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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】多重カップリングおよび酸化の方法
(51)【国際特許分類】
   C07H 1/00 20060101AFI20240523BHJP
   C07H 21/04 20060101ALI20240523BHJP
   C07H 21/02 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
C07H1/00
C07H21/04 A
C07H21/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019572465
(86)(22)【出願日】2018-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2018067015
(87)【国際公開番号】W WO2019002237
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】17178454.9
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515129320
【氏名又は名称】ロシュ イノベーション センター コペンハーゲン エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ファンダー エリック ダー
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン デニス ジュル
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-046073(JP,A)
【文献】国際公開第2011/108682(WO,A1)
【文献】J. Org. Chem.,2016年,81,2753-2762
【文献】J. Org. Chem.,2012年,77,7913-7922
【文献】Org. Lett.,2009年,11,967-970
【文献】J. Am. Chem. Soc.,2008年,130,16031-16037
【文献】Tetrahedron Lett.,1998年,39,2491-2494
【文献】Eur. J. Chem.,2005年,5216-5223
【文献】Nucleosides, Nucleotides & NucleicAcids,2003年,22,1411-1413
【文献】J. Am. Chem. Soc.,2002年,124,4962-4963
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)固体支持体に結合されたヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドの保護された5'-ヒドロキシ末端を脱保護する段階、
(b)オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーをヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドの脱保護された該5'-ヒドロキシ末端にカップリングして、亜リン酸トリエステル中間体を形成する段階、
(c)該亜リン酸トリエステル中間体を硫化試薬で酸化する段階と、その後に続く洗浄段階、
(d)同じ伸長サイクル内で段階(b)および(c)を繰り返す段階、
(e)任意で、1回または複数回のさらなる伸長サイクルについて段階(a)~(d)を繰り返す段階、ならびに
(f)該オリゴヌクレオチドを脱保護して該固体支持体から切断する段階
を含み、
該カップリングがアセトニトリル溶媒組成物中で行われ、
該オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーがL-LNA-Gモノマーである場合、グアニン残基における環外窒素がアシル基で保護されている、
立体的に規定された(stereodefined)ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの合成のための方法。
【請求項2】
段階(d)を少なくとも2回実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アセトニトリル溶媒組成物がアセトニトリルおよび芳香族複素環式溶媒を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数回のさらなる伸長サイクル(e)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記立体的に規定されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドがアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記芳香族複素環式溶媒が、20℃の水中で4~7または7~17のpKaを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記芳香族複素環式溶媒が芳香族複素環式塩基である、請求項3または6に記載の方法。
【請求項8】
前記芳香族複素環式溶媒が芳香族複素環式酸である、請求項3または6に記載の方法。
【請求項9】
前記芳香族複素環式溶媒が、ピリジン、2-ピコリン、4-ピコリン、3-ピコリン、ルチジン、およびピロールからなる群より選択される、請求項3または6に記載の方法。
【請求項10】
前記芳香族複素環式溶媒がピリジンである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アセトニトリル溶媒組成物中の前記芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)が0.1%(v/v)~50%(v/v)である、請求項3および6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記アセトニトリル溶媒組成物中の前記芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)が0.5%~10%である、請求項3および6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、式1:
のものであり、
式中、
Zはヌクレオシドであり;
R5およびR6は独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換シクロアルキル、置換アリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択されるか、または、R5およびR6は一緒になって式1のN原子と共に、3~16個の炭素原子を含む複素環を形成し;
R9は水素であり;
R1は、水素およびC1~3アルキルからなる群より選択され;かつ、
Rは、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、ハロゲン、シアノ、シリル、置換シリル、スルホン、置換スルホン(アリール置換スルホン)、フルオレン、および置換フッ素からなる群より選択され;
ここで、置換されている場合、Rは、C1~4アルキル基、C6~14アリール基、C1~4アルコキシ基、C7~14アラルキル基およびC6~14アリールC1~4アルキル基からなる群より独立して選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよい、
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、立体的に規定された(stereodefined)ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの分野に関し、かつ立体的に規定するヌクレオシドモノマー、および該モノマーを用いる立体的に規定されたオリゴヌクレオチドの合成法に関する。本明細書において、単一回の伸長サイクル内でカップリング段階および酸化段階の繰り返しがある、向上したオリゴヌクレオチド合成法が開示される。本方法は、立体的に規定されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの収率および純度の増大をもたらす。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
近年、オリゴヌクレオチドにおける立体的に規定されたホスホロチオエートヌクレオシド間結合の使用は、治療用オリゴヌクレオチドの薬理特性の最適化を可能にすることが明らかになってきた。しかし、立体的に規定されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの製造は、現在の所、立体的に規定されていないホスホロチオエートオリゴヌクレオチドに比べてかなり非効率的である。したがって、立体的に規定されたオリゴヌクレオチドの合成の効率を改善する必要がある。
【0003】
Wan et al., Nucleic Acids Research (Advance Access published November 14, 2014)(非特許文献1)は、DNAギャップ領域内にキラルホスホロチオエート連結を含む(S)cETギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドの合成を開示している。Wanらによって作製されたオリゴヌクレオチドは、オキサザホスホリジンDNAモノマーを(S)cETギャップマーに組み込んだ。DNAアミダイトをアセトニトリル/トルエン(v/v 1:1)中0.2M濃度として調製し、二重カップリング段階を用いてカップリングした。(S)cETモノマーは標準(立体的に規定していない)アミダイトであった。
【0004】
WO2014/010250(特許文献1)は、オリゴヌクレオチドに組み込まれると、対応するホスホロチオエートヌクレオシド間連結の位置でキラルに規定された立体中心を提供する、ヌクレオシドモノマーを開示している。WO2014/010250(特許文献1)において報告されたカップリング段階はアセトニトリル中で実施される。
【0005】
WO98016540(特許文献2)は、オリゴヌクレオチド合成のための改善されたカップリング活性化剤を開示している。オリゴヌクレオチド合成法は、酸化の前の二重カップリングの使用を含む。
【0006】
Ravikumar et al., Organic Process Research & Development 2008, 12, 399-410(非特許文献2)は、Unylinkerオリゴヌクレオチド支持体を開示している。
【0007】
PCT/EP2017/060985(特許文献3)は、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーの溶解性、安定性、および反応性を増大させるための向上した溶媒組成物を提供する。
【0008】
EP17163506.3(特許文献4)は、オキサザホスホリジンキラル補助基上に直交性に保護されたアミン基を含むオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーを提供する。
【0009】
本発明は、単一回の伸長合成サイクル内での多重カップリング/酸化サイクルは、伸長サイクルの最中にカップリングしたモノマーがオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーである場合に収率の増大をもたらすという知見に基づいている。収率の増大は、硫化による中間体亜リン酸トリエステルの安定化によると考えられ、これは効率的なカップリングを達成するために必要な長時間のカップリング段階では不安定であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】WO2014/010250
【文献】WO98016540
【文献】PCT/EP2017/060985
【文献】EP17163506.3
【非特許文献】
【0011】
【文献】Wan et al., Nucleic Acids Research (Advance Access published November 14, 2014)
【文献】Ravikumar et al., Organic Process Research & Development 2008, 12, 399-410
【発明の概要】
【0012】
発明の記載
本発明は、立体的に規定されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの改善された合成法を提供する。改善された方法は、単一の伸長段階内で単一のカップリング段階および単一の酸化段階を用いて達成し得るカップリング効果と比較して、単一の伸長段階内のオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーのカップリング効果の向上をもたらす。改善された方法は、単一の伸長段階内で単一のカップリング段階および単一の酸化段階を用いる立体的規定されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチド合成法と比較して、オリゴヌクレオチド収率の増大をもたらす。
【0013】
本発明は、
(a)固体支持体(例えば、unilinker)に結合されたヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドの保護された5'-ヒドロキシ末端を脱保護する段階、
(b)オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーをヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドの脱保護された5'-ヒドロキシ末端にカップリングして、亜リン酸トリエステル中間体を形成する段階、
(c)亜リン酸トリエステル中間体を硫化試薬で酸化する段階と、その後に続く任意の洗浄段階、
(d)同じ伸長サイクル内で段階(b)および(c)を繰り返す(すなわち、段階(a)の繰り返なし)段階、
(e)任意で、1回または複数回のさらなる伸長サイクルについて段階(a)~(d)を繰り返す段階、
(f)オリゴヌクレオチドを脱保護して固体支持体から切断する段階
を含む、立体的に規定されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの合成のための方法を提供する。
【0014】
適切には、いくつかの態様において、段階(d)の後でかつ段階(e)の前に、キャッピング段階を実施してもよい。
【0015】
いくつかの態様において、カップリング段階(b)は、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーをヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドの5'-末端にカップリングすることを含み、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドをオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーと反応させる段階を含み、該反応が、アセトニトリルと芳香族複素環式溶媒とを含むアセトニトリル溶媒組成物中で起こる。
【0016】
本発明の方法は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20回、またはそれ以上の回数のさらなる伸長サイクルなどの、複数回のさらなる伸長サイクル(e)を含んでもよい。
【0017】
PCT/EP2017/060985に示されているとおり、本発明の溶媒組成物(アセトニトリルおよび芳香族複素環式溶媒組成物とも呼ばれる)の使用は、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーの溶解性および安定性を増大し、これはオリゴヌクレオチド合成における有用性を増大することになり得る。いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、少なくとも24時間の間、溶媒組成物に可溶性である。本発明はさらに、本発明の方法において使用するための、本発明のモノマーとアセトニトリル溶媒組成物(アセトニトリルおよび芳香族複素環式溶媒組成物)とを含むオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーの溶液を提供する。いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーの溶液は、少なくとも24時間安定である。
[本発明1001]
(a)固体支持体に結合されたヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドの保護された5'-ヒドロキシ末端を脱保護する段階、
(b)オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーをヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドの脱保護された該5'-ヒドロキシ末端にカップリングして、亜リン酸トリエステル中間体を形成する段階、
(c)該亜リン酸トリエステル中間体を硫化試薬で酸化する段階と、その後に続く任意の洗浄段階、
(d)同じ伸長サイクル内で段階(b)および(c)を繰り返す段階、
(e)任意で、1回または複数回のさらなる伸長サイクルについて段階(a)~(d)を繰り返す段階、ならびに
(f)該オリゴヌクレオチドを脱保護して該固体支持体から切断する段階
を含む、立体的に規定された(stereodefined)ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの合成のための方法。
[本発明1002]
段階(d)を少なくとも2回実施する、本発明1001の方法。
[本発明1003]
カップリング反応がアセトニトリル溶媒組成物中で行われる、本発明1001または1002の方法。
[本発明1004]
前記アセトニトリル溶媒がアセトニトリルおよび芳香族複素環式溶媒を含む、本発明1002の方法。
[本発明1005]
複数回のさらなる伸長サイクル(e)を含む、本発明1001~1004のいずれかの方法。
[本発明1006]
前記立体的に規定されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドがアンチセンスオリゴヌクレオチドである、本発明1001~1005のいずれかの方法。
[本発明1007]
前記芳香族複素環式溶媒が、20℃の水中で4~7または7~17のpKaを有する、本発明1001~1006のいずれかの方法。
[本発明1008]
前記芳香族複素環式溶媒が芳香族複素環式塩基である、本発明1001~1007のいずれかの方法。
[本発明1009]
前記芳香族複素環式溶媒が芳香族複素環式酸である、本発明1001~1007のいずれかの方法。
[本発明1010]
前記芳香族複素環式溶媒が、ピリジン、2-ピコリン、4-ピコリン、3-ピコリン、ルチジン、およびピロールからなる群より選択される、本発明1001~1007のいずれかの方法。
[本発明1011]
前記芳香族複素環式溶媒がピリジンである、本発明1001~1010のいずれかの方法。
[本発明1012]
アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)が、約0.1%(v/v)~約50%(v/v)、例えば約0.5%~約25%である、本発明1001~1011のいずれかの方法。
[本発明1013]
アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)が、約0.5%~約10%、例えば約1%~約5%、例えば約2~4%、例えば約2.5%、または約3.5%である、本発明1001~1011のいずれかの方法。
[本発明1014]
前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、式1:
のものであり、
式中、
Zはヌクレオシドであり;
R 5 およびR 6 は独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換シクロアルキル、置換アリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択されるか、または、R 5 およびR 6 は一緒になって式1のN原子と共に、3~16個の炭素原子を含む複素環を形成し;
R 9 は水素であり;
R 1 は、水素およびC 1~3 アルキルからなる群より選択され;かつ、
Rは、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、ハロゲン、シアノ、シリル、置換シリル、スルホン、置換スルホン(アリール置換スルホン)、フルオレン、および置換フッ素からなる群より選択され;
ここで、置換されている場合、Rは、C 1~4 アルキル基、C 6~14 アリール基 C 1~4 、アルコキシ基、C 7~14 アラルキル基、C 1~4 アルキル、C 6~14 アリール基、C 1~4 アルコキシ、C 6~14 アリール基、またはC 6~14 アリールC 1~4 アルキル基からなる群より選択される基で置換されていてもよく、複数の置換は依存的にまたは独立して、C 1~4 アルキル基、C 6~14 アリール基 C 1~4 、アルコキシ基、C 7~14 アラルキル基、C 1~4 アルキル、C 6~14 アリール基、C 1~4 アルコキシ、C 6~14 アリール基、またはC 6~14 アリールC 1~4 アルキル基からなる群より選択されてもよい、
本発明1001~1013のいずれかの方法。
[本発明1015]
前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーがL-LNAグアニンモノマーであり、グアニン残基における環外窒素が、イソブチリルなどのアシル基で保護されている、本発明1001~1014のいずれかの方法。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】選択した溶媒中の様々なLおよびDヌクレオシドモノマーの安定性。3=比較的不安定、2=中間の安定性、1=比較的安定。
図2】選択した溶媒中の様々なLおよびDヌクレオシドモノマーの溶解性。
図3】様々な溶媒中で24時間後に測定したL-LNA-G-iBuモノマー(3a)およびL-LNA-G-DMFモノマーの安定性(実施例6参照)。
図4】アセトニトリル溶媒への5%ピリジンの添加は、通常のホスホラミダイトのカップリング効果を低減させる。
図5】トリエチルアミンありおよびなしでのL-LNA-Aの安定性。トリエチルアミンはL-LNA Aモノマーを安定化する。
図6】立体的に規定されたL-LNA-Aオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーおよび様々な異なるアミン塩基を用いたモデルシステムにおける相対的カップリング効率。
図7】様々な溶媒中の様々なオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーを用いたモデルシステムにおける相対的カップリング効率。追加のモノマーをさらに試験することにより、ピリジン添加の溶解性増大効果は、一連のモノマーを通じて普遍的であることが明らかである。D-LNA A、D-DNA A、およびL-DNA Aの場合と同様、これらのモノマーはMeCN中、24時間後に可溶性ではない。しかし、ピリジンの添加により、モノマーの溶解性は保存される。反応性の増大もD-DNA AおよびL-LNA Tでは見られるが、L-DNA AおよびD-LNA Aは同等の様式で反応する。
図8】2.5%ピリジンありおよびなしでの全長生成物の変換。
図9】ピリジンありおよびなしでの理論収率(%) - 13mer。
図10】ピリジンありおよびなしでの理論収率(%) - 16mer。
図11】立体的に規定されていないホスホアミデートカップリングで達成されたものに近づく変換率を2.5%ピリジンがもたらすことを示す、ピリジンなし、100%ピリジン溶媒存在、および2.5%ピリジン存在の下での全長生成物への変換。
図12】例示的なオキサザホスホリジンホスホラミダイトDNAモノマーM1~M8。Ac=アセチル保護基、Bz=ベンゾイル保護基。
図13】R1=メチル;Ac=アセチル保護基、Bz=ベンゾイル保護基である、例示的なオキサザホスホリジンホスホラミダイトDNAモノマーM9~M16。
図14】例示的なオキサザホスホリジンホスホラミダイトLNAモノマーM17~M24。Ac=アセチル保護基、Bz=ベンゾイル保護基。
図15】例示的なオキサザホスホリジンホスホラミダイトLNAモノマーM25~M32;ここでR1=メチル;Ac=アセチル保護基、Bz=ベンゾイル保護基。
図16】R1は水素およびメチルより選択され;Reは、SまたはR配置のいずれでもよいが、好ましくはS配置のメチル((S)Cet)であり、Ac=アセチル保護基、Bz=ベンゾイル保護基である、例示的なオキサザホスホリジンホスホラミダイトLNAモノマーM32~M40。
図17】例示的なオキサザホスホリジンホスホラミダイトDNAモノマー(式33~40)。A=アデニンであり、これは例えばアセチルまたはベンゾイルで任意で保護されていてもよく;T=チミン;C=シトシンであり、これは任意で5-メチルシトシンであり得、シトシンまたは5-メチルシトシンは例えばベンゾイルまたはアセチルで任意で保護されていてもよく;G=グアニンであり、これは例えばiBuなどのアシルまたはDMFで任意で保護されていてもよく;R3は、CH2ODMTr、CH2-アルキル-O-DMTr、CH-Me-O-DMTr、CH2OMMTr、CH2-アルキル-O-MMTr、CH(Me)-O-MMTr、CH-Ra-O-DMTrRb、およびCH-Ra-O-MMTrRbからなる群より選択され、好ましくは-CH2-O-DMTrであり;Rはアリール、好ましくはフェニルであり;R1は水素またはメチルであり;R9は水素である。
図18】例示的なオキサザホスホリジンホスホラミダイトLNAモノマー(式41~48)。A=アデニンであり、これは例えばアセチルまたはベンゾイルで任意で保護されていてもよく;T=チミン;C=シトシンであり、これは任意で5-メチルシトシンであり得、シトシンまたは5-メチルシトシンは例えばベンゾイルまたはアセチルで任意で保護されていてもよく;G=グアニンであり、これは例えばL-LNA-Gモノマーに対するiBuなどのアシル、またはD-LNA-Gモノマーに対するアシル(iBuなどの)もしくはDMFのいずれかで任意で保護されていてもよく;R3は、CH2ODMTr、CH2-アルキル-O-DMTr、CH-Me-O-DMTr、CH2OMMTr、CH2-アルキル-O-MMTr、CH(Me)-O-MMTr、CH-Ra-O-DMTrRb、およびCH-Ra-O-MMTrRbからなる群より選択され、好ましくは-CH2-O-DMTrであり;Rはアリール、好ましくはフェニルであり;R1は水素またはメチルであり;R9は水素である。
図19】2.5%ピリジンありまたはなしでのアセトニトリル中、様々なオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーを用いたモデルシステムにおける相対的カップリング効率。図は、L-LNA-G、L-LNA-C、D-DNA-Cのカップリング効果がカップリング溶媒中の2.5%ピリジンの存在によって顕著に改善され、試験した残りのモノマーについては、ピリジンの添加はカップリング効果を改善する(例えば、L-DNA-TまたはL-DNA-C)か、カップリング効果に有害な影響を与えなかったかのいずれかであることを示し、また、モノマーに対するピリジンの溶解性および安定性の利点を考慮して、ピリジンなどの複素環式塩基溶媒を含むカップリング溶媒を用いる利点を示す結果は、すべてのモノマーについて見られる。
図20】多重カップリング(例えば、CCCOW、CCCCOW、またはCCCCCOW)はオリゴヌクレオチド収率の低下をまねくという知見。
図21】酸化前にカップリングした中間体の不安定性に対して提唱されるメカニズム。
図22】1、2、および3は、オリゴヌクレオチド合成機における3つの別々の位置を示す。結果間の位置による変動を避けるために、各位置はそれ自体とのみ比較する。ここで、すべての場合にCOWCOWサイクルは「通常」サイクルと比べて相対的カップリング効率を改善することが認められる。
図23図22からの結果をここで要約し、標準誤差を用いて統計的に評価した。ここで、COWCOWサイクルは「通常」サイクルよりも有意に良好であり、したがってCOWCOWカップリングサイクルの重要性の基礎をなすことが認められる。カラム1: カップリング×3、酸化、キャッピング、およびDMTr脱保護の通常のカップリングサイクルを使用。カラム2: カップリング、酸化、洗浄、カップリング、酸化洗浄、カップリング、酸化洗浄(COWCOWCOW)、DMTr脱保護からなる、COWCOWとして公知の改変カップリングサイクルを使用。1: 通常のカップリング。2: 本発明の向上したカップリングサイクル。
図24】本発明のカップリングおよび酸化の繰り返しオリゴヌクレオチド合成法の例。
図25】実施例20に概略を示す(dT)9オリゴヌクレオチドにおけるL-DNA Tモノマーのカップリング効率を示すクロマトグラム。
図26】実施例20に概略を示す(dT)15オリゴヌクレオチドにおけるL-DNA Cモノマーのカップリング効率を示すクロマトグラム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
本明細書において用いられる「アリール」なる用語は、環を形成する各原子が炭素原子である芳香環を意味する。アリール環は、5、6、7、8、9個、または9個を超える炭素原子によって形成される。アリール基は置換または無置換である。1つの局面において、アリールはフェニルまたはナフタレニルである。構造に応じて、アリール基はモノラジカルまたはジラジカル(すなわち、アリーレン基)であり得る。1つの局面において、アリールはC6~10アリールである。いくつかの態様において、アリールはフェニルである。置換されている場合、アリールは、C1~4アルキル基、C6~14アリール基 C1~4、アルコキシ基、C7~14アラルキル基、C1~4アルキル、C6~14アリ-ル基、C1~4アルコキシ、C6~14アリール基、またはC6~14アリールC1~4アルキル基からなる群より選択される基で置換されていてもよい。複数の置換は依存的にまたは独立して、C1~4アルキル基、C6~14アリール基 C1~4、アルコキシ基、C7~14アラルキル基、C1~4アルキル、C6~14アリール基、C1~4アルコキシ、C6~14アリール基、もしくはC6~14アリールC1~4アルキル基;またはヨウ化物、フッ化物、臭化物もしくは塩化物などのハロゲン化物からなる群より選択される基、例えばヨウ化物、フッ化物、臭化物もしくは塩化物などのハロゲン化物で置換されたフェニルからなる群より選択されてもよい。
【0020】
「アルキル」基は、脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル部分は飽和アルキル基(任意の不飽和の単位、例えば、炭素-炭素二重結合または炭素-炭素三重結合を含まないことを意味する)であってもよいか、またはアルキル部分は不飽和アルキル基(少なくとも1つの不飽和の単位を含むことを意味する)であってもよい。アルキル部分は、飽和または不飽和のいずれの場合も、分枝、直鎖であり得、または環式部分を含み得る。アルキルの結合点は、環の一部ではない炭素原子にある。「アルキル」部分は1~10個の炭素原子を有し得る(本明細書において出現する場合はいつでも、「1~10」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し;例えば、「1~10個の炭素原子」は、アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大10個までの炭素原子からなり得るが、本定義は数値範囲が指定されていない「アルキル」なる用語の出現も含むことを意味する)。アルキルは、分枝および直鎖アルキル基の両方を含む。本明細書に記載の化合物のアルキル基は、「C1~6アルキル」または同様の呼称として示してもよい。例示にすぎないが、「C1~6アルキル」は、アルキル鎖中に1、2、3、4、5、または6個の炭素原子が存在することを示し、すなわち、アルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチルからなる群より選択される。典型的なアルキル基には、決してこれらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、アリル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルなどが含まれる。1つの局面において、アルキルはC1~6もしくはC1~4アルキルまたはC1~3アルキルである。C1~3アルキル基は、1~3個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基を意味する。C1~4アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルである。C1~3アルキル基は、1~4個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基を意味する。C1~3アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、およびtert-ブチルである。
【0021】
「アルケニル」基は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む直鎖、分枝鎖、および環式炭化水素基である。アルケニル基は置換されていてもよい。
【0022】
「アルキニル」基は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む直鎖、分枝鎖、および環式炭化水素基である。アルキニル基は置換されていてもよい。
【0023】
「アルコキシ」基は、酸素に結合されたアルキル基、すなわち(アルキル)-O-基を意味し、ここでアルキルは本明細書の定義のとおりである。例には、メトキシ(-OCH3)またはエトキシ(-OCH2CH3)基が含まれる。
【0024】
「アルケニルオキシ」基は、酸素に連結されたアルケニル基、すなわち(アルケニル)-O-基を意味し、ここでアルケニルは本明細書の定義のとおりである。
【0025】
「アルキニルオキシ」基は、酸素に連結されたアルキニル基、すなわち(アルキニル)-O-基を意味し、ここでアルキニルは本明細書の定義のとおりである。
【0026】
「アリールオキシ」基は、酸素に連結されたアリール基、すなわち(アリール)-O-基を意味し、ここでアリールは本明細書の定義のとおりである。例にはフェノキシ(-OC6H5)基が含まれる。
【0027】
「シリル」とは、H3Si-を意味する。本明細書において用いられる「置換シリル」は、シリルの1つまたは複数の水素が置換された部分を意味する。例には、TBDMS{tert-ブチルジメチルシリル)、TBDPS(tert-ブチルジフェニルシリル)またはTMS{トリメチルシリル)基が含まれるが、それらに限定されない。
【0028】
「ハロゲン」なる用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含むことが意図される。「ハロゲン化物」なる用語は、フッ化物、臭化物、ヨウ化物および塩化物を含む。
【0029】
「アシル保護基」は、アシル基-C(=O)-R7を含み、ここでR7は末端基、例えば、アルキル-、アルキル-、アルケニル-、アルキニル-、シクロアルキル-、およびアリール基より選択される基;または無置換アルキル-、無置換アルケニル-、無置換アルキニル-、無置換シクロアルキル-、もしくは無置換アリール基より選択される基;または置換アルキル-、置換アルケニル-、置換アルキニル-、置換シクロアルキル-、もしくは置換アリール基より選択される基である。いくつかの態様において、R7は、無置換C1~6-アルキル-、無置換C2~6-アルケニル-、無置換C2~6-アルキニル-、無置換C3~7-シクロアルキル-もしくは無置換フェニル基または置換C1~6-アルキル-、置換C2~6-アルケニル-、置換C2~6-アルキニル-、置換C3~7-シクロアルキル-もしくは置換フェニル基からなる群より選択されてもよく;ここで置換されている場合、置換基は、例えばハロゲン、C1~6-アルキル、C2~6-アルケニル、C2~6-アルキニル、C1~6-アルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシまたは置換されていてもよいアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基で一置換または多置換されていてもよい。いくつかの態様において、アシル保護基は、イソブツリル(isobuturyl)(-C(O=)CH(CH3)2)(本明細書においてiBuとも呼ばれる)である。イソブツリルなる用語は、イソブチリル(isobutyryl)とつづってもよい。
【0030】
オキサザホスホリジンホスホラミダイト
本発明の方法は、オキサザホスホリジンホスホラミダイトをヌクレオシドまたはヌクレオチドにカップリングする段階を含む。いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイト(ヌクレオシドモノマーとも呼ばれる)は、式1:
のものであり、
式中、
Zはヌクレオシドであり;
R5およびR6は独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換シクロアルキル、置換アリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択されるか、または、R5およびR6は一緒になって式1のN原子と共に、3~16個の炭素原子を含む複素環を形成し;
R9は水素であり;
R1は、水素およびC1~3アルキルからなる群より選択され;かつ、
Rは、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、ハロゲン、シアノ、シリル、置換シリル、スルホン、置換スルホン(アリール置換スルホン)、フルオレン、および置換フッ素からなる群より選択され;
ここで、置換されている場合、Rは、C1~4アルキル基、C6~14アリール基 C1~4、アルコキシ基、C7~14アラルキル基、C1~4アルキル、C6~14アリール基、C1~4アルコキシ、C6~14アリール基、またはC6~14アリールC1~4アルキル基からなる群より選択される基で置換されていてもよい。複数の置換は依存的にまたは独立して、C1~4アルキル基、C6~14アリール基 C1~4、アルコキシ基、C7~14アラルキル基、C1~4アルキル、C6~14アリール基、C1~4アルコキシ、C6~14アリール基、またはC6~14アリールC1~4アルキル基からなる群より選択されてもよい。
【0031】
式1のヌクレオシドのRおよびR1(R/R1)基は立体中心を提供し、これはオリゴヌクレオチドに組み込まれると、ヌクレオシドに対して3'のSp立体的に規定されたホスホロチオエート基の形成をもたらす。
【0032】
いくつかの態様において、式1aに示すとおり、立体中心はL配置である。いくつかの態様において、式1bに示すとおり、立体中心はD配置である。
【0033】
式1aに示すRおよびR1基によって作られた立体中心を含むモノマーは本明細書においてLモノマーと呼ばれ、これはSp立体中心の形成をもたらす。式1bに示すRおよびR1基によって作られた立体中心を含むモノマーは本明細書においてDモノマーと呼ばれ、これはRp立体中心の形成をもたらす。
【0034】
置換されている場合、Rは、C1~4アルキル基、C6~14アリール基 C1~4、アルコキシ基、C7~14アラルキル基、C1~4アルキル、C6~14アリール基、C1~4アルコキシ、C6~14アリール基、またはC6~14アリールC1~4アルキル基からなる群より選択される基で置換されていてもよい。複数の置換は依存的にまたは独立して、C1~4アルキル基、C6~14アリール基 C1~4、アルコキシ基、C7~14アラルキル基、C1~4アルキル、C6~14アリール基、C1~4アルコキシ、C6~14アリール基、またはC6~14アリールC1~4アルキル基からなる群より選択されてもよい。
【0035】
いくつかの態様において、Rは、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、ハロゲン、シアノ、シリル、置換シリル、スルホン、置換スルホン(アリール置換スルホン)、フルオレン、および置換フッ素からなる群より選択される。
【0036】
いくつかの態様において、Rは、アリール、ヘテロアリール、置換アリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択される。
【0037】
いくつかの態様において、Rはフェニルなどのアリールである。
【0038】
いくつかの態様において、Rが置換アリールである場合、Rはヨウ化物、フッ化物、臭化物もしくは塩化物などのハロゲン化物、例えばヨウ化物、フッ化物、臭化物もしくは塩化物などのハロゲン化物で置換されたフェニルで置換されていてもよい。
【0039】
いくつかの態様において、R1は水素である。いくつかの態様において、R1は、メチル、エチルまたはプロピルなどのC1~3アルキルである。いくつかの態様において、R1はメチルである。
【0040】
いくつかの態様において、Rはフェニルなどのアリールであり、かつR1は水素である。
【0041】
いくつかの態様において、Rはフェニルなどのアリールであり、かつR1は、メチル、エチルまたはプロピルなどのC1~3アルキルである。
【0042】
いくつかの態様において、Rは、
であり、ここで、G31、G32、およびG33は独立して、C1~4アルキル、C6~14アリールC1~4アルコキシ、C7~14アラルキル、C1~4アルキルC6~14アリール、C1~4アルコキシC6~14アリール、およびC6~14アリールC1~4アルキルからなる群より選択される。
【0043】
いくつかの態様において、Rは、
であり、ここで、G21、G22、およびG23は独立して、水素、ニトロ、ハロゲン、シアノ、またはC1~3アルキルである。
【0044】
いくつかの態様において、Rは、
であり、ここで、G51、G52、およびG53は独立して、水素、ニトロ、ハロゲン、シアノ、またはC1~3アルキル、もしくはC1~3アルキルオキシ基である。
【0045】
いくつかの態様において、R5およびR6は一緒になって、複素環(式1に示す環窒素と共に)-二環式オキサザホスホリジンホスホラミダイトと呼ばれるヌクレオシドモノマーを形成する。複素環は、例えば3~16個の炭素原子、例えば4個の炭素原子を含んでもよい。
【0046】
直交性に保護されたオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマー
EP17163506.3は、参照により本明細書に組み入れられ、オキサザホスホリジンキラル補助基上に直交性に保護されたアミン基を含むオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーを提供する。いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは直交性に保護されたオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーである。
【0047】
二環式オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマー
いくつかの態様において、モノマーは二環式オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーであり、例えば、いくつかの態様において、R5およびR6は一緒になって複素環を形成する。いくつかの態様において、R5およびR6は一緒になって複素環(式1に示す環窒素と共に)を形成し、これは4個の炭素原子を含み、複素環中の原子の合計を5個とする(式1に示す4個の炭素および窒素)。例えば、本発明の化合物は、式2aまたは2b:
のものであってもよく、式中、R、R1、R9、およびZは式1のとおりである。
【0048】
いくつかの態様において、R5およびR6は一緒になって複素環(式Iに示す環窒素と共に)を形成し、これは4個の炭素原子を含み、複素環中の原子の合計を5個とし(式1に示す4個の炭素および窒素)、かつRはフェニルなどのアリールであり、R1は水素またはメチルである。R9は水素である。
【0049】
上記のZ基は、ヌクレオシドの3'酸素が式1、1a、1b、2a、または2bに示す環外酸素である、ヌクレオシドである。いくつかの態様において、Z基はLNAヌクレオシド部分である。いくつかの態様において、Z基はDNAヌクレオシド部分である。いくつかの態様において、本発明の化合物は、したがって、式3aまたは3b:
の化合物として表してもよく、
式中、
R、R1、R5、R6、およびR9は本発明の化合物のとおりであり;
Bは核酸塩基である。
【0050】
いくつかの態様において、Bは、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン、ヒポキサンチン、5-メチルシトシン、イソシトシン、プソイドイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリン、および2-クロロ-6-アミノプリンからなる群より選択される核酸塩基である。
【0051】
いくつかの態様において、Bはプリン核酸塩基である。いくつかの態様において、Bはピリミジン核酸塩基である。いくつかの態様において、Bはアデニンである。いくつかの態様において、Bはチミジンである。いくつかの態様において、Bはグアニンである。いくつかの態様において、Bはシトシンである。いくつかの態様において、Bがシトシンである場合、それは5-メチル-シトシンである。
【0052】
いくつかの態様において、例えば、モノマーが、例えば式20または22のD-DNAモノマーである場合、Bはシトシン以外である。いくつかの態様において、例えば、モノマーがD-DNA-Cである場合、Bはアセチル(Ac)保護シトシン以外である。
【0053】
オリゴヌクレオチド合成において用いるために、アミダイトモノマーにおいて、核酸塩基基Bを保護してもよい(チミジンは保護基なしで用いることが多い)ことが理解されるべきである。適切な保護基には、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメトキシトリチル(DMT)またはイソブチリル(iBu)、もしくはアセチル保護基(Ac)もしくはベンゾイル保護基(Bz)などのアシル保護基が含まれる。
【0054】
いくつかの態様において、例えば、モノマーがL-LNA-Gである場合、BはDMF保護グアニン(G)以外である。R3は、CH2ODMTr、CH2-アルキル-O-DMTr、CH-Me-O-DMTr、CH2OMMTr、CH2-アルキル-O-MMTr、CH(Me)-O-MMTr、CH-Ra-O-DMTrRb、およびCH-Ra-O-MMTrRbからなる群より選択され;
R2は、ハロ、例えば-F、アミノ、アジド、-SH、-CN、-OCN、-CF3、-OCF3、-O(Rm)-アルキル、-S(Rm)-アルキル、-N(Rm)-アルキル、-O(Rm)-アルケニル、-S(Rm)-アルケニル、-N(Rm)-アルケニル;-O(Rm)-アルキニル、-S(Rm)-アルキニルまたは-N(Rm)-アルキニル;O-アルキレニル-O-アルキル、アルキニル、アルカリール、アラルキル、O-アルカリール、O-アラルキル、O(CH2)2SCH3、O-(CH2)2-O-N(Rm)(Rn)またはO-CH2C(=O)-N(Rm)(Rn)、-O-(CH2)2OCH3、および-O-CH3からなる群より選択され、ここで、各RmおよびRnは独立して、H、アミノ保護基、または置換もしくは無置換C1~10アルキルであり;
R4は、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、O-アルキル、S-アルキル、NH-アルキル、および水素からなる群より選択され;いくつかの態様において、R4は水素である。いくつかの態様において、R4は水素であり、かつR2は、-O-CH3および-O-(CH2)2OCH3からなる群より選択される。
【0055】
または、いくつかの態様において、R2およびR4は一緒になって、-C(RaRb)-、-C(Ra)=C(Rb)、-C(Ra)=N、O、-Si(Ra)2-、S-、-SO2-、-N(Ra)-、および>C=Zからなる群より選択される、1、2、3つの基/原子からなるなどの、二価の架橋を示し;
ここで、Raおよび存在する場合にはRbはそれぞれ独立して、水素、置換されていてもよいC1~6-アルキル、置換されていてもよいC2~6-アルケニル、置換されていてもよいC2~6-アルキニル、ヒドロキシ、置換されていてもよいC1~6-アルコキシ、C2~6-アルコキシアルキル、C2~6-アルケニルオキシ、カルボキシ、C1~6-アルコキシカルボニル、C1~6-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ-カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ(C1~6-アルキル)アミノおよびジ(C1~6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ(C1~6-アルキル)-アミノ-カルボニルおよびジ(C1~6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C1~6-アルキル-アミノカルボニル、モノ(C1~6-アルキル)アミノ-C1~6-アルキル-アミノカルボニルおよびジ(C1~6-アルキル)アミノ-C1~6-アルキル-アミノカルボニル、C1~6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C1~6-アルカノイルオキシ、スルホノ、C1~6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1~6-アルキルチオ、ハロゲンより選択され、ここでアリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、かつここで2つのジェミナルの置換基RaおよびRbは一緒になって、置換されていてもよいメチレン(=CH2)を示してもよく、ここですべてのキラル中心について、不斉基はRまたはS配向のいずれかで見い出されてもよい。
【0056】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド中に組み込まれている場合、ヌクレオシド(Z)は、等価のDNAヌクレオシドよりも、相補的RNA標的に対する高い結合親和性を付与する。そのようなヌクレオシドは高親和性ヌクレオシドと呼ばれる。高親和性ヌクレオシドの例には、2'-O-MOE、2'-フルオロ、2'-O-メチル、およびLNAヌクレオシドが含まれる。ヌクレオシドが高親和性ヌクレオシドである態様において、R3は、例えば、CH2-O-DMTrまたはCH2-O-MMTrであってもよい。
【0057】
いくつかの態様において、R2は、フルオロ(-F)、-O-(CH2)2OCH3、および-O-CH3などの-O-C1~3アルキルからなる群より選択される。そのような態様において、任意でR4は水素である。
【0058】
いくつかの態様において、ヌクレオシドは2'-4'架橋(ビラジカル)を含むLNAヌクレオシド(二環式ヌクレオシドとしても公知)である。
【0059】
いくつかの態様において、R2およびR4は一緒になって、架橋-C(RaRb)-O-、-C(RaRb)C(RaRb)-O-、-CH2-O-、-CH2CH2-O-、-CH(CH3)-O-からなる群より選択される二価の架橋を示す。いくつかの態様において、R2およびR4は二価の架橋-CH2-O-(メチレン-オキシ、オキシ-LNAとしても公知)または-CH(CH3)-O-(メチル-メチレン-オキシ)を示す。-CH(CH3)-O-架橋は架橋内の炭素原子でキラル中心を導入し、いくつかの態様において、これはS位である(例えば、当技術分野において(S)cETとして公知のヌクレオシド-EP1984381参照))。いくつかの態様において、R2およびR4は二価の架橋-CH2-O-を示し、ここで架橋はβ-D位(β-D-オキシLNA)である。いくつかの態様において、R2およびR4は二価の架橋-CH2-O-を示し、ここで架橋はα-L位(α-L-D-オキシLNA)である。いくつかの態様において、R2およびR4は二価の架橋-CH2-S-(チオLNA)、または-CH2-NH2-(アミノLNA)を示す。R2およびR4が一緒になって二価の架橋を示す態様において、R3は、例えば、CH2-O-DMTrまたはCH2-O-MMTrであってもよい。
【0060】
ヌクレオシド(Z)がβ-D-オキシLNAなどの二環式ヌクレオチド(LNA)であるいくつかの態様において、Rはフェニルなどのアリールであり、かつR1は水素またはC1~3アルキルである。そのような態様において、R5およびR6は一緒になって、本明細書に記載の5員複素環などの複素環を形成してもよい(例えば、式2aおよび2b参照)。
【0061】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、式4a、4b、5a、5b、6a、6b、7a、および7b:
からなる群より選択される。
【0062】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、式8a、8b、8c、もしくは8dまたは式9a、9b、9c、もしくは9d:
からなる群より選択される。
【0063】
いくつかの態様において、核酸塩基BはBz保護アデニンなどのアデニンである。いくつかの態様において、核酸塩基Bはチミンである。いくつかの態様において、モノマーはD-DNA-Aモノマーである(例えば、モノマーは式9cのものであり、かつ核酸塩基BはBz保護アデニンなどのアデニンである)。実施例は、D-DNA-Aモノマー(例えば、式9cの)、L-LNA-AモノマーおよびL-LNA-Tモノマー(例えば、式8aまたは8bの)は、本発明に従い、アセトニトリル/芳香族複素環式溶媒中で用いると、カップリングの改善を示すことを示す。
【0064】
DMF保護L-LNA-G
PCT/EP2017/060985に示されるとおり、DMF保護L-LNA-Gモノマーはアセトニトリル溶媒に難溶性である。L-LNAモノマーは、モノマーのキラル補助基の立体化学、またはモノマーがオリゴヌクレオチドに組み込まれた場合に形成するヌクレオシド間連結の立体化学のいずれかによって規定され得る(2つの特徴は構造的に連関し、LモノマーはSpホスホロチオエート連結の生成をもたらす)。L-LNAモノマーは式3aで表され、ここでR4およびR2形態において、R2およびR4は一緒になって二価の架橋を示す。例えば、式4a、5a、8a、および8bのモノマー参照。
【0065】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、DMF保護グアニン核酸塩基を含むL-LNAモノマーではない。
【0066】
いくつかの態様において、DMF保護グアニン基(B)は、以下の構造:
を有する。
【0067】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、式11および12:
のモノマーではなく、式中、R、R1、R3、R5、R6、およびR9は式1のモノマーのとおりであり、かつここで式11のモノマーについて、XおよびYは一緒になって、二価の架橋(例えば、本明細書のR2およびR4のとおり、例えば架橋-C(RaRb)-O-、-C(RaRb)C(RaRb)-O-、-CH2-O-、-CH2CH2-O-、-CH(CH3)-O-からなる群より選択される架橋を示す。いくつかの態様において、XおよびYは、二価の架橋-CH2-O-(メチレン-オキシ、オキシ-LNAとしても公知)または-CH(CH3)-O-(メチル-メチレン-オキシ)を示す。-CH(CH3)-O-架橋は、架橋内の炭素原子でキラル中心を導入し、いくつかの態様において、これはS位である(例えば、当技術分野において(S)cETとして公知のヌクレオシド-EP1984381参照))。いくつかの態様において、XおよびYは二価の架橋-CH2-O-を示し、ここで架橋はβ-D配置(β-D-オキシLNA)である。いくつかの態様において、XおよびYは二価の架橋-CH2-O-を示し、ここで架橋はα-L配置(α-L-D-オキシLNA)である。いくつかの態様において、XおよびYは二価の架橋-CH2-S-(チオLNA)、または-CH2-NH2-(アミノLNA)を示す。XおよびYが一緒になって二価の架橋を示す態様において、R3は、例えば、CH2-O-DMTrまたはCH2-O-MMTrであってもよい。
【0068】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、式13および14:
のモノマーではなく、式中、X、Y、R、R1、R9、およびR3は式11および12のとおりである。グアニン塩基の環外酸素は、例えば、シアノ基で任意で保護されてもよい。
【0069】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、式15および16:
のモノマーではなく、式中、X、Y、R1、およびR3は式11および12のとおりである。グアニン塩基の環外酸素は、例えば、シアノ基で任意で保護してもよい。式15または16のいくつかの態様において、R1は水素である。式15または16のいくつかの態様において、R3はCH2-O-DMTrまたはCH2-O-MMTrである。いくつかの態様において、本発明のオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーはアシル保護ヌクレオシド(Z)を含む。
【0070】
アシル保護L-LNA-G
実施例に示すとおり、DMF保護L-LNA-Gモノマーはアセトニトリル溶媒に難溶性である。しかし、本発明者らは、L-LNA-Gモノマーのグアニンヌクレオシド上のアシル保護基の使用は、溶解性の問題を克服することを確認した。いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、イソブチリル保護グアニンなどの、アシル保護グアニン核酸塩基を含むL-LNAモノマーである。いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、式23、24、25、26、27、28、29、または30のL-LNA-Gモノマーである。
式中、R、R1、R2、R3、R4、R5、R9、およびR6は本発明の化合物のとおりであり、かつ-C(=O)-R7はグアニン塩基の環外窒素上のアシル保護基であり、かつR8は、存在する場合には、グアニン環外酸素上の保護基である。いくつかの態様において、R8はシアノエチルである。いくつかの態様において、Rはフェニルであり、R1は水素またはメチルであり、かつR3は任意でCH2-O-DMTrまたはCH2-O-MMTrである。いくつかの態様において、R7はイソブチリルである。式31および32において、YおよびXは式11のとおりである。
【0071】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、L-LNA-T、D-DNA-A、D-DNA-C、L-LNA-C、ならびにL-LNA-G(DMF保護L-LNA-G以外)またはL-DNA-CおよびL-DNA-Tオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーからなる群より選択される。実施例に示すとおり、これらのモノマーは、一般にオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーで見られる溶解性および安定性の利点に加えて、本発明のカップリング溶媒組成物中で用いると、カップリング効果の改善を示す。
【0072】
溶媒組成物(溶液)
いくつかの態様において、本発明の方法のカップリング段階(b)は、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーとアセトニトリルと芳香族複素環式溶媒とを含むアセトニトリル溶液を用いる。
【0073】
いくつかの態様において、アセトニトリル溶液は活性化剤をさらに含む。ホスホラミダイトオリゴヌクレオチド合成において用いるための多くの活性化剤が公知であり-それらは典型的には、1H-テトラゾール、5-エチルチオ-1H-テトラゾール、2-ベンジルチオテトラゾール、および4,5-ジシアノイミダゾールなどの、酸性アゾール触媒を含む。
【0074】
いくつかの態様において、芳香族複素環式溶媒は約4~約7のpKaを有する。いくつかの態様において、芳香族複素環式溶媒は20℃の水中で約7~約17のpKaを有する。
【0075】
いくつかの態様において、芳香族複素環式溶媒は芳香族複素環式塩基である。
【0076】
いくつかの態様において、芳香族複素環式溶媒は芳香族複素環式酸である。
【0077】
いくつかの態様において、芳香族複素環式溶媒はピリジン、2-ピコリン、4-ピコリン、3-ピコリン、ルチジン、およびピロールからなる群より選択される。
【0078】
いくつかの態様において、芳香族複素環式溶媒はピリジンである。
【0079】
いくつかの態様において、芳香族複素環式溶媒はピロールである。
【0080】
いくつかの態様において、芳香族複素環式溶媒は3-ピコリンである。
【0081】
いくつかの態様において、アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)は、約0.1%(v/v)~約50%(v/v)である。いくつかの態様において、アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)は、約0.5%(v/v)~約40%(v/v)である。いくつかの態様において、アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)は、約0.5%(v/v)~約30%(v/v)である。いくつかの態様において、アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)は、約0.5%(v/v)~約25%(v/v)である。いくつかの態様において、アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)は、約0.5%(v/v)~約10%(v/v)である。いくつかの態様において、アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)は、約0.5%(v/v)~約5%(v/v)である。いくつかの態様において、アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)は、約1%(v/v)~約5%である。いくつかの態様において、アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)は、約1%(v/v)~約4%(v/v)である。いくつかの態様において、アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)は、約0.5%(v/v)~約10%(v/v)、例えば約1%(v/v)~約5%(v/v)、例えば約2~3%(v/v)、例えば約2.5%(v/v)である。これらの態様において、任意で芳香族複素環式塩基溶媒はピリジンである。
【0082】
芳香族複素環式溶媒がピリジンであるいくつかの態様において、アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)は、約0.5%~約10%、例えば約1%~約5%、例えば約2~3%、例えば約2.5%もしくは約3.5%、または約2~4%である。
【0083】
芳香族複素環式溶媒がピロールであるいくつかの態様において、アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)は、約0.5%~約10%、例えば約1%~約5%、例えば2~4%もしくは約2~3%、例えば約2.5%である。
【0084】
芳香族複素環式溶媒が3-ピコリンであるいくつかの態様において、アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)は、約0.5%~約10%、例えば約1%~約5%、例えば2~4%もしくは約2~3%、例えば約2.5%である。
【0085】
活性化剤
活性化剤は、固体支持体またはオリゴヌクレオチド鎖に結合した5'末端基にモノマーをカップリングさせるためにホスホラミダイトモノマーを活性化する、オリゴヌクレオチド合成のカップリング段階の前または最中に用いる試薬である。
【0086】
いくつかの態様において、段階(b)において用いるカップリング溶媒は活性化剤をさらに含む。
【0087】
いくつかの態様において、活性化剤は、CMPT(N-(シアノメチル)ピロリジニウムトリフレート(CMPT)、N-(フェニル)イミダゾリウムトリフレート(PhIMT)、ベンズイミダゾリウムトリフレート(BIT)、4,5-ジシアノイミダゾール(DCI)、テトラゾール、および5-(ベンジルチオ)-1H-テトラゾールからなる群より選択される。
【0088】
いくつかの態様において、活性化剤は4,5-ジシアノイミダゾール(DCI)である。
【0089】
いくつかの態様において、溶媒組成物は、約0.5~約2M DCI(または請求項13に記載の他の活性化剤)、例えば約1M DCI(または請求項13に記載の他の活性化剤)を含む。
【0090】
いくつかの態様において、溶媒組成物は、N-メチルイミダゾール、例えば0.01~約1M N-メチルイミダゾール、例えば約0.1M N-メチルイミダゾールの濃度のN-メチルイミダゾールをさらに含む。
【0091】
いくつかの態様において、活性化剤はN-メチルイミダゾールを含む。いくつかの態様において、活性化剤は4,5-ジシアノイミダゾール(DCI)、テトラゾール、または5-(ベンジルチオ)-1H-テトラゾールを含む。いくつかの態様において、活性化剤は4,5-ジシアノイミダゾール(DCI)、テトラゾール、または5-(ベンジルチオ)-1H-テトラゾールおよびN-メチルイミダゾールを含む。
【0092】
いくつかの態様において、用いるN-メチルイミダゾールの濃度は、0.01M~約1M N-メチルイミダゾール、例えば約0.1M N-メチルイミダゾールである。いくつかの態様において、アセトニトリル溶液は、0.01M~約1M N-メチルイミダゾール、例えば約0.1M N-メチルイミダゾールの濃度のN-メチルイミダゾールを含む。
【0093】
いくつかの態様において、活性化剤はDCIもしくはテトラゾール、または5-(ベンジルチオ)-1H-テトラゾールであり、これは約0.5~約2M、例えば約1Mの濃度(例えば、本発明のアセトニトリル溶液中)で用いてもよい。
【0094】
いくつかの態様において、活性化剤は4,5-ジシアノイミダゾール(DCI)である。いくつかの態様において、溶媒組成物は約0.5~約2M DCI、例えば約1M DCIを含む。カップリング効果を最適化するために、実施例に示すとおり、用いる活性化剤の量を最適化することが必須であり得ることが理解されるであろう。いくつかの態様において、用いるDCI活性化剤の濃度は0.5M~1M DCIである。いくつかの態様において、活性化剤がDCIである場合、溶媒組成物は、N-メチルイミダゾール(NMI)、例えば0.01~約1M N-メチルイミダゾール、例えば約0.1M N-メチルイミダゾールの濃度のN-メチルイミダゾールをさらに含む。NMIは、DCIなどの他の活性化剤の溶解性を増大し得る作用物質である。
【0095】
オリゴヌクレオチド合成法
本発明は、オリゴヌクレオチドの合成のための方法を提供し、該方法は、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーを固体支持体、ヌクレオシド、またはオリゴヌクレオチドの5'末端にカップリングして、亜リン酸トリエステル中間体を形成する段階(C)と、その後に続く亜リン酸トリエステル中間体を硫化試薬で酸化する段階(O)を含み、これら2つの段階を少なくとも1回繰り返した(すなわちCOCO・・・)後にさらなるホスホラミダイトモノマーを付加し、任意でそれぞれのカップリング段階とおよび酸化段階との間に洗浄段階が存在(すなわちCOWCOW・・・)する。
【0096】
本発明は、
(a)固体支持体に結合されたヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドの保護された5'-ヒドロキシ末端を脱保護する段階、
(b)オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーをヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドの脱保護された5'-ヒドロキシ末端にカップリングして、亜リン酸トリエステル中間体を形成する段階、
(c)亜リン酸トリエステル中間体を硫化試薬で酸化する段階と、その後に続く任意の洗浄段階、
(d)同じ伸長サイクル内で段階(b)および(c)を繰り返す段階、
(e)任意で、1回または複数回のさらなる伸長サイクルについて段階(a)~(d)を繰り返す段階、
(f)オリゴヌクレオチドを脱保護して固体支持体から切断する段階
を含む、立体的に規定されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの合成のための方法を提供する。
【0097】
任意で、段階(d)の後でかつ段階(e)の前に、キャッピング段階を実施する。
【0098】
伸長サイクルは、脱保護、カップリング、および酸化からの一連の段階を意味し、これは1つのヌクレオチドのオリゴヌクレオチドへの付加をもたらす。本発明に従い、伸長サイクルは、同じ伸長サイクル内で、すなわちさらなるヌクレオチドの付加(または次の伸長サイクル開始時の保護された5'-OH基の脱保護)の前に、カップリング段階および酸化段階の繰り返しを含んでもよい。
【0099】
いくつかの態様において、同じ伸長サイクル内で段階(b)および(c)は、任意で各酸化段階の後に洗浄段階を伴って、少なくとも3、4または5回繰り返される。または、いくつかの態様において、段階(d)は、任意で各酸化段階の後に洗浄段階を伴って、少なくとも2回、例えば少なくとも3または4回繰り返される。
【0100】
本発明は、
(a)固体支持体に結合されたヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドの保護された5'-ヒドロキシ末端を脱保護する段階、
(b)オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーをヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドの脱保護された5'-ヒドロキシ末端にカップリングして、亜リン酸トリエステル中間体を形成する段階、および
(c)亜リン酸トリエステル中間体を硫化試薬で酸化する段階、
(d)同じ伸長サイクル内で段階(b)および(c)を繰り返す段階、
(e)任意で、1回または複数回のさらなる伸長サイクルについて段階(a)~(d)を繰り返す段階、
(f)オリゴヌクレオチドを脱保護して固体支持体から切断する段階
を含む、立体的に規定されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの合成のための方法を提供する。
【0101】
本発明の方法は、複数回のさらなる伸長サイクル(e)、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20回、またはそれ以上の回数のさらなる伸長サイクルを含んでもよい。
【0102】
いくつかの態様において、各カップリング/酸化段階の後に洗浄段階を実施する。アセトニトリルを洗浄溶媒として用いてもよい。
【0103】
任意のキャッピング段階
いくつかの態様において、カップリング段階および酸化段階の繰り返し、例えば段階(d)の後に、キャッピング段階を実施する。カップリング反応の完了後、低いパーセンテージの(例えば、固体支持体結合)5'-OH基(0.1~1%)が未反応のままであり得、これらをさらなる鎖伸長から永久にブロックして、一般に(n-1)ショートマーと呼ばれる内部塩基を欠失したオリゴヌクレオチド形成を防止することができる。キャッピングは典型的には未反応5'-OH基のアセチル化を含む。したがって、キャッピングは次の伸長サイクルの前に任意の未反応5'-OH基をブロックすることになる。いくつかの態様において、キャッピングは、無水酢酸またはフェノキシ酢酸無水物などの酸無水物を用いて実施する。キャッピング段階は、いくつかの場合には、キラル補助基からの二級アミンをキャッピングするために用いることもできる。
【0104】
いくつかの態様において、段階(e)の後に、任意のアミン洗浄段階を実施する。アミン洗浄段階は、切断段階で用いる強塩基性条件へのオリゴヌクレオチド曝露の前に、オリゴヌクレオチドを有機溶媒中の弱塩基溶液、例えばアセトニトリル中20%ジエチルアミン、または1:1トリエチルアミン/アセトニトリルで処理する、オリゴヌクレオチド合成において用いる任意の手法を意味する。アミン洗浄は、オリゴヌクレオチドを固体支持体から切断することなくシアノエチルホスフェート保護基を除去することになる。アミン洗浄を含む利点は、シアノエチルホスフェート保護基、および複素環式塩基、特にチミンの副反応によって生じる、アクリロニトリルなどの不要なシアノエチル(cyanothyl)付加物の回避をもたらす。
【0105】
典型的には、脱保護および固体支持体からの切断中に、キラル補助基をオリゴヌクレオチドから切断する。適切な脱保護/切断は、例えば、濃水酸化アンモニウム中、約55℃の温度で実施してもよい。
【0106】
いくつかの態様において、段階(f)の後に、オリゴヌクレオチドを精製してもよい。精製段階は、イオン交換精製もしくは逆相クロマトグラフィ、またはイオン交換精製および逆相クロマトグラフィの両方などの、オリゴヌクレオチド精製のための任意の適切な方法を用いてもよい。いくつかの態様において、精製は、連続的な段階の(A)イオン交換精製、(B)例えば透析ろ過による、脱塩、その後に続く(C)凍結乾燥、および(D)逆相クロマトグラフィを含む。精製の前に、水酸化アンモニウムを除去するかまたは少なくとも希釈することが典型的である。または、DMT-ON逆相精製と、その後に続く脱トリチルも、オリゴヌクレオチドを精製するための選択肢である(Capaldi and Scozzari, Chapter 14, Antisense Drug Technology: Principles, Strategies, and Applications, CRC Press 2008参照。脱トリチルは、固相合成においてジクロロメタン中ジクロロ酢酸またはトリクロロ酢酸を用いて実施することができる。合成、切断、脱保護、および精製の後の脱トリチルは、水中のオリゴヌクレオチドの溶解性ゆえに、酸の水溶液を用いて実施することができる。
【0107】
いくつかの態様において、段階(f)の後または任意の精製段階の後に、オリゴヌクレオチドを結合してもよい。または、結合をオリゴヌクレオチド合成中に実施してもよい。
【0108】
カップリング段階最適化
カップリング段階(b)は、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーをヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドの脱保護された5'-ヒドロキシ末端にカップリングして、亜リン酸トリエステル中間体を形成する段階を含む。酸化前は、亜リン酸トリエステル中間体は不安定であり、したがってオリゴヌクレオチド生成物の収率および純度を著しく制限し得る有害なレベルの副生成物を回避するために、カップリング段階の時間を最適化すべきである。副生成物は切断されたオリゴヌクレオチドの生成を引き起こすようである。本発明の方法に従い、1回の伸長サイクル内でカップリング段階および酸化段階の繰り返しを実施することにより、この問題を低減または回避してもよい。カップリング段階および酸化段階の繰り返しの使用は、酸化により、亜リン酸トリエステル中間体の迅速な安定化をもたらす。したがって、それぞれ個々のカップリング段階の期間を短縮してもよい。本発明は、したがって、オリゴヌクレオチド生成物の収率および/または純度の増大を提供する、オリゴヌクレオチド合成の改善された方法を提供する。各カップリング段階の最適な期間は、当業者であれば、切断されたオリゴヌクレオチド生成物のレベルを測定することにより、容易に最適化することができる。次いで、当業者は、各伸長サイクル内でのカップリング/酸化段階の繰り返しの回数を増やし、改善された収率および/または純度を得ることができる。例として、小規模オリゴヌクレオチド合成(約1μMスケール)のために、2~4分、例えば約3分のカップリング時間が適切であり得る。より大規模の合成のために、より長いカップリング時間、例えば、20μM合成のために約5分を用いてもよい。
【0109】
PCT/EP2017/060985において開示されるとおり、段階(b)におけるアセトニトリルおよび複素環式塩基溶媒を含むカップリング溶媒の使用は、多くの利点、例えば、芳香族複素環式溶媒なしのモノマーのアセトニトリル溶液に比べて、モノマーの溶解性増大;または芳香族複素環式溶媒なしのモノマーのアセトニトリル溶液に比べて、モノマーの溶液の安定性が増大された、本明細書に記載のものなどのオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーのより安定な溶液の提供;または芳香族複素環式溶媒なしのモノマーのアセトニトリル溶液に比べて、モノマーの反応性が増大された、本明細書に記載のものなどのオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーのより反応性の溶液の提供をもたらす。当業者であれば、より高い溶解性、より安定な溶液、およびより高い反応性を有することを合わせた利点の1つは、オリゴヌクレオチド生成物のより有効な合成ならびにより信頼でき、増大された収率をもたらすことを理解するであろう。利点は、不要な副反応の回避または低減を含み、より高い生成物純度をもたらし得る。
【0110】
いくつかの態様において、5'末端は固体支持体に結合した-OH基である。-OH基は、例えば、unilinkerなどのリンカーを介して固体支持体に直接結合されていてもよいか、またはリンカーもしくは固体支持体に結合されたヌクレオシドもしくはオリゴヌクレオチドの一部であってもよい。
【0111】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド合成法は固相ホスホラミダイト合成であり、カップリング段階の少なくとも1つが本発明のカップリング法のとおりである。
【0112】
いくつかの態様において、本発明の方法によって生成したオリゴヌクレオチド、立体的に規定されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは混合配列オリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、立体的に規定されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、立体的に規定されたホスホロチオエートヌクレオシド間連結および立体無作為ホスホロチオエートヌクレオシド間連結の両方を含む。
【0113】
立体無作為ヌクレオシド間連結は、β-シアノエチルホスホラミダイトを介して導入することができる。β-シアノエチルホスホラミダイトは、例えば、アセトニトリルに、例えば、0.1Mの濃度で溶解することができる。
【0114】
オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーによってSpまたはRpホスホロチオエートヌクレオシド間連結が導入されるため、立体的に規定されたオリゴヌクレオチドを合成するために本発明の方法が用いられてもよい。本発明は、したがって、立体的に規定されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドを合成する改善された方法を提供する。典型的には、本発明の方法は、収率増大および/または高い純度を提供する。本発明の方法はさらに、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーのより効率的な使用を提供してもよい。
【0115】
いくつかの態様において、一連のカップリング(C)および酸化(O)段階(段階d)を少なくとも2回実施し、これはCOCOCOと表してもよい(すなわち、同じ伸長サイクル内で少なくとも3回の繰り返しカップリング/酸化段階)。適切には、各酸化後に洗浄段階(W)が存在してもよく、これはCOWCOWCOWと表してもよい。
【0116】
いくつかの態様において、一連のカップリング(C)および酸化(O)段階(段階d)を少なくとも3回実施し、これはCOCOCOCOと表してもよい(すなわち、同じ伸長サイクル内で少なくとも4回の繰り返しカップリング/酸化段階)。適切には、各酸化後に洗浄段階(W)が存在してもよく、これはCOWCOWCOWCOWと表してもよい。
【0117】
いくつかの態様において、一連のカップリング(C)および酸化(O)段階(段階d)を少なくとも4回実施し、これはCOCOCOCOCOと表してもよい(すなわち、同じ伸長サイクル内で少なくとも5回の繰り返しカップリング/酸化段階)。適切には、各酸化後に洗浄段階(W)が存在してもよく、これはCOWCOWCOWCOWCOWと表してもよい。
【0118】
いくつかの態様において、一連のカップリング(C)および酸化(O)段階(段階d)を少なくとも5回実施し、これはCOCOCOCOCOCOと表してもよい(すなわち、同じ伸長サイクル内で少なくとも6回の繰り返しカップリング/酸化段階)。適切には、各酸化後に洗浄段階(W)が存在してもよく、これはCOWCOWCOWCOWCOWCOWと表してもよい。
【0119】
いくつかの態様において、カップリング反応はアセトニトリル溶媒組成物中で行われる。いくつかの態様において、アセトニトリル溶媒はアセトニトリルおよび芳香族複素環式溶媒を含む。いくつかの態様において、芳香族複素環式溶媒は20℃の水中で4~7または7~17のpKaを有する。いくつかの態様において、芳香族複素環式溶媒は芳香族複素環式塩基である。いくつかの態様において、芳香族複素環式溶媒は芳香族複素環式酸である。いくつかの態様において、芳香族複素環式溶媒は、ピリジン、2-ピコリン、4-ピコリン、3-ピコリン、ルチジン、およびピロールからなる群より選択される。いくつかの態様において、芳香族複素環式溶媒はピリジンである。いくつかの態様において、アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)は、約0.1%(v/v)~約50%(v/v)、例えば約0.5%~約25%である。いくつかの態様において、アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)は、約0.5%~約10%、例えば約1%~約5%、例えば約2~4%、例えば約2.5%、または約3.5%である。
【0120】
いくつかの態様において、方法は複数回のさらなる伸長サイクル(e)を含む。
【0121】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、式I:
のものであり、
式中、
Zはヌクレオシドであり;
R5およびR6は独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換シクロアルキル、置換アリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択されるか、または、R5およびR6は一緒になって式1のN原子と共に3~16個の炭素原子を含む複素環を形成し;
R9は水素であり;
R1は、水素およびC1~3アルキルからなる群より選択され;かつ、
Rは、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、ハロゲン、シアノ、シリル、置換シリル、スルホン、置換スルホン(アリール置換スルホン)、フルオレン、および置換フッ素からなる群より選択され;
ここで、置換されている場合、Rは、C1~4アルキル基、C6~14アリール基 C1~4、アルコキシ基、C7~14アラルキル基、C1~4アルキル、C6~14アリール基、C1~4アルコキシ、C6~14アリール基、またはC6~14アリールC1~4アルキル基からなる群より選択される基で置換されていてもよい。複数の置換は依存的にまたは独立して、C1~4アルキル基、C6~14アリール基 C1~4、アルコキシ基、C7~14アラルキル基、C1~4アルキル、C6~14アリール基、C1~4アルコキシ、C6~14アリール基、またはC6~14アリールC1~4アルキル基からなる群より選択されてもよい。
【0122】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、L-LNAグアニンモノマー、例えば3a、4a、5a、8a、および8bからなる群より選択される式のLNA-Gモノマーであり、グアニン残基における環外窒素はイソブチリルなどのアシル基で保護されている。
【0123】
本発明のオリゴヌクレオチド合成法は、
(a)遊離5'-OH基を有する固体支持体を提供する段階、
(b)オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーを活性化する段階、
(c)活性化したオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーを遊離5'-OHにカップリングして、ホスホトリエステル中間体を形成する段階、
(d)ホスホトリエステル中間体をキサンタンヒドリドなどの硫化試薬で酸化する段階、
(e)例えば無水酢酸を用いて、任意の遊離-OH基をキャッピングする段階、
(f)任意で、段階(b)~(e)を繰り返す段階、
(g)任意の残存保護基を脱保護(包括的脱保護)して、例えば、60℃での水酸化アンモニウム処理により、固体支持体からオリゴヌクレオチドを切断する段階
を含んでもよく、
固体支持体の遊離-OH基は任意で、該固体支持体に結合されたヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチド鎖に結合されていてもよく;かつ、段階(c)および(d)を段階(e)の前に少なくとも1回繰り返し、任意で、段階(d)の酸化の後でかつ段階(e)の前に洗浄段階を実施する。いくつかの態様において、段階(c)および段階(d)(CO)ならびに存在する場合には任意の洗浄段階(COW)を段階(e)の前に1回、2回、3回、4回、5回、もしくは6回、またはそれ以上繰り返す。
【0124】
5'OH基が例えばDMT基によって保護されている、保護形態で、固体支持体を提供してもよい。段階(a)の前に、固体支持体(またはそれに結合された末端ヌクレオシド)を脱ブロック化(脱トリチル)して、遊離5'-OH基を提供してもよい。
【0125】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド合成における段階(b)~(f)を7~25回、例えば7~16回繰り返す。いくつかの態様において、段階(b)~(f)の繰り返しはオリゴヌクレオチド合成における連続サイクルである。
【0126】
オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーを用いるホスホラミダイトオリゴヌクレオチド合成の例示的スキームを図24に示す。
【0127】
カップリング段階は例えば、任意で0.1M NMI存在下で、アセトニトリル溶媒とDMTr保護オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマー(β-D-オキシLNAモノマーを例示のために示す)とピリジンなどの複素環式塩基溶媒とDCI(1M)などの適切な活性化剤とを含むアセトニトリルカップリング溶媒組成物を用いて実施してもよい。
【0128】
酸化段階は例えば、キサンタンヒドリド0.1Mを用いて実施してもよい。各酸化段階の後、任意の洗浄段階を、例えば、アセトニトリルを用いて実施してもよい。
【0129】
上記のスキーム(図24にも示す)において、任意のキャッピング段階を示し、これはサイクルの終了(段階f)またはさらなる伸長循環(段階e)のいずれかに先立ち、DMTr-脱保護の前に実施する。キャッピングは無水酢酸を用いて実施してもよい。
【0130】
用いるオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーに応じて、キャッピング段階はモノマーのキラル補助基上にあるアミン基の保護ももたらし得ることが留意されよう。他の保護基、例えば、EP17163506.3に開示される直交保護基を用いて、モノマーのキラル補助基のアミン基を保護し得ることが理解されよう。
【0131】
いくつかの態様において、立体的に規定されたホスホロチオエートヌクレオシド間連結の組み込みに加えて、合成法は、標準のホスホラミダイトモノマーの使用を通じて、立体無作為ヌクレオシド間連結を組み込んでもよい。
【0132】
段階(d)を1回、2回、3回、4回、5回、またはそれ以上実施してもよい。各キャッピング段階の長さ、ならびにカップリングおよび酸化段階(段階d)の繰り返しの回数を最適化して、不要な副反応を低減し、かつ方法によって生成されるオリゴヌクレオチドの収率または純度を最大としてもよい。
【0133】
立体的に規定されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチド
典型的には、オリゴヌクレオチドホスホロチオエートをRpおよびSpホスホロチオエート連結の無作為混合物(ジアステレオマー混合物とも呼ばれる)として合成する。オリゴヌクレオチドのホスホロチオエート連結の少なくとも1つが立体的に規定されている、すなわち、オリゴヌクレオチド試料中に存在するオリゴヌクレオチド分子の少なくとも75%、例えば少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%または少なくとも95%、または少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%、または(本質的に)すべてにおいてRpまたはSpのいずれかである、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドが本発明の方法において提供される。立体的に規定されたオリゴヌクレオチドは、立体的に規定されている少なくとも1つのホスホロチオエート連結を含む。立体的に規定されたなる用語は、1つもしくは複数のホスホロチオエートヌクレオシド間連結のRpもしくはSpのいずれかとして規定されたキラリティを記載するために用いてもよいか、またはそのような(またはより多くの)ホスホロチオエートヌクレオシド間連結を含むオリゴヌクレオチドを記載するために用いてもよい。立体的に規定されたオリゴヌクレオチドは、任意の1つの位置に少量の代わりの立体異性体を含み得ることが理解され、例えば、WanらはNAR, November 2014において報告したギャップマーに対する98%立体選択性を報告している。
【0134】
LNAオリゴヌクレオチド
LNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのLNAヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドである。LNAオリゴヌクレオチドはアンチセンスオリゴヌクレオチドであってもよい。
【0135】
本明細書において用いられるオリゴヌクレオチドなる用語は、一般に当業者によって理解されるとおり、2つまたはそれ以上の共有結合ヌクレオシドを含む分子と定義される。アンチセンスオリゴヌクレオチドとして使用するために、オリゴヌクレオチドは典型的には7~30ヌクレオチド長として合成される。
【0136】
本明細書において用いられる「アンチセンスオリゴヌクレオチド」なる用語は、標的核酸、特に標的核酸上の連続配列にハイブリダイズすることにより、標的遺伝子の発現を調節することができるオリゴヌクレオチドを意味する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的核酸に相補的であることによって定義することもできる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、一本鎖である。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本質的に二本鎖ではなく、したがってsiRNAではない。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的核酸に相補的な連続ヌクレオチドを含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドは典型的には、1つまたは複数の修飾されたヌクレオシド間連結を含み、非限定的例として、LNAギャップマーまたは混合ウイングギャップマーの形態であってもよい。他の態様において、オリゴヌクレオチドは、LNAミックスマー(LNAおよび非LNAヌクレオチド、例えばLNAおよびDNA(例えば、WO2007/112754を参照されたく、参照により本明細書に組み入れられる)、またはLNAおよび2'-O-MOEヌクレオチド、またはLNA、DNA、および2'O-MOEヌクレオチド)、またはLNAトータルマー(LNA totalmer)(LNAヌクレオチドのみ、例えば、WO2009/043353を参照されたく、参照により本明細書に組み入れられる)であってもよい。
【0137】
「修飾ヌクレオシド間連結」なる用語は、2つのヌクレオシドを一緒にして共有結合する、ホスホジエステル(PO)連結以外の連結として当業者によって一般に理解されていると定義される。修飾ヌクレオシド間連結は、オリゴヌクレオチドをインビボでの使用のために安定化させる際に特に有用であり、ヌクレアーゼ切断に対して保護するのに役立ち得る。ホスホロチオエートヌクレオシド間連結は、ヌクレアーゼ抵抗性、有益な薬動力学、および製造の容易さゆえに、特に有用である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド、またはその連続ヌクレオチド配列中のヌクレオシド間連結の少なくとも70%、例えば少なくとも80%または例えば少なくとも90%はホスホロチオエートである。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド、またはその連続ヌクレオチド配列中のヌクレオシド間連結はすべてホスホロチオエートであり、ここでホスホロチオエートヌクレオシド間連結の少なくとも1つは立体的に規定されたホスホロチオエートヌクレオシド間連結(オリゴヌクレオチド合成中のオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーのオリゴヌクレオチドへの組み込みに由来する)である。さらなるヌクレオシド間連結はWO2009/124238(参照により本明細書に組み入れられる)に開示されている。
【0138】
核酸塩基なる用語は、核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成する、ヌクレオシドおよびヌクレオチドに存在するプリン(例えば、アデニンおよびグアニン)およびピリミジン(例えば、ウラシル、チミン、およびシトシン)部分を含む。本発明の文脈において、核酸塩基なる用語は、天然の核酸塩基とは異なる場合があるが核酸ハイブリダイゼーション中に機能する、修飾核酸塩基も含む。いくつかの態様において、核酸塩基部分は、核酸塩基を修飾することまたは置き換えることにより修飾される。この文脈において、「核酸塩基」は、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン、およびヒポキサンチンなどの天然核酸塩基、ならびに非天然変種の両方を意味する。そのような変種は、例えば、Hirao et al (2012) Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055およびBergstrom (2009) Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl. 37 1.4.1.に記載されている。
【0139】
ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの構成要素であり、本発明の意図に関して天然および非天然ヌクレオチドの両方を含む。本質的に、DNAおよびRNAヌクレオチドなどのヌクレオチドは、リボース糖部分、核酸塩基部分、および1つまたは複数のリン酸基(ヌクレオシドにはない)を含む。修飾ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、等価のDNAまたはRNAヌクレオシド/ヌクレオチドに比べて、リボース糖部分、核酸塩基部分、または修飾ヌクレオチドの場合はヌクレオシド間連結への修飾の導入によって修飾される。ヌクレオシドおよびヌクレオチドは交換可能に「単位」または「モノマー」と呼ばれることもある。
【0140】
本明細書において用いられる「修飾ヌクレオシド」または「ヌクレオシド修飾」なる用語は、等価のDNAまたはRNAヌクレオシドに比べて、糖部分または(核酸)塩基部分の1つまたは複数の修飾の導入によって修飾されたヌクレオシドを意味する。修飾ヌクレオシドなる用語は、本明細書において「ヌクレオシド類似体」または修飾「単位」もしくは修飾「モノマー」なる用語と交換可能に用いてもよい。修飾ヌクレオシドの例は別の項の「オリゴマー修飾」およびその下位の項において記載する。
【0141】
アシル保護環外窒素
グアニンの環外窒素基を以下に示す(丸で囲んでいる)。この基は本発明で用いるモノマーにおいてアシル基で保護されている。酸素基を、例えばシアノ基で任意で保護してもよい。
【0142】
ロックド核酸ヌクレオシド(LNA)
LNAヌクレオシドは、ヌクレオチドのリボース糖環のC2'とC4'との間にリンカー基(ビラジクルまたは架橋と呼ぶ)を含む修飾ヌクレオシド(すなわち、R2およびR4が一緒になって二価の架橋を示す態様)である。
【0143】
これらのヌクレオシドは文献中では架橋核酸または二環式核酸(BNA)とも呼ばれる。
【0144】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、LNAヌクレオシドであるかまたはそれを含み、例えば、モノマーは、式17または式18:
のものであり得、式中、Bは核酸塩基を示し;R、R1、R6、R3、R9、R5は式1のとおりである。
【0145】
式17のいくつかの態様において、BはDMF保護グアニン以外である。いくつかの態様において、Bはアデニンまたはチミンのいずれかである。いくつかの態様において、BはDMF保護アデニンである。
【0146】
Xは、-C(RaRb)-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-O-、-Si(Ra)2-、-S-、-SO2-、-N(Ra)-、および>C=Zからなるリストより選択される基を示す。
【0147】
いくつかの態様において、Xは、-O-、-S-、NH-、NRaRb、-CH2-、CRaRb、-C(=CH2)-、および-C(=CRaRb)-からなる群より選択される。
【0148】
いくつかの態様において、Xは-O-である。
【0149】
Yは、-C(RaRb)-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-O-、-Si(Ra)2-、-S-、-SO2-、-N(Ra)-、および>C=Zからなる群より選択される基を示す。
【0150】
いくつかの態様において、Yは、-CH2-、-C(RaRb)-、-CH2CH2-、-C(RaRb)-C(RaRb)-、-CH2CH2CH2-、-C(RaRb)C(RaRb)C(RaRb)-、-C(Ra)=C(Rb)-、および-C(Ra)=N-からなる群より選択される。
【0151】
いくつかの態様において、Yは、-CH2-、-CHRa-、-CHCH3-、CRaRb-からなる群より選択されるか、
または、-X-Y-は一緒になって、二価のリンカー基(ラディクルとも呼ばれる)を示し、一緒になって、-C(RaRb)-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-O-、-Si(Ra)2-、-S-、-SO2-、-N(Ra)-、および>C=Zからなる群より選択される1、2、または3つの基/原子からなる二価のリンカー基を示す。
【0152】
いくつかの態様において、-X-Y-は、-X-CH2-、-X-CRaRb-、-X-CHRa-、-X-C(HCH3)-、-O-Y-、-O-CH2-、-S-CH2-、-NH-CH2-、-O-CHCH3-、-CH2-O-CH2、-O-CH(CH3CH3)-、-O-CH2-CH2-、OCH2-CH2-CH2-、-O-CH2OCH2-、-O-NCH2-、-C(=CH2)-CH2-、-NRa-CH2-、N-O-CH2、-S-CRaRb-、および-S-CHRa-からなる群より選択されるビラジクルを示す。
【0153】
いくつかの態様において、-X-Y-は-O-CH2-または-O-CH(CH3)-を示す。かつRaおよび存在する場合にはRbはそれぞれ独立して、水素、置換されていてもよいC1~6-アルキル、置換されていてもよいC2~6-アルケニル、置換されていてもよいC2~6-アルキニル、ヒドロキシ、置換されていてもよいC1~6-アルコキシ、C2~6-アルコキシアルキル、C2~6-アルケニルオキシ、カルボキシ、C1~6-アルコキシカルボニル、C1~6-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ-カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ(C1~6-アルキル)アミノおよびジ(C1~6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ(C1~6-アルキル)-アミノ-カルボニルおよびジ(C1~6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C1~6-アルキル-アミノカルボニル、モノ(C1~6-アルキル)アミノ-C1~6-アルキル-アミノカルボニルおよびジ(C1~6-アルキル)アミノ-C1~6-アルキル-アミノカルボニル、C1~6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C1~6-アルカノイルオキシ、スルホノ、C1~6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1~6-アルキルチオ、ハロゲンより選択され、ここでアリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、かつここで2つのジェミナルな置換基RaおよびRbは一緒になって、置換されていてもよいメチレン(=CH2)を示してもよく、ここですべてのキラル中心について、非対称の基はRまたはS配向のいずれで見いだされてもよい。
【0154】
R10は水素であってもよいか、またはいくつかの態様において、置換されていてもよいC1~6-アルキル、置換されていてもよいC2~6-アルケニル、置換されていてもよいC2~6-アルキニル、ヒドロキシ、C1~6-アルコキシ、C2~6-アルコキシアルキル、C2~6-アルケニルオキシ、カルボキシ、C1~6-アルコキシカルボニル、C1~6-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ-カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ(C1~6-アルキル)アミノおよびジ(C1~6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ(C1~6-アルキル)-アミノ-カルボニルおよびジ(C1~6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C1~6-アルキル-アミノカルボニル、モノ(C1~6-アルキル)アミノ-C1~6-アルキル-アミノカルボニルおよびジ(C1~6-アルキル)アミノ-C1~6-アルキル-アミノカルボニル、C1~6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C1~6-アルカノイルオキシ、スルホノ、C1~6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1~6-アルキルチオ、ハロゲンからなる群より選択されてもよく、ここでアリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、かつここで2つのジェミナルな置換基は一緒になって、オキソ、チオキソ、イミノ、または置換されていてもよいメチレンを示してもよい。
【0155】
いくつかの態様において、R10はメチルなどのC1~6アルキル、および水素より選択される。
【0156】
いくつかの態様において、R10は水素である。
【0157】
いくつかの態様において、Raは水素またはメチルのいずれかである。いくつかの態様において、存在する場合には、Rbは水素またはメチルのいずれかである。
【0158】
いくつかの態様において、RaおよびRbの一方または両方は水素である。
【0159】
いくつかの態様において、RaおよびRbの一方は水素であり、他方は水素以外である。
【0160】
いくつかの態様において、RaおよびRbの一方はメチルであり、他方は水素である。
【0161】
いくつかの態様において、RaおよびRbの両方はメチルである。
【0162】
いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は-O-CH2-であり、かつR10は水素である。いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は-S-CH2-であり、かつR10は水素である。
【0163】
いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は-NH-CH2-であり、かつR10は水素である。
【0164】
いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は-O-CH2-CH2-または-O-CH2-CH2-CH2-であり、かつR10は水素である。
【0165】
いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は-O-CH2-であり、かつR10はメチルなどのC1~6アルキルである。
【0166】
いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は-O-CRaRb-であり、ここでRaおよびRbの一方または両方はメチルなどの水素以外であり、かつR10はメチルなどのC1~6アルキルである。
【0167】
いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は二価のリンカー基-O-CH(CH2OCH3)-(2'O-メトキシエチル二環式核酸-Seth at al., 2010, J. Org. Chem., 2010, 75 (5), pp 1569-1581)を示す。いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は二価のリンカー基-O-CH(CH2CH3)-(2'O-エチル二環式核酸-Seth at al., 2010, J. Org. Chem)を示す。いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は-O-CHRa-であり、かつR10は水素である。
【0168】
いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は-O-CH(CH2OCH3)-であり、かつR10は水素である。そのようなLNAヌクレオシドは当技術分野において環式MOE(cMOE)としても公知であり、WO07090071に開示されている。
【0169】
いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は、R-またはS-配置いずれかの二価のリンカー基-O-CH(CH3)-を示す。いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は一緒になって、二価のリンカー基-O-CH2-O-CH2-(Seth at al., 2010, J. Org. Chem)を示す。いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は-O-CH(CH3)-であり、かつR10は水素である。そのような6'メチルLNAヌクレオシドは当技術分野においてcETヌクレオシドとしても公知であり、WO07090071(β-D)およびWO2010/036698(α-L)に開示されるとおり、(S)cETまたは(R)cET立体異性体のいずれであってもよい。
【0170】
いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は-O-CRaRb-であり、ここでRaもRbも水素ではなく、かつR10は水素である。いくつかの態様において、RaおよびRbは両方メチルである。
【0171】
いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は-S-CHRa-であり、かつR10は水素である。
【0172】
いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は-C(=CH2)-CH2-、または-C(=CH2)-CH(CH3)-などの-C(=CH2)-C(RaRb)-であり、かつR10は水素である。
【0173】
いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は-N(-ORa)-であり、かつR10は水素である。いくつかの態様において、RaはメチルなどのC1~6アルキルである。いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は一緒になって二価のリンカー基-O-NRa-CH3-(Seth at al., 2010, J. Org. Chem)を示す。いくつかの態様において、ビラジクル-X-Y-は-N(Ra)-であり、かつR10は水素である。いくつかの態様において、RaはメチルなどのC1~6アルキルである。
【0174】
いくつかの態様において、かつR10はメチルなどのC1~6アルキルである。そのような態様において、ビラジクル-X-Y-は-O-CH2-または-O-C(HCH3)-などの-O-C(HCRa)- より選択されてもよい。
【0175】
いくつかの態様において、ビラジクルはCH2-O-CH2-などの-CRaRb-O-CRaRb-であり、かつR10は水素である。いくつかの態様において、RaはメチルなどのC1~6アルキルである。
【0176】
いくつかの態様において、ビラジクルはO-CH2-O-CH2-などの-O-CRaRb-O-CRaRb-であり、かつR10は水素である。いくつかの態様において、RaはメチルなどのC1~6アルキルである。
【0177】
特に記載がないかぎり、LNAヌクレオシドはβ-Dまたはα-L立体異性体であり得ることが理解されるであろう。
【0178】
実施例において示すとおり、本発明のいくつかの態様において、LNAヌクレオシドは、2'-4'架橋が式Iのとおりであり、かつXが酸素であり、YがCH2であり、かつR10が水素であるなどの、β-D-オキシ-LNAヌクレオシドであるかまたはそれを含む。
【0179】
DNAヌクレオシド
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、DNAヌクレオシドであるかまたはそれを含み、例えば、モノマーは、式19または式20:
のものであり得、式中、Bは核酸塩基を示し;R、R1、R6、R3、R9、R5は式1のとおりである。式20のいくつかの態様において、Bはアデニン、例えば保護アデニン、例えばBz保護アデニンである。
【0180】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、式21および22:
のとおりであり、式中、Bは核酸塩基を示し;R、R1、R3、R9は式1のとおりである。式20または22のいくつかの態様において、Bはアデニン、例えば保護アデニン、例えばBz保護アデニンである。式19、20、21、または22のモノマーのいくつかの態様において、Rはフェニルであり、かつR1は水素またはメチルのいずれかである。式19、20、21、または22のモノマーのいくつかの態様において、R3はCH2-O-DMTrまたはCH2-O-MMTrである。
【0181】
DNAおよび/または親和性増大ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチド
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドはDNAホスホロチオエートオリゴヌクレオチドである。DNAホスホロチオエートオリゴヌクレオチドはDNAヌクレオシドだけを含み、かついくつかの態様において、立体的に規定されたホスホロチオエートヌクレオシド間連結だけを含み得る。DNAホスホロチオエートは、例えば、18~25ヌクレオチド長であってもよい。
【0182】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、本明細書に記載のLNAまたは2'置換ヌクレオシドなどの、1つまたは複数の親和性増大ヌクレオシドを含む。2'-O-MOEまたは2'-Oメチルなどの親和性増大ヌクレオシドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて、DNAヌクレオシドなどの他のヌクレオシドとの組み合わせで、例えばミックスマーもしくはギャップマーの形態で用いることが多いか、またはすべてのヌクレオシドがDNAもしくはRNA以外である完全糖修飾オリゴヌクレオチドにおいて用いてもよい。
【0183】
いくつかの態様において、本発明の方法によって合成したオリゴヌクレオチドは、キャップマー、およびLNAギャップマー、または混合ウイングギャップマーであってもよい。
【0184】
本発明の方法のいくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは式33のものである(図17)。
【0185】
本発明の方法のいくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは式34のものである(図17)。
【0186】
本発明の方法のいくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは式35のものである(図17)。
【0187】
本発明の方法のいくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは式36のものである(図17)。
【0188】
本発明の方法のいくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは式37のものである(図17)。
【0189】
本発明の方法のいくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは式38のものである(図17)。
【0190】
本発明の方法のいくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは式39のものである(図17)。
【0191】
本発明の方法のいくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは式40のものである(図17)。
【0192】
本発明の方法のいくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは式41のものである(図18)。
【0193】
本発明の方法のいくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは式42のものである(図18)。
【0194】
本発明の方法のいくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは式43のものである(図18)。
【0195】
本発明の方法のいくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは式44のものである(図18)。
【0196】
本発明の方法のいくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは式45のものである(図18)。
【0197】
本発明の方法のいくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは式46のものである(図18)。
【0198】
本発明の方法のいくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは式47のものである(図18)。
【0199】
本発明の方法のいくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは式48のものである(図18)。
【0200】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーはDNAモノマーである。
【0201】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーはLNAモノマーである。いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーはLNA-A(D-LNA-AまたはL-LNA-Aのいずれかの)モノマーである。
【0202】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーはLNA-C(D-LNA-AまたはL-LNA-Aのいずれかの)モノマーである。
【0203】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、L-LNA-G(D-LNA-AまたはL-LNA-Aのいずれかの)モノマー、例えば、グアニン残基の環外窒素がイソブツリルなどのアシル保護基で保護されているL-LNA-Gである。
【0204】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、グアニン残基の環外窒素がDMF保護基で保護されている、L-LNA-Gモノマー以外である。いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーはD-LNA-Gモノマー以外である。
【0205】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、D-LNA-TまたはL-LNA-Tなどの、LNA-Tモノマー以外である。
【0206】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーは、D-LNA-TまたはL-LNA-TまたはD-LNA-Gモノマーなどの、LNA-Tモノマー以外である。
【0207】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーはDNAモノマーであるか、またはLNA-Aモノマー、LNA-Cモノマーおよびアシル保護L-LNA-Gモノマーからなる群より選択されるLNAモノマーである。
【0208】
いくつかの態様において、オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーはLNA-Tモノマー、D-LNA-Gモノマー、またはDMF保護L-LNA-Gモノマー以外である。
【0209】
ギャップマー
本明細書において用いられるギャップマーなる用語はアンチセンスオリゴヌクレオチドを意味し、該アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の親和性増大修飾ヌクレオシド(隣接部)が5'および3'で隣接しているRNase H動員オリゴヌクレオチドの領域(ギャップ)を含む。様々なギャップマーデザインを本明細書において記載する。ヘッドマーおよびテイルマーは、隣接部の1つが欠けている、すなわちオリゴヌクレオチドの末端の一方のみが親和性増大修飾ヌクレオシドを含む、RNase Hを動員することができるオリゴヌクレオチドである。ヘッドマーについては、3'隣接部が欠けており(すなわち、5'隣接部が親和性増大修飾ヌクレオシドを含む)、テイルマーについては、5'隣接部が欠けている(すなわち、3'隣接部が親和性増大修飾ヌクレオシドを含む)。いくつかの態様において、立体的に規定されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、LNAギャップマーオリゴヌクレオチドなどのギャップマーオリゴヌクレオチドである。
【0210】
LNAギャップマー
LNAギャップマーなる用語は、親和性増大修飾ヌクレオシドの少なくとも1つがLNAヌクレオシドである、ギャップマーオリゴヌクレオチドである。
【0211】
混合ウイングギャップマー
混合ウイングギャップマーなる用語は、隣接領域が少なくとも1つのLNAヌクレオシドと、少なくとも1つの非LNA修飾ヌクレオシド、例えば少なくとも1つの2'置換修飾ヌクレオシド、例えば2'-O-アルキル-RNA、2'-O-メチル-RNA、2'-アルコキシ-RNA、2'-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2'-アミノ-DNA、2'-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、2'-フルオロ-ANAおよび2'-F-ANAヌクレオシドとを含む、LNAギャップマーを意味する。いくつかの態様において、混合ウイングギャップマーは、LNAヌクレオシド(例えば5'または3')を含む一方の隣接部を有し、他方の隣接部(それぞれ3'または5')は2'置換修飾ヌクレオシドを含む。
【0212】
長さ
本明細書において言及するヌクレオチド分子の長さに言及する場合、それらのモノマー単位がヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体のいずれであるかに関わらず、長さはモノマー単位、すなわちヌクレオチドの数に対応する。ヌクレオチドに関して、モノマーおよび単位なる用語は、本明細書において交換可能に用いられる。
【0213】
本発明の方法は、例えば、7~30個のヌクレオチド、例えば7~10個、例えば7、8、9、10、または10~20個のヌクレオチド、例えば12~18個のヌクレオチド、例えば12、13、14、15、16、17、または18個のヌクレオチドからなる短いオリゴヌクレオチドの精製に特に適している。
【0214】
混合配列オリゴヌクレオチド
本発明の方法を用いて合成したオリゴヌクレオチドは、混合配列オリゴヌクレオチドであってもよい。本発明は、混合配列オリゴヌクレオチドの製造の合成のための方法を提供する。混合配列オリゴヌクレオチドは少なくとも2つ、例えば、少なくとも4つの異なる塩基部分(例えば、A、T、C、またはGからなる群より選択され、ここでCは任意で5-メチル-シトシンである)の少なくとも3つを含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドは典型的には混合配列オリゴヌクレオチドである。
【0215】
本発明のさらなる態様
本発明は以下を提供する。
1. (a)固体支持体に結合されたヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドの保護された5'-ヒドロキシ末端を脱保護する段階、
(b)オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーをヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチドの脱保護された該5'-ヒドロキシ末端にカップリングして、亜リン酸トリエステル中間体を形成する段階(C)であって、任意で、カップリング反応が、アセトニトリルと芳香族複素環式溶媒とを含むアセトニトリル溶媒組成物中で行われる、段階(C)、および
(c)亜リン酸トリエステル中間体を硫化試薬で酸化する段階(O)、
(d)任意で、1回または複数回のさらなる伸長サイクルについて段階(a)~(c)を繰り返す段階、
(e)該オリゴヌクレオチドを脱保護して該固体支持体から切断する段階
を含み、段階(b)および(c)を各伸長サイクルにおいて少なくとも1回繰り返す、
立体的に規定されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの合成のための方法。
2. 複数回のさらなる伸長サイクル(d)を含む、態様2の方法。
3. 前記立体的に規定されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドがアンチセンスオリゴヌクレオチドである、態様3の方法。
4. 段階(b)および(c)の後に洗浄段階(W)を実施する(すなわち、同じ伸長サイクルにおいて段階COWCOWを含む)、態様1~3のいずれかの方法。
5. 前記芳香族複素環式溶媒が、20℃の水中で4~7または7~17のpKaを有する、態様1~3のいずれかの方法。
6. 前記芳香族複素環式溶媒が芳香族複素環式塩基である、態様1~5のいずれかの方法。
7. 前記芳香族複素環式溶媒が芳香族複素環式酸である、態様1~5のいずれかの方法。
8. 前記芳香族複素環式溶媒が、ピリジン、2-ピコリン、4-ピコリン、3-ピコリン、ルチジン、およびピロールからなる群より選択される、態様1~5のいずれかの方法。
9. 前記芳香族複素環式溶媒がピリジンである、態様1~8のいずれかの方法。
10. アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)が、約0.1%(v/v)~約50%(v/v)、例えば約0.5%~約25%である、態様1~9のいずれかの方法。
11. アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度(v/v)が、約0.5%~約10%、例えば約1%~約5%、例えば約2~4%、例えば約2.5%、または約3.5%である、態様1~9のいずれかの方法。
12. アセトニトリル溶媒組成物が活性化剤をさらに含む、態様1~11のいずれかの方法。
13. 前記活性化剤が、CMPT(N-(シアノメチル)ピロリジニウムトリフレート(CMPT)、N-(フェニル)イミダゾリウムトリフレート(PhIMT)、ベンズイミダゾリウムトリフレート(BIT)、4,5-ジシアノイミダゾール(DCI)、テトラゾール、および5-(ベンジルチオ)-1H-テトラゾールからなる群より選択される、態様12の方法。
14. 前記活性化剤が4,5-ジシアノイミダゾール(DCI)である、態様13の方法。
15. 前記溶媒組成物が、約0.5~約2M DCI(または態様13の他の活性化剤)、例えば約1M DCI(または態様13の他の活性化剤)を含む、態様1~14のいずれかの方法。
16. 前記溶媒組成物が、N-メチルイミダゾール、例えば、0.01~約1M N-メチルイミダゾールの濃度、例えば約0.1M N-メチルイミダゾールの濃度のN-メチルイミダゾールをさらに含む、態様12~15のいずれかの方法。
17. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、式I:
の化合物であり、
式中、Zはヌクレオシドであり;
R5およびR6は独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換シクロアルキル、置換アリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択されるか、または、R5およびR6は一緒になって式1のN原子と共に、3~16個の炭素原子を含む複素環を形成し;
R9は水素であり;
R1は、水素およびC1~3アルキルからなる群より選択され;かつ、
Rは、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、ニトロ、ハロゲン、シアノ、シリル、置換シリル、スルホン、置換スルホン(アリール置換スルホン)、フルオレン、および置換フッ素からなる群より選択され;
ここで、置換されている場合、Rは、C1~4アルキル基、C6~14アリール基 C1~4、アルコキシ基、C7~14アラルキル基、C1~4アルキル、C6~14アリール基、C1~4アルコキシ、C6~14アリール基、またはC6~14アリールC1~4アルキル基からなる群より選択される基で置換されていてもよい。複数の置換は依存的にまたは独立して、C1~4アルキル基、C6~14アリール基 C1~4、アルコキシ基、C7~14アラルキル基、C1~4アルキル、C6~14アリール基、C1~4アルコキシ、C6~14アリール基、またはC6~14アリールC1~4アルキル基からなる群より選択されてもよい、
態様1~16のいずれかの方法。
18. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、
の化合物であり、Z、R、R1、R6、R9、およびR5がすべて態様17のとおりである、態様1~17のいずれかの方法。
19. Rが、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択される、態様17または18の方法。
20. Rが、フェニルなどのアリールである、態様17~19のいずれかの方法。
21. R1が水素である、態様17~20のいずれかの方法。
22. R1が、メチルなどのC1~3アルキルである、態様17~21のいずれかの方法。
23. R5およびR6が一緒になって式(I)、(Ia)、または(1b)のN原子と共に、3~16個(例えば4個)の炭素原子を含む複素環を形成する、態様17~22のいずれかの方法。
24. R5およびR6が一緒になって式(I)、(Ia)、または(1b)のN原子と共に、4個の炭素原子を含む複素環を形成する、態様17~22のいずれかの方法。
25. ホスホラミダイトモノマー化合物が、式2aまたは2b:
のものであり、Z、R、およびR1が態様17~24のいずれかのとおりである、態様1~24のいずれかの方法。
26. オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマー化合物が、式3aまたは3b:
のものであり、
式中、
R、R1、R5、R6、およびR9は態様2~18のいずれかのとおりであり;
Bは核酸塩基であり;
R3は、CH2ODMTr、CH2-アルキル-O-DMTr、CH-Me-O-DMTr、CH2OMMTr、CH2-アルキル-O-MMTr、CH(Me)-O-MMTr、CH-Ra-O-DMTrRb、およびCH-Ra-O-MMTrRbからなる群より選択され;
R2は、ハロ、例えば-F、アミノ、アジド、-SH、-CN、-OCN、-CF3、-OCF3、-O(Rm)-アルキル、-S(Rm)-アルキル、-N(Rm)-アルキル、-O(Rm)-アルケニル、-S(Rm)-アルケニル、-N(Rm)-アルケニル;-O(Rm)-アルキニル、-S(Rm)-アルキニル、または-N(Rm)-アルキニル;O-アルキレニル-O-アルキル、アルキニル、アルカリール、アラルキル、O-アルカリール、O-アラルキル、O(CH2)2SCH3、O-(CH2)2-O-N(Rm)(Rn)またはO-CH2C(=O)-N(Rm)(Rn)、-O-(CH2)2OCH3、および-O-CH3からなる群より選択され、ここで各RmおよびRnは独立して、H、アミノ保護基または置換もしくは無置換C1~10アルキルであり;
R4は、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、O-アルキル、S-アルキル、NH-アルキル、および水素からなる群より選択されるか;
または、R2およびR4は一緒になって、-C(RaRb)-、-C(Ra)=C(Rb)、-C(Ra)=N、O、-Si(Ra)2-、S-、-SO2-、-N(Ra)-、および>C=Zからなる群より選択される、1、2、3つの基/原子からなる二価の架橋を示し;
ここで、Raおよび存在する場合にはRbはそれぞれ独立して、水素、置換されていてもよいC1~6-アルキル、置換されていてもよいC2~6-アルケニル、置換されていてもよいC2~6-アルキニル、ヒドロキシ、置換されていてもよいC1~6-アルコキシ、C2~6-アルコキシアルキル、C2~6-アルケニルオキシ、カルボキシ、C1~6-アルコキシカルボニル、C1~6-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ-カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ(C1~6-アルキル)アミノおよびジ(C1~6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ(C1~6-アルキル)-アミノ-カルボニルおよびジ(C1~6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C1~6-アルキル-アミノカルボニル、モノ(C1~6-アルキル)アミノ-C1~6-アルキル-アミノカルボニルおよびジ(C1~6-アルキル)アミノ-C1~6-アルキル-アミノカルボニル、C1~6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C1~6-アルカノイルオキシ、スルホノ、C1~6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1~6-アルキルチオ、ハロゲンより選択され、ここでアリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、かつここで2つのジェミナルの置換基RaおよびRbは一緒になって、置換されていてもよいメチレン(=CH2)を示してもよく、ここですべてのキラル中心について、不斉基はRまたはS配向のいずれかで見い出されてもよい、
態様1~25のいずれかの方法。
27. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、式4a、4b、5a、5b、6a、6b、7a、および7b:
からなる群より選択され、R、R1、R3、R9、R5、R6、およびBが態様26のとおりである、態様1~26のいずれかの方法。
28. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、アデニン、グアニン、ウラシル、チミン、およびシトシン、イソシトシン、プソイドイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チオゾロシトシン、5-プロピニルシトシン、5-プロピニルウラシル、5-ブロモウラシル、5-チオゾロウラシル、2-チオウラシル、2'チオチミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、ならびに2-クロロ-6-アミノプリンからなる群より選択される核酸塩基などのプリンまたはピリミジンである核酸塩基部分を含む、態様1~27のいずれかの方法。
29. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、M1~M40からなる群より選択される、態様1~28のいずれかの方法。
30. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーの塩基部分(B)がアデニン塩基を含む、態様1~29のいずれかの方法。
31. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーの塩基部分(B)がチミン塩基を含む、態様1~30のいずれかの方法。
32. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーの塩基部分(B)がグアニン塩基を含む、態様1~30のいずれかの方法。
33. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーの塩基部分(B)がシトシン塩基を含む、態様1~30のいずれかの方法。
34. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーがLモノマーである、態様1~33のいずれかの方法。
35. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーがDモノマーである、態様1~33のいずれかの方法。
36. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、β-D-オキシLNAモノマーなどのLNAモノマーである、態様1~35のいずれかの方法。
37. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーがDNAモノマーである、態様1~36のいずれかの方法。
38. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、式8aまたは式8b:
からなる群より選択され、Bがチミンであり、かつR、R1、R3、およびR9が態様17~24のいずれかのとおりである、態様1~28のいずれかの方法。
39. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、式8aまたは式8b:
からなる群より選択され、Bがアデニンであり、かつR、R1、R3、およびR9が態様17~24のいずれかのとおりであり、アデニンが任意で、例えばベンゾイルで保護されていてもよい、態様1~28のいずれかの方法。
40. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、式:
のオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーなどのD-DNA-AまたはL-DNA-Aモノマーからなる群より選択され、Aがアデニンであり、かつR、R1、R3、およびR9が態様1~24のいずれかのとおりであり、塩基アデニンが、例えばベンゾイルで保護されていてもよい、態様1~28のいずれかの方法。
41. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、式:
のオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーなどのD-DNA-TまたはL-DNA-Tモノマーからなる群より選択され、Tがチミンであり、かつR、R1、R3、およびR9が態様1~24のいずれかのとおりである、態様1~28のいずれかの方法。
42. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、式:
のオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーなどのD-DNA-CまたはL-DNA-Cモノマーからなる群より選択され、Cがシトシンであり、かつR、R1、R3、およびR9が態様1~24のいずれかのとおりであり、かつ塩基シトシンが、例えばアセチルまたはベンゾイルで保護されていてもよく、かつ任意でシトシンが5-メチルシトシンである、態様1~28のいずれかの方法。
43. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、式:
のオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーなどのD-DNA-GまたはL-DNA-Gモノマーからなる群より選択され、Gがグアニンであり、かつR、R1、R3、およびR9が態様1~24のいずれかのとおりであり、かつ塩基グアニンが、例えばDMFでまたはiBuなどのアシルで保護されていてもよい、態様1~28のいずれかの方法。
44. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、式:
のオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーなどのD-LNA-AまたはL-LNA-Aモノマーからなる群より選択され、Aがアデニンであり、かつR、R1、R3、およびR9が態様1~24のいずれかのとおりであり、塩基アデニンが、例えばベンゾイルで保護されていてもよい、態様1~28のいずれかの方法。
45. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、式:
のオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーなどのD-LNA-TまたはL-LNA-Tモノマーからなる群より選択され、Tがチミンであり、かつR、R1、R3、およびR9が態様1~24のいずれかのとおりである、態様1~28のいずれかの方法。
46. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、式:
のオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーなどのD-LNA-CまたはL-LNA-Cモノマーからなる群より選択され、Cがシトシンであり、かつR、R1、R3、およびR9が態様1~24のいずれかのとおりであり、かつ塩基シトシンが、例えばベンゾイルまたはアセチルで保護されていてもよく、かつ任意でシトシンが5-メチルシトシンである、態様1~28のいずれかの方法。
47. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、式:
のオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーなどのD-LNA-GまたはL-LNA-Gモノマーからなる群より選択され、Gがグアニンであり、かつR、R1、R3、およびR9が態様1~24のいずれかのとおりであり、かつ塩基グアニンが、L-LNA-GモノマーについてはiBuなどのアシルで、またはD-LNA-Gモノマーについてはアシル(iBuなどの)もしくはDMFのいずれかで保護されている、態様1~28のいずれかの方法。
48. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、DNAモノマーであるか、またはLNA-Aモノマー、LNA-Cモノマー、およびアシル保護L-LNA-Gモノマーからなる群より選択されるLNAモノマーである、態様1~47のいずれかの方法。
49. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーが、LNA-Tモノマー、D-LNA-Gモノマー、またはDMF保護L-LNA-Gモノマー以外である、態様1~47のいずれかの方法。
50. Rがフェニルであり、R1が水素またはメチルであり、R9が水素であり、かつR3が、CH2-O-DMTrまたはCH2-O-MMTrなどのCH2ODMTr、CH2-アルキル-O-DMTr、CH-Me-O-DMTr、CH2OMMTr、CH2-アルキル-O-MMTr、CH(Me)-O-MMTr、CH-Ra-O-DMTrRb、およびCH-Ra-O-MMTrRbからなる群より選択される、態様17~49のいずれかの方法。
51. Rがフェニルであり、R1が水素またはメチルであり、R9が水素であり、かつR3が-CH2-O-DMTrである、態様17~49のいずれかの方法。
52. 本発明の方法のカップリング段階における、態様17~51のいずれかのオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーと、アセトニトリルと、芳香族複素環式溶媒とを含むアセトニトリル溶液の使用。
53. 前記オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーの濃度が、約0.05M~約2M、例えば約0.1M~約1M、例えば約0.1M~約0.2M、例えば約0.15M、または約0.175M、または約0.2Mである、態様52のアセトニトリル溶液。
54. 前記芳香族複素環式溶媒が態様1~16のいずれかのとおりである、態様52または53のアセトニトリル溶液。
55. アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度が、約0.1%(v/v)~約50%(v/v)、例えば約0.5%(v/v)~約25%(v/v)である、態様52~54のいずれかのアセトニトリル溶液。
56. アセトニトリル中の芳香族複素環式溶媒の濃度が、約0.5%~約10%、例えば約1%(v/v)~約5%(v/v)、例えば約2~4%、例えば約2.5%、例えば約3.5%である、態様52~55のいずれかのアセトニトリル溶液。
【実施例
【0216】
実施例1 - 一般的合成法:
トルエン(50mL)中のN-メチルモルホリンの溶液に、PCl3(2.93mL 33.4mmol)を-70℃で10分かけて加えた。この後、トルエン(50mL)中のプロリン(P5-DまたはP5-L)補助剤(6.24g 35.2mmol)を30分かけて加えた(P5-DおよびP5-Lの合成についてはJ. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 16031-16037参照)。得られた混合物を室温で1.5時間撹拌し、その後溶媒および揮発性物質を減圧下で除去した(40℃および15mbar)。次いで、残っている残渣をTHF(50mL)に溶解し、この後-70℃に冷却し、続いてまずNEt3(17.8mL 128mmol)と、次いで、30分かけて、THF(50mL)溶液としての5'-ODMT-DNA-ヌクレオシド(16mmol)を加えた。反応混合物を-77℃で30分間と、次いで室温で2時間撹拌した。この後、冷EtOAc(200mL)を加え、混合物を冷NaHCO3(150mL)、食塩水(150mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、蒸発乾固させた。粗生成物をアルゴン雰囲気下、シリカ(silicia)上での分解を避けるために溶離剤中に7%NEt3を含む、フラッシュカラムクロマトグラフィで精製した。
【0217】
生成物を、例えばEtOAc、THF、およびNEt3から、少量の残存溶媒を含む可能性のある固体として得た。
【0218】
上記の手法を用いて以下のモノマーを合成した。
D-DNA A:31P NMR (160MHz、DMSO-d6):δ150.3
L-DNA A:31P NMR (160MHz、DMSO-d6):δ148.5
D-DNA T:31P NMR (160MHz、DMSO-d6):δ151.0
L-DNA T:31P NMR (160MHz、DMSO-d6):δ149.1
D-DNA C:31P NMR (160MHz、DMSO-d6):δ151.7
L-DNA C:31P NMR (160MHz、DMSO-d6):δ149.8
D-DNA G-DMF:31P NMR (160MHz、DMSO-d6):δ151.7
L-DNA G-DMF:31P NMR (160MHz、DMSO-d6):δ150.3
【0219】
実施例2
D-LNA-G-DMFの合成
5'-ODMT-LNA-G(3.51g 5.00mmol)をピリジンと、次いでトルエンと同時蒸発させて、任意の残存水または他の溶媒を除去した。次いで、残渣をピリジン(10mL)およびTHF(10mL)に溶解した。この溶液をD-オキサザホスホリジン(3.51g 5.00mmol)、PCl3(0.88mL 10.0mmol)、およびNEt3(3.50mL 25.0mmol)の溶液に、-77℃で加えた。得られた反応混合物を次いで-77℃で15分間と、次いで室温で1.5時間撹拌した。この後、EtOAc(150mL)を加え、混合物を冷NaHCO3(100mL)および食塩水(100mL)で洗浄し、Na2SO4を用いて乾燥し、ろ過し、最後にトルエンと一緒に蒸発させた。得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(溶離剤EtOAc中THF、10%~30%+7%NEt3)で精製して、D-LNA-G-DMFを得た(3.91g、推定収率84%)。
【0220】
実施例3
L-LNA-G-DMFの合成
5'-ODMT-LNA-G(4.91g 7.00mmol)をピリジンと、次いでトルエンと同時蒸発させて、任意の残存水または他の溶媒を除去した。次いで、残渣をピリジン(10mL)およびTHF(15mL)に溶解した。この溶液をL-オキサザホスホリジン(2.48g 14.0mmol)、PCl3(1.22mL 14.0mmol)、およびNEt3(4.90mL 35.0mmol)の溶液に、-77℃で加えた。得られた反応混合物を次いで-77℃で15分間と、次いで室温で1.5時間撹拌した。この後、EtOAc(150mL)を加え、混合物を冷NaHCO3(100mL)および食塩水(100mL)で洗浄し、Na2SO4を用いて乾燥し、ろ過し、最後にトルエンと一緒に蒸発させた。得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(溶離剤EtOAc/DCM 1:1中THF、15%~25%+7%NEt3の勾配を用いて)で精製して、D-LNA-G-DMFを得た(3.41g、推定収率84%)。生成物をカラムクロマトグラフィで前述のとおりに精製した。
【0221】
実施例4
D-DNA G-DMFの合成
トルエン(50mL)中のN-メチルモルホリンの溶液に、PCl3(2.93mL 33.4mmol)を-70℃で10分かけて加えた。この後、トルエン(50mL)中のP5-D(6.24g 35.2mmol)を30分かけて加えた。得られた反応混合物を室温で1.5時間撹拌し、その後溶媒および揮発性物質を減圧下で除去した(40℃および15mbar)。次いで、残っている残渣をTHF(50mL)に溶解し、この後-70℃に冷却し、続いてまずNEt3(17.8mL 128mmol)と、次いで、30分かけて、THF(50mL)溶液としての5'-ODMT-DNA-G(9.99g 16.0mmol)を加えた。反応混合物を-77℃で30分間と、次いで室温で2時間撹拌した。この後、冷EtOAc(200mL)を加え、混合物を冷NaHCO3(150mL)、食塩水(150mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、蒸発乾固させた。粗生成物をアルゴン雰囲気下、フラッシュカラムクロマトグラフィ(溶離剤DCM/EtOAc=2/1+7%NEt3)で精製した。D-DNA-G-DMFを、痕跡量の溶媒不純物(EtOAc、トルエン、およびNEt3)を含む、白色泡状物として単離した(10.6g、72%)。
【0222】
実施例5
L-DNA G-DMFの合成
トルエン(25mL)中のN-メチルモルホリンの溶液に、PCl3(1.33mL 15.2mmol)を-55℃で5分の間に加え、続いてトルエン(25mL)中のP5-L(2.84g 16.00mmol)を15分の間に加えた。得られた反応混合物を-55~45℃で10分間と、次いで室温で1.5時間撹拌した。次いで、溶媒および他の揮発性物質を減圧下で除去した(40℃および6mbar)。次いで、残っている残渣をTHF(25mL)に溶解し、-77℃に冷却した。この後、NEt3(8.92mL 64mmol)と、続いてTHF(25mL)中の5'-ODMT-DNA-G-DMF(4.5g 7.2mmol)を15分の間に加えた。反応混合物を-77℃で15分間と、次いで室温で3時間撹拌した。この後、EtOAc(150mL)を加え、混合物を冷NaHCO3(100mL)、食塩水(50mL)で抽出し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、蒸発させた。
【0223】
アルゴン雰囲気下、フラッシュカラムクロマトグラフィ(溶離剤EtOAc/DCM=1/2+7%NEt3)によって、痕跡量のEtOAcと共に白色泡状物として生成物を単離した(3.77g、63%)。
【0224】
実施例6
L-LNA-G-Ibuモノマーの合成
5'-OAP-LNA-G-iBu誘導体の合成のための手法
【0225】
段階A: トルエン(15mL)中のN-メチルモルホリン(1.76mL 16.0mmol)の溶液に、PCl3(0.66mL 7.6mmol)を-55℃で5分かけて加えた。この後、トルエン(12mL)中の(S)-フェニル-(R)-ピロリジン-2イル)メタノール(P5-D)(1.42g 8.00mmol)を次の15分の間に加えた。その後、反応混合物を、-55~-45℃で10分間、次いで室温で1.5時間撹拌した。
【0226】
溶媒および他の揮発性化合物を40℃および6mbarで減圧除去し、この後THF(13mL)を加えた。
【0227】
段階B: これに続いて、反応混合物を-77℃に冷却し、この後、トリエチルアミン(5.54mL 40mmol)と、続いてTHF(13mL)中の5'-ODMT-LNA-G-iBu(2.67g 4mmol)を15分かけて加えた。得られた混合物を-77℃で15分間と、次いで室温で3時間撹拌した。この後、EtOAc(75mL)を加え、混合物を冷NaHCO3(50mL)および食塩水(50mL)で洗浄し、Na2SO4を用いて乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物をAr雰囲気下、フラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc:ヘキサン、1:4+7%NEt3)で精製した。
【0228】
生成物を白色泡状物として得た(1.95g、推定収率55%)。
DMSO中の31P-NMR 148.8ppm+1% at 28.8ppm。
【0229】
D-LNA G-iBuとL-LNA G-iBuの両方についての合成のさらなる最適化
【0230】
前駆体(例えばP5)よりもわずかに過剰のPCl3は、生成物(例えばOAP-LNA-GiBu)の収率を著しく低下させる副産物の生成を引き起こすことが判明した。したがって、少なくともモル当量の前駆体およびPCl3を用いることが望ましい。いくつかの態様において、段階1における前駆体のPCl3に対するモル比は約1よりも大きく、例えば前記の1.05である。いくつかの態様において、段階1における前駆体のPCl3に対するモル比は1.5以下である。段階2における2倍を超えるモル当量の中間体の使用は、生成物の最も高い収率をもたらすことが判明した(表の項目3および5参照)。いくつかの態様において、中間体(例えば5'-ODMT-G/iBu)の前駆体およびPCl3に対するモル比は2よりも大きい。
【0231】
生成物の純度を31P-NMRスペクトルから判定した。
【0232】
実施例7
生成物の安定性および溶解性の判定
L-LNA G-DMFおよびL-LNA G-i-Buの安定性および溶解性を調べるために、以下の実験法を行った。
【0233】
1.5mLバイアルに0.013mmolのアミダイトを加え、その後固体材料を0.13mLの溶媒に溶解した。この後、バイアルに栓をし、ボルテックスにかけ、最後に室温で24時間放置した。次いで、溶解した材料を溶解性に関して目視検査した(図1)。溶液が濁って見えるか、またはそれ以外に不均質に見えれば、溶解性を「なし」に設定した。溶液が完全に均質に見えれば、溶解性を「あり」に設定した(検査を24時間後に繰り返した)。
【0234】
安定性判定法: 分析を完了するために、アミダイトの安定性を、80%A(H2O中1%NH4OH)~100%B(MeCN中20%A)の勾配およびWaters Xterra MS C18 2.1×100mmカラムによるAgilent 1100シリーズHPLC-MSを用いて調査した。母化合物の質量およびUVピークを0時間および24時間に同定した。この後、他の副産物に比べた相対安定性を、UVクロマトグラム(254nm)を積分し、0時間に記録したクロマトグラムに対して面積を標準化することにより報告した(図2)。
【0235】
3つのモノマーの合成後0時間および24時間の溶解性データを図1に示す。様々な溶媒中で24時間後に測定した安定性データを図2ならびに図3a(L-LNA-G-iBu)および3b(L-LNA-G-DMF)に示す。
【0236】
モノマーL-LNA G-DMFはほとんどの溶媒(MeCN、MeCN:DCE、MeCN:トルエン、MeCN:アセトン、ジオキサン、およびTHF)に不溶性である。モノマーが可溶性である溶媒(MeCN:DCM、DMF、DMSO、NMP、DCM、DCE、およびトルエン)は非常な不安定性を示す。最良の溶媒はDCMであり、24時間後にアミダイトの10%が残る。
【0237】
モノマーL-LNA G-i-Buは調べたすべての溶媒(12の異なる溶媒)に可溶性であり、最良はMeCN、MeCN:アセトン、DCM、およびDCEである。L-LNA G-i-Buについて調べたすべての溶媒は、溶解性および安定性の著しい改善を示す。
【0238】
実施例8 モデルシステムにおける相対的カップリング効率:
モデルシステム: 5'-gcattggtatt(LNA A)cattgttgtttt-3'
通常のLNAホスホラミダイトのカップリング効率を妨害するために、LNA AをMeCN(5%ピリジンありおよびなし)中で0.025Mに希釈した。この後、アミダイトをモデルシステム(5'-gcattggtatt(LNA A)cattgttgtttt-3')中で用いた。ここで3'隣接部を脱保護後の粗製混合物中で同定し、問題のモノマー、すなわちLNA A 0.025MおよびLNA A 0.025M+5%ピリジンの相対的カップリング効率を得るために、全長生成物と比較した。
【0239】
結果は、溶液中のモノマーの濃度を低くすることにより、カップリングが実際に妨害されることを示している。しかし、結果はまた、LNA Aの場合、ピリジンを加えることで反応性が低下することも示している(図4)。
【0240】
実施例9 オキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマー溶液のトリエチルアミン安定化、しかしカップリング効果は改善しない
ここで、Et3N存在下(アミダイトに比べて5~10当量)でのL-LNA Aの安定性をモニターした。
【0241】
L-LNA Aの安定性および溶解性を調べるために、以下の実験手法を行った。
【0242】
1.5mLバイアルに0.013mmolのアミダイトを加え、その後固体材料を0.13mLの溶媒(Et3N、約5~10当量ありおよびなし)に溶解した。この後、バイアルに栓をし、ボルテックスにかけ、最後に室温で24時間放置した。アミダイトの安定性を調べるために、80%A(H2O中1%NH4OH)~100%B(MeCN中20%A)の勾配およびWaters Xterra MS C18 2.1×100mmカラムによるAgilent 1100シリーズHPLC-MSを用いた。母化合物の質量およびUVピークを0時間および24時間に同定した。この後、他の副産物に比べた相対安定性を報告した。これを48時間後に再度繰り返した。
【0243】
結果(図5)は、L-LNA Aの安定性は、MeCN存在下でのみ、経時的に非常に不安定であることを示している。24時間後、L-LNA Aのほとんどは分解された。48時間後、L-LNA Aモノマーは完全に分解された。MeCN中およびEt3N存在下(モノマーに比べて約5~10当量)でのL-LNA Aの場合、L-LNA Aは24時間後に完全に安定である。48時間後、L-LNA Aは部分的に、しかしまだL-LNA Aの大部分は溶液中で保存されている。
【0244】
したがって、Et3Nは溶液中のアミダイトを安定化させる。しかし、オリゴヌクレオチド合成におけるこれらの条件の使用により、全長生成物は痕跡量しか得られない。
【0245】
実施例10 L-LNA Aオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーおよび様々な異なるアミン塩基を用いるモデルシステムにおける相対的カップリング効率:
カップリング段階において耐性のある適切な塩基を見い出すために、関連する窒素含有塩基中のいくつかの異なる添加物をモデルシステム(5'-gcattggtatt(LNA A)cattgttgtttt-3')において調査した。
【0246】
オリゴヌクレオチドの包括的脱保護(NH4OH、60℃で終夜)の後、3'DNA隣接部を同定し、調査した条件(溶媒+/-塩基)の相対的カップリング効率の値を得るために、粗製混合物中の全長生成物と比較した。結果を図6に示す。
【0247】
興味深いことに、通常のオリゴヌクレオチド合成溶媒MeCNはそれ自体では、59%という並みの相対的カップリング効率をもたらすことが判明した。しかし、ピリジン存在下で、カップリングは可能であり、いくつかの場合では相対的カップリング効率の改善をもたらした。
【0248】
最大のカップリング効率を得るために必要なピリジンの量を滴定することにより、MeCN中5~1% v/vの量のピリジンが最適であることが判明した。
【0249】
さらに、3-ピコリンなどのピリジン誘導体もカップリング効率を高めた。
【0250】
実施例11 様々なオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーおよび様々な異なる溶媒を用いるモデルシステムにおける相対的カップリング効率:
モノマーの溶媒に加えたピリジンの効果を調べるために、5つのさらなるモノマーの1セットをモデルシステム(5'-gcattggtatt(立体的に規定されたアミダイト)cattgttgtttt-3')を用いて調査した。
【0251】
オリゴヌクレオチドの包括的脱保護(NH4OH、60℃で終夜)の後、3'DNA隣接部を同定し、調査した条件(溶媒+/-塩基)の相対的カップリング効率の値を得るために、粗製混合物中の全長生成物と比較した。結果を図7に示す。
【0252】
反応性増大の効果、ピリジンの添加は、すべてのモノマーの間で普遍的ではないことが明らかである。興味深いことに、D-DNA Aのような特定のモノマーは、相対的カップリング収率の増大に関して、ピリジンの恩恵を受ける。
【0253】
他の場合において、結果は、L-DNA Aを用いる場合と同じように、ピリジンありおよびなしでは同等である。しかし、溶解特性を見ると、MeCNはそれ自体では、24時間の時間にわたってモノマーを溶液中に維持するのに十分ではない。2.5%ピリジンを加えることで、モノマーは24時間の時間にわたって溶液中に維持される。
【0254】
実施例12 MeCN+/-2.5%ピリジン中の様々なオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーの溶解性、および溶液の安定性:
以下のモノマーの溶解性を実施例7のとおりに判定した。
DNA AはBz保護され、DNA Cはアセチル(Ac)保護され、DNA Tは保護基なしであり、DNA GはDMFであり、LNA AはBz保護され、LNA CはBzであり、LNA Tは保護基なしであり、LNA GはDMF(D-LNA)およびIbu(L-LNA)である。Bz=ベンゾイル。
【0255】
特に記載がないかぎり、すべてのモノマーはDMF保護核酸塩基を有するが、L-LNA-G-iBuは例外でイソブチリル保護基を有する。
【0256】
追加のモノマーをさらに試験することにより、ピリジン添加の溶解性増大効果は、一連のモノマーを通じて普遍的であることが明らかである。D-LNA A、D-DNA A、およびL-DNA Aの場合と同様、これらのモノマーはMeCN中、24時間後に可溶性ではない。しかし、ピリジンの添加により、モノマーの溶解性は保存される。反応性の増大もD-DNA AおよびL-LNA Tでは見られるが、L-DNA AおよびD-LNA Aは同等の様式で反応する。
【0257】
実施例13 2.5%ピリジンありおよびなしかつ様々な活性化濃度での全長生成物に関する変換
モデルシステム5'-Xttttttttttttttt-3'-X=L-LNA Aにおいて得た相対的カップリング変換。未反応断片(5'-ttttttttttttttt-3')と全長生成物(すなわち、5'-(L-LNA-A)ttttttttttttttt-3')を統合し、互いに比較してシステムにおける相対的カップリング効率を得た。異なる濃度の活性化剤を用いて、最適濃度を決定した。ピリジンの添加は、ピリジンが存在しないカップリングに比べて明らかにカップリング効率を高める。結果から明らかなとおり(図8)、活性化剤濃度に関係なく、ピリジン添加は一般に、変換率の増大の点から利点を有する。当技術分野においてはルーチンであるように、活性化剤の濃度を最適化すべきであることは明白でもあり、DCIに関しては典型的には1M DCIの濃度を0.1M NMIと共に用いる。全長生成物への得られた変換を用いて、いくつかの理論収率が算出された。ここで、ピリジンの添加は、創薬に用い得る有用な収率を得るために重大であることは明らかである。実験的に得たカップリング効果データを考慮して、13merオリゴヌクレオチドの理論収率を図9に示すことができ、16merオリゴヌクレオチドについては図10を参照されたい。データを以下の表に示す。
【0258】
全長生成物への実際の変換と13merおよび16merの理論収率の表
【0259】
このデータは、立体的に規定されたオリゴヌクレオチドの合成のために、本発明のカップリング溶媒を用いる顕著な利点を示す。
【0260】
実施例14: 立体的に規定されたオリゴヌクレオチド合成の改善
本実施例において、以下に示すLNAオリゴヌクレオチドの立体化学的変種の合成を、標準の条件(アセトニトリルカップリング溶媒)を用い、本発明に従って実施した。
5'-GSpCSpaSptSptSpgSpgSptSpaSptSpTSpCSpA-3'(SEQ ID NO 1)
XはLNAヌクレオチドを示す。
小文字はDNAヌクレオチドを示す。
下付き文字Sp=立体無作為ホスホロチオエートヌクレオシド間連結。
【0261】
先行技術の条件: 49個の化合物を、立体的に規定されたホスホラミダイトの溶媒としてアセトニトリルと、活性化剤として0.25M DCIを用いて、1μmolスケールで合成した。アセトニトリルを用いることにより、ホスホラミダイトの不安定性および溶解性に関する重要な問題が観察され、これは合成機器のラインの閉塞およびアミダイト溶液の短い寿命を引き起こした。すべての合成をDMT-ONで実施し、すなわち合成機器で最終酸処理を行わない。合成後、オリゴヌクレオチドを固体支持体から、室温で濃水酸化アンモニウムを用いて切断した。この後、得られた溶液を60℃で24時間放置することにより、オリゴヌクレオチドを脱保護した。この後、オリゴヌクレオチドを、DMTr系逆相カートリッジ精製を用いて精製した。オリゴヌクレオチドを減圧濃縮した後、オリゴヌクレオチドを200μLのPBSに溶解し、濃度を260nmの吸光度により決定し、理論的に算出した吸光係数を用いて濃度に逆算した。これにより、49個のオリゴヌクレオチド溶液の平均濃度は200μL PBS中391μMと測定された。
【0262】
新規の改善された条件: 192個の化合物を、立体的に規定されたホスホラミダイトの溶媒としてのアセトニトリル中3.5%ピリジンと、活性化剤としての1M DCI+0.1M NMIとを用いて、1μmolスケールで合成した。立体的に規定されたアミダイトのためにこの溶媒を用いることにより、溶解性に関する問題は観察されず、さらにアミダイト溶液の寿命がはるかに長いことが判明した。すべての合成をDMT-ONで実施し、すなわち合成機器で最終酸処理を行わない。合成後、オリゴヌクレオチドを固体支持体から、室温で濃水酸化アンモニウムを用いて切断した。この後、得られた溶液を60℃で24時間放置することにより、オリゴヌクレオチドを脱保護した。この後、オリゴヌクレオチドを、DMTr系逆相カートリッジ精製を用いて精製した。オリゴヌクレオチドを減圧濃縮した後、オリゴヌクレオチドを200μLのPBSに溶解し、濃度を260nmの吸光度により決定し、理論的に算出した吸光係数を用いて濃度に逆算した。これにより、192個のオリゴヌクレオチド溶液の平均濃度は200μL PBS中1071μMと測定された。
【0263】
したがって、一連の溶解性および安定性を比較することによって、ピリジンなしの条件に比べてピリジン存在下では収率の2.7倍の増大が見られる。
【0264】
実施例15:ピリジンありおよびなしアセトニトリル中の様々なオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーを用いるモデルシステムにおける相対的カップリング効率:
モノマーの溶媒に加えたピリジンの効果を調べるために、7つのさらなるモノマーの1セットをモデルシステム(5'-gcattggtatt(立体的に規定されたアミダイト)cattgttgtttt-3')を用いて調査した。
【0265】
オリゴヌクレオチドの包括的脱保護(NH4OH、60℃で終夜)の後、3'DNA隣接部を同定し、調査した条件(溶媒+/-塩基)の相対的カップリング効率の値を得るために、粗製混合物中の全長生成物と比較した。結果を図19に示す。結果は、すべてのモノマーで改善された溶解性および安定性の利点に加えて、ピリジンなどの複素環式塩基溶媒を含むカップリング溶媒の使用は、L-LNA-TおよびD-DNA-Aモノマー(図7参照)に加えて、D-DNA-C、L-LNA-C、およびL-LNA-Gモノマーのカップリング効率における顕著な改善を提供することを示している。加えて、結果は、ピリジンの存在は他のモノマーのカップリング効果に有害な影響をおよぼさないことを示している。
【0266】
実施例16:立体的に規定されたオリゴヌクレオチドの収率に対する繰り返しカップリングの評価
オリゴヌクレオチドをMerMade12機器によりunylinker CPG固体支持体上、1μmolスケールで合成した。
【0267】
図12および14のとおり、立体的に規定された連結をオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーにより導入した。これらをアセトニトリル中3.5%ピリジンに、0.1Mの濃度で溶解した。立体無作為連結を、アセトニトリルに0.1Mの濃度で溶解したβ-シアノエチルホスホラミダイトを介して導入した。
【0268】
ジクロロメタン中3%ジクロロ酢酸を脱トリチルのために用い、1M DCI、0.1M NMIを活性化剤として用い、ピリジンおよびアセトニトリル1:1中0.1Mキサンタンヒドリドを硫化のために用いた。アセトニトリル/N-メチルイミダゾール(v/v) 8/2をCapAとして用い、アセトニトリル/無水酢酸/ピリジン(v/v/v) 5/2/3をcap Bとして用いた。
【0269】
オリゴヌクレオチド合成について、酸化前のカップリング段階の繰り返しがカップリング効果を高め、それによりオリゴヌクレオチド収率を高め得ることがしばしば見られる。本実施例において、多重カップリング段階の使用がポリtモデルシステム(5'ttttttttttttttt-3')においてカップリング変換を増大し得るかどうかを調べた。16番目のカップリングにL-LNA Aを用いた。NH4OH(水溶液)を用い、55℃で24時間の脱保護後、粗製材料をUPLCで分析した。ここで、全長生成物のUV(260nm)をカップリングしていないポリT断片と比較した。これら2つのピークの積分から、相対的カップリング効率を決定した。データから、カップリングの繰り返しは相対的カップリング効率に対して負の効果を有することがわかる(図20)。したがって、中間体の三価亜リン酸は、3回のカップリングを超えると不安定であり得る(図21)。
【0270】
実施例17: 単一回の伸長サイクル内で繰り返したカップリング段階および酸化段階
オリゴヌクレオチドをMerMade12機器によりunylinker CPG固体支持体上、1μmolスケールで合成した。
【0271】
図12および14のとおり、立体的に規定された連結をオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーにより導入した。これらをアセトニトリル中3.5%ピリジンに、0.1Mの濃度で溶解した。立体無作為連結を、アセトニトリルに0.1Mの濃度で溶解したβ-シアノエチルホスホラミダイトを介して導入した。
【0272】
ジクロロメタン中3%ジクロロ酢酸を脱トリチルのために用い、アセトニトリル中1M DCI、0.1M NMIを活性化剤として用い、ピリジンおよびアセトニトリル1:1中0.1Mキサンタンヒドリドを硫化のために用いた。アセトニトリル/N-メチルイミダゾール(v/v/) 8/2をCapAとして用い、アセトニトリル/無水酢酸/ピリジン(v/v/v) 5/2/3をcap Bとして用いた。
【0273】
相対的カップリング効率を調べるために、ポリDNA Tからなるモデルシステムを設定した。ここで、カップリングの出発点は15 DNA-T(すなわち、5'-ttttttttttttttt-3')で構成された。次いで、16番目のカップリングは調べる特定のモノマー、すなわち立体的に規定されたL-LNA Aアミダイトのものであった。カップリングの後、オリゴヌクレオチドを、水酸化アンモニウム水溶液を用いて55℃で24時間包括的に脱保護した。次いで、粗製材料をUPLCで分析した。未反応の15 DNA T(すなわち、5' ttttttttttttttt 3')のUV(260nmにおいて)を全長生成物(すなわち、5' L-LNA-A-ttttttttttttttt 3')のUVと比較した。UVクロマトグラムの積分により測定した、これらのピーク間の相対的な差を、相対的カップリング効率として割り当てた。
【0274】
以前のサイクル(図中「通常」と示し、標準のカップリング(×3)、酸化、洗浄、DMTr脱保護と、その後に続くさらなる伸長段階)を調べるために、16番目のカップリングとしてL-LNA Aを用いた3つの異なる合成を調べた。この後、3つの合成を、新規カップリングサイクル、すなわち各カップリング段階の間に酸化段階を有するサイクル(すなわち、カップリング、酸化、洗浄、カップリング、酸化、洗浄、カップリング、酸化、洗浄、DMTr脱保護と、その後に続くさらなる伸長段階)で調べた。得られた相対的カップリング効率を図22および23に示す。ここで、「通常」のサイクルは新規の改善された「COWCOWサイクル」よりも劣ることが明らかである。
【0275】
これらの結果をまとめると、見られた差は有意であることがわかる。
【0276】
実施例18:
「COWCOW」サイクルを用いた、完全に立体的に規定されたオリゴヌクレオチドの収率の例
オリゴヌクレオチドをMerMade12機器によりunylinker CPG固体支持体上、1μmolスケールで合成した。
【0277】
図12および14のとおり、立体的に規定された連結をオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーにより導入した。これらをアセトニトリル中3.5%ピリジンに、0.1Mの濃度で溶解した。立体無作為連結を、アセトニトリルに0.1Mの濃度で溶解したβ-シアノエチルホスホラミダイトを介して導入した。
【0278】
ジクロロメタン中3%ジクロロ酢酸を脱トリチルのために用い、MeCN中1M DCI、0.1M NMIを活性化剤として用い、ピリジンおよびアセトニトリル1:1中0.1Mキサンタンヒドリドを硫化のために用いた。アセトニトリル/N-メチルイミダゾール(v/v) 8/2をCapAとして用い、アセトニトリル/無水酢酸/ピリジン(v/v/v) 5/2/3をcap Bとして用いた。
【0279】
本実施例において、Hif-1-αmRNAを標的とする19個のオリゴを1μmolスケールで合成した。オリゴのデザインは、13mer、ギャップマーデザイン、4つのLNA、および9つのDNAであった。すべては立体的に規定されたホスホロチオエート骨格で合成した。「カップリング-酸化-洗浄」サイクルの3回の繰り返しを用いて、オリゴを合成した。
【0280】
合成した19個のオリゴのうち16個は32%のすぐれた単離収率を有し、平均純度は77%であった。残る3つのオリゴは、収率が平均6%であったため、合成が失敗したと判定された。すべてのデータ点を考慮して、平均収率は28%であった。したがって、収率は「通常サイクル」の使用に比べて増大した(3倍)(すなわち、単離収率10%から平均単離収率28%へ)。
【0281】
実施例19: 増大した収率のさらなる調査
オリゴヌクレオチドをMerMade192機器によりunylinker CPG固体支持体上、1μmolスケールで合成した。
【0282】
図12および14のとおり、立体的に規定された連結をオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーにより導入した。これらをアセトニトリル中3.5%ピリジンに、0.1Mの濃度で溶解した。立体無作為連結を、アセトニトリルに0.1Mの濃度で溶解したβ-シアノエチルホスホラミダイトを介して導入した。
【0283】
ジクロロメタン中3%トリクロロ酢酸を脱トリチルのために用い、MeCN中1M DCI、0.1M NMIを活性化剤として用い、ピリジンおよびアセトニトリル1:1中0.1Mキサンタンヒドリドを硫化のために用いた。無水酢酸/テトラヒドロフラン(v/v) 9.1/90.9をCapAとして用い、テトラヒドロフラン/N-メチルイミダゾール/ピリジン(v/v/v) 8/1/1をcap Bとして用いた。
【0284】
COWCOWサイクルの発明を検証するために、データセットを合計92個のオリゴを含むように拡大した。オリゴは16merのLNAギャップマーとして選択した。これらをすべて「通常サイクル」および「COWCOWサイクル」で合成した。本実施例では、「カップリング-酸化-洗浄」サイクルを2回だけ繰り返した。
【0285】
結果は、収率において50%改善を示した。「通常サイクル」の平均単離収率は12%であったが、改善された「COWCOWサイクル」の平均単離収率は17%であった。したがって、「COW」サイクルの2回の繰り返しだけで収率において50%改善が得られた。
・以前のサイクルの平均収率: 12%
・新規サイクルの平均収率: 17%
・カップリング収率の増大: 50%
【0286】
実施例20 - カップリング効率の分析
モデルシステム5'-Xttttttttttttttt-3'(X=L-LNA mC)または5'-Xttttttttt-3'(X=L-DNA T)において得られた場合の相対的カップリング変換。tは立体無作為DNA Tである。すべての連結はホスホロチオエートである。未反応断片と全長生成物をUPLC分析後に統合し、互いに比較して、システムにおける相対的カップリング効率を得た。
【0287】
合成をAkta 100合成機によりUnylinkerポリスチレン固体支持体上、200μmolスケールで実施した。
【0288】
図12および14のとおり、立体的に規定された連結をオキサザホスホリジンホスホラミダイトモノマーにより導入した。これらをアセトニトリル中3.5%ピリジンに、0.15Mの濃度で溶解した。立体無作為連結を、アセトニトリルに0.2Mの濃度で溶解したβ-シアノエチルホスホラミダイトを介して導入した。
【0289】
すべてのホスホラミダイトで各カップリングに2当量を用い、カップリング時間は10分であった。
【0290】
ジクロロメタン中3%ジクロロ酢酸を脱トリチルのために用い、MeCN中1M DCI、0.1M NMIを活性化剤として用い、ピリジンおよびアセトニトリル1:1中0.1Mキサンタンヒドリドを硫化のために用いた。アセトニトリル/N-メチルイミダゾール(v/v) 8/2をCapAとして用い、アセトニトリル/無水酢酸/ピリジン(v/v/v) 5/2/3をcap Bとして用いた。
【0291】
合成が完了した後、固体支持体を濃アンモニアに24時間懸濁した。固体支持体を除去し、アンモニアを減圧下で蒸発させた後、UPLC-MS分析により粗製材料のカップリング効率を評価した。
【0292】
図25に示すとおり、L-DNA Tについて以下の結果が得られた。
二重カップリング: カップリング変換84.8%
COWCOW: カップリング変換96%
カップリング効率において全13.2%の増大が見られる。
【0293】
図26に示すとおり、L-LNA Cについて以下の結果が得られた。
二重カップリング: カップリング変換47.4%
COWCOW: カップリング変換53.3%
カップリング効率の全12%の増大が見られる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
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【配列表】
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