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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】部品実装装置および部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20240523BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
H05K13/04 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020189343
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078579
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】香月 貴通
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 恒太
【審査官】小野 孝朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-310816(JP,A)
【文献】特開2009-054821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を吸着する吸着ノズルを含み、基板に前記部品を実装する実装ヘッドと、
前記吸着ノズルに吸着された前記部品および前記部品の周辺を側方から撮像する側方撮像部と、
制御部と、を備え、
前記吸着ノズルは、先端部と、前記先端部以外の位置基準部とを有し、
前記制御部は、前記側方撮像部による前記部品の撮像結果に基づいて、前記位置基準部を用いた前記部品の状態を認識する第1画像認識処理、および、前記位置基準部を用いない前記部品の状態を認識する第2画像認識処理を行うように構成されている、部品実装装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記側方撮像部による前記部品の撮像結果に基づいて、前記第1画像認識処理を行うとともに、前記第1画像認識処理において認識エラーが発生した場合、前記第2画像認識処理を行うように構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記位置基準部は、角部を有し、
前記制御部は、前記位置基準部の前記角部を用いた前記第1画像認識処理において前記認識エラーが発生した場合、前記先端部を用いた前記第2画像認識処理を行うように構成されている、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記部品の厚みの公差または前記部品の厚みに基づいて、前記認識エラーが発生した場合に前記第2画像認識処理を行うか否かを決定する制御を行うように構成されている、請求項2または3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記部品の厚みの公差または前記部品の厚みが基準値よりも小さい場合、前記認識エラーが発生した場合に前記第2画像認識処理を行わないとともに、前記部品の厚みの公差または前記部品の厚みが前記基準値以上である場合、前記認識エラーが発生した場合に前記第2画像認識処理を行うように構成されている、請求項4に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2画像認識処理を行わない場合、前記部品の前記基板への実装動作を停止させるとともに、前記認識エラーの発生に関する情報を出力する制御を行うように構成されている、請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2画像認識処理が成功した場合、前記部品の前記基板への実装動作を継続しながら前記認識エラーの発生に関する情報を出力する制御を行うように構成されている、請求項2~6のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記認識エラーが発生した場合、前記認識エラーの発生に関する情報を蓄積する制御を行うように構成されている、請求項2~7のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項9】
前記制御部は、蓄積した前記認識エラーの発生に関する情報を外部表示部に表示可能に出力する制御を行うように構成されている、請求項8に記載の部品実装装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記側方撮像部による前記部品の撮像結果に基づいて、前記第2画像認識処理を行うとともに、前記第2画像認識処理において認識エラーが発生した場合、前記第1画像認識処理を行うように構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項11】
先端部と、前記先端部以外の位置基準部とを有し、部品を吸着する吸着ノズルを含み、基板に前記部品を実装する実装ヘッドの前記吸着ノズルに吸着された前記部品および前記部品の周辺を側方から撮像するステップと、
前記側方からの前記部品の撮像結果に基づいて、前記位置基準部を用いた前記部品の状態を認識する第1画像認識処理、および、前記位置基準部を用いない前記部品の状態を認識する第2画像認識処理を行うステップと、を備える、部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装装置および部品実装方法に関し、特に、吸着ノズルに吸着された部品を側方から撮像する部品実装装置および部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸着ノズルに吸着された部品を側方から撮像する部品実装装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、電子部品を吸着する吸着ノズルを含み、基板に部品を実装する実装用ヘッドと、吸着ノズルに吸着された電子部品を側方から撮像する側面撮像用カメラとを備える表面実装機(部品実装装置)が開示されている。この表面実装機では、側面撮像用カメラによる電子部品の撮像結果に基づいて、吸着ノズルの特徴部分を用いた画像認識処理を行い、電子部品の吸着状態を検査する。また、この表面実装機では、吸着ノズルの特徴部分を用いた画像認識処理において認識エラーが発生した場合、オペレータによる復帰処置を待つエラー処理(装置を停止させる処理)を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4331054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された表面実装機では、吸着ノズルの特徴部分に異常(異物の付着および欠けなど)が発生し、吸着ノズルの特徴部分を用いた部品の状態を認識するための画像認識処理において認識エラーが発生した場合、装置を停止させるため、基板の生産が停止するという不都合がある。このため、部品の状態を認識するための画像認識処理において認識エラーが発生した場合にも、基板の生産性の低下を抑制することが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品の状態を認識するための画像認識処理において認識エラーが発生した場合にも、基板の生産性の低下を抑制することが可能な部品実装装置および部品実装方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による部品実装装置は、部品を吸着する吸着ノズルを含み、基板に部品を実装する実装ヘッドと、吸着ノズルに吸着された部品および部品の周辺を側方から撮像する側方撮像部と、制御部と、を備え、吸着ノズルは、先端部と、先端部以外の位置基準部とを有し、制御部は、側方撮像部による部品の撮像結果に基づいて、位置基準部を用いた部品の状態を認識する第1画像認識処理、および、位置基準部を用いない部品の状態を認識する第2画像認識処理を行うように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による部品実装装置では、上記のように、制御部を、側方撮像部による部品の撮像結果に基づいて、位置基準部を用いた部品の状態を認識する第1画像認識処理、および、位置基準部を用いない部品の状態を認識する第2画像認識処理を行うように構成する。これにより、部品の状態を認識するための第1画像認識処理および第2画像認識処理のいずれか一方の画像認識処理において認識エラーが発生したとしても、いずれか他方の画像認識処理により部品の状態を認識して、部品の基板への実装動作を継続することができる。その結果、部品の状態を認識するための画像認識処理において認識エラーが発生すると直ちに装置を停止して基板の生産を停止する場合と異なり、部品の状態を認識するための画像認識処理において認識エラーが発生した場合にも、基板の生産性の低下を抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、側方撮像部による部品の撮像結果に基づいて、第1画像認識処理を行うとともに、第1画像認識処理において認識エラーが発生した場合、第2画像認識処理を行うように構成されている。このように構成すれば、吸着ノズルの位置基準部に異常(異物の付着および欠けなど)が発生し、吸着ノズルの位置基準部を用いた第1画像認識処理において認識エラーが発生したとしても、吸着ノズルの位置基準部を用いない第2画像認識処理により部品の状態を認識して、部品の基板への実装動作を継続することができる。その結果、吸着ノズルの位置基準部を用いた第1画像認識処理において認識エラーが発生すると直ちに装置を停止して基板の生産を停止する場合と異なり、吸着ノズルの位置基準部を用いた第1画像認識処理において認識エラーが発生した場合にも、基板の生産性の低下を抑制することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、位置基準部は、角部を有し、制御部は、位置基準部の角部を用いた第1画像認識処理において認識エラーが発生した場合、先端部を用いた第2画像認識処理を行うように構成されている。このように構成すれば、吸着ノズルの位置基準部の角部を用いた第1画像認識処理において認識エラーが発生したとしても、吸着ノズルの先端部を用いた第2画像認識処理により容易に部品の状態を認識して、部品の基板への実装動作を継続することができる。
【0011】
上記第1画像認識処理において認識エラーが発生した場合、第2画像認識処理を行う構成において、好ましくは、制御部は、部品の厚みの公差または部品の厚みに基づいて、認識エラーが発生した場合に第2画像認識処理を行うか否かを決定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、部品の厚みの公差または部品の厚みを考慮して、第2画像認識処理を行うか否かを決定することができるので、第2画像認識処理でも品質不良が発生しない部品に対しては、第2画像認識処理を行う一方で、第2画像認識処理で品質不良が発生する可能性がある部品に対しては、第2画像認識処理を行わないようにすることができる。その結果、第1画像認識処理または第2画像認識処理による部品の状態の取得の正確性を確保することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、制御部は、部品の厚みの公差または部品の厚みが基準値よりも小さい場合、認識エラーが発生した場合に第2画像認識処理を行わないとともに、部品の厚みの公差または部品の厚みが基準値以上である場合、認識エラーが発生した場合に第2画像認識処理を行うように構成されている。このように構成すれば、第2画像認識処理でも品質不良が発生しない部品の厚みの公差または部品の厚みが基準値以上である部品に対して、確実に、第2画像認識処理を行うことができるとともに、第2画像認識処理で品質不良が発生する可能性がある部品の厚みの公差または部品の厚みが基準値よりも小さい部品に対して、確実に、第2画像認識処理を行わないようにすることができる。その結果、第1画像認識処理または第2画像認識処理による部品の状態の取得の正確性を確実に確保することができる。
【0013】
上記第2画像認識処理を行わない構成において、好ましくは、制御部は、第2画像認識処理を行わない場合、部品の基板への実装動作を停止させるとともに、認識エラーの発生に関する情報を出力する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第2画像認識処理を行わない場合、部品の基板への実装動作を停止させることにより、品質不良が発生することを抑制することができる。また、認識エラーの発生に関する情報を出力することにより、吸着ノズルの位置基準部に異常が発生したことを作業者に知らせることができるので、作業者に吸着ノズルの位置基準部の整備作業(異物の除去、欠けの修理および吸着ノズルの交換など)を行わせることができる。
【0014】
上記第1画像認識処理において認識エラーが発生した場合、第2画像認識処理を行う構成において、好ましくは、制御部は、第2画像認識処理が成功した場合、部品の基板への実装動作を継続しながら認識エラーの発生に関する情報を出力する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、部品の基板への実装動作を継続しながら(装置を停止させずに)認識エラーの発生に関する情報を作業者に知らせることができるので、基板の生産性を低下させずに、作業者に吸着ノズルの位置基準部の整備作業が必要であることを認識させることができる。
【0015】
上記第1画像認識処理において認識エラーが発生した場合、第2画像認識処理を行う構成において、好ましくは、制御部は、認識エラーが発生した場合、認識エラーの発生に関する情報を蓄積する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、蓄積した認識エラーの発生に関する情報を作業者が後から確認することができるので、吸着ノズルの位置基準部の整備作業および吸着ノズルの位置基準部の異常の分析を容易に行うことができる。
【0016】
この場合、好ましくは、制御部は、蓄積した認識エラーの発生に関する情報を外部表示部に表示可能に出力する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、認識エラーの発生に関する情報を外部表示部に表示させることができるので、認識エラーの発生に関する情報をより多くの作業者が確認することができる。
【0017】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、側方撮像部による部品の撮像結果に基づいて、第2画像認識処理を行うとともに、第2画像認識処理において認識エラーが発生した場合、第1画像認識処理を行うように構成されている。このように構成すれば、吸着ノズルの位置基準部を用いない第2画像認識処理において認識エラーが発生したとしても、吸着ノズルの位置基準部を用いた第1画像認識処理により部品の状態を認識して、部品の基板への実装動作を継続することができる。その結果、吸着ノズルの位置基準部を用いない第2画像認識処理において認識エラーが発生すると直ちに装置を停止して基板の生産を停止する場合と異なり、吸着ノズルの位置基準部を用いない第2画像認識処理において認識エラーが発生した場合にも、基板の生産性の低下を抑制することができる。
【0018】
この発明の第2の局面による部品実装方法は、先端部と、先端部以外の位置基準部とを有し、部品を吸着する吸着ノズルを含み、基板に部品を実装する実装ヘッドの吸着ノズルに吸着された部品および部品の周辺を側方から撮像するステップと、側方からの部品の撮像結果に基づいて、位置基準部を用いた部品の状態を認識する第1画像認識処理、および、位置基準部を用いない部品の状態を認識する第2画像認識処理を行うステップとを備える。
【0019】
この発明の第2の局面による部品実装方法では、上記のように、側方からの部品の撮像結果に基づいて、位置基準部を用いた部品の状態を認識する第1画像認識処理、および、位置基準部を用いない部品の状態を認識する第2画像認識処理を行うステップを設ける。これにより、上記第1の局面による部品実装装置と同様に、部品の状態を認識するための画像認識処理において認識エラーが発生した場合にも、基板の生産性の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、部品の状態を認識するための画像認識処理において認識エラーが発生した場合にも、基板の生産性の低下を抑制することが可能な部品実装装置および部品実装方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態による部品実装装置を示す模式的な平面図である。
図2】一実施形態による部品実装装置の制御的な構成を示すブロック図である。
図3】一実施形態による実装ヘッドを示す模式図である。
図4】一実施形態による第1画像認識処理を説明するための側方画像の模式図である。
図5】一実施形態による第1画像認識処理において認識エラーが発生した場合を説明するための側方画像の模式図である。
図6】一実施形態による第2画像認識処理を説明するための側方画像の模式図である。
図7】一実施形態による認識エラーに関する情報の通知を説明するための模式図である。
図8】一実施形態によるサイドビュー認識処理の第1動作例を説明するためのフローチャートである。
図9】一実施形態によるサイドビュー認識処理の第2動作例を説明するためのフローチャートである。
図10図9の続きのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1図7を参照して、本発明の一実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。なお、以下の説明では、基板搬送方向に沿った方向をX方向とし、水平面内でX方向と直交する方向をY方向とし、X方向およびY方向に直交する上下方向をZ方向とする。
【0024】
(部品実装装置の構成)
部品実装装置100は、図1および図2に示すように、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの部品E(電子部品)を、プリント基板などの基板Pに実装する装置である。
【0025】
部品実装装置100は、基台1と、基板搬送部2と、ヘッドユニット3と、ヘッド水平移動機構部4と、部品撮像部5と、基板撮像部6と、側方撮像部7(図2参照)と、制御部8(図2参照)と、記憶部9(図2参照)とを備えている。
【0026】
基台1は、部品実装装置100において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台1上には、基板搬送部2、レール部42および部品撮像部5が設けられている。また、基台1内には、制御部8が設けられている。また、基台1には、Y方向の両側(Y1方向側およびY2方向側)に、複数のフィーダ10が配置されている。フィーダ10は、部品Eを保持する部品供給テープにより部品Eをヘッドユニット3の後述する実装ヘッド31に供給するテープフィーダである。
【0027】
基板搬送部2は、実装前の基板Pを搬入し、基板搬送方向(X方向)に搬送し、実装後の基板Pを搬出するように構成されている。また、基板搬送部2は、搬入された基板Pを実装停止位置Paまで搬送するとともに、実装停止位置Paにおいてクランプ機構などの基板固定機構(図示せず)により固定するように構成されている。また、基板搬送部2は、一対の搬送ベルト21を含んでいる。基板搬送部2は、一対の搬送ベルト21により、基板Pの幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ下側(Z2方向側)から支持した状態で、基板搬送方向に基板Pを搬送するように構成されている。
【0028】
ヘッドユニット3は、部品実装用のヘッドユニットである。ヘッドユニット3は、実装停止位置Paにおいて固定された基板Pに部品Eを実装するように構成されている。具体的には、ヘッドユニット3は、複数(5つ)の実装ヘッド31を含んでいる。実装ヘッド31は、部品Eを保持して基板Pに実装するように構成されている。実装ヘッド31の先端には、部品Eを吸着するための吸着ノズル31aが着脱可能に構成されている。実装ヘッド31は、負圧供給部(図示せず)から供給された負圧により、吸着ノズル31aに部品Eを吸着するように構成されている。
【0029】
図3に示すように、吸着ノズル31aは、先端部311と、先端部311以外の位置基準部312とを有している。先端部311は、吸着ノズル31aの下端部である。先端部311に、部品Eが吸着される。位置基準部312は、側方撮像部7による撮像結果に基づいて部品Eの状態を取得する第1画像認識処理(後述)において、上下方向(Z方向)の位置の基準となる部分である。位置基準部312は、吸着ノズル31aの外方に出っ張る形状(肩形状)を有している。また、位置基準部312は、先端部311よりも上側(Z1方向側)に設けられている。また、位置基準部312は、特徴部分として角部312aを有している。角部312aは、略水平な面と略鉛直な面とにより形成されており、略90度の角度を有している。
【0030】
図1および図2に示すように、ヘッドユニット3は、実装ヘッド31の吸着ノズル31aを上下方向(Z方向)に移動させるZ軸モータ32(図2参照)と、実装ヘッド31の吸着ノズル31aをZ方向に延びる回転軸線回りに回転させるR軸モータ33(図2参照)とを含んでいる。実装ヘッド31は、Z軸モータ32により、所定の下降位置と、所定の上昇位置との間で、上下方向に移動可能に構成されている。また、実装ヘッド31は、部品Eを保持した状態でR軸モータ33により回転されることにより、吸着している部品Eの向きを調整可能に構成されている。
【0031】
ヘッド水平移動機構部4は、ヘッドユニット3を水平方向(X方向およびY方向)に移動させるように構成されている。ヘッド水平移動機構部4は、ヘッドユニット3を基板搬送方向(X方向)に移動可能に支持する支持部41と、支持部41をY方向に移動可能に支持するレール部42とを含んでいる。支持部41は、基板搬送方向に延びるボールねじ軸41aと、ボールねじ軸41aを回転させるX軸モータ41bとを有している。ヘッドユニット3には、支持部41のボールねじ軸41aと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。ヘッドユニット3は、X軸モータ41bによりボールねじ軸41aが回転されることにより、ボールねじ軸41aと係合するボールナットとともに、支持部41に沿って基板搬送方向に移動可能に構成されている。
【0032】
レール部42は、支持部41のX方向の両端部をY方向に移動可能に支持する一対のガイドレール42aと、Y方向に延びるボールねじ軸42bと、ボールねじ軸42bを回転させるY軸モータ42cとを有している。支持部41には、レール部42のボールねじ軸42bと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。支持部41は、Y軸モータ42cによりボールねじ軸42bが回転されることにより、ボールねじ軸42bと係合するボールナットとともに、レール部42の一対のガイドレール42aに沿ってY方向に移動可能に構成されている。
【0033】
ヘッド水平移動機構部4の支持部41およびレール部42により、ヘッドユニット3は、基台1上を水平方向に移動可能に構成されている。これにより、ヘッドユニット3の実装ヘッド31は、フィーダ10の上方に移動して、フィーダ10から供給される部品Eを吸着可能である。また、ヘッドユニット3の実装ヘッド31は、実装停止位置Paにおいて固定された基板Pの上方に移動して、吸着された部品Eを基板Pに実装可能である。
【0034】
部品撮像部5は、部品認識用のカメラである。部品撮像部5は、ヘッドユニット3の実装ヘッド31による部品Eの基板Pへの搬送中に、実装ヘッド31の吸着ノズル31aに吸着された部品Eを撮像する。部品撮像部5は、基台1の上面上に固定されており、部品Eの下側(Z2方向側)から、実装ヘッド31の吸着ノズル31aに吸着された部品Eを撮像する。部品撮像部5による部品Eの撮像結果に基づいて、制御部8は、部品Eの状態(回転姿勢および実装ヘッド31に対する吸着位置)を取得(認識)する。
【0035】
基板撮像部6は、基板認識用のカメラである。基板撮像部6は、ヘッドユニット3の実装ヘッド31による基板Pへの部品Eの実装開始前に、実装停止位置Paにおいて固定された基板Pにおいて、基板Pの上面に付された位置認識マーク(フィデューシャルマーク)Fを撮像する。位置認識マークFは、基板Pの位置を認識するためのマークである。基板撮像部6による位置認識マークFの撮像結果に基づいて、制御部8は、実装停止位置Paにおいて固定された基板Pの正確な位置および姿勢を取得(認識)する。
【0036】
側方撮像部7は、部品認識用のカメラである。図3に示すように、側方撮像部7は、ヘッドユニット3の実装ヘッド31による部品Eの基板Pへの搬送中に、実装ヘッド31の吸着ノズル31aに吸着された部品Eおよび部品Eの周辺を側方から撮像する。また、実装ヘッド31を挟んで側方撮像部7の反対側には、側方照明部7aが設けられている。側方照明部7aは、LEDなどの光源を有し、側方撮像部7による部品Eの撮像時に発光する。また、側方撮像部7による部品Eの撮像結果に基づいて、制御部8は、部品Eの有無、部品Eの厚みおよび部品Eの反転などの部品Eの状態を取得(認識)する。なお、側方撮像部7による部品Eの撮像結果に基づいて部品Eの状態を取得することの詳細については、後述する。
【0037】
図2に示すように、制御部8は、部品実装装置100の動作を制御する制御回路である。制御部8は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、および、RAM(Random Access Memory)を含んでいる。制御部8は、基板搬送部2、フィーダ10、X軸モータ41bおよびY軸モータ42cなどを生産プログラムに従って制御することにより、ヘッドユニット3により基板Pに部品Eを実装させる制御を行うように構成されている。記憶部9は、たとえばフラッシュメモリを含む記憶媒体であり、情報を記憶可能に構成されている。記憶部9には、各撮像部による部品Eの認識結果などが記憶される。
【0038】
(側方撮像部による部品の撮像)
ここで、本実施形態では、図4図6に示すように、制御部8は、側方撮像部7による部品Eの撮像結果に基づいて、位置基準部312を用いた部品Eの状態を認識するための第1画像認識処理、および、位置基準部312を用いない部品Eの状態を認識するための第2画像認識処理を行うように構成されている。具体的には、制御部8は、側方撮像部7による部品Eの撮像結果に基づいて、第1画像認識処理を行うとともに、第1画像認識処理において認識エラーが発生した場合、第2画像認識処理を行うように構成されている。より具体的には、制御部8は、位置基準部312の角部312aを用いた第1画像認識処理において認識エラーが発生した場合、先端部311を用いた第2画像認識処理を行うように構成されている。
【0039】
図4に示すように、第1画像認識処理では、制御部8は、側方撮像部7による部品Eの撮像結果(側方画像)から、位置基準部312の角部312aと、部品Eの下端(最下端)とを認識する制御を行うように構成されている。そして、制御部8は、位置基準部312の角部312aと、部品Eの下端(最下端)とに基づいて、位置基準部312の角部312aから部品Eの下端(最下端)までの長さを取得する制御を行うように構成されている。
【0040】
また、第1画像認識処理では、制御部8は、予め取得した位置基準部312の角部312aから吸着ノズル31aの先端部311までの長さ(ノズル長さ)を記憶部9から取得する制御を行うように構成されている。なお、位置基準部312の角部312aから吸着ノズル31aの先端部311までの長さ(ノズル長さ)は、たとえば、吸着ノズル31aによる部品Eの吸着前に、側方撮像部7により、部品Eを吸着していない吸着ノズル31aを撮像し、その撮像結果に基づいて、予め取得することができる。そして、制御部8は、位置基準部312の角部312aから部品Eの下端(最下端)までの長さから、位置基準部312の角部312aから吸着ノズル31aの先端部311までの長さ(ノズル長さ)を減算することにより、部品Eの厚みを取得する制御を行うように構成されている。
【0041】
図5に示すように、位置基準部312を認識する際、位置基準部312に異常(図5では、異物の付着)が発生している場合、第1画像認識処理において位置基準部312が認識できず、認識エラーが発生する(第1画像認識処理が失敗する)場合がある。なお、位置基準部312の異常は、異物の付着だけでなく、位置基準部312の欠けなども含んでいる。認識エラーが発生した場合、制御部8は、先端部311を用いた第2画像認識処理を行う。
【0042】
図6に示すように、第2画像認識処理では、制御部8は、側方撮像部7による部品Eの撮像結果(側方画像)から、部品Eの下端(最下端)を認識する制御を行うように構成されている。また、第2画像認識処理では、制御部8は、予め取得した吸着ノズル31aの先端部311の位置を記憶部9から取得する制御を行うように構成されている。なお、吸着ノズル31aの先端部311の位置は、たとえば、吸着ノズル31aによる部品Eの吸着前に、側方撮像部7により、部品Eを吸着していない吸着ノズル31aを撮像し、その撮像結果に基づいて、予め取得することができる。そして、制御部8は、吸着ノズル31aの先端部311から部品Eの下端(最下端)までの長さを、部品Eの厚みとして取得する制御を行うように構成されている。
【0043】
また、本実施形態では、制御部8は、部品Eの厚みの公差に基づいて、認識エラーが発生した場合に第2画像認識処理を行うか否かを決定する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部8は、部品Eの厚みの公差が基準値(たとえば、50μm)よりも小さい場合、認識エラーが発生した場合に第2画像認識処理を行わないとともに、部品Eの厚みの公差が基準値(たとえば、50μm)以上である場合、認識エラーが発生した場合に第2画像認識処理を行うように構成されている。すなわち、制御部8は、高い計測精度が求められる極小の部品Eに対しては、認識エラーが発生した場合に、第2画像認識処理を行わないように構成されている。また、制御部8は、高い計測精度が求められない部品Eに対しては、認識エラーが発生した場合に、第2画像認識処理を行うように構成されている。なお、部品実装装置100では、設定によって、認識エラーが発生した場合に第2画像認識処理を行うか否かを判定しない第1モード(標準チェック)と、認識エラーが発生した場合に第2画像認識処理を行うか否かを判定する第2モード(詳細チェック)とを切り替えることが可能である。
【0044】
また、本実施形態では、制御部8は、第2モードにおいて認識エラーが発生した場合に第2画像認識処理を行わない場合、部品Eの基板Pへの実装動作を停止させる(部品実装装置100を停止させる)とともに、認識エラーの発生に関する情報を出力する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部8は、第2モードにおいて認識エラーが発生した場合に第2画像認識処理を行わない場合、部品実装装置100を即時に停止させる制御を行うように構成されている。また、制御部8は、作業者にアラートを通知することにより、作業者に認識エラーの発生に関する情報を通知する制御を行うように構成されている。なお、認識エラーの発生に関する情報の作業者への通知は、たとえば、部品実装装置100の表示画面にエラー表示を行うこと、および、作業者が携帯する端末に情報を送信することなどにより、行うことができる。
【0045】
また、本実施形態では、制御部8は、第2画像認識処理が成功した場合、部品Eの基板Pへの実装動作を継続しながら(部品実装装置100を停止させずに)認識エラーの発生に関する情報を出力する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部8は、部品実装装置100を停止させずに稼働させながら、所定のタイミングで、作業者にアラートを通知することにより、作業者に認識エラーの発生に関する情報を通知する制御を行うように構成されている。なお、所定のタイミングは、特に限られないが、たとえば、認識エラー発生時の実装中の基板Pの実装完了時(1基板実装完了時)、認識エラー発生時から所定枚数(N枚)の基板Pの実装完了時(N基板実装完了時)、および、生産品種(特定品種)の基板Pの全ての実装完了後(生産品種の基板実装完了時)などである。
【0046】
また、本実施形態では、制御部8は、認識エラーが発生した場合、認識エラーの発生に関する情報を蓄積する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部8は、認識エラーが発生した場合、認識エラーが発生した時間と関連付けて、認識エラーの発生に関する情報を記憶部9に記憶する制御を行うように構成されている。制御部8は、部品実装装置100の経時的な動作履歴(ログ)として、認識エラーの発生に関する情報を記憶部9に記憶する制御を行うように構成されている。これにより、部品実装装置100において認識エラーの発生の前後に起こった事象を確認しながら、認識エラーの発生の分析を行うことが可能である。また、制御部8は、部品実装装置100の表示画面に、認識エラーの発生に関する情報をログとして表示する制御を行うように構成されている。
【0047】
また、図7に示すように、制御部8は、作業者により所定操作が行われた場合、認識エラーの発生に関する情報と、認識エラーが発生した側方画像とを同時に表示する制御を行うように構成されている。図7では、「no shoulder detected」という表示により、第1画像認識処理において位置基準部312の角部(ショルダー)312aが認識されなかったことが側方画像と共に表示されている。制御部8は、たとえば、作業者により側方画像を用いた認識テストの操作が行われた場合、認識エラーの発生に関する情報と、認識エラーが発生した側方画像とを同時に表示する制御を行うように構成されている。
【0048】
また、本実施形態では、制御部8は、蓄積した認識エラーの発生に関する情報を外部表示部に表示可能に出力する制御を行うように構成されている。外部表示部は、特に限られないが、たとえば、部品実装装置100を含む実装ラインの生産状況などを表示する外部表示部である。このような外部表示部は、実装ラインの配置された工場内に配置されている。このような外部表示部に認識エラーの発生に関する情報を表示すれば、認識エラーの発生に関する情報以外の他の情報と共に、認識エラーの発生に関する情報を確認することができるので、認識エラーの発生の分析を容易に行うことが可能である。また、制御部8は、認識エラーの発生に関する情報と、認識エラーが発生した側方画像とを外部表示部に表示可能に出力する制御を行うように構成されている。
【0049】
(サイドビュー認識処理の第1動作例)
次に、図8を参照して、本実施形態の部品実装装置100によるサイドビュー認識処理の第1動作例(標準チェック)をフローチャートに基づいて説明する。なお、フローチャートの各処理は、制御部8により行われる。
【0050】
側方撮像部7による部品Eの撮像結果が取得されると、図8に示すように、まず、ステップS1において、位置基準部312を用いた第1画像認識処理が行われる。
【0051】
そして、ステップS2において、第1画像認識処理が成功したか否かが判定される。具体的には、ステップS2では、第1画像認識処理において位置基準部312の認識に成功しているか否かが判定される。第1画像認識処理において位置基準部312の認識に失敗していると判定された場合(認識エラーが発生した場合)、ステップS3に進む。
【0052】
そして、ステップS3において、先端部311を用いた第2画像認識処理が行われる。その後、ステップS4に進む。
【0053】
また、ステップS2において、第1画像認識処理における位置基準部312の認識に成功していると判定された場合、第2画像認識処理が行われることなく、ステップS4に進む。
【0054】
そして、ステップS4において、認識結果が記憶部9に保存される。ステップS4では、部品Eの厚み、部品Eの有無、部品Eの反転、第1画像認識処理の成否、および、第2画像認識処理の成否などが、認識結果として記憶部9に保存される。なお、第2画像認識処理の成否は、第2画像認識処理を行っている場合のみ保存される。
【0055】
そして、ステップS5において、第1画像認識処理が成功しているか否かが判定される。第1画像認識処理が成功していると判定された場合、サイドビュー認識処理が終了される。
【0056】
また、ステップS5において、第1画像認識処理が失敗していると判定された場合、ステップS6に進む。
【0057】
そして、ステップS6において、第2画像認識処理が成功しているか否かが判定される。第2画像認識処理が成功していると判定された場合、ステップS7に進む。
【0058】
そして、ステップS7において、エラー表示が行われる。ステップS7では、たとえば、認識エラーの発生に関する情報が、部品実装装置100の表示画面にログとして表示される。この際、認識エラーの発生に関する情報が、外部表示部に表示可能に出力されてもよい。その後、サイドビュー認識処理が終了される。
【0059】
また、ステップS6において、第2画像認識処理が失敗していると判定された場合、ステップS8に進む。
【0060】
そして、ステップS8において、エラー停止が行われる。ステップS8では、部品Eの基板Pへの実装動作が停止(部品実装装置100が停止)される。この場合、作業者にアラートが通知される。その後、サイドビュー認識処理が終了される。
【0061】
(サイドビュー認識処理の第2動作例)
次に、図9および図10を参照して、本実施形態の部品実装装置100によるサイドビュー認識処理の第2動作例(詳細チェック)をフローチャートに基づいて説明する。なお、フローチャートの各処理は、制御部8により行われる。
【0062】
側方撮像部7による部品Eの撮像結果が取得されると、図9に示すように、まず、ステップS11において、部品Eの公差が基準値よりも小さいか否か(小さい部品Eであるか否か)が判定される。部品Eの公差が基準値よりも小さいと判定された場合、ステップS12に進む。
【0063】
そして、ステップS12において、位置基準部312を用いた第1画像認識処理が行われる。そして、第1画像認識処理の成否にかかわらず、第2画像認識処理が行われることなく、ステップS13に進む。
【0064】
そして、ステップS13において、認識結果が記憶部9に保存される。ステップS4では、部品Eの厚み、部品Eの有無、部品Eの反転、第1画像認識処理の成否などが、認識結果として記憶部9に保存される。
【0065】
そして、ステップS14において、第1画像認識処理が成功しているか否かが判定される。第1画像認識処理が成功していると判定された場合、サイドビュー認識処理が終了される。
【0066】
また、ステップS14において、第1画像認識処理が失敗していると判定された場合、ステップS15に進む。
【0067】
そして、ステップS15において、第2画像認識処理を行いかつ第2画像認識処理が成功しているか否かが判定される。ステップS12を経由した場合、第2画像認識処理を行っていないと判定されて、ステップS17に進む。
【0068】
そして、ステップS17において、エラー停止が行われる。ステップS17では、部品Eの基板Pへの実装動作が停止(部品実装装置100が停止)される。この場合、作業者にアラートが通知される。その後、サイドビュー認識処理が終了される。
【0069】
また、ステップS11において、部品Eの公差が基準値以上であると判定された場合、図10に示すように、ステップS18に進む。
【0070】
そして、ステップS18において、位置基準部312を用いた第1画像認識処理が行われる。
【0071】
そして、ステップS19において、第1画像認識処理が成功したか否かが判定される。具体的には、ステップS19では、第1画像認識処理において位置基準部312の認識に成功しているか否かが判定される。第1画像認識処理において位置基準部312の認識に失敗していると判定された場合(認識エラーが発生した場合)、ステップS20に進む。
【0072】
そして、ステップS20において、先端部311を用いた第2画像認識処理が行われる。その後、ステップS13に進む。
【0073】
また、ステップS13において、第1画像認識処理における位置基準部312の認識に成功していると判定された場合、第2画像認識処理が行われることなく、ステップS13に進む。
【0074】
そして、図9に示すように、ステップS13において、認識結果が記憶部9に保存される。ステップS13では、部品Eの厚み、部品Eの有無、部品Eの反転、第1画像認識処理の成否、および、第2画像認識処理の成否などが、認識結果として記憶部9に保存される。なお、第2画像認識処理の成否は、第2画像認識処理を行っている場合のみ保存される。
【0075】
そして、ステップS14において、第1画像認識処理が成功しているか否かが判定される。第1画像認識処理が成功していると判定された場合、サイドビュー認識処理が終了される。
【0076】
また、ステップS14において、第1画像認識処理が失敗していると判定された場合、ステップS15に進む。
【0077】
そして、ステップS15において、第2画像認識処理を行いかつ第2画像認識処理が成功しているか否かが判定される。ステップS18を経由した場合で、第2画像認識処理を行いかつ第2画像認識処理が成功している場合、ステップS16に進む。
【0078】
そして、ステップS16において、エラー表示が行われる。ステップS16では、たとえば、認識エラーの発生に関する情報が、部品実装装置100の表示画面にログとして表示される。この際、認識エラーの発生に関する情報が、外部表示部に表示可能に出力されてもよい。その後、サイドビュー認識処理が終了される。
【0079】
また、ステップS15において、ステップS18を経由した場合で、第2画像認識処理を行っていない場合、または、第2画像認識処理を行ったが第2画像認識処理が失敗している場合、ステップS17に進む。
【0080】
そして、ステップS17において、エラー停止が行われる。ステップS17では、部品Eの基板Pへの実装動作が停止(部品実装装置100が停止)される。この場合、作業者にアラートが通知される。その後、サイドビュー認識処理が終了される。
【0081】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0082】
本実施形態では、上記のように、制御部8を、側方撮像部7による部品Eの撮像結果に基づいて、位置基準部312を用いた部品Eの状態を認識するための第1画像認識処理、および、位置基準部312を用いない部品Eの状態を認識するための第2画像認識処理を行うように構成する。これにより、部品Eの状態を認識するための第1画像認識処理および第2画像認識処理のいずれか一方の画像認識処理(本実施形態では第1画像認識処理)において認識エラーが発生したとしても、いずれか他方の画像認識処理(本実施形態では第2画像認識処理)により部品Eの状態を認識して、部品Eの基板Pへの実装動作を継続することができる。その結果、部品Eの状態を認識するための画像認識処理において認識エラーが発生すると直ちに装置を停止して基板Pの生産を停止する場合と異なり、部品Eの状態を認識するための画像認識処理において認識エラーが発生した場合にも、基板Pの生産性の低下を抑制することができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、制御部8は、側方撮像部7による部品Eの撮像結果に基づいて、第1画像認識処理を行うとともに、第1画像認識処理において認識エラーが発生した場合、第2画像認識処理を行うように構成されている。これにより、吸着ノズル31aの位置基準部312に異常(異物の付着および欠けなど)が発生し、吸着ノズル31aの位置基準部312を用いた第1画像認識処理において認識エラーが発生したとしても、吸着ノズル31aの位置基準部312を用いない第2画像認識処理により部品Eの状態を認識して、部品Eの基板Pへの実装動作を継続することができる。その結果、吸着ノズル31aの位置基準部312を用いた第1画像認識処理において認識エラーが発生すると直ちに装置を停止して基板Pの生産を停止する場合と異なり、吸着ノズル31aの位置基準部312を用いた第1画像認識処理において認識エラーが発生した場合にも、基板Pの生産性の低下を抑制することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、位置基準部312は、角部312aを有し、制御部8は、位置基準部312の角部312aを用いた第1画像認識処理において認識エラーが発生した場合、先端部311を用いた第2画像認識処理を行うように構成されている。これにより、吸着ノズル31aの位置基準部312の角部312aを用いた第1画像認識処理において認識エラーが発生したとしても、吸着ノズル31aの先端部311を用いた第2画像認識処理により容易に部品Eの状態を認識して、部品Eの基板Pへの実装動作を継続することができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、制御部8は、部品Eの厚みの公差に基づいて、認識エラーが発生した場合に第2画像認識処理を行うか否かを決定する制御を行うように構成されている。これにより、部品Eの厚みの公差を考慮して、第2画像認識処理を行うか否かを決定することができるので、第2画像認識処理でも品質不良が発生しない部品Eに対しては、第2画像認識処理を行う一方で、第2画像認識処理で品質不良が発生する可能性がある部品Eに対しては、第2画像認識処理を行わないようにすることができる。その結果、第1画像認識処理または第2画像認識処理による部品Eの状態の取得の正確性を確保することができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、制御部8は、部品Eの厚みの公差が基準値よりも小さい場合、認識エラーが発生した場合に第2画像認識処理を行わないとともに、部品Eの厚みの公差が基準値以上である場合、認識エラーが発生した場合に第2画像認識処理を行うように構成されている。これにより、第2画像認識処理でも品質不良が発生しない部品Eの厚みの公差が基準値以上である部品Eに対して、確実に、第2画像認識処理を行うことができるとともに、第2画像認識処理で品質不良が発生する可能性がある部品Eの厚みの公差が基準値よりも小さい部品Eに対して、確実に、第2画像認識処理を行わないようにすることができる。その結果、第1画像認識処理または第2画像認識処理による部品Eの状態の取得の正確性を確実に確保することができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、制御部8は、第2画像認識処理を行わない場合、部品Eの基板Pへの実装動作を停止させるとともに、認識エラーの発生に関する情報を出力する制御を行うように構成されている。これにより、第2画像認識処理を行わない場合、部品Eの基板Pへの実装動作を停止させることにより、品質不良が発生することを抑制することができる。また、認識エラーの発生に関する情報を出力することにより、吸着ノズル31aの位置基準部312に異常が発生したことを作業者に知らせることができるので、作業者に吸着ノズル31aの位置基準部312の整備作業(異物の除去、欠けの修理および吸着ノズルの交換など)を行わせることができる。
【0088】
また、本実施形態では、上記のように、制御部8は、第2画像認識処理が成功した場合、部品Eの基板Pへの実装動作を継続しながら認識エラーの発生に関する情報を出力する制御を行うように構成されている。これにより、部品Eの基板Pへの実装動作を継続しながら(装置を停止させずに)認識エラーの発生に関する情報を作業者に知らせることができるので、基板Pの生産性を低下させずに、作業者に吸着ノズル31aの位置基準部312の整備作業が必要であることを認識させることができる。
【0089】
また、本実施形態では、上記のように、制御部8は、認識エラーが発生した場合、認識エラーの発生に関する情報を蓄積する制御を行うように構成されている。これにより、蓄積した認識エラーの発生に関する情報を作業者が後から確認することができるので、吸着ノズル31aの位置基準部312の整備作業および吸着ノズル31aの位置基準部312の異常の分析を容易に行うことができる。
【0090】
また、本実施形態では、上記のように、制御部8は、蓄積した認識エラーの発生に関する情報を外部表示部に表示可能に出力する制御を行うように構成されている。これにより、認識エラーの発生に関する情報を外部表示部に表示させることができるので、認識エラーの発生に関する情報をより多くの作業者が確認することができる。
【0091】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0092】
たとえば、上記実施形態では、位置基準部が、吸着ノズルの外方に出っ張る形状(肩形状)を有している例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、位置基準部が、フランジ形状および吸着ノズルの内方に引っ込む形状(凹形状)などの肩形状以外の形状を有していてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、位置基準部が、特徴部分として略直角(略90度)の角部を有している例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、位置基準部が、特徴部分として鋭角または鈍角の略直角以外の角部を有していてもよい。また、位置基準部が、特徴部分として角部以外を有していてもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、第2画像認識処理が、先端部を用いた画像認識処理である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第2画像認識処理が、吸着ノズルのテーパ部などの先端部以外を用いた画像認識処理であってもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、部品の厚みの公差に基づいて、認識エラーが発生した場合に第2画像認識処理を行うか否かを決定する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、部品の厚みに基づいて、認識エラーが発生した場合に第2画像認識処理を行うか否かを決定してもよい。この場合、部品の厚みが基準値よりも小さい場合、認識エラーが発生した場合に第2画像認識処理を行わないとともに、部品の厚みが基準値以上である場合、認識エラーが発生した場合に第2画像認識処理を行えばよい。
【0096】
また、上記実施形態では、認識エラーの発生に関する情報を外部表示部に表示可能に出力する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、認識エラーの発生に関する情報を外部表示部に表示可能に出力しなくてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、第2画像認識処理が成功した場合、部品実装装置を停止させずに稼働させながら、所定のタイミングで、作業者にアラートを通知する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第2画像認識処理が成功した場合、部品実装装置を停止させずに稼働させながら、所定のタイミングで、部品実装装置に異常が検出された吸着ノズルの交換動作(自動交換)を行わせてもよい。この場合、吸着ノズルの交換動作後の所定のタイミングで、作業者に吸着ノズルの交換動作が行われたことを通知すればよい。なお、部品実装装置には、通常、交換用の複数の吸着ノズルが配置されたノズル配置部(ノズルステーション)が設けられている。
【0098】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、制御部が、側方撮像部による部品の撮像結果に基づいて、第1画像認識処理を行うとともに、第1画像認識処理において認識エラーが発生した場合、第2画像認識処理を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、側方撮像部による部品の撮像結果に基づいて、第2画像認識処理を行うとともに、第2画像認識処理において認識エラーが発生した場合、第1画像認識処理を行うように構成されていてもよい。これにより、吸着ノズルの位置基準部を用いない第2画像認識処理において認識エラーが発生したとしても、吸着ノズルの位置基準部を用いた第1画像認識処理により部品の状態を認識して、部品の基板への実装動作を継続することができる。その結果、吸着ノズルの位置基準部を用いない第2画像認識処理において認識エラーが発生すると直ちに装置を停止して基板の生産を停止する場合と異なり、吸着ノズルの位置基準部を用いない第2画像認識処理において認識エラーが発生した場合にも、基板の生産性の低下を抑制することができる。なお、第2画像認識処理における認識エラーは、たとえば、吸着ノズルの先端部を予め測定するときのエラーである。また、この場合にも、上記実施形態の「第1画像認識処理」を「第2画像認識処理」と読み替えるとともに、「第2画像認識処理」を「第1画像認識処理」と読み替えれば、上記実施形態の構成を適宜採用することが可能である。
【0100】
また、たとえば、制御部は、側方撮像部による部品の撮像結果に基づいて、認識エラーが発生するか否かにかかかわらず、常に、第1画像認識処理および第2画像認識処理の両方を行うように構成されていてもよい。この場合、第1画像認識処理および第2画像認識処理により得られたデータ(部品の厚み)の取り扱いについては、第1画像認識処理または第2画像認識処理で得たデータを選択してもよいし、各データを部品データの部品の厚み(基準の厚み)と比較して、どちらかのデータを選択してもよい。
【符号の説明】
【0101】
7 側方撮像部
8 制御部
31 実装ヘッド
31a 吸着ノズル
100 部品実装装置
311 先端部
312 位置基準部
312a 角部
E 部品
P 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10