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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】携帯型鳥獣類除け装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/16 20110101AFI20240523BHJP
【FI】
A01M29/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023128283
(22)【出願日】2023-08-07
【審査請求日】2023-08-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502256778
【氏名又は名称】宇都宮測量株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 達男
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-060938(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0241128(US,A1)
【文献】特開2008-011777(JP,A)
【文献】特開昭62-040240(JP,A)
【文献】特開2016-028558(JP,A)
【文献】特開2022-085881(JP,A)
【文献】特開2005-151858(JP,A)
【文献】登録実用新案第3215346(JP,U)
【文献】特開2010-246535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 29/00-29/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可聴領域から超音波領域の周波数の信号を発生させる音波発生器と、
該音波発生器からの信号に応じて発音するスピーカと、
発音量を調整する音量調整ダイアルと、
該発音の周波数を調整する周波数調整ダイアルと、
腰ベルト、又は、リュックサックのベルトに装着可能な保持部を持ち、
該保持部は、長手方向の両端部にある縦ベルト用バンドと、幅方向の両端部にある横ベルト用バンドと、から成り、
該保持部で保持した際に該スピーカが正面を向き、片手で該音量調整ダイアル及び該周波数調整ダイアルが操作可能であることを特徴とする携帯型鳥獣類除け装置。
【請求項2】
乾電池、バッテリ、又は、充電池を電源とすることを特徴とする請求項1に記載の携帯型鳥獣類除け装置。
【請求項3】
前記周波数は、少なくとも8KHzから40KHzの範囲を含むことを特徴とする請求項1に記載の携帯型鳥獣類除け装置。
【請求項4】
緊急ボタンを持ち、該緊急ボタンを押すことで、一定の時間、100dBの音量で可聴領域周波数の前記発音を行うことを特徴とする請求項1に記載の携帯型鳥獣類除け装置。
【請求項5】
装置が動作状態であることを示す表示があることを特徴とする請求項1に記載の携帯型鳥獣類除け装置。
【請求項6】
装置の脱落を検知した際、100dBの音量で可聴領域の周波数の前記発音を行うことを特徴とする請求項1に記載の携帯型鳥獣類除け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型鳥獣類除け装置に関し、詳しくは、鳥獣への威嚇、忌避効果を持ちつつ、使用環境に応じて、音量、周波数を変える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、登山客や山菜取り等で入山した人が熊と遭遇し、死傷する事故が多発している。
熊は、人と突然遭遇すると驚いて、人に襲いかかることが知られている。そのため、こうした事態を未然に防ぐ対策が求められている。
従来、熊よけとして、鈴や笛を鳴らしながら行動する手法がとられていた。音を鳴らすことで人の存在を熊に知らせ、人を恐れる習性のある熊を、近づけないようにするものである。
しかしながら、この方法では、人が動いているときや、笛を吹いている間だけ有効であるので、休憩中等に鈴や笛が止まってしまうと、効果が発揮できないという問題があった。
また、電気的に可聴領域の音を出し続ける装置もあるが、常に可聴領域の音を出し続けると、夜間や人混みで迷惑になる場合もあった。
そこで、人の動作に関わらず、常に音を出し続けることができ、且つ、状況によって可聴領域以外の音に変更可能な忌避装置が求められていた。
【0003】
このような問題に対して、従来からも様々な技術が提案されている。例えば、有害鳥獣を威嚇することができる動物防除装置(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。より詳しくは、動物の可聴周波数を含む音波を放射する音放射部を備え、音放射部には、周波数よりも大きな周波数の超音波をキャリアとする超指向性スピーカ装置が設けられており、複数のデータを持ち、カラスを威嚇するのに適した音、熊を威嚇するのに適した音、猪を威嚇するのに適した音など、特定の動物を威嚇するのに適した音を出力する技術である。
しかしながら、威嚇を目的とするため、継続的な使用には適しておらず、上記問題の解決には至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-28558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、人の動作に関わらず、常に音を出し続けることができ、且つ、可聴領域から超音波領域までの音を適宜選択可能な携帯型鳥獣類除け装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯型鳥獣類除け装置は、可聴領域から超音波領域の周波数の信号を発生させる音波発生器と、音波発生器からの信号を発音するスピーカと、発音量を調整する音量調整ダイアルと、発音の周波数を調整する周波数調整ダイアルと、を持つ手段を採る。
【0007】
また、本発明は、乾電池、バッテリ、又は、充電池を電源とする手段を採る。
【0008】
さらに、本発明は、周波数が、少なくとも8KHzから40KHzの範囲を含む手段を採る。
【0009】
またさらに、本発明は、腰ベルト、又は、リュックサックのベルトに装着可能な保持部を持つ手段を採る。
【0010】
さらにまた、本発明は、緊急ボタンを持ち、緊急ボタンを押すことで、一定の時間、大音量で可聴領域周波数の発音を行う手段を採る。
【0011】
またさらに、本発明は、装置が動作状態であることを示す表示がある手段を採る。
【0012】
そしてまた、本発明は、装置の脱落を検知した際、大音量で可聴領域周波数の発音を行う手段を採る。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る携帯型鳥獣類除け装置によれば、鳥獣除けの音を継続的に、可聴領域から超音波領域まで適宜切り替えて発生させることができるので、周囲や周辺住民への配慮を行いつつ、鳥獣除けの音を発生し続けることができ、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る携帯型鳥獣類除け装置の実施形態を示す説明図である。
図2】本発明に係る携帯型鳥獣類除け装置の実施形態を示すシステム図である。
図3】本発明に係る携帯型鳥獣類除け装置における発音の周波数、音量の時間変化を示すグラフである。
図4】本発明に係る携帯型鳥獣類除け装置の装着例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る携帯型鳥獣類除け装置は、人の動作に関わらず、常に音を出し続けることができ、且つ、状況によって可聴領域以外の音に変更可能であることを最大の特徴とする。
以下、本発明に係る携帯型鳥獣類除け装置の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0016】
なお、以下に示される携帯型鳥獣類除け装置の全体構成及び各部の構成は、下記に述べる実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状や寸法、構造等の範囲内で適宜変更することができるものである。
【0017】
図1から図4に従って、本発明を説明する。
図1は、本発明に係る携帯型鳥獣類除け装置の説明図であり、(a)は全体斜視図、(b)は音量調整ダイアルのある側の側面図、(c)は保持部を示す裏面図である。
図2は、本発明に係る携帯型鳥獣類除け装置のシステム図である。
図3は、本発明に係る携帯型鳥獣類除け装置の使用時の発音周波数、音量の変化を示すグラフであり、(a)は緊急ボタンを押した際の周波数、音量の変化を示し、(b)は発音用キーの抜差し時の周波数、音量の変化を示している。
図4は、本発明に係る携帯型鳥獣類除け装置を人が装着した例を示す説明図であり、(a)はリュックの肩掛けベルトに装着した例、(b)はズボンの腰ベルトに装着した例である。
【0018】
携帯型鳥獣類除け装置1は、熊を含む鳥獣との遭遇を回避するために、超音波領域を含む音声周波数の音を継続的に発生させる装置である。
本実施形態では、20KHz未満を可聴領域とし、20KHz以上を超音波領域とする。
携帯型鳥獣類除け装置1は、主に、発音ユニット10とスピーカ20と電池30とから構成されている。
【0019】
発音ユニット10は、携帯型鳥獣類除け装置1の主要部分である。発音ユニット10は、音波発生器11とアンプ12を含み、各種の設定、状態によって、発生させる音の周波数、音量を変化させる。 発音ユニット10は、装置の筐体内にあり、筐体の周囲に、電源スイッチ40、電源表示ランプ41,周波数調整ダイアル50、音量調整ダイアル51、緊急ボタン52、発音用引抜キー53、を配置している。
発音ユニット10は、電池30から供給させる電力によって動作する。
発音ユニット10には、スピーカ20が接続されている。発音ユニット10は、設定された周波数で、設定された出力量の駆動信号をスピーカ20に送る。
また、緊急ボタン52、発音用引抜キー53の状態に応じて、周波数調整ダイアル50や音量調整ダイアル51の設定値に寄らず、固定された周波数、固定された音量で、発音することができる。周波数、音量の制御は、マイコン等の制御部を介して行ってもいいし、簡単な論理回路で制御しても良い。
【0020】
発音ユニット10の内部の音波発生器11は、発音する周波数を発生させる部分である。可聴領域から超音波領域の周波数の信号を発生させる。
音波発生器11は、周波数調整ダイアル50に応じて、音声の周波数を設定する。設定する範囲は、少なくとも、8KHzから40KHzの範囲を含む。
鳥獣には、超音波領域の音を認識できるものも多い。一説によれば、熊は、44KHzまでの音を認識すると言われている。
従って、超音波領域を含むことで、状況によって可聴領域と超音波領域を使い分けることができる。
信号は、設定された周波数を一定レベルで出力する方法でもいいし、1秒以下の短い周期で、レベルや周波数が変動されるものでも良い。
このようにすることで、多くの動物が、不快なものとして認識する場合が多いからである。
また、緊急ボタン52、発音用引抜キー53の状態によっては、一定の周波数を信号として出力する。
【0021】
発音ユニット10の内部のアンプ12は、音波発生器11で生成された信号を、スピーカ20を駆動する駆動信号に変換する部分である。駆動信号の大きさは、音量調整ダイアル51によって決まる。
また、緊急ボタン52、発音用引抜キー53の状態によっては、一定の大きさの駆動信号を出力する。
【0022】
各入出力要素について、説明する。
電源スイッチ40は、装置の電源をオン/オフするスイッチである。オンにすることで、発音ユニット10が動作する。
安全上の対応として、音量調整ダイアル51が大きな値となっていた場合に、電源スイッチ40をオンしても、動作しないようにしても良い。突然、大音量の発音となることを防ぐためである。
【0023】
電源表示ランプ41は、装置である携帯型鳥獣類除け装置1の電源が入っているか否かを示すランプである。言い換えれば、動作状態であるか否かを示している。
電源が入ると点灯する。電源表示ランプ41を確認することで、超音波領域で、発音していたとしても、動作中であることを認識できる。
また、電池30の残量が少なくなった場合に、電源表示ランプ41を点滅させても良い。利用者は、電源表示ランプ41の点滅を確認することによって、早めの電池交換や充電を行うことができる。
【0024】
周波数調整ダイアル50は、発音の周波数を調整するダイアルである。ダイアルを回転させることで、周波数を8~40KHzの範囲で設定することができる。ダイアルの周囲には、目盛や数字が記載されているので、超音波領域の音を指定する際の目安となる。
【0025】
音量調整ダイアル51は、発音量を調整するダイアルである。ダイアルを回転させることで、音量をゼロから100dB程度の範囲で設定することができる。ダイアルの周囲には、目盛や数字、音量を示すマーク等が記載されているので、音量を指定する際の目安となる。
【0026】
緊急ボタン52は、突発的な遭遇等の対応するため、威嚇のため、可聴領域の音を大音量で一定時間発生させるためのボタンである。緊急ボタンを押すことで、一定の時間、大音量で、可聴領域周波数の発音を行う。
緊急ボタン52は、携帯型鳥獣類除け装置1の筐体の目立つ部分に、比較的大きなボタンとして配置されている。携帯型鳥獣類除け装置1を見ずに緊急ボタン52を押すことができるようにするためである。
クマなどが急に現れた場合に、大音量で威嚇すると共に、周囲の仲間に、緊急事態であることを知られる意味を持つ。緊急ボタン52を角部分に配置し、正面、側面いずれからでも押せる形状としても良い。
【0027】
発音用引抜キー53は、緊急ボタン52と同様に、咄嗟に反応するためのものである。発音用引抜キー53は、スイッチとなっており、引抜用紐64を持って発音用引抜キー53を引き抜くことで、スイッチが入り、緊急ボタン52と同様の音を発生させることができる。発生時間は、例えば発音用引抜キー53を差しなおすまでの時間である。
引抜用紐64を引く動作のみで、威嚇音を出すことができるので、緊急時用として好適である。
【0028】
また、引抜用紐64をベルト等に固定しておくことで、携帯型鳥獣類除け装置1が誤って落ちた場合に、発音用引抜キー53が抜けて音がするので、携帯型鳥獣類除け装置1を落として紛失することが防止できる。
【0029】
スピーカ20は、可聴領域又は超音波領域の音を発生させる部分である。
スピーカ20は、音波発生器からの信号がアンプで駆動信号に変換されることによって発音する。よって、音波発生器からの信号に応じて発音するといえる。
超音波領域まで発生させるので、スピーカ20の周波数特性もそれに応じたものとなっている。本実施形態では、少なくとも40KHzまで発生可能なものを用いる。
スピーカー20は、超音波までの音を広い範囲に出力でき、好適である。
本実施形態では、携帯型鳥獣類除け装置1の上面部に配置され、使用する際は、スピーカ20が正面を向くようにセットする。
必要によって、複数のスピーカ20を接続しても良い。例えば、携帯型鳥獣類除け装置1をリュックの肩掛けに装着時、スピーカ20を正面、右、左の3面に配置してあると、より広い範囲に音を拡げることができ、好適である。
【0030】
電池30は、携帯型鳥獣類除け装置1の電力源である。乾電池、充電池、専用バッテリのいずれでも良い。充電池、専用バッテリの場合は、筐体に、充電用ソケットを設けても良い。
そうすることで、充電池、専用バッテリを筐体から出すことなく、充電を行うことができる。
【0031】
保持部60は、携帯型鳥獣類除け装置1をベルト等に装着するための部分である。縦ベルト用バンド61と横ベルト用バンド62とを備える。
縦ベルト用バンド61と横ベルト用バンド62を備えることで、腰ベルト、又は、リュックサックのベルトに装着可能となる。
縦ベルト用バンド61は、携帯型鳥獣類除け装置1の長手方向の両端部付近にあり、主に、リュックの肩掛け等の縦型のベルトに、携帯型鳥獣類除け装置1を装着するためのバンドである。
横ベルト用バンド62は、携帯型鳥獣類除け装置1の幅方向の両端部付近にあり、主に、ズボンの腰ベルト等の横型のベルトに、携帯型鳥獣類除け装置1を装着するためのバンドである。縦ベルト用バンド61、横ベルト用バンド62の一端は、スナップボタン63によって、着脱可能となっており、ベルトへの装着を容易に行うことができる。
【0032】
携帯型鳥獣類除け装置1は、発音の周波数、音量を自由に変えることができるので、使用する状況に応じた使い方ができる。
日中及び山中では、熊等の鳥獣を避けるために、比較的大きい可聴領域の音を用いることができる。可聴領域とすることによって、多くの鳥獣を避けることができるし、利用者も仲間も、鳥獣除けが動作していることが認識でき、安心感を高めることができる。
また、夜間や人混みの場合には、可聴領域の音を用いると迷惑となる場合があるので、超音波領域を使用すると好適である。クマ等の鳥獣は、数十KHzの超音波まで認識できるからである。超音波領域を使用することによって、近くにいる人々に迷惑をかけることなく、鳥獣を避けることができる。
また、テント等で就寝する場合に、超音波領域を使用することによって、睡眠の邪魔にならずに鳥獣を避けることができる。
【0033】
図3に沿って、緊急ボタン52、発音用引抜キー53の動作を説明する。図3(a)は、緊急ボタン52についてのグラフである。X方向が時間軸、Y方向が緊急ボタンのオン/オフ、音量のレベル、周波数の値を示す。
通常使用で、音量40dBで、周波数30KHzで発音させていた場合とする。
熊と遭遇等した場合、威嚇するため、利用者は緊急ボタン52を押す。発音ユニット10は、緊急ボタン52が押されたことで、音量を100dBに即時に変更し、周波数を可聴領域である8KHzに即時に変更する。
変更は、マイコン等の制御部によって行ってもいいし、簡単な論理回路、カウンタ、タイマ等で行っても良い。
緊急ボタン52が押されてから3秒間、100dB、8KHzの状態を維持する。3秒間は、威嚇としては十分な時間である。3秒後、緊急ボタン52の押される前の状態に戻る。
図3(a)の右部分は、緊急ボタン52を連続して押した場合である。大音量は、最後に緊急ボタン52を押してから3秒後に元に戻る。
【0034】
発音用引抜キー53の場合について、図3(b)に沿って説明する。
引抜用紐64を引っ張り、発音用引抜キー53を抜いた場合、緊急ボタン52の場合と同様に、音量が100dBとなり、周波数が可聴領域である8KHzになる。従って、咄嗟の威嚇を行うことができるし、咄嗟に、警告を仲間に与えることもできる。
発音用引抜キー53は、一般的な防犯グッズと同様に、発音用引抜キー53を差し直すまでは、大音量の状態を維持する。利用者は、必要に応じて発音用引抜キー53を差し直す。
従って、携帯型鳥獣類除け装置1を落とした際、発音用引抜キー53が抜けるようにしておくことで、超音波領域で使用しても、利用者は、携帯型鳥獣類除け装置1を落としたことに容易に認識できる。
【0035】
図4に沿って、携帯型鳥獣類除け装置1の使用態様を示す。
図4(a)は、リュック70の肩掛け71に携帯型鳥獣類除け装置1を装着した例である。保持部60の縦ベルト用バンド61を用いている。縦ベルト用バンド61は、携帯型鳥獣類除け装置1の長手方向の両端部にあるので、携帯型鳥獣類除け装置1を安定して保持することができる。
リュック70の肩掛け71に携帯型鳥獣類除け装置1を装着することで、スピーカ20は、正面を向き、正面をメインとする広い範囲に発音することができる。
また、左側の肩掛け71に装着することによって、右手で、周波数調整ダイアル50、音量調整ダイアル51、緊急ボタン52を容易に操作できるので、好適である。
【0036】
図4(b)は、腰ベルト72に携帯型鳥獣類除け装置1を装着した例である。保持部60の横ベルト用バンド62を用いている。横ベルト用バンド62は、携帯型鳥獣類除け装置1の幅方向の両端部にあるので、携帯型鳥獣類除け装置1を安定して保持することができる。
腰ベルト72に携帯型鳥獣類除け装置1を装着することで、スピーカ20は、正面を向き、正面をメインとする広い範囲に発音することができる。
また、右側の腰ベルト72に装着することによって、右手で、周波数調整ダイアル50、音量調整ダイアル51、緊急ボタン52を容易に操作できるので、好適である。
【0037】
このように、本発明によれば、鳥獣除けの音を継続的に、可聴領域から超音波領域まで適宜切り替えて発生させることができるので、周囲並びに周辺住民への配慮を行いつつ、鳥獣除けの音を発生し続けることが可能であって、利便性を向上させることができる。
【0038】
また、本発明は、電気回路を採用することで、常時超音波を発生させることが可能であり、且つ、小型軽量化が実現でき、子供からお年寄りまで持ち運び容易な仕様となっている。
その他にも、発生周波数を自由に調整できるため、夜間や人混みでも周囲に配慮した音波設定で使用できる。また、電池式及び充電式であるため、繰り返し使用が容易な電源である。いずれも人間と熊との遭遇回避をより手軽に、より確実に実現し得るものである。
【0039】
さらに、本発明は、半径50m以上の範囲に音波が届くため、熊を遠方から威嚇及び寄せつけない効果があり、熊との不意の遭遇を回避することができる。
【0040】
また、本発明は、小型・軽量であるため持ち運びしやすく、子供でも持ち運びしやすい軽さであって、腰やリュックサックのベルトに装着したまま行動ができるコンパクトサイズとなっている。
【0041】
さらにまた、乾電池式及びバッテリ式であり、単4形乾電池(充電池使用を含む)や専用バッテリを電源とする態様であるため、至極経済的である。
【0042】
またさらに、本発明は、手に持って操作する必要がない。害獣を視認してから害獣に向けて機器を操作する必要はなく、手に持たなくても常時、熊除け効果を発揮できる。
【0043】
さらにまた、発生周波数・音波強度を自由に調整できる。スイッチ一つで人間の可聴周波数の内外を含め、幅広い範囲の設定ができる。このため、発生周波数を変えることで夜間・人混みでも周囲に配慮した音波を設定できる。
【0044】
またさらに、動いていないと鳴らない鈴や笛と違い、常に音を発することができる。電源を入れ、適切な周波数と音量に設定しておくことで、立ち止まっているときでも、音波を出し続けることができ、しかも緊急ボタンを押すことで、100dBの大音量を即時的に3秒間発生し、瞬時に熊を威嚇できる。
【0045】
さらにまた、本体についている固定ベルトを、ズボンのベルトやリュックサックのベルトに取り付けて使用でき、携帯の利便性向上に資する。
【0046】
そしてまた、電源スイッチを入れると、電源ランプが点灯するので、超音波領域を使用していても、装置が動作していることを認識することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る携帯型鳥獣類除け装置は、野生動物が活動する山林などを行き来する登山者やキャンパー、作業者だけでなく、昨今における街中への熊の出没事例に鑑みると、通学する子供を始め一般市民の全てが携帯することで、その利益を皆が享受し得るものである。よって、本発明に係る「携帯型鳥獣類除け装置」の産業上の利用可能性は、非常に大きいものと思料される。
【符号の説明】
【0048】
1 携帯型鳥獣類除け装置
10 発音ユニット
11 音波発生器
12 アンプ
20 スピーカ
30 電池
40 電源スイッチ
41 電源表示ランプ
50 周波数調整ダイアル
51 音量調整ダイアル
52 緊急ボタン
53 発音用引抜キー
60 保持部
61 縦ベルト用バンド
62 横ベルト用バンド
63 スナップボタン
64 引抜用紐
70 リュック
71 肩掛け
72 腰ベルト

【要約】
【課題】人の動作に関わらず、常に音を出し続けることができ、且つ、可聴領域から超音波領域までの音を適宜選択可能な携帯型鳥獣類除け装置を提供する。
【解決手段】可聴領域から超音波領域の周波数の信号を発生させる音波発生器と、音波発生器からの信号を発音するスピーカと、発音量を調整する音量調整ダイアルと、発音の周波数を調整する周波数調整ダイアルと、から構成される手段を採用する。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4