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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】異なる変電所のIED間の時間同期
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20240523BHJP
   H02H 3/28 20060101ALI20240523BHJP
   H04L 7/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02H3/28 W
H04L7/00 990
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022546473
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2021051787
(87)【国際公開番号】W WO2021151909
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】20154871.6
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サリ,ヨーアン
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0089608(US,A1)
【文献】特開2018-091828(JP,A)
【文献】特開2010-279235(JP,A)
【文献】特開2012-222833(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0324074(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02H 3/28
H04L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信チャネルによって相互接続された第1の変電所(120a)と第2の変電所(120b)との間のパケットの時間同期された通信のための方法であって、前記方法は前記第1の変電所で行なわれ、前記方法は、
前記第2の変電所(120b)から前記通信チャネルを介してサンプルのパケットを受信するステップ(S106)を含み、前記サンプルは前記第2の変電所内で得られたものであり、前記サンプルには、共通基準クロック(130)に関連付けられた時間情報が提供されており、前記方法はさらに、
前記共通基準クロックから前記通信チャネルを介して時間指標を受信するステップと、
前記時間情報と、前記共通基準クロックと前記第1の変電所のローカル基準クロックとの間の第1の時間差とを用いて、受信された前記パケットの前記サンプルを時間的に補償することによって、受信された前記パケットの前記サンプルと前記第1の変電所(120a)内で得られたサンプルとの時間的同期を行なうステップ(S108)とを含む、方法。
【請求項2】
前記時間情報は、前記共通基準クロックに従った前記サンプルのタイムスタンプを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記時間情報は、前記第2の変電所のローカル基準クロックに従った前記サンプルのタイムスタンプと、前記第2の変電所の前記ローカル基準クロックと前記共通基準クロックとの間の第2の時間差の指標とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記共通基準クロックと前記第1の変電所および/または前記第2の変電所の前記ローカル基準クロックとの間に時間差がある、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の変電所内で得られた前記サンプルに、前記共通基準クロックに関連付けられた時間情報を提供するステップと、
サンプルの第1のパケットに入った前記サンプルを、前記通信チャネルを介して前記第2の変電所へ送信するステップ(S104)とをさらに含み、
前記第2の変電所から受信されたサンプルの前記パケットは、サンプルの第2のパケットである、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記第1の変電所の第1のインテリジェント電子デバイス(IED)(200a)によって、および、前記第2の変電所の第2のIED(200b)によって行なわれ、前記第1および第2のIED(200a、200b)は前記通信チャネルを介して互いに通信する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
各IED(200a、200b)は、その変電所(120a、120b)内の通信のためのそれ自体の変電所インターフェイス(180a)と、前記通信チャネルを介した他の変電所(120a、120b、120c)のIED(200a、200b、200c)との通信のためのネットワークインターフェイス(180b)とを含み、各変電所インターフェイス(180a)は、変電所内部の時間同期基準として使用されるそれ自体のローカル基準クロック(140a、140b)に関連付けられ、前記ネットワークインターフェイス(180b)は、前記共通基準クロック(130)から信号を受信するように構成される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記サンプルは電流値を表わし、前記方法はさらに、
補償された前記サンプルと前記第1の変電所(120a)内で得られた前記サンプルとの差としての差動電流を計算するステップ(S110)と、
前記差動電流を、前記第1の変電所(120a)におけるライン差動保護機能(150a)に提供するステップ(S114)とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記共通基準クロックと前記第1の変電所の前記ローカル基準クロックとの差としての前記第1の時間差と、前記共通基準クロックと前記第2の変電所のローカル基準クロックとの差としての第2の時間差とを判定するステップと、
前記差動電流を前記ライン差動保護機能(150a)に提供する前に、前記第1の時間差と前記第2の時間差との差が時間しきい値よりも小さいことを確認するステップ(S112)とをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法はさらに、
前記第1の時間差と前記第2の時間差との前記差が前記時間しきい値よりも小さくない場合、前記ライン差動保護機能(150a)をブロックするステップ(S116)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ローカル基準クロック(140a、140b、140c)の各々は、前記共通基準クロック(130)よりも高い精度を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記共通基準クロック(130)は、ネットワーククロックであるか、または、前記ローカル基準クロック(140a、140b、140c)のうちの1つである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1および第2の変電所間のパケットの時間同期された通信のためのインテリジェント電子デバイス(IED)(200a)であって、前記IED(200a)は処理回路(210)を含み、前記処理回路は、前記IED(200a)に、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を行なわせるように構成される、IED(200a)。
【請求項14】
パケットの時間同期された通信のためのコンピュータプログラム(520)であって、前記コンピュータプログラム(520)は、変電所のインテリジェント電子デバイス(IED)(200a)の処理回路(210)上で実行されると前記IED(200a)に請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を行なわせるコンピュータコードを含む、コンピュータプログラム(520)。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムが格納された、コンピュータ読取可能記憶媒体(530)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに提示される実施形態は、IED間のパケットの時間同期された通信のための方法、インテリジェント電子デバイス(intelligent electronic device:IED)、コンピュータプログラム、およびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
一般的には、変電所とは、発電、送電および配電システムの一部である。変電所は、電気システムの異なる送電線間の接続点として作用し、それに加えて、電圧を高から低にまたはその逆に変換するか、もしくは、いくつかの他の重要な機能のうちのいずれかを行なう場合がある。発電所と消費者との間で、電力は、異なる電圧レベルのいくつかの変電所を通って流れる場合がある。変電所は、高い送電電圧とより低い配電電圧との間に、または、2つの異なる送電電圧の相互接続部に、電圧レベルを変更するための変圧器を含む場合がある。
【0003】
一般的には、変電所は無人である場合が多く、遠隔監視および制御に頼っている。この点において、変電所内の異なるソースからの、および他の変電所からの、パケットに入ったデータストリームが、ライン差動保護機能に供給される場合がある。ライン差動保護機能は、遮断決定を下し、ひいては、回路遮断器を遮断するか否かを判定するように構成される。
【0004】
従来、対称的な通信遅延を有するSONET(Synchronous optical Networking:同期光ネットワーキング)またはSDH(Synchronous Digital Hierarchy:同期デジタル階層)を介した同期通信が、ライン差動保護との間のパケットの通信のために使用されてきた。SONETまたはSDHを使用する場合、異なるソースから通信されるような位相値間の比較のための、ひいては、ライン差動保護のための共通時間基準を獲得するために、通信リンクが使用可能である。
【0005】
現代のワイドエリアネットワークはパケットベースであり、一定でない送信遅延を有する(たとえば、ジッタおよび非対称的な遅延を経験する)。したがって、異なるパケットのための時間基準が、他のメカニズムを使用するために提供されなければならない。
【0006】
1つのメカニズムは、保護されるべき電力ネットワークにおいて共通時間基準を達成するために、すべてのソースで(全地球測位システム(Global Positioning System:GPS)によって提供されるような)正確なクロックを使用することである。GPSベースのクロックの使用についての1つの欠点は、当該クロックが悪天候の状況およびなりすましに敏感であることである。
【0007】
別のメカニズムは、(IEEE1588;高精度時間プロトコル(Precision Time Protocol:PTP)といった)高精度の時間同期能力を有するワイドエリアネットワークを使用し、1つのネットワーククロックを使用して、パケットをライン差動保護機能へ送信することに関与するすべてのソースの時間同期を行なうことである。そのようなメカニズムは、従来の変電所でうまく機能する。しかしながら、ライン差動保護を合流ユニットと組合せる場合、各変電所は、変電所内だけでなく、他の変電所とも、共通時間基準を維持しなければならない。
【0008】
よって、変電所間の時間同期の向上が依然として必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
概要
ここにおける実施形態の目的は、上述の問題を抱えておらず、もしくは、少なくとも上述の問題が小さくなったかまたは緩和された、異なる変電所間のパケットの時間同期された通信を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の局面によれば、通信チャネルによって相互接続された第1の変電所と第2の変電所との間のパケットの時間同期された通信のための方法が提示される。方法は、方法は第1の変電所で行なわれ、第2の変電所から通信チャネルを介してサンプルのパケットを受信するステップを含む。サンプルは第2の変電所内で得られたものであり、サンプルには、共通基準クロックに関連付けられた時間情報が提供されている。方法はまた、共通基準クロックから通信チャネルを介して時間指標を受信するステップと、受信されたパケットのサンプルと第1の変電所内で得られたサンプルとの時間的同期を行なうステップとを含む。同期は、時間情報と、共通基準クロックと第1の変電所のローカル基準クロックとの間の第1の時間差とを用いて、受信されたパケットのサンプルを時間的に補償することを含む。
【0011】
第2の局面によれば、第1および第2の変電所間のパケットの時間同期された通信のためのIEDが提示される。IEDは処理回路を含む。処理回路は、IEDに、第1の局面に従った方法を行なわせるように構成される。
【0012】
第3の局面によれば、変電所間のパケットの時間同期された通信のためのコンピュータプログラムが提示され、コンピュータプログラムは、変電所のIED上で実行されるとIEDに第1の局面に従った方法を行なわせるコンピュータプログラムコードを含む。
【0013】
第4の局面によれば、第3の局面に従ったコンピュータプログラムと、当該コンピュータプログラムが格納されたコンピュータ読取可能記憶媒体とを含む、コンピュータプログラム製品が提示される。コンピュータ読取可能記憶媒体は、非一時的コンピュータ読取可能記憶媒体であり得る。
【0014】
有利には、これらの局面は、一般には異なる変電所間の、特に異なる変電所のIED間の、効率的な時間同期を提供する。
【0015】
有利には、これらの局面は、異なる変電所で得られたサンプルに対して動作するライン差動保護機能の効率的な動作を可能にする。
【0016】
有利には、これらの局面は、(単純ネットワーク時間プロトコル(Simple Network Time Protocol:SNTP)に基づいた)あまり正確でない時間同期を用いる既存の変電所にライン差動アプリケーションをインストールする場合に使用可能であり、そのようなインストールは、ステーションクロックをアップグレードすることなく行なわれ得る。
【0017】
時間情報が共通基準クロックに関連付けられるということは、時間情報が、共通基準クロックに直接的または間接的に由来し得る情報を含むということを通常意味する。このため、時間情報はたとえば、共通基準クロックによって提供されるような時間の指標を含み得る。それに代えて、またはそれに加えて、時間情報は、タイムスタンプされたサンプルが得られる変電所のローカル基準クロックと共通基準クロックとの間の時間差、またはそのような差の指標と、前記ローカル基準クロックの時間の指標とを含み得る。また、時間情報は、共通基準クロックに従った、もしくは、第1または第2の変電所のローカル基準クロックに従った、サンプルのタイムスタンプを含み得る。有利には、時間情報は、受信側の変電所が、受信された、好ましくはタイムスタンプされたサンプルと、受信側の変電所内で得られたようなサンプルとの時間的同期を行なうことを可能にする情報を含む。
【0018】
有利には、これらの局面は、第1および第2の変電所といった異なる変電所が、それぞれのローカル基準クロックに従って動作すること、ならびに、同期されることなく互いに通信できることを可能にする。このため、第1の変電所および第2の変電所は、互いに異なり、共通基準クロックとも異なるローカル基準クロックに従って動作し得るということが理解されるであろう。変電所はそれら自体のローカル基準クロックを有するため、それらは、それらの動作のために共通基準クロックに頼る必要はない。
【0019】
サンプルのパケットと共通基準クロックからの時間指標とは、変電所を相互接続するパケット交換ネットワークなどの同じ通信チャネルを介して送信され得る。
【0020】
一実施形態によれば、第1の変電所内で得られたサンプルに、共通基準クロックに関連付けられたタイムスタンプなどの時間情報が提供され得る。時間情報を提供されたサンプルは、サンプルの第1のパケットに入った状態で、パケット交換ネットワークなどの通信チャネルを介して第2の変電所へ送信され得る。第2の変電所から受信されたサンプルのパケットは、サンプルの第2のパケットと呼ばれ得る。
【0021】
方法は変電所の処理回路によって行なわれ得ることが理解されるであろう。そのような処理回路の例は、たとえばインテリジェント電子デバイス(IED)といった、マイクロプロセッサベースのコントローラを含み得る。このため、一実施形態によれば、方法は、第1の変電所の第1のインテリジェント電子デバイス(IED)によって行なわれてもよく、一方、第2の変電所は、通信チャネルを介して第1のIEDと通信するための第2のIEDを含み得る。また、第2のIEDは、第2の時間差を判定するように構成され得る。
【0022】
一実施形態によれば、上述の局面に関連して概説されたような、第1の変電所の第1のIEDと第2の変電所の第2のIEDとの間のパケットの時間同期された通信のための方法が提示される。方法は、第1のアクションおよび第2のアクションのうちの少なくとも1つを行なうステップを含む。第1のアクションは、第1の変電所のローカル基準クロックと共通基準クロックとの間の第1の時間差を判定することを含み得る。第1のアクションは、第1の変電所内で得られたようなサンプルの第1のパケットを、ネットワークインターフェイスを介して第2のIEDへ送信することを含み得る。第1のパケットは、第1の変電所のローカル基準クロックに従ってタイムスタンプされてもよく、第1の時間差の指標を含む。第2のアクションは、第2の変電所内で得られたようなサンプルの第2のパケットを、第2のIEDからネットワークインターフェイスを介して受信することを含み得る。第2のパケットは、第2の変電所のローカル基準クロックに従ってタイムスタンプされてもよく、第2のIEDによって判定されたような、第2の変電所のローカル基準クロックと共通基準クロックとの間の第2の時間差の指標を含む。第2のアクションは、第1の時間差と第2の時間差との差に従って第2のパケットのサンプルを時間的に補償することによって、第2のパケットのサンプルと第1の変電所内で得られたようなサンプルとの時間的同期を行なうことを含み得る。
【0023】
一実施形態によれば、各IEDは、その変電所内の通信のためのそれ自体の変電所インターフェイスと、パケット交換ネットワークを介した他の変電所のIEDとの通信のためのネットワークインターフェイスとを含み得る。各変電所インターフェイスは、変電所内部の時間同期基準として使用されるそれ自体のローカル基準クロックに関連付けられ得る。ネットワークインターフェイスは、共通基準クロックから信号を受信するように構成され得る。
【0024】
一実施形態によれば、サンプルは電流値を表わし得る。差動電流が、補償されたサンプルと第1の変電所内で得られたようなサンプルとの差として計算され得る。差動電流は、第1の変電所におけるライン差動保護機能に提供され得る。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、第1の時間差が、共通基準クロックと第1の変電所のローカル基準クロックとの差として判定され得る。また、第2の時間差が、共通基準クロックと第2の変電所のローカル基準クロックとの差として判定され得る。差動電流がライン差動保護機能に提供される前に、第1の時間差と第2の時間差との差が時間しきい値よりも小さいことが確認され得る。第1の時間差と第2の時間差との差が時間しきい値よりも小さくない場合、ライン差動保護機能はブロックされ得る。また、失われた時間同期された通信のアラーム通知が発行され得る。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、ネットワークインターフェイスを介した通信は、PTPまたはTSNを使用して促進され得る。また、変電所インターフェイスを介した通信は、PTP公益事業プロファイルを使用して促進され得る。ネットワークインターフェイスを介した通信は、PTP電気通信プロファイルを使用して促進され得る。
【0027】
一実施形態によれば、ローカル基準クロックの各々は、共通基準クロックよりも高い精度を有し得る。それに代えて、ローカル基準クロックの各々は、共通基準クロックよりも低い精度を有し得る。また、各ローカル基準クロックは変電所クロックであってもよく、一方、共通基準クロックは、ネットワーククロックであるか、または変電所クロックのうちの1つであってもよい。
【0028】
同封された実施形態の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な開示から、添付された従属請求項から、および図面から明らかになるであろう。
【0029】
一般に、請求項で使用される用語はすべて、ここに別段の明示的な定義がない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「1つの/当該要素、装置、構成要素、手段、モジュール、アクションなど」への言及はすべて、別段の明示的な定めがない限り、当該要素、装置、構成要素、手段、モジュール、アクションなどの少なくとも1つの事例を指すとして公然と解釈されるべきである。ここに開示されるあらゆる方法のアクションは、明示的な定めがない限り、開示された順序通りに行なわれなくてもよい。
【0030】
図面の簡単な説明
添付図面を参照して、この発明の概念を、例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態に従った変電所ネットワークを示す概略図である。
図2】実施形態に従った、図1における変電所ネットワークの一部を概略的に示す図である。
図3】実施形態に従った方法のフローチャートである。
図4】一実施形態に従ったIEDの機能ユニットを示す概略図である。
図5】一実施形態に従った、コンピュータ読取可能記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な説明
この発明の概念のある実施形態が示される添付図面を参照して、この発明の概念を、以下により十分に説明する。しかしながら、この発明の概念は異なる形で具現化されてもよく、ここに述べられる実施形態に限定されるよう解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が完全になってこの発明の概念の範囲を当業者に十分に伝えるように、例として提供される。説明全体を通し、同じ数字は同じ要素を指す。破線によって示されたあらゆるアクションまたは特徴は、オプションであると見なされるべきである。
【0033】
図1は、ここに提示される実施形態が適用され得る変電所ネットワーク100を示す概略図である。変電所ネットワーク100は、データソースとして作用する合流ユニット(merging unit:MU)170a:170fを含む。MU170a:170fは、パケットに入ったサンプルを単位とするデータストリームをライン差動保護機能150a:150cに提供するように構成される。各データストリームは、たとえば変電所ネットワーク100におけるMU170a:170fの電圧または電流測定値を表わすアナログサンプルを含み得る。MU170a:170fは、変電所ネットワーク100における変電所120a:120cに属しており、サンプルをIED200a:200c、160a:160iに提供する。
【0034】
各ライン作動保護機能150a:150cは、IED200a:200cのうちのそれぞれ対応するIEDの一部であるか、当該IEDと一体化されるか、または、当該IEDと併置される。この点で、各IED200a:200cはそれ自体がライン差動保護機能150a:150cであってもよく、または、ライン差動保護機能150a:150cはIED200a:200cにおいて実現されてもよい。ライン差動保護機能の異なる例があり得る。いくつかの例では、ライン差動保護機能150a:150cは、継電器保護機能、または制御機能、たとえば同期チェック機能である。
【0035】
IED200a:200cは、ワイドエリアネットワーク(wide area network:WAN)110などの通信チャネルを介して互いに通信するように構成される。IED200a:200c間の通信は共通基準クロック130に従って同期され、一方、各変電所120a:120c内の通信はそれぞれのローカル基準クロック140a:140cに従って同期される。
【0036】
上述のように、変電所120a:120c間の時間同期の向上が依然として必要である。
【0037】
ここに開示される実施形態の少なくともいくつかは、したがって、共通基準クロック130を、ライン差動保護機能150a:150cに関連付けられたサンプルのための共通基準として使用することに基づいている。ライン差動保護機能150a:150cを収容するIED200a:200cは、そのローカル基準クロック140a:140cを、それ自体の内部クロックを同期させるために使用する。以下にさらに開示されるように、ローカル基準クロック140a:140cのみを使用することは、IED200a:200c内の通信を同期させるために十分であり、一方、ライン差動保護機能150a:150cによって使用されるようなサンプルがあるIED200a:200cから別のIED200a:200cへ通信される場合、ローカル基準クロック140a:140cと共通基準クロック130とを使用することが、ライン差動保護機能150a:150cを、または、少なくともライン差動保護機能150a:150cによって使用されるサンプルを同期させるために必要とされる。
【0038】
図2は、図1における変電所ネットワークの一部を概略的に示し、IED200aと、ローカル基準クロック140aへのそのインターフェイス180aと、共通基準クロック130へのそのインターフェイス180bとを示す。図2に示すように、IED200aは、時間T1によって与えられるようなローカル基準クロック140aに内部同期され、時間T2によって与えられるような共通基準クロック130とローカル基準クロック140aとの間の時間オフセットΔ、すなわち時間差を計算するように構成される。このため、Δ=T1-T2である。以下にさらに開示されるように、このオフセットΔは、別の変電所のIED200b:200cとの間でパケットに入った状態で送受信されるサンプルの時間情報のタイムスタンプを調節するためにも使用され得る。これは、変電所ネットワーク100のどこでサンプルが得られるかにかかわらず、すべてのサンプルに、共通の時間スケールを使用したタイムスタンプなどの時間情報が提供されることを可能にする。このため、IED200aが別のIED200b:200cからサンプルを受信すると、それは、任意の差動電流を計算する前に、たとえば再サンプリングによって調節し、それによりサンプルを整列させることができる。これは、共通基準クロック130から独立して変電所120a内の通信を維持しながら可能にされる。
【0039】
ネットワークインターフェイス180bを介した通信および変電所インターフェイス180aを介した通信のために使用される、異なるプロトコルがあり得る。一実施形態によれば、ネットワークインターフェイス180bを介した通信は、高精度時間プロトコル(PTP)またはタイム・センシティブ・ネットワーキング(Time-Sensitive Networking:TSN)を使用して促進される。いくつかの例では、変電所インターフェイス180aを介した通信は、PTP公益事業プロファイル(すなわち、IEC61850-9-3で定義された周波数同期のための高精度時間プロトコル電力会社プロファイル)またはIEC62439-3で定義されたような高精度時間プロトコル産業プロファイルを使用して促進され、一方、ネットワークインターフェイス180bを介した通信は、PTP電気通信プロファイル(すなわち、周波数同期のための高精度時間プロトコル電気通信プロファイル)を使用して促進される。
【0040】
ローカル基準クロック140a:140cと共通基準クロック130との間には異なる関係があり得る。いくつかの局面では、ローカル基準クロック140a:140cの各々は、共通基準クロック130よりも高い精度を有する。いくつかの局面では、ローカル基準クロック140a:140cの各々は、共通基準クロック130よりも低い精度を有する。後者は、ライン差異アプリケーションが変電所同期にそれほど依存しない場合であり得る。いくつかの例では、各ローカル基準クロック140a:140cは変電所クロックである。いくつかの例では、共通基準クロック130は、ネットワーククロックであるか、または変電所クロック140a:140cのうちの1つである。すなわち、いくつかの例では、変電所クロック140a:140cのうちの1つがネットワーククロックとして作用する。これはその場合、IEDのうちの1つについて、そのローカル基準クロックと共通基準クロックとの間のその時間差がゼロであることを暗示する。また、IED200a:200cのうちの1つにおける内部クロックがネットワーククロックとして作用し得る。これもその場合、IEDのうちの1つについて、そのローカル基準クロックと共通基準クロックとの間のその時間差がゼロであることを暗示する。
【0041】
ここに開示される実施形態は特に、パケット交換ネットワークによって相互接続された変電所間のパケットの時間同期された通信のためのメカニズムに関する。特に、方法は、それぞれの変電所のIED200a:200c間のパケットの通信に関連して行なわれ得る。パケットは、ライン差動保護機能150a:150cによって使用される電流値を表わすサンプルを含み得る。達成される時間同期された通信はこのため、ライン差動保護機能150a:150cの、または、少なくともライン差動保護機能150a:150cによって使用されるサンプルの、効率的な時間同期のために使用され得る。そのようなメカニズムを得るために、変電所のIED200a、IED200aによって行なわれる方法、IED200a上で実行されるとIED200aに方法を行なわせる、たとえばコンピュータプログラムの形をしたコードを含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0042】
以下では、例示の目的のために、および何ら制限を課すことなく、IED200aは第1のIEDと表わされ、IED200bは第2のIED200bと表わされる。しかしながら、これは、第1のIED200aと第2のIED200bとの間に階層関係があることを暗示しない。また、方法は変電所の他の処理回路によって行なわれ得ることが理解される。ここに開示されるIEDは、そのような処理回路の一例であり、添付された請求項で定義されるような変電所間のパケットの時間同期された通信の一般概念の例示的な実現化例を示すために採用される。
【0043】
図3は、第1の変電所120aで行なわれるような、第1の変電所120aと第2の変電所120bとの間のパケットの時間同期された通信のための方法の実施形態を示すフローチャートである。この例では、方法は、第1の変電所120aの第1のIED200aによって行なわれ得る。
【0044】
第1の変電所120aの第1のIED200aは、第1のアクションおよび第2のアクションのうちの少なくとも1つを行なうように構成される。第1のアクションは、第1のIED200aがパケット交換ネットワークを介してサンプルの第1のパケットを送信するシナリオに関係し、第2のアクションは、第1のIED200aがパケット交換ネットワークを介してサンプルの第2のパケットを送信するシナリオに関係する。このため、いくつかの局面では、第1のIED200aはサンプルのパケットを送信するだけであり、他の局面では、第1のIED200aはサンプルのパケットを受信するだけであり、さらに他の局面では、第1のIED200aは、サンプルのパケットを送信しかつ受信する。
【0045】
第1のアクションは、サブアクションS102およびS104を含む。
S102:第1のIED200aは、第1の変電所120aのローカル基準クロック140aと共通基準クロック130との間の第1の時間差を判定する。共通基準クロック130はたとえば、パケット交換ネットワークを介して時間指標を提供し得る。これがまさに、時間オフセットΔの定義である。S104:第1のIED200aは、第1の変電所120a内で得られたようなサンプルの第1のパケットを、ネットワークインターフェイス180bおよびパケット交換ネットワークを介して第2のIED200bへ送信する。第1のパケットには、第1の変電所120aのローカル基準クロック140aに従った時間情報が提供されている。時間情報はたとえば、ローカル基準クロックに従ったタイムスタンプと、第1の時間差の指標とを含み得る。このため、Δという値は、第1のパケットに入った状態で送信され得る。これは、第2のIED200bが、それ自体のローカル基準クロック140bは第1の変電所120aのローカル基準クロック140aとどれくらい異なるかを判定することを可能にする。
【0046】
いくつかの局面ではこのため、第1のIED200aがサンプルのパケットを、たとえばIED200b:200cを含む別の変電所へ送信すると仮定される。
【0047】
第2のアクションは、サブアクションS106およびS108を含む。
S106:第1のIED200aは、第2の変電所120b内で得られたようなサンプルの第2のパケットを、第2のIED200bからネットワークインターフェイス180bを介して受信する。第2のパケットには、第2の変電所120bのローカル基準クロック140bに従った時間情報が提供されている。時間情報はたとえば、ローカル基準クロックに従ったタイムスタンプと、第2のIED200bによって判定されたような、第2の変電所120bのローカル基準クロック140bと共通基準クロック130との間の第2の時間差の指標とを含み得る。
【0048】
いくつかの局面ではこのため、第1のIED200aは、他のIED200b:200cからサンプルのパケットを受信すると仮定される。その場合、第1のIED200aは、アクションS102で判定されたような判定された第1の時間差の情報と、第2の時間差の指標とを使用して、第2の変電所120bのローカル基準クロック140bが第1の変電所120aのローカル基準クロック140aとどれくらい異なるかを判定し得る。次に、その知識を使用して、第2のIED200bから受信されたサンプルのタイムスタンプが調節される。
【0049】
S108:第1のIED200aは、第1の時間差と第2の時間差との差に従って第2のパケットのサンプルを時間的に補償することによって、第2のパケットのサンプルと第1の変電所120a内で得られたようなサンプルとの時間的同期を行なう。
【0050】
これは、変電所ネットワーク100のどこでサンプルが得られるかにかかわらず、すべてのサンプルが共通の時間スケールを使用してタイムスタンプされることを可能にする。
【0051】
このため、いくつかの実施形態では、サブアクションS102およびS104は行なわれるものの、サブアクションS106およびS108は行なわれず、いくつかの実施形態では、サブアクションS102およびS104は行なわれないものの、サブアクションS106およびS108は行なわれ、いくつかの実施形態では、サブアクションS102、S104、S106、およびS108はすべて行なわれる。
【0052】
第1の変電所120aで行なわれるような変電所間のパケットの時間同期された通信のさらなる詳細に関する実施形態を以下に開示する。
【0053】
いくつかの局面では、各IED200a、200bは、その変電所120a、120b内の通信のためのそれ自体の変電所インターフェイス180aと、パケット交換ネットワークを介した他の変電所120a、120b、120cのIED200a、200b、200cとの通信のためのネットワークインターフェイス180bとを含む。いくつかの局面では、各変電所インターフェイス180aは、変電所内部の時間同期基準として使用されるそれ自体のローカル基準クロック140a、140bに関連付けられる。いくつかの局面では、ネットワークインターフェイス180bは、共通基準クロック130に関連付けられる。
【0054】
3つ以上の変電所120a:120cがあるシナリオでは、異なる変電所間の別個の通信リンク、すなわち、変電所120aと変電所120bとの間の第1の通信リンク、変電所120aと変電所120cとの間の第2の通信リンク、および、変電所120bと変電所120cとの間の第3の通信リンクなどがあり得る。その場合、すべての通信リンクについて1つの共通基準クロックがあるのではなく、1つの通信リンク当たり1つの共通基準クロック130があり得る。その場合、第1のIED200aはステップS102で、他のIED200b:200cとのパケットの送信および受信のために第1のIED200aによって使用されるすべての通信リンクについて、第1の変電所120aのローカル基準クロック140aとそれぞれの共通基準クロック130との間のそれぞれの第1の時間差を判定する。
【0055】
一般的には、ライン差動保護機能150aは、ラインまたはネットワークの各端における電流(および電圧)測定に基づいている。測定(または電流(および電圧)値のサンプリング)は、IED200a:200b、MU170a:170fにおいて、もしくは、非従来型計器用変圧器(non-conventional instrument transformer:NCIT)ならびに他の好適な測定機器および/またはセンサを介して、行なわれ得る。そのため、少なくとも2つの端が必要であるが、それは、ネットワークトポロジとプロセス用機器の利用可能性とに依存して最大5であってもよい。本開示では、各端は、1つの変電所120a:120cによって表わされる。ライン差動保護機能150aの基本的な動作原理は、受信された電流をすべて一緒に加算することである。ラインまたはネットワークに故障がない場合、合計はゼロ(または、測定精度に依存してほぼゼロ)であるはずであるが、故障が存在する場合、合計は、故障を通過している非ゼロの差動電流を示すであろう。この差動電流を計算可能にするためには、加算が行なわれる前にサンプル(または位相器)を時間的に整列させなければならず、さもなければ、間違った差動電流のリスクがある。したがって、ライン差動保護機能150aが正確に動作するには、異なるソースからのサンプル間の共通時間基準が必要とされる。
【0056】
上述のように、共通基準クロック130は、IED200a:200c間の通信のための、ひいては、サンプルのやりとりのための基準として使用される。サンプルは、タイムスタンプされた生サンプルであるか、または、タイムスタンプされた計算された位相器であり得る。共通基準クロック130によって与えられた時間の知識は、送信側でタイムスタンプを補償するために、または、元のタイムスタンプとともにオフセットを追加情報として提供するために、異なるやり方で使用され得る。次に、この追加情報は受信端で、それ自体のサンプルに時間的に同期されるように、受信されたサンプルを補償または再サンプリングするために使用され得る。また、この追加情報は送信端で、サンプルを受信端へ送信する前にすでに、共通サンプル時間への共通基準クロック130に基づいてサンプルを補償または再サンプリングするために使用され得る。
【0057】
いくつかの例では、サンプルは電流値を表わす。一実施形態によれば、第1のIED200aはその場合、アクションS110を行なうように構成される。
【0058】
S110:第1のIED200aは、補償されたサンプルと第1の変電所120a内で得られたようなサンプルとの差としての差動電流を計算する。
【0059】
この差動電流は次に、ライン差動保護機能150aに提供され得る。このため、一実施形態によれば、第1のIED200aは、アクションS114を行なうように構成される。
【0060】
S114:第1のIED200aは、差動電流を、第1の変電所120aにおけるライン差動保護機能150aに提供する。
【0061】
しかしながら、いくつかの局面では、第1の時間差と第2の時間差との差が時間しきい値よりも小さいことを第1のIED200aが確認した場合のみ、差動電流はライン差動保護機能150aに提供される。すなわち、一実施形態によれば、第1のIED200aは、アクションS112を行なうように構成される。
【0062】
S112:第1のIED200aは、第1の時間差と第2の時間差との差が時間しきい値よりも小さいことを確認する。
【0063】
S112での確認が成功した場合のみ、次にアクションS114に入る。
いくつかの局面では、第1の時間差と第2の時間差との差が時間しきい値よりも小さくない場合、ライン差動保護機能150aはブロックされるべきである。すなわち、一実施形態によれば、第1のIED200aは、アクションS116を行なうように構成される。
【0064】
S116:第1の時間差と第2の時間差との差が時間しきい値よりも小さくない場合、第1のIED200aは、差動電流を受信しないようにライン差動保護機能150aをブロックする。
【0065】
また、PTPが使用される場合、差の精度の品質指標があってもよく、品質指標が品質しきい値よりも低い場合、この品質指標は、差動電流を受信しないようにライン差動保護機能150aを選択的にブロックするために使用され得る。それに関連して、S102で判定されたような第1の時間差(すなわち、Δという値)の品質インデックスもしたがって、第2のIED200bへ送信されてもよく、ひいては、第2のIED200bによって判定されたような第2の時間差の対応する品質インデックスが、第1のIED200aによって受信されてもよい。
【0066】
また、第1の時間差と第2の時間差との差が時間しきい値よりも小さくない場合、失われた時間同期された通信のアラーム通知が発行され得る。すなわち、一実施形態によれば、第1のIED200aは、アクションS118を行なうように構成される。
【0067】
S118:第1の時間差と第2の時間差との差が時間しきい値よりも小さくない場合、第1のIED200aは、失われた時間同期された通信のアラーム通知を発行する。
【0068】
図4は、一実施形態に従った変電所120aのIED200aの構成要素を、複数の機能ユニットに関して概略的に示す。たとえば記憶媒体230の形をした(図5でのような)コンピュータプログラム製品510に格納されたソフトウェア命令を実行することができる、好適な中央処理装置(central processing unit:CPU)、マルチプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor:DSP)などのうちの1つ以上の任意の組合せを使用して、処理回路210が提供される。処理回路210はさらに、少なくとも1つの特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit:ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array:FPGA)として提供され得る。
【0069】
特に、処理回路210は、IED200aに、上に開示されたような1組の動作またはアクションを変電所で行なわせるように構成される。たとえば、記憶媒体230は1組の動作を格納してもよく、処理回路210は、IED200aに1組の動作を行なわせるために、記憶媒体230から1組の動作を検索するように構成されてもよい。1組の動作は、1組の実行可能命令として提供されてもよい。
【0070】
こうして、処理回路210はそれにより、ここに開示されるような方法を実行するために配置される。記憶媒体230はまた、永続的なストレージを含んでいてもよく、それはたとえば、磁気メモリ、光メモリ、ソリッドステートメモリ、さらには遠隔搭載メモリのうちのいずれか1つまたはそれらの組合せであり得る。IED200aはさらに、通信インターフェイス220を含み得る。そのため、通信インターフェイス220は、アナログおよびデジタルコンポーネントを含む1つ以上の送信機および受信機を含み得る。
【0071】
特に、通信インターフェイス220は、その変電所120a内のIED200aの通信のための変電所インターフェイス180aと、パケット交換ネットワークなどの通信チャネルを介したIED200aと他の変電所120b、120cの他のIED200b、200cとの通信のためのネットワークインターフェイス180bとを実現する。
【0072】
処理回路210は、たとえば、データおよび制御信号を通信インターフェイス220および記憶媒体230へ送信することによって、通信インターフェイス220からデータおよび報告を受信することによって、ならびに、記憶媒体230からデータおよび命令を検索することによって、IED200aの一般的な動作を制御する。
【0073】
上に開示されたように、ライン差動保護機能150aは、IED200aの一部であるか、IED200aと一体化されるか、または、IED200aと併置される。よって、いくつかの局面では、IED200aはライン差動保護機能150aをさらに含む。
【0074】
IED200aの他の構成要素および関連する機能性は、ここに提示される概念を不明瞭にしないために省略される。
【0075】
図5は、コンピュータ読取可能記憶媒体530を含むコンピュータプログラム製品510の一例を示す。このコンピュータ読取可能記憶媒体530上に、コンピュータプログラム520を格納することができ、コンピュータプログラム520は、処理回路210と、それに動作可能に結合されたエンティティおよびデバイス、たとえば通信インターフェイス220および記憶媒体230とに、ここに説明される実施形態に従った方法を実行させることができる。コンピュータプログラム520および/またはコンピュータプログラム製品510はこのため、ここに開示されるようなあらゆるアクションを行なうための手段を提供し得る。
【0076】
図5の例では、コンピュータプログラム製品510は、CD(compact disc:コンパクトディスク)またはDVD(digital versatile disc:デジタル多用途ディスク)またはブルーレイディスクなどの光ディスクとして示される。コンピュータプログラム製品510はまた、ランダムアクセスメモリ(random access memory:RAM)、読出専用メモリ(read-only memory:ROM)、消去可能プログラマブル読出専用メモリ(erasable programmable read-only memory:EPROM)、または電気的消去可能プログラマブル読出専用メモリ(electrically erasable programmable read-only memory:EEPROM)などのメモリとして具現化され、より特定的には、USB(Universal Serial Bus:ユニバーサルシリアルバス)メモリまたはフラッシュメモリ、たとえばコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリなどの外部メモリにおけるデバイスの不揮発性記憶媒体として具現化され得る。このため、コンピュータプログラム520はここでは、図示された光ディスク上のトラックとして概略的に示されているが、コンピュータプログラム520は、コンピュータプログラム製品510にとって好適なあらゆるやり方で格納され得る。
【0077】
いくつかの実施形態を参照して、この発明の概念を主として上述してきた。しかしながら、当業者であれば容易に理解できるように、上に開示されたもの以外の実施形態も、添付された特許請求項によって定義されるようなこの発明の概念の範囲内で同様に可能である。
図1
図2
図3
図4
図5