(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G06F 16/50 20190101AFI20240523BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
G06F16/50
G06T1/00 200C
(21)【出願番号】P 2020085933
(22)【出願日】2020-05-15
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】神久 翔
【審査官】佐田 宏史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-251610(JP,A)
【文献】特開2017-117335(JP,A)
【文献】Ignazio Infantino et al.,"A fully visual based business document classification system",2014 Science and Information Conference,米国,IEEE,2014年08月27日,pp.339-344
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/50
H04N 1/00
G06T 1/00,7/00-7/90
G06V 30/412
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部と、
原稿の画像データを入力する画像入力部と、
前記画像入力部によって入力された原稿の画像データを取得する文書データ取得部と、
前記文書データ取得部によって取得された画像データから、前記原稿を区別可能な情報である特徴量を取得する文書特徴量取得部と、
前記入力された原稿の画像データを分類するための全体分類ルールとユーザ分類ルールとが含まれる判定基準ルールからなる分類判定情報を記憶する記憶部と、
前記ユーザ分類ルールを更新するユーザルール更新部とを備え、
前記ユーザ分類ルールは、ユーザごとに、特定の特徴量を有する原稿を分類する基準を、前記特定の特徴量に対応付けて設定した情報であり、
ユーザによって、前記操作部を用いて、前記文書特徴量取得部によって取得された特徴量を有する原稿の画像データに対して特定の分類操作がされた場合に、前記ユーザルール更新部は、前記取得された特徴量に対応付けられた前記ユーザのユーザ分類ルールの基準を、前記特定の分類操作に対応する基準に変更
し、
ユーザごとに、前記ユーザ分類ルールを更新するか否かを設定したユーザルール更新条件情報を、前記記憶部に予め記憶し、ユーザのユーザルール更新条件情報に、ユーザ分類ルールを更新しないことを意味する情報が設定されている場合に、前記特定の特徴量に対応付けられた全体分類ルールの基準を変更する事象が発生した場合、
前記特定の特徴量に対応付けられたユーザのユーザ分類ルールの基準を変更せず、前記ユーザのユーザ分類ルールの基準に、変更前の前記特定の特徴量に対応付けられた全体分類ルールの基準を設定するか、あるいは、ユーザのユーザ分類ルールの基準がすでに設定されていた場合は、そのすでに設定されていたユーザのユーザ分類ルールの基準を維持することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ユーザによってなされた特定の分類操作が、前記取得された特徴量を有する原稿の画像データを、所定の保存フォルダに移動させる操作であった場合に、
前記ユーザルール更新部は、前記取得された特徴量に対応付けられた前記ユーザのユーザ分類ルールの基準を、今後前記ユーザによって入力される前記特徴量を有する原稿の画像データを、前記所定の保存フォルダに保存させることを示す基準に変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記特徴量は、入力された原稿の画像データを文字認識および画像認識して取得される文字および図形を含み、前記入力された原稿の種類を区別可能な情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記特定の特徴量を有する原稿を分類する基準には、前記特定の特徴量を有する原稿を分類保存するフォルダ名が設定されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記全体分類ルールは、すべてのユーザに適用される判定基準であって、特定の特徴量を有する原稿を分類する基準を、前記特定の特徴量に対応付けて設定した情報であり、
前記特定の特徴量に対応付けて、前記全体分類ルールと、ユーザのユーザ分類ルールとが設定されている場合、前記ユーザによって入力された前記特定の特徴量を有する原稿の画像データを分類する場合に、前記ユーザのユーザ分類ルールが優先適用されて、前記ユーザによって入力された画像データが分類保存され、
前記特定の特徴量に対応付けて、前記全体分類ルールのみが設定され、ユーザごとのユーザ分類ルールが設定されていない場合、前記ユーザによって入力された前記特定の特徴量を有する原稿の画像データを分類する場合に、前記全体分類ルールが適用されて、前記ユーザによって入力された画像データが分類保存されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記記憶部に予め設定された全体ルール更新条件情報に基づいて、前記分類判定情報の全体分類ルールを更新する全体ルール更新部をさらに備え、
前記特定の特徴量に対応付けて、前記全体分類ルールと、複数のユーザのユーザ分類ルールとが設定されている場合において、
前記複数のユーザのユーザ分類ルールのいずれかに、同一の分類操作に対応する基準が設定され、前記全体ルール更新条件情報を満たす場合、前記全体ルール更新部は、前記特定の特徴量に対応付けられた全体分類ルールの基準を、前記同一の分類操作に対応する基
準に変更することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記全体ルール更新条件情報に、前記ユーザのユーザ分類ルールに同一の分類操作に対応する基準が設定されているユーザの最小人数、あるいは最小率が予め設定され、
前記最小人数以上のユーザあるいは前記最小率以上のユーザの前記ユーザ分類ルールに、同一の分類操作に対応する基準が設定されている場合に、
前記特定の特徴量に対応付けられた全体分類ルールの基準を、前記同一の分類操作に対応する基準に変更することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記特定の特徴量に対応付けて、前記全体分類ルールと、前記全体分類ルールの基準を変更可能な指定ユーザのユーザ分類ルールとが設定され、前記全体分類ルールの基準と前記指定ユーザのユーザ分類ルールの基準とが異なる場合、
前記特定の特徴量に対応付けられた全体分類ルールの基準を、前記指定ユーザのユーザ分類ルールの基準と同じ基準に変更することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ユーザ分類ルールの基準が変更された場合に、変更後の基準を前記ユーザに通知するユーザ通知部をさらに備え、
前記ユーザへの通知方法には、前記変更後の基準の表示、ユーザが有する情報処理装置への前記変更後の基準の送信、ユーザが有する情報処理装置から送信された確認要求に対する前記変更後の基準の前記情報処理装置への返信のいずれか1つ以上が含まれることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
画像形成装置の制御部によって実行される文書データ分類方法であって、
画像形成装置に入力された原稿の画像データを分類するための全体分類ルールとユーザ分類ルールとが含まれる判定基準ルールからなる分類判定情報を記憶しておき、
前記ユーザ分類ルールは、ユーザごとに、特定の特徴量を有する原稿を分類する基準を、前記特定の特徴量に対応付けて設定した情報であり、
ユーザの入力操作によって原稿の画像データを入力する画像入力ステップと、
前記画像入力ステップによって入力された原稿の画像データを取得する文書データ取得ステップと、
前記文書データ取得ステップによって取得された原稿の画像データから、前記原稿を区別可能な情報である特徴量を取得する文書特徴量取得ステップと、
前記分類判定情報のうち、前記特徴量に対応付けられた前記全体分類ルール、または、前記特徴量に対応付けられた前記ユーザのユーザ分類ルールに基づいて、前記取得された原稿の画像データを分類保存するステップと、
前記ユーザによって、前記文書特徴量取得ステップによって取得された特徴量を有する原稿の画像データに対して特定の分類操作がされた場合に、前記取得された特徴量に対応付けられた前記ユーザのユーザ分類ルールの基準を、前記特定の分類操作に対応する基準に変更するユーザルール更新ステップとを有
し、
ユーザごとに、前記ユーザ分類ルールを更新するか否かを設定したユーザルール更新条件情報を予め記憶しておき、ユーザのユーザルール更新条件情報に、ユーザ分類ルールを更新しないことを意味する情報が設定されている場合に、前記特定の特徴量に対応付けられた全体分類ルールの基準を変更する事象が発生した場合、
前記特定の特徴量に対応付けられたユーザのユーザ分類ルールの基準を変更せず、前記ユーザのユーザ分類ルールの基準に、変更前の前記特定の特徴量に対応付けられた全体分類ルールの基準を設定するか、あるいは、ユーザのユーザ分類ルールの基準がすでに設定されていた場合は、そのすでに設定されていたユーザのユーザ分類ルールの基準を維持することを特徴とする文書データ分類方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関し、特に、入力された文書を所定の基準で分類する機能を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、原稿台に載置された原稿を読み取り、読み取られた原稿の画像データを認識して、画像データに含まれる文字や写真等を抽出し、原稿の特徴量を取得する文書認識機能を有する画像形成装置が利用されている。
また、取得した特徴量を利用して、読み取られた原稿の種類を推定し、種類毎に分類された所定のフォルダに画像データを自動的に保存することが行われている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、原稿をスキャンして得られた入力画像の特徴量を取得して、その特徴量と予め学習して作成された分類ルールとを用いて入力画像の分類処理を行って分類先(格納先)を決定する画像処理装置が記載されている。
また、入力画像が学習済画像に分類できない未知画像である場合は、入力画像を未知フォルダに保存し、この未知フォルダに保存されている入力画像に対して行われた操作ログを取得して、入力画像の特徴量と操作ログとを用いて、分類ルールを再学習(再生成)することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の画像形成装置において、読み取られた原稿の画像データを分類して所定のフォルダに保存する機能を、多数のユーザが利用する場合、必ずしも、ユーザが希望するフォルダに保存されるとは限らなかった。
【0006】
また、ユーザが行った操作を記憶した操作ログを取得して、分類ルールを再学習する場合、未知フォルダに保存されている入力画像G1に対する操作を最初に行ったユーザの操作が反映されて、分類ルールが再学習される。
このため、たとえば、この最初のユーザが行った入力画像G1の移動操作によって、入力画像G1の保存先が未知フォルダから特定のフォルダに変更された場合、それ以降、入力画像G1と類似する特徴量を有する入力画像G2は、変更後の特定のフォルダに保存されることになる。すなわち、最初のユーザのみならず、他のユーザが入力画像G2の原稿を読み取った場合も、同じ特定のフォルダに保存される。
【0007】
変更後の特定のフォルダが、大多数のユーザが希望する保存先であれば容易に再利用が可能であり、他のユーザも、入力画像G2を容易に見つけることができる。
しかし、最初のユーザが行った移動操作が特殊であり、変更後の特定のフォルダが多数のユーザが希望する保存先でなかった場合、他のユーザが読み取らせた原稿の入力画像が、意図しない特定のフォルダに保存されたために、他のユーザがその入力画像を探し出せなくなる場合もあった。
あるいは、他のユーザが保存した入力画像を容易に見つけ出すためには、入力画像の保存先を、特定のフォルダから、他のユーザが意図したフォルダに変更する操作をその都度しなければならず、ユーザの操作負担が大きかった。
【0008】
また、保存された入力画像の再利用の観点から、一般的には、同様の特徴量を持つ原稿は、大多数のユーザが希望する保存先のフォルダに保存されていることが望ましいと考えられる。
しかし、ユーザによっては、読み取った入力画像を、そのユーザのみが希望する保存先のフォルダに保存したい場合もあり、個別に保存先のフォルダを設定できることが望ましく、最初のユーザの操作入力によって保存先のフォルダが変更されるのは好ましくない場合もある。
【0009】
そこで、この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、入力された文書データの保存フォルダとして、多数のユーザが保存先として設定すると考えられる分類フォルダを設定できるようにし、入力された文書データが、ユーザが意図しない分類フォルダに保存される可能性を減らし、保存された文書データを容易に再利用できるようにし、入力された文書データを分類して保存する場合のユーザの操作負担を軽減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、操作部と、原稿の画像データを入力する画像入力部と、前記画像入力部によって入力された原稿の画像データを取得する文書データ取得部と、前記文書データ取得部によって取得された画像データから、前記原稿を区別可能な情報である特徴量を取得する文書特徴量取得部と、前記入力された原稿の画像データを分類するための全体分類ルールとユーザ分類ルールとが含まれる判定基準ルールからなる分類判定情報を記憶する記憶部と、前記ユーザ分類ルールを更新するユーザルール更新部とを備え、前記ユーザ分類ルールは、ユーザごとに、特定の特徴量を有する原稿を分類する基準を、前記特定の特徴量に対応付けて設定した情報であり、ユーザによって、前記操作部を用いて、前記文書特徴量取得部によって取得された特徴量を有する原稿の画像データに対して特定の分類操作がされた場合に、前記ユーザルール更新部が、前記取得された特徴量に対応付けられた前記ユーザのユーザ分類ルールの基準を、前記特定の分類操作に対応する基準に変更することを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
【0011】
また、前記ユーザによってなされた特定の分類操作が、前記取得された特徴量を有する原稿の画像データを、所定の保存フォルダに移動させる操作であった場合に、前記ユーザルール更新部は、前記取得された特徴量に対応付けられた前記ユーザUのユーザ分類ルールの基準を、今後前記ユーザによって入力される前記特徴量を有する原稿の画像データを、前記所定の保存フォルダFに保存させることを示す基準に変更することを特徴とする。
【0012】
また、前記特徴量は、入力された原稿の画像データを文字認識および画像認識して取得される文字および図形を含み、前記入力された原稿の種類を区別可能な情報であることを特徴とする。
【0013】
また、前記特定の特徴量を有する原稿を分類する基準には、前記特定の特徴量を有する原稿を分類保存するフォルダ名が設定されることを特徴とする。
【0014】
また、前記全体分類ルールは、すべてのユーザに適用される判定基準であって、特定の特徴量を有する原稿を分類する基準を、前記特定の特徴量に対応付けて設定した情報であり、前記特定の特徴量に対応付けて、前記全体分類ルールと、ユーザのユーザ分類ルールとが設定されている場合、前記ユーザによって入力された前記特定の特徴量を有する原稿の画像データを分類する場合に、前記ユーザのユーザ分類ルールが優先適用されて、前記ユーザによって入力された画像データが分類保存され、前記特定の特徴量に対応付けて、前記全体分類ルールのみが設定され、ユーザごとのユーザ分類ルールが設定されていない場合、前記ユーザによって入力された前記特定の特徴量を有する原稿の画像データを分類する場合に、前記全体分類ルールが適用されて、前記ユーザによって入力された画像データが分類保存されることを特徴とする。
【0015】
また、前記記憶部に予め設定された全体ルール更新条件情報に基づいて、前記分類判定情報の全体分類ルールを更新する全体ルール更新部をさらに備え、前記特定の特徴量に対応付けて、前記全体分類ルールと、複数のユーザのユーザ分類ルールとが設定されている場合において、前記複数のユーザのユーザ分類ルールのいずれかに、同一の分類操作に対応する基準が設定され、前記全体ルール更新条件情報を満たす場合、前記全体ルール更新部は、前記特定の特徴量に対応付けられた全体分類ルールの基準を、前記同一の分類操作に対応する基準に変更することを特徴とする。
【0016】
また、前記全体ルール更新条件情報に、前記ユーザのユーザ分類ルールに同一の分類操作に対応する基準が設定されているユーザの最小人数、あるいは最小率が予め設定され、前記最小人数以上のユーザあるいは前記最小率以上のユーザの前記ユーザ分類ルールに、同一の分類操作に対応する基準が設定されている場合に、前記特定の特徴量に対応付けられた全体分類ルールの基準を、前記同一の分類操作に対応する基準に変更することを特徴とする。
【0017】
また、前記特定の特徴量に対応付けて、前記全体分類ルールと、前記全体分類ルールの基準を変更可能な指定ユーザのユーザ分類ルールとが設定され、前記全体分類ルールの基準と前記指定ユーザのユーザ分類ルールの基準とが異なる場合、前記特定の特徴量に対応付けられた全体分類ルールの基準を、前記指定ユーザのユーザ分類ルールの基準と同じ基準に変更することを特徴とする。
【0018】
また、ユーザごとに、前記ユーザ分類ルールを更新するか否かを設定したユーザルール更新条件情報を、前記記憶部に予め記憶し、ユーザのユーザルール更新条件情報に、ユーザ分類ルールを更新しないことを意味する情報が設定されている場合に、前記特定の特徴量に対応付けられた全体分類ルールの基準を変更する事象が発生した場合、前記特定の特徴量に対応付けられたユーザのユーザ分類ルールの基準を変更せず、前記ユーザのユーザ分類ルールの基準に、変更前の前記特定の特徴量に対応付けられた全体分類ルールの基準を設定するか、あるいは、ユーザのユーザ分類ルールの基準がすでに設定されていた場合は、そのすでに設定されていたユーザのユーザ分類ルールの基準を維持することを特徴とする。
【0019】
また、前記ユーザ分類ルールの基準が変更された場合に、変更後の基準を前記ユーザに通知するユーザ通知部をさらに備え、前記ユーザへの通知方法には、前記変更後の基準の表示、ユーザが有する情報処理装置への前記変更後の基準の送信、ユーザが有する情報処理装置から送信された確認要求に対する前記変更後の基準の前記情報処理装置への返信のいずれか1つ以上が含まれることを特徴とする。
【0020】
また、この発明は、文書データ分類方法であって、画像形成装置に入力された原稿の画像データを分類するための全体分類ルールとユーザ分類ルールとが含まれる判定基準ルールからなる分類判定情報を記憶しておき、前記ユーザ分類ルールは、ユーザごとに、特定の特徴量を有する原稿を分類する基準を、前記特定の特徴量に対応付けて設定した情報であり、ユーザの入力操作によって原稿の画像データを入力する画像入力ステップと、前記画像入力ステップによって入力された原稿の画像データを取得する文書データ取得ステップと、前記文書データ取得ステップによって取得された原稿の画像データから、前記原稿を区別可能な情報である特徴量を取得する文書特徴量取得ステップと、前記分類判定情報のうち、前記特徴量に対応付けられた前記全体分類ルール、または、前記特徴量に対応付けられた前記ユーザのユーザ分類ルールに基づいて、前記取得された原稿の画像データを分類保存するステップと、前記ユーザによって、前記文書特徴量取得ステップによって取得された特徴量を有する原稿の画像データに対して特定の分類操作がされた場合に、前記取得された特徴量に対応付けられた前記ユーザのユーザ分類ルールの基準を、前記特定の分類操作に対応する基準に変更するユーザルール更新ステップとを有することを特徴とする画像形成装置の文書データ分類方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、入力された原稿の画像データを取得した後、取得した画像データの特徴量を取得し、ユーザによって、取得された特徴量を有する原稿の画像データに対して特定の分類操作がされた場合に、取得された特徴量に対応付けられたユーザのユーザ分類ルールの基準を、特定の分類操作に対応する基準に変更するので、入力された文書データの保存先フォルダとして、多数のユーザが保存先として設定すると考えられる分類フォルダを設定でき、入力された文書データが、ユーザが意図しない分類フォルダに保存される可能性を減らし、保存された文書データを容易に再利用でき、入力された文書データを分類して保存する場合のユーザの操作負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】この発明の画像形成装置の一実施例の構成ブロック図である。
【
図2】この発明において、記憶部に記憶される情報の一実施例の説明図である。
【
図3】この発明において、記憶部に記憶される情報の一実施例の説明図である。
【
図4】この発明において、記憶部に記憶される情報の一実施例の説明図である。
【
図5】この発明において、記憶部に記憶される特徴量基準情報の一実施例の説明図である。
【
図6】この発明において、記憶部に記憶される特徴量基準情報の一実施例の説明図である。
【
図7】この発明において、記憶部に記憶される情報の一実施例の説明図である。
【
図8】この発明において、記憶部に記憶される情報の一実施例の説明図である。
【
図9】この発明において、記憶部に記憶される情報の一実施例の説明図である。
【
図10】この発明において、記憶部に記憶される分類判定情報の一実施例の説明図である。
【
図11】この発明において、記憶部に記憶される分類判定情報の一実施例の説明図である。
【
図12】この発明において、記憶部に記憶される分類判定情報の一実施例の説明図である。
【
図13】この発明において、記憶部に記憶される分類判定情報の一実施例の説明図である。
【
図14】この発明において、記憶部に記憶される分類判定情報の一実施例の説明図である。
【
図15】この発明において、記憶部に記憶される分類判定情報の一実施例の説明図である。
【
図16】この発明において、保存フォルダを変更する操作をした場合の一実施例の説明図である。
【
図17】この発明において、記憶部に記憶される分類判定情報の一実施例の説明図である。
【
図18】この発明において、文書データの入力と分類保存処理の一実施例のフローチャートである。
【
図19】この発明において、文書データの分類位置の通知確認処理の一実施例のフローチャートである。
【
図20】この発明において、分類判定情報の更新処理の一実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を使用して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施例の記載によって、この発明が限定されるものではない。
また、この発明は、以下に示す画像形成装置であるが、画像、図形、文字などの情報が記載された文書を入力する機能を有する他の情報処理装置、画像処理装置などにも適用可能である。
【0024】
<画像形成装置の構成>
図1に、この発明の画像形成装置の一実施例の構成ブロック図を示す。
画像形成装置(以下、MFP:Multifunction Peripheral、複合機とも呼ぶ)1は、画像データを処理する装置であり、たとえば、複写(コピー)機能、印刷機能、原稿読取(スキャン)機能、原稿編集機能、原稿保存機能、原稿送信(ファックス、FAX)機能、通信機能などを備えた電子機器である。
以下の実施例では、この発明の画像形成装置1は、特に、印刷機能、原稿読取(スキャン)機能、原稿分類保存機能を備えるものとして説明するが、これ以外の機能を備えてもよい。
【0025】
図1において、この発明の画像形成装置(MFP)1は、主として、制御部11、操作部12、表示部13、画像処理部14、通信部18、ユーザ操作取得部21、文書データ取得部22、文書特徴量取得部23、ユーザ更新条件判定部24、分類ルール更新部25、ユーザ通知部28、記憶部50を備える。
画像処理部14は、主に、画像入力部15、画像形成部16、画像出力部17から構成される。
また、分類ルール更新部25は、全体ルール更新部26と、ユーザルール更新部27から構成される。
【0026】
制御部11は、操作部12や画像処理部14などの各構成要素の動作を制御する部分であり、主として、CPU、ROM、RAM、I/Oコントローラ、タイマー等からなるマイクロコンピュータによって実現される。
CPUは、ROM等に予め格納された制御プログラムに基づいて、各種ハードウェアを有機的に動作させて、この発明の画像形成機能、文書特徴量取得機能などを実行する。
【0027】
また、上記構成要素のうち、文書特徴量取得部23、ユーザ更新条件判定部24、分類ルール更新部25、全体ルール更新部26、ユーザルール更新部27は、CPUが、所定のプログラムに基づいてそれぞれの処理を実行する機能ブロックである。
【0028】
操作部12は、画像形成装置のユーザが所定の入力操作をするための入力装置である。たとえば、文字などの情報の入力や、機能の選択入力をする部分であり、キーボード、マウス、タッチパネルなどが用いられる。
ユーザが操作するキーとしては、動作開始キー、機能選択キー、設定キーなどがある。
ユーザは、たとえば、タッチパネルや読み取り動作の開始キーを入力する操作をすることによって、原稿の読み取りを実行させる。
また、タッチパネルや所定の選択キーを入力する操作をすることによって、読み取った原稿の画像データの保存先(保存フォルダ)を選択入力したり、画像データの保存先(保存フォルダ)を変更したり、保存フォルダのフォルダ名を変更したり、画像データを削除したりする。
【0029】
表示部13は、情報を表示する部分であり、各機能の実行に必要な情報や、機能の実行の結果などを、利用者に知らせるために表示する。たとえば、LCD、有機ELディスプレイなどが用いられ、操作部12としてタッチパネルが用いられる場合は、表示部13とタッチパネルとが重ね合わせて配置される。
表示部13には、たとえば、画像形成装置の印刷等に利用する設定項目の設定や、原稿読取機能等を実行するのに必要な情報や、選択した機能の操作画面などが、文字、記号、図形、画像、アイコン、アニメーション、動画等を用いて、表示される。
【0030】
画像処理部14は、画像形成装置の主要な機能である画像形成機能を実行する部分であり、主に、画像入力部15、画像形成部16、および、画像出力部17からなる。
主として、画像入力部15は、所定の画像データを入力する部分であり、画像形成部16は、入力された画像データを印刷等することのできる情報に変換する部分であり、画像出力部17は、形成された印刷情報等を印刷用紙等に出力する部分である。
【0031】
画像入力部15は、画像や文字図形等が記載された原稿の画像データを入力する部分であり、たとえば、原稿台等に載置された原稿を読み取る部分である。
画像入力部15としては、情報が記載された原稿を読み取るスキャナ(読取装置)を用いる。
画像形成装置1は、原稿を読み取るために、原稿が載置される原稿載置台(原稿台)と、原稿を抑える原稿カバーとを備える。
また、画像形成装置1は、複数枚の原稿を載置して、複数の原稿を1枚ずつ自動的に搬送して読み取る自動原稿送り装置(ADF:Automatic Document Feeder)を備えてもよい。
【0032】
画像情報を入力する方法には種々の方法があるが、たとえば、画像等が記載された原稿をスキャナで読み取り、原稿の画像データ(以下、入力文書データと呼ぶ)を、記憶部50に記憶する。
【0033】
また、たとえば、USBメモリなどの外部の記憶媒体を接続するインタフェースが、画像入力部15に該当する。
入力したい画像情報などの電子データファイルを、USBメモリなどの外部の記憶媒体に保存しておき、USBメモリ等をUSB端子などの入力インタフェースに接続し、操作部12で所定の入力操作を行うことによって、USBメモリ等に保存された所望の電子データファイルを読み出して、記憶部50に、入力文書データとして記憶してもよい。
【0034】
画像形成部16は、たとえば、入力文書データを記録媒体に印刷する場合、一般的に、帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電、及び定着の各工程を連続的に実施して、入力文書データを記録媒体に画像として形成する。
現像工程では、トナーカートリッジからトナーを現像装置に補給し、帯電した感光体ドラムの表面に形成された静電潜像が現像され、静電潜像に対応したトナー像が形成される。感光体ドラムの表面に形成されたトナー像は転写装置によって記録媒体上に転写され、その後、定着装置によって加熱されることにより記録媒体上に定着させられる。
また、画像形成部16は、入力文書データを転送や表示できる形態の情報に変換する。
【0035】
画像出力部17は、入力文書データを出力する部分であり、たとえば、プリンタに相当し、読み取られた原稿の入力文書データを、所定の印刷用紙(紙媒体)に印刷する。
ただし、入力文書データの出力は、印刷に限るものではなく、スキャンされた原稿の入力文書データの記憶、スキャンされた原稿の入力文書データのFAX送信なども含まれる。
たとえば、読み取られた原稿の入力文書データをUSBメモリなどの外部の記憶媒体へ記憶すること、インターネットなどのネットワークを介して他の情報処理装置やサーバへ入力文書データを送信すること、特定の保存フォルダに分類保存することも、画像出力に相当する。
【0036】
通信部18は、ネットワークを介して、他の通信装置とデータ通信をする部分である。
たとえば、パソコン、携帯端末、サーバなどの情報処理装置から転送されてきた電子データファイルを受信する。
また、この発明の画像形成装置1で生成された入力文書データを、画像形成装置1に接続された外部記憶装置(USBメモリなど)に転送したり、ネットワークを介して、原稿を入力したユーザ所有のパソコンやサーバなどの情報処理装置に送信したりする。
【0037】
ネットワークとしては、インターネットなどの広域通信網や、LANなど、既存のあらゆる通信網を用いることができ、通信形態は、有線通信および無線通信のどちらを用いてもよい。
また、後述するように、入力文書データが保存された位置(保存フォルダ)をユーザに知らせて確認してもらうために、通信部18によって、入力文書データが保存された保存フォルダのフォルダ名などを、ユーザの所有するパソコン等の情報処理装置に送信してもよい。
【0038】
ユーザ操作取得部21は、操作部12を利用してユーザがした入力操作の内容を取得する部分である。
ユーザがする入力操作は多数あるが、この発明では、特に、入力文書データに対して行う操作を取得する。
入力文書データに対して行う操作としては、入力文書データを分類する操作があり、たとえば、入力文書データを特定の保存フォルダに保存する操作、入力文書データを移動させる(保存フォルダを変更する)操作、入力文書データを削除する操作、保存フォルダの名称(フォルダ名)を変更する操作などがある。
【0039】
上記のような入力文書データに対する分類操作のパターン(文書操作パターン)を予め記憶し、操作部12を利用して行われた入力操作の履歴(ログ)を常に記憶するようにする。
この入力操作の履歴の中に、予め記憶している文書操作パターンに相当する一連の入力操作と一致するものが現れた場合に、入力文書データに対する分類操作が行われたと判断し、その文書操作パターンの入力操作を取得する。
たとえば、入力操作の履歴に、入力文書データを移動させる文書操作パターンがあった場合に、入力文書データの移動操作が行われたと判断し、その入力操作を取得する。取得された入力操作の内容に基づいて、後述するような分類判定情報の更新処理が行われる。
【0040】
文書データ取得部22は、画像入力部15によって入力された原稿の画像データを取得する部分であり、この画像データを特定するファイル名と、入力したユーザ名とを対応付けて、後述するように、入力文書データ51として、記憶部50に記憶する。
ユーザ名は、画像形成装置を利用するユーザの名前であり、たとえば、ユーザが設定入力したユーザ特定情報や、画像形成装置を利用するときにユーザ認証を必要とする場合は、ユーザ認証に利用したユーザ名やユーザIDに相当する情報である。
【0041】
たとえば、入力されたユーザ名がU1であり、ユーザU1が読み取らせた原稿の画像データのファイル名がF001であれば、U1とF001とが対応付けられて、1つの入力文書データ51として記憶される。
また、後述するように、入力文書データ51には、ユーザ名とファイル名に加えて、特徴量が含まれる。さらに、入力文書データに、保存フォルダの名称(フォルダ名)を含めて記憶してもよい。
【0042】
文書特徴量取得部23は、取得された画像データ(入力文書データ)から、その入力文書データの特徴量を取得する部分である。
特徴量は、入力された原稿を区別可能な情報であり、原稿の画像データを認識した結果得られる情報である。
画像データを解析し、文字認識や画像認識をすることにより、文字、記号、図形、線分、写真などの情報を抽出することができる。
これらの抽出された情報と、抽出された情報の原稿における位置、形状、色、配置パターンなどを組合せた情報が、入力文書データの特徴量として取得される。
すなわち、入力文書データの特徴量は、入力された原稿の画像データを文字認識および画像認識して取得される文字および図形などを含み、入力された原稿の種類を区別可能な情報である
【0043】
たとえば、原稿が「議事録」である場合、原稿の第1ページ目の上部に、「議事録」という文字情報が記載され、「日時」や「場所」を特定する文字列パターンが記載されている可能性が高い。また、ファイル名に、「議事録」という文字列が含まれる場合が多い。
そこで、入力された原稿の画像データを解析し、その画像データに、「議事録」、「日時」、「場所」という文字列が含まれ、ファイル名に「議事録」という文字列が含まれていた場合、その入力文書データの特徴量として、「議事録」とその記載位置(たとえば、「議事録」が存在するページと行)、「日時」および「場所」とその記載位置(「日時」および「場所」が存在するページと行)、「議事録」を含むファイル名が、取得される。
取得された特徴量は、取得特徴量情報52として、記憶部50に記憶される。
【0044】
ここで、「議事録」、「日時」、「場所」などの文字列は、特徴量を取得するために、キーワードとして予め記憶部に登録しておくことが好ましい。
文字認識や画像認識の技術は、従来から行われている技術を利用することができる 。
【0045】
ユーザ更新条件判定部24は、ユーザごとに設定されたユーザ分類ルールを更新するか否かを判定する部分である。
ユーザ分類ルールは、後述する
図10などに示した分類判定情報54に設定された分類ルールの一つであり、ユーザごとに、特定の特徴量を有する原稿を分類する基準を、その特定の特徴量に対応付けて設定した情報である。
ここで、特定の特徴量を有する原稿を分類する基準には、入力文書データを保存するユーザごとの分類基準(ルール)が設定されるが、たとえば、特定の特徴量を有する原稿を分類保存するフォルダ名が設定される。
【0046】
たとえば、ユーザU1が、ある特徴量Aを持つ入力文書データのファイルを、あるフォルダFAに保存する操作をしたとすると、ユーザU1のユーザ分類ルールには、ユーザU1が入力した文書データを保存するフォルダFAが記憶される。
以後、ユーザU1が、同じ特徴量Aを持つ原稿を読み取らせた場合、その原稿の入力文書データのファイルは、特徴量Aに対応するユーザU1のユーザ分類ルールに基づいて、自動的に、フォルダFAに保存される。
【0047】
ユーザ分類ルールを更新するか否かの判定は、後述する
図7に示したユーザルール更新条件情報56に基づいて行われる。
ユーザルール更新条件情報56には、ユーザごとに、ユーザ分類ルールを更新するか否かの情報(有効、無効)が予め設定されている。
【0048】
たとえば、あるユーザのユーザルール更新条件情報56に、「有効」が設定されている場合は、そのユーザのユーザ分類ルールを更新すると判定する。この場合、分類判定情報54の全体分類ルールが更新された場合は、そのユーザのユーザ分類ルールも更新する。
一方、あるユーザのユーザルール更新条件情報56に、「無効」が設定されている場合は、そのユーザのユーザ分類ルールを更新しないと判定する。この場合、分類判定情報54の全体分類ルールが更新された場合でも、そのユーザのユーザ分類ルールは更新することなく、直前のユーザ分類ルールが維持される。
ユーザ分類ルールの更新の有効無効の詳細については、後述する。
【0049】
分類ルール更新部25は、分類判定情報54に記憶された判定基準ルールの内容を変更する部分である。
後述するように、分類判定情報54には、入力された原稿の画像データを分類するための判定基準ルールが記憶されるが、この判定基準ルールには、全体分類ルールと、ユーザ分類ルールが含まれる。
分類ルール更新部25は、所定の条件を満たした場合に、判定基準ルールのうち、全体分類ルールとユーザ分類ルールの両方を変更するか、またはいずれか一方のみを変更する。
図1に示したように、分類ルール更新部25は、全体ルール更新部26と、ユーザルール更新部27とからなる。
【0050】
全体ルール更新部26は、分類判定情報54の全体分類ルールを更新する部分である。全体分類ルールの更新は、後述する全体ルール更新条件情報57に基づいて行われる。
全体ルール更新条件情報57は、後述する
図8に示すような情報である。
全体ルール更新条件情報57に予め設定されている更新条件が満たされている場合に、全体分類ルールの内容を変更する。
【0051】
たとえば、第1の特徴量P1に対応付けて、分類判定情報54の全体分類ルールと、複数のユーザのユーザ分類ルールとが設定されている場合において、複数のユーザのユーザ分類ルールのいずれかに、同一の分類操作に対応する基準が設定され、全体ルール更新条件情報57を満たす場合、全体ルール更新部26が、第1の特徴量P1に対応付けられた全体分類ルールの基準を、同一の分類操作に対応する基準に変更する。
【0052】
さらに具体的に言えば、たとえば、複数のユーザのうち、所定数以上(たとえば3人以上)のユーザが、同じ特徴量P1を有する各ユーザの入力文書データのファイルに対して、同じ入力操作(移動操作)をして、全体分類ルールとは異なる基準で、各ユーザのファイルを、同じ特定の保存フォルダFSに保存していたとする。
この場合、所定数以上のユーザが、同じ移動操作をして、全体分類ルールとは異なる基準で、同じ特徴量P1を有するファイルを同じ保存フォルダFSに移動させているので、全体ルール更新条件情報を満たしていると判断し、全体分類ルールの基準を、同一の分類操作に対応する基準に変更する。
ここで、同一の分類操作は、同じ特徴量P1を有するファイルを同じ保存フォルダFSに移動させる操作であり、同一の分類操作に対応する基準は、たとえば、特徴量P1を有するファイルは保存フォルダFSに移動させるという基準である。
全体分類ルールを変更する実施例については、後述する。
【0053】
ユーザルール更新部27は、分類判定情報54のユーザ分類ルールを更新する部分である。
ユーザ分類ルールの更新は、ユーザルール更新条件情報56に基づいて行われる。
ユーザルール更新条件情報57は、
図7に示すように、ユーザごとに設定された情報であり、あるユーザに対するユーザルール更新条件情報が「有効」である場合に、ユーザ分類ルールの内容を変更する。
ただし、あるユーザに対するユーザルール更新条件情報が「無効」である場合は、ユーザ分類ルールの内容を変更せず、現在のユーザ分類ルールの内容を維持する。
ユーザ分類ルールを変更する実施例については、後述する。
【0054】
ユーザ通知部28は、ユーザ分類ルールの基準が変更された場合に、変更後の基準をユーザに通知する部分である。
全体分類ルールの基準が変更された場合も、変更後の基準をユーザに通知してもよい。
ユーザ分類ルールの基準として、入力された原稿の入力文書データが保存された分類フォルダ(保存フォルダ)のフォルダ名が設定されている場合は、少なくとも、変更後の保存フォルダのフォルダ名を含む情報を、ユーザに通知すればよい。
【0055】
たとえば、ユーザU3が入力した原稿の入力文書データF011が保存された分類フォルダが、「議事録」という名のフォルダFCに変更された場合、入力文書データF011が保存された分類フォルダは「議事録」という名のフォルダFCであることを示す情報を、画像形成装置の表示部13に表示して、ユーザU3に通知する。
【0056】
ユーザU3は、この表示内容を見て、入力文書データF011が、ユーザU3の意図する分類フォルダに保存されたか否かを確認する。
ユーザU3の意図する分類フォルダに保存された場合は、ユーザU3は、その分類保存処理を承認する入力をすればよい。
ただし、ユーザU3の意図する分類フォルダに保存されなかった場合には、ユーザU3は、その分類保存処理を未承認とする入力をし、入力文書データF011を再分類する処理をしてもよい。
【0057】
ユーザへの通知方法は、表示に限るものではなく、他の手段による通知でもよい。
たとえば、ユーザへの通知方法には、変更後の基準の表示、ユーザが有する情報処理装置への変更後の基準の送信、ユーザが有する情報処理装置から送信された確認要求に対する変更後の基準の情報処理装置への返信のいずれか1つ以上が含まれることが好ましい。
また、保存フォルダのフォルダ名等の情報を、音声でユーザに通知してもよい。
【0058】
変更後の基準として保存フォルダのフォルダ名等の情報を、ユーザの所有するパソコンや携帯端末へ送信することによって、ユーザは、ユーザの座席位置など、画像形成装置とは異なる位置で、読み取らせた原稿の保存先のフォルダを確認することができる。
また、ユーザの携帯端末等から、入力文書データの保存フォルダを確認することを意味する確認要求を受信した場合に、その入力文書データを保存したフォルダのフォルダ名等の情報を、ユーザの携帯端末等に返信することによって、ユーザは、自己が確認したい時に、読み取らせた原稿の保存先のフォルダを確認することができる。
【0059】
ユーザへの通知方法が複数ある場合は、採用する通知方法を予め設定記憶しておいてもよい。
また、ユーザごとに通知方法を変えてもよく、この場合は、ユーザごとに通知する方法を予め設定記憶しておき、設定記憶された通知方法で、保存フォルダのフォルダ名等の情報を、ユーザに通知してもよい。
【0060】
記憶部50は、この発明の画像処理装置の各機能を実行するために必要な情報やプログラムを記憶する部分であり、ROM、RAM、フラッシュメモリなどの半導体記憶素子、HDD、SSDなどの記憶装置、その他の記憶媒体が用いられる。
記憶部50には、たとえば、入力文書データ51、取得特徴量情報52、分類フォルダ情報53、分類判定情報54、特徴量基準情報55、ユーザルール更新条件情報56、全体ルール更新条件情報57、ユーザ通知設定情報58などが記憶される。
図2から
図9に、記憶部50に記憶される情報の一実施例の説明図を示す。
【0061】
入力文書データ51は、スキャナで読み取られた原稿の画像データである。
たとえば、原稿台に載置された1枚の原稿をスキャナで読み取った場合、その原稿の画像データが得られるが、この画像データにファイル名を付けて保存したものが入力文書データである。
また、この発明では、原稿の種類ごとに分類して、入力文書データを保存フォルダに保存するが、原稿を読み取らせる操作をしたユーザの名前(ユーザ名)や、原稿の種類を区別する特徴量と、ファイル名とを対応付けて、記憶する。
【0062】
図2に、記憶部50に記憶される入力文書データ51の一実施例の説明図を示す。
図2には、6つの入力文書データ51の実施例を示している。
ここでは、ファイル名と、ユーザ名と、特徴量とを対応付けて記憶した入力文書データ51を示している。保存フォルダも対応付けて記憶してもよい。
【0063】
たとえば、
図2の1番目の入力文書データ51は、ファイル名が「F001」であり、ユーザ名が「ユーザU1」であり、特徴量が「A」であり、この入力文書データ51を保存している保存フォルダが「MTG資料」(ミーティング資料)という名のフォルダであることを示している。
また、保存フォルダ「MTG資料」の特徴量が「A」であることを意味し、特徴量「A」の具体的な内容は、たとえば後述する
図5に示すようなものである。
【0064】
取得特徴量情報52は、入力文書データ51から取得された特徴量である。
読み取られる原稿は、文字のみからなるもの、画像のみからなるもの、文字と写真からなるもの、図形、表あるいはグラフを含むものなど、様々な種類の原稿があるが、一定の様式や、特定のキーワードを持つ原稿がある。
取得した原稿の画像データを解析して、一定の様式や、特定のキーワードなど、文字や図形等の特徴的な情報を抽出した情報が、特徴量に相当する。
【0065】
図3に、記憶部50に記憶される取得特徴量情報52の一実施例の説明図を示す。
図3には、
図2の1番目のファイル名「F001」の入力文書データ51の取得特徴量情報52の実施例を示している。
ここで、ファイル名「F001」の入力文書データ51を解析した結果、特徴量として、ファイル拡張子と、「議題」という文字と、「ミーティング」という文字と、「対応策」という文字が取得されたものを示している。
また、ファイル拡張子は、「.pptx」という情報であり、「議題」という文字は、入力文書データ51の1ページ目の2行目に存在し、「ミーティング」という文字は、入力文書データ51の1ページ目の3行目に存在し、「対応策」という文字は、入力文書データ51の3ページ目の8行目に存在していることを示している。
【0066】
図3の取得特徴量情報52は、4つの特徴量からなるものを例示したが、これらの4つの特徴量に限るものではなく、読み取る原稿によっては、もっと多数の特徴量が取得される場合もあり、特徴量が取得されない場合もある。
この取得特徴量情報52と、後述する特徴量基準情報55とを比較することによって、入力文書データ51を分類保存するフォルダが決定される。
たとえば、
図3の取得特徴量情報52の4つの特徴量と一致する特徴量基準情報55が存在し、その特徴量基準情報55に対応付けられた保存フォルダが「MTG資料」であった場合に、ファイル名「F001」の入力文書データ51は、「MTG資料」という名の保存フォルダに分類保存される。
【0067】
分類フォルダ情報53は、入力文書データ51を分類した後に、入力文書データ51が保存されるフォルダ(保存フォルダ)に関する情報である。
分類フォルダ情報53は、たとえば、保存フォルダの名称(フォルダ名)と、特徴量と、その保存フォルダに保存されたファイルの情報とを含む情報である。保存フォルダは、分類フォルダとも呼ぶ。
【0068】
図4に、記憶部50に記憶される分類フォルダ情報53の一実施例の説明図を示す。
図4には、4つの保存フォルダに関する情報を示している。
たとえば、「MTG資料」という名の保存フォルダは、特徴量「A」を持つファイルを保存したフォルダであり、現在、ファイル名「F001」と「F003」という2つのファイル(入力文書データ)が、この保存フォルダに保存されていることを示している。
また、ファイル名「F001」の入力文書データは、ユーザU1によって入力された原稿であり、ファイル名「F003」の入力文書データは、ユーザU2によって入力された原稿である。
【0069】
「議事録」という名の保存フォルダは、特徴量「C」を持つファイルを保存したフォルダであり、現在、ファイル名「F002」と「F050」という2つのファイル(入力文書データ)が、この保存フォルダに保存されていることを示している。
また、ファイル名「F002」の入力文書データは、ユーザU1によって入力された原稿であり、ファイル名「F050」の入力文書データは、ユーザU5によって入力された原稿である。
【0070】
「注文書」という名の保存フォルダは、特徴量「B」を持つファイルを保存したフォルダであり、現在、ユーザU3によって入力された原稿で、ファイル名「F004」というファイル(入力文書データ)が、この保存フォルダに保存されていることを示している。
【0071】
さらに、「未分類」という名の保存フォルダには、現在、ユーザU3によって入力された原稿で、特徴量「X」を持ち、ファイル名「F100」というファイル(入力文書データ)が、この保存フォルダに保存されていることを示している。
「未分類」という名の保存フォルダは、現在存在するどの分類フォルダにも分類できなかったファイルを一時的に保存するフォルダである。
また、ファイル名「F100」というファイルの特徴量「X」は、現在存在する分類フォルダの特徴量と一致しなかった特徴量である。
【0072】
「未分類」という名の保存フォルダに保存されたファイルは、ここに保存されたままでは、後で閲覧等の再利用するときに不便であるので、入力したユーザによって、既存の保存フォルダに移動するか、あるいは、新たな名称の保存フォルダを作成して、この新規の保存フォルダに移動する操作をすることが好ましい。
【0073】
分類判定情報54は、入力された原稿の画像データ(入力文書データ)を分類するための判定基準となるルール(判定基準ルール)を記憶した情報である。
判定基準ルールには、上記したように、全体分類ルール(ARとも呼ぶ)と、ユーザ分類ルール(URとも呼ぶ)とが含まれ、特徴量ごとに別々に記憶される。
【0074】
全体分類ルールARは、原則として、すべてのユーザに適用される基準(ルール)であって、特定の特徴量を有する原稿を分類する基準を、その特定の特徴量に対応付けて設定した情報である。
たとえば、特徴量P1に対応付けて、全体分類ルールARのみが設定され、ユーザごとのユーザ分類ルールURが設定されていない場合、ユーザUによって入力された特徴量P1を有する原稿の画像データを分類する場合に、全体分類ルールARが適用されて、ユーザUによって入力された画像データが分類保存される。
すなわち、特徴量P1に対応付けられて記憶されている全体分類ルールARは、入力された入力文書データの取得特徴量がP1であった場合に、適用されて、その入力文書データが分類保存される。
【0075】
ただし、例外として、同じ特徴量P2に、全体分類ルールARとユーザ分類ルールURとが対応付けられて記憶されている場合は、ユーザ分類ルールURが優先適用される。
たとえば、特徴量P2に対応付けて、全体分類ルールARと、ユーザUのユーザ分類ルールURとが設定されている場合、ユーザUによって入力された特徴量P2を有する原稿の画像データを分類する場合に、ユーザUのユーザ分類ルールURが優先適用されて、ユーザUによって入力された画像データが分類保存される。
【0076】
ユーザ分類ルールURは、上記したように、個別のユーザごとに設定記憶され、特定の特徴量を有する原稿を分類する基準を、その特定の特徴量に対応付けて設定した情報であり、各ユーザ分類ルールURは、個別のユーザに対してのみ適用される。
たとえば、特徴量Cに対応付けられて記憶されているユーザU2のユーザ分類ルールURが存在し、ユーザU2によって入力された入力文書データの取得特徴量がCであった場合に、このユーザU2のユーザ分類ルールURが適用されて、その入力文書データが分類保存される。
【0077】
また、上記したように、全体分類ルールARもユーザ分類ルールURも、ユーザがした特定の分類操作によって、変更される。
たとえば、文書データ取得部22が、ユーザUが入力した原稿の画像データを取得した後、文書特徴量取得部23が、取得した画像データの特徴量Pを取得し、ユーザUによって、操作部12を用いて、取得された特徴量Pを有する原稿の画像データに対して特定の分類操作Mがされたとする。
このとき、ユーザルール更新部27が、取得された特徴量Pに対応付けられたユーザUのユーザ分類ルールの基準を、特定の分類操作Mに対応する基準に変更する。
【0078】
また、ユーザUがした特定の分類操作が、取得された特徴量Pを有する原稿の画像データを、所定の保存フォルダFに移動させる操作であったとする。
この場合、ユーザルール更新部27が、取得された特徴量Pに対応付けられたユーザUのユーザ分類ルールの基準を、今後ユーザUによって入力される特徴量Pを有する原稿の画像データを、所定の保存フォルダFに保存させることを示す基準に変更する。
分類判定情報54の具体例については後述する。
【0079】
特徴量基準情報55は、原稿の入力文書データを分類するときに、入力文書データから取得した特徴量を判断する基準となる情報である。
また、特徴量基準情報55は、入力文書データを分類するフォルダ(保存フォルダ)を決めるために利用され、保存フォルダごとに、予め設定記憶される。
たとえば、「MTG資料」という名の保存フォルダがある場合、この保存フォルダに保存すべきファイルの特徴量が、「MTG資料」に対応付けて、特徴量基準情報55として記憶される。
【0080】
図5に、記憶部50に記憶される特徴量基準情報55の一実施例の説明図を示す。
図5には、2つの保存フォルダ(MTG資料、議事録)に関する情報を示している。
MTG資料という名の保存フォルダの特徴量を、特徴量Aと呼び、議事録という名の保存フォルダの特徴量を、特徴量Cと呼ぶものとする。
図5において、MTG資料という名の保存フォルダの特徴量(特徴量A)は、6つの情報からなり、議事録という名の保存フォルダの特徴量(特徴量C)は、5つの情報からなるものを示している。
【0081】
たとえば、MTG資料に関係する特徴量Aは、次の情報からなる。
1)ファイルの拡張子が、「.pptx」、または「.jpg」のいずれかである。
2)1ページ目の上段10行目までに「議題」という文字列が含まれる。
3)1ページ目の上段10行目までに「MTG」、または「ミーティング」といういずれかの文字列が含まれる。
4)1ページ目の上段10行目までに「課題」という文字列が含まれる。
5)ファイル内に、「検討結果」、または「情報共有」といういずれかの文字列が含まれる。
6)ファイル内に、「対策案」、「対応案」、「対処案」、または「施策案」といういずれかの文字列が含まれる。
【0082】
たとえば、入力文書データから取得した特徴量(取得特徴量情報)に、上記特徴量Aの6つの情報のうち、少なくともいずれか2つ以上の情報が含まれている場合に、その入力文書データは、特徴量Aを有する原稿であると判断する。
あるいは、入力文書データから取得した特徴量(取得特徴量情報)が、特徴量Aの6つの情報をすべて備えている場合に、特徴量Aを有する原稿であると判断してもよい。
また、保存フォルダの特徴量を複数個予め設定記憶しておき、複数個の特徴量のうちどれを採用するかを設定変更できるようにしてもよく、保存フォルダの特徴量を有する原稿であると判断するための一致する情報の基準数(最小数)も、設定変更できるようにしてもよい。
【0083】
また、議事録に関係する特徴量Cは、次の情報からなる。
1)ファイル名に、「議事録」が含まれる。
2)1ページ目の上段10行目までに、「MTG」、または「ミーティング」といういずれかの文字列が含まれる。
3)1ページ目の上段10行目までに「議事録」という文字列が含まれる。
4)1ページ目の上段10行目までに「参加者」という文字列が含まれる。
5)1ページ目の上段10行目までに、「場所」または「日時」に相当する文字列が含まれる。
ただし、
図5に示した特徴量の内容は一実施例であって、これに限るものではなく、画像形成装置を利用するユーザや管理者によって、追加、変更および削除ができるようにしてもよい。
【0084】
図6に、「発注書」という保存フォルダに関する特徴量基準情報55の一実施例の説明図を示す。発注書という名の保存フォルダの特徴量を、特徴量Bと呼ぶものとする。
特徴量基準情報55は、上記した
図5のような情報で設定することができる。
ただし、原稿を特徴付けるものが、書面の様式や、レイアウト、罫線構成、図形、表、帳票形式などの場合もあり、書面の様式等で原稿の特徴量を表したほうが、容易かつ正確に入力文書データを分類できる場合がある。
このような場合、原稿の画像データそのものを、特徴量基準情報55として、予め記憶してもよい。
【0085】
たとえば、
図6は、「発注書」の画像データの一実施例を示したものであり、この画像データそのものを、「発注書」という保存フォルダに関する特徴量基準情報55として、予め記憶する。
入力された原稿の画像データ(入力文書データ)が、特徴量基準情報55に記憶された「発注書」の画像データとほぼ一致する場合は、その入力文書データは、特徴量Bを有すると判断され、発注書という名の保存フォルダに分類保存される。
【0086】
また、「発注書」という保存フォルダに関する特徴量基準情報55としては、
図6の画像データだけでなく、たとえば、「発注書」という文字列を最初の行に含むこと、「発注No」、「件名」、「納期」という文字列を含むことなどの情報も、予め設定記憶してもよい。
さらに、MTG資料や議事録の原稿にそれぞれの典型的な様式等があれば、それぞれの画像データそのものを、MTG資料や議事録という保存フォルダに関する特徴量基準情報55として、予め設定記憶してもよい。
【0087】
ユーザルール更新条件情報56は、分類判定情報54のユーザ分類ルールURを更新するための条件(ユーザ分類ルールを更新するか否か)を、予め設定した情報である。
図7に、記憶部50に記憶されるユーザルール更新条件情報56の一実施例の説明図を示す。
図7では、ユーザごとに、ユーザ分類ルールURを更新するか否かの情報(有効、無効)が予め設定されているものを示している。
ここで、「有効」は、ユーザ分類ルールURを更新することを意味する情報であり、「無効」は、ユーザ分類ルールURを更新しないことを意味する情報とする。
【0088】
あるユーザに対するユーザルール更新条件情報56に「有効」が設定されている場合は、分類判定情報54の全体分類ルールARの基準を変更するような事象が発生した場合に、その全体分類ルールARに対応するそのユーザのユーザ分類ルールURの基準を、全体分類ルールARと同じ基準に変更することを意味するものとする。
【0089】
一方、あるユーザに対するユーザルール更新条件情報56に「無効」が設定されている場合は、特徴量Pに対応付けられた全体分類ルールARの基準を変更する事象が発生した場合、特徴量Pに対応付けられたユーザUのユーザ分類ルールURの基準を変更せず、ユーザUのユーザ分類ルールURの基準に、変更前の特徴量Pに対応付けられた全体分類ルールARの基準を設定するか、あるいは、ユーザUのユーザ分類ルールURの基準がすでに設定されていた場合は、そのすでに設定されていたユーザUのユーザ分類ルールURの基準を維持することを意味するものとする。
【0090】
たとえば、
図7では、4人のユーザ(U1、U2、U3、U5)のユーザルール更新条件情報56は、「有効」であるので、全体分類ルールARを変更するような事象が発生した場合、その全体分類ルールARに対応するそれらのユーザ(U1、U2、U3、U5)のユーザ分類ルールURの基準も、全体分類ルールARと同じ基準に変更する。
また、
図7のユーザU4のユーザルール更新条件情報56は、「無効」であるので、分類判定情報54の全体分類ルールARを変更するような事象が発生した場合でも、その全体分類ルールARに対応するユーザU4のユーザ分類ルールURの基準を変更せず、ユーザU4の現在のユーザ分類ルールURの基準を維持する。
【0091】
全体ルール更新条件情報57は、分類判定情報54の全体分類ルールを更新するための条件を、予め設定した情報である。
特に、ある特徴量に対応する全体分類ルールARが適用されて分類保存されたファイルに対して行われた操作について、この全体ルール更新条件情報57に設定された条件が満たされた場合に、その全体分類ルールARが更新される。
【0092】
この全体ルール更新条件情報57は、ある1人のユーザによって、すでに分類保存されたファイルFAの保存フォルダが変更された場合に、その1人のユーザによる変更操作のみをもって、そのファイルFAを保存していた保存フォルダが設定されている全体分類ルールARが、更新されてしまうことを防止するために設定されるものである。
原則として、多数のユーザが、同一の特徴量を有するファイルに対して同一の操作をした場合に、全体分類ルールARを更新するような条件が、全体ルール更新条件情報57に設定される。
【0093】
たとえば、全体ルール更新条件情報57に、ユーザのユーザ分類ルールURに同一の分類操作に対応する基準が設定されているユーザの最小人数、あるいは最小率を予め設定してもよい。
この場合、最小人数以上のユーザあるいは最小率以上のユーザのユーザ分類ルールURに、同一の分類操作に対応する基準が設定されている場合に、ある特徴量Pに対応付けられた全体分類ルールARの基準を、同一の分類操作に対応する基準に変更する。
【0094】
また、全体ルール更新条件情報57に、全体分類ルールARの基準を変更可能な指定ユーザを予め設定してもよい。
この場合、特徴量Pに対応付けて、全体分類ルールARと、全体分類ルールARの基準を変更可能な指定ユーザのユーザ分類ルールURとが設定され、全体分類ルールARの基準と指定ユーザのユーザ分類ルールURの基準とが異なる場合、特徴量Pに対応付けられた全体分類ルールARの基準を、指定ユーザのユーザ分類ルールURの基準と同じ基準に変更する。
【0095】
図8に、記憶部50に記憶される全体ルール更新条件情報57の一実施例の説明図を示す。
図8には、3つの全体ルール更新条件情報57を示しており、このうち、いずれかの条件が成立した場合に、対応する全体分類ルールARを更新する。
【0096】
図8の1番目の条件では、更新条件項目が「同一操作の人数:N」であり、更新条件として、同一操作の人数Nが3人以上であること(N≧3)が設定されている。
たとえば、ある特徴量Bに対応する全体分類ルールAR1に、ファイルを保存する保存フォルダFD1が設定されていた場合において、その保存フォルダFD1に保存されていたファイルを、異なる特徴量Dに対応する他の保存フォルダFD7に移動させる操作が、4人のユーザによってされた場合、この
図8の1番目の条件を満たす。
図8の1番目の条件を満たした場合に、特徴量Bに対応する全体分類ルールAR1の内容を、保存フォルダFD1から、保存フォルダFD7に更新(変更)する。
【0097】
図8の2番目の条件では、更新条件項目が「同一操作の割合:R」であり、更新条件として、同一操作の割合Rが70%以上であること(R≧70)が設定されている。
たとえば、画像形成装置に登録されているユーザの70%以上のユーザが、同一の移動操作をした場合に、この
図8の2番目の条件を満たし、現在の全体分類ルールARを、その同一の移動操作に対応する全体分類ルールARに更新する。
【0098】
図8の3番目の条件では、更新条件項目が「指定ユーザ」であり、更新条件として、「ユーザU5」が設定されている。
この場合は、同一操作をした人数や割合に関係なく、指定ユーザであるユーザU5が何らかの操作をした場合に、現在の全体分類ルールARを、そのユーザU5がした操作に対応する全体分類ルールARに更新する。
指定ユーザとしては、たとえば、画像形成装置の管理担当者や、分類フォルダの設定責任者などが予め設定される。
【0099】
たとえば、ある特徴量Eに対応する全体分類ルールAR5に、ファイルを保存する保存フォルダFD5が設定されていた場合において、その保存フォルダFD5に保存されていたファイルを、異なる特徴量Fに対応する他の保存フォルダFD6に移動させる操作が、指定ユーザU5によってされた場合、この
図8の3番目の条件を満たすので、特徴量Eに対応する全体分類ルールAR5の内容を、保存フォルダFD5から、保存フォルダFD6に更新(変更)する。
【0100】
全体ルール更新条件情報57は、
図8に示した条件に限るものではなく、他の条件を予め設定してもよく、人数、割合、および指定ユーザは、管理担当者などが、変更、追加、削除できるようにしてもよい。
【0101】
この全体ルール更新条件情報57を設定することにより、入力された文書データの保存先フォルダとして、多数のユーザが保存先として設定すると考えられる分類フォルダを設定でき、入力された文書データが、ユーザが意図しない分類フォルダに保存される可能性を減らすことができる。
【0102】
また、入力された文書データは、多数のユーザが保存先として設定すると考えられる分類フォルダに保存されるので、画像形成装置を利用する多数のユーザによって、保存された文書データを容易に再利用できる。
さらに、ユーザが意図しない分類フォルダに保存される可能性を減らすことができるので、ユーザが分かりやすい分類フォルダに文書データを再分類する操作を減らすことができ、入力された文書データを分類して保存する場合のユーザの操作負担を軽減することができる。
【0103】
ユーザ通知設定情報58は、ユーザによって入力された原稿の入力文書データが保存された分類フォルダ(保存フォルダ)を、そのユーザに通知する方法を、予め設定した情報である。
ユーザ通知設定情報58に設定された内容に基づいて、保存フォルダのフォルダ名などが、ユーザに通知される。
ユーザ通知設定情報58は、ユーザに関係無く初期的な通知方法として設定してもよく、ユーザごとに設定してもよい。
【0104】
図9に、記憶部50に記憶されるユーザ通知設定情報58の一実施例の説明図を示す。
図9に示す初期通知設定方法は、ユーザに関係無く利用される通知方法である。
たとえば、初期通知設定方法に、「表示」が設定されている場合、保存フォルダのフォルダ名などが、表示部13に表示される。
ユーザは、この表示部13に表示された保存フォルダのフォルダ名を見て、原稿の入力文書データの保存先が、そのユーザの意図した分類先であるか否かを確認することができる。保存先がユーザの意図した分類先である場合、ユーザは、その分類を承認することを意味する入力操作をしてもよい。
【0105】
通知する方法は、表示だけでなく、他の方法もある。
たとえば、初期通知設定方法としては、「表示」の他に、「送信」、「確認要求」などを設定してもよい。
ここで、「送信」は、ユーザの所有するパソコン、あるいはユーザが指定した情報処理装置に、保存フォルダのフォルダ名等の情報を送信することを意味する。
また、「確認要求」は、他の情報処理装置から、ユーザによる保存フォルダの確認要求が、画像形成装置に送信されてきた場合に、保存フォルダのフォルダ名等の情報を、確認要求をしてきた情報処理装置に返信することを意味する。
【0106】
また、
図9には、ユーザ通知設定情報58をユーザごとに設定する場合を示している。
ユーザごとのユーザ通知設定情報58は、たとえば、ユーザ名と、各通知方法(表示、送信、確認要求受信時)の利用の有無とが対応付けられて記憶される。
【0107】
図9のユーザU1は、保存フォルダの通知方法として、「表示」と、「確認要求受信時」を利用することが設定されており、ユーザU1が入力した原稿の保存フォルダは、「表示」によって通知され、さらに、ユーザU1からの確認要求が受信された場合に、通知される。
また、たとえば、
図9のユーザU5については、「表示」と、「送信」と、「確認要求受信時」という3つの通知方法で、保存フォルダがユーザU5に通知される。
ユーザごとのユーザ通知設定情報58は、各ユーザによって、設定の変更、追加、削除ができることが好ましい。
【0108】
<入力文書データの分類保存処理の実施例>
図10から
図15に示す分類判定情報54を利用して、入力文書データの分類保存処理の一実施例を説明する。
まず、
図10を用いて、記憶部50に記憶される分類判定情報54の一実施例の説明図を示す。
図10において、分類判定情報54は、学習データと、ユーザごとのユーザ分類ルールとからなる。
図10の分類判定情報54を、初期状態の分類判定情報BH00として、以下の実施例を説明する。
【0109】
学習データと、ユーザごとのユーザ分類ルールURは、どちらもユーザの入力操作によって変化する。
学習データは、予め設定された特徴量ごとに設定され、各特徴量に対応付けた全体分類ルールARが含まれる。
特徴量は、上記したように、入力文書データの特徴量を意味し、ある特徴量を有する入力文書データのファイルは、原則として、全体分類ルールARに基づいて分類され、所定の保存フォルダ(分類フォルダ)に保存される。
【0110】
以下の実施例では、全体分類ルールARと、保存フォルダとが対応付けられており、全体分類ルールARには、保存フォルダ名が記憶されるものとする。
たとえば、
図10において、特徴量Aと、全体分類ルールARである保存フォルダ名「MTG資料」とが対応付けられている。
これは、特徴量Aを有する入力文書データのファイルは、原則として、全体分類ルールARである保存フォルダ名「MTG資料」の保存フォルダに保存されることを意味する。
【0111】
また、
図10において、特徴量Bと、全体分類ルールARである保存フォルダ名「注文書」とが対応付けられており、特徴量Bを有する入力文書データのファイルは、原則として、保存フォルダ名が「注文書」の保存フォルダに保存されることを意味する。
同様に、特徴量Cと、全体分類ルールARである保存フォルダ名「議事録」とが対応付けられており、特徴量Cを有する入力文書データのファイルは、原則として、保存フォルダ名が「議事録」の保存フォルダに保存されることを意味する。
【0112】
ユーザごとのユーザ分類ルールURも、予め設定された特徴量ごとに設定される。
また、ユーザごとのユーザ分類ルールURも、保存フォルダと対応付けられており、ユーザ分類ルールURには、保存フォルダ名が記憶されるものとする。
ある特徴量に対応するユーザ分類ルールURに、保存フォルダ名が記憶されている場合、その特徴量を有する入力文書データのファイルは、全体分類ルールARに基づいて分類されず、ユーザ分類ルールURに記憶されている保存フォルダ(分類フォルダ)に保存されるものとする。
【0113】
図10において、特徴量Aに対応するユーザ分類ルールURには、保存フォルダ名が記憶されていないので、特徴量Aを有する入力文書データのファイルは、すべて、全体分類ルールARに基づいて分類され、「MTG資料」の保存フォルダに保存されることになる。
【0114】
特徴量Bに対応するユーザ分類ルールURのうち、ユーザU3のユーザ分類ルールURには、保存フォルダ名「MTG資料」が記憶されている。
したがって、ユーザU3が入力した特徴量Bを有する入力文書データのファイルは、全体分類ルールARに基づいて分類されることはなく、ユーザU3のユーザ分類ルールURが適用されて、「MTG資料」の保存フォルダに保存されることになる。
一方、特徴量Bに対応する他のユーザのユーザ分類ルールURには、保存フォルダ名が記憶されていないので、ユーザU3を除くユーザが入力した特徴量Bを有する入力文書データのファイルは、全体分類ルールARに基づいて分類され、「注文書」の保存フォルダに保存されることになる。
【0115】
また、特徴量Cに対応するユーザ分類ルールURのうち、ユーザU2とU5のユーザ分類ルールURには、保存フォルダ名「MTG資料」が記憶されている。
したがって、ユーザU2とU5が入力した特徴量Cを有する入力文書データのファイルは、全体分類ルールARに基づいて分類されることはなく、ユーザU2とU5のユーザ分類ルールURが適用されて、「MTG資料」の保存フォルダに保存されることになる。
一方、特徴量Cに対応する他のユーザ(U1、U3、U4)のユーザ分類ルールURには、保存フォルダ名が記憶されていないので、ユーザ(U1、U3、U4)が入力した特徴量Cを有する入力文書データのファイルは、全体分類ルールARに基づいて分類され、「議事録」の保存フォルダに保存されることになる。
【0116】
図10のような初期状態の分類判定情報BH00が記憶されている場合において、たとえば、ユーザU4が原稿を読み取らせ、その読み取った原稿の入力文書データが、特徴量Cを有する入力文書データ(ファイルF123)であった場合、分類判定情報BH00を検索すると、特徴量Cに対応する全体分類ルールARが「議事録」であり、特徴量Cに対応するユーザU4のユーザ分類ルールURはないので、ファイルF123は、この全体分類ルールARによって分類され、「議事録」の保存フォルダに保存される。
【0117】
また、
図10のような初期状態の分類判定情報BH00が記憶されている場合において、ユーザU3が原稿を読み取らせ、その読み取った原稿の入力文書データが、特徴量Bを有する入力文書データ(ファイルF333)であった場合、分類判定情報BH00を検索すると、特徴量Bに対応する全体分類ルールARが「注文書」であるが、特徴量Bに対応するユーザU3のユーザ分類ルールURに「MTG資料」が記憶されているので、ユーザU3のユーザ分類ルールURが優先適用されて、ファイルF333は、「MTG資料」の保存フォルダに保存される。
この場合、ユーザU3が入力した原稿のファイルF333は、「注文書」に相当する特徴量Bを有しているが、ユーザU3が「MTG資料」に分類することを希望している(設定している)ので、ユーザU3に限っては、「MTG資料」の保存フォルダに保存されることになる。
【0118】
(実施例1)
図11を用いて、入力文書データの分類保存処理の一実施例について説明する。
図11には、ユーザU1が、操作部12を利用して、特徴量Cのファイルを、「MTG資料」の保存フォルダに保存する操作をした後の分類判定情報(BH01)54を示している。
たとえば、上記した
図10の分類判定情報BH00が記憶されている状態で、ユーザU1が原稿を読み取らせる操作をした場合に、その原稿の入力文書データ(ファイルF111)が、特徴量Cを有するために、特徴量Cに対応する全体分類ルールARである「議事録」の保存フォルダに保存されたとする。
また、この原稿の入力文書データが保存されたフォルダが、「議事録」であることがユーザU1に通知されたとする。
【0119】
ユーザU1が、保存フォルダが「議事録」であるという通知内容を確認し、保存フォルダがユーザU1の意図していた分類フォルダと異なる場合、ユーザU1が、ファイルF111を、意図していた分類フォルダ「MTG資料」に、移動する操作をしたとする。
この場合、ユーザU1にとっては、特徴量Cを有する入力文書データは、今後も、「議事録」という保存フォルダではなく、「MTG資料」という保存フォルダに保存することが好ましいと考えられる。
【0120】
そこで、ユーザU1が入力した原稿の入力文書データについては、特徴量Cに対応する全体分類ルールAR「議事録」を適用しないようにするために、
図11に示すように、特徴量Cに対応するユーザU1のユーザ分類ルールURに、「MTG資料」を記憶する。すなわち、
図10の分類判定情報BH00から、
図11の分類判定情報BH01に変更される。
【0121】
これにより、ユーザU1が入力した原稿の入力文書データが、特徴量Cを有するものであった場合、ユーザU1のユーザ分類ルールURが優先適用されて、「議事録」ではなく、「MTG資料」という保存フォルダに保存されるようになる。
このユーザU1のユーザ分類ルールURが記憶された以降、ユーザU1は、特徴量Cを有する同様の原稿を入力した場合に、意図していた分類フォルダ「MTG資料」に、ファイルを移動する操作をする必要がなくなり、ユーザU1の操作負担を軽減することができる。
【0122】
(実施例2)
図12を用いて、入力文書データの分類保存処理の一実施例について説明する。
図12には、現在の分類判定情報54が全体ルール更新条件情報57を満たした場合に、特徴量Cの全体分類ルールを変更した後の分類判定情報(BH02)54を示している。現在の分類判定情報54は、上記した
図11の分類判定情報BH01とする。
【0123】
図11に示した分類判定情報BH01では、特徴量Cのユーザ分類ルールURにおいて、特徴量Cの全体分類ルール「議事録」とは異なる「MTG資料」が設定されたユーザが3人となっている。
すなわち、特徴量Cを有するファイルを、「MTG資料」の保存フォルダに保存する操作をしたユーザは、ユーザU1と、ユーザU2と、ユーザU5であり、同じ特徴量Cを有するファイルについて同一操作をしたユーザが、3人いることを意味する。
【0124】
全体ルール更新条件情報57として、
図8に示した全体ルール更新条件情報の1番目の条件(N≧3)が設定記憶されている場合、
図11に示した分類判定情報BH01では、全体ルール更新条件情報57の「同一操作をした人数が3人以上」という条件を満たす。
そこで、多数のユーザが、現在の特徴量Cの全体分類ルール「議事録」に従わず、同じ移動操作をして、保存フォルダを、「議事録」から「MTG資料」に変更したので、特徴量Cの全体分類ルールARを変更する。
すなわち、
図12に示すように、特徴量Cの全体分類ルールARが、「議事録」から「MTG資料」に変更される。
【0125】
この後、3人のユーザ(U1、U2、U5)のみならず、特徴量Cに対応するユーザ分類ルールURが設定されていないユーザ(U3、U4)に対しても、入力した原稿の入力文書データが特徴量Cを有するものであった場合、特徴量Cの全体分類ルールAR「MTG資料」が適用されて、「議事録」ではなく、「MTG資料」という保存フォルダに保存されるようになる。
【0126】
当初、特徴量Cを有する入力文書データは、「議事録」というフォルダに保存されるべきものとして設定されていたが、多数のユーザが、特徴量Cを有する入力文書データを、「MTG資料」という保存フォルダに移動させる同一操作をした場合、特徴量Cを有する入力文書データは「MTG資料」という保存フォルダに保存するほうが多いと考えられる。
したがって、この特徴量Cに対応する全体分類ルールARが変更された後では、特徴量Cを有する入力文書データは、原則として、「MTG資料」という保存フォルダに保存されるので、特徴量Cを有する入力文書データを分類する場合のユーザの操作負担を軽減できる可能性を高めることができる。
【0127】
(実施例3)
図13を用いて、入力文書データの分類保存処理の一実施例について説明する。
図13には、上記した
図12のように、特徴量Cの全体分類ルールARを変更したが、ユーザU4のユーザルール更新条件情報56が「無効」に設定されていた場合に、特徴量Cに対するユーザU4のユーザ分類ルールURを元に戻した後の分類判定情報(BH03)54を示している。
ユーザ分類ルールURを元に戻すことは、全体分類ルールARを変更する直前に適用されていたユーザ分類ルールURあるいは直前の全体分類ルールARに戻す(前の全体分類ルールARを維持する)ことを意味する。
【0128】
特徴量Cの全体分類ルールARを変更した後の分類判定情報54が、上記した
図12の分類判定情報BH02であり、特徴量Cの全体分類ルールARを変更する直前の分類判定情報54が、上記した
図11の分類判定情報BH01であったとする。
また、
図7に示したように、ユーザU4のユーザルール更新条件情報56が「無効」に設定されていたとする。この場合、全体分類ルールARが変更されても、ユーザU4のユーザ分類ルールURは維持する(変更しない)こととする。
【0129】
特徴量Cの全体分類ルールARを変更する直前の
図11の分類判定情報BH01では、特徴量Cの全体分類ルールARは「議事録」であり、特徴量Cに対するユーザU4のユーザ分類ルールURは設定されていないので、もし、ユーザU4が特徴量Cを持つ原稿を読み取らせた場合、ユーザU4の原稿の入力文書データは、全体分類ルールAR「議事録」が適用されて、「議事録」という保存フォルダに保存されていたはずである。
【0130】
一方、特徴量Cの全体分類ルールARが変更され、
図12の分類判定情報BH02となった場合は、特徴量Cの全体分類ルールARは「MTG資料」に変更されているので、ユーザU4が特徴量Cを持つ原稿を読み取らせた場合、ユーザU4の原稿の入力文書データは、全体分類ルールAR「MTG資料」が適用されて、「MTG資料」という保存フォルダに保存されることになる。
【0131】
しかし、ユーザU4のユーザルール更新条件情報56が「無効」に設定されていたとすると、全体分類ルールARが変更されても、ユーザU4のユーザ分類ルールURは維持する(変更しない)ので、特徴量Cに対するユーザU4のユーザ分類ルールURが設定されていれば、原則として、全体分類ルールARの変更直前の
図11の分類判定情報BH01におけるユーザU4のユーザ分類ルールURが適用されるべきである。
ただし、
図11の分類判定情報BH01では、特徴量Cに対するユーザU4のユーザ分類ルールURは設定されていないので、特徴量Cの全体分類ルールAR「議事録」が適用される。
【0132】
そこで、ユーザルール更新条件情報56が「無効」に設定されているユーザU4については、特徴量Cに対するユーザU4のユーザ分類ルールURを維持するために、
図11の分類判定情報BH01における特徴量Cの全体分類ルールAR「議事録」を、特徴量Cに対するユーザU4のユーザ分類ルールURに設定記憶する。
すなわち、ユーザU4のユーザルール更新条件情報56が「無効」に設定されていた場合には、ユーザU4のユーザ分類ルールURは維持する(変更しない)ために、
図13の分類判定情報BH03に示すように、特徴量Cに対するユーザU4のユーザ分類ルールURに、元の特徴量Cの全体分類ルールARである「議事録」を設定記憶する。
【0133】
これにより、その後、ユーザU4が特徴量Cを持つ原稿を読み取らせた場合、分類判定情報BH03における特徴量Cに対するユーザU4のユーザ分類ルールUR「議事録」が適用されて、ユーザU4の原稿の入力文書データは、「議事録」という保存フォルダに保存されることになる。
【0134】
なお、
図12の分類判定情報BH02の状態で、ユーザU4のユーザルール更新条件情報56が「有効」に設定されていた場合は、全体分類ルールARが変更されると、ユーザU4のユーザ分類ルールURも、全体分類ルールARと同じ内容に変更されるので、
図13のように特徴量Cに対するユーザU4のユーザ分類ルールURが新たに設定されることはなく、
図12の分類判定情報BH02の状態のままである。
【0135】
(実施例4)
図14と
図15を用いて、入力文書データの分類保存処理の一実施例について説明する。
図14には、上記した
図10の初期状態の分類判定情報BH00において、指定ユーザU5が、特徴量Aを持つ原稿の入力文書データ(ファイルF050)を読み取り、そのファイルF050を「議事録」という保存フォルダに保存する操作(移動操作)をした後の分類判定情報(BH04)54を示している。
図15には、
図14の分類判定情報BH04の状態から、特徴量Aに対応する全体分類ルールARを変更した後の分類判定情報(BH05)54を示している。
【0136】
図8に示すように、全体ルール更新条件情報57に、指定ユーザとして、「ユーザU5」が設定されていたとする。この場合、全体分類ルールARを、指定ユーザであるユーザU5がした操作に対応する全体分類ルールARに変更する。
また、
図7に示したように、ユーザU4のユーザルール更新条件情報56が「無効」に設定されていたとする。この場合、全体分類ルールARが変更されても、ユーザU4のユーザ分類ルールURは維持する(変更しない)こととする。
【0137】
図10の初期状態の分類判定情報BH00においては、原則として、全体分類ルールARが適用される場合、特徴量Aを持つ原稿の入力文書データ(ファイルF050)には、特徴量Aに対する全体分類ルールAR「MTG資料」が適用されるので、ファイルF050は「MTG資料」という保存フォルダに保存される。
【0138】
ただし、ユーザU5が、「MTG資料」という保存フォルダに保存されるはずの特徴量Aを持つファイルF050を、「議事録」という保存フォルダに保存する操作(移動操作)をした場合、ユーザU5が特徴量Aに対する全体分類ルールARと異なるルールの操作をしたので、特徴量Aに対するユーザU5のユーザ分類ルールURに、「議事録」を設定記憶する。
図14では、このように、特徴量Aを持つファイルF050を、「議事録」という保存フォルダに保存する操作(移動操作)をした後の分類判定情報BH04を示している。
【0139】
ところで、
図8に示す全体ルール更新条件情報57を考慮すると、ユーザU5は、指定ユーザとして設定されている。
したがって、上記の移動操作は、指定ユーザであるユーザU5がした操作なので、全体ルール更新条件情報57を満たす。
そこで、全体分類ルールARを、指定ユーザであるユーザU5がした操作に対応する全体分類ルールARに変更するが、ユーザU5がした操作は、特徴量Aを持つファイルF050を移動させる操作なので、特徴量Aに対する全体分類ルールARを変更する。
また、ユーザU5がした操作は、保存フォルダを、「MTG資料」から「議事録」というに変更する操作なので、特徴量Aに対する全体分類ルールARを、「MTG資料」から「議事録」に変更する。
【0140】
この場合、指定ユーザU5がした操作に対応する全体分類ルールARは、変更後の「議事録」という保存フォルダであるので、
図15に示すように、特徴量Aに対するユーザU5のユーザ分類ルールURと同様に、特徴量Aに対する全体分類ルールARには、「議事録」が設定記憶される。
【0141】
また、上記したように、ユーザU4のユーザルール更新条件情報56が「無効」に設定されていたとすると、全体分類ルールARが変更されても、ユーザU4のユーザ分類ルールURは維持される(変更しない)。
すなわち、特徴量Aに対する全体分類ルールARが変更されても、特徴量Aに対するユーザU4のユーザ分類ルールURは、直前の分類判定情報54の状態に維持されることになる。
【0142】
したがって、上記のように特徴量Aに対する全体分類ルールARが「議事録」に変更されても、特徴量Aに対するユーザU4のユーザ分類ルールURは、直前の
図14の分類判定情報BH04の特徴量Aに対する全体分類ルールAR「MTG資料」のままとする。
直前の
図14の分類判定情報BH04では、特徴量Aに対するユーザU4のユーザ分類ルールURには何も設定記憶されていなかったが、
図15の分類判定情報BH05に示すように、特徴量Aに対するユーザU4のユーザ分類ルールURに、「MTG資料」が設定記憶される。
【0143】
この後、分類判定情報54が
図15の分類判定情報BH05の状態のときに、ユーザU4が特徴量Aを持つ原稿を入力した場合、その原稿の入力文書データは、特徴量Aに対するユーザU4のユーザ分類ルールURが適用されて、「MTG資料」という保存フォルダに保存される。
一方、ユーザU4以外のユーザ(U1、U2、U3、U5)が特徴量Aを持つ原稿を入力した場合、その原稿の入力文書データは、「議事録」という保存フォルダに保存されることになる。
【0144】
(実施例5)
図16と
図17を用いて、入力文書データの分類保存処理の一実施例について説明する。
図16には、ユーザU3が、特徴量Xを持つファイルF100の保存フォルダを変更する操作をした場合の一実施例の説明図を示している。
図17には、
図16に示したような保存フォルダを変更する操作をした場合に、記憶部50に記憶される分類判定情報54の一実施例を示している。
【0145】
特徴量Xは、
図5のように特徴量基準情報としてすでに特徴量の情報が記憶されている特徴量Aや特徴量B等とは異なり、未知の特徴量であったとする。
また、「未分類」という保存フォルダに保存されていた未知の特徴量を持つファイルを、既知の特徴量に対応した保存フォルダに保存する操作(移動操作)がされた場合、その未知の特徴量に関する情報を、分類判定情報54に追加記憶するものとする。
【0146】
ユーザU3が原稿を読み取らせ、取得された原稿の入力文書データが、特徴量Xを持つファイルF100であった場合、そのファイルF100は、
図10の分類判定情報BH00における既知の特徴量を持つ保存フォルダに分類できないため、「未分類」という名の保存フォルダに保存される。
この場合、たとえば、
図16に示すように、「未分類」という保存フォルダに、ファイルF100と、ユーザU3と、特徴量Xとが対応づけられた情報が記憶される。
【0147】
この後、ユーザU3が読み取らせた原稿の保存先が、「未分類」という保存フォルダであることが、ユーザU3に通知されたとする。
また、ユーザU3が、この通知により、原稿の保存先が「未分類」という保存フォルダであることを知った後、ユーザU3の意図していた保存先が「議事録」という保存フォルダであったので、ユーザU3が、ファイルF100の保存フォルダを、「未分類」から「議事録」に変更する操作(移動操作)をしたとする。
この場合、
図16に示すように、ファイルF100は、「未分類」という保存フォルダから、「議事録」という保存フォルダに移動され、「議事録」という保存フォルダに、ファイルF100と、ユーザU3と、特徴量Xとが対応づけられた情報が記憶される。
【0148】
「未分類」という保存フォルダに保存されていた未知の特徴量Xを持つファイルF100が、「議事録」という保存フォルダに保存する操作がされたので、分類判定情報54に、この特徴量Xに関する情報(学習データ)を、新たに追加記憶する。
今後、特徴量Xを持つ入力文書データが、すべて「議事録」という保存フォルダに保存されるべきかどうかは不明であるが、特徴量Xに関する情報は初めて記憶されるので、
図17の分類判定情報BH06に示すように、学習データとして、特徴量Xと、全体分類ルール「議事録」とを対応付けて、分類判定情報54に記憶する。
【0149】
また、特徴量Xを持つファイルF100を、「議事録」という保存フォルダに保存する操作をしたのは、ユーザU3であるので、特徴量Xに対応するユーザU3のユーザ分類ルールURに、「議事録」を記憶してもよい。
この場合、特徴量Xに対応するユーザU3のユーザ分類ルールURが「議事録」に設定されているので、今後、特徴量Xに対応する全体分類ルールARが「議事録」と異なる保存フォルダに変更されても、ユーザU3が入力した特徴量Xを持つ原稿は、ユーザU3の意図する「議事録」という保存フォルダに分類保存される。
【0150】
なお、たとえば、
図11に示したのと同様に、特徴量Xを持つ原稿のファイルが、「議事録」から「MTG資料」という保存フォルダに移動される操作が、3人以上のユーザによって行われた場合、
図12の分類判定情報BH02と同様に、特徴量Xに対応する全体分類ルールARが、「MTG資料」に変更される。
【0151】
<入力文書データの分類保存処理のフローチャート>
図18に、文書データの入力と分類保存処理の一実施例のフローチャートを示す。
ここでは、ユーザが、原稿を原稿台等に載置して原稿読取操作をした場合に、その原稿の入力文書データから特徴量を取得して、取得した特徴量に対応する全体分類ルールまたはユーザ分類ルールを利用して、その入力文書データを、所定の保存フォルダに分類保存する処理について示す。
ユーザは、原稿を読み取らせる入力操作をした後、特に他の入力操作をしなくても、読み取った原稿の画像データ(入力文書データ)が、特徴量に対応する保存フォルダまたは未分類の保存フォルダに記憶される。
【0152】
図18のステップS1において、画像形成装置の制御部11は、文書データ(原稿)の読取操作がされたか否かをチェックする。
たとえば、ユーザによって、操作部12の「読取開始キー」を入力する操作がされたか否かをチェックする。
ステップS2において、文書データの読取操作がされた場合は、ステップS3に進み、そうでない場合は、ステップS1に戻る。
【0153】
ステップS3において、画像入力部15であるスキャナによって、文書データを読み取る。
文書データを読み取った後、文書データ取得部22が、得られた画像データにファイル名を付けて、ユーザ名と共に、入力文書データ51として、記憶部50に記憶する。
【0154】
ステップS4において、文書特徴量取得部23が、入力文書データ51に記憶された画像データの特徴量PXを取得し、取得特徴量情報52として記憶する。
また、特徴量PXは、記憶された入力文書データ51に対応付けて記憶される。
特徴量PXの取得処理では、上記したように、従来の画像認識や文字認識処理を利用して、文字や記号等の特徴的な情報を取得する。
【0155】
ステップS5において、取得した特徴量PXと、記憶部50に予め記憶されている特徴量基準情報P0とを比較する。
たとえば、上記した
図5や
図6に示した特徴量基準情報を検索して、特徴量PXに一致する特徴量基準情報P0を探し出す。
ステップS6において、特徴量PXに一致する特徴量基準情報P0があれば、ステップS8に進み、そうでない場合は、ステップS7に進む。
【0156】
ステップS7において、特徴量PXに一致する特徴量基準情報P0がなかったので、入力文書データ51を、未分類フォルダに記憶する。
未分類フォルダには、たとえば、入力文書データ51のファイル名と、ユーザ名と、特徴量PXとが対応づけて記憶される。
その後、ステップS1に戻る。
ここでは、自動的に分類することのできない未知の特徴量PXを持つ入力文書データ51が、未分類フォルダに記憶される。
【0157】
ステップS8において、分類判定情報BHを利用して、特徴量PXに一致した特徴量基準情報P0に対応する全体分類ルールARと、ユーザ分類ルールURを検索する。
特徴量PXに一致した特徴量基準情報P0に対応する全体分類ルールARと、ユーザ分類ルールURがあれば、その全体分類ルールARとユーザ分類ルールURとを取得する。
分類判定情報BHには、特徴量ごとに、全体分類ルールARとユーザ分類ルールURが記憶されているので、特徴量に対応付けられた全体分類ルールARを取得し、入力文書データ51のユーザ名に対応するユーザ分類ルールURが記憶されていれば、そのユーザ分類ルールURを取得する。
【0158】
ステップS9において、ユーザ分類ルールURが取得された場合は、ステップS10に進み、ユーザ分類ルールURがなければ、ステップS11に進む。
ステップS10において、入力文書データ51のユーザ名に対応するユーザ分類ルールURが存在するので、そのユーザ分類ルールURに対応した保存フォルダに、入力文書データ51を記憶し、ステップS1に戻る。
上記のように、ユーザ分類ルールURに、保存フォルダ名が記憶されている場合は、その保存フォルダ名のフォルダに、入力文書データ51を記憶する。
【0159】
ステップS11において、ユーザ分類ルールURが存在しないので、取得された全体分類ルールARに対応した保存フォルダに、入力文書データ51を記憶し、ステップS1に戻る。
上記のように、全体分類ルールARに、保存フォルダ名が記憶されている場合は、その保存フォルダ名のフォルダに、入力文書データ51を記憶する。
【0160】
以上のように、読み取られた入力文書データ51の特徴量PXが既知の特徴量である場合、入力文書データ51は、その既知の特徴量PXに対応づけられた保存フォルダに分類保存されるが、特徴量PXが未知の特徴量である場合、入力文書データ51は、未分類の保存フォルダに保存される。
【0161】
また、特徴量PXが既知の特徴量である場合において、特徴量PXに対応して、入力文書データ51を読み取らせたユーザのユーザ分類ルールURが存在する場合は、このユーザ分類ルールURが優先適用されて、ユーザ分類ルールURに対応した保存フォルダに、入力文書データ51が分類保存される。
さらに、入力文書データ51を読み取らせたユーザのユーザ分類ルールURが存在しない場合は、既知の特徴量PXに対応する全体分類ルールARが適用されて、全体分類ルールARに対応した保存フォルダに、入力文書データ51が分類保存される。
【0162】
<入力文書データの分類の通知確認処理のフローチャート>
図19に、文書データの分類位置の通知確認処理の一実施例のフローチャートを示す。
ここでは、上記の文書データの入力と分類保存処理が実行された後に、新たに分類保存された入力文書データ51の保存先のフォルダ等を、ユーザに通知する処理について説明する。
【0163】
通知方法として、上記したように、表示と、送信と、確認要求があるものとし、ユーザ通知設定情報58として、
図9に示した初期通知設定方法が予め記憶されており、初期通知設定方法には、「表示」、「送信」、「確認要求」のいずれかが設定されているものとする。
また、ユーザは、通知された保存先のフォルダ等を確認して、保存先のフォルダがユーザの意図していたフォルダである場合は、承認の入力操作をし、保存先のフォルダがユーザの意図していたフォルダでない場合は、未承認の入力操作をするものとする。
【0164】
図19のステップS21において、新規に分類保存された文書データがあるか否かをチェックする。
ステップS22において、新規に分類保存された文書データがある場合は、ステップS23に進み、そうでない場合は、ステップS21に戻る。
ステップS23において、新規分類文書データを記憶部50から読み出し、新規分類文書データの保存フォルダ名を取得する。
ステップS24において、記憶部50に記憶されているユーザ通知設定情報58を読み出す。ここでは、初期通知設定方法を読み出す。
【0165】
ステップS25において、初期通知設定方法の通知設定が「表示」の場合、ステップS28に進み、そうでない場合は、ステップS26に進む。
ステップS26において、初期通知設定方法の通知設定が「送信」の場合、ステップS29に進み、そうでない場合は、ステップS27に進む。
ステップS27において、初期通知設定方法の通知設定が「確認要求」の場合、ステップS33に進み、そうでない場合は、ステップS25に戻る。
【0166】
ステップS28において、新規分類文書データのファイル名と保存フォルダ名等の情報を、表示部13に表示する。あるいは、新規分類文書データを入力したユーザ名も表示してもよい。
ユーザは、この表示を見て、自己が読み取った原稿の保存先のフォルダ名が、意図した分類先のフォルダであるか否かを確認する。
保存先のフォルダ名を確認したユーザは、「承認」あるいは、「未承認」の入力操作をする。ステップS28の後、ステップS30に進む。
【0167】
ステップS30において、ユーザが「承認」の入力操作をした場合は、保存先のフォルダ名が、ユーザが意図した分類先のフォルダであるので、処理を終了する。
ステップS31において、ユーザが「承認」の入力操作をせずに、「未承認」の入力操作をした場合は、保存先のフォルダ名が、ユーザが意図した分類先のフォルダでないので、ステップS32に進み、そうでない場合は、ステップS30に戻る。
【0168】
ステップS32において、入力文書データの再分類処理を実行し、処理を終了する。
この再分類処理では、たとえば、ユーザが、自己が読み取った原稿の入力文書データを、現在保存されている保存フォルダから、ユーザが意図する保存フォルダに移動させる入力操作をすればよい。
【0169】
ステップS29において、新規分類文書データのファイル名と保存フォルダ名等の情報を、送信する。あるいは、新規分類文書データを入力したユーザ名も含めて送信してもよい。
送信先は、たとえば、ユーザ所有のパソコン、携帯端末等である。
ユーザは、この送信内容を見て、自己が読み取った原稿の保存先のフォルダ名が、意図した分類先のフォルダであるか否かを確認する。
ステップS29の後、ステップS30に進み、保存先のフォルダ名を確認したユーザは、「承認」あるいは、「未承認」の入力操作をする。ステップS30以降のフローは、上述したとおりである。
【0170】
ステップS33において、ユーザの所有するパソコン、携帯端末等から、確認要求データを受信した場合、ステップS34に進み、そうでない場合は、ステップS25に戻る。
この確認要求データには、たとえば、確認要求する入力文書データのファイル名とユーザ名とが含まれるものとする。
ステップS34において、受信された確認要求データから、要求された入力文書データのファイル名を取得する。
【0171】
ステップS35において、要求された入力文書データのファイルが保存されている保存フォルダを検索し、その保存フォルダの名称(保存フォルダ名)を取得する。
ステップS36において、取得した保存フォルダ名を、確認要求データを送ってきたユーザの所有するパソコン、携帯端末等に送信し、処理を終了する。
【0172】
図示していないが、ユーザの所有するパソコン、携帯端末等では、たとえば、受信した保存フォルダ名を表示させて、ユーザが、入力文書データの保存フォルダを確認する。
確認した入力文書データの保存フォルダが意図したものである場合は、パソコン、携帯端末等から、「承認」を意味する応答データを、画像形成装置に送信してもよい。
【0173】
一方、確認した入力文書データの保存フォルダが意図したものでない場合は、パソコン、携帯端末等から、「未承認」を意味する応答データを、画像形成装置に送信してもよく、さらに、ユーザが画像形成装置に対して、入力文書データの保存フォルダを、意図した保存フォルダに変更する情報を送信して、入力文書データの再分類処理をしてもよい。すなわち、ステップS36の後、ステップS30に進み、ステップS31からステップS32の処理を行ってもよい。
【0174】
<分類判定情報の更新処理のフローチャート>
図20に、分類判定情報54の更新処理の一実施例のフローチャートを示す。
ここでは、上記の分類保存処理が実行された後、現在保存フォルダに保存されている入力文書データ(保存文書データ)に対して、ユーザが所定の入力操作を行った場合に、分類判定情報54を更新する処理について説明する。
以下のフローチャートでは、特に、ユーザが、保存フォルダに保存されている入力文書データを他の保存フォルダに移動させる入力操作を行った場合について示す。
【0175】
図20のステップS51において、保存フォルダに保存されている入力文書データ(保存文書データ)に対して入力操作が行われたか否かをチェックする。
たとえば、操作部12のキーの入力を監視し、そのキー入力が、入力文書データに対する入力操作であるか否かをチェックする。
入力文書データに対する入力操作は、主として、入力文書データを分類する操作(分類操作)であり、たとえば、保存文書データを移動させる操作、削除する操作、保存文書データのファイル名を変更する操作などがある。
【0176】
ステップS52において、入力文書データに対する入力操作が、移動操作である場合、ステップS53に進み、そうでない場合は、ステップS51に戻る。
ステップS53において、分類フォルダ情報から、移動した保存文書データの情報を取得する。
たとえば、保存文書データのユーザ名、ファイル名、特徴量、移動後の保存フォルダ名を取得する。
【0177】
ステップS54において、分類判定情報54について、取得したユーザ名のユーザ分類ルールURを変更する。
分類判定情報54には、取得した特徴量に対応して、全体分類ルールARとユーザごとのユーザ分類ルールURとが記憶されているので、特徴量に対応するユーザ分類ルールURのうち、取得したユーザ名のユーザ分類ルールURを、移動後の保存フォルダ名に変更する。
この特徴量に対応する取得したユーザ名のユーザ分類ルールURに何も記憶されていない場合は、ユーザ名のユーザ分類ルールURに、移動後の保存フォルダ名を記憶する。
これにより、今後、同じユーザが、同じ特徴量を持つ原稿を読み取らせた場合、その原稿の入力文書データは、移動後の保存フォルダ名のフォルダに分類保存される。
【0178】
ステップS55において、全体ルール更新条件情報57を読み出す。
ステップS56において、現在の分類判定情報54における全ユーザのユーザ分類ルールURが、全体ルール更新条件情報57を満たしたか否かをチェックする。
たとえば、全体ルール更新条件情報57に同一操作をした人数の下限値Nが予め設定されている場合において、取得した特徴量に対応するユーザ分類ルールURに、同一操作をしたことに相当する同じ保存フォルダ名が記憶されていた場合で、その同一操作をしたユーザの数が人数N以上(同じ保存フォルダ名の数がN以上)であった場合に、全体ルール更新条件情報57を満たしたと判断する。
【0179】
ステップS57において、全体ルール更新条件情報57を満たした場合は、ステップS58に進み、そうでない場合は、更新処理を終了する。
全体ルール更新条件情報57を満たしたと判断された場合は、取得した特徴量に対応する全体分類ルールARを更新する。
【0180】
ステップS58において、取得した特徴量に対応する全体分類ルールARを、取得したユーザ名のユーザ分類ルールURと同じ内容に変更する。
たとえば、取得した特徴量に対応する全体分類ルールARを、ステップS54において記憶した移動後の保存フォルダ名に変更する。
このステップS58の処理は、上記した
図12を用いて説明した分類判定情報54の全体分類ルールARの変更処理に相当する。
【0181】
ステップS59において、ユーザルール更新条件情報56を読み出す。
ステップS60において、ユーザルール更新条件情報56に、「無効」が設定されているユーザがいるかどうかをチェックし、「無効」が設定されているユーザがいる場合は、ステップS61に進み、そうでない場合は、更新処理を終了する。
【0182】
ステップS61において、「無効」が設定されているユーザ(無効設定ユーザ)の取得した特徴量に対応するユーザ分類ルールURを、ステップS54で変更する直前のユーザ分類ルールURに戻す。
あるいは、直前のユーザ分類ルールURが設定されていなかった場合は、取得した特徴量に対応する無効設定ユーザのユーザ分類ルールURを、ステップS54で変更する直前の全体分類ルールARに戻す。その後、更新処理を終了する。
このステップS61の処理は、上記した
図13を用いて説明した分類判定情報54における無効設定ユーザのユーザ分類ルールURの変更処理に相当する。
【0183】
これにより、今後、無効設定ユーザが、同じ特徴量を持つ原稿を読み取らせた場合、その特徴量に対応する無効設定ユーザのユーザ分類ルールURが適用され、その原稿の入力文書データは、この無効設定ユーザのユーザ分類ルールURに設定された保存フォルダに分類保存される。
一方、今後、ユーザルール更新条件情報56に「有効」が設定されているユーザが、同じ特徴量を持つ原稿を読み取らせた場合、原則として、その特徴量に対応する全体分類ルールARが適用され、その原稿の入力文書データは、この全体分類ルールARに設定された保存フォルダに分類保存される。
【符号の説明】
【0184】
1 画像形成装置(MFP)、
11 制御部、
12 操作部、
13 表示部、
14 画像処理部、
15 画像入力部、
16 画像形成部、
17 画像出力部、
18 通信部、
21 ユーザ操作取得部、
22 文書データ取得部、
23 文書特徴量取得部、
24 ユーザ更新条件判定部、
25 分類ルール更新部、
26 全体ルール更新部、
27 ユーザルール更新部、
28 ユーザ通知部、
50 記憶部、
51 入力文書データ、
52 取得特徴量情報、
53 分類フォルダ情報、
54 分類判定情報、
55 特徴量基準情報、
56 ユーザルール更新条件情報、
57 全体ルール更新条件情報、
58 ユーザ通知設定情報