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特許7493021医療用バルーンのためのラミネーション装置および関連した方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】医療用バルーンのためのラミネーション装置および関連した方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/16 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
B29C63/16
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2022502833
(86)(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 US2019042576
(87)【国際公開番号】W WO2021015712
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ボイル,メリッサ
(72)【発明者】
【氏名】ソロモン,クリント
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス-ガルシア,エドガー
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,クレア
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/123983(WO,A2)
【文献】米国特許第04938676(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0299327(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0012304(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103987421(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 63/00 - 63/48
B29C 65/00 - 65/82
A61F 2/82 - 2/97
A61M 25/00 - 29/04
A61M 35/00 - 36/08
A61M 37/00
A61M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラミネーション装置であって、
ラミネーションを必要とする複数の層を備える医療用バルーンと、
膨張流体によって膨張させられた前記医療用バルーンが位置決めされ、真空にされる柔軟なレシーバと、
を備えるラミネーション装置。
【請求項2】
記医療用バルーンを膨張させるためのインフレータをさらに含む、
請求項1に記載のラミネーション装置。
【請求項3】
前記インフレータは、前記真空にされる柔軟なレシーバ内の前記医療用バルーンに接続されている、
請求項2に記載のラミネーション装置。
【請求項4】
前記膨張させられた医療用バルーンを封止するためのシールをさらに含む、
請求項1に記載のラミネーション装置。
【請求項5】
前記真空にされる柔軟なレシーバは、バッグを備える、
請求項1に記載のラミネーション装置。
【請求項6】
前記真空にされる柔軟なレシーバは、互いに対向する材料シートを備え、前記医療用バルーンは、前記対向する材料シートの間に位置する、
請求項1に記載のラミネーション装置。
【請求項7】
各材料シートは、フレームに接続されている、
請求項6に記載のラミネーション装置。
【請求項8】
複数の医療用バルーンが、前記対向する材料シートの間に位置する、
請求項6に記載のラミネーション装置。
【請求項9】
各バルーンは、加圧流体供給源に接続されている、
請求項7に記載のラミネーション装置。
【請求項10】
前記加圧流体供給源は、マニホールドを備える、
請求項9に記載のラミネーション装置。
【請求項11】
前記膨張させられた医療用バルーンを加熱するための加熱器をさらに含む、
請求項1から10のいずれかに記載のラミネーション装置。
【請求項12】
前記加熱器は、対流式加熱器を備える、
請求項11に記載のラミネーション装置。
【請求項13】
前記加熱器は、放射加熱器を備える、
請求項12に記載のラミネーション装置。
【請求項14】
前記真空にされる柔軟なレシーバ内の前記膨張させられた医療用バルーンを受け入れるための加熱圧力チャンバをさらに含む、
請求項1に記載のラミネーション装置。
【請求項15】
ラミネーション装置であって、
ラミネーションを必要とする複数の層を有する複数の医療用バルーンを受け入れて膨張流体によって膨張させるためのチャンバを形成する柔軟なレシーバを含む治具を備え、前記チャンバは、真空にされるように構成される、
ラミネーション装置。
【請求項16】
前記治具は、前記膨張流体を前記複数の医療用バルーンの各々に供給するための少なくとも1つのマニホールドを含む、
請求項15に記載のラミネーション装置。
【請求項17】
前記治具は、第1の柔軟なシートを含む第1のフレーム部分および第2の柔軟なシートを含む第2のフレーム部分を含み、前記第1および第2の柔軟なシートは、前記柔軟なレシーバを形成する、
請求項15に記載のラミネーション装置。
【請求項18】
ラミネーションを必要とする複数の層を有する医療用バルーンをラミネートする方法であって、
前記医療用バルーンを柔軟なレシーバ内に配置するステップと、
前記医療用バルーンを膨張流体によって膨張させるステップと、
前記柔軟なレシーバを真空にするステップと、
を含む方法。
【請求項19】
真空にされた前記柔軟なレシーバ内の膨張させられた前記医療用バルーンを加熱するステップをさらに含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記加熱するステップは、真空にされた前記柔軟なレシーバをオーブン内に配置するステップを含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記医療用バルーンを膨張流体によって膨張させる前記ステップは、前記配置するステップの後に完了する、
請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記医療用バルーンを膨張流体によって膨張させる前記ステップは、前記配置するステップの前に完了する、
請求項18に記載の方法。
【請求項23】
複数の医療用バルーンをラミネートする方法であって、各医療用バルーンは、複数の層を有し、前記方法は、
前記複数の医療用バルーンを単一のレシーバ内に配置するステップと、
前記複数の医療用バルーンを膨張流体によって膨張させるステップと、
前記単一のレシーバを真空にするステップと、
を含む方法。
【請求項24】
真空にされた前記単一のレシーバ内の膨張させられた前記複数の医療用バルーンを加熱するステップをさらに含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記真空にするステップは、前記膨張させるステップの後に実行される、
請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記膨張させるステップは、前記配置するステップの前に実行される、
請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]参照による組み込み
この明細書に記載のすべての刊行物および特許出願は、あたかも個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれるように具体的にかつ個々に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]この開示は、薬物療法を提供するためのデバイスの製造に関し、特に、医療用バルーンを製造するための装置および関連した方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]バルーン拡張カテーテルを用いて、例えば血管形成術により血管内の病変を治療する。各バルーンを形成することは、典型的には統合(consolidation;換言すれば、圧密)プロセスを含み、(典型的にはラミネーションを必要とする複数の層から形成される)パリソンを金型に吹き込むことによって達成されうる。明らかなように、これは、金型がサイズおよび形状において所望の完成品に正確に対応することが必要であり、さまざまな形状およびサイズのバルーンを製造するために、複数の金型を有することが必要であり、(プロセス実証(validation)の観点を含む)複雑さおよびコストが対応して増大する。さらに、特定の金型に対するパリソンの不正確なサイジングは、結果として金型との不均一または不完全な接触になりうるし、結果として得られるバルーンの不均一または一貫しないラミネーションになり、これは、層間剥離、収縮または低下した破裂圧力につながりうる。単一の金型はまた、一度に1つのバルーンしか処理できないので、バルーンカテーテル製造プロセスにおけるこのステップをかなり時間がかかり冗長なものにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]したがって、医療用バルーンを統合またはラミネートする単純であるが、有効な装置および方法を提供することが望ましい。装置および方法は、修正または追加の運用コストなく、複数のサイズまたは形状の医療用バルーンで動作し、過去の手法より効率的であり、複数の医療用バルーンの同時処理により、統合またはラミネーションが達成可能になることを含む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本発明の目的は、医療用バルーンのような対象物をラミネートする装置を提供することであり、固定のサイズおよび寸法を有する金型の必要を回避し、ラミネーションプロセスの間、医療用バルーンを膨張させる陽圧を用いる。一実施形態において、装置は、ラミネーションを必要とする複数の層を備え、加圧される医療用バルーンと、加圧される医療用バルーンが位置決めされ、真空にされる柔軟なレシーバと、を備える。
【0006】
[0006]いくつかの実施形態において、加圧される医療用バルーンを膨張させるためのインフレータが提供される。インフレータは、真空にされる柔軟なレシーバ内の加圧される医療用バルーンに接続されてもよい。加圧される医療用バルーンを封止するための1つまたは複数のシールが提供されてもよい。
【0007】
[0007]いくつかの実施形態において、真空にされる柔軟なレシーバは、バッグを備える。真空にされる柔軟なレシーバは、互いに対向する材料シートを備えてもよく、加圧されるバルーンは、対向する材料シートの間に位置する。各材料シートは、治具の一部を形成するフレームに接続されてもよい。複数の加圧されるバルーンは、対向する材料シートの間に位置し、各バルーンは、加圧流体供給源、例えばマニホールドに接続されてもよい。
【0008】
[0008]いくつかの実施形態において、加圧される医療用バルーンを加熱するための加熱器が提供される。加熱器は、対流加熱器または放射加熱器を備えてもよい。加熱器は、真空にされる柔軟なレシーバ内の加圧される医療用バルーンを受け入れるための加熱圧力チャンバを含んでもよい。
【0009】
[0009]開示の他の態様によれば、ラミネーション装置は、ラミネーションを必要とする複数の層を有する複数の医療用バルーンを受け入れて膨張させるためのチャンバを形成する柔軟なレシーバを含む治具を備え、チャンバは、真空にされるように構成される。いくつかの実施形態において、治具は、加圧流体を複数の医療用バルーンの各々に供給するための少なくとも1つのマニホールドを含む。治具は、第1の柔軟なシートを含む第1のフレーム部分および第2の柔軟なシートを含む第2のフレーム部分を含んでもよく、第1および第2の柔軟なシートは、柔軟なレシーバを形成する。
【0010】
[0010]開示の別の態様では、ラミネーションを必要とする複数の層を有する医療用バルーンをラミネートする方法が提供される。方法は、医療用バルーンを柔軟なレシーバ内に配置するステップを含む。方法は、医療用バルーンを加圧するステップと、柔軟なレシーバを真空にするステップと、をさらに含む。
【0011】
[0011]いくつかの実施形態において、方法は、真空にされた柔軟なレシーバ内の加圧された医療用バルーンを加熱するステップを含む。加熱するステップは、真空にされた柔軟なレシーバをオーブン内に配置するステップを含んでもよい。いくつかの実施形態において、医療用バルーンを加圧するステップは、配置するステップの後に完了する。いくつかの実施形態において、医療用バルーンを加圧するステップは、配置するステップの前に完了する。
【0012】
[0012]開示のさらなる態様は、複数の医療用バルーンをラミネートする方法に関し、各医療用バルーンは、ラミネーションを必要とする複数の層を有する。方法は、複数の医療用バルーンを単一のレシーバ内に配置するステップを含む。方法は、複数の医療用バルーンを加圧するステップと、単一のレシーバを真空にするステップと、をさらに含む。
【0013】
[0013]いくつかの実施形態において、方法は、真空にされた単一のレシーバ内の加圧された複数の医療用バルーンを加熱するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、真空にするステップは、加圧するステップの後に実行される。いくつかの実施形態において、加圧するステップは、配置するステップの前に実行される。
【0014】
[0014]開示による本発明の上記およびさらなる利点は、添付の図面に関連した以下の説明を参照することにより、よりよく理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】[0015]ラミネーションを必要とする層を有し、加圧される医療用バルーンを含む柔軟なバッグを備えるラミネーション装置の第1の実施形態を概略的に示す図である。
図2】[0016]加圧された医療用バルーンを含む柔軟なバッグを受け入れるためのオーブンの形態の加熱器を示す図である。
図3】[0017]ラミネーションを必要とする層を有し、加圧される医療用バルーンを含む柔軟なバッグを備えるラミネーション装置の第2の実施形態を概略的に示す図であり、加圧流体の一定供給により加圧が提供される。
図4】[0018]医療用バルーンのような複数の対象物を同時にラミネートするために特別に設計された他のラミネーション装置の斜視図である。
図5】[0019]図4の装置の平面図である。
図6】[0020]図4および図5の装置の動作を示す図である。
図7図4および図5の装置の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0021]図面は、必ずしも、比例してまたは一定の縮尺で描画されているわけではない。例えば、要素のいくつかの寸法は、明確にするために他の要素に対して拡大されることがあるし、または、いくつかの物理的構成要素は、1つの機能ブロックまたは要素内に含まれることがある。さらに、時々参照符号は、図面の中で繰り返され、対応するかまたは類似の要素を示すことがある。
【0017】
[0022]以下の詳細な説明において、多数の具体的な詳細は、開示された概念の完全な理解を提供するために記載される。当業者は、開示された発明がこれらの具体的な詳細なしで実施されうるということを理解する。他の例において、周知の方法、手順、構成要素または構造は、開示された発明を不明りょうにしないように、詳述されていない。
【0018】
[0023]以下で提供される説明は、特に明記しない限りすべての実施形態に適用され、各実施形態に共通の特徴は、同様に示され、番号が付される。
[0024]最初に図1に関連して、それを必要とする対象物をラミネートするためのラミネーション装置10の一実施形態が示される。本実施形態において、装置10は、ラミネーションを必要とする複数の層を含み、加圧される医療用バルーン12を備える。医療用バルーン12は、典型的には、図示の形態であり、開口を有するネック部で終端する2つのテーパ状端部または「円錐部分」および中間の円筒状または「バレル」部分を有する。しかしながら、開示された装置10の特定の応用は、いかなる特定のタイプのバルーンに限定されるものとみなされるべきではない。
【0019】
[0025]サイズおよび形状に関係なく、バルーン12は任意の数の層を含んでもよく、任意の適切な材料を備えてもよい。典型的な層は、例えば、ポリマーフィルムを備える内層、1つまたは複数の繊維層、および外側のポリマーフィルム層を含んでもよく、これらの層は、粘着剤または結合剤を含んでもよい。「加圧」とは、バルーンが膨張流体によって膨張させられることを意味し、さらに以下の説明で概説されるように、これは、膨張流体をバルーンに適用し、バルーンを膨張させ、次に端を封止することによってまたは連続様式で達成されてよい。
【0020】
[0026]装置10は、加圧される医療用バルーン12が位置決めされる柔軟な(換言すれば、可撓性を有する)レシーバ(換言すれば、受容体)をさらに備える。図示の実施形態では、柔軟なレシーバは、加圧されるバルーン12を受け入れるためのバッグ14を備える。バッグ14は、(例えば、バーシーラなどのような溶接機によって形成される熱溶接により)ともに封止される、対向関係に配置されるポリマー材料の2つの柔軟なシート14a、14bを備えてもよい。したがって、バッグ14は、バルーン12がラミネーションの前に位置決めされる内部区画を含む。図示の目的のため、これらのシートは、バッグ14の上下のパネルとみなしてもよいが、特定の配向は重要とはみなされない。
【0021】
[0027]図示の実施形態では、バルーン12は、加圧され、それの2つの開放端は、バッグ14内への配置の前に、例えば(プラグの形態をとってもよい)シールSを用いて封止される。一旦バルーン12がバッグ内に位置すると、バッグ14は封止され、次に例えば導管または管18を用いて、内部区画と外部の負圧源、例えば真空装置16を接続することによって真空にされる。これにより、バッグ14の上下のシート14a、14bは、バルーン12の外面に対して圧縮され、内部加圧の結果として、その壁内の任意の層を圧縮させる。
【0022】
[0028]圧縮力を加えると、バルーン12は、例えば層の間の接着剤の分散によってラミネートされる。任意ではあるが、ほとんどの場合望ましいことに、バルーン12は、加熱されてもよい(導管18への接続の有無にかかわらず。導管18は除去されて、バッグ14が真空状態において完全に封止されてよい)。この加熱は、例えば、装置10の一部を形成する加熱器20(例えば、加熱ランプ(放射)、温風(対流)、湯浴(対流)または同時もしくは順番に加えられる前述の任意の組み合わせ)を用いることによって、熱をバッグ14に直接加えることによって提供されてもよい。代替的には、加圧されたバルーン12を含む真空のバッグ14は、図2に示すように、オーブン22の形態の加熱器内に配置されてもよい。手法に関係なく、用いられる特定の温度は、用いられる材料の性質に応じて変化しうるが、通常は、ある程度の材料の溶解および流動を引き起こし、均一な様式でラミネーションを引き起こすのに十分な温度および時間である。
【0023】
[0029]一旦ラミネーションプロセスが完了すると、バッグ14は、開けられ、今やラミネートされたバルーン12を取り出してもよい。柔軟なレシーバまたはバッグ14による圧縮に対する内部抵抗を提供するために流体圧を用いる場合、バルーン12は、任意の内圧を急速に緩和するように開封されてよく、任意のマンドレルなどを除去する必要はない。次に、カテーテルシャフト(図示せず)がバルーン12に適用され、使用の準備ができている完成されたバルーンカテーテルを形成してもよい。
【0024】
[0030]明らかなように、バッグ14の寸法は、層を統合するのに十分な力を提供する能力に実質的に影響を与えずに、考察される最大のバルーンの寸法より大きくてもよい。したがって、バッグ14は、さまざまなバルーンのサイズおよび形状と共に用いられてもよく、それにより、バルーンの各サイズおよび形状を形成するための特定の金型の使用から生じる上述した問題を回避する。さらに、後で詳しく述べるように、提案された技術によって、単一のプロセスで(異なるサイズおよび形状の可能性を含む)複数のバルーンの同時のラミネーションが可能になり、個々の金型を用いてはおそらく実現できない程度の効率を達成することができる。
【0025】
[0031]上記の代替の手法が想定される。例えば、バッグ14への挿入の前にバルーン12を加圧し封止する代わりに、バッグの内部区画内で位置決めされる間、バルーンは、一端で導管24を介して陽圧の流体源、例えばインフレータ26に接続されてもよい。これは、図3に示される。存在する場合、バルーンの他の開放端12は、予め封止され、インフレータ26への接続の結果として、十分な陽圧が発生し、連続的に維持可能になる。バッグ14は、真空装置16に連通する他の導管18を用いて真空にされてよく、(アセンブリをオーブン(図示せず)内に配置することによって)熱が加えられ、統合およびしたがってラミネーションを生じさせてもよい。完成すると、バッグ14は、開けられ、バルーン12上の圧力は、即時の使用のために緩和される。
【0026】
[0032]上記のように、装置10は、形状またはサイズが異なる場合であっても、複数のバルーンを同時に処理(ラミネート)するように構成されてもよい。これは、上記のバッグ技術を用いて達成可能であるが、図4および図5は、複数のバルーン12a、12bを受け入れ、同時にラミネートするように構成されるバルーンラミネート治具(fixture)30の形態の装置を示す。治具30は、柔軟なパネルまたはシート32aを含んでもよい除去可能な第1または上部のフレーム(換言すれば、枠体)部分32と、柔軟なパネルまたはシート34aを有してもよい係合する第2の下部のフレーム部分34と、を含む(図6および図7参照)。したがって、シート32a、34aは、全体のアセンブリを部分的に剛性にするフレーム部分32、34の部材のような部分を含みうる場合であっても、機能面でバッグ14と同様に、ともに柔軟なレシーバを形成する。解放可能なクランプ35が提供され、フレーム部分32、34を封止するための圧縮力を提供してもよい。
【0027】
[0033]フレーム部分32、34は、係合されるとき、図5に示すようにその中に位置する(異なるサイズおよび形状でもよい)複数のバルーン12a、12b上でともに封止されてよい。バルーン12a、12bは、管状シャフト13を介して、一端で真空マニホールド38と連通する個々の導管36により支持されてもよく(管状シャフトは、導管により支持されるが、導管と流体連通していない)、陰圧は、このように形成されるチャンバ内で維持可能になりうる。これらのシャフト13は、一端で、封止されたフレーム部分32、34を越えて延在してもよく、適切なガスケットまたはシールが、気密接続部が確実に形成されるように提供されてもよい。シャフト13の対向する端は、膨張マニホールド40上のポート40aの対応する端に結合されてもよい。マニホールド40を用いて、例えば加圧流体供給源(図示せず)に接続されている弁38、40aによって、バルーン12に膨張流体を同時に供給してもよい。
【0028】
[0034]したがって、図6で概略的に示されるように、部分32、34は、ともに封止されるとき、パネルまたはシート32a、34aの間のチャンバ42の区画を形成する。このチャンバ42は、マニホールド38および導管36を介して陰圧を加えることによって真空にされてよく、図7に示すように、パネルまたはシート32a、34aがともにバルーン12a、12b上で圧縮されることを可能にする。マニホールド40を介してバルーン12a、12bに供給される陽圧は、外向きの径方向の抵抗を外部に加えられた圧縮力に同時に提供する。
【0029】
[0035]次に、例えば、治具全体30をオーブン内に配置することによって熱が加えられ、ラミネーションプロセスを完了してもよい。材料特性に応じて、やはり変化しうる所定の温度での適切な時間の後、熱は除去され、部分32、34は開かれ、単一処理の間に形成される複数のラミネートされたバルーンを取り出すのと同時に、バルーンのサイズおよび形状ごとに専門の金型の必要を回避する。明らかなように、各々が複数のバルーンを含む複数の治具が、単一のオーブン内で同時に加圧および加熱され、生産性をさらに強化してもよい。
【0030】
[0036]さらに別のオプションは、治具30のシート32a、34aによって形成される真空バッグ14またはチャンバ42内の加圧されたバルーンを、加圧および加熱チャンバ内に配置することである。(オーブンに類似してもよいが、陽圧が加えられるとともに、熱(対流、放射または両方)を適用するように構成されてよい)このチャンバは、外圧および熱を供給し、同時にバルーン層を統合するのを支援してもよい。
【0031】
[0037]この開示は、以下の項目に関して考慮されうる。
1.ラミネーション装置であって、
ラミネーションを必要とする複数の層を備え、加圧される医療用バルーンと、
加圧される医療用バルーンが位置決めされ、真空にされる柔軟なレシーバと、
を備えるラミネーション装置。
2.加圧される医療用バルーンを膨張させるためのインフレータをさらに含む、
項目1に記載のラミネーション装置。
3.インフレータは、真空にされる柔軟なレシーバ内の加圧される医療用バルーンに接続されている、
項目2に記載のラミネーション装置。
4.加圧される医療用バルーンを封止するためのシールをさらに含む、
項目1から3のいずれかに記載のラミネーション装置。
5.真空にされる柔軟なレシーバは、バッグを備える、
項目1から4のいずれかに記載のラミネーション装置。
6.真空にされる柔軟なレシーバは、互いに対向する材料シートを備え、加圧されるバルーンは、対向する材料シートの間に位置する、
項目1から5のいずれかに記載のラミネーション装置。
7.各材料シートは、フレームに接続されている、
項目6に記載のラミネーション装置。
8.複数の加圧されるバルーンが、対向する材料シートの間に位置する、
項目6に記載のラミネーション装置。
9.各バルーンは、加圧流体供給源に接続されている、
項目7に記載のラミネーション装置。
10.加圧流体供給源は、マニホールドを備える、
項目9に記載のラミネーション装置。
11.加圧される医療用バルーンを加熱するための加熱器をさらに含む、
項目1から10のいずれかに記載のラミネーション装置。
12.加熱器は、対流加熱器を備える、
項目11に記載のラミネーション装置。
13.加熱器は、放射加熱器を備える、
項目12に記載のラミネーション装置。
14.真空にされる柔軟なレシーバ内の加圧される医療用バルーンを受け入れるための加熱圧力チャンバをさらに含む、
項目1から13のいずれかに記載のラミネーション装置。
15.ラミネーション装置であって、
ラミネーションを必要とする複数の層を有する複数の医療用バルーンを受け入れて膨張させるためのチャンバを形成する柔軟なレシーバを含む治具を備え、チャンバは、真空にされるように構成される、
ラミネーション装置。
16.治具は、加圧流体を複数の医療用バルーンの各々に供給するための少なくとも1つのマニホールドを含む、
項目15に記載のラミネーション装置。
17.治具は、第1の柔軟なシートを含む第1のフレーム部分および第2の柔軟なシートを含む第2のフレーム部分を含み、第1および第2の柔軟なシートは、柔軟なレシーバを形成する、
項目15または16に記載のラミネーション装置。
18.ラミネーションを必要とする複数の層を有する医療用バルーンをラミネートする方法であって、
医療用バルーンを柔軟なレシーバ内に配置するステップと、
医療用バルーンを加圧するステップと、
柔軟なレシーバを真空にするステップと、
を含む方法。
19.真空にされた柔軟なレシーバ内の加圧された医療用バルーンを加熱するステップをさらに含む、
項目18に記載の方法。
20.加熱するステップは、真空にされた柔軟なレシーバをオーブン内に配置するステップを含む、
項目18に記載の方法。
21.医療用バルーンを加圧するステップは、配置するステップの後に完了する、
項目18から20のいずれかに記載の方法。
22.医療用バルーンを加圧するステップは、配置するステップの前に完了する、
項目18から20のいずれかに記載の方法。
23.複数の医療用バルーンをラミネートする方法であって、各医療用バルーンは、複数の層を有し、方法は、
複数の医療用バルーンを単一のレシーバ内に配置するステップと、
複数の医療用バルーンを加圧するステップと、
単一のレシーバを真空にするステップと、
を含む方法。
24.真空にされた単一のレシーバ内の加圧された複数の医療用バルーンを加熱するステップをさらに含む、
項目23に記載の方法。
25.真空にするステップは、加圧するステップの後に実行される、
項目23または24に記載の方法。
26.加圧するステップは、配置するステップの前に実行される、
項目23または24に記載の方法。
【0032】
[0038]本明細書で用いられる文法的に単数形で書かれる各用語「a」、「an」および「the」は、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味する。本明細書において「1つまたは複数」というフレーズの使用は、「a」、「an」または「the」というこの意図された意味を変えるものではない。したがって、本明細書で用いられる用語「a」、「an」および「the」は、本明細書において他の意味に具体的に定義または記述されない限り、すなわち、文脈が明確に他を意味しない限り、複数の記述された存在または対象物を参照し、包含してもよい。例えば、本明細書で用いられるフレーズ「ユニット」、「デバイス」、「アセンブリ」、「メカニズム」、「構成要素」、「要素」および「ステップまたは手順」は、それぞれ、複数のユニット、複数のデバイス、複数のアセンブリ、複数のメカニズム、複数の構成要素、複数の要素および複数のステップまたは手順を参照し、包含してもよい。
【0033】
[0039]本明細書で用いられる次の用語「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「備える」および「備えている」ならびにそれらの言語的/文法的変形、派生語または/および共役語の各々は、「含むが、これに限定されるものではない」を意味し、記述された構成要素、特徴、特性、パラメータ、整数またはステップを特定するものとして解釈されるべきであり、1つまたは複数の追加の構成要素、特徴、特性、パラメータ、整数、ステップまたはそのグループの追加を排除しない。これらの用語の各々は、フレーズ「から本質的に成っている」と同等の意味であると考えられる。本明細書で用いられるフレーズ「から成っている」および「から成る」の各々は、「を含みかつそれに限定される」を意味する。フレーズ「から本質的に成っている」は、記述された存在または項目(システム、システムユニット、システムサブユニットデバイス、アセンブリ、サブアセンブリ、メカニズム、構造、構成要素もしくは要素、または、周辺機器ユーティリティ、アクセサリ、あるいは、材料、方法またはプロセス、ステップまたは手順、サブステップまたはサブ手順)が、開示された発明の例示的な実施形態の全体または一部である、または/および、開示された発明の例示的な実施形態を実装するために使用され、少なくとも1つの追加の特徴または特性(システムユニット、システムサブユニットデバイス、アセンブリ、サブアセンブリ、メカニズム、構造、構成要素もしくは要素、または、周辺機器ユーティリティ、アクセサリ、あるいは、材料、ステップまたは手順、サブステップまたはサブ手順である)を含んでもよいが、この種の追加の特徴または特性の各々が、特許請求された項目の基本的な新規かつ進歩性を有する特性または特別な技術的特徴を実質的に変更しない場合に限る、ということを意味する。
【0034】
[0040]本明細書で用いられる用語「方法」は、所与のタスクを達成するためのステップ、手順、様式、手段または/および技法を意味し、開示された発明の当業者によって、公知のステップ、手順、様式、手段または/および技法で知られているかまたはそれらから容易に展開される、これらのステップ、手順、様式、手段または/および技法を含むが、これに限定されるものではない。
【0035】
[0041]本明細書で用いられる近似についての用語、例えば、約、実質的、およそ、などという用語は、記述された数値の±10%を意味する。
[0042]本発明の特定の態様、特性および特徴が、明確にするために、複数の別々の実施形態の文脈または形式において例証的に説明および提示されているが、単一の実施形態の文脈または形式において任意の適切な組み合わせまたは部分的な組み合わせで例証的に説明および提示されてもよいことを完全に理解されたい。反対に、本発明のさまざまな態様、特性および特徴は、単一の実施形態の文脈または形式において組み合わせまたは部分的な組み合わせで例証的に説明および提示されているが、複数の別々の実施形態の文脈または形式において例証的に説明および提示されてもよい。
【0036】
[0043]本発明は、特定の例示的な実施形態およびその例として、例証的に説明および提示されてきたが、その多くの代替例、修正例または/および変形例が当業者には明らかであるということは明白である。したがって、すべてのこの種の代替例、修正例または/および変形例が添付の特許請求の範囲の広範囲の趣旨に該当し、それらによって包含される、ということが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7