疫原性を有する固形がんまたは固形腫瘍、すなわち免疫療法に耐性となりやすい固形がんまたは固形腫瘍である。
【0271】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、前立腺癌、皮膚肉腫、線維肉腫、神経膠芽腫、膵癌、および精巣奇形腫を含むかまたはからなる群から選択される低い免疫原性を有する固形がんまたは固形腫瘍である。
【0272】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、前立腺癌、皮膚肉腫、線維肉腫、神経膠芽腫、膵癌、および精巣奇形腫を含むかまたはからなる群から選択される低い免疫原性を有する固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述の養子細胞移入療法、本明細書中上述のチェックポイント阻害剤療法、または本明細書中上述のワクチン投与、特に治療用ワクチン投与である。
【0273】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、前立腺癌、皮膚肉腫、線維肉腫、神経膠芽腫、膵癌、および精巣奇形腫を含むかまたはからなる群から選択される低い免疫原性を有する固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述の養子細胞移入療法、または本明細書中上述のワクチン投与、特に治療用ワクチン投与である。
【0274】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、前立腺癌、皮膚肉腫、線維肉腫、神経膠芽腫、膵癌、および精巣奇形腫を含むかまたはからなる群から選択される低い免疫原性を有する固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述のチェックポイント阻害剤療法、または本明細書中上述のワクチン投与、特に治療用ワクチン投与である。
【0275】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、前立腺癌、皮膚肉腫、線維肉腫、神経膠芽腫、膵癌、および精巣奇形腫を含むかまたはからなる群から選択される低い免疫原性を有する固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述の養子細胞移入療法または本明細書中上述のチェックポイント阻害剤療法である。
【0276】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、前立腺癌、皮膚肉腫、線維肉腫、神経膠芽腫、膵癌、および精巣奇形腫を含むかまたはからなる群から選択される低い免疫原性を有する固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述の養子細胞移入療法である。
【0277】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、前立腺癌、皮膚肉腫、線維肉腫、神経膠芽腫、膵癌、および精巣奇形腫を含むかまたはからなる群から選択される低い免疫原性を有する固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述のチェックポイント阻害剤療法である。
【0278】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、前立腺癌、皮膚肉腫、線維肉腫、神経膠芽腫、膵癌、および精巣奇形腫を含むかまたはからなる群から選択される低い免疫原性を有する固形がんまたは固形腫瘍であり;免疫療法は、本明細書中上述のワクチン投与、特に治療用ワクチン投与である。
【0279】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマ、たとえばブドウ膜黒色腫、膵がん、肺がん、たとえば肺癌または非小細胞肺がん、胸膜中皮腫、卵巣がん、原発性腹膜がん、前立腺がん、たとえば去勢転移性前立腺がん、胃腸癌、乳がん、肝臓がん、たとえば肝細胞癌、肉腫、および中枢神経系(CNS)腫瘍を含むかまたはからなる群から選択される。一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマ、たとえばブドウ膜黒色腫、膵がん、肺がん、たとえば肺癌または非小細胞肺がん、胸膜中皮腫、原発性腹膜がん、前立腺がん、たとえば去勢転移性前立腺がん、胃腸癌、乳がん、肝臓がん、たとえば肝細胞癌、肉腫、および中枢神経系(CNS)腫瘍を含むかまたはからなる群から選択される。
【0280】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマ、メルケル細胞皮膚がん、ホジキンリンパ腫、肺がん、頭頸部がん、膀胱がん、および腎臓がんを含むかまたはからなる群から選択される。
【0281】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、子宮頸がん、膵がん、前立腺がん、乳がん、胃がん、および神経膠芽腫を含むかまたはからなる群から選択される。一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、膵がん、前立腺がん、乳がん、胃がん、および神経膠芽腫を含むかまたはからなる群から選択される。
【0282】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマ、結腸直腸がん、たとえば結腸癌、肺がん、頭頸部がん、および膀胱がんを含むかまたはからなる群から選択される。
【0283】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマである。
【0284】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマであり;免疫療法は、本明細書中上述の養子細胞移入療法、本明細書中上述のチェックポイント阻害剤療法、または本明細書中上述のワクチン投与、特に治療用ワクチン投与である。
【0285】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマであり;免疫療法は、本明細書中上述の養子細胞移入療法、または本明細書中上述のワクチン投与、特に治療用ワクチン投与である。
【0286】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマであり;免疫療法は、本明細書中上述のチェックポイント阻害剤療法、または本明細書中上述のワクチン投与、特に治療用ワクチン投与である。
【0287】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマであり;免疫療法は、本明細書中上述の養子細胞移入療法または本明細書中上述のチェックポイント阻害剤療法である。
【0288】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマであり;免疫療法は、本明細書中上述の養子細胞移入療法である。
【0289】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマであり;免疫療法は、本明細書中上述のチェックポイント阻害剤療法である。
【0290】
一実施形態では、本発明により処置される固形がんは、メラノーマであり;免疫療法は、本明細書中上述のワクチン投与、特に治療用ワクチン投与である。
【0291】
本明細書中上記に定義されるように、「感染性疾患」は、本明細書中使用される場合、ウイルス、細菌、真菌、または寄生原虫などの感染性作用物質により引き起こされる全ての疾患を包有する。
【0292】
一実施形態では、上記感染性疾患は、ウイルスにより引き起こされる。言い換えると、一実施形態では、上記感染性疾患は、ウイルス感染症である。
【0293】
一実施形態では、本発明により処置される感染性疾患は、ウイルスにより引き起こされ、免疫療法は、ワクチン投与、たとえば予防用ワクチンまたは治療用ワクチン投与である。
【0294】
ウイルス感染症の原因であり得るウイルスの例として、限定するものではないが、アレナウイルス科、アストロウイルス科、ビルナウイルス科、ブロモウイルス科、ブニヤウイルス科、カリシウイルス科、クロステロウイルス科、コモウイルス科、シストウイルス科、フラビウイルス科、フレキシウイルス科、ヘパドナウイルス科、ヘペウイルス科、ヘルペスウイルス科、レビウイルス科、ルテオウイルス科、モノネガウイルス目、モザイクウイルス、ニドウイルス目、ノダウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、パピローマウイルス科、ピコビルナウイルス、ピコルナウイルス科、ポティウイルス科、レオウイルス科、レトロウイルス科、セキウイルス科、テヌイウイルス、トガウイルス科、トンブスウイルス科、トティウイルス科、およびティモウイルス科のウイルスが挙げられる。
【0295】
一実施形態では、本発明により処置される感染性疾患は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)により引き起こされる。
【0296】
一実施形態では、本発明により処置される感染性疾患は、エボラウイルス、たとえばザイールエボラウイルスにより引き起こされる。
【0297】
一実施形態では、上記感染性疾患は、細菌により引き起こされる。言い換えると、一実施形態では、上記感染性疾患は、細菌感染症である。
【0298】
一実施形態では、本発明により処置される感染性疾患は、細菌により引き起こされ、免疫療法は、ワクチン投与、たとえば予防用または治療用ワクチン投与である。
【0299】
細菌感染症の原因となり得る細菌の例として、限定するものではないが、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)およびラクトバチルス(Lactobacillus)を含むバチルス属;ブルセラ属;ボルデテラ・パーツシス(B. pertussis)およびボルデテラ・ブロンキセプティカ(B. bronchiseptica)を含むボルデテラ属;カンピロバクター属(Camplyobacter);オウム病クラミジア(C. psittaci)およびトラコーマ・クラミジア(C. trachornatis)を含むクラミジア属;コリネバクテリウム・ジフテリエ(C. diphtheriae)を含むコリネバクテリウム属;エンテロバクター・アエロゲネス(E. aerogenes)を含むエンテロバクター属;エンテロコッカス属;大腸菌を含むエシェリキア属;F. meningosepticumおよびF. odoraturnを含むフラボバクテリウム属;ガードネレラ・バジナリス(G. vaginalis)を含むガードネレラ属;クレブシエラ属;レジオネラ・ニューモフィラ(L. pneumophila)を含むレジオネラ属;リステリア属;結核菌(M. tuberculosis)、マイコバクテリウム・イントラセルラーレ(M. intracellulare)、マイコバクテリウム・フォルイターン(M. folluiturn)、らい菌(マイコバクテリウム・レプラエ:M. laprae)、M. avium、ウシ型結核菌(M. bovis)、アフリカ型結核菌(M. africanum)、M. kansasii、およびM. lepraernuriumを含むマイコバクテリウム属;ナイセリア・ゴノレー(N. gonorrhoeae)および髄膜炎菌(N. meningitides)を含むナイセリア属;ノカルジア属;プロテウス・ミラビリス(P. mirabilis)およびプロテウス・ブルガリス(P. vulgaris)を含むプロテウス属;緑膿菌(P. aeruginosa)を含むシュードモナス属;リケッチア・リケッチイ(R. rickettsii)を含むリケッチア属;霊菌(S. marcescens)およびセラチア・リクファシエンス(S. liquefaciens)を含むセラチア属;スタフィロコッカス属;S. somaliensisを含むストレプトマイセス属;ストレプトコッカス・ピオゲネス(S. pyogenes)を含むストレプトコッカス属;ならびにトレポネーマ属の細菌が挙げられる。
【0300】
一実施形態では、本発明により処置される感染性疾患は、結核である。
【0301】
一実施形態では、上記感染性疾患は、真菌により引き起こされる。言い換えると、一実施形態では、上記感染性疾患は、真菌感染症である。
【0302】
一実施形態では、本発明により処置される感染性疾患は、真菌により引き起こされ、免疫療法は、ワクチン投与、たとえば予防用または治療用ワクチン投与である。
【0303】
真菌感染症の原因となり得る真菌の例として、限定するものではないが、アスペルギルス属、カンジダ属、クリプトコッカス属、エピデルモフィトン属、ミクロスポルム属、およびトリコフィトン属の真菌が挙げられる。
【0304】
一実施形態では、上記感染性疾患は、寄生原虫により引き起こされる。言い換えると、一実施形態では、上記感染性疾患は、原虫感染症である。
【0305】
一実施形態では、本発明により処置される感染性疾患は、寄生原虫により引き起こされ、免疫療法は、ワクチン投与、たとえば予防用または治療用ワクチン投与である。
【0306】
原虫感染症の原因となり得る寄生原虫の例として、限定するものではないが、コクシジウム、リーシュマニア、マラリア原虫、トキソプラズマ、およびトリパノソーマが挙げられる。
【0307】
一実施形態では、本発明により処置される感染性疾患は、マラリアである。
【図面の簡単な説明】
【0308】
図1図1は、T細胞の機能に及ぼすグアナベンズの作用を示す。マウスのTCRP1A CD8T細胞を、グアナベンズと共に16時間インキュベートし、標的細胞としてのL1210-P1A-B7.1細胞と共培養した。図1Aは、共培養の間にCD107aのFACS検出により評価したCD8T細胞の脱顆粒を示すヒストグラムである。マウスのTCRP1A CD8T細胞を、グアナベンズと共に24時間インキュベートし、標的細胞としてのL1210-P1A-B7.1細胞と共培養した。共培養から16時間後に、上清を回収した。図1Bは、回収した上清においてELISAにより測定した分泌されたIFNγを示すヒストグラムである。ヒトの抗WT1 CD8T細胞クローン由来の細胞を、グアナベンズと共に16時間インキュベートし、WT1ペプチドで瞬間適用した標的細胞と共培養した。図1Cは、CD107aのFACS検出により測定されたヒトCD8T細胞の脱顆粒を示すヒストグラムである。図1Dは、ELISAにより定量化された一晩の共培養物の上清におけるIFNγの分泌を示すヒストグラムである(D)。
図2図2は、T429.11を移植された腫瘍を有するマウスにおけるグアナベンズの作用を示す。腫瘍の大きさが約1000mmである日(1日目)から屠殺の日(6日目)まで、T429.11を移植された腫瘍を有するマウスに、グアナベンズ(5mg/kg, i.p.)またはビヒクル(PBS, i.p.)を毎日注射した。図2Aは、1日目~屠殺の日(6日目)までの、T429.11を移植された腫瘍を有するマウスにおける腫瘍増殖を示すグラフである。図2Bは、屠殺の日(6日目)にFACSにより評価したT429.11を移植された腫瘍を有するマウスにおけるCD8T細胞の腫瘍浸潤を示すヒストグラムである。
図3図3は、腫瘍の大きさが約400mmである日(0日目)から屠殺の日(12日目)まで、グアナベンズ(5mg/kg, i.p.)またはビヒクル(PBS, i.p.)を毎日注射したTiRP+/+マウスにおける腫瘍増殖を示すグラフである。
図4図4は、TiRP腫瘍を誘導するために4-OH-タモキシフェンを注射した免疫不全のRag1-/-TiRP+/+マウスにおける腫瘍の大きさを示すグラフである。腫瘍が500mmに達した際に(0日目)、腫瘍を有するマウスを無作為化し、屠殺の日(15日目)まで、グアナベンズ(5mg/kg, i.p.)またはビヒクル(PBS, i.p.)の注射を毎日行った。
図5図5は、P1Aに特異的なCD8T細胞の養子移入を行ったTiRPマウスにおけるグアナベンズの作用を示す。図5Aは、1000万個のP1Aに特異的な活性化したCD8T細胞の養子細胞移入(ACT)を行い、ならびに腫瘍の大きさが約500mmである際のACTの日(0日目)から屠殺の日(18日目)まで、グアナベンズ(5mg/kg, i.p.)またはビヒクル(PBS, i.p.)を毎日注射したTiRPマウスにおける腫瘍増殖を示すグラフである。図5Bは、屠殺の日(18日目)に測定したTiRPマウスにおける腫瘍の重量を示すヒストグラムである。P1Aに特異的なCD8細胞の腫瘍浸潤は、FACSによりACTの10日後に評価した。図5Cは、腫瘍の微小環境における生細胞の合計のうちのP1A四量体CD8T細胞のパーセンテージとして表されるP1Aに特異的なCD8細胞の腫瘍浸潤を示すヒストグラムである。図5Dは、CD8T細胞の合計のうちのP1A四量体細胞のパーセンテージとして表されるP1Aに特異的なCD8細胞の腫瘍浸潤を示すヒストグラムである。図5Eは、ACTから10日後に評価した腫瘍を浸潤するP1Aに特異的なCD8TILのアポトーシスのFACS分析を示すヒストグラムである。図5Fは、ACTから10日後に評価した腫瘍を浸潤するP1Aに特異的なCD8T細胞におけるT細胞活性化マーカーCD69のFACS分析を示すヒストグラムである。
図6図6は、グアナベンズ(5mg/kg, i.p.)またはビヒクル(PBS, i.p.)を投与したマウスにおけるFACSによるナイーブなTCRP1A CD8T細胞のACTから4日後に評価したP1Aに特異的なCD8T細胞の腫瘍浸潤を示すヒストグラムである。
図7図7は、放射線照射したL1210-P1A-B7.1細胞からなるワクチンを使用したマウス免疫処置モデルにおけるグアナベンズの作用を示す。DBA/2マウスに、10個の放射線照射したL1210-P1A-B7.1細胞からなるワクチンを、単独(免疫処置)でかまたは100μg(5mg/kg)のグアナベンズと共に(免疫処置+グアナベンズ)、投与した。免疫処置を受けなかったマウスは、陰性対照(対照)として含めた。免疫処置から1週間後に、脾臓を回収し、脾細胞を単離した。次に、脾細胞を、1:1の比率でL1210-P1A-B7.1細胞を用いてin vitroで4日間刺激し、P1Aに特異的なCD8T細胞を増殖させた。図7Aは、刺激から4日後に、PEコンジュゲートしたP1A四量体およびAPCコンジュゲートした抗CD8抗体での染色を介して評価したCD8T細胞の総数のうちのP1A抗原に特異的なCD8T細胞のパーセンテージを示すヒストグラムである。in vitroでの4日間の刺激の後に、脾細胞を、L1210-P1A-B7.1細胞を用いて1:1の比率でさらに一晩再刺激させた。図7Bは、ELISAにより測定した、脾細胞により分泌されるIFNγの量を示すヒストグラムである。
図8図8は、マウスにおけるOVA免疫処置のモデルにおけるグアナベンズの作用を示す。C57BL/6Jマウスを、Alhydrogelアジュバント(2%)(Sigma)に吸収させた200μgのOVAタンパク質の腹腔内注射により1回免疫処置した。免疫処置の2時間前および免疫処置後に毎日、マウスに100μgのグアナベンズを投与した(グアナベンズ)。免疫処置を受けなかったマウスは、陰性対照として含めた(対照)。免疫処置から1週間後に、免疫処置したマウスの血液および脾臓を回収し、血液および脾臓由来の細胞を、10μMのOVAペプチドの存在下で培養した。図8Aは、免疫処置したマウスの血液由来の細胞培養物におけるCD8Tの総数のうちのIFNγを産生するCD8T細胞のパーセンテージを評価することにより評価した免疫応答を示すヒストグラムである。図8Bは、免疫処置したマウスの脾臓由来の細胞培養物におけるCD8Tの総数のうちのIFNγを産生するCD8T細胞のパーセンテージを評価することにより評価した免疫応答を示すヒストグラムである。
図9図9は、グアナベンズ単独を投与するか、抗PD-1単独を投与するか、またはグアナベンズおよび抗PD-1の両方を投与した、B16F10を移植したメラノーマを有するマウスにおける腫瘍増殖を示すグラフである。よって、マウスには、腫瘍の播種から7日後かつ屠殺まで、グアナベンズ(2.5mg/kg, i.p.)またはビヒクル(PBS, i.p.)の注射を毎日行った。次に、マウスに、グアナベンズまたはビヒクルの投与から1日後から開始して、3日間隔で、抗PD-1抗体(BioXcell, clone RMP1-14,200μg/マウス)またはアイソタイプ対照の注射(i.p.)を4回行った。腫瘍の大きさは、毎日モニタリングした。
図10図10は、NK細胞の機能に及ぼすグアナベンズの作用を示すヒストグラムである。マウスのNK細胞は、抗CD49b磁性ビーズを使用してTiRP 10Bマウスの脾細胞から単離した。単離の後、NK細胞をRMA-S細胞を使用して活性化させた。活性化から4日後に、NK細胞を回収し、20μMのグアナベンズで16時間処置した。次に、処置したNK細胞を、標的細胞としてのRMA-S細胞と共培養した。NK細胞の脱顆粒を、共培養の間CD107aのFACS検出により評価した。
図11図11は、T細胞の機能に及ぼすアルプレノロールの作用および養子細胞移入と組み合わせたアルプレノロールの作用を評価する。図11Aは、T細胞の機能に及ぼすアルプレノロールの作用を示すヒストグラムである。マウスのTCRP1A CD8+T細胞を、16時間、表記されるようにアルプレノロール5μMまたは20μMと共にインキュベートした。次に、処置したT細胞を、標的細胞としてのL1210-P1A-B7.1細胞と共に共培養した。CD8+T細胞の脱顆粒を、共培養の間CD107aのFACS検出により評価した。図11Bおよび11Cは、P1Aに特異的なCD8+T細胞の養子移入を行ったTiRPマウスにおけるアルプレノロールの作用を示す。図11Bは、1000万個のP1Aに特異的な活性化したCD8+T細胞の養子細胞移入(ACT)を行い、腫瘍の大きさが約500mmである際のACTの日(0日目)から屠殺の日(10日目)までアルプレノロール(5mg/kg, i.p.)またはビヒクル(PBS, i.p.)を毎日注射したTiRPマウスにおける腫瘍増殖を示すグラフである。図11Cは、FACSによりACTから7日後に評価したP1Aに特異的なCD8+細胞の腫瘍浸潤を示すヒストグラムである。P1Aに特異的なCD8+細胞の腫瘍浸潤は、腫瘍微小環境におけるCD45+細胞の総数のうちのP1A四量体+CD8+T細胞のパーセンテージとして表される。「ns」は、有意性がないことを意味する。
図12図12は、T細胞の機能に及ぼすスニチニブの作用および養子細胞移入と組み合わせたスニチニブの作用を評価する。図12Aは、T細胞の機能に及ぼすスニチニブの作用を示すヒストグラムである。マウスのTCRP1A CD8+T細胞を、16時間、表記されるように、20μMのグアナベンズまたは異なる濃度のスニチニブとインキュベートした。次に、処置したT細胞を、標的細胞としてのL1210-P1A-B7.1細胞と共培養した。CD8+T細胞の脱顆粒を、共培養の間、CD107aのFACS検出により評価した。図12Bおよび12Cは、P1Aに特異的なCD8+T細胞の養子移入を行ったTiRPマウスにおけるスニチニブの作用を示す。図12Bは、1000万個のP1Aに特異的な活性化したCD8+T細胞の養子細胞移入(ACT)を行い、腫瘍の大きさが約500mmである際のACTの日(0日目)から屠殺の日(10日目)まで、経口強制投与によりスニチニブ(20mg/kg)またはビヒクル(PBS)の毎日の投与を行ったTiRPマウスにおける腫瘍増殖を示すグラフである。図12Cは、P1Aに特異的なCD8+T細胞の養子移入を行ったTiRPマウスにおけるスニチニブの作用を示すヒストグラムである。スニチニブグループのマウスには、20mg/kgの用量のスニチニブを経口強制投与により毎日投与した。P1Aに特異的なCD8+細胞の腫瘍浸潤は、腫瘍微小環境における生細胞の合計のうちのP1A四量体+CD8+T細胞のパーセンテージとして表される。「ns」は、有意性がないことを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0309】
実施例
本発明を、以下の実施例によりさらに例示する。
【0310】
実施例1:
材料および方法
材料
マウス
TiRPマウス:TiRPマウスは、チロシナーゼプロモーターにより制御されるトランスジェニックなコンストラクトを担持するマウスとInk4a/Arfflox/floxマウスを交雑し、H-Ras12V、およびMAGE型腫瘍抗原P1AをコードするTrap1aの発現を駆動することにより、作製される;プロモーターは、flox自己欠失CreER(floxed self-deleting CreER)で作製されたストップカセットによりコドン領域から分離される(Huijbers et al., 2006, Cancer Res 66, 3278-3286)。これらマウスを、B10.D2バックグラウンドに戻し交配し、ホモ接合性となるように育てた。H-2Ld/P1A35-43に特異的なTCR導入遺伝子に対しヘテロ接合性のTCRP1Aマウスを、B10.D2;Rag1-/-バックグラウンドで保持した(Shanker et al., 2004, J Immunol 172, 5069-5077)。この試験で使用した全てのマウスは、Ludwig Institute for Cancer Researchの動物施設にて、特定病原体不在(SPF)条件下で産生された。動物の福祉に関する全ての規則は、2010/63/EUの指令に従い遵守されている。全ての手法は、現地の動物倫理委員会の承認と共に、2015/UCL/MD/15を参照して行われた。
【0311】
TiRP由来のT429.11を移植されたメラノーマモデル:T429.11クローンは、T429と呼ばれる誘導性のAmela TiRP腫瘍に由来するものであった。これは、T429誘導性メラノーマ原発腫瘍株からクローニングされた。200万個のT429.11腫瘍細胞を、腫瘍を確立させるため、レシピエントマウスに皮下注射した(Zhu et al, Nat Commun. 2017, 10;8(1):1404)。
【0312】
細胞
マウスのTCRP1A CD8T細胞:P1Aに特異的な(TCRP1A)CD8T細胞を、抗マウスCD8α(Ly-2)MicroBeads(Miltenyi Biotec)を使用して、TCRP1Aマウスの脾臓およびリンパ節から単離した。
【0313】
ヒトの抗WT1 CD8T細胞:HLA A2により提示されるWT1 126-134ペプチドに対する組み換え型TCRをコードするcDNAコンストラクトを、ヘモクロマトーシス患者由来のPBMC(末梢血単核球)に導入し、次に、TCRCD8T細胞を選別し、WT1126-134HLA2四量体を使用してクローニングした。次に、T細胞を、IL2(100U/mL)の存在下で、WT1126-134ペプチドで瞬間適用し放射線照射したT2細胞および放射線照射したアロジェニックなEBVB細胞を使用して培養した。
【0314】
方法
in vitroでのT細胞の機能
CD107細胞傷害性アッセイ(脱顆粒アッセイ):TCRP1A CD8T細胞を、異なる濃度のグアナベンズと共に96Uプレートでウェルあたり50,000個の細胞でプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした後、翌日アッセイに使用した。アッセイの日に、培養上清を細胞から除去し、細胞を、完全培地で1回洗浄して薬物を除去した。標的細胞L1210-P1A-B7.1を、1:1の比率でウェルに添加した。T細胞のみまたは標的細胞のみのいずれかを含む対照ウェルもまた、各プレートに含めた。標的細胞の添加と同時に、CD107a-APCを各ウェルに添加した。次に、プレートを、37℃で90分間インキュベートした。インキュベーション期間の終了時に、細胞を回収し、PBSで1回洗浄した。これらを、抗マウスCD8-Bv421抗体で15分間染色した。次に、細胞を洗浄し、PBSに再懸濁させ、FACS Fortessaフローサイトメーターを使用して分析した。ヒトCD8T細胞の脱顆粒を、同様の方法で評価した。CD8T細胞の脱顆粒を誘導するために、合成のWT1126-134ペプチドと共に充填したT2細胞(10個のT2細胞を、100μmol/Lの合成ペプチドを含む200μLのOptimem培地において37℃で1時間インキュベートした)を、標的細胞として使用した。
【0315】
IFNγ分泌アッセイ:CD8T細胞を、IL2を補充した完全培地において異なる濃度のグアナベンズと共に、96Uプレートにおいてウェルあたり50,000個の細胞でプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした後、翌日アッセイで使用した。アッセイの日に、培養上清を細胞から除去し、細胞を、完全培地で1回洗浄して、薬物を完全に除去した。WT1126-134ペプチドと共に充填した標的細胞L1210-P1A-B7.1細胞またはT2細胞を、1:1の比率でウェルに添加した。T細胞のみまたはエフェクター細胞のみのいずれかを含む対照のウェルも、各プレートに含めた。次に、プレートを、37℃で一晩インキュベートした。インキュベーション期間の終了時に、上清を回収し、IFNγの量を、製造社(R&D)の説明にしたがい、ELISAにより測定した。
【0316】
4OH-タモキシフェンでの腫瘍の誘導
新しい4OH-タモキシフェン溶液を、100%のエタノールおよびミネラルオイル(比率1:9)に4OH-タモキシフェン(Imaginechem)を溶解し、30分間超音波処理を行うことにより調製し、性別の一致した7週齢のTiRPマウスの首領域に皮下注射した(マウスあたり2mg/200μL)。腫瘍の外観を毎日モニタリングし、腫瘍を、1週間に3回測定した。腫瘍体積(mm)を、以下の式:体積=幅×長さ/2により計算した。示されるように、平均体積が400mm、500mmまたは1000mmである際の腫瘍の大きさに基づき、腫瘍を有するTiRPマウスを無作為化した。
【0317】
グアナベンズの投与
T細胞を、示されるように16時間~24時間グアナベンズ(10、20、または40μM)と共にインキュベートした。無作為化の日(適用できる場合はACTの日)から屠殺の日まで、マウスに、グアナベンズ(5mg/kg)またはビヒクル(PBS)の腹腔内注射を毎日行った。
【0318】
TCRP1A CD8T細胞での養子細胞移入
養子細胞移入(ACT)のため、P1Aに特異的な(TCRP1A)CD8T細胞を、本明細書中上述されるTCRP1Aマウスの脾臓およびリンパ節から単離し、L-アルギニン(0.55mM, Merck)、L-アスパラギン(0.24mM, Merck)、グルタミン(1.5mM, Merck)、βメルカプトエタノール(50μM, Sigma)、50UmL-1のペニシリン、および50mg mL-1のストレプトマイシン(Life Technologies)を補充した10%のウシ胎仔血清を含むIMDM(GIBCO)において、1:2の比率(48ウェルプレートにおいてウェルあたり0.5×10個のCD8T細胞および10個のL1210-P1A-B7.1細胞)での放射線照射した(10.000rads)L1210-P1A-B7.1細胞(Gajewski et al., 1995, J Immunol 154, 5637-5648)との共培養により、in vitroで刺激した。4日後に、TCRP1A CD8T細胞を、Lymphoprep勾配(StemCell)で精製し、無作為化の日に、TiRP腫瘍を有するマウスにおいて、10個の生細胞を含む200μLのPBSを静脈内注射した。
【0319】
結果
T細胞の機能に及ぼすグアナベンズのin vitroでの作用
P1A抗原を発現するL1210-P1A細胞と共培養したマウスのP1Aに特異的な(TCRP1A)CD8T細胞を、グアナベンズと共に16時間インキュベートした。抗原認識後のT細胞の機能を、脱顆粒およびインターフェロンγ(IFNγ)の分泌を検出することにより評価した。図1A~Bに示されるように、グアナベンズを伴うマウスT細胞のインキュベーションは、T細胞の脱顆粒(図1A)およびIFNγの分泌(図1B)の両方を増大させた。同様の結果が、WT1ペプチドで瞬間適用し、グアナベンズとインキュベートした標的細胞と共培養したヒトの抗WT1 CD8T細胞で得られた(図1C~D)。よって、図1に示される結果は、グアナベンズが、in vitroにおいてT細胞の機能を増大できることを示している。
【0320】
TiRP由来のT429.11を移植されたメラノーマモデルにおけるin vivoでの作用
T429.11を移植されたメラノーマモデルは、以前に、抗PD-1療法および抗CTLA4療法に応答しないことが示されていた(Zhu et al., Nature communications. Nov 10 2017;8(1):1404)。腫瘍の大きさが約1000mmである日(1日目)から屠殺の日(6日目)まで、T429.11を移植された腫瘍を有するマウスに、グアナベンズ(5mg/kg, i.p.)またはビヒクル(PBS, i.p.)を毎日注射した。図2Aに示されるように、グアナベンズは、グアナベンズの投与が後期(1000mmの大きさの腫瘍)で開始されたにも関わらず、抗PD-1療法および抗CTLA4療法の非存在下で、腫瘍増殖を阻害した。図2Bに示されるように、腫瘍増殖の減少は、CD8T細胞の腫瘍浸潤の増大を伴うものであった。
【0321】
TiRPメラノーマモデルにおけるin vivoでの作用
TiRPは、遺伝子操作されたマウスのメラノーマモデルであり、その依るところは、メラニン形成細胞におけるH-RasG12Vの発現およびInk4A/Arfの欠失であり、これらは、タモキシフェンにより駆動されCreが介在し、P1Aと呼ばれるMAGE型の特異的な腫瘍抗原の発現を伴う。TiRPモデルは、局所的に侵襲性であり、かつ養子細胞移入(ACT)などの免疫療法に非感受性な腫瘍を特徴とする。特に、TiRPモデルは、P1A抗原に特異的な活性化したCD8T細胞(TCRP1A CD8T細胞)のACTに応答しない。この応答の欠損は、移入されたTCRP1A CD8T細胞が、アポトーシスを経て、数日以内に腫瘍から消失するという事実により説明される。TiRP腫瘍の免疫耐性に寄与する主な要因の1つは、Fas/Fasリガンド軸を介した、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、たとえば腫瘍浸潤TCRP1A CD8T細胞のアポトーシスを誘導できる多形核骨髄系由来サプレッサー細胞(PMN-MDSC)の腫瘍での集積である(Zhu et al., Nature communications. Nov 10 2017;8(1):1404)。
【0322】
TiRP腫瘍を有するマウスに、腫瘍の大きさが約400mmである日から屠殺の日まで、グアナベンズの注射を毎日行った。図3に示されるように、グアナベンズは、恐らくは内因性の抗腫瘍免疫応答をブーストすることにより、TiRP腫瘍増殖に及ぼす阻害性作用を示した。
【0323】
対照として、腫瘍を、Rag1遺伝子の欠損によりT細胞を欠いた免疫不全TiRPマウス(Rag 1-/-TiRP+/+マウス)に誘導した。腫瘍が約500mmに達した際に、TiRP腫瘍を有するマウスに、屠殺の日までグアナベンズを毎日注射した。著しく、グアナベンズは、対照と比較して、もはや有効ではなく、TiRP腫瘍増殖の減少を誘導しなかった(図4)。よって、この結果により、腫瘍増殖に及ぼすグアナベンズの阻害性作用が、免疫を介在することが確認された。
【0324】
またTiRP腫瘍を有するマウスに、グアナベンズを投与し、および1000万個のP1Aに特異的な活性化したCD8T細胞の養子細胞移入(ACT)を行った。よって、グアナベンズの毎日の注射を、腫瘍の大きさが約500mmである際のACTの日から屠殺の日まで、行った。図5に示されるように、グアナベンズは、養子細胞移入(ACT)に対して免疫耐性自発性メラノーマ腫瘍(TiRP)を強力に感作した。腫瘍増殖(図5A)および屠殺の日の腫瘍の重量(図5B)は、ACT単独と比較してACTとグアナベンズとを使用した場合に有意に減少した。グアナベンズの投与の後、CD8T細胞の腫瘍浸潤は増大し(図5C~D)、養子移入したCD8T細胞のアポトーシスは減少した(図5E)。さらに、腫瘍浸潤したCD8T細胞はまた、CD69P1Aに特異的なCD8T細胞のパーセンテージの増大で示されるように、グアナベンズを投与されたマウスでより活性であった(図5F)。これら結果は、グアナベンズが養子細胞移入の治療効果を向上させることを示している。
【0325】
前述の実験において、TiRP腫瘍を有するマウスに移入する前に、P1Aに特異的なCD8Tを、本明細書中上述するように放射線照射したL1210-P1A-B7.1細胞との共培養によりin vitroであらかじめ活性化させた。実際に、以前の試験は、ナイーブなTCRP1A CD8T細胞を、TiRP腫瘍を有するマウスに移入する際に、上記ナイーブなCD8T細胞は、適切にプライミングされなかったことを示した(Soudja et al., Cancer research. May 1 2010;70(9):3515-3525)。TiRP腫瘍を有するマウスに、200万個のナイーブなP1Aに特異的なCD8T細胞の養子細胞移入(ACT)を行い、ACTの日からグアナベンズを毎日注射した。図6に示されるように、グアナベンズを投与したTiRPマウスでは、ACTから4日後に、P1Aに特異的なCD8T細胞の腫瘍浸潤は、対照と比較して有意に増大した。よって、マウスにグアナベンズを投与する場合、移入されたナイーブなCD8T細胞は、適切にプライミングされ、腫瘍で増殖した。これらデータは、グアナベンズが、免疫阻害性ブレーキを解除し、T細胞の抗腫瘍機能を回復させる免疫チェックポイント阻害剤と同様の単一の免疫治療剤として作用し得ることを示唆している。
【0326】
実施例2:
材料および方法
材料
マウス
DBA/2マウス(DBA/2 mic)およびC57BL/6Jマウスを、免疫処置の実験に使用した。
【0327】
方法
免疫処置
放射線照射したL1210-P1A-B7.1腫瘍細胞での免疫処置:DBA/2マウスに、P1A抗原を発現する100万個の放射線照射したL1210-P1A-B7.1細胞からなるワクチンを、単独または100μg(5mg/kg)のグアナベンズと共に、投与した。投与される場合、グアナベンズは、免疫処置の1時間前、および免疫処置後毎日投与された。免疫処置を受けなかったマウスは、陰性対照として含めた。
【0328】
卵白アルブミンでの免疫処置:C57BL/6Jマウスを、Alhydrogelアジュバント(2%)(Sigma)に吸収させた200μgのOVAタンパク質の腹腔内注射(i.p.)により1回免疫処置した。これらマウスに、免疫処置の2時間前および免疫処置後毎日、100μg(5mg/kg)のグアナベンズを投与した。免疫処置を受けなかったマウスは、陰性対照として含めた。
【0329】
免疫応答の評価
細胞内IFNγ染色:免疫処置から1週間後に、各マウスの血液および脾臓を回収した。各免疫処置したマウスの脾臓および血液由来の細胞を、10μMのOVAペプチドの存在下で、96ウェルU底プレートにおいて37℃で1時間培養した。ブレフェルジンA(10μg/mL)を各ウェルに添加し、細胞をさらに4時間インキュベートした。各マウスの免疫応答を、CD8およびIFNγに対する抗体を使用してIFNγを産生するCD8T細胞の量を測定することにより評価した。次に、サンプルを、FACS Fortessaフローサイトメトリーにより試験した。
【0330】
四量体染色:免疫処置から1週間後に、各マウスの脾臓を回収した。免疫処置したマウスから単離した脾細胞を培養し、1:1の比率でL1210-P1A-B7.1細胞を用いて再刺激した。再刺激から4日後に、P1A抗原に特異的なCD8T細胞を、PEコンジュゲートしたP1A四量体およびAPCコンジュゲートした抗CD8抗体で染色した。
【0331】
インターフェロンガンマ分泌:免疫処置から1週間後に、各マウスの脾臓を回収した。免疫処置したマウス由来の脾細胞を、1:1の比率でL1210-P1A-B7.1細胞を用いて再刺激した。再刺激から4日後に、脾細胞を回収し、96Uプレートにおいてウェルあたり50,000個の細胞でプレーティングした。標的細胞としてL1210-P1A-B7.1細胞を、各ウェルに1:1の比率で添加した。次に、プレートを、37℃で一晩インキュベートした。インキュベーションの終了時に、細胞由来の上清を回収し、分泌したIFNγの量を、製造社(R&D)の説明にしたがい、ELISAにより測定した。
【0332】
結果
DBA/2マウスを、10個の放射線照射したL1210-P1A-B7.1細胞(P1AおよびB7-1を発現するL1210白血病細胞)からなるワクチンを、単独でかまたは100μg(5mg/kg)のグアナベンズと共に用いて免疫処置した。投与される際に、グアナベンズを、ワクチンの1時間前および免疫処置後毎日、投与した。免疫処置を受けなかったマウスは、陰性対照として含めた。
【0333】
免疫処置から1週間後に、マウスを屠殺し、脾臓を回収した。単離した脾細胞を、L1210-P1A-B7.1細胞を1:1の比率で用いて再刺激した。再刺激から4日後に、P1A抗原に特異的なCD8T細胞を、PEコンジュゲートしたP1A四量体およびAPCコンジュゲートした抗CD8抗体で染色した。よって、P1A抗原での再刺激の後に、脾細胞培養物の中に含まれるCD8T細胞の総数のうちのP1A抗原に特異的なCD8T細胞のパーセンテージを決定した。図7Aに示されるように、陰性対照(すなわち免疫処置しなかったマウス)およびまた免疫処置単独(すなわちグアナベンズを伴わないワクチン)と比較して、ワクチンと共にグアナベンズを投与した場合、P1A抗原での再刺激後にP1A抗原に特異的なCD8T細胞のパーセンテージが有意に増大した。よって、P1Aに対する免疫処置の状況では、グアナベンズの投与は、P1A抗原に特異的なCD8T細胞の数の増加をもたらした。
【0334】
免疫応答を、脾臓由来のCD8T細胞からのIFNγ分泌を評価することによりさらに確認した。単離した脾細胞を、96Uプレートにおいてウェルあたり50,000個の細胞でプレーティングした。標的細胞としてL1210-P1A-B7.1細胞を、1:1の比率で各ウェルに添加した。次に、プレートを、37℃で一晩インキュベートした。インキュベーションの終了時に、細胞由来の上清を回収し、分泌したIFNγの量を、ELISAにより測定した。図7Bに示されるように、陰性対照(すなわち免疫処置しなかったマウス)およびまた免疫処置単独(すなわちグアナベンズを伴わないワクチン)と比較して、ワクチンと共にグアナベンズを投与した場合、L1210-P1A-B7.1細胞でのそれらの活性化の後に、脾細胞のIFNγの分泌が有意に増大した。よって、P1Aに対する免疫処置の状況では、グアナベンズの投与は、P1Aの存在により活性化される脾細胞の機能の増大をもたらした。
【0335】
まとめると、これら結果は、10個の放射線照射したL1210-P1A-B7.1細胞からなるワクチンを使用したマウス免疫処置モデルにおいて、グアナベンズが、P1Aに対する細胞性免疫応答を亢進することにより、特にP1A抗原に特異的なCD8T細胞の数の増加を誘導し、P1Aの存在下で活性化される脾細胞の機能を亢進することにより、アジュバントとして作用することを示している。
【0336】
また、アジュバントとしてのグアナベンズの作用を、マウスにおけるOVA免疫処置のモデルで評価した(図8)。C57BL/6Jマウスを、Alhydrogelアジュバント(2%)(Sigma)に吸収させた200μgのOVAタンパク質の腹腔内注射(i.p.)により1回免疫処置した。このマウスに、免疫処置の2時間前および免疫処置後毎日、100μg(5mg/kg)のグアナベンズを投与した。免疫処置を受けなかったマウスは、陰性対照として含めた。免疫処置から1週間後に、各マウスの血液および脾臓を回収した。免疫応答を、マウスの血液由来の細胞培養物(図8A)または脾臓由来の細胞培養物(図8B)におけるCD8Tの総数のうちのIFNγを産生するCD8T細胞のパーセンテージを評価することにより評価した。図8に示されるように、陰性対照(すなわち免疫処置しなかったマウス)と比較して、ワクチンと共にグアナベンズを投与した場合、OVAペプチドでのそれらの活性化の後のIFNγを産生するCD8T細胞のパーセンテージが有意に増大した。よってこれら結果は、OVA免疫処置モデルにおいて、グアナベンズが、OVAに対する細胞性免疫応答を亢進することにより、特にT細胞の機能を刺激することにより、アジュバントとして作用することを示している。
【0337】
実施例3:
材料および方法
材料
マウス
性別および年齢が一致したCD57BL/6野生型マウスを、B16F10を移植したメラノーマモデルで使用した。
【0338】
方法
腫瘍の誘導およびマウスの処置
性別を一致させた7~9週齢の野生型のCD57BL/6マウスに、100万個のB16F10腫瘍細胞を皮下注射した。マウスは、腫瘍細胞の注射から1週間後の腫瘍の大きさに基づき無作為化した。腫瘍の播種から7日後に、マウスにグアナベンズ(2.5mg/kg, i.p.)またはビヒクル(PBS, i.p.)を毎日注射した。次に、グアナベンズまたはビヒクルの投与から1日後から、3日間隔で、マウスに、200μg/マウスの用量の抗PD-1抗体(BioXcell, clone RMP1-14)またはRatIgG2aアイソタイプ(clone 2A3, Bio-X-Cell)の注射(腹腔内、i.p.とも呼ばれる)を、4回行った。
【0339】
結果
PD-1阻害剤に関連するグアナベンズの腫瘍増殖に及ぼす作用を、B16F10を移植したメラノーマを有するマウスにおいて評価した。
【0340】
図9に示されるように、対照条件(PBSおよびアイソタイプの投与)と比較して、B16F10メラノーマ腫瘍の増殖は、抗PD-1抗体単独の投与により有意に影響されなかったが、グアナベンズ単独の投与は、B16F10メラノーマ腫瘍の増殖を有意に低減した。
【0341】
グアナベンズおよび抗PD-1抗体の併用投与は、対照条件(PBSおよびアイソタイプの投与)、および抗PD-1抗体単独の投与だけでなく、グアナベンズ単独の投与と比較して著しく、B16F10メラノーマ腫瘍の増殖の有意な低減を誘導した。よって、グアナベンズおよび抗PD-1抗体の併用投与の作用は、グアナベンズ単独の作用および抗PD-1抗体単独の作用よりも有意に大きかった。
【0342】
これら結果は、グアナベンズおよび抗PD-1抗体が、B16F10メラノーマ腫瘍の増殖の低減に相乗的に作用し、ここでグアナベンズが抗PD-1抗体の作用を増強することを示している。これら結果は、グアナベンズが、チェックポイント阻害剤の治療効果を向上できることを示している。
【0343】
実施例4:
材料および方法
材料
細胞
マウスNK細胞:マウスのNK細胞を、抗CD49b磁性ビーズを使用してマウスの脾細胞から単離した。
【0344】
方法
in vitroでのNK細胞の機能
マウスのNK細胞を、抗CD49b磁性ビーズを使用してマウスの脾細胞から単離し、放射線照射したRMA-S細胞との共インキュベーションによりin vitroで活性化させた。活性化から4日後に、これらを回収し、20μMのグアナベンズと共に、96Uプレートにおいてウェルあたり50,000個の細胞でプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした後、翌日アッセイに使用した。アッセイの日に、培養上清を細胞から除去し、細胞を、完全培地で1回洗浄して薬物を除去した。標的細胞(RMA-S細胞)を、1:1の比率でウェルに添加した。NK細胞または標的細胞のいずれかのみを含む対照ウェルもまた、各プレートに含めた。標的細胞の添加と同時に、CD107a-APCを各ウェルに添加した。次に、プレートを、37℃で90分間インキュベートした。インキュベーション期間の終了時に、細胞を回収し、PBSで1回洗浄した。これらを、抗マウスCD49b-PE抗体で15分間染色した。次に、細胞を洗浄し、PBSに再懸濁し、FACS Fortessaフローサイトメーターを使用して分析した。
【0345】
結果
NK細胞の機能に及ぼすグアナベンズのin vitroでの作用
マウスのNK細胞を、マウスの脾細胞から単離し、放射線照射したRMA-S細胞との共インキュベーションによりin vitroで活性化させた。活性化から4日後に、NK細胞を、グアナベンズ(20μM)と共に、37℃で16時間インキュベートした。NK細胞の機能を、標的細胞(RMA-S細胞)とNK細胞の共培養の後の脱顆粒を検出することにより評価した。図10に示されるように、グアナベンズとマウスのNK細胞のインキュベーションは、NK細胞の脱顆粒を有意に増大させた。よって、図10に示される結果は、グアナベンズが、in vitroでNK細胞の機能を増大できることを示している。
【0346】
実施例5:
アルプレノロールおよびスニチニブの作用を、グアナベンズの作用を評価するために使用した同じモデルを使用して評価した。
【0347】
アルプレノロールは、βアドレナリン受容体アンタゴニストであり、降圧剤、抗狭心症剤、および抗不整脈剤として使用される。
【0348】
スニチニブは、T細胞介在性がん免疫療法のためのアジュバントとして作用できることが記載されている小分子の受容体型チロシンキナーゼ(RTK)阻害剤である(Kujawski et al., Cancer Res. 2010 Dec 1;70(23):9599-610)。
【0349】
材料および方法
材料
マウス
TiRPマウス;TiRPマウスは、本明細書中上述されるように作製されている(実施例1参照)。
【0350】
細胞
マウスのTCRP1A CD8T細胞:P1Aに特異的な(TCRP1A)CD8T細胞を、本明細書中上述されるように単離した(実施例1参照)。
【0351】
方法
in vitroでのT細胞の機能
CD107細胞傷害性アッセイ(脱顆粒アッセイ):アッセイを、示されるように20μMのグアナベンズまたは異なる濃度のアルプレノロールまたはスニチニブを用いて、本明細書中上述のように行った(実施例1参照)。
【0352】
グアナベンズの投与
T細胞を、示されるように20μMのグアナベンズと共に16時間インキュベートした。
【0353】
アルプレノロールの投与
T細胞を、示されるようにアルプレノロール(5または20μM)と共に16時間インキュベートした。
ACTの日から屠殺の日まで、マウスに、アルプレノロール(5mg/kg)またはビヒクル(PBS)の腹腔内注射を毎日行った。
【0354】
スニチニブの投与
T細胞を、示されるようにスニチニブ(0.1、0.3、0.8、2.5、または4μM)と共に、16時間インキュベートした。
ACTの日から屠殺の日まで、マウスに、スニチニブ(20mg/kg)またはビヒクル(PBS)の1日用量を、経口強制投与により投与した。
【0355】
結果
T細胞の機能に及ぼすアルプレノロールのin vitroでの作用
P1A抗原を発現するL1210-P1A細胞と共培養したマウスのP1Aに特異的な(TCRP1A)CD8T細胞を、アルプレノロール5μMまたは20μMと共に16時間インキュベートした。抗原認識後のT細胞の機能を、脱顆粒を検出することにより評価した。図11Aに示されるように、マウスT細胞のアルプレノロールとのインキュベーションは、対照(PBSの投与)と比較してT細胞の脱顆粒を有意に増大させなかった。
【0356】
よって、グアナベンズで観察された結果(図1参照)とは対照的に、アルプレノロールは、5μMの濃度または20μMの濃度にて、in vitroでT細胞の機能を増大できないと思われる。
【0357】
TiRPメラノーマモデルにおけるアルプレノロールのin vivoでの作用
本明細書中上述されるように(実施例1参照)得られたTiRP腫瘍を有するマウスに、アルプレノロールを投与し、1000万個のP1Aに特異的な活性化したCD8T細胞の養子細胞移入(ACT)を行った。よって、腫瘍の大きさが約500mmである際のACTの日(0日目)から、屠殺の日(10日目)まで、アルプレノロール5mg/kg(腹腔内または手短に言うとi.p.)の注射を毎日行った。図11Bに示されるように、腫瘍増殖は、単独で行われたACT(PBSの投与に対応する対照条件)と比較して、アルプレノロールと共に行われたACTで有意に減少しなかった。結果、アルプレノロールの投与の後に、CD8+T細胞の腫瘍浸潤は増大しなかった(図11C)。これら結果は、アルプレノロールが、グアナベンズで観察される結果(図5参照)とは対照的に、養子細胞移入の治療効果を向上させないことを示している。
【0358】
T細胞の機能に及ぼすスニチニブのin vitroでの作用
P1A抗原を発現するL1210-P1A細胞と共培養したマウスのP1Aに特異的な(TCRP1A)CD8T細胞を、20μMのグアナベンズまたはスニチニブ(0.1μM、0.3μM、0.8μM、2.5μM、または4μM)と共に16時間インキュベートした。抗原認識後のT細胞の機能を、脱顆粒を検出することにより評価した。図12Aに示されるように、マウスT細胞のスニチニブとのインキュベーションは、対照(PBSの投与)と比較して、T細胞の脱顆粒を有意に増大させなかった。対照的に、マウスT細胞の20μMのグアナベンズとのインキュベーションは、対照と比較してT細胞の脱顆粒を有意に増大させた。
【0359】
よって、グアナベンズで観察される結果とは対照的に、スニチニブが、低濃度(すなわち0.1μM)または高濃度(すなわち4μM)にて、in vitroでT細胞の機能を増大できないと思われる。
【0360】
TiRPメラノーマモデルにおけるアルプレノロールのin vivoでの作用
本明細書中上述されるように(実施例1参照)得られたTiRP腫瘍を有するマウスに、スニチニブを投与し、1000万個のP1Aに特異的な活性化したCD8T細胞の養子細胞移入(ACT)を行った。よって、腫瘍の大きさが約500mmである際のACTの日(0日目)から屠殺の日(10日目)まで、スニチニブ20mg/kgを毎日経口強制投与した。図12Bに示されるように、腫瘍増殖は、単独で行われたACT(PBSの投与に対応する対照条件)と比較して、スニチニブと共に行われたACTで有意に減少しなかった。結果、スニチニブの投与の後に、CD8+T細胞の腫瘍浸潤は増大しなかった(図12C)。これら結果は、スニチニブが、グアナベンズで観察される結果(図5参照)とは対照的に、養子細胞移入の治療効果を向上させないことを示している。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C