(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】切開器具
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
A61B18/14
(21)【出願番号】P 2020089843
(22)【出願日】2020-05-22
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】脇坂 敏明
(72)【発明者】
【氏名】槇 英昭
(72)【発明者】
【氏名】相場 洋之
(72)【発明者】
【氏名】福岡 知愛
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-511195(JP,A)
【文献】国際公開第2020/021922(WO,A1)
【文献】特開2010-022568(JP,A)
【文献】特開2008-253597(JP,A)
【文献】国際公開第2014/027579(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0277349(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0177436(US,A1)
【文献】国際公開第2014/199759(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12-18/14
A61M 25/06
A61M 25/092
A61B 17/29-17/294
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織を切開するための切開器具であって、
生体組織を切開するワイヤと、
内側に前記ワイヤが配置されるシャフトであって、前記シャフトの先端側に前記ワイヤの先端が固定され、前記ワイヤの先端側の一部分を前記シャフトの外側に露出させる開口部を有するシャフトと、
前記シャフトの基端に接続されるコネクタと、
前記コネクタの基端に接続され、前記コネクタを介して前記ワイヤの基端が固定されると共に、前記コネクタに対して相対回転可能なハンドル部と、
前記コネクタに設けられ、スライド移動可能なスライド部材を有するロック機構であって、前記スライド部材が第1の位置のとき、前記ハンドル部の前記コネクタに対する相対回転を可能にし、第2の位置のとき、前記ハンドル部の前記コネクタに対する相対回転を規制するロック機構と、を備え
、
前記ハンドル部は、先端側に、前記コネクタに挿入される軸部を有しており、
前記スライド部材は、前記軸部が挿通される開口を有しており、
前記ロック機構は、前記スライド部材が前記第2の位置のとき、前記開口の内周部が前記軸部と接触することによって、前記ハンドル部の前記相対回転を規制する
、切開器具。
【請求項2】
請求項
1に記載の切開器具であって、
前記スライド部材の前記内周部には、内側に向かって突起する突起部が形成されており、
前記ロック機構は、前記スライド部材が前記第2の位置のとき、前記突起部が前記軸部と接触することによって、前記ハンドル部の前記相対回転を規制する、
切開器具。
【請求項3】
請求項
1または請求項
2に記載の切開器具であって、
前記ロック機構において、前記スライド部材は、前記コネクタに挿入された前記軸部の延伸方向と直交する方向にスライド移動する、
切開器具。
【請求項4】
請求項1から請求項
3までのいずれか一項に記載の切開器具であって、
前記スライド部材は、
平板状の外形を有すると共に、両端が前記コネクタの外周面の形状に沿った形状を有しており、
前記第1の位置のとき、一方の端部が、前記コネクタから突出すると共に、他方の端部の端面が前記コネクタの外周面と揃った状態になり、
前記第2の位置のとき、前記他方の端部が、前記コネクタから突出すると共に、前記一方の端部の端面が前記コネクタの外周面と揃った状態になる、
切開器具。
【請求項5】
請求項1から請求項
4までのいずれか一項に記載の切開器具であって、
前記シャフトは、前記ワイヤが配置される第1のルーメンと、
前記第1のルーメンとは異なる第2のルーメンと、を有している、
切開器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切開器具に関する。
【背景技術】
【0002】
総胆管結石症の治療法として、内視鏡的乳頭切開術(EST:Endoscopic Sphincterotomy)が知られている。内視鏡的乳頭切開術では、胆管及び膵管の出口に相当する乳頭部に切開器具を挿入して、乳頭部の生体組織を切開する。特許文献1には、このような内視鏡的乳頭切開術において使用可能な括約筋切開具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、内視鏡的乳頭切開術においては、乳頭部の所定範囲の生体組織を所定形状で切開する必要がある。このため、切開器具は、先端が回転可能であって、なおかつ先端が回転した状態を維持できることが好ましい。この点、特許文献1に記載の括約筋切開具は、手元のハンドルを回転させることによりカテーテルの遠位部(切開器具の先端)が回転可能であり、かつ、カテーテルの近位端に対するハンドルの更なる回転を抑止する回転ロックを備えている。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の括約筋切開具では、手元のハンドルを回転させる際に、回転ロックによって常に抵抗感が生じ、細かな回転操作(換言すれば、細かな回転角度の調整)が容易でないという課題があった。また、特許文献1に記載の括約筋切開具では、ハンドルの回転操作を繰り返すことにより回転ロックが摩耗し、回転ロックの機能が損なわれる虞があった。なお、このような課題は、乳頭部を切開する内視鏡的乳頭切開術に限らず、血管系、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官等、人体内の各器官に挿入されて、生体組織を切開する切開器具の全般に共通する。
【0006】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、生体組織を切開するための切開器具において、操作性と、耐久性とを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0008】
(1)本発明の一形態によれば、生体組織を切開するための切開器具が提供される。この切開器具は、生体組織を切開するワイヤと、内側に前記ワイヤが配置されるシャフトであって、前記シャフトの先端側に前記ワイヤの先端が固定され、前記ワイヤの先端側の一部分を前記シャフトの外側に露出させる開口部を有するシャフトと、前記シャフトの基端に接続されるコネクタと、前記コネクタの基端に接続され、前記コネクタを介して前記ワイヤの基端が固定されると共に、前記コネクタに対して相対回転可能なハンドル部と、前記コネクタに設けられ、スライド移動可能なスライド部材を有するロック機構であって、前記スライド部材が第1の位置のとき、前記ハンドル部の前記コネクタに対する相対回転を可能にし、第2の位置のとき、前記ハンドル部の前記コネクタに対する相対回転を規制するロック機構と、を備える。
【0009】
この構成によれば、切開器具は、コネクタの基端に接続され、コネクタを介してワイヤの基端が固定されると共に、コネクタに対して相対回転可能なハンドル部を備える。このため、ハンドル部をコネクタに対して相対回転させることにより、シャフトの先端側(換言すれば、切開器具の先端側)を回転させることができる。また、コネクタには、スライド部材が第1の位置のときハンドル部のコネクタに対する相対回転を可能にし、第2の位置のときハンドル部のコネクタに対する相対回転を規制するロック機構が設けられている。このため、スライド部材を第2の位置にすることによって、シャフトの先端側(切開器具の先端側)が回転した状態を維持できる。さらに、スライド部材を第1の位置にすれば、ハンドル部の回転操作(すなわち、ハンドル部をコネクタに対して相対回転させる操作)において抵抗を生じないため、細かな回転操作(換言すれば、細かな回転角度の調整)が容易にできる。さらに、スライド部材を第1の位置にすれば、ハンドル部の回転操作において抵抗を生じないため、回転操作を繰り返してもロック機構が摩耗することなく、ロック機構の機能が損なわれない。これらの結果、本構成の切開器具によれば、操作性と、耐久性とを向上できる。
【0010】
(2)上記形態の切開器具において、前記ハンドル部は、先端側に、前記コネクタに挿入される軸部を有しており、前記スライド部材は、前記軸部が挿通される開口を有しており、前記ロック機構は、前記スライド部材が前記第2の位置のとき、前記開口の内周部が前記軸部と接触することによって、前記ハンドル部の前記相対回転を規制してもよい。
この構成によれば、ロック機構のスライド部材は、軸部が挿通される開口を有しており、スライド部材が第2の位置のとき、開口の内周部が軸部と接触することによって、ハンドル部の相対回転を規制する。すなわち、ロック機構は、スライド部材と、ハンドル部の軸部との間の摩擦を利用して、相対回転を規制することができる。
【0011】
(3)上記形態の切開器具において、前記スライド部材の前記内周部には、内側に向かって突起する突起部が形成されており、前記ロック機構は、前記スライド部材が前記第2の位置のとき、前記突起部が前記軸部と接触することによって、前記ハンドル部の前記相対回転を規制してもよい。
この構成によれば、ロック機構のスライド部材の内周部には、内側に向かって突起する突起部が形成されており、スライド部材が第2の位置のとき、突起部が軸部と接触することによって、ハンドル部の相対回転を規制する。すなわち、ロック機構は、スライド部材の突起部と、ハンドル部の軸部との間の摩擦を利用して、相対回転を規制することができる。
【0012】
(4)上記形態の切開器具では、前記ロック機構において、前記スライド部材は、前記コネクタに挿入された前記軸部の延伸方向と直交する方向にスライド移動してもよい。
この構成によれば、ロック機構のスライド部材は、コネクタに挿入された軸部の延伸方向と直交する方向にスライド移動することで、第1の位置と第2の位置とを切り替えることができる。このため、術者は、ハンドル部のロック解除操作(すなわち、スライド部材を第1の位置に移動させてハンドル部の回転操作を可能にする操作)と、ハンドル部のロック操作(すなわち、スライド部材を第2の位置に移動させてハンドル部の回転操作を規制する操作)とを直感的に把握しやすい。この結果、切開器具の操作性をより一層向上できる。
【0013】
(5)上記形態の切開器具において、前記スライド部材は、平板状の外形を有すると共に、両端が前記コネクタの外周面の形状に沿った形状を有しており、前記第1の位置のとき、一方の端部が、前記コネクタから突出すると共に、他方の端部の端面が前記コネクタの外周面と揃った状態になり、前記第2の位置のとき、前記他方の端部が、前記コネクタから突出すると共に、前記一方の端部の端面が前記コネクタの外周面と揃った状態になってもよい。
この構成によれば、ロック機構のスライド部材は、第1の位置のとき、一方の端部がコネクタから突出すると共に他方の端部の端面がコネクタの外周面と揃った状態になり、第2の位置のとき、他方の端部がコネクタから突出すると共に、一方の端部の端面がコネクタの外周面と揃った状態になる。このため、術者は、ロック機構のスライド部材を、スライド部材の端面がコネクタの外周面と揃うまで押し込むことで、第1の位置と第2の位置とを切り替えることができる。このため、術者は、ハンドル部のロック解除操作と、ハンドル部のロック操作とを直感的に把握しやすい。この結果、切開器具の操作性をより一層向上できる。
【0014】
(6)上記形態の切開器具において、前記シャフトは、前記ワイヤが配置される第1のルーメンと、前記第1のルーメンとは異なる第2のルーメンと、を有していてもよい。
この構成によれば、シャフトは、ワイヤが配置される第1のルーメンと、第1のルーメンとは異なる第2のルーメンとを有している。このため、第2のルーメンにガイドワイヤ等の併用デバイスを挿通することができ、切開器具の使い勝手を向上できる。
【0015】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、切開器具、ハンドル部と組み合わせて用いられるコネクタ、コネクタとハンドル部とを備える把持具、これらの装置を含むシステム、これらの装置及びシステムを製造する方法などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態の切開器具の構成を例示した説明図である。
【
図2】切開器具の先端側の一部分A(
図1)の断面構成を例示した説明図である。
【
図3】切開器具のC-C線(
図2)における横断面図である。
【
図5】切開器具の基端側の一部分B(
図1)の構成を例示した説明図である。
【
図6】第2の位置にあるスライド部材の構成を例示した説明図である。
【
図7】第1の位置にあるスライド部材の構成を例示した説明図である。
【
図8】ワイヤを収容状態とした切開器具を表す図である。
【
図9】切開器具を用いて乳頭部を切開する様子を示す説明図である。
【
図10】先端側を回転させた切開器具を表す図である。
【
図11】ワイヤを露出状態とした切開器具を表す図である。
【
図12】第2実施形態のロック機構の構成を例示した説明図である。
【
図13】第3実施形態のロック機構の構成を例示した説明図である。
【
図14】第4実施形態のシャフトの構成を例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の切開器具1の構成を例示した説明図である。切開器具1は、生体組織を切開するための器具であり、例えば、総胆管結石症の治療法としての内視鏡的乳頭切開術(EST:Endoscopic Sphincterotomy)により用いられる。なお、切開器具1は、血管系、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官等、人体内の各器官に挿入されて、生体組織を切開するために用いられてもよい。
図1に示すように、切開器具1は、シャフト10と、ワイヤ20と、コネクタ30と、ハンドル部40と、ロック機構50を備えている。
【0018】
図1及び以降の図では、ロック機構50を構成する構成要素にドットハッチングを付して表す。また、
図1では、切開器具1の中心を通る軸を軸線O(一点鎖線)で表す。
図1の例では、シャフト10、コネクタ30、及びハンドル部40の中心を通る軸は、いずれも軸線Oと一致する。しかし、これらの中心を通る軸は、それぞれ軸線Oとは相違していてもよい。また、
図1には、相互に直交するXYZ軸を図示する。X軸は切開器具1の長手方向(長さ方向)に対応し、Y軸は切開器具1の高さ方向に対応し、Z軸は切開器具1の幅方向に対応する。
図1の左側(-X軸方向)を切開器具1及び各構成部材の「先端側」と呼び、
図1の右側(+X軸方向)を切開器具1及び各構成部材の「基端側」と呼ぶ。切開器具1及び各構成部材について、先端側に位置する端部を「先端」と呼び、先端及びその近傍を「先端部」と呼ぶ。また、基端側に位置する端部を「基端」と呼び、基端及びその近傍を「基端部」と呼ぶ。先端側は生体内部へ挿入され、基端側は医師等の術者により操作される。これらの点は、
図1以降においても共通する。
【0019】
図2は、切開器具1の先端側の一部分A(
図1)の断面構成を例示した説明図である。
図3は、切開器具1のC-C線(
図2)における横断面図である。
図4は、コネクタ30の構成を例示した説明図である。
図4では、説明の便宜上、コネクタ30の内部に配置されたシャフト10、ワイヤ20、ハンドル部40、インナーシャフト351、及び保持部材62を破線で図示する。
【0020】
シャフト10は、切開器具1の長手方向(軸線O)に沿って延びる長尺状の部材である。シャフト10は、内側に肉厚部111を有する中空の略円筒形状である。具体的には、シャフト10は、
図2及び
図3に示すように、シャフト10の肉厚部111に、デバイスルーメン11Lと、ワイヤルーメン12Lとが形成されることによって、中空の略円筒形状とされている。シャフト10の外径及び長さは任意に決定できる。
【0021】
デバイスルーメン11Lは、シャフト10の先端10dと基端とにおいてそれぞれ開口している。デバイスルーメン11Lの先端側の開口(以降、「先端開口11o」とも呼ぶ)は、外部に連通している(
図2)。デバイスルーメン11Lの基端側の開口は、コネクタ30の内腔(内側)に連通している(
図4)。ワイヤルーメン12Lは、シャフト10の先端10dと基端とにおいてそれぞれ開口している。ワイヤルーメン12Lの先端側の開口は、固定部材61によって封止されている(
図2)。ワイヤルーメン12Lの基端側の開口は、コネクタ30の内腔に連通している(
図4)。デバイスルーメン11Lの径Φ11は、ワイヤルーメン12Lの径Φ12よりも大きい(
図3)。しかし、径Φ11,Φ12は任意に決定でき、略同一であってもよく、径Φ11が径Φ12よりも小さくてもよい。なお、デバイスルーメン11Lは「第2のルーメン」に相当し、ワイヤルーメン12Lは「第1のルーメン」に相当する。
【0022】
図2に示すように、シャフト10のワイヤルーメン12Lには、ワイヤ20が挿通されている。また、シャフト10の先端側には、ワイヤルーメン12Lと外部とを連通する開口部12oが形成されている。開口部12oは、軸線O方向に沿って延びる長尺状である。
図2に示すように、シャフト10の先端側を湾曲させることによって、ワイヤ20の先端側の一部分を、開口部12oから外部(シャフト10の外側)に露出させることができる。開口部12oが設けられる軸線O方向の長さは、任意に決定できる。
【0023】
ワイヤ20は、導電性を有する素線である。ワイヤ20は、切開器具1の外部に設けられた高周波加熱源(図示省略)に接続されており、高周波加熱源から付与されるエネルギーを伝達する。これにより、ワイヤ20は、ワイヤ20に触れた生体組織をスムーズに切開できる。ワイヤ20は、切開器具1の長手方向(軸線O)に沿って延びる長尺状であって、ワイヤルーメン12Lよりも小さな外径Φ20を有する略円柱形状である(
図3)。ワイヤ20の先端20dは、固定部材61によって、シャフト10の先端側に固定されている(
図2)。ワイヤ20の基端は、コネクタ30の内腔と、ハンドル部40の内腔40Lとを通過して(
図4)、ハンドル部40のハンドル本体部42に固定されている。固定は、例えばエポキシ系接着剤などの任意の接合剤により実施できる。
【0024】
コネクタ30は、シャフト10の基端10pに接続され、術者が切開器具1を把持し、併用デバイスを挿通するために用いられる部材である。コネクタ30は、先端30dに先端開口31oが形成され、基端30pに基端開口33oが形成され、内側に開口31o,33oを連通する内腔が形成された中空状である(
図1、
図4)。コネクタ30は、細径部31と、テーパ部32と、太径部33と、分岐部35と、ロック機構50とを有している。なお、ロック機構50の詳細は後述する。
【0025】
細径部31は、コネクタ30の先端側に設けられた略一定の外径を有する部分である。テーパ部32は、細径部31と太径部33との間に設けられ、先端側から基端側にかけて外径が拡径した部分である。太径部33は、コネクタ30の基端側に設けられ、細径部31よりも太い略一定の外径を有する部分である。太径部33の外周面には、太径部33の内腔と外部とを連通する側面開口36が、2箇所形成されている。
図4に示すように、一方の側面開口36と、他方の側面開口36とは対向する位置に形成されている。2箇所の側面開口36からは、それぞれ、コネクタ30に設けられたロック機構50の一部分が、外部に露出している(
図1、
図4)。
【0026】
分岐部35は、細径部31の側面から、軸線O方向に交差する方向へと延伸した部分である(
図1)。
図4に示すように、分岐部35の内腔には、中空状のインナーシャフト351が挿入されている。インナーシャフト351の内腔の基端は、分岐部35の基端に形成された分岐開口35oに連通している。インナーシャフト351の内腔の先端は、シャフト10のデバイスルーメン11Lに連通している。これにより、分岐開口35oから挿入されたガイドワイヤ等の併用デバイスは、インナーシャフト351の内腔を介して、シャフト10のデバイスルーメン11Lへと導かれる。コネクタ30に挿入されたシャフト10の基端10pと、インナーシャフト351の先端と、ワイヤ20の一部分とは、保持部材62によって一体的に保持されている。ここで、保持部材62は、保持部材62に対して、ワイヤ20が軸線O方向に摺動可能な状態で、ワイヤ20の一部分を保持している。
【0027】
ハンドル部40は、コネクタ30の基端30pに接続され、術者が切開器具1を操作するために用いられる部材である。ハンドル部40は、軸部41と、ハンドル本体部42と、第1指受け部43と、第2指受け部44とを有している(
図1)。軸部41は、切開器具1の長手方向(軸線O)に沿って延びる長尺状であって、略一定の外径を有する略円筒形状の部材である。軸部41は、ハンドル部40の先端側に配置されている。
図4に示すように、軸部41の内腔41Lには、ワイヤ20が挿通されている。ハンドル本体部42は、軸部41の外周を取り囲むように設けられた円筒形状の部材である。ハンドル本体部42には、ワイヤ20の基端が固定されている。第1指受け部43は、軸部41の基端に設けられたリング状の部材である。第2指受け部44は、ハンドル本体部42に取り付けられた一対のリング状の部材である。
【0028】
図1を用いて、ハンドル部40を用いた切開器具1の操作について説明する。術者は、第1指受け部43に親指を挿通した状態で、第2指受け部44に人差し指と中指を挿通し、人差し指と中指を引く(
図1、矢印A1)。これにより、ハンドル本体部42を、軸部41の外周面に沿って軸線O方向にスライド移動させて、ハンドル本体部42に固定されたワイヤ20の基端を引っ張り、ワイヤ20に張力を付与することができる。また、術者は、コネクタ30に対して、ハンドル部40を相対回転させる(
図1、矢印A2)。具体的には、コネクタ30を固定した状態で、ハンドル部40を周方向(YZ軸方向)に回転させる。これにより、切開器具1の先端側(換言すれば、シャフト10の先端側)が回転される。
【0029】
図5は、切開器具1の基端側の一部分B(
図1)の構成を例示した説明図である。コネクタ30には、さらに、ロック機構50が設けられている。ロック機構50は、ハンドル部40をロック状態とし、また、ハンドル部40のロック状態を解除するために用いられる部材である。ここで、「ロック状態」とは、ハンドル部40のコネクタ30に対する相対回転(
図1、矢印A2)が規制され、ハンドル部40がコネクタ30に対して相対回転できない状態を意味する。「ロック解除状態」とは、ハンドル部40のコネクタ30に対する相対回転(
図1、矢印A2)が可能な状態を意味する。ロック機構50は、スライド部材51と、突起部52とを有している(
図5)。
【0030】
スライド部材51は、ハンドル部40の軸部41の延伸方向(すなわち、軸線O,X軸方向)と直交するZ軸方向にスライド移動可能な部材である(
図5、黒矢印)。スライド部材51は、±Z軸方向に湾曲した端部512を有する平板状の部材である。スライド部材51の中央には、軸線O方向にスライド部材51を貫通する開口51oが形成されている。スライド部材51の開口51oには、ハンドル部40の軸部41が挿通されている。突起部52は、スライド部材51の内周部511から、内側に向かって突起した部分である。図示の例では、ロック機構50には、略四角柱状の3つの突起部52が形成されているが、突起部52の形状及び数は、任意に変更してよい。突起部52は、スライド部材51の内周部511のうち、スライド部材51がスライド移動可能な方向の約半分に亘って形成されている。図示の例では、突起部52は、スライド部材51の内周部511のうち、-Z軸方向の約半分に亘って形成されている。
【0031】
図6は、第2の位置にあるスライド部材51の構成を例示した説明図である。
図6では、説明の便宜上、コネクタ30の内部に配置されたスライド部材51を図示すると共に、コネクタ30を破線で図示する。図示のように、スライド部材51の開口51oは、スライド部材51がスライド移動可能な方向(すなわち、Z軸方向)に長い略楕円形状である。開口51oの短手方向の長さLΦ51は、ハンドル部40の軸部41の外径よりも大きい限りにおいて任意に決定できる。開口51oの長手方向の長さL52は、開口51oの短手方向の長さLΦ51よりも大きい限りにおいて任意に決定できる。また、スライド部材51の±Z軸方向にそれぞれ形成された端部512は、コネクタ30の外周面の形状に沿った湾曲形状を有している(
図5、
図6)。
【0032】
ロック機構50は、スライド部材51が
図6に示す第2の位置にあるとき、突起部52がハンドル部40の軸部41と接触することによって、ハンドル部40のコネクタ30に対する相対回転を規制する。すなわち、ハンドル部40をロック状態とする。また、
図6に示すように、スライド部材51を第2の位置にしたとき、他方(+Z軸方向)の端部512がコネクタ30から突出すると共に、一方(-Z軸方向)の端部512の端面がコネクタ30の外周面と揃った状態となる。
【0033】
図7は、第1の位置にあるスライド部材51の構成を例示した説明図である。
図7においても、
図6と同様に、コネクタ30の内部に配置されたスライド部材51を図示すると共に、コネクタ30を破線で図示する。ロック機構50は、スライド部材51が
図7に示す第1の位置にあるとき、突起部52及び内周部511がいずれも、ハンドル部40の軸部41と接触しないことによって、ハンドル部40のコネクタ30に対する相対回転を可能とする(
図7、黒矢印)。すなわち、ハンドル部40をロック解除状態とする。また、
図7に示すように、スライド部材51を第1の位置にしたとき、一方(-Z軸方向)の端部512がコネクタ30から突出すると共に、他方(+Z軸方向)の端部512の端面がコネクタ30の外周面と揃った状態となる。
【0034】
シャフト10は、抗血栓性、可撓性、及び生体適合性を有することが好ましく、樹脂材料や金属材料で形成できる。樹脂材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等を採用できる。金属材料としては、例えば、SUS304等のステンレス鋼、NiTi合金、コバルトクロム合金等を採用できる。ワイヤ20は、導電性のほかに、抗血栓性及び生体適合性を有することが好ましく、例えば、SUS304等のステンレス鋼や、NiTi合金等の金属材料で形成できる。コネクタ30、ハンドル部40、及びロック機構50は、樹脂材料、例えば、ポリウレタン、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル等により形成できる。ロック機構50の突起部52は、弾性体により形成されてもよい。固定部材61及び保持部材62は、任意の接合剤、例えば、銀ロウ、金ロウ、亜鉛、Sn-Ag合金、Au-Sn合金等の金属はんだや、エポキシ系接着剤などの接着剤により形成できる。
【0035】
図8は、ワイヤ20を収容状態とした切開器具1を表す図である。
図9は、切開器具1を用いて乳頭部100を切開する様子を示す説明図である。
図10は、先端側を回転させた切開器具1を表す図である。
図11は、ワイヤ20を露出状態とした切開器具1を表す図である。以降、
図8~
図11を用いて、切開器具1の使用方法について説明する。
【0036】
まず術者は、内視鏡を十二指腸まで挿入し、内視鏡下に挿入したガイドワイヤ(併用デバイス)を、乳頭部100の開口部101から総胆管へとデリバリする。次に術者は、ガイドワイヤに沿わせて、切開器具1を乳頭部100の開口部101までデリバリする(
図9)。具体的には、切開器具1の先端開口11oにガイドワイヤの基端側を挿入した後、切開器具1の先端10dが乳頭部100の開口部101に至るまで、切開器具1を先端側(遠位側)へと推し進める。このとき術者は、ハンドル部40を、ハンドル本体部42がコネクタ30の基端30pに当接する位置としておく(
図8)。そうすれば、
図8に示すように、シャフト10の先端側(換言すれば、切開器具1の先端側)が直線状となり、シャフト10のワイヤルーメン12Lにワイヤ20を収容した状態とできる。このため、切開器具1のデリバリ時におけるワイヤ20の引っ掛かりを抑制することができ、手技の安全性を向上できると共に、ワイヤ20が破損する虞を低減できる。
【0037】
次に術者は、切開器具1のワイヤ20を用いて、乳頭部100の所定範囲Rを、所定形状(図示の例では直線状)に切開する(
図9、矢印)。まず術者は、ハンドル部40をロック解除状態とするために、ロック機構50のスライド部材51を第1の位置(
図7)にスライド移動させる。その後、術者は、切開器具1のシャフト10のうち、ワイヤ20が露出する開口部12oを、乳頭部100の所定範囲Rの方向に向けるために、シャフト10の先端側(換言すれば、切開器具1の先端側)を回転させる。具体的には、コネクタ30に対してハンドル部40を相対回転させる(
図10、矢印A2)ことにより、シャフト10の先端側を回転させる。その後、術者は、ハンドル部40をロック状態とするために、ロック機構50のスライド部材51を第2の位置(
図6)にスライド移動させる。これにより、シャフト10の先端側が所望の角度に回転した状態を維持できるため、以降の手技が容易となる。
【0038】
その後、術者は、ハンドル本体部42を、軸部41の外周面に沿って軸線O方向にスライド移動させる(
図11、矢印A1)ことにより、ワイヤ20の基端を引っ張り、ワイヤ20に張力を付与する。そうすると、
図11に示すように、シャフト10の開口部12oからワイヤ20が露出する。この状態で、術者は、切開器具1の外部に設けられた高周波加熱源からワイヤ20にエネルギーを付与することで、乳頭部100の所定範囲Rを所定形状に切開できる。
【0039】
以上のように、第1実施形態の切開器具1は、コネクタ30の基端30pに接続され、コネクタ30を介してワイヤ20の基端が固定されると共に、コネクタ30に対して相対回転可能なハンドル部40を備える。このため、ハンドル部40をコネクタ30に対して相対回転させることにより、シャフト10の先端側(換言すれば、切開器具1の先端側)を回転させることができる(
図10)。また、コネクタ30には、スライド部材51が第1の位置のときハンドル部40のコネクタ30に対する相対回転を可能にし、第2の位置のときハンドル部40のコネクタ30に対する相対回転を規制するロック機構50が設けられている。このため、スライド部材51を第2の位置にすることによって、シャフト10の先端側(切開器具1の先端側)が回転した状態を維持できる。さらに、スライド部材51を第1の位置にすれば、ハンドル部40の回転操作(すなわち、ハンドル部40をコネクタ30に対して相対回転させる操作)において抵抗を生じないため、細かな回転操作(換言すれば、細かな回転角度の調整)が容易にできる。さらに、スライド部材51を第1の位置にすれば、ハンドル部40の回転操作において抵抗を生じないため、回転操作を繰り返してもロック機構50(具体的には、突起部52)が摩耗することなく、ロック機構50の機能が損なわれない。これらの結果、第1実施形態の切開器具1によれば、操作性と、耐久性とを向上できる。
【0040】
また、第1実施形態の切開器具1において、ロック機構50のスライド部材51の内周部511には、内側に向かって突起する突起部52が形成されており、スライド部材51が第2の位置のとき、突起部52が軸部41と接触することによって、ハンドル部40の相対回転を規制する(
図6)。すなわち、ロック機構50は、スライド部材51の突起部52と、ハンドル部40の軸部41との間の摩擦を利用して、相対回転を規制することができる。
【0041】
さらに、第1実施形態の切開器具1において、ロック機構50のスライド部材51は、コネクタ30に挿入された軸部41の延伸方向(軸線O、X軸方向)と直交する方向(Z軸方向)にスライド移動することで、第1の位置と第2の位置とを切り替えることができる(
図6、
図7)。このため、術者は、ハンドル部40のロック解除操作(すなわち、スライド部材51を第1の位置に移動させてハンドル部40の回転操作を可能にする操作)と、ハンドル部40のロック操作(すなわち、スライド部材51を第2の位置に移動させてハンドル部40の回転操作を規制する操作)とを直感的に把握しやすい。この結果、切開器具1の操作性をより一層向上できる。
【0042】
さらに、第1実施形態の切開器具1において、ロック機構50のスライド部材51は、第1の位置のとき、一方の端部512がコネクタ30から突出すると共に他方の端部512の端面がコネクタ30の外周面と揃った状態になり(
図7)、第2の位置のとき、他方の端部512がコネクタ30から突出すると共に、一方の端部512の端面がコネクタ30の外周面と揃った状態になる(
図6)。このため、術者は、ロック機構50のスライド部材51を、スライド部材51の端部512がコネクタ30の外周面と揃うまで押し込むことで、第1の位置と第2の位置とを切り替えることができる。このため、術者は、ハンドル部40のロック解除操作と、ハンドル部40のロック操作とを直感的に把握しやすい。この結果、切開器具1の操作性をより一層向上できる。
【0043】
さらに、第1実施形態の切開器具1において、シャフト10は、ワイヤ20が配置される第1のルーメン(ワイヤルーメン12L)と、第1のルーメンとは異なる第2のルーメン(デバイスルーメン11L)とを有している。このため、上述の手順において説明した通り、第2のルーメン(デバイスルーメン11L)にガイドワイヤ等の併用デバイスを挿通することができ、切開器具1の使い勝手を向上できる。
【0044】
<第2実施形態>
図12は、第2実施形態のロック機構50Aの構成を例示した説明図である。第2実施形態の切開器具1Aは、第1実施形態の構成において、ロック機構50に代えてロック機構50Aを備える。ロック機構50Aは、スライド部材51に代えてスライド部材51Aを備えると共に、突起部52を有していない。スライド部材51Aは、スライド部材51Aがスライド移動可能な方向の一方側と、他方側とで短手方向の長さが異なる略楕円形状の開口51oを有している。図示の例では、開口51oの-Z軸方向の短手方向の長さL51aは、ハンドル部40の軸部41の外径と略同一(または、ハンドル部40の軸部41が内周部511に接触する程度にわずかに大きい程度)である。また、開口51oの+Z軸方向の短手方向の長さL51bは、ハンドル部40の軸部41の外径よりも大きい。ロック機構50Aは、スライド部材51Aが
図12に示す第2の位置にあるとき、開口51oの内周部511がハンドル部40の軸部41と接触することによって、ハンドル部40のコネクタ30に対する相対回転を規制する。
【0045】
このように、ロック機構50Aの構成は種々の変更が可能であり、スライド部材51Aに突起部52を設けずに、スライド部材51Aの内周部511を用いて、ハンドル部40のコネクタ30に対する相対回転を規制してもよい。なお、スライド部材51Aの内周部511には、内周部511と軸部41との摩擦力を増大させるための構成(例えば、弾性体膜等)が設けられてもよい。以上のような第2実施形態の切開器具1Aによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第2実施形態の切開器具1Aによれば、ロック機構50Aのスライド部材51Aは、軸部41が挿通される開口51oを有しており、スライド部材51Aが第2の位置のとき、開口51oの内周部511が軸部41と接触することによって、ハンドル部40の相対回転を規制する。すなわち、ロック機構50Aは、スライド部材51Aと、ハンドル部40の軸部41との間の摩擦を利用して、相対回転を規制することができる。
【0046】
<第3実施形態>
図13は、第3実施形態のロック機構50Bの構成を例示した説明図である。第3実施形態の切開器具1Bは、第1実施形態の構成において、ロック機構50に代えてロック機構50Bを備える。ロック機構50Bは、スライド部材51に代えてスライド部材51Bを備える。スライド部材51Bは、スライド部材51Bを
図13に示す第2の位置にしたとき、一方(-Z軸方向)の端部512Bと、他方(+Z軸方向)の端部512Bとが共にコネクタ30から突出した状態となる。この点は、スライド部材51Bを第1の位置にしたときにおいても同様である。このように、ロック機構50Bの構成は種々の変更が可能であり、第1の位置と第2の位置とで、共に、端部512Bがコネクタ30から突出した状態となるスライド部材51Bを用いてもよい。以上のような第3実施形態の切開器具1Bによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0047】
<第4実施形態>
図14は、第4実施形態のシャフト10Cの構成を例示した説明図である。第4実施形態の切開器具1Cは、第1実施形態の構成において、シャフト10に代えてシャフト10Cを備える。シャフト10Cには、第1実施形態で説明したワイヤルーメン12Lのみが形成されており、デバイスルーメン11Lが形成されていない。このように、シャフト10Cの構成は種々の変更が可能であり、デバイスルーメン11Lを有さない構成であってもよく、2つ以上のデバイスルーメン11Lを有する構成であってもよい。以上のような第4実施形態の切開器具1Cによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、
図14に示す切開器具1Cでは、切開器具1Cを細径化できる。
【0048】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0049】
[変形例1]
上記第1~4実施形態では、切開器具1,1A~1Cの構成の一例を示した。しかし、切開器具1の構成は種々の変更が可能である。例えば、切開器具1のデバイスルーメン11Lは、ガイドワイヤを挿通させる目的の他に、生体管腔内に造影剤を供給する造影剤用ルーメンとして用いられてもよい。例えば、シャフト10、デバイスルーメン11L、ワイヤルーメン12L、及びワイヤ20の横断面形状は、偏平な楕円形状であってもよい。例えば、シャフト10の先端10dには、シャフト10の先端10dの位置をX線画像下で確認するためのマーカーが設けられてもよい。例えば、切開器具1は、開口部12oよりも先端側、及び/または、開口部12oよりも基端側において、生体管腔内を流れる体液の流通を阻害し、かつ、切開器具1の先端10dの位置決めをするためのバルーン部材を備えていてもよい。
【0050】
[変形例2]
上記第1~4実施形態では、ロック機構50,50A,50Bの構成の一例を示した。しかし、ロック機構50の構成は種々の変更が可能である。例えば、ロック機構50のスライド部材51は、コネクタ30に挿入された軸部41の延伸方向(軸線O、X軸方向)にスライド移動することで、第1の位置と第2の位置とを切り替えてもよい。例えば、ロック機構50のスライド部材51は、術者が手で押し込むことに代えて、内蔵された電動モータによって電気的にスライド移動されてもよい。この場合、スライド部材51が第1の位置であるか第2の位置であるかに関係なく、端部512がコネクタ30から突出しなくてもよい。
【0051】
[変形例3]
上記第1~4実施形態、及び上記変形例1,2の切開器具1,1A~1Cの構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、第2実施形態で説明したロック機構50Aと、第4実施形態で説明したシャフト10Cとを組み合わせて切開器具1を構成してもよい。また、第3実施形態で説明したロック機構50Bと、第4実施形態で説明したシャフト10Cとを組み合わせて切開器具1を構成してもよい。
【0052】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0053】
1,1A~1C…切開器具
10,10C…シャフト
11L…デバイスルーメン
12L…ワイヤルーメン
20…ワイヤ
30…コネクタ
31…細径部
32…テーパ部
33…太径部
35…分岐部
36…側面開口
40…ハンドル部
41…軸部
42…ハンドル本体部
43…第1指受け部
44…第2指受け部
50,50A,50B…ロック機構
51,51A,51B…スライド部材
51o…開口
52…突起部
61…固定部材
62…保持部材
100…乳頭部
101…開口部
111…肉厚部
351…インナーシャフト
511…内周部
512,512B…端部