(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】電池用電池缶
(51)【国際特許分類】
H01M 50/167 20210101AFI20240523BHJP
H01M 50/107 20210101ALI20240523BHJP
H01M 50/152 20210101ALI20240523BHJP
【FI】
H01M50/167
H01M50/107
H01M50/152
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022173246
(22)【出願日】2022-10-28
(62)【分割の表示】P 2019025448の分割
【原出願日】2019-02-15
【審査請求日】2022-10-28
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518303170
【氏名又は名称】エイチアンドティー リチャージャブル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】フォルケル ゼーフェルツ
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン シュレーデル
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ヘフェール
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-174523(JP,A)
【文献】特公昭42-003590(JP,B1)
【文献】特開2001-052656(JP,A)
【文献】特開平09-161736(JP,A)
【文献】特開平10-321198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の缶本体(3)を備える電池缶(2)と、前記円筒状の缶本体(3)に収容され、セパレータによって絶縁されたアノード及びカソードを巻くことによって形成された電極組立体とを備える電池(1)の製造方法であって、
前記缶本体(3)が、基部を形成する第一端部(4)と、前記基部から長手方向に、開口部(9)を備える前記缶本体(3)の第二端部(7)まで延びる周囲側壁(5)とを有し、
前記第二端部(7)が、前記缶本体開口部(9)内部へ前記缶本体(3)に挿入されたキャップ組立体(8)によって閉じられ、
前記キャップ組立体(8)が、前記開口部(9)を囲む環状肩部(11)を、前記環状肩部(11)が前記キャップ組立体(8)の上部分に係合するように、内側にクリンプ加工することによって、前記缶本体に取り付けられており、
前記缶本体(3)の前記側壁(5)が、前記第二端部(7)において端縁部(10)で終わり、前記周囲側壁(5)の前記端縁部(10)が内側に延びるループ状に折り畳まれて前記環状肩部(11)を形成し、
前記内側環状肩部(11)の対向する内側壁面が互いに接し、前記端縁部(10)が、前記缶本体(3)の前記内側壁(5a)に接触し、
前記環状肩部(11)が、前記側壁(5)の前記端縁部(10)が前記缶本体
(3)の前記
長手方向における長手方向軸線から離れる方向に曲げられて、前記缶本体(3)の前記内側壁(5a)に向き、前記側壁(5)の前記第二端部(7)における端面が、前記缶本体(3)の前記長手方向から見て平坦な外側環状面(14)を形成するように、内側にクリンプ加工されており、
前記側壁(5)の一部分が内側にクリンプ加工されて、前記キャップ組立体(8)の下部分と係合する環状突起を形成し、
前記方法は、
前記缶本体(3)の、前記第二端部(7)において前記端縁部(10)を半径方向内側に曲げるステップと、
前記缶本体(3)の、前記第二端部(7)を広げるステップと、
前記開口部(9)に、前記電極組立体を挿入するステップと、
前記電極組立体を挿入するステップの後に、前記開口部(9)に、前記キャップ組立体(8)を挿入するステップと、
前記キャップ組立体(8)を挿入するステップの後に、前記環状肩部(11)をクリンプ加工するステップと、
を備え、
前記電極組立体を前記挿入するステップにおいて、前記缶本体(3)の前記環状肩部(11)は、前記側壁(5)の他の部分に対して前記缶本体(3)の半径方向外側に、ラッパ状に広がっている
ことを特徴とする、前記電池(1)を製造する方法。
【請求項2】
前記キャップ組立体(8)が正側電流出力端子を備え、前記環状肩部が負側電流出力端子を備える、又はその逆である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セパレータによって絶縁されたアノード及びカソードを巻くことによって形成された電極組立体を収容するように構成された、特に充電式リチウムイオン電池用の電池缶であって、キャップ組立体によって閉じるように構成された電池缶に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯用及びコードレスの電気機器、パーソナルコンピュータ、携帯用通信装置、及び電動車両への電源の使用が増加していることによって、製造業者にとって新たな課題が生じている。より高いエネルギレベルが要求されていることから、高エネルギ密度の充電式電池システムは、現在、強く求められている技術目標の一つである。
【0003】
充電式リチウムイオン電池は、他の電気化学的なエネルギ貯蔵装置と比較して比エネルギ密度が高く、且つ、再充電可能であるため、携帯用電子機器、及び電気又はハイブリッド電気車両にとって魅力的なエネルギ貯蔵システムである。しかし、電池のエネルギ密度が上がるほど、その安全性及び信頼性がますます重要になる。電気的、温度的、又は機械的に過酷な条件に晒されると、リチウムイオン電池内の活物質が分解して発熱し、大量の熱を発生させ、火災及び/又は爆発を伴う熱暴走に至る可能性がある。
【0004】
リチウムイオン電池は、多孔質フィルムで作られ、正極と負極(カソードとアノード)の間に配置されたセパレータを備える電極組立体を含む。円筒型のリチウムイオン電池内では、セパレータ、アノード、及びカソードが、アノードとカソードがセパレータによって分離された状態で渦巻状に巻かれている。
【0005】
電極組立体は、基部を形成する第一端部と、基部から長手方向に、開口部をもつ開口端を備える缶本体の第二端部まで延びる周囲側壁とを有する、電池缶の円筒状の缶本体に収容される。電極組立体は開口端に挿入され、この開口端は後にキャップ組立体の形態の蓋状閉鎖体によって閉じられる。
【0006】
キャップ組立体は、電流出力端子、例えば、正側出力電流端子を保持しているため、電池の生産において重要な役割をもつ。更に、キャップ組立体は、電池内部を効果的にシールする必要があり、安全性に関して重大な役割をもつ。例えば、ケーシングの腐食によって電池内部が長期間露出すると、電池の構成部品が外部環境に晒される可能性がある。
【0007】
気密シールは、常に、リチウムイオン電池の耐用年数を決める重要な課題である。例えば、水分子又は酸素分子が電解質中に存在すると、電池の高い電圧によって水の分解又は酸素還元が生じる可能性がある。このような問題は、セルのシーリングが不適切なことによって引き起こされる場合が多い。
【0008】
電池缶は、通常、クリンプ加工工程によって閉じられる。クリンプ加工は、2つ以上の金属片又は他の延性材料片を一方が他方を保持するようにそれらの一方又は両方を変形させることによって接合する方法として知られている。必要な電池内部の構成部品(例えば、電極組立体)を電池缶の缶本体の開口端に挿入した後、カバー組立体を電池缶の前端に挿入し、これをクリンプ加工によって、すなわち、電池缶の開口端の側壁をカバー組立体に対して半径方向に内側に絞ることによって所定位置にしっかりと固定する。
【0009】
カバー組立体は、側壁がカバー組立体の周囲でカバー組立体を超えて延びるように缶の開口部内の所定の深さに配置される。そして、側壁の端面、すなわち、開口部における缶本体の上縁部又は端縁部が、カバー組立体と係合するように、缶本体の側壁の開口端を(缶本体の基部に向けて)内側に曲げる。
【0010】
カバー組立体は、シール又はガスケットを備える。シールは、カバー組立体の外周並びに上面及び下面に、側壁面と係合するよう設けてもよい。クリンプ加工中、缶本体の開口端を内側に曲げるとき、カバー組立体に締め付け力が作用し、その結果、カバー組立体に接するシール面が缶本体の内側壁面に押圧される。クリンプ加工工程中、カバー組立体の電池缶内部に面する側を支持できるように、カバー組立体下の容器内側に内側環状肩部を形成してもよい。
【0011】
クリンプ加工工程は、高速で、経済効率の高い工程であり、供給業者から提供される前加工された電池缶を使用する高速な電池製造/組立に適している。クリンプ加工工程における一つの欠点は、缶本体の製造工程の結果、缶本体の端縁部が切断縁部によって形成されるということである。
【0012】
通常、供給される電池缶は、金属板を絞り加工することによって、一方の端部が閉じた円筒状の缶本体を形成し、円筒状の缶本体の開口部の部分を、その周囲に沿って切断することによって形成される。電池組立に供給された電池缶は、最終電池組立ステップにおいて、電気構成部品が挿入された後に、切断縁部を90°以上内側に曲げることによって、側壁端部がカバー組立体に対して押圧され、缶本体の側壁の内面がカバー組立体の上面を押圧するようにクリンプ加工される。
【0013】
しかし、切断縁部は、外部環境に晒されたままである。したがって、切断縁部が腐食してシールを損なう可能性がある。更に、電池の機能不良によって電池が過熱し、高い内圧力が発生したときに、缶本体のクリンプ加工された縁部によって生じる締め付け力の強度が不十分な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開平3-084850号公報
【文献】実開昭58-065758号公報
【文献】米国特許出願公開第2006/183019号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、電池を組み立てる際のカバー組立体の取り付けが改善された、充電式リチウムイオン電池用の電池缶を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記本発明の目的は、請求項1に定義された電池缶によって実現される。好ましい実施形態は従属請求項の主題である。
【0017】
電池缶は、電極組立体を収容するための円筒状の缶本体を備え、基部を形成する第一端部と、基部から長手方向に、開口部を備える缶本体の第二端部まで延びる周囲側壁とを有する。缶本体の側壁は、第二端部の端縁部で終わり、缶本体の側壁を第二端部で内側にクリンプ加工することによって、缶本体の開口部に挿入されるキャップ組立体が缶本体に取り付けられるようになっている。
【0018】
本発明によれば、周囲側壁の端縁部は、内側に延びるループ状に形成され、開口部を囲む環状肩部となる。環状肩部は、缶本体の開口部に位置するキャップ組立体を電池缶に取り付けるために缶本体の側壁を第二端部において内側にクリンプ加工すると、環状肩部が内側に曲がり、環状肩部が缶本体の第二端部に位置するキャップ組立体に面してこれと係合し、且つ側壁の端縁部が缶本体の内側壁を向くように構成されている。
【0019】
電池組立の構成部品として使用される一般の電池缶と比較して、本発明は、電池の最終組み立てを行うとき、すなわち、キャップ組立体を缶本体にクリンプ加工によって取り付けるとき、シールを向上させ、カバー組立体の密着性を向上させる。直線状の側壁をもつ一般の電池缶は、端縁部で突然終わるのに対し、本発明に係る端縁部は、最初から曲がっており、缶本体の長手方向軸線に向かってそれぞれ内側に折り畳まれている。
【0020】
缶本体の側壁を、第二端部においてクリンプ加工し、内側に曲げるとき、側壁の折り畳まれた縁部によって、環状肩部がキャップ組立体と係合すると同時に、端縁部は、各肩部において側壁方向に向けられ、缶本体の長手方向軸線から離れる方に向く。端縁部が、クリンプ加工工程に先立ち既に内側を向いているので、各環状肩部の部分を、例えば、上向き(缶本体の基部から離れる方向)に内側に曲げると、端縁部は、カバー組立体から離れるように傾く。内側に曲がった肩部は、カバー組立体と係合し、キャップ組立体のシールを付勢し、それによって、キャップ組立体は、開口部の所定位置に固定され、クリンプ接続部がシールされる。
【0021】
端縁部は電池内部に位置しているため、外部環境や腐食から効果的に保護される。
【0022】
更に、端縁部が予備成形されているため、環状肩部の剛性及び強度が増加し、これがキャップ組立体に対する締め付け力に寄与する。
【0023】
缶本体の長手方向に沿って見たとき、肩部は、開口部を環状に囲んでいる。(長手方向に垂直な)断面図において、端縁部は円形の肩部を形成してもよい。端縁部は、ループを形成するように巻かれていてもよい。しかし、端縁部は、折り畳まれていてもよく、それによって、側壁の2つの部分が並んで互いに接触して配置される。環状肩部は、曲げ部分に円形の外形をもつ断面を有してもよい。
【0024】
端縁部は、環状肩部が長手方向に缶本体の端面を形成するように、内側に曲がっているのが好ましい。
【0025】
上記したように、端縁部は、缶本体の切断縁部によって形成されていてもよい。端縁部は、缶本体の側壁の前端面を構成する縁部面を備えている。
【0026】
本発明の電池缶は、特に、リチウムイオン電池に適している。本発明の趣旨において、電池缶は、ニッケルカドミウム電池等の他のタイプの円筒状電池にも適しているのはもちろんである。
【0027】
本発明の更なる一実施形態によれば、端縁部が缶本体の内側壁に接触するようにループが形成されている。これは、端縁部を内側に折り畳む又は巻くことによって実現する。缶本体の内側壁と端縁部を接触させることによって、端縁部の腐食に対する保護性能が向上する。更に、この構造によって、環状肩部分の剛性及び安定性が加わる。
【0028】
本発明の更なる一実施形態によれば、環状肩部は、内側環状肩部の対向する側壁面が互いに接し、環状肩部の内部空間が最小になるように形成されている。この実施形態は、缶本体の側壁の端部部分を、内側壁部分を互いに接触させて二層構造になるように折り畳むことによって実現してもよい。
【0029】
本発明の更なる一実施形態によれば、開口部、すなわち、側壁の環状肩部を備える部分が、電極組立体を挿入するための開口部を大きくするために、缶本体の側壁のその他の部分に対して、又は缶本体の長手方向軸線に対して、半径方向外側に広がっている。
【0030】
本発明の更なる一実施形態によれば、環状肩部は、クリンプ加工時に環状肩部が実質的に平坦な電池缶の長手方向外面を形成するように構成されている。平坦な環状面は、電流出力端子等を取り付けるのに適している。例えば、正側電流出力端子は、通常行われているように、キャップ組立体上に設けることができる。しかし、負側出力端子は、平坦な外側環状面上に設けてもよい。表面領域を増加させ、電池缶の側壁の前端において大きな外面を設けることによって、取り付け収容能力が得られる。例えば、比較的大きな表面領域を設けることによって、急速なローディング又はアンローディング時に生じる可能性のある電池から熱を放散させるための冷却板等の冷却手段の取り付けが可能になる。この電池缶構造によって、電池の熱管理が可能になる。
【0031】
本発明はまた、後の電池の組立に用いる明細書に記載の電池缶を製造する方法に関する。本方法では、パンチの機械的作用によって板金材料片を半径方向に絞って成形型に入れカップを形成し、プレスを使用して深絞りステップを連続して繰り返すことによってカップを更に絞り、第一端部と、開口部をもつ第二端部と、上記第一端部と第二端部の間を缶部材の長手方向に沿って延びる周囲側壁とを備える円筒状の缶部材を形成する。缶部材は、缶本体の予備成形品を構成する。缶部材を加工して缶本体にするために、本方法は更に、環状肩部を形成する等のために、缶部材の第二端部において端縁部を半径方向内側に曲
げるステップを含む。これに続く電池組立ステップにおいて、この環状肩部を使用して上記形成された缶本体に電極組立体及びカバー組立体を装着してもよい。
【0032】
本発明の更なる一実施形態によれば、本明細書に記載の電池缶の製造方法は、更に、缶部材の開口部を大きくするために缶部材の第二端部を広げるステップを含む。
【0033】
本発明はまた、本明細書に記載の電池缶を備える、特に、リチウムイオン電池である、電池に関する。電池は、電池缶に収容され、セパレータによって絶縁されたアノード及びカソードを巻くことによって形成された電極組立体を含む。側壁の第二端部をクリンプ加工し、側壁の環状肩部を内側に曲げてキャップ組立体に係合させ、キャップ組立体を缶本体に取り付ける。缶本体の側壁の端縁部を、キャップ組立体から(それぞれ缶本体の長手方向軸線から)離れる方向に曲げ、缶本体の内側壁に向ける。上記したように、明細書に記載の電池缶を備える電池はシール効率が向上している。更に,この電池は、圧力破裂に対する耐性が向上している。
【0034】
本発明の更なる一実施形態によれば、第二端部の側壁の端面は、平坦な、缶本体の長手方向の外側環状面を形成する。端面は、内側に曲げた環状肩部によって形成されている。
【0035】
本発明の更なる一実施形態に沿って、キャップ組立体が正側電流出力端子を備え、環状肩部が負側電流出力端子を備える、又はその逆である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態による電池を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、本発明を、図に示す例示的な実施形態を参照して説明する。
【0038】
図1は、電池を示す2つの図である。
図1(a)は、電池1の斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)の電池1の斜視断面図である。
【0039】
電池1は、セパレータによって絶縁されたアノード及びカソードを巻くことによって形成された電極組立体を収容する。電池は、円筒形状を有し、電極組立体のハウジングとしての役割をもつ電池缶2を備える。電池缶は、通常、円筒状の缶本体3を有する。缶本体3は、基部を形成する第一(下側)端部4と、第一端部4から長手方向に缶本体の長手方向軸線6に沿って、開放された缶本体2の第二(上側)端部7まで延びる周囲側壁5とを有する。
【0040】
第二端部7は、カバー組立体8の形態の蓋によって閉じられる。カバー組立体は、電池内部をシールして電池内部が外部環境に触れるのを防ぐ。
【0041】
カバー組立体8は、カバー組立体8の上部分を覆うように側壁5の上部を内側に曲げるクリンプ加工によって缶本体3に取り付けられる。更に、カバー組立体8の下に位置する側壁の部分を内側に曲げて、缶本体3の内側壁を内側に突出させた形態の環状カラーを形成し、カバー組立体8を所定位置にしっかりと固定し、電池8をシールする。
【0042】
図2は、完成品電池を組み立てる前の電池缶2を示す。すなわち、電極組立部品は、電池缶2の内部にまだ挿入されていない状態である。また、電池缶2は、カバー組立体によ
ってまだ閉じられていない状態である。
【0043】
上記したように、缶本体3は、第一端部4から長手方向軸線6に沿って第二端部7まで延びる。第二端部7は、後に電極組立体を挿入するための開口部9を有する。
【0044】
図3は、
図2の缶本体3の上部分の第二端部7における概略断面図である。周囲側壁5は、基部から第二端部7まで延び、端縁部10で終わる。端縁部10は、電池缶の製造工程で作られた切断縁部である。
【0045】
周囲側壁5の端縁部10は、内側壁5aの2つの部分が環状肩部の領域で互いに接するように、(長手方向軸線6に向かって)内側に延びるループ状に形成され、開口部9を囲む環状肩部11となる。更に、側壁5の環状肩部11を備える部分は、ラッパ状になっている。すなわち、開口部が、缶本体の側壁5の他の部分に対して半径方向外側へ広くなっている。電極組立体を挿入し、開口部を通して嵌合させるのが容易である。
【0046】
後の電池組立工程において、カバー組立体を缶本体3に取り付け、所定位置にしっかりと工程するために、環状肩部11は、クリンプ加工され、カバー組立体の天面に対して内側に曲げられる。この取付状態を
図4に示す。
【0047】
図4は、
図1の組み立てられた電池1の上部分を示す。開口部9は、カバー組立体8によって閉じられている。カバー組立体8は、カバー組立体8の外周に設けられ、カバー組立体8の外側縁部の上及び下に延びるシール12を備え、これにより、シール12は、カバー組立体8の天面の外側部分、及びカバー組立体8の下面の外側部分にも配置される。
【0048】
電池の組立工程において、カバー組立体8は、
図3示す状態の電池缶の開口部9に挿入される。クリンプ加工工程において、内フランジ、すなわちカラー13が内側壁面に形成され、内側壁5aが長手方向軸線6に向かって内側に突出するように、缶本体2の側壁5を半径方向内側に絞る。
【0049】
フランジ13によって、カバー組立体8を下から支持する。クリンプ加工において、環状肩部11を内側に曲げ、シール12の上側シール部分においてカバー組立体8の上面と係合させる。環状肩部によって、締め付け力がカバー組立体8に作用することによって、カバー組立体8上のシール面が、内カラー13、内側壁5、及び環状肩部11に対して押圧される。これにより、カバー組立体8が所定の位置にしっかりと固定され、開口部がシールされて閉じられる。
【0050】
更に、側壁5の端縁部10が缶本体の内側壁5aを向いており、シールすることによって腐食の原因となる外部環境の影響から保護された電池内部に位置している。
【0051】
カバー組立体は、更に、正側電流出力端子13を備える。環状肩部11は、電池の端面において、それぞれ平坦な長手方向外側環状面14を形成する。この広い部分14は、例えば、負側電流出力端子を取り付けるために使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、セパレータによって絶縁されたアノード及びカソードを巻くことによって形成された電極組立体を収容するように構成された、特に充電式リチウムイオン電池用の電池缶であって、キャップ組立体によって閉じるように構成された電池缶に関する。
【符号の説明】
【0053】
1 電池
2 電池缶
3 缶本体
4 第一端部
5 缶本体の側壁
5a 缶本体の内側壁
6 長手方向軸線
7 第二端部
8 カバー組立体
9 開口部
10 端縁部
11 環状肩部
12 シール
13 電流出力端子
14 環状面