(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】ベルトにプロファイルを溶着するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
B29C 65/38 20060101AFI20240523BHJP
B65G 15/30 20060101ALI20240523BHJP
B29C 65/40 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
B29C65/38
B65G15/30 A
B29C65/40
(21)【出願番号】P 2022515599
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(86)【国際出願番号】 EP2020074999
(87)【国際公開番号】W WO2021048079
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-06-26
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591270796
【氏名又は名称】ハバシット アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ヒルデブラント,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】フレッケンシュタイン,トビアス
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-155104(JP,A)
【文献】特開2018-177504(JP,A)
【文献】特表2019-531210(JP,A)
【文献】特開平06-059749(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00802038(EP,A1)
【文献】特開昭61-053026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/38
B65G 15/30
B29C 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上層表面(31)と当該上層表面(31)とは反対側の対向面(21)とを有する上層(3)を備えるベルト(2)にプロファイル(1)を溶着するプロセスであって、
前記プロファイル(1)は、第1の熱可塑性プラスチック又は第1の熱可塑性エラストマーを含み又は構成され、
前記上層(3)は、第2の熱可塑性プラスチック又は第2の熱可塑性エラストマーを含み又は構成され、
前記プロファイル(1)は、熱及び圧力によって前記上層表面(31)の第1の位置(311)へ溶着され、
i)溶着熱は、熱インパルス加熱によって加えられ、
ii)前記熱インパルス加熱は、前記第1の位置(311)とは反対側にある対向面(21)の第2の位置(211)に適用される、
プロセス。
【請求項2】
前記プロファイル(1)は、前記第1の熱可塑性エラストマー、好ましくはTPUを含み又は構成され、前記上層(3)は、第2の熱可塑性エラストマー、好ましくはTPUを含み又は構成されるか、或いは、
前記プロファイル(1)は、第1の熱可塑性プラスチック、好ましくはTPOを含み又は構成され、前記上層(3)は、第2の熱可塑性プラスチック、好ましくはTPOを含み又は構成される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記第1の熱可塑性エラストマーが前記第2の熱可塑性エラストマーと同一であるか、又は前記第1の熱可塑性プラスチックが前記第2の熱可塑性プラスチックと同一である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
溶着時にホットメルト接着剤又は架橋接着剤を使用しない、請求項1~3のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項5】
前記ベルト(2)は、前記上層(3)を有する、請求項1~4のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項6】
前記ベルト(2)は、前記上層(3)と、第3の熱可塑性プラスチック又は第3の熱可塑性エラストマーを含浸させた布を含む又は構成されるトラクション層(4)を備える、請求項1~4のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項7】
溶着中に、2つのグリッパージョー(51,52)によって、
-加熱手段を備えずに加熱しない、又は、
-加熱手段を備えて任意に加熱する
のいずれかで、前記プロファイル(1)に圧力を加える、請求項1~6のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項8】
前記プロファイル(1)は、第1の熱可塑性プラスチック又は第1の熱可塑性エラストマーで構成され、及び/又は、前記上層(3)は、第2の熱可塑性プラスチック又は第2の熱可塑性エラストマーで構成される、請求項1~7のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項9】
前記ベルト(2)は、コンベヤベルトである、請求項1~8のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項10】
前記上層表面(31)は、前記コンベヤベルトの搬送面であり、前記対向面(21)は、前記コンベヤベルトのプーリ対向面である、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
請求項1のプロセスを実施するための装置であって、
1)前記ベルト(2)を支持する支持面(61)を有し、上面(71)を有する熱インパルス加熱手段(7)を備える支持体(6)と、
2) 前記プロファイル(1)を保持する凹部又はスリット(51)が形成され、前記支持体(6)へ移動可能である保持押圧手段(5)と、
を備える、装置。
【請求項12】
前記保持押圧手段(5)は、前記支持体(6)に対して回動可能に取り付けられている、請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロファイル(profile)された搬送面を有するベルト、特にコンベヤベルトの製造プロセス及びそのプロセスを実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連続コンベヤベルトは、搬送物により緊密なガイダンスを与えるために、いくつかの用途では、プロファイルされた搬送面を必要とする。このような用途は、例えば、搬送物が大きく高さの異なる位置の間で搬送される急傾斜のコンベヤベルトであり、搬送物の滑りを抑えるために、プロファイルされていない搬送面に対する搬送物の通常の付着力では十分ではない。このような表面プロファイルされたコンベヤベルトの一般的な例として、シェブロンベルト、フィッシュボーンベルト、ラフトップベルトが知られている。
【0003】
コンベヤベルトのプーリ側にも表面プロファイルがあると、駆動プーリに過大なトルクがかかった場合に、駆動プーリ上でコンベヤベルトが滑るのを抑えるのに有利である。このプロファイルされたタイプのコンベヤベルトは、通常、歯付きベルトと呼ばれる。
【0004】
これらの表面プロファイルは、通常、押出成形、ラミネート加工、及び/又はカレンダー加工によるベルト自体の製造と同時に適用することはできず、更なる最終製造工程において、コンベヤベルトの搬送面に付着されなければならない。コンベヤベルトの表面にプロファイルを溶着するために慣習的に使用される方法は、高周波溶着(high frequency welding)(又は高周波溶着(radio frequency welding))である。この方法では、接合される材料表面に電磁HFエネルギ(通常10~100MHz)及び圧力を供給することにより、溶着されるプラスチック材料に直接的に溶着熱が供給される。HFエネルギは、材料に誘電分子振動を起こさせ、材料自体を発熱させる。この誘電加熱により、密着している部品が溶融し、界面で液状ポリマーが互いに拡散する。一定時間加圧しながら、接合部の拡散及び凝固が生じる。このプロセスにより、非常に強固に接合された部品が得られる。しかしながら、HF溶着は、誘電率の高い材料でないと、HFエネルギによる誘電分子振動とそれに伴う発熱が十分でないため、使用することができない。高周波溶着に適したプラスチックは、PVC、PU、ナイロン、PET、EVA、ABS樹脂など、極性が高いものである。更に、関連する技術設備は、高価で扱い難い。
【0005】
ポリオレフィンの薄い積層板や箔を溶着する技術として、熱インパルス溶着が知られており、バーシーリングとも呼ばれることがある。この技術において、ニッケルクロム合金製のワイヤなどの高電気抵抗導体に電流を流すことによって、熱が断続的に発生する。間欠的な電流によって導体やワイヤが急速に発熱し、その熱が溶着される材料に伝達される。このような複合ポリオレフィン積層体は、例えば、食品包装のために使用されている(国際公開第98/38035参照)。
【0006】
また、熱インパルス溶着と、シーラントとして非ポリオレフィン片とを用いたコンベヤベルトの端部接合方法が知られている。欧州特許出願公開第1249638号明細書、米国特許出願公開第2003/051810号明細書、欧州特許出願公開第1271263号明細書、及び欧州特許出願公開第1318327号明細書を例として参照されたい。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、コンベヤベルトの搬送面又はプーリ面にプロファイルを溶着するための新規な方法を提供しようとするものであり、具体的には、両方の材料が低誘電率であるベルト表面材料/プロファイル材料の組、例えば、両方の材料がポリオレフィン、特にTPOの場合にも適しているものである。
【0008】
したがって、本発明は、上層表面と当該上層表面とは反対側の対向面とを有する上層を備えるコンベヤベルトにプロファイルを溶着するプロセスであって、
プロファイルは、第1の熱可塑性プラスチック又は第1の熱可塑性エラストマーを含み又は構成され、上層は、第2の熱可塑性プラスチック又は第2の熱可塑性エラストマーを含み又は構成され、プロファイルは、熱と圧力を用いて上層表面の第1位置に溶着され、 i) 溶着熱は、熱インパルス加熱によって加えられ、
ii)熱インパルス加熱は、第1位置とは反対側にある対向面の第2位置に適用される、
プロセスを提供する。
【0009】
本プロセスの好適な実施形態は、従属請求項の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のプロセスのプロセスステップを示す模式図である。
【
図2】本発明のプロセスを実施するのに適した本発明の装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のプロセスでは、プロファイルを溶着する面の反対側のベルト面に溶着熱を加えるので、この面を「対向面」という。すなわち、例えば、コンベヤベルトの搬送面にプロファイルを溶着する場合、最終的にプーリなどのベルト支持搬送手段に接触するベルトのプーリ側に溶着熱を付与することになる。このため、溶着熱は、その対向面からベルトを通してプロファイルが溶着される面に伝わる。
【0012】
したがって、ベルトを通る十分な熱流を可能にするために、全体のベルト厚さ(すなわち、プロファイルを適用する前)が最大約3mm、より好ましくは最大約2.5mmであることが本発明プロセスには好ましい。
【0013】
更に、ベルトを通る十分な熱流の観点から、ベルトに組み込まれる全ての等方性材料(均質な熱可塑性層など)が20℃~250℃の範囲内の任意の温度で少なくとも0.1Wm-1K-1の熱伝導率を有すること、及び/又は、ベルトに組み込まれる全ての異方性材料(布など)が、少なくとも異方性材料がベルトに含まれるとベルト厚さに平行になる方向に前記最小限の熱伝導率を有すること、が好ましい。好ましくは、この熱伝導率は、少なくとも0.2Wm-1K-1であり、より好ましくは少なくとも0.3Wm-1K-1である。
【0014】
更に、ベルトを通る十分な熱流の観点から、ベルト中の任意の層は、本質的に封入されたガスが存在しないこと(すなわち、当該層の体積を基準にして、最大で3vol%、より好ましくは最大で1vol%)が好ましい。より好ましくは、そのような層は、完全に封入されたガスを含まない(すなわち、当該層の体積を基準にして最大0.5vol%)。この好ましい特徴は、ベルトに含まれる任意の布層が、好ましくは、上記に例示したような熱可塑性プラスチック、熱可塑性エラストマー、又はエラストマーに含浸された完全に残留した封入されたガスを含まないこと(すなわち、当該布層の体積を基準にして最大0.5vol%)を伴う。この好ましい特徴は、更に、ベルトに含まれる任意の層が好ましくは未発泡であることを伴う。
【0015】
本発明の目的のために、個々の層に対して又はベルト全体に対して、体積パーセントで任意のガス含有量Gは、次式に従って測定及び計算される。
【0016】
【0017】
ここで
VGeoBは、試験される直方体の層又はベルトのサンプルの幾何学的体積であり、直方体の層又はベルトのサンプルについて、上記のように0.2バールの過圧下で幾何学的長さ及び幅の測定及び厚さ計による幾何学的厚さの測定によって得られるものである。
【0018】
VRは、定義された既知の体積を有する基準サンプルの体積である。
【0019】
【0020】
は、完全に排気された真空チャンバ内にヘリウム透過リーク標準器を用いてヘリウムを流入させたときに測定された経時的な初期圧力上昇(t=0におけるdP1/dt)である。
【0021】
【0022】
は、基準サンプルを含み且つ完全に排気された真空チャンバ内にヘリウム透過リーク標準器を用いてヘリウムを流入させたときに測定された経時的な初期圧力上昇(t=0におけるdP2/dt)である。
【0023】
【0024】
は、立方体の層又はベルトのサンプルを含み且つ完全に排気された真空チャンバ内にヘリウム透過リーク標準器を用いてヘリウムを流入させたときに測定された経時的な初期圧力上昇(t=0でのdP3/dt)である。
【0025】
【0026】
は、スピニングローター真空計を用いて室温において真空チャンバ内で測定されたものである。
【0027】
このような差圧上昇に対する上記体積パーセントの判定は、それ自体公知である。例えば、リスボンで開催された第19回国際計測連合世界大会”Fundamental and Applied Metrology”2009年9月6~11日に発表されたSetina J. and Erjavec B.,による出版物「圧力上昇法による真空容器の容量決定」、及びそこに引用された文献を参照されたい。また、言及された「時間に対する初期の圧力上昇」のいずれも、初期の圧力上昇が直線であるため、無限小ではない時間期間から、すなわちdP/dtとしてではなくΔP/Δtとして取得することができる。
【0028】
第1の熱可塑性樹脂(又は熱可塑性エラストマー)と第2の熱可塑性樹脂(又は熱可塑性エラストマー)とは、一対の溶着されるポリマーを形成する。
【0029】
好ましくは、一対の材料の2つのポリマーは、両方とも熱可塑性プラスチックであるか、又は両方とも熱可塑性エラストマーである。より好ましくは、一対の2つのポリマーは、同じポリマータイプ、例えば、両方ともTPOであるか、両方ともPVCであるか、又は両方ともTPUである。最も好ましくは、一対の両方のポリマーは、TPU又はTPOである。
【0030】
本発明の目的のために、好適なTPUは、一般に、反応混合物中に存在するイソシアネート基とイソシアネート反応性ヒドロキシ基”NNCO”/”NOH”とのモル比が0.9~1.1、好ましくは0.95~1.05、最も好ましくは0.99~1.01となる量で、ジイソシアネート含有硬質ブロックセグメントとポリエステルディオール軟質ブロックセグメントとを反応させることによって得ることができる。この比率において、NNCOは、アミン滴定と標準酸による過剰アミン逆滴定とによって得られる混合物中のイソシアネート基の数であり、混合物の乾燥(又はニート、無溶媒)重量1gあたりのmmolイソシアネート基で表される。NOHは、化合物混合物のヒドロキシル値であり、混合物の乾燥(又はニート、無溶媒)重量1gあたりのmmolヒドロキシル基で表される。ジイソシアネート含有硬質ブロックは、ジイソシアネートをジオール鎖延長剤と反応させることによって得ることができる。ジイソシアネートは、純粋な化合物であってもよいし、ジイソシアネートの混合物であってもよい。好適な一実施形態において、ジイソシアネートは、芳香族ジイソシアネートであり、より好ましくは、異性体の2,2’-、2,4’、又は好ましくは4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートのうちの1つである。好適なジオール鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-プロパンジオール、2-メチルプロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、3-メチルペンタン-1,5-ジオールなどの脂肪族C2-C6-ジオール、又は、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどのグリコールエーテル、及び、エタノールアミン、N-メチルジエタノールアミンなどのアミノアルコールが含まれる。使用されるポリエステルジオール軟質セグメントは、分子量が500~20000であることが好ましい。これらは、ジオールとジカルボン酸とを反応させることにより調製することができるが、より簡便には、ジオールとジカルボン酸のジメチルエステルとを反応させ(トランスエステル化)、低沸点メタノールを煮詰めることにより調製することができる。ポリエステルジオールのためのジオールは、脂肪族直鎖又は分岐C2-C8ジオールであり、任意に炭素環式飽和C5-C6環を含んでもよい。その例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチルプロパンジオール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、1,6-ヘキサンジオール、又はシクロヘキサンジメタノール、及びそのようなジオールの混合物が挙げられる。ポリエステルジオールのジカルボン酸は、脂肪族直鎖又は分枝C2-C8ジカルボン酸である。その例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、及び、アジピン酸、又はそれらのジメチルエステル、セバシン酸、無水フタル酸、テトラクロロフタル酸、又は、テレフタル酸ジメチル、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0031】
本発明の目的のために、好適なTPOは、純粋な脂肪族、混合脂肪族/芳香族、又は純粋な芳香族のいずれかであってよい。好ましくは、それらは、純粋な脂肪族である。
【0032】
最も好ましくは、TPOは、純粋な脂肪族であり、以下から選択される。
-エチレンホモポリマー、すなわち、-CH2-CH2-の繰り返し単位の合計を基準にして、-CH-CH2-以外の繰り返し単位を0.5%未満、好ましくは0.1%未満のmolだけ有するポリマー、ここで、この含有量は、1H-NMRによって決定される;
-プロピレンホモポリマー、すなわち、-CH(CH3)CH2-の繰り返し単位の合計を基準にして、-CH(CH3)CH2-以外の繰り返し単位を0.5%未満、好ましくは0.1%未満のmolだけ有するポリマー、ここで、この含有量は、1H-NMRによって決定される;
-エテン/プロペン共重合体;
-エテン/α-オレフィン共重合体、ここで、α-オレフィンは、プロペン、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、及び1-オクテンを含む群から選択されてもよい);
-ポリエチレン及び/又はポリプロピレン硬質セグメントと、エテン/プロペンゴム又は未架橋エテン/プロペン/ブタジエンゴム軟質セグメントとを含むブロック共重合体;及び
-ポリエチレン及び/又はポリプロピレンと、エテン/プロペンゴム及び/又は未架橋エテン/プロペン/ブタジエンゴムとの混合物。
【0033】
このようなTPUやTPOは、いずれも従来のものである。
【0034】
しかしながら、第1及び/又は第2の熱可塑性プラスチック、及び/又は、第1及び/又は第2の熱可塑性エラストマーに、それらの熱可塑性挙動を損なわない種類及び量の、架橋又は架橋材料の熱硬化体が少量添加されてもよい。そのような添加剤は、それらが添加される熱可塑性プラスチック又は熱可塑性エラストマーの機械的特性を変える可能性があり、この目的のために、問題の熱可塑性プラスチック又は熱可塑性エラストマー及び添加剤のために当技術分野で慣用されている量で添加されることになる。そのような添加剤の典型的な最大量は、熱可塑性プラスチック又は熱可塑性エラストマーを基準として、20重量%であってよい。しかしながら、そのような添加剤は、熱可塑性プラスチック又は熱可塑性エラストマーを基準にして、2重量%未満で存在することが好ましい。最も好ましくは、第1及び第2の熱可塑性プラスチック、並びに、第1及び第2の熱可塑性エラストマーは、熱硬化物及び架橋又は架橋された材料を含まない。
【0035】
一対の2つのポリマーは、好ましくは、類似の融解温度又は類似の融解区間の下限温度を有する。ここで、「類似」とは、好ましくは、2つの温度の間に10℃未満の差があること、より好ましくは5℃未満の差があることを意味する。
【0036】
また、一対の2つのポリマーは、好ましくは、互いに化学的に相容れるものである。化学的に相容れる」とは、2つのポリマーがブレンドされた場合、示差走査熱量測定(DSC)において1つのガラス転移温度しか示さないことを意味する。
【0037】
第1の熱可塑性プラスチック(又は熱可塑性エラストマー)及び/又は第2の熱可塑性プラスチック(又は熱可塑性エラストマー)は、顔料、染料、抗菌剤、耐熱剤、又は可塑剤などの添加剤を任意に含んでもよいが、これらの添加剤の特性及び量が、第1及び/又は第2の熱可塑性プラスチック及び/又は熱可塑性エラストマーの溶着性に悪影響を及ぼさないことが条件である。
【0038】
ベルトに溶着されるプロファイルの形状は、本質的に、好ましくは完全に平面であり且つ上層表面と接触するプロファイル表面を有する下部ソケットを有していなければならないことを除いて、特に制限されない。「本質的に、好ましくは完全に平面である」という用語は、プロファイル表面の特定の粗さを許容するが、その粗さを形成する裂け目及び凹凸が、溶着中に下面の材料が溶融するときに平坦にされることが条件である。また、プロファイル表面の任意の裂け目は、その溶融時に、プロファイル表面/上層表面の界面に2つの部品間の接着を低下させる可能性のある巻き込んだガス気泡を残さずに、これらの裂け目に存在するガスが完全に環境に排出されるような形状であるべきである。
【0039】
ソケットは、好ましくは、プロファイル表面の近傍で、プロファイル表面に向かって断面が多少広がり、プロファイル表面を多少増大させるようなものである。このようなプロファイル表面の増大は、溶着プロファイルの上層表面への接着性を改善する。第1の好適な実施形態において、プロファイルは、断面において台形に類似した、又は同一の、より好ましくは二等辺三角形の形態で広がるソケットを除いて、ほとんどが長方形である断面を有する。この第1の好適な実施形態において、プロファイルは、その頂部において、頂部の断面が三角形又は頂部の角が丸くなった三角形のように見えるように、頂点に向かって先細りになっていてもよい。第2の好適な実施形態において、プロファイルは、全体として台形、特に二等辺三角形である断面を有する。第3の好適な実施形態において、プロファイルは、「L」又は逆さ「T」の形状又はそれに類似した形状の断面を有し、その中の下側の水平横線は、プロファイルのソケットを通る断面を表す。
【0040】
プロファイルは、本質的にその全長(内側の凹側の曲率半径が本質的にゼロである任意の屈曲部を除く)に沿って、上記に例示したような一定の断面を保持するようなものであることが好ましい。プロファイルの残りの長さは、その内側の凹側の全長にわたって曲率半径がゼロでない任意の湾曲部を有し、前記一定の断面を有するとみなしてもよい。
【0041】
以下、本発明のプロセスステップ及び装置の特徴について更に説明する。
【0042】
本発明のプロセスは、
図1も参照しながら、典型的には以下のように実施される。
a)ベルト2を、ベルトの上層3が上にあり且つ対向面21が支持体6上にあるように、熱インパルス加熱手段7を備える支持体6上に敷設する;
b)上層表面31に溶着されるプロファイル1を、保持押圧ツール5に挿入する;
c)上層表面31に溶着されるプロファイル1を、保持押圧ツール5によって保持して、上層表面31上の第1の位置311に押し付け、対向面21を、熱インパルス加熱手段7によって第1の位置311とは反対側の第2の位置211で加熱し、それによって熱インパルス加熱手段7をその温度又はその近くの温度に加熱するとともに、プロファイル1を選ばれた第1の位置311に溶着するのに十分な時間加熱する;
d)第1の位置311に溶着されたプロファイル1を、保持押圧ツール5から解放する;
e)上層表面に溶着されるプロファイルの数だけステップb)からd)を繰り返し、溶着される各上層表面31上の第1の位置311とは異なる更なる第1の位置を選択し、更なる第1の位置に対して反対側にある対応する更なる第2の位置を選択する。
【0043】
プロファイル1は、好ましくは平面であるが、一実施形態では円柱状などの湾曲面であってもよいプロファイル表面11を有する。プロファイル表面11のサイズ及び形状は、第1の位置311のサイズ及び形状を規定し且つそれと同一であり、プロファイル1は、プロファイル表面11で上層表面31に溶着されることになる。断面図で示されるように、ソケット111は、プロファイル表面11を拡大できるように底部に向かって広がっており、溶着後のプロファイル1の上層表面31への付着を強化するようになっている。
【0044】
支持体6は、ベルト2を支持し、保持押圧ツール5によってベルト2に及ぼされる圧力に耐えることができるように、十分な剛性を有する。このために、支持体6は、ベルト2が敷設される支持面61を有する。支持面61は、一実施形態において、図に示すように平坦面であってもよい。別の実施形態において、円柱の断面のようなわずかな曲率を有してもよい。支持体6の一部は、例えば、支持体6に埋め込まれたバー、ストリップ、フラットワイヤ、又はリボンの形態で、溶着熱を供給する熱インパルス加熱素子7として構成されている。この熱インパルス加熱素子7は、冒頭で述べた既知の高電気抵抗材料のうちの1つで作製されている。このような熱インパルス加熱素子7は、市販されており、例えば、プラスチック箔による食品容器のシールに用いられる台所用熱インパルスシーラーの交換部品として販売されている。熱インパルス加熱素子7は、環境に露出しているか、又はテフロン(登録商標)ストリップで覆われ得る上面71を有する。この場合、当該テフロンストリップは、環境に露出している。露出した上面71自体又はテフロンストリップの表面のいずれかが存在する場合、支持面61と同一平面上にあり、対向面21と直接接触している。上面71の言及されたテフロンカバーは、熱インパルス加熱素子7が熱いときに下面21に付着する危険性を低下させる。
【0045】
任意にテフロンで覆われた上面71のサイズ及び形状は、第2の位置211のサイズ及び形状を規定し且つそれと同一である。したがって、プロファイル表面11の上層表面31への完全な溶着を確保するために、任意にテフロンで覆われた上面71のサイズ及び形状は、プロファイル表面11のサイズ及び形状に少なくとも合わせるべきである。好ましくは、任意にテフロンで覆われた上面71は、プロファイル表面11よりも大きなサイズを有するべきである。
【0046】
「サイズ及び形状を合わせる」とは、プロファイル表面11の幾何学的中心からその周囲に走る任意の直線が、プロファイル表面11の周囲との交差点と、任意にテフロンで覆われた上面71の周囲との交差点とを有し、その直線に沿って測定すると、後者の交差点と前者の交差点とがプロファイル表面11の幾何学的中心から同じ距離であるように、そのプロファイル表面11を有するプロファイル1を直接、任意にテフロンで覆った上面71上に配置可能であることを意味する。「幾何学的中心」は、プロファイル表面11の一般に理解されている「重心」を意味し、計算される。より好ましくは、任意にテフロンで覆われた上面71は、プロファイル表面11より大きい。
【0047】
「より大きなサイズ」とは、プロファイル表面11の前記幾何学的中心からその周囲に走る任意の直線が、プロファイル表面11の周囲との交差点と、任意にテフロンで覆われた上面71の周囲との交差点とを有し、その直線に沿って測定すると、後者の交差点が前者の交差点よりもプロファイル表面11の前記幾何学的中心から遠くなるような少なくとも1つの位置及び向きでそのプロファイル1を直接配置可能であることを意味する。
【0048】
第1の位置311とは「反対側」にある第2の位置211のために、第2の位置211が最初に選択される。これは、典型的には、上記の例示的なステップa)のように、ベルト2を支持体6に敷設することによって行われる。ベルトが支持体6上に敷設されると、任意にテフロンで覆われた上面71と直接接触する対向面21の部分は、自動的に、加熱される第2の位置211となる。その後、保持押圧ツール5に挿入され保持されたプロファイル1が、上層表面31上に下降されて接触し、プロファイル表面11が上層表面31に接触する。これは、上記の例示的なステップb)及びc)の通りである。前記下降される方向とは反対方向の透視図で見たとき、プロファイル表面11は、任意にテフロンで覆われた上面71によって完全に覆い隠されているものとする。そのとき、プロファイル表面11の上層表面31との接触領域は、第2の位置211とは反対側の第1の位置311となる。その結果、その第2の位置211は、自動的にその第1の位置311の反対側にもなる。
【0049】
図1の上記の例示的なステップc)及びc)の通り、上層表面31への溶着中にプロファイル1が押される圧力は、重要ではない。一方、それは、プロファイル表面11の上層表面31への深い溶着を可能にするのに十分であるべきである。他方、それは、プロファイル1(特にその溶融部分)を著しく変形させないような十分に低い値であるべきである。印加される過圧(周囲圧力より高い)の典型的な範囲は、1~5バールである。
【0050】
図1の上記の例示的なステップc)及びc)の通り、熱インパルス加熱素子7による加熱の程度及び持続時間は、一般的な教示によって事前に示すことはできない。しかしながら、熱インパルス加熱素子7を流れる電流は、電流パルスの持続時間に関係なく、熱が対向面21上の第2の位置211を著しく変化又は劣化させないように、前記選択された過圧においてその上に静止する所定のベルト2に対して予め選択されてよい。前記持続時間は、例えば、最大100秒間であってもよい。これは、当業者の能力の範囲内にある第1の1パラメータ最適化であり、後続のプロファイル溶着において使用される最大許容電流をもたらすものである。その後、付与されたベルト、ベルトに溶着されるプロファイル、印加される過圧、及び付与された前記最大許容電流に対して、最適化されるべきは電流パルスの持続時間だけである。これは、当業者の能力の範囲内にある第2の1パラメータ最適化である。本出願人によって使用される典型的な電流パルス時間は、5~30秒の範囲である。
【0051】
保持押圧ツール5は、任意の断面を有するプロファイル1に対して好適な形態である2つの可動ジョー(jaw)を有するグリッパーのいずれかの形態である。2つのジョーは、上記の例示的なステップb)のようにジョーを閉じることによってプロファイルをつかむこと、上記のステップc)のように溶着中にそれを保持すること、及び上記例示的なステップd)のようにジョーを開くことによって溶着されたプロファイルを解放することを可能にする。代替的且つ好ましくは、保持押圧ツール5は、スリット51が形成された1部品又は一体型ブロックの形態である。スリットの向き及び開口部は、支持体6に向けられている。この実施形態は、プロファイルの上述の3つの好適な実施形態におけるような、本質的に真っ直ぐな側縁部を持つ断面を有するプロファイルの場合に、特に有利である。ここで、プロファイルは、少なくともその上部がソケットの上にある状態で、好ましくは全体が、前記スリットに嵌合する。その後、溶着されるプロファイル1は、
図1の上記のステップb)及びb)のように、溶着前にその上部を保持押圧ツール5のスリット51に簡単にスライドされる。溶着中、プロファイル1は、
図1の上記のステップc)及びc)のようにスリット51に保持される。溶着後、プロファイル1は、
図1の上記のステップd)及びd)のように保持押圧ツール5をベルトから引き出すことによって保持押圧ツール5から簡単に解放され、溶着されたプロファイル1がスリット51から外方へスライドする。
【0052】
保持押圧ツール5は、支持体6に対して保持押圧ツール5を容易且つ正確に進退移動させることができるように、任意に、好ましくは支持体6に回動可能に連結されてもよい。この実施形態は、保持押圧ツールが、単に、そこに形成されたスリットを有するブロックの形態であり、そのスリットにプロファイルがスライドして出入りする、プロファイルの上述の好適な実施形態に対して特に有利である。また、直線状のプロファイルに対して特に有利である。
【0053】
本発明によれば、保持押圧ツール5自体が加熱される必要はなく、従って保持押圧ツール5が加熱手段を備える必要もない。しかしながら、好適な実施形態において、保持押圧ツール5は、電気的な一定又はインパルス加熱、誘導、赤外線放射、又は熱風など、任意のタイプの加熱手段を備える。電気的な一定加熱の形態の加熱手段は、
図1において参照数字52,53で例示されている。保持押圧ツール5が備えるこれらの加熱手段は、それ自体によって、プロファイル1を上層表面31に溶着させるように設計されたものでも、意図されたものでもない。それらの目的は、プロファイル表面11と、プロファイル表面11から離れたプロファイル1の残りの部分との間の温度勾配を低くするように、溶着されるプロファイル1を予備加熱し、それにより、溶着中にプロファイル1内に内部張力が蓄積して、溶着後にそれに伴う歪みが生じることを抑えることにある。
【0054】
保持押圧ツールの前記加熱手段によってプロファイル内で達成されるべき典型的な予熱温度は、60℃~100℃、好ましくは70℃~90℃の範囲であり、それによって、高温における第1の熱可塑性プラスチック又は第1の熱可塑性エラストマーの軟化挙動が考慮され得る。予熱温度は、当該第1の熱可塑性プラスチック又は第1の熱可塑性エラストマーの融解温度又は融解範囲の下位境界値よりも十分に低くなるように選択されるべきものである。ここで、「十分に低く」とは、 「50℃~100℃低く」"という意味であってもよい。
【0055】
保持押圧ツール5の前記任意の加熱手段によるプロファイル1の予備加熱は、上記のステップb)及び/又はc)のいずれかの間であってもよい。それに加えて又はその代わりに、当該予備加熱は、溶着されたプロファイル1の遅延した又は遅い冷却を可能にするために、ステップc)の後及びステップd)の前であってもよい。これは、再びプロファイル1における内部張力の蓄積を回避する観点から有益であり、完全冷却後のプロファイル表面11と第1の位置311との間の溶着の品質を向上させることができる。
【0056】
-保持押圧ツールのスリット51内に更なるプロファイル1を挿入する、又は、保持押圧ツール5のジョーで更なるプロファイル1を掴むステップ;
-プロファイル1を上層表面31に降下させ、そのプロファイル表面11を上層表面31の更なる第1の位置に溶着するステップ;及び
-溶着されたプロファイルを保持押圧ツール5から解放するステップ;
図1の上記の例示的なステップe)及びe)のように、上層表面31に溶着されるべきプロファイルの数だけ繰り返されてもよい。ここでの典型的な進め方は、プロファイル1が上層表面31に溶着された後、ベルトを長手方向に所定の変位だけずらし、その後、上記例示的なステップa)に従って支持体6に再適用することである。
【0057】
本発明のプロセスにより、ベルトの上層の表面にプロファイル、特にTPOのプロファイルを確実に溶着することができる。当該上層は、再び好ましくはTPOである。このようにプロファイルされたベルトは、例えば、コンベヤベルト又はシェブロンベルト、フィッシュボーンベルト、又はラフトップベルトであってもよく、好ましくは、コンベヤベルトである。この好ましい場合、プロファイルは、好ましくは、意図された搬送面に溶着され、それは同時に上層表面31となる。実際、コンベヤベルトはそれ自体で表面改質層を有するのが通例である。この層は、本発明の溶着工程に適した材料の1つから作成される場合、同時に上層3となる。同様に、この好ましい適用において、加熱は、多くの場合、単に布地又は含浸布地であるコンベヤベルトの意図されたプーリ接触面上に適用される。
【0058】
本発明のプロセスを用いてベルトの上層表面31に溶着されたプロファイルは、ベルトに優れた接着性を示し、その通常の使用条件下ではベルトから剥離することはできない。
【0059】
また、熱インパルス加熱を用いてプロファイル1をコンベヤベルト2の上層表面31に溶着する装置も、本発明の一部である。この装置は、熱インパルス加熱手段7を備える支持体6と、溶着中にプロファイル1をベルト2に保持押圧するためのスリット51が形成された保持押圧手段5と、を備える。また、前記プロセスと同様に、この装置は、好ましくは、支持体6に回動可能に取り付けられた保持押圧手段5を備える。支持体6への保持押圧手段5の回動自在な取り付けは、
図2に模式的に示されている。この図は、保持押圧手段5がピボット8を中心として約10°の角度だけ上方に回転して、溶着されるプロファイルをスリット51(これらはこの図に示されていない)に挿入しやすくした形態で、前記装置を示している。ベルト2は、その横方向に示されているが、ベルトの移動方向は通常、図の紙面に対して垂直である。
【0060】
次に、本発明を以下の非限定的な実施例によって例示する。
【0061】
実施例
実施例1:異なるベルトタイプへのプロファイルの溶着
【0062】
図1に示すような特注の熱インパルスヒータを使用した。このヒータは、テフロンで覆われた帯状の熱インパルス加熱手段7を備えた支持体6から構成されていた。支持体の支持面61と熱インパルス加熱手段7のテフロンで覆われた上面71とで、加工されるべきベルトが支持される平面が形成されていた。ベルトに溶着されるプロファイル1は、
図1に描かれたものと同様の断面を有し、プロファイルソケット111と、それによって拡大されたプロファイル表面11とを有していた。また、プロファイル表面11は、平面であった。ソケット111とは別に、プロファイル1は、頂部に向かって先細りになっている上部を除いて、本質的に矩形の断面形状を有していた。プロファイル1は、加工されるベルト2の上層3に存在する熱可塑性プラスチック又は熱可塑性エラストマーと同じ熱可塑性プラスチック又は熱可塑性エラストマーで構成されていた(下記表を参照)。プロファイルは、約50cmの長さの直線であり、その全長にわたって一定の断面を有していた。プロファイル1の断面に鑑み、保持押圧手段5は、スリットが形成された1部品又は一体型のブロックで構成されていた。プロファイルは、このスリット内に全体的にぴったりと嵌合していた。保持押圧手段5は、電気的な一定加熱部52,53の形態で加熱手段を構成していた。これらの加熱手段は、溶着時間及びその後の冷却時間の間、保持押圧手段5を約80℃の一定温度に保持するために使用されていた(下記表を参照)。支持体6と保持押圧手段5とは、固定された支持体に対して保持押圧手段5を回動させて、後者に対して前者を容易に進退移動させることができるように、回動軸を介して連結されていた。
【0063】
スタート時のベルトとして出願人の市販のコンベヤベルトを数種類使用した。これらは次の通りであった。
【0064】
【0065】
本発明の溶着プロセスにおいて、いくつかの場合、第2位置の対向面に僅かな膨張部が形成されることが観察された。この膨張部は、存在するとしても、ベルトの機能を害するものではないことがわかった。この膨張部の形成は、プロファイルの上層への接着に影響を与えることなく、加熱温度及び/又は溶着時間を低減することによって、低下させる又は防止することもできる。
【0066】
実施例2:TPO上層3を備えるベルトへのTPOプロファイル1の溶着
【0067】
TPOプロファイル1は、先の実施例で使用したプロファイルと同様の断面を有していた。プロファイルソケット111の幅は10mmであり(したがって、プロファイルソケット111と上層表面31との接触領域幅は10mmである)、プロファイルの長さは約3mであった。溶着の構成は、実施例1に記載した通りであった。プロファイル1が上層表面31に溶着されたベルト試験片は、ベルト表面に対するプロファイルソケットの結合強度を決定するために、剥離強度試験に供された。Zwick/Roell卓上試験機Z020を使用した。試験温度は23℃であった。
【0068】
試験中、溶着されたプロファイルは、試験速度100mm/分で200mmの長さにわたってベルト表面から剥がされた。プロファイルがベルト表面から剥離し始めると、ベルト表面からプロファイルを更に剥離するのに必要な剥離強度を、移動した試験長さの関数として記録した。この移動し記録された試験長さ(約170mm)全体にわたって、記録されたグラフは、78N/cmから93N/cmの間の剥離強度を示した。これは、ベルト自体の個々の層間、例えば、TPOカバー層と布製トラクション層との間で典型的に観察される剥離強度の約3倍である。このように、本発明の溶着プロセスは、プロファイルとベルト表面との間に優れた結合をもたらす。