(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】電磁操作器及び電磁操作器を有する真空遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 3/28 20060101AFI20240523BHJP
H01H 33/666 20060101ALI20240523BHJP
H01H 33/38 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
H01H3/28 A
H01H33/666 P
H01H33/38 A
(21)【出願番号】P 2020173716
(22)【出願日】2020-10-15
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】小林 将人
(72)【発明者】
【氏名】仲野 秀作
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-209705(JP,A)
【文献】特開2015-146421(JP,A)
【文献】特開昭52-102577(JP,A)
【文献】特開2006-059557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 3/28
H01H 33/666
H01H 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平断面が矩形形状の電磁石と前記電磁石の中心軸上に設置される駆動ロッドとを有し、
前記電磁石は、
コイルと、
前記駆動ロッドに設置され、前記コイルの内周部を摺動する可動鉄心と、前記コイルの下部に設置される第1の固定鉄心と、前記コイルの外周部に設置される第2の固定鉄心と、前記コイルの上部に設置される第3の固定鉄心と、を有し、
前記第1の固定鉄心に
は、前記可動鉄心の回転を抑制する回り止め部材が設置され、前記可動鉄心には、前記回り止め部材が挿入されるガイド溝穴が形成され
、前記ガイド溝穴の長さは前記回り止め部材の長さよりも長く、前記回り止め部材の径は前記駆動ロッドの径と同じであることを特徴とする電磁操作器。
【請求項2】
請求項1に記載する電磁操作器であって、
前記矩形形状は、前記電磁石の正面幅が、前記電磁石の奥行幅よりも長いことを特徴とする電磁操作器。
【請求項3】
請求項1に記載する電磁操作器であって、
前記回り止め部材は、前記第1の固定鉄心に、ねじ止めにより、設置されることを特徴とする電磁操作器。
【請求項4】
請求項1に記載する電磁操作器であって、
前記矩形形状の電磁石における角部が、曲率径となることを特徴とする電磁操作器。
【請求項5】
請求項1に記載する電磁操作器であって、
前記回り止め部材は、前記可動鉄心よりも、高硬度材であることを特徴とする電磁操作器。
【請求項6】
請求項1に記載する電磁操作器であって、
前記回り止め部材は、前記電磁石の長手方向の軸上に設置されることを特徴とする電磁操作器。
【請求項7】
請求項1に記載する電磁操作器であって、
前記回り止め部材は、前記電磁石の長手方向の軸上であって、前記駆動ロッドが設置される位置から前記可動鉄心の長手方向の端部位置までの距離の半分の位置よりも、前記駆動ロッドに近い位置に設置されることを特徴とする電磁操作器。
【請求項8】
請求項1に記載する電磁操作器であって、
前記回り止め部材は、前記電磁石の長手方向の軸上であって、前記駆動ロッドの左側及び右側に設置されることを特徴とする電磁操作器。
【請求項9】
請求項1に記載する電磁操作器を有する真空遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁操作器及び電磁操作器を有する真空遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
この技術分野における背景技術として、特開2006-059557号公報(特許文献1)がある。
【0003】
特許文献1には、開閉接点を上下方向に開閉駆動する操作ロッドが真空容器に設置される真空開閉部と、操作ロッドに連結される駆動ロッドを駆動する駆動機構が設置される電磁駆動部と、を有する真空遮断器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、駆動ロッドを駆動する駆動機構が設置される電磁駆動部(電磁操作器)を有する真空遮断器が記載されている。
【0006】
電磁操作器が動作する場合には、つまり、電磁石の動作時には、電磁石を構成する可動鉄心に、駆動ロッドを中心とする回転力が発生する。
【0007】
特に、電磁石を構成する部品(可動鉄心、固定鉄心、コイル)の水平断面が、円形形状ではなく、矩形形状である場合、電磁石の動作時(可動鉄心が動作する時)には、可動鉄心に回転力が発生するため、可動鉄心が、可動鉄心の外周部に設置される固定鉄心やコイルに、接触する場合がある。
【0008】
この場合、可動鉄心と固定鉄心やコイルとの接触により、摺動摩耗による金属塵埃が発生し、最終的には、可動鉄心と固定鉄心やコイルとが変形する恐れがある。
【0009】
しかし、特許文献1には、こうした電磁石の動作時に、可動鉄心と固定鉄心やコイルとの摺動摩耗を抑制し、金属塵埃の発生を低減すると共に、可動鉄心と固定鉄心やコイルとの変形を抑制する電磁操作器は記載されていない。
【0010】
そこで、本発明は、電磁石の動作時に、可動鉄心と固定鉄心やコイルとの摺動摩耗を抑制し、金属塵埃の発生を低減すると共に、可動鉄心と固定鉄心やコイルとの変形を抑制する電磁操作器及び電磁操作器を有する真空遮断器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するため、本発明の電磁操作器は、水平断面が矩形形状の電磁石と電磁石の中心軸上に設置される駆動ロッドとを有し、電磁石は、コイルと、駆動ロッドに設置され、コイルの内周部を摺動する可動鉄心と、コイルの下部に設置される第1の固定鉄心と、コイルの外周部に設置される第2の固定鉄心と、コイルの上部に設置される第3の固定鉄心と、を有し、第1の固定鉄心には、可動鉄心の回転を抑制する回り止め部材が設置され、可動鉄心には、回り止め部材が挿入されるガイド溝穴が形成され、ガイド溝穴の長さは回り止め部材の長さよりも長く、回り止め部材の径は駆動ロッドの径と同じであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の真空遮断器は、上記した電磁操作器を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電磁石の動作時に、可動鉄心と固定鉄心やコイルとの摺動摩耗を抑制し、金属塵埃の発生を低減すると共に、可動鉄心と固定鉄心やコイルとの変形を抑制する電磁操作器及び電磁操作器を有する真空遮断器を提供することができる。
【0014】
なお、上記した以外の課題、構成及び効果については、下記する実施例の説明により、明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1に記載する真空遮断器100を説明する説明図である。
【
図2】実施例1に記載する操作機構部2を説明する説明図である。
【
図3】実施例1に記載する真空遮断器100を説明する概略上面図である。
【
図4】実施例2に記載する操作機構部2を説明する説明図である。
【
図5】実施例2に記載する真空遮断器100を説明する概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を、図面を使用し、説明する。なお、実質的に同一又は類似の構成には、同一の符号を付し、説明が重複する場合には、その説明を省略する場合がある。
【実施例1】
【0017】
先ず、実施例1に記載する真空遮断器100を説明する。
【0018】
図1は、実施例1に記載する真空遮断器100を説明する説明図である。
【0019】
真空遮断器100は、電磁操作式開閉装置であり、
図1の左側に示す主回路開閉部1と、
図1の右側に示す電磁操作器(以下、操作機構部2と称する)と、
図1の下側に示すリンク機構部3と、を有する。
【0020】
主回路開閉部1は、固定側導体8と、遮断部として開閉自在の一対の接点(固定接点及び可動接点)を有する真空バルブ9と、可動側導体10と、真空バルブ9(可動側)と可動側導体10とを電気的に接続するフレキシブル導体11と、真空バルブ9の接点(可動接点)に接触荷重を加える接圧ばね13と、真空バルブ9と接圧ばね13とを電気的に絶縁する絶縁ロッド12と、接圧ばね13を押し上げる連結板14と、を有し、これらを操作機構部2やリンク機構部3から電気的に絶縁する絶縁フレーム4を有する。
【0021】
操作機構部2は、永久磁石15と、コイル16と、鉄などの磁性体からなる可動鉄心50と、鉄などの磁性体からなる第1の固定鉄心51と、鉄などの磁性体からなる第2の固定鉄心52と、鉄などの磁性体からなる第3の固定鉄心53と、真空バルブ9の接点(可動接点)を開極する遮断ばね18と、これら(後述の電磁石)の中心軸上に設置される駆動ロッド19と、を有する。
【0022】
そして、コイル16と、可動鉄心50と、第1の固定鉄心51と、第2の固定鉄心52と、第3の固定鉄心53とは、電磁石を構成する。また、コイル16の外周部に第2の固定鉄心52が設置され、コイル16の下部に第1の固定鉄心51が設置され、コイル16の上部に第3の固定鉄心53が設置される。なお、可動鉄心50は、駆動ロッド19に設置(連結)され、コイル16の内周部を摺動する。
【0023】
リンク機構部3は、リンク機構部ケース6に軸受されるシャフト20と、シャフト20に固定され、連結板14に第1のピン21で連結される第1のレバー22と、シャフト20に固定され、駆動ロッド19に第2のピン23で連結される第2のレバー24と、を有し、これらを覆うリンク機構部ケース6を有する。なお、絶縁フレーム4は、リンク機構部ケース6に固定される。
【0024】
また、真空遮断器100は、一相遮断器であっても、三相遮断器であってもよく、三相遮断器の場合には、
図1の奥行き方向(紙面垂直方向)に、主回路開閉部1が3つ並べて設置される。
【0025】
そして、駆動ロッド19の上下方向の直線運動が、第2のレバー24及び第1のレバー22を介して、連結板14に伝わり、真空バルブ9の接点(可動接点)が開閉される。つまり、駆動ロッド19の上方向への直線運動が、第2のレバー24及び第1のレバー22を介して、連結板14に伝わり、真空バルブ9の接点(可動接点)が開極(遮断)され、駆動ロッド19の下方向への直線運動が、第2のレバー24及び第1のレバー22を介して、連結板14に伝わり、真空バルブ9の接点(可動接点)が閉極(投入)される。
【0026】
【0027】
<開極状態から閉極状態へ>
操作機構部2に、制御基板(図示せず)などから、真空バルブ9に対する開極状態から閉極状態への閉極指令が入力されると、コイル16に電流が流され、コイル16が励磁されると、コイル16の周囲には、可動鉄心50⇒第1の固定鉄心51⇒第2の固定鉄心52⇒第3の固定鉄心53⇒可動鉄心50の経路で、磁界が形成される。
【0028】
この磁界により、可動鉄心50には下方向の吸引力が発生する。更に、永久磁石15により形成される磁界の向きも、コイル16の励磁に伴って発生する磁界の向きと同じになる。このため、可動鉄心50に発生する下方向の吸引力が増加する。
【0029】
これにより、可動鉄心50は、第1の固定鉄心51側に動作し、可動鉄心50の底部面が第1の固定鉄心51に吸着され、電磁石による閉極動作が実行される。なお、可動鉄心50の底部面と第1の固定鉄心51との間には、若干の隙間が形成されることが好ましい。
【0030】
このように電磁石による閉極動作が実行されると、可動鉄心50に設置される駆動ロッド19が、遮断ばね18の弾性力に抵抗して、下方向へ直線運動し、電磁石から発生する電磁力に伴う駆動力が、リンク機構部3に伝達される。この駆動力は、第2のレバー24及び第1のレバー22を介して、連結板14に伝達され、絶縁ロッド12が上方向へ動作し、真空バルブ9の固定接点と可動接点とが接触し、真空バルブ9の閉極動作が実行され、真空バルブ9が閉極状態(
図1の状態)となる。
【0031】
なお、真空バルブ9の閉極動作において、接圧ばね13は、真空バルブ9の固定接点と可動接点とが接触するまでは圧縮されないが、真空バルブ9の固定接点と可動接点とが接触すると圧縮され、その後、真空バルブ9の閉極動作が完了するまで、圧縮され続ける。一方、遮断ばね18は、真空バルブ9が閉極状態の場合には、常に、圧縮され続ける。
【0032】
<閉極状態から開極状態へ>
次に、操作機構部2に、制御基板(図示せず)などから、真空バルブ9に対する閉極状態から開極状態への開極指令が入力されると、制御基板からコイル16に開極指令に伴う信号が出力される。この信号により、コイル16には閉極動作時とは逆方向の電流が流れ、コイル16の周囲には、閉極動作時とは逆方向の磁界が形成される。
【0033】
そして、コイル16から発生する磁束と永久磁石15から発生する磁束とが互いに打ち消し合い、可動鉄心50の底部面における吸引力は、遮断ばね18及び接圧ばね13から発生する弾性力よりも弱くなる。このため、可動鉄心50の底部面が、第1の固定鉄心51から離間し、可動鉄心50に設置される駆動ロッド19が、上方向へ直線運動し、電磁石による開極動作が実行される。
【0034】
このように電磁石による開極動作が実行されると、可動鉄心50に設置される駆動ロッド19が、上方向へ直線運動し、第2のレバー24及び第1のレバー22を介して、この駆動ロッド19の直線運動に連動して、連結板14及び絶縁ロッド12が下方向へ動作し、真空バルブ9の固定接点と可動接点とが離間し、真空バルブ9の固定接点と可動接点との接触が解除され、真空バルブ9の開極動作が実行され、真空バルブ9が開極状態となる。
【0035】
なお、真空バルブ9の開極動作において、先ず、圧縮されていた接圧ばね13が伸長し、接圧ばね13の押え25がワッシャ17と接触した時に、真空バルブ9の固定接点と可動接点との接触が解除され、真空バルブ9の開極動作が実行される。
【0036】
このように、操作機構部2が動作する場合には、つまり、電磁石の動作時には、可動鉄心50に、駆動ロッド19を中心とする回転力が発生する。そして、電磁石の水平断面が、円形形状ではなく、矩形形状である場合、電磁石の動作時、つまり、可動鉄心50が動作する時には、可動鉄心50に回転力が発生するため、可動鉄心50が、可動鉄心50の外周部に設置される第3の固定鉄心53やコイル16に、接触する場合がある。
【0037】
次に、実施例1に記載する操作機構部2を説明する。
【0038】
図2は、実施例1に記載する操作機構部2を説明する説明図である。なお、
図2は、
図1に示す操作機構部2を右側から見た正面図である。また、
図2は、真空バルブ9の開極状態を示す。
【0039】
操作機構部2は、電磁石の水平断面が、矩形形状であり、操作機構部2(電磁石)の正面幅(
図2の左右方向:電磁石の長手方向)が、操作機構部2(電磁石)の奥行幅(
図2の奥行き方向(紙面垂直方向):電磁石の短手方向)よりも長い矩形形状である。そして、駆動ロッド19は、この矩形形状の電磁石の中心軸上(中心部分)に設置される。これにより、電磁石の設置スペースを有効に使用することができ、電磁石における占積率を向上させることができる。
【0040】
なお、矩形形状の電磁石を使用することにより、永久磁石15の加工が容易となる。つまり、例えば、加工が容易な直線状の4本の永久磁石15を使用することができる。
【0041】
なお、実施例1において、矩形形状は、4つ角部が直角な長方形状であるが、この矩形形状には、円形形状以外の形状、例えば、楕円形状を含んでもよい。また、この矩形形状は、長方形状に限定されず、三角形状や五角形状を含んでもよい。
【0042】
また、矩形形状の電磁石における角部は、曲率径となることが好ましい。つまり、この角部は、曲率を有するように形成されることが好ましい。
【0043】
そして、操作機構部2は、第1の固定鉄心51に、可動鉄心50が動作する時に発生する、可動鉄心50の回転を抑制する回り止め部材60が設置される。なお、回り止め部材60は、第1の固定鉄心51に対して垂直に設置され、駆動ロッド19に対して平行に設置される。また、可動鉄心50には、回り止め部材60が挿入(遊嵌)されるガイド溝穴62が、形成される。
【0044】
また、回り止め部材60は、第1の固定鉄心51に、溶接又はねじ止めにより、設置される。特に、回り止め部材60を、第1の固定鉄心51に対して簡単に垂直に設置することができるため、第1の固定鉄心51の下面からねじにより締結するねじ止め(ねじ締結)が好ましい。
【0045】
また、回り止め部材60には、その強度を考慮し、ステンレス鋼を使用することが好ましい。つまり、回り止め部材60は、可動鉄心50よりも、高硬度材であることが好ましい。なお、回り止め部材60の材料が、鉄などの磁性体であってもよい。
【0046】
なお、ガイド溝穴62の径は、電磁石による真空バルブ9の閉極動作時や開極動作時に、回り止め部材60がガイド溝穴62を遊嵌するため、回り止め部材60の径よりも、僅かに大きい。また、ガイド溝穴62の長さは、回り止め部材60の長さよりも、長い。なお、ガイド溝穴62は、可動鉄心50を貫通して、形成してもよい。
【0047】
また、回り止め部材60の径は、その強度を考慮し、駆動ロッド19の径と同等であることが好ましい。
【0048】
また、回り止め部材60は、電磁石の長手方向の軸上(電磁石の正面に対して、駆動ロッド19の左側、又は、右側:可動鉄心50の長手方向の軸上)に設置される。つまり、駆動ロッド19が設置される位置(矩形形状の電磁石の中心軸上の位置)と回り止め部材60が設置される位置とを結ぶ直線が、電磁石の長手方向と平行になるように、設置される。つまり、回り止め部材60は、駆動ロッド19が設置される位置を通り、電磁石の長手方向と平行になる直線上(電磁石の長手方向の軸上)に設置される。なお、ガイド溝穴62は、この回り止め部材60の設置位置に対応するように、可動鉄心50に形成される。これにより、電磁石の効率を維持しつつ、可動鉄心50が動作する時に発生する、可動鉄心50の回転を抑制することができる。
【0049】
また、回り止め部材60は、電磁石の長手方向の軸上(可動鉄心50の長手方向の軸上)であって、駆動ロッド19が設置される位置から可動鉄心50の長手方向の左側又は右側の端部位置までの距離の半分の位置よりも、駆動ロッド19に近い位置に設置されることが好ましい。つまり、ガイド溝穴62も、駆動ロッド19が設置される位置から可動鉄心50の長手方向の左側又は右側の端部位置までの距離の半分の位置よりも、駆動ロッド19に近い位置に形成される。これにより、電磁石の効率を維持しつつ、可動鉄心50が動作する時に発生する、可動鉄心50の回転を抑制することができる。
【0050】
次に、実施例1に記載する真空遮断器100を説明する。
【0051】
図3は、実施例1に記載する真空遮断器100を説明する概略上面図である。なお、
図3において、下側が真空遮断器100の正面である。
【0052】
この真空遮断器100は、三相遮断器であり、U相の真空バルブ9A、V相の真空バルブ9B、W相の真空バルブ9Cが、主回路開閉部1において、左右方向に一列に設置される。
【0053】
そして、回り止め部材60は、電磁石の長手方向に設置される。つまり、駆動ロッド19が設置される位置と回り止め部材60が設置される位置とを結ぶ直線が、電磁石の長手方向と平行となるように、設置される。
【0054】
更に、回り止め部材60は、電磁石の長手方向であって、駆動ロッド19が設置される位置から可動鉄心50の長手方向の左側又は右側の端部位置までの距離の半分の位置よりも、駆動ロッド19に近い位置に設置される。
【0055】
実施例1に記載する操作機構部2は、矩形形状の電磁石を有し、電磁石は、可動鉄心50と、コイル16と、コイル16の下部に設置される第1の固定鉄心51と、コイル16の外周部に設置される第2の固定鉄心52と、コイル16の上部に設置される第3の固定鉄心53と、を有し、第1の固定鉄心51に、可動鉄心50の回転を抑制する回り止め部材60が設置され、可動鉄心50には、回り止め部材60が挿入されるガイド溝穴62が形成される。
【0056】
これにより、電磁石の効率を維持しつつ、可動鉄心50が動作する時に発生する、可動鉄心50の回転を抑制することができる。
【0057】
このように、実施例1に記載する操作機構部2は、電磁石による閉極動作時や開極動作時に発生する、駆動ロッド19を中心とする可動鉄心50の回転力を、回り止め部材60により、抑制することができる。これにより、可動鉄心50と可動鉄心50の外周部に設置される第3の固定鉄心53やコイル16との接触、摺動摩耗を抑制し、金属塵埃の発生を低減すると共に、可動鉄心50と第3の固定鉄心53やコイル16との変形を抑制することができる。
【実施例2】
【0058】
次に、実施例2に記載する操作機構部2を説明する。
【0059】
図4は、実施例2に記載する操作機構部2を説明する説明図である。なお、
図4は、
図1に示す操作機構部2を右側から見た正面図である。また、
図4は、真空バルブ9の開極状態を示す。
【0060】
実施例2に記載する操作機構部2は、実施例1に記載する操作機構部2と比較して、回り止め部材60の設置数が相違する。なお、実施例1と同様な部分については、その説明を省略する。
【0061】
つまり、実施例1では、回り止め部材60は、電磁石の正面に対して、駆動ロッド19の左側又は右側に設置される。一方、実施例2では、回り止め部材60は、電磁石の正面に対して、駆動ロッド19の左側及び右側に設置される。回り止め部材60は、電磁石の長手方向の軸上であって、駆動ロッド19の左側及び右側に設置される。
【0062】
実施例2に記載する操作機構部2は、第1の固定鉄心51に、可動鉄心50が動作する時に発生する、可動鉄心50の回転を抑制する2つの回り止め部材60が設置される。また、可動鉄心50には、この2つの回り止め部材60がそれぞれ挿入される2つのガイド溝穴62が、形成される。
【0063】
そして、駆動ロッド19が設置される位置と2つの回り止め部材60が設置される位置とを結ぶ直線が、電磁石の長手方向と平行になるように、設置される。なお、ガイド溝穴62は、この2つの回り止め部材60の設置位置に対応するように、可動鉄心50に形成される。つまり、2つの回り止め部材60は、駆動ロッド19に対して、左右対称に(点対象に)設置される。これにより、電磁石の効率を維持しつつ、可動鉄心50が動作する時に発生する、可動鉄心50の回転を抑制することができる共に、2つの回り止め部材60に受ける力を均等に分散させることができ、2つの回り止め部材60の耐久性が向上する。
【0064】
次に、実施例2に記載する真空遮断器100を説明する。
【0065】
図5は、実施例2に記載する真空遮断器100を説明する概略上面図である。なお、
図5において、下側が真空遮断器100の正面である。
【0066】
そして、2つの回り止め部材60は、電磁石の長手方向に設置される。つまり、駆動ロッド19が設置される位置と2つの回り止め部材60が設置される位置とを結ぶ直線が、電磁石の長手方向と平行となるように、設置される。
【0067】
更に、2つの回り止め部材60は、電磁石の長手方向であって、駆動ロッド19が設置される位置から可動鉄心50の長手方向の左側及び右側の端部位置までの距離の半分の位置よりも、駆動ロッド19に近い位置に設置される。
【0068】
このように、実施例2に記載する操作機構部2は、電磁石による閉極動作時や開極動作時に発生する、駆動ロッド19を中心とする可動鉄心50の回転力を、2つの回り止め部材60により、抑制することができる。これにより、可動鉄心50と可動鉄心50の外周部に設置される第3の固定鉄心53やコイル16との接触、摺動摩耗を抑制し、金属塵埃の発生を低減すると共に、可動鉄心50と第3の固定鉄心53やコイル16との変形を抑制することができる。
【0069】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために、具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を有するものに限定されるものではない。
【0070】
また、ある実施例の構成の一部を、他の実施例の構成の一部に置換することもできる。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を追加することもできる。また、各実施例の構成の一部について、それを削除し、他の構成の一部を追加し、他の構成の一部と置換することもできる。
【符号の説明】
【0071】
1…主回路開閉部、2…操作機構部、3…リンク機構部、4…絶縁フレーム、6…リンク機構部ケース、8…固定側導体、9、9A、9B、9C…真空バルブ、10…可動側導体、11…フレキシブル導体、12…絶縁ロッド、13…接圧ばね、14…連結板、15…永久磁石、16…コイル、17…ワッシャ、18…遮断ばね、19…駆動ロッド、20…シャフト、21…第1のピン、22…第1のレバー、23…第2のピン、24…第2のレバー、25…接圧ばね13の押え、50…可動鉄心、51…第1の固定鉄心、52…第2の固定鉄心、53…第3の固定鉄心、60…回り止め部材、62…ガイド溝穴、100…真空遮断器。