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特許7493045アモルファス特性を有する、製造すべきワークピースの構成部品記述を適合させるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-22
(45)【発行日】2024-05-30
(54)【発明の名称】アモルファス特性を有する、製造すべきワークピースの構成部品記述を適合させるための方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 1/11 20230101AFI20240523BHJP
   B22D 17/00 20060101ALI20240523BHJP
   B22D 17/32 20060101ALI20240523BHJP
   C22C 1/02 20060101ALI20240523BHJP
   C22F 1/00 20060101ALI20240523BHJP
   C22F 1/08 20060101ALI20240523BHJP
   C22F 1/10 20060101ALI20240523BHJP
   C22F 1/14 20060101ALI20240523BHJP
   C22F 1/16 20060101ALI20240523BHJP
   C22F 1/18 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
C22C1/11
B22D17/00 Z
B22D17/32 Z
C22C1/02 501E
C22F1/00 B
C22F1/00 692A
C22F1/08 A
C22F1/10 A
C22F1/14
C22F1/16 A
C22F1/18 E
C22F1/18 H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022548772
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2021053872
(87)【国際公開番号】W WO2021170468
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】20159308.4
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520131303
【氏名又は名称】ヘレウス アムロイ テクノロジーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(72)【発明者】
【氏名】ヴェヒター、ハンス、ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ミルケ、オイゲン
(72)【発明者】
【氏名】シャクール シャハビ、ハメド
(72)【発明者】
【氏名】タイゼン、フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】クロシュ-トラゲザー、ミヒャエル
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-208223(JP,A)
【文献】特開2012-125798(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0227125(US,A1)
【文献】米国特許第05797443(US,A)
【文献】特開2001-105117(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0262111(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/00-17/32
C22C 1/11
C22F 1/00-1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アモルファス特性を有し金属ガラスからなる製造すべきワークピースの幾何学形状を、射出成形においてアモルファス特性を達成可能な冷却挙動となるように適合させるための方法であって、
-製造すべきワークピースの材料融点より最大150℃低い範囲の初期温度から、ガラス転移温度の-50℃の範囲にある目標温度までの冷却挙動を、CADモデルによって表された前記ワークピースの幾何学形状を考慮した有限要素シミュレーション及び/又は有限体積シミュレーションを使用して特定する工程と、
-前記ワークピースの前記特定された冷却挙動を考慮して、前記幾何学形状の少なくとも一部を適合させる工程と、
を含み、
前記冷却挙動は、冷却速度を示している、方法。
【請求項2】
前記適合は、前記幾何学形状への少なくとも1つの冷却手段の挿入を含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記幾何学形状は、複数の体積要素を示しており、前記冷却挙動は、少なくとも1つの体積要素ついて、体積冷却速度を示していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
-製造すべきワークピースを示す幾何学形状を準備する工程と、
-請求項1からのいずれか一項に記載の方法によって、前記幾何学形状を適合させる工程と、
-ワークピースを製造するために、前記適合された幾何学形状を使用して製造装置を制御する工程と、
を含む制御方法。
【請求項5】
少なくとも1つのプロセッサによって請求項1からのいずれか一項に記載の方法が実行される場合、前記少なくとも1つのプロセッサに前記方法を実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項6】
アモルファス特性を有する、製造すべきワークピースの幾何学形状を、射出成形においてアモルファス特性を達成可能な冷却挙動となるように適合させるための装置であって、
CADモデルによって表された少なくとも1つの幾何学形状を記憶するための少なくとも1つのメモリユニットと、
-前記少なくとも1つの幾何学形状を考慮した有限要素シミュレーション及び/又は有限体積シミュレーションを使用して、製造すべきワークピースの少なくとも一部分の冷却挙動を特定するように構成されている少なくとも1つの冷却特定ユニットと、
-前記特定された冷却挙動を考慮して、前記幾何学形状の少なくとも一部を適合させるように構成されている適合ユニットと、
を備え
前記冷却挙動は、冷却速度を示している、装置。
【請求項7】
最適化ユニットは、前記幾何学形状における前記ワークピースの少なくとも1つの局所幾何学形状を識別するように更に構成されており、前記局所幾何学形状は、材料を節約できるワークピース領域を示していることを特徴とする、請求項に記載の装置。
【請求項8】
ワークピースを製造するためのシステムであって、
-請求項又はに記載の装置と、
-幾何学形状を使用して、ワークピースを製造するように構成されている射出成形装置と、
を備えるシステム。
【請求項9】
-液状の材料を収容するための前記射出成形装置のチャンバと、
-液状の材料を、前記幾何学形状を考慮して選択されたプランジャ速度によって前記チャンバに導入するように構成されているプランジャと、
を備えることを特徴とする、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アモルファス特性を有する、製造すべきワークピースの構成部品記述を適合させるための方法、コンピュータ可読記憶媒体、構成部品記述を適合させるための装置及びワークピースを製造するためのシステムに関する。
【0002】
アモルファス金属は、他の材料では実現できない物理特性又は複数の特性の組み合わせを有する新種の材料グループである。
【0003】
アモルファス金属とは、金属合金が原子レベルでは結晶構造を有せず、アモルファス構造を有するものである。金属にとっては通常ではないアモルファスな原子配列は、物理的な特性の類の無い組み合わせをもたらす。アモルファス金属は、一般的に、通常の金属よりも硬度があり、耐食性があり、且つ強度が優れており、またそれと同時に高い弾性も有する。つまり、表面電位に差異が生じないので、腐食も生じ得ない。
【0004】
カリフォルニア工科大学においてアモルファス金属が発見されて以来、金属ガラスの研究が盛んに行われている。長年にわたり、この材料グループの加工性及び特性の改善が継続的に達成されている。初期の金属ガラスは、未だ単純な二元(2種の成分から成る)合金であり、その製造には106ケルビン/秒(K/s)の範囲の冷却率が必要であったが、より新しく、より複雑な合金は既に、数K/sの範囲の著しく低い冷却率においてガラス状態に遷移することができる。このことは、プロセスコントロール並びに実現可能なワークピースに多大な影響を及ぼす。溶融物の結晶化が生じなくなり、且つその溶融物がガラス状態で凝固し始める冷却速度は、臨界冷却率と称される。臨界冷却率は、溶融物の組成に強く依存する系固有の特性量であり、この特性量によって、最大限に達成可能な構成部品厚さも更に決定される。溶融物に蓄積された熱エネルギーが系を介して十分高速に排出されなければならないことを考慮した場合、高い臨界冷却率を有する系からは、薄い厚さを有するワークピースしか製造できないことは明らかである。従って当初は、金属ガラスは多くの場合、メルトスピニング(英語:melt spinning)法によって製造されていた。この方法では、溶融物が回転する銅ホイール上に注がれ、数百分の一ミリメートルから数十分の一ミリメートルの範囲の薄い帯又はシートの形態でガラス状に凝固する。遥かに低い臨界冷却率を有する、新種の複雑な合金が開発されることによって、他の製造方法をますます利用できるようになった。今日のバルクガラスを形成する金属合金は既に、冷却された銅型に溶融物を注ぐことによってガラス状態に遷移することができる。この場合、実現可能な構成部品の厚さは合金固有であって、数ミリメートルから数センチメートルの範囲である。この種の合金は、バルク金属ガラス(英語:bulk metallic glasses、BMG)と称される。今日では、多数のその種の合金系が公知である。
【0005】
バルク金属ガラスの区分は、一般的に、組成に基づき行われ、重量比が一番大きい合金元素が基本元素と称される。既存の系には、例えば、金、白金及びパラジムをベースとするバルク金属ガラスのような貴金属ベースの合金、例えば、チタン又はジルコニウムをベースとするバルク金属ガラスのような早期遷移金属ベースの合金、銅、ニッケル又は鉄をベースとする後期遷移金属ベースの系が含まれるが、しかしながら、希土類、例えばネオジウム又はテルビウムを基礎とする系も含まれる。
【0006】
バルク金属ガラスは、従来の結晶性金属と比較すると、一般的に以下の特性を有している:
-より高い比強度、これによって、例えば、より薄い壁厚が実現される、
-より高い硬度、これによって特に表面を傷つきにくくすることができる、
-より高い弾性の延伸性及び反発性、
-熱可塑性成形性、
-より高い腐食耐性。
【0007】
例えば強度が高いこと及び凝固収縮がないことなどの有利な特性に起因して、金属ガラス、特にバルク金属ガラスは、非常に興味深い構造材料であり、そのような構造材料は、原理上、成形後に更なる加工工程を必要とせずに、射出成形のような大量生産による構成部品の製造に適している。溶融物から熱を排出する際に、合金の結晶化を阻止するためには、臨界冷却速度を上回っていなければならない。しかしながら、溶融物の体積が大きくなるほど、(他の条件に変更がなければ)溶融物の冷却はより緩慢になる。特定の資料厚さを超えると、合金がアモルファスで凝固する前に、結晶化が生じる。
【0008】
金属ガラスの優れた機械的な特性の他に、ガラス状態からの処理に関する他に類の無い可能性も得られる。つまり、金属ガラスは、溶融冶金法によって成形できるだけでなく、熱可塑性プラスチック又はケイ酸塩ガラスと同様に比較的低温での熱可塑性成形によっても加工することができる。このために、金属ガラスは先ずガラス転移点以上に加熱される。金属ガラスは、高粘性の液体のようになり、比較的弱い力で成形することができる。変形に続いて、材料は再びガラス転移温度以下まで冷却される。
【0009】
アモルファス金属を加工する際、溶融物を急速に冷却する(溶融状態において凍結する)ことによって、自然結晶化が阻止されるので、原子が結晶配列を取ることができるようになる前に原子は動かなくなる。結晶材料の多くの特性は、原子構造の乱れ、いわゆる格子欠陥(空孔、転位、結晶粒界、位相境界など)によって影響を受ける、又は決定される。
【0010】
急速な冷却によって、材料の収縮が低減されるので、アモルファス金属においては、構成部品のより正確な幾何学形状を達成することができる。可塑性の変形は、延伸率が2%を超えたときに初めて生じる。これとは異なり、結晶性の金属材料は、通常の場合、大幅に低い延伸率(0.5%未満)においても不可逆的に変形する。また、高い弾性限界が高い弾性延伸率と組み合わされた結果、高い弾性エネルギー貯蔵能力が得られる。
【0011】
しかしながら、構成部品に含まれている熱は表面を介して周囲に放出されなければならないので、使用される材料の熱伝導率は、冷却速度に物理的な限界をもたらす。これによって、構成部品の製造性及び製造法の用途が制限される。
【0012】
アモルファス金属からワークピースを製造するための種々の方法が公知である。つまり、3Dプリントのようなアディティブマニュファクチャリング法を使用してワークピースを製造することができる。その際、スキャン速度、レーザビームのエネルギー、又は走査パターンのようなプロセスパラメータを調整することによって、ワークピースのアモルファス特性を保証することができる。
【0013】
アディティブマニュファクチャリング技術の利点は、原理上、考えられるあらゆる幾何学形状を実現できるということである。更に、アディティブマニュファクチャリング法では、ワークピースを1層ずつ製造し、レーザエネルギー及びレーザの行程を介して溶融池の大きさを調整することによって、良好な冷却を保証できるので、別個の冷却プロセスは必要とされないことも利点となり得る。
【0014】
アディティブマニュファクチャリング法の欠点は、本願の出願時点では、寸法の大きなワークピースでは製造速度が遅いということである。更に、アディティブマニュファクチャリングプロセスのための出発材料として、高純度の粉末材料が使用されなければならない。材料に不純物が存在する場合、その不純物の箇所において結晶、つまり非アモルファス金属が生じる可能性があり、それによって、機械的な特性及び化学的な特性が劣化する可能性がある。表面近傍では、不純物に起因して、ワークピースを事後的に加工することが必要になる可能性があるが、これはコストが掛かる。更に、アディティブマニュファクチャリングでは、ワークピースの表面に常にある程度の粗さが生じるので、多くの場合、研磨又はフライス加工による事後的な加工が必要になる。
【0015】
射出成形は、別の製造可能性を提供する。ここで、本願の出願時点では、ワークピースの重量は、80~100gの範囲で実現できる。通常の場合、使用すべき材料は、誘導加熱を用いて、約20秒以内に約1050℃まで加熱されて、均質化される。
【0016】
加熱後、溶融した材料はプランジャによって型に押し込まれる。この際、型が完全に材料によって充填されている場合に、型内の材料がいずれの場所においても材料溶融点を上回る温度を有することが材料特性にとって重要となる。アモルファス材料特性を達成するためには、型内の液体材料がガラス転移温度を下回る温度まで十分急速に冷却されなければならない。
【0017】
射出成形において可能とされる幾何学形状は、材料の冷却速度に基づいて、0.3mm~7.0mmの壁厚に限定されている。比較的大きい壁厚では、冷却速度が過度に低くなるので、材料がガラス転移温度を下回る温度に冷却される前に結晶構造が生じてしまう。比較的小さい壁厚では、材料が、充填される長さに依存して過度に速く冷却され、型が完全に充填される前に凝固してしまう。
【0018】
構造、寸法設計、合金材料の選択、製造方法の選択などの際に、材料に供給された熱量を十分高速に周囲環境に放出できるかを事前に確認するために、冷却挙動をシミュレートして分析することができる。
【0019】
例えば、EP3246831には、数値ベースで、スケーリング可能且つ予測可能で正確な3Dプリントシミュレーションを提供するための方法及びシステムが記載されている。ここでは、独立した任意のメッシュによって、複雑な部品を有限要素に離散化することができる。続いて、圧力経過及び圧力時間をシミュレートすることができる。有限要素モデルは、交差モジュールを用いて、構成部品構造をツール経路情報と組み合わせる。これによって、各有限要素について、局所化された加熱効果及び冷却能力を任意の時点にシミュレートすることができる。
【0020】
EP3246831には、数値的な方式に基づいて、複雑な構成部品を製造するためのスケーリング可能且つ予測可能な3Dプリントシミュレーションが記載されており、ここでは主に、圧力経過、印刷時間及び冷却能力が、局所化された加熱効果に基づいてシミュレートされる。構成部品の製造可能性の分析、特に構成部品の溶融状態と、それに続く冷却に関する分析は実施されない。
【0021】
更に、DE102006047806からは、変形可能な鋼材料から成る金属プレートの熱間成形の再現を、有限要素法を用いてシミュレートすることが公知である。熱間成形シミュレーションでは、成形すべき鋼材料の機械的な特性及び物理的な特性が考慮されるだけでなく、熱機械的カップリングされた複雑なシミュレーションの枠内で材料データも考慮され、この材料データが、固有の鋼材料の時間・温度変動データセットの形態で方法に組み込まれる。このようにして、それぞれの相組成に基づいて求められた一時的な局所機械的な特性値を、構成部品予想を改善するため、またプロセスを最適化するために故障モデルに引き渡すことができる。
【0022】
従って、DE102006047806には、有限要素法を用いて、変形可能な鋼材料から成る金属プレートの熱間成形を再現するためのシミュレーション方法が記載されている。ここでは、一時的な局所機械的な特性、例えば鋼材料の局所的且つ一時的な相組成に基づく熱間成形シミュレーションの間及び熱間成形シミュレーションが終了した後の金属プレートの硬度及び物理的な特性が関心の対象となっている。
【0023】
更に、EP0864991からは、アモルファス領域が、結晶とそのアモルファス領域との界面における欠陥濃度を考慮して決定されることによって、半導体デバイスの製造プロセスのコンピュータシミュレーションを用いて、アモルファス領域を決定する方法が公知である。
【0024】
EP0864991には、アモルファス箇所を決定するためのコンピュータシミュレーションが記載されているが、このシミュレーションは構造解析に基づいて実施される。構成部品全体についての熱的な考察は予定されていない。
【0025】
また、WO2015097273からは、構成部品を製造するための方法が公知であり、この構成部品は、部分結晶性の熱可塑性ポリマーの溶融及び硬化によって製造され、ここでは構成部品の用途によって結晶化度が決定される。提案される方法は、
i.ポリマーの等温結晶化速度を数式の形で特定する工程と、
ii.工程i)で得られた式を用いて、製造方法を実施している間のポリマーの挙動をシミュレートする工程と、
iii.意図する結晶化度を得るために、工程ii)のシミュレーションによって製造方法を実施するための条件を決定する工程と、
iv.工程iii)において決定された条件で製造方法を実施することによって、部品を製造する工程と、
を含む。
【0026】
従って、WO2015097273には、規定された結晶化度を有する構成部品を製造するための製造方法が記載されている。これに関して、必要な特性を満たす実際の試料片の製造パラメータに基づいて、製造すべき構成部品の製造パラメータがシミュレーションによって求められる。この際、溶解及び凝固がシミュレートされる。
【0027】
別の例は、WO2018182513から公知であり、この刊行物には、アディティブマニュファクチャリングプロセスによって作成すべき物体の幾何学的な変化を評価するためのコンピュータ実装方法が記載されており、この際、このアディティブ製造プロセス中に、結晶化可能な材料が粉末からバルク形態に変換され、その間に、バルク形態の物体が形成される。
【0028】
WO2018182513の方法は、
i.粉末のシミュレートされたケーキ(cake)に埋め込まれている物体の有限要素モデルを含むシミュレーション領域を準備する工程と、ここで、有限要素モデルは、物体の有限要素及び粉末のシミュレートされたケーキの有限要素を含み、
ii.物体の各有限要素にバルク結晶化可能な材料の熱特性を対応付ける工程と、
iii.粉末のシミュレートされたケーキの各有限要素に粉末結晶化可能な材料の熱的特性を対応付ける工程と、
iv.各有限要素にシミュレートされた第1の温度を対応付ける工程と、
v.シミュレートされた冷却条件下で有限要素モデルの有限要素解析を実施する工程と、
を含み、ここで、シミュレートされた冷却条件は、シミュレーション領域の少なくとも1つの境界に、シミュレートされた第2の温度を適用することを含み、シミュレートされた第2の温度は、シミュレートされた第1の温度よりも低い。
【0029】
ここで、WO2018182513の有限要素解析は、
i.物体の各有限要素について、シミュレートした結晶化可能なバルク材料のシミュレートした結晶体積率を特定する工程と、
ii.物体の各有限要素について、シミュレートした結晶体積率、結晶化可能な材料の結晶相の熱膨張率(<3~4)、及び結晶化可能な材料のアモルファス相の熱膨張率(c&)の関数として、シミュレートした熱膨張率を特定する工程と、
iii.平衡状態に達するまで有限要素解析を実施する工程と、
を含む。
【0030】
WO2018182513は、アディティブマニュファクチャリングプロセスによって製造される構成部品の幾何学的な変化を評価するためのコンピュータ実装方法を記載している。ここでは、結晶化に起因する体積変化が関心の対象となっている。
【0031】
従来技術の上記の欠点から出発した課題は、ワークピースのアモルファス特性を保証するということである。
【0032】
この課題は、請求項1、11、12、13、17の対象によって解決される。
【0033】
この課題は、特に、アモルファス特性を有する製造すべきワークピースの構成部品記述を適合させるための方法によって解決され、この方法は、
-製造すべきワークピースの少なくとも一部分の冷却挙動を、ワークピースの構成部品記述、特にCADモデルを考慮して特定する工程と、
-ワークピースの特定された冷却挙動を考慮して、構成部品記述の少なくとも一部を適合させる工程と、
を含む。
【0034】
本発明は、アモルファス金属のアモルファス特性が、液体の出発原料の冷却によって実質的に決定されるという考察を基礎とする。従って、出発材料の冷却挙動が特定され、その冷却挙動を考慮して構成部品記述が適合される場合には有利である。アモルファス特性が達成されるように構成部品記述を適合させることができる。
【0035】
上記のように、冷却挙動は、製造すべきワークピースの幾何学形状に依存する。つまり、構成部品記述は、製造すべきワークピースの幾何学形状を、例えばCADモデルによって表すことができる。総じて、構成部品記述を用いて製造されるワークピースにおいてアモルファス特性が達成されることを保証することができる。
【0036】
一実施形態においては、適合が、構成部品記述への少なくとも1つの冷却手段記述の挿入を含んでいてよく、この構成部品記述は、1つの構成部品を示すものであってよい。
【0037】
冷却手段が設けられるように適合を実施することができる。冷却手段は、製造すべきワークピースからより多くのエネルギーを放出することができる。従って、液体の出発材料の冷却を加速させることができ、その結果、製造すべきワークピースにおいてアモルファス特性が達成される。例えば、冷却手段を構成部品の幾何学形状の内部に配置できることが考えられる。つまり、冷却手段は、材料が設けられていない領域に配置することができる、又は材料を冷却手段に置き換えることができる。従って、総じて、ワークピースの製造時に特に効率的な冷却が保証され、その結果、アモルファス特性を達成することができる。冷却手段は、冷却手段記述によって表すことができる。冷却手段記述は、例えば、CADファイルとして形成することができる。
【0038】
一実施形態においては、少なくとも1つの冷却手段を、成形体として、特に金属ロッドとして、好ましくは銅製ロッドとして、及び/又はワークピースの被覆部として形成することができる。
【0039】
即ち、冷却手段のための種々の実施形態が考えられる。成形体又は1つ以上の金属ロッドを、特に、ワークピース内に配置することができるので、冷却手段の少なくとも一部がワークピースの周囲と接触する。従って、ワークピースの内側から外側に向かって熱を効率的に運ぶことができる。被覆部は、一方では、より大きな表面を介して熱を周囲に放出することができ、他方では、ワークピースから被覆部への熱伝達を、ワークピースから周囲空気への熱伝達に比べて、より高速に又はより効率的に行うことができるという利点を有する。
【0040】
一実施形態においては、適合が、使用すべき材料の決定を含むことができる。
【0041】
同様に、適合によって、使用すべき材料が決定されることも考えられる。材料は、例えば、純度の度合いを表すことができる。更に、使用すべき材料を、構成部品記述によって表すことができる。一実施形態においては、材料を考慮して、適合を実施することができる。
【0042】
一実施形態においては、本方法は、特にワークピースの有限要素シミュレーション及び/又は有限体積シミュレーションを使用した、特に構成部品記述を使用した、構成部品記述の最適化を含むことができる。
【0043】
構成部品記述を最適化することができる。つまり、構成部品記述を事前に定義された荷重ケースについて最適化することができる。例えば、定義された荷重ケースに関して、機能的な損失が生じることなく、重量を最適化することができる。例えば、ワークピースの構成部品幾何学形状の特定の領域は、荷重ケースを満たすためには材料を必要としないか、少量の材料を必要とするのかを求めることができる。
【0044】
従って、一実施形態においては、構成部品記述の最適化が、ワークピースの少なくとも1つの荷重ケースの計算を含むことができる。
【0045】
一実施形態においては、構成部品記述の最適化が、構成部品記述におけるワークピースの少なくとも1つの局所幾何学形状の識別を含むことができ、ここで局所幾何学形状は、材料を節約できる構成部品記述領域を示すものであってよい。
【0046】
つまり最適化の際に、同様に局所的幾何学形状を識別することができ、その局所的幾何学形状の領域においては材料を節約することができる。従って、より軽量であるが、それにも関わらず安定したワークピースを製造することができる。
【0047】
この際、局所幾何学形状は、少なくとも1つの体積要素を表すことができる。体積要素は、立方体又は四面体として定義することができる。例えば、少なくとも1つの体積要素は、有限要素シミュレーション、有限体積シミュレーション及び/又は最適化の枠内で使用される要素であってよい。
【0048】
一実施形態においては、少なくとも1つの冷却手段の組み込みを、少なくとも、識別された局所幾何学形状の領域において実施することができる。
【0049】
定義された荷重ケースに関して、材料が必要とされない領域に冷却手段を配置することが可能となる。従って、効率的なやり方で、ワークピースを一方では十分に安定して形成することができ、他方では所望のアモルファス特性を達成することが可能となる。
【0050】
一実施形態において、冷却挙動は冷却速度を示すものであってよい。一実施形態においては、冷却速度からアモルファス値を更に計算することができる。一実施形態においては、計算されたアモルファス値から、ワークピースの少なくとも1つの材料特性を特定することができる。冷却挙動は、更に、冷却速度が臨界冷却速度を下回るという情報、及び/又は予め定義された材料特性が達成されるという情報を含むことができる。一実施形態においては、冷却挙動を、適合時に使用されるデータ構造、例えば配列、ベクトル及び/又はオブジェクト指向プログラミング言語のオブジェクトとして記憶することができる。
【0051】
構成部品記述に関する冷却挙動が特定される場合には特に有利である。これによって、ワークピースの実際の製造前に、製造プロセス中の温度挙動を考慮することが可能となる。冷却挙動は、例えば冷却速度を示すものであってよい。冷却速度は温度経過を表すことができる。つまり、製造すべきワークピースを目標温度まで冷却するのにどれほどの時間が掛かるかを確定することができる。
【0052】
本方法は、ワークピースに関する冷却挙動のシミュレーションを含むことができ、冷却挙動は冷却速度を示すものであってよい。シミュレーションによって、温度経過及び/又は時間依存性の温度場を特定することができる。冷却挙動は、有限要素シミュレーション及び/又は有限体積シミュレーションを用いて特定することもできる。総じて、正確な温度特定が実現されるので、構成部品記述を適合させる際により正確な結果を達成することができる。
【0053】
一実施形態においては、シミュレーションが、使用される材料の材料融点より最大150℃低い範囲の初期温度、特に、使用される例示的な合金、例えばZrベースの合金については750℃~1200℃の初期温度から、材料に依存するガラス転移温度の-50℃の範囲にある目標温度、特に350℃~450℃の範囲、例えば使用される例示的なZrベースの合金については410℃である、材料に依存するガラス転移温度までの冷却速度のシミュレーションを含むことができる。
【0054】
結晶構造が形成されることを阻止するために、使用される例示的なZrベースの合金については約410℃であるガラス転移温度を下回る温度に材料を急速に冷却する必要がある。従って、構成部品記述を適合させる際に、ガラス転移温度を下回る温度までどのように急速に冷却するかを考慮できる場合には有利である。
【0055】
一実施形態においては、構成部品記述が、複数の体積要素を表すことができ、この際、冷却挙動は、少なくとも1つの体積要素について、特に複数の体積要素の各体積要素について、体積冷却速度として表すことができる。
【0056】
更に、一実施形態においては、冷却速度が各容積要素について個別に表される。従って、局所幾何学形状を非常に正確に特定することができ、適合を複数の体積要素の冷却挙動を考慮して実施することができる。付加的に又は代替的に、一実施形態においては、局所幾何学形状に関する冷却挙動を表すことができる。局所幾何学形状の冷却挙動は、個々の体積要素の冷却挙動の組み合わせによって表すことができる。
【0057】
体積要素のサイズによって、更に、局所幾何学形状の特定の分解能を特定することができる。従って、一実施形態においては、体積要素のパラメータを適合させて、局所幾何学形状の精度又は解像度を最適化することができる。
【0058】
一実施形態においては、冷却速度と臨界冷却速度との比較を行うことができ、この場合、適合はその比較を考慮して実施することができる。
【0059】
一実施形態においては、冷却速度が例えば少なくとも1つの体積要素について臨界冷却速度を下回ることが比較の結果明らかになった場合にのみ適合を実施することができる。
【0060】
即ち、適合無しで冷却速度が臨界冷却速度を下回る場合にのみ適合が実施されることも考えられる。臨界冷却速度は、アモルファス特性を達成するために必要とされる冷却速度を示すものであってよい。従って、適合が実施されなければアモルファス特性が達成されない場合にのみ、適合が実施されることを保証することができる。
【0061】
一実施形態においては、本方法が、構成部品記述の少なくとも1つの体積要素、好ましくは各体積要素について、好ましくは分類器を使用して、ワークピースの少なくとも一部分に関して冷却速度が臨界冷却速度を下回っているかどうか分類することを含んでいてよい。特に、一実施形態においては、構成部品記述の各体積要素について分類を実施することができる。
【0062】
従って同様に、機械学習の方式を使用して、体積要素の冷却速度が限界冷却速度を下回っているか上回っているかを確認することができる。
【0063】
ここでは、例えばサポートベクターマシン、人工ニューラルネットワーク又は最近傍(Nearest Neighbour)法のような分類器を使用することができる。ここでは、強化学習(英語:「reinforcement learning」)、教師あり学習(英語:「supervised learning」)、教師なし学習(英語:「unsupervised learning」)の方法が考えられる。
【0064】
教師あり学習では、まず学習データを用いて分類器を学習させることができる。一実施形態においては、本方法が、学習データを用いた分類器の学習を含むことができ、この場合、学習データは複数の冷却経過を表すことができる。
【0065】
分類器を使用する利点は、実施を冷却挙動のシミュレーションよりも著しく高速に行えることである。これによって、プロセッサの負荷が低減される。このことはまた、例えばタブレット又は携帯電話のようなモバイル端末機器における本方法の実施も実現する。
【0066】
一実施形態においては、本方法が、特に好適には回帰系又は回帰ユニットを使用して、特に構成部品記述の少なくとも1つの体積要素について、好ましくは各体積要素について、ワークピースの少なくとも一部分に関して冷却速度が臨界冷却速度を下回るか否かを表すことができる確率の計算を含むことができる。
【0067】
以下では、回帰ユニット及び回帰系の概念は等価であるとみなす。
【0068】
更に、回帰系を介して、異なる値を直接計算することが可能である。また、回帰系の使用は、冷却挙動のシミュレーションよりも著しく高速である。回帰系によって、冷却プロセスの際に発生するような非線形の挙動も近似させることができる。特に、ある体積要素において冷却速度が臨界冷却速度を下回るか否かの確率の計算が有利である。
【0069】
つまり、一実施形態においては、少なくとも1つの体積要素に関して、少なくとも1つの体積要素において冷却速度が臨界冷却速度を下回るか否かの確率が、適合閾値を上回る場合にのみ、例えば、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上又は99%以上である場合にのみ、適合を実施することが可能である。
【0070】
回帰系は、適合を実施することができる複数の体積要素を表すように更に構成することができる。回帰系によって、複数の座標を出力することができる。この場合、座標は体積要素に対応することができる、及び/又は対応付けることができる。従って、構成部品記述がどのように適合されなければならないかを非常に簡単なやり方で決定することができる。回帰系は、例えば、人工ニューラルネットワークとして構成することができる。
【0071】
回帰系及び/又は分類器の人工ニューラルネットワークに対する入力として、3次元テンソルを使用することができ、この3次元テンソルは、各座標において材料がその位置において存在するか否かの情報を含むことができる。更に、材料情報を含むことができるタプルにテンソルの各座標を関連付けることも可能である。材料情報は、座標に材料が存在するか否かについての情報、どの種類の材料が存在するかの情報、及び/又は材料パラメータを含んでもよい。材料パラメータは、例えば、以下を含んでもよい:材料弾性及び/又は密度。
【0072】
回帰系及び/又は分類器の人工ニューラルネットワークの出力を、タプルとして形成することができる。
【0073】
上記の課題は更に、
-製造すべきワークピースを示す構成部品記述を準備する工程と、
-特に上記において説明したような方法に従い、構成部品記述を適合させる工程と、
-ワークピースを製造するために、適合された構成部品記述を使用して製造装置を制御する工程と、
を含む制御方法によって解決される。
【0074】
即ち、適合された構成部品記述が、ワークピースを製造するための製造装置によって直接的に使用されることが更に予定される。これによって、アモルファス特性を有するワークピースの製造プロセスを確実なものにすることができる。
【0075】
更に上記の課題は、特に、少なくとも1つのプロセッサによって上記において説明したような方法が実行されるときに、少なくとも1つのプロセッサに方法を実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体によってさらに解決される。
【0076】
更に上記の課題は、特に、アモルファス特性を有する製造すべきワークピースの構成部品記述を適合させるための装置によって解決され、この装置は、
-少なくとも1つの構成部品記述を記憶するための少なくとも1つのメモリユニットと、
-少なくとも1つの構成部品記述を考慮して、製造すべきワークピースの少なくとも一部分の冷却挙動を特定するように構成されている少なくとも1つの冷却特定ユニットと、
-特定された冷却挙動を考慮して、構成部品記述の少なくとも一部を適合させるように構成されている適合ユニットと、
を備える。
【0077】
一実施形態においては、少なくとも1つの冷却手段記述を構成部品記述に挿入するように適合ユニットが構成されていてよく、この冷却手段記述は冷却手段を示すものであってよい。
【0078】
一実施形態においては、少なくとも1つの冷却手段が、成形体として、特に金属ロッドとして、特に銅製ロッドとして、及び/又はワークピースの被覆部として形成することができる。
【0079】
一実施形態においては、適合ユニットが使用すべき材料を特定するように更に構成されていてよく、この場合、適合ユニットは、材料を考慮して構成部品記述の適合を実施するように更に構成されていてもよい。
【0080】
一実施形態においては、装置が最適化ユニットを含むことができ、この最適化ユニットは、特にワークピースの有限要素シミュレーション及び/又は有限体積シミュレーションを使用して構成部品記述を最適化するように構成することができる。
【0081】
一実施形態においては、ワークピースの荷重ケースを最適化の一部として計算するように、最適化ユニットを更に構成することができる。
【0082】
一実施形態においては、構成部品記述におけるワークピースの少なくとも1つの局所幾何学形状を識別するように最適化ユニットを更に構成することができ、ここで局所幾何学形状は、材料を節約できるワークピース領域を示すものであってよい。
【0083】
一実施形態においては、局所幾何学形状が、少なくとも1つの体積要素を表すことができる。
【0084】
一実施形態においては、少なくとも1つの冷却手段の組み込みを、識別された局所幾何学形状の領域において実施するように、適合ユニットを更に構成することができる。
【0085】
一実施形態においては、冷却挙動が冷却速度を示すものであってよい。一実施形態においては、冷却速度を使用して、アモルファス値を計算するように特定ユニットを構成することができる。更に、一実施形態においては、アモルファス値を使用して、少なくとも1つの材料特性を特定するように特定ユニットを構成することができる。更に、冷却挙動は、冷却速度が臨界冷却速度を下回るという情報、及び/又は予め定義された材料特性が達成されるという情報を含むことができる。
【0086】
一実施形態においては、装置がシミュレーションユニットを有することができ、このシミュレーションユニットは、前述の方法のシミュレーション工程を実施するように構成することができる。従って、ワークピースに関する冷却挙動をシミュレーションするようにシミュレーションユニットを構成することができ、冷却挙動は冷却速度を示すものであってよい。更に、温度経過及び/又は時間依存性の温度場を特定するようにシミュレーションユニットを構成することができる。
【0087】
一実施形態においては、使用される材料の材料融点より最大150℃低い範囲の初期温度、特に、使用される例示的な合金、例えばZrベースの合金については750℃~1200℃の初期温度から、特に材料に依存するガラス転移温度の-50℃の範囲にある目標温度、特に、使用される例示的なZrベースの合金については410℃である、材料に依存するガラス転移温度までの冷却速度のシミュレーションをシミュレートするように、シミュレーションユニットを構成することができる。
【0088】
一実施形態においては、構成部品記述が複数の体積要素を示しており、この際、冷却挙動は、少なくとも1つの体積要素について、特に複数の体積要素の各体積要素について、体積冷却速度としての冷却速度を示すものであってよい。
【0089】
一実施形態においては、装置が冷却速度を臨界冷却速度と比較するように構成することができる比較ユニットを有していてよく、この場合、適合ユニットは、その比較を考慮して適合を実施するように構成されていてよい。
【0090】
一実施形態においては、冷却速度が少なくとも1つの体積要素について臨界冷却速度を下回ることが比較の結果明らかになった場合にのみ適合を実施するように、適合ユニットを構成することができる。
【0091】
一実施形態においては、装置が、構成部品記述の少なくとも1つの体積要素に関して、好ましくは各体積要素に関して、ワークピースの少なくとも一部分について、冷却速度が限界冷却速度を下回るか否かを特定するように構成することができる分類ユニットを有することができる。
【0092】
一実施形態においては、装置が、特に構成部品記述の少なくとも1つの体積要素に関して、好ましくは各体積要素に関して、ワークピースの少なくとも一部分について、冷却速度が限界冷却速度を下回るか否か表すことができる確率を計算するように構成することができる回帰ユニットを有することができる。
【0093】
更に上記の課題は、特に、ワークピースを製造するためのシステムによって解決され、このシステムは、
-特に上記において説明したような構成部品記述を適合させるための装置と、
-構成部品記述を使用して、特に適合された構成部品記述を使用してワークピースを製造するように構成されている射出成形装置と、
を備える。
【0094】
一実施形態においては、本システムが、
-液状の材料を収容するための射出成形装置のチャンバと、
-液状の材料を、構成部品記述を考慮して選択されているプランジャ速度によってチャンバに導入するように構成されているプランジャと、
を含んでいてよい。
【0095】
コンピュータ可読記憶媒体、装置及びシステムに関して、方法及び制御方法と関連させて既に説明した利点と同様又は同一の利点がもたらされる。
【0096】
方法に関して説明した全ての態様は、装置及び/又はシステムと組み合わせることができる。同様に、装置及びシステムと関連させて説明した処理/方法工程を、上述の方法と組み合わせることができる。
【0097】
以下では、実施例に基づき、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0098】
図1】射出成形機の概略図を示す。
図2】ツールの概略図を示す。
図3】冷却手段を備えたワークピースの断面図を示す。
図4】ワークピースについての温度経過を示す。
図5】構成部品記述の体積要素への温度経過の対応付けを示す。
図6】構成部品記述の最適化及び適合の工程を概略的に示す。
図7】人工ニューラルネットワークの機能を示す。
図8】構成部品記述を適合させるための装置の第1の実施例を示す。
図9】構成部品記述を適合させるための装置の第2の実施例を示す。
図10】構成部品記述を適合させるための装置の第3の実施例を示す。
図11】構成部品記述を適合させるための装置の第4の実施例を示す。
【0099】
以下では、同一又は同一の機能を有する部分に対しては、同一の参照番号を用いる。
【0100】
図1は、アモルファス金属(AMM:Amorphous-Metal)射出成形装置1の概略図を示す。射出成形装置1は、ツール2内の型及び溶融チャンバ3を含む。溶融チャンバ3には、ロボットを介して、アモルファス凝固された合金(素材)4のバルク合金片が供給され、中央で誘導コイル5内に位置決めされる。素材4は、溶融チャンバ3内で、加熱素子、特に誘導コイル5によって生成される誘導磁場を用いて加熱される。素材4は、アモルファス凝固された合金のバルク合金片である。合金片4は、例えば、特定の割合のパラジウム、白金、ジルコニウム、チタン、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニオブ、ケイ素及び/又はイットリウムを有する。
【0101】
加熱素子又は誘導コイル5によって、素材4が溶融され、その結果、素材4は、溶融形態で存在する。好ましくは、素材4は、1050℃の温度まで加熱される。ピストン6によって、溶融材料がツール2内に注入される。
【0102】
図2は、射出成形ツールの概略的な構造を示す。ツール2の成形室11に通じる1つ又は複数の開口部10を用いて、成形室11に溶融物が充填される。成形室11は、製造すべきワークピース8の雌型として設計されている。図2の実施例では、液体材料を成形室11に案内するために開口部10を使用することができる。均一な温度分布を達成し、且つ溶融物の乱流を低減するために、成形室11の充填に複数のスプルーを利用することは有利となり得る。均一な温度分布及び僅かな乱流によって、冷却過程が改善され、均等な冷却、従って均一なアモルファス材料特性が達成される。
【0103】
成形室11の内部では、結晶化を阻止するために液体材料を急速に冷却する必要がある。液体材料の冷却は、製造すべき構成部品又はワークピース8の幾何学形状に大きく依存する。
【0104】
図3は、シリンダ20である例示的な構成部品20を示す。シリンダ20のサイズ、すなわち高さ及び直径に応じて、シリンダ20内の冷却過程の時間が長くなる、又は短くなる。シリンダ20のサイズが臨界サイズである場合、材料の結晶化を阻止するために、冷却を十分急速に実施することができない。従って、結晶構造が生じ、所望のアモルファス構造は得られない。
【0105】
所望のアモルファス構造を得るためには、即ち結晶化を阻止するために、シリンダ20の内側領域における冷却速度は十分に速くなければならない。このことは、シリンダ20の内側における冷却速度が、臨界冷却速度よりも速いことを意味する。冷却を加速させるために、構成部品20又はワークピース8内に冷却手段21を配置することができる。例えば、製造すべき構成部品20内に成形部品21を配置することが考えられる。図3の例では、例えば、シリンダ20内に金属ロッド21が配置され、固定されている。金属ロッド21によって、溶融熱を金属ロッド21にもツール2にも放出させることができ、従って、金属ロッド21によって、より高い冷却速度を達成することができる。熱伝導の高い成形体20の周囲に射出成形を行えることによって、より大きい2つのアモルファスコンポーネント構成部品を製造することもできる。アモルファス機能面は、機械的、物理的又は化学的な要求を満たすように設計されている。従って、構成部品20のサイズにかかわらず、結晶化を阻止することができる。
【0106】
図4は、例示的な温度経過22を示す。図4の実施例は、図3のワークピース20の内側部分に関する。図示のように、時点t1における初期温度C1から、時点t2に到達する温度C2まで温度が低下する。
【0107】
従って、t1からt2までの区間において温度低下、即ち温度差C1-C2を示す冷却速度を求めることができる。更に、結晶化を阻止するために、冷却速度は十分に高いか否かを確認することも可能である。結晶化を阻止する冷却速度は、臨界冷却速度と称することができる。従って、製造する構成部品又はワークピースがアモルファス特性を有するか否かを確認するために、ワークピースの各位置における冷却速度が臨界冷却速度よりも高いか否かを求めることができる。
【0108】
ワークピースは、例えばCADファイルを用いて、構成部品記述によってデジタル的に記述することができる。つまり、図5は、複数の体積要素31、32から構成されている立方体の構成部品記述30を示す。つまり、構成部品記述30は、例えば、シミュレーションソフトウェアを用いて個々の体積要素31、32に区分されているCADモデルであってよい。構成部品記述30の各体積要素31、32について、温度挙動をシミュレート又は予測することができる。
【0109】
つまり、図5は、第1の体積要素31に第1の温度経過33が対応付けられていることを示す。第2の体積要素32には、第2の温度経過34が対応付けられている。温度経過33、34は、初期温度C1から限界温度C2までの温度低下を示す。ジルコニウムをベースとする、アモルファス凝固された合金の例では、初期温度は約850℃であり、限界温度は410℃である。構成部品記述30によって示されているワークピースの材料8は、型2に注入された時点では約850℃の温度を有する。選択された合金におけるガラス転移温度は約410℃である。このことは、臨界冷却率を超えると、即ち臨界冷却速度を上回ると、結晶構造はもはや生じないことを意味する。つまり材料8が十分急速に臨界温度まで冷却されると、アモルファス構造が得られる。臨界冷却率又は臨界冷却速度を下回ると、溶融物は、アモルファス状態ではなく結晶状態で凝固する。
【0110】
図5から見て取れるように、第1の温度経過33では、時点t2において限界温度C2に達する。第2の温度経過34では、時点t3において限界温度C2に達する。第1の温度経過33及び第2の温度経過34から見て取れるように、時点t3は時点t2よりも前に位置する。このことは、第1の体積要素31に対応付けられている温度経過33における温度は、第2の体積要素32に対応付けられている第2の温度経過34よりも緩慢に低下することを意味する。従って、第2の温度経過34における冷却速度は、第1の温度経過33における冷却速度よりも高い。第1の温度経過33における冷却速度は、アモルファス構造を得るために必要とされる臨界冷却速度よりも低いと仮定する場合、第1の体積要素31の位置における冷却速度が臨界冷却速度よりも高くなるように、ワークピース8から熱をより高速に排出するために、構成部品記述30を調整する必要がある。
【0111】
温度チャート33及び34は、シミュレーションユニットを使用して生成することができる。このことは、各体積要素31、32について、温度挙動のシミュレーションが実施されることを意味する。これによって、温度チャート33及び34を非常に正確に特定することができる。シミュレーションユニットの結果は、冷却挙動として、例えばオブジェクト指向プログラミング言語におけるオブジェクトとして、デジタル的に提供することができる。しかしながら、冷却挙動をテキストファイル又は他の任意のフォーマットで提供することも可能である。
【0112】
図6は、構成部品記述30が最適化され、ワークピースの構成部品記述30内に冷却手段21、21’が導入され、それによって冷却速度が高くなる実施例を示す。
ここで、冷却手段21、21’は、その冷却手段21、21’のデジタル表現、例えばCADファイルを表すことができる冷却手段記述によって表される。
【0113】
側方断面図を表す図6の実施例では、構成部品記述30によって、3次元の立方体が記述される。ワークピース又は所属の構成部品記述30の右側には、力作用点2に力ベクトルFが記入されている。材料最適化法を用いて、構成部品記述30によって記述されているワークピースのどの位置において材料を節約できるかが求められる。ここで、材料最適化は、力作用点2における力ベクトルFによって定義される荷重ケースを考慮して実施される。
【0114】
図6から更に明らかなように、材料最適化の結果は、1つ又は複数の空所36、36’を有する最適化されたワークピースについての最適化された構成部品記述30’である。空所36、36’は、その箇所においては材料が必要とされないが、構成部品記述30を用いて製造された、最適化されたワークピースが規定の荷重ケースに耐えられる局所幾何学形状を規定する。
【0115】
ここでは、ワークピースからの熱搬送を改善するために、空所36、36’に冷却手段21、21’が配置されている。例えば、冷却手段21,21’は、良好な熱伝導性を有する銅製の成形部品であってよい。しかしながら、他の材料を使用することも可能である。図示の実施例においては、空所36、36’が完全に充填される。少なくとも空所36、36’の外郭を、例えば銅のような十分な熱伝導性を有する材料によって充填することも可能である。
【0116】
ワークピース又は体積要素31、32の温度経過を特定するためのシミュレーションの他に、分類を実施することも可能である。つまり、それぞれの体積要素31、32に対応付けられた冷却速度が、臨界冷却速度よりも高いか否かについての分類を行うことが可能である。これによって、シミュレーションを省略することが可能となり、より効率的な処理が実現される。これによって、シミュレーションを省略することが可能となり、より効率的な処理が実現される。例えば、いわゆる最近傍(nearest neighbour)法、人工ニューラルネットワーク又はサポートベクターマシン(Support Vector Machines)を使用することができる。これらの分類は、学習フェーズにおいて、学習データを用いて学習される。学習データは、複数の構成部品記述を含み、また得られた各体積要素は、それらの体積要素の各冷却速度が臨界冷却速度よりも高いか否かについての情報を有する。臨界冷却速度は、ワークピースに対して予定されている材料を考慮して特定することができる。
【0117】
分類の他に、回帰器又は回帰ユニットを用いて、冷却速度の値を予測することも同様に可能である。つまり、煩雑なシミュレーションを省略することも同様に可能である。回帰ユニットとして、人口ニューラルネットワークも考えられる。
【0118】
図7は、人工ニューラルネットワークを示し、この人工ニューラルネットワークは、図7のケースでは、いわゆる畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network)40(CNN40)として構成されている。図7のニューラルネットワーク40は、分類器として構成することもできるし、回帰器として構成することもできる。
【0119】
ニューラルネットワーク40に対する入力データ41は、複数のデータ要素を有するテンソル、即ち3次元行列であってよい。各データ要素は、体積要素に対応することができる。各データ要素は、対応する体積要素の位置に材料が存在しているか否か、どの材料が使用されるか、及び/又は対応する体積要素の位置における初期温度は何度であるかを示すタプルとして構成することができる。
【0120】
CCNは、複数のパラメータによって定義されている。第1の工程において、カーネルは、入力データを逐次的にスキャンする。カーネルのステップ幅、いわゆるストライドは、スキャンの度にカーネルの体積要素を幾つシフトさせなければならないかを表す。同様に、カーネルのサイズを設定することができる。従って、ステップ幅及びカーネルのサイズは、1回目の畳み込み42によって生成される、いわゆる特徴検出器43を規定する。各特徴検出器43は、入力データにおいて、特定の特徴を検出する。例えば、特徴検出器43は、特定の箇所に材料が存在しているか否かを示すことができる。全体として、事前にマニュアルでは規定されていない複数の特徴検出器43が生成される。
【0121】
同じ原理によれば、2回目の畳み込み44において、特徴生成器45の新たなセットが第1の特徴検出器43から生成される。ここで、2回目の畳み込みでは、特徴生成器の数が、1回目の畳み込みに比べて低減されている。そのような工程は、プーリング又はサブサンプリングと称される。
【0122】
3回目の畳み込み46では、特徴生成器の第3のセット47が生成される。最後の工程では、いわゆるソフトマックス(soft-max)層を用いて、各体積要素に1つのクラスが対応付けられる。このことは、出力から、ある体積要素についての冷却速度が臨界冷却速度よりも高いか低いかを識別できることを意味する。
【0123】
CCN40の各層は、多数のニューロンから、即ち各々に重みが割り当てられている多数の活性化関数から構成される。重み及び入力値に応じて、ニューロンの出力は活性化されるか、又は活性化されない。可能な活性化関数には、例えば、ロジット(logit)関数、逆正接(arc tan)関数、ガウス(Gaussian)関数が含まれる。CCN40の学習は、逆伝播アルゴリズムを使用して実施され、その際、重みの値が決定される。
【0124】
CNNについては、例えばVGGNet、ResNet、GAN又はGoogLeNetのような一連の様々なモデルが存在する。これらの実装形態のいずれも使用することができるし、他の実装形態も可能である。複数演算を並行して実施することができるので、ニューラルネットワークの学習を効率的に実施することができる。推論、即ち特定の構成部品記述に関する値の問い合わせを非常に効率的に実施することができる。
【0125】
図8から図11は、前述の方法工程を使用する装置に関する種々の実施例を示す。
【0126】
つまり、図8は、システム60の一部であり、またメモリユニット51を有する装置50を示す。メモリユニット51は、ワークピースを記述する構成部品記述52を記憶するように構成されている。装置50は、構成部品記述52を使用して冷却挙動54を特定するように構成されている冷却特定ユニット53を更に有する。このことは、冷却特定ユニット53が、構成部品記述52の体積要素に関して、体積要素における冷却速度は臨界冷却速度よりも高いか低いかを特定することを意味する。
【0127】
冷却挙動54は、同様に装置50の一部である適合ユニット55によって読み込まれる。更に、適合ユニット55は、メモリユニット51から構成部品記述52を読み出す。適合ユニット55は、構成部品記述52の体積要素全体の冷却速度が臨界冷却速度よりも高くなるようにするには、構成部品記述52及び冷却挙動54を考慮して、構成部品記述又はその構成部品記述によって記述されるワークピースがどのように変更されなければならないかを特定するように構成されている。
【0128】
適合又は最適化された構成部品記述56は、続いて、射出成形機57に転送され、この射出成形機は、適合された構成部品記述56に従い、ワークピース又は構成部品を作成する。特に、構成部品記述56は、射出成形機57の動作についての情報も示すことができる。例えば、構成部品記述56は、プランジャ6の進行速度を示すことができる。更に、適合された構成部品記述56が、液体材料を型2内に導入するために、幾つの導入開口部10を通過する必要があるかを示すことも考えられる。
【0129】
図9の実施例は、図8の実施例に実質的に対応する。図9の実施例は、同様にメモリ装置51、冷却特定ユニット53及び適合ユニット55を有する装置50’を備えたシステム60’を示す。システム60’は、射出成形機57を更に有する。付加的に、装置50’には、最適化ユニット58が設けられている。最適化ユニット58は、ワークピースにおいて材料を節約することができる少なくとも1つの局所幾何学形状を決定するように構成されている。その種の方法は、例えば、図6と関連させて説明した。
【0130】
最適化ユニット58は、最適化された構成部品記述59を適応ユニット55及び冷却特定ユニット53に出力するように構成されている。
【0131】
図10の実施例は、図8及び図9の実施例に実質的に対応する。図10は、メモリユニット51、最適化ユニット58及び適合ユニット55を有する装置50’’を備えたシステム60’’を示す。システム60’’は、射出成形機57を更に有する。
【0132】
図10の実施例では、最適化ユニット58によって生成された、最適化された構成部品記述59がシミュレーションユニット53’によって読み込まれる。シミュレーションユニット53’は、構成部品記述59の各体積要素について、冷却挙動又は冷却速度をシミュレートするように構成されている。シミュレーションの結果は、冷却挙動54として、適合ユニット55によって読み込まれる。適合ユニット55は、冷却挙動54及び最適化された構成部品記述59を考慮して、適合された構成部品記述56を生成するように構成されている。適合された構成部品記述46は、射出成形機57によって読み込まれ、ワークピース又は構成部品を製造するために使用される。
【0133】
図11は、装置50’’’を備えたシステム60’’’を示す別の実施例を示す。装置50’’’は、メモリユニット51、最適化ユニット58及び適合ユニット55を有する。システム60’’’は、射出成形機57を更に有する。更に、装置50’’’は、図7と関連させて説明したように、分類器及び/又は回帰器を実装するように構成されているAlシステム53’’を有する。
【0134】
Alシステム53’’は、ワークピース又は構成部品を製造するために射出成形機57によって使用される構成部品記述56を生成するために、最適化された構成部品記述59と共に、適合ユニット55によって使用することができる冷却挙動54を生成する。
【符号の説明】
【0135】
1、57 射出成形機
2 型
3 溶融シリンダ
4、4’ 加熱素子
5 供給ホッパ
6 スクリュー
7 プランジャ
8 液体出発材料
9 管路系
10、10’、10’、10’’’ 導入開口部
11 成形室
20 ワークピース
21、21’ 冷却手段/銅製ロッド
22 温度経過
30 構成部品記述/CADモデル
30’ 最適化された構成部品記述
31 第1の体積要素
32 第2の体積要素
33 第1の温度チャート
34 第2の温度チャート
35 力作用点
36、36’ 空所
40 人工ニューラルネットワーク
41 入力データ/テンソル
42 1回目の畳み込み
43 特徴検出器
44 サブサンプリング
45 第2の特徴検出器
46 2回目の畳み込み
47 第3の特徴検出器
48 フィードフォワード層
49 出力層
50、50’、50’、50’’’ システム
51 メモリユニット
52 構成部品記述/CADモデル
53 冷却特定ユニット
53’ シミュレーションユニット
53’’ AIシステム
54 冷却挙動
55 適合ユニット
56 適合された構成部品記述
58 最適化ユニット
59 最適化された構成部品記述
60、60’、60’、60’’’ 装置
C1 出発温度
C2 目標温度
T1、T2 時点
F 力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11