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特許7492909タイヤ状態監視システム、受信機、及び送信機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】タイヤ状態監視システム、受信機、及び送信機
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
B60C23/04 130D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020203025
(22)【出願日】2020-12-07
(65)【公開番号】P2022090558
(43)【公開日】2022-06-17
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】豊福 雅宣
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-153641(JP,A)
【文献】特開2000-092700(JP,A)
【文献】特開2011-055325(JP,A)
【文献】特開2018-121124(JP,A)
【文献】特開2005-329856(JP,A)
【文献】特開2019-216303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のタイヤに設置され、前記タイヤの状態を示す情報を取得し、前記タイヤの状態を示す情報を含む信号を繰り返し送信する送信機と、
前記車両の車体に設置され、前記信号を受信する受信機と、
を含み、
前記受信機は、
前記信号を常時受信可能な状態である第1受信モードと、前記信号を受信可能な状態とそれに続く受信しない状態とから成るサイクルを繰り返す第2受信モードとで、動作を切り替え可能であって、
前記第1受信モードでの動作中に、所定の期間継続して前記信号を受信しない場合に、前記第2受信モードに動作を切り替えるように構成され
前記送信機は、
第1時間間隔で前記信号を繰り返し送信する第1送信モードと、前記第1時間間隔より長い第2時間間隔で前記信号を繰り返し送信する第2送信モードとで、動作を切り替え可能であって、
前記第1送信モードでの動作中に、前記車両が停止していると判定した場合に、前記第2送信モードに動作を切り替えるように構成され、
前記第2送信モードにおいて送信される信号のデータ長は、前記第1送信モードにおいて送信される信号のデータ長よりも長い、タイヤ状態監視システム。
【請求項2】
前記送信機は、
前記車両の走行状態を示す情報を取得し、
前記車両の速度が第1期間継続して所定の速度以下である場合に、前記車両が停止していると判定する、請求項に記載のタイヤ状態監視システム。
【請求項3】
前記送信機は、前記第2送信モードでの動作中に、前記車両が停止していないと判定した場合に、前記第1送信モードに動作を切り替え、
前記送信機から送信される信号のデータ長は、前記送信機の動作が前記第2送信モードから前記第1送信モードに切り替わったのち所定の回数だけ、前記第2送信モードにおいて送信される信号のデータ長のままとされる、請求項に記載のタイヤ状態監視システム。
【請求項4】
前記信号には、前記送信機の動作状態を示す情報が含まれ、
前記受信機は、前記第2受信モードでの動作中に、受信した前記信号に含まれる前記送信機の動作状態を示す情報に基づいて、前記送信機が第1送信モードであると判定した場合に、前記第1受信モードに動作を切り替える、請求項1から3のいずれか一項に記載のタイヤ状態監視システム。
【請求項5】
前記受信機の前記第2受信モードにおける1つのサイクルの継続時間は、前記送信機が前記第2送信モードでの動作中に送信する前記信号の継続時間よりも短い、請求項1から4のいずれか一項に記載のタイヤ状態監視システム。
【請求項6】
前記信号の継続時間は、前記1つのサイクルの継続時間の1.5~2倍である、請求項に記載のタイヤ状態監視システム。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載のタイヤ状態監視システムに含まれる、送信機であって、
第1時間間隔で前記信号を繰り返し送信する第1送信モードと、前記第1時間間隔より長い第2時間間隔で前記信号を繰り返し送信する第2送信モードとで、動作を切り替え可能であって、
前記第1送信モードでの動作中に、前記車両が停止していると判定した場合に、前記第2送信モードに動作を切り替えるように構成され
前記第2送信モードにおいて送信される信号のデータ長は、前記第1送信モードにおいて送信される信号のデータ長よりも長い、送信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ状態監視システム、受信機、及び送信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、タイヤに設置されたセンサの情報をタイヤに設置された送信機から車両の車体に設置された受信機に送信することでタイヤの状態を監視するタイヤ状態監視システムが知られている。当該システムにおいて、低消費電力化のために、車両の動作状態に応じて、送信機又は受信機の動作状態を変更する技術が知られている。例えば、特許文献1には、車体に設置された車輪速センサで取得された情報に基づいて、送信機又は受信機の動作状態を変更するタイヤ空気圧監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-153641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、受信機が車両の動作状態に関する情報を車輪速センサなどの他の車載機器から受信するために、受信機を他の車載機器又はアクセサリー電源などに配線接続する必要があり、車体への受信機設置に大きな工数を要していた。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、車両への設置を容易にしつつ、消費電力を低減させることができる、タイヤ状態監視システム、受信機、及び送信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るタイヤ状態監視システムは、車両のタイヤに設置され、前記タイヤの状態を示す情報を取得し、前記タイヤの状態を示す情報を含む信号を繰り返し送信する送信機と、前記車両の車体に設置され、前記信号を受信する受信機と、を含み、前記受信機は、前記信号を常時受信可能な状態である第1受信モードと、前記信号を受信可能な状態とそれに続く受信しない状態とから成るサイクルを繰り返す第2受信モードとで、動作を切り替え可能であって、前記第1受信モードでの動作中に、所定の期間継続して前記信号を受信しない場合に、前記第2受信モードに動作を切り替えるように構成されている。
かかる構成によれば、受信機は、送信機以外の機器から情報を受信することなく、送信機から受信した信号に基づいて動作モードを切り替えることができる。したがって、タイヤ状態監視システムの車両への設置を容易にしつつ、消費電力を低減させることができる。
【0007】
本発明に係るタイヤ状態監視システムでは、前記送信機は、第1時間間隔で前記信号を繰り返し送信する第1送信モードと、前記第1時間間隔より長い第2時間間隔で前記信号を繰り返し送信する第2送信モードとで、動作を切り替え可能であって、前記第1送信モードでの動作中に、前記車両が停止していると判定した場合に、前記第2送信モードに動作を切り替えるように構成されていることが好ましい。かかる構成によれば、送信機の消費電力を低減させることができる。
【0008】
本発明に係るタイヤ状態監視システムでは、前記送信機は、前記車両の走行状態を示す情報を取得し、前記車両の速度が第1期間継続して所定の速度以下である場合に、前記車両が停止していると判定することが好ましい。かかる構成によれば、送信機は、簡易な構成で車両4が停止していることを判定することができる。
【0009】
本発明に係るタイヤ状態監視システムでは、前記第2送信モードにおいて送信される信号のデータ長は、前記第1送信モードにおいて送信される信号のデータ長よりも長いことが好ましい。かかる構成によれば、受信機は、消費電力を抑えた動作中においても、信号を受信し損なうことなく正確に受信することができる。
【0010】
本発明に係るタイヤ状態監視システムでは、前記送信機は、前記第2送信モードでの動作中に、前記車両が停止していないと判定した場合に、前記第1送信モードに動作を切り替え、前記送信機から送信される信号のデータ長は、前記送信機の動作が前記第2送信モードから前記第1送信モードに切り替わったのち所定の回数だけ、前記第2送信モードにおいて送信される信号のデータ長のままとされることが好ましい。かかる構成によれば、受信機は、動作モードの切り替え時においても、信号を受信し損なうことなく正確に受信することができる。
【0011】
本発明に係るタイヤ状態監視システムでは、前記信号には、前記送信機の動作状態を示す情報が含まれ、前記受信機は、前記第2受信モードでの動作中に、受信した前記信号に含まれる前記送信機の動作状態を示す情報に基づいて、前記送信機が第1送信モードであると判定した場合に、前記第1受信モードに動作を切り替えることが好ましい。かかる構成によれば、受信機は、受信機が信号を受信する頻度が増えると判定した場合に、受信機の動作モードを変更することができる。
【0012】
本発明に係るタイヤ状態監視システムでは、前記受信機の前記第2受信モードにおける1つのサイクルの継続時間は、前記送信機が前記第2送信モードでの動作中に送信する前記信号の継続時間よりも短いことが好ましい。かかる構成によれば、受信機は、第2受信モードでの動作中に、送信機が第2送信モードにおいて送信する信号を受信し損なうことなく正確に受信することができる。
【0013】
本発明に係るタイヤ状態監視システムでは、前記信号の継続時間は、前記1つのサイクルの継続時間の1.5~2倍であることが好ましい。かかる構成によれば、受信機に信号を正確に受信させることができる。
【0014】
本発明に係る受信機は、上述したタイヤ状態監視システムに含まれる、受信機であって、前記信号を常時受信可能な状態である第1受信モードと、前記信号を受信可能な状態とそれに続く受信しない状態とから成るサイクルを繰り返す第2受信モードとで、動作を切り替え可能であって、前記第1受信モードでの動作中に、所定の期間継続して前記信号を受信しない場合に、前記第2受信モードに動作を切り替えるように構成されている。
かかる構成によれば、受信機は、送信機以外の機器から情報を受信することなく、送信機から受信した信号に基づいて動作モードを切り替えることができる。そのため、タイヤ状態監視システムにおいて、受信機の車両への設置を容易にしつつ、消費電力を低減させることができる。
【0015】
本発明に係る送信機は、上述したタイヤ状態監視システムに含まれる、送信機であって、第1時間間隔で前記信号を繰り返し送信する第1送信モードと、前記第1時間間隔より長い第2時間間隔で前記信号を繰り返し送信する第2送信モードとで、動作を切り替え可能であって、前記第1送信モードでの動作中に、前記車両が停止していると判定した場合に、前記第2送信モードに動作を切り替えるように構成されている。
かかる構成によれば、タイヤ状態監視システムにおいて、受信機を、送信機以外の機器から情報を受信することなく、送信機から受信した信号に基づいて動作モードを切り替え可能な構成とすることができる。そのため、タイヤ状態監視システムにおける受信機の車両への設置が容易になる。また、タイヤ状態監視システムにおいて、送信機の消費電力を低減させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車両への設置を容易にしつつ、消費電力を低減させることができる、タイヤ状態監視システム、受信機、及び送信機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システムを概略的に示す、概略図である。
図2図1に含まれる、送信機の構成を概略的に示す、機能ブロック図である。
図3】送信機の動作を示すフローチャートである。
図4図1に含まれる、受信機の構成を概略的に示す、機能ブロック図である。
図5】受信機の動作を示すフローチャートである。
図6】第2受信モードにおける受信機の動作状態を概略的に示す、概略図である。
図7】本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システムの動作を概略的に示す、概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0019】
(タイヤ状態監視システムの構成)
図1を参照して、本実施形態に係るタイヤ状態監視システム1の概要について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1を概略的に示す、概略図である。タイヤ状態監視システム1には、送信機2と、受信機3と、が含まれる。
【0020】
タイヤ状態監視システム1は、車両4のタイヤ5の状態を監視するために用いられる。タイヤ5の状態は、例えば、タイヤの内圧、温度、又は歪み等であるが、これに限られない。
【0021】
車両4は、例えば、乗用車、トラック、バス、及び二輪車等の自動車である。ただし、車両4は、自動車に限られず、タイヤ5を有する任意の車両4であってもよい。
【0022】
タイヤ5は、例えば、空気入りタイヤである。かかる場合、タイヤ5はホイールのリムに装着され、規定内圧まで空気が充填される。ただし、タイヤ5には、空気に限られず、窒素等の気体、或いは液体又はゲル状物質等を含む、任意の流体が規定内圧まで充填されてもよい。
【0023】
送信機2は、車両4のタイヤ5に設置されている。例えば、送信機2は、タイヤ5のエアバルブと一体的に構成されることで、タイヤ5の内部空間に面するように設置されてもよい。送信機2は、タイヤ5の状態を示す情報を取得し、取得したタイヤ5の状態を示す情報を含む信号を無線により送信する。受信機3は、車両4の車体4Aに設置され、送信機2から送信された信号を受信する。なお、図1に示される車両4における、送信機2、受信機3、及びタイヤ5の位置及び数は一例であって、それらの用途等に応じて、それぞれ任意に定めることができる。例えば、車両4が備えるタイヤ5の数に応じて、複数の送信機2がタイヤ状態監視システム1に含まれてもよい。
【0024】
タイヤ状態監視システム1には、更に、車両4の車載装置6及びバッテリー7が含まれてもよい。車載装置6は、例えば、車両4の制御装置(ECU:Electronic Control Unit)、カーナビゲーションシステム等の、車両4に設置された任意のコンピュータであってもよい。車載装置6は、車両4に一体として設置されていてもよく、或いは着脱可能に設置されていてもよい。
【0025】
受信機3と車載装置6とは、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワーク又は専用線を介して、有線又は無線で互いに通信可能に接続されている。例えば、受信機3は、送信機2から受信したタイヤ5の状態を示す情報を車載装置6に送信する。これにより、車載装置6は、タイヤ5の状態を示す情報を車両4の運転手が閲覧可能なように表示させることができる。或いは、車載装置6は、タイヤ5の状態を示す情報に基づいて車両4を制御することができる。また、受信機3は、バッテリー7と直接接続されてもよい。これにより、電力供給を受けるために、受信機3をアクセサリー電源に配線する必要がなくなり、受信機3の車両4への設置が容易になる。特に、トラック等の大型車両では、アクセサリー電源への配線には、キャビンを上昇させることなど、高度な知識及び技術が必要であるため、有効である。
【0026】
次に、タイヤ状態監視システム1の送信機2及び受信機3について、詳細に説明する。
【0027】
(送信機の構成)
図2を参照して、本実施形態に係る送信機2の構成を説明する。図2は、送信機2の構成を概略的に示す、機能ブロック図である。図2に示されるように、送信機2は、第1センサ部21と、第2センサ部22と、通信部23と、記憶部24と、制御部25と、を備える。第1センサ部21、第2センサ部22、通信部23、記憶部24、及び制御部25は、有線又は無線により互いに通信可能に接続されている。
【0028】
第1センサ部21は、1つ以上のセンサを含む。第1センサ部21のセンサは、例えば、圧力センサ、温度センサ、歪みセンサ等である。これにより、第1センサ部21は、タイヤ5の内圧、温度又は歪み等、タイヤ5の状態を示す情報を取得する。第1センサ部21が備えるセンサは、上述したセンサに限られず、タイヤ5の状態を示す情報として取得すべき情報に応じて、任意に定められてもよい。
【0029】
第2センサ部22は、1つ以上のセンサを含む。第2センサ部22のセンサは、例えば、加速度センサ、角速度センサ等である。これにより、第2センサ部22は、加速度、角速度等、車両4の走行状態を示す情報を取得する。詳細は後述するが、第2センサ部22で取得された情報は、車両4の走行状態に応じて送信機2の動作モードを変更するために用いられる。第2センサ部22が備えるセンサは、上述したセンサに限られず、車両4の走行状態を示す情報として取得すべき情報に応じて、任意に定められてもよい。
【0030】
通信部23は、1つ以上の無線通信モジュールを含む。通信モジュールは、例えば、無線LAN(local area network)又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に対応した通信モジュールである。これにより、通信部23は、無線により、タイヤ5の状態を示す情報を含む信号を受信機3に送信する。
【0031】
記憶部24は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等である。記憶部24は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部24は、送信機2の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部24は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、又は組み込みソフトウェア等を記憶してもよい。また、記憶部24は、送信機2を複数の動作モードで動作させるために必要な情報を記憶してもよい。
【0032】
制御部25は、1つ以上のプロセッサを含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサ等であってもよい。制御部25は、プロセッサに限られず、1つ以上の専用回路を含んでもよい。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってもよい。
【0033】
制御部25は、上述した、第1センサ部21、第2センサ部22、通信部23、及び記憶部24等の構成要素の機能を含む、送信機2の機能を実現させるために、それぞれの構成要素を制御する。更に、制御部25は、送信機2の機能として、処理を実施した時刻を計測し、或いは所定の時間間隔で処理を実施するために、タイマ等の計時機能を備えている。
【0034】
図3を参照して、制御部25により送信機2の各機能を制御して実現される、送信機2の動作について、説明する。図3は、送信機2の動作を示すフローチャートである。本動作は、送信機2の制御方法に相当する。
【0035】
ステップS101において、制御部25は、タイヤ5の状態を示す情報を取得する。
【0036】
具体的には、制御部25は、第1センサ部21により、タイヤ5の状態を示す情報を取得する。タイヤ5の状態を示す情報は、例えば、圧力センサにより取得されたタイヤ5の内圧である。制御部25は、取得したタイヤ5の状態を示す情報を、当該情報の取得時刻と関連付けて記憶部24に記憶させてもよい。
【0037】
ステップS102において、制御部25は、車両4の走行状態を示す情報を取得する。
【0038】
具体的には、制御部25は、第2センサ部22により、車両4の走行状態を示す情報を取得する。車両4の走行状態を示す情報は、例えば、角速度センサにより取得されたタイヤ5の角速度である。制御部25は、取得した車両4の走行状態を示す情報を、当該情報の取得時刻と関連付けて記憶部24に記憶させてもよい。
【0039】
ステップS103において、制御部25は、車両4が停止しているか否かを判定する。例えば、制御部25は、車両4の速度が第1期間継続して所定の速度S以下である場合に、車両4が停止していると判定してもよい。第1期間は、例えば、15分である。所定の速度Sは、例えば、時速5kmである。ただし、第1期間及び所定の速度Sは、それぞれ任意に定められてもよい。
【0040】
より具体的には、制御部25は、第2センサ部22によって取得された車両4の走行状態を示す情報に基づいて、車両4の速度を算出する。制御部25は、算出した車両4の速度が第1期間継続して所定の速度S以下であるか否かを判定する。例えば、車両4の走行状態を示す情報がタイヤ5の角速度である場合、制御部25は、タイヤ5の角速度から車両4の速度を算出する。ただし、制御部25は、実際に車両4の速度を算出せずに、第2センサ部22によって取得された車両4の走行状態を示す情報が所定の閾値を超えるか否かを判定してもよい。例えば、車両4の走行状態を示す情報がタイヤ5の角速度である場合、制御部25は、タイヤ5の角速度が、第1期間継続して、所定の速度Sに相当する所定の角速度を超えない場合に、車両4が停止していると判定してもよい。
【0041】
一方で、制御部25は、算出した車両4の速度が所定の速度Sを超えた場合には、すぐに車両4が走行している、即ち、停止していないと判定してもよい。
【0042】
ステップS103において、車両4が走行している、即ち、車両4が停止していないと判定された場合(ステップS103-NO)、ステップS104において、制御部25は、タイヤ5の状態を示す情報を含む信号を、第1時間間隔で繰り返し送信する第1送信モード(通常送信モード)で送信機2を動作させる。第1送信モードは、車両4の走行中など、タイヤの状態に変化が生じ得る状況において、タイヤ5の状態を示す情報を含む信号を繰り返し送信するモードである。第1時間間隔は、例えば、1~10分ごとである。ただし、第1時間間隔は、1~10分以外の任意の時間間隔であってもよい。
【0043】
具体的には、制御部25は、最後に信号が送信されてから第1時間が経過したか否かを判定する。制御部25は、最後に信号が送信されてから第1時間が経過したと判定した場合、第1センサ部21によって取得されたタイヤ5の状態を示す情報を含む信号を生成する。信号は、タイヤ5の状態を示す情報に加え、プリアンブル、送信機2の動作モードを示す情報(例えば、本ステップでは、「第1送信モード」を示す値が設定されたフラグ)、及び送信機2を一意に示す識別子(例えば、送信機IDなど)を含んでもよい。プリアンブルは、信号で送信されるデータ本体の開始位置を定義し、通信の同期をとるためにデータ本体の前に設定される、ビット列等のデータである。第1送信モードにおいて、プリアンブルのデータ長は、例えば、10kbpsのデータ速度で送信する場合には、2~5msのデータ長とされる。
【0044】
制御部25は、通信部23を制御して、生成した信号を送信する。制御部25は、信号を送信した場合、信号を送信した時刻を、最後に信号が送信された時刻として、記憶部24に記憶し、ステップS101からの処理を繰り返す。制御部25は、最後に信号が送信された時刻と関連付けて、送信時の送信機2の動作モード及び送信された信号の内容等を、記憶部24に記憶してもよい。
【0045】
一方で、制御部25は、最後に信号が送信されてから第1時間が経過していないと判定した場合、信号の生成及び送信を行わずに、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0046】
ステップS103において、車両4が停止している、即ち、車両4が走行していないと判定された場合(ステップS103-YES)、ステップS105において、制御部25は、タイヤ5の状態を示す情報を含む信号を、第1時間間隔より長い第2時間間隔で繰り返し送信する第2送信モード(省電力モード)で送信機2を動作させる。第2送信モードは、車両4の停止中など、タイヤの状態に変化が生じにくい状況において、タイヤ5の状態を示す情報を含む信号を第1送信モードよりも長い間隔で送信するモードである。第2時間間隔は、例えば、1時間ごとである。ただし、第2時間間隔は、1時間以外の、第1時間間隔より長い任意の時間間隔であってもよい。
【0047】
具体的には、制御部25は、最後に信号が送信されてから第2時間が経過したか否かを判定する。制御部25は、最後に信号が送信されてから第2時間が経過したと判定した場合、第1センサ部21によって取得されたタイヤ5の状態を示す情報を含む信号を生成する。信号は、タイヤ5の状態を示す情報に加え、プリアンブル、送信機2の動作モードを示す情報(例えば、本ステップでは、「第2送信モード」を示す値が設定されたフラグ)、及び送信機2を一意に示す識別子を含んでもよい。
【0048】
第2送信モードにおいて送信される信号のデータ長は、第1送信モードにおいて送信される信号のデータ長よりも長くされる。すなわち、第2送信モードにおいて送信される信号の継続時間は、第1送信モードにおいて送信される信号の継続時間よりも長くされる。例えば、第2送信モードにおける信号に含まれるプリアンブルを、ロングプリアンブルとし、第1送信モードにおける信号に含まれるプリアンブルよりも長くすることで信号のデータ長が長くされてもよい。これにより、送信機2は、受信機3が消費電力を抑えた動作中においても、受信機3に、信号を受信し損なうことなく正確に受信させることができる。例えば、第2送信モードにおける信号のデータ長は、第1送信モードにおける信号のデータ長の1倍から1.4倍の範囲の長さにされてもよい。そのために、第2送信モードにおける信号のプリアンブルは、第1送信モードにおける信号のプリアンブルよりも、例えば、10kbpsのデータ速度で送信する場合において200ms程度、長いデータ長とされる。
【0049】
送信機2から送信される信号のデータ長は、送信機2の動作が第2送信モードから第1送信モードに切り替わったのち所定の回数だけ、第2送信モードにおいて送信される信号のデータ長のままとされてもよい。所定の回数は、例えば、2回であるが、これに限られない。これにより、送信機2の動作が第2送信モードから第1送信モードに切り替わってから、受信機3が第2受信モードから第1受信モードに切り替わるまでにタイムラグが発生した場合においても、受信機3に、信号を受信し損なうことなく正確に受信させることができる。
【0050】
制御部25は、通信部23を制御して、生成した信号を送信する。制御部25は、信号を送信した場合、信号を送信した時刻を、最後に信号が送信された時刻として、記憶部24に記憶し、ステップS101からの処理を繰り返す。制御部25は、最後に信号が送信された時刻と関連付けて、送信時の送信機2の動作モード及び送信された信号の内容等を、記憶部24に記憶してもよい。
【0051】
一方で、制御部25は、最後に信号が送信されてから第2時間が経過していないと判定した場合、信号の生成及び送信を行わずに、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0052】
(受信機の構成)
図4を参照して、本実施形態に係る受信機3の構成を説明する。図4は、受信機3の構成を概略的に示す、機能ブロック図である。図4に示されるように、受信機3は、通信部31と、記憶部32と、制御部33と、を備える。通信部31、記憶部32、及び制御部33は、有線又は無線により互いに通信可能に接続されている。
【0053】
通信部31は、1つ以上の無線通信モジュールを含む。通信モジュールは、例えば、無線LAN又はBluetooth等の通信規格に対応した通信モジュールである。これにより、通信部31は、送信機2から送信された、タイヤ5の状態を示す情報を含む信号を、無線により、受信する。
【0054】
記憶部32は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等である。記憶部32は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部32は、受信機3の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部32は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、又は組み込みソフトウェア等を記憶してもよい。また、記憶部32は、受信機3を複数の動作モードで動作させるために必要な情報を記憶してもよい。
【0055】
制御部33は、1つ以上のプロセッサを含む。プロセッサは、例えば、CPU等の汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサ等であってもよい。制御部33は、プロセッサに限られず、1つ以上の専用回路を含んでもよい。専用回路は、例えば、FPGA、又はASICであってもよい。
【0056】
制御部33は、上述した、通信部31及び記憶部32等の構成要素の機能を含む、受信機3の機能を実現させるために、それぞれの構成要素を制御する。更に、制御部33は、受信機3の機能として、処理を実施した時刻を計測し、或いは所定の時間間隔で処理を実施するために、タイマ等の計時機能を備えている。
【0057】
図5を参照して、制御部33により受信機3の各機能を制御して実現される、受信機3の動作について、説明する。図5は、受信機3の動作を示すフローチャートである。本動作は、受信機3の制御方法に相当する。
【0058】
ステップS201において、制御部33は、信号を常時受信可能な状態である第1受信モード(通常受信モード)で受信機3を動作させる。第1受信モードは、車両4の走行中など、タイヤの状態に変化が生じ得る状況において、送信機2から高頻度で送信されるタイヤ5の状態を示す情報を含む信号を繰り返し受信するモードである。受信機3の第1受信モードは、送信機2の第1送信モードに対応する動作モードである。
【0059】
具体的には、制御部33は、通信部31を制御して、信号を常時受信可能な状態にする。これにより、制御部33は、送信機2からタイヤ5の状態を示す情報を含む信号が送信された場合に、いつでも通信部31により信号を受信することができる。制御部33は、信号を受信した場合、受信した信号を記憶部32に記憶する。制御部33は、更に、当該信号を受信した時刻を、最後に信号が受信された時刻として、記憶部32に記憶する。
【0060】
ステップS202において、制御部33は、第2期間継続して信号を受信していないか否かを判定する。第2期間は、例えば、15分以上である。第2期間は、第1送信モードにおいて送信機2が信号を送信する時間間隔である第1時間間隔よりも長い時間とされ、第2送信モードにおいて送信機2が信号を送信する時間間隔である第2時間間隔よりも短い時間とされる。本実施形態では、第2期間は、上述した第1期間と等しいものとするが、第1期間と異なっていてもよい。
【0061】
具体的には、制御部33は、最後に信号が受信された時刻からの経過時間を計測する。制御部33は、最後に信号が受信された時刻から第2期間が経過したと判定された場合に、第2期間継続して信号を受信していないと判定する。
【0062】
ステップS202において、最後に信号が受信された時刻から第2期間が経過していないと判定された場合(ステップS202-NO)、制御部33は、受信機3を第1受信モードで動作させたまま、ステップS201からの処理を繰り返す。
【0063】
ステップS202において、最後に信号が受信された時刻から第2期間が経過したと判定された場合(ステップS202-YES)、ステップS203において、制御部33は、信号を受信可能な状態とそれに続く受信しない状態とから成るサイクルを繰り返す第2受信モード(間欠受信モード)で受信機3を動作させる。第2受信モードは、車両4の停止中など、タイヤの状態に変化が生じにくい状況において、送信機2から低頻度で送信されるタイヤ5の状態を示す情報を含む信号を繰り返し受信するモードである。受信機3の第2受信モードは、送信機2の第2送信モードに対応する動作モードである。これにより、制御部33は、送信機2が第1送信モードから第2送信モードに切り替わったことの通知を受けずとも、受信機3の動作を第1受信モードから第2受信モードに切り替えることができる。
【0064】
図6を参照して、受信機3の第2受信モードについて、より詳細に説明する。図6は、第2受信モードにおける受信機3の動作状態を概略的に示す、概略図である。図6において、制御部33は、信号を受信可能な状態と受信しない状態とから成るサイクルを繰り返すように受信機3を動作させる。
【0065】
具体的には、図6に示されるように、制御部33は、通信部31を制御して、継続時間TONの間、信号を受信可能な状態にする。次に、制御部33は、通信部31を制御して、継続時間TOFFの間、信号を受信しない状態にする。これらの処理を繰り返すことで、制御部33は、信号を受信可能な状態と受信しない状態とから成るサイクルを、継続時間TTOTAL(TON+TOFF=TTOTAL)で繰り返すように受信機3を動作させる。例えば、制御部33は、通信部31を起動させることで、通信部31が信号を受信可能な状態にし、通信部31を停止させることで、通信部31が信号を受信しない状態にしてもよい。継続時間TONは、例えば、10msである。継続時間TOFFは、例えば、50ms~150msである。このように、制御部33は、受信機3の機能を一部制限する期間を設けることで、受信機3の消費電力を抑えることができる。
【0066】
ここで、1つのサイクルの継続時間TTOTALは、第2送信モードにおいて送信機2により送信される信号の継続時間よりも短くされる。より好ましくは、1つのサイクルの継続時間TTOTALは、第2送信モードにおいて送信機2により送信される信号のプリアンブルよりも短くされる。これにより、受信機3は、第2受信モードにおいて、送信機2が第2送信モードにおいて送信する信号を受信し損なうことなく正確に受信することができる。例えば、第2送信モードにおける信号の継続時間は、1つのサイクルの継続時間TTOTALの1.5~2倍とされてもよい。これにより、受信機3に信号を正確に受信させつつ、送信機2の消費電力を抑えることができる。
【0067】
再び図5を参照して、ステップS204において、制御部33は、送信機2から受信した信号に基づいて、送信機2が第1送信モードで動作しているか否かを判定する。
【0068】
具体的には、制御部33は、送信機2から受信した信号に含まれる、送信機2の動作モードを示す情報に基づいて、送信機2が第1送信モードで動作しているか否かを判定する。
【0069】
ステップS204において、受信機3が第2受信モードでの動作中に、送信機2が第1送信モードで動作していると判定された場合(ステップS204-YES)、制御部33は、ステップS201からの処理を繰り返して、受信機3を第2受信モードから第1受信モードに切り替える。
【0070】
一方で、ステップS204において、送信機2が第1送信モードで動作していないと判定された場合(ステップS204-NO)、制御部33は、受信機3を第2受信モードで動作させたまま、ステップS203からの処理を繰り返す。
【0071】
(タイヤ状態監視システムの動作)
図7を参照して、本実施形態におけるタイヤ状態監視システム1の動作を説明する。図7は、タイヤ状態監視システム1の動作を概略的に示す、概略図である。本動作では、タイヤ状態監視システム1は、タイヤ5の状態を示す情報の一例として、タイヤ5に充填された空気の内圧を監視するために用いられるものとする。かかる場合、タイヤ状態監視システム1は、タイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)とも称される。
【0072】
時点T0において、車両4は停止しており、送信機2は、第2送信(省電力)モードで、受信機3は、第2受信(間欠受信)モードで、それぞれ動作しているものとする。具体的には、送信機2は、第2送信モードにおいて、タイヤ5の状態を示す情報を含む信号を、第2時間間隔で繰り返し送信する。受信機3は、第2受信モードにおいて、信号を受信可能な状態と受信しない状態とを所定の時間間隔で繰り返す。
【0073】
時点T1において、車両4はまだ停止したままであり、送信機2の制御部25は、第2センサ部22により取得された、車両4の走行状態を示す情報に基づいて、車両4が停止していると判定する。送信機2の制御部25は、送信機2を第2送信モードで動作させたままとし、タイヤ5の状態を示す情報を含む信号を、第2時間間隔で繰り返し送信する。受信機3の制御部33は、送信機2から信号を受信し、受信した信号に含まれる、送信機2の動作モードを示す情報に基づいて、送信機2が第2送信モードで動作していると判定する。このため、受信機3の制御部33は、受信機3を第2受信モードで動作させたままとする。
【0074】
その後、車両4が走行を開始し、時点T2において、車両4の速度が所定の速度Sを超えた場合に、送信機2の制御部25は、第2センサ部22により取得された、車両4の走行状態を示す情報に基づいて、車両4が走行していると判定する。これにより、送信機2の制御部25は、送信機2の動作を第2送信モードから第1送信(通常)モードに切り替え、タイヤ5の状態を示す情報を含む信号を、第1時間間隔で繰り返し送信する。具体的には、送信機2の制御部25は、最後に信号を送信してから第1時間が経過したと判定した場合に、タイヤ5の状態を示す情報を含む信号を送信する。この時、送信機2の制御部25は、送信する信号のデータ長を、所定の回数(本実施例では2回)だけ、第2送信モードにおいて送信される信号のデータ長のままとする。そして、時点T3において、受信機3の制御部33は、送信機2から信号を受信し、受信した信号に含まれる、送信機2の動作モードを示す情報に基づいて、送信機2が第1送信モードで動作していると判定する。これにより、受信機3の制御部33は、信号を常時受信可能な状態である第1受信モードで受信機3を動作させる。
【0075】
時点T4において、車両4は走行したままであり、送信機2の制御部25は、第2センサ部22により取得された、車両4の走行状態を示す情報に基づいて、車両4が走行していると判定する。送信機2の制御部25は、送信機2を第1送信モードで動作させたままとし、タイヤ5の状態を示す情報を含む信号を、第1時間間隔で繰り返し送信する。受信機3の制御部33は、送信機2から信号を受信し、受信した信号に含まれる、送信機2の動作モードを示す情報に基づいて、送信機2が第1送信モードで動作していると判定する。受信機3の制御部33は、受信機3を第1受信モードで動作させたままとする。
【0076】
その後、車両4は減速し、時点T5において、車両4の速度が所定の速度Sを下回る。そして、時点T6において、送信機2の制御部25は、第2センサ部22により取得された、車両4の走行状態を示す情報に基づいて、車両4の速度が第1期間継続して所定の速度S以下であるため、車両4が停止していると判定する。これにより、送信機2の制御部25は、送信機2の動作を第1送信モードから第2送信モードに切り替え、タイヤ5の状態を示す情報を含む信号を、第2時間間隔で繰り返し送信する。具体的には、送信機2の制御部25は、最後に信号を送信してから第2時間が経過したと判定した場合に、タイヤ5の状態を示す情報を含む信号を送信する。
【0077】
時点T7において、受信機3の制御部33は、最後に信号が受信された時刻から第2期間が経過すると、第2期間継続して信号を受信していないと判定する。これにより、受信機3の制御部33は、受信機3の動作を第1受信モードから第2受信モードに切り替える。このようにして、タイヤ状態監視システム1において、送信機2及び受信機3は、それぞれの動作を切り替えることができる。
【0078】
以上述べたように、本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1は、車両4のタイヤ5に設置され、タイヤ5の状態を示す情報を取得し、タイヤ5の状態を示す情報を含む信号を繰り返し送信する送信機2と、車両4の車体4Aに設置され、信号を受信する受信機3と、を含み、受信機3は、信号を常時受信可能な状態である第1受信モードと、信号を受信可能な状態とそれに続く受信しない状態とから成るサイクルを繰り返す第2受信モードとで、動作を切り替え可能であって、第1受信モードでの動作中に、所定の期間継続して信号を受信しない場合に、第2受信モードに動作を切り替えるように構成されている。かかる構成によれば、受信機3は、送信機2以外の他の機器から情報を受信することなく、送信機から受信した信号に基づいて動作モードを切り替えることができる。そのため、受信機3が動作モードの切り替えに用いる情報を車輪速センサなどの他の車載機器から受信するために、受信機3を他の車載機器又はアクセサリー電源などに配線接続する必要がなくなる。したがって、タイヤ状態監視システム1の車両4への設置を容易にしつつ、消費電力を低減させることができる。
【0079】
本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1では、送信機2は、第1時間間隔で信号を繰り返し送信する第1送信モードと、第1時間間隔より長い第2時間間隔で信号を繰り返し送信する第2送信モードとで、動作を切り替え可能であって、第1送信モードでの動作中に、車両4が停止していると判定した場合に、第2送信モードに動作を切り替えるように構成されている。かかる構成によれば、タイヤ状態監視システム1において、車両4の停止中など、タイヤの状態に変化が生じにくい状況において、タイヤ5の状態を示す情報を含む信号の送信間隔を長くすることで、送信機2の消費電力を低減させることができる。
【0080】
本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1では、送信機2は、車両4の走行状態を示す情報を取得し、車両4の速度が第1期間継続して所定の速度以下である場合に、車両4が停止していると判定することが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ状態監視システム1において、送信機2は、簡易な構成で車両4が停止していることを判定することができ、タイヤ状態監視システム1を安価で提供することができる。
【0081】
本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1では、第2送信モードにおいて送信される信号のデータ長は、第1送信モードにおいて送信される信号のデータ長よりも長いことが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ状態監視システム1において、受信機3は、消費電力を抑えた動作中においても、信号を受信し損なうことなく正確に受信することができる。
【0082】
本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1では、送信機2は、第2送信モードでの動作中に、車両4が停止していないと判定した場合に、第1送信モードに動作を切り替え、送信機2から送信される信号のデータ長は、送信機2の動作が第2送信モードから第1送信モードに切り替わったのち所定の回数だけ、第2送信モードにおいて送信される信号のデータ長のままとされることが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ状態監視システム1において、送信機2の動作が第2送信モードから第1送信モードに切り替わってから、受信機3が第2受信モードから第1受信モードに切り替わるまでにタイムラグが発生した場合においても、受信機3は、信号を受信し損なうことなく正確に受信することができる。
【0083】
本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1では、信号には、送信機2の動作状態を示す情報が含まれ、受信機3は、第2受信モードでの動作中に、受信した信号に含まれる送信機2の動作状態を示す情報に基づいて、送信機2が第1送信モードであると判定した場合に、第1受信モードに動作を切り替えることが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ状態監視システム1において、受信機3は、受信機3が信号を受信する頻度が増えると判定した場合に、受信機3の動作モードを変更することで、信号を受信し損なうことなく正確に受信することができる。特に、受信機3は、当該判定に用いられる情報を、送信機2から受信することで、車両4の動作状態に関する情報を取得するために、受信機3を他の車載機器又はアクセサリー電源などに配線接続する必要がないため、受信機3の車両4への設置を容易にすることができる。
【0084】
本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1では、受信機3の第2受信モードにおける1つのサイクルの継続時間は、送信機2が第2送信モードでの動作中に送信する信号の継続時間よりも短いことが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ状態監視システム1において、受信機3は、第2受信モードにおいて、送信機2が第2送信モードにおいて送信する信号を受信し損なうことなく正確に受信することができる。
【0085】
本発明の一実施形態に係るタイヤ状態監視システム1では、送信機2が第2送信モードでの動作中に送信する信号の継続時間は、受信機3の第2受信モードにおける1つのサイクルの継続時間の1.5~2倍であることが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ状態監視システム1において、受信機3に信号を正確に受信させることができる。
【0086】
本発明の一実施形態に係る受信機3は、タイヤ状態監視システム1に含まれる、受信機3であって、信号を常時受信可能な状態である第1受信モードと、信号を受信可能な状態とそれに続く受信しない状態とから成るサイクルを繰り返す第2受信モードとで、動作を切り替え可能であって、第1受信モードでの動作中に、所定の期間継続して信号を受信しない場合に、第2受信モードに動作を切り替えるように構成されている。かかる構成によれば、受信機3は、送信機2以外の機器から情報を受信することなく、送信機2から受信した信号に基づいて動作モードを切り替えることができる。そのため、タイヤ状態監視システム1において、受信機3の車両4への設置を容易にしつつ、消費電力を低減させることができる。
【0087】
本発明の一実施形態に係る送信機2は、タイヤ状態監視システム1に含まれる、送信機2であって、第1時間間隔で信号を繰り返し送信する第1送信モードと、第1時間間隔より長い第2時間間隔で信号を繰り返し送信する第2送信モードとで、動作を切り替え可能であって、第1送信モードでの動作中に、車両4が停止していると判定した場合に、第2送信モードに動作を切り替えるように構成されている。かかる構成によれば、タイヤ状態監視システム1において、受信機3を、送信機2以外の機器から情報を受信することなく、送信機2から受信した信号に基づいて動作モードを切り替え可能な構成とすることができる。そのため、タイヤ状態監視システム1における受信機3の車両4への設置が容易になる。また、タイヤ状態監視システム1において、送信機2の消費電力を低減させることができる。
【0088】
本発明を諸図面及び実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本発明に基づき種々の変形及び修正を行うことが可能であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各実施形態又は各実施例に含まれる構成又は機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能である。また、各実施形態に含まれる構成又は機能等は、他の実施形態又は他の実施例に組み合わせて用いることができ、複数の構成又は機能等を1つに組み合わせたり、分割したり、或いは一部を省略したりすることが可能である。
【0089】
例えば、上述した実施形態において、送信機2の機能又は受信機3の機能として説明された機能又は処理の全部又は一部は、プログラムにより実現され得る。プログラムは、コンピュータで読取り可能な非一時的記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読取り可能な非一時的記録媒体は、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又は半導体メモリである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記録したDVD(digital versatile disc)又はCD-ROM(compact disc read only memory)などの可搬型記録媒体を販売、譲渡、又は貸与することにより行われる。或いは、プログラムを所定のサーバのストレージに格納しておき、所定のサーバから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムを流通させることができる。プログラムはプログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0090】
送信機2又は受信機3のプロセッサは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラム又は所定のサーバから転送されたプログラムを、一旦、メモリに格納する。そして、プロセッサは、メモリに格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。プログラムには、プロセッサによる処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものが含まれる。例えば、プロセッサに対する直接の指令ではないがプロセッサの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0091】
また例えば、上述した実施形態において、送信機2の機能又は処理として説明された機能又は処理の全部又は一部が、受信機3の機能又は処理として実現されてもよい。かかる場合、実施形態に係る送信機2の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、受信機3が備えるメモリ等に記憶させ、受信機3のプロセッサ等によって当該プログラムを読み出して実行させてもよい。同様に、受信機3の機能又は処理として説明された機能又は処理の全部又は一部が、送信機2の機能又は処理として実現されてもよい。
【0092】
また例えば、上述した実施形態において、送信機2は、第1センサ部21と第2センサ部22とを備え、第1センサ部21により、タイヤ5の状態を示す情報を取得し、第2センサ部22により、車両4の走行状態を示す情報を取得するものとして説明した。しかしながら、送信機2は、1つのセンサにより、タイヤ5の状態を示す情報と車両4の走行状態を示す情報とを取得してもよい。或いは、送信機2は、第1センサ部21又は第2センサ部22を備えず、タイヤ5に設置された第1センサ部21又は第2センサ部22と通信可能に接続されることで、タイヤ5の状態を示す情報又は車両4の走行状態を示す情報を取得してもよい。
【符号の説明】
【0093】
1:タイヤ状態監視システム、 2:送信機、 21:第1センサ部、 22:第2センサ部、 23:通信部、 24:記憶部、 25:制御部、 3:受信機、 31:通信部31、 32:記憶部、 33:制御部、 4:車両、 4A:車体、 5:タイヤ、 6:車載装置、 7:バッテリー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7