(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】有限電源と共に使用するためのオーディオ増幅器
(51)【国際特許分類】
H03F 3/183 20060101AFI20240523BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20240523BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
H03F3/183
H02J1/00 306K
H02J1/00 306L
H02J7/34 E
(21)【出願番号】P 2021573450
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(86)【国際出願番号】 FI2020050571
(87)【国際公開番号】W WO2021044081
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2021-12-10
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】598156701
【氏名又は名称】ジェネレック・オーワイ
【氏名又は名称原語表記】GENELEC OY
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】マキヴィルタ,アキ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイサネン,ユホ
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-282447(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0239924(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0349737(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102694506(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F1/00-3/72
H02J7/34-7/35
H02J1/00-1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有限電源と共に使用するためのオーディオ増幅器(100)であって、
前記オーディオ増幅器は:
‐電力入力端子(102);
‐信号入力端子(104)であって、前記電力入力端子(102)と前記信号入力端子(104)とは、複合入力端子として構成されている、前記信号入力端子(104)と;
‐前記電力入力端子に接続された入力を有する第1のDC/DCコンバータ(110);
‐前記第1のDC/DCコンバータ(110)の出力に接続された電気エネルギ貯蔵デバイス(120);
‐前記電気エネルギ貯蔵デバイス(120)に接続された入力を有する第2のDC/DCコンバータ(112);
‐前記第2のDC/DCコンバータ(112)の出力によって給電されるように、前記第2のDC/DCコンバータ(112)の前記出力に導電接続された、増幅器(130)であって、前記増幅器(130)は、増幅のための信号を受信するために前記信号入力端子(104)にも導電接続される、増幅器(130);
‐前記信号入力端子(104)及び前記増幅器(130)に接続されたオーディオレベルコントローラ(150);
‐前記増幅器によってトランスデューサを駆動できるように、前記トランスデューサに接続されるよう構成された、前記増幅器(106)の出力
を備え、
前記オーディオレベルコントローラ(150)は、前記電気エネルギ貯蔵デバイス(120)のエネルギ貯蔵レベルを監視し、増幅のために前記増幅器(130)に供給される前記信号を制限して、前記エネルギ貯蔵レベルが所定の閾値を超えたままとなることを保証するよう構成されることを特徴とする、オーディオ増幅器(100)。
【請求項2】
前記増幅器によって駆動されるように、前記増幅器(106)の前記出力に導電接続された、トランスデューサ(140)を更に備える、請求項1に記載のオーディオ増幅器(100)。
【請求項3】
前記電気エネルギ貯蔵デバイス(120)はコンデンサである、請求項1または2に記載のオーディオ増幅器(100)。
【請求項4】
前記電力入力端子(102)及び前記信号入力端子(104)は、1つのイーサネットポートに含まれる、請求項1~3のいずれか1項に記載のオーディオ増幅器(100)。
【請求項5】
前記複合入力端子はUSBポートである、請求項1~3のいずれか1項のオーディオ増幅器(100)。
【請求項6】
前記第1のDC/DCコンバータ(110)及び前記第2のDC/DCコンバータ(112)はスイッチング電源である、請求項1~5のいずれか1項に記載のオーディオ増幅器(100)。
【請求項7】
前記電気エネルギ貯蔵デバイスは、式:
【数1】
に従ったキャパシタンスを有し、ここでCはキャパシタンスであり、Poutはオーディオ増幅器の最大出力電力であり、Pinはオーディオ増幅器の最大入力電力であり、Vmax及びVminは、正常動作条件下の前記コンデンサに印加される最大及び最小電圧であり、tは最大電力を供給できる長さを表す時間定数であり、tの値は0.025~5秒である、請求項
3に記載のオーディオ増幅器(100)。
【請求項8】
tは0.15秒である、請求項7のオーディオ増幅器(100)。
【請求項9】
前記第2のDC/DCコンバータ(112)によって給電される追加の増幅器(132)を更に備え、前記追加の増幅器(132)は、第2の信号入力端子(108)から、第2の入力信号を供給される、請求項1~8のいずれか1項に記載のオーディオ増幅器(100)。
【請求項10】
前記追加の増幅器(132)は、追加のトランスデューサ(142)に導電接続される、請求項9のオーディオ増幅器(100)。
【請求項11】
AC/DCコンバータ(115)の入力に接続されたAC電力入力(101)を更に備え、前記AC/DCコンバータ(115)の出力は、前記電気エネルギ貯蔵デバイス(120)に接続される、請求項1~10のいずれか1項に記載のオーディオ増幅器(100)。
【請求項12】
前記電気エネルギ貯蔵デバイス(120)は、定格オーディオ増幅器出力電力1ワットあたり20mJ~10Jの定格エネルギ貯蔵量を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のオーディオ増幅器(100)。
【請求項13】
有限電源と共に使用するためのオーディオ増幅器(100)であって、
前記オーディオ増幅器は:
‐電力入力端子(102);
‐信号入力端子(104)であって、前記電力入力端子(102)と前記信号入力端子(104)とは、複合入力端子として構成されている、前記信号入力端子(104)と;
‐前記電力入力端子に接続された入力を有する第1のDC/DCコンバータ(110);
‐前記第1のDC/DCコンバータ(110)の出力に接続された
コンデンサである電気エネルギ貯蔵デバイス(120);
‐前記電気エネルギ貯蔵デバイス(120)に接続された入力を有する第2のDC/DCコンバータ(112);
‐前記第2のDC/DCコンバータ(112)の出力によって給電されるように、前記第2のDC/DCコンバータ(112)の前記出力に導電接続された、増幅器(130)であって、前記増幅器(130)は、増幅のための信号を受信するために前記信号入力端子(104)にも導電接続される、増幅器(130);
‐前記信号入力端子(104)及び前記増幅器(130)に接続されたオーディオレベルコントローラ(150);
‐前記増幅器によってトランスデューサを駆動できるように、前記トランスデューサに接続されるよう構成された、前記増幅器(106)の出力
を備え、
前記電気エネルギ貯蔵デバイスは、式:
【数2】
に従ったキャパシタンスを有し、ここでCはキャパシタンスであり、Poutはオーディオ増幅器の最大出力電力であり、Pinはオーディオ増幅器の最大入力電力であり、Vmax及びVminは、正常動作条件下の前記コンデンサに印加される最大及び最小電圧であり、tは最大電力を供給できる長さを表す時間定数であり、tの値は0.025~5秒である、オーディオ増幅器(100)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ますます多くのインタフェース規格が開発されるにつれて、電力供給が制限されたインタフェースを目にすることがますます一般的になっている。データ・電力複合インタフェース等の特定のインタフェースは、オーディオ増幅器市場において新規の解決策及び実装形態を提供しているものの、これらの電力供給能力が制限されていることにより、このようなインタフェースを採用したオーディオ増幅器の総出力は厳しく制限されてきた。
【0002】
例えば、サウンドシステムは入力電力のためにUSBポートを採用する場合があり、従って採用されるUSB規格の電力供給へと制限されることになる。電力供給が制限された電源からオーディオ増幅器又はラウドスピーカーに給電する際、ラウドスピーカーの全体的な定格は、電源の限界によって必然的に決定される。例えば、最大電力供給が60Wの電源で動作している場合、システムが非効率であることを原因として更に低くならない限り、ラウドスピーカーは60Wの出力に制限されることになる。従って、電力供給が制限された用途においては、妥当なレベル又は高いレベルの音圧を達成するのは困難である。
【0003】
電力・データ供給複合アプリケーションの人気の高まりを考慮すると、オーディオソースに対する制限は更に一般的なものになるだろう。例えばパワー・オーバー・イーサネット(Power over Ethernet:PoE)は、イーサネット接続に関連する従来のデータレートを提供するだけでなく、同一のケーブルを介して電力を供給する。しかしながら、採用されるPoEの規格のタイプに応じて、イーサネットケーブルを介して供給される最大電力は、71W、51W、又は更に低いものに制限される場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、電力・データ供給複合規格は、ラウドスピーカーの設置のための魅力的なアプリケーションであるものの、多くの用途において要求される、ラウドスピーカーを駆動するための十分な電力供給を有していない。本開示の目的は、オーディオ用途における制限された容量の入力電力に関連する課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるオーディオ増幅器は、該オーディオ増幅器の電源によって課される制限よりも高いレベルで、継続的な出力を提供できる。DC/DCコンバータの採用により、本発明によるオーディオ増幅器は、コンデンサ等の貯蔵デバイスのエネルギ貯蔵能力を、上記オーディオ増幅器の正常な機能に悪影響を与えることなく上記貯蔵デバイスの電圧を変動させることができるようにすることによって、最大化できる。
【0006】
本発明は、独立請求項の特徴部分によって定義される。いくつかの具体的実施形態は、従属請求項において定義される。
【0007】
本発明の第1の態様によると、有限電源と共に使用するためのオーディオ増幅器が提供され、上記オーディオ増幅器は:電力入力端子;信号入力端子;上記電力入力端子に接続された入力を有する第1のDC/DCコンバータ;上記第1のDC/DCコンバータの出力に接続された電気エネルギ貯蔵デバイス;上記電気エネルギ貯蔵デバイスに接続された入力を有する第2のDC/DCコンバータ;上記第2のDC/DCコンバータの出力によって給電されるように、上記第2のDC/DCコンバータの上記出力に導電接続された、増幅器であって、上記増幅器は、増幅のための信号を受信するためにデータ入力端子にも導電接続される、増幅器;及び上記増幅器によってトランスデューサを駆動できるように、上記トランスデューサに接続されるよう構成された、上記増幅器の出力を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A-1G】
図1A~1Gは、本発明の特定の実施形態によるオーディオ増幅器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示によるオーディオ増幅器は、該オーディオ増幅器の電源によって課される制限よりも高いレベルで、継続的な出力を提供できる。一連のDC/DCコンバータの採用により、本開示によるラウドスピーカーは、コンデンサ等の貯蔵デバイスのエネルギ貯蔵能力を、上記オーディオ増幅器の正常な機能に悪影響を与えることなく上記貯蔵デバイスの電圧を変動させることができるようにすることによって、最大化できる。
【0010】
例えば本発明による少なくともいくつかのオーディオ増幅器は、電源としてイーサネット又はUSBインタフェースを採用するように構成できる。このような電源は規格によって設定された最大電力供給を有し得るが、本発明によるオーディオ増幅器は、本発明の実施形態に従って必要とされる場合に、上記電源の供給を増強するように構成された、エネルギ貯蔵デバイスを採用することによって、より高い出力の定格を有することができる。例えば電源が50Wの持続供給に制限されている場合、本発明によるオーディオ増幅器は、それより高くはないにしても、60Wの定格を有することができる。
【0011】
本開示中の実施形態のうちの少なくともいくつかでは、電力及びオーディオ信号を、オーディオ増幅器及びラウドスピーカーのうちの少なくとも一方に、単一のケーブルを介して搬送する。これらの実施形態のうちの少なくともいくつかでは、パワー・オーバー・イーサネット(PoE)に従った手段を使用する。本開示の文脈において、PoEは、以下の規格又はタイプのうちの少なくとも1つを含む:802.3af(802.3at Type 1)“PoE”、12.95W;802.3at Type 2“PoE+”、25.5W;802.3bt Type 3“4PPoE”、51W;802.3bt Type 4、71W。
【0012】
図1Aに示されているように、本発明の少なくともいくつかの実施形態による、有限電源と共に使用するためのオーディオ増幅器100は:電力入力端子102;信号入力端子104;上記電力入力端子に接続された入力を有する第1のDC/DCコンバータ110;第1のDC/DCコンバータ110の出力に接続された電気エネルギ貯蔵デバイス120;電気エネルギ貯蔵デバイス120に接続された入力を有する第2のDC/DCコンバータ112;第2のDC/DCコンバータ112の出力によって給電されるように、第2のDC/DCコンバータ112の出力に導電接続された、増幅器130であって、この増幅器130は、増幅のための信号を受信するためにデータ入力端子104にも導電接続される、増幅器130;及び上記増幅器によってトランスデューサを駆動できるように、上記トランスデューサに接続されるよう構成された、増幅器106の出力を備える。
【0013】
オーディオ増幅器内に2つのDC/DCコンバータを設けることにより、本発明による増幅器は、不安定な出力電圧を有する電気エネルギ貯蔵デバイスを採用できる。例えばコンデンサを採用する場合、上記コンデンサの電圧は、上記コンデンサの充電レベルが変化するに従って変化することになる。コンデンサを最も効率的に使用するため、及び幅広い充電レベルのコンデンサを採用するために、DC/DCコンバータによって、コンデンサの電圧が通常は増幅器回路への供給に適していない場合であっても、必要に応じてコンデンサに電力を供給したり、コンデンサから電力を引き出したりすることができる。
【0014】
図1Bは本発明によるオーディオ増幅器の更なる例を示し、ここではオーディオ増幅器100は、増幅器によって駆動されるように、増幅器106の出力に導電接続された、トランスデューサ140を更に備える。このような実施形態は、キャビネットスピーカー、壁内スピーカー、ラウドスピーカー等の形態を取ることができる。
【0015】
本発明による少なくともいくつかのオーディオ増幅器では、上記電気エネルギ貯蔵デバイスはコンデンサである。特定の実施形態はバッテリーを採用する。更に他の実施形態は、様々な高速充電・放電エネルギ貯蔵デバイスを採用する。
【0016】
本発明による特定のオーディオ増幅器は複合入力端子を採用し、即ちこの端子は、電力入力及び信号入力の両方を受け取るように構成される。例えば少なくともいくつかのオーディオ増幅器は、複合入力端子としてイーサネットポートを採用し、即ち1つのイーサネットポートに電力入力端子及び信号入力端子が備えられる。他のオーディオ増幅器では、複合入力端子はUSBポートである。
【0017】
図1Cは本発明のいくつかの実施形態によるオーディオ増幅器を示し、ここでは2つのDC/DCコンバータが異なる構成で配設される。
図1Cでは、電気エネルギ貯蔵デバイスはDC/DCコンバータ間の共通端子に配置されておらず、その代わりに、これらのコンバータのうちの一方によって隔てられている。効果は同一であり、増幅器に入力される電圧が現在の限界以内に維持されたまま、貯蔵デバイスの電圧が、場合によっては大幅に、変化することが許容される。
【0018】
本発明の少なくともいくつかの実施形態では、DC/DCコンバータはスイッチング電源である。
【0019】
本発明の少なくとも特定の複数の実施形態によるオーディオ増幅器はコンデンサを採用し、更に、上記コンデンサを最も効率的に使用するために、上記コンデンサの電圧の変動を許容する。本発明による少なくともいくつかのオーディオ増幅器は、以下の式1によるキャパシタンスを有するコンデンサを採用する。
【0020】
【0021】
式1では、Cはキャパシタンスであり、Poutはオーディオ増幅器の最大出力電力であり、Pinはオーディオ増幅器の最大入力電力であり、Vmax及びVminは、正常動作条件下のコンデンサに印加される最大及び最小電圧であり、tは最大電力を供給できる長さを表す時間定数であり、tの値は0.025~5秒である。本発明による少なくともいくつかのオーディオ増幅器は、0.15秒の時間定数を有する。少なくとも0.15秒にわたって最大電力供給を維持できれば、大半のタイプの音楽のために定格電力を提供するには十分であることが示されている。
【0022】
本発明の特定の実施形態では、電気エネルギ貯蔵デバイスは、有限電源の既知の最大電力供給、及びオーディオ増幅器の定格出力に基づいてサイズ設定される。例えば電気エネルギ貯蔵デバイスは、有限電源によって供給される電力との組み合わせで、貯蔵されているエネルギが、所定の時間量にわたってオーディオ増幅器の定格出力を提供するために十分となるように選択できる。即ちエネルギ貯蔵デバイスは、オーディオ増幅器が所定の時間にわたって、有限電源のみによって可能なレベルを超えたレベルを出力できるように、有限電源を増強できる。
【0023】
図1Dは、本発明の特定の実施形態によるオーディオ増幅器100を示し、これは、信号入力端子104及び増幅器130に接続されたオーディオレベルコントローラ150を更に備える。特定の実施形態では、このオーディオレベルコントローラ150は、電気エネルギ貯蔵デバイス120のエネルギ貯蔵レベルを監視し、増幅のために増幅器130に供給される信号を制限して、エネルギ貯蔵レベルが、例えば電気エネルギ貯蔵デバイスの最大安全貯蔵状態に等しい閾値である所定の閾値を超えたままとなることを保証するよう構成される。
【0024】
オーディオレベルコントローラを含む本発明の少なくともいくつかの実施形態では、上記コントローラは、オーディオ増幅器の出力が、調整されていない出力の3dB以内となるように、調整を制限するよう構成される。いくつかの実施形態では、上記コントローラは、オーディオ増幅器への最大電力供給に基づいて、電気エネルギ貯蔵デバイスの充電レベルを監視しており、監視されている上記充電レベルは、オーディオ増幅器の出力を制御している。いくつかの実施形態では、上記コントローラは、電気エネルギ貯蔵デバイスに貯蔵されるエネルギの量を、デバイスの定格エネルギ貯蔵量の20~100%の範囲内で変動させることができる。他の実施形態は、貯蔵レベルを、デバイスの最小安全貯蔵レベルを超えるように制限する。特定のコントローラは、電気エネルギ貯蔵デバイスの電圧を監視して、監視されている上記電圧に基づいて、入力信号の最大レベルを制限するよう構成される。いくつかのコントローラは、増幅器による最大電力出力、及び増幅器へのオーディオ入力の最大レベルのうちの少なくとも一方を調整して、貯蔵されているエネルギを制御するように構成できる。コントローラを用いて、エネルギ貯蔵デバイスの貯蔵レベルに基づいて出力レベルを調整することにより、持続するサウンドを有する高圧縮オーディオが信号入力に向けられている場合であっても、オーディオ増幅器の出力を増大させることができる。
【0025】
図1Eは、本発明の特許請求の範囲の特定の実施形態によるオーディオ増幅器100を示し、これは、第2のDC/DCコンバータ112によって給電される追加の増幅器132を更に備え、この追加の増幅器132は、第2の信号入力端子108から、第2の入力信号を供給される。特定の実施形態では、追加の増幅器132は、追加のトランスデューサ142に導電接続される。従って本発明は、ステレオ、マルチチャンネル増幅器、又はマルチウェイアクティブスピーカーシステムでの用途を見出すことができる。
【0026】
図1Fは、本発明のいくつかの実施形態によるオーディオ増幅器100を示し、これは、AC/DCコンバータ115の入力に接続されたAC電力入力101を更に備え、このAC/DCコンバータ115の出力は、エネルギ貯蔵デバイス120に接続される。
【0027】
図1Gは、本発明の少なくともいくつかの実施形態によるオーディオ増幅器100を示し、ここでは単一のDC/DCコンバータ110しか必要ない。特定の実施形態では、増幅器130への給電のために提供される電圧の変化に耐えることができる増幅器130が採用され、これにより、貯蔵されているエネルギが変動するに従って、電気エネルギ貯蔵デバイス120の電圧を変動させることができる。
【0028】
以上の複数の例によって示されているように、本発明によるオーディオ増幅器は、増幅器システム全体の定格よりも低い定格を有する電源を使用できるようにするために、追加のDC/DCコンバータを採用する。本発明によって採用されるDC/DCコンバータにより、標準的なラウドスピーカーのリップル又はフィルタコンデンサで通常見られるものよりも、貯蔵デバイスからの電力をより多く使用できるようになる。
【0029】
特許請求される本発明の特定の実施形態の電気エネルギ貯蔵デバイスは、オーディオ増幅器の定格出力電力に関連する定格エネルギ貯蔵量を有する。少なくともいくつかの電気エネルギ貯蔵デバイスは、定格オーディオ増幅器出力電力1ワットあたり20mJ~10Jの定格エネルギ貯蔵量を有する。これは、典型的には定格オーディオ増幅器出力電力1ワットあたり10mJ未満の定格エネルギ貯蔵量を有する、オーディオ増幅器に使用される標準的なリップルコンデンサとは対照的である。
【0030】
更に、本出願で示されているようにDC/DCコンバータを採用することにより、入力電力を一定に、又は少なくとも、例えば上述のPoE規格等の特定の規格に従ったレベル以内に、維持できる。
【0031】
本発明による少なくともいくつかのオーディオ増幅器は、用途が見出され、デバイスへの13Wの電力供給を指定するIEEE 802.3af規格を含む様々なPoE規格を実装できる。IEEE 802.3at(PoE+)はデバイスへの最大電力を25Wまで増大させ、またIEEE 802.3btはデバイスへの最大電力を、バージョンに応じて51W又は71Wまで増大させる。
【0032】
本発明による特定のオーディオ増幅器は、供給電力が不確実であるシステムにおいて用途が見出される。本発明の1つ以上のDC/DCコンバータは、増幅器が動作のために特定の電力を必要とする場合であっても、低く不確実な電源によってオーディオ増幅器への供給を行うことを可能にする。これにより、システムは、供給電力が不確実であるか又は変動性である場合であっても、動作できるようになる。更にこれにより、多様な電力規格を使用できるようになる。またこれにより、インタフェースの問題又はケーブル接続を理由とする、電源の問題への適応を支援することもできる。例えば、増幅器が入力電力を調整できることにより、通常採用される長さを超える可能性がある電源又は電力・オーディオ複合ケーブルを、本発明によるオーディオ増幅器と共に使用できる。
【0033】
本発明による少なくともいくつかのオーディオ増幅器は、システム内の様々なポイントの電圧を調整できることを理由の少なくとも一部として、より効率的な全体の動作を可能とする。
【0034】
本開示の発明の実施形態は、本明細書で開示されている特定の構造、プロセスステップ、又は材料に限定されず、当業者には認識されるであろうそれらの同等物にまで拡張されることを理解されたい。また本明細書で採用されている用語法は、特定の実施形態を説明することのみを目的として使用されており、限定を意図したものではないことも理解されたい。
【0035】
本明細書全体を通した、「一実施形態(one embodiment)」又は「ある実施形態(an embodiment)」への言及は、該実施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味している。よって「一実施形態では(in one embodiment)」又は「ある実施形態では(in an embodiment)」という句が本明細書全体を通して様々な箇所に見られるが、これら全てが必ずしも同一の実施形態を指すわけではない。例えば「約(about)」又は「略(substantially)」等の用語を用いて、数値に関する言及が行われている場合、その数値そのものも開示されている。
【0036】
本明細書中で使用される場合、複数のアイテム、構造要素、構成要素、及び/又は材料が、便宜上1つの共通のリストで提示される場合がある。しかしながら、これらのリストは、該リストの各メンバーが独立して、別個の一意のメンバーであるものとして特定されているかのように解釈されるものとする。よって、特段の指示がない限り、このようなリストのいずれの個々のメンバーも、1つの共通のグループ内で提示されていることのみを根拠として、同じリストの他のいずれのメンバーと事実上同等のものとして解釈されないものとする。更に、本発明の様々な実施形態及び実施例は、その様々な構成要素の複数の変形例と共に、本明細書中で言及される場合がある。このような実施形態、実施例、及び変形例は、互いの事実上の同等物として解釈されるものではなく、本発明の別個の自律的な表現とみなされるものであることを理解されたい。
【0037】
更に、ここで記載されている特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態においていずれの好適な様式で組み合わせることができる。本説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、長さ、幅、形状等の例といった多数の具体的詳細が提供されている。しかしながら、これらの具体的詳細のうちの1つ以上を用いることなく、又は他の方法、構成要素、材料等を用いて、本発明を実践できることは、当業者には認識されるだろう。他の例では、本発明の態様を曖昧にすることを回避するために、公知の構造、材料、又は動作を詳細に図示又は説明していない。
【0038】
以上の実施例は、1つ以上の特定の用途における本発明の原理を説明しているが、発明能力を行使することなく、また本発明の原理及び概念から逸脱することなく、形態、使用法、及び実装の詳細について多数の修正を行うことができることは、当業者には明らかであろう。従って、以下に記載の特許請求の範囲によるものを除いて、本発明を限定することは意図されていない。
【0039】
動詞「…を備える(to comprise)」及び「…を含む(to include)」は、本文書では、記載されていない特徴の存在を除外も要求もしないオープンな制限として使用される。従属請求項に記載されている特徴は、特段の記載がない限り、相互に自由に組み合わせることができる。更に、本文書全体を通しての「a」又は「an」、即ち単数形の使用は、複数を除外するものではないことを理解されたい。
【0040】
略語リスト
POE、PoE パワー・オーバー・イーサネット
SMPS スイッチング電源
USB ユニバーサルシリアルバス