(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】入場管理システムおよび入場管理方法
(51)【国際特許分類】
G07C 9/37 20200101AFI20240523BHJP
G07C 9/38 20200101ALI20240523BHJP
G01J 5/48 20220101ALI20240523BHJP
A61B 5/01 20060101ALI20240523BHJP
G16Y 10/60 20200101ALI20240523BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20240523BHJP
【FI】
G07C9/37
G07C9/38
G01J5/48 A
A61B5/01 350
G16Y10/60
G16Y40/10
(21)【出願番号】P 2021081591
(22)【出願日】2021-05-13
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 直仁
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-184197(JP,A)
【文献】特開2006-293766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 9/37
G07C 9/38
G01J 5/48
A61B 5/01
G16Y 10/60
G16Y 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の体温以上の人がゲート内へ入るのを管理する入場管理システムにおいて、
前記ゲートに至る前のエリアを通行する人の体温を非接触で計測するものであって複数の人の体温を同時に計測できる第1体温取得部と、
前記ゲートを通行しようとする個人を撮影する画像取得部と、
前記ゲートを通行しようとする個人の体温を非接触で計測する第2体温取得部と、
前記画像取得部で取得した画像に基づいて個人認証を行う個人認証部と、
前記第1体温取得部が取得した体温情報、前記第2体温取得部が取得した体温情報、および、前記個人認証部による認証情報、に基づいて、前記ゲートを開放または閉鎖するよう制御する制御部と、
を備え
、
前記第1体温取得部により、複数のうちいずれかの人が所定の体温以上であることを検知すると、前記制御部は、前記第2体温取得部および前記認証情報を用いて前記ゲートを開放または閉鎖し、
前記第1体温取得部により、いずれの人も前記所定の体温未満であることを検知すると、前記制御部は、前記認証情報を用いて前記ゲートを開放または閉鎖する入場管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の入場管理システムおいて、
前記画像取得部および前記第2体温取得部は、第2サーモカメラであり、
前記第1体温取得部は、第1サーモカメラであって、前記第2サーモカメラよりも画角が広く測定距離が長い入場管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の入場管理システムにおいて、
前記第1体温取得部により、複数のうちいずれかの人が所定の体温以上であることを検知すると、前記ゲートが警戒モードに設定され、
前記第1サーモカメラは、体温を取得した人または所定の体温以上の人の数をカウントし、
カウントした人数について、前記第2体温取得部による体温計測、または、前記個人認証部による個人認証、を完了すると、前記警戒モードが解除される入場管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の入場管理システムにおいて、
前記個人認証部は、前記画像取得部で取得した画像に基づき、登録情報を参照して認証を行うものであり、
前記登録情報には、個人に関係する部門の情報が含まれており、
前記制御部は、第2体温取得部が所定の体温以上であることを検知した場合、前記個人認証部で認証された個人に関係する部門に通知する入場管理システム。
【請求項5】
所定の体温以上の人がゲート内へ入るのを管理する入場管理方法において、
前記ゲートに至る前のエリアを通行する複数の人の体温を非接触で計測する第1の体温取得ステップと、
前記ゲートを通行しようとする個人を撮影する画像取得ステップと、
前記ゲートを通行しようとする個人の体温を非接触で計測する第2の体温取得ステップと、
前記画像取得ステップで取得した画像に基づいて個人認証を行う個人認証ステップと、
前記第1の体温取得ステップで取得した体温情報、前記第2の体温取得ステップで取得した体温情報、および、前記個人認証ステップによる認証情報、に基づいて、前記ゲートを開放または閉鎖するよう制御する制御ステップと、
を備え
、
前記第1の体温取得ステップにより、複数のうちいずれかの人が所定の体温以上であることを検知すると、前記制御ステップでは、前記第2の体温取得ステップで取得した前記体温情報、および、前記個人認証ステップによる前記認証情報を用いて前記ゲートを開放または閉鎖し、
前記第1の体温取得ステップにより、いずれの人も前記所定の体温未満であることを検知すると、前記制御ステップでは、前記個人認証ステップによる前記認証情報を用いて前記ゲートを開放または閉鎖する入場管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入場管理システムおよび入場管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、COVID-19(coronavirus disease 2019)等の感染症の感染拡大を防止するため、ビルや病院などの入場口にサーマルカメラ等を設置し、一般的な主症状である発熱をした人の入場を制限する場合がある。例えば、特許文献1には、第1の場所を撮影するサーモカメラと、第1の場所をサーモカメラと同じ画角で撮影する監視カメラと、を有し、サーモカメラで所定体温以上の発熱者を検知した場合に、その人の画像データを監視カメラの画像データから抽出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の技術では、撮影対象範囲が広く同時に複数の人が通行するような環境の場合、発熱者の個人認証を行うレベルまでの画像データを得ることは容易でない。
【0005】
本発明の目的は、発熱者の特定と個人認証を効率的に行える入場管理システムおよび入場管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、所定の体温以上の人がゲート内へ入るのを管理する入場管理システムにおいて、前記ゲートに至る前のエリアを通行する人の体温を非接触で計測するものであって複数の人の体温を同時に計測できる第1体温取得部と、前記ゲートを通行しようとする個人を撮影する画像取得部と、前記ゲートを通行しようとする個人の体温を非接触で計測する第2体温取得部と、前記画像取得部で取得した画像に基づいて個人認証を行う個人認証部と、前記第1体温取得部が取得した体温情報、前記第2体温取得部が取得した体温情報、および、前記個人認証部による認証情報、に基づいて、前記ゲートを開放または閉鎖するよう制御する制御部と、を備え、前記第1体温取得部により、複数のうちいずれかの人が所定の体温以上であることを検知すると、前記制御部は、前記第2体温取得部および前記認証情報を用いて前記ゲートを開放または閉鎖し、前記第1体温取得部により、いずれの人も前記所定の体温未満であることを検知すると、前記制御部は、前記認証情報を用いて前記ゲートを開放または閉鎖する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発熱者の特定と個人認証を効率的に行える入場管理システムおよび入場管理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る入場管理システムの全体構成を示した図。
【
図2】第1サーモカメラのハードウェア構成を示した図。
【
図3】第2サーモカメラのハードウェア構成を示した図。
【
図4】顔認証データ登録用PCのハードウェア構成を示した図。
【
図6】入場制御装置のハードウェア構成を示した図。
【
図9】本実施形態に係る入場管理システムのフローチャート。
【
図10】発熱者未発見時の動作例を示したシーケンス図。
【
図11】発熱者発見時の動作例を示したシーケンス図。
【
図12】入場制御装置の記憶部に記憶されるデータ構成を示した図。
【
図13】監視センタの記憶部に記憶されるデータ構成を示した図。
【
図14】顔認証データ登録用PCの記憶部に記憶されるデータ構成を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る入場管理システムの全体構成を示した図である。本実施形態では、所定の体温以上の人がゲート内へ入るのを管理する入場管理システムのうち、特に、建物内で働く従業員の入場を管理する場合を例に挙げて、説明する。ただし、従業員の入場管理に限らず、建物内に住む居住者や、建物内を訪れる訪問者なども想定されるので、以下では、これらの人を「利用者」と称する。また、37度5分以上の体温を有する利用者を「発熱者」と称する。
【0011】
本実施形態に係る入場管理システムは、第1ゲート5と、第2ゲート6と、第1サーモカメラ3と、第2サーモカメラ4と、顔認証データ登録用PC14と、顔認証端末7と、入場制御装置11と、レコーダー9と、故障警報装置10と、ハブ8と、監視センタ13と、ルータ12と、を含んでいる。
【0012】
第1ゲート5は、建物2の入り口に設置され、センサで人を検知すると、許可がなくても自動的に開放するゲートである。この第1ゲート5の近傍(第1ゲート5の内側でも外側でも良い)には、遠赤外線を検知することで人体を含む物体の体表面の温度を計測できる第1サーモカメラ3が設置されている。
【0013】
図2は、第1サーモカメラ3のハードウェア構成を示した図である。
図2に示すように、第1サーモカメラ3は、通信部111と、制御部112と、第1体温取得部113と、を備えている。通信部111は、LANケーブル等でハブ8と接続され、ハブ8を介して他の機器とデータ通信を行う。制御部112は、第1サーモカメラ3全体の制御を行う。第1体温取得部113は、第1ゲート5付近にいる利用者1の体温を非接触で計測するものであるが、利用者1が複数いる場合には複数人の体温を同時に計測することが可能である。また、第1体温取得部113による体温計測は、第1ゲート15の開閉動作に拘わらず、第1サーモカメラ3の撮影範囲内に人を検知したときに、開始される。さらに、制御部112は、体温取得部113によって体温を計測した人の数をカウントすることもできる。なお、第1サーモカメラは、第2ゲート6(単にゲートと称することもある)に至る前のエリアを通行する人の体温を計測するものであれば良く、第1ゲート5とは無関係に設置されても構わない。
【0014】
一方、第2ゲート6は、第1ゲート5よりさらに建物2の内側のエリアに設置され、許可がないと開放しないゲートである。この第2ゲート6の近傍には、第2サーモカメラ4が設置されている。
【0015】
図3は、第2サーモカメラ4のハードウェア構成を示した図である。
図3に示すように、第2サーモカメラ4は、通信部121と、制御部122と、第2体温取得部123と、画像取得部124と、を備えている。通信部121は、LANケーブル等でハブ8と接続され、ハブ8を介して他の機器とデータ通信を行う。制御部122は、第2サーモカメラ4全体の制御を行う。第2体温取得部123は、通行しようとする利用者1個人の体温を非接触で計測する。画像取得部124は、通行しようとする利用者1個人を撮影する。ここで、第2サーモカメラ4は、個人認証(顔認証)にも用いられるため、第1サーモカメラ3と比べて、測定距離は短く(例えば1.5m未満)、画角も狭いが、画素数は多い。なお、本実施形態では、第2サーモカメラ4が、顔認証用の画像取得の機能と、個人の体温を測定する機能と、を兼ね備えたものについて説明するが、顔認証用のカメラと、体温測定用のカメラと、を個別に設けても良い。さらに、顔認証用のカメラを個別に設ける場合には、体温測定はカメラでなくセンサであっても良い。
【0016】
次に、顔認証データ登録用PC14は、監視センタ13からCSVデータ等の形式で(利用者1の登録画像情報を含む)利用者情報を取得し、取得した利用者情報を顔認証端末7に送信するPCである。顔認証端末7は、第2サーモカメラ4から得られた利用者1の画像に基づいて顔情報を抽出する端末である。また、顔認証端末7は、抽出した顔情報(撮影画像情報)と、顔認証データ登録用PC14から取得した顔情報(登録画像情報)と、を用いて利用者1を特定し、一致したIDを入場制御装置11に送信する。このよに、顔認証データ登録用PC14および顔認証端末7は、第2サーモカメラ4の画像取得部で取得した画像に基づいて個人認証を行う個人認証部を構成している。
【0017】
図4は、顔認証データ登録用PC14のハードウェア構成を示した図である。
図4に示すように、顔認証データ登録用PC14は、通信部61と、制御部62と、記憶部63と、表示部64と、入力部65と、を備えている。通信部61は、LANケーブル等でハブ8と接続され、ハブ8を介して他の機器とデータ通信を行う。制御部62は、顔認証データ登録用PC14全体の制御を行う。記憶部63は、監視センタ13から取得した利用者情報等のデータを記憶するものであり、ICメモリ等の不揮発性記憶媒体によって実現される。
表示部64は、制御部62からの指示で監視センタ13から取得したデータを表示するものであり、液晶ディスプレイ等によって実現される。入力部65は、管理者が建物情報や各種設定等を変更する際に表示部64に表示された内容にデータを入力する部分であり、マウスやキーボード等によって実現される。
【0018】
図5は、顔認証端末7のハードウェア構成を示した図である。
図5に示すように、顔認証端末7は、通信部21と、制御部22と、記憶部23と、画像判定部24と、を備えている。通信部21は、LANケーブル等でハブ8と接続され、ハブ8を介して他の機器とデータ通信を行う。制御部22は、各部間のデータの送受信を行うとともに、顔認証端末7全体の制御を行う。記憶部23は、顔認証データ登録用PC14を介して監視センタ13から取得したカードIDおよび登録画像情報を記憶するものであり、ICメモリ等の不揮発性記憶媒体によって実現される。画像判定部24は、第2サーモカメラ4から取得した画像を顔認証用に加工し、加工した撮影画像情報と、顔認証データ登録用PC14を介して監視センタ13から取得した登録画像情報と、を比較する。画像情報が一致している場合、画像判定部24は、登録画像情報と紐づいているカードIDを取得する。
【0019】
図6は、入場制御装置11のハードウェア構成を示した図である。入場制御装置11は、第1サーモカメラ3の第1体温取得部113が取得した体温情報、第2サーモカメラ4の第2体温取得部123が取得した体温情報、および、個人認証部による認証情報、に基づいて、第2ゲート6を開放または閉鎖するよう制御する。
図6に示すように、入場制御装置11は、通信部41と、制御部42と、記憶部43と、判定部44と、報知部45と、を備えている。通信部41は、LANケーブル等でハブ8と接続され、ハブ8を介して他の機器とデータ通信を行う。記憶部43は、各種設定情報および履歴情報を記憶するものであり、ICメモリ等の不揮発性記憶媒体によって実現される。判定部44は、第1サーモカメラ3の第1体温取得部113や第2サーモカメラ4の第2体温取得部123で取得した利用者1の体温が、予め定められた体温以上であるか否かの判定を行う。制御部42は、各部間のデータの送受信を行うとともに、入場制御装置11全体の制御を行う。また、制御部42は、顔認証端末7で取得したカードIDを用いて利用者1の照合を行うとともに、判定部44で判定された結果に基づき第2ゲート6の開閉を制御する。例えば、第2サーモカメラ4の第2体温取得部123が取得した利用者1の体温が、予め定められた体温以上であると判定された場合、制御部42は、利用者1が所定の区画に入場できないように第2ゲート6を閉鎖し、入場を規制する。報知部45は、顔認証による個人認証に失敗したとき、利用者1やシステム管理者に失敗を報知する。
【0020】
図7は、レコーダー9のハードウェア構成を示した図である。レコーダー9は、第1サーモカメラ3および第2サーモカメラ4で取得したデータを記憶する装置である。
図7に示すように、レコーダー9は、通信部31と、記憶部32と、を備えている。通信部31は、LANケーブル等でハブ8と接続され、ハブ8を介して他の機器とデータ通信を行う。記憶部32は、カメラで撮影した画像を一定期間記憶するものであり、ICメモリ等の不揮発性記憶媒体によって実現される。
【0021】
図8は、監視センタ13のハードウェア構成を示した図である。監視センタ13は、建物情報や利用者情報を一元管理するものである。
図8に示すように、監視センタ13は、通信部51と、制御部52と、記憶部53と、表示部54と、入力部55と、を備えている。通信部51は、LANケーブル等でネットワークと接続され、ネットワークを介して他の機器とデータ通信を行う。制御部52は、監視センタ13全体の制御を行う。記憶部53は、利用者情報や入場制御装置11から取得した履歴などを記憶するものであり、ICメモリ等の不揮発性記憶媒体によって実現される。表示部54は、制御部52からの指示で建物情報や各種設定等を表示するものであり、液晶ディスプレイ等によって実現される。入力部55は、管理者が建物情報や各種設定等を変更する際に表示部54に表示された内容にデータを入力する部分であり、マウスやキーボード等によって実現される。
【0022】
さらに、ハードウェア構成の詳細は省略するが、故障警報装置10は、第1サーモカメラ3または第2サーモカメラ4の故障や、レコーダー9への映像入力信号の欠落など、を検知する装置である。ハブ8は、第1サーモカメラ3、第2サーモカメラ4、顔認証端末7およびレコーダー9などの各機器を接続するものである。ルータ12は、入場制御装置11と監視センタ13をインターネット接続するものである。
【0023】
図9は、本実施形態に係る入場管理システムのフローチャートである。本実施形態における第2ゲート6の制御モードには、フリーモードと警戒モードとが含まれている。フリーモードとは、顔認証あるいはカードID認証のみで利用者1が第2ゲート6を通過できる状態のことを指し、警戒モードとは、顔認証あるいはカードID認証だけでなく所定の体温未満の利用者1が第2ゲート6を通過できる状態のことを指す。
【0024】
まず、第1サーモカメラ3が第1ゲート5付近に来た人を検知すると、第1体温取得部113が、利用者1を撮影し(ステップS701)、第1サーモカメラ3の通信部111が、体温情報を入場制御装置11に送信する(ステップS702)。なお、複数の利用者1が同時に第1ゲート5を通過したような場合には、複数の利用者1の体温情報が入場制御装置11に送信される。
【0025】
次に、入場制御装置11の判定部44は、第1サーモカメラ3が取得した体温情報を用いて、一定の閾値(例えば37度5分)以上の発熱者の有無を判定する(ステップS703)。
【0026】
ステップS703において、発熱者がいないと判定された場合、入場制御装置11の制御部42は、第2ゲート6をフリーモードに設定する(ステップS704)。フリーモードに設定中、第2ゲート6を通過しようとする利用者1がいた場合、第2サーモカメラ4の画像取得部124は利用者1を撮影し、撮影画像情報が通信部121によって顔認証端末7に送信される(ステップS705)。その後、撮影画像情報またはカードIDに基づく個人認証が行われる(ステップS710)。
【0027】
一方、ステップS703において、発熱者がいると判定された場合、入場制御装置11の制御部42は、第2ゲート6を警戒モードに設定する(ステップS706)。警戒モードに設定中、第2ゲート6を通過しようとする利用者1がいた場合、第2サーモカメラ4の画像取得部124は利用者1を撮影し、撮影画像情報が通信部121によって顔認証端末7に送信される(ステップS707)。また、第2サーモカメラ4の第2体温取得部123は利用者1の体温を計測し、体温情報が通信部121によって入場制御装置11に送信される(ステップS708)。そして、入場制御装置11の判定部44は、第2サーモカメラ4が取得した体温情報を用いて、利用者1が発熱者か否かを判定する(ステップS709)。
【0028】
ステップS709において、利用者1が発熱者と判定された場合、入場制御装置11の制御部42は、第2ゲート6を閉鎖する(ステップS713)。一方、ステップS709において、利用者1が発熱者でないと判定された場合、撮影画像情報またはカードIDに基づく個人認証が行われる(ステップS710)。
【0029】
次に、ステップS710による個人認証が成功したか否かが判定される(ステップS711)。ステップS711において、認証が成功したと判定された場合、入場制御装置11の制御部42は、第2ゲート6を開放する(ステップS712)。一方、ステップS711において、認証が失敗したと判定された場合、入場制御装置11の制御部42は、第2ゲート6を閉鎖する(ステップS713)。
【0030】
図10は、発熱者未発見時の動作例を示したシーケンス図である。
図10には、
図1に示した、第1サーモカメラ3、第2サーモカメラ4、顔認証端末7、入場制御装置11、および第2ゲート6の動作例が示してある。
図10に示す例では、第1ゲート5および第2ゲート6を通過しようとする利用者に、発熱者が含まれていないものとする。
【0031】
予め、監視センタ13の記憶部53に利用者1の画像情報が登録され、顔情報登録完了フラグが「有」となっている(ステップS801)。また、顔情報を含む利用者情報が、監視センタ13から顔認証データ登録用PC14を介して顔認証端末7へ送られ、顔認証端末7の記憶部23に登録されている。
【0032】
初期状態では、第2ゲート6がフリーモードに設定されている(ステップS802)。
【0033】
次に、第1ゲート5付近を通行する利用者の体温が、第1サーモカメラ3によって計測され、計測された体温情報が、顔認証端末7を介して入場制御装置11に送信される(ステップS803)。なお、第1サーモカメラ3が取得したデータは、故障警報装置10やレコーダー9にも送信され、カメラ故障やレコーダー9への映像入力信号の欠落が検知された場合、入場制御装置11にエラー通知がされる。
【0034】
その後、入場制御装置11の判定部44は、顔認証端末7を介して受信した体温情報を用いて、発熱者の有無を判定する(ステップS804)。
図10の例では、利用者に発熱者を含まないとしているので、判定部44は発熱者が無いと判定し、第2ゲート6の設定はフリーモードのままである。
【0035】
次に、第2ゲート6を通行しようとする利用者1が第2サーモカメラ4によって撮影され、撮影画像情報が、顔認証端末7に送信される(ステップS805)。
【0036】
顔認証端末7の画像判定部24は、顔認証端末7の記憶部23に保存されている利用者1の登録画像情報と、撮影画像情報と、を比較し、一致する画像情報が存在する場合、登録画像情報とカードIDを照合してカードIDを取得する(ステップS806)。
【0037】
そして、顔認証端末7の通信部21は、照合したカードIDを入場制御装置11に送信し、入場制御装置11の記憶部43は、受信したカードIDを記憶する(ステップS807)。
【0038】
さらに、入場制御装置11の制御部42は、記憶部43に記憶されたカードIDを用いて利用者1を照合する(ステップS808)。
【0039】
利用者情報に利用者1の登録がある場合、入場制御装置11の制御部42は、第2ゲート6を開放させる(ステップS809)。
【0040】
図11は、発熱者発見時の動作例を示したシーケンス図である。
図11には、
図1に示した、第1サーモカメラ3、第2サーモカメラ4、顔認証端末7、入場制御装置11、および第2ゲート6の動作例が示してある。
図11に示す例では、第1ゲート5および第2ゲート6を通過しようとする利用者に、発熱者が含まれているものとする。
【0041】
予め、監視センタ13の記憶部53に利用者1の画像情報が登録され、顔情報登録完了フラグが「有」となっている(ステップS901)。また、顔情報を含む利用者情報が、監視センタ13から顔認証データ登録用PC14を介して顔認証端末7へ送られ、顔認証端末7の記憶部23に登録されている。
【0042】
初期状態では、第2ゲート6がフリーモードに設定されている(ステップS902)。
【0043】
次に、第1ゲート5付近を通行する利用者の体温が、第1サーモカメラ3によって計測され、計測された体温情報が、顔認証端末7を介して入場制御装置11に送信される(ステップS903)。なお、第1サーモカメラ3が取得したデータは、故障警報装置10やレコーダー9にも送信され、カメラ故障やレコーダー9への映像入力信号の欠落が検知された場合、入場制御装置11にエラー通知がされる。
【0044】
その後、入場制御装置11の判定部44は、第1サーモカメラ3が取得した体温情報を用いて、発熱者の有無を判定する(ステップS904)。
図11の例では、利用者に発熱者を含むとしているので、判定部44は発熱者が有りと判定し、入場制御装置11の制御部42が、第2ゲート6に対してモード変更指令を出す(ステップS905)。これにより、第2ゲート6が警戒モードに設定される(ステップS906)。なお、警戒モードは、第1サーモカメラ3によって発熱者を検知してから所定時間経過するまで継続するものとする。また、第1サーモカメラ3が体温計測した利用者または発熱者の数をカウントしている場合には、カウントされた人数の分だけ第2サーモカメラ4により認証または体温計測が完了した時点で、警戒モードを解除してフリーモードに変更しても良い。
【0045】
次に、第2ゲート6を通行しようとする利用者1が第2サーモカメラ4によって撮影され、撮影画像情報が、顔認証端末7に送信される(ステップS907)。
【0046】
このとき、第2サーモカメラ4は、第2ゲート6を通行しようとする利用者1の体温も計測し、計測された体温情報が入場制御装置11に送信される(ステップS908)。
【0047】
顔認証端末7の画像判定部24は、顔認証端末7の記憶部23に保存されている利用者1の登録画像情報と、撮影画像情報と、を比較し、一致する画像情報が存在する場合、登録画像情報とカードIDを照合してカードIDを取得する(ステップS909)。
【0048】
そして、顔認証端末7の通信部21は、照合したカードIDを入場制御装置11に送信し、入場制御装置11の記憶部43は、受信したカードIDを記憶する(ステップS910)。
【0049】
さらに、入場制御装置11の制御部42は、記憶部43に記憶されたカードIDを用いて利用者1を照合する(ステップS911)。
【0050】
その後、入場制御装置11の判定部44は、第2サーモカメラ4が取得した体温情報を用いて、利用者1が発熱者か否かを判定する(ステップS912)。
【0051】
利用者1が発熱者の場合、入場制御装置11の制御部42は、第2ゲート6を閉鎖させる(ステップS913)。このとき、入場制御装置11の報知部45は、受信したカードIDで照会された利用者1に関係する部門に、利用者1が所定の体温以上であることを通知する。
【0052】
なお、
図11の例では、先にステップS909の画像照合を行い、その後にステップS912の体温照合を行うようにしたが、先に体温照合を行い、その後に画像照合を行うようにしても良い。
【0053】
図12は、入場制御装置11の記憶部43に記憶されるデータ構成を示した図である。
図12に示すように、入場制御装置11の記憶部43のデータは、社員ID、名前、カードID、平均体温、顔情報登録完了フラグ、所属部署で構成されている。平均体温は、利用者1の入退時に体温を測定し、直近10回に測定された体温を平均したものとする。したがって、入場制御装置11の判定部44による体温照会の基準は、カードIDで照合された利用者1ごとに対応する平均体温であっても良い。体温データがない場合は、37度5分を体温照会の基準とする。
【0054】
図13は、監視センタ13の記憶部53に記憶されるデータ構成を示した図である。
図13に示すように、監視センタ13の記憶部53のデータは、社員ID、名前、カードID、登録画像情報、顔情報登録完了フラグ、所属部署で構成されている。カードIDと登録画像情報は、顔認証データ登録用PC14が読み込み可能な形式(CSV形式等)に加工してあるものとする。
【0055】
図14は、顔認証データ登録用PC14の記憶部63に記憶されるデータ構成を示した図である。
図14に示すように、顔認証データ登録用PC14の記憶部63のデータは、カードID、登録画像情報で構成されている。
【0056】
以上述べた通り、本実施形態に係る入場管理システムでは、第1ゲート5を通行する複数の利用者に発熱者が含まれていない場合には、第2ゲート6を通過する際の体温照会が省略されるため、利用者の待ち時間の短縮が可能となる。
【0057】
但し、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、前述した入場管理システムは、ゲート内への入場を管理するものであるが、ゲート外への退場を含めて管理するものであっても良い。また、各ゲートは、ドアで構成されるものであっても良いし、簡易的な回転式バーで構成されるものであっても良い。
【符号の説明】
【0058】
1 利用者
2 建物
3 第1サーモカメラ
4 第2サーモカメラ
5 第1ゲート
6 第2ゲート
7 顔認証端末
8 ハブ
9 レコーダー
10 故障警報装置
11 入場制御装置
12 ルータ
13 監視センタ
14 顔認証データ登録用PC