(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】洗浄装置、洗浄機構、および歯科用診療ユニット
(51)【国際特許分類】
A61C 19/00 20060101AFI20240523BHJP
A61C 17/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
A61C19/00 J
A61C17/00 D
A61C19/00 C
(21)【出願番号】P 2021196266
(22)【出願日】2021-12-02
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000138185
【氏名又は名称】株式会社モリタ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古田 美一
(72)【発明者】
【氏名】木下 和也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和基
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 勇貴
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-102721(JP,A)
【文献】特開平11-221241(JP,A)
【文献】特開2020-22888(JP,A)
【文献】特開2012-175999(JP,A)
【文献】米国特許第05556607(US,A)
【文献】特開平3-32715(JP,A)
【文献】特開平11-99322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/00,17/06,19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用の吸引装置の吸引管路に設けられたフィルタを洗浄する洗浄装置であって、
前記吸引管路から分岐する排出管路と、
前記排出管路と前記吸引管路との分岐部分に設けた前記フィルタに対して前記排出管路の側に空気を送り込む送気部と、
前記送気部に供給する空気を調節する第1弁と、
前記吸引管路の吸引経路と前記排出管路の排出経路とを切り換える第2弁と、
前記第1弁および前記第2弁を制御する制御部と、を備え、
前記送気部は、
前記排出管路の延伸方向、および前記排出管路の延伸方向に対して交差する方向のうち少なくとも一方の方向に空気を送り込むことができ、
前記排出管路の延伸方向に対して交差する方向に空気を送り込むため、前記排出管路の延伸方向に設けた導管の側面に形成された複数の第2送気口を有し、
前記制御部は、
前記フィルタを洗浄する場合、前記送気部から前記排出管路の側に空気を送り込むために前記第1弁を開く制御、および前記第2弁を前記排出経路に切り換える制御を行う、洗浄装置。
【請求項2】
前記排出管路に接続され、前記フィルタの異物を回収する回収部をさらに備える、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記送気部は、前記排出管路の延伸方向に空気を送り込むため、前記排出管路の内周に沿って形成された複数の第1送気口を有する、請求項
1に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記第2弁は、
前記吸引管路および前記排出管路と交差する筒部と、
前記筒部内を移動し、前記吸引管路と前記筒部とが交差する部分または前記排出管路と前記筒部とが交差する部分を塞ぐ閉塞部と、を含む、請求項1~請求項
3のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記閉塞部は、空気圧で前記筒部内を移動する、請求項
4に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記閉塞部は、前記吸引管路と前記筒部とが交差する部分を塞ぐための第1部材と、前記排出管路と前記筒部とが交差する部分を塞ぐための第2部材と、を有し、
前記第1部材と前記第2部材とは、少なくとも1点で接触している、請求項
4または請求項
5に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記制御部は、所定のタイミングで前記フィルタを自動で洗浄する、請求項1~請求項
6のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項8】
医療用の吸引装置の吸引管路に設けられたフィルタを洗浄する洗浄機構であって、
前記吸引管路から分岐する排出管路と、
前記排出管路と前記吸引管路との分岐部分に設けた前記フィルタに対して前記排出管路の側に空気を送り込む送気部と、
前記送気部に供給する空気を調節する第1弁と、
前記吸引管路の吸引経路と前記排出管路の排出経路とを切り換える第2弁と、を備え、
前記送気部は、
前記排出管路の延伸方向に空気を送り込むため、前記排出管路の内周に沿って形成された複数の第1送気口と、
前記排出管路の延伸方向に対して交差する方向に空気を送り込むため、前記排出管路の延伸方向に設けた導管の側面に形成された複数の第2送気口と、を有する、洗浄機構。
【請求項9】
患者を診療するための歯科用診療ユニットであって、
診療のために患者を座らせる、または患者を横たわらせることができる診療台と、
診療に用いる吸引装置と、
前記吸引装置の吸引管路に設けられたフィルタを洗浄する請求項1~請求項
7のいずれか1項に記載の洗浄装置と、を備える、歯科用診療ユニット。
【請求項10】
患者を診療するための歯科用診療ユニットであって、
診療のために患者を座らせる、または患者を横たわらせることができる診療台と、
診療に用いる吸引装置と、
前記吸引装置の吸引管路に設けられたフィルタを洗浄する洗浄装置と、を備え、
前記洗浄装置は、
前記吸引管路から分岐する排出管路と、
前記排出管路と前記吸引管路との分岐部分に設けた前記フィルタに対して前記排出管路の側に空気を送り込む送気部と、
前記送気部に供給する空気を調節する第1弁と、
前記吸引管路の吸引経路と前記排出管路の排出経路とを切り換える第2弁と、
前記第1弁および前記第2弁を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記フィルタを洗浄する場合、前記送気部から前記排出管路の側に空気を送り込むために前記第1弁を開く制御、および前記第2弁を前記排出経路に切り換える制御を行う、歯科用診療ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗浄装置、洗浄機構、および歯科用診療ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療用装置の一例としての歯科用診療ユニットでは、患者の診療中に口腔内に溜まった唾液や洗浄水等を吸引して口腔内から排出する吸引装置が備えられている。吸引装置は、バキューム管を介してバキュームシリンジのようなバキューム器具が接続され、当該バキューム器具の先端を患者の口腔内に挿入させて唾液や洗浄水等を吸い取る。
【0003】
吸引装置では、吸引の際に、吸引の動力源であるバキュームモータに切削した歯牙の破片や充填用レジンなどの異物が詰まると、バキュームモータの故障や負荷の原因となるため、異物を収集するために吸引管路にフィルタが備えられている(特許文献1:特開2016-220855号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィルタには、唾液や洗浄水等と共に吸引された異物が詰まる、溜まる、引っ掛かる等するので、ユーザが定期的に洗浄する必要があり、ユーザの作業負担が大きかった。また、フィルタを洗浄するには、唾液や洗浄水等が通ったフィルタを吸引管路から取り外すなど、ユーザが直接フィルタに触れる必要があり衛生的にも注意が必要であった。
【0006】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザの作業負担を軽減することができ、衛生的にフィルタを洗浄できる洗浄装置、洗浄機構、および歯科用診療ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の洗浄装置は、医療用の吸引装置の吸引管路に設けられたフィルタを洗浄する洗浄装置である。洗浄装置は、吸引管路から分岐する排出管路と、排出管路と吸引管路との分岐部分に設けたフィルタに対して排出管路の側に空気を送り込む送気部と、送気部に供給する空気を調節する第1弁と、吸引管路の吸引経路と排出管路の排出経路とを切り換える第2弁と、第1弁および第2弁を制御する制御部と、を備える。送気部は、排出管路の延伸方向、および排出管路の延伸方向に対して交差する方向のうち少なくとも一方の方向に空気を送り込むことができ、排出管路の延伸方向に対して交差する方向に空気を送り込むため、排出管路の延伸方向に設けた導管の側面に形成された複数の第2送気口を有する。制御部は、フィルタを洗浄する場合、送気部から排出管路の側に空気を送り込むために第1弁を開く制御、および第2弁を排出経路に切り換える制御を行う。
【0008】
本開示の洗浄機構は、吸引管路から分岐する排出管路と、排出管路と吸引管路との分岐部分に設けたフィルタに対して排出管路の側に空気を送り込む送気部と、送気部に供給する空気を調節する第1弁と、吸引管路の吸引経路と排出管路の排出経路とを切り換える第2弁と、を備える。送気部は、排出管路の延伸方向に空気を送り込むため、排出管路の内周に沿って形成された複数の第1送気口と、排出管路の延伸方向に対して交差する方向に空気を送り込むため、排出管路の延伸方向に設けた導管の側面に形成された複数の第2送気口と、を有する。
【0009】
本開示の歯科用診療ユニットは、患者を診療するための歯科用診療ユニットである。歯科用診療ユニットは、診療のために患者を座らせる、または患者を横たわらせることができる診療台と、診療に用いる吸引装置と、吸引装置の吸引管路に設けられたフィルタを洗浄する上記の洗浄装置と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の洗浄装置、洗浄機構、および歯科用診療ユニットによれば、フィルタを空気で洗浄できるので、ユーザの作業負担を軽減することができ、衛生的にフィルタを洗浄できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施の形態における吸引装置および洗浄装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】本開示の一実施の形態における吸引装置および洗浄装置の吸引時の動作を説明するための断面図である。
【
図3】本開示の一実施の形態における吸引装置および洗浄装置の洗浄時の動作を説明するための断面図である。
【
図4】本開示の一実施の形態における洗浄装置の第1送気口を説明するための図である。
【
図5】本開示の一実施の形態における洗浄装置の第2送気口を説明するための図である。
【
図6】本開示の一実施の形態における歯科用診療ユニットの構成を概略的に示す斜視図である。
【
図7】本開示の一実施の形態における吸引装置および洗浄装置の管路構成を概略的に示す図である。
【
図8】本開示の一実施の形態における歯科用診療ユニットの制御ブロック図である。
【
図9】本開示の一実施の形態における洗浄装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について図に基づいて説明する。
【0013】
まず、本開示の一実施の形態における吸引装置および洗浄装置の構成について説明する。吸引装置および洗浄装置は、医療用装置の一例として歯科用診療ユニットに設けられているとして説明する。なお、本開示において、洗浄装置の構成から制御部を取り除いた構成を洗浄機構とする。
【0014】
[吸引装置および洗浄装置の構成]
図1は、本開示の一実施の形態における吸引装置および洗浄装置の外観を示す斜視図である。
図1では、吸引装置としてバキュームシリンジ41、サラエバシリンジ42を例に説明する。バキューム器具(バキュームシリンジ41、サラエバシリンジ42)は、先端を患者の口腔内に挿入させて、患者の口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引する。なお、サラエバシリンジ42は、バキュームシリンジ41に比べて先端開口部が小さく口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引する吸引量が少ない。
【0015】
バキューム器具は、それぞれバキューム管44に接続され、さらに吸引管路などを経てバキュームタンクに接続されている。そのため、バキューム器具で口腔内に溜まった唾液や洗浄水等を吸引し、吸引した唾液や洗浄水等がバキュームタンクに集められる。しかし、吸引した唾液や洗浄水等には、切削した歯牙の破片や充填用レジンなどの異物が含まれる場合があり、当該異物を取り除くために、バキューム管44の途中にフィルタが設けている。
【0016】
図2は、本開示の一実施の形態における吸引装置および洗浄装置の吸引時の動作を説明するための断面図である。
図2に示すように、例えばバキュームシリンジ41で吸引した唾液や洗浄水等は、矢印Y1,Y2で示すようにバキューム管44を通ってフィルタ440に至る。フィルタ440は、例えばナイロンで形成した網状の部分を有しており、空気、唾液や洗浄水等の液体を通過させるが、切削した歯牙の破片や充填用レジンなどの異物(固体)を当該網状の部分で溜める、引っ掛ける等することができる。フィルタ440を通過した空気、唾液や洗浄水等の液体は、矢印Y3で示すようにバキュームタンクへ送られる。
【0017】
フィルタ440は、
図2に示すように洗浄装置の一部を構成する排出配管445(排出管路)とバキューム管44(吸引管路)との分岐部分に設けてある。具体的に、筒状のフィルタ440が排出配管445に沿って設けてある。なお、フィルタ440の材質、形状などは、これに限定されず、取り除く異物の大きさ、バキューム管44および排出配管445の構成などに応じて適切に選択すればよい。
【0018】
フィルタ440には、唾液や洗浄水等と共に吸引された切削した歯牙の破片や充填用レジンなどの異物が詰まる、溜まる、引っ掛かる等するので、本開示の吸引装置には、フィルタ440を洗浄するための洗浄装置が設けてある。洗浄装置は、バキューム管44から分岐する排出配管445と、排出配管445とバキューム管44との分岐部分に設けたフィルタ440に対して排出配管445の側に空気を送り込む送気部と、を含む。さらに、洗浄装置は、送気部に供給する空気を調節する排出弁442と、バキューム管44の吸引経路と排出配管445の排出経路とを切り換える切換弁441と、を含む。切換弁441および排出弁442は、後述する制御部により制御される。
【0019】
切換弁441は、バキューム管44および排出配管445と交差する筒部441aと、筒部441a内を移動し、バキューム管44と筒部441aとが交差する部分または排出配管445と筒部441aとが交差する部分を塞ぐ閉塞部と、を含む。閉塞部は、バキューム管44と筒部441aとが交差する部分を塞ぐための第1部材441bと、排出配管445と筒部441aとが交差する部分を塞ぐための第2部材441dと、を有している。
【0020】
第1部材441bと第2部材441dとは、第1部材441bに設けた突起部441cを介して接触している。突起部441cを設けることで第1部材441bと第2部材441dと間を離して筒部441a内を移動させることができる。そのため、
図2に示す吸引時、第1部材441bおよび第2部材441dを筒部441a内の上側に押し上げることで、排出配管445と筒部441aとが交差する部分を第2部材441dで塞ぎ、バキューム管44と筒部441aとが交差する部分を第1部材441bと第2部材441dとの間にして、バキューム管44から吸引した空気や液体を通過させる。
【0021】
一方、洗浄時、第1部材441bおよび第2部材441dを筒部441a内の下側に押し下げる。
図3は、本開示の一実施の形態における吸引装置および洗浄装置の洗浄時の動作を説明するための断面図である。
図3に示す洗浄時、第1部材441bおよび第2部材441dを筒部441a内の下側に押し下げることで、バキューム管44と筒部441aとが交差する部分を第1部材441bで塞ぎ、排出配管445と筒部441aとが交差する部分を第1部材441bと第2部材441dとの間にして、フィルタ440から排出配管445へ異物を排出させる。
【0022】
筒部441a内の第1部材441bおよび第2部材441dの移動は、空気圧を用いている。
図2に示す吸引時、筒部441aの上側に空気が送り込まれておらず、第1部材441bおよび第2部材441dは、筒部441aの下側に設けた弾性体441e(例えば、バネ)により筒部441a内の上側に押し上げられている。しかし、
図3に示す洗浄時、第1部材441bおよび第2部材441dは、筒部441aの上側から空気を送り込むことで空気圧(矢印Y4)により筒部441a内の下側に押し下げられる。このように、切換弁441は、空気圧で第1部材441bおよび第2部材441dを、筒部441a内を移動させることで、バキューム管44の吸引経路と排出配管445の排出経路とを切り換えている。
【0023】
また、切換弁441は、筒部441a内を移動させる閉塞部を第1部材441bと、第2部材441dとに分け、第1部材441bと第2部材441dとを突起部441cを介して接触させている。これにより、第1部材441bに加わる力(空気圧)が筒部441aの中心軸からずれていても、第2部材441dに対して中心軸方向に力を加えることができる。
【0024】
洗浄装置は、フィルタ440の異物(つまり、フィルタ440に引っ掛かる、詰まる、溜まる等する異物)を、吸引方向とは逆の方向から空気を送り込み、排出配管445へ排出する。つまり、洗浄装置は、フィルタ440を逆洗している。具体的に、
図3に示す洗浄時、洗浄装置は、排出弁442を開いて、エアコンプレッサ(
図7参照)からの空気をバキューム管44に送り込む。洗浄装置は、バキューム管44に空気を送り込むため送気部をバキューム管44内に設けており、当該送気部と排出弁442とを空気配管446で接続している。送気部を設けるバキューム管44内での位置は、フィルタ440を設けたバキューム管44の位置よりも内側またはバキュームタンク側である。つまり、洗浄装置は、フィルタ440の裏側から空気を送り込む。
【0025】
具体的に、送気部は、排出配管445の延伸方向に空気を送り込むため、排出配管445の内周に沿って複数の第1送気口471を有する。複数の第1送気口471から送り出された空気は、フィルタ440の表面に沿って排出配管445の延伸方向(矢印Y5)に流れるため、フィルタ440の表面に詰まる、溜まる、引っ掛かる等した異物を排出配管445へ押し流す(矢印Y7)ことができる。
図4は、本開示の一実施の形態における洗浄装置の第1送気口471を説明するための図である。複数の第1送気口471は、
図4に示すように排出配管445の内周に沿って円形状に配置されている。これにより、洗浄装置は、空気配管446からの空気(矢印Y8)を複数の第1送気口471から送り出すことで、筒状のフィルタ440の表面を効率よく洗浄できる。なお、複数の第1送気口471の配置は、
図4に示した配置に限定されない。例えば、複数の第1送気口471を二重の円形状に配置してもよい。
【0026】
さらに、送気部は、排出配管445の延伸方向に対して交差する方向に空気を送り込むため、排出配管445の延伸方向に設けた導管472の側面に複数の第2送気口473を有する。複数の第2送気口473から送り出された空気は、フィルタ440の内側から外側の方向(矢印Y6)に流れるため、フィルタ440の表面に詰まる、溜まる、引っ掛かる等した異物をフィルタ440の表面から浮かせて排出配管445へ押し流しやすくできる。
図5は、本開示の一実施の形態における洗浄装置の第2送気口473を説明するための図である。複数の第2送気口473は、
図5に示すように排出配管445の中心付近に設けた導管472の側面に、排出配管445の延伸方向に並んで配置されている。これにより、洗浄装置は、空気配管446からの空気(矢印Y8)を複数の第2送気口473から送り出すことで、筒状のフィルタ440の内側から全体的に洗浄できる。なお、複数の第2送気口473の配置は、
図5に示した配置に限定されない。例えば、複数本の導管472を設け、その側面に配置してもよい。
【0027】
また、複数の第2送気口473は、排出配管445の延伸方向に対して交差する方向に空気を送り込むように設けられていればよく、排出配管445の延伸方向に対して直交する方向に空気を送り込むように設けられている場合に限定されない。さらに、送気部は、複数の第1送気口471および複数の第2送気口473を含む構成を説明したが、複数の第1送気口471および複数の第2送気口473のうち少なくとも一方を含む構成であればよい。
【0028】
図1に戻って、排出弁442からの空気配管は、バキューム管44に空気を送り込むための空気配管446だけでなく、筒部441aの上側に空気を送り込むための空気配管447もある。そのため、洗浄装置は、排出弁442を開くことで、空気配管447から筒部441aの上側に空気が送り込まれて切換弁441がバキューム管44の吸引経路を塞ぎ排出配管445の排出経路を開くことができる。さらに、洗浄装置は、空気配管446からバキューム管44に空気を送り込み、フィルタ440の裏側から異物を排出配管445に押し流すことができる。
【0029】
洗浄装置は、フィルタ440に詰まる、溜まる、引っ掛かる等した異物を回収する回収部453を排出配管445の先に設けている。回収部453は、容器の上部に空気穴が設けてあり、排出配管445から送り込まれた空気と異物とを分離することができる。
【0030】
図1では、バキュームシリンジ41だけでなくサラエバシリンジ42に対しても同様の洗浄装置が設けてある。サラエバシリンジ42に接続したバキューム管44の吸引経路と排出配管455の排出経路とを切り換える切換弁451は、バキュームシリンジ41の切換弁441と同じ構成である。なお、排出配管455の先は、バキュームシリンジ41の排出配管445に接続され回収部453に至る。また、サラエバシリンジ42のバキューム管44に空気を送り込むための排出弁452および空気配管456は、バキュームシリンジ41の排出弁442および空気配管446と同じ構成である。さらに、サラエバシリンジ42の空気配管457は、バキュームシリンジ41の空気配管447と同じ構成である。
【0031】
切換弁441,451は、空気圧で第1部材441bおよび第2部材441dを、筒部441a内を移動させ、バキューム管44の吸引経路と排出配管445の排出経路とを切り換えると説明したが、これに限定されない。バキューム管44の吸引経路および排出配管445の排出経路にそれぞれ電磁弁を設けて、経路を切り換えてもよい。
【0032】
[歯科用診療ユニットの構成]
次に、前述の吸引装置および洗浄装置を有する歯科用診療ユニットについて説明する。歯科用診療ユニットは、医療用装置の一例であり、前述の吸引装置および洗浄装置を適用する医療用装置は、歯科用診療ユニットに限定されない。
【0033】
図6は、歯科用診療ユニット100の構成を概略的に示す斜視図である。歯科用診療ユニット100は、診療台1、スピットン2、照明装置3、トレーテーブル5を含む。さらに、歯科用診療ユニット100は、バキューム器具40(バキュームシリンジ41、サラエバシリンジ42)、バキューム管44、吸引装置200、バキュームモータ300、洗浄装置400を含む。
【0034】
スピットン2は診療台1の側方に設置されている。スピットン2は、胴部2aと、ベースン2bと、コップ給水栓(コップ給水部)2cとを備えている。胴部2aの上端にベースン2bが設置されている。ベースン2bにコップ給水栓2cから伸びた給水筒が設置されている。照明装置3は、照明装置用アームを介してスピットン2に接続されている。照明装置3はたとえば無影灯である。
【0035】
トレーテーブル5は、トレーテーブル用アームを介して診療台1に接続されている。トレーテーブル5は、診療器具、薬品および診療用ハンドピース(インスツルメント)30を置いたり、保持したりするために使用される。また、トレーテーブル5は、診療台1および診療用ハンドピース30などの操作を設定するための操作設定部5aを備えている。
【0036】
吸引装置200は、スピットン2内に設けられており、バキューム管44およびバキュームモータ300に接続される。吸引装置200は、バキュームモータ300で生成される吸引圧を制御して、バキューム管44に接続されるバキューム器具40の先端から患者の唾液や洗浄水を吸引する。なお、バキューム器具40とバキューム管44とは、スピットン2に着脱自在に接続可能に構成されている。吸引装置200には、バキューム器具40、およびバキュームモータ300を含めてもよい。
【0037】
洗浄装置400は、吸引装置200の近傍に設けられており、バキューム管44に設けたフィルタを洗浄する。洗浄装置400は、空気を利用してフィルタに詰まる、溜まる、引っ掛かる等した異物を排出管路に排出してフィルタを洗浄する。さらに、洗浄装置400は、フィルタを洗浄する前にバキューム管44を洗浄する機能を有する構成を一例として以下説明する。洗浄装置400は、例えば、バキューム器具40が所定の位置(例えば、器具ホルダ2d)にあるとき、バキューム管内に洗浄剤を供給してバキューム管44を洗浄する。もちろん、洗浄装置400は、バキューム管44を洗浄する機能を有しない構成であってもよい。また、洗浄装置400は、吸引装置200とともにスピットン2内に設けられてある一例を以下説明するが、スピットン2とは別に設けられていてもよい。
【0038】
スピットン2から延びたアームには、アシスタント側の器具ホルダ2dが設けられている。この器具ホルダ2dには、バキューム器具40であるバキュームシリンジ41、サラエバシリンジ42が係止されている。バキューム器具40の各々は、バキューム管44を介して吸引装置200と接続されている。バキューム器具40の各々は、使用しないときに器具ホルダ2dに係止され、このときバキューム器具40の各々に接続されたバキューム管44は、
図6に示すように、床面方向に垂れ下がった状態となる。
【0039】
器具ホルダ2dは、バキューム器具40のエラー情報、動作情報、洗浄の設定などを表示するための表示部43が設けられている。さらに、器具ホルダ2dは、後述するように、洗浄装置400の洗浄モードを変更したり、洗浄剤に含まれる薬剤の量を変更したりすることができる操作手段が設けられている。
【0040】
一方、トレーテーブル5には、ドクター側のハンドピースホルダ5bが設けられており、当該ハンドピースホルダ5bに診療用ハンドピース30が係止されている。診療用ハンドピース30は、歯科診療用のインスツルメントである。診療用ハンドピース30は、
図6に示すように、たとえば第1エアタービンハンドピース(ハイスピードハンドピース)31、第2エアタービンハンドピース(ハイスピードハンドピース)32、マイクロモーターハンドピース(ロースピードハンドピース)33、スリーウェイシリンジ34等が含まれる。なお、トレーテーブル5の操作設定部5aでも、洗浄装置400の洗浄モードを変更したり、洗浄剤に含まれる薬剤の量を変更したりすることができるようにしてもよい。
【0041】
次に、吸引装置200および洗浄装置400の配管構成および動作について説明する。
図7は、吸引装置200および洗浄装置400の管路構成を概略的に示す図である。吸引装置200は、バキューム管44を介してバキュームシリンジ41を接続する吸引管路201と、バキューム管44を介してサラエバシリンジ42を接続する吸引管路202とを有している。吸引管路201と吸引管路202とは、1つの吸引管路203を経てバキュームタンク260に接続される。
【0042】
バキュームタンク260は、バキューム器具40で吸引した気体と液体とを分離する機器であり、通常の気体と液体とを分離するタンクと同様の構造を有している。具体的に、バキュームタンク260は、容器を有し、容器の上部に吸引管路203を接続する流入口と、バキュームモータ300へと続く吸引管路204を接続するための排気口が設けられている。容器の底部には、排水管へと続く排水管路205を接続するための排水口が配置されている。吸引管路203および排水管路205の途中には、逆止弁が設けられてもよい。
【0043】
バキュームモータ300は、モータと該モータにより回転する吸引ファンとを備える装置であり、吸引力を発生させる。バキュームモータ300は、通常の歯科用診療装置などに用いられる通常のバキュームモータを用いることができる。
【0044】
さらに、吸引装置200は、吸引管路201~204に接続された開閉弁を含んでいる。開閉弁はそれぞれ電磁弁であってもよい。制御弁210は、バキュームタンク260とバキュームモータ300との間に配置されている。制御弁220は、バキュームシリンジ41に接続された吸引管路201と吸引管路203との間に配置されている。制御弁240は、サラエバシリンジ42に接続された吸引管路202と吸引管路203との間に配置されている。各々の制御弁210,220,240は、バキューム器具40から吸引した気体および液体をバキュームタンク260まで流すように構成されている。制御弁210,220,240は、吸引管路201~204の内部に配置されていてもよく、また吸引管路201~204と分離して配置されていてもよい。
【0045】
洗浄装置400は、バキューム管44内に設けたフィルタを洗浄する洗浄装置である。洗浄装置400は、バキュームシリンジ41に接続されたバキューム管44内に設けたフィルタ440を洗浄するために、切換弁441、排出弁442、排出配管445、空気配管446を含む。洗浄装置400は、サラエバシリンジ42に接続されたバキューム管44内に設けたフィルタ450を洗浄するために、切換弁451、排出弁452、排出配管455、空気配管456を含む。排出配管445,455は、1つの管路を経て回収部453に接続される。また、空気配管446,456は、1つの管路を経てエアコンプレッサ500に接続される。なお、エアコンプレッサ500は、第1エアタービンハンドピース31、第2エアタービンハンドピース32などの駆動用エアも供給する。
【0046】
洗浄装置400は、フィルタを洗浄するする以外にバキューム管44内を洗浄する機能を有している。洗浄装置400は、バキューム管44内を洗浄する機能のため、バキューム管44の各々に沿って設けられた洗浄配管46、水元(水道水)50から洗浄配管46へ供給するための電磁弁410、供給する水に洗浄剤を滴下する滴下ポンプ420、薬剤を貯留する薬剤タンク430を含む。洗浄装置400は、電磁弁410から供給する水に滴下ポンプ420で薬剤を滴下することで洗浄剤を生成し、当該洗浄剤を洗浄配管46に供給する。つまり、電磁弁410および滴下ポンプ420が、バキューム管44内に洗浄剤を供給する供給部を構成する。滴下ポンプ420は、滴下する薬剤の量で洗浄剤に含まれる薬剤の量を調整している。バキューム管44内に供給する洗浄剤は、洗浄配管46を通ってバキューム器具40とバキューム管44との接続部(第1接続部)側からバキューム管44内に供給される。なお、電磁弁410および滴下ポンプ420は、各々の洗浄配管46に対して個別に設けられているが、2つの洗浄配管46に対して共通に設けられてもよい。
【0047】
次に、
図8は、本開示の一実施の形態における歯科用診療ユニット100の制御ブロック図である。歯科用診療ユニット100は、診療台1を制御する制御装置、スピットン2を制御する制御装置、診療用ハンドピース30を制御する制御装置など、様々な制御装置を含み、これらの制御装置がCAN(Controller Area Network)通信などの関連する通信技術で互いに通信を行っている。
図8に示す歯科用診療ユニット100では、スピットン2を制御する制御装置で、吸引装置200および洗浄装置400を制御する一例を説明する。
【0048】
図8に示す制御部280は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)を備える。CPUは、ROM等に保存されている動作プログラムを実行することにより、歯科用診療ユニット100全体を総括的に制御する。ROMは、CPUが実行するプログラムやその他のデータを記憶する。RAMは、CPUがプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に記憶する。制御部280には、ピックアップセンサ(A)281、ピックアップセンサ(B)282、スタートSW(A)283、スタートSW(B)284、洗浄モードSW285、洗浄剤SW286、表示部43、および入力部45が接続されている。
【0049】
具体的に、スピットン2の器具ホルダ2dからバキュームシリンジ41が取上られたことをピックアップセンサ(A)281で検出すると、スタートSW(A)283がON状態となるとともに、バキュームモータ300が起動され、制御弁210および制御弁220が開となって、バキュームシリンジ41の先端から患者の口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引する。
【0050】
一方、スピットン2の器具ホルダ2dからサラエバシリンジ42が取上られたことをピックアップセンサ(B)282で検出すると、スタートSW(B)284がON状態となるとともに、バキュームモータ300が起動され、制御弁210および制御弁240が開となって、サラエバシリンジ42の先端から患者の口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引する。
【0051】
洗浄モードSW285は、フィルタ440,450の洗浄の有無、バキューム管44の洗浄の有無など複数の洗浄モードの中から選択するためのスイッチである。洗浄剤SW286は、バキューム管44を洗浄する洗浄剤に含まれる薬剤の量を変更するためのスイッチである。洗浄剤SW286で洗浄剤に含まれる薬剤の量を多くすることにより、滴下ポンプ420で水に滴下する薬剤の量を多くする。
【0052】
洗浄装置400は、例えば患者の診療が終わって診療台1が所定の傾き(患者が着座した状態)に戻るたびにバキューム管44の配管洗浄が行い、その後フィルタ440,450の洗浄を行う。これにより、バキューム管44内を常に清潔な状態に保つことができるとともに、衛生的にフィルタ440,450を洗浄でき、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【0053】
具体的に、フローチャートを用いて、洗浄装置400の動作を説明する。
図9は、本開示の一実施の形態における洗浄装置400の動作を説明するためのフローチャートである。なお、以下のフローチャートは、フィルタ440,450の洗浄の有、バキューム管44の洗浄の有とする洗浄モードを選択した場合の洗浄装置400の動作である。制御部280は、所定の条件が満たす場合に、洗浄装置400を制御して洗浄を実行する。まず、制御部280は、患者に対する診療が終了状態か否かを推定するため、例えば、診療台1が所定の傾きか否かを判断する(ステップS101)。診療台1が所定の傾きでない場合(ステップS101でNO)、制御部280は、患者に対して診療中であると推定して、処理をステップS101に戻す。診療台1が所定の傾きである場合(ステップS101でYES)、制御部280は、患者に対する診療が終了状態であると推定して、バキューム器具40が器具ホルダ2dに保持されているか否かを判断する(ステップS102)。なお、制御部280は、ピックアップセンサ(A)281およびピックアップセンサ(B)282がOFF状態であることでバキューム器具40が器具ホルダ2dに保持されていると判断する。
【0054】
バキューム器具40が器具ホルダ2dに保持されていない場合(ステップS102でNO)、制御部280は、処理をステップS102に戻す。バキューム器具40が器具ホルダ2dに保持されている場合(ステップS102でYES)、制御部280は、バキューム管44内に洗浄剤を供給する(ステップS103)。具体的に、制御部280は、電磁弁410を開き、配管に水を供給し、設定した薬剤の量を滴下ポンプ420により当該水に滴下する。
【0055】
制御部280は、バキューム管44内に設定された量の洗浄剤を供給したか否かを判断する(ステップS104)。具体的に、設定された量は、バキューム器具40とバキューム管44との接続部の高さまでバキューム管44内に洗浄剤を満たす量である。制御部280は、設定された量を供給したか否かを、例えば洗浄剤を供給した時間で判断する。
【0056】
バキューム管44内に設定された量の洗浄剤を供給していない場合(ステップS104でNO)、制御部280は、処理をステップS103に戻す。バキューム管44内に設定された量の洗浄剤を供給した場合(ステップS104でYES)、制御部280は、バキューム管44内への洗浄剤の供給を停止する(ステップS105)。
【0057】
バキューム管44内の洗浄効果を高めるため、制御部280は、バキューム管44内に洗浄剤が満たされた状態で所定の第1時間経過したか否かを判断する(ステップS106)。バキューム管44内に洗浄剤を満たした状態を維持することで、洗浄剤がバキューム管44の内壁と接触している時間を長くして、バキューム管44の内壁に付着した汚れを除去し易くできる。例えば、所定の第1時間を5分程度と設定してもよいし、歯科用診療ユニット100の使用後から翌日に使用を開始するまでの時間を設定してもよい。
【0058】
所定の第1時間経過していない場合(ステップS106でNO)、制御部280は、処理をステップS106に戻す。所定の第1時間経過した場合(ステップS106でYES)、制御部280は、バキューム管44内から洗浄剤を排出する(ステップS107)。具体的に、制御部280は、バキュームモータ300を起動し、制御弁210および制御弁220,240を開いて、洗浄剤を吸引管路201,202から排水管路205に排水する。
【0059】
次に、制御部280は、フィルタ440,450を洗浄するための動作を行う。まず、制御部280は、送気部から排出配管445の側に空気を送り込むために排出弁442を開く制御を行う(ステップS108)。さらに、制御部280は、バキューム管44の吸引経路を排出配管445の排出経路に切り換えるため切換弁441を制御する(ステップS109)。なお、
図1~
図5に示した洗浄装置の構成を採用する場合、制御部280は、送気部から排出配管445の側に空気を送り込むために排出弁442を開く制御を行うことで、同時にバキューム管44の吸引経路を排出配管445の排出経路に切り換えるための切換弁441の制御を行うことができる。
【0060】
フィルタ440,450の洗浄効果を高めるため、制御部280は、フィルタ440,450を逆浄する状態で所定の第2時間(例えば、1分)経過したか否かを判断する(ステップS110)。フィルタ440,450を逆浄する状態を維持することで、フィルタ440,450に詰まる、溜まる、引っ掛かる等した異物を取り除くことができる。
【0061】
所定の第2時間経過していない場合(ステップS110でNO)、制御部280は、処理をステップS110に戻す。所定の第2時間経過した場合(ステップS110でYES)、制御部280は、排出弁442を閉じる制御を行い、排出配管445の排出経路をバキューム管44の吸引経路に切り換えるため切換弁441を制御する(ステップS111)。なお、
図1~
図5に示した洗浄装置の構成を採用する場合、制御部280は、送気部から排出配管445の側に空気を送り込むために第1弁を閉じる制御を行うことで、同時に排出配管445の排出経路をバキューム管44の吸引経路に切り換えるための切換弁441の制御を行うことができる。
【0062】
その後、制御部280は、患者に対する診療の終了が推定される場合、例えば、診療台1が一定時間(例えば、5分程度)、所定の傾きか否かを判断する(ステップS112)。診療台1が一定時間、所定の傾きである場合、ある患者に対する診療が終わり、次の患者に対する診療を行うまでのインターバル期間であると判断し、制御部280は、バキューム管44の配管洗浄およびフィルタ440,450の洗浄を開始する。診療台1が一定時間、所定の傾きである場合(ステップS112でYES)、制御部280は、処理をステップS103に戻し、バキューム管44の配管洗浄およびフィルタ440,450の洗浄を行う。
【0063】
診療台1が一定時間、所定の傾きでない場合(ステップS112でNO)、制御部280は、歯科用診療ユニット100の電源をOFF状態にする操作が行われたか否かを判断する(ステップS113)。電源をOFF状態にする操作が行われていない場合(ステップS113でNO)、制御部280は、処理をステップS112に戻し、診療台1が一定時間、所定の傾きか否かを判断する。電源をOFF状態にする操作が行われた場合(ステップS113でYES)、制御部280は、処理を終了する。
【0064】
図9に示すフローチャートでは、診療台1が所定の傾きである状態が一定時間継続した場合、患者が変わったとして自動的にバキューム管44の配管洗浄およびフィルタ440,450の洗浄を行う制御を説明した。しかし、これに限られず、制御部280は、所定のタイミング(例えば、診療時間終了後)でバキューム管44の配管洗浄およびフィルタ440,450の洗浄を自動で行ってもよい。
【0065】
(変形例)
(1)前述の実施の形態では、バキューム器具40を保持する器具ホルダ2dが、スピットン2から延びたアームに設けられている。しかし、バキューム器具40を保持する器具ホルダは、スピットン2などに設けられる場合に限定されず、例えば、診療台1の背板に設けられて(収納されて)もよい。また、洗浄装置400も、診療台1の背板に設けられてもよい。
【0066】
(2)前述の実施の形態では、患者に対する診療の終了が推定される場合として、制御部280は、診療台1が所定の傾きであるか否かを判断する一例を説明した。しかし、これに限られず、例えば、制御部280は、照明装置3がON状態からOFF状態に変更されたか否かを判断して、患者に対する診療が終了したと推定してもよい。また、制御部280は、診療用ハンドピース30の駆動が一定の期間、OFF状態か否かを判断して、患者に対する診療が終了したと推定してもよい。さらに、制御部280は、フットコントローラ(図示せず)の全てのペダルが一定の期間、OFF状態か否かを判断して、患者に対する診療が終了したと推定してもよい。
【0067】
(3)前述の実施の形態の洗浄装置400では、フィルタ440,450を逆浄する所定の第2時間の間、送気部から排出配管445の側に空気を送り込むために排出弁442を開く制御を行う。しかし、洗浄装置400は、フィルタ440,450を逆浄する所定の第2時間の間、送気部から排出配管445の側に間欠的に空気を送り込んでもよい。また、制御部280は、送気部から排出配管445の側に送り込む空気の量を時間的に変化させるため、排出弁442を制御してもよい。
【0068】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
1,1A 診療台、2 スピットン、2a 胴部 2b ベースン、2c コップ給水栓、2d 器具ホルダ、3 照明装置、5 トレーテーブル、5a 操作設定部、5b ハンドピースホルダ、30 診療用ハンドピース、40 バキューム器具、41 バキュームシリンジ、42 サラエバシリンジ、43 表示部、44 バキューム管、45 入力部、46 洗浄配管、100 歯科用診療ユニット、200 吸引装置、201,202,203,204 吸引管路、205 排水管路、210,220,240 制御弁、260 バキュームタンク、280 制御部、300 バキュームモータ、400 洗浄装置、410 電磁弁、420 滴下ポンプ、430 薬剤タンク、440,450 フィルタ、441,451 切換弁、442,452 排出弁、445,455 排出配管、446,447,456,457 空気配管、453 回収部、471 第1送気口、472 導管、473 第2送気口、500 エアコンプレッサ。