(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】楽譜、楽譜の記載方法、楽譜表示装置、楽譜生成装置、楽譜生成方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B42D 15/00 20060101AFI20240523BHJP
G09B 15/00 20060101ALI20240523BHJP
G10G 1/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
B42D15/00 331K
G09B15/00 B
G10G1/00
(21)【出願番号】P 2019146343
(22)【出願日】2019-08-08
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】519291353
【氏名又は名称】印藤 正裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100207572
【氏名又は名称】武田 雄人
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】印藤 正裕
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-134173(JP,A)
【文献】GIGAZINE,“無料で強力な耳コピツール、ヤマハのコード譜作成アプリ「Chord Tracker」をいろんな曲で試してみました”,[令和5年6月23日検索],[online],2015年06月07日,インターネット<URL:https://gigazine.net/news/20150607-yamaha-chord-tracker/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/00
G10G 1/00
G09B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小節に対応する領域であってコードネームが記載される領域である小節領域が、所定の小節数を単位として1行に並べられ、
前記小節領域は、楽曲の構成の部分の種類に応じて、前記小節数を単位とした第1表示態様で表示され、
前記小節領域は、前記小節領域に対応する小節内において楽曲の構成の部分が変化する場合には、前記小節領域に対応する楽曲の構成の部分の種類のうち最も数の多い種類に応じて前記第1表示態様が決定され、
異なる行同士においてコード進行が同じである場合、当該異なる行に含まれる前記小節領域は、共通の第2表示態様で表示される
楽譜。
【請求項2】
前記小節領域は、楽曲において前記小節が演奏される順に並べられて、反復記号を用いられることなく表示される
請求項1に記載の楽譜。
【請求項3】
歌詞を記載する領域である歌詞領域が、前記小節領域が並べられる行同士の間に設けられ、
前記歌詞領域において前記小節に含まれる歌詞が前記小節領域の直下に記載される
請求項1
または請求項2に記載の楽譜。
【請求項4】
1行にわたって歌詞のない前記小節に対応する前記小節領域と、次の行の前記小節領域との間には間隔が空いていない
請求項
3に記載の楽譜。
【請求項5】
前記楽曲についての情報が記載されている
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の楽譜。
【請求項6】
小節に対応する領域であってコードネームが記載される領域である小節領域が、所定の小節数を単位として1行に並べられ、
前記小節領域は、楽曲の構成の部分の種類に応じて、前記小節数を単位とした第1表示態様で表示され、
前記小節領域は、前記小節領域に対応する小節内において楽曲の構成の部分が変化する場合には、前記小節領域に対応する楽曲の構成の部分の種類のうち最も数の多い種類に応じて前記第1表示態様が決定され、
異なる行同士においてコード進行が同じである場合、当該異なる行に含まれる前記小節領域は、共通の第2表示態様で表示される
楽譜の記載方法。
【請求項7】
小節に対応する領域であってコードネームが記載される領域である小節領域が、所定の小節数を単位として1行に並べられ、
前記小節領域は、楽曲の構成の部分の種類に応じて、前記小節数を単位とした第1表示態様で表示され、
前記小節領域は、前記小節領域に対応する小節内において楽曲の構成の部分が変化する場合には、前記小節領域に対応する楽曲の構成の部分の種類のうち最も数の多い種類に応じて前記第1表示態様が決定され、
異なる行同士においてコード進行が同じである場合、当該異なる行に含まれる前記小節領域は、共通の第2表示態様で表示される
楽譜を表示する楽譜表示装置。
【請求項8】
楽譜情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記楽譜情報からコード情報を抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出された前記コード情報に基づいて、小節に対応する領域であって、コードネームが記載される領域である小節領域を生成する小節領域生成部と、
前記小節領域生成部によって生成された前記小節領域を所定の小節数を単位として1行に並べる配列部と、
前記小節領域生成部によって生成された前記小節領域の前記小節数を単位とする第1表示態様を、前記取得部によって取得された前記楽譜情報が示す楽曲の構成の部分の種類に応じて選択する表示態様選択部と、
を備え、
前記表示態様選択部は、前記小節領域に対応する小節内において楽曲の構成の部分が変化する場合には、前記小節領域に対応する楽曲の構成の部分の種類のうち最も数の多い種類に応じて前記第1表示態様を選択し、
前記表示態様選択部は、異なる行同士においてコード進行が同じである場合、当該異なる行に含まれる前記小節領域について、共通の第2表示態様を選択する
楽譜生成装置。
【請求項9】
楽譜情報を取得する取得過程と、
前記取得過程によって取得された前記楽譜情報からコード情報を抽出する抽出過程と、
前記抽出過程によって抽出された前記コード情報に基づいて、小節に対応する領域であって、コードネームが記載される領域である小節領域を生成する小節領域生成過程と、
前記小節領域生成過程によって生成された前記小節領域を所定の小節数を単位として1行に並べる配列過程と、
前記小節領域生成過程によって生成された前記小節領域の前記小節数を単位とする第1表示態様を、前記取得過程によって取得された前記楽譜情報が示す楽曲の構成の部分の種類に応じて選択する表示態様選択過程と
を有し、
前記表示態様選択過程において、前記小節領域に対応する小節内において楽曲の構成の部分が変化する場合には、前記小節領域に対応する楽曲の構成の部分の種類のうち最も数の多い種類に応じて前記第1表示態様が選択され、
前記表示態様選択過程において、異なる行同士においてコード進行が同じである場合、当該異なる行に含まれる前記小節領域について、共通の第2表示態様が選択される
楽譜生成方法。
【請求項10】
コンピュータに、
楽譜情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得された前記楽譜情報からコード情報を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップによって抽出された前記コード情報に基づいて、小節に対応する領域であって、コードネームが記載される領域である小節領域を生成する小節領域生成ステップと、
前記小節領域生成ステップによって生成された前記小節領域を所定の小節数を単位として1行に並べる配列ステップと、
前記小節領域生成ステップによって生成された前記小節領域の前記小節数を単位とする第1表示態様を、前記取得ステップによって取得された前記楽譜情報が示す楽曲の構成の部分の種類に応じて選択する表示態様選択ステップと
を実行させるためのプログラムであって、
前記表示態様選択ステップにおいて、前記小節領域に対応する小節内において楽曲の構成の部分が変化する場合には、前記小節領域に対応する楽曲の構成の部分の種類のうち最も数の多い種類に応じて前記第1表示態様が選択され、
前記表示態様選択ステップにおいて、異なる行同士においてコード進行が同じである場合、当該異なる行に含まれる前記小節領域について、共通の第2表示態様が選択される
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽譜、楽譜の記載方法、楽譜表示装置、楽譜生成装置、楽譜生成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
楽器の演奏をする場合に、演奏のスピードに合わせて楽譜を読んで楽曲を理解することはベテランにとっても困難な場合がある。そこで、楽譜をより容易に読むことを可能にする技術が知られている。例えば、楽譜のメロディーを、特にピアノの鍵盤に合わせて理解しやすいような表示態様で表示する楽譜表示装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、楽曲の構成の理解は楽器の演奏において重要である。例えば、ポピュラー音楽においては、イントロ、Aメロ、Bメロ、サビ、間奏、及びアウトロなどと呼ばれる部分によって楽曲が構成されるのが一般的であり、それぞれの部分で曲の調子が変化する。ユーザは演奏しているパートが楽曲の構成においていずれの部分であるか意識しながら演奏する必要がある。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、楽譜において楽曲の構成の理解を支援できる楽譜、楽譜の記載方法、楽譜表示装置、楽譜生成装置、楽譜生成方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、小節に対応する領域であってコードネームが記載される領域である小節領域が、所定の小節数を単位として1行に並べられ、前記小節領域は、楽曲の構成の部分の種類に応じて、前記小節数を単位とした第1表示態様で表示され、前記小節領域は、前記小節領域に対応する小節内において楽曲の構成の部分が変化する場合には、前記小節領域に対応する楽曲の構成の部分の種類のうち最も数の多い種類に応じて前記第1表示態様が決定され、異なる行同士においてコード進行が同じである場合、当該異なる行に含まれる前記小節領域は、共通の第2表示態様で表示される楽譜である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の楽譜において、前記小節領域は、楽曲において前記小節が演奏される順に並べられて、反復記号を用いられることなく表示される。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の楽譜において、歌詞を記載する領域である歌詞領域が、前記小節領域が並べられる行同士の間に設けられ、前記歌詞領域において前記小節に含まれる歌詞が前記小節領域の直下に記載される。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の楽譜において、1行にわたって歌詞のない前記小節に対応する前記小節領域と、次の行の前記小節領域との間には間隔が空いていない。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の楽譜において、前記楽曲についての情報が記載されている。
【0012】
また、本発明の一態様は、小節に対応する領域であってコードネームが記載される領域である小節領域が、所定の小節数を単位として1行に並べられ、前記小節領域は、楽曲の構成の部分の種類に応じて、前記小節数を単位とした第1表示態様で表示され、前記小節領域は、前記小節領域に対応する小節内において楽曲の構成の部分が変化する場合には、前記小節領域に対応する楽曲の構成の部分の種類のうち最も数の多い種類に応じて前記第1表示態様が決定され、異なる行同士においてコード進行が同じである場合、当該異なる行に含まれる前記小節領域は、共通の第2表示態様で表示される楽譜の記載方法である。
【0013】
また、本発明の一態様は、小節に対応する領域であってコードネームが記載される領域である小節領域が、所定の小節数を単位として1行に並べられ、前記小節領域は、楽曲の構成の部分の種類に応じて、前記小節数を単位とした第1表示態様で表示され、前記小節領域は、前記小節領域に対応する小節内において楽曲の構成の部分が変化する場合には、前記小節領域に対応する楽曲の構成の部分の種類のうち最も数の多い種類に応じて前記第1表示態様が決定され、異なる行同士においてコード進行が同じである場合、当該異なる行に含まれる前記小節領域は、共通の第2表示態様で表示される楽譜を表示する楽譜表示装置である。
【0014】
また、本発明の一態様は、楽譜情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記楽譜情報からコード情報を抽出する抽出部と、前記抽出部によって抽出された前記コード情報に基づいて、小節に対応する領域であって、コードネームが記載される領域である小節領域を生成する小節領域生成部と、前記小節領域生成部によって生成された前記小節領域を所定の小節数を単位として1行に並べる配列部と、前記小節領域生成部によって生成された前記小節領域の前記小節数を単位とする第1表示態様を、前記取得部によって取得された前記楽譜情報が示す楽曲の構成の部分の種類に応じて選択する表示態様選択部と、を備え、前記表示態様選択部は、前記小節領域に対応する小節内において楽曲の構成の部分が変化する場合には、前記小節領域に対応する楽曲の構成の部分の種類のうち最も数の多い種類に応じて前記第1表示態様を選択し、前記表示態様選択部は、異なる行同士においてコード進行が同じである場合、当該異なる行に含まれる前記小節領域について、共通の第2表示態様を選択する楽譜生成装置である。
【0015】
また、本発明の一態様は、楽譜情報を取得する取得過程と、前記取得過程によって取得された前記楽譜情報からコード情報を抽出する抽出過程と、前記抽出過程によって抽出された前記コード情報に基づいて、小節に対応する領域であって、コードネームが記載される領域である小節領域を生成する小節領域生成過程と、前記小節領域生成過程によって生成された前記小節領域を所定の小節数を単位として1行に並べる配列過程と、前記小節領域生成過程によって生成された前記小節領域の前記小節数を単位とする第1表示態様を、前記取得過程によって取得された前記楽譜情報が示す楽曲の構成の部分の種類に応じて選択する表示態様選択過程とを有し、 前記表示態様選択過程において、前記小節領域に対応する小節内において楽曲の構成の部分が変化する場合には、前記小節領域に対応する楽曲の構成の部分の種類のうち最も数の多い種類に応じて前記第1表示態様が選択され、前記表示態様選択過程において、異なる行同士においてコード進行が同じである場合、当該異なる行に含まれる前記小節領域について、共通の第2表示態様が選択される楽譜生成方法である。
【0016】
また、本発明の一態様は、コンピュータに、楽譜情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップによって取得された前記楽譜情報からコード情報を抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップによって抽出された前記コード情報に基づいて、小節に対応する領域であって、コードネームが記載される領域である小節領域を生成する小節領域生成ステップと、前記小節領域生成ステップによって生成された前記小節領域を所定の小節数を単位として1行に並べる配列ステップと、前記小節領域生成ステップによって生成された前記小節領域の前記小節数を単位とする第1表示態様を、前記取得ステップによって取得された前記楽譜情報が示す楽曲の構成の部分の種類に応じて選択する表示態様選択ステップとを実行させるためのプログラムであって、前記表示態様選択ステップにおいて、前記小節領域に対応する小節内において楽曲の構成の部分が変化する場合には、前記小節領域に対応する楽曲の構成の部分の種類のうち最も数の多い種類に応じて前記第1表示態様が選択され、前記表示態様選択ステップにおいて、異なる行同士においてコード進行が同じである場合、当該異なる行に含まれる前記小節領域について、共通の第2表示態様が選択されるプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、楽譜において楽曲の構成の理解を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る楽譜1の一例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る楽譜表示装置のハードウェアの構成の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る楽譜表示装置の構成の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る楽譜生成表示処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る楽譜1の一例を示す図である。本実施形態では、楽譜1がギターの演奏のための楽譜である場合の一例について説明するが、楽譜1はピアノなどコードを演奏することが可能な楽器の演奏に好適である。
【0020】
楽譜1は、複数の行領域2と、楽曲情報領域6とを有する。複数の行領域2には、コードネーム4や歌詞7が記載される。楽曲情報領域6には、楽曲についての情報が記載されている。
複数の行領域2は、楽譜1において縦に並べられる。
図1に示す例では、複数の行領域2の一例として、行領域21から行領域217までがこの順に上から縦に並べられて示されている。
【0021】
行領域2は、小節領域3と、歌詞領域5とを含む。小節領域3は、小節に対応する領域であってコードネーム4が記載される領域である。歌詞領域5は、歌詞を記載する領域である。
行領域2では、小節領域3が所定の小節数を単位として1行に並べられる。
図1では、一例として、所定の小節数は4である。
図1の行領域2では、小節領域3の一例である小節領域31、小節領域32、小節領域33、及び小節領域34がこの順に左から1行に並べられている。
【0022】
小節領域3は、楽曲において小節が演奏される順に並べられて、反復記号を用いられることなく表示される。つまり、元の楽譜において反復記号を用いられている場合であっても、楽譜1では、元の楽譜の反復記号に基づいて、小節領域3は楽曲において小節が演奏される順に並べられる。反復記号には、例えば、リピート記号、1番括弧、2番括弧、ダ・カーポ、ダルセーニョ、及びコーダなどが含まれる。
【0023】
小節領域3に記載されるコードネーム4の数は、楽曲の拍子とコードの音符長とに応じている。小節領域31には、コードネーム4として、コードネーム41及びコードネーム42が記載されている。小節領域32には、コードネーム4として、コードネーム43及びコードネーム44が記載されている。小節領域33には、コードネーム4として、コードネーム45及びコードネーム46が記載されている。小節領域34には、コードネーム4として、コードネーム47及びコードネーム48が記載されている。
【0024】
小節領域3は、楽曲の構成の部分の種類に応じて、所定の小節数を単位とした表示態様で表示される。言い換えると、小節領域3は、楽曲の構成の部分の種類に応じて、行領域2を単位とした表示態様で表示される。楽曲の構成の部分とは、ポピュラー音楽の例では、「Aメロ」、「Bメロ」、「サビ」、及び「間奏」などである。本実施形態では、表示態様とは、一例として小節領域3の背景の色である。つまり、本実施形態では、小節領域3は、小節領域3に対応する小節が元の楽譜においてAメロ、Bメロ、サビ、間奏のいずれであるかに応じて、行領域2を単位として異なる色を用いて表示される。
【0025】
図1の例では、行領域21、行領域28、行領域29、及び行領域217に含まれる小節領域3は、「間奏」に対応し、黄色を用いて表示される。行領域22から行領域25に含まれる小節領域3と、及び行領域210及び行領域211とに含まれる小節領域3は、「Aメロ」に対応し、青色を用いて表示される。行領域26及び行領域27に含まれる小節領域3と、及び行領域212から行領域216に含まれる小節領域3とは、「サビ」に対応し、赤色を用いて表示される。
【0026】
ここで楽譜1においては、小節領域3が表示される表示態様は所定の小節数を単位とするため、小節領域3に対応する小節内において楽曲の構成の部分が変化する場合には、小節領域3のなかには、表示される表示態様と、対応する小節が含まれる楽曲の構成の部分とが対応していないものがある。本実施形態では、一例として、行領域2に含まれる小節領域3に対応する楽曲の構成の部分の種類のうち、最も数の多い種類に応じて、小節領域3の表示態様が決定される。
なお、小節領域3に対応する楽曲の構成の部分の異なる種類が行領域2に同数だけ含まれている場合、先に演奏される楽曲の構成の部分の異なる種類に応じて小節領域3の表示態様が決定される。
【0027】
例えば、小節領域34は、歌の最初の部分であるいわゆる歌い出しを含み、小節領域34内において、楽曲の構成の部分は「間奏」から「Aメロ」へと変化している。行領域21では、小節領域31、小節領域32、及び小節領域33の3つの小節領域3は「間奏」に対応しており、行領域21では、「間奏」対応する小節領域3の数が最も多い。したがって、行領域21に含まれる小節領域31、小節領域32、小節領域33、及び小節領域34は、「間奏」対応し黄色を用いて表示されている。
【0028】
また、小節領域3は、コード進行に応じて、所定の小節数を単位とした表示態様で表示される。言い換えると、小節領域3は、コード進行に応じて行領域2を単位とした表示態様で表示される。本実施形態では、コード進行とは、共通する行領域2に含まれる小節領域3に含まれるコードネーム4の配列である。行領域2に含まれる小節領域3に含まれるコードネーム4の配列が、異なる行領域2同士において同じである場合、それらの異なる行領域2に含まれる小節領域3は、共通の表示態様で表示される。ここでコード進行に応じた行領域2を単位として表示態様とは、一例として小節領域3の背景の色の彩度である。
以下の説明では、このコード進行を、行領域2のコード進行などという場合がある。
【0029】
例えば、行領域22のコード進行と、行領域24のコード進行と、行領域210のコード進行とは、ともに「C、Am、F、G7、Dm7、F、Dm7、G7」であり共通している。一方、行領域23のコード進行と、行領域25のコード進行と、行領域211のコード進行とは、ともに「Em、Em6、E7、A7、Dm、G7、C、G7」であり共通している。
【0030】
行領域22のコード進行と、行領域24のコード進行と、行領域210のコード進行とは共通しているため、行領域22、行領域24、及び行領域210は、共通の彩度で表示されている。行領域23のコード進行と、行領域25のコード進行と、行領域211のコード進行とは共通しているため、行領域23、行領域25、及び行領域211は、行領域22、行領域24、及び行領域210が表示される彩度とは異なる共通の彩度で表示されている。
【0031】
上述したように、行領域22から行領域25と、行領域210と、行領域211とは、楽曲の構成の部分としてはともに「Aメロ」に対応している。行領域22、行領域24、及び行領域210は、「Aメロ」に対応する色である青色であって、共通の彩度の青色で表示されている。行領域23と、行領域25と、行領域211とは、「Aメロ」に対応する色である青色であって、行領域22、行領域24、及び行領域210が表示される彩度とは異なる共通の彩度の青色で表示されている。
【0032】
歌詞領域5は、行領域2同士の間に設けられる。つまり、歌詞領域5は、小節領域3が並べられる行同士の間に設けられる。
図1では、歌詞領域5の一例として、歌詞領域52が、行領域22と、行領域23との間に設けられている。
歌詞領域5においては、小節に含まれる歌詞7が小節領域3の直下に記載される。また、歌詞領域5において、小節領域3に対応する小節に含まれる歌詞7は、元の楽譜において対応するコードネーム4の直下に記載される。例えば、歌詞領域52では、歌詞7の一部の一例である歌詞71と、歌詞72とが、コードネーム48と、コードネーム49との直下にそれぞれ記載されている。ここでコードネーム48と、コードネーム49とは、小節領域35に含まれている。
【0033】
楽譜1では、1行にわたって歌詞7のない小節に対応する小節領域3と、次の行の小節領域3との間には間隔が空いていない。例えば、行領域28は、1行にわたって歌詞7のない小節に対応する小節領域3を含んでおり、行領域28と、次の行の行領域29との間には間隔が空いていない。
【0034】
楽曲情報領域6は、一例として、楽曲テキスト情報61と、ジャケット画像62と、カポタスト情報63と、アーティスト情報64とを含む。楽曲テキスト情報61は、楽曲のタイトル、テンポ、楽曲についての各種の情報などを含む。楽曲についての各種の情報には、例えば、作詞者、作曲者、楽曲が発表された時期、楽曲についての解説などが含まれる。
【0035】
ジャケット画像62は、楽曲が収録されているアルバムやシングルのジャケットである。
図1では、ジャケット画像62の一例として、ジャケット画像621と、ジャケット画像622とが示されている。ジャケット画像62の代わりに、アーティストの写真の画像が表示されてもよい。
カポタスト情報63は、ギター演奏をする場合のカポタストの位置を示す。
アーティスト情報64は、楽曲のアーティストの名前を示す。
なお、楽曲情報領域6には、上述した情報以外に、楽曲についての情報が含まれてもよい。
【0036】
なお、本実施形態では、小節領域3は、コード進行に応じて、所定の小節数を単位とした表示態様で表示される場合の一例について説明したが、これに限らない。ある行領域2について、コード進行が最後の小節領域3のみ他の複数の行領域2のコード進行と異なっている場合、この小節領域3は他の小節領域3とは異なる表示態様で表示されてよい。
【0037】
例えば、上述したように、
図1では、行領域23のコード進行と、行領域25のコード進行と、行領域211のコード進行とは共通しているが、行領域211の最後の小節領域3に含まれるコードネーム4が「C、G7」ではなく「C、C7」であったとする。この場合、「C、C7」のコードネーム4を含む行領域211の最後の小節領域3の表示態様を、残りの「Em、Em6、E7、A7、Dm、G7」のコードネーム4を含む3つの小節領域3の表示態様とは異ならせてよい。例えば、最後の小節領域3は、残りの3つの小節領域3の色とは異なる色で表示されてよい。
【0038】
なお、本実施形態では、表示態様が小節領域3の背景の色である場合の一例について説明したが、これに限らない。表示態様は、小節領域3の背景の模様でもよいし、小節領域3の枠のデザインであってもよい。また、表示態様は、小節領域3におけるコードネーム4のフォントでもよい。
【0039】
次に
図2から
図4を参照し、楽譜1を表示する楽譜表示装置300について説明する。
図2は、本実施形態に係る楽譜表示装置300のハードウェアの構成の一例を示す図である。楽譜表示装置300は、一例として、スマートフォンやスレートPCなどの小型の携帯端末装置であるである。なお、楽譜表示装置300は、PC(パーソナルコンピュータ)であってもよい。
【0040】
楽譜表示装置300は、ROM(Read Only Memory)100と、RAM(Random access memory)101と、CPU(Central Processing Unit)102と、記憶装置103と、通信I/F(インターフェイス)104と、検出回路105と、表示回路106と、タッチパネル107とを備える。
ROM100と、RAM101と、CPU102と、記憶装置103と、通信I/F104と、検出回路105と、表示回路106とは、バス108を介して相互に接続される。
【0041】
ROM100は、CPU102が各種演算や制御を行うための各種プログラム、データ及びパラメーターなどを格納した主記憶装置である。ROM100は、ROM100に供給される電力がゼロの状態でも記憶内容を保持できる。
RAM101は、CPU102にワーキングメモリーとして使用される主記憶装置である。RAM101は、CPU102によって、プログラムやデータなどの書き込み及び消去が行われる。
【0042】
CPU102は、ROM100からプログラムを読み込み、読み込んだプログラムに従って各種の制御を実行する。CPU102は、レジスターなどの内部記憶媒体を複数内蔵している。CPU102は、ROM100から内部記憶媒体にデータを一時的に記憶し、これを演算処理する。CPU102は、演算結果をレジスターに出力し、さらにレジスターからRAM101や外部の記憶媒体に出力させる。
【0043】
記憶装置103は、制御プログラムを含む各種アプリケーションプログラムや各種データなどを記憶する。記憶装置103は、フレキシブルディスク(FD)、ハードディスク(HD)、及び半導体メモリなどである。
【0044】
通信I/F104は、ネットワークを介して楽譜表示装置300が外部装置(不図示)と通信を行うためのインターフェイスを備える。外部装置には、楽曲や元の楽譜の情報を提供するサーバである楽曲提供サーバが含まれる。
【0045】
検出回路105は、タッチパネル107の操作状態を検出する。
表示回路106は、各種UI(User Interface)をタッチパネル107上に表示させる。この各種UIには、楽譜1を表示するGUI(Graphici User Interface)や、楽譜1を生成するための元の楽譜、楽曲を選択するGUIが含まれる。
タッチパネル107は、ユーザが指で触れることによって実行される各種操作を受け付ける。タッチパネル107は、各種UIを表示させる表示部としての機能と、ユーザによって実行される各種操作を受け付ける操作部としての機能との両方を有する。
【0046】
なお、本実施形態では、タッチパネル107が表示部としての機能と操作部としての機能との両方を有する場合の一例について説明したが、これに限らない。楽譜表示装置300は、タッチパネル107の代わりに、表示部と、操作部とを個別に備えてもよい。表示部は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機エレクトロルミネッセンス(EL;Electroluminescence)ディスプレイなどによって実現される。操作部は、マウス、キーボード、操作ボタンなどによって実現される。
【0047】
図3は、本実施形態に係る楽譜表示装置300の構成の一例を示す図である。楽譜表示装置300は、制御部310と、記憶部320と、表示制御部330とを備える。制御部310は、楽譜生成装置の一例である。
【0048】
制御部310は、主としてROM100、RAM101、及びCPU102によって構成される。制御部310は、楽譜1を生成する処理を実行する。制御部310は、楽譜情報取得部311と、コード情報抽出部312と、小節領域生成部313と、配列部314と、表示態様選択部315とを備える。楽譜情報取得部311と、コード情報抽出部312と、小節領域生成部313と、配列部314と、表示態様選択部315とは、CPU102がROM100からプログラムを読み込んで処理を実行することにより実現されるモジュールである。
【0049】
楽譜情報取得部311は、楽譜情報321を取得する。
コード情報抽出部312は、楽譜情報取得部311によって取得された楽譜情報321からコード情報を抽出する。ここでコード情報とは、小節領域3に含まれるコードネーム4を小節領域3毎に示す情報である。
【0050】
小節領域生成部313は、コード情報抽出部312によって抽出されたコード情報に基づいて、小節領域3を生成する。
配列部314は、小節領域生成部313によって生成された小節領域3を所定の小節数を単位として1行に並べる。つまり、配列部314は、小節領域3に基づいて行領域2を生成する。
表示態様選択部315は、小節領域生成部313によって生成された小節領域3の小節数を単位とする表示態様を、楽譜情報取得部311によって取得された楽譜情報321が示す楽曲の構成の部分の種類に応じて選択する。
【0051】
記憶部320は、記憶装置103によって構成される。記憶部320は、楽譜情報取得部311が取得した楽譜情報321を記憶する。楽譜情報321には、元の楽譜を示す情報に加えて、楽曲情報領域6を生成するための各種の情報が含まれてよい。
【0052】
表示制御部330は、表示回路106によって構成される。表示制御部330は、制御部310によって生成された楽譜1を、表示部350に表示させる。
操作部340は、検出回路105及びタッチパネル107によって構成される。操作部340は、元の楽譜や、楽曲を選択する操作をユーザから受け付ける。
表示部350は、タッチパネル107によって構成される。表示部350は、制御部310が生成した楽譜1を表示する。
【0053】
図4は、本実施形態に係る楽譜生成表示処理の一例を示す図である。楽譜生成処理は、楽譜表示装置300によって実行される。
ステップS10:楽譜情報取得部311は、楽譜情報321を取得する。ここで楽譜情報取得部311は、通信I/F104を介して、外部の楽曲提供サーバから楽譜情報321を取得する。
【0054】
ステップS20:コード情報抽出部312は、楽譜情報取得部311によって取得された楽譜情報321からコード情報を抽出する。
ステップS30:小節領域生成部313は、コード情報抽出部312によって抽出されたコード情報に基づいて、小節領域3を生成する。
ステップS40:配列部314は、小節領域生成部313によって生成された小節領域3を所定の小節数を単位として1行に並べる。
【0055】
ステップS50:表示態様選択部315は、小節領域生成部313によって生成された小節領域3の小節数を単位とする表示態様を、楽譜情報取得部311によって取得された楽譜情報321が示す楽曲の構成の部分の種類に応じて選択する。表示態様選択部315は、選択した表示態様を、複数の行領域2のそれぞれに対応づける。
【0056】
ステップS60:表示制御部330は、制御部310によって生成された楽譜1を、表示部350に表示させる。
なお、制御部310によって生成された楽譜1は、表示部350の代わりに、外部サーバや、プリンタなどの外部装置に出力されてもよい。また、制御部310によって生成された楽譜1は、記憶部320に記憶されて、所望の時期に読み出されてもよい。
以上で、楽譜表示装置300は楽譜生成処理を終了する。
【0057】
以上に説明したように、本実施形態に係る楽譜1は、小節に対応する領域であってコードネームが記載される領域である小節領域3が、所定の小節数(この一例において、4つ)を単位として1行に(この一例として、行領域2に含まれて)並べられ、小節領域3は、楽曲の構成の部分の種類に応じて、所定の小節数(この一例において、4つ)を単位とした表示態様(この一例において、小節領域3の背景の色)で表示される。
この構成により、本実施形態に係る楽譜1では、楽曲の構成を表示態様によって直感的に理解することができるため、楽譜において楽曲の構成の理解を支援できる。
【0058】
また、楽譜1では、小節領域3は、楽曲において小節が演奏される順に並べられて、反復記号を用いられることなく表示される。
この構成により、本実施形態に係る楽譜1では、反復記号が用いられないため、楽譜の知識が十分にないユーザであっても、楽曲において小節が演奏される順を理解できる。
【0059】
また、楽譜1では、小節領域3は、コード進行に応じて、所定の小節数(この一例において、4つ)を単位とした表示態様(この一例において、小節領域3の背景の色の彩度)で表示される。
この構成により、本実施形態に係る楽譜1では、楽曲においてコード進行が同じ部分を直感的に理解できるため、コード進行の理解を支援できる。
【0060】
また、楽譜1では、歌詞を記載する領域である歌詞領域5が、小節領域3が並べられる行(この一例において、行領域2)同士の間に設けられ、歌詞領域5において小節に含まれる歌詞7が小節領域3の直下に記載される。
この構成により、本実施形態に係る楽譜1では、楽譜において楽曲の構成とともに歌詞を確認することができるため、楽譜において歌詞を含めて楽曲の構成の理解を支援できる。
【0061】
また、楽譜1では、1行にわたって歌詞のない小節に対応する小節領域3と、次の行の小節領域3との間には間隔が空いていない。
この構成により、本実施形態に係る楽譜1では、1行にわたって歌詞のない部分について余分な空白を削減できるため、全体の大きさを間隔が空けない場合に比べて小さくできる。
【0062】
また、楽譜1では、楽曲についての情報(この一例において、楽曲テキスト情報61、ジャケット画像62、カポタスト情報63、アーティスト情報64)が記載されている。
この構成により、本実施形態に係る楽譜1では、楽曲の構成に加えて楽曲についての情報を確認できるため、楽曲についての理解を支援できる。
【0063】
なお、上述した実施形態における楽譜表示装置300の一部、例えば、楽譜情報取得部311と、コード情報抽出部312と、小節領域生成部313と、配列部314と、表示態様選択部315とをコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、楽譜表示装置300に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
また、上述した実施形態における楽譜表示装置300の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。楽譜表示装置300の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0064】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…楽譜、3…小節領域、300…楽譜表示装置、310…制御部、311…楽譜情報取得部、312…コード情報抽出部、313…小節領域生成部、314…配列部、315…表示態様選択部