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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】椅子式マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20240523BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
A61H7/00 323J
A61H1/02 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020083470
(22)【出願日】2020-05-11
(65)【公開番号】P2021177831
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000136491
【氏名又は名称】株式会社フジ医療器
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敏久
(72)【発明者】
【氏名】大出 健太郎
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-112790(JP,A)
【文献】特開平09-066087(JP,A)
【文献】特開2005-160866(JP,A)
【文献】特開2000-225160(JP,A)
【文献】特開2008-036128(JP,A)
【文献】特開2018-047298(JP,A)
【文献】特開2003-210270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
A61H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の臀部及び大腿部を支持する座部と、
前記被施療者の肩、腰、及び背中を支持するリクライニング可能な背凭れ部と、
前記被施療者の下腿を収容するオットマンと、
前記座部の後端を上方に移動させる第1移動部と、
前記オットマンを移動させる第2移動部と、
を備え、
前記被施療者の下腿が膝から足首に向かうにつれて下がった第1状態と、前記被施療者の下腿が水平方向に沿った第2状態と、をとるように、前記第2移動部によって前記オットマンが移動可能であり、
前記背凭れ部が最も後方に倒れた状態にあるとともに前記被施療者の下腿が前記第1状態と前記第2状態にあるとき、前記座部の後端前記第1移動部によって上方に移動した状態にあり、
前記第1状態における前記座部の後端の移動量は、前記第2状態における前記座部の後端の移動量よりも大きい、椅子式マッサージ機。
【請求項2】
前記第1移動部が、前記座部の後端の上方移動を膨張によって行うエアバッグで構成されており、
前記背凭れ部が最も起立した第3状態をとるように、前記背凭れ部がリクライニング可能であり、
前記第1状態、前記第2状態、及び前第3状態のうち、前記第3状態で前記エアバッグが最も萎んだ状態になる、請求項1に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項3】
前記被施療者に対する施療が終了してから、前記背凭れ部が最も後方に倒れた状態にあるとともに前記被施療者の下腿が前記第2状態をとって一定時間維持された後に、前記背凭れ部が最も起立した状態をとるように、前記背凭れ部がリクライニング可能であり、その背凭れ部が最も起立した状態では、前記第2状態よりも小さい移動量で前記座部の後端が前記第1移動部によって上方に移動した状態にある、請求項1又は2に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項4】
前記背凭れ部の回動支点の前後方向における位置は、ヒップポイントの前後方向における位置と一致する、請求項1~のいずれか一項に記載の椅子式マッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子式マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な椅子式マッサージ機は、被施療者に対して揉み施療および叩き施療を行う。また、被施療者に対して揉み施療および叩き施療だけでなくストレッチ施療も行う椅子式マッサージ機が開発されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-165563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示されている椅子式マッサージ機は、座部と背凭れ部を逆向きに傾動させて被施療者の身体が伸びる状態になるのに合わせて、揉み玉を被施療者の腰部を押しつけるように突出させることで、被施療者に対してストレッチ施療を行う。
【0005】
しかしながら、特許文献1で開示されている椅子式マッサージ機において座部と背凭れ部を逆向きに傾動させても、被施療者の臀部が下方に沈んでいるために、効果的なストレッチ施療は実行されていなかった。
【0006】
本発明は、上記の状況に鑑み、効果的なストレッチ施療を行える椅子式マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書中に開示されている椅子式マッサージ機は、被施療者の臀部及び大腿部を支持する座部と、前記被施療者の肩、腰、及び背中を支持するリクライニング可能な背凭れ部と、前記座部の後端を上方に移動させる第1移動部と、を備える構成(第1の構成)である。
【0008】
上記第1の構成の椅子式マッサージ機において、前記背凭れ部が最も後方に倒れた状態で、前記第1移動部が前記座部の後端を上方に移動させる構成(第2の構成)にしてもよい。
【0009】
上記第2の構成の椅子式マッサージ機において、前記被施療者の下腿を収容するオットマンと、前記オットマンを移動させる第2移動部と、を備え、前記背凭れ部が最も後方に倒れた状態で、前記被施療者の膝から足首に向かうにつれて前記被施療者の下腿が下がるように前記第2移動部が前記オットマンを移動させる構成(第3の構成)にしてもよい。
【0010】
上記第2の構成の椅子式マッサージ機において、前記被施療者の下腿を収容するオットマンと、前記オットマンを移動させる第2移動部と、を備え、前記背凭れ部が最も後方に倒れた状態で、前記被施療者の下腿が水平方向に沿うように前記第2移動部が前記オットマンを移動させる構成(第4の構成)にしてもよい。
【0011】
上記第1~第4いずれかの構成の椅子式マッサージ機において、前記被施療者に対する施療が終了した後に、前記第1移動部が前記座部の後端を上方に移動させる構成(第5の構成)にしてもよい。
【0012】
上記第1~第5いずれかの構成の椅子式マッサージ機において、前記背凭れ部の回動支点の前後方向における位置は、ヒップポイントの前後方向における位置と一致する構成(第6の構成)にしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本明細書中に開示されている椅子式マッサージ機によれば、効果的なストレッチ施療を行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施例に係る椅子式マッサージ機の概略斜視図
図2】一実施例に係る椅子式マッサージ機の動作を制御する制御系を示すブロック図
図3】一実施例に係る椅子式マッサージ機のフレーム等を模式的に示す側面図
図4】一実施例に係る椅子式マッサージ機のフレーム等を模式的に示す側面図
図5】一実施例に係る椅子式マッサージ機のフレーム等を模式的に示す側面図
図6】一実施例に係る椅子式マッサージ機のフレーム等を模式的に示す側面図
図7】一実施例に係る椅子式マッサージ機のフレーム等を模式的に示す側面図
図8】一実施例に係る椅子式マッサージ機のフレーム等を模式的に示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は一実施例に係る椅子式マッサージ機1(以下、「マッサージ機1」と称す)の前方斜視図である。以下の説明において、背凭れ部3を倒していない状態のマッサージ機1に着座した被施療者から見て前側(正面側)を「前側」又は「前方」といい、背凭れ部3を倒していない状態のマッサージ機1に着座した被施療者から見て後側(背面側)を「後側」又は「後方」という。また、背凭れ部3を倒していない状態のマッサージ機1に着座した被施療者から見て上側(頭側)を「上側」又は「上方」といい、背凭れ部3を倒していない状態のマッサージ機1に着座した被施療者から見て下側(脚側)を「下側」又は「下方」という。また、マッサージ機1に着座した被施療者から見て右側を「右側」又は「右方」といい、マッサージ機1に着座した被施療者から見て左側を「左方」という。
【0017】
マッサージ機1は、座部2、背凭れ部3、側壁部4、腕施療部5、操作部6、コード線7、スタンド8、及びオットマン9を備える。
【0018】
座部2は、被施療者の臀部及び大腿部を支持する。
【0019】
背凭れ部3は、被施療者の肩、腰、及び背中を支持する。背凭れ部3は、リクライニング可能である。つまり、背凭れ部3は、左右方向に沿って延びるリクライニング回転軸回りに回動可能である。当該リクライニング回転軸が背凭れ部3の回動支点P1(図3図8参照)である。
【0020】
背凭れ部3の回動支点P1の前後方向における位置は、ヒップポイントの前後方向における位置と一致する。これにより、背凭れ部3を倒したときに被施療者の頭が背凭れ部3の長手方向に沿ってずれることを防止することができる。なお、ヒップポイントとは被施療者の臀部の中心(設計値)である。
【0021】
背凭れ部3は、マッサージユニット(不図示)と、被施療者の肩及び腰に接する面3Aに沿って延びるガイドレール3B及び3Cと、を内蔵している。当該マッサージユニットは、ガイドレール3B及び3Cによって案内されて背凭れ部3内で昇降する。
【0022】
側壁部4は、座部2の左右両側に立設して設けられる。
【0023】
腕施療部5は、座部2の左右両側に設けられ、側壁部4によって支持される。腕施療部5は、膨縮可能なエアバッグを内蔵しており、当該エアバッグによって被施療者の腕を支持しながら施療する。
【0024】
操作部6は、被施療者が施療パターンの選択や施療の強弱調節などを行うための入力装置である。操作部6はコード線7を介して座部2の下方に設けられる制御部(図1において不図示)に接続される。当該制御部は、操作部6から出力される信号に基づいてマッサージ機1の各部を制御する。
【0025】
スタンド8は、座部2の左側に設けられる腕施療部5に固定されている。操作部6はスタンド8に対して装脱着可能である。
【0026】
オットマン9は、被施療者の下腿を収容する。
【0027】
図2は、マッサージ機1の動作を制御する制御系を示すブロック図である。
【0028】
マッサージ機1は、制御部10と、記憶部11と、駆動回路12~17と、座部用アクチュエータ18と、背凭れ部用アクチュエータ19と、オットマン用アクチュエータ20と、マッサージユニット用アクチュエータ21と、エアポンプ22と、電磁弁群23と、を備える。
【0029】
記憶部11は、制御部10がマッサージ機1の動作を制御するために必要なプログラム及びデータ等を記憶している。
【0030】
制御部10は、操作部6から出力される信号に基づいてマッサージ機1の動作を制御する。具体的には、制御部10は以下のような制御を行う。
【0031】
制御部10は、駆動回路12を介して座部用アクチュエータ18を制御する。制御部10は、駆動回路13を介して背凭れ部用アクチュエータ19を制御する。制御部10は、駆動回路14を介してオットマン用アクチュエータ20を制御する。制御部10は、駆動回路15を介してマッサージユニット用アクチュエータ21を制御する。なお、駆動回路15及びマッサージユニット用アクチュエータ21は、マッサージユニットの一部であり、マッサージユニット内に設けられる。
【0032】
制御部10は、駆動回路16を介してエアポンプ22を制御する。制御部10は、駆動回路17を介して電磁弁群23を制御する。電磁弁群23は複数の電磁弁を含む。各電磁弁は、エアポンプ22と、少なくとも1つのエアバッグとの間に配置される。電磁弁は、例えば分流型の3方弁である。エアポンプ22は、配管を通じて電磁弁の入力側の弁に連結される。電磁弁の出力側の一方の弁は、配管を通じて少なくとも1つのエアバッグに連結される。電磁弁の出力側の他方の弁は大気開放が可能な弁である。
【0033】
上述したエアポンプ22及び電磁弁は、エアバッグへのエア供給及びエアバッグからのエア排出を行う給排気部の一例であり、エア供給及びエア排出を停止させることもできる。
【0034】
図3図8は、マッサージ機1のフレーム等を模式的に示す側面図である。
【0035】
座部用アクチュエータ18は、ロッド部材18Aと、ロッド部材18Aの後部を収容する筒状部材18Bと、座部用モータ(不図示)と、を有する。ロッド部材18Aの前端は、座部2の下に設けられるフレーム2Aの前端寄り且つ下端に左右方向に垂直な平面上で回転可能な形態で接続される。ここで、フレーム2Aの前端寄りとは、フレーム2Aの前端との距離がフレーム2Aの後端との距離よりも短い位置を意味している。フレーム2Aの後端は基台フレームF1の上端且つ後端に左右方向に垂直な平面上で回転可能な形態で接続される。なお、座部2とフレーム2Aとの間にはフレーム2Bが設けられる。フレーム2Bの前端はフレーム2Aの前端に左右方向に垂直な平面上で回転可能な形態で接続される。筒状部材18Bの後端は、座部2及び背凭れ部3を支持する基台フレームF1の下端に左右方向に垂直な平面上で回転可能な形態で接続される。
【0036】
座部用アクチュエータ18は、座部用モータの回転により、筒状部材18Bからのロッド部材18Aの突出量を変更することができる。筒状部材18Bからのロッド部材18Aの突出量が増加すると、マッサージ機1の左側から視て座部2の前端が時計回りに回転する。逆に、筒状部材18Bからのロッド部材18Aの突出量が減少すると、マッサージ機1の左側から視て座部2の前端が反時計回りに回転する。筒状部材18Bからのロッド部材18Aの突出量が大きくなるほど、マッサージ機1の左側から視て筒状部材18Bの長手方向と前後方向とがなす鋭角αは大きくなる。
【0037】
背凭れ部用アクチュエータ19は、ロッド部材19Aと、ロッド部材19Aの前部を収容する筒状部材19Bと、背凭れ部用モータ(不図示)と、を有する。ロッド部材19Aの後端は、背凭れ部3に設けられるフレーム3Aの下端に左右方向に垂直な平面上で回転可能な形態で接続される。筒状部材19Bの前端は、基台フレームF1の前端に左右方向に垂直な平面上で回転可能な形態で接続される。
【0038】
背凭れ部用アクチュエータ19は、背凭れ部用モータの回転により、筒状部材19Bからのロッド部材19Aの突出量を変更することができる。筒状部材19Bからのロッド部材19Aの突出量が増加すると、マッサージ機1の左側から視て背凭れ部3が反時計回りに回転する。逆に、筒状部材19Bからのロッド部材19Aの突出量が減少すると、マッサージ機1の左側から視て背凭れ部3が時計回りに回転する。筒状部材19Bからのロッド部材19Aの突出量が大きくなるほど、マッサージ機1の左側から視て筒状部材19Bの長手方向と上下方向とがなす鋭角βは小さくなる。
【0039】
オットマン用アクチュエータ20は、ロッド部材20Aと、ロッド部材20Aの後部を収容する筒状部材20Bと、オットマン用モータ(不図示)と、を有する。ロッド部材20Aの前端は、オットマン9に設けられるフレーム9Aの背面に接している。なお、オットマン用アクチュエータ20を停止させた状態でマッサージ機1の左側から視てオットマン9が時計回りに回転させると、オットマンフレーム9Aの背面はロッド部材20Aの前端から離れる。筒状部材20Bの後端は、座部2及び背凭れ部3を支持する基台フレームF1に左右方向に垂直な平面上で回転可能な形態で接続される。
【0040】
オットマン用アクチュエータ20は、オットマン用モータの回転により、筒状部材20Bからのロッド部材20Aの突出量を変更することができる。筒状部材20Bからのロッド部材20Aの突出量が増加すると、マッサージ機1の左側から視てオットマン9が時計回りに回転する。逆に、筒状部材20Bからのロッド部材20Aの突出量が減少すると、マッサージ機1の左側から視てオットマン9が反時計回りに回転する。筒状部材20Bからのロッド部材20Aの突出量が大きくなるほど、マッサージ機1の左側から視て筒状部材20Bの長手方向と上下方向とがなす鋭角γは小さくなる。
【0041】
図3は、マッサージ機1の初期状態を示している。図3に示す状態では、座部2の前端が最も下に位置し、背凭れ部3が最も起立し、オットマン9が最も基台フレームF1の前端に近い。図3に示す状態では、ロッド部材18Aの可動範囲内において筒状部材18Bからのロッド部材18Aの突出量が最小であり、ロッド部材19Aの可動範囲内において筒状部材19Bからのロッド部材18Aの突出量が最大であり、ロッド部材20Aの可動範囲内において筒状部材20Bからのロッド部材20Aの突出量が最小である。
【0042】
図4は、マッサージ機1の電源投入直後の状態を示している。なお、電源投入は、操作部6の操作によって手動で実行されてもよいが、被施療者の着座を検知するセンサを常時動作させておき、被施療者の着座をトリガーとして自動的に実行されてもよい。図4に示す状態では、座部2の前端が図3に示す状態よりも上に位置し、背凭れ部3が最も起立し、オットマン9が図3に示す状態よりも基台フレームF1の前端から離れる。図4に示す状態では、ロッド部材18Aの可動範囲内において筒状部材18Bからのロッド部材18Aの突出量が中間値であり、ロッド部材19Aの可動範囲内において筒状部材19Bからのロッド部材18Aの突出量が最大であり、ロッド部材20Aの可動範囲内において筒状部材20Bからのロッド部材20Aの突出量が第1中間値である。
【0043】
図5図7は、マッサージ機1の背凭れ部3が最も後方に倒れた状態(フルリクライニング状態)を示している。
【0044】
図5及び図6に示す状態では、座部2の前端が図3に示す状態よりも上に位置し、背凭れ部3が最も後方に倒れ、オットマン9が基台フレームF1の前端から離れる。図5及び図6に示す状態では、ロッド部材18Aの可動範囲内において筒状部材18Bからのロッド部材18Aの突出量が中間値であり、ロッド部材19Aの可動範囲内において筒状部材19Bからのロッド部材18Aの突出量が最小であり、ロッド部材20Aの可動範囲内において筒状部材20Bからのロッド部材20Aの突出量が第2中間値(>第1中間値)である。
【0045】
図6に示す状態では、フレーム2Aの後端とフレーム2Bの後端との間に設けられるエアバッグ2Cが膨張している。これにより、図6に示す状態では、図3図5に示す状態に比べて、座部2の後端が上方に移動する。つまり、エアバッグ2Cは、座部2の後端を上方に移動させる移動部として機能する。
【0046】
図6に示す状態では、座部2の後端が上方に移動することにより、被施療者の臀部が下方に沈むことを抑制できるので、被施療者の腰部を効果的にストレッチ施療することができる。
【0047】
さらに図6に示す状態では、オットマン9に収容される被施療者の下腿は膝から足首に向かうにつれて下がる。これにより、被施療者の下腿が水平方向に沿う状態に比べて、被施療者の腰部に対するストレッチ施療を強化することができる。
【0048】
図7に示す状態では、座部2の前端が図3に示す状態よりも上に位置し、背凭れ部3が最も後方に倒れ、オットマン9が基台フレームF1の前端から最も離れる。図7に示す状態では、ロッド部材18Aの可動範囲内において筒状部材18Bからのロッド部材18Aの突出量が中間値であり、ロッド部材19Aの可動範囲内において筒状部材19Bからのロッド部材18Aの突出量が最小であり、ロッド部材20Aの可動範囲内において筒状部材20Bからのロッド部材20Aの突出量が最大である。
【0049】
図7に示す状態では、図6に示す状態より萎んだ状態でエアバッグ2Cが膨張している。これにより、図7に示す状態では、図3図5に示す状態に比べて、座部2の後端が上方に移動する。
【0050】
図7に示す状態では、座部2の後端が上方に移動することにより、被施療者の臀部が下方に沈むことを抑制できる。また、図7に示す状態では、図6に示す状態ほど座部2の後端が上方に移動しないので、被施療者の腰部に対するストレッチ施療を抑制できる。さらに図7に示す状態では、オットマン9に収容される被施療者の下腿は水平方向に沿う。
【0051】
図7に示す状態では、オットマン9の被施療者のふくらはぎが接する面、座部2の上面、及び背凭れ部3の面3A(図1参照)が一直線に近い配置となり、マッサージ機1が被施療者にとってベッドに近い形状となる。図7に示す状態は被施療者をリラックスさせることができるので、例えば被施療者に対する施療が終了した後一定時間マッサージ機1が図7に示す状態を維持することが好ましい。
【0052】
図8は、マッサージ機1の被施療者に対する施療が終了した後の状態を示している。本実施形態では、被施療者に対する施療が終了した後、図7に示す状態を経て、図8に示す状態に遷移する。
【0053】
図8に示す状態では、座部2の前端が最も下に位置し、背凭れ部3が最も起立し、オットマン9が最も基台フレームF1の前端に近い。図8に示す状態では、ロッド部材18Aの可動範囲内において筒状部材18Bからのロッド部材18Aの突出量が最小であり、ロッド部材19Aの可動範囲内において筒状部材19Bからのロッド部材18Aの突出量が最大であり、ロッド部材20Aの可動範囲内において筒状部材20Bからのロッド部材20Aの突出量が最小である。
【0054】
図8に示す状態では、エアバッグ2Cが膨張している。これにより、図8に示す状態では、図3図5に示す状態に比べて、座部2の後端が上方に移動する。
【0055】
図8に示す状態では、座部2の後端が上方に移動することにより、被施療者が座った状態から立ち上がることが容易になる。
【0056】
なお、図8に示す状態において、エアバッグ2Cは図7に示す状態より萎んだ状態で膨張していることが好ましい。エアバッグ2Cが膨張し過ぎると、被施療者が座った状態から立ち上がることが容易になるという効果が小さくなるからである。
【0057】
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0058】
例えば、本実施形態では、座部2の後端を上方に移動させる移動部は、エアバッグ2Cであったが、本実施形態とは異なり、エアバッグ2C以外の部品、例えばロッド部材と、ロッド部材を収容する筒状部材と、筒状部材に対するロッド部材の突出量を調整するためのモータと、を有するアクチュエータ等を、座部2の後端を上方に移動させる移動部として用いてもよい。
【0059】
例えば、本実施形態では、座部用アクチュエータ18、背凭れ部用アクチュエータ19、及びオットマン用アクチュエータ20として、それぞれロッド部材と、ロッド部材を収容する筒状部材と、筒状部材に対するロッド部材の突出量を調整するためのモータと、を有するアクチュエータを用いたが、本実施形態とは異なり、座部用アクチュエータ18、背凭れ部用アクチュエータ19、及びオットマン用アクチュエータ20の少なくとも一つを、ロッド部材と、ロッド部材を収容する筒状部材と、筒状部材に対するロッド部材の突出量を調整するためのモータと、を有するアクチュエータ以外のアクチュエータにしてもよい。例えば、リンク機構を有するアクチュエータを用いることでアクチュエータの占有スペースを小さくすることができる。
【0060】
上述した実施形態では、マッサージ機1は、座部2の後端を上方に移動させる移動部を有する構成であるが、座部2の後端を上方に移動させる移動部を有さない構成のマッサージ機において、背凭れ部3の回動支点P1の前後方向における位置が、ヒップポイントの前後方向における位置と一致する構成にしてもよい。この場合も、背凭れ部3を倒したときに被施療者の頭が背凭れ部3の長手方向に沿ってずれることを防止することができるという効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 一実施例に係る椅子式マッサージ機
2 座部
2A、2B フレーム
2C エアバッグ
3 背凭れ部
9 オットマン
18 座部用アクチュエータ
19 背凭れ部用アクチュエータ
20 オットマン用アクチュエータ
F1 基台フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8