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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】壁面構造体
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
E04B2/74 561G
E04B2/74 561H
E04B2/74 561A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020123165
(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公開番号】P2022019369
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】鹿釜 稔
(72)【発明者】
【氏名】小島 安雄
(72)【発明者】
【氏名】金田 友恵
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏行
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 浩気
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-213821(JP,A)
【文献】特開平10-231671(JP,A)
【文献】特開平6-167171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/72 - 2/82
E06B 3/32
E06B 9/01
E06B 9/04
E06B 9/06
E06B 9/24
E05D 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部を介して建築物の躯体に回転可能に固定される壁面材を有し、
前記壁面材の少なくとも一部は、前記建築物の窓開口部位置に取り付けられ、
前記壁面材の少なくとも一部は、前記窓開口部位置に壁面開口部を有し、
前記壁面開口部は、前記壁面材の周縁に沿って配置される枠体又は前記壁面材に形成される枠状の部分の内側に形成される、壁面構造体。
【請求項2】
複数枚の前記壁面材を有するとともに、前記複数枚の壁面材同士は連結部において互いに回転可能に連結される、請求項に記載の壁面構造体。
【請求項3】
前記複数枚の壁面材のうちの1枚は、一方の面が前記建築物の壁面に固定される、請求項に記載の壁面構造体。
【請求項4】
前記壁面材は、前記固定部または前記連結部における回転角度を固定可能である、請求項2又は3に記載の壁面構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、壁面構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の部屋の広さや間取りを容易に変更できる壁として、住宅では間仕切りドア、オフィスではパーテーション等の移動式の壁面材が使用されている。
【0003】
従来型の移動式の壁面構造体は建築物の天井にレールが埋め込まれており、そのレールに沿って壁を可動させるため、壁が部屋を間仕切る位置は予め決められていた。そのため、間取りを自由に変えることができなかった。
【0004】
特許文献1には、建築物に据え付けられておらず、屋内外で自由に移動可能な壁面構造体が開示されている。特許文献1に記載の壁面構造体によれば、複数の自立する壁体が互いに回転可能に連結されており、壁体同士を回転させることで屋内を自由に間仕切ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-270295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の壁面構造体は、自立可能な壁体を複数連結したものであるため、ドアやパーテーションなどの建築物に据え付けられる間仕切りと比較して壁体の厚みが大きく、不使用時に多くの収納スペースを必要とする。また部屋を床から天井まで間仕切れる高さを有する場合には重量が大きくなり、仕切り位置の変更を容易に行いづらくなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、固定部を介して建築物の躯体に回転可能に固定される壁面材を有する壁面構造体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態の壁面構造体を示す図である。
図2】本開示の第2実施形態の壁面構造体を示す図である。
図3】本開示の第2実施形態の壁面構造体の回転移動を示す図である。
図4】本開示の第3実施形態の壁面構造体の回転移動を示す図である。
図5】本開示の第4実施形態の壁面構造体を示す図である。
図6】本開示の第5実施形態の壁面構造体を示す図である。
図7】本開示の第5実施形態の壁面構造体の窓開口位置における縦断面を示す図である。
図8】本開示の第6実施形態の壁面構造体を示す図である。
図9】本開示の第7実施形態の壁面構造体を示す図である。
図10】第7実施形態の壁面構造体の構成を示す図である。
図11】壁面構造体の机利用形態を示す図である。
図12】壁面構造体を折りたたんだ状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
本開示の第1実施形態に係る壁面構造体10は、図1に示すように、1枚の壁面材11と、壁面材11を建築物の躯体に回転可能に固定する固定部12で構成される。固定部12は天井もしくは床面、あるいはその両方で壁面材11を回転軸部材によって軸支することで、壁面材11を建築物に固定する。本実施形態では壁面材11は天井あるいは床面に取り付けられるが、取付箇所は建築物の躯体であれば特に限定されない。壁面材11は壁面Wに固定具を介して取り付けられてもよいし、屋外に取り付けられてもよい。また壁面材11を構成する材料は特に限定されない。例えば意匠性の観点から木材を使用してもよいし、軽量化の観点からアルミ成形体を使用してもよい。
【0010】
壁面材11は、固定部12を軸に回転することによって、間仕切りとして機能する。図1は、壁面材11が建築物の壁面Wと平行な向きから約90°回転した際の位置を二点鎖線で示している。これにより、壁面材11によって部屋を間仕切ることができる。回転角度は90°に限定されず、用途に応じて自由に変更してよい。壁面材11はさらに、図示しないストッパーが床面付近に取り付けられ、回転角度を固定することができる。また壁面材の下端には、キャスターが取り付けられていてもよい。
【0011】
壁面材11はさらに、少なくとも一方の面に装飾材あるいはフックなどの機能部材を取り付け可能であってもよい。これにより間仕切りとしての使用だけでなく、インテリア部材として空間の意匠を変更できるほか、建築物の壁面Wに機能を持たせることが可能になる。こうした機能は、間仕切りとして使用しない畳んだ状態においても発揮されるため、実質的に建築物の壁面Wにも機能を付与することが可能である。
【0012】
以上、本開示の第1実施形態に係る壁面構造体10について説明した。壁面構造体10によれば、以下の効果を奏する。
【0013】
第1実施形態に係る壁面構造体10は、固定部12を介して建築物の躯体に回転可能に固定される壁面材11を有する。これにより、空間を所望の角度に間仕切ることが容易にできるとともに、壁面材11の表面に意匠や機能を付すことによって、間仕切りとしての使用だけでなく、インテリア部材として使用されることができる。
【0014】
<第2実施形態>
本開示の第2実施形態に係る壁面構造体20は、壁面材を2枚有している点において、第1実施形態に係る壁面構造体10と異なる。壁面構造体20は、一方の壁面材21の一端が固定部22によって建築物の躯体に取り付けられるとともに、他端において他方の壁面材21と回転可能に連結される連結部を有する。
【0015】
図2に示すように、連結された2枚の壁面材21は、建築物の壁面Wに沿って重ねるようにして折りたたまれる。2枚の壁面材は、この状態から固定部22および連結部を軸に回転することで、例えば二点鎖線で示すような位置に展開される。これにより、屋内に建築物の壁面Wおよび2枚の壁面材で囲まれた区画を形成することができる。
【0016】
図3は、壁面構造体20の具体的な展開の仕方の例を示している。ただし、図3に示す展開の仕方や壁面の配置については一例を示すものであり、自由に展開して使用してよい。図3(a)に示す重ねて折りたたまれた2枚の壁面材21は、図3(b)に示すように建築物の壁面Wへの固定部22を起点に90°回転する。この状態で、図3(b)に示すように、建築物に固定されていない側の壁面材21が連結部を起点に90°回転する。これにより、図2に二点鎖線で示すような位置に展開される。
【0017】
なお2枚の壁面材21は、連結部において両開きの蝶番を使用することで、いずれの方向にも回転することが可能である。これにより、間仕切りの配置の自由度が高くなり、ユーザの利便性が向上する。また、建築物に固定されていない2枚目の壁面材のみを回転させて使用してもよい。
【0018】
<第3実施形態>
本開示の第3実施形態に係る壁面構造体30は、壁面材を3枚有している点において、第2実施形態に係る壁面構造体20と異なる。壁面構造体30は、1枚の壁面材31の一端が固定部32によって建築物の躯体に取り付けられるとともに、他端において2枚目の壁面材31と回転可能に連結される連結部を有する。2枚目の壁面材31と3枚目の壁面材31も間に連結部を有し、回転可能に連結される。
【0019】
図4は、壁面構造体30の展開の仕方の例を示している。ただし、図4に示す展開の仕方や壁面の配置については一例を示すものであり、自由に展開して使用してよい。図4(a)に示す重ねて折りたたまれた3枚の壁面材31は、図4(b)に示すように建築物の壁面Wへの固定部22を起点に90°回転する。この状態で、2枚目の壁面材31は、図4(c)に示すように90°回転してもよいし、図4(f)に示すように270°回転してもよい。
【0020】
2枚目の壁面材31が図4(c)に示すように90°回転した場合、3枚目の壁面材31は、図4(d)に示すように270°回転することで、固定部32と同じ壁面Wに当接して仕切られた空間を形成することができる。若しくは図4(e)に示すように90°回転することで、固定部32が配置される壁面Wに垂直な別の壁面に当接して仕切られた空間を形成することができる。
【0021】
2枚目の壁面材31が図4(f)に示すように270°回転した場合、3枚目の壁面材31は、図4(d)に示すように270°回転することで、固定部32と同じ壁面Wに当接して仕切られた空間を形成することができる。
【0022】
このように、互いに回転可能に連結される壁面材31を複数枚有することで、間仕切りの配置の自由度が高くなり、ユーザの利便性が向上する。
【0023】
以上、第2実施形態および第3実施形態に係る壁面構造体20,30について説明した。壁面構造体20,30によれば、以下の効果を奏する。
【0024】
壁面構造体20,30は、複数枚の壁面材21,31を有するとともに、複数の壁面材21,31同士は連結部において互いに回転可能に連結される。これにより、間仕切りの配置の自由度が高くなり、ユーザの利便性が向上する。
【0025】
<第4実施形態>
本開示の第4実施形態に係る壁面構造体40は、壁面材に格子窓43を有している点において、第1実施形態に係る壁面構造体10と異なる。壁面構造体40は、図5に示すように壁面材41の一部分が格子窓43を有して構成されている。格子窓43の大きさや形状としては特に限定されない。例えば、格子窓43を自由に開閉できるような構成としてもよいし、格子を取り外し可能に構成してもよい。これにより、間仕切られた空間の意匠性が向上する。また、格子窓43を通じて換気を行えるため、間仕切られた空間の一方に空調装置がない場合においても、他方と換気することで間仕切られた空間を快適に使用することができる。
【0026】
<第5実施形態>
本開示の第5実施形態に係る壁面構造体50は、壁面材に開口部53を有し、開口部53は建築物の窓開口部1と対応して形成されている点において、第1実施形態に係る壁面構造体10と異なる。壁面構造体50は、図6に示すように壁面材51の一部分に開口部53が形成される。開口部53は、建築物の壁面Wの窓開口部1の位置に対応して形成される。
【0027】
壁面材51が開口部53を有していることで、2つの空間を仕切りつつ、空間の連続性を担保することができる。また、格子窓43を通じて換気を行えるため、間仕切られた空間の一方に空調装置がない場合においても、他方と換気することで間仕切られた空間を快適に使用することができる。
【0028】
壁面材51は、開口部53に図示しない面材等を組付け可能であってもよい。これにより、壁面材51は組み付ける面材等を選択することによって、空間の遮断性を調節可能である。すなわち、例えば厚みのある板材を開口部53に配置することで、音や光が開口部53から透過されにくくなり、空間の遮断性が向上する。また例えば透光性の布を開口部53に配置することで、隣の空間から光を取り込むこともできる。
【0029】
さらに壁面材51は建築物の窓開口部位置に対応して配置されているため、窓開口部からの採光についても同様に、開口部53に面材等を配置することによって遮光と採光の調節が可能である。例えば開口部53に厚みのある木製の板材等を使用すれば、カーテン等と比較して窓開口部1を介した屋外との断熱性も向上する。なお、開口部53を有しない例えば第1から第3実施形態に係る壁面材を窓開口部位置1に配置すれば、同様の遮光性と断熱性が実現し、壁面材の開閉によっても採光や採熱を調節可能である。
【0030】
壁面材51は開口部53と窓開口部1の形状が略同一に構成される。すなわち、開口部53は矩形状に形成され、図7に示すように開口部53と窓開口部1の上下の開口端は略同一の高さに形成される。ここで、壁面材51および建築物の壁面Wの厚みを利用して、開口部53と窓開口部1の下端部分にカウンター54を橋掛けて設置することができる。
【0031】
カウンター54は、例えば壁面材51と建築物の壁面Wの上に安定に固定されるような固定手段を有していてもよい。例えば、カウンター54は壁面材51と建築物の壁面Wを挟んで嵌合できるような凹部を下面に有していてもよいし、留具を別途取り付けてもよい。また、カウンター54は壁面材51の一部を取り外して利用可能であってもよいし、壁面材51の内部に収容されていてもよい。
【0032】
<第6実施形態>
本開示の第6実施形態に係る壁面構造体60は、建築物の窓開口部1と対応して形成され、壁面材が窓高さに形成されている点において、第1実施形態に係る壁面構造体10と異なる。壁面構造体60は、図8に示すように壁面材1を畳んだ状態で窓開口部1を覆うように形成される。これにより、窓開口部1からの採光を調節可能である。壁面構造体60は、必ずしも床から天井までの高さと同等でなくてもよい。
【0033】
以上、第4実施形態から第6実施形態に係る壁面構造体40,50,60について説明した。壁面構造体40,50,60によれば、以下の効果を奏する。
【0034】
壁面材51の少なくとも一部は、建築物の窓開口部位置1に取り付けられる。これにより、屋外との遮光性および遮熱性を調節可能になる。
【0035】
壁面材51の少なくとも一部は、窓開口部位置1に壁面開口部53を有する、請求項3に記載の壁面構造体である。これにより、窓開口部1および壁面開口部53の下端位置に、壁面材51および建築物の壁面Wの厚みを利用してカウンター54を形成することができる。また、壁面開口部53を介して窓開口部1から採光可能であり、さらに壁面開口部53に面材等を配置することで遮光性を調節可能である。
【0036】
<第7実施形態>
本開示の第7実施形態に係る壁面構造体70は、壁面材が4枚連結され、建築物の窓開口部1と対応して形成され、1枚の壁面材の一方の面が建築物の壁面Wに据え付けられて、固定部721とされている点において、第1実施形態に係る壁面構造体10と異なる。壁面構造体70は、図9に示すように4枚の壁面材71,71,72,74を有して構成される。
【0037】
壁面材72は一方の面が建築物の壁面Wに固定され、一端側に3枚の壁面材71,71,74が連結される。すなわち、壁面材72が固定部を構成する。壁面材72は枠体の内部に面材721と、幕板722を有して構成される。壁面材72の建築物の壁面Wへの固定手段は特に限定されない。例えば、建築物の壁面W側に合板を配置してビス等で固定してもよい。
【0038】
図9および10に示すように、壁面材72の一端には、開口部73を有する1枚目の壁面材71の一端が片開き蝶番2で回転可能に連結される。当該壁面材71の他端には、2枚目の壁面材71の一端が両開き蝶番3で回転可能に連結される。2枚目の壁面材71の他端には、壁面材74の一端が両開き蝶番3で回転可能に連結される。
【0039】
面材721は建築物の壁面Wに平行に配置される面材であり、用途に応じて様々な面材を使用することができる。例えば木製の板材を使用することで、画鋲等を挿してフックなどの部品を組み付けることができるほか、板材の表面に穴を形成しておき、支持部材を差し込んで棚板を組み付けてもよい。他にも、黒板を使用して構成し、文字や絵を自由に書き消しできる壁面としてもよい。
【0040】
幕板722は壁面材72から取り外し可能に構成され、後述する支持部材75と組み合わせて机として利用することが可能である。幕板722には嵌合用の孔が形成されており、支持部材75に形成される凸部と嵌合して固定可能である。
【0041】
1枚目の壁面材71の開口部73の下端面はその奥行きを利用して、ベンチや物を置く平面スペースとして使用可能である。1枚目の壁面材71は、壁面材72と並べて建築物の壁面Wに沿わせた状態で、開口部73が腰高に構成される窓開口部1と同一の位置および大きさに形成される。すなわち、壁面材71の開口部73の下端面は窓開口部1の下端面と同一面上にある。これにより、窓開口部1から採光可能であるとともに、壁面材71の開口部73の下端面が窓開口部1の下端面と同一面上にあることによって、平面スペースをより奥行き深く活用でき、平面スペースの活用の自由度が向上する。
【0042】
また、窓開口部1の縦枠と壁面材71の開口部73の内側面も略同一面上にある。これにより、開口部の一部を塞ぐことなく最大限に活用することができる。
【0043】
壁面材71は、壁面材72の幕板722と同様に、机の天板として利用可能な幕板712を有する。幕板712は壁面材71から取り外し可能に構成され、後述する支持部材75と組み合わせて机として利用することが可能である。幕板712には嵌合用の孔が形成されており、支持部材75に形成される凸部と嵌合して固定可能である。
【0044】
図9には図示しないが、窓開口部1には壁面構造体70とは逆側にサッシが設けられていてもよい。また、1枚目、2枚目の壁面材71および壁面材74の下端にはキャスターが設けられる。展開の自由度が大きい壁面構造体70において、可動な複数の壁面材の下端にキャスターを設けることで、様々な展開の仕方に対応してユーザが容易に壁面材71,74を移動させることができる。
【0045】
壁面材71は、開口部73の外周を形成する枠体の内側に、複数の孔を有する。この孔に後述の支持部材75の両端を差し込んで固定することができ、さらに支持部材75の上に幕板712を載せて固定することで、図11に示すように机としての利用が可能である。
【0046】
2枚目の壁面材71は、1枚目の壁面材71と同一の大きさおよび形状を有する。したがって、2枚の壁面材71を畳んで重ねた状態において、2つの開口部73は隙間なく重なり一体となる。したがって、図9に示す1枚目の壁面材71の開口部73のみを窓開口部1に合わせた場合よりもさらに大きな平面スペースが形成され、平面スペースの活用の自由度がさらに向上する。
【0047】
壁面材74は、装飾材741と、幕板742を有し、壁面材72と同じ大きさに構成される。図9および10には、装飾材741は波形の意匠の縦桟を図示しているが、装飾材741はこれに限定されるものではなく、需要者の好みに応じて様々な意匠で構成されてよい。幕板742は幕板712,722と同様に着脱可能であり、机の天板として用いることが可能である。
【0048】
支持部材75は細長い板状の形状を有し、一方の長辺に複数の凸形状を有する。支持部材75は、これらの凸形状部分を壁面材71、壁面材72または壁面材74の側面に形成される孔に嵌合して、取り外し可能に設置される。上述したように机の天板となる幕板712,722,742を支える支持部材として使用する際には、壁面材71、壁面材72または壁面材74から取り外し、前記凸形状を有する側が上になるように両端を壁面材71の開口部73の外周部に形成される孔に差しこんで使用される。支持部材75を壁面材71に取り付けた後、支持部材75の上に各幕板を載せ、前記凸形状部分が各幕板の孔部と嵌合することで各幕板が固定され、机の天板として使用することができる。各幕板はそれぞれサイズが異なり、用途に応じて大きさを選択して使用することができる。
【0049】
壁面材72が常に固定されるとともに、他の3枚の壁面材を回転移動させることにより、空間を間仕切ることができる。壁面材同士の回転角は、壁面材が有する図示しないストッパー等によって固定することが可能である。これにより、高い自由度で空間を間仕切れるとともに、壁面材72は回転せずに常に建築物の壁面Wに固定されることで、意匠性および機能性を備えることができる。
【0050】
4枚の壁面材は、壁面材72と壁面材74が同じ大きさであり、2枚の壁面材71が同じ大きさである。したがって図12に示すように、それぞれ同じ大きさの壁面材2枚が重なるように畳むと、見栄えよく収納可能である。この状態において、2枚の壁面材71の開口部73が窓開口部1と一致しているため、畳んだ状態において窓開口部からの光を遮ることがない。さらに、装飾材741を有する壁面材74が空間側に露出するため、間仕切りとして使用せずに畳んだ状態においても空間の意匠性を向上させることができる。
【0051】
以上、第7実施形態に係る壁面構造体70について説明した。壁面構造体40,50,60によれば、以下の効果を奏する。
【0052】
複数枚の壁面材のうちの1枚は、一方の面が建築物の壁面Wに固定される。これにより、高い自由度で空間を間仕切れるとともに、壁面材72は回転せずに常に建築物の壁面Wに固定されることで、意匠性および機能性を備えることができる。
【0053】
複数枚の壁面材同士は、連結部における回転角度を固定可能である。これにより、壁面材による間仕切りが安定し、ユーザの利便性が向上する。
【0054】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。上記実施形態を適宜改良・変更したものも、本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
W…建築物壁面、1…窓開口部、2…片開き蝶番、3…両開き蝶番、10,20,30,40,50,60,70…壁面構造体、11,21,31,41,51,61,71,74…壁面材、12,22,32,42,52,62,72…固定部、43、53、73…壁面開口部、54…カウンター、712,722,742…幕板、721…面材、741…装飾材、75…支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12