(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】回転ベゼル構造及び時計
(51)【国際特許分類】
G04B 19/28 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
G04B19/28 B
(21)【出願番号】P 2020199521
(22)【出願日】2020-12-01
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】502366745
【氏名又は名称】セイコーウオッチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】林 政孝
(72)【発明者】
【氏名】今井 一高
(72)【発明者】
【氏名】武田 維一
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-134991(JP,A)
【文献】特開昭62-148879(JP,A)
【文献】実開昭61-102890(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0193210(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/28
G04B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計ケースと、
前記時計ケースに対して回転可能に取り付けられ、前記時計ケースと対向する面に溝を有する回転ベゼルと、
前記時計ケースに形成され、前記回転ベゼルと対向する面から、前記回転ベゼルと離間する方向へ向けて凹む凹部と、
前記凹部に移動可能に収容される筒状のパイプと、
前記パイプの内部に収容され、前記パイプの軸方向に沿って付勢力を作用させる弾性部材と、
前記パイプ内に収容されるとともに、前記軸方向における前記回転ベゼル側に位置する前記弾性部材の第一端部に接続され、少なくとも一部が前記軸方向において前記パイプより外側に突出して前記回転ベゼルの前記溝に係合する第一当接体と、
前記パイプ内に収容されるとともに、前記軸方向における前記回転ベゼルと反対側に位置する前記弾性部材の第二端部に接続され、少なくとも一部が前記軸方向において前記パイプより外側に突出して前記凹部の底部に当接する第二当接体と、
を備える回転ベゼル構造。
【請求項2】
前記第一当接体及び前記第二当接体は、互いに同等な直径を有する球体状に形成されている請求項1に記載の回転ベゼル構造。
【請求項3】
前記第一当接体は、球体状に形成され、
前記第二当接体は、前記凹部に当接する頭部と、前記パイプに対して前記軸方向に移動可能な胴体部と、を有するピンである請求項1に記載の回転ベゼル構造。
【請求項4】
時計ケースと、
前記時計ケースに対して回転可能に取り付けられ、前記時計ケースと対向する面に溝を有する回転ベゼルと、
前記時計ケースに形成され、前記回転ベゼルと対向する面から、前記回転ベゼルと離間する方向へ向けて凹む凹部と、
前記凹部に移動可能に収容される筒状のパイプと、
前記パイプの内部に収容され、前記パイプの軸方向に沿って付勢力を作用させる弾性部材と、
前記パイプ内に収容されるとともに、前記軸方向における前記回転ベゼル側に位置する前記弾性部材の第一端部に接続され、少なくとも一部が前記軸方向において前記パイプより外側に突出して前記回転ベゼルの前記溝に係合する当接体と、
前記パイプと前記凹部の底部との間に設けられ、前記パイプを前記軸方向に沿って付勢する第2の弾性部材と、
を備える回転ベゼル構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転ベゼル構造と、
前記時計ケースの内側に配置されたムーブメントと、
を備える時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転ベゼル構造及び時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、腕時計等の時計のケースに回転ベゼルが取り付けられる構成が知られている。これらの時計では、回転ベゼルに接触可能なクリック機構を設けることにより、回転ベゼルを回転させた際にクリック感を生じさせ、ケースに対する回転ベゼルの位置決めをする技術が種々提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、バンド取付環に対して回転可能な胴と、胴に対して回転可能なベゼルと、胴を上下に貫通する貫通孔に挿入され、バンド取付環及びベゼルにそれぞれ係合するクリック機構と、を有する時計ケースの構成が開示されている。クリック機構は、貫通孔に挿入されるバネと、バネの上下に配置されて貫通孔の各開口から出没可能な球体と、を有する。バンド取付環及びベゼルのそれぞれには、球体と係合可能な窪みが設けられる。特許文献1に記載の技術によれば、簡素な構成により、バンド取付環と胴との間だけでなく、胴とベゼルとの間にもクリック機構を設けることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術にあっては、球体が貫通孔から離脱するのを防ぐために、開口からの球体の突出高さが小さく抑えられている。このため、球体の上下方向に沿うストローク量が小さい。よって、特許文献1に記載の技術にあっては、例えば回転ベゼルの傾き等により胴と回転ベゼルとの隙間が大きくなった場合に、回転ベゼルと球体とが非接触となり、回転ベゼルが空回りするおそれがあった。また、球体のストローク量を大きくするために球体の直径を大きくすることが考えられるが、この場合、ケースが大型化するおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、大型化を抑制しつつ、回転ベゼルの空回りを抑制した回転ベゼル構造及びこの回転ベゼル構造を備えた時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一つの形態の回転ベゼル構造は、時計ケースと、前記時計ケースに対して回転可能に取り付けられ、前記時計ケースと対向する面に溝を有する回転ベゼルと、前記時計ケースに形成され、前記回転ベゼルと対向する面から、前記回転ベゼルと離間する方向へ向けて凹む凹部と、前記凹部に移動可能に収容される筒状のパイプと、前記パイプの内部に収容され、前記パイプの軸方向に沿って付勢力を作用させる弾性部材と、前記パイプ内に収容されるとともに、前記軸方向における前記回転ベゼル側に位置する前記弾性部材の第一端部に接続され、少なくとも一部が前記軸方向において前記パイプより外側に突出して前記回転ベゼルの前記溝に係合する第一当接体と、前記パイプ内に収容されるとともに、前記軸方向における前記回転ベゼルと反対側に位置する前記弾性部材の第二端部に接続され、少なくとも一部が前記軸方向において前記パイプより外側に突出して前記凹部の底部に当接する第二当接体と、を備える。
【0008】
この構成によれば、パイプの内部には、弾性部材と、弾性部材の両端部にそれぞれ設けられる第一当接体及び第二当接体と、が収容されている。第一当接体は、弾性部材の第一端部に接続され、第一当接体の一部は、パイプから外側に突出する。このため、第一当接体は、パイプから突出した状態でパイプに対して上下方向(パイプの軸方向)に沿ってストローク可能となっている。回転ベゼルを回転させると、回転ベゼルの溝と第一当接体とが係合又は離脱を交互に繰り返す。これにより、回転ベゼルを回転させた際に、回転ベゼルにクリック感を付与するとともに、回転ベゼルの位置決めができる。一方、第二当接体は、弾性部材の第二端部に接続され、第二当接体の一部は、パイプから外側に突出して凹部の底部に接触している。このため、第一当接体と同様、第二当接体もパイプから突出した状態でパイプに対して上下方向に沿ってストローク可能となっている。パイプに対して第二当接体がストロークすると、凹部内をパイプが上下方向に移動する。これにより、パイプの移動量と、パイプに対する第一当接体のストローク量と、を合わせた値が実施的な第一当接体のストローク量となる。よって、弾性部材の一方の端部のみに当接体(球体)を設ける従来技術と比較して、時計ケースに対する第一当接体のストローク量を大きくすることができる。また、第二当接体は凹部の底部に当接するので、第一当接体及び第二当接体のストロークを回転ベゼルに追従するための動作として利用できる。よって、例えば時計ケースと回転ベゼルとの隙間が大きくなった場合であっても、第一当接体を回転ベゼルに確実に当接させることができる。また、当接体を大型化することなくストローク量を増大させることができる。
したがって、大型化を抑制しつつ、回転ベゼルの空回りを抑制した回転ベゼル構造を提供できる。
さらに、弾性部材の両端部に当接体が配置されることにより、弾性部材及び各当接体をパイプ内に収容した状態で保持できる。つまり、パイプ、弾性部材、第一当接体及び第二当接体を一体化できる。これにより、製造時における組み立て作業性及びメンテナンス時における分解作業性を向上できる。
【0009】
また、前記回転ベゼル構造は、前記第一当接体及び前記第二当接体は、互いに同等な直径を有する球体状に形成されている。
【0010】
この構成によれば、回転ベゼルと係合する第一当接体が球体状に形成されるので、回転ベゼルの回転に応じて第一当接体を回転させることができる。これにより、回転ベゼルの回転時における回転ベゼルと第一当接体との摩擦を軽減できる。よって、回転ベゼルの操作性を向上できる。さらに、第一当接体と第二当接体とが同等の形状(直径)に形成されるので、パイプ、弾性部材、第一当接体及び第二当接体を合わせたユニット部品を上下対称な構造とすることができる。これにより、製造時にユニット部品の上下方向の向きを考慮する必要がないので、組み立て作業性を向上できる。
【0011】
また、前記回転ベゼル構造は、前記第一当接体は、球体状に形成され、前記第二当接体は、前記凹部に当接する頭部と、前記パイプに対して前記軸方向に移動可能な胴体部と、を有するピンである。
【0012】
この構成によれば、回転ベゼルと係合する第一当接体が球体状に形成されるので、回転ベゼルの回転に応じて第一当接体を回転させることができる。これにより、回転ベゼルの回転時における回転ベゼルと第一当接体との摩擦を軽減できる。よって、回転ベゼルの操作性を向上できる。第二当接体は、頭部と、胴体部と、を有するピンである。胴体部はパイプに対して軸方向に移動可能となっている。このため、例えば胴体部の軸方向に沿う長さを調整することにより、パイプに対する第二当接体のストローク量を変更することができる。これにより、時計ケースに対する第一当接体のストローク量を調整することができる。よって、ストローク量の大きさを任意に設定できる。したがって、回転ベゼル構造の設計自由度を向上できる。
【0013】
本発明の一つの形態の回転ベゼル構造は、時計ケースと、前記時計ケースに対して回転可能に取り付けられ、前記時計ケースと対向する面に溝を有する回転ベゼルと、前記時計ケースに形成され、前記回転ベゼルと対向する面から、前記回転ベゼルと離間する方向へ向けて凹む凹部と、前記凹部に移動可能に収容される筒状のパイプと、前記パイプの内部に収容され、前記パイプの軸方向に沿って付勢力を作用させる弾性部材と、前記パイプ内に収容されるとともに、前記軸方向における前記回転ベゼル側に位置する前記弾性部材の第一端部に接続され、少なくとも一部が前記軸方向において前記パイプより外側に突出して前記回転ベゼルの前記溝に係合する当接体と、前記パイプと前記凹部の底部との間に設けられ、前記パイプを前記軸方向に沿って付勢する第2の弾性部材と、を備える。
【0014】
この構成によれば、パイプの内部には、弾性部材と、弾性部材の一端部に設けられる当接体と、が収容される。パイプと凹部の底部との間には、第2の弾性部材が配置される。当接体は、弾性部材の第一端部に接続され、当接体の一部は、パイプから外側に突出する。このため、当接体は、パイプから突出した状態でパイプに対して上下方向(パイプの軸方向)に沿ってストローク可能となっている。回転ベゼルを回転させると、回転ベゼルの溝と当接体とが係合又は離脱を交互に繰り返す。これにより、回転ベゼルを回転させた際に、回転ベゼルにクリック感を付与するとともに、回転ベゼルの位置決めができる。第2の弾性部材は、パイプを軸方向に沿って付勢する。第2の弾性部材が弾性変形すると、凹部内をパイプが上下方向に移動する。これにより、パイプの移動量と、パイプに対する当接体のストローク量と、を合わせた値が実施的な当接体のストローク量となる。よって、従来技術と比較して、時計ケースに対する当接体のストローク量を大きくすることができる。第2の弾性部材は、例えば当接体と回転ベゼルとが離間して上方からの押圧力が印加されなくなると、パイプを軸方向の上方に付勢する。これにより、パイプが回転ベゼルに近接するように移動するので、当接体と回転ベゼルを接触させることができる。また、第2の弾性部材は凹部の底部に接触するので、当接体のストローク及びパイプの移動を、回転ベゼルに追従するための動作として利用できる。よって、例えば時計ケースと回転ベゼルとの隙間が大きくなった場合であっても、第一当接体を回転ベゼルに確実に当接させることができる。また、当接体を大型化することなくストローク量を増大させることができる。
したがって、大型化を抑制しつつ、回転ベゼルの空回りを抑制した回転ベゼル構造を提供できる。
【0015】
本発明の一つの形態の時計は、上述の回転ベゼル構造と、前記時計ケースの内側に配置されたムーブメントと、を備える。
【0016】
この構成によれば、回転ベゼルを備えた時計において、回転ベゼルの空回りを効果的に抑制できる。これにより、時計の操作性及び機能性を向上できる。また、腕時計等の小型な時計に適用した場合においても、大型化が抑制された回転ベゼルを備えることにより、大型化が抑制された時計とすることができる。
したがって、大型化を抑制しつつ、回転ベゼルの空回りを抑制した回転ベゼル構造を備えた、操作性及び機能性に優れた時計を提供できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、大型化を抑制しつつ、回転ベゼルの空回りを抑制した回転ベゼル構造及びこの回転ベゼル構造を備えた時計を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】第1実施形態に係るクリックピンユニットの部分断面図。
【
図4】第2実施形態に係る回転ベゼル構造の断面図。
【
図5】第3実施形態に係る回転ベゼル構造の断面図。
【
図6】第4実施形態に係る回転ベゼル構造の断面図。
【
図7】第5実施形態に係る回転ベゼル構造の断面図。
【
図8】第6実施形態に係る回転ベゼル構造の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0020】
(第1実施形態)
(時計)
図1は、第1実施形態に係る時計10の断面図である。
時計10は、時計ケース2を含む回転ベゼル構造1や、時計ケース2の内側に収容されるムーブメント11、時刻に関する情報を示す不図示の目盛り等を有する不図示の文字板及び文字板を覆うガラス6、裏蓋7、不図示の各種指針等が組み込まれて構成されている。時計10は、回転ベゼル構造1と、ムーブメント11と、を備える。時計10は、例えば腕時計である。以下の説明では、裏蓋7から文字板(ガラス6)に向かう方向を上側、その反対側を下側として説明する。また、上側から下側を見ることを「平面視」と称する。
【0021】
回転ベゼル構造1は、時計ケース2と、回転ベゼル3と、クリックピンユニット4と、を備える。
時計ケース2は、平面視において、円環状に形成されている。時計ケース2の内部には、ムーブメント11が収容される空間が設けられている。時計ケース2における上側の面は、例えばガラス6等の透明な材料により形成され、内部の文字板(不図示)が視認可能な上面となっている。時計ケース2における下側の面は、例えば裏蓋7により形成され、時計10の装着時に使用者の腕側に位置する下面となっている。
【0022】
(時計ケース)
時計ケース2の上面には、詳しくは後述する回転ベゼル3が回転可能に取り付けられている。時計ケース2は、内周部に段差部23を有する。段差部23は、時計ケース2の内周面及び上側の面に開口するとともに、時計ケース2の外周部及び下方に向かって凹んでいる。段差部23は、時計ケース2の平面視において円環状に形成されている。段差部23には、円環状のガラス縁25が嵌め込まれている。ガラス縁25と時計ケース2との間には、例えば圧縮パッキンが設けられている。ガラス縁25は、圧縮パッキンを介して時計ケース2の段差部23に軽圧入されることにより、時計ケース2に固定されている。ガラス縁25は、時計ケース2の上面よりも上方に突出している。ガラス縁25の内周部には、ガラス6が取り付けられている。
【0023】
時計ケース2のうち回転ベゼル3と対向する面、すなわち時計ケース2の上面には、凹部21が形成されている。凹部21は、段差部23よりも時計ケース2の外周部側に設けられている。凹部21は、例えば時計ケース2の周方向において任意の1箇所に設けられている。凹部21は、時計ケース2の上面から下方へ向かって凹んでいる。換言すれば、凹部21は、回転ベゼル3から離間する方向へ向けて凹んでいる。凹部21は、凹部21の深さ方向と直交する断面視において、円形状に形成されている。凹部21のうち下側の端部は、底部22となっている。凹部21は、時計ケース2の内部で終端している。換言すれば、凹部21の底部22は、時計ケース2の下面よりも上方に位置している。本実施形態において、底部22は、凹部の径方向における周縁部から中心部へ向かうにつれて下方へ位置するように窪んでいる。
【0024】
(回転ベゼル)
回転ベゼル3は、平面視において、時計ケース2と同等のサイズの円環状に形成されている。回転ベゼル3は、平面視において、時計ケース2と重なるように配置されている。回転ベゼル3は、摺動パッキン26を介してガラス縁25の外周部に回転可能に取り付けられている。摺動パッキン26は、ガラス縁25の外周部に形成された係合溝27に収容されている。摺動パッキン26は、ガラス縁25の外周部の全周に亘って連続して設けられている。摺動パッキン26に対して回転ベゼル3が回転することにより、回転ベゼル3は、時計ケース2に対して、時計ケース2の円環状の中心を回転中心として回転可能に取り付けられている。回転ベゼル3の時計ケース2と対向する面には、複数の溝33が形成されている(
図3も参照)。溝33は、円環状に形成された回転ベゼル3の径方向に沿って延びている。複数の溝33は、回転ベゼル3の周方向において互いに一定の間隔をあけて形成されている。
【0025】
(クリックピンユニット)
図2は、第1実施形態に係るクリックピンユニット4の部分断面図である。
図3は、
図1のIII部拡大図である。
図3では、パイプ41の形状を簡略化して図示している。
図1及び
図3に示すように、クリックピンユニット4は、時計ケース2の凹部21に収容されている。
図2に示すように、クリックピンユニット4は、パイプ41と、弾性部材42と、第一当接体43と、第二当接体44と、を有する。
【0026】
パイプ41は、円筒状に形成されている。パイプ41は、凹部21に収容されている。パイプ41が凹部21に収容された状態で、パイプ41の軸方向と、凹部21の軸方向とが一致している。パイプ41の内径は、凹部21の内径よりもやや小さい。パイプ41は、凹部21に収容された状態で、凹部21内を上下方向に移動することができる。パイプ41は、例えばステンレス等の金属材料により形成されている。
図2に示すように、パイプ41の両端部41a,41bにおけるパイプ41の内径は、パイプ41の中央部における内径と比較して小さくなるように形成されている。具体的に、回転ベゼル3側に位置するパイプ41の端部41aには、内径側に突出する突起部37が設けられている。突起部37は、パイプ41の内周面からパイプ41の内側に向かって突出している、突起部37は、パイプ41の内周面において全周に亘って形成されている。一方、回転ベゼル3と反対側に位置するパイプ41の端部41bには、縮径部39が形成されている。縮径部39は、パイプ41の軸方向の内側から外側へ向かうにつれて全体が徐々に縮径するようにすぼめられている。
【0027】
弾性部材42は、パイプ41の内部に収容されている。弾性部材42は、パイプ41の軸方向に沿って付勢力を作用させる。本実施形態において、弾性部材42は、パイプ41の軸方向に沿う軸を有するコイルばねである。弾性部材42は、パイプ41の軸方向の外側に向けて付勢力を付与できるように、凹部21に収容されている。弾性部材42の端部のうち、軸方向において回転ベゼル3側に位置する端部は、第一端部42aとされている。弾性部材42の端部のうち、軸方向において第一端部42aと反対側に位置する端部は、第二端部42bとされている。
【0028】
第一当接体43は、パイプ41の内部に収容されている。第一当接体43は、例えばステンレス等の金属材料により形成されている。第一当接体43は、球体状に形成されている。第一当接体43の直径は、パイプ41の内径よりもやや小さい。よって、第一当接体43は、パイプ41の内部においてパイプ41の軸方向に沿って移動することができる。ここで、回転ベゼル3側に位置するパイプ41の突起部37の内径は、第一当接体43の直径よりも小さい。よって、突起部37が設けられることにより、第一当接体43がパイプ41の外へ離脱することが抑制されている。
【0029】
第一当接体43は、弾性部材42の第一端部42aと接続されている。具体的に、第一当接体43は、弾性部材42の第一端部42aよりも軸方向の外側に配置されている。第一当接体43は、第一端部42aに当接し、弾性部材42により軸方向の外側(表側)へ向けて付勢されている。クリックピンユニット4に外力が作用しない無負荷状態において、第一当接体43は、弾性部材42の付勢力でパイプ41の外側に押圧されることにより、パイプ41の突起部37に当接している。無負荷状態において、第一当接体43の少なくとも一部は、軸方向においてパイプ41より外側に突出している。
図3に示すように、パイプ41より外側に突出した第一当接体43の一部は、回転ベゼル3の溝33に係合する。例えば回転ベゼル3を回転させると、溝33と溝33との間にクリックピンユニット4が位置することにより、第一当接体43には軸方向の下方へ向けて外力が作用する。この回転ベゼル3からの外力により、第一当接体43は、パイプ41の内側に向かって沈み込む。
図2に示すように、第一当接体43は、パイプ41の突起部37に当接した状態(
図2に示す状態)から、外力によりパイプ41内に押圧され、第一当接体43の全体がパイプ41内に沈み込む状態までの間で軸方向に移動可能となっている。つまり、無負荷状態における第一当接体43の突出量が、第一当接体43の軸方向に沿うストローク量S1となっている。
【0030】
第二当接体44は、パイプ41の内部に収容されている。第二当接体44は、例えばステンレス等の金属材料により形成されている。本実施形態において、第二当接体44は、第一当接体43と同等の直径を有する球体状に形成されている。つまり、第二当接体44の直径は、パイプ41の内径よりもやや小さい。よって、第二当接体44は、パイプ41の内部においてパイプ41の軸方向に沿って移動することができる。ここで、回転ベゼル3と反対側に位置するパイプ41の縮径部39の内径は、第二当接体44の直径よりも小さい。よって、縮径部39が設けられることにより、第二当接体44がパイプ41の外へ離脱することが抑制されている。縮径部39は、例えばパイプ41内に2個の当接体(第一当接体43及び第二当接体44)及び弾性部材42を収容した後に形成される。これにより、パイプ41内に2個の当接体及び弾性部材42を離脱不能に収容することができる。
【0031】
第二当接体44は、弾性部材42の第二端部42bと接続されている。具体的に、第二当接体44は、弾性部材42の第二端部42bよりも軸方向の外側に配置されている。第二当接体44は、第二端部42bに当接し、弾性部材42により軸方向の外側(裏側)へ向けて付勢されている。クリックピンユニット4に外力が作用しない無負荷状態において、第二当接体44は、弾性部材42の付勢力でパイプ41の外側に押圧されることにより、パイプ41の縮径部39に当接している。無負荷状態において、第二当接体44の少なくとも一部は、軸方向においてパイプ41より外側に突出している。
図3に示すように、パイプ41より外側に突出した第二当接体44の一部は、凹部21の底部22に当接する。例えばクリックピンユニット4に軸方向に沿う外力が作用してパイプ41が底部22に近接するように移動すると、第二当接体44には、相対的にパイプ41に対して軸方向の内側へ移動する。これにより、第二当接体44は、パイプ41の内側に向かって沈み込む。
図2に示すように、第二当接体44は、パイプ41の縮径部39に当接した状態(
図2に示す状態)から、外力によりパイプ41内に押圧され、第二当接体44の全体がパイプ41内に沈み込む状態までの間で軸方向に移動可能となっている。つまり、無負荷状態における第二当接体44の突出量が、第二当接体44の軸方向に沿うストローク量S2となっている。
【0032】
本実施形態において、パイプ41の突起部37の内径と、縮径部39の内径と、は同等となっている。また、第一当接体43と第二当接体44とは同等の直径となっている。よって、第一当接体43のストローク量及び第二当接体44のストローク量は同等である。この場合、例えばパイプ41の一方の端部のみに当接体を設ける従来技術と比較して、当接体の合計のストローク量が2倍となる。すなわち本実施形態のクリックピンユニット4によれば、従来技術と比較して2倍のストローク量を得ることが可能となる。
【0033】
図1に示すように、このように形成された回転ベゼル構造1の内側には、ムーブメント11が配置されている。具体的に、ムーブメント11は、時計ケース2の内側に収容されている。ムーブメント11は、例えば時刻等の情報を表示する文字板、秒針、分針、時針、これらを駆動する歯車、バネ、等(いずれも不図示)を含む、機械式時計用のムーブメント11である。なお、ムーブメント11は、例えば液晶パネルや駆動ユニット、バッテリ等を含む、電子時計用のムーブメント11であってもよい。
【0034】
(作用、効果)
次に、上述の回転ベゼル構造1及び時計10の作用、効果について説明する。
本実施形態の回転ベゼル構造1によれば、パイプ41の内部には、弾性部材42と、弾性部材42の両端部42a,42bにそれぞれ設けられる第一当接体43及び第二当接体44と、が収容されている。第一当接体43は、弾性部材42の第一端部42aに接続され、第一当接体43の一部は、パイプ41から外側に突出する。このため、第一当接体43は、パイプ41から突出した状態でパイプ41に対して上下方向(パイプ41の軸方向)に沿ってストローク可能となっている。回転ベゼル3を回転させると、回転ベゼル3の溝33と第一当接体43とが係合又は離脱を交互に繰り返す。これにより、回転ベゼル3を回転させた際に、回転ベゼル3にクリック感を付与するとともに、回転ベゼル3の位置決めができる。一方、第二当接体44は、弾性部材42の第二端部42bに接続され、第二当接体44の一部は、パイプ41から外側に突出して凹部21の底部22に接触している。このため、第一当接体43と同様、第二当接体44もパイプ41から突出した状態でパイプ41に対して上下方向に沿ってストローク可能となっている。パイプ41に対して第二当接体44がストロークすると、凹部21内をパイプ41が上下方向に移動する。これにより、パイプ41の移動量と、パイプ41に対する第一当接体43のストローク量と、を合わせた値が実施的な第一当接体43のストローク量となる。よって、弾性部材42の一方の端部のみに当接体(球体)を設ける従来技術と比較して、時計ケース2に対する第一当接体43のストローク量を大きく(本実施形態では約2倍に)することができる。また、第二当接体44は凹部21の底部22に当接するので、第一当接体43及び第二当接体44のストロークを回転ベゼル3に追従するための動作として利用できる。よって、例えば時計ケース2と回転ベゼル3との隙間が大きくなった場合であっても、第一当接体43を回転ベゼル3に確実に当接させることができる。また、当接体43,44を大型化することなくストローク量を増大させることができる。
【0035】
したがって、大型化を抑制しつつ、回転ベゼル3の空回りを抑制した回転ベゼル構造1を提供できる。
さらに、弾性部材42の両端部42a,42bに当接体43,44が配置されることにより、弾性部材42及び各当接体をパイプ41内に収容した状態で保持できる。つまり、パイプ41、弾性部材42、第一当接体43及び第二当接体44を一体化できる。これにより、製造時における組み立て作業性及びメンテナンス時における分解作業性を向上できる。
【0036】
第一当接体43及び第二当接体44は、互いに同等な直径を有する球体状に形成されている。回転ベゼル3と係合する第一当接体43が球体状に形成されるので、回転ベゼル3の回転に応じて第一当接体43を回転させることができる。これにより、回転ベゼル3の回転時における回転ベゼル3と第一当接体43との摩擦を軽減できる。よって、回転ベゼル3の操作性を向上できる。さらに、第一当接体43と第二当接体44とが同等の形状(直径)に形成されるので、パイプ41、弾性部材42、第一当接体43及び第二当接体44を合わせたユニット部品(クリックピンユニット4)を上下対称な構造とすることができる。これにより、製造時にクリックピンユニット4の上下方向の向きを考慮する必要がないので、組み立て作業性を向上できる。
【0037】
本実施形態の時計10によれば、回転ベゼル3を備えた時計10において、回転ベゼル3の空回りを効果的に抑制できる。これにより、時計10の操作性及び機能性を向上できる。また、腕時計等の小型な時計10に適用した場合においても、大型化が抑制された回転ベゼル3を備えることにより、大型化が抑制された時計10とすることができる。
したがって、大型化を抑制しつつ、回転ベゼル3の空回りを抑制した回転ベゼル構造1を備えた、操作性及び機能性に優れた時計10を提供できる。
【0038】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。
図4は、第2実施形態に係る回転ベゼル構造201の断面図である。第2実施形態では、第二当接体244がピン状に形成されている点で上述した第1実施形態と相違している。
【0039】
図4に示すように、第2実施形態において、クリックピンユニット204は、パイプ41と、弾性部材42と、第一当接体43と、第二当接体244と、を有する。第一当接体43と第二当接体244とは互いに異なる形状に形成されている。第一当接体43は、球体状に形成されている。第2実施形態における第一当接体43の構成は、第1実施形態における第一当接体43の構成と同等である。第二当接体244は、ピン状に形成されている。
【0040】
具体的に、第二当接体244は、胴体部252と、基部253と、頭部251と、を有する。胴体部252は、円柱状に形成されている。胴体部252の直径は、縮径部39の内径よりも小さい。よって、胴体部252は、パイプ41に対して軸方向に出没することができる。基部253は、胴体部252と弾性部材42との間に設けられている。基部253は、胴体部252と一体形成されている。基部253の外径は、縮径部39の内径よりも大きい。基部253が設けられることにより、第二当接体244がパイプ41の外へ離脱することが抑制されている。基部253には、弾性部材42の第二端部42bが接続されている。頭部251は、胴体部252のうち基部253と反対側の端部に設けられている。頭部251は、パイプ41の外側へ突出している。頭部251は、半球状に形成されている。頭部251は、凹部21の底部22に当接する。
【0041】
第2実施形態の回転ベゼル構造201によれば、回転ベゼル3と係合する第一当接体43が球体状に形成されるので、回転ベゼル3の回転に応じて第一当接体43を回転させることができる。これにより、回転ベゼル3の回転時における回転ベゼル3と第一当接体43との摩擦を軽減できる。よって、回転ベゼル3の操作性を向上できる。第二当接体244は、頭部251と、胴体部252と、を有するピンである。胴体部252はパイプ41に対して軸方向に移動可能となっている。このため、例えば胴体部252の軸方向に沿う長さを調整することにより、パイプ41に対する第二当接体244のストローク量を変更することができる。これにより、時計ケース2に対する第一当接体43のストローク量を調整することができる。よって、ストローク量の大きさを任意に設定できる。したがって、回転ベゼル構造1の設計自由度を向上できる。
【0042】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について説明する。
図5は、第3実施形態に係る回転ベゼル構造301の断面図である。第3実施形態では、凹部21の底部322の形状が上述した第1実施形態と相違している。
【0043】
第3実施形態において、凹部21の底部322は、凹部21の径方向における周縁部から中心部に向かうにつれて上方(クリックピンユニット4側)に隆起している。底部322のうち第二当接体44が当接する中心部は、底部22のうちパイプ41が当接する周縁部よりも高い位置(上方)に位置している。
【0044】
第3実施形態の回転ベゼル構造301によれば、第二当接体44と当接する底部322の中心部が上方へ隆起しているので、パイプ41に対して第二当接体44をよりパイプ41の内側まで押し込むことができる。これにより、第二当接体44のストローク量を大きく確保できる。よって、クリックピンユニット4のストローク量を増大させ、回転ベゼル3への追従性をより一層向上できる。
【0045】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態について説明する。
図6は、第4実施形態に係る回転ベゼル構造401の断面図である。第4実施形態では、第二当接体444の構成が上述した第1実施形態と相違している。
【0046】
第4実施形態において、クリックピンユニット404は、パイプ41と、弾性部材42と、第一当接体43と、第二当接体444と、を有する。第一当接体43と第二当接体444とは互いに異なる形状に形成されている。第一当接体43は、球体状に形成されている。第2実施形態における第一当接体43の構成は、第1実施形態における第一当接体43の構成と同等である。第二当接体444は、ピン状に形成されている。
【0047】
具体的に、第二当接体444は、胴体部452と、当接部453と、を有する。胴体部452は、円柱状に形成されている。胴体部452の直径は、縮径部39の内径よりも小さい。よって、胴体部452は、パイプ41に対して軸方向に出没することができる。胴体部452には、弾性部材42の第二端部42bが接続されている。当接部453は、胴体部452のうち凹部21の底部22側に位置する端部に接続されている。当接部453の外径は、パイプ41の縮径部39の内径より大きい。当接部453は、パイプ41よりも軸方向の下側に配置されている。当接部453は、凹部21の底部22に当接する。
第4実施形態の回転ベゼル構造401によれば、第1実施形態と同等の作用、効果を奏することができる。
【0048】
(第5実施形態)
次に、本発明に係る第5実施形態について説明する。
図7は、第5実施形態に係る回転ベゼル構造501の断面図である。第5実施形態では、第二当接体44の代わりに第2の弾性部材550を設けた点で上述した第1実施形態と相違している。
【0049】
第5実施形態において、クリックピンユニット504は、パイプ541と、弾性部材42と、1個の当接体543と、第2の弾性部材550と、を有する。
パイプ541は、凹部21に収容された状態で、下側に位置する端部41bが閉塞された有底円筒状に形成されている。弾性部材42及び当接体543は、パイプ541の内部に収容されている。弾性部材42の第一端部42aとパイプ541の開口側の端部41aとの間には、球体状の当接体543が配置されている。当接体543は、弾性部材42の第一端部42aと接続されている。当接体543は、弾性部材42により軸方向の外側(表側)へ向けて付勢されている。無負荷状態において、当接体543の少なくとも一部は、軸方向においてパイプ541より外側に突出している。パイプ541より外側に突出した当接体543の一部は、回転ベゼル3の溝33に係合する。
【0050】
第2の弾性部材550は、凹部21に収容されている。第2の弾性部材550は、パイプ541と凹部21の底部22との間に配置されている。本実施形態において、第2の弾性部材550は、パイプ541の軸方向に沿う軸を有するコイルばねである。第2の弾性部材550の上側の端部は、パイプ541の底に当接している。第2の弾性部材550の下側の端部は、凹部21の底部22に当接している。第2の弾性部材550は、パイプ541を軸方向に沿って付勢する。
【0051】
第5実施形態の回転ベゼル構造501によれば、パイプ541の内部には、弾性部材42と、弾性部材42の第一端部42aに設けられる当接体543と、が収容される。パイプ541と凹部21の底部22との間には、第2の弾性部材550が配置される。当接体543は、弾性部材42の第一端部42aに接続され、当接体543の一部は、パイプ541から外側に突出する。このため、当接体543は、パイプ541から突出した状態でパイプ541に対して上下方向(パイプ541の軸方向)に沿ってストローク可能となっている。回転ベゼル3を回転させると、回転ベゼル3の溝33と当接体543とが係合又は離脱を交互に繰り返す。これにより、回転ベゼル3を回転させた際に、回転ベゼル3にクリック感を付与するとともに、回転ベゼル3の位置決めができる。第2の弾性部材550は、パイプ541を軸方向に沿って付勢する。第2の弾性部材550が弾性変形すると、凹部21内をパイプ541が上下方向に移動する。これにより、パイプ541の移動量と、パイプ541に対する当接体543のストローク量と、を合わせた値が実施的な当接体543のストローク量となる。よって、従来技術と比較して、時計ケース2に対する当接体543のストローク量を大きくすることができる。第2の弾性部材550は、例えば当接体543と回転ベゼル3とが離間して上方からの押圧力が印加されなくなると、パイプ541を軸方向の上方に付勢する。これにより、パイプ541が回転ベゼル3に近接するように移動するので、当接体543と回転ベゼル3を接触させることができる。また、第2の弾性部材550は凹部21の底部22に接触するので、当接体543のストローク及びパイプ541の移動を、回転ベゼル3に追従するための動作として利用できる。よって、例えば時計ケース2と回転ベゼル3との隙間が大きくなった場合であっても、当接体543を回転ベゼル3に確実に当接させることができる。また、当接体543を大型化することなくストローク量を増大させることができる。
したがって、大型化を抑制しつつ、回転ベゼル3の空回りを抑制した回転ベゼル構造501を提供できる。
【0052】
(第6実施形態)
次に、本発明に係る第6実施形態について説明する。
図8は、第6実施形態に係る回転ベゼル構造601の断面図である。第6実施形態では、第2の弾性部材650としてコイルばね以外の部材を設けた点で上述した第5実施形態と相違している。
【0053】
第6実施形態において、クリックピンユニット604は、パイプ641と、弾性部材42と、1個の当接体643と、第2の弾性部材650と、を有する。パイプ641、弾性部材42及び当接体643の構成は第5実施形態におけるパイプ541、弾性部材42及び当接体543の構成と同様であるため、ここでは説明を省略する。第2の弾性部材650は、例えばゴム等の高い弾性係数を有する材料により形成されている。第2の弾性部材650は、凹部21に収容されている。第2の弾性部材650は、パイプ641と凹部21の底部22との間に配置されている。第2の弾性部材650は、パイプ641を軸方向に沿って付勢する。
第6実施形態の回転ベゼル構造601によれば、第2の弾性部材650としてコイルばね以外の部品を用いた場合であっても、第5実施形態と同等の作用、効果を奏することができる。
【0054】
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述の第2実施形態では、第一当接体43を球体状に形成し、第二当接体244をピン状に形成したが、これに限られない。第一当接体43をピン状に形成し、第二当接体44を球体状に形成してもよい。また、第一当接体43及び第二当接体44の両方をピン状に形成してもよい。但し、回転ベゼル3と当接する第一当接体43を球体状に形成することで、回転ベゼル3を回転させた際の回転ベゼル3と第一当接体43との摩擦を軽減できる点で、第一当接体43を球体状に形成した本実施形態の構成は優位性がある。
【0055】
弾性部材42の構成は、コイルばねに限定されない。例えばゴム等の高い弾性係数を有する材料により弾性部材42を構成してもよい。
第5実施形態において、弾性部材42と、第2の弾性部材550と、のバネ定数がそれぞれ異なるようにしてもよい。
【0056】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1,201,301,401,501,601 回転ベゼル構造
2 時計ケース
3 回転ベゼル
10 時計
11 ムーブメント
21 凹部
22,322 底部
33 溝
41 パイプ
42 弾性部材
42a 第一端部
42b 第二端部
43,543,643 第一当接体
44,244,444 第二当接体
251 頭部
252 胴体部