(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】暖房装置
(51)【国際特許分類】
F24H 3/04 20220101AFI20240523BHJP
【FI】
F24H3/04 301
(21)【出願番号】P 2021046366
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】松本 悠介
(72)【発明者】
【氏名】藤田 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】赤佐 星次
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-045356(JP,A)
【文献】特開2003-161531(JP,A)
【文献】特開2005-273921(JP,A)
【文献】実開昭57-038105(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 3/00 - 3/12
F24H 9/02 - 9/14
F24C 1/00 - 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と、該器具本体を載置する置台と、燃焼を行う燃焼部と、この燃焼で発生した燃焼ガスにより加熱される赤熱筒と、該赤熱筒を内設した外筒と、前記外筒が連接される放熱器と、一端が前記放熱器に接続され他端が屋外に排気を行う排気筒と接続された排気エルボと、前記外筒の背面側を囲った反射板と、前記反射板の後方で前記器具本体背面に取り付けられた温風ファンとを備え、前記排気エルボは前記器具本体背面と前記反射板との間の空間に位置し、前記器具本体正面上部に吹出口を設けた暖房装置に於いて、前記反射板の前記排気エルボの前方に位置する部分の上部に、縦長の円孔を複数形成した通気部を設けたことを特徴とする暖房装置。
【請求項2】
前記通気部は、前記排気エルボと前記放熱器との接続箇所の高さ位置に配したことを特徴とする請求項1記載の暖房装置。
【請求項3】
前記置台の前記排気エルボの下方に位置する部分を置台遮熱板で覆うことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、輻射暖房と温風暖房の両方で良好な暖房効果を得ることが出来る暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものにおいては、燃焼部での燃焼で発生した燃焼ガスを、燃焼部と放熱器を結ぶ密閉構造の燃焼室を構成した透明の外筒を通過させて、外筒内方に備えられた赤熱筒を加熱して赤熱状態とし、該赤熱筒の外筒周囲を囲った反射板で反射し、前面から放射して輻射暖房を行いながら、外筒を通過した燃焼ガスを外筒上方の放熱器内に流通させ、この放熱器に温風ファンによる室内空気の送風を行い、放熱器との熱交換によって温風にして本体前面の吹出口から放出し、室内を温風で暖房するものがあった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、屋外に燃焼ガスを排気する排気筒と放熱換器とを連通する排気エルボが器具内に配置されているが、例えば正面から見て排気エルボが外筒の左側に配置されていると、器具背面に設けられている温風ファンが外筒の右側にずれて設けられるため、正面から見て外筒の右側を流れる空気量よりも外筒の左側を流れる空気量が少なくなって外筒の左側の空間の温度が高くなり、更にその高温の空気が器具の左側の下部に流れて、器具本体を載置する置台に形成されている孔から床に流れてその床の温度が高くなってしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、器具本体と、該器具本体を載置する置台と、燃焼を行う燃焼部と、この燃焼で発生した燃焼ガスにより加熱される赤熱筒と、該赤熱筒を内設した外筒と、前記外筒が連接される放熱器と、一端が前記放熱器に接続され他端が屋外に排気を行う排気筒と接続された排気エルボと、前記外筒の背面側を囲った反射板と、前記反射板の後方で前記器具本体背面に取り付けられた温風ファンとを備え、前記排気エルボは前記器具本体背面と前記反射板との間の空間に位置し、前記器具本体正面上部に吹出口を設けた暖房装置に於いて、前記反射板の前記排気エルボの前方に位置する部分の上部に、縦長の円孔を複数形成した通気部を設けたものである。
【0006】
また、請求項2では、前記通気部は、前記排気エルボと前記放熱器との接続箇所の高さ位置に配したものである。
【0007】
また、請求項3では、前記置台の前記排気エルボの下方に位置する部分を置台遮熱板で覆うものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の請求項1によれば、反射板の排気エルボの前方に位置する部分の上部に縦長の円孔を複数形成した通気部を設けたので、排気エルボ付近の高温の空気が通気部から器具正面に流れて排気エルボ付近に高温の空気が留まることがなく、排気エルボ付近の空気の温度を下げることができるものである。
又、通気部を縦長の円孔で複数形成して設けたので、排気エルボが見えにくく、見た目が悪くなるのを防止できるものである。
【0009】
また、請求項2によれば、反射板で排気エルボと放熱器との接続箇所の高さ位置に、縦長の円孔を複数形成した通気部を設けたので、放熱器から排気エルボへと流れる燃焼ガスにより最初に加熱され最も高温となる排気エルボと放熱器との接続箇所を空気が通過して通気部に流れ、効率よく排気エルボ付近の空気の温度を下げることができるものである。
【0010】
また、請求項3によれば、置台の排気エルボの下方に位置する部分を置台遮熱板で覆うので、置台に形成されている孔から床に空気が流れず、床の温度が高くなってしまうのを防止でき、更に排気エルボの下方に位置する置台の孔から空気が流れなくなることで、反射板の通気部からより空気が流れるようにできるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態を示す暖房装置の正面斜視図。
【
図7】同置台遮熱板を取り付けた置台を説明する平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
?次に、この発明を適用した暖房装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
??1は温風と輻射による暖房を行う縦長の器具本体、2は暖房運転の開始や暖房運転における火力等の設定が可能なボタンを複数備えた操作部、3は通常の暖房運転時に設定温度や室内温度を表示し、異常発生時に所定のエラーコードを表示して使用者に異常内容を報知する表示部、4は器具本体1の前面に設置された前面板5の上部に形成され温風を室内に吹き出す吹出口である。
【0013】
6はポット式の燃焼部で、燃料を燃焼させるバーナとしての有底筒状に形成されたポットバーナ7内に電磁ポンプ8にて燃油を供給すると共に、燃焼ファン(図示せず)により空気が供給される。
ポットバーナ7内に供給された燃油は、棒状のセラミックヒータで構成される点火ヒータ(図示せず)により予熱されて気化し、更に気化した燃油が点火され、燃焼ファンによって送られる燃焼用空気により燃焼を継続するものである。
【0014】
9は燃焼部6で加熱され赤熱する赤熱筒、10は前記赤熱筒9の周囲を覆う耐熱性のガラスからなる外筒、11は前記外筒10の背面側に備えられた反射板であり、前記赤熱筒9の赤熱状態を反射させて室内に放射して輻射暖房を行うものである。
12は反射板11の正面視左上方に形成された通気部で、複数の縦長の円孔13を千鳥状に配置して設けられているもので、後述する排気エルボ17と放熱器16との接続箇所の高さ位置に設けたものである。
14は反射板11と一体に設けられた水平反射板で、器具本体1内を上下に仕切るもので、略中央に形成した外筒用孔15から外筒10が立設しているものである。
【0015】
16は前記外筒10の上方に備えられた放熱器であり、この放熱器16の下部中央に設けられた接続筒16aにより前記外筒10が接続され、赤熱筒9通過後の燃焼ガスが内部を流通して室内空気と熱交換し、器具本体1の前面に設置された前面板5の上部に形成された吹出口4から温風が室内に送風されることで、輻射暖房と共に温風暖房を行うものである。
ここで、前記通気部12は、前記反射板11の前記接続筒16aに対応する高さに位置しているものである。
【0016】
17は略L字状の排気エルボで、反射板11と器具本体1の背面板18との間に配置され、器具本体1正面視で外筒10の左側に位置しているもので、一端が放熱器16に接続され、他端が器具本体1の背面に設けられた給排気筒(図示せず)の排気筒に接続され、放熱器16で室内空気と熱交換された排ガスを室外に放出するものである。
【0017】
19は器具本体1の背面板18に設置されファンガード20で周囲を覆われた温風ファンで、操作部2で設定された火力に応じて所定の回転数で駆動し、放熱器16で加熱された空気を温風として吹出口4から室内に送風する。
尚、器具本体1正面視で外筒10の左側に排気エルボ17が位置しているため、器具本体1が大きくならないように温風ファン19を配置すると、
図4に示すように外筒10の中心に対して温風ファン19の中心が排気エルボ17から離れる方向にAほどずれて配置されるものである。
【0018】
21は器具本体1が載置される置台で、部品を固定するための切り欠きを設けるために切り欠き孔22が複数形成されており、排気エルボ17が位置する側の切り欠き孔22は置台遮熱板23にて塞がれているものである。
【0019】
次に本実施形態の動作について説明する。
??暖房器具が停止している状態でユーザが操作部2の運転スイッチを押下すると、点火ヒータが通電され、燃焼ファンが低速で駆動されるとともに、ポットバーナ7の温度が徐々に上昇される。次に、点火ヒータの通電後に所定時間が経過し、かつ、ポットバーナ7の温度が所定温度以上になると、電磁ポンプ8の駆動が開始されるとともに、燃焼ファンの回転速度が若干増加される。そして電磁ポンプ8から送油された燃油は、点火ヒータによって気化されるとともに点火される。
【0020】
??その後、電磁ポンプ8の送油油量および燃焼ファンの回転速度が段階的に引き上げられ、その過程で、ポットバーナ7の温度が高くなると、点火ヒータを通電せずとも燃焼を継続できるため、点火ヒータはオフ状態にされる。そして着火動作が終了すると、操作部2にてユーザに指定された室温が実現するように、現在の室温等の条件に応じて電磁ポンプ8の送油油量が自動的に制御される本燃焼に移行する。
【0021】
そして、燃焼ガスはポットバーナ7から上昇して外筒10内を通過して放熱器16に流れていき、この時、外筒10内の赤熱筒9が燃焼ガスにより加熱されて輻射熱を発するものである。
放熱器16に流れた燃焼ガスは排気エルボ17内を通過して給排気筒の排気筒から室外に放出するものである。
【0022】
この時、高温の排気ガスにより放熱器16や排気エルボ17が高温となるが、器具本体1の背面板18に設置された温風ファン19が駆動されて放熱器16や排気エルボ17に室内空気が流れて熱交換され、器具本体1の前面上部の吹出口4から温風として室内に吹き出すものである。
【0023】
ここで、外筒10の中心に対して温風ファン19の中心が排気エルボ17から離れる方向にずれているため、排気エルボ17側、つまり器具本体1正面視で外筒10の左側が外筒10の右側よりも送風量が少なく、そのため排気エルボ17付近の空気の温度が高くなり、その温度が高くなった空気が従来は置台21の切り欠き孔22から床面に流れて床面の温度を上昇させていたが、本実施形態では、反射板11の上部で排気エルボ17の前面に位置する箇所に通気部12を形成したので、排気エルボ17付近の空気がスムーズに器具本体1前面に流れて排気エルボ17付近の空気の温度を下げることができるものである。
又、通気部12は、複数の円孔13を千鳥状に配置して設けられているので、孔から排気エルボ17が見えにくく、見た目が悪くなるのを防止できるものである。
【0024】
又、通気部12は、排気エルボ17と放熱器16との接続箇所の高さ位置に、縦長の円孔13を複数形成して設けたので、放熱器16から排気エルボ17へと流れる燃焼ガスにより最初に加熱され最も高温となる排気エルボ17と放熱器16との接続箇所を空気が通過して通気部12に流れ、効率よく排気エルボ17付近の空気の温度を下げることができるものである。
【0025】
又、通気部12は、外筒10と放熱器16を接続する接続筒16aの高さ位置に設けたので、外筒10内の赤熱筒9の赤熱の反射を減らすことがなく、暖房感を損なうことがないものである。
【0026】
又、置台21の排気エルボ17が位置する側の切り欠き孔22を置台遮熱板23にて塞いたので、排気エルボ17付近の温度が高くなった空気が置台21の切り欠き孔22から床面に流れることがなく、床面の温度が上昇するのを防止できるものである。
【0027】
更に、排気エルボ17付近の温度が高くなった空気が置台21の切り欠き孔22から床面に流れることがなくなったことで、より通気部12から排気エルボ17付近の温度が高くなった空気が流れるようになり、更に効率よく排気エルボ17付近の空気の温度を下げることができるものである。
【符号の説明】
【0028】
1 器具本体
4 吹出口
6 燃焼部
9 赤熱筒
10 外筒
11 反射板
12 通気部
13 円孔
16 放熱器
17 排気エルボ
19 温風ファン
21 置台