(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】漏気箇所特定材及び漏気箇所特定方法、漏気箇所補修材及び漏気箇所補修方法、並びに漏気箇所補修装置
(51)【国際特許分類】
F16L 55/175 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
F16L55/175
(21)【出願番号】P 2020112793
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2020058426
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】森 康剛
(72)【発明者】
【氏名】窪田 宰明
(72)【発明者】
【氏名】阿部 哲也
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特許第6571851(JP,B1)
【文献】特開2017-089878(JP,A)
【文献】国際公開第2019/225283(WO,A1)
【文献】特開2019-095032(JP,A)
【文献】特開2016-038381(JP,A)
【文献】特開2011-179552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/175-55/18
C08F 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
漏気の疑いのある箇所に付与して漏気箇所を特定するのに用いられる漏気箇所特定材であって、
シェアレート0.1s
-1のときの25℃での粘度をA(Pa・s)とし、シェアレート10s
-1のときの25℃での粘度をB(Pa・s)とすると、次式、A/B≧21.0、を充たし、
硬化後の50℃における弾性率E'が10MPa以上であることを特徴とする漏気箇所特定材。
【請求項2】
シェアレート0.1s
-1のときの25℃での粘度Aが500Pa・s以上である、請求項1に記載の漏気箇所特定材。
【請求項3】
硬化型樹脂組成物を含む、請求項1から2のいずれかに記載の漏気箇所特定材。
【請求項4】
前記硬化型樹脂組成物が重合性化合物及び/又は重合開始剤を含有する、請求項3に記載の漏気箇所特定材。
【請求項5】
更に着色剤を含有する、請求項4に記載の漏気箇所特定材。
【請求項6】
波長420nm以下の光照射によって硬化する、請求項1から5のいずれかに記載の漏気箇所特定材。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の漏気箇所特定材を漏気箇所の補修に用いることを特徴とする漏気箇所補修材。
【請求項8】
漏気の疑いのある箇所に、請求項1から6のいずれかに記載の漏気箇所特定材による被覆膜を形成し、前記被覆膜において前記漏気により生じた孔の箇所を漏気箇所として特定する漏気箇所特定工程を含むことを特徴とする漏気箇所特定方法。
【請求項9】
請求項8に記載の漏気箇所特定方法により特定した漏気箇所が含まれる
前記被覆膜を硬化する硬化工程と、
請求項7に記載の漏気箇所補修材により硬化した前記漏気箇所を塞ぎ、前記漏気箇所補修材を硬化させる補修工程と、
を含むことを特徴とする漏気箇所補修方法。
【請求項10】
請求項8に記載の漏気箇所特定方法により特定した漏気箇所が含まれる
前記被覆膜の前記漏気箇所に管状部材を配した状態で前記被覆膜を硬化する工程と、
請求項7に記載の漏気箇所補修材を前記管状部材内に充填した後、漏気圧によって開孔した前記管状部材に開閉弁を開状態で接続し、該開閉弁を閉じる工程と、
を含むことを特徴とする漏気箇所補修方法。
【請求項11】
光源と、該光源の照射面に紫外線を透過する膜状部材又はテープ状部材とを有し、
前記膜状部材及び前記テープ状部材上に請求項7に記載の漏気箇所補修材を装着
することを特徴とする漏気箇所補修装置。
【請求項12】
前記膜状部材及び前記テープ状部材の表面が離型処理されている、請求項11に記載の漏気箇所補修装置。
【請求項13】
請求項11から12のいずれかに記載の漏気箇所補修装置を用いることを特徴とする漏気箇所補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏気箇所特定材及び漏気箇所特定方法、漏気箇所補修材及び漏気箇所補修方法、並びに漏気箇所補修装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の漏気箇所補修方法は、漏気箇所を特定する必要があり、気体漏れしていない状態で溶接やエポキシ樹脂からなる漏気箇所補修材を用いて補修を行っていた。一方、気体漏れしている状態ではエポキシ樹脂が硬化するまで樹脂塗布部を漏気圧より高い圧力をかけて押さえ付ける必要がある。
例えば、ガス封入機器やガスを流通する配管などの漏気箇所補修方法において、漏気箇所を特定した後、加圧具を用いて漏気箇所に光硬化性樹脂を塗布すると共に、押圧して漏気を一時的に止め、押圧したまま光硬化性樹脂を硬化させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載の方法では、漏気箇所を事前に特定する必要がある。また、長波長での光硬化の場合、硬化に時間がかかるため、硬化するまでの時間、加圧具で押圧し続ける必要があるため、押し込みが弱い箇所があると再度漏気したり、漏気の圧力が高いと補修できないという問題がある。
【0005】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、漏気の疑いのある箇所に付与するだけの簡便な操作によって漏気箇所を容易に特定することができる漏気箇所特定材及び漏気箇所特定方法、事前に漏気箇所を特定する必要がなく、漏気箇所からの漏気量が多くても簡単に短時間で補修することができる漏気箇所補修材及び漏気箇所補修方法、並びに漏気箇所補修装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 漏気の疑いのある箇所に付与して漏気箇所を特定するのに用いられる漏気箇所特定材であって、
シェアレート0.1s-1のときの25℃での粘度をA(Pa・s)とし、シェアレート10s-1のときの25℃での粘度をB(Pa・s)とすると、次式、A/B≧21.0、を充たし、
硬化後の50℃における弾性率E’が10MPa以上であることを特徴とする漏気箇所特定材である。
<2> シェアレート0.1s-1のときの25℃での粘度Aが500Pa・s以上である、前記<1>に記載の漏気箇所特定材である。
<3> 硬化型樹脂組成物を含む、前記<1>から<2>のいずれかに記載の漏気箇所特定材である。
<4> 前記硬化型樹脂組成物が重合性化合物及び/又は重合開始剤を含有する、前記<3>に記載の漏気箇所特定材である。
<5> 更に着色剤を含有する、前記<4>に記載の漏気箇所特定材である。
<6> 波長420nm以下の光照射によって硬化する、前記<1>から<5>のいずれかに記載の漏気箇所特定材である。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の漏気箇所特定材を漏気箇所の補修に用いることを特徴とする漏気箇所補修材である。
<8> 漏気の疑いのある箇所に、前記<1>から<6>のいずれかに記載の漏気箇所特定材による被覆膜を形成し、前記被覆膜において前記漏気により生じた孔の箇所を漏気箇所として特定する漏気箇所特定工程を含むことを特徴とする漏気箇所特定方法である。
<9> 前記<8>に記載の漏気箇所特定方法により特定した漏気箇所が含まれる被覆膜を硬化する硬化工程と、
前記<7>に記載の漏気箇所補修材により硬化した前記漏気箇所を塞ぎ、前記漏気箇所補修材を硬化させる補修工程と、
を含むことを特徴とする漏気箇所補修方法である。
<10> 前記<8>に記載の漏気箇所特定方法により特定した漏気箇所が含まれる被覆膜の前記漏気箇所に管状部材を配した状態で前記被覆膜を硬化する工程と、
前記<7>に記載の漏気箇所補修材を前記管状部材内に充填した後、漏気圧によって開孔した前記管状部材に開閉弁を開状態で接続し、該開閉弁を閉じる工程と、
を含むことを特徴とする漏気箇所補修方法である。
<11> 光源と、該光源の照射面に紫外線を透過する膜状部材又はテープ状部材とを有し、
前記膜状部材及び前記テープ状部材上に前記<7>に記載の漏気箇所補修材を装着可能であることを特徴とする漏気箇所補修装置である。
<12> 前記膜状部材及び前記テープ状部材の表面が離型処理されている、前記<11>に記載の漏気箇所補修装置である。
<13> 前記<11>から<12>のいずれかに記載の漏気箇所補修装置を用いることを特徴とする漏気箇所補修方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、漏気の疑いのある箇所に付与するだけの簡便な操作によって漏気箇所を容易に特定することができる漏気箇所特定材及び漏気箇所特定方法、事前に漏気箇所を特定する必要がなく、漏気箇所からの漏気量が多くても簡単に短時間で補修することができる漏気箇所補修材及び漏気箇所補修方法、並びに漏気箇所補修装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、漏気補修対象であるガス配管の一例を示す写真である。
【
図2】
図2は、ガス配管の閉止フランジ部の頂面の一例を示す写真である。
【
図3】
図3は、ガス配管の閉止フランジ部の底面の一例を示す写真である。
【
図4】
図4は、本発明の漏気箇所補修装置の光照射面側の状態の一例を示す写真である。
【
図5】
図5は、本発明の漏気箇所補修装置の光源側の状態の一例を示す写真である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態の漏気箇所補修方法の一例を示し、漏気箇所の補修前の状態を示す写真である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の漏気箇所補修方法の一例を示し、漏気の疑いのある箇所に漏気箇所特定材を付与した状態を示す写真である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態の漏気箇所補修方法の一例を示し、漏気により被覆膜に孔が生じた状態を示す写真である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態の漏気箇所補修方法の一例を示し、漏気箇所が含まれる被覆膜を硬化させている状態を示す写真である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態の漏気箇所補修方法の一例を示し、硬化した漏気箇所の状態を示す写真である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態の漏気箇所補修方法の一例を示し、漏気箇所を漏気箇所補修材で塞ぎ、漏気箇所補修材を硬化させる状態を示す写真である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態の漏気箇所補修方法の一例を示し、漏気箇所の補修が終了した状態を示す写真である。
【
図13】
図13は、第2の実施形態の漏気箇所特定方法の一例を示し、漏気箇所を示す写真である。
【
図14】
図14は、第2の実施形態の漏気箇所特定方法の一例を示し、漏気箇所に漏気箇所特定材を付与した状態を示す写真である。
【
図15】
図15は、第2の実施形態の漏気箇所特定方法の一例を示し、漏気箇所にチューブを設けた状態を示す写真である。
【
図16】
図16は、第2の実施形態の漏気箇所特定方法に用いられる開閉弁の一例を示す写真である。
【
図17】
図17は、第2の実施形態の漏気箇所補修方法の一例を示し、漏気箇所を示す写真である。
【
図18】
図18は、第2の実施形態の漏気箇所補修方法の一例を示し、漏気箇所にチューブを設けた状態を示す写真である。
【
図19】
図19は、第2の実施形態の漏気箇所補修方法の一例を示し、チューブに開閉弁を接続した状態を示す写真である。
【
図20】
図20は、第2の実施形態の漏気箇所補修方法の一例を示し、開閉弁を閉にした状態を示す写真である。
【
図21】
図21は、第2の実施形態の漏気箇所補修方法の一例を示し、漏気箇所の補修が完了した状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(漏気箇所特定材)
本発明の漏気箇所特定材は、漏気の疑いのある箇所に付与して漏気箇所を特定するのに用いられる漏気箇所特定材であって、シェアレート0.1s-1のときの25℃での粘度をA(Pa・s)とし、シェアレート10s-1のときの25℃での粘度をB(Pa・s)とすると、次式、A/B≧21.0、を充たし、硬化後の50℃における弾性率E’が10MPa以上である。
【0010】
本発明の漏気箇所特定材によると、漏気の疑いのある箇所に付与するだけの簡便な操作によって漏気箇所を容易に特定することができる。
【0011】
漏気の疑いのある箇所とは、漏気箇所の特定又は補修を行う対象物における漏気箇所を含む範囲を意味し、漏気が生じている可能性のある箇所を含む範囲である。
漏気箇所特定材の付与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、各種塗布方法などが挙げられる。
前記塗布方法としては、例えば、刷毛塗り、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、ワイヤーバー塗布法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、インクジェット法などが挙げられる。
【0012】
シェアレート0.1s-1のときの25℃での粘度をA(Pa・s)とし、シェアレート10s-1のときの25℃での粘度をB(Pa・s)とすると、次式、チキソ比(A/B)≧21.0、を充たし、次式、チキソ比(A/B)≧80、を充たすことが好ましい。
シェアレート0.1s-1のときの25℃での粘度Aは500Pa・s以上が好ましく、1000Pa・s以上がより好ましい。
【0013】
チキソ比(A/B)が21.0以上の漏気箇所特定材を用いることにより、漏気の疑いのある箇所に漏気箇所特定材を付与した際に、漏気箇所の漏気圧によって漏気箇所特定材が飛ばされることなく、ある程度の厚みを維持した状態で漏気箇所の被覆膜に孔が生じるため、漏気箇所を簡便かつ確実に特定することができる。
シェアレート0.1s-1のときの25℃での粘度Aが500Pa・s未満であると、漏気箇所における漏気圧によって、付与した漏気箇所特定材が飛ばされるおそれがあるため、漏気箇所の補修が困難となる。
また、漏気箇所特定材のチキソ比(A/B)が21.0未満であり、シェアレート0.1s-1のときの25℃での粘度Aが500Pa・s以上であると、被覆膜に孔が生じず、塗布界面に空洞が生じてしまう。
漏気箇所特定材のチキソ比(A/B)が21.0以上であり、シェアレート0.1s-1のときの25℃での粘度Aが500Pa・s以上であると、漏気箇所の特定を容易に行うことができると共に、漏気箇所の補修を同じ漏気箇所特定材を用いて行うことが可能となる。
ここで、漏気箇所特定材の粘度は、例えば、TA Instrument社製AR-G2を用いて測定することができる。
直径20mm、角度2°のコーンプレートを用い、温度25℃の環境下で、シェアレート(せん断速度)0.01s-1~100s-1の範囲で測定を行う。なお、粘度は、シェアレート0.1s-1の値で評価を行う。また、シェアレート0.1s-1のときの25℃での粘度Aと、シェアレート10s-1のときの25℃での粘度Bとの比(A/B)をチキソ比とする。
【0014】
硬化後の50℃における弾性率E’は10MPa以上であり、25MPa以上が好ましい。
硬化後の50℃における弾性率E’が10MPa以上である漏気箇所特定材を用いると、被覆膜に漏気の圧力で容易に孔が生じるので、漏気箇所の特定が容易に行えると共に、漏気シール性試験において1分間以上漏気が止まっていることが確認できる。また、硬化後の50℃における弾性率E’が10MPa未満である漏気箇所特定材を用いると、漏気シール性テストにおいて、1分間未満で漏気(直ちに漏気)してしまった。なお、硬化後の50℃における弾性率E’が25MPa以上である漏気箇所特定材を用いると、漏気シール性試験において1時間以上漏気が止まっていることが確認できた。
ここで、硬化後の50℃における弾性率E’は、サンプルとして厚みが1mmになるように漏気箇所特定材を塗布し、JAXMAN社製UVライトU1を用いて硬化させ、TA Instrument社製RSAIIIを用いて、引張モード、周波数10Hz、昇温速度10℃/min.、25℃~100℃の範囲で温度分散測定を行い、硬化後の50℃の弾性率E’の値を求める。
【0015】
本発明においては、波長420nm以下の光照射によって硬化する漏気箇所特定材を用いることが好ましい。
波長420nm以下の光で硬化する漏気箇所特定材を用いることによって、長波長の光で硬化する漏気箇所特定材を用いる場合と比べて、短時間で漏気箇所特定材を硬化させることができ、作業時間を大幅に短縮することができる。
【0016】
本発明の漏気箇所特定材は、硬化型樹脂組成物を含む。
硬化型樹脂組成物は、重合性化合物及び/又は重合開始剤を含有し、増感剤、光酸発生剤、着色剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
硬化型樹脂組成物は、光硬化、熱硬化、2液混合型(例えば、2液混合タイプのアクリル樹脂やエポキシ樹脂等)、湿気硬化、又はこれらの併用などの各種硬化方法によって硬化させることができる。これらの中でも、硬化速度の観点から、光硬化が好ましい。
【0017】
<重合性化合物>
重合性化合物は、加熱、活性エネルギー線(紫外線、電子線等)により重合反応を生起し、硬化する化合物であり、ラジカル重合性基含有化合物、カチオン重合性基含有化合物などが挙げられる。
【0018】
<<ラジカル重合性基含有化合物>>
前記ラジカル重合性基含有化合物(ラジカル重合成分)としては、ラジカル重合性基を有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ラジカル重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基が挙げられる。
ここで、(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を意味する。
【0019】
前記ラジカル重合性基含有化合物が有するラジカル重合性基は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
【0020】
前記ラジカル重合性基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸に水酸基を有する化合物を反応させることにより得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させることにより得られるエポキシ(メタ)アクリレート、イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ここで、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0021】
1つのラジカル重合性基を有する前記ラジカル重合性基含有化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
2つのラジカル重合性基を有する前記ラジカル重合性基含有化合物としては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
3つ以上のラジカル重合性基を有する前記ラジカル重合性基含有化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
前記ラジカル重合性基含有化合物は、所謂オリゴマーであってもよい。
前記オリゴマーとしては、例えば、(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。
前記(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリイソプレン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーなどが挙げられる。更に、以下のアクリル重合体にラジカル重合性基を付与させたものであってもよい。
アクリル重合体:ブチルアクリレート、2-ヘキシルアクリレート、及びアクリル酸の共重合体や、シクロヘキシルアクリレート、メタクリル酸の共重合体
【0025】
前記オリゴマーの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000~100,000が好ましく、2,000~80,000がより好ましく、5,000~50,000が特に好ましい。前記重量平均分子量は、例えば、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定することができる。
【0026】
<<カチオン重合性基含有化合物>>
前記カチオン重合性基含有化合物(カチオン重合成分)としては、ブレンステッド酸由来又はルイス酸の作用により生成したプロトン又は炭素カチオンと反応する官能基(カチオン重合性基)を有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
カチオン重合性基含有化合物を含む硬化型樹脂組成物は、一液型でも二液型でもよい。
【0027】
前記カチオン重合性基としては、例えば、アルコキシシリル基、エポキシ基、ビニルエーテル基、オキセタニル基などが挙げられる。これらの中でも、アルコキシシリル基、及びエポキシ基が好ましい。
【0028】
前記アルコキシシリル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(1)で表される基が好ましい。
【0029】
【化1】
ただし、前記一般式(1)中、R
1は、炭素数1~3のアルキル基、及び炭素数1~3のアルコキシ基のいずれかを表す。R
2、及びR
3は、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基を表す。
【0030】
前記アルコキシシリル基としては、カチオン重合性に優れる点で、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基が好ましい。
【0031】
前記エポキシ基は、脂環式エポキシ基であってもよいし、非脂環式エポキシ基であってもよい。前記エポキシ基としては、例えば、下記一般式(2)、下記一般式(3)で表される基などが挙げられる。
【化2】
ただし、前記一般式(2)中、R
4は、水素原子、及びメチル基のいずれかを表す。
【0032】
前記カチオン重合性基含有化合物は、前記硬化型樹脂組成物中の原材料の相溶性を良好にし、かつ前記硬化型樹脂組成物の硬化物の相分離を防止できる点で、更にラジカル重合性基を有することが好ましい。
なお、本発明において、ラジカル重合性基を有する前記カチオン重合性基含有化合物は、前記ラジカル重合性基含有化合物に属するのではなく、前記カチオン重合性基含有化合物に属するものとする。
【0033】
前記ラジカル重合性基を有する前記カチオン重合性基含有化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(4)で表される化合物などが挙げられる。
【化3】
ただし、前記一般式(4)中、Rは、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、Xは、カチオン重合性基を表し、Yは、2価の連結基を表す。
【0034】
前記Xとしては、例えば、前記一般式(1)で表される基、前記一般式(2)で表される基、前記一般式(3)で表される基などが挙げられる。
【0035】
前記Yとしては、例えば、アルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基などが挙げられる。前記アルキレン基としては、例えば、C1~6アルキレン基などが挙げられる。前記アルキレンオキシアルキレン基としては、例えば、C1~6アルキレンオキシC1~6アルキレン基などが挙げられる。ここで、C1~6は、炭素数が1~6を表す。
【0036】
上記一般式(4)で表される化合物としてのラジカル重合性基を有する前記カチオン重合性基含有化合物としては、例えば、3,4-エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルメタリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
<重合開始剤>
重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。これらの中でも、光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、光(特に紫外線)のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物の重合を開始させることが可能なものであればよく、ラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ラジカル重合開始剤が好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
<増感剤>
硬化型樹脂組成物は、光(特に紫外線)を照射する際に、光(特に紫外線)が吸収又は隠蔽されることによる硬化速度の低下を防止する目的で、増感剤を使用することもできる。
増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族基を有するアミン、ピペリジン等の環状アミン系化合物;o-トリルチオ尿素等の尿素系化合物;ナトリウムジエチルチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩等のイオウ化合物;N,N’-ジ置換-p-アミノベンゾニトリル等のニトリル化合物;トリ-n-ブチルホスフィン、ナトリウムジエチルジチオホスフィード等のリン化合物;ミヒラーケトン、N-ニトロソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ-1,3-オキサジン化合物、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドとジアミンとの縮合物等の窒素化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0039】
<光酸発生剤>
硬化型樹脂組成物は、光を吸収して酸を発生する化合物である光酸発生剤を含有することが好ましい。
光酸発生剤としては、オニウム塩が好ましい。
前記オニウム塩としては、例えば、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、安定性の点から、ヨードニウム塩、及びスルホニウム塩が好ましい。
【0040】
<着色剤>
硬化型樹脂組成物は、着色剤を含有することによって被覆膜を着色することができ、補修箇所の発見が容易となるので好ましい。
着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、顔料、染料を使用可能であり、顔料が好ましい。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、顔料として、混晶を使用してもよい。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、タルク、シリカ、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、又は銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
更に、カラー用としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
-その他の成分-
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、粘度調整剤、接着性付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、紫外線吸収剤、可塑剤、防腐剤、分散剤などが挙げられる。
【0042】
本発明の漏気箇所特定材によると、漏気の疑いのある箇所に付与する簡便な操作だけで漏気箇所を容易に特定することができる。
本発明の漏気箇所特定材を用いた漏気箇所特定方法としては、以下の本発明の漏気箇所特定方法により好適に行うことができる。
【0043】
(漏気箇所特定方法)
本発明の漏気箇所特定方法は、漏気箇所特定工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0044】
<漏気箇所特定工程>
漏気箇所特定工程は、漏気の疑いのある箇所に、本発明の漏気箇所特定材による被覆膜を形成し、前記被覆膜において前記漏気により生じた孔の箇所を漏気箇所として特定する工程である。
漏気箇所特定材を硬化させる前の状態であれば、漏気箇所特定材は液状であり、漏気箇所特定材を付与して形成した被覆膜に漏気の圧力によって孔が生じるので、漏気箇所の特定が容易に可能である。この時、生じた孔及びその周辺の被覆膜を補修し易い孔のサイズや形状に適宜調整してもよい。
なお、漏気量が少ない漏気箇所は、本発明の漏気箇所特定材を付与しても漏気によって孔が生じないため、漏気箇所を特定することができないが、この場合には、付与した漏気箇所特定材からなる被覆膜をそのまま硬化させることで、漏気箇所の補修を行うことができる。
【0045】
被覆膜の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、スリットコート法、ディップコート法、ブレードコート法、バーコート法、スプレー法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、平板印刷法、ディスペンス法、インクジェット法などが挙げられる。
被覆膜の平均厚みについては、漏気箇所における漏気の圧力に応じて適宜選択することができるが、50μm以上5,000μm以下が好ましい。
【0046】
<その他の工程>
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、洗浄工程、乾燥工程などが挙げられる。
洗浄工程において漏気の疑いのある箇所を洗浄した後、漏気箇所特定工程を行うことが好ましい。
【0047】
(漏気箇所補修材)
本発明の漏気箇所補修材は、本発明の漏気箇所特定材を漏気箇所の補修に用いるものである。本発明の漏気箇所補修材としては、本発明の漏気箇所特定材と同じものが用いられる。
【0048】
本発明の漏気箇所補修材によると、事前に漏気箇所を特定する必要が無く、作業方法が簡便であり、作業時間を大幅に短縮することができる。また、漏気を集めるための空洞が必要ないため、剥離しにくく、再度漏気しにくいという利点がある。
本発明の漏気箇所特定材によって、特定された漏気箇所に対し、本発明の漏気箇所補修材を用い補修を行うことによって、漏気量が多くても簡便な方法により、短時間で補修を行うことができる。
本発明の漏気箇所補修材を用いた漏気箇所補修方法としては、以下の本発明の漏気箇所補修方法により好適に行うことができる。
【0049】
(漏気箇所補修方法)
本発明の漏気箇所補修方法は、第1の形態では、硬化工程と、補修工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0050】
<硬化工程>
硬化工程は、本発明の漏気箇所特定方法により特定した漏気箇所が含まれる被覆膜を硬化する工程である。
硬化工程において、本発明の漏気箇所特定方法により特定した漏気箇所には、被覆膜に漏気の圧力によって孔が生じているので、この孔を含む被覆膜を硬化させ、被覆膜に生じた孔を固定する。
【0051】
硬化手段としては、加熱硬化手段、又は光硬化手段が挙げられる。
加熱硬化手段としては、補修対象物を加熱する手段が含まれ、例えば、赤外線ヒーター、温風ヒーター、加熱ローラなどが挙げられる。加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以上200℃以下が好ましい。
【0052】
光硬化手段としては、例えば、紫外線(UV)照射ランプ、電子線照射装置などが挙げられる。前記光硬化手段には、オゾンを除去する機構が具備されることが好ましい。
前記紫外線(UV)照射ランプの種類としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドなどが挙げられる。
前記超高圧水銀灯は点光源であるが、光学系と組み合わせて光利用効率を高くしたDeepUVタイプは、短波長領域の照射が可能である。
前記メタルハライドは、波長領域が広いため着色物に有効的であり、Pb、Sn、Fe等の金属のハロゲン化物が用いられ、光重合開始剤の吸収スペクトルに合わせて選択できる。硬化に用いられるランプとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FusionSystem社製のHランプ、Dランプ、又はVランプ等のような市販されているものを使用することができる。
【0053】
前記硬化工程において被覆膜に照射する光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、紫外線が好ましく、近紫外線がより好ましく、波長420nm以下の光が特に好ましい。
照射時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0054】
<補修工程>
補修工程は、本発明の漏気箇所補修材により硬化した前記漏気箇所を塞ぎ、前記漏気箇所補修材を硬化させる工程である。
前記硬化工程において、漏気箇所を特定しないまま硬化させると、漏気箇所補修材の内側に空洞や気道ができた状態で補修することになり、漏気箇所の補修が困難になったり、補修の信頼性が低下してしまう。また、再度漏気した場合には、最初の漏気箇所と違う箇所から漏気する可能性が高くなり、漏気箇所を補修してもまた他の箇所から再度漏気する可能性が高くなる。
本発明においては、前記硬化工程において、漏気箇所を特定した被覆膜の孔を漏気箇所補修材で塞ぎ、この塞いだ漏気箇所補修材を硬化させて、補修する。
漏気箇所補修材で塞ぐ方法としては、例えば、漏気箇所補修材の埋設、漏気箇所補修材の被覆、漏気箇所補修材の埋設及び被覆などが挙げられる。
前記補修工程における漏気箇所補修材の硬化における、照射する光、硬化手段及び硬化条件などについては、上記硬化工程と同様である。
【0055】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、洗浄工程、乾燥工程などが挙げられる。
洗浄工程において漏気の疑いのある箇所を洗浄した後、上記硬化工程を行うことが好ましい。
【0056】
本発明の漏気箇所補修方法は、第2の形態では、本発明の漏気箇所特定方法により特定した漏気箇所が含まれる被覆膜の前記漏気箇所に管状部材を配した状態で前記被覆膜を硬化する工程と、本発明の漏気箇所補修材を前記管状部材内に充填した後、漏気圧によって開孔した前記管状部材に開状態の開閉弁を接続し、該開閉弁を閉じる工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0057】
(漏気箇所補修装置)
本発明の漏気箇所補修装置は、光源と、該光源の照射面に紫外線を透過する膜状部材又はテープ状部材とを有し、前記膜状部材又はテープ状部材上に、本発明の漏気箇所補修材を装着することができる。
本発明の漏気箇所補修装置によると、膜状部材の表面に装着した漏気箇所補修材で被覆膜の孔(漏気箇所)を塞ぐと共に、紫外線を照射することで漏気箇所補修材を硬化させるので、漏気箇所からの漏気量が多くても簡単に短時間で補修することができる。
【0058】
<光源>
光源としては、波長420nm以下の光を照射できる紫外線(UV)照射ランプなどが挙げられる。
【0059】
<膜状部材>
膜状部材としては、波長420nm以下の光を透過することができれば、その平面形状、大きさ、材質、及び構造については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
膜状部材の平面形状としては、例えば、円形、楕円形、長方形、正方形、菱形などが挙げられる。
膜状部材の材質としては、波長420nm以下の光を透過することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紫外線透過性樹脂などが挙げられる。
紫外線透過性樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン等のビニール系樹脂、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル・ブタジエン共重合体等のポリスチレン系樹脂、4フッ化・6フッ化プロピレン(FEP)、4フッ化エチレンパーフロロアルコキシエチレン共重合体(PFA)等のフッ素系樹脂、エチレン・酢酸ビニール共重合体等のポリエチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリ4-メチルデンテン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、セルロース(セロファン)、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PESU)、アラミド、ポリイミド、トリアセテートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0060】
前記膜状部材の表面は離型処理されていることが好ましい。これにより、膜状部材の表面に装着した本発明の漏気箇所補修材を漏気箇所に移し、被覆膜の孔(漏気箇所)を塞ぐことができる。
離型処理としては、例えば、膜状部材の表面に微細な凹凸を施す処理、シリコーンコーティング処理、フッ素コーティング処理などが挙げられる。
【0061】
<テープ状部材>
光源側の面に粘着層を有し、光照射側(反対側)の面が離型処理されているテープ状部材を用いることが、光源の照射面に固定できる点から好ましい。前記離型処理は、上記膜状部材と同様の処理を行うことができる。
テープ状部材の材質としては、波長420nm以下の光を透過することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、上記膜状部材と同様な紫外線透過性樹脂を用いることができる。
【0062】
ここで、
図1は、漏気補修対象であるガス配管1の一例を示す写真である。
図2は、ガス配管の閉止フランジ部の頂面1aの一例を示す写真である。
図3は、ガス配管の閉止フランジ部の底面1bの一例を示す写真である。
図3に示すガス配管の閉止フランジ部の底面1bには直径1mmの漏気箇所2が設けられている。
【0063】
図4及び
図5は、本発明の漏気箇所補修装置の一例を示す写真である。
図4及び
図5に示す漏気箇所補修装置20は、ハンディタイプであり、21は膜状部材であり、膜状部材21の表面はシリコーンコーティングにより離型処理が施されている。補修時には膜状部材21の表面に本発明の漏気箇所補修材を所定量装着して、被覆膜の孔(漏気箇所)に押し付けて漏気箇所の補修に用いられる。
22は押し込みスィッチであり、指で押し込みスィッチを押し込むことによって、光源(図示を省略)から膜状部材21を介して紫外線が照射される。
【0064】
本発明の漏気箇所補修装置によると、膜状部材の表面に装着した漏気箇所補修材で被覆膜の孔(漏気箇所)を塞ぐと共に、光を照射することで漏気箇所補修材を硬化させることにより、漏気箇所の補修を行うので、従来の加圧具とは別体の紫外線照射装置を用いる方法と比べて、漏気箇所からの漏気量が多くても簡単に短時間で補修することができる。
【0065】
ここで、本発明の漏気箇所特定方法及び漏気補修方法の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0066】
<第1の実施形態>
図6は、第1の実施形態の漏気箇所補修方法の一例を示し、漏気箇所の補修前の状態を示す。補修前の底面1bに直径1mmの漏気箇所2が設けられた閉止フランジ部を有するガス配管1を示す写真である。
次に、
図7は、漏気の疑いのある箇所に漏気箇所特定材を付与した状態を示し、ガス配管の閉止フランジ部の底面1bの漏気箇所2及びその周辺に漏気箇所特定材を塗布し、被覆膜3を形成した状態を示す写真である。なお、漏気箇所特定材は白色の着色剤が含有されており、被覆膜3は白色である。
次に、
図8は、漏気により被覆膜に孔が生じた状態を示し、漏気箇所からの漏気の圧力により、被覆膜3に孔4が生じた状態を示す写真である(漏気箇所特定工程)。孔4は漏気箇所に該当する。被覆膜3が白色であるため、孔4の発見が容易に行える。
次に、
図9は、漏気箇所が含まれる被覆膜を硬化させている状態を示し、孔4が生じた被覆膜3に、本発明の漏気箇所補修装置20を用いて紫外線を照射して硬化させている状態を示す写真である。これにより、特定された漏気箇所である孔4及び孔が生じた被覆膜3が硬化し、孔が固定される(硬化工程)。
次に、
図10は、硬化した漏気箇所の状態を示し、硬化した孔4aを有する硬化した被覆膜3aを示す写真である。
次に、
図11は、漏気箇所を漏気箇所補修材で塞ぎ、漏気箇所補修材を硬化させる状態を示し、硬化した孔4aを漏気箇所補修材で塞ぐと共に、本発明の漏気箇所補修装置20を用いて紫外線を照射して硬化させている状態を示す写真である(補修工程)。
最後に、
図12は、漏気箇所の補修が終了した状態を示し、孔が塞がれ漏気箇所の補修が終了した状態を示す写真である。
【0067】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、補修箇所に本発明の漏気箇所特定材を付与し被覆膜を形成し、前記被覆膜の補修箇所に管状部材を設置し、前記被覆膜に紫外線照射することで硬化させた。その後、前記管状部材の中に本発明の漏気箇所補修材を充填し、漏気圧によって管状部材の中に孔(ホール)を形成した後、管状部材に開閉弁を開状態で接続し、開閉弁を閉じることによって、漏気箇所を補修する方法である。
【0068】
―漏気箇所特定方法-
以下のA、B2つの漏気箇所特定方法がある。
方法Aとしては、
図13に示すように、漏気箇所2に本発明の漏気箇所特定材3を塗布すると(
図14参照)、漏気圧によって漏気箇所特定材3からなる被覆膜に孔が開くので、この孔に対して、管状部材としてチューブ5の内径の中心を目安としてチューブ5を押し当てる(
図15参照)。チューブ5を押し当てた後に隙間があれば、必要に応じて漏気箇所特定材3を追加し成形する。その後、被覆膜に紫外線を照射して硬化し、チューブを固定する。以上により、漏気箇所が特定される。管状部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタンチューブなどが挙げられる。本発明の漏気箇所特定材3は、チキソ比(A/B)が21.0以上である。
なお、管状部材を用いずに
図16に示すような開閉弁6を漏気箇所2に直接漏気箇所特定材3で接続することもできる。開閉弁6としてはエアバルブであれば形状及び材質については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボールバルブ、ハンドバルブ、ソレノイドバルブ、チューブバルブなどが挙げられる。
漏気箇所特定材3の被覆膜の孔(漏気箇所)がチューブ5の内径又は外径よりも大きい場合であっても、チューブを押し当てた後の隙間に漏気箇所特定材3を追加して成形し、チューブのみから漏気するようにしてから、被覆膜を硬化してチューブを固定し、漏気箇所を特定することもできる。
【0069】
方法Bとしては、チューブ5の開口部に漏気箇所特定材3を塗布するとともにチューブの内側に漏気箇所特定材3を充填して漏気箇所2に押し当てると漏気圧によって充填した漏気箇所特定材3に孔が開くので、そのままチューブ5の内側と外側を硬化させることによって漏気箇所2に固定してもよい。なお、方法Bでは方法Aと併用してもよい。
【0070】
-漏気補修方法-
(1)
図17に示すように、溶接箇所に直径10mmの孔(漏気箇所2)が開いており、コンプレッサーによって0.8MPaの内圧がかかっており、漏気箇所2からガスが噴出している状態である。
(2)
図18に示すように、漏気箇所2に本発明の漏気箇所補修材7を塗布し、被覆膜を形成し、前記被覆膜の補修箇所に管状部材としてポリウレタンチューブ5(外径6mm、内径4mm、日本ピスコ株式会社製)を配置し、紫外線を照射して被覆膜を硬化する。なお、本発明の漏気箇所補修材7は、チキソ比(A/B)が21.0以上である。
(3)
図19に示すように、開閉弁6(日本ピスコ株式会社製、閉止弁ハンドバルブユニオンストレート)をチューブ5に開状態で接続する。
(4)
図20に示すように、開閉弁6を閉にして漏気を止める(
図21参照)。以上により、漏気箇所の補修が完了する。
【0071】
<用途>
本発明の漏気箇所特定材は本発明の漏気箇所特定方法に用いることによって、漏気の疑いのある箇所に付与するだけの簡便な操作によって漏気箇所を容易に特定することができる。
本発明の漏気箇所補修材は本発明の漏気箇所補修方法に用いることによって、事前に漏気箇所を特定する必要がなく、漏気箇所からの漏気量が多くても簡単に短時間で補修することができるので、例えば、ガスの配管、ガス封入機器、ガス絶縁機器、光ケーブル等の通信ケーブルの補修などに好適に使用することができる。
【実施例】
【0072】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0073】
(実施例1~15及び比較例1~5)
<漏気箇所特定材の作製>
表1~表3に示す組成及び含有量の漏気箇所特定材を調製した。具体的には、表1~表3に示すバインダー成分及び添加剤を混合した後、固形分が溶解するまで撹拌した。なお、表1~表3中の含有量の単位は質量部である。
【0074】
次に、得られた各漏気箇所特定材について、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表1~表3に示した。
【0075】
<粘度の測定>
各漏気箇所特定材について、TA Instrument社製AR-G2を用いて粘度を測定した。具体的には、直径20mm、角度2°のコーンプレートを用い、温度25℃の環境下で、シェアレート(せん断速度)0.01s-1~100s-1の範囲で粘度の測定を行った。なお、粘度は、シェアレート0.1s-1の値で評価を行った。また、シェアレート0.1s-1のときの25℃での粘度Aと、シェアレート10s-1のときの25℃での粘度Bとの比(A/B)をチキソ比とした。
【0076】
<弾性率の測定>
平均厚みが1mmになるように、離型処理したポリエステルフィルム上に各漏気箇所特定材をバーコーターにより塗布し、JAXMAN社製UVライトU1を用いて硬化させ、TA Instrument社製RSAIIIを用いて、引張モード、周波数10Hz、昇温速度10℃/min.、25℃~100℃の範囲で温度分散測定を行い、硬化後の50℃における弾性率E’の値を求めた。
【0077】
<被覆膜への孔形成性>
図3に示すガス配管の閉止フランジ部の底面1bに設けた直径1mmの漏気箇所に各漏気箇所特定材を厚みが1mmになるように刷毛で塗布することによって被覆膜を形成し、被覆膜への孔の開き具合から、以下の基準により被覆膜への孔形成性を評価した。
[評価基準]
〇:被覆膜の厚みが0.2mm以上に保持されて漏気箇所に孔が開いた状態
×:漏気箇所に孔が開かず、被覆膜の塗布界面から漏気が逃げる状態もしくは被覆膜の厚みが0.2mm未満しか保持されない状態
【0078】
<漏気シール性>
図3に示すガス配管の閉止フランジ部の底面1bに設けた直径1mmの漏気箇所を有するガス配管に0.1MPaの圧力がかかるように空気による圧力をかけた状態で、閉止フランジ部の漏気箇所に各漏気箇所特定材を厚みが1mmになるように刷毛により塗布することによって被覆膜を形成し、漏気の圧力によって形成された孔(漏気箇所)を含む被覆膜に紫外線照射することで硬化させ、硬化した漏気箇所を漏気箇所補修材で塞ぎ、漏気箇所補修材に紫外線照射することで硬化させ、漏気箇所の補修を行った。その後、漏気箇所の漏気状態を下記の基準で漏気シール性を評価した。なお、△以上が実施可能なレベルである。
[評価基準]
〇:1時間以上漏気していない
△:1分間以上1時間未満で漏気した
×:1分間未満で漏気した(直ちに漏気した)
【0079】
<開閉弁を用いた漏気シール性>
図17~
図21に示すようにして、補修箇所に各漏気箇所特定材を厚みが1mmになるように刷毛により塗布することによって被覆膜を形成した。前記被覆膜の漏気箇所にポリウレタンチューブ5(外径6mm、内径4mm、日本ピスコ株式会社製)を配し、前記被覆膜に紫外線照射することで硬化させた。その後、前記チューブの中に各漏気箇所補修材を充填し、漏気圧によって管状部材の中に孔(ホール)を形成した後、前記チューブに開閉弁6(日本ピスコ株式会社製、閉止弁ハンドバルブユニオンストレート)を開状態で接続し、開閉弁を閉じることによって、漏気箇所の補修を行った。その後、漏気箇所の漏気状態を下記の基準で評価した。なお、△以上が実施可能なレベルである。
[評価基準]
〇:1時間以上漏気していない
△:1分間以上1時間未満で漏気した
×:1分間未満で漏気した(直ちに漏気した)
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
表1~表3に示す各成分の詳細な内容については、以下のとおりである。
【0084】
<重合性化合物>
・IBXA:イソボニルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
・ISTA:イソステアリルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
・4HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
・HDDA:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
・M100:3,4-エポキシシクロへキシルメチルメタクリレート(株式会社ダイセル製)
【0085】
<重合開始剤>
・IRG1173:光ラジカル発生剤(IGM Resins B.V.社製)
・IRG819:光ラジカル発生剤(IGM Resins B.V.社製)
【0086】
<光酸発生剤>
・PI2074:光酸発生剤(ローディジャパン社製)
【0087】
<増感剤>
・DETX-S:増感剤(日本化薬株式会社製)
【0088】
<添加剤>
・P4:タルク(日本タルク株式会社製)
・PP5WJ:ポリプロピレン(株式会社セイシン企業製)
・AS200:ナノシリカ(日本アエロジル株式会社製)
・GS-64(LV):シリカ(株式会社龍森製)
・セプトン4033:SEEPS(水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー、株式会社クラレ製)
【符号の説明】
【0089】
1 ガス配管
1a ガス配管の閉止フランジ部の頂面
1b ガス配管の閉止フランジ部の底面
2 漏気箇所
3 漏気箇所特定材
4 被覆膜に生じた孔
5 管状部材(チューブ)
6 開閉弁
7 漏気箇所補修材
20 漏気箇所補修装置